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特許7439082工作機械、工作機械の制御方法、および、工作機械の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】工作機械、工作機械の制御方法、および、工作機械の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20240219BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B23Q11/08 Z
B23Q17/00 E
B23Q17/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021528244
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2020023508
(87)【国際公開番号】W WO2020255941
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019115545
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019182107
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 将勲
(72)【発明者】
【氏名】中東 恒人
(72)【発明者】
【氏名】野呂 優太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 史一
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-75916(JP,A)
【文献】特開2017-164868(JP,A)
【文献】特開2017-185584(JP,A)
【文献】特開昭58-101982(JP,A)
【文献】特開2010-228063(JP,A)
【文献】特開平7-304358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/08,17/00;
G05B 19/409,19/42;
E05F 15/00-15/79;
B60N 2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、
開口を有し、ワークの加工エリアを区画形成するカバーと、
前記開口を覆うための扉と、
前記開口の度合いを変えるために前記扉を駆動する駆動機構と、
前記扉の実位置を検知するための検知部と、
前記工作機械に対する操作を受け付けるための操作盤と、
前記工作機械を制御するための制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記操作盤が前記扉の第1の開操作を受け付けたことに基づいて、前記扉が開くように前記駆動機構を制御する処理と、
前記操作盤が前記扉の位置確定操作を受け付けたことに基づいて、前記検知部から前記実位置を取得し、当該取得した実位置を、前記扉の開位置として記憶する処理と、
前記操作盤が前記扉の第2の開操作を受け付けたことに基づいて、前記扉が前記開位置に位置するように前記駆動機構を制御する処理と、を実行し、
前記第1の開操作時における前記扉の開速度は、前記第2の開操作時における前記扉の開速度よりも遅い、工作機械。
【請求項2】
前記記憶する処理では、前記操作盤が前記位置確定操作を開レベル別に順次受け付けるとともに、開レベル別に前記開位置が記憶され、
前記制御装置は、前記操作盤が前記第2の開操作として開レベルの入力を受け付けたことに基づいて、当該入力された開レベルに対応する開位置に前記扉が駆動するように前記駆動機構を制御する処理を実行する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記工作機械は、表示部をさらに備え、
前記制御装置は、前記開位置の設定画面を前記表示部に表示する処理を実行し、
前記設定画面は、
前記開レベルの表示と、
前記設定画面に表示されている開レベルの表示数を所定数増加させる指示を受け付ける第1受付部と、
前記設定画面に表示されている開レベルの表示数を所定数減少させる指示を受け付ける第2受付部とを含み、
前記記憶する処理は、前記設定画面に表示されている開レベルの各々について、前記開位置を記憶する処理を含む、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記扉を駆動するためのモーターを含み、
前記扉には、把手が設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記制御装置は、前記扉を動かすようにユーザを促すためのメッセージを前記設定画面に表示する処理を実行する、請求項3に記載の工作機械。
【請求項6】
工作機械の制御方法であって、
前記工作機械は、
開口を有し、ワークの加工エリアを区画形成するカバーと、
前記開口を覆うための扉と、
前記開口の度合いを変えるために前記扉を駆動する駆動機構と、
前記扉の実位置を検知するための検知部と、
前記工作機械に対する操作を受け付けるための操作盤と、を備え、
前記制御方法は、
前記操作盤が前記扉の第1の開操作を受け付けたことに基づいて、前記扉が開くように前記駆動機構を制御するステップと、
前記操作盤が前記扉の位置確定操作を受け付けたことに基づいて、前記検知部から前記実位置を取得し、当該取得した実位置を、前記扉の開位置として記憶するステップと、
前記操作盤が前記扉の第2の開操作を受け付けたことに基づいて、前記扉が前記開位置に位置するように前記駆動機構を制御するステップと、を備え、
前記第1の開操作時における前記扉の開速度は、前記第2の開操作時における前記扉の開速度よりも遅い、制御方法。
【請求項7】
工作機械の制御プログラムであって、
前記工作機械は、
開口を有し、ワークの加工エリアを区画形成するカバーと、
前記開口を覆うための扉と、
前記開口の度合いを変えるために前記扉を駆動する駆動機構と、
前記扉の実位置を検知するための検知部と、
前記工作機械に対する操作を受け付けるための操作盤と、を備え、
前記制御プログラムは、前記工作機械に、
前記操作盤が前記扉の第1の開操作を受け付けたことに基づいて、前記扉が開くように前記駆動機構を制御するステップと、
前記操作盤が前記扉の位置確定操作を受け付けたことに基づいて、前記検知部から前記実位置を取得し、当該取得した実位置を、前記扉の開位置として記憶するステップと、
前記操作盤が前記扉の第2の開操作を受け付けたことに基づいて、前記扉が前記開位置に位置するように前記駆動機構を制御するステップと、を実行させ、
前記第1の開操作時における前記扉の開速度は、前記第2の開操作時における前記扉の開速度よりも遅い、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械に備えられる扉の駆動を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
扉を有する工作機械が普及している。当該扉は、ワークの加工時に閉じられ、ワークの非加工時に開放される。これにより、加工時に発生する加工片などの飛散が防止される。
【0003】
当該扉の駆動制御に関し、特開2009-214214号公報(特許文献1)は、扉を閉めるのに要する時間を短縮することを目的とする工作機械を開示している。当該工作機械は、扉を開けるときには一定の開放位置に扉を駆動し、扉を閉めるときには一定の閉鎖位置に扉を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-214214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
扉を任意の位置で停止させるためには、通常、扉の開閉位置をプログラム上で指定したり、開閉位置に関する設定を変更したりする必要がある。しかしながら、これらの方法で開閉位置を指定するためには、専門知識が必要となる。また、扉の開閉度合いを直感的に理解することも難しい。したがって、扉の開閉位置を容易に設定することが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、工作機械は、開口を有し、ワークの加工エリアを区画形成するカバーと、上記開口を覆うための扉と、上記開口の度合いを変えるために上記扉を駆動する駆動機構と、上記扉の実位置を検知するための検知部と、上記工作機械に対する操作を受け付けるための操作盤と、上記工作機械を制御するための制御装置と、を備える。上記制御装置は、上記操作盤が上記扉の第1の開操作を受け付けたことに基づいて、上記扉が開くように上記駆動機構を制御する処理と、上記操作盤が上記扉の位置確定操作を受け付けたことに基づいて、上記検知部から上記実位置を取得し、当該取得した実位置を、上記扉の開位置として記憶する処理と、上記操作盤が上記扉の第2の開操作を受け付けたことに基づいて、上記扉が上記開位置に位置するように上記駆動機構を制御する処理と、を実行する。上記第1の開操作時における上記扉の開速度は、上記第2の開操作時における上記扉の開速度よりも遅い。
【0007】
本開示の他の例では、工作機械の制御方法が提供される。上記工作機械は、開口を有し、ワークの加工エリアを区画形成するカバーと、上記開口を覆うための扉と、上記開口の度合いを変えるために上記扉を駆動する駆動機構と、上記扉の実位置を検知するための検知部と、上記工作機械に対する操作を受け付けるための操作盤と、を備える。上記制御方法は、上記操作盤が上記扉の第1の開操作を受け付けたことに基づいて、上記扉が開くように上記駆動機構を制御するステップと、上記操作盤が上記扉の位置確定操作を受け付けたことに基づいて、上記検知部から上記実位置を取得し、当該取得した実位置を、上記扉の開位置として記憶するステップと、上記操作盤が上記扉の第2の開操作を受け付けたことに基づいて、上記扉が上記開位置に位置するように上記駆動機構を制御するステップと、を備える。上記第1の開操作時における上記扉の開速度は、上記第2の開操作時における上記扉の開速度よりも遅い。
【0008】
本開示の他の例では、工作機械の制御プログラムが提供される。上記工作機械は、開口を有し、ワークの加工エリアを区画形成するカバーと、上記開口を覆うための扉と、上記開口の度合いを変えるために上記扉を駆動する駆動機構と、上記扉の実位置を検知するための検知部と、上記工作機械に対する操作を受け付けるための操作盤と、を備える。上記制御プログラムは、上記工作機械に、上記操作盤が上記扉の第1の開操作を受け付けたことに基づいて、上記扉が開くように上記駆動機構を制御するステップと、上記操作盤が上記扉の位置確定操作を受け付けたことに基づいて、上記検知部から上記実位置を取得し、当該取得した実位置を、上記扉の開位置として記憶するステップと、上記操作盤が上記扉の第2の開操作を受け付けたことに基づいて、上記扉が上記開位置に位置するように上記駆動機構を制御するステップと、を実行させる。上記第1の開操作時における上記扉の開速度は、上記第2の開操作時における上記扉の開速度よりも遅い。
【0009】
本開示によれば、扉の開閉位置を容易に設定することが可能な工作機械などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】工作機械の外観を示す図である。
図2】2方向から工作機械を表わした図である。
図3】実施の形態に従うティーチング処理を時系列に示す図である。
図4】扉の開動作を時系列に示す図である。
図5】工作機械の装置構成の一例を示す図である。
図6】変形例1に従うティーチング処理を時系列に示す図である。
図7】変形例1に従うティーチング処理を時系列に示す図である。
図8】変形例1に従うティーチング処理の結果として記憶される開閉設定を示す図である。
図9】開閉レベル「A」での扉の動作態様を表わす図である。
図10】開閉レベル「B」での扉の動作態様を表わす図である。
図11】開閉位置を設定できる開閉レベルを増やした場合における設定画面の画面遷移を示す図である。
図12】開閉位置を設定できる開閉レベルを減らした場合における設定画面の画面遷移を示す図である。
図13】変形例3に従うティーチング処理を時系列に示す図である。
図14】変形例4に従う設定画面を示す図である。
図15】加工プログラムの一例を示す図である。
図16】開閉位置のデータベースを示す図である。
図17】CPU(Central Processing Unit)ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
図18】工作機械のハードウェア構成の一例を示す図である。
図19】ティーチング処理の流れを表わすフローチャートである。
図20】扉の自動開閉処理の流れを表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0012】
<A.工作機械100の外観>
図1および図2を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0013】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。本明細書では、工作機械100の一例として、加工対象のワークが水平方向に広がる固定面に取り付けられる立形マシニングセンタを例に挙げて説明を行うが、工作機械100は、立形マシニングセンタに限定されない。たとえば、工作機械100は、加工対象のワークが鉛直方向に広がる固定面に取り付けられる横形マシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0014】
図1に示されるように、工作機械100は、操作盤140を含む。操作盤140は、汎用のコンピュータであり、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ142を有する。ディスプレイ142は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、ディスプレイ142は、タッチパネルで構成されており、工作機械100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0015】
<B.工作機械100の扉>
図2は、2方向から工作機械100を表わした図である。以下では、図2を参照して、工作機械100に設けられる扉136について説明する。
【0016】
理解を容易にするために、以下では、扉136の開閉方向を「X軸方向」と称し、X軸方向に直交する水平方向を「Y軸方向」と称し、X軸方向およびY軸方向の両方に直交する方向(すなわち、重力方向)を「Z軸方向」と称する。
【0017】
図2(A)には、Z軸方向から表わした工作機械100が示されている。図2(B)には、Y軸方向から表わした工作機械100が示されている。
【0018】
図2に示されるように、工作機械100は、制御装置40と、主軸115と、テーブル116と、カバー131と、扉136と、駆動機構137と、検知部138とを有する。
【0019】
主軸115は、ワークの加工エリアAR1の内部で移動可能に設けられている。また、主軸115は、Z軸方向に沿って移動可能に設けられている。また、主軸115は、モータ駆動により、Z軸に平行な中心軸AXを中心に回転可能に設けられている。主軸115には、各種工具を着脱可能に保持するためのクランプ機構が設けられている。
【0020】
テーブル116は、加工エリアAR1の内部で移動可能に設けられている。テーブル116は、X軸方向とY軸方向とを含む平面(XY平面)内で移動可能に設けられている。テーブル116上には、ワークを着脱可能に保持するためのワーク装着用治具(図示しない)が設けられている。加工対象のワークは、開口132を介して当該ワーク装着用治具に固定される。
【0021】
カバー131は、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観をなすとともに、加工エリアAR1を区画形成している。カバー131は、開口132を有する。開口132は、カバー131の前面から上面にかけて開口し、加工エリアAR1に通じている。
【0022】
扉136は、開口132を覆うように設けられており、X軸方向に沿ってスライド可能に設けられている。扉136が開閉動作することによって、開口132が扉136によって覆われていない状態(開状態)とされたり、扉136によって開口132が覆われた状態(閉状態)とされたりする。扉136は、閉状態とされた時に、カバー131とともに加工エリアAR1を区画形成する。扉136には、作業者が加工エリアAR1内を覗くための透明窓(図示しない)が設けられている。なお、図2には、水平方向にスライド駆動される扉136が示されているが、扉136は、重力方向(Z軸方向)にスライド駆動されてもよい。また、扉136は、円弧上にスライド移動するように駆動される構成でもよい。
【0023】
以下では、開口132の開口面積が増大する時の扉136の動作を、「開動作」という。扉136がX軸方向の負側にスライドする動作が、「開動作」に対応している。また、開口132の開口面積が減少する時の扉136の動作を、「閉動作」という。扉136がX軸方向の正側にスライドする動作が、「閉動作」に対応している。
【0024】
駆動機構137は、扉136に接続されている。駆動機構137は、制御装置40からの駆動指令に従って、扉136をX軸方向の任意の位置に開閉動作させ、開口132の度合い変える。駆動機構137に含まれるモーターの種類は、特に限定されないが、一例として、サーボモータ、ステッピングモータ、またはリニアモータである。
【0025】
検知部138は、駆動機構137による扉136の駆動量に基づいて、扉136の実位置を検知するためのセンサである。検知部138の種類は特に限定しないが、検知部138は、たとえば、エンコーダである。検知部138によって検知された扉136の実位置は、制御装置40に出力される。
【0026】
扉136には、把手139が設けられている。駆動機構137への電力の供給が停止しているときには、駆動力が扉136に働かない。このとき、ユーザは、把手139を掴んで扉136をX軸方向に手動で動かすことができる。
【0027】
<C.ティーチング機能>
扉136は、駆動機構137によってX軸方向の任意の開閉位置に駆動され得る。扉136を任意の位置で停止させるためには、通常、扉136の開閉位置をプログラム上で指定したり、扉136の開閉位置に関する設定を変更したりする必要がある。これらの方法で開閉位置を指定するためには、専門知識が必要となる。また、扉の開閉度合いを直感的に理解することも難しい。
【0028】
そこで、ユーザが扉136を手動で動かすことによって扉136の開閉位置を指定できる機能を工作機械100に設ける。ユーザは、実際に扉136を動かして開閉位置を設定できるため、開閉位置を直感的に理解することができる。また、ユーザは、この設定過程でプログラムや設定の書き換えを行う必要もない。
【0029】
以下では、図3を参照して、扉136の開閉位置を手動で設定するティーチング機能について説明する。図3は、ティーチング処理を時系列に示す図である。
【0030】
ステップS1において、ユーザUは、工作機械100の動作モードをティーチングモード(第1モード)に切り替えたとする。このことに基づいて、工作機械100の制御装置40は、扉136を手動で動かすようにユーザUを促す処理(以下、「手動要求処理」ともいう。)を実行する。当該手動要求処理は、種々の手段で実現され得る。一例として、当該手動要求処理は、ディスプレイ142にメッセージを表示することで実現されてもよいし、音声を発することで実現されてもよいし、LED(Light Emitting Diode)などの光源を発光させることで実現されてもよい。図3の例では、「開閉位置を手動で指定して下さい。」とのメッセージ145が設定画面143に表示されることで、手動要求処理が実現されている。
【0031】
また、制御装置40は、手動要求処理の実行中において、上述の駆動機構137(図2参照)への電力の供給を停止する。より具体的には、駆動機構137には、電力を供給する電源(図示しない)が接続されている。電力が当該電源から駆動機構137に供給されているとき、駆動機構137の駆動力が扉136に働く。一方で、電力が当該電源から駆動機構137に供給されていないとき、駆動機構137の駆動力が扉136に働かない。制御装置40は、手動要求処理の実行中において、当該電源からの電力の供給を停止する。これにより、駆動力が扉136に働かなくなり、ユーザUは、扉136を手動で動かすことができるようになる。
【0032】
ステップS2において、ユーザUは、把手139を掴んで扉136を動かし、X軸方向の任意の位置で扉136を止める。図3の例では、ユーザUは、開閉位置「x0」から扉136を動かし、開閉位置「x1」で扉136を止めている。
【0033】
ステップS3において、制御装置40は、手動要求処理の実行中において扉136の位置確定指示をユーザUから受け付けたとする。位置確定指示は、種々の方法で入力され得る。たとえば、位置確定指示は、ユーザUが特定のボタンを押すことで入力されてもよいし、ユーザUが予め定められた音声を発することにより入力されてもよい。当該特定のボタンは、ディスプレイ142に表示されるソフトウェアのボタンであってもよいし、工作機械100に設けられているハードウェアのボタンであってもよい。
【0034】
一例として、ユーザUが設定画面143に表示されている確定ボタン147を押すことで、位置確定指示が発せられる。このことに基づいて、制御装置40は、上述の検知部138から扉136の実位置を取得し、当該取得した実位置を、扉136の開閉に係る設定位置として記憶する。図3の例では、設定位置「x1」が記憶される。設定位置「x1」は、工作機械100内のメモリに記憶されてもよいし、サーバーなどの外部装置内のメモリに記憶されてもよい。
【0035】
なお、ユーザUが設定画面143に表示されているキャンセルボタン146を押した場合には、制御装置40は、扉136の実位置を記憶せずにティーチングモードを終了する。
【0036】
次に、図4を参照して、工作機械100が扉136の開操作をユーザUから受けたときにおける、扉136の動作態様について説明する。図4は、扉136の開動作を時系列に示す図である。
【0037】
ステップS4において、ユーザUは、工作機械100の動作モードを自動開閉モード(第2モード)に切り替え、操作盤140に対して扉136の開操作を行ったとする。このことに基づいて、ステップS5において、工作機械100の制御装置40は、駆動機構137を制御し、ステップS3で記憶した設定位置「x1」に扉136を駆動する。
【0038】
以上のように、工作機械100は、扉136の開閉位置を手動で指定できるティーチング機能を有する。ユーザは、実際に扉136を動かして開閉位置を設定できるため、開閉度合いを視覚的に確認しながら開閉位置を設定することができる。また、ユーザは、扉136を動かすだけで開閉位置を設定できるので、プログラムや開閉設定を書き換える必要がなく、扉136の開閉位置を容易に設定することができる。
【0039】
なお、上記のようなティーチング機能は、プログラムや開閉設定を書き換えることで開閉位置を変更する機能を排除するものではない。すなわち、工作機械100は、上記のティーチング機能に加えて、プログラムや開閉設定の変更に応じて扉136の開閉位置を変更する機能を備えてもよい。
【0040】
また、上記のティーチング処理では、図3のステップS1において、扉136を手動で動かすようにユーザUを促す処理(すなわち、手動要求処理)が実行されていたが、手動要求処理は、必ずしも実行される必要はない。この場合、工作機械100は、任意のタイミングで扉136の位置確定指示を受け付ける。一例として、ユーザは、開口の度合いを変えるために手動または自動で扉136を任意の位置に移動し、工作機械100は、ユーザが扉136を移動させている動作中に扉136の位置確定指示を受け付ける。このことに基づいて、工作機械100は、上述の検知部138から扉136の実位置を取得し、当該取得した実位置を、開口を開放する扉136の開放位置として記憶する。当該「開放位置」とは、扉136の開放指示をユーザから受け付けたときにおける扉136の開閉位置を意味する。工作機械100は、自動開閉モードにおいて、扉136を開ける指示(たとえば、操作盤140に対する扉136の開操作)を受け付けたことに基づいて、ティーチング処理で記憶した開放位置に扉136が位置するように駆動機構137を制御する。
【0041】
<D.工作機械100の装置構成>
次に、図5を参照して、工作機械100の装置構成について説明する。図5は、工作機械100の装置構成の一例を示す図である。
【0042】
工作機械100は、制御装置40と、扉136と、駆動機構137と、検知部138とを含む。
【0043】
本明細書でいう「制御装置40」とは、工作機械100を制御する装置を意味する。制御装置40の装置構成は、任意である。制御装置40は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。図5の例では、制御装置40は、PLC(Programmable Logic Controller)としてのCPUユニット50と、CNCユニット51と、I/O(Input Output)ユニット52とで構成されている。これらのユニットは、フィールドバスBに接続されており、フィールドバスBを介して互いに通信を行う。
【0044】
CPUユニット50は、予め準備されている制御プログラムに従って、工作機械100を構成する各種ユニットを制御する。当該制御プログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0045】
CNCユニット51は、CPUユニット50から加工開始指令を受けたことに基づいて、予め準備されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。また、CNCユニット51は、加工停止中、加工実行中、または加工完了などを示す加工の進行状況をCPUユニット50に出力する。
【0046】
I/Oユニット52は、各種の入出力機器を接続するためのインターフェイスである。図5の例では、駆動機構137がI/Oユニット52に接続されている。CPUユニット50は、I/Oユニット52を介して駆動機構137に制御指令を送る。
【0047】
駆動機構137は、サーボドライバ61と、サーボモータ62とを含む。サーボドライバ61は、CPUユニット50から目標開閉位置の入力を逐次的に受け、サーボモータ62を制御する。サーボモータ62は、扉136をボールねじ(図示しない)を介して駆動し、X軸方向の任意の開閉位置に扉136を駆動する。
【0048】
より具体的には、サーボドライバ61は、サーボモータ62の回転角度を検知するための検知部138からのフィードバック信号に基づいて、扉136の実開閉位置を算出する。検知部138は、たとえば、エンコーダである。サーボドライバ61は、算出した実開閉位置が目標開閉位置よりも正側にある場合には、扉136が負側に移動するようにサーボモータ62を回転駆動する。一方で、サーボドライバ61は、算出した実開閉位置が目標開閉位置よりも負側にある場合には、扉136が正側に移動するようにサーボモータ62を回転駆動する。このように、サーボドライバ61は、サーボモータ62の実開閉位置のフィードバックを逐次的に受けながらサーボモータ62の実開閉位置を目標開閉位置に近付ける。これにより、サーボドライバ61は、X軸方向の任意の位置に扉136を駆動する。
【0049】
<E.ティーチング機能の変形例1>
次に、図6図10を参照して、ティーチング機能の変形例1について説明する。図6および図7は、変形例1に従うティーチング処理を時系列に示す図である。
【0050】
上述の図3に示されるティーチング機能では、ユーザは、扉136の開閉位置を1つしか指定することができなかった。これに対して、変形例1に従うティーチング機能では、ユーザは、扉136の開閉位置を開閉レベル別に複数設定することができる。
【0051】
より具体的には、ステップS11において、ユーザUは、工作機械100の動作モードをティーチングモードに切り替えたとする。このことに基づいて、工作機械100の制御装置40は、開閉位置の設定画面143Aをディスプレイ142に表示する。
【0052】
設定画面143Aは、設定欄150を有する。設定欄150には、設定可能な開閉レベルが一覧で表示される。図6の例では、設定欄150において、開閉レベル「A」~「C」が表示されている。開閉レベルの名称は、ユーザによって任意に変更され得る。ユーザは、表示されている開閉レベル「A」~「C」の中から、設定対象の開閉レベルを選択することができる。ステップS11では、たとえば、開閉レベル「A」が選択されたとする。
【0053】
ステップS12において、ユーザUは、把手139を掴んで扉136を動かし、X軸方向の任意の位置で扉136を止める。図6の例では、ユーザUは、開閉位置「x0」から扉136を動かし、開閉位置「x1」で扉136を止めている。
【0054】
ステップS13において、ユーザUは、設定画面143A上の確定ボタン147を押したとする。このことに基づいて、制御装置40は、上述の検知部138(図2参照)から扉136の実位置を取得する。その後、制御装置40は、当該取得した実位置を、現在選択中の開閉レベルに対応付けて記憶する。図6の例では、設定位置「x1」が開閉レベル「A」に対応付けて記憶される。
【0055】
好ましくは、制御装置40は、確定ボタン147が押されるまでは、検知部138から取得した扉136の実位置を、選択中の開閉レベル「A」に対応する開閉位置欄にリアルタイムで表示する。そして、確定ボタン147が押された後には、制御装置40は、開閉位置のリアルタイム表示を止め、確定ボタン147が押されたタイミングで検知部138から取得した扉136の実位置を固定表示する。
【0056】
ステップS14において、ユーザUは、設定画面143A内の開閉レベル「B」を選択したとする。これにより、工作機械100は、開閉レベル「B」についての開閉位置を受け付ける状態になる。
【0057】
ステップS15において、把手139を掴んで扉136を動かし、X軸方向の任意の位置で扉136を止める。図7の例では、ユーザUは、開閉位置「x2」で扉136を止めている。
【0058】
ステップS16において、ユーザUは、設定画面143A上の確定ボタン147を押したとする。このことに基づいて、制御装置40は、上述の検知部138(図2参照)から扉136の実位置を取得する。その後、制御装置40は、当該取得した実位置を、現在選択中の開閉レベル「B」に対応付けて記憶する。
【0059】
以上の処理を繰り返すことで、ユーザは、開閉レベル別に開閉位置の設定を順次行う。以上のように、本例のティーチング処理では、制御装置40は、開閉レベル別に扉136を動かすようにユーザUを促す。これを受けて、ユーザUは、開閉レベル別に扉136を動かす。そして、制御装置40は、ユーザUから位置確定指示を開閉レベル別に順次受け付けるとともに、ユーザUが指定した扉136の開閉位置を設定位置として開閉レベル別に記憶する。
【0060】
図8は、ティーチング処理の結果として記憶される開閉設定124を示す図である。図8に示されるように、開閉設定124には、ティーチングモードで設定された開閉位置が開閉レベル別に対応付けられる。開閉設定124は、工作機械100内のメモリに記憶されてもよいし、サーバーなどの外部装置内のメモリに記憶されてもよい。
【0061】
次に、図9および図10を参照して、ユーザUが扉136の開操作を行った場合における扉136の動作態様について説明する。なお、以下の説明では、上述のティーチング処理において、開閉レベル「A」~「C」について開閉位置「x1」~「x3」がそれぞれ設定されたとする。
【0062】
図9は、開閉レベル「A」での扉136の動作態様を表わす図である。ユーザが工作機械100の動作モードを自動開閉モードに切り替える操作を操作盤140に対して行ったことに基づいて、制御装置40は、開閉操作画面144をディスプレイ142に表示する。開閉操作画面144は、たとえば、開ボタン152A~152Cと、閉ボタン153と、キャンセルボタン154とを含む。
【0063】
典型的には、開閉操作画面144に表示される開ボタンの数は、ティーチング処理時に開閉位置を設定した開閉レベルの数と同じである。本例では、上述のティーチング処理において、開閉レベル「A」~「C」について開閉位置が設定されているので、3つの開ボタン152A~152Cが開閉操作画面144に表示される。
【0064】
典型的には、開ボタン152A~152Cを表わす名称は、ティーチング処理時に表示された開閉レベルの名称と同じとなる。図9の例では、開ボタン152Aは、開閉レベル「A」を表わしている。開ボタン152Bは、開閉レベル「B」を表わしている。開ボタン152Cは、開閉レベル「C」を表わしている。
【0065】
図9に示されるように、ユーザは、開ボタン152Aを押したとする。このことに基づいて、制御装置40は、上述の開閉設定124(図8参照)を参照して、開閉レベル「A」に対応する開閉位置「x1」を取得する。その後、制御装置40は、駆動機構137を制御し、扉136を開閉位置「x1」に駆動する。
【0066】
図10は、開閉レベル「B」での扉136の動作態様を表わす図である。図10に示されるように、ユーザは、開ボタン152Bを押したとする。このことに基づいて、制御装置40は、上述の開閉設定124(図8参照)を参照して、開閉レベル「B」に対応する開閉位置「x2」を取得する。その後、制御装置40は、駆動機構137を制御し、扉136を開閉位置「x2」に駆動する。
【0067】
なお、ユーザが閉ボタン153を押した場合には、制御装置40は、駆動機構137を制御し、扉136を閉じる。また、ユーザがキャンセルボタン154を押した場合、制御装置40は、開閉操作画面144を閉じ、自動開閉モードを終了する。
【0068】
以上のように、制御装置40は、ユーザからの開閉指示として開閉レベルの入力を受け付けたことに基づいて、当該入力された開閉レベルに対応する設定位置に扉136を駆動させる。ユーザは、複数の開閉レベルについて開閉位置を設定することができるので、用途に合わせて開閉度合いを変えることができる。
【0069】
<F.ティーチング機能の変形例2>
次に、図11および図12を参照して、ティーチング機能の変形例2について説明する。
【0070】
上述の変形例1に従うティーチング機能では、開閉位置を設定できる開閉レベルの数が一定であった。これに対して、本変形例に従うティーチング機能では、開閉位置を設定できる開閉レベルの数を任意に変更することができる。
【0071】
図11は、開閉位置を設定できる開閉レベルを増やした場合における設定画面143Bの画面遷移を示す図である。図12は、開閉位置を設定できる開閉レベルを減らした場合における設定画面143Bの画面遷移を示す図である。
【0072】
図11および図12に示される設定画面143Bは、設定画面143Bに表示されている開閉レベルの表示数を所定数増加させる指示を受け付ける追加ボタン156(第1受付部)と、設定画面143Bに表示されている開閉レベルの表示数を所定数減少させる指示を受け付ける削除ボタン157(第2受付部)とを含む。その他の点については上述の図6に示される設定画面143Aと同じであるので、以下では、それらの説明については繰り返さない。
【0073】
図11に示されるように、ユーザが追加ボタン156を押した場合には、開閉レベルの表示欄と開閉位置の表示欄とを含む行が設定欄150に追加される。図11の例では、開閉レベル「C」の行が追加されている。
【0074】
なお、追加ボタン156を押したことによる開閉レベルの追加数は、必ずしも1つである必要はない。一例として、制御装置40は、追加ボタン156が押されたことに基づいて、開閉レベルの表示を2つ以上増加してもよい。
【0075】
また、開閉レベルの表示数を増加させる手段は、追加ボタン156に限定されず、開閉レベルの表示は、種々の手段で追加され得る。一例として、開閉レベルの表示数の増加は、音声入力により実現されてもよい。
【0076】
図12に示されるように、ユーザが削除ボタン157を押した場合には、設定欄150内で選択されている行が削除される。図12の例では、開閉レベル「B」の行が選択された状態で削除ボタン157が押されており、それによって、開閉レベル「B」の行が削除されている。
【0077】
なお、削除ボタン157を押したことによる開閉レベルの削除数は、必ずしも1つである必要はない。一例として、制御装置40は、削除ボタン157が押されたことに基づいて、開閉レベルの表示を2つ以上減少してもよい。
【0078】
また、開閉レベルの表示数を減少させる手段は、削除ボタン157に限定されず、開閉レベルの表示は、種々の方法で削除され得る。一例として、開閉レベルの表示数の減少は、音声入力により実現されてもよい。
【0079】
ユーザは、上述のティーチング機能を利用することで、設定画面143Bに表示されている開閉レベルの各々について、扉136の開閉位置を設定することができる。
【0080】
以上のように、本変形例では、ユーザは、開閉位置を設定する開閉レベルの数を任意に変えることができる。これにより、ユーザは、様々な用途に合わせて開閉位置を設定することができ、扉136の開閉設定をより柔軟に変えることができる。
【0081】
<G.ティーチング機能の変形例3>
次に、図13を参照して、ティーチング機能の変形例3について説明する。図13は、変形例3に従うティーチング処理を時系列に示す図である。
【0082】
上述のティーチング機能では、ユーザは、扉136を手動で動かすことで開閉位置の設定を行っていた。これに対して、本変形例に従うティーチング機能では、ユーザは、扉136を自動で動かすことで開閉位置の設定を行うことができる。扉136の自動駆動は、上述の駆動機構137(図2参照)によって実現される。
【0083】
より具体的には、ステップS21において、ユーザは、工作機械100の動作モードをティーチングモードに切り替えたとする。このことに基づいて、工作機械100の制御装置40は、開閉位置の設定画面143Cをディスプレイ142に表示する。
【0084】
本変形例に従う設定画面143Cは、手動ボタン160と、自動ボタン161と、開ボタン162と、閉ボタン163と、開閉位置表示領域165とをさらに有する点で上述の設定画面143A(図7参照)とは異なる。以下では、上述の設定画面143Aと同様の事項については説明を繰り返さない。
【0085】
本変形例におけるティーチングモードは、扉136の開閉位置を手動で指定する上述の手動ティーチングモードと、扉136の開閉位置を駆動機構137を用いて自動で指定する自動ティーチングモードとを有する。ユーザが手動ボタン160を押した場合には、ティーチングモードが手動ティーチングモードに切り替えられる。一方で、ユーザが自動ボタン161を押した場合には、ティーチングモードが自動ティーチングモードに切り替えられる。
【0086】
手動ボタン160と自動ボタン161とは一方が選択可能に構成される。すなわち、手動ボタン160が押された場合には、手動ボタン160が選択された状態になり、自動ボタン161が非選択の状態になる。一方で、自動ボタン161が押された場合には、自動ボタン161が選択された状態になり、手動ボタン160が非選択の状態になる。図13の例では、自動ボタン161が選択された状態になっており、自動ティーチングモードが選択されている。
【0087】
好ましくは、制御装置40は、現在のティーチングモードに応じてメッセージ145の内容を変える。より具体的には、現在のティーチングモードが手動ティーチングモードである場合には、制御装置40は、扉136を手動で動かすようにユーザを促すメッセージを表示する。一方で、現在のティーチングモードが自動ティーチングモードである場合には、制御装置40は、扉136を自動で動かすようにユーザを促すメッセージを表示する。
【0088】
自動ティーチングモードにおいては、制御装置40は、開ボタン162が押されている間、扉136の開動作を低速で継続し、開ボタン162が押されていない状態になったことに基づいて、扉136の開動作を停止する。一方で、制御装置40は、閉ボタン163が押されている間、扉136の閉動作を低速で継続し、閉ボタン163が押されていない状態になったことに基づいて、扉136の閉動作を停止する。このように、自動ティーチングモードにおいては、ユーザは、扉136を手動で動かさずに開閉位置を任意に指定することができる。
【0089】
開閉位置表示領域165は、扉136の現在の開閉位置を表示する。当該開閉位置は、たとえば、扉136が完全に閉じた状態を基準(たとえば、0mm)とした扉136の開き度合いで示される。当該開閉位置の単位は、たとえば、「mm」である。好ましくは、開閉位置表示領域165に表示される開閉位置は、扉136の開閉動作と連動する。これにより、ユーザは、現在の開閉位置をリアルタイムに数値で認識することができる。
【0090】
ステップS22において、ユーザは、開ボタン162および閉ボタン163を操作することで、開閉位置「x0」から扉136を動かし、開閉位置「x1」で扉136を止めたとする。
【0091】
ステップS23において、ユーザは、設定画面143C上の確定ボタン147を押したとする。このことに基づいて、制御装置40は、上述の検知部138(図2参照)から扉136の実位置を取得する。その後、制御装置40は、当該取得した実位置を、現在選択中の開閉レベルに対応付けて記憶する。図13の例では、設定位置「x1」が開閉レベル「A」に対応付けて記憶される。以上の処理を繰り返すことで、ユーザは、開閉レベル別に開閉位置の設定を順次行う。
【0092】
なお、上述では、工作機械100が手動ティーチングモードと自動ティーチングモードとの両方を備えている例について説明を行ったが、工作機械100は、必ずしも、手動ティーチングモードと自動ティーチングモードとの両方を備える必要はない。工作機械100は、手動ティーチングモードと自動ティーチングモードとの少なくとも一方を備えればよい。
【0093】
<H.ティーチング機能の変形例4>
次に、図14を参照して、ティーチング機能の変形例4について説明する。図14は、変形例4に従う設定画面143Dを示す図である。
【0094】
設定画面143Dは、たとえば、操作盤140のディスプレイ142に表示される。操作盤140は、設定画面143Dを介して、扉136に対する各種操作(たとえば、扉136の開操作、扉136の閉操作、扉136の位置確定操作など)を受け付ける。
【0095】
より具体的には、設定画面143Dは、ティーチング有効ボタン170と、低速開ボタン171と、低速閉ボタン172と、ティーチング実行ボタン173と、開ボタン176と、閉ボタン177と、ロック解除ボタン178と、ドア指定ボタン179とを含む。
【0096】
ティーチング有効ボタン170は、動作モードを切り替えるためのボタンである。ユーザがティーチング有効ボタン170を押す度に、ティーチング有効ボタン170の状態は、選択状態および非選択状態の間で交互に切り替わる。ティーチング有効ボタン170が非選択状態から選択状態になったことに基づいて、工作機械100は、現在の動作モードを上述のティーチングモードに切り替える。当該ティーチングモードは、扉136の開位置の設定を受け付けることが可能な動作モードである。ティーチング有効ボタン170が選択状態から非選択状態になったことに基づいて、工作機械100は、動作モードをティーチングモードから上述の自動開閉モードに切り替える。自動開閉モードは、設定された開位置に扉136を開くことが可能な動作モードである。
【0097】
ティーチング有効ボタン170が非選択状態から選択状態になったことに基づいて、工作機械100は、工作機械100に設けられるランプ(図示しない)を点灯してもよい。これにより、ユーザは、現在の動作モードがティーチングモードであることを容易に認識することができる。工作機械100は、ティーチング有効ボタン170が選択状態から非選択状態になったことに基づいて、当該ランプを消灯する。あるいは、工作機械100は、扉136の開位置のティーチングが終了したことに基づいて、当該ランプを消灯してもよい。
【0098】
好ましくは、ティーチング有効ボタン170は、所定のアクセス権限が与えられたユーザのみが操作できるように構成される。当該アクセス権限は、たとえば、工作機械100へのログイン情報から特定される。
【0099】
低速開ボタン171は、ティーチングモード時における扉136の開操作(第1の開操作)を受け付けるためのボタンである。低速開ボタン171が押されると、工作機械100の制御装置40は、上述の駆動機構137(図2参照)を制御し、扉136の開動作を開始する。そして、制御装置40は、低速開ボタン171が押されている間、扉136の開動作を継続し、低速開ボタン171が押されていない状態になったことに基づいて、扉136の開動作を停止する。ティーチングモード時に扉136の開速度は、自動開閉モード時における扉136の開速度よりも遅い。すなわち、低速開ボタン171を用いた扉136の開速度は、後述の開ボタン176を用いた扉136の開速度よりも遅い。
【0100】
低速閉ボタン172は、ティーチングモード時における扉136の閉操作を受け付けるためのボタンである。低速閉ボタン172が押されると、工作機械100の制御装置40は、上述の駆動機構137を制御し、扉136の閉動作を閉始する。そして、制御装置40は、低速閉ボタン172が押されている間、扉136の閉動作を低速で継続し、低速閉ボタン172が押されていない状態になったことに基づいて、扉136の閉動作を停止する。ティーチングモード時に扉136の閉速度は、自動開閉モード時における扉136の閉速度よりも遅い。すなわち、低速閉ボタン172を用いた扉136の閉速度は、後述の閉ボタン177を用いた扉136の閉速度よりも遅い。
【0101】
ティーチング実行ボタン173は、扉136の位置確定操作を受け付けるためのボタンである。低速開ボタン171および低速閉ボタン172で扉136の開位置が調整された後において、ティーチング有効ボタン170が選択されている状態でティーチング実行ボタン173が押されると、工作機械100の制御装置40は、上述の検知部138(図2参照)から扉136の実位置を取得する。その後、制御装置40は、当該取得した実位置を扉136の開位置として開閉設定124に記憶する。
【0102】
好ましくは、ティーチング実行ボタン173は、所定のアクセス権限が与えられたユーザのみが操作できるように構成される。当該アクセス権限は、たとえば、工作機械100へのログイン情報から特定される。
【0103】
開ボタン176は、自動開閉モード時における扉136の開操作(第2の開操作)を受け付けるためのボタンである。開ボタン176が押されると、工作機械100の制御装置40は、上述の駆動機構137を制御し、扉136が設定された開位置に位置するように上述の駆動機構137(図2参照)を制御する。開ボタン176を用いた扉136の開速度は、低速開ボタン171を用いた扉136の開速度よりも速い。
【0104】
閉ボタン177は、自動開閉モード時における扉136の閉操作を受け付けるためのボタンである。閉ボタン177が押されると、工作機械100の制御装置40は、扉136が予め定められた閉位置に位置するように上述の駆動機構137(図2参照)を制御する。閉ボタン177を用いた扉136の閉速度は、低速閉ボタン172を用いた扉136の閉速度よりも速い。
【0105】
ロック解除ボタン178は、扉136のロックを解除するためのボタンである。ロック解除ボタン178が押されると、工作機械100は、駆動機構137への電力の供給を停止する。より具体的には、電力が電源から駆動機構137に供給されている場合には、駆動機構137の駆動力が扉136に働く。一方で、電力が電源から駆動機構137に供給されていない場合には、駆動機構137の駆動力が扉136に働かない。制御装置40は、ロック解除ボタン178が押されたことに基づいて、電源から駆動機構137への電力の供給を停止する。これにより、駆動力が扉136に働かなくなり、ユーザは、扉136を手動で動かすことができる。その結果、ユーザは、扉136の位置の微調整を手動で行うことができる。
【0106】
なお、上述では、工作機械100が1枚の扉136で構成されている前提で説明を行ったが、工作機械100は、2枚以上の扉136で構成されてもよい。すなわち、扉136は、左右の2枚扉で構成されてもよいし、上下の2枚扉で構成されてもよいし、上下左右の4枚扉で構成されてもよい。この場合、上述の駆動機構137(図2参照)および検知部138(図2参照)は扉136の数に応じて設けられ、工作機械100は、各扉の開位置の設定を受け付けるように構成される。駆動対象の扉136の指定操作は、たとえば、ドア指定ボタン179において受け付けられる。
【0107】
ドア指定ボタン179は、たとえば、左扉を指定するためのボタン179Aと、右扉を指定するためのボタン179Bと、上扉を指定するためのボタン179Cと、下扉を指定するためのボタン179Dとを含む。ユーザは、ボタン179A~179Dの1つを選択することができる。選択状態のボタンが再度押されると、ボタン179A~179Dは、いずれも選択されていない状態となる。
【0108】
一例として、ボタン179Aが選択されると、工作機械100の左扉が駆動対象として選択される。他の例として、ボタン179Bが選択されると、工作機械100の右扉が駆動対象として選択される。他の例として、ボタン179Cが選択されると、工作機械100の上扉が駆動対象として選択される。他の例として、ボタン179Dが選択されると、工作機械100の下扉が駆動対象として選択される。
【0109】
工作機械100の制御装置40は、低速開ボタン171が押されると、ドア指定ボタン179で駆動対象として選択されている扉の開動作を開始する。そして、制御装置40は、低速開ボタン171が押されている間、駆動対象の扉の開動作を低速で継続し、低速開ボタン171が押されていない状態になったことに基づいて、当該扉の開動作を停止する。その後、ティーチング実行ボタン173が押されると、制御装置40は、上述の検知部138(図2参照)から駆動対象の扉136の実位置を取得し、当該実位置を駆動対象の扉の識別情報と対応付けて開閉設定124に記憶する。
【0110】
ボタン179A~179Dのいずれも選択されていない状態で、低速開ボタン171が押されると、工作機械100は、駆動対象として指定可能な全ての扉を同時に低速で開動作する。
【0111】
工作機械100の制御装置40は、低速閉ボタン172が押されると、ドア指定ボタン179で駆動対象として選択されている扉の閉動作を開始する。そして、制御装置40は、低速閉ボタン172が押されている間、駆動対象の扉の閉動作を低速で継続し、低速閉ボタン172が押されていない状態になったことに基づいて、当該扉の閉動作を停止する。
【0112】
ボタン179A~179Dのいずれも選択されていない状態で、低速閉ボタン172が押されると、工作機械100は、駆動対象として指定可能な全ての扉を同時に低速で閉動作する。
【0113】
<I.扉の開命令>
上述の説明では、ユーザが開ボタンを押したことに基づいて、ティーチング処理で設定された開閉位置に扉136が駆動される例について説明を行ったが、ティーチング処理で設定された開閉位置は、プログラムの命令コードによって参照されてもよい。以下では、図15を参照して、このような命令コードの例について説明する。
【0114】
図15は、一例である加工プログラム122を示す図である。加工プログラム122は、ワークの加工に係る各種の命令コードを含む。工作機械100は、加工プログラム122に従って、ワークを加工する。
【0115】
ワークの加工過程において、扉の開閉動作が行われる。一例として、ワークがロボットなどの自動搬送装置によって搬送される加工システムでは、工作機械100は、自動搬送装置によってワークが工作機械100に搬入される前に扉136を開く。次に、自動搬送装置は、加工対象のワークを工作機械100内に搬入する。その後、工作機械100は、扉136を閉じ、ワークの加工を開始する。加工が完了すると扉136が開かれ、自動搬送装置は、加工済みのワークを工作機械100から搬出する。その後、工作機械100は、扉136を閉じる。
【0116】
このような加工過程は、たとえば、図15に示される加工プログラム122によって実現される。加工プログラム122は、たとえば、Gコードで規定されている。加工プログラム122は、扉136の開動作を指令する命令コード「GXX」を含む。「XX」は、所定の定数である。ユーザは、命令コード「GXX」において開閉レベルを指定することができる。
【0117】
工作機械100は、命令コード「GXX」が実行された場合には、命令コード「GXX」に指定されている開口レベルを特定し、開閉設定124を参照して、当該開口レベルに対応する開閉位置を取得する。そして、工作機械100は、取得した開閉位置に扉136を駆動する。
【0118】
なお、図15では、扉136を開くための命令コードがGコードで規定されている例が示されているが、当該命令コードは、必ずしもGコードで規定される必要はない。一例として、当該命令コードは、ラダープログラム上で規定されてもよい。この場合、当該命令コードは、上述のCPUユニット50(図5参照)上の制御プログラム92(図17参照)に規定されることとなる。
【0119】
なお、上述では、扉の開命令がGコードで規定される例について説明を行ったが、扉の開命令は、Mコードで規定されてもよい。一例として、開命令は、「M85」で規定される。「M85」が実行された場合には、工作機械100は、設定されている開位置まで扉136を駆動する。当該開位置は、加工プログラム122上で規定されてもよいし、ラダープログラム(PLCプログラム)上で規定されてもよいし、加工プログラム122やラダープログラムで参照される設定パラメータとして規定されてもよい。なお、扉136の現在位置が指定された開位置を超えている場合(すなわち、扉136の現在の開口面積が、扉136の移動後の開口面積よりも広い場合)、工作機械100は、所定のエラーコード(たとえば、EX6042)を出力する。
【0120】
また、上述では、扉136の開命令がGコードやMコードで規定されている例について説明を行ったが、扉136の閉命令がGコードやMコードで規定されてもよい。一例として、扉136の閉命令は、「M86」で規定される。「M86」が実行された場合には、工作機械100は、設定されている閉位置まで扉136を駆動する。当該閉位置は、加工プログラム122上で規定されてもよいし、ラダープログラム(PLCプログラム)上で規定されてもよいし、加工プログラム122やラダープログラムで参照される設定パラメータとして規定されてもよい。
【0121】
<J.開閉位置の自動設定機能>
上述の例では、ユーザが手動で扉136の開閉位置を設定するティーチング機能について説明を行ったが、扉136の開閉位置は、自動で設定されてもよい。以下では、図16を参照して、開閉位置の自動設定機能について説明する。
【0122】
工作機械100の動作モードは、扉136を手動で開く手動開閉モードと、扉136を自動で開く自動開閉モードとを含む。
【0123】
工作機械100の動作モードが手動開閉モードである場合、工作機械100の制御装置40は、扉136が手動で開かれる度に、上述の検知部138(図2参照)から扉136の開閉位置を取得し、当該開閉位置を記憶する。一例として、開閉位置は、一定時間以上変化しないことに基づいて記憶される。
【0124】
図16は、開閉位置のデータベース96を示す図である。データベース96において、扉136の開閉時刻と、扉136の開閉位置とが対応付けられている。好ましくは、データベース96において、開閉動作を行ったユーザの識別情報(たとえば、識別ID(Identification)など)がさらに対応付けられる。ユーザの識別情報は、たとえば、工作機械100へのログイン情報から特定される。
【0125】
制御装置40は、データベース96に格納されている開閉位置に基づいて、扉136の開閉に係る設定位置を自動で算出する。当該設定位置は、データベース96に格納されている開閉位置の最小値以上であり、データベース96に格納されている開閉位置の最大値以下である。
【0126】
ある局面において、当該設定位置は、データベース96に格納されている開閉位置の平均値である。他の局面において、当該設定位置は、データベース96に格納されている開閉位置の中央値である。さらに他の局面において、当該設定位置は、データベース96に格納されている開閉位置の最大値または最小値である。
【0127】
なお、当該設定位置は、データベース96から、複数算出されてもよい。一例として、当該設定位置は、ユーザごとに算出される。
【0128】
工作機械100の動作モードが自動開閉モードである場合、制御装置40は、扉136を開く指示を受け付けたことに基づいて、扉136が上記設定位置に位置するように駆動機構137を制御する。
【0129】
以上のように、本例では、制御装置40は、扉136の最適な開閉位置を過去の操作履歴から自動で設定する。その際、ユーザは、扉136を通常通り開閉するだけでいいので、結果として扉136の開閉位置を容易に設定することができる。
【0130】
<K.CPUユニット50のハードウェア構成>
次に、図17を参照して、図5に示されるCPUユニット50のハードウェア構成について説明する。図17は、CPUユニット50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0131】
CPUユニット50は、プロセッサ71と、ROM(Read Only Memory)72と、RAM(Random Access Memory)73と、通信インターフェイス74と、フィールドバスコントローラ75と、記憶装置90とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス79に接続される。
【0132】
プロセッサ71は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0133】
プロセッサ71は、制御プログラム92などの各種プログラムを実行することでCPUユニット50の動作を制御する。制御プログラム92は、工作機械100内の各種装置を制御するための命令を規定している。プロセッサ71は、制御プログラム92の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置90またはROM72からRAM73に制御プログラム92を読み出す。RAM73は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム92の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0134】
通信インターフェイス74には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。CPUユニット50は、通信インターフェイス74を介して外部機器(たとえば、サーバー)とデータをやり取りする。CPUユニット50は、当該外部機器から制御プログラム92をダウンロードできるように構成されてもよい。
【0135】
フィールドバスコントローラ75は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するためのインターフェイスである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CNCユニット51やI/Oユニット52などが挙げられる。
【0136】
記憶装置90は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置90は、制御プログラム92や、上述のデータベース96(図16参照)や、上述の開閉設定124(図8参照)などを格納する。これらの格納場所は、記憶装置90に限定されず、プロセッサ71の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM72、RAM73、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0137】
制御プログラム92は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム92の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム92によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム92の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCPUユニット50が構成されてもよい。
【0138】
<L.工作機械100のハードウェア構成>
次に、図18を参照して、工作機械100のハードウェア構成について説明する。図18は、工作機械100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0139】
工作機械100は、CNCユニット51と、サーボドライバ111A~111Dと、サーボモータ112A~112Dと、エンコーダ113A~113Dと、ボールねじ114A,114Bと、主軸115とを含む。CNCユニット51は、プロセッサ101と、ROM102と、RAM103と、通信インターフェイス104と、操作盤140とを含む。
【0140】
プロセッサ101は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0141】
プロセッサ101は、加工プログラム122など各種プログラムを実行することでCNCユニット51の動作を制御する。加工プログラム122は、ワークの加工を実現するための各種の命令を規定している。プロセッサ101は、加工プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からROM102に加工プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0142】
通信インターフェイス104は、フィールドネットワークNW(図6参照)に接続するためのインターフェイスである。CNCユニット51は、通信インターフェイス104を介してフィールドネットワークNWに接続される各種機器(たとえば、CPUユニット50やI/Oユニット52など)とデータをやり取りする。
【0143】
操作盤140は、工作機械100に対する各種の操作を受け付ける。また、操作盤140は、ディスプレイ142を備え、各種の情報を表示する。当該ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。
【0144】
CNCユニット51は、加工プログラム122に従ってサーボドライバ111A~111Dを制御する。サーボドライバ111Aは、ボールねじ114Aに接続される上述のテーブル116をCNCユニット51からの制御指令に従ってX軸方向(図2参照)に移動し、テーブル116をX軸方向の任意の位置に移動する。サーボドライバ111Bは、ボールねじ114Bに接続されるテーブル116をCNCユニット51からの制御指令に従ってY軸方向(図2参照)に移動し、テーブル116をY軸方向の任意の位置に移動する。サーボドライバ111Cは、CNCユニット51からの制御指令に従って主軸115をZ軸方向(図2参照)に移動し、主軸115をZ軸方向の任意の位置に移動する。サーボドライバ111Dは、CNCユニット51からの制御指令に従って、主軸115の回転速度を制御する。
【0145】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、加工プログラム122などを格納する。加工プログラム122の格納場所は、記憶装置120に限定されず、プロセッサ101の記憶領域(たとえば、キャッシュ領域など)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0146】
加工プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う加工プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、加工プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが加工プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCNCユニット51が構成されてもよい。
【0147】
<M.ティーチングモードにおけるフローチャート>
図19を参照して、ティーチングモード時における制御フローについて説明する。図19は、ティーチング処理の流れを表わすフローチャートである。図19に示される処理は、たとえば、工作機械100の制御装置40によって実行される。
【0148】
ステップS110において、制御装置40は、操作盤140に対するユーザ操作により、工作機械100の動作モードがティーチングモードに切り替えられたか否かを判断する。制御装置40は、工作機械100の動作モードがティーチングモードに切り替えられたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御装置40は、設定画面143Bを閉じ、図19に示されるティーチング処理を終了する。
【0149】
ステップS112において、制御装置40は、扉136を動かすようにユーザを促す処理を実行する。一例として、制御装置40は、上述の設定画面143B(図11参照)をディスプレイ142に表示する。これにより、ユーザは、設定画面143Bの表示に促されて扉136を手動で動かす。
【0150】
ステップS120において、制御装置40は、扉136の位置確定指示を受け付けたか否かを判断する。一例として、制御装置40は、ユーザが設定画面143B上の確定ボタン147を押したことに基づいて、扉136の位置確定指示を受け付ける。制御装置40は、扉136の位置確定指示を受け付けたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS124に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御装置40は、制御をステップS122に切り替える。
【0151】
ステップS122において、制御装置40は、キャンセル指示を受け付けたか否かを判断する。一例として、制御装置40は、ユーザが設定画面143B上のキャンセルボタン146を押したことに基づいて、キャンセル指示を受け付ける。制御装置40は、キャンセル指示を受け付けたと判断した場合(ステップS122においてYES)、設定画面143Bを閉じ、図19に処理を終了する。そうでない場合には(ステップS122においてNO)、制御装置40は、制御をステップS120に戻す。
【0152】
ステップS124において、制御装置40は、上述の検知部138から扉136の現在の開閉位置を取得する。その後、制御装置40は、取得した開閉位置を、設定画面143B上で選択されている開閉レベルに関連付けて、上述の開閉設定124(図8参照)に記憶する。
【0153】
ステップS130において、制御装置40は、ティーチングモードの終了指示を受け付けたか否かを判断する。当該終了指示は、たとえば、ユーザが設定画面143B上のキャンセルボタン146を押したことに基づいて発せられる。制御装置40は、ティーチングモードの終了指示を受け付けたと判断した場合(ステップS130においてYES)、設定画面143Bを閉じ、図19に処理を終了する。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御装置40は、制御をステップS112に戻す。
【0154】
なお、図19では、ユーザが扉136の開閉位置を手動で設定する手動ティーチングモードのフローチャートについて説明を行ったが、ユーザは、扉136の開閉位置を自動で設定してもよい。この場合、ステップS112において、上述の設定画面143C(図13参照)を表示する。より具体的には、ステップS112において、設定画面143Cの手動ボタン160が押された場合には、制御装置40は、扉136を手動で動かすようにユーザを促す。あるいは、設定画面143Cの自動ボタン161が押された場合には、制御装置40は、扉136を自動で(モーター駆動で)動かすようにユーザを促す。
【0155】
<N.自動開閉モードにおけるフローチャート>
図20を参照して、自動開閉モード時における制御フローについて説明する。図20は、扉136の自動開閉処理の流れを表わすフローチャートである。図20に示される処理は、たとえば、工作機械100の制御装置40によって実行される。
【0156】
ステップS150において、制御装置40は、操作盤140に対するユーザ操作により、工作機械100の動作モードが自動開閉モードに切り替えられたか否かを判断する。制御装置40は、工作機械100の動作モードが自動開閉モードに切り替えられたと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS152に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御装置40は、開閉操作画面144を閉じ、図20に処理を終了する。
【0157】
ステップS152において、制御装置40は、上述の開閉操作画面144(図9参照)をディスプレイ142に表示する。
【0158】
ステップS160において、制御装置40は、開閉操作画面144に表示されている開閉ボタンが押されたか否かを判断する。制御装置40は、開閉操作画面144に表示されている開閉ボタンが押されたと判断した場合(ステップS160においてYES)、制御をステップS164に切り替える。そうでない場合には(ステップS160においてNO)、制御装置40は、制御をステップS162に切り替える。
【0159】
ステップS162において、制御装置40は、開閉操作画面144に表示されているキャンセルボタン154が押されたか否かを判断する。制御装置40は、キャンセルボタン154が押されたと判断した場合(ステップS162においてYES)、開閉操作画面144を閉じ、図20に処理を終了する。そうでない場合には(ステップS162においてNO)、制御装置40は、制御をステップS160に戻す。
【0160】
ステップS164において、制御装置40は、ステップS160で押された開閉ボタンの種類に応じて、扉136を駆動する。一例として、開閉操作画面144に表示される開ボタン152A~152Cのいずれかが押された場合、制御装置40は、押された開ボタンに対応する開閉レベルを特定する。そして、制御装置40は、上述の開閉設定124(図8参照)を参照して、特定した開閉レベルに対応する開閉位置を取得する。その後、制御装置40は、駆動機構137を制御し、取得した開閉位置に扉136を駆動する。一方で、開閉操作画面144に表示される閉ボタン153が押された場合、制御装置40は、駆動機構137を制御し、予め定められた閉位置に扉136を駆動する。
【0161】
ステップS170において、制御装置40は、自動開閉モードの終了指示を受け付けたか否かを判断する。当該終了指示は、たとえば、ユーザが開閉操作画面144上のキャンセルボタン154を押したことに基づいて発せられる。制御装置40は、自動開閉モードの終了指示を受け付けたと判断した場合(ステップS170においてYES)、開閉操作画面144を閉じ、図20に処理を終了する。そうでない場合には(ステップS170においてNO)、制御装置40は、制御をステップS160に戻す。
【0162】
<O.まとめ>
以上のようにして、工作機械100は、扉136の開閉位置を手動で指定できるティーチング機能を有する。ユーザは、実際に扉136を動かして開閉位置を設定できるため、開閉度合いを視覚的に確認しながら開閉位置を設定することができる。また、ユーザは、扉136を動かすだけで開閉位置を設定できるので、プログラムや開閉設定を書き換える必要がなく、扉136の開閉位置を容易に設定することができる。
【0163】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0164】
40 制御装置、50 CPUユニット、51 CNCユニット、52 I/Oユニット、61,111A~111D サーボドライバ、62,112A~112D サーボモータ、71,101 プロセッサ、72,102 ROM、73,103 RAM、74,104 通信インターフェイス、75 フィールドバスコントローラ、79 内部バス、90,120 記憶装置、92 制御プログラム、96 データベース、100 工作機械、113A~113D エンコーダ、114A,114B ボールねじ、115 主軸、116 テーブル、122 加工プログラム、124 開閉設定、131 カバー、132 開口、136 扉、137 駆動機構、138 検知部、139 把手、140 操作盤、142 ディスプレイ、143,143A~143D 設定画面、144 開閉操作画面、145 メッセージ、146,154 キャンセルボタン、147 確定ボタン、150 設定欄、152A~152C,162 開ボタン、153,163 閉ボタン、156 追加ボタン、157 削除ボタン、160 手動ボタン、161 自動ボタン、165 開閉位置表示領域、170 ティーチング有効ボタン、171 低速開ボタン、172 低速閉ボタン、173 ティーチング実行ボタン、178 ロック解除ボタン、179 ドア指定ボタン、179A~179D ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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