(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】密封された区画を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240219BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240219BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20240219BHJP
A24F 40/90 20200101ALI20240219BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240219BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240219BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20240219BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20240219BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
A24F40/65
A24F40/90
A24F40/10
A24F40/20
A24F40/30
A24F40/60
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021207776
(22)【出願日】2021-12-22
(62)【分割の表示】P 2018535353の分割
【原出願日】2016-12-14
【審査請求日】2022-01-20
(32)【優先日】2016-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ゴレイ ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ケシチ オメール
(72)【発明者】
【氏名】リケッツ ニコラウス マルタン エルネスト ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】セドゥ ローラン
(72)【発明者】
【氏名】タバッソ アラン
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0020825(US,A1)
【文献】国際公開第2015/177257(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/137815(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/465
A24F 40/65
A24F 40/90
A24F 40/10
A24F 40/20
A24F 40/30
A24F 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項15】
前記エアロゾル形成基体が、ニコチン供与源を含む第一のエアロゾル形成基体と、酸供与源を含む第二のエアロゾル形成基体とを備える、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水ハウジングを備えるエアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムに関する。本発明は、電気的に作動する喫煙装置として特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。周知の手持ち式の電気的に作動する喫煙システムは一般に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル発生装置で使用するために特別に設計されたエアロゾル発生物品を加熱するための電気ヒーターと、を備えるエアロゾル発生装置を備える。一部の例において、エアロゾル発生物品は、たばこロッドまたはたばこプラグなどのエアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生装置内に収容されるヒーターは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入される時に、エアロゾル発生基体の中に、またはその周りに挿入される。代替の電気的に作動する喫煙システムでは、エアロゾル発生物品は、容器に入っていないたばこなどのエアロゾル発生基体を収容するカプセルを備えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアロゾル発生装置は一般に、複数の使い捨てのまたは再充填可能なエアロゾル発生物品で再使用可能である。従って、エアロゾル発生装置の購入は、単一のエアロゾル発生物品の購入と比べて、消費者のより大きな投資を意味しうる。従って、周知のエアロゾル発生装置と比べて、信頼性が改善されたエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様によると、少なくとも一つの内部区画を画定するハウジングを備えるエアロゾル発生装置が提供され、ハウジングは防水である。エアロゾル発生装置は電源、電気ヒーター、および触覚フィードバック装置をさらに備え、それぞれが少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられる。
【0005】
本明細書で使用される「防水」という用語は、IEC規格60529によって測定した時に液体侵入保護レベルが少なくとも6であることを指すために使用される。すなわち、防水ハウジングは内部区画への液体の侵入に対するこうした保護レベルを提供する。
【0006】
有利なことに、本発明によるエアロゾル発生装置は触覚フィードバック装置を備える。エアロゾル発生装置は、内部区画を画定する防水ハウジングを備え、その中には電源もしくは電気ヒーター、または電源と電気ヒーターの両方が位置付けられる。防水ハウジングは有利なことに、周知のエアロゾル発生装置と比べて、電源およびヒーターを水による損傷から保護することによって本発明によるエアロゾル発生装置の信頼性を改善する。触覚フィードバック装置はハウジングの中に完全に密封することができるため、触覚フィードバック装置を使用することはハウジングの防水化を容易にする。これは、フィードバックをユーザーに提供するために、一般に光およびスピーカーのうちの少なくとも一つを使用する周知のエアロゾル発生装置とは対照的である。光およびスピーカーは一般に、所望のフィードバックをユーザーに提供するために、ハウジングを通した光または音の適切な伝達を容易にするために、ハウジング内に少なくとも一つの開口を必要とし、これがハウジングの防水化を妨げる。
【0007】
本発明によるエアロゾル発生装置は、少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられる入力装置をさらに備えてもよい。入力装置を提供することは、ユーザーがエアロゾル発生装置の一つ以上の機能を制御できるようにしうる。入力装置は、電気ヒーターの起動、電気ヒーターの作動停止、加熱サイクルの持続期間、電気ヒーターの起動を防止するための装置の電子的な係止、電気ヒーターの起動を許容するための装置の電子的な係止解除、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つをユーザーが制御できるようにしうる。エアロゾル発生装置は、入力装置を介したユーザー入力に応答して、触覚フィードバック装置を介するフィードバックをユーザーに提供するように構成されてもよい。
【0008】
有利なことに、入力装置がハウジングの防水化を損なわないように、入力装置は内部区画の中に位置付けられる。入力装置は、容量センサー、電気光学センサー、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを備えてもよい。こうした入力装置は、内部区画の中の入力装置の位置付けを容易にする。これは周知のエアロゾル発生装置に使用される押しボタン式入力装置と対照的であり、押しボタン式入力装置の場合ではハウジングの防水化が妨げられる、または損なわれうる。押しボタン式入力装置は一般に、ハウジング内の開口部を通して延び、これは水分またはその他の汚染物質がハウジングに直接入る経路を提供する場合がある。
【0009】
入力装置が容量センサーを備える実施形態において、容量センサーはハウジングの内表面上に位置付けられることが好ましい。容量センサーを内表面上に位置付けることは、ハウジングの外側の刺激に対する容量センサーの感度を改善する場合がある。例えば、容量センサーをハウジングの内表面の上に位置付けることは、容量センサーの上にあるハウジングの部分の外表面に近接してまたは対して位置付けられる時、ユーザーの指の検出を容易にする場合がある。容量センサーの上にあるハウジングの部分は、容量センサーの感度を最適化するためにハウジングの隣接する部分と比べて厚さが減少していてもよい。ハウジングはハウジングの外表面上に、容量センサーの場所を示す一つ以上のしるしを有して提供されてもよい。
【0010】
入力装置が電気光学センサーを備える実施形態において、ハウジングの少なくとも一部分は少なくとも一つの電磁放射の波長に対して実質的に透明であることが好ましく、電気光学センサーはこれに対して感受性である。
【0011】
上述の任意の実施形態において、触覚フィードバック装置は、偏心回転質量モーター、リニア共振アクチュエータ、および圧電装置のうちの少なくとも一つを備えてもよい。有利なことに、こうした触覚フィードバック装置は比較的小さく、必要な電力が比較的低い場合があり、従って本発明によるエアロゾル発生装置での使用に特に適している。
【0012】
ハウジングは密封封止されることが好ましい。本明細書で使用される「密封封止」という用語は、IEC規格60529によって測定した時に液体侵入保護レベルが少なくとも7であることを指すために使用される。有利なことに、密封封止されたハウジングを備えるエアロゾル発生装置は、少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられる電源、触覚フィードバック装置、電気ヒーター、および任意の他の電気的構成要素に対する水による損傷を被ることなく水中浸漬に耐えうる。
【0013】
上述の任意の実施形態において、電気ヒーターは抵抗ヒーターおよび誘導ヒーターのうちの少なくとも一つを備えてもよい。電気ヒーターは誘導ヒーターであることが好ましい。有利なことに、少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられた誘導ヒーターは、エアロゾル発生装置のハウジングまたはその他の構成要素の有意な加熱をすることなく、少なくとも一つの内部区画の外側に位置付けられたエアロゾル発生物品を加熱するように作動することができる。
【0014】
エアロゾル発生装置はエアロゾル発生物品を受けるためのくぼみを画定してもよい。少なくとも一つの内部区画の少なくとも一部分は、くぼみの少なくとも一部分を取り囲むことが好ましい。電気ヒーターはくぼみの少なくとも一部分を取り囲む誘導ヒーターであることが好ましい。誘導ヒーターは実質的に環状形状であることが好ましい。
【0015】
上述の任意の実施形態において、エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられたワイヤレスデータコネクターをさらに備えてもよい。有利なことに、ワイヤレスデータコネクターは、ハウジングの防水化を損なうことなくエアロゾル発生装置と外部装置の間のデータ通信を容易にすることができる。ワイヤレスデータコネクターは、エアロゾル発生装置からデータを送信する、外部装置からデータを受信する、またはデータを送信および送信するように構成されてもよい。
【0016】
ワイヤレスデータコネクターは、エアロゾル発生装置の使用に関する作動データを送信するように構成されてもよい。例えば、作動データは、電気ヒーターの起動の回数、電気ヒーターの作動の合計持続時間、エアロゾル発生装置で使用されるエアロゾル発生物品の数およびタイプ、および電源の中の残っている電力レベル、のうちの少なくとも一つに関する情報を含んでもよい。
【0017】
ワイヤレスデータコネクターは、ソフトウェアの更新に関するデータを受信するように構成されてもよい。
【0018】
ワイヤレスデータコネクターは、Near Field Communication、Bluetooth、ZigBee、Wi-Fi、およびUltra-widebandから選択される少なくとも一つのワイヤレスプロトコルを使用するワイヤレス通信用に構成されてもよい。
【0019】
エアロゾル発生装置はデータ記憶装置をさらに備えてもよい。データ記憶装置は、エアロゾル発生装置の使用に関する作動データを記憶するように構成されてもよい。データ記憶装置は、ワイヤレスデータコネクターによって作動データを送信する前に作動データを記憶するように構成されてもよい。データ記憶装置は、ワイヤレスデータコネクターによって受信したデータを記憶するように構成されてもよい。データ記憶装置は、ワイヤレスデータコネクターによって作動データを送信する前に作動データを記憶するように構成されてもよく、かつワイヤレスデータコネクターによって受信したデータを記憶するように構成されてもよい。データ記憶装置はフラッシュメモリデータ記憶媒体を備えることが好ましい。
【0020】
上述の任意の実施形態において、エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられたワイヤレス電力コネクターをさらに備えてもよい。有利なことに、ワイヤレス電力コネクターは、ハウジングの防水化を損なうことなく、外部電力源とエアロゾル発生装置の間の電力の伝送を容易にすることができる。電源は再充電可能であり、またワイヤレス電力コネクターは外部供給源から誘導的に受け取った電力を使用して電源を再充電するように構成されることが好ましい。ワイヤレス電力コネクターは誘導充電コイルであることが好ましい。
【0021】
電源は再充電可能なリチウムイオン電池などの電池であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、1回以上の喫煙体験のための十分なエネルギーの保存を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源が所定の回数の吸煙、または電気ヒーターの不連続的な起動を許容するために十分な容量を有してよい。
【0022】
上述の任意の実施形態において、エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの内部区画の中に位置付けられたコントローラーをさらに備えてもよい。コントローラーは、電源、触覚フィードバック装置、および電気ヒーターのうちの少なくとも一つを制御するように構成されてもよい。存在する場合、入力装置、ワイヤレスデータコネクター、およびワイヤレス電力コネクターのうちの少なくとも一つは、コントローラーによって制御されてもよい。
【0023】
ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料には例えば、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0024】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生装置の全長は、およそ30mm~およそ150mmであってもよい。エアロゾル発生装置の外径は、およそ5mm~およそ30mmであってもよい。
【0025】
本発明の第二の態様によれば、上述の実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置とを含むエアロゾル発生システムが提供される。
【0026】
エアロゾル発生物品は、使用中にエアロゾル発生装置の電気ヒーターによって加熱されるエアロゾル形成基体を備える。
【0027】
電気ヒーターはエアロゾル形成基体を間接的に加熱してもよい。電気ヒーターは誘導ヒーターであってもよく、またエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体と熱的に連通するサセプタをさらに備えてもよい。使用中にサセプタは誘導ヒーターによって加熱され、かつエアロゾル形成基体はサセプタによって加熱される。サセプタは、伝導熱伝達、対流熱伝達、放射熱伝達、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つによってエアロゾル形成基体を加熱するように構成されてもよい。
【0028】
エアロゾル発生装置のハウジングは、エアロゾル発生物品を受けるためのくぼみを画定してもよい。
【0029】
エアロゾル発生物品は、液体貯蔵部分と、液体貯蔵部分の中に保存された液体エアロゾル形成基体とを備えてもよい。使用中に電気ヒーターは、液体エアロゾル形成基体の小さい部分を気化するために、液体エアロゾル形成基体の小さい部分を加熱する。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、液体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含むことが好ましい。
【0030】
本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を促進する任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。適切なエアロゾル形成体は、エアロゾル発生物品の作動温度で熱分解に対して実質的に耐性があることが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0031】
エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分と連通する毛細管芯をさらに備えてもよい。毛細管芯は、液体貯蔵部分の中の液体エアロゾル形成基体と接触するように配置される。使用中に液体エアロゾル形成基体は毛管作用によって毛細管芯に沿って液体貯蔵部分から移動され、そこで電気ヒーターによって加熱される。電気ヒーターが誘導ヒーターを備える実施形態において、エアロゾル発生システムはサセプタをさらに備えてもよい。使用中に誘導ヒーターはサセプタを加熱し、また液体エアロゾル形成基体は毛細管芯を介して液体貯蔵部分からサセプタに移動される。
【0032】
エアロゾル発生物品は固体エアロゾル形成基体を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を含んでもよい。
【0033】
エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体には例えば、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートなど)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(例えばプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび最も好ましくはグリセリン)である。
【0035】
エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0036】
エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準で5パーセントを超えてもよい。
【0037】
エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ5パーセント~およそ30パーセントであってもよい。
【0038】
エアロゾル形成基体のエアロゾル形成体の含有量は、乾燥重量基準でおよそ20パーセントであってもよい。
【0039】
エアロゾル発生物品は、ニコチン供与源を含む第一のエアロゾル形成基体と、酸供与源を含む第二のエアロゾル形成基体と、を備えるエアロゾル形成基体を備えてもよい。使用時に電気ヒーターは、ニコチンおよび酸が気相で一緒に反応してニコチン塩粒子のエアロゾルを形成するように、第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体を加熱してニコチンおよび酸を揮発する。
【0040】
ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0041】
ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
【0042】
ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶剤または非水性溶剤中のニコチン溶液、あるいは液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0043】
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0044】
例えば、ニコチン供与源は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される電解質形成化合物を含んでもよい。
【0045】
ある特定の実施形態において、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。
【0046】
ニコチン供与源は他の構成成分をさらに含んでもよく、構成成分には例えば天然風味、人工風味、酸化防止剤などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0047】
酸供与源は有機酸または無機酸を含みうる。酸供与源は有機酸を含むのが好ましく、カルボン酸を含むのがより好ましく、乳酸またはα-ケト酸もしくは2-オキソ酸を含むのが最も好ましい。
【0048】
酸供与源は乳酸、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される酸を含むことが好ましい。酸供与源は乳酸またはピルビン酸を含むことが好ましい。
【0049】
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図3】
図3は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システム10を示す。エアロゾル発生システム10は、内部区画16を画定するハウジング14を備えるエアロゾル発生装置12を備える。ハウジング14、従って内部区画16は
防水である。
【0052】
エアロゾル発生装置12は、電源18、ワイヤレス電力コネクター20、ワイヤレスデータコネクター22、データ記憶装置24、触覚フィードバック装置26、コントローラー28、入力装置30、および電気ヒーター32を備え、すべてが内部区画16の中に位置付けられる。使用時にコントローラー28は、電源18から内部区画16の中に位置付けられるその他の電気的な構成要素への電力の供給を制御する。電気ヒーター32は環状誘導ヒーターである。
【0053】
エアロゾル発生システム10は、使用中にエアロゾル発生装置12のくぼみ34の中に受け入れられるエアロゾル発生物品40をさらに備える。エアロゾル発生物品40は、エアロゾル形成基体42と、中空のアセテート管44と、高分子フィルター46と、マウスピース48と、外側ラッパー50とを備える。エアロゾル形成基体42は、たばこのプラグの中に分散されたサセプタを備え、またマウスピース48は酢酸セルロース繊維のプラグを備える。
【0054】
使用中にコントローラー28は、電源18から電気ヒーター32へと電流を供給して、エアロゾル形成基体42の中のサセプタを誘導的に加熱する。サセプタが加熱されるにつれて、エアロゾル形成基体42の中のたばこは加熱され、またユーザーへの送達のために揮発性化合物がたばこから放出される。電源18から触覚フィードバック装置26へと電流が供給されて、ユーザーに触覚フィードバックを提供し、加熱サイクルの開始および終了を示す。
【0055】
図2は、本発明の第二の実施形態による代替的なエアロゾル発生システム100を示す。エアロゾル発生システム100は、
図1を参照しながら記述したエアロゾル発生装置12と同一のエアロゾル発生装置12を備える。従って、同様の部品を指定するために同様の参照符号が使用され、また両方のエアロゾル発生装置12の機能は同一である。
【0056】
図2に示されるエアロゾル発生システム100は、ニコチン供与源を収容する第一の区画106と、酸供与源を収容する第二の区画108とを画定するカートリッジ104を備えるエアロゾル発生物品102を備える。ニコチン供与源は収着要素(PTFE芯など)を含んでもよく、その上にニコチンが吸着される。酸供与源は収着要素(PTFE芯など)を含んでもよく、その上に酸が吸着される。酸は、例えば乳酸でもよい。
【0057】
エアロゾル発生物品102は、第一の区画106と第二の区画108との間に位置付けられるサセプタ110をさらに備える。エアロゾル発生物品102は、第一の区画106および第二の区画108の下流に位置付けられる第三の区画112をさらに備える。第三の区画112は、第一の区画106および第二の区画108と流体連通する。
【0058】
使用中にコントローラー28は、電源18から電気ヒーター32へと電流を供給して、エアロゾル発生物品102の中のサセプタ110を誘導的に加熱する。サセプタ110の加熱は第一の区画106および第二の区画108を加熱し、これが第一の区画の中のニコチンおよび第二の区画の中の酸を揮発する。ニコチンベイパーおよび酸ベイパーは第三の区画112の中で混合し、かつ反応して、ユーザーへの送達のためにニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成する。電源18から触覚フィードバック装置26へと電流が供給されて、ユーザーに触覚フィードバックを提供し、加熱サイクルの開始および終了を示す。
【0059】
図3は、本発明の第三の実施形態による代替的なエアロゾル発生システム200を示す。エアロゾル発生システム200は、
図1および
図2を参照しながら記述したエアロゾル発生装置12と同一のエアロゾル発生装置12を備える。従って、同様の部品を指定するために同様の参照符号が使用され、またそれぞれのエアロゾル発生装置12の機能は同一である。
【0060】
図3に示されるエアロゾル発生システム200は、液体貯蔵部分206およびサセプタ208を収容するカートリッジ204を備えるエアロゾル発生物品202を備える。液体エアロゾル形成基体210は液体貯蔵部分206の中に貯蔵され、また毛細管芯212は液体貯蔵部分206とサセプタ208の間に延びる。毛細管芯212はサセプタ208を実質的に囲む。
【0061】
使用中に液体エアロゾル形成基体210は、毛管作用によって毛細管芯212に沿って液体貯蔵部分206からサセプタ208に移動される。コントローラー28は、電源18から電気ヒーター32へと電流を供給して、エアロゾル発生物品202の中のサセプタ208を誘導的に加熱する。サセプタ208の加熱は、ユーザーへの送達のために、毛細管芯212からの液体エアロゾル形成基体210を加熱および揮発する。電源18から触覚フィードバック装置26へと電流が供給されて、ユーザーに触覚フィードバックを提供し、加熱サイクルの開始および終了を示す。