(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】センサ対応型創傷被覆材のための構成要素の位置付けおよび封止
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20240101AFI20240219BHJP
【FI】
A61F13/02 390
A61F13/02 D
A61F13/02 A
A61F13/02 310D
(21)【出願番号】P 2021507773
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2019073026
(87)【国際公開番号】W WO2020043806
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-17
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴワンズ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハートウェル、エドワード イェルヴェリー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、マルカス ダミアン
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/060417(WO,A1)
【文献】特開2017-083200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0112347(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に可撓性の基材であって、複数の電子構成要素と、電子トラックと、前記電子構成要素と電子トラックとの間の複数のコネクタと、を支持する前記基材の第1の側面を含み、前記基材の前記第1の側面上の第1のコーティングが、複数の前記コネクタのうちの少なくとも1つのコネクタに適用されて、少なくとも1つの前記コネクタを強化する、基材と、
前記基材の前記第1の側面上の第2のコーティングと、
前記第1の側面に対向する前記基材の第2の側面上の第3のコーティングと、
複数の前記電子構成要素のうちの少なくともいくつかにわたって適用される、第4のコーティングと、
を含
み、
前記第1のコーティングが、少なくとも1つの前記コネクタによって電気的に接続される少なくとも1つの電子構成要素または電子トラックを支持し、かつ囲む、前記基材の個別の区域に適用されて、前記基材の前記区域を強化する、創傷被覆材器具。
【請求項2】
可撓性の前記基材が、可撓性かつ伸張性基材である、請求項1に記載の創傷被覆材器具。
【請求項3】
前記第1のコーティングが、少なくとも1つの前記コネクタと関連付けられた電子構成要素の周囲を囲む区域に適用される、請求項1
または2に記載の創傷被覆材器具。
【請求項4】
前記第1のコーティングが、少なくとも1つの前記コネクタが位置付けられている電子構成要素の第1の側面上の区域に適用されており、少なくとも1つの前記コネクタが位置付けられていない前記電子構成要素の第2の側面上に適用されていない、請求項1~
3のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項5】
前記第1のコーティングが、実質的に非伸縮性である、請求項1~
4のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項6】
前記第2のコーティングが、実質的に伸縮性である、請求項1~
5のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項7】
前記第3のコーティングが、実質的に伸縮性である、請求項1~
6のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項8】
前記第4のコーティングが、実質的に伸縮性である、請求項1~
7のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項9】
複数の前記電子構成要素のうちの少なくともいくつかが、前記第1、第2、第3、および/または第4のコーティングの複数の層でコーティングされる、請求項1~
8のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項10】
前記第2のコーティングおよび前記第3のコーティングが、同じ材料である、請求項1~
9のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項11】
前記第2のコーティングおよび前記第4のコーティングが、同じ材料である、請求項1~
10のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項12】
前記第2のコーティング、前記第3のコーティング、および第4のコーティングが、同じ材料である、請求項1~
11のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【請求項13】
前記基材が、前記第2のコーティングで封止されている、請求項1~
12のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示の実施形態は、様々な療法方法と通信するセンサ対応の監視を介した組織の治療のための器具、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療のほぼ全ての領域が、特に治療中にこのような情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性があるが、多くのタイプの治療は、センサデータ収集を使用することなく、依然として日常的に実施されている。代わりに、こうした治療は、介護者または定量的センサデータではなくその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材および/または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯または他の視覚障害物によって遮られ得る。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながり得る血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有し得る。創傷治療と同様に、ギプスまたは他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を保持するために使用される留め具および/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きをモニタリングしない。直接処置の外には、患者パラメータをモニタリングする能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善され得る。
【0003】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応の基材の使用を通じて、改善されたセンサ監視へのニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態によると、創傷被覆材をコーティングするための方法が提供されており、方法は、創傷被覆材の実質的に可撓性の創傷接触層の第1の側面上に第1のコーティングを適用することであって、創傷接触層の第1の側面が、複数の電子構成要素と、電子トラックと、電子構成要素と電子トラックとの間のコネクタと、を支持し、第1のコーティングが、複数のコネクタのうちの少なくとも1つのコネクタに適用されて、少なくとも1つのコネクタを強化する、適用することと、創傷被覆材の創傷接触層の第1の側面上に第2のコーティングを適用することと、第1の側面に対向する創傷接触層の第2の側面を、第2のコーティングでコーティングすることと、を含む。
【0005】
前段落のいずれかに記載された創傷被覆材をコーティングするための方法は、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに含み得る。方法は、少なくとも1つのコネクタによって電気的に接続される少なくとも1つの電子構成要素または電子トラックを支持し、かつ囲む、創傷接触層の区域に、第1のコーティングを適用して、創傷接触層の区域を強化することをさらに含み得る。第1のコーティングは、少なくとも1つのコネクタと関連付けられた電子構成要素の周囲を囲む区域に適用され得る。第1のコーティングは、少なくとも1つのコネクタが位置付けられている電子構成要素の第1の側面上の区域に適用されてもよく、少なくとも1つのコネクタが位置付けられていない電子構成要素の第2の側面上に適用されてなくてもよい。第1のコーティングは、ストリップパターンで適用され得る。第1のコーティングは、ドットパターンで適用され得る。第2のコーティングは、疎水性コーティングを含み得る。第1および第2のコーティングは、生体適合性コーティングを含み得る。創傷接触層は、少なくとも部分的に親水性材料から形成され得る。創傷接触層は、少なくとも部分的に可撓性材料から形成され得る。方法は、創傷接触層を第2のコーティングで封止することをさらに含み得る。第1のコーティングは、実質的に非伸縮性であってもよい。第2のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。方法は、複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかを、第2のコーティングの複数の層でコーティングすることをさらに含み得る。創傷接触層の第1および第2の側面を第2のコーティングでコーティングすることは、第2のコーティングを噴霧することを含み得る。噴霧することは、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含み得る。第1のコーティングは、Dymax20351、Dymax20558、Dymax9001-E、またはLoctite3211のうちの少なくとも1つを含み得る。第1のコーティングは、約50,000センチポアズ以下の粘度を有することができる。
【0006】
いくつかの実施形態によると、創傷被覆材をコーティングするための方法が提供されており、方法は、創傷被覆材の実質的に可撓性の基材の第1の側面上に第1のコーティングを適用することであって、基材の第1の側面が、複数の電子構成要素と、電子トラックと、電子構成要素と電子トラックとの間の複数のコネクタと、を支持し、第1のコーティングが、複数のコネクタのうちの少なくとも1つのコネクタに適用されて、少なくとも1つのコネクタを強化する、適用することと、基材の第1の側面上に第2のコーティングを適用することと、第1の側面に対向する基材の第2の側面を、第3のコーティングでコーティングすることと、複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかを、第4のコーティングでコーティングすることと、を含む。
【0007】
前段落のいずれかに記載された創傷被覆材をコーティングするための方法は、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに含み得る。可撓性の基材は、可撓性または伸張性基材とすることができる。方法は、少なくとも1つのコネクタによって電気的に接続される少なくとも1つの電子構成要素または電子トラックを支持し、かつ囲む、基材の個別の区域に、第1のコーティングを適用して、基材の区域を強化することをさらに含み得る。第1のコーティングが、少なくとも1つのコネクタと関連付けられた電子構成要素の周囲を囲む区域に適用され得る、方法。第1のコーティングが、少なくとも1つのコネクタが位置付けられている電子構成要素の第1の側面上の区域に適用されてもよく、少なくとも1つのコネクタが位置付けられていない電子構成要素の第2の側面上に適用されてなくてもよい、方法。第1のコーティングは、ストリップパターンで適用され得る。第1のコーティングは、ドットパターンで適用され得る。第2のコーティングは、疎水性コーティングを含み得る。第2のコーティングは、親水性コーティングを含み得る。第2のコーティングは、10~200μmの厚さを含み得る。第2のコーティングは、18~130μmの厚さを含み得る。第1、第2、第3、および/または第4のコーティングは、生体適合性コーティングを含み得る。第2のコーティングは、生体適合性コーティングを含み得る。第1および第2のコーティングは、生体適合性コーティングを含み得る。第2のコーティングおよび第3のコーティングは、同じ材料とすることができる。第2のコーティングおよび第4のコーティングは、同じ材料とすることができる。第2のコーティング、第3のコーティング、および第4のコーティングは、同じ材料とすることができる。基材は、少なくとも部分的に親水性材料から形成され得る。基材は、少なくとも部分的に疎水性材料から形成され得る。基材は、少なくとも部分的に可撓性材料から形成され得る。基材は、少なくとも部分的に伸張性材料から形成され得る。方法は、基材を第2のコーティングで封止することをさらに含み得る。第1のコーティングは、実質的に非伸縮性であってもよい。第2のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。第3のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。第4のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。方法は、複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかを、第1、第2、第3、および/または第4のコーティングの複数の層でコーティングすることをさらに含み得る。基材の第1および第2の側面を第2および第3のコーティングでコーティングすることは、第2および第3のコーティングを噴霧することを含み得る。噴霧することは、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含み得る。材料の取り扱いおよび硬化は、不活性雰囲気技術の下で発生し得る。第1のコーティングは、Dymax20351、Dymax20558、Dymax9001-E、またはLoctite3211のうちの少なくとも1つを含み得る。第1のコーティングは、約50,000センチポアズ以下の粘度を有することができる。第1のコーティングは、少なくとも1つのコネクタと関連付けられていない区域で、電子構成要素の周囲の周りの区域に適用され得る。第1のコーティングは、複数の電子構成要素の構成要素の縁部に適用されて、構成要素の縁部および複数のコネクタのうちの少なくとも1つのコネクタを強化することができる。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、実質的に可撓性の基材を含む創傷被覆材器具が提供されている。基材は、複数の電子構成要素と、電子トラックと、電子構成要素と電子トラックとの間の複数のコネクタと、を支持する基材の第1の側面を含み得、基材の第1の側面上の第1のコーティングが、複数のコネクタのうちの少なくとも1つのコネクタに適用されて、少なくとも1つのコネクタを強化し、基材の第1の側面上の第2のコーティング、第1の側面に対向する基材の第2の側面上の第3のコーティング、および第4のコーティングが、複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかにわたって適用される。
【0009】
前段落のいずれかに記載された創傷被覆材器具は、以下の特徴のうちの1つ以上をさらに含み得る。可撓性の基材は、可撓性または伸張性基材とすることができる。第1のコーティングは、少なくとも1つのコネクタによって電気的に接続される少なくとも1つの電子構成要素または電子トラックを支持し、かつ囲む、基材の個別の区域に適用されて、基材の区域を強化することができる。第1のコーティングは、少なくとも1つのコネクタと関連付けられた電子構成要素の周囲を囲む区域に適用され得る。第1のコーティングは、少なくとも1つのコネクタが位置付けられている電子構成要素の第1の側面上の区域に適用されてもよく、少なくとも1つのコネクタが位置付けられていない電子構成要素の第2の側面上に適用されてなくてもよい。第1のコーティングは、実質的に非伸縮性であってもよい。第2のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。第3のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。第4のコーティングは、実質的に伸縮性であってもよい。複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかは、第1、第2、第3、および/または第4のコーティングの複数の層でコーティングされ得る。第2のコーティングおよび第3のコーティングは、同じ材料とすることができる。第2のコーティングおよび第4のコーティングは、同じ材料とすることができる。第2のコーティング、第3のコーティング、および第4のコーティングは、同じ材料とすることができる。基材は、第2のコーティングで封止され得る。
【0010】
創傷被覆材、デバイス、キット、および関連付けられた方法の他の実施形態を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、本開示の実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として、以下に説明される。
【0012】
【
図1A】いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システムを示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による、創傷被覆材を示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれるセンサの配置を示すセンサアレイを示す。
【
図3A】いくつかの実施形態による、センサアレイ部分、尾部分、およびコネクタパッド端部分を含む可撓性のセンサアレイを示す。
【
図3B】いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基材を示す。
【
図3B】に示されるセンサアレイのセンサアレイ部分を示す。
【
図3D】いくつかの実施形態による、穿孔された創傷接触層に組み込まれた可撓性のセンサアレイを示す。
【
図3E】いくつかの実施形態による、制御モジュールを示す。
【
図4C】いくつかの実施形態による、複数の電子構成要素を備える創傷被覆材である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、創傷被覆材のコーティング(複数可)を示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、2つの生体適合性コーティングによる創傷被覆材のコーティングを示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、生体適合性コーティングによる創傷被覆材のコーティングを示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするためのデバイスを示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、創傷被覆材の噴霧コーティングを示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするためのモールドを示す。
【
図11】いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための別のデバイスを示す。
【
図12B】いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための組み立てられたデバイスを示す。
【
図13】いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングするための剥離ライナーを示す。
【
図14B】いくつかの実施形態による、創傷被覆材をコーティングすることを示す。
【
図15】いくつかの実施形態による、創傷被覆材を噴霧コーティングすることを示す。
【
図16】いくつかの実施形態による、非伸縮性材料を創傷被覆材に適用することを示す。
【
図17B】いくつかの実施形態による、非伸縮性材料の有無による性能の比較を示す。
【
図18】いくつかの実施形態による、1つ以上の穿孔を有する創傷被覆材を示す。
【
図19B】いくつかの実施形態による、1つ以上の穿孔を有する創傷被覆材のコーティングを示す。
【
図20B】いくつかの実施形態による、複数の電子構成要素を備える創傷被覆材を示す。
【
図21D】創傷被覆材の基材上のコーティング材料の異なる適用パターンを示す。
【
図23】いくつかの実施形態による、創傷被覆材のコーティング(複数可)を示す。
【
図24B】コーティング(複数可)を用いた複数の電子構成要素を備えた創傷被覆材の基材の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示される実施形態は、センサ対応型基材を用いた生物組織のモニタリングおよび治療のための器具および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ対応型技術は、センサ対応型基材から利益を得る可能性がある任意のタイプの療法に広く適用可能である。いくつかの実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0014】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用するように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティングデバイスまたは介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得る他の領域を、モニタリングするための領域を含む、体のどこの皮膚でも取り付けることができる。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、デバイスの存在を示すために、X線不透過性マーカなどのマーカも組み込むことができる。
【0015】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用され得る。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、パンツ、スラックス、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、および他の好適な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に密着されるか、またはその中へと積層されてもよい。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、および/または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も好適であり得る。
【0016】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴をモニタリングすることができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換され得る。
【0017】
いくつかの実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、環境発電を組み込み得る。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の好適なエネルギー源から収集することができる。
【0018】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーションデバイスおよび治療で利用され得る。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ブレース、スリーブ、ラップ、サポート、および他の好適な品目で使用され得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれ得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用であり得る加速度などの特徴をモニタリングするための保護ヘルメットに組み込まれ得る。
【0019】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイス、例えば、Smith&Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用されてもよい。実装において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイスの配置を案内するため、このような外科手術デバイスと通信し得る。いくつかの実装では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、潜在的な外科手術部位へのもしくはそこからの血流をモニタリングするか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助するため、および影響を受ける領域から遠い領域をモニタリングするために、収集され得る。
【0020】
外科手術技術をさらに支援するために、本明細書に開示されるセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実装では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術室を制限/制御することができる。
【0021】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用され得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位の下にある組織をモニタリングすることによって、潜在的な外科手術部位についての情報を収集するために使用され得る。例えば、灌流レベルまたは他の好適な特徴は、個別の患者が外科手術合併症のリスクに晒され得るかどうかを評価するために、皮膚の表面で、および組織内で深くモニタリングされ得る。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷および/または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集し得る。
【0022】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管モニタリングで利用され得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特徴をモニタリングし、かかる情報を別のデバイスおよび/または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニタに組み込まれ得る。例えば、こうしたデバイスは、パルス速度、血液の酸素化、および/または心臓の電気活性をモニタリングし得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性のモニタリングなど、神経生理学的用途に利用され得る。
【0023】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性のインプラントを含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれ得る。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供し得る。
【0024】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性をモニタリングするためにも利用され得る。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、および/または皮膚のリッピングなど、他の特徴をモニタリングし得る。
【0025】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれ得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復をモニタリングするために利用され得る。
【0026】
以下により詳細に記載されるように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封止などの封止を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築され得る。センサ実施形態の封止は、局所組織、局所的な液体、および他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供し得る。
【0027】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示されるものなどの器官保護層に組み込まれ得る。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認し得る。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康の他の好適なマーカをモニタリングすることによって、下にある臓器をモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量をモニタリングすることによって、移植された臓器をモニターするためにセンサ対応型器官保護層を使用し得る。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器をモニタリングするために、センサ対応型器官保護層を使用し得る。
【0028】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示される)または様々な他の用途に対する治療に組み込まれ得る。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流をモニタリングするための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復をモニタリングするなどの整形外科用途、電気的衝撃をモニタリングするなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ有効モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、器官、システム、または状態が挙げられる。
【0029】
創傷療法
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示される技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材構成要素および器具などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連し得る。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を含む、器具および構成要素は、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供され得る。
【0030】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示される技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷、または損傷した組織の治療(例えば、本明細書に記載される創傷など)の防止または最小化に関連し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、カット、殴打、または他の衝撃によって引き起こされ得る生体組織に対する傷害、典型的には皮膚が切断または損傷されるものを含み得る。創傷は、慢性または急性の傷害であり得る。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内で治癒の段階を通して進む。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長びく。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものであり得る。
【0032】
慢性創傷は、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響を与えている、静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、褥瘡、または、表皮水疱症(EB)を含み得る。
【0033】
他の創傷の例としては、腹部創傷、もしくは手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、または他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
創傷は、深部組織損傷も含み得る。深部組織損傷は、米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記載するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0035】
創傷はまた、本明細書で考察されるように、創傷になるリスクのある組織を含み得る。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態は、高度な履物、患者の向きを変えること、オフロードすること(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードする)、感染症の治療、システミックス(systemic)、抗菌物質、抗生物質、外科手術、組織の除去、血流に影響を与えること、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電気刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌物質などのうちの1つ以上と併せて本明細書に開示される技術を用いて創傷を治療する方法に関する。
【0037】
代替的または追加的に、創傷は、局所陰圧および/または印加された陰圧の使用によって支援されていない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療され得る。
【0038】
高度な創傷ケアは、吸収性被覆材、閉塞被覆材の使用、創傷被覆材または付属物における抗菌剤および/または清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングまたは包帯などのクッション療法または圧縮療法)の使用などを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、伝統的な創傷ケアを使用して実施することができ、創傷の治癒を容易におよび促進するために、創傷に被覆材を適用することができる。
【0040】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される創傷被覆材を提供することを含む、創傷被覆材を製造する方法に関する。
【0041】
開示された技術と連動して利用され得る創傷被覆材は、当該技術分野において既知である任意の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0042】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、1つ以上の吸収層(複数可)を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類もしくは修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、またはゼラチンもしくはその混合物を含む、被覆材層を備え得る。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で既知である。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、セルロースであり得る。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含み得る。
【0046】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートであり得る。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有し得る。アルキル部分は、分岐していても分岐していなくてもよく、したがって好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートであり得る。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートであり得る。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルであり得る。セルロースアルキルスルホネートは、WO10061225、US2016/114074、US2006/0142560、またはUS5,703,225に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
セルロースアルキルスルホナートは、様々な置換の程度、セルロース骨格構造の鎖長、およびアルキルスルホナート置換基の構造を有し得る。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0048】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、最上層またはカバー層を備える。
【0049】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1~20、または2~10、または3~7mmであり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、開示された技術は、非陰圧被覆材と連動して使用され得る。創傷部位で保護を提供するのに適した非陰圧創傷被覆材は、以下を含み得る:
【0051】
創傷滲出液を吸収するための吸収層および
【0052】
使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の観察を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素。
【0053】
遮蔽要素は、部分的に半透明であってもよい。
【0054】
遮蔽要素は、マスキング層であってもよい。
【0055】
非陰圧創傷被覆材は、吸収層を見ることができるように遮蔽要素内または遮蔽要素に隣接した領域をさらに含み得る。例えば、遮蔽要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0056】
遮蔽要素は、三次元ニットスペーサファブリックを備え得る。スペーサ生地は当業界で既知であり、ニットスペーサファブリック層を含み得る。
【0057】
遮蔽要素は、被覆材を変化させる必要性を示すための指標をさらに含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、遮蔽要素は、少なくとも部分的に吸収層の上に、使用中には吸収層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0059】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするために遮蔽要素内に複数の開口部をさらに備え得る。遮蔽要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆され得る。
【0060】
遮蔽要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的にマスクするように構成され得る。
【0061】
遮蔽要素は、光吸収を50%以上減少させるように構成され得る。
【0062】
遮蔽要素は、CIEのL*値50以上、および任意選択的に70以上を生み出すように構成され得る。いくつかの実施形態では、遮蔽要素は、CIEのL*値70以上を生み出すように構成され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透過性フィルムである。一般に、半透過性フィルムは500g/m2/24時間以上の蒸気透過性を有する。
【0065】
半透過性フィルムは、細菌バリアであり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収層は創傷接触層の上に重なっている。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0067】
本明細書に開示されるような非陰圧創傷被覆材は、遮蔽要素および単一層として提供されている吸収層を含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、発泡体層を含み、遮蔽要素は、遮蔽要素の移動によって変位または破損され得る部品を含む材料でできている。
【0069】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、臭気制御要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気制御要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮蔽要素内またはそれに隣接して分散され得る。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収層を提供することと、使用中の吸収層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮蔽するための遮蔽要素を提供することと、を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、吸収層の上に、かつ吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて設けられた遮蔽層と、を含み、創傷部位での保護を提供するのに好適であり得る。遮蔽層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0072】
シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を25%以上、または最初の適用面積を増加させる。例えば、遮蔽層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、および任意選択的に100%以上、および任意選択的に200%以上増加させる。
【0073】
遮蔽層は、2つ以上のサブ層を含んでもよく、第1のサブ層は、貫通孔を含み、さらなるサブ層は、貫通孔を含み、第1のサブ層の貫通孔は、さらなるサブ層の貫通孔からオフセットしている。
【0074】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気の透過を可能にする浸透性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層はシールド層の上に設けられ、カバー層の貫通孔はシールド層の貫通孔からオフセットしている。
【0075】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適であり得る。
【0076】
上記本明細書に開示された非陰圧被覆材のより詳細な説明は、WO2013007973に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位からの滲出液を吸収するための繊維吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層と、を含む、多層創傷被覆材とし得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、液体不浸透性フィルム層をさらに備え、支持層は吸収層とフィルム層との間に位置決めされる。
【0079】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含み得る。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な開口部を持つ幾何学的構造を含み得る。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な開口部を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含み得る。
【0080】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成され得る。
【0081】
開口部は、0.005~0.32mm2の面積を有し得る。
【0082】
支持層は、0.05~0.06Nmの引っ張り強さを有し得る。
【0083】
支持層は、50~150μmの厚さを有し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収層に直接隣接して位置決めされる。典型的には、支持層は、吸収層の最上面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに含んでもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、フィルム層を支持層に取り付ける接着層をさらに備える。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、創傷に隣接して位置付けするために吸収層に隣接して位置決めされる創傷接触層をさらに備える。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるために、創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含み得る。
【0087】
上記本明細書に開示された多層創傷被覆材のより詳細な説明は、2016年10月28日に出願番号第GB1618298.2号で出願されたGB特許出願に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
いくつかの実施形態では、開示された技術は、吸収材料層の第1の層、および第2の材料層を含む、垂直に重なった材料を含む創傷被覆材に組み込まれてもよく、第1の層は、不織布繊維の少なくとも1つの層から構築されており、不織布繊維は、複数の折り目に折り畳まれてプリーツ構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第1の層に一時的または永久的に結合された材料の第2の層を含む。
【0089】
典型的には、垂直に重ねた材料は、スリットが入れられている。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の層は、プリーツの深さによって、または切り込みの幅によって決められた深さを有する、プリーツ構造を有する。材料の第1の層は、成型可能、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層であり得る。
【0091】
材料の第1の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース性、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの1つ以上を含み得る。
【0092】
創傷被覆材は、垂直に重なった材料が順に積み重ねられた吸収材料層の2つ以上の層を含んでもよく、2つ以上の層は、同じまたは異なる密度または組成を有する。
【0093】
創傷被覆材は、いくつかの実施形態では、材料が垂直に重なった吸収材料層の1つの層のみを含み得る。
【0094】
吸収層の材料は、天然もしくは合成、有機もしくは無機繊維の混合、およびバインダー繊維、または特定の温度で軟化して混合全体内で結合剤として作用する低溶融温度PETコーティングを備えた二成分繊維、典型的にはPETである。
【0095】
いくつかの実施形態では、吸収材料層は、5~95%の熱可塑性ポリマーと、5~95重量%のセルロースまたはその誘導体との混合であってもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第2の層を含む。
【0097】
発泡体層は、親水性発泡体であってもよい。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖細孔構造を有し得る。
【0098】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、または裏当て層を含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、積層または接着剤によって第2の層に直接結合された吸収材料層を含み、第2の層は、被覆材固定層に接続されている。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤であり得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維あるいはポリエステル繊維の層をさらに備える。
【0101】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、本明細書に開示されるように、裏当て層をさらに含む。裏当て層は、透明または不透明なフィルムであり得る。典型的には、バッキング層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0102】
上述の本明細書に開示される多層創傷被覆材のより詳細な説明は、2016年12月12日に出願番号第GB1621057.7号で出願され、2017年6月22に出願番号第GB1709987.0号で出願されたGB特許出願に提供されており、その各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性部品を備え得、その部品は、発泡体層に結合されたゲル形成繊維を含む創傷接触層を含み、発泡体層は、接着剤、ポリマーベースの溶融層によって、フレーム積層、または超音波によって、創傷接触層に直接結合される。
【0104】
吸収性成分は、シート形態であり得る。
【0105】
創傷接触層は、織りまたは不織または編みゲル形状繊維の層を含み得る。
【0106】
発泡体層は、連続気泡発泡体、または独立発泡体であってもよく、典型的には連続気泡発泡体であり得る。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0107】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって取り囲まれた、創傷と直接接触する島を形成する構成要素を含み得る。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤であり得る。
【0108】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面上に、フィルム層によってカバーされ得る。
【0109】
上記本明細書のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP2498829に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷に使用するための多層創傷被覆材を含んでもよく、この被覆材は、少なくとも24時間で300gm2のMVTR有する透過層と、滲出液を吸収し、保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コアに位置付けされているキーイング層と、を含むことを特徴とし、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材内の滲出液の創傷領域への横方向の広がりを制限する。
【0111】
創傷被覆材は、24時間で10cm2の被覆材あたり少なくとも6g(または8gおよび15g)の流体を処理することができ得る。
【0112】
創傷被覆材は、化学修飾のセルロース系繊維であるゲル形成繊維を生地の形態で含み得る。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含み得る。
【0113】
創傷被覆材は、横方向のウィッキング量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含み得る。創傷接触層は、35gm2など25gm2~55gm2の繊維密度を有し得る。
【0114】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有してもよく、典型的に、横方向のウィッキング量は、毎分20mmより少ない。
【0115】
吸収性コアは、最大25重量%のセルロース系繊維、および75重量%~100重量%のゲル形成繊維の範囲の混合を有してもよい。
【0116】
代替的に、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維および重量で50%~100%のゲル形成繊維の範囲内の混合を有してもよい。例えば、ブレンドは、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0117】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm2、または約200gm2であってもよい。
【0118】
濡れたときの創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有し得る。
【0119】
創傷被覆材は、透過層を含んでもよく、この層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体であり得る。
【0120】
創傷被覆材は、可溶性薬用フィルム層、臭気吸収層、延展層、および追加の接着層を含む群から選択された1つ以上の層を備え得る。
【0121】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0122】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合することを特徴とする。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0123】
上記本明細書のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP1718257に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧迫包帯は、浮腫および他の静脈障害、ならびに下肢のリンパ障害の治療において使用するために既知である。
【0125】
圧迫包帯システムは、典型的に、皮膚と圧迫層(複数可)との間のパッド層を含む複数の層を採用する。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置するなど、創傷に有用であり得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを含むことができ、内層は、発泡体の第1の層と吸水性不織ウェブの第2の層とを含み、内層および外層は、患者の手足の周りに巻くことができるように、十分細長くなっている。このタイプの圧迫包帯は、WO99/58090に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0127】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、a)(i)細長い弾性基材、および
(ii)細長い発泡層を含む内側の皮膚に面した、細長い弾性包帯であって、当該発泡層が当該基材の面に貼り付けられ、基材の当該面を横方向に33%以上横切って、および基材の当該面を長手方向に67%以上横切って延在する、弾性包帯と、b)外側の、細長い、粘着弾性包帯であって、当該包帯が、延在されると圧縮力を有し、使用時には、内側包帯の当該発泡層が皮膚に面し、外側包帯が内側包帯の上にある、粘着弾性包帯と、を含む。このタイプの圧迫包帯は、WO2006/110527に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
いくつかの実施形態では、US 6,759,566およびUS 2002/0099318に開示されているような他の圧迫包帯システムがあり、それらの各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
陰圧創傷被覆材
いくつかの実施形態では、このような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に印加され得る。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0130】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)療法システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減し得る。加えて、この療法により、創傷の障害を少なくし、より迅速な治癒につなげることができる。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援し得る。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0131】
陰圧療法を使用して、大きすぎて自然には閉じられない、または別の方法でも創傷の部位への陰圧の印加では治癒しない、開放または慢性創傷を治療することができる。局所陰圧(TNP)療法または、陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性のコーティングを配置することと、創傷を取り囲む患者の組織に対してコーティングを封止する、様々な手段を使用することと、陰圧をコーティングの真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)をコーティングに接続することと、を伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過剰な流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0132】
NPWTに使用される被覆材のいくつかとしては、異なる種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡パッド、または多層創傷被覆材を挙げることができる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止され得る。追加的に、Smith&Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムの追加の例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0133】
本明細書で使用する場合、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0134】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgであり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHg~-150mmHgであり得る。代替的に、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超過の圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替的に、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧器具により供給され得る。
【0135】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、取り囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または1つ以上の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行され、「Wound treatment apparatus and method」と題された米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行され、「Wound cleansing apparatus with stress」と題された米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
本明細書に記載される創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療器具および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日にWO2013/175306A2として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日にUS2015/0190286A1として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療器具および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、US2011/0282309として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日にUS2016/0339158A1として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0137】
追加的に、本明細書に記載されるポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関連するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日にWO2016/174048として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
NPWTシステムの概要
図1Aは、創傷空洞110の内部に配置される創傷充填材130を含む陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の一実施形態を示しており、創傷空洞は、創傷カバー120によって封止されている。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管140は、創傷カバー120と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ150とを接続する。創傷カバー120は、創傷空洞110に流体連通することができる。
図1に示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプ組立品は、キャニスターレスポンプアセンブリ(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の場所に収集するために管140を介して運ばれることを意味する)であることができる。しかしながら、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に装着され、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0139】
創傷充填材130は、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグなどの任意の好適なタイプであってもよい。創傷充填材130は、それが実質的に空洞を充填するように、創傷空洞110に適合することができる。創傷カバー120は、創傷空洞110を覆う実質的に流体不浸透性のシールを提供することができる。創傷カバー120は、頂部側および底部側を有することができ、底部側は、創傷空洞110を粘着的に(または任意の他の好適な手法において)シールする。本明細書で開示される導管140もしくは内腔またはいくつかの他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意の他の好適な材料から形成され得る。
【0140】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端部を受け入れるように構成されたポート(図示せず)を有することができる。例えば、ポートは、Smith&NepHewから入手可能なRenasys Soft Portとすることができる。他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創傷空洞内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷空洞110に供給するための創傷カバー120を通り抜けるか、またはその下を通ることができる。導管140は、ポンプアセンブリ150によって提供される減圧圧力を創傷空洞110に供給するように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的にシールされた流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0141】
創傷カバー120および創傷充填材130は、単一物品または一体化された単一ユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされ得る。次いで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプアセンブリ150といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用され得る。
【0142】
創傷カバー120は、治療されることになる創傷部位を覆って位置決めされ得る。創傷カバー120は、創傷部位を覆う実質的にシールされた空洞またはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができるか、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。したがって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開および他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの部品は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0143】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管140がポンプアセンブリ150から迅速にかつ容易に除去され得るようにポンプアセンブリ150および管140を構成することは、必要に応じて、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にするか、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管とポンプとの間の任意の好適な接続を有するように構成され得る。
【0144】
ポンプアセンブリ150は、およそ-80mmHgの陰圧、またはいくつかの実装では、約-20mmHg~200mmHgの陰圧を送達するように構成することができる。これらの圧力は、通常の周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHg~-150mmHgであり得る。代替的に、-75mmHg以下、-80mmHg以下、または-80mmHg超過の圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ150により供給され得る。
【0145】
動作時に、創傷充填材130は創傷空洞110内に挿入され、創傷カバー120は創傷空洞110を封止するように配置される。ポンプアセンブリ150は、創傷充填材130を介して創傷空洞110に送られる陰圧源を創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または1つ以上の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0146】
本出願のポンプアセンブリおよび他の実施形態で利用され得る創傷被覆材は、Smith&NepHewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico被覆材を含む。本出願のポンプアセンブリおよび他の実施形態とともに使用され得る陰圧創傷療法システムのこうした創傷被覆材および他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0116334号、第2012/0136325号および第2013/0110058号において見出され、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0147】
創傷被覆材の概要
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材155を通る断面図を示す。
図1Bはまた、いくつかの実施形態による、流体コネクタ160を示す。創傷被覆材155は、WO2013175306A2に記載される創傷被覆材と類似している場合があり、これは参照によりその全体が組み込まれる。代替的に、創傷被覆材155は、明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または、本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得、治療される創傷部位の上に置かれ得る。創傷被覆材155は、創傷空洞110といった創傷の上に密封された空洞を形成するために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材155は、最上層もしくはカバー層、または任意選択の創傷接触層222に取り付けられる裏当て層220を含むことが好ましく、それらについて以下により詳細に記載する。これら2つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止され得る。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分散または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応し得る追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能と、を含み得る。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。
【0148】
本明細書で使用される通り、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けされる間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けされる間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0149】
創傷接触層222は、例えば、ホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または何らかの他の方法で穿孔された、さもなければ液体および気体に対して浸透性にされた、ポリウレタン層またはポリエチレン層または他の可撓性のある層とすることができる。創傷接触層222は、下面224(例えば、創傷と向かい合う)および上面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。いくつかの実施形態では、穿孔は、流体が穿孔を通って流れることを依然として可能にしながら、この要件を満たすほど充分に小さい。例えば、0.025mm~1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収性パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材155全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、陰圧が創傷に印加されるとき、創傷接触層を通る流体の、単向性または実質的に一方向または単向性の流れを許可するように構成される。例えば、創傷接触層は、流体が、創傷接触層を通して創傷から流れるのは許可するが、流体が創傷に向かって戻ることは許可しない。特定の事例では、創傷接触層の穿孔は、創傷接触層を通る流体のこうした一方向または単向性の流れを許容するように構成される。
【0150】
創傷接触層222のいくつかの実施形態はまた、任意選択の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材155の下面224上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意選択的に選択された片面上に形成されてもよいか、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材155を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含み得る。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するの助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に孔加工されていてもよい。
【0151】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に位置決めされ得る。この多孔質層または透過層226により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷領域全体に陰圧を伝えるように維持され得ることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる典型的な圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成され得る。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、ニットポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら2つの層の間に挟まれて形成される第3の層と、を含む、3Dポリエステルのスペーサ生地層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0153】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるが、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0154】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作製されることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0155】
いくつかの実施形態では、透過層226を横切る(すなわち、最上部スペーサ層と最下部スペーサ層との間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3D生地は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、以前に使用された鉱油、油脂またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。続いて、3Dスペーサ生地が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0156】
吸収材の層221を、透過層226の上に提供することができる。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意選択的に、超吸収材料を含み得る吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層221もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0157】
吸収層221の材料はまた、創傷被覆材155に収集された任意の液体が被覆材内を自由に流れるのを防止し、被覆材内に収集された液体を含むように作用することができる。吸収層221はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分散するのを助ける。これによって、吸収層の領域における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体、Freudenberg114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含み得る。いくつかの実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0158】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、全体に分散した乾燥粒子の形態の超吸収材を有する不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分散させるのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分散させるのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0159】
陰圧を被覆材155に印加することができるように、開口部、孔、またはオリフィス227を裏当て層220内に提供することができる。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、被覆材155の中に作製されるオリフィス227の上で、裏当て層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長い管が、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第1の端部で流体コネクタ160に、第2の端部でポンプユニット(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上面へ延在するような、流体コネクタの第1の端部で連結され得る。流体コネクタ160は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏当て層220に接着および封止してもよい。流体コネクタ160は、ショアAスケールで30~90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、柔らかい材料または適合する材料から作製されてもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、流体コネクタ160の下にあるように位置決めされる、少なくとも1つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図1Bに示す通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ160の基礎を成す開口部を生み出すように使用され得る。複数の開口部が、代替的に利用され得ることは理解されるであろう。追加的に、2つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、1つ以上の開口部が、各それぞれの流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作製されてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供し得る。
【0161】
アパーチャまたは貫通孔228は、
図1Bに示す通り、オリフィスが透過層226に直接接続するように、オリフィス227の下方の吸収層221に提供され得る。これによって、流体コネクタ160に印加される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に印加される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、開口部は吸収層221に提供されなくてもよく、または代替的に、オリフィス227の下にある複数の開口部が提供され得る。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照によりその全体が組み込まれる、国際特許出願公開第WO2014020440号に記載されるような遮蔽層が、吸収層221の上および裏当て層220の下方に提供され得る。
【0162】
裏当て層220は、気体不透過性であるが、透湿性であってもよく、創傷被覆材155の幅にわたって延在し得る。例えば、片方の面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であり得る、裏当て層220は、気体に対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が配置される創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、裏当て層220と創傷部位との間に作製される。裏当て層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。裏当て層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。裏当て層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの2つの層を含み得る。ポリウレタンフィルムは透湿性であり、濡れたときに透水率が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、裏当て層が濡れると、裏当て層の透湿性が増大する。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約十倍であり得る。
【0163】
吸収層221は、透過層226の縁部と重複するように、透過層226よりも大きい面積を有してもよく、それによって、透過層が裏当て層220に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷空洞の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。
図1Bに示されるように、吸収層221によって、境界線または境界領域が、吸収層221の端とバッキング層220の端との間に画定されるように、バッキング層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0164】
図1Bに示されるように、創傷被覆材155の一実施形態は、流体コネクタ160の下方に位置している吸収層221に、開口部228を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材155に印加されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、裏当て層220を透過層226に少なくとも部分的に接着させてもよい。いくつかの実施形態では、開口部228は、流体コネクタ11の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0165】
例えば、単一流体コネクタ160および貫通孔を有する実施形態では、流体コネクタ160および貫通孔が、中心から外れた位置に位置決めされるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ160が被覆材155の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材155を患者の上に位置付けすることが可能になってもよい。そのように位置付けすると、流体コネクタ160およびフィルタ214は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0166】
ここで流体コネクタ160を参照すると、いくつかの実施形態は、密封面216と、近位端(陰圧源により近い)および遠位端140を有するブリッジ211と、フィルタ214と、を含む。密封面216は、創傷被覆材の最上面に封止される、アプリケータを形成し得る。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160の最下層は、密封面216を含み得る。流体コネクタ160は、いくつかの実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封面216から垂直に間隔を空ける上面をさらに含み得る。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成され得る。いくつかの実施形態では、密封面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも1つの開口部229を含み得る。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、密封面の開口部229を横切って位置付けされてもよく、開口部229全体にわたってもよい。密封面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を含み得る。いくつかの実施形態では、密封面216は、フィルタ214と透過層226との間に間隙を作り出すよう構成された任意のスペーサ要素215を用いて、カバー層のオリフィスの上に配置され得る。他の実施形態では、密封面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220の開口部の上に位置付けされてもよく、流体コネクタ160によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第1の流体通路212を含んでもよく、第1の流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を含む。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第1の流体通路212を取り囲むように構成される、少なくとも1つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、流体コネクタが透過層226に接触するのを防ぐように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0167】
いくつかの実施形態は、第1の流体通路212の上方に位置付けられた任意選択の第2の流体通路をさらに含み得る。例えば、いくつかの実施形態によって、第1の流体通路212および被覆材155中への空気経路を提供するように構成される、最上層の近位端に配設される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0168】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、可撓性があり、スペーサがよじれるかまたは折り畳まれた場合でも流体が通過することを可能にする規格に準拠した材料から構成される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築され得る。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供し得る。
【0169】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、ウィッキング生地、例えば、編まれたまたは織られたスペーサ生地(編まれたポリエステル3D生地、Baltex7970(登録商標)、またはGehring879(登録商標)など)または不織布から構成され得る。選択されたこれらの材料は、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために適しており、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有し得る。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、-40~-150mmHgの陰圧療法で使用される典型的な圧力下において、変わらず陰圧を創傷範囲に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を含んでもよく、いくつかの事例では、陰圧の印加状況下において、流体通路212が崩れるのを妨げるのに有用であり得る。他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mm~6mmであってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mm~6mmの厚さであってもよく、1つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材とともに使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を採用してもよく、気体のみが流体通路212を通って動いてもよい。追加的に、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0170】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性であり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材155から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能し得る。典型的に、細孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな細孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないが、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートもしくはカバーフィルムに取り付けられ得るか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ160に成型されてもよいか、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、カバー層の最上部および吸引アダプタ160の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0171】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な細孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの細孔は、0.01マイクロメートル~10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にあり得る。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)形態および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。いくつかの実施形態では、特定の実施形態による創傷被覆材155は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを採用して、MHMを形成し得る。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの1つ以上から形成され得る。これら任意選択のポリマーの全てが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特徴を得るために処理され得る。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0172】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として周知である。それゆえ、MHMの組み込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善し得る。
【0173】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体などの臭気吸収材を含み得る。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通して気体を排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0174】
創傷被覆材155は、流体コネクタ160およびフィルタ214と共にスペーサ要素215を備え得る。こうしたスペーサ要素215を追加することで、流体コネクタ160およびフィルタ214は、吸収層220または透過層226と直接接触しないよう支持され得る。吸収層220はまた、フィルタ214を透過層226に接触させるための追加のスペーサ要素として作用し得る。したがって、こうした構成により、フィルタ214の使用中の透過層226および創傷液体との接触が、最小化され得る。
【0175】
上記の創傷被覆材の実施形態に類似して、いくつかの創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を含む。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW)パッドを含み得る。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接し得る。吸収層は、1つの端部の方に向かう開口部または貫通孔を有し得る。開口部は直径約10mmであり得る。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムであり得る。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の開口部の上に重なる、10mmの開口部を有し得る。孔の上方には、前述した開口部の上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを含む、流体コネクタを結合し得る。
【0176】
センサ付き創傷被覆材
いくつかのセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒する際のその創傷の特徴をモニタリングするために利用され得る。良好に治癒する創傷、および治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。
【0177】
いくつかの実施では、創傷被覆材または全体的な創傷被覆材器具の一部を形成する1つ以上の構成要素で、多くのセンサ技術が使用され得る。例えば、いくつかの実施形態によるセンサアレイを有する創傷被覆材250および320を示す
図2および
図3Dに示す通り、1つ以上のセンサは、
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層であってもよい、創傷接触層上へまたは創傷接触層中へ組み込まれ得る。
図2および
図3Dの創傷接触層は、四角形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形状を有してもよいことは理解されるであろう。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷領域の上に配置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材器具または創傷被覆材器具の構成要素、例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材などによって被覆され得る。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、ここに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0178】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触するように配置することができ、流体が創傷内の組織への損傷を全くまたはほとんど引き起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作製することができ、抗菌剤、または当該技術分野で既知の他の治療薬を組み込み得る。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。いくつかの実施形態では、センサ、またはセンサアレイは、上に記載した吸収層またはスペーサ層など、創傷被覆材の他の構成要素内に取り込まれ得るか、または被包され得る。
【0179】
図2および
図3Dに示されるように、例えば、温度センサ(5x5アレイ、およそ20mmピッチの25個のサーミスタセンサなど)、酸素飽和度またはSpO2センサ(創傷接触層の中心からその縁部まで単一直線、10mmピッチの4個または5個のSpO2センサなど)、組織色センサ(2x5アレイ、およそ20mmピッチの10個の光学センサ(アレイの各列の5個のセンサ全てが整列している必要はない)など)、pHセンサ(pH感受性パッドの色を測定することによって、任意選択的に組織の色用と同じ任意選択の光学センサを使用することなど)、および伝導度センサ(3x3アレイ、およそ40mmピッチの9個の伝導度接触部など)を含む、五個のセンサが使用され得る。
図3Aに示す通り、SpO2センサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、創傷接触層の縁への単一直線状に配設され得る。SpO2センサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層またはセンサアレイは、創傷の全体表面範囲だけでなく周囲の無傷の皮膚もコーティングするように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層および/またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度に領域の一箇所ずつの場合よりも、創傷領域についてより多くの情報を提供し得る。
【0180】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または当技術分野で既知の任意の材料とともに、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む可撓性ポリマーから形成される、可撓性回路基材上に組み込まれ得る。センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、回路基材は、多層の可撓性回路基材であり得る。いくつかの実施形態では、これらの可撓性回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれ得る。例えば、可撓性回路は、
図1Bを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下面から突出し、創傷領域に直接接触する、1つ以上のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の二層の間に挟まれる可撓性回路基材を伴う、第1および第2の創傷接触層を含み得る。第1の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下面と、可撓性回路基材と接触するように意図する上面と、を有する。第2の創傷接触層は、可撓性回路基材と接触するように意図する下表面と、創傷被覆材または創傷被覆材器具全体の一部を形成する、1つ以上の構成要素と接触するように意図する上表面と、を有する。第1の創傷接触層の上面および第2の創傷接触層の下面は、二層の間に挟まれる可撓性回路基材とともに接着され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基材の1つ以上のセンサは、創傷内の水分または流体との接触を妨げるように、創傷接触層によって完全に被包または被覆され得る。いくつかの実施形態では、第1の創傷接触層は、下面から突出し、創傷領域に直接接触する、1つ以上のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。例えば、
図3Dに示す通りの1つ以上のSpO2センサは、創傷接触層の最下表面から突出して示されている。いくつかの実施形態では、SpO2センサは、第1の創傷接触層の下面上に直接載置され得る。センサと電気もしくは電子構成要素のいくつかまたは全ては、埋められてもよく、または、ポリマー、例えば、シリコンまたはエポキシベースのポリマーで、被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、および構成要素からの化学物質浸出を防ぎ得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、構成要素を密閉し得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、創傷に関係する情報を収集および処理することは、センサアレイ、制御または処理モジュール、およびソフトウェアを含む、3つの構成要素を利用し得る。これらの構成要素について、本明細書により詳細に記載する。
【0184】
図3Aは、いくつかの実施形態による、センサアレイ部分301、尾部分302、およびコネクタパッド端部分303を含む、可撓性のセンサアレイ回路基材300を示す。センサアレイ部分301は、センサおよび関連回路を含み得る。センサアレイの回路基材300は、センサアレイ部分301から延在する、長い尾部分302を含み得る。コネクタパッド端部分303は、センサアレイ回路からデータを受信するように、制御モジュールもしくは他の処理ユニットに接続することが可能になり得る。長い尾部分302によって、制御モジュールを、例えば、創傷から離れた、より都合の良い場所などの、創傷から遠くに配置することが可能になり得る。
【0185】
図3Bは、いくつかの実施形態による、4個の異なるセンサアレイの幾何学形状301A、301B、301C、301Dを有する可撓性の回路基材の実施形態を示す。示された実施形態は、尾部分302A、302B、302C、および302Dを含む。いくつかの実施形態では、4つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装され得る。
図3Bは、4つの異なるセンサアレイ形式および構成を示すが、設計301Bおよび302Bは、スポンサーアレイ301Bとコントロールモジュールとの間の電気または電子接続部を提供するように構成されたコネクタパッド端部分303も含む。301A、301C、または301Dの設計のうちの1つ以上は、部分303といった、コネクタパッド端部分を含み、可撓性回路基材301A、301C、または301Dが制御モジュールまたは他の処理ユニットと通信できるようにする。いくつかの実施形態では、センサアレイは制御モジュールと無線通信し、尾部分は省略されてもよい。
【0186】
図3Cは、
図3Bにより詳細に示されるセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301Bを示す。
図2または
図3A~
図3Dの実施形態のうちのいずれか1つ以上では、センサアレイ部分が、創傷接触層などの創傷被覆材構成要素の周囲近辺、または創傷被覆材構成要素の外縁から内向きのいずれかに延在する複数の部分を含み得る。例えば、示される実施形態は、創傷被覆材部品の縁に平行で、いくつかの実施形態では、創傷被覆材部品の全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。いくつかの実施形態では、センサアレイ部分は、第2の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第1の複数の平行な直線延在部分を含み得る。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材構成要素の内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材構成要素全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの部分間に間隙が形成される。
図2に示す通り、これにより、いくつか、および場合により大多数の創傷被覆材構成要素のカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、
図2および
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。いくつかの実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよいか、または形状付けされてもよい。
【0187】
図3Dは、いくつかの実施形態による、穿孔された創傷接触層320に組み込まれた可撓性のセンサアレイを示す。示されるように、センサアレイは、2つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれ得る。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を妨げるのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有し得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、1つ以上のスリットを有し得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層のうちの1つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有し得る。
【0188】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化し得る。いくつかの実施形態では、例えば
図3Bに示す通り、総計79個の接続部を使用して、センサアレイの構成要素を接続し得る。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の2つの接触表面で終端することができ、最上面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0189】
いくつかの実施形態では、サーミスタ、導電率センサ、Spo2センサ、または色センサのうちの1つ以上を、センサアレイ上で使用して、創傷の状態に関連する情報を提供することができる。センサアレイおよび個々のセンサは、創傷の治癒をモニタリングする際に、臨床医を支援し得る。1つ以上のセンサは、創傷および創傷治癒特徴に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作し得る。
【0190】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用し得る。サーミスタは、下にある創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。いくつかの実施形態では、周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0191】
光学センサは、照明源付きのRGBセンサを使用して創傷の外観を測定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0192】
組織の中の光伝搬は、2つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配され得る。減衰に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0193】
散乱プロセスはより複雑であり得、考慮しなくてはならない様々な「レジーム」を有し得る。散乱の第1の態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定され得る。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に伴う別の要因は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、散乱事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0194】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光学フィルタが、組織の色判別を通して測定するように光学センサの構成要素として使用され得る。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含み得る。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサとともに使用され得る。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像し得る。
【0195】
追加的に、光学センサは、自己蛍光を測定するように使用され得る。組織は1つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。追加的に、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となり得る。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、いくつかの他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0196】
伝導度センサは、生きている組織と死んだ組織との間の差を決定するか、または病的組織の中で開いている創傷に起因する、インピーダンスの変化を示すかに使用され得る。伝導度センサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含み得る。伝導度センサは、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用され得る。いくつかの実施形態では、センサアレイは、創傷サイズまたは創傷の形状の変化による、周囲の電極上の伝導度の変化を測定するように、伝導度センサを利用し得る。いくつかの実施形態では、伝導度センサは、創傷床の中でまたは創傷の周囲で使用され得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、pH変化パッドをpHセンサとして使用することができる。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用され得る。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ面にある最下面上とに提供され得る。代替的に、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上面上に提供され得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサを使用することができる。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、2つの異なる光波長で、組織の光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。2つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0199】
センサアレイの中の構成要素は、複数の接続を介して接続され得る。いくつかの実施形態では、サーミスタは、5つのグループに配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、5つの各グループは共通の接地を有する。5つのグループのサーミスタがあり、全部で30個の接続を供給する。いくつかの実施形態では、9個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は1つの接続を必要とし、全部で9個の接続を供給する。いくつかの実施形態では、5個のSpO2センサが存在し得る。各SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え、3つの接続を必要とし、全部で15個の接続を供給する。いくつかの実施形態では、10個の色センサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは6個の接続を必要とするが、しかしながら、これらのうちの5個は全センサに共通し、全部で15個の接続を供給する。電力および接地は別途考慮される。いくつかの実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続を必要としない。3つの電源レールおよび7個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続を供給し得る。いくつかの実施形態では、センサアレイは、25個のサーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9個の伝導性端子、5個のSpO2(ADPD144RI)、10個のRGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10個のFET、1つのプリント回路基材(PCB)、および1つのアセンブリを含み得る。
【0200】
制御モジュールは、センサアレイとインターフェースするために使用され得る。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、センサを駆動するように、電池などの電源および電子機器を包含し得る。またコントロールモジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。制御モジュールは、センサアレイで使用されるセンサと、センサにより収集されるデータとによって、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、数週間継続して身に着けられるほど、充分快適で小型であり得る。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、創傷被覆材近くまたは創傷被覆材上に位置付けされ得る。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、創傷被覆材および付随のセンサアレイから遠隔の場所に位置付けされ得る。制御モジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔に位置付けされていても、電線を介してまたは無線通信によって、センサアレイおよび創傷被覆材と通信し得る。いくつかの実施形態では、制御モジュールは、異なるセンサアレイとともに利用されるように適応することができ、センサアレイの容易な交換が可能となり得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、制御モジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むが限定はされない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
【表1】
【0202】
図3Eは、いくつかの実施形態による、制御モジュールのブロック
図330を示す。制御モジュールのブロック図は、伝導度ドライバの特徴を表示する、伝導度ドライバボックス391を含む。ボックス392は、サーミスタインターフェースの特徴を示し、ボックス393は光インターフェースの特徴を示す。制御モジュールは、ボックス394に示されるものと類似の特徴を伴う、コントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュ、およびデバッグコネクタは、
図3Eに示す通り、コントロールモジュールの特徴部として含まれ得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの1つ以上を有し得る。2.4GHz、もしくは別の他の好適な周波数無線(統合型または外付けのいずれか);供給するBluetoothソフトウェアスタック;SPIインターフェース;USB(または外付けUSBドライバ用UART);I2C;3チャネルPWM;32GPIO;または6チャネルADC。いくつかの実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要とし得る。Bluetoothスタックは典型的に、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされ得る。いくつかの実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされ得る。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアであり得る。いくつかの実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0204】
いくつかの実施形態では、制御モジュールは、ローカル記憶装置の量がサンプルレートおよびセンサ解像度によって異なるメモリ構成要素を含み得る。例えば、推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスを使用することによって満たされ得る。
【0205】
制御モジュールは、1つ以上のアナログスイッチを利用し得る。いくつかの実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用され得る。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用され得る。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの8つが必要となる。
【0206】
制御モジュールは、電池などの電源を組み込み得る。例えば、300mWh/日のバッテリが使用され得る。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mmx25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li14500(直径14.5mmx500mm)Li-Ionにより提供され得る。
【0207】
制御モジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込み得る。RTCは、結晶を伴ういずれかのRTCデバイスより選ばれ得る。制御モジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含み得る。
【0208】
制御モジュールのPCBは、およそ50mmx20mmまたは25mmx40mmの四層基材であり得る。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動され得る。
【0209】
制御モジュールのエンクロージャは、センサアレイまたは電池を充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特性部を有する、2つの部分からなる成形品であり得る。
【0210】
センサアレイを通して収集されるデータは、制御モジュールを通過し、ホストソフトウェアによって処理され得る。ソフトウェアは、処理デバイス上で実行されてもよい。処理デバイスは、PC、タブレット、スマートフォン、またはホストソフトウェアを実行可能な他のコンピュータであってもよい。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、制御モジュールと通信し得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、制御モジュール上に保管するデータへのアクセスを提供するように構成されてもよい。ホストソフトウェアは、BluetoothまたはUSBを介した、制御モジュールに対するインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ホストソフトウェアは、コントロールモジュールの状態読み取り、コントロールモジュールからのログデータのダウンロード、コントロールモジュールへのサンプル速度制御のアップロード、コントロールモジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロードを行い得る。
【0211】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux)、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0212】
いくつかの実施形態では、陰圧の源(ポンプなど)、ならびに電源(複数可)、センサ(複数可)、コネクタ(複数可)、ユーザインターフェース構成要素(複数可)(ボタン(複数可)、スイッチ(複数可)、スピーカ(複数可)、画面(複数可)などのような)など、局所陰圧システムの他の構成要素のいくつかまたは全ては、創傷被覆材と統合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、裏当て層の最上部下、最上部内、最上部上、または裏当て層に隣接して統合され得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれかの上に、位置付け用第2のカバー層または第2のフィルタ層を含み得る。第2のカバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合された構成要素を取り囲んでいた、別個の外皮であり得る。
【0213】
本明細書で使用される通り、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けされる間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。したがって、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置付けされる間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0214】
構成要素の位置付け
いくつかの実施形態では、センサ、接続などのような電気または電子構成要素は、1つ以上の創傷被覆材構成要素上に配置もしくは位置付けられるか、または埋め込まれ得、その創傷被覆材構成要素は、創傷、皮膚、または創傷および皮膚の両方の中または上に配置され得る。例えば、1つ以上の電子構成要素は、
図1Bの創傷接触層222の下面224といった、創傷に面する創傷接触層側に位置付けされ得る。創傷接触層は、創傷に適合するか、または覆うために可撓性、弾性、または伸縮性、もしくは、実質的に可撓性、弾性、または伸縮性であってもよい。例えば、創傷接触層は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料とともに、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの1つ以上といった、伸縮性または実質的に伸縮可能な材料から作製され得る。いくつかの実例では、1つ以上の電子構成要素は、代替的または追加的に、透過層、吸収層、裏当て層、または創傷被覆材の他の任意の好適な層のうちの、いずれか1つ以上に配置もしくは位置付けまたは埋め込まれ得る。
【0215】
いくつかの実施では、創傷により良く適合するか、または創傷をコーティングするように、創傷接触層に伸縮性があることが望ましい場合があるが、電子構成要素のうちの少なくともいくつかに伸縮性または可撓性がなくてもよい。こうした事例では、創傷が創傷被覆材で被覆され、創傷接触層が創傷の中、または上に位置付けされると、電子構成要素の支持領域または取付部上といった、1つ以上の電子構成要素上に、望ましくないまたは過剰な、局所的な歪みまたは応力が加えられ得る。例えば、このような応力は、患者の動き、創傷の形状またはサイズの変化(その治癒のため)などに起因することがある。このような応力は、1つ以上の電子構成要素の移動、脱落、または誤作動(例えば、ピンまたは別のコネクタが接続解除されることによる開回路の発生)を引き起こす場合がある。代替的または追加的に、1つ以上の電子構成要素によって回収された測定値が、創傷の、同じまたは実質的に同じ場所または領域における経時変化を正確に捕えるよう、創傷に対して(例えば、創傷に接触して)、創傷接触層上で同じまたは実質的に同じ場所または領域に1つ以上のセンサといった、1つ以上の電子構成要素の位置を維持することが望ましい場合がある。伸縮可能な創傷接触層の表面は、例えば、患者が動くと移動し得るが、創傷に対して同じ場所または領域に位置決めされた1つ以上の電子構成要素を有することが望ましい場合がある。
【0216】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性材料の1つ以上の領域などの、1つ以上の固く、剛性があり、もしくは非伸縮性の、または、実質的に固く、剛性があり、もしくは非伸縮性の領域は、1つ以上の電子構成要素を支持するための創傷接触層(または別の好適な創傷被覆材構成要素)上に載置され得るか、位置付けられ得るか、または配置され得る。1つ以上の非伸縮性または実質的に非伸縮性領域に1つ以上の電子構成要素を載置すること、位置付けすること、または配置することは、創傷に対して1つ以上の電子構成要素の位置を維持することに伴って、局所的な応力または助力が形成されることを防止し得る。いくつかの実例では、代替的または追加的に、1つ以上の電子構成要素は、1つ以上の可撓性材料上に載置されるか、または印刷されるか、またはそれによって支持されるなど、可撓性であってよい。例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、シリコーンといった、可撓性プラスチックシートまたは基材が使用されてもよい。
【0217】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による、複数の電子構成要素を有する創傷被覆材400を示す。示されるように、シートまたは基材430は、複数のコネクタ404および複数の電子接続部410を有する電子構成要素またはモジュール402を含む1つ以上の電子構成要素と、非伸縮性または実質的に非伸縮性領域422および424と、を支持するよう構成される。基材430は、本明細書に記載されるように、伸縮性または実質的に伸縮性の創傷接触層であってもよい。電子モジュール402は、センサ、光源(LED、温度センサ、光センサなど)、コントローラ、またはプロセッサ(通信プロセッサなど)などといった、本明細書に記載される任意の電子構成要素であってもよい。電子接続部410は、例えば伝導性銅、伝導性インク(例えば、銀インク、グラファイトインクなど)などを使用して、基材430上に印刷されたトラックであってもよい。電子接続部410の少なくともいくつかは、可撓性または伸縮性であるか、または実質的に可撓性もしくは伸縮性であってもよい。コネクタ404は、電子モジュール402を電子接続部410に電気的に接続するよう構成され得(
図4Bに示すように)、さらに、基材430上、創傷被覆材の他の構成要素上または中、または、創傷被覆材の外側に位置付けされたその他の電子モジュール(図示なし)に接続され得る。コネクタ404は、ピン、リード線、バンプ、パッドなどであってもよい。追加的または代替的に、ソケットを使用して、電子モジュール402を支持、および電気的に接続することができる。領域422および424は、接着剤、エポキシ、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、PET、PBT、または高いヤング率を有する別のタイプの材料のうちの1つ以上といった、非伸縮性または実質的に非伸縮性材料を含み得る。領域422および424のうちの1つ以上を、基材430上に印刷することができる。本明細書で使用されるように、基材上に材料を印刷することは、ラミネートすること、接着させること、または任意の他の好適な技術のうちの1つ以上を含み得る。
【0218】
図4Bは、基材430上に位置付けられた構成要素を示す。示されるように、電子モジュール402は、領域422に載置されるか、またはそれによって支持される。電子接続部410の一部分または部品は、領域424に載置されるか、またはそれによって支持される。また、いくつかの実施形態により、基材430に形成されたスリット、穴、または穿孔が示されている。本明細書に記載されるように、基材430は、冷ピン穿孔、温ピン穿孔、レーザー切除穿孔、超音波または超音波穿孔などのうちの1つ以上を使用して穿孔されて、創傷接触層を液体および気体に対して浸透性とすることができる。いくつかの実施では、1つ以上の利用された穿孔プロセスは、不均等な表面(例えば、ドーナツ形状面)ではなく、孔の周りに平坦なまたは実質的に平坦な基材を生成することができる。平坦なまたは実質的に平坦な基材を有することは、(本明細書に記載の噴霧、ブラシなどによって)共形コーティングを行う場合に均質な層を生成するのに役立つことができる。さらに、構成要素の周りに穿孔が行われるとき、基材の表面を不均等に、または実質的に不均等のまま残す穿孔プロセスを使用することによって、電子接続部410または電子モジュール402などの1つ以上の構成要素が除去されるリスクが大きくなり得る。
【0219】
特定の実装では、電子接続部410、電子モジュール402、または領域422もしくは424などの、基材430上に配置された1つ以上の構成要素の周囲に穿孔が作製されるか、またはパターン化される。本明細書で説明したように、構成要素のインデックスを使用して、1つ以上の構成要素が穿孔によって損傷されないように、基材430上の1つ以上の構成要素の位置を自動的に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、基材上に配置されている、
図4Aに示された1つ以上の構成要素の前に、基材を穿孔することができる。
【0220】
図4Cは、いくつかの実施形態による、被覆440または1つ以上の接着剤領域452、454、456のうちの1つ以上の任意の適用を示す。被覆440は、電子接続部410または電子モジュール402といった、基材430または基材によって支持される構成要素のうちの1つ以上を封止またはコーティングするよう構成された、相似被覆であってもよい。被覆440は、生体適合性を提供するか、電子機器が流体などと接触することから遮断または保護し得る。被覆440は、好適なポリマー、1072MのUV、光、または熱硬化性または硬化した接着剤といった接着剤、Optimax接着剤、パリレン(パリレンCなど)、シリコン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、または別の好適な生体適合性および伸縮性材料のうちの1つ以上であり得る。被覆440は、厚さ約100ミクロン、約100ミクロンよりも薄い、または約100ミクロンよりも厚い、といった薄さであってもよい。被覆440は、UV、光、または熱硬化のうちの1つ以上を使用して適用および硬化され得る。いくつかの実施では、特に基材が流体に対して不透過性でない場合、基材430の他方の側(または創傷と反対側)に、被覆440を行うことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、任意選択である。
【0221】
示されるように、1つ以上の接着パッド、トラック、または領域452、454、456を、基材430の創傷に面する側に適用することができる。いくつかの実施形態では、創傷と接触する、またはそれに対する第1の特定また特有の範囲、領域、または場所といった、創傷の第1の特定または特有の部分に接触する、またはそれに対する電子モジュール402を貼り付けられるよう、第1の接着剤領域452を形状付け、サイズ決めし、位置付けすることができる。接着領域452は、モジュールを創傷内の特定の場所に貼り付けられるように、領域422または電子モジュール402を同様に形状付けし、サイズ決めすることができる。同様に、第2の接着剤領域454は、創傷に接触する、またはそれに対する第2の特定または特有の範囲、領域、または場所など、創傷の第2の特定または特有部分に対して、領域424によって保持される電子接続部410の一部分または部品を貼り付けるように、形状付けられ、サイズ決めされ、または位置付けられ得る。接着剤456の別の(第3の)領域が示されており、創傷に接触するか、またはそれに対する別の(第3の)特定または特有の範囲、領域、または場所といった、創傷の別の(第3)の特定または特有の部分に、創傷接触層の別の部分を貼り付けることができる。接着材料は、シリコーン、例えば、二成分シリコーン、一成分シリコーン、ゲル、エポキシ、アクリル系材料、または別の好適な材料のうちの1つ以上であってもよい。接着剤は、UV、光、または熱硬化のうちの1つ以上を使用して適用および硬化され得る。例えば、接着剤は印刷、噴霧、コーティングなどをされ、UV、光、熱硬化、触媒、水蒸気などによって硬化され得る。いくつかの実施形態では、接着剤は任意選択である。
【0222】
いくつかの実施形態では、1つ以上の接着領域をパターン化して、基材430が応力または圧力下にある間であっても、特定の構成要素を、創傷と接触してまたは創傷に対して、特定の範囲、領域、または場所に位置付けるまたは貼り付けることができる。基材は接着剤領域間で歪み得るが、センサといった電子モジュール402は、(接着剤領域452のために)創傷に接触する、または創傷に対して同じ場所に留まることになり、これにより、最も繰り返し可能な信号が維持され、基材430が歪みを受けるときに、電子接続部410が(接着剤領域454のために)創傷を横切って引きずられないように、電子接続部410の一部分または部品が、創傷に接触する、または創傷に対して同じ場所に留まることになる。追加的に、電子モジュール402の支持範囲または取付部は、身体(例えば、皮膚であり、約20%歪む場合がある)が応力のいくらかを緩和することになるため、大きな応力下に置かれることはなく(例えば、1つ以上の接着剤領域によって創傷接触層を創傷に取り付けるため)、基材が電子モジュールの周りでたわむことになる。同様の応力緩和が、接着剤領域454によって覆われる電子接続部410の部分に提供され得る。これにより、1つ以上の電子構成要素の誤作動を防止できる。
【0223】
特定の実施形態では、接着剤領域のパターンは、本明細書に記述されるインデックス付けを使用して決定できる、1つ以上の電子構成要素の位置付けに基づいてもよい。本明細書で説明した通り、創傷接触層上の応力または歪みを均一化するために接着剤をパターン化することが望ましい場合がある。1つ以上の電子構成要素が配置される領域といった、特定の範囲または領域を強化または支持しつつ、応力を分散させるか、または1つ以上の電気構成要素が歪むのを回避するように、他の領域を弱める(または剛性を下げる)ように、接着剤がパターン化され得る。例えば、接着剤とともに、創傷接触層の創傷に面する表面の少なくとも50%以上を覆うことが望ましい場合がある。特定の実装では、接着剤は、創傷接触層の創傷に面する側全体を覆う、または実質的に覆うように適用され得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、1つ以上の接着剤領域を形成するために使用される接着材料は、非伸縮性または実質的に非伸縮性であり得る。非伸縮性または実質的に非伸縮性材料の1つ以上の領域、例えば領域422および424は、使用されない、または、1つ以上の接着剤領域とは異なるようサイズ決めまたは形状付けされ得る。
【0225】
単一の電子モジュール402が
図4A~
図4Cに示されているが、特定の実装では、複数の電子モジュールを使用できる。追加の電子モジュール、または電子モジュール402と追加の電子モジュールとを相互接続する1つ以上の電子接続部410のうちの1つ以上を、1つ以上の追加の非伸縮性または実質的に非伸縮性領域上に配置することができる。追加的または代替的に、接着剤領域は、本明細書に記載されるように、創傷と接触するか、またはそれに対して、1つ以上の電子モジュールまたは電子接続部をさらに貼り付けるように配置され得る。
【0226】
構成要素の封止および応力緩和
本明細書に記載されるように、生体適合性コーティングは、創傷接触層または創傷接触層上に位置付けされた電子構成要素に適用され得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、創傷に適合する薄い可撓性の基材を含む。例えば、基材は、様々なFEPおよびコポリマー、または別の好適な材料とともに、伸縮性または実質的に伸縮性の材料またはフィルム、例えばポリウレタン、TPU、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、PET、PBT、PEN、PEIから作製され得る。基材は生体適合性ではない場合がある。コーティングは可撓性であることができる。コーティングは、1つ以上の好適なポリマー、接着剤、例えば1072-M接着剤(例えば、Dymax1072-M)、1165-M接着剤(例えば、Dymax1165-Mなど)、パリレン(例えば、パリレンC)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替品(例えば、Henkel Loctite3381)、または他の好適な生体適合性および実質的に伸縮性材料を含み得る。コーティングは、例えば、約80ミクロン以下から、最大数ミリメートル以上の薄いコーティングとすることができる。本明細書に記載のように、コーティングは、ラミネート、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱などのうちの1つ以上による硬化によって適用され得る。コーティングは、光検出を可能にするために、透明または実質的に透明とすることができる。コーティングは、滅菌、例えばEtO滅菌を受けた場合に結合強度を保持することができる。コーティングは、約A100、A80、A50以下の硬度を有することができる。コーティングは、約100%、200%、300%以上の破断時伸びを有することができる。コーティングは、約8,000~14,500センチポアズ(cP)の粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約3,000cP以上の粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約3,000cP未満の粘度を有することができる。コーティングは蛍光性であることができる。
【0227】
基材および基材によって支持される電子構成要素は、基材および電子構成要素が本体上または本体内に位置付けされることを目的とするように、共形であることが望ましい場合がある。共形の1つの特性は、創傷から電子構成要素を隔離する必要がある場合があるため、コーティング材料の伸張性である。(基材が伸縮性または実質的に伸縮性である場合、)基材に適用されるコーティングは、基材とともに伸縮する能力を必要とする場合がある。基材およびコーティングの両方の伸び特性を組み合わせることにより、デバイスの望ましい特性を最大化できる。いくつかの実施例ではTPUフィルムから形成され得る。コーティングは、アクリル化ウレタン、例えば1165-M Dymax、1072-M Dymax、または本明細書に記載の別の好適な材料から形成され得る。
【0228】
基材は、均一かつ包括的にコーティングされる必要がある場合がある(例えば、基材は生体適合性コーティングで封止される場合がある)。基材(例えば、TPU)は親水性であってもよく、したがって、創傷の上または内に配置される疎水性被覆材を作り出すために、疎水性コーティングで封止される必要がある場合がある。
【0229】
図5A~
図5Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材のコーティング(複数可)を示す。本明細書に記載のように、創傷被覆材の基材530の面の1つは、表面から突出する複数の電子構成要素402を含み得る。これは、例えば、電子モジュール402が基材430の創傷に面する表面から突出する、
図4A~
図4Cに例示されている。
図5Aに示すように、コーティング440Aを、電子構成要素を支持する基材の面に適用することができる。本明細書に記載のように、コーティング440Aは生体適合性であることができる。コーティング440Aは疎水性であることができる。コーティング440Aは、実質的に伸縮性、または伸張性であることができる。
【0230】
図5Bに示すように、コーティング440Bを、基材の反対側に適用することができる。これは、基材が生体適合性でも疎水性でもない場合に有利となり得る。コーティング440Bは生体適合性であることができる。コーティング440Bは疎水性であることができる。コーティング440Bは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。コーティング440Aおよび440Bは、同じであっても異なっていてもよい。基材530は、
図5Bに示すように、コーティング内に封止され得る。示されないが、基材530の左右の面もコーティングで封止されている。
【0231】
図6は、いくつかの実施形態による2つの生体適合性コーティングを用いた創傷被覆材をコーティングすることを示す。基材530によって支持される電子構成要素402は、特に基材530が伸縮性であるかまたは実質的に伸縮性である場合に、コーティング被覆640Aでコーティングされ得る。本明細書に記載されるように、コーティング640Aは、電子構成要素(電子モジュールまたは電子接続部を含みうる)に応力緩和を提供するために、非伸縮性または実質的に非伸縮性であることができる。コーティング640Aを、電子構成要素の上および周囲に適用することができる。コーティング640Aは生体適合性であることができる。コーティング640Aは疎水性であることができる。
【0232】
本明細書に記載の非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング、例えばコーティング640Aを、アクリレートまたは修飾ウレタン材料(例えばHenkel Loctite3211)から形成することができる。例えば、コーティングは、Dymax1901-M、Dymax9001-E、Dymax20351、Dymax20558、Henkel Loctite3211、または別の好適な材料のうちの1つ以上とすることができる。コーティングは、乾燥処理前に約13,500cP~50,000cP、または乾燥処理前に約3,600cP~約6,600cPの粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約50,000cP以下の粘性を有することができる。コーティングは、約D40~約D65の硬度、および/または約1.5~2.5%の線収縮率を持つことができる。コーティングは、光検出を可能にするために、透明または実質的に透明とすることができる。コーティングは無色、または実質的に無色であってもよい。コーティング640Aは蛍光性であることができる。コーティングは、滅菌、例えばEtO滅菌を受けた場合に結合強度を保持することができる。
【0233】
示されるように、コーティング640Bを、電子構成要素を支持する基材の面の残りの表面に適用することができる。コーティング640Bをまた、基材の反対側に適用してもよい。示されないが、基材530の左右の面もコーティングで封止されている。コーティング640Bは生体適合性であることができる。コーティング640Bは疎水性であることができる。コーティング640Bは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。コーティング640Bは、本明細書に記述される1つ以上の可撓性のまたは実質的に可撓性のコーティングいずれかと類似していてもよい。例えば、コーティング640Bは、アクリレートウレタンまたはその代替品、例えば1165-M Dymax、1072-M Dymax、Henkel Loctite3381、または別の好適な材料から形成され得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングは、生体適合性ではない場合がある。
図7に示すように、基材530によって支持される電子構成要素402は、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング740Aでコーティングされ、これは生体適合性がない。第2のコーティング740Bを、電子構成要素を支持する基体530の面に適用することができる。コーティング740Bを、コーティング740Aの上に適用することができる。コーティング740Bをまた、基材の反対側に適用してもよい。示されないが、基材530の左右の面もコーティング740Bで封止されている。コーティング740Bは生体適合性であることができる。コーティング740Bは疎水性であることができる。コーティング740Bは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。
【0235】
基材は、電子構成要素が位置付けられている側および反対側をコーティングする必要があり得るので、薄い可撓性の基材を生体適合性材料でコーティングすることは簡単ではない。加えて、基材は、均一かつ包括的にコーティングされる必要がある場合がある(例えば、基材は生体適合性コーティングで封止される場合がある)。
【0236】
いくつかの実施形態では
図8に示されるように、創傷接触層をコーティングするためのデバイス500を使用することができる。デバイス500は、底部フレーム514およびフレーム514に取り付けられたトップフレーム512を含む。基材530は、フレーム514とフレーム512との間の張力または実質的に張力で保持される。いくつかの実施では、基材530を、ヤング率が高い材料(例えば、PET、PBT、または別の好適な材料)で作製されたバッキング、例えば実質的に剛直なバッキング上に載置することができる。バッキングをフレームとして形状付けすることができ、基材530の周辺に取り付けることができる。基材530は、基材が垂れ下がらないように、デバイス500内に締め付けられるか、または保持される。いくつかの実施では、フレーム514を、本明細書に記載の基部上に載置することができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、コーティングを薄くかつ均一に適用することができる。例えば、コーティングを噴霧することができる。いくつかの実施形態では、
図9のデバイス600によって、創傷接触層に生体適合性コーティングを適用することができる。示されるように、基材530はデバイス500によって保持される。コーティングは基材530の両側のコーティング材料を噴霧することができるデバイス610によって適用される。例えば、基材530の第1の側をコーティングした後に、デバイス500をひっくり返して基材530の反対側をコーティングすることができる。フレーム514および512を、コーティングが付着しない材料から作製することができる。こうした材料は、PTFE、ナイロン、または別の好適な材料のうちの1つ以上を含み得る。例えば、PTFEフレームを図に示す。
【0238】
本明細書に記載のように、創傷接触層の面の1つは、表面から突出する複数の電子構成要素を含み得る。これは、例えば、電子モジュール402が基材430の創傷に面する表面から突出する、
図4A~
図4Cに例示されている。こうした基材の反対側を効率的かつ正確にコーティングするために、
図10のプレートまたはモールド700をいくつか実施形態で使用することができる。示されるように、モールド700は、1つ以上の電子構成要素がその中に位置付けられ得る凹部710を有す。こうした凹部はまた、くぼみ、ノッチ、刻印、ウェル、または輪郭と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、凹部710は、電子構成要素が快適に位置付けできるように形状付けされる。凹部710の開口面積または深さは、電子構成要素の組み合わせ面積または深さより大きくてもよく、またコーティングは快適な支持を提供する。1つ以上の電子構成要素を1つ以上の凹部に位置付けすることにより、基材の反対側を平坦もしくは実質的に平坦にまたは滑らかに保持し、その側にコーティングを均等に適用することを可能にする。加えて、モールド700は、基体が詰まることを防止することができる。
【0239】
特定の実施では、モールド700を、コーティングが付着しない材料から作製することができる。こうした材料は、PTFE、ナイロン、または別の好適な材料のうちの1つ以上を含み得る。例えば、PTFEモールドを図に示す。
【0240】
いくつかの実施形態では、モールドは、電子構成要素の異なる配設を有しうる様々な基材のコーティングを可能にするように形状付けされた、または配設された凹部710を含み得る。モールド700は、例えば、第1の基材がコーティングされている時に使用されない余剰または追加の凹部710を含み得る。このような追加の凹部710のうちの少なくともいくつかは、第2の基材がコーティングされる場合に、第2の基材の電子構成要素の位置付けを可能にするように配設または形状付けされるため、使用され得る。
【0241】
図11および12A~
図12Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材をコーティングするデバイス800を例示する。デバイス800では、モールド700は、支持を提供する基部518上に位置付けされる。基部518を、コーティングが付着しない材料から作製することができる。こうした材料は、ナイロン、PTFE、または別の好適な材料のうちの1つ以上を含み得る。例えば、ナイロン基部を図に示す。
【0242】
フレーム514はまた、示されるように基部上に位置付けされる。いくつかの実施形態では、フレーム514は、基部上の1つ以上の穴に取り付けるように構成される1つ以上のピンを含む。ピンはダウエルピンとすることができる。
【0243】
またフレーム512を、示されるようにフレーム514に取り付けることができる。特定の実装では、取り付けは、フレームの1つの上に位置付けされる1つ以上のピンと、他方のフレーム上に位置付けされる整合穴とを使用して実施される。ピンはダウエルピンとすることができる。
【0244】
示された配設では、基材(図示せず)は、モールド700上に配置された電子構成要素を支持する側で配置されることができ、フレーム514とフレーム512との間の張力で保持されることができる。これにより、電子構成要素を支持する面の反対の面にコーティングを適用することが可能になる。その後、モールド700を取り外すことができ、本明細書で説明したように基材をひっくり返してフレーム514とフレーム512との間に位置付けし、電子構成要素を保持する面をコーティングすることができる。
【0245】
いくつかの実施形態では、電子構成要素を支持する基材の面は、最初にコーティングされる。デバイス500(モールドなし)または800(モールド付き)を使用して、基材をフレーム514とフレーム512との間に保持することができる。モールド700は、コーティングの厚さを考慮した厚さを有することができる。モールド700は、コーティング厚さを引いたフレーム514の厚さを有する。例えば、電子構成要素を支持する基材の面に150ミクロン(0.15mm)のコーティングを適用する場合、フレーム514は10mm厚さとなり、モールド700は9.85mm厚さとなることができる。基体がひっくり返され、電子構成要素を支持するコーティングされた面がモールド700に位置付けされる場合、基材はモールド700上で正確に水平にされ、フレーム514とフレーム512との間の張力で保持されて、基材の反対側(非構成要素)の面のコーティングができる。
【0246】
いくつかの実装形態では、
図13に示されるように、剛性または実質的に剛性の剥離層または剥離ライナー1010は、追加的または代替的に使用され得る。剥離ライナー1010を基材530に適用して、基材に張力をかけた状態または実質的に張力をかけた状態で、基材をコーティングすることができる。剥離ライナー1010は、基材530の第1の面(例えば、電子構成要素を支持しない面)に適用されてもよく、対向する面をコーティングすることができる。その後、剥離ライナー1010を取り外して、その他の面(例えば、電子機器を支持する側部)をコーティングすることができる。剥離ライナー1010を、コーティングされた面に適用すると、その他の面をコーティングすることができる。剥離ライナーを、
図13に示されるようにウィンドウフレームとして形状付けすることができる。剥離ライナーを、基材に接着することも、または任意の他の好適な方法によって取り付けることもできる。
【0247】
特定の実装では、剥離ライナー1010は、本明細書に記載のバッキングとして機能することができる。
【0248】
いくつかの実施形態では、
図14A~
図14Bに示されるように、創傷接触層のモールドは、コーティング中に創傷接触層を平坦にまたは実質的に平坦に保持できるように鋳造され得る。
図14Aに示すように、鋳造材料1110を注入して、型またはモールド1120を鋳造することができる。モールドは、創傷接触層によって支持される複数の電子構成要素に適合するようにサイズ決めされた、形状付けされた、および配設された凹部1122を含む。こうした凹部はまた、くぼみ、ノッチ、刻印、ウェル、または輪郭と呼ばれることもある。
【0249】
図14Bは、モールド1120を使用して基材530をコーティングすることを示す。基材530は、基材の表面から突出する複数の電子構成要素1102を含む。電子構成要素1102は、基材の反対側が実質的に平坦になるように、モールド1120の凹部1122に位置付けされる。コーティング1140は、基材の反対側とその面を封止するために均一に適用される。
【0250】
構成要素を支持する基材530の面は、反対側のコーティングの前または後にコーティングされ得る。例えば、剥離ライナー、例えばライナー1010、または別のバッキングを反対側の非コーティング側に適用して、電子構成要素を支持する基材530の面をコーティングすることができる。その後、基材530をひっくり返してモールド1120内に配置して、
図14Bに示すように反対側をコーティングすることができる。本明細書に記載のように、モールド1120の凹部1122は、電子構成要素上のコーティングを考慮して形状付けされるおよびサイズ決めされ得る。
【0251】
本明細書に記載のように、いくつかの実施形態では、アクリル化ウレタンは、これらのポリマーが好適な接着特性および伸張性を有するため、コーティング材料として使用されることができる。圧縮空気または不活性ガスを使用してアクリル化ウレタンを噴霧コーティングすると、アクリル化ウレタンを硬化させるための重合反応の酸素阻害が生じる可能性がある。システムから酸素を除去すると、アクリル化ウレタンを硬化させるための重合反応へ及ぼす悪影響が除去される。
【0252】
図15は、いくつかの実施形態による創傷被覆材を噴霧コーティングすることを示す。噴霧デバイス1200は、空気または不活性ガスを貯蔵する加圧シリンダ1220に連結するディスペンサ1230を含む。圧縮空気またはガスの力により、コーティング1240がディスペンサ1230から基材530に噴霧される。基材は、本明細書に記載されるような複数のフレームまたはモールドのうちの少なくとも1つを含むことができるデバイス1210によって、張力または実質的に張力で保持することができる。コーティング1240は生体適合性であることができる。コーティング1240は疎水性であることができる。コーティング1240は、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。
【0253】
いくつかの実施形態では、複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかに、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングを適用することができる。
図16は、いくつかの実施形態による、非伸縮性材料を創傷被覆材に適用することを示す。噴霧デバイス1000は、空気または不活性ガスを貯蔵する加圧シリンダ1020に接続するディスペンサ1030を含む。圧縮空気またはガスの力により、コーティング1110がディスペンサ1030から接続トラック410に噴霧される。コーティング1110は、伸縮性または実質的に非伸縮性であることができる。トラック410をコーティングする代わりに、または追加的に、電子モジュールもコーティングすることができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、単層の伸縮性または非伸縮性コーティングを適用することができる。いくつかの実施形態では、伸縮性または非伸縮性コーティングの多層を適用することができる。例えば、非伸縮性コーティングの多層を適用して、所望の剛性(stiffness)または剛性(rigidity)を達成することができる。
【0255】
図17A~
図17Bは、いくつかの実施形態による非伸縮性材料の有無による性能の比較を示す。
図17Aは、非伸縮性または実質的に非伸縮性コーティングでコーティングされていない電気的接続部がどれだけ伸びるかを示す。伸縮は、例えば、患者の動きによって生じる場合がある。
【0256】
図17Bは、非伸縮性または実質的に非伸縮性コーティングでコーティングされた電子接続部がどれだけ伸びるかを示す。示されるように、コーティングされていない電子接続部410Aとコーティングされた電子接続部410Cの両方は、伸縮されていない場合にほぼ同じ長さである。しかしながら、コーティングされていない電子接続部410Bは、コーティングされた電子接続部410Dよりもはるかに長い長さまで伸びる。
【0257】
いくつかの実施形態では、本書に記載の創傷被覆材は、1つ以上の安全規格、例えば医療用電気機器の安全性と有効性に関するIEC60601規格に準拠する必要がある場合がある。このような1つ以上の規格では、創傷被覆材の電気的安全性を確保するために、非常に厳しい試験方法(複数可)が要求される場合がある。本明細書に記載のコーティング、例えばコーティング440、440A、440B、640A、640B、740A、740B、1240を、適用可能な安全基準(複数可)へのコンプライアンスを確保するために基材に適用することができる。例えば、コーティングは、創傷被覆材の電気部品を液体の侵入から保護し、電気的安全性を確保するなどができる。本明細書に記載のコーティングは、1つ以上の適用可能な安全基準に準拠する材料(複数可)から形成され得る。
【0258】
いくつかの実施形態では、コーティングは1つ以上の既存の材料、例えばフィルムを含み得る。このような既存の材料は、1つ以上の適用可能な安全規格、例えばIEC60601規格に準拠するように製造されまたは試験されてから、1つ以上の材料を本明細書に記載の基材に適用することができる。特定の実装では、既存の材料は、TPU、アクリル化ウレタン、または別の材料とすることができる。
【0259】
いくつかの実施では、電子構成要素の上にコーティングを適用することができ、これにより、コーティング層に局所的な薄化または伸張が生じる場合がある。これは、電子構成要素の配置の結果としての基材の不均一な表面による可能性がある。場合によっては、コーティングが噴霧されない場合、局所的な薄化または伸張が存在するか、検出可能になる場合がある。
【0260】
特定の実施形態では、電磁/無線周波数シールドをコーティングされた表面に適用して電子構成要素を電磁干渉から保護することができる。例えば、伝導性インクを使用することができる。インクは、シリコーン、銀などであることができる。
【0261】
穿孔された基材による構成要素の封止および応力緩和
いくつかの実施形態では、基材430は1つ以上の穿孔を含み得る。こうした1つ以上の穿孔は、下記に説明するように、コーティングプロセスの精度、効率、または速度のうちの1つ以上を改善できる。1つ以上の穿孔は、コーティングプロセスを改善するために、基材430に作製され得る。
【0262】
図18は、いくつかの実施形態による1つ以上の穿孔を有する創傷被覆材1800を示す。示された被覆材1800は、1つ以上のコネクタ404により1つ以上の電子接続部410に電気的に接続する1つ以上の電子モジュール402を支持する基材430を含む。モジュール402と1つ以上の電子接続部410との間の電気的接続(複数可)は、1つ以上の電子接続部410にモジュール402の1つ以上のコネクタ404をはんだ付けすること412によって、または他の好適な手段、例えばソケット、表面実装などを使用することによって作製され得る。基材430は、1つ以上の穿孔470を含む。示されるように、穿孔470はモジュール402の下に位置付けされ得る。いくつかの実装では、モジュール402の下に追加の穿孔を作製することができる。場合によっては、1つ以上の穿孔をモジュール402の下でもなく、それから離れることなく作製することができる。
【0263】
1つ以上の穿孔470のいずれかは、基材430および基材によって支持される1つ以上の構成要素をコーティングする場合に形成する可能性のある気泡または空気泡を逃がすことができる。本明細書に記載のように、酸素または空気の除去は、アクリル化ウレタンを硬化させるための重合反応へ及ぼす悪影響を除去することができる。
図19Aは、1つ以上の実施形態による創傷被覆材1800のコーティング1300Aを示す。本明細書に記載のように(例えば、
図6~
図7を参照)、1つ以上のモジュール402(および1つ以上の電子接続部410)は、応力緩和をもたらすために非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングでコーティングされ得る。
図19Aは、適用されているこのようなコーティング480を示す。コーティング480は、示されるようにモジュール402の下に流れることができる。これにより、ガスまたは空気がコーティング内またはモジュール402の下に閉じ込められるのではなく、1つ以上の穿孔470のいずれかからガスまたは空気が漏れることができる。場合によっては、コーティング480は、効率的な流れを促進するのに十分な粘度を有するが、粘度が高い材料はモジュール402の周囲に完全に共形しない可能性があるため、モジュール402に必要な応力緩和をもたらさないほどには高粘度にはならない。本明細書に記載されるように、コーティング480は、約13,500~50,000cP、または約3,600~6,600cP(例えば、約17,000cP)の粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは約50,000cP以下の粘性を有することができる。示されるように、1つ以上の穿孔470のいずれも、コーティング480で完全にまたは部分的に充填され得る。いくつかの実装では、コーティングプロセスは、基材430全体に圧力差を生成することにより促進され得る。例えば、基材430の上面(図示の部品側)に基材430の反対側の底部よりも高い圧力を印加すると、コーティング480を強制的に穿孔470に流すことができる。いくつかの実装では、より高い圧力を印加して、基材430の上面を噴霧コーティング、例えば圧縮空気または不活性ガスによる噴霧コーティングすることができる。
【0264】
図19Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材1800のコーティング1300bを示す。創傷被覆材1200は、
図19Aに関連して説明したように、コーティング480で既にコーティングされていることができる。本明細書に記載のように、追加のコーティング(複数可)を創傷被覆材1200に適用することができる。例えば、
図5A~
図5Bに関連して説明したように、このような追加のコーティング(複数可)は、生体適合性、疎水性、または実質的に伸縮性もしくは伸張性のうちの1つ以上であることができる。追加のコーティング(複数可)を使用して、基材430を封止するまたは実質的に封止することができる。
【0265】
図19Bに示されるように、追加的なコーティング492および494のうちの1つ以上を、創傷被覆材1200に適用することができる。コーティング492を、基材430の上面(または部品側)に適用することができる。コーティング494を、基材430の反対側の底面に適用することができる。
【0266】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材1200を製造またはコーティングするプロセス中に1つ以上の剥離ライナーを使用してもよい。例えば、基材430の底面上に剥離ライナー(図示せず)を設けることができ、これは、コーティング492の適用が成功した後、コーティング494が適用される前に剥離され得る。ソフトコート494が適用される前に基材430の上面に追加のライナーが適用されることができ、これはその後除去されてもよい。このような剥離ライナーのうちの1つ以上を使用することにより、コーティング494が適用されるべき領域にコーティング492が適用されないこと、逆もまた同様であることを確実にすることができる。
【0267】
コーティング480、492、または494のうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ以上を使用して適用することができる。場合によっては、1つ以上の穿孔470のいずれも、本明細書に記載の1つ以上のコーティング、例えば1つ以上のコーティング480または494で完全にまたは部分的に充填され得る。いくつかの実装では、1つ以上の穿孔のいずれかを1つ以上のコーティングで部分的に充填することができ、流体、例えば創傷滲出物が創傷被覆材が通過できるようにすることができる。
【0268】
基材の実施形態およびコーティングの実施形態の追加の実施例は、2018年4月11日に出願された国際特許出願第PCT/EP2018/059333号、名称「COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS」、および2018年7月23日に出願された国際特許出願第PCT/EP2018/069883号、名称「BIOCOMPATIBLE ENCAPSULATION AND COMPONENT STRESS RELIEF FOR SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS」に見出すことができ、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0269】
コーティングによる構成要素の保護
図20A~
図20Bは、いくつかの実施形態による、複数の電子構成要素を備えた、
図4A~
図4Cを参照して説明した創傷被覆材と同様の創傷被覆材を示す。示されるように、シートまたは基材2030は、複数のコネクタ2004および複数の電子接続2010を有する、電子構成要素またはモジュール2002を含む、1つ以上の電子構成要素を支持するように構成されている。基材2030は、本明細書に記載されるように、伸縮性または実質的に伸縮性の創傷接触層であってもよい。電子モジュール2002は、センサ、光源(LED、温度センサ、光センサなど)、コントローラ、またはプロセッサ(通信プロセッサなど)などといった、本明細書に記載される任意の電子構成要素であってもよい。電子接続部2010は、例えば伝導性銅、伝導性インク(例えば、銀インク、グラファイトインクなど)などを使用して、基材2030上に印刷されたトラックであってもよい。電子接続2010の少なくともいくつかは、可撓性もしくは伸縮性または実質的に可撓性もしくは実質的に伸縮性であり得る。コネクタ2004は、電子モジュール2002を電子接続2010に電気的に接続するよう構成され得、さらに、基材2030上または、創傷被覆材の他の構成要素に、もしくは創傷被覆材の外側に位置付けられた他の電子モジュール(図示せず)に接続され得る。コネクタ2004は、ピン、リード線、バンプなどであってもよい。追加的または代替的に、ソケットは、電子モジュール2002を支持および電気的に接続するために使用され得る。基材およびコネクタは、コネクタ2004によって形成される電気的接続を強化または補強するために、前述の
図4A~
図4Cを参照して説明したように、非伸縮性または実質的に非伸縮性の材料でコーティングされ得る。コーティングは、基材(例えば、コネクタ2004の下)またはコネクタ2004に少なくとも適用され得る。
【0270】
接続領域2012を保護するために、基材2030にコーティングを適用することができる。接続領域2012は、電子モジュール2002と電気接続2010との間の点に電子コネクタ2004を含み得る。代替的または追加的に、接続領域2012は、電子モジュール2002および電気接続2010の少なくとも一部を含み得る。例えば、接続領域2012は、コネクタ2004と、コネクタを支持するか、またはコネクタに隣接する、創傷接触層または基材(1つ以上の電子構成要素または電子トラックを含む)の区域と、を含み得る。いくつかの実施形態では、硬質または非伸縮性もしくは実質的に非伸縮性の接着剤材料を、接続領域2012に適用して、接続領域2012を支持または増強することができる。
【0271】
いくつかの実施形態では、コーティングは、本明細書に記載の硬化技術のうちのいずれかを使用して、固体材料として硬化することができる。これは、基材から既に突出している区域(例えば、1つ以上の電子モジュール)を、より誇張させ得、これは、圧力によって使用時に組織に不快感または損傷を引き起こす傾向を有し得る。したがって、構成要素の弱い接続領域を保護し、基材が使用されているときに患者への圧力関連の組織損傷のリスクを最小化する必要性のバランスをとることが有利であり得る。
【0272】
異なる適用パターンを使用して、接続領域2012に強化接着剤コーティングを適用することができる。
図21A~
図21Dは、接続領域2012をコーティングするために使用され得る非伸縮性または非伸縮性の接着剤コーティング材料2013の異なる適用パターンを示す。
【0273】
図21Aに示すように、コーティング材料2013の層は、電子モジュール2002および接続領域2012全体にわたって、材料のボールまたは大きなドットとして適用され得る。この適用は、大きな保護区域を提供し、電子モジュール全体を強化することができる。
【0274】
いくつかの実施形態では、既に突出した区域上の接着剤の大きな質量は、より多くの患者の不快感を引き起こすことがあり、空気ポケットが電子モジュール(本明細書に記載されるような)の下に閉じ込められることを可能にし得、これは硬化(例えば、オーブンで温度硬化される)すると膨張し得る。したがって、非伸縮性または実質的に非伸縮性の接着剤コーティング材料を電子モジュールの周りに別個のパターンで適用することが有利であり得る。
【0275】
図21Bは、電子モジュール2002の周囲の周りに適用されたコーティング材料2013の層を示す。電子モジュール2002の周囲の周りにコーティング材料2013を適用することは、電子モジュール2002の高さプロファイル(または膨出)を増加させない一方で、全周囲が保護および強化されることを確実にすることができる。
【0276】
場合によっては、コーティング材料2013は、少なくとも1つのコネクタと関連付けられた区域で、電子構成要素の周囲の周りの区域に適用され得る。場合によっては、コーティング材料2013は、少なくとも1つのコネクタと関連付けられていない区域で、電子構成要素の周囲の周りの区域に適用され得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、コーティング材料2013は、接続領域2012においてコネクタ2004をコーティングすることができる。
図21Cは、接続領域2012におけるコネクタ2004上のコーティング材料2013の線またはストリップを示す。
図21Dは、接続領域2012におけるコネクタ2004上のコーティング材料2013のボールまたはドットパターン(または任意の他の好適な形状付けされたパターン)の適用を示す。
図21C~
図21Dは、補強されることから利益を得ることができる基材上の弱い区域にのみ適用される最小限の量の接着剤を含む。この適用は、膨出を最小化し、したがって患者の不快感を最小化することができる。この適用パターンはまた、示されたパターンが電子モジュール2002の周囲を密封しないため、硬化中に膨張する場合、空気が電子構成要素の下から脱出することを可能にする。任意のパターンを利用して、接続領域のコネクタをコーティングすることができる。場合によっては、例えば、パターンは、構成要素の外部縁部を輪郭形成するように設定され得る。
【0278】
場合によっては、コーティング材料2013は、電子構成要素または電子モジュール2002の縁部の上に適用され得る。コーティング材料2013は、電子コネクタ2004および/または接続領域2012に隣接する区域で、電子構成要素または電子モジュール2002の縁部の上に適用され得る。
【0279】
いくつかの実施形態では、接合点を強化するために適用されたコーティング材料2013の上に、接着剤またはコーティングの追加層を適用することができる。いくつかの実施形態では、接着剤またはコーティングの追加層を、基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料2013上に適用することができる。基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料2013上に適用される接着剤またはコーティングの追加層は、本明細書に記載される接着剤またはコーティングのうちのいずれかとすることができる。いくつかの実施形態では、接着剤またはコーティングの追加層は、
図4~
図7を参照して記載したコーティング(複数可)と同様に、基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料2013上に適用され得る。
【0280】
いくつかの実施形態では、追加の非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングまたは接着剤を、基材上の構成要素上に適用することができる。例えば、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングまたは接着剤を、基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料の2013の1つ以上の部分上に適用することができる。いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングまたは接着剤の追加層は、
図4~
図7を参照して記載した非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングまたは接着剤と同様に、基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料2013上に適用され得る。
【0281】
いくつかの実施形態では、実質的に伸縮性または伸張性のコーティングまたは接着剤は、基材の創傷に面する表面上に均一に適用され得る。実質的に伸縮性または伸張性のコーティングまたは接着剤は、基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料2013上に均一に適用され得る。いくつかの実施形態では、実質的に伸縮性または伸張性のコーティングまたは接着剤は、基材の反対側(創傷に面する表面と対向する)に適用され得る。基材は、本明細書に記載されるような実質的に伸縮性または伸張性のコーティングまたは接着剤に封止され得る。例えば、基材の側面はまた、コーティング内に封止され得る。実質的に伸縮性または伸張性のコーティングまたは接着剤は、本明細書に記載される、特に
図4~
図7を参照して記載されるような、実質的に伸縮性または伸張性のコーティングまたは接着剤と類似し得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、基材、電子モジュール、コネクタ、電気接続、および/またはコーティング材料2013は、追加の接着剤またはコーティングで覆われ得る。少なくとも1つの追加のコーティングを、電子構成要素を支持する基材の側面に適用することができる。少なくとも1つの追加のコーティングはまた、電子構成要素を支持する基材の側面の反対側の基材の側面に適用されてもよい。基材の側面はまた、少なくとも1つの追加のコーティングに封止され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコーティングは、実質的に伸縮性または伸張性であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコーティングは、生体適合性コーティングとすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加のコーティングは、疎水性コーティングとすることができる。
【0283】
図5~
図7を参照して前述したように、基材530は、1つ以上のコーティングでコーティングされ得る。
図22~
図23は、
図5~
図7を参照して記載した創傷被覆材のコーティング(複数可)と同様の、いくつかの実施形態による創傷被覆材のコーティング(複数可)を示す。本明細書に記載のように、創傷被覆材の基材2230の側面のうちの1つは、基材2230の表面から突出する複数の電子構成要素2202を含み得る。これは、例えば、電子モジュール402が基材530の創傷に面する表面から突出する、
図4A~
図4Cに示されている。
図22に示すように、コーティング2240Aを、電子構成要素を支持する基材の側面に適用することができる。本明細書に記載のように、コーティング2240Aは生体適合性であることができる。コーティング2240Aは疎水性であることができる。コーティング2240Aは、実質的に伸縮性、または伸張性であることができる。場合によっては、コーティング2240Aは、10~200μm(約10~200μm)の厚さの範囲を有し得る。場合によっては、コーティング2240Aは、80~130μm(約80~130μm)の厚さの範囲を有し得る。
【0284】
図22に示すように、コーティング2240Bを、基材の反対側に適用することができる。これは、基材が生体適合性でも疎水性でもない場合に有利となり得る。コーティング2240Bは、生体適合性であることができる。コーティング2240Bは、疎水性であることができる。場合によっては、コーティング2240Bは、親水性コーティングとすることができる。コーティング2240Bは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。コーティング2240Aおよび2240Bは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。基材2230は、本明細書で記載した通り、コーティング内に封止され得る。示されないが、基材2230の左右の面もコーティングで封止されている。場合によっては、コーティング2240Bは、アクリル化ウレタンであってもよく、硬化されたコーティングは親水性であってもよい。場合によっては、コーティング2240Bは、10~200μm(約10~200μm)の厚さの範囲を有し得る。場合によっては、コーティング2240Bは、80~130μm(約80~130μm)の厚さの範囲を有し得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、基材2230の表面から突出する電子モジュール2202上に追加のコーティング2240Cを適用して、これらの構成要素の完全な被覆およびコーティングを確実にすることができる。コーティング2240Cは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。コーティング2240A、2240B、および2240Cは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。電子モジュール2202または他の突出した構成要素上にのみコーティングの追加の層を提供することによって、電子モジュール2202が、薄いコーティングが有用である場合がある他の区域にわたって(例えば、温度センサおよびインピーダンスパッドにわたって)薄くて一貫したカバレッジを維持しながら、適切な厚さのコーティングによって被覆され得ることを確実にすることができる。場合によっては、コーティング2240Cは、疎水性であり得る。他の場合では、コーティング2240Cは、親水性であってもよい。場合によっては、基材2230は、親水性によってもよい。場合によっては、基材2230は、疎水性であってもよい。場合によっては、コーティング2240Cは、10~200μm(約10~200μm)の厚さを有し得る。コーティング2240Cは、80~130μm(約80~130μm)の厚さの範囲を有し得る。
【0286】
他の場合では、コーティング2240Aおよび2240Cの両方は、10~200μm(約10~200μm)の厚さの組み合わされた厚さを有し得る。コーティング2240Aおよび2240Cの両方は、80~130μm(約80~130μm)の厚さの組み合わされた厚さの範囲を有し得る。
【0287】
場合によっては、コーティング2240Bは、電子構成要素、電子接続、および/または電子トラック上を含む、基材上の均一または均質な厚さ(または実質的に均一または均質な厚さ)を有し得る。
【0288】
図23は、いくつかの実施形態による3つの生体適合性コーティングを有する創傷被覆材のコーティングを示す。基材2330によって支持される電子構成要素2302は、特に基材2330が伸縮性であるか、または実質的に伸縮性である場合に、コーティング被覆2340Aでコーティングされ得る。本明細書に記載されるように、コーティング2340Aは、電子構成要素(電子モジュールまたは電子接続部を含み得る)に応力緩和を提供するために、非伸縮性または実質的に非伸縮性であることができる。コーティング2340Aは、
図20~
図21を参照して本明細書に記載されるように、電子構成要素、電子接続、またはコネクタの上およびその周りに適用され得る。コーティング2340Aは、生体適合性であることができる。コーティング2340Aは、疎水性であることができる。
【0289】
本明細書に記載の非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング、例えばコーティング2340Aを、アクリレートまたは修飾ウレタン材料(例えばHenkel Loctite3211)から形成することができる。例えば、コーティングは、Dymax1901-M、Dymax9001-E、Dymax20351、Dymax20558、Henkel Loctite3211、または別の好適な材料のうちの1つ以上とすることができる。コーティングは、乾燥処理前に約13,500cP~50,000cP、または乾燥処理前に約3,600cP~約6,600cPの粘度を有することができる。場合によっては、コーティングは、約50,000cP以下の粘性を有することができる。コーティングは、約D40~約D65の硬度、および/または約1.5~2.5%の線収縮率を有することができる。コーティングは、光検出を可能にするために、透明または実質的に透明とすることができる。コーティングは無色、または実質的に無色であってもよい。コーティング2340Aは、蛍光性であることができる。コーティングは、滅菌、例えばEtO滅菌を受けた場合に結合強度を保持することができる。
【0290】
示されるように、コーティング2340Bを、電子構成要素を支持する基材の面の残りの表面に適用することができる。コーティング2340Bを、電子構成要素を支持する基材の側面の表面全体に適用することができる。場合によっては、コーティング2340Bは、10~200μm(約10~200μm)の厚さを有し得る。場合によっては、コーティング2340Bは、80~130μm(約80~130μm)の厚さの範囲を有し得る。
【0291】
コーティング2340Bをまた、基材の反対側に適用してもよい。示されないが、基材2330の左右の面もコーティングで封止されている。コーティング2340Bは、生体適合性であることができる。コーティング2340Bは、疎水性であることができる。コーティング2340Bは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。コーティング2340Bは、本明細書に記載される1つ以上の可撓性のまたは実質的に可撓性のコーティングのうちのいずれかと類似していてもよい。例えば、コーティング2340Bは、アクリレートウレタンまたはその代替品、例えば1165-M Dymax、1072-M Dymax、Henkel Loctite3381、または別の好適な材料から形成され得る。
【0292】
場合によっては、電子構成要素を支持する基材の側面上のコーティング2340Bは、基材の反対側をコーティングするコーティング2340Bと同じであってもよいか、またはそれとは異なる材料であってもよい。場合によって、基材の一方または両面上のコーティング2340Bは、コーティング2340Aと同じであってもよいか、またはそれとは異なっていてもよい。
【0293】
いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングは、生体適合性ではない場合がある。
図23に示すように、基材2330によって支持される電子構成要素2302は、生体適合性でない、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング2340Aでコーティングされている。第2のコーティング2340Bを、電子構成要素を支持する基体2330の側面に適用することができる。コーティング2340Bを、コーティング2340A上に適用することができる。コーティング2340Bをまた、基材の反対側に適用してもよい。示されないが、基材2330の左右の側面もコーティング2340Bで封止されている。コーティング2340Bは、生体適合性であることができる。コーティング2340Bは、疎水性であることができる。コーティング2340Bは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。
【0294】
基材は、電子構成要素が位置付けられている側および反対側をコーティングする必要があり得るので、薄い可撓性の基材を生体適合性材料でコーティングすることは簡単ではない場合がある。加えて、基材は、均一かつ包括的にコーティングされる必要がある場合がある(例えば、基材は生体適合性コーティングで封止される場合がある)。いくつかの実施形態では、基材2330の表面から突出する電子モジュール2302上に追加のコーティング2340Cを適用して、これらの構成要素の完全な被覆およびコーティングを確実にすることができる。コーティング2340Cは、実質的に伸縮性または伸張性であることができる。コーティング2340Bおよび2340Cは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。電子モジュール2302または他の突出した構成要素上にのみコーティングの追加の層を提供することによって、電子モジュール2302が、薄いコーティングが有用である場合がある他の区域にわたって(例えば、温度センサおよびインピーダンスパッドにわたって)薄くて一貫したカバレッジを維持しながら、適切な厚さのコーティングによって被覆され得ることを確実にすることができる。場合によっては、コーティング2340A、2340B、および/または2340Cは、生体適合性コーティングとすることができる。場合によっては、コーティング2340A、2340B、および/または2340Cは、全て同じコーティングであってもよく、または全て異なるコーティングであってもよい。場合によっては、コーティング2340A、2340B、および/もしくは2340Cのうちの1つ以上は、他のコーティングのうちの1つと同じコーティング材料であってもよく、またはコーティング2340A、2340B、および/もしくは2340Cのうちの1つ以上は、別のコーティングとは異なる材料であってもよい。場合によっては、基材上に複数の異なるコーティングを使用する代わりに、1つのコーティングの複数のパスを使用することができる。例えば、場合によっては、コーティング2340Bの複数のパスを、コーティング2340Aおよび2340Bの両方を使用する代わりに使用することができる。場合によっては、コーティング2340Bの複数のパスを、コーティング2340Bおよび2340Cの両方を使用する代わりに使用することができる。本明細書に記載される任意のコーティングの複数のパスを使用して、基材、電子構成要素、電子接続、および/または電子トラックをコーティングすることができる。コーティングの複数のパスは、コーティング内のギャップの形成を回避することができる。コーティング適用の複数パスは、基材、電子構成要素、電子接続、および/または電子トラック上の1つ以上の層の厚さを制御することができる。コーティング適用の複数のパスは、基材、電子構成要素、電子接続、および/または電子トラック上のカバレッジにギャップがないことを確実にすることができる。
【0295】
場合によっては、基材の第1の側面は、コーティング2340Bでコーティングされ得る。第1の側面の反対側の基材の第2の側面は、コーティング2340Bでコーティングされてもよく、または異なるコーティングでコーティングされてもよい。追加的に、基材の第1の側面は、電子構成要素および/または電子コネクタ上にコーティング2340Cでコーティングされ得る。
【0296】
場合によっては、単層コーティングを使用することができる。例えば、コーティング2340Bの単層を使用することができる。場合によっては、コーティングの複数の層が使用されない場合がある。このような場合、単一のコーティングを使用して、様々な厚さで適用することができる。コーティングの非均質な厚さは、電子構成要素および/または電子コネクタ上に適用されるより大きな厚さを可能にし得る一方、同じまたは異なるコーティングのより薄い層を、基材の残りの部分上に適用することができる。コーティングの非均質な厚さは、適用される材料の複数層、コーティングの適用に使用される複数パス、ならびに/または基材上の別々の区域、および/もしくは電子構成要素および/もしくは電子コネクタ上の別々の区域において、異なる厚さのコーティングを適用するコーティングの1つのパスを使用して生成され得る。
【0297】
場合によっては、本明細書に記載のコーティングのうちの1つ以上は、液体として基材に適用され得、液体は、基材に一度適用されると硬化され得る。場合によっては、1つ以上のコーティングを基材上に噴霧することができる。場合によっては、1つ以上のコーティングの噴霧は、圧縮空気または不活性ガスを噴霧することを含み得る。場合によっては、コーティングの取り扱いおよび硬化は、不活性雰囲気技術の下で発生し得る。場合によっては、本明細書に記載のコーティングは、圧力のみ(ガスなし)を使用して噴霧することによって適用され得る。
【0298】
基材、電子構成要素、および/または電子接続のコーティングは、不活性ガス中で実施され得る。コーティングされた基材、電子構成要素、および/または電子接続は、不活性ガス中で硬化され得る。場合によっては、窒素、アルゴン、および/またはヘリウムなどのガス。不活性雰囲気技術の使用により、封止剤および空気接合部のすぐ周りの区域からの酸素を実質的に置換することができる。場合によっては、一部のガスは空気よりも軽く、その他のガスは空気よりも重いため、選択されたガスに応じて異なる噴霧、硬化、および/または取り扱い技術が使用される場合がある。場合によっては、これをUV硬化系で使用することができる。
【0299】
場合によっては、コーティングされた基材、電子構成要素、および/または電子接続は、UV、熱、および/または触媒二成分の混合を含むがこれらに限定されない、任意の硬化プロセスタイプを使用して硬化され得る。
【0300】
場合によって、1つ以上のコーティングは、押出しおよびカーテンコーティング(噴霧化なし)を通して適用され得る。場合によって、コーティングは、コーティングのための測定された分注と共に適用され、本明細書に記載されるように、コーティングの量および/または厚さを変化させることができる。場合によって、コーティングのうちのいずれかの測定された分注を使用して、基材をコーティングすることができる。
【0301】
図24Aは、基材2430の表面全体にわたってコーティング2440Bの薄い層を有する基材2430の一実施形態を示す。コーティングは、可能な限り薄く基材2430上に適用されて、装置がセンサの性能を妨げることなく、必要に応じて機能し、および絶縁するために必要な絶縁を提供することができる。
図24Aに示すように、基体2430は、基体表面上の他の構成要素よりも背が高いか、または基体2430の表面から突出する電子モジュール2402を含む。電子モジュール2402などのこれらの突出する構成要素は、コーティング2440Bの薄い層を通して突出するリスクを実行し、曝露区域を潜在的に引き起こす。したがって、均一な層のコーティングを基体2430の表面上に適用することができ、追加層のコーティングを電子モジュール2402などの突出した構成要素またはより背の高い構成要素の上に適用して、それらが完全被覆を有することを確実にすることができる。この追加層のコーティングは、絶縁層内で発生する不良点の可能性を低減する。
図24Bは、電子モジュール2402上のコーティング2440Cの追加層を示す。
【0302】
他の変形
いくつかの実施形態では、創傷に面する側の反対にある創傷接触層の側に1つ以上の電子構成要素を位置付けることができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、このような創傷接触層に同様に適用可能である。コーティングを噴霧することは上記で説明されているが、コーティングを適用するための他の好適な方法が特定の実施形態で使用されることができる。そのような方法には、ディップコーティング、スピンコーティング、蒸着、化学堆積、電気化学堆積、ロールツーロールコーティング、ラミネート、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱などのうちの1つ以上による硬化、のうちの1つ以上が含まれる。
【0303】
本明細書に記載の特定の実施形態は創傷被覆材に関するが、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、創傷被覆材にも医療用途にも限定されない。本明細書で開示されるシステムおよび方法は、一般的に、一般的な電子デバイス、例えばユーザーが着用またはユーザーに適用できる電子デバイスに適用可能である。
【0304】
本明細書で提供される閾値、制限、期間などの値は、絶対的な値を意図したものではなく、したがっておおよその値とすることができる。加えて、本明細書で提供される任意の閾値、制限、期間などは、自動的にまたはユーザーによって、固定されるかまたは変えられ得る。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、様々なプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明され得るが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈され得る。
【0305】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特性の全て、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップの全ては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0306】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされ得る。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて行われる実際のステップは、図に示されたステップとは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで行われる実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアもしくはファームウェアとして実装されてもよい。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェア部品は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0307】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定され得る。
【0308】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしく特定の任意の実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザー入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」などの用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で使用され、追加の要素、特性、行為、および動作などを排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの1つ、いくつか、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0309】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目、用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に使用される文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも1つのXと、少なくとも1つYと、少なくとも1つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0310】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0311】
本開示の範囲は、本節または本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節または本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で採用されている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷被覆材をコーティングするための方法であって、前記方法が、
前記創傷被覆材の実質的に可撓性の基材の第1の側面上に第1のコーティングを適用することであって、前記基材の前記第1の側面が、複数の電子構成要素と、電子トラックと、前記電子構成要素と電子トラックとの間の複数のコネクタと、を支持し、前記第1のコーティングが、前記複数のコネクタのうちの少なくとも1つのコネクタに適用されて、前記少なくとも1つのコネクタを強化する、適用することと、
前記基材の前記第1の側面上に第2のコーティングを適用することと、
前記第1の側面に対向する前記基材の第2の側面を、第3のコーティングでコーティングすることと、
前記複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかを、第4のコーティングでコーティングすることと、を含む、方法。
[付記項2]
前記可撓性の基材が、可撓性および伸張性基材である、付記項1に記載の方法。
[付記項3]
前記少なくとも1つのコネクタによって電気的に接続される少なくとも1つの電子構成要素または電子トラックを支持し、かつ囲む、前記基材の個別の区域に、前記第1のコーティングを適用して、前記基材の前記区域を強化することをさらに含む、付記項1または2に記載の方法。
[付記項4]
前記第1のコーティングが、前記少なくとも1つのコネクタと関連付けられた電子構成要素の周囲を囲む区域に適用される、付記項1~3のいずれかに記載の方法。
[付記項5]
前記第1のコーティングが、前記少なくとも1つのコネクタが位置付けられている電子構成要素の第1の側面上の区域に適用されており、前記少なくとも1つのコネクタが位置付けられていない前記電子構成要素の第2の側面上に適用されていない、付記項1~3のいずれかに記載の方法。
[付記項6]
前記第1のコーティングが、ストリップパターンで適用される、付記項1~5のいずれかに記載の方法。
[付記項7]
前記第1のコーティングが、ドットパターンで適用される、付記項1~5のいずれかに記載の方法。
[付記項8]
前記第2のコーティングが、疎水性コーティングを含む、付記項1~7のいずれかに記載の方法。
[付記項9]
前記第2のコーティングが、親水性コーティングを含む、付記項1~7のいずれかに記載の方法。
[付記項10]
前記第2のコーティングが、10~200μmの厚さを含む、付記項1~9のいずれかに記載の方法。
[付記項11]
前記第2のコーティングが、18~130μmの厚さを含む、付記項1~10のいずれかに記載の方法。
[付記項12]
前記第1、第2、第3、および/または第4のコーティングが、生体適合性コーティングを含む、付記項1~11のいずれかに記載の方法。
[付記項13]
前記第2のコーティングが、生体適合性コーティングを含む、付記項1~12のいずれかに記載の方法。
[付記項14]
前記第1および第2のコーティングが、生体適合性コーティングを含む、付記項1~12のいずれかに記載の方法。
[付記項15]
前記第2のコーティングおよび前記第3のコーティングが、同じ材料である、付記項1~14のいずれかに記載の方法。
[付記項16]
前記第2のコーティングおよび前記第4のコーティングが、同じ材料である、付記項1~15のいずれかに記載の方法。
[付記項17]
前記第2のコーティング、前記第3のコーティング、および第4のコーティングが、同じ材料である、付記項1~16のいずれかに記載の方法。
[付記項18]
前記基材が、少なくとも部分的に親水性材料から形成される、付記項1~17のいずれかに記載の方法。
[付記項19]
前記基材が、少なくとも部分的に疎水性材料から形成される、付記項1~18のいずれかに記載の方法。
[付記項20]
前記基材が、少なくとも部分的に可撓性材料から形成される、付記項1~19のいずれかに記載の方法。
[付記項21]
前記基材が、少なくとも部分的に伸張性材料から形成される、付記項1~20のいずれかに記載の方法。
[付記項22]
前記基材を前記第2のコーティングで封止することをさらに含む、付記項1~21のいずれかに記載の方法。
[付記項23]
前記第1のコーティングが、実質的に非伸縮性である、付記項1~22のいずれかに記載の方法。
[付記項24]
前記第2のコーティングが、実質的に伸縮性である、付記項1~23のいずれかに記載の方法。
[付記項25]
前記第3のコーティングが、実質的に伸縮性である、付記項1~24のいずれかに記載の方法。
[付記項26]
前記第4のコーティングが、実質的に伸縮性である、付記項1~25のいずれかに記載の方法。
[付記項27]
前記複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかを、前記第1、第2、第3、および/または第4のコーティングの複数の層でコーティングすることをさらに含む、付記項1~26のいずれかに記載の方法。
[付記項28]
前記基材の前記第1および第2の側面を前記第2および第3のコーティングでコーティングすることが、前記第2および第3のコーティングを噴霧することを含む、付記項1~27のいずれかに記載の方法。
[付記項29]
噴霧することが、圧縮空気または不活性ガスを用いて噴霧することを含む、付記項28に記載の方法。
[付記項30]
前記材料の取り扱いおよび硬化が、不活性雰囲気技術の下で発生する、付記項1~29のいずれかに記載の方法。
[付記項31]
前記第1のコーティングが、Dymax20351、Dymax20558、Dymax9001-E、またはLoctite3211のうちの少なくとも1つを含む、付記項1~30のいずれかに記載の方法。
[付記項32]
前記第1のコーティングが、約50,000センチポアズ以下の粘度を有する、付記項1~31のいずれかに記載の方法。
[付記項33]
前記第1のコーティングが、前記少なくとも1つのコネクタと関連付けられていない区域で、電子構成要素の周囲の周りの区域に適用される、付記項1~32のいずれかに記載の方法。
[付記項34]
前記第1のコーティングが、前記複数の電子構成要素の構成要素の縁部に適用されて、前記構成要素の前記縁部および前記複数のコネクタのうちの前記少なくとも1つのコネクタを強化する、付記項1~33のいずれかに記載の方法。
[付記項35]
創傷被覆材器具であって、
実質的に可撓性の基材であって、複数の電子構成要素と、電子トラックと、前記電子構成要素と電子トラックとの間の複数のコネクタと、を支持する前記基材の第1の側面を含み、前記基材の前記第1の側面上の第1のコーティングが、前記複数のコネクタのうちの少なくとも1つのコネクタに適用されて、前記少なくとも1つのコネクタを強化する、基材と、
前記基材の前記第1の側面上の第2のコーティングと、
前記第1の側面に対向する前記基材の第2の側面上の第3のコーティングと、
前記複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかにわたって適用される、第4のコーティングと、を含む、創傷被覆材器具。
[付記項36]
前記可撓性基材が、可撓性かつ伸張性基材である、付記項35に記載の創傷被覆材器具。
[付記項37]
前記第1のコーティングが、前記少なくとも1つのコネクタによって電気的に接続される少なくとも1つの電子構成要素または電子トラックを支持し、かつ囲む、前記基材の個別の区域に適用されて、前記基材の前記区域を強化する、付記項35または36に記載の創傷被覆材器具。
[付記項38]
前記第1のコーティングが、前記少なくとも1つのコネクタと関連付けられた電子構成要素の周囲を囲む区域に適用される、付記項35~37のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項39]
前記第1のコーティングが、前記少なくとも1つのコネクタが位置付けられている電子構成要素の第1の側面上の区域に適用されており、前記少なくとも1つのコネクタが位置付けられていない前記電子構成要素の第2の側面上に適用されていない、付記項35~38のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項40]
前記第1のコーティングが、実質的に非伸縮性である、付記項35~39のいずれか
に記載の創傷被覆材器具。
[付記項41]
前記第2のコーティングが、実質的に伸縮性である、付記項35~40のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項42]
前記第3のコーティングが、実質的に伸縮性である、付記項35~41のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項43]
前記第4のコーティングが、実質的に伸縮性である、付記項35~42のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項44]
前記複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかが、前記第1、第2、第3、および/または第4のコーティングの複数の層でコーティングされる、付記項35~43のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項45]
前記第2のコーティングおよび前記第3のコーティングが、同じ材料である、付記項35~44のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項46]
前記第2のコーティングおよび前記第4のコーティングが、同じ材料である、付記項35~45のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項47]
前記第2のコーティング、前記第3のコーティング、および第4のコーティングが、同じ材料である、付記項35~46のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項48]
前記基材が、前記第2のコーティングで封止されている、付記項35~47のいずれかに記載の創傷被覆材器具。
[付記項49]
付記項1~48のいずれかに記載の方法で製造および/またはコーティングされる、創傷被覆材。
[付記項50]
示されおよび/または記載されるように製造および/またはコーティングされた、創傷被覆材。
[付記項51]
示されおよび/または記載されるように創傷被覆材を製造および/またはコーティングする、方法。