(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ヘアトリートメント組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20240219BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240219BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/891
A61K8/362
A61K8/365
A61Q5/12
A61K8/34
(21)【出願番号】P 2021517696
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2019077178
(87)【国際公開番号】W WO2020088893
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-08-08
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マレー,アンドリュー・マルコルム
(72)【発明者】
【氏名】ピゴット,アン-ソフィー
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-030943(JP,A)
【文献】特表2016-537381(JP,A)
【文献】特表2015-517539(JP,A)
【文献】特開2012-171890(JP,A)
【文献】国際公開第2012/152722(WO,A1)
【文献】特表2007-522226(JP,A)
【文献】特開2013-184897(JP,A)
【文献】特表2011-527303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分a~d:
a コンディショニング界面活性剤0.1~10重量%;
b
i アモジメチコン0.1~0.3重量%、かつ
ii ジメチコンとアモジメチコンとが9:1の比率のシリコーンブレンド0.5~6重量%
のアモジメチコンとシリコーンブレンドとのシリコーン組み合わせ物;
c トリカルボン酸1~20重量%;および
d 脂肪アルコール0.1~15重量%
を含む、毛髪用リンスオフコンディショナー組成物。
【請求項2】
トリカルボン酸を3~20重量%含む、請求項1に記載のコンディショナー組成物。
【請求項3】
前記アモジメチコンを0.1重量%含む、請求項1または2に記載のコンディショナー組成物。
【請求項4】
前記シリコーンブレンドを2~4重量%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンディショナー組成物。
【請求項5】
前記トリカルボン酸がクエン酸である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンディショナー組成物。
【請求項6】
毛髪の縮れ抑制のための、請求項1~
5に記載の組成物の使用。
【請求項7】
縮れを低減するための毛髪処理方法であって、
下記の工程a~c:
a 請求項1~
5に記載の組成物を前記毛髪に適用する工程、
b 前記組成物を毛髪上に0~10分間とどめる工程、および
c 水により洗い流す工程
を、この順番で含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリンスオフ(rinse-off)コンディショナー組成物の分野に属しており、具体的には、毛髪の縮れを低減するためのリンスオフコンディショナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
縮れ(frizz)は一般には、周りの毛と整列せず、単独で立ち上がるか、または、カールし、それにより、けば立った外見または不規則な外見をもたらす毛として知られている。一般に、毛髪は、湿気の多い天気で、かつ、空気中の水分レベルが高い日に縮れる。結果、毛髪は、滑らかに、輝いて、かつ、形が決まって見える代わりに、乾燥して縮れて見える。縮れの出現ならびに輝きおよび滑らかさの喪失には、毛髪の健康状態が不良であるという認識が伴う。
【0003】
コンディショニングの利点を毛髪に与える1つの一般的な方法が、コンディショニング剤、例えば、カチオン性界面活性剤およびポリマー、高融点脂肪化合物、低融点オイル、シリコーン化合物、ならびにそれらの混合物などを使用することによるものである。これらの物質が毛の表面に付着すると、望ましくない脂ぎった感触および外観を有する毛髪が生じる。
【0004】
米国特許出願公開第2016/0158128号には、水分抑制物質または水分抑制物質の混合物を約0.2%から約20%まで含む、毛髪の縮れを低減するためのリンスオフコンディショナー組成物が開示されている。
【0005】
先行技術にもかかわらず、ヘアケア組成物を介してもたらされるコンディショニングの利点を、好ましくは毛髪を脂ぎった外観および感触にさせることなく増大させる機会が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0158128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、優れた縮れ抑制を有するコンディショニング製造物を提供することが、本発明の目的の1つである。
【0008】
多数回の洗浄の後でさえも優れた縮れ抑制を提供することが、本発明の別の目的である。
【0009】
毛髪を脂ぎった外観および感触にさせないコンディショニング製造物を提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、優れた縮れ抑制をもたらすコンディショナー組成物を、シリコーンの特定の組み合わせおよびトリカルボン酸を使用して得ることができることが見出された。
【0011】
したがって、第1の局面において、本発明は、0.1~10重量%のコンディショニング界面活性剤と、シリコーン組み合わせ物であって、アミノ官能性シリコーンが0.1~0.3重量%であり、かつ、ジメチコンおよびアモジメチコンの9:1の比率でのシリコーンブレンドが0.5~6重量%である、シリコーン組み合わせ物と、1~20重量%のトリカルボン酸とを含む、毛髪用のリンスオフコンディショナー組成物を提供する。
【0012】
第2の局面において、本発明は、毛髪の縮れを抑制するための本発明による組成物の使用を提供する。
【0013】
第3の局面において、本発明は、縮れを低減するために毛髪を処理する方法であって、本発明による組成物を毛髪に適用する工程、該組成物を毛髪上に0~10分間とどめる工程、および水により洗い流す工程をこの順で含む方法を提供する。
【0014】
本発明の文脈において、「毛髪」に対する言及は典型的には、頭毛、顔毛および体毛を含む哺乳動物の毛を意味し、より好ましくはヒトの(顔を含む)頭部および頭皮における毛を意味する。
【0015】
これらの局面、特徴および有利な点、ならびに他の局面、特徴および有利な点が、下記の詳細な説明および添付された請求項を読んで理解することから当業者には明らかになるであろう。疑念を避けるために、どのような特徴であれ本発明の1つの局面の特徴は、本発明のどのような他の局面においてでも利用される場合がある。語「含む(comprising)」は、「含む/包含する(including)」を意味することが意図され、しかし、「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味することは必ずしも意図されない。別の言い方をすれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。下記の説明において示される例は、本発明を明確にするために意図されており、本発明をそのような例そのものに限定するために意図されていないことには留意される。同様に、すべての百分率は、別途示されている場合を除き、重量/重量での百分率である。操作例および比較例における場合、または別途明示的に示されている場合を除き、物質の量もしくは反応の条件、物質の物理的特性、および/または使用を示す本明細書中のすべての数字は、「約」の語によって修飾されるとして理解されなければならない。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むことが理解される。特定の特徴について、多数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記載されるときには、異なる端点を組み合わせるすべての範囲もまた意図されることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の局面において、本発明は、コンディショニング界面活性剤と、シリコーン組み合わせ物と、トリカルボン酸とを含むリンスオフコンディショナー組成物に関する。
【0017】
コンディショニング界面活性剤
本発明による組成物は、化粧品として許容され得る、かつ、毛髪への局所適用のために好適である1つまたは複数のコンディショニング界面活性剤を含む。
【0018】
好適なコンディショニング界面活性剤が、単独または混合で使用されるカチオン性界面活性剤から選択される。例には、下記一般式に対応する第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤が含まれる:
[N(R1)(R2)(R3)(R4)]+(X)-
式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれが独立して、(a)1個から22個までの炭素原子の脂肪族基、または(b)最大で22個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基もしくはアルキルアリール基から選択され、Xは塩形成アニオンであり、例えば、ハリド(例えば、クロリド、ブロミド)基、アセタート基、シトラート基、ラクタート基、グリコラート基、ホスファートニトラート基、スルファート基およびアルキルスルファート基から選択される塩形成アニオンなどである。
【0019】
脂肪族基は、炭素原子および水素原子に加えて、エーテル結合、および他の基、例えば、アミノ基などを含有することができる。より長い長鎖脂肪族基、例えば、炭素が約12個またはそれ以上である脂肪族基は、飽和または不飽和であることが可能である。
【0020】
上記一般式のそのような第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体的な例が、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、塩化セチルピリジニウム、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウムクロリド、PEG-2オレイルアンモニウムクロリド、および、クロリドが他のハリド(例えば、ブロミド)、アセタート、シトラート、ラクタート、グリコラート、ホスファートニトラート、スルファートまたはアルキルスルファートによって置き換えられるこれらの塩である。
上記一般式のカチオン性界面活性剤の好ましいクラスにおいて、R1は、C16~C22の飽和または不飽和のアルキル鎖、好ましくは飽和のアルキル鎖であり、R2、R3およびR4はそれぞれが独立して、CH3およびCH2CH2OHから選択され、好ましくはCH3である。
【0021】
そのような好ましい第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体的な例が、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、およびそれらの混合物である。
【0022】
代替において、第一級、第二級または第三級の脂肪アミンが、本発明における使用のために好適であるカチオン性界面活性剤を提供するために酸との組み合わせで使用される場合がある。酸はアミンをヘアケア組成物においてその場でプロトン化し、アミン塩を形成する。したがって、アミンは事実上、非永続的第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤または疑似第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0023】
このタイプの好適な脂肪アミンには、下記一般式のアミドアミンが含まれる:
R1-C(O)-N(H)-R2-N(R3)(R4)
式中、R1は、12個から22個までの炭素原子を含有する脂肪酸鎖であり、R2は、1個から4個までの炭素原子を含有するアルキレン基であり、R3およびR4はそれぞれが独立して、1個から4個までの炭素原子を有するアルキル基である。
【0024】
上記一般式の好適な物質の具体的な例が、ステアルアミドプロピルジメチルアミン、ステアルアミドプロピルジエチルアミン、ステアルアミドエチルジエチルアミン、ステアルアミドエチルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジメチルアミン、パルミトアミドプロピルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジエチルアミン、パルミトアミドエチルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、およびジエチルアミノエチルステアルアミドである。
【0025】
同様に有用であるものが、ジメチルステアルアミン、ジメチルソイアミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N-タロウプロパンジアミン、(5モルのエチレンオキシドによる)エトキシル化ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、およびアラキジルベヘニルアミンである。
【0026】
特に好ましいものが、ステアルアミドプロピルジメチルアミンである。
【0027】
使用される酸は、アミンをヘアケア組成物においてプロトン化することができる有機酸または鉱酸であれば、どのような有機酸または鉱酸であってもよい。好適な酸には、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、およびそれらの混合物が含まれる。好ましくは、酸は、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
上記カチオン性界面活性剤のいずれかの混合物もまた好適である場合がある。
【0029】
コンディショニング界面活性剤は、組成物の重量比で0.1~10%の濃度で、好ましくは少なくとも0.5%、より好ましくは少なくとも1%、さらにより好ましくは少なくとも2%、一層より好ましくは少なくとも3%、またはそれどころか少なくとも4%、しかし、典型的には9%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下、さらにより好ましくは6%以下、一層より好ましくは5%以下の濃度で組成物に存在する。
【0030】
シリコーン組み合わせ物
本発明は、アミノ官能化シリコーンとシリコーンブレンドとのシリコーン組み合わせ物を含む。
【0031】
アミノ官能化シリコーン
「アミノ官能化シリコーン」によって、第一級アミン基、第二級アミン基もしくは第三級アミン基を少なくとも1つ含有する、または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンが意味される。好適なアミノ官能化シリコーンの例には、「アモジメチコン」のCTFA呼称を有するポリシロキサンが含まれる。
【0032】
本発明のアミノ官能化シリコーンには、下記の一般式のアミノ官能化シリコーンの乳化粒子が含まれる:
【化1】
式中、x+yは約50から約500までの数であり、Rは、2個から5個までの炭素原子を有するアルキレン基である。
【0033】
好ましくは、x+yの数は約100から約300までの範囲にある。
【0034】
アミノ官能化シリコーンは水性マトリックスに不溶性であり、そのため、シリコーンが分散粒子として存在する乳化された形態で存在する。
【0035】
本発明における使用のために好適であるアミノ官能化シリコーンは、モル%アミノ官能性が少なくとも1モル%である必要がある。1モル%から8モル%までの範囲。
【0036】
粒子サイズは10ミクロン未満である。
【0037】
本発明における使用のために好適であるアミノ官能化シリコーンの具体的な例が、アミノシリコーンオイルのDC2-8220およびDC2-8166である(すべてがDow Corningから得られる)。
【0038】
アミノ官能性シリコーンの事前に形成されたエマルションもまた、シリコーンオイルの供給者から、例えば、Dow Corning、およびGeneral Electricなどから入手可能である。具体的な例には、カチオン性エマルションのDC939、ならびに非イオン性エマルションのDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154が含まれる(これらはすべてが、Dow Corningから得られる)。
【0039】
アミノ官能化シリコーンは、組成物の重量比で0.1~0.3%の濃度で、好ましくは0.1~0.2%の濃度で組成物に存在する。
【0040】
シリコーンブレンド
本発明において使用されるシリコーンブレンドは、ジメチコン対アモジメチコンとが9:1の比率であるブレンドである。
【0041】
本発明において使用されるジメチコンは好ましくは粘度が25℃で少なくとも500,000mm2/秒であり、分子量が少なくとも200,000ダルトンである。
【0042】
「ジメチコン」によって、ポリジメチルシロキサンが意味される。
【0043】
アモジメチコンは、本発明において使用されるアミノ官能化シリコーンとしてもまた知られているものであり、好ましくは粘度が25℃で500,000mm2/秒未満であり、分子量が200,000ダルトン未満である。
【0044】
好ましくは、アモジメチコンはモルパーセントアミノ官能性が0.3~8の範囲にあり、好ましくは0.5~4の範囲にある。
【0045】
シリコーンブレンドは、組成物の重量比で0.5~6%の濃度で、好ましくは少なくとも1%、より好ましくは少なくとも1.5%、さらにより好ましくは少なくとも2%、一層より好ましくは少なくとも3%、しかし、典型的には5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは3.5%以下の濃度で組成物に存在する。
【0046】
トリカルボン酸
好適なトリカルボン酸には、クエン酸、アコニット酸またはそれらの混合物が含まれる。最も好ましいトリカルボン酸がクエン酸である。
【0047】
トリカルボン酸は、組成物の重量比で1~20%の濃度で、好ましくは少なくとも2%またはそれどころか3%、さらにより好ましくは少なくとも5%またはそれどころか7%、一層より好ましくは少なくとも9%、さらにより好ましくは少なくとも11%、しかし、典型的には18%以下、好ましくは16%以下、より好ましくは14%以下、一層より好ましくは12%以下の濃度で組成物に存在する。
【0048】
脂肪質物質
本発明のヘアコンディショナー組成物は好ましくは、脂肪質物質をさらに含む。コンディショニング組成物における脂肪質物質とカチオン性界面活性剤との併用は、カチオン性界面活性剤が分散される構造化されたラメラ相または液晶相の形成をもたらすために、とりわけ好都合であると考えられる。
【0049】
「脂肪質物質」によって、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸またはそれらの混合物が意味される。
【0050】
好ましくは、脂肪質物質のアルキル鎖は完全飽和である。
【0051】
代表的な脂肪質物質は8個から22個までの炭素原子を含み、より好ましくは16個から22個までの炭素原子を含む。好適な脂肪アルコールの例には、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が含まれる。これらの物質の使用はまた、それらが本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で好都合である。
【0052】
約12個から約18個までの炭素原子をアルキル鎖に有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化またはプロポキシル化)脂肪アルコールを、脂肪アルコールそのものの代わりに、または脂肪アルコールそのものに加えて使用することができる。好適な例には、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル、およびそれらの混合物が含まれる。
【0053】
本発明のコンディショナーにおける脂肪質物質のレベルが好適には総組成物の重量比で0.01パーセントから15パーセントまでであり、好ましくは0.1パーセントから10パーセントまでであり、より好ましくは0.1パーセントから5パーセントまでである。カチオン性界面活性剤の脂肪アルコールに対する重量比が好適には10:1から1:10までであり、好ましくは4:1から1:8までであり、最適には1:1から1:7までであり、例えば1:3である。
【0054】
存在するときには、脂肪質物質は組成物の重量比で0.1~15%の濃度で、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも4%、さらにより好ましくは少なくとも6%、一層より好ましくは少なくとも8%、しかし、典型的には14%以下、好ましくは13%以下、より好ましくは11%以下、一層より好ましくは10%以下、さらにより好ましくは9%以下の濃度で組成物に存在する。
【0055】
任意の成分
本発明の組成物は、さらなるシリコーン系または非シリコーン系のヘアコンディショニングオイルを含めて、ヘアトリートメント配合物において普通に使用される他の成分をどのようなものであれ含む場合がある。これらの他の成分には、粘度調整剤、防腐剤、着色剤、ポリオール(例えば、グリセリンおよびポリプロピレングリコールなど)、キレート化剤(例えば、EDTAなど)、酸化防止剤、芳香剤、抗菌剤および日焼け止め剤が含まれる場合がある。これらの成分のそれぞれが、その目的を達成するために効果的である量で存在するであろう。一般に、これらの任意の成分は、総組成物の重量比で5%に達するまでのレベルで個々に含まれる。
【0056】
第2の局面において、本発明は、縮れを抑制するための本発明による組成物の使用に関する。
【0057】
第3の局面において、本発明は、縮れを低減するために毛髪を処理する方法であって、本発明による組成物を毛髪に適用する工程、該組成物を毛髪上に0~10分間とどめる工程、および水により洗い流す工程をこの順で含む方法に関する。
【0058】
次に、本発明が、下記の実施例を参照することによってさらに説明されることになる。実施例において、すべての百分率が、別途明記される場合を除き、総重量に基づく重量比である。
【0059】
[実施例]
[実施例1]
縮れ低減に対するシリコーン組み合わせ物およびトリカルボン酸の効果
下記の表1に示されるような成分を有するヘアコンディショニング組成物を調製した。実施例1は本発明による組成物を表しており、組成物Aおよび組成物Bは、組成が請求項の範囲外である比較例である。
【表1】
【0060】
未処理の入れ毛の処理および体積測定
8個の2g×10’’の毛髪入れ毛を入れ毛洗浄プロトコルに従ってクレンジングシャンプーにより洗浄した。入れ毛を60~80分間、高温環境で乾燥させた(50℃、50%RH)。入れ毛が完全に乾いたら、入れ毛を櫛で数回かき回して、極めて縮れた入れ毛にした。縮れの画像を、Image Analysis Volume Rigを使用して撮影した。画像を、3D体積面積を得るために毛髪入れ毛のそれぞれについて0度および90度の両方の角度で撮影した。
【0061】
入れ毛洗浄プロトコル
2g×10’’の入れ毛を水道水で濡らした。0.2gのクレンジングシャンプーを入れ毛に適用した。入れ毛を30秒間もみ、その後、水道水で30秒間すすいだ。これを繰り返した。その後、濡れた入れ毛のもつれを、櫛を使用してほぐした。これを、8個すべての入れ毛について繰り返した。その後、入れ毛を20℃/50%RHで一晩乾燥させた。
【0062】
処理された入れ毛の処理および体積測定
その後、入れ毛を入れ毛処理プロトコルに従って表1における組成物により処理した。濡れた毛髪入れ毛のもつれを、櫛を使用してほぐし、濡れた毛髪入れ毛を、制御された環境条件(20℃、50%RH)で一晩乾燥させた。入れ毛が乾いたら、入れ毛のもつれを一旦ほぐし、その後、画像を0度および90度の角度で撮影した。これらの読み取りを0時間の読み取りとして記録した。入れ毛を高湿度および高温の条件(30℃、75%RH)において2時間、Volume Rig Cabinetに置いた。その後、画像を、3D体積面積を得るために毛髪入れ毛のそれぞれについて0度および90度の両方の角度で撮影した。
【0063】
入れ毛処理プロトコル
乾燥した入れ毛を水道水で濡らし、表1における0.4gの組成物を適用した。その後、入れ毛を60秒間もみ、その後、60秒間すすいだ。濡れた入れ毛のもつれを、櫛を使用してほぐし、濡れた入れ毛を20℃/50%RHで一晩乾燥させた。
【0064】
縮れ低減の計算
0度の角度の体積面積および90度の角度の体積面積をそれぞれの個々の毛髪入れ毛について平均化した。これを、未処理の(極めて縮れた)入れ毛の体積値、最初(0分)の処理された入れ毛の体積値、および2時間後に得られた体積測定値について行った。
【0065】
%縮れ低減=((1基礎洗浄体積-2処理体積)/基礎洗浄体積)*100。
1シャンプーにより清浄化し、最大の縮れをもたらす櫛により縮れさせた後での入れ毛の体積
2自然乾燥し、高湿度において2時間さらされた後での処理入れ毛の体積
%縮れ低減をそれぞれの入れ毛について計算した。その後、平均を8個の入れ毛について計算した。平均値を表2に示す。
【0066】
【0067】
上記の表から、実施例1の組成物は、比較用の組成物Aおよび組成物Bと比較したとき、優れた縮れ低減を示すことが示される。
【0068】
表3には、洗浄シャンプーによる洗浄を多数回行った後における縮れ低減に関するデータが示される。
【表3】
【0069】
結果は、本発明による組成物(実施例1)が多数回の洗浄の後でさえ優れた縮れ低減をもたらすことを示す。
【0070】
[実施例2]
乳酸との比較での縮れ低減に対するシリコーン組み合わせ物およびトリカルボン酸の効果
下記の表4に示されるような成分を有するヘアコンディショニング組成物を調製した。実施例2は本発明による組成物を表しており、組成物Cおよび組成物Dは、請求項の範囲外である乳酸を含む組成を有する比較例である。
【表4】
【0071】
未処理の入れ毛の処理および体積測定
8個の2g×10’’の毛髪入れ毛を入れ毛洗浄プロトコルに従ってクレンジングシャンプーにより洗浄した。入れ毛を60分間、高温環境で乾燥させた(50℃、50%RH)。入れ毛が完全に乾いたら、入れ毛を櫛で数回かき回して、極めて縮れた入れ毛にした。縮れの画像を、Image Analysis Volume Rigを使用して撮影した。画像を、3D体積面積を得るために毛髪入れ毛のそれぞれについて0度および90度の両方の角度で撮影した。
【0072】
入れ毛洗浄プロトコル
8個の2g×10’’の入れ毛を水道水で濡らした。1.6gのクレンジングシャンプーを入れ毛に適用した。入れ毛を30秒間もみ、その後、水道水で30秒間すすいだ。これを繰り返した。その後、濡れた入れ毛のもつれを、櫛を使用してほぐした。これを、8個すべての入れ毛について繰り返した。その後、入れ毛を20℃/50%RHで一晩乾燥させた。
【0073】
処理された入れ毛の処理および体積測定
その後、入れ毛を入れ毛処理プロトコルに従って表4における組成物により処理した。濡れた毛髪入れ毛のもつれを、櫛を使用してほぐし、濡れた毛髪入れ毛を、制御された環境条件(20℃、50%RH)で一晩乾燥させた。入れ毛が乾いたら、入れ毛のもつれを一旦ほぐし、その後、画像を0度および90度の角度で撮影した。これらの読み取りを0時間の読み取りとして記録した。入れ毛を高湿度および高温の条件(28℃、75%RH)において2時間、Volume Rig Cabinetに置いた。その後、画像を、3D体積面積を得るために毛髪入れ毛のそれぞれについて0度および90度の両方の角度で撮影した。
【0074】
入れ毛処理プロトコル
8個中4つの乾燥した入れ毛を水道水で濡らし、表1における1.6gの組成物を適用した。その後、入れ毛を60秒間もみ、その後、60秒間すすいだ。濡れた毛髪入れ毛のもつれを、櫛を使用してほぐし、濡れた毛髪入れ毛を20℃/50%RHで一晩乾燥させた。同じことを他の4個の入れ毛に関して行った。
【0075】
縮れ低減の計算
0度の角度の体積面積および90度の角度の体積面積をそれぞれの個々の毛髪入れ毛について平均化した。これを、未処理の(極めて縮れた)入れ毛の体積値、最初(0分)の処理された入れ毛の体積値、および2時間後に得られた体積測定値について行った。
【0076】
%縮れ低減=((1基礎洗浄体積-2処理体積)/基礎洗浄体積)*100
湿気暴露後の%縮れ低減=((1基礎洗浄体積-3湿気後の処理体積)/基礎洗浄体積)*100。
1シャンプーにより清浄化し、最大の縮れをもたらす櫛により縮れさせた後での入れ毛の体積
2自然乾燥後の処理入れ毛の体積
3自然乾燥し、高湿度において2時間さらされた後での処理入れ毛の体積
%縮れ低減および湿気暴露後の%縮れ低減をそれぞれの入れ毛について計算した。その後、平均を8個の入れ毛について計算した。平均値を表5および表6にそれぞれ示す。
【0077】
【0078】
上記の表から、実施例2の組成物は、乳酸を含む比較用の組成物Cおよび組成物Dと比較したとき、優れた縮れ低減を示すことが示される。
【0079】
[実施例3]
縮れ低減に対するシリコーン組み合わせ物ならびに1%および2%のトリカルボン酸の効果
下記の表7に示されるような成分を有するヘアコンディショニング組成物を調製した。実施例3および実施例4は本発明による組成物を表している。
【表7】
【0080】
実施例2の処理および評価法に従って、%縮れ低減および湿気暴露後の%縮れ低減を計算した。
【0081】
【0082】
上記の表から、実施例2および実施例3の組成物は、1%および2%のクエン酸が存在する場合でさえ、優れた縮れ低減を示すことが示される。