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  • 特許-積層体用の軟質で化学強化可能なガラス 図1A
  • 特許-積層体用の軟質で化学強化可能なガラス 図1B
  • 特許-積層体用の軟質で化学強化可能なガラス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】積層体用の軟質で化学強化可能なガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/097 20060101AFI20240219BHJP
   C03B 17/06 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
C03C3/097
C03B17/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021510313
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019047836
(87)【国際公開番号】W WO2020046730
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】62/724,798
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ティモシー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ティーツ ムーア,リサ アン
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-536729(JP,A)
【文献】特表2016-538221(JP,A)
【文献】特表2013-533838(JP,A)
【文献】特表2013-520388(JP,A)
【文献】国際公開第2012/137742(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/074335(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/084670(WO,A1)
【文献】特開2018-510113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/00-35/26
40/00-40/04
C03C 1/00-14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のガラス組成物を含むアルミノシリケートガラス物品であって、
前記ガラス組成物が、
7モル%~13モル%の範囲の量のAlと、
13モル%~24モル%の範囲の総量のアルカリ金属酸化物(R O)であって、R O-Al が8モル%~12モル%である、アルカリ金属酸化物(R O)と、
0.1モル%~1.2モル%の範囲の量のPと、
0.abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと
を含み、
前記ガラス組成物が、Li Oを含まず、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、685℃未満である、アルミノシリケートガラス物品。
【請求項2】
前記ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を含まない、請求項1記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項3】
前記ガラス組成物が、0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBを含む、請求項1または2記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項4】
前記ガラス組成物が、Bを含まない、請求項1または2記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項5】
前記Pの量が、少なくとも0.45モル%である、請求項1から4までのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項6】
前記(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、請求項1から5までのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項7】
前記ガラス組成物が、MgOおよびZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、0モル%~7モル%の範囲にあり、ZnOは、0モル%~7モル%の範囲の量で存在する、請求項1からまでのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項8】
35キロポアズ(3.5kPa・s)の粘度で1075℃以下の温度をさらに有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項9】
575℃未満の徐冷点をさらに有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項10】
795℃未満の軟化点をさらに有する、請求項1からまでのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項11】
前記ガラス物品が強化されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【請求項12】
前記ガラス物品がフュージョン成形されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のアルミノシリケートガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条のもと、2018年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/724,798号明細書の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス組成物および積層体、より具体的には、自動車用途および建築用途で使用するための曲げ特性を示すガラス組成物、ガラス物品および積層体に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスは、その光学的透明性および耐久性のために窓に使用される。自動車および建築の窓(もしくはグレージング)には、モノリスと呼ばれる1枚のガラス物品(シート状)、またはポリマー材料の中間層を間に挟んだ2枚のガラス物品(シート状)を含む積層体が含まれ得る。このグレージングは、自動車用途では、フロントガラス、サイドライト、リアウィンドウ、サンルーフなどに使用することができる。建築用途では、同様のグレージングを建物、パネル、壁などに利用することができる。
【0004】
図1Aに示すように、湾曲または成形された積層グレージングの製造方法は、2つのガラス物品(典型的には、フロート法を介して製造されたソーダライムガラス(SLG)シート)を形成するステップ10A、10Bと、ガラス物品を切断して仕上げ加工するステップ20A、20Bと、一方のガラス物品を他方のガラス物品の上に設置するステップと、ガラスを一緒に垂下して所望の形状にする温度(「垂下温度(sag temperature)」)にガラス物品のスタックを加熱するステップとを含む。本明細書で使用される場合、「垂下温度」とは、ガラス物品の対数粘度が1011ポアズ(1010Pa・s)になる温度(Tlog11と呼ばれる)を意味する。垂下温度は、Vogel-Fulcher-Tamman(VFT)式(Log η=A+B/(T-T)、式中、Tは温度、A、BおよびTはフィッティング定数であり、ηは動的粘度である)を曲げビーム粘度(BBV)測定にフィッティングすることで求められる。ガラス物品が互いに積み重ねられたときに一緒に垂下される場合、このプロセスは「同時垂下(pair sagging)」30と呼ばれる。1つ以上の実施形態では、この方法はさらに、2つの同時垂下されたガラス物品を分離するステップ(典型的には、成形されたスタックが冷却された後)と、2つのガラス物品の間に中間層を適用するステップと、3層スタック(2つの同時垂下されたガラス物品および介在する中間層を含む)を加熱して積層体を生じさせるステップ50とを含む。この積層体構造における個々のソーダライムガラス(SLG)ガラス物品は、典型的には、約1.6mm以上または約2.1mm以上の厚さを有する。
【0005】
燃費節約のために、軽量の積層体グレージングが使用される傾向がある。新しいグレージングのデザインは、外側の厚い方のガラス物品と内側の薄い方のガラス物品とで構成されている。ある構造では、厚いガラス物品はSLGであり、薄いガラス物品は強化ガラス物品である。SLG物品は、徐冷することができるが、厚さの減少による強度劣化を補うために許容可能と考えられるレベルまで強化することはできない。例えば、化学的に強化された場合でも、SLG物品は(圧縮応力および圧縮応力の深さに関して)十分な強度性質を示さない。
【0006】
熱強化は、厚い一体型のガラス物品を強化するために一般的に使用されており、ガラス表面、典型的にはガラス全体の厚さの21%に相当する深い圧縮層を生じさせるという利点を有する。しかしながら、圧縮応力の大きさは比較的小さく、典型的には100MPa未満である。さらに、薄いガラス物品(すなわち、2mm未満の厚さを有するガラス物品)では、熱強化はますます効果的ではなくなる。このように、標準的な熱強化プロセスは、約3mmの厚さを有するSLG物品を強化するのには適しているが、薄いSLG物品には適していない。さらに、SLG物品は、化学的強化特性が劣悪である。
【0007】
アルカリ金属アルミノシリケートガラス物品は、より薄いガラス物品、特に今日のグレージングの光学的要件を満たす物品として使用するのに際だって適している。特に、アルミノシリケートガラス組成物は、ダウンドロー法(フュージョン成形法など)を介して非常に薄いガラス物品に形成することができる。さらに、アルミノシリケートガラス物品は、広範囲の圧縮応力(例えば、1,000MPaまで、さらには1,000MPaを超える)および深い圧縮応力の深さ(例えば、ガラス物品の厚さの18%または20%まで、さらには18%または20%を超える)を示すように強化(特に、化学的に強化)することができる。
【0008】
既知のアルミノシリケートガラスは、SLG垂下温度(すなわち、SLGが典型的に垂下される温度)で、SLG物品に比べて高い粘度を示す傾向がある。したがって、この粘度の違いは、図1Bに示すように、既知のアルミノシリケートガラス物品を別々に垂下する必要があり、同時垂下することはできないことを意味し、このことは全体の製造プロセスのコスト増につながる。特に、図1Bは、ガラス物品を同時垂下することができない場合、積層グレージングを製造する方法には、単一の垂下ステップの代わりに、ガラス物品を別々に垂下する追加のステップが含まれることを示している。具体的には、この方法は、2つのガラス物品を形成するステップ10A、10Bと、ガラス物品を切断して仕上げ加工するステップ20A、20Bと、各ガラス物品を垂下温度に加熱して、各ガラス物品を別々に所望の形状にするステップ30A、30Bとを含む。図1Bの方法を使用すると、別々の垂下ステップにより2つのガラス物品の間に形状のミスマッチが生じる可能性がある。さらに、2つの別々の垂下ステップを使用することで、2倍のエネルギーと時間とが利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、組成が異なり得る別のガラス物品と同時垂下することができ、十分な強度を持ち、任意にフュージョン成形される薄いガラス物品が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、異なるガラス物品(非フュージョン法により形成されたガラス物品、およびSLG組成物から製造されたガラス物品を含む)と同時垂下することができる、ガラス組成物およびそのようなガラス組成物を有するガラス物品に関する。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品にフュージョン成形され得るか、またはフュージョン成形可能である。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は強化され得るか、または強化される。そのようなガラス物品を含む積層体、およびそのような積層体を形成する方法も開示される。
【0011】
本開示の第1の態様は、ガラス組成物を有するガラス物品の実施形態に関する。このガラス組成物は、約63モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、約7モル%~約13モル%の範囲の量のAlと、約13モル%~約24モル%の量のROと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBまたは約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHの少なくとも一方とを含む。さらに、ガラス組成物は、MgOまたはZnOの少なくとも一方を含む。MgOは、約0モル%~約7モル%の範囲で存在し、ZnOは、約0モル%~約7モル%の範囲で存在する。このガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係は、685℃未満である。
【0012】
本開示の第2の態様は、アルミノシリケートガラス物品の実施形態に関する。このアルミノシリケートガラス物品は、2モル%を超える量のAlと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBとを含むガラス組成物を有する。このガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係は、685℃未満である。
【0013】
本開示の第3の態様は、2モル%を超える量のAlと、0.2abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHとを含むガラス組成物を有するアルミノシリケートガラス物品の実施形態に関する。このガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係は、685℃未満である。
【0014】
本開示の第4の態様は、乗り物の実施形態に関する。この乗り物は、内部と、当該内部と連通する開口部とを規定するボディを含む。この乗り物はまた、開口部に配置されたガラス物品も含む。この物品は、ガラス組成物を有する少なくとも第1の層を含む。ガラス組成物は、2モル%を超える量のAlと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBまたは約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHの少なくとも一方とを含む。このガラス組成物は、徐冷点(℃)、軟化点(℃)、および約685℃未満である(徐冷点+軟化点)/2の関係を有する。
【0015】
本開示の第5の態様は、積層体の実施形態に関する。この積層体は、第1の湾曲したガラス層と、第2の湾曲したガラス層と、中間層とを含む。第1の湾曲したガラス層は、第1の主面と、当該第1の主面に対向する第2の主面と、第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さと、約2mm以上の第1の垂下深さとを有する。第1の湾曲したガラス層は、第1の粘度(ポアズ)を有する。第2の湾曲したガラス層は、第3の主面と、当該第3の主面に対向する第4の主面と、第3の主面と第4の主面との間の距離として定義される第2の厚さと、約2mm以上の第2の垂下深さとを有する。第2の湾曲したガラス層は、第2の粘度を有する。中間層は、第1の湾曲したガラス層と第2の湾曲したガラス層との間に配置され、第2の主面および第3の主面に隣接している。630℃における第1の粘度は、630℃の温度における第2の粘度よりも大きい。第1の垂下深さは、第2の垂下深さの10%以内にあり、光学式三次元スキャナで測定した第1のガラス層と第2のガラス層との間の形状偏差が±5mm以下である。さらに、第1の主面および第4の主面の一方または両方が、ASTM 1561に準拠した透過光学系を用いた光学歪み検出器で測定した200ミリディオプター未満の光学歪みを有する。また、第3の主面または第4の主面は、ASTM C1279に準拠した表面応力計で測定した7MPa未満の膜引張応力を有する。
【0016】
特に指定のない限り、本明細書に開示されているガラス組成物は、酸化物ベースで分析したモルパーセント(モル%)で記載している。追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、部分的には、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含む本明細書に記載されているような実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0017】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を構成している。図面は、1つ以上の実施形態を示しており、説明と合わせて、様々な実施形態の原理および操作を説明する役割を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】1つ以上の実施形態による、同時垂下を用いた積層グレージングの製造方法のプロセスフローチャートを示す図である。
図1B】先行技術による積層グレージングの製造方法のプロセスフローチャートを示す図である。
図2】1つ以上の実施形態によるガラス物品の側面図を説明する図である。
図3】1つ以上の実施形態によるガラス物品の側面図を説明する図である。
図4】1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む積層体の側面図を説明する図である。
図5】1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む積層体の側面図を説明する図である。
図6】1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む積層体の側面図である。
図7】1つ以上の実施形態による、別のガラス物品に冷間成形されるガラス物品の分解側面図である。
図8図6の結果としての冷間成形された積層体の側面図を説明する図である。
図9】1つ以上の実施形態による、ガラス物品または積層体を含む乗り物を説明する図である。
図10】比較例C1ならびに本開示による例示のガラス組成物1~6および11の温度の関数としての対数粘度曲線を示すグラフである。
図11】比較例C2ならびに本開示による例示のガラス組成物7~10および12の温度の関数としての対数粘度曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、様々な実施形態を詳細に参照し、それらの例を添付の図面で説明する。
【0020】
本開示の態様は、組成、厚さ、強度または強化レベル、および成形方法(例えば、フュージョン成形とは対照的なフロート成形)のいずれか1つ以上が異なる別のガラス物品と同時垂下することができるガラス物品に関する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、フュージョン成形され得るか、またはフュージョン成形可能であり、これは、フュージョン法を用いて成形されるか、または成形可能であることを意味する。特に、ガラス物品は、ソーダライムガラス(SLG)と同時垂下することができるアルカリ金属アルミノシリケート組成物で製造されており、同時に、効率的な時間で(例えば、4時間未満で500MPa超に)イオン交換可能である。一般に、本明細書に記載されるアルカリ金属アルミノシリケートガラス組成物は、他のアルカリ金属アルミノシリケートガラス組成物と比較して、左にシフトした粘度曲線を有する。すなわち、歪点、徐冷点、軟化点、および/または同時垂下温度は、SLGの粘度曲線の近くに位置しており、これにより、異種ガラスの同時垂下によってもたらされ得る光学歪みおよび形状のミスマッチが低減される。実施形態では、このガラスの「軟化」(すなわち、粘度曲線を左にシフトさせること)は、0.15モル%~1.2モル%の量のBの添加によって達成される。他の実施形態では、Bに加えて、またはBに代えて、ガラスの軟化は、ガラスの水分量を0.2abs/mm~0.5abs/mmのβ-OHレベルに高めることで達成される。さらに、開示された組成を有するガラス物品は、0.1モル%~1.2モル%の量のPを添加することによって、フュージョン法中に発生する可能性のあるパラケルディシュ(parakeldyshite)(ナトリウム-ジルコニウムシリケート)欠陥をなくすこともできる。したがって、本明細書に開示されているのは、(Pの添加の結果として)パラケルディシュ欠陥をなくすことができる、(Bの添加および/または水分量の増加に基づく)より軟質のアルカリ金属アルミノシリケートガラスである。
【0021】
多くの場合、自動車用グレージングは湾曲または屈曲しており、平坦または平面ではない。建築用途でも、同様に湾曲したガラス物品が使用されることがある。ガラス物品の厚さおよび所望の形状に応じて、ガラス物品を冷間成形(熱を使用しない)または熱間成形(熱を使用する)して、湾曲した形状を実現することができる。
【0022】
熱間成形には、ガラスが加熱されたときに重力を利用して成形する垂下プロセスが含まれ得る。垂下ステップでは、ガラス物品を別のガラス物品の上に置いてスタック(離型層が介在する可能性がある)を形成し、これを金型に設置する。スタックと金型との両方を、炉(例えば、箱型炉、または徐冷炉)に入れて加熱し、スタックをガラス物品の垂下温度まで徐々に加熱する。このプロセス中、重力によりガラス物品が一緒になって湾曲した形状になる。
【0023】
加熱時間および温度は、所望の垂下度合いと最終形状とを得るために選択される。続いて、ガラス物品を炉から取り出して冷却する。次いで、2つのガラス物品を分離し、ガラス物品の間に中間層を挟んで再び組み立て、真空下で加熱して、ガラス物品と中間層とを一緒に密封して積層体にする。
【0024】
図1Aのステップ30に示すように、2つのガラス物品を一緒に垂下すると、製造プロセスが効率化される。しかしながら、ガラス物品の垂下温度が異なる場合、同時垂下は困難になる。例えば、既知のアルミノシリケートガラスは、SLGの垂下温度よりも80℃を超える垂下温度を有する。さらに、既知のアルミノシリケートガラスは、SLGに典型的に使用される垂下温度において、典型的なSLGの粘度の200倍を超える粘度を有する。
【0025】
本開示の第1の態様は、組成、厚さ、強化レベル、および成形方法(例えば、フュージョン成形とは対照的なフロート成形)のいずれか1つ以上が異なる別のガラス物品と同時垂下することができるガラス物品に関する。特に、このガラス物品の実施形態は、厚さを薄くした場合(例えば、2.1mm未満または1.6mm未満)でも、既知のアルミノシリケートガラス物品よりも低い垂下温度で、SLGまたは他のガラス物品と同時垂下することができる。さらに、そのようなガラス物品は、フュージョン成形性および強化能力を保持する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約63モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、約7モル%~約13モル%の範囲の量のAlと、約13モル%~約24モル%の量のRO(ここで、Rは、Li、Na、K、Rb、またはCsの少なくとも1つである)と、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBまたは0.1abs/mm~0.5abs/mmの水分量β-OHの少なくとも一方を含むガラス組成物を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、MgOおよびZnOの一方または両方を含んでもよい。MgOがガラス組成物中に含まれる場合、存在するMgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にある。ZnOがガラス組成物中に含まれる場合、存在するZnOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にある。1つ以上の実施形態では、ガラス物品(またはガラス物品の形成に使用されるガラス組成物)は、徐冷点温度(℃)と軟化点温度(℃)とを示し、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係は、685℃未満である。
【0026】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、アルミノシリケートガラス物品として、またはアルミノシリケートガラス組成物を含むものとして説明される。そのような実施形態では、アルミノシリケートガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、SiOおよびAlを含み、SLGではない。この点で、ガラス組成物またはそれから形成された物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAlを含む。
【0027】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約2モル%を超える量、約5モル%を超える量、または約6モル%を超える量のAlを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約7モル%超~約13モル%、約8モル%超~約13モル%、約9モル%~約13モル%、約9モル%~約13モル%、約10モル%~約13モル%、約7モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約7モル%~約10モル%、約7モル%~約9モル%、約8モル%~約12モル%、約8モル%~約11モル%、約8モル%~約10モル%、または約9モル%~約10モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲のAlを含む。
【0028】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約63モル%~約75モル%、約64モル%~約75モル%、約65モル%~約75モル%、約66モル%~約75モル%、約68モル%~約75モル%、約70モル%~約75モル%、約72モル%~約75モル%、約63モル%~約74モル%、約63モル%~約72モル%、約63モル%~約70モル%、約63モル%~約68モル%、約63モル%~約66モル%、約63モル%~約67モル%、約64モル%~約76モル%、または約65モル%~約66モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のSiOを含む。
【0029】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約5モル%以上、約10モル%以上、または約12モル%以上のROの総量を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約5モル%~約24モル%、約6モル%~約24モル%、約8モル%~約24モル%、約10モル%~約24モル%、約12モル%~約24モル%、約13モル%~約24モル%、約14モル%~約24モル%、約15モル%~約24モル%、約16モル%~約24モル%、約17モル%~約24モル%、約18モル%~約24モル%、約20モル%~約24モル%、約13モル%~約22モル%、約13モル%~約20モル%、約13モル%~約18モル%、約13モル%~約16モル%、13モル%~約15モル%、17モル%~約21モル%、18モル%~約20モル%、または19モル%~約21モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲のROの総量を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、RbO、CsO、またはRbOとCsOとの両方を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、組成物の成分に関して「実質的に含まない」という表現は、成分が初期バッチ処理中に組成物に積極的または意図的に添加されてはいないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在し得ることを意味する。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はROを含んでもよく、これは、LiO、NaOおよびKOのみの総量を含んでもよい(すなわち、ガラス組成物は、RbOおよびCsOを実質的に含まない)。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はROを含んでもよく、これは、NaOおよびKOのみの総量を含んでもよい(すなわち、ガラス組成物は、LiO、RbOおよびCsOを実質的に含まない)。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、LiO、NaOおよびKOから選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含んでもよく、このアルカリ金属酸化物は、約5モル%を超える量、約8モル%を超える量、約10モル%を超える量、または約12モル%を超える量で存在する。そのような実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、アルカリ金属酸化物の存在により、アルカリ金属アルミノシリケートガラスとして特徴付けられてもよい。
【0030】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約10モル%以上、約11モル%以上、約12モル%以上、または約14モル%以上の量のNaOを含む。1つ以上の実施形態では、組成物は、約12モル%~約20モル%、約14モル%~約20モル%、約15モル%~約20モル%、約16モル%~約20モル%、約18モル%~約20モル%、約12モル%~約18モル%、約12モル%~約16モル%、約12モル%~約14モル%、約14モル%~約18モル%、約15モル%~約18モル%、約16モル%~約18モル%、または約16モル%~約17モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲のNaOを含む。
【0031】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%未満のKO、または約3モル%未満のKOを含む。いくつかの例では、ガラス組成物は、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%、約0.5モル%~約1モル%、約1モル%~約4モル%、約1モル%~約3.5モル%、約1モル%~約3モル%、約1モル%~約2.5モル%、約1.5モル%~約4モル%、約1.5モル%~約3.5モル%、約1.5モル%~約3モル%、約1.5モル%~約2.5モル%、約1.75モル%~約3モル%、約1.75モル%~約2.75モル%、約1.75モル%~約3モル%、または約2モル%~約3モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のKOを含んでもよい。
【0032】
1つ以上の実施形態では、組成物は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3.5モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2.5モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1.5モル%、約0.1モル%~約1モル%、約1モル%~約4モル%、約1モル%~約3.5モル%、約1モル%~約3モル%、約1モル%~約2.5モル%、約1モル%~約2モル%、または約1モル%~約1.5モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲のLiOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はLiOを実質的に含まない。
【0033】
1つ以上の実施形態では、組成物中のNaOの量は、LiOの量より多くてもよい。いくつかの実施形態では、NaOの量は、LiOとKOとの合計量より多くてもよい。
【0034】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、ROとAlの量との差の組成関係(すなわち、RO-Al)が、約4モル%~約12モル%、約5モル%~約12モル%、約6モル%~約12モル%、約7モル%~約12モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約12モル%、約4モル%~約11モル%、約4モル%~約10モル%、約4モル%~約9モル%、約4モル%~約8モル%、約4モル%~約7モル%、または約8モル%~約10モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲にある。
【0035】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、RO対Alの組成比(すなわち、RO:Al)が、約3以下、約2.5以下、または約2以下である。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約1.5~約3の範囲の組成比RO:Alを含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、組成比RO:Alが、約1.6~約3、約1.7~約3、約1.8~約3、約1.9~約3、約2~約3、約2.1~約3、約2.2~約3、約2.3~約3、約2.4~約3、約2.5~約3、約1.5~約2.9、約1.5~約2.8、約1.5~約2.6、約1.5~約2.5、約1.5~約2.4、約1.5~約2.2、約1.5~約2、約1.5~約1.9、または約1.5~約1.8の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲にある。
【0036】
実施形態では、ガラス組成物は、0.15モル%~1.2モル%の量のBを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.15モル%~約1.1モル%、約0.15モル%~約1.0モル%、約0.15モル%~約0.9モル%、約0.15モル%~約0.8モル%、約0.15モル%~約0.7モル%、約0.15モル%~約0.6モル%、約0.15モル%~約0.5モル%、約0.15モル%~約0.4モル%、約0.15モル%~約0.3モル%、約0.15モル%~約0.2モル%、約0.5モル%~約1.2モル%、約0.5モル%~約1.0モル%、または約0.5モル%~約0.75モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のBを含む。
【0037】
実施形態では、ガラス組成物は、約0.1モル%~約1.2モル%、約0.1モル%~約1.1モル%、約0.1モル%~約1.0モル%、約0.1モル%~約0.9モル%、約0.1モル%~約0.8モル%、約0.1モル%~約0.7モル%、約0.1モル%~約0.6モル%、約0.1モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約0.4モル%、約0.1モル%~約0.3モル%、約0.1モル%~約0.2モル%、約0.5モル%~約1.2モル%、約0.5モル%~約1.0モル%、約0.5モル%~約0.8モル%、約0.5モル%~約0.6モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のPを含む。
【0038】
実施形態では、ガラス組成物は、IR分光法により測定された0.1abs/mm~0.5abs/mmの水分量β-OHを有する。特に、これは、約2809nmにおける基本的な水酸基吸収を求めることによる、ガラス中の水酸基含有量の測定値である。β-OHは、以下の式に従って計算される:
【0039】
【数1】
【0040】
式中、Xはサンプルの厚さ(mm)、Tは基準波長(2600nm)におけるサンプルの透過率、Tは水酸基吸収波長(2809nm)におけるサンプルの最小透過率である。基準波長は、サンプルの表面反射、散乱、および屈折により生じる信号損失を補正し、吸収がなく、目的の吸収波長にできるだけ近い領域から選択される。β-OHは、吸光度/mm厚(abs/mm)の単位で示される線吸収係数である。実施形態では、ガラス組成物は、約0.1abs/mm~約0.5abs/mm、約0.2abs/mm~約0.5abs/mm、約0.3abs/mm~約0.5abs/mm、約0.4abs/mm~約0.5abs/mm、約0.1abs/mm~約0.4abs/mm、約0.1abs/mm~約0.3abs/mm、約0.1abs/mm~約0.2abs/mm、約0.2abs/mm~約0.3abs/mm、約0.2abs/mm~約0.4abs/mm、または約0.3abs/mm~約0.4abs/mmの水分量β-OHを有する。実施形態では、ガラスの水分量は0.5abs/mm以下であり、他の実施形態では、ガラスの水分量は少なくとも0.1abs/mmである。Bを含まないか、または0.15モル%未満の量のBを含む特定の実施形態では、水分量β-OHは少なくとも0.2abs/mmである。
【0041】
ガラスの水分量は、様々な方法で高めることができる。実施形態では、ガラスの融解条件を調節することで、水分量が高められる。例えば、特定の融解装置、ガス-酸素バーナーを用いてガラスを融解する。酸素に対するガスの比率を調節することで、燃焼反応においてより多くの水を生成することができ、これによりガラスは融解中により多くの水を吸収するようになる。別の実施形態では、融解中に雰囲気に曝されるガラスの表面を増やすことで、水分量が高められる。さらに別の実施形態では、組成物の酸化物を水酸化物または水和化合物で置換するか、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH))を酸化アルミニウム(Al)の全部または一部と置換するか、ホウ酸ナトリウムをNaOおよびBの全部または一部と置換することで、水分量が高められる。このようにして、ガラス組成物は、標準のプロセス条件に基づいて含まれる量よりも高い水分量を含むであろう。
【0042】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約18モル%の範囲のROの総量を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約18モル%までのROの非ゼロ量を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約16モル%、約0モル%~約15モル%、約0モル%~約14モル%、約0モル%~約12モル%、約0モル%~約11モル%、約0モル%~約10モル%、約0モル%~約9モル%、約0モル%~約8モル%、約0.1モル%~約18モル%、約0.1モル%~約16モル%、約0.1モル%~約15モル%、約0.1モル%~約14モル%、約0.1モル%~約12モル%、約0.1モル%~約11モル%、約0.1モル%~約10モル%、約0.1モル%~約9モル%、または約0.1モル%~約8モル%、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のROを含む。
【0043】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約5モル%以下、約4.5モル%以下、約4モル%以下、約3.5モル%以下、約3モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下、約1.5モル%以下、または約1モル%以下の量のCaOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、特にPを含む実施形態では、CaOを実質的に含まない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4.5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.75モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.25モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.01モル%~約5モル%、約0.01モル%~約4.5モル%、約0.01モル%~約4モル%、約0.01モル%~約3.5モル%、約0.01モル%~約3モル%、約0.01モル%~約2.5モル%、約0.01モル%~約2モル%、約0.01モル%~約1.5モル%、約0.01モル%~約1モル%、約0.01モル%~約0.8モル%、約0.01モル%~約0.75モル%、約0.01モル%~約0.5モル%、約0.01モル%~約0.25モル%、または約0.01モル%~約0.1モル%、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のCaOを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6.5モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5.5モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4.5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0.5モル%~約6.5モル%、約1モル%~約6.5モル%、約1.5モル%~約6.5モル%、約2モル%~約6.5モル%、約2.5モル%~約6.5モル%、約3モル%~約6.5モル%、約3.5モル%~約6.5モル%、約4モル%~約6.5モル%、約4.5モル%~約6.5モル%、約5モル%~約6.5モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約1モル%~約3.5モル%、約1.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、または約2モル%~約4モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のMgOを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約7.5モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5.5モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4.5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0.5モル%~約7モル%、約0.5モル%~約6.5モル%、約0.5モル%~約6モル%、約0.5モル%~約5.5モル%、約0.5モル%~約5モル%、約0.5モル%~約4.5モル%、約1モル%~約7モル%、約1モル%~約6.5モル%、約1モル%~約6モル%、約1モル%~約5.5モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約4.5モル%、約1.5モル%~約4.5モル%、約2モル%~約4.5モル%、約2.5モル%~約4.5モル%、約3モル%~約4.5モル%、約3.5モル%~約4.5モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約1モル%~約3.5モル%、約1.5モル%~約4モル%、または約2モル%~約3.5モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のZnOを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0.5モル%~約2モル%、約1モル%~約2モル%、または約1.5モル%~約2モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のSrOを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0.5モル%~約2モル%、約1モル%~約2モル%、または約1.5モル%~約2モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量のBaOを含む。
【0048】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.25モル%以下、約0.24モル%以下、約0.22モル%以下、約0.2モル%以下、約0.18モル%以下、約0.16モル%以下、約0.15モル%以下、約0.14モル%以下、約0.12モル%以下の量のSnOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.25モル%、約0.01モル%~約0.24モル%、約0.01モル%~約0.22モル%、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%、または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲のSnOを含む。いくつかの実施形態では、SnOは、別の清澄剤、すなわち、アンチモン、ヒ素、鉄、セリウムなどの多価または他の酸素吸収剤で置換されていてもよい。
【0049】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品に色または色合いを付与する酸化物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に曝されたときにガラス物品の変色を防止する酸化物を含む。そのような酸化物の例としては、限定されないが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、およびMoの酸化物が挙げられる。
【0050】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Feとして表記されるFeを含み、Feは、約1モル%までの量(および1モル%を含む)で存在する。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はFeを実質的に含まない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.9モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.7モル%、約0モル%~約0.6モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.4モル%、約0モル%~約0.3モル%、約0モル%~約0.2モル%、0モル%~約0.1モル%、約0.01モル%~約0.9モル%、約0.01モル%~約0.8モル%、約0.01モル%~約0.7モル%、約0.01モル%~約0.6モル%、約0.01モル%~約0.5モル%、約0.01モル%~約0.4モル%、約0.01モル%~約0.3モル%、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.05モル%~約0.1モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.2モル%~約1モル%、約0.3モル%~約1モル%、約0.4モル%~約1モル%、約0.5モル%~約1モル%、約0.6モル%~約1モル%、約0.2モル%~約0.8モル%、または約0.4モル%~約0.8モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の、Feとして表記されるFeを含む。1つ以上の実施形態では、Fe源は、シュウ酸塩/I2、Fe/I8であってもよい。いくつかの実施形態では、Feとして表記されるFeの約は、約0.1質量%~約5質量%、約0.1質量%~約4質量%、約0.1質量%~約3質量%、約0.1質量%~約2.5質量%、約0.2質量%~約5質量%、約0.3質量%~約5質量%、または約0.4質量%~約5質量%の範囲、およびその間のすべての範囲と部分範囲の質量%単位で表記される。
【0051】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Coとして表記されるCoの総量を、約0.001モル%~0.01モル%、約0.002モル%~0.01モル%、約0.003モル%~0.01モル%、約0.004モル%~0.01モル%、約0.005モル%~0.01モル%、約0.006モル%~0.01モル%、約0.007モル%~0.01モル%、約0.001モル%~0.009モル%、約0.001モル%~0.008モル%、約0.001モル%~0.007モル%、約0.001モル%~0.006モル%、または約0.001モル%~0.005モル%の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲の量で含む。
【0052】
1つ以上の実施形態のガラス組成物は、NiO、V、およびTiOのいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0053】
ガラス組成物がTiOを含む場合、TiOは、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下、または約1モル%以下の量で存在してもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はTiOを実質的に含まなくてもよい。ガラス組成物がNiOを含む場合、NiOは、約0.6モル%以下、または約0.1モル%以下の量で存在してもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はNiOを実質的に含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はVを実質的に含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はTiOを実質的に含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、NiO、V、およびTiOのいずれか2つまたは3つすべてを実質的に含まなくてもよい。
【0054】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.9モル%未満のCuO(例えば、約0.5モル%未満、約0.1モル%未満、または約0.01モル%未満)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はCuOを実質的に含まない。
【0055】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%未満のSe(例えば、約0.1モル%未満、または約0.01モル%未満)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はSeを実質的に含まない。
【0056】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物(またはそれから形成された物品)は、特定の技術を介したガラス物品の形成を可能にする液相粘度を有する。本明細書で使用される場合、「液相粘度」という用語は、液相温度における融解ガラスの粘度を指し、「液相温度」という用語は、融解ガラスが融解温度から冷却される際に、結晶が最初に現れる温度(または温度が室温から上昇する際に、最後の結晶が溶けて無くなる温度)を指す。
【0057】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約100キロポアズ(kP)(約10kPa・s)以上、約500kP(約50kPa・s)以上、約1000kP(約100kPa・s)以上、5000kP(500kPa・s)以上、10,000kP(1,000kPa・s)以上、15,000kP(1,500kPa・s)以上、20,000kP(2,000kPa・s)以上、25,000kP(2,500kPa・s)以上、30,000kP(3,000kPa・s)以上、35,000kP(3,500kPa・s)以上の液相粘度を示す。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約100kP(約10kPa・s)~約50,000kP(約5,000kPa・s)の範囲の液相粘度を示す。そのようなガラス組成物は、「フュージョン成形可能」と記述することができ、フュージョン法により形成された結果として得られるガラス物品は、「フュージョン成形された」と特徴付けられ、「フュージョン成形可能」はガラス組成物が示す液相粘度を、「フュージョン成形された」はガラス物品が示す液相粘度を示す。いくつかの実施形態では、フュージョン成形されたガラス物品は、典型的なフロート成形されたガラス物品に存在するドローラインを実質的に含まない。液相粘度は、以下の方法で求められる。まず、ガラスの液相温度が、「勾配炉法によるガラスの液相温度測定のための標準実施法(Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method)」というタイトルのASTM C829-81(2015)に準拠して測定される。次に、液相温度におけるガラスの粘度が、「軟化点を上回るガラスの粘度を測定するための標準実施法(Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point)」というタイトルのASTM C965-96(2012)に準拠して測定される。
【0058】
本明細書に記載されるガラス物品の様々な実施形態は、比較的低い徐冷点温度、軟化点温度、垂下温度および比較的高い液相粘度の1つ以上を示すガラス組成物を有する。
【0059】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約475℃~約530℃の範囲の歪点温度を示す。1つ以上の実施形態では、歪点温度は、約480℃~約530℃、約490℃~約530℃、約500℃~約530℃、約510℃~約530℃、約520℃~約530℃の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲にある。いくつかの例では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約530℃以下、または約520℃以下の歪点温度を示す。歪点温度は、ASTM C598-93(2013)のビーム曲げ粘度法を用いて求められる。実施形態では、歪点は、粘度が1014.68ポアズ(1013.68Pa・s)になる温度として定義される。
【0060】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約580℃以下の範囲の徐冷点温度を示す。徐冷点は、約520℃~約580℃、約530℃~約580℃、約540℃~約580℃、約550℃~約580℃、約560℃~約580℃、約570℃~約580℃の範囲、およびそれらの間のすべての範囲と部分範囲であってもよい。徐冷点は、ASTM C598-93(2013)のビーム曲げ粘度法を用いて求められる。実施形態では、徐冷点は、粘度が1013.18ポアズ(1012.18Pa・s)になる温度として定義される。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約795℃以下の範囲の軟化点温度を示す。軟化点温度は、約730℃~約795℃、約740℃~約795℃、約750℃~約795℃、約760℃~約795℃、約770℃~約795℃、約780℃~約795℃の範囲、およびその間のすべての範囲および部分範囲にあってもよい。軟化点温度は、ASTM C1351M-96(2012)の平行板粘度法を用いて求められる。実施形態では、軟化点は、粘度が107.6ポアズ(106.6Pa・s)になる温度として定義される。
【0062】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、徐冷点温度と軟化点温度との大きさの差が、約150℃よりも大きく、約175℃よりも大きく、約200℃よりも大きく、または約225℃までであることを示す。いくつかの実施形態では、徐冷点温度と軟化点温度との大きさの差は、約150℃~約225℃、約160℃~約225℃、約170℃~約225℃、約180℃~約225℃、約190℃~約225℃、約200℃~約225℃、約210℃~約225℃、約150℃~約160℃、約150℃~約170℃、約150℃~約180℃、約150℃~約190℃、約150℃~約200℃、約150℃~約210℃、または約150℃~約225℃の範囲、およびそれらの間の部分範囲にある。
【0063】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約685℃未満の(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係を示す。例えば、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係は、約670℃以下、約660℃以下、約650℃以下、または約640℃以下であってもよい。いくつかの例では、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の関係は、約625℃~約685℃、約625℃~約675℃、約625℃~約665℃、約625℃~約655℃、約625℃~約645℃、または約625℃~約635℃の範囲にある。いくつかの実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の記述された関係を示しつつ、アルミノシリケートガラスとしても特徴付けられる。1つ以上の特定の実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、(徐冷点温度+軟化点温度)/2の記述された関係を示しつつ、約2モル%を超えるAl(例えば、2.25モル%以上、2.5モル%以上、または約3モル%以上)も含む。
【0064】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、高温粘度(HTV)データ(すなわち、100kP~100ポアズ(10kPa・s~10Pa・s)のすべての温度測定値)へのFulcherフィッティングにより測定した、約200P(約20Pa・s)の粘度で約900℃以上または約1200℃以上の温度(T200P)を示す。例えば、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約900℃~約1800℃、約1000℃~約1800℃、約1100℃~約1800℃、約1200℃~約1800℃、約1300℃~約1800℃、約1400℃~約1800℃、約1500℃~約1800℃、約900℃~約1700℃、約900℃~約1600℃、約900℃~約1500℃、約900℃~約1400℃、約900℃~約1300℃、約900℃~約1200℃、約900℃~約1100℃、約1200℃~約1700℃、約1200℃~約1600℃、約1200℃~約1500℃、約1200℃~約1400℃、または約1500℃~約1700℃の範囲のT200Pを示してもよい。
【0065】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、高温粘度(HTV)データ(すなわち、100kP~100ポアズ(10kPa・s~10Pa・s)のすべての温度測定値)へのFulcherフィッティングにより測定した、約35kP(約3.5kPa・s)の粘度で約1000℃を超える温度(T35kP)を示す。いくつかの実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約1000℃以上、約1020℃以上、約1030℃以上、約1040℃以上、約1050℃以上、約1060℃以上、約1070℃以上、約1080℃以上、約1090℃以上のT35kPを示し、実施形態では、約1095℃以下である。
【0066】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、HTVデータへのFulcherフィッティングにより測定した、約200kP(約20kPa・s)の粘度で約900℃を超える温度(T200kP)を示す。いくつかの実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約930℃以上、940℃以上、950℃以上、960℃以上、970℃以上、980℃以上、または990℃以上のT200kPを示し、実施形態では995℃以下である。
【0067】
いくつかの実施形態では、ガラス物品は、約300℃~約500℃の範囲の大きさを有するT200PとT35kPとの差(またはT200P-T35kPの関係)を示す。例えば、T200PとT35kPとの差は、約320℃~約500℃、約340℃~約500℃、約360℃~約500℃、約380℃~約500℃、約400℃~約500℃、約420℃~約500℃、約440℃~約500℃、約460℃~約500℃、または約480℃~約500℃の範囲の大きさを有してもよい。実施形態では、ガラス物品は、約300℃~約320℃、約300℃~約340℃、約300℃~約360℃、約300℃~約380℃、約300℃~約400℃、約300℃~約420℃、約300℃~約440℃、約300℃~約460℃、または約300℃~約480℃の範囲の大きさを有するT200PとT35kPとの差(またはT200P-T35kPの関係)を示す。
【0068】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、T200Pと関係(徐冷点+軟化点)/2との差が少なくとも800℃であることを有する。例えば、T200Pと関係(徐冷点+軟化点)/2との差は、約800℃~約900℃、約800℃~約880℃、約800℃~約860℃、約800℃~約840℃、約800℃~約820℃、約820℃~約900℃、約840℃~約900℃、約860℃~約900℃、または約880℃~約900℃の範囲にある。
【0069】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、T35kPと関係(徐冷点+軟化点)/2との差が少なくとも300℃であることを有する。例えば、T35kPと関係(徐冷点+軟化点)/2との差は、約300℃~約450℃、約300℃~約425℃、約300℃~約400℃、約300℃~約375℃、約300℃~約350℃、約325℃~約450℃、約350℃~約450℃、約375℃~約450℃、または約400℃~約450℃の範囲にある。
【0070】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約1020℃を超える(例えば、約1025℃以上、約1030℃以上、約1035℃以上、約1040℃以上、約1045℃以上、約1050℃以上、約1055℃以上、約1060℃以上、約1065℃以上、または約1070℃以上)T200P、T35kP、またはT200PとT35kPとの両方を有する。
【0071】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約550℃~約720℃の範囲の垂下温度を示す。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれらの組成物から形成されたガラス物品は、約555℃~約720℃、約560℃~約720℃、約565℃~約720℃、約570℃~約720℃、約575℃~約720℃、約580℃~約720℃、約585℃~約720℃、約590℃~約720℃、約595℃~約720℃、約600℃~約720℃、約605℃~約720℃、約610℃~約720℃、約615℃~約720℃、約620℃~約720℃、約625℃~約720℃、約630℃~約720℃、約635℃~約720℃、約640℃~約720℃、約645℃~約720℃、約650℃~約720℃、約655℃~約720℃、約660℃~約720℃、約665℃~約720℃、約670℃~約720℃、約550℃~約710℃、約550℃~約700℃、約550℃~約690℃、約550℃~約680℃、約550℃~約670℃、約550℃~約660℃、約550℃~約650℃、約550℃~約640℃、約550℃~約630℃、約550℃~約620℃、約550℃~約610℃、約550℃~約600℃、約550℃~約590℃、約550℃~約580℃、約550℃~約570℃、または約550℃~約560℃の範囲の垂下温度を示す。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそのような組成物から形成されたガラス物品は、約550℃~約720℃の範囲の垂下温度を示しつつ、約16モル%以上(例えば、約17モル%以上、約18モル%以上、または約19モル%以上)の総アルカリ金属酸化物含有量も有する。
【0072】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、温度の関数としての対数粘度曲線を有する。この曲線の一例を図10に示す。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品は、20℃における約2.6g/cm未満の密度を示す。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品の密度は、約2.55g/cm未満である。例えば、ガラス組成物またはそれから形成されたガラス物品の密度は、約2.3g/cm~約2.6g/cm、約2.32g/cm~約2.6g/cm、約2.34g/cm~約2.6g/cm、約2.35g/cm~約2.6g/cm、約2.36g/cm~約2.6g/cm、約2.38g/cm~約2.6g/cm、約2.4g/cm~約2.6g/cm、約2.42g/cm~約2.6g/cm、約2.44g/cm~約2.6g/cm、約2.45g/cm~約2.6g/cm、約2.46g/cm~約2.6g/cm、約2.48g/cm~約2.6g/cm、約2.5g/cm~約2.6g/cm、約2.3g/cm~約2.58g/cm、約2.3g/cm~約2.56g/cm、約2.3g/cm~約2.55g/cm、約2.3g/cm~約2.54g/cm、約2.3g/cm~約2.52g/cm、約2.3g/cm~約2.5g/cm、約2.3g/cm~約2.48g/cm、約2.3g/cm~約2.46g/cm、約2.3g/cm~約2.45g/cm、約2.3g/cm~約2.44g/cm、約2.3g/cm~約2.42g/cm、約2.3g/cm~約2.4g/cm、約2.45g/cm~約2.52g/cm、または約2.48g/cm~約2.55g/cmの範囲にある。密度は、ASTM C693-93(2013)の浮力法を用いて求めた。
【0074】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、アイソパイプ用のジルコン耐火性ライニングおよびハードウェアを必要とする現在のフュージョンドロー設計との互換性によって特徴付けられるように、フュージョン成形可能である。いくつかの例では、ガラス組成物はジルコンと反応する傾向があり、このジルコンを、ガラスに溶解するシリカと、融解ガラスに流れ込むことで連行されて最終的にガラス物品に行き着く固体包有物を形成するジルコニアとに分解する。融解ガラスによるジルコンの攻撃は時間の経過とともに続き、ガラス中のジルコニア包有物のレベルまたは濃度が上昇する。アイソパイプ内のジルコンが分解してジルコニアとシリカとを形成する温度(本明細書では「分解温度」またはTzbdとも呼ばれる)が、アイソパイプ上で見られるどの温度よりも高ければ、フュージョンドロー-ガラス内のジルコニア包有物(「フュージョン線ジルコニア」とも呼ばれる)の問題は発生しない。この場合、アイソパイプの上にガラスを形成するために使用される温度は、ジルコニアを生じさせるには低すぎるため、ガラス中にそのような欠陥は形成され得ない。フュージョン法は基本的には等粘性プロセスであるため、ガラスから見た最高温度はガラスの特定の粘度に対応する。当該技術分野で知られているそれらの標準的なフュージョンドロー操作では、この粘度は約35,000ポアズ(約3,500Pa・s)(「35キロポアズ」(「3.5kPa・s」)または「35kP」(「3.5kPa・s」))である。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載されるガラス組成物は、本明細書に記載される他の特性も示しつつ、約35kP(約3.5kPa・s)未満のジルコン分解粘度を示す。特に、本明細書に記載されるガラス組成物は、約6kP~約35kP(約0.6kPa・s~約3.5kPa・s)までの範囲のジルコン分解粘度を示しつつ、約645℃~約785℃の範囲の(徐冷点+軟化点)/2の関係も示す。
【0075】
本明細書では、熱膨張係数(CTE)を百万分率(ppm)/℃で表記し、特に指定のない限り、約20℃~約300℃の温度範囲にわたって測定した値を表す。高温(または液体)熱膨張係数(高温CTE)は、百万分率/セルシウス度(ppm/℃)で表記され、瞬間熱膨張係数(CTE)対温度曲線の高温プラトー領域で測定された値を表す。高温CTEは、変態領域でのガラスの加熱または冷却に伴う体積変化を測定する。
【0076】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約20℃~約300℃の温度範囲にわたって測定されたCTEが、約75×10-7ppm/℃(約75×10-13/℃)以上、または約80×10-7ppm/℃(約80×10-13ppm/℃)の範囲にあることを示す。
【0077】
いくつかの実施形態では、ガラス物品は、高温(または液体)CTEを、約75×10-7ppm/℃~約120×10-7ppm/℃(約75×10-13ppm/℃~約120×10-13ppm/℃)、約80×10-7ppm/℃~約120×10-7ppm/℃(約80×10-13ppm/℃~約120×10-13ppm/℃)、約85×10-7ppm/℃~約120×10-7ppm/℃(約85×10-13ppm/℃~約120×10-13ppm/℃)、約90×10-7ppm/℃~約120×10-7ppm/℃(約90×10-13ppm/℃~約120×10-13ppm/℃)、約95×10-7ppm/℃~約120×10-7ppm/℃(約95×10-13ppm/℃~約120×10-13ppm/℃)、約100×10-7ppm/℃~約120×10-7ppm/℃(約100×10-13ppm/℃~約120×10-13ppm/℃)、約75×10-7ppm/℃~約115×10-7ppm/℃(約75×10-13ppm/℃~約115×10-13ppm/℃)、約75×10-7ppm/℃~約110×10-7ppm/℃(約75×10-13ppm/℃~約110×10-13ppm/℃)、約75×10-7ppm/℃~約105×10-7ppm/℃(約75×10-13ppm/℃~約105×10-13ppm/℃)、約75×10-7ppm/℃~約100×10-7ppm/℃(約75×10-13ppm/℃~約100×10-13ppm/℃)、約75×10-7ppm/℃~約95×10-7ppm/℃(約75×10-13ppm/℃~約95×10-13ppm/℃)、約80×10-7ppm/℃~約100×10-7ppm/℃(約80×10-13ppm/℃~約100×10-13ppm/℃)、約90×10-7ppm/℃~約100×10-7ppm/℃(約90×10-13ppm/℃~約100×10-13ppm/℃)、または約95×10-7ppm/℃~約100×10-7ppm/℃(95×10-13ppm/℃~約100×10-13ppm/℃)の範囲で示す。
【0078】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、ヤング率を、約70GPa~約85GPa、約72GPa~約85GPa、約74GPa~約85GPa、約75GPa~約85GPa、約76GPa~約85GPa、約70GPa~約80GPa、約72GPa~約80GPa、約74GPa~約80GPa、約75GPa~約80GPa、約76GPa~約80GPa、約70GPa~約78GPa、約70GPa~約76GPa、約70GPa~約75GPa、約72GPa~約78GPa、約75GPa~約79GPa、または約70GPa~約77GPaの範囲で示す。
【0079】
図3を参照すると、ガラス物品100の実施形態は、第1の主面102と、対向する第2の主面104であって第1の主面と第2の主面との間の厚さt110を規定する面とを含む。
【0080】
1つ以上の実施形態では、厚さtは、約3ミリメートル以下であってもよい(例えば、約0.01ミリメートル~約3ミリメートル、約0.1ミリメートル~約3ミリメートル、約0.2ミリメートル~約3ミリメートル、約0.3ミリメートル~約3ミリメートル、約0.4ミリメートル~約3ミリメートル、約0.01ミリメートル~約2.5ミリメートル、約0.01ミリメートル~約2ミリメートル、約0.01ミリメートル~約1.5ミリメートル、約0.01ミリメートル~約1ミリメートル、約0.01ミリメートル~約0.9ミリメートル、約0.01ミリメートル~約0.8ミリメートル、約0.01ミリメートル~約0.7ミリメートル、約0.01ミリメートル~約0.6ミリメートル、約0.01ミリメートル~約0.5ミリメートル、約0.1ミリメートル~約0.5ミリメートル、または約0.3ミリメートル~約0.5ミリメートル)。
【0081】
ガラス物品は、実質的に平面のシートであってもよいが、他の実施形態では、湾曲した、または他の形状をした、または自由曲面の(sculpted)物品を利用してもよい。いくつかの例では、ガラス物品は、3Dまたは2.5Dの形状を有してもよい。追加的または代替的に、ガラス物品の厚さは、1つ以上の寸法に沿って一定であってもよいし、美的および/または機能的な理由から1つ以上の寸法に沿って変化してもよい。例えば、ガラス物品の端部は、ガラス物品のより中央の領域と比較してより厚くてもよい。また、ガラス物品の長さ、幅および厚さの寸法は、物品の用途または使用に応じて変化してもよい。いくつかの実施形態では、ガラス物品100Aは、図3に示すように、一方の副面106における厚さが対向する副面108における厚さよりも大きいくさび形の形状を有してもよい。厚さが変化する場合、本明細書に開示される厚さの範囲は、主面間の最大厚さである。
【0082】
ガラス物品は、約1.45~約1.55の範囲の屈折率を有してもよい。本明細書で使用される場合、屈折率の値は、約590nmの波長に関するものである。
【0083】
ガラス物品は、それが形成される方法によって特徴付けられてもよい。例えば、ガラス物品が、フロート成形可能(すなわち、フロート法によって形成されたもの、もしくはフロート成形されたもの)、またはダウンドロー可能(すなわち、ダウンドロー法によって形成されたもの、もしくはダウンドロー処理されたもの)として特徴付けられる場合がある。ダウンドロー法の具体例としては、フュージョンドロー法またはスロットドロー法が挙げられる。フュージョンドロー法で製造されたガラス物品は、フュージョン成形されており、スロットドロー法で製造されたガラス物品は、スロットドロー処理されている。
【0084】
本明細書に記載されるガラス物品のいくつかの実施形態は、フロート法で形成されてもよい。フロート成形されたガラス物品は、滑らかな表面および均一な厚さによって特徴付けられることができ、融解金属、典型的にはスズのベッド上に融解ガラスを浮遊させることで製造される。例示的なプロセスでは、融解錫ベッドの表面上に供給される融解ガラスが、浮遊ガラスリボンを形成する。ガラスリボンが錫浴に沿って流れると、温度が徐々に下がり、ガラスリボンが固まって固体のガラス物品となり、これを錫浴からローラーの上に持ち上げることができるようになる。錫浴から出たら、ガラス物品をさらに冷却して徐冷し、内部応力を低減させることができる。いくつかの実施形態では、フロート成形されたガラス物品は、錫浴からのドローラインを示す。
【0085】
本明細書に記載されるガラス物品のいくつかの実施形態は、ダウンドロー法で形成されてもよい。ダウンドロー処理されたガラス物品は、均一な厚さおよび比較的初期状態の表面を有する。ガラス物品の平均曲げ強度は、表面キズの量および大きさによって制御されるので、最小限の接触を受けた初期状態の表面は、より高い初期強度を有する。さらに、ダウンドロー処理されたガラス物品は、非常に平坦で滑らかな表面を有しており、コストのかかる研削や研磨を行わずに最終的な用途に使用することができる。
【0086】
フュージョン法では、融解ガラス原料を受け入れるための流路を有するドロー槽が使用される。流路は、流路の両側で流路の長さに沿って上部が開放された堰を有する。流路が融解材料で満たされると、融解ガラスは堰を越えて溢れ出す。重力により、融解ガラスは2枚の流れるガラスフィルムとなってドロー槽の外面を流れる。ドロー槽のこれらの外面は、下に向かって内側に延び、ドロー槽の下端で合流する。2枚の流れるガラスフィルムは、この端部で融合し、1枚の流れるガラス物品となる。フュージョンドロー法では、流路上を流れる2枚のガラスフィルムが融合するため、結果として得られるガラス物品の外面は装置のどの部分にも接触しないという利点がある。したがって、フュージョンドロー法により成形されたガラス物品の表面特性は、そのような接触によって影響を受けない。
【0087】
本明細書に記載されるガラス物品のいくつかの実施形態は、スロットドロー法で形成されてもよい。スロットドロー法は、フュージョンドロー法とは異なる。スロードロー法では、融解原料ガラスがドロー槽に提供される。ドロー槽の底部には、スロットの長さ方向に延びるノズルを備えたオープンスロットが設けられている。融解ガラスは、スロット/ノズルを通って流れ、連続したガラス物品として下方に引き出され、徐冷領域に入る。
【0088】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載されるガラス物品は、非晶質の微細構造を示してもよく、結晶または結晶子を実質的に含まなくてもよい。言い換えれば、ガラス物品は、ガラスセラミック材料を除く。
【0089】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、ガラス物品が0.7mmの厚さを有する場合、約300nm~約2500nmの波長範囲にわたって、約90%以下の全日射透過率を示す。例えば、ガラス物品は、全日射透過率を、約60%~約88%、約62%~約88%、約64%~約88%、約65%~約88%、約66%~約88%、約68%~約88%、約70%~約88%、約72%~約88%、約60%~約86%、約60%~約85%、約60%~約84%、約60%~約82%、約60%~約80%、約60%~約78%、約60%~約76%、約60%~約75%、約60%~約74%、または約60%~約72%の範囲で示す。
【0090】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、0.7mmまたは1mmの厚さで、約380nm~約780nmの波長範囲にわたって、約75%~約85%の範囲の平均透過率を示す。いくつかの実施形態では、この厚さと、この波長範囲にわたる平均透過率は、約75%~約84%、約75%~約83%、約75%~約82%、約75%~約81%、約75%~約80%、約76%~約85%、約77%~約85%、約78%~約85%、約79%~約85%、または約80%~約85%の範囲にあってもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、0.7mmまたは1mmの厚さで、約300nm~約400nmの波長範囲にわたって、Tuv-380またはTuv-400が50%以下(例えば、49%以下、48%以下、45%以下、40%以下、30%以下、25%以下、23%以下、20%以下、または15%以下)である。
【0091】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、表面から圧縮深さ(DOL)まで延びる圧縮応力(CS)を含むように強化されてもよい。表面(CS)領域は、引張応力(CT)を示す中央部分によってバランスがとられている。DOLでは、正の応力(圧縮応力)から負の応力(引張応力)へと応力が変化する。しかしながら、ここで示される圧縮応力および引張応力の値は絶対値である。
【0092】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、圧縮応力領域と、引張応力を示す中央領域とを生じさせるために物品の部分間の熱膨張係数のミスマッチを利用することによって機械的に強化されてもよい。いくつかの実施形態では、ガラス物品は、ガラスをガラス転移点未満の温度に加熱し、次いで急速に急冷することによって熱的に強化されてもよい。
【0093】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、イオン交換によって化学的に強化されてもよい。イオン交換法では、ガラス物品の表面またはその付近にあるイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンに置き換えられるか、または交換される。ガラス物品がアルカリ金属アルミノシリケートガラスを含むこれらの実施形態では、物品の表面層のイオンと、より大きなイオンとは、Li、Na、K、Rb、およびCsなどの一価のアルカリ金属カチオンである。あるいは表面層の一価のカチオンを、Agなどのアルカリ金属カチオン以外の一価のカチオンで置き換えてもよい。そのような実施形態では、ガラス物品へと交換された一価のイオン(またはカチオン)は、応力を発生させる。
【0094】
イオン交換法は、ガラス物品中のより小さなイオンと交換されるべきより大きなイオンを含有する融解塩浴(または2つ以上の融解塩浴)にガラス物品を浸漬することによって典型的には行われる。水性塩浴も利用できることに留意されたい。さらに、浴の組成は、2種類以上のより大きなイオン(例えば、NaおよびK)または単一のより大きなイオンを含んでいてもよい。浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(または浴)へのガラス物品の浸漬回数、複数の塩浴の使用、徐冷、洗浄などの追加ステップなどを含むがこれらに限定されないイオン交換法のパラメーターは、一般的に、ガラス物品の組成(物品の構造および存在する任意の結晶相を含む)ならびに強化により生じるガラス物品の所望のDOLおよびCSによって決定されることが当業者には理解されるであろう。例示的な融解浴組成物としては、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および塩化物を挙げることができる。典型的な硝酸塩としては、KNO、NaNO、LiNO、NaSOおよびそれらの組み合わせが挙げられる。融解塩浴の温度は、典型的には、約380℃~約450℃までの範囲にあり、一方で、浸漬時間は、ガラス物品の厚さ、浴の温度およびガラス(または一価のイオン)の拡散性に応じて、約15分~約100時間までの範囲となる。しかしながら、上記のものとは異なる温度および浸漬時間を使用することもできる。
【0095】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約370℃~約480℃の範囲の温度を有する100%NaNO、100%KNO、またはNaNOとKNOとの組み合わせの融解塩浴に浸漬されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、ガラス物品は、約5%~約90%のKNOおよび約10%~約95%のNaNOを含む融解混合塩浴に浸漬されてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1の浴に浸漬した後、第2の浴に浸漬してもよい。第1および第2の浴は、組成および/または温度が互いに異なっていてもよい。第1および第2の浴への浸漬時間が異なっていてもよい。例えば、第1の浴への浸漬は、第2の浴への浸漬より長くてもよい。
【0097】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約420℃未満(例えば、約400℃または約380℃)の温度を有するNaNOおよびKNO(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む融解混合塩浴に、約5時間未満、さらには約4時間未満で浸漬されてもよい。
【0098】
イオン交換条件は、結果として得られるガラス物品の表面またはその付近で、「スパイク」を提供したり、応力プロファイルの傾斜を大きくしたりするように調整することができる。このスパイクにより、表面CS値がより大きくなり得る。このスパイクは、本明細書に記載されるガラス物品に使用されるガラス組成物の固有の特性により、単一の組成物または混合組成物を有する単一の浴または複数の浴で達成することができる。
【0099】
1つ以上の実施形態では、2つ以上の一価のイオンがガラス物品へと交換される場合、異なる一価のイオンがガラス物品内の異なる深さに交換される(そして、異なる深さでガラス物品内に異なる大きさの応力を発生させる)ことができる。その結果、応力を発生させるイオンの相対的な深さを決定し、応力プロファイルの異なる特性をもたらすことができる。
【0100】
表面CSは、当該技術分野で知られている方法を用いて、例えば、折原工業株式会社(日本)製のFSM-6000などの市販の機器を使用した表面応力計(FSM)で測定される。表面応力の測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存している。SOC自体は、当該技術分野で知られている方法、例えば、ファイバー法および4点曲げ法(いずれも、「ガラス応力-光学係数測定の標準試験法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient)」というタイトルのASTM規格C770-98(2013)に記載されており、この規格は、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする)、ならびにバルクシリンダー法で測定される。本明細書で使用される場合、CSは、圧縮応力層内で測定された最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力」であり得る。いくつかの実施形態では、最大圧縮応力は、ガラス物品の表面に位置する。他の実施形態では、最大圧縮応力は、表面下の深さで発生してもよく、圧縮プロファイルに「埋もれたピーク」が現れることになる。
【0101】
DOLは、強化方法および条件に応じて、FSMまたは散乱光ポラリスコープ(SCALP)(例えば、Glasstress Ltd(エストニア・タリン在)から入手可能なSCALP-04散乱光ポラリスコープ)を用いて測定することができる。イオン交換処理によってガラス物品を化学的に強化する場合、ガラス物品にどのイオンを交換するかに応じて、FSMまたはSCALPを用いることができる。ガラス物品へのカリウムイオン交換によるガラス物品の応力が発生している場合は、FSMを用いてDOLを測定する。ナトリウムイオンがガラス物品へと交換されることで応力が発生する場合は、SCALPを使用してDOLを測定する。ガラス物品の応力がカリウムイオンとナトリウムイオンとの両方をガラスへと交換することで発生する場合は、ナトリウムの交換深さがDOLを示し、カリウムイオンの交換深さが圧縮応力の大きさの変化を示す(ただし、圧縮から引張への応力の変化は示さない)と考えられるため、DOLはSCALPで測定され、そのようなガラス物品のカリウムイオンの交換深さはFSMで測定される。
【0102】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、(本明細書に記載されているように)ガラス物品の厚さtの一部として記載されるDOLを示すように強化されてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、DOLは、約0.03t以上、約0.05t以上、約0.06t以上、約0.1t以上、約0.11t以上、約0.12t以上、約0.13t以上、約0.14t以上、約0.15t以上、約0.16t以上、約0.17t以上、約0.18t以上、約0.19t以上、約0.2t以上、約0.21t以上であってもよい。いくつかの実施形態では、DOLは、約0.03t~約0.25t、約0.04t~約0.25t、約0.05t~約0.25t、約0.06t~約0.25t、約0.07t~約0.25t、約0.08t~約0.25t、約0.09t~約0.25t、約0.18t~約0.25t、約0.11t~約0.25t、約0.12t~約0.25t、約0.13t~約0.25t、約0.14t~約0.25t、約0.15t~約0.25t、約0.03t~約0.24t、約0.03t~約0.23t、約0.03t~約0.22t、約0.03t~約0.21t、約0.03t~約0.2t、約0.03t~約0.19t、約0.03t~約0.18t、約0.03t~約0.17t、約0.03t~約0.16t、または約0.03t~約0.15tの範囲にあってもよい。いくつかの例では、DOLは約20μm以下であってもよい。1つ以上の実施形態では、DOLは、約35μm以上(例えば、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm。約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μm、または約40μm~約100μm)であってもよい。
【0103】
1つ以上の実施形態では、強化ガラス物品は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上、または約1050MPa以上のCS(ガラス物品の表面または内部の深さに見ることができる)を有してもよい。
【0104】
1つ以上の実施形態では、強化ガラス物品は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上、または約85MPa以上の最大CTを有してもよい。いくつかの実施形態では、最大CTは、約40MPa~約100MPaの範囲にあってもよい。
【0105】
1つ以上の特定の実施形態では、ガラス物品(約1mm以下の厚さを有する)は、約650MPa~約850MPaの範囲の表面CSと、約35μm~約65μmの範囲の対応するDOLとを示す。そのような実施形態では、強化レベル(表面CSおよびDOLの観点から)は、100%KNOの融解塩浴に約8時間未満、約6時間以内、または約4時間以内で浸漬した後のガラス物品によって示される。温度は、約380℃~約420℃の範囲にあってもよい。
【0106】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるガラス物品を含む積層体に関する。1つ以上の実施形態では、積層体200は、図4に示すように、1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む第1のガラス層210と、第1のガラス層上に配置された中間層220とを含むことができる。図5に示すように、積層体300は、第1のガラス層310と、第1の層上に配置された中間層320と、第1のガラス層310に対向して中間層320上に配置された第2のガラス層330とを含むことができる。積層体に使用される第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方は、本明細書に記載されるガラス物品を含むことができる。図5に示すように、中間層320は、第1のガラス層と第2のガラス層との間に配置されている。
【0107】
1つ以上の実施形態では、積層体300は、本明細書に記載されるガラス物品を含む第1のガラス層と、本明細書に記載されるガラス物品とは異なる組成を含む第2のガラス層とを含むことができる。例えば、第2のガラス層は、ソーダライムガラス、アルカリ金属アルミノシリケートガラス、アルカリ金属含有ボロシリケートガラス、アルカリ金属アルミノホスホシリケートガラス、またはアルカリ金属アルミノボロシリケートガラスを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のガラス層および第2のガラス層の両方が、本明細書に記載されるガラス物品を含み、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0108】
1つ以上の実施形態では、第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方が1.6mm未満(例えば、1.55mm以下、1.5mm以下、1.45mm以下、1.4mm以下、1.35mm以下、1.3mm以下、1.25mm以下、1.2mm以下、1.15mm以下、1.1mm以下、1.05mm以下、1mm以下、0.95mm以下、0.9mm以下、0.85mm以下、0.8mm以下、0.75mm以下、0.7mm以下、0.65mm以下、0.6mm以下、0.55mm以下、0.5mm以下、0.45mm以下、0.4mm以下、0.35mm以下、0.3mm以下、0.25mm以下、0.2mm以下、0.15mm以下、または0.1mm以下)の厚さを有する。厚さの下限値は、0.1mm、0.2mmまたは0.3mmであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のガラス層および第2のガラス層のいずれか一方または両方の厚さは、約0.1mm以上約1.6mm未満、約0.1mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mmから、約0.2mm以上約1.6mm未満、約0.3mm以上約1.6mm未満、約0.4mm以上約1.6mm未満、約0.5mm以上約1.6mm未満、約0.6mm以上約1.6mm未満、約0.7mm以上約1.6mm未満、約0.8mm以上約1.6mm未満、約0.9mm以上約1.6mm未満、約1mm~約1.6mm、約0.4mm~約1.2mm、約0.5mm~約1.2mm、約0.7mm~約1.2mm、約0.4mm~約1mm、約0.5mm~約1mm、または約0.7mm~約1mmの範囲にある。いくつかの実施形態では、第1のガラス層と第2のガラス層とは、互いに実質的に同じ厚さを有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1および第2のガラス層の一方が約1.6mm未満の厚さを有するのに対して、第1および第2のガラス層の他方は、約1mm以上、または約1.6mm以上の厚さを有する。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層と第2のガラス層とは、互いに異なる厚さを有する。例えば、第1および第2のガラス層の一方が約1.6mm未満の厚さを有するのに対して、第1および第2のガラス層の他方は、約1.7mm以上、約1.75mm以上、約1.8mm以上、約1.7mm以上、約1.7mm以上、約1.7mm以上、約1.85mm以上、約1.9mm以上、約1.95mm以上、約2mm以上、約2.1mm以上、約2.2mm以上、約2.3mm以上、約2.4mm以上、2.5mm以上、2.6mm以上、2.7mm以上、2.8mm以上、2.9mm以上、3mm以上、3.2mm以上、約3.4mm以上、3.5mm以上、3.6mm以上、3.8mm以上、4mm以上、4.2mm以上、4.4mm以上、4.6mm以上、4.8mm以上、5mm以上、5.2mm以上、5.4mm以上、5.6mm以上、5.8mm以上、または6mm以上の厚さを有する。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のガラス層は、約1.6mm~約6mm、約1.7mm~約6mm、約1.8mm~約6mm、約1.9mm~約6mm、約2mm~約6mm、約2.1mm~約6mm、約2.2mm~約6mm、約2.3mm~約6mm、約2.4mm~約6mm、約2.5mm~約6mm、約2.6mm~約6mm、約2.8mm~約6mm、3mm~約6mm、約3.2mm~約6mm、約3.4mm~約6mm、約3.6mm~約6mm、約3.8mm~約6mm、約4mm~約6mm、約1.6mm~約5.8mm、約1.6mm~約5.6mm、約1.6mm~約5.5mm、約1.6mm~約5.4mm、約1.6mm~約5.2mm、約1.6mm~約5mm、約1.6mm~約4.8mm、約1.6mm~約4.6mm、約1.6mm~約4.4mm、約1.6mm~約4.2mm、約1.6mm~約4mm、約3.8mm~約5.8mm、約1.6mm~約3.6mm、約1.6mm~約3.4mm、約1.6mm~約3.2mm、または約1.6mm~約3mmの範囲の厚さを有する。
【0110】
1つ以上の実施形態では、第1のガラス層は、第2のガラス層と比較して相対的に薄い。言い換えれば、第2のガラス層は、第1のガラス層よりも大きい厚さを有する。1つ以上の実施形態では、第2のガラス層は、第1のガラス層の厚さの2倍を超える厚さを有してもよい。1つ以上の実施形態では、第2のガラス層は、第1のガラス層の厚さの約1.5倍~約2.5倍の範囲の厚さを有してもよい。
【0111】
1つ以上の実施形態では、第1のガラス層と第2のガラス層とは同じ厚さを有してもよいが、第2のガラス層は、第1のガラス層よりも剛性が高いか、より大きな剛性を有し、非常に具体的な実施形態では、第1のガラス層および第2のガラス層の両方が0.2mm~1.6mmの範囲の厚さを有する。
【0112】
1つ以上の実施形態では、積層体200,300は、6.85mm以下、または5.85mm以下の厚さを有してもよく、この厚さは、第1のガラス層と、第2のガラス層と、中間層と、任意の他の層との厚さの合計からなる。様々な実施形態では、積層体は、約1.8mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約1.8mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約1.8mm~約5.0mmの範囲の厚さ、または2.1mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約2.1mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約2.1mm~約5.0mmの範囲の厚さ、または約2.4mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約2.4mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約2.4mm~約5.0mmの範囲の厚さ、または約3.4mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約3.4mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約3.4mm~約5.0mmの範囲の厚さを有してもよい。
【0113】
1つ以上の実施形態では、積層体300,400は、1000mm未満、または750mm未満、または500mm未満、または300mm未満の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施形態では、積層体300は、少なくとも1つの軸線に沿って、約10m以下、または約5m以下の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施形態では、積層体400は、少なくとも第1の軸線と、第1の軸線に垂直な第2の軸線とに沿って、5m以下の曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態では、積層体は、少なくとも第1の軸線と、第1の軸線に垂直ではない第2の軸線とに沿って、5m以下の曲率半径を有してもよい。
【0114】
1つ以上の実施形態では、第1のガラス層は、第1の垂下温度を有し、第2のガラス層は、第2の垂下温度を有し、第1の垂下温度と第2の垂下温度との差は、約100℃以下、約90℃以下、約80℃以下、約75℃以下、約70℃以下、約60℃以下、約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、約20℃以下、または約10℃以下である。
【0115】
1つ以上の実施形態では、第1のガラス層または第2のガラス層は、本明細書に記載されているように強化されたガラス物品を利用してもよい。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層は、本明細書に記載の実施形態による強化ガラス物品を含み、一方で、第2のガラス層は強化されていない。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層は、本明細書に記載の実施形態による強化ガラス物品を含み、一方で、第2のガラス層は徐冷されている。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されており、一方で、第2のガラス層は、第1のガラス層とは異なる方法で(化学的、機械的および/または熱的に)強化されている。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されており、一方で、第2のガラス層は、第1のガラス層と同じ方法で(化学的、機械的および/または熱的に)強化されている。
【0116】
1つ以上の実施形態では、本明細書で使用される中間層(例えば、320)は、単層または複数の層を含んでもよい。中間層(またはその層)は、ポリビニルブチラール(PVB)、遮音PVB(APVB)、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル(EVA)および熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの形成ポリマーであってもよい。中間層の厚さは、約0.5mm~約2.5mm、約0.8mm~約2.5mm、約1mm~約2.5mm、または約1.5mm~約2.5mmの範囲にあってもよい。
【0117】
本開示の別の態様は、図6に示すように、第1の湾曲したガラス層410と、第2の湾曲したガラス層420と、第1の湾曲したガラス層と第2の湾曲したガラス層との間に配置された中間層430とを含む積層体400に関する。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層410は、第1の主面412と、第1の主面に対向する第2の主面414と、第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さ416と、第1の垂下深さ418とを有する。1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層420は、第3の主面422と、第3の主面に対向する第4の主面424と、第3の主面と第4の主面との間の距離として定義される第2の厚さ426と、第2の垂下深さ428とを有する。図6の積層体400の向きは、第2の表面414を凸面として示し、第3の表面422を凹面として示す。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層の位置は、逆にすることができる。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は、第1の粘度を示し、第2の湾曲したガラス層は、所定の温度で第1の粘度とは異なる第2の粘度を示す。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は、本明細書に記載されるガラス組成物の1つ以上の実施形態から形成される。第1の粘度および第2の粘度が測定される温度は、約590℃~約650℃(または約630℃)であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の粘度は、630℃の温度で、第1の粘度の約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍以上である。
【0118】
1つ以上の実施形態では、600℃において、第1の粘度は、約2×1011ポアズ~約1×1015ポアズ(約2×1010Pa・s~約1×1014Pa・s)、約4×1011ポアズ~約1×1015ポアズ(約4×1010Pa・s~約1×1014Pa・s)、約5×1011ポアズ~約1×1015ポアズ(約5×1010Pa・s~約1×1014Pa・s)、約6×1011ポアズ~約1×1015ポアズ(約6×1010Pa・s~約1×1014Pa・s)、約8×1011ポアズ~約1×1015ポアズ(約8×1010Pa・s~約1×1014Pa・s)、約1×1012ポアズ~約1×1015ポアズ(約1×1011Pa・s~約1×1014Pa・s)、約2×1012ポアズ~約1×1015ポアズ(約2×1011Pa・s~約1×1014Pa・s)、約4×1012ポアズ~約1×1015ポアズ(約4×1011Pa・s~約1×1014Pa・s)、約5×1012ポアズ~約1×1015ポアズ(約5×1011Pa・s~約1×1014Pa・s)、約6×1012ポアズ~約1×1015ポアズ(約6×1011Pa・s~約1×1014Pa・s)、約8×1012ポアズ~約1×1015ポアズ(約8×1011Pa・s~約1×1014Pa・s)、約1×1013ポアズ~約1×1015ポアズ(約1×1012Pa・s~約1×1014Pa・s)、約2×1013ポアズ~約1×1015ポアズ(約2×1012Pa・s~約1×1014Pa・s)、約4×1013ポアズ~約1×1015ポアズ(約4×1012Pa・s~約1×1014Pa・s)、約5×1013ポアズ~約1×1015ポアズ(約5×1012Pa・s~約1×1014Pa・s)、約6×1013ポアズ~約1×1015ポアズ(約6×1012Pa・s~約1×1014Pa・s)、約8×1013ポアズ~約1×1015ポアズ(約8×1012Pa・s~約1×1014Pa・s)、約1×1014ポアズ~約1×1015ポアズ(約1×1013Pa・s~約1×1014Pa・s)、約2×1011ポアズ~約8×1014ポアズ(約2×1010Pa・s~約8×1013Pa・s)、約2×1011ポアズ~約6×1014ポアズ(約2×1010Pa・s~約6×1013Pa・s)、約2×1011ポアズ~約5×1014ポアズ(約2×1010Pa・s~約5×1013Pa・s)、約2×1011ポアズ~約4×1014ポアズ(約2×1010Pa・s~約4×1013Pa・s)、約2×1011ポアズ~約2×1014ポアズ(約2×1010Pa・s~約2×1013Pa・s)、約2×1011ポアズ~約1×1014ポアズ(約2×1010Pa・s~約1×1013Pa・s)、約2×1011ポアズ~約8×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約8×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約6×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約6×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約5×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約5×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約4×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約4×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約2×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約2×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約8×1012ポアズ(約2×1010Pa・s~約8×1011Pa・s)、約2×1011ポアズ~約6×1012ポアズ(約2×1010Pa・s~約6×1011Pa・s)、または約2×1011ポアズ~約5×1012ポアズ(約2×1010Pa・s~約5×1011Pa・s)の範囲にある。
【0119】
1つ以上の実施形態では、630℃において、第1の粘度は、約2×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約2×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約4×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約4×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約5×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約5×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約6×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約6×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約8×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約8×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約1×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約1×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約4×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約4×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約5×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約5×1010Pa・s~約1×10120Pa・s)、約6×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約6×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約8×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約8×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約1×1012ポアズ~約1×1013ポアズ(約1×1011Pa・s~約1×1012Pa・s)、約2×1010ポアズ~約8×1012ポアズ(約2×10Pa・s~約8×1011Pa・s)、約2×1010ポアズ~約6×1012ポアズ(約2×10Pa・s~約6×1011Pa・s)、約2×1010ポアズ~約5×1012ポアズ(約2×10Pa・s~約5×1011Pa・s)、約2×1010ポアズ~約4×1012ポアズ(約2×10Pa・s~約4×1011Pa・s)、約2×1010ポアズ~約2×1012ポアズ(約2×10Pa・s~約2×1011Pa・s)、約2×1010ポアズ~約1×1012ポアズ(約2×10Pa・s~約1×1011Pa・s)、約2×1010ポアズ~約8×1011ポアズ(約2×10Pa・s~約8×1010Pa・s)、約2×1010ポアズ~約6×1011ポアズ(約2×10Pa・s~約6×1010Pa・s)、約2×1010ポアズ~約5×1011ポアズ(約2×10Pa・s~約5×1010Pa・s)、約2×1010ポアズ~約4×1011ポアズ(約2×10Pa・s~約4×1010Pa・s)、または約2×1010ポアズ~約2×1011ポアズ(約2×10Pa・s~約2×1010Pa・s)の範囲にある。
【0120】
1つ以上の実施形態では、650℃において、第1の粘度は、約1×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約1×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約2×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約2×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約4×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約4×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約5×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約5×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約6×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約6×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約8×1010ポアズ~約1×1013ポアズ(約8×10Pa・s~約1×1012Pa・s)、約1×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約1×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約2×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約2×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約4×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約4×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約4×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約4×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約5×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約5×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約6×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約6×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約8×1011ポアズ~約1×1013ポアズ(約8×1010Pa・s~約1×1012Pa・s)、約1×1012ポアズ~約1×1013ポアズ(約1×1011Pa・s~約1×1012Pa・s)、約1×1010ポアズ~約8×1012ポアズ(約1×10Pa・s~約8×1011Pa・s)、約1×1010ポアズ~約6×1012ポアズ(約1×10Pa・s~約6×1011Pa・s)、約1×1010ポアズ~約5×1012ポアズ(約1×10Pa・s~約5×1011Pa・s)、約1×1010ポアズ~約4×1012ポアズ(約1×10Pa・s~約4×1011Pa・s)、約1×1010ポアズ~約2×1012ポアズ(約1×10Pa・s~約2×1011Pa・s)、約1×1010ポアズ~約1×1012ポアズ(約1×10Pa・s~約1×1011Pa・s)、約1×1010ポアズ~約8×1011ポアズ(約1×10Pa・s~約8×1010Pa・s)、約1×1010ポアズ~約6×1011ポアズ(約1×10Pa・s~約6×1010Pa・s)、約1×1010ポアズ~約5×1011ポアズ(約1×10Pa・s~約5×1010Pa・s)、約1×1010ポアズ~約4×1011ポアズ(約1×10Pa・s~約4×1010Pa・s)、約1×1010ポアズ~約2×1011ポアズ(約1×10Pa・s~約2×1010Pa・s)、または約1×1010ポアズ~約1×1011ポアズ(約1×10Pa・s~約1×1010Pa・s)の範囲にある。
【0121】
1つ以上の実施形態では、600℃において、第2の粘度は、約3×1010ポアズ~約8×1010ポアズ(約3×10Pa・s~約8×10Pa・s)、約4×1010ポアズ~約8×1010ポアズ(約4×10Pa・s~約8×10Pa・s)、約5×1010ポアズ~約8×1010ポアズ(約5×10Pa・s~約8×10Pa・s)、約6×1010ポアズ~約8×1010ポアズ(約6×10Pa・s~約8×10Pa・s)、約3×1010ポアズ~約7×1010ポアズ(約3×10Pa・s~約7×10Pa・s)、約3×1010ポアズ~約6×1010ポアズ(約3×10Pa・s~約6×10Pa・s)、約3×1010ポアズ~約5×1010ポアズ(約3×10Pa・s~約5×10Pa・s)、または約4×1010ポアズ~約6×1010ポアズ(約4×10Pa・s~約6×10Pa・s)の範囲にある。
【0122】
1つ以上の実施形態では、630℃において、第2の粘度は、約1×10ポアズ~約1×1010ポアズ(約1×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約2×10ポアズ~約1×1010ポアズ(約2×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約3×10ポアズ~約1×1010ポアズ(約3×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約4×10ポアズ~約1×1010ポアズ(約4×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約1×1010ポアズ(約5×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約6×10ポアズ~約1×1010ポアズ(約6×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約9×10ポアズ(約1×10Pa・s~約9×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約8×10ポアズ(約1×10Pa・s~約8×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約7×10ポアズ(約1×10Pa・s~約7×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約6×10ポアズ(約1×10Pa・s~約6×10Pa・s)、約4×10ポアズ~約8×10ポアズ(約4×10Pa・s~約8×10Pa・s)、または約5×10ポアズ~約7×10ポアズ(約5×10Pa・s~約7×10Pa・s)の範囲にある。
【0123】
1つ以上の実施形態では、650℃において、第2の粘度は、約5×10ポアズ~約5×10ポアズ(約5×10Pa・s~約5×10Pa・s)、約6×10ポアズ~約5×10ポアズ(約6×10Pa・s~約5×10Pa・s)、約7×10ポアズ~約5×10ポアズ(約7×10Pa・s~約5×10Pa・s)、約8×10ポアズ~約5×10ポアズ(約8×10Pa・s~約5×10Pa・s)、約9×10ポアズ~約5×10ポアズ(約9×10Pa・s~約5×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約5×10ポアズ(約1×10Pa・s~約5×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約4×10ポアズ(約1×10Pa・s~約4×10Pa・s)、約1×10ポアズ~約3×10ポアズ(約1×10Pa・s~約3×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約4×10ポアズ(約5×10Pa・s~約4×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約3×10ポアズ(約5×10Pa・s~約3×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約2×10ポアズ(約5×10Pa・s~約2×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約1×10ポアズ(約5×10Pa・s~約1×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約9×10ポアズ(約5×10Pa・s~約9×10Pa・s)、約5×10ポアズ~約8×10ポアズ(約5×10Pa・s~約8×10Pa・s)、または約5×10ポアズ~約7×10ポアズ(約5×10Pa・s~約7×10Pa・s)までの範囲にある。
【0124】
1つ以上の実施形態では、第1の垂下深さ418および第2の垂下深さ428の一方または両方は、約2mm以上である。例えば、第1の垂下深さ418および第2の垂下深さ428の一方または両方は、約2mm~約30mm、約4mm~約30mm、約5mm~約30mm、約6mm~約30mm、約8mm~約30mm、約10mm~約30mm、約12mm~約30mm、約14mm~約30mm、約15mm~約30mm、約2mm~約28mm、約2mm~約26mm、約2mm~約25mm、約2mm~約24mm、約2mm~約22mm、約2mm~約20mm、約2mm~約18mm、約2mm~約16mm、約2mm~約15mm、約2mm~約14mm、約2mm~約12mm、約2mm~約10mm、約2mm~約8mm、約6mm~約20mm、約8mm~約18mm、約10mm~約15mm、約12mm~約22mm、約15mm~約25mm、または約18mm~約22mmの範囲にあってもよい。
【0125】
1つ以上の実施形態では、第1の垂下深さ418および第2の垂下深さ428は、互いに実質的に等しい。1つ以上の実施形態では、第1の垂下深さは、第2の垂下深さの10%以内にある。例えば、第1の垂下深さは、第2の垂下深さの9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、または5%以内にある。説明のために、第2の垂下深さは約15mmであり、第1の垂下深さは約14.5mm~約16.5mmの範囲(または第2の垂下深さの10%以内)にある。
【0126】
1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層および第2の湾曲したガラス層は、GOM GmbH(ドイツ・ブラウンシュヴァイク在)により供給されるATOS Triple Scanなどの光学式三次元スキャナで測定した±5mm以下の形状偏差を有する。1つ以上の実施形態では、形状偏差は、第2の表面414と第3の表面422との間、または第1の表面412と第4の表面424との間で測定される。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層と第2のガラス層との間の形状偏差は、約±4mm以下、約±3mm以下、約±2mm以下、約±1mm以下、約±0.8mm以下、約±0.6mm以下、約±0.5mm以下、約±0.4mm以下、約±0.3mm以下、約±0.2mm以下、または約±0.1mm以下である。本明細書で使用される場合、形状偏差とは、それぞれの表面で測定された最大の形状偏差を指す。
【0127】
1つ以上の実施形態では、第1の主面412および第4の主面424の一方または両方は、最小の光学歪みを示す。例えば、第1の主面412および第4の主面424の一方または両方は、ASTM 1561に準拠した透過光学系を用いた光学歪み検出器で測定した、約400ミリディオプター未満、約300ミリディオプター未満、または約250ミリディオプター未満の光学歪みを示す。適切な光学歪み検出器は、SCREENSCAN-Faultfinderという商標名で、ISRA VISIION AG社(ドイツ・ダルムシュタット在)により供給されている。1つ以上の実施形態では、第1の主面412および第4の主面424の一方または両方は、約190ミリディオプター以下、約180ミリディオプター以下、約170ミリディオプター以下、約160ミリディオプター以下、約150ミリディオプター以下、約140ミリディオプター以下、約130ミリディオプター以下、約120ミリディオプター以下、約110ミリディオプター以下、約100ミリディオプター以下、約90ミリディオプター以下、約80ミリディオプター以下、約70ミリディオプター以下、約60ミリディオプター以下、または約50ミリディオプター以下の光学歪みを示す。本明細書で使用される場合、光学歪みとは、それぞれの表面で測定された最大の光学歪みを指す。
【0128】
1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層の第3の主面または第4の主面は、低い膜引張応力を示す。膜引張応力は、湾曲した層および積層体の冷却中に発生し得る。ガラスが冷却されると、主面およびエッジ面(主面に直交する)は表面圧縮を生じ得るが、これは、引張応力を示す中央領域によって相殺される。曲げ加工または成形により、エッジ付近に追加の表面張力が発生し、中央の引張領域がガラス表面に近づくことになる。したがって、膜引張応力は、エッジ付近(例えば、エッジ面から約10~25mm)で測定した引張応力である。1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層の第3の主面または第4の主面における膜引張応力は、ASTM C1279に準拠した表面応力計で測定して、約7MPa未満である。そのような表面応力計の一例が、GASP(登録商標)(Grazing Angle Surface Polarimeter)という商標名で、Strainoptic Technologies社により供給されている。1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層の第3の主面または第4の主面における膜引張応力は、約6MPa以下、約5MPa以下、約4MPa以下、または約3MPa以下である。1つ以上の実施形態では、膜引張応力の下限値は、約0.01MPaまたは約0.1MPaである。
【0129】
1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層の第3の主面または第4の主面における膜圧縮応力は、ASTM C1279に準拠した表面応力計で測定して、約7MPa未満である。例えば、GASP(登録商標)(Grazing Angle Surface Polarimeter)という商標名で、Strainoptic Technologies社により供給されている表面応力計のような表面応力計を使用してもよい。1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層の第3の主面または第4の主面における膜圧縮応力は、約6MPa以下、約5MPa以下、約4MPa以下、または約3MPa以下である。1つ以上の実施形態では、膜圧縮応力の下限値は、約0.01MPaまたは約0.1MPaである。
【0130】
1つ以上の実施形態では、積層体400は、6.85mm以下、または5.85mm以下の厚さを有してもよく、この厚さは、第1の湾曲したガラス層と、第2の湾曲したガラス層と、中間層(および任意の他の層)との厚さの合計からなる。様々な実施形態では、積層体は、約1.8mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約1.8mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約1.8mm~約5.0mmの範囲の厚さ、または2.1mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約2.1mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約2.1mm~約5.0mmの範囲の厚さ、または約2.4mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約2.4mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約2.4mm~約5.0mmの範囲の厚さ、または約3.4mm~約6.85mmの範囲の厚さ、または約3.4mm~約5.85mmの範囲の厚さ、または約3.4mm~約5.0mmの範囲の厚さを有してもよい。
【0131】
1つ以上の実施形態では、積層体400は、1000mm未満、または750mm未満、または500mm未満、または300mm未満の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施形態では、積層体300は、少なくとも1つの軸線に沿って、約10m以下、または約5m以下の少なくとも1つの曲率半径を示す。1つ以上の実施形態では、積層体400は、少なくとも第1の軸線と、第1の軸線に垂直な第2の軸線とに沿って、5m以下の曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態では、積層体は、少なくとも第1の軸線と、第1の軸線に垂直ではない第2の軸線とに沿って、5m以下の曲率半径を有してもよい。
【0132】
1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層410は、第2の湾曲したガラス層420と比較して相対的に薄い。言い換えれば、第2の湾曲したガラス層は、第1の湾曲したガラス層よりも大きい厚さを有する。1つ以上の実施形態では、第2の厚さは、第1の厚さの2倍を超える。1つ以上の実施形態では、第2の厚さは、第1の厚さの約1.5倍~約10倍(例えば、約1.75倍~約10倍、約2倍~約10倍、約2.25倍~約10倍、約2.5倍~約10倍、約2.75倍~約10倍、約3倍~約10倍、約3.25倍~約10倍、約3.5倍~約10倍、約3.75倍~約10倍、約4倍~約10倍、約1.5倍~約9倍、約1.5倍~約8倍、約1.5倍~約7.5倍、約1.5倍~約7倍、約1.5倍~約6.5倍、約1.5倍~約6倍、約1.5倍~約5.5倍、約1.5倍~約5倍、約1.5倍~約4.5倍、約1.5倍~約4倍、約1.5倍~約3.5倍、約2倍~約7倍、約2.5倍~約6倍、約3倍~約6倍)の範囲にある。
【0133】
1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層410および第2の湾曲したガラス層420は、同じ厚さを有してもよい。1つ以上の具体的な実施形態では、第2の湾曲したガラス層は、第1の湾曲したガラス層よりも剛性が高いか、またはより大きな剛性を有し、非常に具体的な実施形態では、第1の湾曲したガラス層および第2の湾曲したガラス層の両方が、0.2mm~1.6mmの範囲内の厚さを有する。
【0134】
1つ以上の実施形態では、第1の厚さ416および第2の厚さ426のいずれか一方または両方が、1.6mm未満(例えば、1.55mm以下、1.5mm以下、1.45mm以下、1.4mm以下、1.35mm以下、1.3mm以下、1.25mm以下、1.2mm以下、1.15mm以下、1.1mm以下、1.05mm以下、1mm以下、0.95mm以下、0.9mm以下、0.85mm以下、0.8mm以下、0.75mm以下、0.7mm以下、0.65mm以下、0.6mm以下、0.55mm以下、0.5mm以下、0.45mm以下、0.4mm以下、0.35mm以下、0.3mm以下、0.25mm以下、0.2mm以下、0.15mm以下、または約0.1mm以下)である。厚さの下限値は、0.1mm、0.2mmまたは0.3mmであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の厚さおよび第2の厚さのいずれか一方または両方が、約0.1mm以上約1.6mm未満、約0.1mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mmから、約0.2mm以上約1.6mm未満、約0.3mm以上約1.6mm未満、約0.4mm以上約1.6mm未満、約0.5mm以上約1.6mm未満、約0.6mm以上約1.6mm未満、約0.7mm以上約1.6mm未満、約0.8mm以上約1.6mm未満、約0.9mm以上約1.6mm未満、または約1mm~約1.6mmの範囲にある。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1の厚さ416および第2の厚さ426の一方が約1.6mm未満であるのに対して、第1の厚さおよび第2の厚さの他方は約1.6mm以上である。そのような実施形態では、第1の厚さと第2の厚さとは互いに異なる。例えば、第1の厚さ416および第2の厚さ426の一方が約1.6mm未満であるのに対して、第1の厚さおよび第2の厚さの他方は、約1.7mm以上、約1.75mm以上、約1.8mm以上、約1.7mm以上、約1.85mm以上、約1.9mm以上、約1.95mm以上、約2mm以上、約2.1mm以上、約2.2mm以上、約2.3mm以上、約2.4mm以上、2.5mm以上、2.6mm以上、2.7mm以上、2.8mm以上、2.9mm以上、3mm以上、3.2mm以上、3.4mm以上、3.5mm以上、約3.6mm以上、3.8mm以上、4mm以上、4.2mm以上、4.4mm以上、4.6mm以上、4.8mm以上、5mm以上、5.2mm以上、5.4mm以上、5.6mm以上、5.8mm以上、または6mm以上である。いくつかの実施形態では、第1の厚さまたは第2の厚さは、約1.6mm~約6mm、約1.7mm~約6mm、約1.8mm~約6mm、約1.9mm~約6mm、約2mm~約6mm、約2.1mm~約6mm、約2.2mm~約6mm、約2.3mm~約6mm、約2.4mm~約6mm、約2.5mm~約6mm、約2.6mm~約6mm、約2.8mm~約6mm、約3mm~約6mm、約3.2mm~約6mm、約3.4mm~約6mm、約3.6mm~約6mm、約3.8mm~約6mm、約4mm~約6mm、約1.6mm~約5.8mm、約1.6mm~約5.6mm、約1.6mm~約5.5mm、約1.6mm~約5.4mm、約1.6mm~約5.2mm、約1.6mm~約5mm、約1.6mm~約4.8mm、約1.6mm~約4.6mm、約1.6mm~約4.4mm、約1.6mm~約4.2mm、約1.6mm~約4mm、約3.8mm~約5.8mm、約1.6mm~約3.6mm、約1.6mm~約3.4mm、約1.6mm~約3.2mm、または約1.6mm~約3mmの範囲にある。
【0136】
1つ以上の実施形態では、積層体400は、ASTM C1652/C1652Mで測定して視覚的な歪みが実質的にない。具体的な実施形態では、積層体、第1の湾曲したガラス層410および/または第2の湾曲したガラス層420は、ASTM C1652/C1652Mに準拠して、肉眼で視覚的に検出できるシワや歪みが実質的にない。
【0137】
1つ以上の実施形態では、第3の主面422または第4の主面424は、FSM表面応力計で測定して3MPa未満の表面圧縮応力を有する。いくつかの実施形態では、第2の湾曲したガラス層は、本明細書に記載しているように強化されておらず(ただし、任意に徐冷されていてもよい)、第3の表面422または第4の表面424上で測定して、約3MPa未満、または約2.5MPa以下、2MPa以下、1.5MPa以下、1MPa以下、または約0.5MPa以下の表面圧縮応力を示す。いくつかの実施形態では、そのような表面圧縮応力範囲は、第3の主面および第4の主面の両方に存在する。
【0138】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載しているように、第1の湾曲したガラス層410および第2の湾曲したガラス層420のいずれか一方または両方が強化される。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は、本明細書に記載の実施形態による強化ガラス物品を含み、一方で、第2の湾曲したガラス層は強化されていない。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は、本明細書に記載の実施形態による強化ガラス物品を含み、一方で、第2の湾曲したガラス層は徐冷されている。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されており、一方で、第2の湾曲したガラス層は、第1の湾曲したガラス層とは異なる方法で(化学的、機械的および/または熱的に)強化されている。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は、化学的、機械的および/または熱的に強化されており、第2の湾曲したガラス層は、第1の湾曲したガラス層と同じ方法で(化学的、機械的および/または熱的に)強化されている。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は強化されており、第2の湾曲したガラス層は強化されていない。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層は強化されており、第2の湾曲したガラス層は徐冷されている。1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層および第2の湾曲したガラス層の両方が(同じ方法で、または互いに異なる方法で)強化されている。1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層は、ソーダライムシリケートガラスを含み、一方で、第1のガラス基材は、本明細書に記載されるガラス物品の1つ以上の実施形態を含むことで特徴付けられてもよい。
【0139】
1つ以上の実施形態では、第1の湾曲したガラス層410は、第1の長さおよび第1の幅を有し、第1の長さおよび第1の幅のいずれか一方または両方が、約0.25メートル以上である。1つ以上の実施形態では、第2の湾曲したガラス層は、第1の長さの5%以内の第2の長さと、第1の幅の5%以内の第2の幅とを有する。1つ以上の実施形態では、積層体400は、本明細書で定義されるように、湾曲した、または複雑に湾曲したものとして記述されてもよい。
【0140】
1つ以上の実施形態では、積層体400は、自動車用グレージングまたは建築用グレージングである。
【0141】
本開示の別の態様は、内部と、当該内部と連通する開口部を規定するボディと、開口部に配置された積層体400とを含む乗り物を含む。そのような実施形態では、積層体400は、本明細書で定義されるように、複雑に湾曲していてもよいし、単純に湾曲していてもよい。
【0142】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるガラス物品の実施形態を含む第1のガラス層が、第2のガラス層に(中間層を介在させて)冷間成形されてもよい積層体500に関する。図7~8に示す例示的な冷間成形された積層体500では、第1のガラス層510(1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む)が、相対的に厚くて湾曲した第2のガラス層530に積層されている。図7において、第2のガラス層530は、第1の表面532と、中間層520と接触する第2の表面534とを含み、第1のガラス層510は、中間層520と接触する第3の表面512と、第4の表面514とを含む。冷間成形された積層体の指標は、第4の表面514が第3の表面512よりも大きな表面CSを有することである。したがって、冷間成形された積層体は、第4の表面514に高い圧縮応力レベルを有することができ、この表面をより破壊しにくくする。
【0143】
1つ以上の実施形態では、冷間成形プロセス前に、第3の表面512および第4の表面514のそれぞれの圧縮応力は実質的に等しい。第1のガラス層が、強化されていない1つ以上の実施形態では、冷間成形前に、第3の表面512および第4の表面514は、測定可能な圧縮応力を示さない。(本明細書に記載しているように)第1のガラス層510が強化されている1つ以上の実施形態では、第3の表面512および第4の表面514は、冷間成形前に、互いに実質的に等しい圧縮応力を示す。1つ以上の実施形態では、冷間成形後に、第4の表面514の圧縮応力は増加する(すなわち、第4の表面514の圧縮応力は、冷間成形前よりも冷間成形後の方が大きい)。理論に拘束されずに、冷間成形プロセスは、成形されるガラス層(すなわち、第1のガラス層)の圧縮応力を増加させて、曲げ加工および/または成形操作中に付与される引張応力を補償する。1つ以上の実施形態では、冷間成形プロセスは、そのガラス層の第3の表面(すなわち、第3の表面512)に引張応力を受けさせ、一方で、そのガラス層の第4の表面(すなわち、第4の表面514)に圧縮応力を受けさせる。
【0144】
強化された第1のガラス層510が利用される場合、第3および第4の表面(512,514)は、既に圧縮応力を受けており、したがって、第3の表面512は、より大きな引張応力を受けることができる。これにより、強化された第1のガラス層510は、より急な曲面に適合することができる。
【0145】
1つ以上の実施形態では、第1のガラス層510は、第2のガラス層530よりも小さい厚さを有する。この厚さの差は、第1のガラス層510が第2のガラス層530の形状に適合するためにより柔軟性であることを意味する。さらに、より薄い第1のガラス層510は、第2のガラス層530の形状によって生じる形状のミスマッチやギャップを補うために、より容易に変形し得る。1つ以上の実施形態では、薄くて強化された第1のガラス層510は、特に冷間成形中に大きな柔軟性を示す。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層510は、第2のガラス層530に適合して、中間層で満たされた第2の表面534と第3の表面512との間に実質的に均一な距離を提供する。
【0146】
いくつかの非限定的な実施形態では、冷間成形された積層体500は、中間層材料(例えば、520)の軟化温度(例えば、約100℃~約120℃)で、またはそれをほんの少し上回る温度で、すなわち、それぞれのガラス層の軟化温度よりも低い温度で行われる例示的な冷間成形プロセスを用いて形成されてもよい。図7に示すような一実施形態では、冷間成形された積層体は、第2のガラス層(湾曲している)と第1のガラス層(平坦であってもよい)との間に中間層を配置してスタックを形成するステップと、スタックに圧力を適用して、第1のガラス層に押し付けられた中間層に第2のガラス層を押し付けるステップと、スタックを400℃未満の温度に加熱して、第2のガラス層が第1のガラス層に形状を適合させた冷間成形された積層体を形成するステップとによって形成されてもよい。そのようなプロセスは、オートクレーブまたは別の適切な装置内で真空バッグまたはリングを使用して起こり得る。例示的な第1のガラス層510の応力は、本開示のいくつかの実施形態によれば、実質的に対称的なものから非対称的なものへと変化し得る。
【0147】
本明細書で使用される場合、「平坦」および「平面」は互換的に使用され、そのような平坦な層が別の層に冷間成形されるときに、曲率のミスマッチに起因して積層体の欠陥が生じる曲率よりも小さい曲率を有する形状(すなわち、約3メートル以上、約4メートル以上または約5メートル以上の曲率半径)を意味する。平坦な層は、表面に置かれたときに前述の形状を有する。本明細書で使用される場合、「単純な湾曲部」または「単純に湾曲した」とは、1つの軸線に沿った曲率を有する(円筒形の形状または湾曲部を形成する)非平面的な形状を意味する。本明細書で使用される場合、「複雑な湾曲部」および「複雑に湾曲した」とは、互いに異なる2つの直交軸線に沿った曲率を有する非平面的な形状を意味する。複雑に湾曲した形状の例としては、単純な湾曲部または複合曲線を有するもので、非展開形状とも呼ばれ、球状、非球状、およびトロイダル形が挙げられるが、これらに限定されない。複雑に湾曲した形状はまた、そのような表面のセグメントまたは部分を含んでいたり、そのような曲線と表面との組み合わせで構成されていたりしてもよい。1つ以上の実施形態では、積層体は、単純な湾曲部または複雑な湾曲部を有してもよい。1つ以上の実施形態では、第1のガラス層、第2のガラス層、積層体またはそれらの組み合わせは、単純な湾曲部または複雑に湾曲した形状を有してもよく、冷間成形されてもよい。非限定的な例として、単純に湾曲した積層体は、0.5m×1.0mの長さおよび幅の寸法と、1つの軸線に沿った2~5mの曲率半径を有してもよい。
【0148】
1つ以上の実施形態による複雑に湾曲した積層体は、2つの独立した方向に別個の曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態によれば、複雑に湾曲した積層体は、したがって、積層体が所定の寸法に平行な軸線(すなわち、第1の軸線)に沿って湾曲し、同じ寸法に直交する軸線(すなわち、第2の軸線)に沿っても湾曲している「交差曲率」を有すると特徴付けられてもよい。積層体の曲率は、有意な最小半径が、有意な交差曲率、および/または曲げの深さと組み合わされると、さらに一層複雑になり得る。いくつかの積層体は、互いに直交しない軸線に沿った曲げを含んでもよい。非限定的な例として、複雑に湾曲した積層体は、0.5m×1.0mの長さおよび幅の寸法を有し、短軸に沿って2~2.5mの曲率半径を有し、長軸に沿って4~5mの曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態では、複雑に湾曲した積層体は、少なくとも1つの軸線に沿って5m以下の曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態では、複雑に湾曲した積層体は、少なくとも第1の軸線と、第1の軸に直交する第2の軸線に沿って、5m以下の曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態では、複雑に湾曲した積層体は、少なくとも第1の軸線と、第1の軸線に直交しない第2の軸線とに沿って、5m以下の曲率半径を有してもよい。
【0149】
図8に示すように、第1のガラス層510は、単純に湾曲していても、複雑に湾曲していてもよく、積層体の第4の表面を提供する少なくとも1つの凹面(例えば、表面514)と、第1の表面に対向する積層体の第3の表面を提供する少なくとも1つの凸面(例えば、表面512)とを、その間に厚さを伴って有する。冷間成形の実施形態では、第2のガラスシート530は、複雑に湾曲しており、少なくとも1つの凹面(例えば、第2の面534)と、少なくとも1つの凸面(例えば、第1の面532)とを、その間に厚さを伴って有してもよい。
【0150】
1つ以上の実施形態では、中間層520、第1のガラス層510、および第2のガラス層530のうちの1つ以上は、第1の厚さを有する第1のエッジ(例えば、535)と、第1のエッジに対向する、第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する第2のエッジ(例えば、537)とを有する。
【0151】
本明細書に別段記載されているように、本開示の一態様は、本明細書に記載されるガラス物品または積層体を含む乗り物に関する。例えば、図9に示すように、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、内部を規定するボディ610と、当該内部と連通する少なくとも1つの開口部620と、開口部に配置されたウィンドウとを含む乗り物600であって、ウィンドウが積層体またはガラス物品630を含む乗り物を示す。積層体またはガラス物品630は、乗り物のサイドライト、フロントガラス、リアウィンドウ、ウィンドウ、バックミラー、およびサンルーフを形成してもよい。いくつかの実施形態では、積層体またはガラス物品630は、乗り物の内部に内部パーティション(図示せず)を形成してもよく、または乗り物の外面に配置され、エンジンブロックカバー、ヘッドライトカバー、テールライトカバー、ドアパネルカバー、またはピラーカバーを形成してもよい。1つ以上の実施形態では、乗り物は、内面(図示していないが、ドアトリム、シートバック、ドアパネル、ダッシュボード、センターコンソール、フロアボード、バックミラーおよびピラーを含んでもよい)を含んでもよく、本明細書に記載される積層体またはガラス物品630は、内面上に配置される。1つ以上の実施形態では、内面は、ディスプレイおよび/またはタッチパネルを含み、ガラス層はディスプレイを覆うように配置される。本明細書で使用される場合、乗り物は、自動車、車両、機関車、ボート、船舶、および飛行機、ヘリコプター、ドローン、宇宙船などを含む。
【0152】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるガラス物品または積層体を含む建築用途に関する。いくつかの実施形態では、建築用途は、1つ以上の実施形態による積層体またはガラス物品を少なくとも部分的に用いて形成された、手すり、階段、壁用の装飾パネルまたはカバー、音響パネルまたはカバー、柱、パーティション、エレベータ室、家庭用品、ウィンドウ、家具、およびその他の用途を含む。
【0153】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品を含む積層体の部分は、ガラス物品が乗り物の内部または建物もしくは部屋の内部に面するように、乗り物または建築用途内に配置され、ガラス物品が内部に隣接する(他のガラスプライは外部に隣接するようになっている)。いくつかの実施形態では、積層体のガラス物品は、内部と直接接触している(すなわち、内部に面するガラス物品の表面は裸であり、いかなるコーティングも施されていない)。
【0154】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品を含む積層体の部分は、ガラス物品が乗り物の外部または建物もしくは部屋の外部に面するように、乗り物または建築用途内に配置され、ガラス物品が外部に隣接する(他のガラスプライは内部に隣接するようになっている)。いくつかの実施形態では、積層体のガラス物品は、外部と直接接触している(すなわち、外部に面するガラス物品の表面は裸であり、いかなるコーティングも施されていない)。
【0155】
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載されるガラス物品および/または積層体は、ディスプレイ面(例えば、ヘッドアップディスプレイ、投影面など)、アンテナ、太陽断熱、音響性能(例えば、音の減衰)、アンチグレア性能、反射防止性能、耐引掻性などを組み込むという点で、付加的な機能を有することができる。そのような機能は、積層体の露出した表面または内部(露出していない)表面(例えば、ガラス層の間またはガラス層と中間層との間)に適用されるコーティングまたは層によって付与されてもよい。いくつかの実施形態では、積層体は、積層体がヘッドアップディスプレイとして使用されるときに光学性能を向上させることができるような厚さまたは構成を有してもよい(例えば、ガラス層の間にくさび形のポリマー中間層を組み込むか、またはガラス層の1つをくさび形に形成することによって)。1つ以上の実施形態では、積層体は、アンチグレア機能を提供するテクスチャー表面を含み、そのようなテクスチャー表面は、露出した表面または露出していない内部表面に配置されてもよい。1つ以上の実施形態では、積層体は、露出した表面に配置された反射防止コーティング、耐スクラッチコーティング、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。1つ以上の実施形態では、積層体は、露出した表面に配置されたアンテナと、露出していない内部表面またはガラス層のいずれか1つに埋め込まれている内部表面とを含むことができる。1つ以上の実施形態では、中間層は、紫外線(UV)吸収、赤外線(IR)吸収、IR反射、音響制御/減衰、接着促進、および色合いのうちの1つ以上の特性を有するように改質することができる。中間層は、所望の特性を付与するために、染料、顔料、ドーパントなどの適切な添加剤によって改質することができる。
【0156】
第1の例(図5図7または図9を参照)では、積層体は、1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む第1のガラス層310,410,510と、SLG物品を含む第2のガラス層330,430,530と、PVBを含む中間層320,420,520とを含む。1つ以上の実施形態では、第1の層に使用されるガラス物品は、約1mm以下の厚さを有する。いくつかの実施形態では、第1の層のガラス物品は、化学的に強化されている。いくつかの実施形態では、第2のガラス層に使用されるSLG物品は、徐冷されている。1つ以上の実施形態では、積層体は、(1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む)第1のガラス層が乗り物の内部に面するように、乗り物内で位置決めされる。
【0157】
第2の例(図5図7または図9を参照)では、積層体は、1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む第1のガラス層310,410,510と、SLG物品を含む第2のガラス層330,430,530と、PVBを含む中間層320,420,520とを含む。1つ以上の実施形態では、第1の層に使用されるガラス物品は、約1mm以下の厚さを有する。いくつかの実施形態では、第1の層のガラス物品は、熱的に強化されている。いくつかの実施形態では、第2のガラス層に使用されるSLG物品は、徐冷されている。1つ以上の実施形態では、積層体は、(1つ以上の実施形態によるガラス物品を含む)第1のガラス層が乗り物の内部に面するように、乗り物内で位置決めされる。
【0158】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるガラス物品を含む積層体を形成する方法に関する。1つ以上の実施形態では、この方法は、本明細書に記載されるいずれか1つ以上の実施形態による第1のガラス物品と、第1のガラス物品とは異なる第2のガラス物品とを積層して積層体を形成するステップを含み、第1のガラス物品は、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有し、第2のガラス物品は、第3の表面と、第3の表面に対向する第4の表面とを有し、第2の表面は第3の表面に隣接している。1つ以上の実施形態では、第1のガラス物品と第2のガラス物品とは、組成、厚さ、強化レベル、および成形方法のいずれか1つ以上が異なる。1つ以上の実施形態では、この方法は、スタックを金型に設置するステップと、スタックを、第2のガラス物品が1010ポアズ(10Pa・s)の粘度を示す温度に加熱して、成形されたスタックを形成するステップと、第1のガラス物品と第2のガラス物品との間に中間層を設置するステップとを含む。1つ以上の実施形態では、成形されたスタックは、約10mm以下、5mm以下、または約3mm以下の最大距離を有する第2の表面と第3の表面との間のギャップを有する。1つ以上の実施形態では、第2のガラス物品はSLG物品である。1つ以上の実施形態では、第1のガラス物品は、1.6mm未満(例えば、1.5mm以下、1mm以下、または0.7mm以下)の厚さを有し、第2のガラス物品は、1.6mm以上(例えば、1.8mm以上、2.0mm以上、または2.1mm以上)の厚さを有する。1つ以上の実施形態では、第1のガラス物品はフュージョン成形され、第2のガラス物品はフロート成形される。
【0159】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるガラス物品または積層体を含むデバイスに関する。例えば、このデバイスは、ディスプレイを含む任意のデバイスを含むことができる。1つ以上の実施形態では、デバイスは電子デバイスであり、これは、携帯電話、ラップトップ、タブレット、MP3プレーヤー、ナビゲーションデバイスなどのモバイルデバイス、またはコンピューター、電子ディスプレイ、乗り物情報/娯楽システム、ビルボード、POSシステム、ナビゲーションシステムなどの据置型デバイスを含むことができる。例示的な電子デバイスは、前面、背面および側面を有するハウジングと、少なくとも部分的にハウジングの内部または完全にハウジングの内部にあり、少なくともコントローラー、メモリー、およびハウジングの前面にあるまたはそれに隣接するディスプレイを含む電気部品とを含む。本明細書に記載されるガラス物品または積層体は、ディスプレイを覆うように、ハウジングの前面にまたはそれを覆うように配置されてもよい(すなわち、ディスプレイの上にカバーを形成する)。いくつかの実施形態では、ガラス物品または積層体は、バックカバーとして使用されてもよい。
【実施例
【0160】
様々な実施形態を、以下の実施例によってさらに明確にする。
【0161】
【表1】
【0162】
実施例1~6および11は、本開示の1つ以上の実施形態による例示的なガラス組成物である。実施例1~6および11のガラス組成(単位:モル%)を、表1に示す。表1はまた、歪点温度(ビーム曲げ粘度計で測定)、徐冷点温度(ビーム曲げ粘度計で測定)、軟化点温度(平行平板で測定)、20℃における密度、CTE、屈折率、および応力光学係数(SOC)に関連する情報を含む。比較例C1についても同様の特性が提供されている。C1は製造用フュージョンドローを用いて調製し、実施例1~6および11は小型連続融解装置を用いて調製した。C1は、実施例1~6および11の改良(すなわち、より軟質のガラスであり、かつ/またはパラケルディシュ欠陥がない)の元になったと見なされるベース組成物と考えることができる。組成に関しては、C1と比較して、実施例1~6は、Bだけでなく、Pも0.1モル%以上の量で含んでいる。後で詳述するように、Bの添加は、徐冷温度および軟化温度に大きな影響を与え、0.1モル%~1.2モル%の量のPの添加は、パラケルディシュ欠陥を防止するかまたはそのサイズ/数を大幅に減少させる。実施例11は、C1と実質的に同じ組成であるが、β-OHで示されるように、ガラス中の水のレベルがより高い。
【0163】
【表2】
【0164】
表2は、温度関係(T軟化点+T徐冷点)/2、様々な粘度(log10粘度、log11粘度、log12粘度、200P、35kP、50kP、100kP、200kP)を測定したときの温度、およびそれらの粘度測定に基づくFulcher定数を含む、粘度測定に関するデータを示したものである。これらの粘度が得られる温度は、融解、フュージョンドロー法、および垂下プロセスが行われる温度に関連している。
【0165】
【表3】
【0166】
表3は、液相温度、液相粘度、ジルコン分解温度、ジルコン分解粘度、およびその他の属性に関する情報を示したものである。表3から分かるように,すべてのガラスの液相粘度は500kPを超えている。さらに、すべてのガラスのZr分解温度(Tzbd)は、正のTzbd-T35kPで示されるように、典型的なアイソパイプの排出粘度である35kPよりも高い。パラケルディシュ欠陥は、Zr分解試験においてTpksを下回る温度で形成される。本開示に従って製造されたガラスは、パラケルディシュ形成を示さないか、アイソパイプルート温度(典型的には、T50kP~T200kP)を下回る温度でパラケルディシュ形成を示し、これはTpks-T50kP200kPの正の値によって実証される。
【0167】
表2および3は、本開示に従って製造されたガラスのソーダライムガラスとの同時垂下性に関する関連情報を示したものである。垂下温度は、(T軟化点+T徐冷点)/2または粘度温度の対数(例えば、Tlog11)で表記することができる。ソーダライムガラス、例えばフロントガラス用に使用されるソーダライムガラスは、(T軟化点+T徐冷点)/2の値が約645~665℃の範囲にあり、Tlog11の値が約605~620℃の範囲にある。同時垂下操作中、2枚のガラスの垂下温度は、可能な限り互いに近いことが望ましいが、同じである必要はない。表2および3から分かるように、実施例1~6および11の垂下温度は、C1の温度よりもソーダライムガラスの垂下温度に近い。このことは、C1ならびに実施例1~6および11の粘度曲線を示す図10にも見ることができ、実施例1~6および11の粘度曲線は、C1と比較して低く配置され、左にシフトしている。
【0168】
【表4】
【0169】
【表5】
【0170】
表4および表5は、比較例C1ならびに実施例1、3~6および11のイオン交換および熱履歴データを示すものである。すべてのサンプルは0.7mmの厚さで、精製したKNO中でイオン交換した。CSおよびDOLはガラスの仮想温度の変化に伴って変化し得るため、イオン交換前にガラスに異なる熱処理を施して、仮想温度の範囲を得た。表4および表5において、「仮想化(fictivated)」とは、622℃で4分間熱処理したガラスサンプルを指す。「徐冷処理」とは、約565℃で1時間保持したサンプルを意味する。次いで、サンプルを410℃または430℃のKNO浴中で2時間、4時間、または6時間、イオン交換した。異なるガラスのイオン交換挙動を比較するために、それらのイオン交換条件で40μmのDOLと40μmのCSに到達するのに必要な時間を調べた。ある温度で40μmのDOLに到達する時間(t40)は、(t・1600/DOL +t・1600/DOL )/2として計算され、式中、t=最も短いイオン交換時間、t=最も長いイオン交換時間、DOL=tにおけるDOLの測定値、DOL=tにおけるDOLの測定値である。40μmにおけるCS(CS40)は、CS+(CS-CS)/(t-t)・(t40-t)に等しく、式中、CS1=tにおけるCSの測定値、CS=tにおけるCSの測定値である。本発明者らは、Pの添加により、所定のイオン交換温度におけるSiOのアルカリ金属拡散性が高まり、その結果、実施例1、3および6(Pが約1モル%であった)では、C1と比較してt40時間が短くなることを見出した。さらに、PおよびBを添加しても、40MPaを超えるものとして定義されるCS40の有意な低下は見られなかった。同様の結果は、C1よりも水分量を多く含む実施例11でも見出された。
【0171】
【表6】
【0172】
【表7】
【0173】
【表8】
【0174】
表6および7は、比較例C2と比較して、本開示による追加のガラス組成物の機械的、光学的および熱的特性を示す。上記のC1と同様に、C2は、実施例7~10および12の改良の元になったと見なされるベース組成物と考えることができる。C1と比較して、C2は、Al、PおよびZnOの含有量が高く、MgOの含有量が低い。C1は、C2よりも軟質のガラスである(すなわち、粘度曲線が左にシフトしている)。全体として、C2はC1よりも歪点、徐冷点、軟化点、および(徐冷点+軟化点)/2の関係値が高い。しかしながら、実施例7~9からは、表7の実施例の温度と比較例の温度との差が負の値で示されているように、Bを添加することでガラス組成物が軟質になることが分かる。さらに、図11に示すように、実施例7~10および12は、いずれも粘度曲線がC2よりも左側にある。同様に、実施例10および12からは、表7に示されるように、ガラス組成物の水分量を高めることで、ガラスを軟化させることもできることが分かる。一般に、表8から分かるように、実施例7~10および12は、所定の時間および温度において、実施例1~6および11よりも大きな程度に強化することができる。
【0175】
本開示の態様(1)によれば、ガラス物品が提供される。このガラス物品は、ガラス組成物を含み、当該ガラス組成物は、約63モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、約7モル%~約13モル%の範囲の量のAlと、約13モル%~約24モル%の範囲の量のROと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと、MgOまたはZnOの少なくとも一方とを含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係は、685℃未満である。
【0176】
本開示の態様(2)によれば、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、665℃未満である、態様(1)記載のガラス物品が提供される。
【0177】
本開示の態様(3)によれば、ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、態様(1)または(2)記載のガラス物品が提供される。
【0178】
本開示の態様(4)によれば、ガラス組成物が、約0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBをさらに含む、態様(1)から(3)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0179】
本開示の態様(5)によれば、ガラス物品がBを含まず、かつ少なくとも0.2abs/mmの水分量β-OHを含む、態様(1)から(4)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0180】
本開示の態様(6)によれば、Pの量が、少なくとも0.45モル%である、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0181】
本開示の態様(7)によれば、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0182】
本開示の態様(8)によれば、ガラス物品が、1010ポアズ(10Pa・s)の粘度で約640℃~約675℃の範囲にある温度(℃)(Tlog10)を有する、態様(1)から(7)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0183】
本開示の態様(9)によれば、ガラス物品が、1010ポアズ(10Pa・s)の粘度で約640℃~約655℃の範囲にある温度(℃)(Tlog10)を有する、態様(8)記載のガラス物品が提供される。
【0184】
本開示の態様(10)によれば、ガラス物品が、1011ポアズ(1010Pa・s)の粘度で約600℃~約640℃の範囲にある温度(℃)(Tlog11)を有する、態様(1)から(9)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0185】
本開示の態様(11)によれば、ガラス物品が、1011ポアズ(1010Pa・s)の粘度で約600℃~約630℃の範囲にある温度(℃)(Tlog11)を有する、態様(10)記載のガラス物品が提供される。
【0186】
本開示の態様(12)によれば、ガラス物品が、1012ポアズ(1011Pa・s)の粘度で約570℃~約610℃の範囲にある温度(℃)(Tlog12)を有する、態様(1)から(11)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0187】
本開示の態様(13)によれば、ガラス物品が、1012ポアズ(1011Pa・s)の粘度で約570℃~約590℃の範囲にある温度(℃)(Tlog12)を有する、態様(12)記載のガラス物品が提供される。
【0188】
本開示の態様(14)によれば、ガラス物品が、35000ポアズ(3500Pa・s)の粘度で1075℃以下の温度(℃)(T35kP)を有する、態様(1)から(13)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0189】
本開示の態様(15)によれば、ガラス物品が強化されている、態様(1)から(14)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0190】
本開示の態様(16)によれば、ガラス物品がフュージョン成形されている、態様(1)から(15)までのいずれか1つ記載のガラス物品が提供される。
【0191】
本開示の態様(17)によれば、以下のガラス組成物を含むアルミノシリケートガラス物品であって、当該ガラス組成物が、2モル%を超える量のAlと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHとを含み、ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、685℃未満である、アルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0192】
本開示の態様(18)によれば、ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、態様(17)記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0193】
本開示の態様(19)によれば、ガラス組成物が、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBを含む、態様(17)または(18)記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0194】
本開示の態様(20)によれば、ガラス組成物が、Bを含まず、かつ少なくとも0.2abs/mmの水分量β-OHを含む、態様(17)から(19)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0195】
本開示の態様(21)によれば、Pの量が、少なくとも0.45モル%である、態様(17)から(20)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0196】
本開示の態様(22)によれば、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、態様(17)から(21)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0197】
本開示の態様(23)によれば、ガラス組成物が、約5モル%以上のアルカリ金属酸化物(RO)の総量を含む、態様(17)から(22)までいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0198】
本開示の態様(24)によれば、アルカリ金属酸化物(RO)の量の総量が、約5モル%~約20モル%の範囲にある、態様(23)記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0199】
本開示の態様(25)によれば、ガラス組成物が、MgOおよびZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%~約7モル%の範囲の量で存在する、態様(17)から(24)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0200】
本開示の態様(26)によれば、35キロポアズ(3.5kPa・s)の粘度で1075℃以下の温度をさらに有する、態様(17)から(25)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0201】
本開示の態様(27)によれば、約575℃未満の徐冷点をさらに有する、態様(17)から(26)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0202】
本開示の態様(28)によれば、約795℃未満の軟化点をさらに有する、態様(17)から(27)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0203】
本開示の態様(29)によれば、ガラス物品が強化されている、態様(17)から(28)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0204】
本開示の態様(30)によれば、ガラス物品がフュージョン成形されている、態様(17)から(29)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0205】
本開示の態様(31)によれば、以下のガラス組成物を含むアルミノシリケートガラス物品であって、当該ガラス組成物が、2モル%を超える量のAlと、0.2abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHとを含み、ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、685℃未満である、アルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0206】
本開示の態様(32)によれば、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPをさらに含む、態様(31)記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0207】
本開示の態様(33)によれば、ガラス組成物が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、態様(32)記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0208】
本開示の態様(34)によれば、少なくとも0.45モル%のPを含む、態様(31)または(32)記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0209】
本開示の態様(35)によれば、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBをさらに含む、態様(30)から(34)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0210】
本開示の態様(36)によれば、ガラス組成物が、約5モル%~約20モル%の範囲のアルカリ金属酸化物(RO)の総量と、MgOまたはZnOの少なくとも一方とを含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%~約7モル%の範囲の量で存在する、態様(30)から(35)までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品が提供される。
【0211】
本開示の態様(37)によれば、乗り物が提供される。この乗り物は、内部と、当該内部と連通する開口部とを規定するボディと、開口部に配置されたガラス物品であって、当該物品は、ガラス組成物を有する少なくとも第1の層を含み、当該ガラス組成物は、2モル%を超える量のAlと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHとを含む、ガラス物品とを含み、ガラス組成物は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係は、約685℃未満である。
【0212】
本開示の態様(38)によれば、ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、態様(37)記載の乗り物が提供される。
【0213】
本開示の態様(39)によれば、ガラス組成物が、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBを含む、態様(37)または(38)記載の乗り物が提供される。
【0214】
本開示の態様(40)によれば、ガラス組成物が、Bを含まず、かつ少なくとも0.2abs/mmの水分量β-OHを含む、態様(37)または(38)記載の乗り物が提供される。
【0215】
本開示の態様(41)によれば、Pの量が、少なくとも0.45モル%である、態様(37)から(40)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0216】
本開示の態様(42)によれば、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、態様(37)から(41)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0217】
本開示の態様(43)によれば、ガラス組成物が、約7モル%~13モル%の範囲の量のAlをさらに含む、態様(37)から(42)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0218】
本開示の態様(44)によれば、ガラス組成物が、LiO、NaO、KO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ金属酸化物の量の総量を、約5モル%~約24モル%の範囲でさらに含む、態様(37)から(43)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0219】
本開示の態様(45)によれば、ガラス物品が、35キロポアズ(3.5kPa・s)の粘度で1075℃以下の温度をさらに有する、態様(37)から(44)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0220】
本開示の態様(46)によれば、ガラス物品が、約575℃未満の徐冷点をさらに有する、態様(37)から(45)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0221】
本開示の態様(47)によれば、ガラス物品が、約795℃未満の量の軟化点をさらに有する、態様(37)から(46)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0222】
本開示の態様(48)によれば、ガラス物品が強化されている、態様(37)から(47)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0223】
本開示の態様(49)によれば、ガラス物品がさらにフュージョン成形されている、態様(37)から(48)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0224】
本開示の態様(50)によれば、ガラス物品が、第1の層に積層された第2の層をさらに含み、第2の層は、ソーダライムガラスである、態様(37)から(49)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0225】
本開示の態様(51)によれば、第2の層が、乗り物の外側に配置され、第1の層が、乗り物の内側に配置されている、態様(37)から(50)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0226】
本開示の態様(52)によれば、第2の層が、第1の層よりも厚い、態様(37)から(51)までのいずれか1つ記載の乗り物が提供される。
【0227】
本開示の態様(53)によれば、積層体が提供される。この積層体は、第1のガラス層と、第1のガラス層上に配置された中間層と、第1のガラス層に対向して中間層上に配置された第2のガラス層とを含み、第2のガラス層は、態様(1)から(16)までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0228】
本開示の態様(54)によれば、第1のガラス層が、1.6mm以上の厚さを有し、第2のガラス層が、約1.6mm未満の厚さを有する、態様(53)記載の積層体が提供される。
【0229】
本開示の態様(55)によれば、積層体を形成する方法が提供される。この方法は、態様1から36までのいずれか1項記載の第1のガラス物品と第2のガラス物品とを積層してスタックを形成するステップであって、第1のガラス物品は、第2のガラス物品とは異なる組成を有し、第1の表面と、当該第1の表面に対向する第2の表面とを有し、第2のガラス物品は、第3の表面と、当該第3の表面に対向する第4の表面とを有し、第2の表面は、スタック内で第3の表面に隣接している、ステップと、スタックを金型に設置するステップと、スタックを第1のガラス物品の徐冷点を上回る温度に加熱して、成形されたスタックを形成するステップと、第1のガラス物品と第2のガラス物品との間に中間層を設置するステップとを含む。
【0230】
本開示の態様(56)によれば、成形されたスタックが、約10mm以下の最大距離を有する第2の表面と第3の表面との間のギャップを有する、態様(55)記載の方法が提供される。
【0231】
本開示の態様(57)によれば、最大距離が、約5mm以下である、態様(56)記載の方法が提供される。
【0232】
本開示の態様(58)によれば、最大距離が、約3mm以下である、態様(56)記載の方法が提供される。
【0233】
本開示の態様(59)によれば、第1のガラス物品が、ソーダライムガラス組成物を含む、態様(55)から(58)までのいずれか1つ記載の方法が提供される。
【0234】
本開示の態様(60)によれば、積層体が提供される。この積層体は、第1の主面と、当該第1の主面に対向する第2の主面と、第1の主面と第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さと、約2mm以上の第1の垂下深さとを有する第1の湾曲したガラス層であって、当該第1の湾曲したガラス層は、第1の粘度(ポアズ)を有する、第1の湾曲したガラス層と、第3の主面と、当該第3の主面に対向する第4の主面と、第3の主面と第4の主面との間の距離として定義される第2の厚さと、約2mm以上の第2の垂下深さとを有する第2の湾曲したガラス層であって、当該第2の湾曲したガラス層は、第2の粘度を有する、第2の湾曲したガラス層と、第1の湾曲したガラス層と第2の湾曲したガラス層との間に配置され、第2の主面および第3の主面に隣接する中間層とを含み、温度630℃における第1の粘度が、630℃の温度における第2の粘度よりも大きく、第1の垂下深さが第2の垂下深さの10%以内にあり、光学式三次元スキャナで測定された第1のガラス層と第2のガラス層との間の形状偏差が±5mm以下であり、第1の主面および第4の主面の一方または両方が、ASTM 1561に準拠した透過光学系を用いた光学歪み検出器で測定された200ミリディオプター未満の光学歪みを有し、第3の主面または第4の主面が、ASTM C1279に準拠した表面応力計で測定された7MPa未満の膜引張応力を有する。
【0235】
本開示の態様(61)によれば、第1の湾曲したガラス層が、ガラス組成物を含むガラス物品を含み、当該ガラス組成物は、約63モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、約7モル%~約13モル%の範囲の量のAlと、約13モル%~約24モル%の量のROと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと、MgOまたはZnOの少なくとも一方とを含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%~約7モル%の範囲の量で存在し、ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、約685℃未満である、態様(60)記載の積層体が提供される。
【0236】
本開示の態様(62)によれば、第1の湾曲したガラス層がアルミノシリケートガラス物品を含み、当該アルミノシリケートガラス物品は、7モル%を超える量のAlと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHとを含むガラス組成物を含み、ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、約685℃未満である、態様(60)記載の積層体が提供される。
【0237】
本開示の態様(63)によれば、ガラス組成物が、約0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBをさらに含む、態様(60)から(62)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0238】
本開示の態様(64)によれば、第1の厚さが、第2の厚さよりも小さい、態様(60)から(63)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0239】
本開示の態様(65)によれば、第1の厚さが、約0.1mm~約1.6mm未満の範囲にあり、第2の厚さが、約1.6mm~約3mmの範囲にある、態様(60)から(64)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0240】
本開示の態様(66)によれば、第1の湾曲したガラス層が、第1の垂下温度を有し、第2の湾曲したガラス層が、第1の垂下温度とは異なる第2の垂下温度を有する、態様(60)から(65)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0241】
本開示の態様(67)によれば、第1の垂下温度が、第2の垂下温度の約50℃以内にある、態様(66)記載の積層体が提供される。
【0242】
本開示の態様(68)によれば、形状偏差が、約±1mm以下である、態様(60)から(67)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0243】
本開示の態様(69)によれば、形状偏差が、約±0.5mm以下である、態様(60)から(68)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0244】
本開示の態様(70)によれば、光学歪みが、約100ミリディオプター以下である、態様(60)から(69)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0245】
本開示の態様(71)によれば、膜引張応力が、約5MPa以下である、態様(60)から(70)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0246】
本開示の態様(72)によれば、第1の垂下深さが、約5mm~約30mmの範囲にある、態様(60)から(71)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0247】
本開示の態様(73)によれば、第3の主面または第4の主面が、表面応力計で測定した3MPa未満の表面圧縮応力を有する、態様(60)から(72)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0248】
本開示の態様(74)によれば、第1の湾曲したガラス層が、化学的に強化されているか、機械的に強化されているか、または熱的に強化されている、態様(60)から(73)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0249】
本開示の態様(75)によれば、第2の湾曲したガラス層が、強化されていない、態様(74)記載の積層体が提供される。
【0250】
本開示の態様(76)によれば、第2の湾曲したガラス層が、強化されている、態様(74)記載の積層体が提供される。
【0251】
本開示の態様(77)によれば、第2の湾曲したガラス層が、ソーダライムシリケートガラスを含む、態様(60)から(76)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0252】
本開示の態様(78)によれば、第1の湾曲したガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、第1の長さおよび第1の幅のいずれか一方または両方が、約0.25メートル以上である、態様(60)から(77)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0253】
本開示の態様(79)によれば、第1の湾曲したガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、第2の湾曲したガラス層が、第1の長さの5%以内にある第2の長さと、第1の幅の5%以内にある第2の幅とを有する、態様(60)から(78)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0254】
本開示の態様(80)によれば、積層体が複雑に湾曲している、態様(60)から(79)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0255】
本開示の態様(81)によれば、積層体が自動車用グレージングまたは建築用グレージングを含む、態様(60)から(80)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0256】
本開示の態様(82)によれば、第1の湾曲したガラス層が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、態様(60)から(81)までのいずれか1つ記載の積層体が提供される。
【0257】
本開示の態様(83)によれば、乗り物が提供される。この乗り物は、内部と、当該内部と連通する開口部とを規定するボディと、開口部に配置された態様(60)から(82)までのいずれか1つ記載の積層体とを含む。
【0258】
別段の明示がない限り、本明細書に記載される任意の方法が、そのステップを特定の順序で実行することを要求するものとして解釈されることは、決して意図されていない。したがって、方法の請求項にそのステップが従うべき順序が実際に記述されていない場合や、ステップが特定の順序に限定されることが請求項または明細書に具体的に言及されていない場合は、いかなる特定の順序も推測されることは決して意図されていない。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、1つ以上の成分または要素を含むことを意図しており、1つだけを意味するものとして解釈されることは意図されてない。
【0259】
開示された実施形態の趣旨または範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。当業者は、実施形態の趣旨および実体を組み込んだ開示された実施形態の修正、組み合わせ、部分的組み合わせおよび変形を想到し得るので、開示された実施形態は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内のすべてを含むと解釈されるべきである。
【0260】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0261】
実施形態1
ガラス組成物を含むガラス物品であって、前記ガラス組成物は、
約63モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、
約7モル%~約13モル%の範囲の量のAlと、
約13モル%~約24モル%の範囲の量のROと、
約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、
約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと、
MgOまたはZnOの少なくとも一方と
を含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、685℃未満である、ガラス物品。
【0262】
実施形態2
前記(徐冷点+軟化点)/2の関係が、665℃未満である、実施形態1記載のガラス物品。
【0263】
実施形態3
前記ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、実施形態1または2記載のガラス物品。
【0264】
実施形態4
前記ガラス組成物が、約0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBをさらに含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0265】
実施形態5
前記ガラス組成物が、Bを含まず、かつ少なくとも0.2abs/mmの水分量β-OHを含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0266】
実施形態6
前記Pの量が、少なくとも0.45モル%である、実施形態1から5までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0267】
実施形態7
前記(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、実施形態1から6までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0268】
実施形態8
前記ガラス物品が、1010ポアズ(10Pa・s)の粘度で約640℃~約675℃の範囲にある温度(℃)(Tlog10)を有する、実施形態1から7までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0269】
実施形態9
前記ガラス物品が、1011ポアズ(1010Pa・s)の粘度で約600℃~約640℃の範囲にある温度(℃)(Tlog11)を有する、実施形態1から8までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0270】
実施形態10
前記ガラス物品が、1012ポアズ(1011Pa・s)の粘度で約570℃~約610℃の範囲にある温度(℃)(Tlog12)を有する、実施形態1から9までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0271】
実施形態11
前記ガラス物品が、35000ポアズ(3500Pa・s)の粘度で1075℃以下の温度(℃)(T35kP)を有する、実施形態1から10までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0272】
実施形態12
前記ガラス物品が強化されている、実施形態1から11までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0273】
実施形態13
前記ガラス物品がフュージョン成形されている、実施形態1から12までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0274】
実施形態14
以下のガラス組成物を含むアルミノシリケートガラス物品であって、
前記ガラス組成物が、
2モル%を超える量のAlと、
約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、
約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと
を含み、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、685℃未満である、アルミノシリケートガラス物品。
【0275】
実施形態15
前記ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、実施形態14記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0276】
実施形態16
前記ガラス組成物が、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBを含む、実施形態14または15記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0277】
実施形態17
前記ガラス組成物が、Bを含まず、かつ少なくとも0.2abs/mmの水分量β-OHを含む、実施形態14または15記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0278】
実施形態18
前記Pの量が、少なくとも0.45モル%である、実施形態14から17までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0279】
実施形態19
前記(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、実施形態14から18までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0280】
実施形態20
前記ガラス組成物が、約5モル%以上のアルカリ金属酸化物(RO)の総量を含む、実施形態14から19までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0281】
実施形態21
前記アルカリ金属酸化物(RO)の量の総量が、約5モル%~約20モル%の範囲にある、実施形態20記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0282】
実施形態22
前記ガラス組成物が、MgOおよびZnOの一方または両方を含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%~約7モル%の範囲の量で存在する、実施形態14から21までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0283】
実施形態23
35キロポアズ(3.5kPa・s)の粘度で1075℃以下の温度をさらに有する、実施形態14から22までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0284】
実施形態24
約575℃未満の徐冷点をさらに有する、実施形態14から23までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0285】
実施形態25
約795℃未満の軟化点をさらに有する、実施形態14から24までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0286】
実施形態26
前記ガラス物品が強化されている、実施形態14から25までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0287】
実施形態27
前記ガラス物品がフュージョン成形されている、実施形態14から26までのいずれか1つ記載のアルミノシリケートガラス物品。
【0288】
実施形態28
乗り物であって、
内部と、前記内部と連通する開口部とを規定するボディと、
前記開口部に配置されたガラス物品であって、前記物品は、ガラス組成物を有する少なくとも第1の層を含み、前記ガラス組成物は、2モル%を超える量のAlと、約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHとを含む、ガラス物品と
を含み、
前記ガラス組成物は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、約685℃未満である、乗り物。
【0289】
実施形態29
前記ガラス物品が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、実施形態28記載の乗り物。
【0290】
実施形態30
前記ガラス組成物が、約0.15モル%~約1.2モル%の範囲の量のBを含む、実施形態28または29記載の乗り物。
【0291】
実施形態31
前記ガラス組成物が、Bを含まず、かつ少なくとも0.2abs/mmの水分量β-OHを含む、実施形態28または29記載の乗り物。
【0292】
実施形態32
前記Pの量が、少なくとも0.45モル%である、実施形態28から31までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0293】
実施形態33
前記(徐冷点+軟化点)/2の関係が、少なくとも645℃である、実施形態28から32までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0294】
実施形態34
前記ガラス組成物が、約7モル%~13モル%の範囲の量のAlをさらに含む、実施形態28から33までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0295】
実施形態35
前記ガラス組成物が、LiO、NaO、KO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ金属酸化物の量の総量を、約5モル%~約24モル%の範囲でさらに含む、実施形態28から34までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0296】
実施形態36
前記ガラス物品が、35キロポアズ(3.5kPa・s)の粘度で1075℃以下の温度をさらに有する、実施形態28から35までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0297】
実施形態37
前記ガラス物品が、約575℃未満の徐冷点をさらに有する、実施形態28から36までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0298】
実施形態38
前記ガラス物品が、約795℃未満の量の軟化点をさらに有する、実施形態28から37までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0299】
実施形態39
前記ガラス物品が強化されている、実施形態28から38までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0300】
実施形態40
前記ガラス物品がさらにフュージョン成形されている、実施形態28から39までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0301】
実施形態41
前記ガラス物品が、前記第1の層に積層された第2の層をさらに含み、前記第2の層は、ソーダライムガラスである、実施形態28から40までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0302】
実施形態42
前記第2の層が、前記乗り物の外側に配置されており、前記第1の層が、前記乗り物の内側に配置されている、実施形態28から41までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0303】
実施形態43
前記第2の層が、前記第1の層よりも厚い、実施形態28から42までのいずれか1つ記載の乗り物。
【0304】
実施形態44
積層体であって、
第1のガラス層と、
前記第1のガラス層上に配置された中間層と、
前記第1のガラス層に対向して前記中間層上に配置された第2のガラス層と
を含み、前記第2のガラス層は、実施形態1から13までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む、積層体。
【0305】
実施形態45
前記第1のガラス層が、1.6mm以上の厚さを有し、前記第2のガラス層が、約1.6mm未満の厚さを有する、実施形態44記載の積層体。
【0306】
実施形態46
積層体を形成する方法であって、
実施形態1から27までのいずれか1つ記載の第1のガラス物品と第2のガラス物品とを積層してスタックを形成するステップであって、前記第1のガラス物品は、前記第2のガラス物品とは異なる組成を有し、第1の表面と、前記第1の表面に対向する第2の表面とを有し、前記第2のガラス物品は、第3の表面と、前記第3の表面に対向する第4の表面とを有し、前記第2の表面は、前記スタック内で前記第3の表面に隣接している、ステップと、
前記スタックを金型に設置するステップと、
前記スタックを前記第1のガラス物品の徐冷点を上回る温度に加熱して、成形されたスタックを形成するステップと、
前記第1のガラス物品と前記第2のガラス物品との間に中間層を設置するステップと
を含む、方法。
【0307】
実施形態47
前記成形されたスタックが、約10mm以下の最大距離を有する前記第2の表面と前記第3の表面との間のギャップを有する、実施形態46記載の方法。
【0308】
実施形態48
前記最大距離が、約5mm以下である、実施形態47記載の方法。
【0309】
実施形態49
前記最大距離が、約3mm以下である、実施形態47記載の方法。
【0310】
実施形態50
前記第1のガラス物品が、ソーダライムガラス組成物を含む、実施形態46から49までのいずれか1つ記載の方法。
【0311】
実施形態51
積層体であって、
第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面と、前記第1の主面と前記第2の主面との間の距離として定義される第1の厚さと、約2mm以上の第1の垂下深さとを有する第1の湾曲したガラス層であって、前記第1の湾曲したガラス層は、第1の粘度(ポアズ)を有する、第1の湾曲したガラス層と、
第3の主面と、前記第3の主面に対向する第4の主面と、前記第3の主面と前記第4の主面との間の距離として定義される第2の厚さと、約2mm以上の第2の垂下深さとを有する第2の湾曲したガラス層であって、前記第2の湾曲したガラス層は、第2の粘度を有する、第2の湾曲したガラス層と、
前記第1の湾曲したガラス層と前記第2の湾曲したガラス層との間に配置され、前記第2の主面および前記第3の主面に隣接する中間層と
を含み、
温度630℃における前記第1の粘度が、630℃の温度における前記第2の粘度よりも大きく、
前記第1の垂下深さが前記第2の垂下深さの10%以内にあり、光学式三次元スキャナで測定した前記第1のガラス層と前記第2のガラス層との間の形状偏差が±5mm以下であり、
前記第1の主面および前記第4の主面の一方または両方が、ASTM 1561に準拠した透過光学系を用いた光学歪み検出器で測定した200ミリディオプター未満の光学歪みを有し、
前記第3の主面または前記第4の主面が、ASTM C1279に準拠した表面応力計で測定した7MPa未満の膜引張応力を有する、積層体。
【0312】
実施形態52
前記第1の湾曲したガラス層が、ガラス組成物を含むガラス物品を含み、前記ガラス組成物は、
約63モル%~約75モル%の範囲の量のSiOと、
約7モル%~約13モル%の範囲の量のAlと、
約13モル%~約24モル%の量のROと、
約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、
約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと、
MgOまたはZnOの少なくとも一方と
を含み、MgOの量は、約0モル%~約7モル%の範囲にあり、ZnOは、約0モル%~約7モル%の範囲で存在し、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、約685℃未満である、実施形態51記載の積層体。
【0313】
実施形態53
前記第1の湾曲したガラス層が、アルミノシリケートガラス物品を含み、前記アルミノシリケートガラス物品は、
7モル%を超える量のAlと、
約0.1モル%~約1.2モル%の範囲の量のPと、
約0.1abs/mm~0.5abs/mmの範囲の水分量β-OHと
を含むガラス組成物を含み、
前記ガラス物品は、徐冷点(℃)と軟化点(℃)とを有し、(徐冷点+軟化点)/2の関係が、685℃未満である、実施形態51記載の積層体。
【0314】
実施形態54
前記ガラス組成物が、約0.15モル%~1.2モル%の範囲の量のBをさらに含む、実施形態52または53記載の積層体。
【0315】
実施形態55
前記第1の厚さが、前記第2の厚さよりも小さい、実施形態51から54までのいずれか1つ記載の積層体。
【0316】
実施形態56
前記第1の厚さが、約0.1mm~約1.6mm未満の範囲にあり、前記第2の厚さが、約1.6mm~約3mmの範囲にある、実施形態51から55までのいずれか1つ記載の積層体。
【0317】
実施形態57
第1の湾曲したガラス層が、第1の垂下温度を有し、前記第2の湾曲したガラス層が、前記第1の垂下温度とは異なる第2の垂下温度を有する、実施形態51から56までのいずれか1つ記載の積層体。
【0318】
実施形態58
前記第1の垂下温度が、前記第2の垂下温度の約50℃以内にある、実施形態57記載の積層体。
【0319】
実施形態59
前記形状偏差が、約±1mm以下である、実施形態51から58までのいずれか1つ記載の積層体。
【0320】
実施形態60
前記形状偏差が、約±0.5mm以下である、実施形態51から59までのいずれか1つ記載の積層体。
【0321】
実施形態61
前記光学歪みが、約100ミリディオプター以下である、実施形態51から60までのいずれか1つ記載の積層体。
【0322】
実施形態62
前記膜引張応力が、約5MPa以下である、実施形態51から61までのいずれか1つ記載の積層体。
【0323】
実施形態63
前記第1の垂下深さが、約5mm~約30mmの範囲にある、実施形態51から62までのいずれか1つ記載の積層体。
【0324】
実施形態64
前記第3の主面または前記第4の主面が、表面応力計で測定した3MPa未満の表面圧縮応力を有する、実施形態51から63までのいずれか1つ記載の積層体。
【0325】
実施形態65
前記第1の湾曲したガラス層が、化学的に強化されているか、機械的に強化されているか、または熱的に強化されている、実施形態51から64までのいずれか1つ記載の積層体。
【0326】
実施形態66
前記第2の湾曲したガラス層が、強化されていない、実施形態65記載の積層体。
【0327】
実施形態67
前記第2の湾曲したガラス層が、強化されている、実施形態65記載の積層体。
【0328】
実施形態68
前記第2の湾曲したガラス層が、ソーダライムシリケートガラスを含む、実施形態51から67までのいずれか1つ記載の積層体。
【0329】
実施形態69
前記第1の湾曲したガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、前記第1の長さおよび前記第1の幅のいずれか一方または両方が、約0.25メートル以上である、実施形態51から68までのいずれか1つ記載の積層体。
【0330】
実施形態70
前記第1の湾曲したガラス層が、第1の長さおよび第1の幅を有し、前記第2の湾曲したガラス層が、前記第1の長さの5%以内にある第2の長さと、前記第1の幅の5%以内にある第2の幅とを有する、実施形態51から69までのいずれか1つ記載の積層体。
【0331】
実施形態71
前記積層体が、複雑に湾曲している、実施形態51から70までのいずれか1つ記載の積層体。
【0332】
実施形態72
前記積層体が、自動車用グレージングまたは建築用グレージングを含む、実施形態51から71までのいずれか1つ記載の積層体。
【0333】
実施形態73
前記第1の湾曲したガラス層が、パラケルディシュ欠陥を実質的に含まない、実施形態51から72までのいずれか1つ記載の積層体。
【0334】
実施形態74
乗り物であって、
内部と、前記内部と連通する開口部とを規定するボディと、
前記開口部に配置された実施形態51から73までのいずれか1つ記載の積層体と
を含む、乗り物。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11