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特許7439061リニアコンベアシステム、リニアコンベアシステムの制御方法、リニアコンベアシステムの制御プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】リニアコンベアシステム、リニアコンベアシステムの制御方法、リニアコンベアシステムの制御プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
B65G54/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021514687
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2019016318
(87)【国際公開番号】W WO2020213057
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】上野 賢治
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/055755(WO,A1)
【文献】特開平5-193731(JP,A)
【文献】特許第5846790(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/00-54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延設されて前記第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、
前記固定リニアモジュールに前記第1方向から対向する対向範囲および前記対向範囲以外の範囲を含んで前記第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、前記第1方向に前記スライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、前記可動域において前記第2方向に前記可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構と、
前記スライダーおよび前記可動リニアモジュールの駆動を制御する制御部と
を備え、
前記第1方向の端から前記固定リニアモジュールに対して、前記スライダーが係合および離脱可能であり、前記固定リニアモジュールは、係合する前記スライダーを前記第1方向に駆動し、
前記第1方向の端から前記可動リニアモジュールに対して、前記スライダーが係合および離脱可能であり、前記可動リニアモジュールは、係合する前記スライダーを前記第1方向に駆動し、
前記固定リニアモジュールと、前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールとの間で前記スライダーを移動させるスライダー移載動作が実行可能であり、
前記制御部は、前記スライダー移載動作の実行前に、前記可動リニアモジュールが停止した状態で、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行した結果、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、前記可動リニアモジュールを前記対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、前記スライダー移載動作を実行し、
前記スライダー移載動作では、前記固定リニアモジュールから前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールへ前記スライダーを移動させ
前記制御部は、前記準備動作の開始時において前記スライダーが停止する停止位置から前記停止位置よりも前記第1方向において前記対向範囲に近い前記固定リニアモジュール上の待機位置まで前記スライダーを移動させる待機動作を、前記準備動作に並行して実行するリニアコンベアシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記待機動作の完了後に前記準備動作が完了すると、前記固定リニアモジュールの前記待機位置に位置する前記スライダーを、前記準備動作により前記対向範囲に移動してきた前記可動リニアモジュールに移動させることで、前記スライダー移載動作を実行する請求項に記載のリニアコンベアシステム。
【請求項3】
第1方向に延設されて前記第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、
前記固定リニアモジュールに前記第1方向から対向する対向範囲および前記対向範囲以外の範囲を含んで前記第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、前記第1方向に前記スライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、前記可動域において前記第2方向に前記可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構と、
前記スライダーおよび前記可動リニアモジュールの駆動を制御する制御部と
を備え、
前記第1方向の端から前記固定リニアモジュールに対して、前記スライダーが係合および離脱可能であり、前記固定リニアモジュールは、係合する前記スライダーを前記第1方向に駆動し、
前記第1方向の端から前記可動リニアモジュールに対して、前記スライダーが係合および離脱可能であり、前記可動リニアモジュールは、係合する前記スライダーを前記第1方向に駆動し、
前記固定リニアモジュールと、前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールとの間で前記スライダーを移動させるスライダー移載動作が実行可能であり、
前記制御部は、前記スライダー移載動作の実行前に、前記可動リニアモジュールが停止した状態で、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行した結果、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、前記可動リニアモジュールを前記対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、前記スライダー移載動作を実行し、
前記スライダー移載動作では、前記固定リニアモジュールから前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールへ前記スライダーを移動させ、
前記制御部は、前記準備動作において前記対向範囲へ移動中の前記可動リニアモジュールが所定位置を通過すると、前記準備動作の開始時点において前記固定リニアモジュール上で前記スライダーが停止する停止位置から前記対向範囲へ向けて前記スライダーの移動を開始し、前記準備動作により前記対向範囲に移動してきた前記可動リニアモジュールに前記スライダーを移動させることで、前記スライダー移載動作を実行するリニアコンベアシステム。
【請求項4】
第1方向に延設されて前記第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、
前記固定リニアモジュールに前記第1方向から対向する対向範囲および前記対向範囲以外の範囲を含んで前記第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、前記第1方向に前記スライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、前記可動域において前記第2方向に前記可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構と、
前記スライダーおよび前記可動リニアモジュールの駆動を制御する制御部と
を備え、
前記第1方向の端から前記固定リニアモジュールに対して、前記スライダーが係合および離脱可能であり、前記固定リニアモジュールは、係合する前記スライダーを前記第1方向に駆動し、
前記第1方向の端から前記可動リニアモジュールに対して、前記スライダーが係合および離脱可能であり、前記可動リニアモジュールは、係合する前記スライダーを前記第1方向に駆動し、
前記固定リニアモジュールと、前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールとの間で前記スライダーを移動させるスライダー移載動作が実行可能であり、
前記制御部は、前記スライダー移載動作の実行前に、前記可動リニアモジュールが停止した状態で、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行した結果、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、前記可動リニアモジュールを前記対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、前記スライダー移載動作を実行し、
前記スライダー移載動作では、前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールから前記固定リニアモジュールへ前記スライダーを移動させ、
前記制御部は、前記準備動作の開始時において前記スライダーが停止する停止位置から前記停止位置よりも前記第1方向において前記固定リニアモジュール側の前記可動リニアモジュール上の待機位置まで前記スライダーを移動させる待機動作を、前記準備動作に並行して実行するリニアコンベアシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記待機動作の完了後に前記準備動作が完了すると、前記準備動作により前記対向範囲に移動してきた前記可動リニアモジュールの前記待機位置に位置する前記スライダーを前記固定リニアモジュールに移動させることで、前記スライダー移載動作を実行する請求項に記載のリニアコンベアシステム。
【請求項6】
第1方向に延設されて前記第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、前記固定リニアモジュールに前記第1方向から対向する対向範囲および前記対向範囲以外の範囲を含んで前記第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、前記第1方向に前記スライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、前記可動域において前記第2方向に前記可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構とを備えたリニアコンベアシステムの制御方法であって、
前記固定リニアモジュールと、前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールとの間で前記スライダーを移動させるスライダー移載動作を実行する前に、前記可動リニアモジュールが停止した状態で、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行する工程と、
前記判断処理で前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、前記可動リニアモジュールを前記対向範囲内に移動させる準備動作を実行する工程と、
前記準備動作の後に前記スライダー移載動作を実行する工程と
を備え、
前記スライダー移載動作では、前記固定リニアモジュールから前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールへ前記スライダーを移動させ、
制御部が、前記準備動作の開始時において前記スライダーが停止する停止位置から前記停止位置よりも前記第1方向において前記対向範囲に近い前記固定リニアモジュール上の待機位置まで前記スライダーを移動させる待機動作を、前記準備動作に並行して実行するリニアコンベアシステムの制御方法。
【請求項7】
第1方向に延設されて前記第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、前記固定リニアモジュールに前記第1方向から対向する対向範囲および前記対向範囲以外の範囲を含んで前記第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、前記第1方向に前記スライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、前記可動域において前記第2方向に前記可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構とを備えたリニアコンベアシステムの制御プログラムであって、
前記固定リニアモジュールと、前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールとの間で前記スライダーを移動させるスライダー移載動作を実行する前に、前記可動リニアモジュールが停止した状態で、前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行する工程と、
前記判断処理で前記対向範囲内に前記可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、前記可動リニアモジュールを前記対向範囲内に移動させる準備動作を実行する工程と、
前記準備動作の後に前記スライダー移載動作を実行する工程と
を、コンピューターに実行させ、
前記スライダー移載動作では、前記固定リニアモジュールから前記対向範囲内に位置する前記可動リニアモジュールへ前記スライダーを移動させ、
制御部としての前記コンピューターが、前記準備動作の開始時において前記スライダーが停止する停止位置から前記停止位置よりも前記第1方向において前記対向範囲に近い前記固定リニアモジュール上の待機位置まで前記スライダーを移動させる待機動作を、前記準備動作に並行して実行するリニアコンベアシステムの制御プログラム。
【請求項8】
請求項に記載のリニアコンベアシステムの制御プログラムを、コンピューターにより読み出し可能に記録する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアモジュールによりスライダーを駆動する機構を備えたリニアコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、スライダーをX方向に搬送する搬送装置と、搬送装置から受け取ったスライダーをY方向に搬送する移載装置とを備え、スライダーを駆動することで、スライダーに支持されたパレットを搬送する搬送システムが記載されている。かかる搬送システムは、2台の搬送装置をY方向に間隔を空けて配置し、これら搬送装置のX方向の両側に2台の移載装置を配置することで、パレットを支持するスライダーを循環的に駆動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5977145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、X方向にスライダーを駆動する固定リニアモジュール(搬送装置)からスライダーを受け取ってY方向にこのスライダーを移動させる移載装置を、Y方向に移動可能な可動リニアモジュールにより構成することができる。かかる構成では、固定リニアモジュールにX方向から対向する対向範囲内に可動リニアモジュールを位置させつつ、固定リニアモジュールと可動リニアモジュールとの間でスライダーを移動させるといった動作が適宜実行される。しかしながら、可動リニアモジュールが対向範囲内に位置しない状態で、当該動作を実行しようとしたために、スライダーが固定リニアモジュールと可動リニアモジュールとの間で適切に移動できない場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、固定リニアモジュールと可動リニアモジュールとの間におけるスライダーの移動を適切に実行可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るリニアコンベアシステムは、第1方向に延設されて第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、固定リニアモジュールに第1方向から対向する対向範囲および対向範囲以外の範囲を含んで第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、第1方向にスライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、可動域において第2方向に可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構と、スライダーおよび可動リニアモジュールの駆動を制御する制御部とを備え、第1方向の端から固定リニアモジュールに対して、スライダーが係合および離脱可能であり、固定リニアモジュールは、係合するスライダーを第1方向に駆動し、第1方向の端から可動リニアモジュールに対して、スライダーが係合および離脱可能であり、可動リニアモジュールは、係合するスライダーを第1方向に駆動し、固定リニアモジュールと、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールとの間でスライダーを移動させるスライダー移載動作が実行可能であり、制御部は、スライダー移載動作の実行前に、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行した結果、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュールを対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、スライダー移載動作を実行する。
【0007】
本発明に係るリニアコンベアシステムの制御方法は、第1方向に延設されて第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、固定リニアモジュールに第1方向から対向する対向範囲および対向範囲以外の範囲を含んで第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、第1方向にスライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、可動域において第2方向に可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構とを備えたリニアコンベアシステムの制御方法であって、固定リニアモジュールと、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールとの間でスライダーを移動させるスライダー移載動作を実行する前に、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行する工程と、判断処理で対向範囲内に可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュールを対向範囲内に移動させる準備動作を実行する工程と、準備動作の後にスライダー移載動作を実行する工程とを備える。
【0008】
本発明に係るリニアコンベアシステムの制御プログラムは、第1方向に延設されて第1方向にスライダーを駆動可能である固定リニアモジュールと、固定リニアモジュールに第1方向から対向する対向範囲および対向範囲以外の範囲を含んで第1方向に交差する第2方向に延設された可動域に沿って移動可能であって、第1方向にスライダーを駆動可能な可動リニアモジュールを有し、可動域において第2方向に可動リニアモジュールを駆動するモジュール駆動機構とを備えたリニアコンベアシステムの制御方法であって、固定リニアモジュールと、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールとの間でスライダーを移動させるスライダー移載動作を実行する前に、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理を実行する工程と、判断処理で対向範囲内に可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュールを対向範囲内に移動させる準備動作を実行する工程と、準備動作の後にスライダー移載動作を実行する工程とを、コンピューターに実行させる。
【0009】
本発明に係る記録媒体は、上記のリニアコンベアシステムの制御プログラムを、コンピューターにより読み出し可能に記録する。
【0010】
このように構成された本発明(リニアコンベアシステム、リニアコンベアシステムの制御方法、リニアコンベアシステムの制御プログラムおよび記録媒体)では、固定リニアモジュールと、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールとの間でスライダーを移動させるスライダー移載動作の実行前に、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理が実行される。そして、その結果、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュールを対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、スライダー移載動作を実行する。したがって、固定リニアモジュールと可動リニアモジュールとの間におけるスライダーの移動を適切に実行することが可能となっている。
【0011】
また、スライダー移載動作では、固定リニアモジュールから対向範囲内に位置する可動リニアモジュールへスライダーを移動させるように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。かかる構成では、固定リニアモジュールから、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールにスライダーを移動させるスライダー移載動作の実行前に、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理が実行される。そして、その結果、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュールを対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、スライダー移載動作を実行する。したがって、固定リニアモジュールから可動リニアモジュールへのスライダーの移動を適切に実行することが可能となっている。
【0012】
また、制御部は、準備動作の開始時においてスライダーが停止する停止位置から停止位置よりも第1方向において対向範囲に近い固定リニアモジュール上の待機位置までスライダーを移動させる待機動作を、準備動作に並行して実行するように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。かかる構成では、可動リニアモジュールを対向範囲へ移動させる準備動作と並行してスライダーを待機位置まで移動させており、準備動作に要する期間をスライダーの移動に利用して、効率的な制御が実行可能となっている。
【0013】
また、制御部は、待機動作の完了後に準備動作が完了すると、固定リニアモジュールの待機位置に位置するスライダーを、準備動作により対向範囲に移動してきた可動リニアモジュールに移動させることで、スライダー移載動作を実行するように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。これによって、固定リニアモジュールから可動リニアモジュールへのスライダーの移動を適切に実行することができる。特に、準備動作と並行して実行される待機動作によってスライダーを予め待機位置に待機させているため、準備動作の完了後に待機位置から可動リニアモジュールまでスライダーを移動させるだけでスライダー移載動作を速やかに完了することが可能となっている。
【0014】
また、制御部は、準備動作において対向範囲へ移動中のスライダーが所定位置を通過すると、準備動作の開始時点において固定リニアモジュール上でスライダーが停止する停止位置から対向範囲へ向けてスライダーの移動を開始し、準備動作により対向範囲に移動してきた可動リニアモジュールにスライダーを移動させることで、スライダー移載動作を実行するように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。かかる構成では、可動リニアモジュールを対向範囲へ移動させる準備動作と並行してスライダーの対向範囲へ向けた移動を開始させており、準備動作に要する期間をスライダーの移動に利用して、効率的な制御が実行可能となっている。
【0015】
また、スライダー移載動作では、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールから固定リニアモジュールにスライダーを移動させるように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。かかる構成では、対向範囲内に位置する可動リニアモジュールから固定リニアモジュールにスライダーを移動させるスライダー移載動作の実行前に、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置するか否かを判断する判断処理が実行される。そして、その結果、対向範囲内に可動リニアモジュールが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュールを対向範囲内に移動させる準備動作を実行してから、スライダー移載動作を実行する。したがって、可動リニアモジュールから固定リニアモジュールへのスライダーの移動を適切に実行することが可能となっている。
【0016】
また、制御部は、準備動作の開始時においてスライダーが停止する停止位置から停止位置よりも第1方向において固定モジュール側の可動リニアモジュール上の待機位置までスライダーを移動させる待機動作を、準備動作に並行して実行するように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。かかる構成では、可動リニアモジュールを対向範囲へ移動させる準備動作と並行してスライダーを待機位置まで移動させており、準備動作に要する期間をスライダーの移動に利用して、効率的な制御が実行可能となっている。
【0017】
また、制御部は、待機動作の完了後に準備動作が完了すると、準備動作により対向範囲に移動してきた可動リニアモジュールの待機位置に位置するスライダーを固定リニアモジュールに移動させることで、スライダー移載動作を実行するように、リニアコンベアシステムを構成してもよい。これによって、可動リニアモジュールから固定リニアモジュールへのスライダーの移動を適切に実行することができる。特に、準備動作と並行して実行される待機動作によってスライダーを予め待機位置に待機させているため、準備動作の完了後に待機位置から固定リニアモジュールまでスライダーを移動させるだけでスライダー移載動作を速やかに完了することが可能となっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定リニアモジュールから可動リニアモジュールへのスライダーの移動を適切に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るリニアコンベアシステムが備えるリニアモジュールの一例を示す斜視図。
図2図1のリニアモジュールの内部を部分的に露出させて示す斜視図。
図3】本発明に係るリニアコンベアシステムの一例を模式的に示す図。
図4図3のリニアコンベアシステムが備える電気的構成の一例を示すブロック図。
図5図3に示すリニアコンベアシステムで実行されるスライダー移載制御の第1例を示すフローチャート。
図6図5のスライダー移載制御で実行される動作を模式的に示す図。
図7図3に示すリニアコンベアシステムで実行されるスライダー移載制御の第2例を示すフローチャート。
図8図7のスライダー移載制御で実行される動作を模式的に示す図。
図9図3に示すリニアコンベアシステムで実行されるスライダー移載制御の第3例を示すフローチャート。
図10図9のスライダー移載制御で実行される動作を模式的に示す図。
図11図5のスライダー移載制御で実行される動作の変形例を模式的に示す図。
図12図7のスライダー移載制御で実行される動作の変形例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明に係るリニアコンベアシステムが備えるリニアモジュールの一例を示す斜視図であり、図2図1のリニアモジュールの内部を部分的に露出させて示す斜視図である。図1および図2では、水平方向に平行なX方向、X方向に直交しつつ水平方向に平行なY方向および鉛直方向に平行なZ方向を有するXYZ直交座標軸が表記されている。さらに、X方向に沿って両図の右斜め上側がX1側と表記され、X方向に沿って両図の左斜め下側がX2側と表記されている。同様の表記は、以下の図においても適宜用いられる。このリニアモジュールは、例えばWO2018/055709A1に記載のリニアコンベア装置のモジュールと同様の基本構成を具備する。ここでは、リニアモジュールの説明を行ってから、リニアコンベアシステムの全体の説明を行う。
【0021】
図1および図2では、X方向に延設されたリニアモジュール2と、リニアモジュール2を下側から支持するベース部材3と、リニアモジュール2に係合するスライダー4とが示されている。リニアモジュール2は、X方向に等間隔で並ぶ3個のベース部材3の上端に取り付けられており、磁力によってスライダー4をX方向に駆動する。ここの例では、リニアモジュール2は、X方向に配列された2個のモジュールユニット20で構成される。ただし、リニアモジュール2を構成するモジュールユニット20の個数は、2個に限られず、1個あるいは3個以上でもよい。
【0022】
モジュールユニット20は、X方向に延設された基板21を有する。基板21はZ方向からの平面視で矩形状を有する平板である。基板21の上面には、X方向に平行な2本のガイドレール22がY方向に間隔を空けて配置されている。さらに、基板21の上面には、所定の配列ピッチP23でX方向に一列に並ぶ複数のリニアモーター固定子23と、所定の配列ピッチP24でX方向に一列に並ぶ複数の磁気センサー24とが取り付けられている。ここで、リニアモーター固定子23の配列ピッチP23よりも、磁気センサー24の配列ピッチP24の方が長い。Y方向において、複数のリニアモーター固定子23は、2本のガイドレール22の間に配置され、複数の磁気センサー24は、リニアモーター固定子23と1本のガイドレール22との間に配置されている。
【0023】
リニアモーター固定子23は、コイルと当該コイルに挿入されたコアとで構成された電磁石である。一方、スライダー4には、永久磁石と当該永久磁石を保持するバックヨークで構成された可動子が設けられている。リニアモーター固定子23は、印加された電流に応じた磁束を発生することでスライダー4の可動子に磁気的な推進力を与えて、スライダー4をX方向に駆動する。また、スライダー4には、X方向への位置を示す磁気スケールが取り付けられており、磁気センサー24は、磁気スケールを読み取ることでスライダー4のX方向への位置を検出する。そして、後述するように、磁気センサー24が検出したスライダー4の位置に基づきリニアモーター固定子23に印加する電流をフィードバック制御することで、スライダー4をX方向に駆動する。
【0024】
また、モジュールユニット20は、これらガイドレール22、リニアモーター固定子23および磁気センサー24を上側から覆う、平面視で矩形状のカバー部材25を有する。カバー部材25は、Y方向の中央で下方に突出する支持脚251を有し、支持脚251が基板21の上面に取り付けられる。Y方向の両端において、カバー部材25と基板21との間には隙間が形成され、この隙間からカバー部材25と基板21との間に入り込んだスライダー4の両端部がそれぞれ2本のガイドレール22に係合する。
【0025】
このようなモジュールユニット20を複数(2個)X方向に配列することで、リニアモジュール2が構成される。かかるリニアモジュール2は、平面視において矩形状を有する。リニアモジュール2の2個のモジュールユニット20のうち、X1側のモジュールユニット20は3個のベース部材3のうちX1側の端のベース部材3と中央のベース部材3との間に架設され、X2側のモジュールユニット20は3個のベース部材3のうちX2側の端のベース部材3と中央のベース部材3との間に架設される。
【0026】
スライダー4は、X方向においてリニアモジュール2の端からリニアモジュール2の中央側に進入して、リニアモジュール2のガイドレール22に係合することができる。こうして、ガイドレール22に係合したスライダー4は、リニアモジュール2によってX方向に駆動される。また、スライダー4は、X方向においてリニアモジュール2の端から外側に抜けて、リニアモジュール2のガイドレール22から離脱することができる。
【0027】
図3は本発明に係るリニアコンベアシステムの一例を模式的に示す図である。リニアコンベアシステム1は、4台のリニアモジュール2を備える。なお、同図では、4台のリニアモジュール2に対して互いに異なる符合2a、2b、2c、2dが付されている。
【0028】
リニアモジュール2a、2bはリニアコンベアシステム1の設置面に固定された固定リニアモジュールであり、リニアモジュール2c、2dは設置面に対してY方向に動くことができる可動リニアモジュールである。固定リニアモジュール2a、2bと、可動リニアモジュール2c、2dとは、Y方向に同一の幅を有する一方、X方向において異なる長さを有する。ただし、これらは、X方向における長さを除いて、図1および図2に示した共通の基本構成を有する。
【0029】
2個の固定リニアモジュール2a、2bは、Y方向に間隔を空けつつX方向に平行に配置されている。こうしてX方向に並列に配置された固定リニアモジュール2a、2bは、X方向に同一の長さを有する。一方、可動リニアモジュール2c、2dは、X方向において、固定リニアモジュール2a、2bよりも短い、同一の長さを有する。
【0030】
かかるリニアコンベアシステム1は、可動リニアモジュール2c、2dをY方向に駆動する2個のアクチュエーター5c、5dを有する。アクチュエーター5cは、固定リニアモジュール2a、2bのX方向のX1側で、Y方向に平行に配置される。アクチュエーター5dは、固定リニアモジュール2a、2bのX方向のX2側で、Y方向に平行に配置される。このように、2個のアクチュエーター5c、5dは、X方向から2個の固定リニアモジュール2a、2bを挟むように配置されている。
【0031】
アクチュエーター5cは、例えばY方向に平行なボールネジを備えた単軸ロボットであり、アクチュエーター5cのボールネジのナットに可動リニアモジュール2cが取り付けられている。このアクチュエーター5cは、可動域Rcに沿ってY方向に可動リニアモジュール2cを駆動する。ここで、可動域Rcは、X方向においてX1側から固定リニアモジュール2aのX1側の端に対向する対向範囲Fcaと、X方向においてX1側から固定リニアモジュール2bのX1側の端に対向する対向範囲Fcbとを含み、Y方向に延びる領域である。対向範囲Fcaは、固定リニアモジュール2aとX方向に一列に並ぶ可動リニアモジュール2cの存在範囲(可動リニアモジュール2cの公差を含む)に相当し、対向範囲Fcbは、固定リニアモジュール2bとX方向に一列に並ぶ可動リニアモジュール2cの存在範囲(固定リニアモジュール2bの公差を含む)に相当する。
【0032】
アクチュエーター5dは、例えばY方向に平行なボールネジを備えた単軸ロボットであり、アクチュエーター5dのボールネジのナットに可動リニアモジュール2dが取り付けられている。このアクチュエーター5dは、可動域Rdに沿ってY方向に可動リニアモジュール2dを駆動する。ここで、可動域Rdは、X方向においてX2側から固定リニアモジュール2aのX2側の端に対向する対向範囲Fdaと、X方向においてX2側から固定リニアモジュール2bのX2側の端に対向する対向範囲Fdbとを含み、Y方向に延びる領域である。対向範囲Fdaは、固定リニアモジュール2aとX方向に一列に並ぶ可動リニアモジュール2dの存在範囲(可動リニアモジュール2dの公差を含む)に相当し、対向範囲Fdbは、固定リニアモジュール2bとX方向に一列に並ぶ可動リニアモジュール2dの存在範囲(固定リニアモジュール2bの公差を含む)に相当する。
【0033】
このようなリニアコンベアシステム1では、スライダー4を循環的に駆動することができる。例えば可動リニアモジュール2cが対向範囲Fca内に位置する状態で、固定リニアモジュール2aがそれに係合するスライダー4をX方向のX1側に駆動することで、固定リニアモジュール2aから可動リニアモジュール2cにスライダー4を移動させることができる。そして、アクチュエーター5cが対向範囲Fcaから対向範囲Fcbに可動リニアモジュール2cを移動させてから、対向範囲Fcb内に位置する可動リニアモジュール2cがそれに係合するスライダー4をX方向のX2側に駆動することで、可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bにスライダー4を移動させることができる。
【0034】
さらに、可動リニアモジュール2dが対向範囲Fdb内に位置する状態で、固定リニアモジュール2bがそれに係合するスライダー4をX方向のX2側に駆動することで、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2dにスライダー4を移動させることができる。そして、アクチュエーター5dが対向範囲Fdbから対向範囲Fdaに可動リニアモジュール2dを移動させてから、対向範囲Fda内に位置する可動リニアモジュール2dがそれに係合するスライダー4をX方向のX1側に駆動することで、可動リニアモジュール2dから固定リニアモジュール2aにスライダー4を移動させることができる。
【0035】
こうして、スライダー4を反時計回りに循環的に駆動することができる。また、上記と逆の動作を実行することで、スライダー4を時計回りに循環的に駆動することができる。なお、循環駆動は、リニアコンベアシステム1で実行可能なスライダー4の駆動態様の一例に過ぎず、他の種々の態様でスライダー4を駆動することができる。
【0036】
図4図3のリニアコンベアシステムが備える電気的構成の一例を示すブロック図である。リニアコンベアシステム1は、システム全体を監視しつつ各スライダー4の駆動を制御する制御装置11を備える。この制御装置11は、例えばパーソナルコンピューター等のコンピューターである。
【0037】
制御装置11は、制御部12、記憶部13およびディスプレイ14を備える。制御部12は例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されたプロセッサーであり、制御装置11での演算を担う。記憶部13は例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成され、制御装置2での演算で用いられるデータやプログラムを記憶する。特に、記憶部13は、後述する制御を制御装置11の制御部12に実行させるプログラム18を記憶する。このプログラム18は、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の記録媒体19により、制御装置11により読み出し可能な状態で提供されて記憶部13にインストールされてもよいし、インターネットサーバーからダウンロードされて記憶部13にインストールされてもよい。ディスプレイ14は、例えばタッチパネルディスプレイであり、ユーザーへの表示を行うのみならず、ユーザーからの入力操作も受け付けるUI(User Interface)として機能する。
【0038】
かかる制御装置11の制御部12は、磁気センサー24が検出したスライダー4の位置に基づきリニアモーター固定子23をフィードバック制御することで、固定リニアモジュール2a~2dのそれぞれにスライダー4を駆動させる。また、アクチュエーター5c、5dのそれぞれは、ボールネジを回転させるサーボモーター51と、サーボモーター51の回転位置を検出するエンコーダー52とを有し、制御部12は、エンコーダー52が検出した回転位置に基づきサーボモーター51をフィードバック制御することで、アクチュエーター5c、5dのそれぞれに可動リニアモジュール2c、2dを駆動させる。
【0039】
ところで、かかるリニアコンベアシステム1では、固定リニアモジュール2a、2bから可動リニアモジュール2c、2dへスライダー4を移動させるスライダー移載動作が適宜実行される。例えば、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cにスライダー4を移動させる場合には、固定リニアモジュール2bにX方向から対向する対向範囲Fcb内に位置する可動リニアモジュール2cに向けて、固定リニアモジュール2b上のスライダー4をX方向に移動させることで、スライダー移載動作が実行される。この際、移動先である可動リニアモジュール2cが移動元である固定リニアモジュール2bに対向する対向範囲Fcb内に位置しないと、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cへスライダー4を移動できない。そこで、制御装置11は次に説明するスライダー移載制御を実行することで、スライダー4の確実な移動を実現する。
【0040】
図5図3に示すリニアコンベアシステムで実行されるスライダー移載制御の第1例を示すフローチャートであり、図6図5のスライダー移載制御で実行される動作を模式的に示す図である。このフローチャートはプログラム18により規定され、制御部12がプログラム18に基づき各部を制御することで実行される。また、このフローチャートは、次の各組合せ
・固定リニアモジュール2aおよび可動リニアモジュール2c
・固定リニアモジュール2aおよび可動リニアモジュール2d
・固定リニアモジュール2bおよび可動リニアモジュール2c
・固定リニアモジュール2bおよび可動リニアモジュール2d
によるスライダー移載動作に対して共通して実行できる。ただし、ここでは、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cへスライダー4を移動させるスライダー移載動作を例に挙げて説明を行う。なお、このフローチャートの開始時点では、スライダー4および可動リニアモジュール2c、2dは停止しているものとする。これらの点は、後に示すスライダー移載制御の第2例および第3例にも共通する。
【0041】
ステップS101では、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cへのスライダー4の受け渡しを実行可能か否かが判断される。具体的には、スライダー4の移動先である可動リニアモジュール2cが、スライダー4の移動元である固定リニアモジュール2bに対向する対向範囲Fcb内に位置する場合には、受け渡しが実行できると判断され(ステップS101で「YES」)、可動リニアモジュール2cが固定リニアモジュール2bに対向する対向範囲Fcb内に位置しない場合には、受け渡しが実行できない判断される(ステップS101で「NO」)。なお、可動リニアモジュール2cの一部でも対向範囲Fcbの外に位置する場合には、可動リニアモジュール2cは対向範囲Fcb内に位置しないと判断する。
【0042】
そして、ステップS101で受け渡しができる(YES)と判断されると、ステップS104に進む。一方、図6の「S101」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcb内に位置せずに、対向範囲FcbからY方向に外れていると、ステップS101で受け渡しができない(NO)と判断される。この場合、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動が開始されて、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbへ向けてY方向に移動する(ステップS102)。そして、図6の「S103」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcb内に到達して、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動の完了が確認されると(ステップS103で「YES」)、ステップS104に進む。
【0043】
ステップS104では、固定リニアモジュール2b上の移動開始位置Lsから、対向範囲Fcb内の可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldに向けたスライダー4の移動が開始され、スライダー4は、移動開始位置Lsから移動目標位置Ldへ向けてX方向に移動する。そして、図6の「S105」の欄に例示するように、スライダー4が可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldに到達し、移動開始位置Lsから移動目標位置Ldへのスライダー4の移動の完了が確認されると(ステップS105で「YES」)、図5の制御を終了する。こうして、固定リニアモジュール2b上の移動開始位置Lsから可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldへスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS104、S105)が実行される。
【0044】
このようにスライダー移載制御の第1例では、固定リニアモジュール2bから、対向範囲Fcb内に位置する可動リニアモジュール2cにスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS104、S105)の実行前に、対向範囲Fcb内に可動リニアモジュール2cが位置するか否かを判断する判断処理(ステップS101)が実行される。そして、その結果、対向範囲Fcb内に可動リニアモジュール2cが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcb内に移動させる準備動作(ステップS102、S103)を実行してから、スライダー移載動作(ステップS104、S105)を実行する。したがって、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cへのスライダー4の移動を適切に実行することが可能となっている。
【0045】
図7図3に示すリニアコンベアシステムで実行されるスライダー移載制御の第2例を示すフローチャートであり、図8図7のスライダー移載制御で実行される動作を模式的に示す図である。ここでは、スライダー移載制御の第1例との違いを中心に説明することとし、共通部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通部分を備えることで同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0046】
この第2例では、固定リニアモジュール2bの対向範囲Fcb側の端に待機位置Lwが設定される。この待機位置Lwは、X方向において、固定リニアモジュール2b上のスライダー4の移動開始位置Lsと、固定リニアモジュール2bに対向する対向範囲Fcbとの間に位置するように、固定リニアモジュール2bに設定される。つまり、待機位置Lwは、対向範囲Fcbに隣接して固定リニアモジュール2bの端に設けられている。
【0047】
そして、図8の「S101」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbから外れており、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbへ向けて移動を開始するのに伴って、スライダー4が待機位置Lwへ向けて移動する。(ステップS201)。こうして、可動リニアモジュール2cの移動に並行して(ステップS102、S103)、移動開始位置Lsから待機位置Lwへのスライダー4の移動が実行される(ステップS201)。
【0048】
図8の「S201」の欄に例示するように、スライダー4は待機位置Lwに到達すると、当該待機位置Lwで停止する。これによって、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbに到達するまでの間、スライダー4は待機位置Lwで待機する。そして、図8の「S103」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動が完了すると(ステップS103で「YES」)、スライダー4は待機位置Lwから移動目標位置Ldへ向けた移動を開始する(ステップS104)。そして、図8の「S105」の欄に例示するように、スライダー4が可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldに到達し、待機位置Lwから移動目標位置Ldへのスライダー4の移動の完了が確認されると(ステップS105で「YES」)、図7の制御を終了する。こうして、固定リニアモジュール2b上の待機位置Lwから可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldへスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS104、S105)が実行される。
【0049】
このようにスライダー移載制御の第2例では、制御装置11は、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcb内に移動させる準備動作(ステップS102、S103)の開始時においてスライダー4が停止する移動開始位置Ls(停止位置)から移動開始位置LsよりもX方向において対向範囲Fcbに近い固定リニアモジュール2b上の待機位置Lwまでスライダー4を移動させる待機動作(ステップS201)を、準備動作(ステップS102、S103)に並行して実行する。かかる構成では、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbへ移動させる準備動作(ステップS102、S103)と並行してスライダー4を待機位置Lwまで移動させており、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbへ移動させるのに要する期間をスライダー4の移動に利用して、効率的な制御が実行可能となっている。
【0050】
また、制御装置11は、待機位置Lwまでスライダー4を移動させる待機動作(ステップS201)の完了後に可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbに移動させる準備動作(ステップS102、S103)が完了すると、待機位置Lwに位置するスライダー4を、対向範囲Fcb内の可動リニアモジュール2cに移動させることで、スライダー移載動作を実行する(ステップS104、S105)。このように、これによって、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cへのスライダー4の移動を適切に実行することができる。特に、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動と並行して実行されるスライダー4の待機位置Lwへの移動によってスライダーを予め待機位置Lwに待機させている。そのため、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動完了後に待機位置Lwから可動リニアモジュール2cまでスライダー4を移動させるだけでスライダー移載動作を速やかに完了することが可能となっている。
【0051】
図9図3に示すリニアコンベアシステムで実行されるスライダー移載制御の第3例を示すフローチャートであり、図10図9のスライダー移載制御で実行される動作を模式的に示す図である。ここでは、スライダー移載制御の第1例との違いを中心に説明することとし、共通部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通部分を備えることで同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0052】
この第3例では、対向範囲FcbからY方向において所定距離だけ離れた基準位置Lpが設けられている。この基準位置Lpは、可動リニアモジュール2cの可動域Rc内に設けられている。後述するように、可動リニアモジュール2cが基準位置Lpを通過すると、スライダー4が移動開始位置Lsから移動を開始する。この際、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbに到達して停止した後に、スライダー4が移動目標位置Ldに到達するように、可動リニアモジュール2cおよびスライダー4の移動速度、動開始位置Lsと移動目標位置Ldとの距離に基づいて、基準位置Lpは設定される。
【0053】
図10の「S101」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbから外れていると(ステップS101で「NO」)、第1例と同様に、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbへ向けて移動を開始する(ステップS102)。そして、この第3例では、図10の「S301」の欄に例示するように、対向範囲Fcbへ向けて移動中の可動リニアモジュール2cが基準位置Lpを通過して、可動リニアモジュール2cが基準位置Lpよりも対向範囲Fcb側に進入すると(ステップS301で「YES」)、固定リニアモジュール2b上の移動開始位置Lsから対向範囲Fcbへ向けたスライダー4の移動が開始される(ステップS302)。これによって、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動と並行して、スライダー4の対向範囲Fcbの移動が実行される。
【0054】
また、図10の「S302」の欄に例示するように、スライダー4が固定リニアモジュール2b上を移動中に、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbに到達して、対向範囲Fcbに停止する。続いて、図10の「S105」の欄に例示するように、スライダー4が可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldに到達し、図10の「S302」欄に例示する位置から移動目標位置Ldへのスライダー4の移動の完了が確認されると(ステップS105で「YES」)、図9の制御を終了する。こうして、図10の「S302」欄に例示する固定リニアモジュール2b上の位置から可動リニアモジュール2c上の移動目標位置Ldへスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS302、S105)が実行される。
【0055】
このようにスライダー移載制御の第3例では、制御装置11は、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbに移動させる準備動作(ステップS102)において対向範囲Fcbへ移動中のスライダー4が基準位置Lpを通過すると、準備動作の開始時点において固定リニアモジュール2b上でスライダー4が停止する移動開始位置Lsから対向範囲Fcbへ向けてスライダー4の移動を開始する。そして、対向範囲Fcbに移動してきた可動リニアモジュール2cにスライダー4を移動させることで、スライダー移載動作を実行する(ステップS302、S105)。かかる構成では、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動(ステップS102)と並行してスライダー4の対向範囲Fcbへ向けた移動を開始しており、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動に要する期間をスライダー4の移動に利用して、効率的な制御が実行可能となっている。
【0056】
上述の例では、固定リニアモジュール2bから可動リニアモジュール2cへスライダー4を移動させるスライダー移載動作について説明を行った。しかしながら、図5あるいは図7のスライダー移載制御によって、可動リニアモジュール2c、2dから固定リニアモジュール2a、2bにスライダー4を移動させるスライダー移載動作を制御することもできる。続いては、この点について説明する。
【0057】
図11図5のスライダー移載制御で実行される動作の変形例を模式的に示す図である。この変形例を用いて説明する制御は、次の各組合せ
・固定リニアモジュール2aおよび可動リニアモジュール2c
・固定リニアモジュール2aおよび可動リニアモジュール2d
・固定リニアモジュール2bおよび可動リニアモジュール2c
・固定リニアモジュール2bおよび可動リニアモジュール2d
によるスライダー移載動作に対して共通して実行できる。ただし、ここでは、可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bへスライダー4を移動させるスライダー移載動作を例に挙げて説明を行う。なお、このフローチャートの開始時点では、スライダー4および可動リニアモジュール2c、2dは停止しているものとする。これらの点は、後に示すスライダー移載制御による動作例にも共通する。
【0058】
ステップS101では、可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bへのスライダー4の受け渡しを実行可能か否かが判断される。具体的には、スライダー4の移動元である可動リニアモジュール2cが、スライダー4の移動先である固定リニアモジュール2bに対向する対向範囲Fcb内に位置する場合には、受け渡しが実行できると判断され(ステップS101で「YES」)、可動リニアモジュール2cが固定リニアモジュール2bに対向する対向範囲Fcb内に位置しない場合には、受け渡しが実行できないと判断される(ステップS101で「NO」)。なお、可動リニアモジュール2cの一部でも対向範囲Fcbの外に位置する場合には、可動リニアモジュール2cは対向範囲Fcb内に位置しないと判断する。
【0059】
そして、ステップS101で受け渡しができる(YES)と判断されると、ステップS104に進む。一方、図11の「S101」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcb内に位置せずに、対向範囲FcbからY方向に外れていると、ステップS101で受け渡しができない(NO)と判断される。この場合、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動が開始されて、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbへ向けてY方向に移動する(ステップS102)。そして、図11の「S103」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcb内に到達して、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動の完了が確認されると(ステップS103で「YES」)、ステップS104に進む。
【0060】
ステップS104では、対向範囲Fcb内の可動リニアモジュール2c上の移動開始位置Lsから、固定リニアモジュール2b上の移動目標位置Ldに向けたスライダー4の移動が開始され、スライダー4は、移動開始位置Lsから移動目標位置Ldへ向けてX方向に移動する。そして、図11の「S105」の欄に例示するように、スライダー4が固定リニアモジュール2b上の移動目標位置Ldに到達し、移動開始位置Lsから移動目標位置Ldへのスライダー4の移動の完了が確認されると(ステップS105で「YES」)、図5の制御を終了する。こうして、可動リニアモジュール2c上の移動開始位置Lsから固定リニアモジュール2b上の移動目標位置Ldへスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS104、S105)が実行される。
【0061】
このように図5のスライダー移載制御に基づく動作の変形例では、対向範囲Fcb内に位置する可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bにスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS104、S105)の実行前に、対向範囲Fcb内に可動リニアモジュール2cが位置するか否かを判断する判断処理(ステップS101)が実行される。そして、その結果、対向範囲Fcb内に可動リニアモジュール2cが位置しないと判断した場合には、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcb内に移動させる準備動作(ステップS102、S103)を実行してから、スライダー移載動作(ステップS104、S105)を実行する。したがって、可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bへのスライダー4の移動を適切に実行することが可能となっている。
【0062】
図12図7のスライダー移載制御で実行される動作の変形例を模式的に示す図である。図12の例においても、可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bへスライダー4を移動させるスライダー移載動作が示されている。ここでは、図11に示した動作との違いを中心に説明することとし、共通部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通部分を備えることで同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0063】
図12の例では、可動リニアモジュール2cの固定リニアモジュール2b側(X2側)の端に待機位置Lwが設定される。この待機位置Lwは、X方向において、可動リニアモジュール2c上のスライダー4の移動開始位置Lsより固定リニアモジュール2b側に位置するように、可動リニアモジュール2cに設定される。つまり、待機位置Lwは、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcb内に位置する状態において、固定リニアモジュール2bに隣接するように可動リニアモジュール2cの端に設けられている。
【0064】
そして、図12の「S101」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbから外れており、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbへ向けて移動を開始するのに伴って、スライダー4が待機位置Lwへ向けて移動する。(ステップS201)。こうして、可動リニアモジュール2cの移動に並行して(ステップS102、S103)、移動開始位置Lsから待機位置Lwへのスライダー4の移動が実行される(ステップS201)。
【0065】
図12の「S201」の欄に例示するように、スライダー4は待機位置Lwに到達すると、当該待機位置Lwで停止する。これによって、可動リニアモジュール2cが対向範囲Fcbに到達するまでの間、スライダー4は待機位置Lwで待機する。そして、図12の「S103」の欄に例示するように、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動が完了すると(ステップS103で「YES」)、スライダー4は待機位置Lwから移動目標位置Ldへ向けた移動を開始する(ステップS104)。そして、図12の「S105」の欄に例示するように、スライダー4が固定リニアモジュール2b上の移動目標位置Ldに到達し、待機位置Lwから移動目標位置Ldへのスライダー4の移動の完了が確認されると(ステップS105で「YES」)、図7の制御を終了する。こうして、可動リニアモジュール2c上の待機位置Lwから固定リニアモジュール2b上の移動目標位置Ldへスライダー4を移動させるスライダー移載動作(ステップS104、S105)が実行される。
【0066】
このように図7のスライダー移載制御に基づく動作の変形例では、制御装置11は、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcb内に移動させる準備動作(ステップS102、S103)の開始時においてスライダー4が停止する移動開始位置Ls(停止位置)から移動開始位置LsよりもX方向において固定リニアモジュール2b側(X2側)の待機位置Lwまでスライダー4を移動させる待機動作(ステップS201)を、準備動作(ステップS102、S103)に並行して実行する。かかる構成では、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbへ移動させる準備動作(ステップS102、S103)と並行してスライダー4を待機位置Lwまで移動させており、可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbへ移動させるのに要する期間をスライダー4の移動に利用して、効率的な制御が実行可能となっている。
【0067】
また、制御装置11は、待機位置Lwまでスライダー4を移動させる待機動作(ステップS201)の完了後に可動リニアモジュール2cを対向範囲Fcbに移動させる準備動作(ステップS102、S103)が完了すると、待機位置Lwに位置するスライダー4を、固定リニアモジュール2bに移動させることで、スライダー移載動作を実行する(ステップS104、S105)。このように、これによって、可動リニアモジュール2cから固定リニアモジュール2bへのスライダー4の移動を適切に実行することができる。特に、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動と並行して実行されるスライダー4の待機位置Lwへの移動によってスライダーを予め待機位置Lwに待機させている。そのため、可動リニアモジュール2cの対向範囲Fcbへの移動完了後に待機位置Lwから固定リニアモジュール2bまでスライダー4を移動させるだけでスライダー移載動作を速やかに完了することが可能となっている。
【0068】
このように本実施形態では、リニアコンベアシステム1が本発明の「リニアコンベアシステム」の一例に相当し、制御装置11が本発明の「制御部」の一例に相当し、プログラム18が本発明の「リニアコンベアシステムの制御プログラム」の一例に相当し、記録媒体19が本発明の「記録媒体」の一例に相当し、固定リニアモジュール2a、2bが本発明の「固定リニアモジュール」の一例に相当し、可動リニアモジュール2c、2dが本発明の「可動リニアモジュール」の一例に相当し、アクチュエーター5c、5dと可動リニアモジュール2c、2dとで本発明の「モジュール駆動機構」の一例が構成され、対向範囲Fca、Fcb、Fda、Fdbが本発明の「対向範囲」の一例に相当し、移動開始位置Lsが本発明の「停止位置」の一例に相当し、待機位置Lwが本発明の「待機位置」の一例に相当し、基準位置Lpが本発明の「所定位置」の一例に相当し、可動域Rc、Rdが本発明の「可動域」の一例に相当し、X方向が本発明の「第1方向」の一例に相当し、Y方向が本発明の「第2方向」の一例に相当する。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば固定リニアモジュール2a、2bが配列される方向はY方向(水平方向)に限られず、Z方向(鉛直方向)でも構わない。この場合、アクチュエーター5c、5dはZ方向に可動リニアモジュール2c、2dを昇降させる。
【0070】
また、1個の固定リニアモジュール2aと、可動リニアモジュール2dを駆動する1個のアクチュエーター5dとで構成されるL字状の経路でスライダー4を移動させるように、リニアコンベアシステム1を構成しても良い。あるいは、図3の状態から、固定リニアモジュール2bを、X方向に平行に移動させて、アクチュエーター5cに対して固定リニアモジュール2aの反対側に配置してもよい。
【0071】
また、固定リニアモジュール2a、2bの個数は、2個に限られず、3個以上でもよい。
【0072】
また、固定リニアモジュール2a、2bがスライダー4を駆動する方向と、アクチュエーター5c、5dがスライダー4を駆動する方向とは、必ずしも直交する必要は無く、傾いていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…リニアコンベアシステム
11…制御装置(制御部)
18…プログラム(リニアコンベアシステムの制御プログラム)
19…記録媒体
2a、2b…固定リニアモジュール
2c、2d…可動リニアモジュール(モジュール駆動機構)
5c…5dアクチュエーター(モジュール駆動機構)
Fca、Fcb、Fda、Fdb…対向範囲
Ls…移動開始位置(停止位置)
Lw…待機位置
Lp…基準位置(所定位置)
Rc、Rd…可動域
X…X方向(第1方向)
Y…Y方向(第2方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12