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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】作業用車両の作動制御装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20240219BHJP
   F15B 11/16 20060101ALI20240219BHJP
   F15B 11/042 20060101ALI20240219BHJP
   F15B 11/05 20060101ALI20240219BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20240219BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
F15B11/00 B
F15B11/16 B
F15B11/042
F15B11/05 A
F15B11/02 E
E02F9/20 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021178942
(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公開番号】P2023067566
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】粂内 健吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑太
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 俊平
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏一
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-169708(JP,A)
【文献】特開2000-227103(JP,A)
【文献】特開2018-105487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧作動装置を備えた作業用車両において、
前記油圧作動装置を駆動するための油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータを作動させて前記油圧作動装置を駆動させるために作業者により操作される操作装置と、
前記油圧アクチュエータの駆動のために必要な作動油を送り出す作動油供給源と、
前記操作装置の操作に応じて前記作動油供給源から送り出す油量を制御する送出油量制御装置と、を備え、
前記作動油供給源は油圧ポンプを備え、
前記送出油量制御装置は、前記油圧ポンプ側の油圧と前記油圧アクチュエータ側の油圧との差圧を生じさせるロードセンシング用絞りを用いることなく、前記操作装置の操作に応じて前記油圧ポンプの吐出油量制御を行い、前記油圧アクチュエータを前記操作装置の操作に応じた速度で作動させるために必要な油量を前記油圧ポンプから送り出すように供給油量制御を行う構成であり、
前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに至る流路中に設けられ、前記操作装置の操作に応じてその流路面積を制御する作動油供給制御装置を備え、
前記作動油供給制御装置は、前記必要な油量の作動油を制限無く通すが、前記必要な油量を超える作動油の供給を制限するように前記操作装置の操作に応じて前記流路面積を設定する制御を行うことを特徴とする作業用車両の作動制御装置。
【請求項2】
前記作動油供給制御装置は、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに至る油路中に設けられた作動油供給制御バルブから構成されることを特徴とする請求項1に記載の作業用車両の作動制御装置。
【請求項3】
複数の作動を行う油圧作動装置を備えた作業用車両において、
前記油圧作動装置による複数の作動を行わせるための複数の油圧アクチュエータと、
前記複数の油圧アクチュエータを選択的にもしくは複合的に作動させて前記油圧作動装置を駆動させるために作業者により操作される複数の操作が可能な操作装置と、
前記複数の油圧アクチュエータの駆動のために必要な作動油を送り出す作動油供給源と、
前記操作装置の操作に応じて前記作動油供給源から送り出す油量を制御する送出油量制御装置と、を備え、
前記作動油供給源は油圧ポンプを備え、
前記送出油量制御装置は、前記油圧ポンプ側の油圧と前記油圧アクチュエータ側の油圧との差圧を生じさせるロードセンシング用絞りを用いることなく、前記操作装置の操作に応じて前記油圧ポンプの吐出油量制御を行い、前記複数の油圧アクチュエータをそれぞれ前記操作装置の操作に応じた速度で作動させるために必要な油量の合計油量に対応する油量を、前記油圧ポンプから送り出すように供給油量制御を行い、
前記作動油供給源から前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれに至る複数の流路中にそれぞれ設けられ、前記操作装置の対応する操作に応じてその流路面積を制御する複数の作動油供給制御装置を備え、
前記複数の作動油供給制御装置はそれぞれ、前記操作装置の対応する操作に応じてその流路面積を制御し、前記操作装置の対応する操作に応じた前記油圧アクチュエータの作動速度とするための必要油量の作動油を制限無く通すが、前記必要油量を超える作動油の供給を制限するように前記流路面積を前記操作装置の操作に応じて制御することを特徴とする作業用車両の作動制御装置。
【請求項4】
前記操作装置が複合的に操作されて前記複数の油圧アクチュエータが複合的に作動される制御が行われたときに、前記複数の油圧アクチュエータに供給される作動油圧が低い方の前記油圧アクチュエータへの供給油量を制限して供給油量バランスをとる圧力補償弁が、前記複数の作動油供給制御装置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3に記載の作業用車両の油圧制御装置。
【請求項5】
前記作動油供給制御装置は、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータに至る複数の油路中にそれぞれ設けられた複数の作動油供給制御バルブから構成されることを特徴とする請求項3もしくは4に記載の作業用車両の作動制御装置。
【請求項6】
前記作動油供給源が、前記油圧ポンプを駆動する電気モータを備え、
前記送出油量制御装置は、前記電気モータの回転数制御を行って前記油圧ポンプの吐出油量制御を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の作業用車両の作動制御装置。
【請求項7】
前記油圧ポンプは固定容量型の油圧ポンプであることを特徴とする請求項6に記載の作業用車両の作動制御装置。
【請求項8】
前記油圧ポンプは可変容量型の油圧ポンプであることを特徴とする請求項6に記載の作業用車両の作動制御装置。
【請求項9】
前記作動油供給源が前記油圧ポンプを駆動するエンジンを備え、前記油圧ポンプが前記エンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプから構成され、
前記送出油量制御装置は、前記油圧ポンプの可変容量制御を行って前記油圧ポンプの吐出油量制御を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の作業用車両の作動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用車両の作動制御装置、特に油圧アクチュエータを備えた作業用車両の作動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、温暖化対策として、内燃機関を電気モータに代えて用いて二酸化炭素の排出量を減らす対応が採られている。油圧ショベル(エクスカベータ)などの作業用車両においても、電気モータ駆動を用いたものが開発されており、徐々に市場に投入されつつある。このような状況下において、電気モータはバッテリ容量との関係で決まる運転時間が内燃機関に比べて短いという問題があり、電気モータの駆動必要電力をできる限り小さくすることが求められる。
【0003】
例えば、本出願人の出願に係る特許文献1には、2個の電動モータを備え、第1電動モータにより駆動される油圧ポンプからの作動油を用いて走行モータおよびショベル装置の油圧シリンダ(ブームシリンダ等)を作動させ、第2電動モータにより駆動される油圧ポンプからの作動油を用いて旋回モータおよびブレードシリンダを作動させるとともにパイロット圧を生成するように構成された油圧ショベルが開示されている。この油圧ショベルでは、走行およびショベル装置の作動だけのときには第2電動モータ(旋回等のための電動モータ)の回転速度(単位時間当たりの回転数)を低く抑え、旋回およびブレードの作動だけのときには第1電動モータ(走行等のための電動モータ)の回転速度を低く抑えることが可能であるため、2個の電動モータでのエネルギー消費を抑えることができるようになっている。
【0004】
このような従来の油圧ショベルに用いられている作動制御装置では、油圧ポンプ側の油圧と油圧アクチュエータ側の油圧との差に基づいて油圧ポンプからの吐出流量を決めるというフィードバック制御により油圧ポンプからの吐出流量を制御しているので、制御応答性が比較的遅いという傾向がある。そのため、吐出流量の制御において、差圧が急に変化する状況では制御遅れが生じてハンチングが起こり易く、差圧が僅かしか変化しない状況では応答性が悪くなり易いという課題がある。このようなことに鑑みて、これも本出願人の出願に係るものであるが、特許文献2には、油圧ポンプからの吐出流量の制御においてハンチングや応答性の低下を防止しつつ吐出流量を制御することができる作動制御装置を用いた油圧ショベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5096417号公報
【文献】特開2020-169708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の作動制御装置では、操作装置の操作量に応じて油圧ポンプから送り出す油量制御を行って応答性の低下を防止しているが、この作動制御装置を提案したときの油圧ショベルにおいては、油圧ポンプ側の油圧と油圧アクチュエータ側の油圧との差に基づいて油圧ポンプからの吐出流量を制御するフィードバック制御を行うことができる構成となっていた。すなわち、上記差圧を発生させるためのロードセンシング用絞り機能を用いた油圧制御バルブを用いていた。このため、ロードセンシング用絞りにより上記油圧差が生じるため、この油圧差に対応して油圧ポンプの側の吐出油圧が高くなり、それだけ
油圧ポンプの必要駆動力が高くなって、油圧ポンプを駆動する電気モータの必要電力が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ロードセンシング用絞り機能を廃止しつつ、操作装置の操作量に応じて油圧ポンプの吐出油量制御を適切に行うことができ、油圧ポンプ駆動のための必要エネルギーを抑えることができるような構成の作業用車両の作動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の本発明に係る作動制御装置は、油圧作動装置(例えば、実施形態におけるクローラ機構15、上部旋回体20、ショベル装置30)を備えた作業用車両(例えば、実施形態における油圧ショベル1)において、前記油圧作動装置を駆動するための油圧アクチュエータ(例えば、実施形態における走行モータ16L,16R、スイングシリンダ34、ブームシリンダ36、アームシリンダ37、バケットシリンダ38、ブレードシリンダ19)と、前記油圧アクチュエータを作動させて前記油圧作動装置を駆動させるために作業者(オペーレータ)により操作される操作装置(例えば、操作装置160)と、前記油圧アクチュエータの駆動のために必要な作動油を送り出す作動油供給源(例えば、実施形態における第1油圧ポンプP1および第1電動モータM1)と、前記操作装置の操作に応じて前記作動油供給源から送り出す油量を制御する送出油量制御装置(例えば、第1電動モータM1の回転制御を行うコントローラ150)と、を備える。さらに、前記作動油供給源は油圧ポンプを備え、前記送出油量制御装置は前記油圧ポンプ側の油圧と前記油圧アクチュエータ側の油圧との差圧を生じさせるロードセンシング用絞りを用いることなく、前記操作装置の操作に応じて前記油圧ポンプの吐出油量制御を行い、前記油圧アクチュエータを前記操作装置の操作に応じた速度で作動させるために必要な油量を前記油圧ポンプから送り出すように供給油量制御を行う構成であり、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに至る流路中に設けられ、前記操作装置の操作に応じてその流路面積を制御する作動油供給制御装置を備え、前記作動油供給制御装置は、前記必要な油量の作動油を制限無く通すが、前記必要な油量を超える作動油の供給を制限するように前記操作装置の操作に応じて前記流路面積を設定する制御を行う
【0010】
さらに、上記構成の作動制御装置において、好ましくは、前記作動油供給制御装置は、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに至る油路中に設けられた作動油供給制御バルブから構成される。
【0011】
第2の本発明に係る作動制御装置は、複数の作動を行う油圧作動装置を備えた作業用車両において、前記油圧作動装置による複数の作動を行わせるための複数の油圧アクチュエータと、前記複数の油圧アクチュエータを選択的にもしくは複合的に作動させて前記油圧作動装置を駆動させるために作業者(オペーレータ)により操作される複数の操作が可能な操作装置と、前記複数の油圧アクチュエータの駆動のために必要な作動油を送り出す作動油供給源と、前記操作装置の操作に応じて前記作動油供給源から送り出す油量を制御する送出油量制御装置と、を備える。さらに、前記作動油供給源は油圧ポンプを備え、前記送出油量制御装置は、前記油圧ポンプ側の油圧と前記油圧アクチュエータ側の油圧との差圧を生じさせるロードセンシング用絞りを用いることなく、前記操作装置の操作に応じて前記油圧ポンプの吐出油量制御を行い、前記複数の油圧アクチュエータをそれぞれ前記操作装置の操作に応じた速度で作動させるために必要な油量の合計油量に対応する油量を、前記油圧ポンプから送り出すように供給油量制御を行い、前記作動油供給源から前記複数の油圧アクチュエータのそれぞれに至る複数の流路中にそれぞれ設けられ、前記操作装置の対応する操作に応じてその流路面積を制御する複数の作動油供給制御装置を備え、前記複数の作動油供給制御装置はそれぞれ、前記操作装置の対応する操作に応じてその流路面積を制御し、前記操作装置の対応する操作に応じた前記油圧アクチュエータの作動速度とするための必要油量の作動油を制限無く通すが、前記必要油量を超える作動油の供給を制限するように前記操作装置の操作に応じて前記流路面積を設定する制御を行う。
【0012】
上記構成の作動制御装置において、好ましくは、前記複数の操作装置が複合的に操作されて前記複数の油圧アクチュエータが複合的に作動される制御が行われたときに、前記複数の油圧アクチュエータに供給される作動油圧が低い方の前記油圧アクチュエータへの供給油量を制限して供給油量バランスをとる圧力補償弁が、前記複数の作動油供給制御装置にそれぞれ設けられている。
【0013】
上記構成の作動制御装置において、好ましくは、前記作動油供給制御装置は、前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータに至る複数の油路中にそれぞれ設けられた複数の作動油供給制御バルブから構成される。
【0014】
上記構成の作動制御装置において、好ましくは、前記作動油供給源が、前記油圧ポンプを駆動する電気モータを備え、前記送出油量制御装置は、前記電気モータの回転数制御を行って前記油圧ポンプの吐出油量制御を行う。この場合において、前記油圧ポンプは固定容量型の油圧ポンプであることが好ましい。また、前記油圧ポンプは可変容量型の油圧ポンプであっても良い。
【0015】
上記構成の作動制御装置において、前記作動油供給源が、前記油圧ポンプを駆動するエンジンを備え、前記油圧ポンプが前記エンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプから構成され、前記送出油量制御装置は、前記油圧ポンプの可変容量制御を行って前記油圧ポンプの吐出油量制御を行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0016】
第1の本発明に係る作業用車両の作動制御装置によれば、前記送出油量制御装置は、前記操作装置の操作に応じて前記作動油供給源から送り出す油量を制御し、前記操作装置の操作に応じた前記油圧アクチュエータの作動速度とするための必要油量を前記作動油供給源から送り出すように供給油量制御を行うので、ロードセンシング用絞りを廃止することができるとともに、操作装置の操作量に応じて油圧ポンプの吐出油量制御を適切に行うことができ、油圧ポンプ駆動のための必要エネルギーを必要最小限に抑えることができる。
【0017】
第2の本発明に係る作業用車両の作動制御装置によれば、前記送出油量制御装置は、前記複数の油圧アクチュエータをそれぞれ前記操作装置の操作に応じた速度で作動させるために必要な油量の合計油量に対応する油量を、前記作動油供給源から送り出すように供給油量制御を行い、前記複数の作動油供給制御装置はそれぞれ、前記操作装置の対応する操作に応じてその流路面積を制御し、前記操作装置の対応する操作に応じた前記油圧アクチュエータの作動速度とするための必要油量の作動油を制限無く通すが、前記必要油量を超える作動油の供給を制限するように前記操作装置の操作に応じて前記流路面積を設定する制御を行うので、ロードセンシング用絞りを廃止することができるとともに、操作装置の操作量に応じて油圧ポンプの吐出油量制御を適切に行うことができ、油圧ポンプ駆動のための必要エネルギーを必要最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る作動制御装置を備えた油圧ショベルの斜視図である。
図2】本発明に係る作動制御装置を示す油圧回路図である。
図3】本発明に係る作動制御装置の具体例として、ブームシリンダおよびバケットシリンダの作動制御を行う部分の作動制御装置を示す油圧回路図である。
図4図3の油圧回路図において、ブーム制御バルブが作動した状態を示す油圧回路図である。
図5図3の油圧回路図において、ブーム制御バルブおよびバケット制御バルブがともに作動した状態を示す油圧回路図である。
図6】ブーム制御バルブにおけるスプールストローク(ST1)とバルブ開口面積(A1)との関係を示すグラフである。
図7】バケット制御バルブにおけるスプールストローク(ST2)とバルブ開口面積(A2)との関係を示すグラフである。
図8】ブーム制御バルブおよびバケット制御バルブの複合作動の場合におけるスプールストローク(ST1、ST2)とバルブ開口面積(A1、A2)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明に係る作動制御装置を備えた作業用車両として、クローラ式の油圧ショベル(エクスカベータ)を例にして説明する。まず、油圧ショベル1の全体構成について主に図1を参照して説明する。
【0020】
油圧ショベル1は、図1に示すように、走行可能に構成された下部走行体10と、下部走行体10の上部に水平旋回可能に設けられた上部旋回体20と、上部旋回体20の前部に設けられたショベル装置30とを有して構成される。下部走行体10、上部旋回体20およびショベル装置30は油圧アクチュエータにより駆動される。
【0021】
下部走行体10は、駆動輪、複数の従動輪および、これらの車輪に掛け回された履帯13を有する左右一対のクローラ機構15を、走行体フレーム11の左右両側にそれぞれ備える。左右のクローラ機構15は、駆動輪を回転駆動する左右の走行モータ16L,16R(油圧アクチュエータ)を有する。下部走行体10は、左右の走行モータ16L,16Rの回転方向および回転速度を制御することにより任意の方向および速度で走行可能である。走行体フレーム11の前部には、上下揺動自在にブレード18が設けられている。ブレード18は、走行体フレーム11との間に跨設されたブレードシリンダ19(油圧アクチュエータ)を伸縮作動させることにより上下揺動可能である。
【0022】
走行体フレーム11の上部中央には旋回機構が設けられている。この旋回機構は、走行体フレーム11に固定された内輪と、上部旋回体20に固定された外輪と、上部旋回体20に設けられた旋回モータ26(油圧アクチュエータ、図2を参照)と、上部旋回体20に設けられた油圧ポンプから下部走行体10に設けられた左右の走行モータ16L,16Rおよびブレードシリンダ19に作動油を供給するための配管類およびスイベルジョイントとを有する。上部旋回体20は、この旋回機構を介して走行体フレーム11に水平旋回自在に取り付けられ、旋回モータ26を正転または逆転作動させることにより、下部走行体10に対して左右方向に旋回可能である。
【0023】
上部旋回体20の前部には、前方に突出する本体側ブラケット22が設けられている。ショベル装置30は、本体側ブラケット22に上下軸を中心に左右方向に揺動自在に取り付けられたブームブラケット39と、ブームブラケット39に第1揺動ピン35aにより上下揺動自在(起伏動自在)に取り付けられたブーム31と、ブーム31の先端部に第2揺動ピン35bにより上下揺動自在(屈伸動自在)に取り付けられたアーム32と、アーム32の先端部に設けられたリンク機構33とにより構成されている。ショベル装置30は、さらに、上部旋回体20とブームブラケット39の間に跨設されたスイングシリンダ34(油圧アクチュエータ)と、ブームブラケット39とブーム31の間に跨設されたブームシリンダ36(油圧アクチュエータ)と、ブーム31とアーム32の間に跨設されたアームシリンダ37(油圧アクチュエータ)と、アーム32とリンク機構33の間に跨設されたバケットシリンダ38(油圧アクチュエータ)とにより構成されている。
【0024】
ブームブラケット39は、スイングシリンダ34を伸縮作動させることにより上部旋回体20(本体側ブラケット22)に対して左右方向に揺動可能である。ブーム31は、ブームシリンダ36を伸縮作動させることにより本体側ブラケット22(上部旋回体20)に対して上下方向に揺動可能(起伏動可能)である。アーム32は、アームシリンダ37
を伸縮作動させることによりブーム31に対して上下方向に揺動可能(屈伸動可能)である。
【0025】
アーム32およびリンク機構33の先端部には、バケット、ブレーカ、圧砕機、カッター、オーガ装置等の油圧作動装置としての各種アタッチメントを上下方向に揺動自在に取り付けることが可能になっている。アーム32の先端部に取り付けられたアタッチメントは、バケットシリンダ38を伸縮作動させることによりリンク機構33を介してアーム32に対して上下揺動可能である。これらのアタッチメントの油圧アクチュエータに作動油を供給するための油圧ホースを接続可能な第1~第3アタッチメント接続ポート41~43が、アーム32の左右両側面に配設されている。なお、以下においては、アーム32およびリンク機構33の先端部にバケットを取り付け、バケットシリンダ38によりバケットを揺動作動させるように構成したショベル装置30を例にして説明する。
【0026】
上部旋回体20は、前部に本体側ブラケット22が設けられる旋回フレーム21と、旋回フレーム21上に設けられるオペレータキャビン23とにより構成される。オペレータキャビン23は、略矩形箱状に形成されて内部にオペレータ(作業者)が搭乗可能な操作室を形成し、左側部に横開き開閉可能なキャビンドア24が設けられている。オペレータキャビン23の内部には、オペレータが前方側を向いて着座するオペレータシートと、油圧ショベル1における各種の車両情報を表示するディスプレイ装置と、オペレータによって操作される各種の操作スイッチとが設けられている。また、オペレータキャビン23の内部には、油圧アクチュエータを作動させるためにオペーレータが操作する操作装置160(図2を参照)が設けられている。操作装置160は、オペレータにより操作される際の操作部として、下部走行体10の走行操作を行う左右の走行操作レバーまたは走行操作ペダル(いずれも図示略)と、上部旋回体20およびショベル装置30の作動操作を行う左右の作業操作レバー161,162(図2を参照)と、ブレード18の作動操作を行う
ブレード操作レバー(図示略)を有している。
【0027】
油圧ショベル1においては、オペレータがオペレータキャビン23内に搭乗し、左右の走行操作レバー(もしくは走行操作ペダル)を前後に傾動操作することにより、その操作方向および操作量に応じて左右のクローラ機構15(走行モータ16L,16R)を駆動させて油圧ショベル1を走行させることができる。また、左右の作業操作レバー161,
162を前後左右に傾動操作することにより、その操作方向および操作量に応じて上部旋回体20およびショベル装置30を駆動させて掘削等の作業を行うことができる。
【0028】
旋回フレーム21の前部には、ホーン装置28が設けられている。オペレータキャビン23内のホーンスイッチを押圧操作することにより、ホーン装置28から油圧ショベル1の周囲に注意を促す警告音を発生させることができるようになっている。旋回フレーム体20の後部には、オペレータキャビン23の後方の位置に、後述する作動制御装置100の主要部が搭載される搭載室が設けられている。この搭載室の後壁を形成するように曲面形状のカウンターウエイト29が設けられている。
【0029】
作動制御装置100は、図2に示すように、作動油タンクTと、左右の走行モータ16L,16R、ショベル装置30の作動用の油圧アクチュエータ等を作動させるための作動油を吐出する固定容量型の第1油圧ポンプP1と、旋回モータ26を作動させるための作動油を吐出する固定容量型の旋回用油圧ポンプP2と、第1油圧ポンプP1から吐出された作動油を左右の走行モータ16L,16R、ショベル装置30の作動用の油圧アクチュエータ等に供給するときにおける作動油の供給方向および流量を制御する制御バルブユニット110と、旋回用油圧ポンプP2から吐出されて旋回モータ26に供給する作動油の供給方向を制御する旋回制御バルブ121と、制御バルブユニット110および旋回制御バルブ121の作動をそれぞれ制御するためのパイロット圧を供給するパイロット圧供給
バルブユニット130を備えている。
【0030】
制御バルブユニット110は、左右の走行モータ16L,16R、ブームシリンダ36、アームシリンダ37、バケットシリンダ38、スイングシリンダ34、ブレードシリンダ19、および第1~第3アタッチメント接続ポート41~43にそれぞれ供給する作動油の給排及び供給方向並びに流量を制御する制御バルブ類を備える。これら制御バルブ類として、左右の走行制御バルブ111,112と、ブーム制御バルブ113と、アーム制御バルブ114と、バケット制御バルブ115と、スイング制御バルブ116と、ブレード制御バルブ117と、アタッチメント制御バルブ118とを有している。これらの制御バルブ111~118はそれぞれ、パイロット圧供給バルブユニット130から供給されるパイロット圧により内蔵されたスプールが移動され、そのスプールの移動により各油圧アクチュエータに供給する作動油の給排及び供給方向並びに流量を制御可能となっている。
【0031】
旋回制御バルブ121においては、制御バルブ111~118と同様に、パイロット圧供給バルブユニット130から供給されるパイロット圧により内蔵されたスプールが移動される。旋回制御バルブ121においては、そのスプールの移動により旋回モータ26に供給する作動油の給排及び供給方向のみを切替制御する。旋回モータ26に供給する作動油の流量制御(すなわち上部旋回体20の旋回速度制御)は、第2電動モータM2の回転制御によって行われる。
【0032】
パイロット圧供給バルブユニット130は、第1油圧ポンプP1の吐出口から制御バルブユニット110に繋がるポンプ油路L1から分岐した分岐油路L2に設けられている。分岐油路L2には、パイロット圧供給バルブユニット130によってパイロット圧を生成するために必要な油圧を保つためのチェックバルブ135が設けられている。パイロット圧供給バルブユニット130は、第1油圧ポンプP1から吐出される作動油を用いて、オペレータキャビン23内に設けられた走行操作レバー(走行操作ペダル)、作業操作レバー161,162およびブレード操作レバーのそれぞれの操作方向および操作量に応じた
パイロット圧を生成し、対応する制御バルブに供給する。パイロット圧供給バルブユニット130は、対応する制御バルブにパイロット圧を供給するための電磁比例式の複数のパイロット圧供給バルブを有する。
【0033】
作動制御装置100は、さらに、第1油圧ポンプP1を駆動する第1電動モータM1と、旋回用油圧ポンプP2を駆動する第2電動モータM2と、外部電源等によって充電可能なバッテリ105(蓄電池)と、バッテリ105からの直流電力を交流電力に変換して周波数および電圧の大きさを変えるインバータ106と、第1油圧ポンプP1から吐出される作動油圧(ポンプ圧)を検出する第1圧力センサS1と、各種の制御(詳細後述)を行うコントローラ150と、上述の操作装置160を備えている。
【0034】
第1および旋回用油圧ポンプP1,P2はそれぞれ、固定容量型の油圧ポンプであり、第1および第2電動モータM1,M2の回転速度に応じた流量の作動油を吐出する。すなわち、第1および第2電動モータM1,M2の回転速度を制御して、第1および旋回用油圧ポンプP1,P2の吐出油量制御が可能である。なお、これらポンプとして可変容量型の油圧ポンプを用いても良い。
【0035】
次に、コントローラ150による制御内容について説明する。上述したように、オペレータキャビン23内に搭乗したオペレータが、操作装置160を構成する作業操作レバー161,162を前後左右に傾動操作することにより、その操作方向および操作量に応じ
て上部旋回体20およびショベル装置30を駆動させて掘削等の作業を行うことができるようになっている。以下においては、作業操作レバー161,162において、ブーム作
動レバー操作およびバケット作動レバー操作を行う制御を、図2に加えて図3を参照して説明する。なお、図3は、コントローラ150がブームシリンダ36およびバケットシリンダ38の作動制御を行う際の制御内容を説明するための油圧回路図である。図3では図2の制御装置からブームシリンダ36およびバケットシリンダ38の作動制御の説明に必要な構成要素を抜粋して示している。
【0036】
作業操作レバー161,162は、ジョイスティックタイプの操作レバーであり、ブー
ム作動レバー操作(例えば、作業操作レバー161を前後傾動させる操作)およびバケット作動レバー操作(例えば、作業操作レバー162を左右傾動させる操作)が行われると、これらの操作に対応する操作出力信号をコントローラ150に出力する。具体的には、ブーム作動レバー操作が行われた場合にはブームシリンダ36を作動させるための操作出力信号を出力し、バケット作動レバー操作が行われた場合にはバケットシリンダ38を作動させるための操作出力信号を出力する。これらレバー操作は、その操作量(操作ストローク)に応じて操作量が大きいほど信号レベル(例えば電圧値や電流値)が高い操作出力信号を出力するように構成されている。
【0037】
このようにブームおよびバケット作動レバー操作に応じて出力される操作出力信号はコントローラ150に送られ、インバータ106を介して第1電動モータM1の駆動回転数制御が行われる。さらに、この操作出力信号を受けたコントローラ150により、パイロット圧供給バルブユニット130の作動制御も行われる。これにより、パイロット圧供給バルブユニット130によるパイロット圧の供給を受けて、ブーム制御バルブ113およびバケット制御バルブ115の作動制御が行われ、ブームシリンダ36およびバケットシリンダ38の作動が制御される。これらの制御を、以下図3図5を参照して、詳しく説明する。
【0038】
まず、図3の油圧回路図に示す作動制御装置について説明する。ここに示す作動制御装置においては、図2に示すように、コントローラ150がインバータ106を介して第1電動モータM1の回転駆動制御を行う。このようにして第1電動モータM1により回転駆動制御が行われと、第1油圧ポンプP1により、タンクTの作動油がポンプ油路L1に吐出される。ポンプ油路L1は第1分岐ポンプ油路L11と第2分岐ポンプ油路L12に分岐して繋がっており、第2分岐ポンプ油路L12はフィードバック油路L20の油圧を受けて作動されるアンロード弁60と繋がる。このため、ポンプ油路L1、第1および第2分岐ポンプ油路L11、L12内の油圧はアンロード弁60によりフィードバック油路L20の油圧に応じて設定される。なお、フィードバック油路L20の油圧については後述する。アンロード弁60から排出される油はタンク油路LTに流れ出し、タンク油路LTを通ってタンクTに戻される。
【0039】
第1分岐ポンプ油路L11に繋がってブーム第1油路L31が設けられており、このブーム第1油路L31はブーム制御バルブ113に繋がる。ブーム制御バルブ113は、6つのライン(ブーム第1~ブーム第6油路L31~L36)が繋がる6つのポートを有した3ポジション切換バルブである。ブーム第2油路L32はブーム圧力補償弁70の入口ポートに繋がり、ブーム第3油路L33はブーム圧力補償弁70の出口ポートに繋がり、ブーム第4油路L34はブームシリンダ36のボトム側油室に繋がり、ブーム第5油路L35はブームシリンダ36のロット側油室に繋がり、ブーム第6油路L36はタンク油路LTに繋がる。ブーム第2油路L32はチェック弁73を有したブームパイロット油路L37を介してフィードバック油路L20と繋がる。このチェック弁73は、フィードバック油路L20内の油圧がブーム第2油路L32内の油圧より高いときには閉止され、逆の圧力関係のときに開放される。ブーム第3油路L33にはチェック弁74が設けられており、逆流が防止される。
【0040】
ブーム制御バルブ113は、その両端(図3における上下端)にパイロットポート113a、113bが設けられており、これらパイロットポート113a、113bにパイロット圧供給油路L41、L42が繋がる。パイロット圧供給油路L41、L42には、パイロット圧供給バルブユニット130から、ブーム作動レバー操作に応じてブーム用パイロット油圧が供給され、ブーム制御バルブ113の作動が制御される。図3には、ブーム作動レバー操作が行われず、ブーム作動レバーが中立位置で、パイロット圧供給油路L41、L42にパイロット圧が供給されず、ブーム制御バルブ113が中立位置に位置した状態を示している。この状態では図示のように、6つのライン(ブーム第1~ブーム第6油路L31~L36)が繋がる6つのポートは全て閉止状態となる。
【0041】
次に、ブーム作動レバー操作が行われてパイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L41を介してパイロットポート113aにパイロット圧が供給された場合について説明する。パイロットポート113aにパイロット圧が供給されると、ブーム制御バルブ113は図3において下動される。この状態を図4および図5に示しており、ブーム第1油路L31がブーム第2油路L32と連通する。このときの連通開度はパイロット圧の大きさ(すなわち、ブーム作動レバー操作の操作量の大きさ)に応じて変化するように設定されている。すなわち、ブーム制御バルブ113において、パイロット圧を受けてスプールが移動し、その開口面積(ブーム第1油路L31とブーム第2油路L32とが連通する面積)がスプール移動量(スプールストローク)に応じて変化する。
【0042】
この開口面積A1は、スプールストロークST1に対して図6において実線で示すように設定されている。なお、スプールストロークST1は、パイロット圧の大きさ(すなわち、ブーム作動レバー操作の操作量の大きさ)に応じて変化する。従来のブーム制御バルブにおいて設定されていた関係を図6において破線で示している。このように従来においては、スプールストロークに対する開口面積を小さくしてこの部分で所定の差圧が生じるようにロードセンシング用絞り機能を持たせていた。しかし、本実施例のブーム制御バルブ113では、後述するように、ブーム作動レバー操作の操作量の大きさに対応したポンプ吐出量となるように制御するため、この部分で差圧を生じさせる必要性がなく、開口面積を大きくしてロードセンシング用絞り機能を用いない構成としている。すなわち、図6に示す開口面積A1は、ブーム作動レバー操作の操作量の大きさに対応して吐出量が制御される第1ポンプP1からの吐出油量をそのまま通過させることができるがそれ以上の流量は制限するような面積に設定されている。この意味から、ブーム制御バルブは油路切換機能が有れば良く、開口面積A1を可変設定する必要性が無い。しかし、複数のバルブ作動が行われるようなとき(例えば、ブームおよびバケット作動レバー操作が同時に行われるようなとき)に、それぞれ対応するアクチュエータ(ブームシリンダ36およびバケットシリンダ38)にレバー操作量に応じた所望の流量の供給を行わせることができるように、図6に示すような設定としている。
【0043】
なお、ブーム制御バルブ113が下動された状態ではさらに、ブーム第3油路L33がブーム第4油路L34と連通し、ブーム第5油路L35がブーム第6油路L36と連通する。
【0044】
一方、上記とは逆方向のブーム作動レバー操作が行われてパイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L42を介してパイロットポート113bにパイロット圧が供給されると、ブーム制御バルブ113は図3において上動される。この結果、ブーム第1油路L31がブーム第2油路L32と連通し、ブーム第3油路L33がブーム第5油路L35と連通し、ブーム第4油路L34がブーム第6油路L36と連通する。
【0045】
ブーム圧力補償弁70は2位置切換バルブであり、フィードバック油路L20内の油圧を上端側に受け、ブーム第2油路L32内の油圧を下端側に受ける。また、ブーム圧力補
償弁70を上方に付勢するバネを有する。このため、フィードバック油路L20内の油圧力が、ブーム第2油路L32内の油圧にバネ付勢力を合わせた力より小さいときには、図示のように上動した状態となり、ブーム第2油路L32とブーム第3油路L33をそのまま連通させる。フィードバック油路L20内の油圧が、ブーム第2油路L32内の油圧にバネ付勢力を合わせた力より大きくなると、ブーム圧力補償弁70は下動し、ブーム第2油路L32とブーム第3油路L33は、ブーム圧力補償絞り71により絞られた状態で連通する。
【0046】
さらに、第1分岐ポンプ油路L11に繋がってバケット第1油路L51が設けられており、このバケット第1油路L51はバケット制御バルブ115に繋がる。バケット制御バルブ115は、6つのライン(バケット第1~バケット第6油路L51~L56)が繋がる6つのポートを有した3ポジション切換バルブである。バケット第2油路L52はバケット圧力補償弁80の入口ポートに繋がり、バケット第3油路L53はバケット圧力補償弁80の出口ポートに繋がり、バケット第4油路L54はバケットシリンダ38のボトム側油室に繋がり、バケット第5油路L55はバケットシリンダ38のロット側油室に繋がり、バケット第6油路L56はタンク油路LTに繋がる。バケット第2油路L52はチェック弁83を有したバケットパイロット油路L57を介してフィトーバック油路L20と繋がる。このチェック弁83は、フィードバック油路L20内の油圧がバケット第2油路L52内の油圧より高いときには閉止され、逆の圧力関係のときに開放される。バケット第3油路L53にはチェック弁84が設けられており、逆流が防止される。
【0047】
バケット制御バルブ115は、その両端(図3における上下端)にパイロットポート115a、115bが設けられており、これらパイロットポート115a、115bにパイロット圧供給油路L45、L46が繋がる。パイロット圧供給油路L45、L46には、パイロット圧供給バルブユニット130から、バケット作動レバー操作に応じてバケット用パイロット油圧が供給され、バケット制御バルブ115の作動が制御される。図3には、バケット作動レバー操作が行われず、バケット作動レバーが中立位置で、パイロット圧供給油路L45、L46にパイロット圧が供給されず、バケット制御バルブ115が中立位置に位置した状態を示している。この状態では図示のように、6つのライン(バケット第1~バケット第6油路L51~L56)が繋がる6つのポートは全て閉止状態となる。
【0048】
次に、バケット作動レバー操作が行われてパイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L45を介してパイロットポート115aにパイロット圧が供給された場合について説明する。パイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L45を介してパイロットポート115aにパイロット圧が供給されると、バケット制御バルブ115は図3において下動される(図5参照)。この結果、バケット第1油路L51がバケット第2油路L52と連通する。このときの連通開度はパイロット圧の大きさに(すなわち、バケット作動レバー操作の操作量の大きさ)応じて変化するように設定されている。すなわち、バケット制御バルブ115においてパイロット圧を受けてスプールが移動し、その開口面積(バケット第1油路L51とバケット第2油路L52とが連通する面積)がスプール移動量(スプールストローク)に応じて変化する。
【0049】
この開口面積A2は、スプールストロークST2に対して図7において実線で示すように設定されている。なお、スプールストロークST2は、パイロット圧の大きさ(すなわち、バケット作動レバー操作の操作量の大きさ)に応じて変化する。従来のバケット制御バルブにおいて設定されていた関係を図7において破線で示している。このように従来においては、スプールストロークに対する開口面積を小さくしてこの部分で所定の差圧が生じるようにロードセンシング用絞り機能を持たせていた。しかし、本実施例のバケット制御バルブ115では、後述するように、バケット作動レバー操作の操作量の大きさに対応したポンプ吐出量となるように制御するため、この部分で差圧を生じさせる必要性がなく
、開口面積を大きくしてロードセンシング用絞り機能を用いない構成としている。すなわち、図7に示す開口面積A2は、バケット作動レバー操作の操作量の大きさに対応して吐出量が制御される第1ポンプP1からの吐出油量をそのまま通過させることができるがそれ以上の流量は制限するような面積に設定されている。この意味から、バケット制御バルブは油路切換機能が有れば良く、開口面積A2を可変設定する必要性が無い。しかし、複数のバルブ作動が行われるようなとき(例えば、ブームおよびバケット作動レバー操作が同時に行われるようなとき)に、それぞれ対応するアクチュエータ(ブームシリンダ36およびバケットシリンダ38)にレバー操作量に応じた所望の流量の供給を行わせることができるように、図8に示すような設定としている。
【0050】
なお、バケット制御バルブ115が下動された状態ではさらに、バケット第3油路L53がバケット第4油路L54と連通し、バケット第5油路L55がバケット第6油路L56と連通する。
【0051】
一方、上記とは逆方向のバケット作動レバー操作が行われてパイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L46を介してパイロットポート115bにパイロット圧が供給されると、バケット制御バルブ115は図3において上動される。この結果、バケット第1油路L51がバケット第2油路L52と連通し、バケット第3油路L53がバケット第5油路L55と連通し、バケット第4油路L54がバケット第6油路L56と連通する。
【0052】
バケット圧力補償弁80は2位置切換バルブであり、フィードバック油路L20内の油圧を上端側に受け、バケット第2油路L52内の油圧を下端側にうける。また、バケット圧力補償弁80を上方に付勢するバネを有する。このため、フィードバック油路L20内の油圧力が、バケット第2油路L52内の油圧にバネ付勢力を合わせた力より小さいときには、図示のように上動した状態となり、バケット第2油路L52とバケット第3油路L53をそのまま連通させる。フィードバック油路L20内の油圧が、バケット第2油路L52内の油圧にバネ付勢力を合わせた力より大きくなると、バケット圧力補償弁80は下動し、バケット第2油路L52とバケット第3油路L53は、バケット圧力補償絞り81を介して絞られた状態で連通する。
【0053】
以上のように構成された作動制御装置100の作動を以下に説明する。オペレータがブーム作動レバー操作を行うと、操作装置160から、その操作方向および操作量信号がコントローラ150に送られる。コントローラ150は、この操作情報に基づき、インバータ106を介して第1電気モータM1の回転駆動制御を行い、第1油圧ポンプP1からの吐出量制御を行う。この回転駆動制御は、レバー操作量に応じたアクチュエータ(例えば、ブームシリンダ36、バケットシリンダ38)の作動速度とするために必要な第1油圧ポンプP1の吐出量を設定し、この設定したポンプ吐出量となるように、第1電気モータM1の回転駆動制御を行う。なお、第1油圧ポンプP1を可変容量タイプのポンプから構成し、この可変容量制御により、レバー操作量に応じたアクチュエータ(例えば、ブームシリンダ36、バケットシリンダ38)の作動速度となるように第1油圧ポンプP1の吐出量制御を行うようにしても良い。コントローラ150はこの制御と並行して、パイロット圧供給バルブユニット130の作動制御も行う。
【0054】
コントローラ150による制御は、レバー操作が行われていない状態でも行われる。オペレータによるレバー操作が行われていない状態では、ブーム制御バルブ113およびバケット制御バルブ115はともに中立状態で、図3に示すようになる。中立状態では、上述したように、ブーム制御バルブ113において、6つのライン(ブーム第1~ブーム第6油路L31~L36)が繋がる6つのポートは全て閉止状態となり、同様に、バケット制御バルブ115において、6つのライン(バケット第1~ブーム第6油路L51~L5
6)が繋がる6つのポートは全て閉止状態となる。この結果、ブーム第2油路L32およびバケット第2油路L52内は低圧となり、これら油路にブームおよびバケットパイロット油路L37、L57を介して繋がるフィードバック油路L20内も低圧となる。このため、フィードバック油路L20の油圧を受けて作動されるアンロード弁60により、ポンプ油路L1(および第1および第2分岐ポンプ油路L11、L12)内の油圧も低圧に設定される。この状態では、第1油圧ポンプP1からの吐出油量は必要が無い、もしくは必要最小限でよく、コントローラ150により第1電気モータM1を停止する制御もしくは最小回転数で回転駆動する制御を行う。これにより、第1電気モータM1の駆動に必要な電力消費を最小限に抑えることができる。
【0055】
次に、オペレータが作業操作レバー161、162を操作し、ブーム作動レバー操作や、バケット作動レバー操作が行われる場合の作動を以下に説明する。まず、ブーム作動レバー操作のみ(単動操作)が行われた場合について、図4を参照して説明する。
【0056】
この場合、まず、コントローラ150による第1電気モータM1の回転駆動制御が行われる。オペレータがブーム作動レバー操作を行うと、コントローラ150はレバー操作量に応じたアクチュエータ(ブームシリンダ36)の作動速度とするために必要な第1油圧ポンプP1の吐出量を設定し、この設定したポンプ吐出量となるように、第1電気モータM1の回転駆動制御を行う。さらにこれと併行して、パイロット圧供給バルブユニット130の作動制御も行われる。コントローラ150によりパイロット圧供給バルブユニット130の作動が制御されて、例えば、パイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L41を介してパイロットポート113aにパイロット圧が供給される。すると、ブーム制御バルブ113は下動され、図4に示す状態となる。これとは逆のブーム作動レバー操作が行われたときには、パイロットポート113bにパイロット圧が供給され、ブーム制御バルブ113は上動される。なお、バケット作動レバー操作は行われていないので、バケット制御バルブ115は図示のように中立位置となり、6つのポートが閉止されている。
【0057】
図4の状態では、ブーム制御バルブ113により、ブーム第1油路L31がブーム第2油路L32と連通し、ブーム第3油路L33がブーム第4油路L34と連通し、ブーム第5油路L35がブーム第6油路L36と連通する。また、この状態では、ブーム第2油路L32とフィードバック油路L20がブームパイロット油路L37を介して連通し、ブーム第2油路L32内の油圧とフィードバック油路L20内の油圧が等しくなる。このため、ブーム圧力補償弁70はバネ付勢力により上動され、ブーム第2油路L32とブーム第3油路L33とがそのまま連通する。
【0058】
この結果、第1油圧ポンプP1の吐出油は、ブーム第1油路L31からブーム第2油路L32に流れるが、上述したように、この部分の連通開口面積A1はパイロット圧の大きさに応じて変化するように設定されており、図6において実線で示すようになる。このため、ブーム第2油路L32に流れる流量は、図6に実線で示す開口面積に対応する流量となる。但し、図6に実線で示す開度は、前述したように、ブーム作動レバー操作の操作量の大きさに対応して吐出量が制御される第1ポンプP1からの吐出油量をそのまま通過させることができるような面積に設定されている。このため、第1油圧ポンプP1からの吐出油は制限されることなくそのままブーム第1油路L31からブーム第2油路L32に流れる。この結果、従来のフィードバック制御において必要とされた差圧をブーム制御バルブ113において発生させる必要がなく、その差圧分に対応してポンプ吐出圧を下げることができ、ポンプ駆動動力を従来より低減させることができる。
【0059】
このようにしてブーム第2油路L32に流れた作動油は、ブーム圧力補償弁70を通ってブーム第3油路L33からチェック弁74を通り、ブーム制御バルブ113を通ってブ
ーム第4油路L34に送られ、ブームシリンダ36のボトム側油室に供給される。この結果、ブームシリンダ36は伸長作動する。なお、これによりブームシリンダ36のロッド側油室からブーム第5油路L35から作動油が排出され、ブーム制御バルブ113を通ってブーム第6油路L36からタンク油路LTに流れてタンクTに戻る。
【0060】
なお、ブーム第2油路L32内の油圧(これはブームシリンダ36のボトム側油室の油圧に等しい)がチェック弁73を介してフィードバック油路L20に伝わり、アンロード弁60に作用する。このため、アンロード弁60は、ポンプ油路L1、第1および第2分岐ポンプ油路L11、L12内の油圧を、フィードバック油路L20の油圧(すなわち、ブームシリンダ36のボトム側油室の油圧)に対応するように設定する。
【0061】
次に、オペレータが作業操作レバー161、162を操作し、ブーム作動レバー操作およびバケット作動レバー操作を同時に行った場合(複合操作を行った場合)について、図5を参照して説明する。
【0062】
ブーム作動レバー操作およびバケット作動レバー操作を同時に行う複合操作が行われると、コントローラ150による第1電気モータM1の回転駆動制御が行われる。コントローラ150は、ブーム作動レバー操作に応じたブームシリンダ36の作動速度とするために必要な油量と、バケット作動レバー操作に応じたバケットシリンダ38の作動速度とするために必要な油量とを求める。そして、これら両方の油量を合計した油量を第1油圧ポンプP1の吐出量として設定し、この設定したポンプ吐出量となるように、第1電気モータM1の回転駆動制御を行う。
【0063】
さらにこれと併行して、パイロット圧供給バルブユニット130の作動制御も行われる。例えば、パイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L41を介してパイロットポート113aにパイロット圧が供給され、ブーム制御バルブ113は下動される。さらにこれと同時に、バケット制御バルブ115において、パイロット圧供給バルブユニット130からパイロット圧供給油路L45を介してパイロットポート115aにパイロット圧が供給され、バケット制御バルブ115は下動される。その結果、両バルブ113、115は図5に示す状態となる。
【0064】
このときにおけるブーム制御バルブ113によるブームシリンダ36の作動は、ブーム圧力補償弁70の作動を除き、図4を参照して上述したとおりであるので、その作動説明は省略し、バケット制御バルブ115によるバケットシリンダの作動について説明する。なお、ブーム圧力補償弁70の作動については、バケット圧力補償弁80の作動の説明とともに後述する。
【0065】
バケット制御バルブ115が図5に示す状態となると、バケット第1油路L51がバケット第2油路L52と連通し、バケット第3油路L53がバケット第4油路L54と連通し、バケット第5油路L55がバケット第6油路L56と連通する。この結果、第1油圧ポンプP1の吐出油は、バケット第1油路L51からバケット第2油路L52に流れるが、上述したように、この部分の連通開口面積A2はパイロット圧の大きさに応じて変化するように設定されており、図7において実線で示すようになる。
【0066】
図7に実線で示す開口面積A2は、バケット作動レバー操作の操作量の大きさに対応して吐出量が制御される第1ポンプP1からの吐出油量をそのまま通過させることができるような面積に設定されている。但し、ブーム作動レバー操作およびバケット作動レバー操作が同時に行われており、ブーム作動レバー操作に応じたブームシリンダ36の作動速度とするために必要な油量と、バケット作動レバー操作に応じたバケットシリンダ38の作動速度とするために必要な油量との合計油量が第1油圧ポンプP1から供給される。この
とき、図7に実線で示す開口面積A2はバケット作動レバー操作に応じたバケットシリンダ38の作動速度とするために必要な油量を制限すること無く流すが、それ以上の流量を制限するように設定される。一方、ブーム制御バルブ113におけるブーム第1油路L31とブーム第2油路L32との連通開口面積A1は、ブーム作動レバー操作に応じたブームシリンダ36の作動速度とするために必要な油量を制限すること無く流すが、それ以上の流量を制限するように設定される。このように、ブーム制御バルブ113およびバケット制御バルブ115の開口面積A1およびA2を図6および図7に示すように設定する制御を行うことにより、ブームシリンダ36およびバケットシリンダ38に、それぞれブーム作動レバー操作およびバケット作動レバー操作に応じた必要流量をバランス良く供給させる制御となる。
【0067】
このようにしてバケット第2油路L52に流れた作動油は、バケット圧力補償弁80を通ってバケット第3油路L53からチェック弁84を通り、バケット制御バルブ115を通ってバケット第4油路L54に送られ、バケットシリンダ38のボトム側油室に供給される。この結果、バケットシリンダ38は伸長作動する。なお、これによりバケットシリンダ38のロッド側油室からバケット第5油路L55から作動油が排出され、バケット制御バルブ115を通ってバケット第6油路L56からタンク油路LTに流れてタンクTに戻る。
【0068】
ここで、ブーム圧力補償弁70およびバケット圧力補償弁80の作動について説明する。ブーム圧力補償弁70およびバケット圧力補償弁80はともに、フィードバック油路L20の油圧を上端側に受け、ブーム第2油路L32およびバケット第2油路L52の油圧を下端側に受けて作動制御される。ブームシリンダ36およびバケットシリンダ38の作動負荷は作業内容に応じて変動するものであり、その作動負荷に応じた油圧が各油路内に発生する。そこで、一例として、ブームシリンダ36の負荷が大きく、バケットシリンダ38の負荷が小さく、ブーム第1~第4油路L31~L34内の油圧がバケット第1~第4油路L51~L54内の油圧より高い場合を考える。
【0069】
ブーム第2油路L32内の油圧はブームパイロット油路L37を介してフィードバック油路L20に伝わり、バケット第2油路L52内の油圧はバケットパイロット油路L57を介してフィードバック油路L20に伝わる。このとき、両パイロット油路L37、L57内にはチェック弁73、83が設けられているため、高圧側であるブーム第2油路L32内の油圧がフィードバック油路L20に伝わるが、低圧側のバケット第2油路L52内の油圧はチェック弁83に遮断されて伝わらない。この結果、ブーム圧力補償弁70は上動してブーム第2油路L32とブーム第3油路L33をそのまま連通させる。一方、バケット圧力補償弁80は、フィードバック油路L20内の油圧がバケット第2油路L52内の油圧より高いため、下動されてバケット圧力補償絞り81を通る油路となる。
【0070】
このように、ブームおよびバケットの複合操作が行われたときには、その操作に応じて作動するブームシリンダ36およびバケットシリンダ38の内の負荷圧が高くなる側、例えば、上述の場合はブームシリンダ側においてはブーム圧力補償弁70の油路は開放状態のまま制限されない。しかし、低くなる側においては、例えば、バケットシリンダ側においては、バケット圧力補償弁80の油路はバケット圧力補償絞り81により制限される。本装置では、両シリンダ36、38に同一の油圧供給源である第1油圧ポンプP1から作動油供給を行うものであるため、負荷が低い方に作動油が多く流れて負荷が高い方の供給油量が低下する問題がある。そこで、圧力補償絞り81により負荷が低い方の流量を制限して、この問題を防止している。また、これにより、ブームシリンダ36およびバケットシリンダ38の分流比を設定できる。例えば、バケット圧力補償絞り81を広くすればバケットの作動を優先でき、狭くすればブームの作動を優先できる。ブーム圧力補償絞り71も同様であり、ブーム圧力補償絞り71を広くすればブームの作動を優先でき、狭くす
ればバケットの作動を優先できる。
【0071】
以上の説明から分かるように、複合操作のときには、ブーム制御バルブ113により流量制御されて、ブームシリンダ36をレバー操作に対応する速度で作動させるために必要な油量の作動油がブームシリンダ36に供給され、同時に、バケット制御バルブ115により流量制御されて、バケットシリンダ38をレバー操作に対応する速度で作動させるために必要な油量の作動油がバケットシリンダ38に供給される。このときのブーム制御バルブ113におけるスプーストロークST1とバルブ開口面積A1との関係と、バケット制御バルブ115におけるスプーストロークST2とバルブ開口面積A2との関係を図8に示している。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、パイロット圧供給バルブユニット130から供給されるパイロット圧により制御バルブ111~118の開度が制御される構成であるが、制御バルブ111~118を電磁比例式の制御バルブで構成し、制御バルブ111~118の開度を電磁的に制御するように構成してもよい。また、制御バルブ111~118の開度を、電動モータ等の駆動装置を用いて制御するようにしてもよい。
【0073】
上記の実施形態において、第1油圧ポンプP1および旋回用油圧ポンプP2を固定容量型の油圧ポンプから構成しているが、これを可変容量型の油圧ポンプとしても良い。また、エンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプから構成し、この油圧ポンプの可変容量制御を行うようにしても良い。
【0074】
操作レバーの操作に対する油圧アクチュエータの作動特性の設定を、油圧アクチュエータごとに変更できるように構成してもよい。例えば、操作レバーの操作量と、対応する油圧アクチュエータの作動速度(供給油量)との対応関係の設定を変更するために、必要吐出流量:操作量比率の設定を変更したりすることができるようにしてもよい。この設定の変更は、例えば、コントローラ150に電気的に接続される携行タイプのコンピュータ(設定変更のためのプログラムを搭載)等を介して行うようにすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 油圧ショベル 10 下部走行体
16L,16R 走行モータ 20 上部旋回体
26 旋回モータ 30 ショベル装置
36 ブームシリンダ 37 アームシリンダ
38 バケットシリンダ 100 作動制御装置
110 制御バルブユニット 113 ブーム制御バルブ
115 バケット制御バルブ 130 パイロット圧供給バルブユニット
150 コントローラ 160 操作装置
M1 第1電動モータ M2 第2電動モータ
P1 第1油圧ポンプ P2 旋回用油圧ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8