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特許7439083色相を確認するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】色相を確認するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240219BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20240219BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H04N1/60
G01J3/46 Z
G06T1/00 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021528477
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019068759
(87)【国際公開番号】W WO2020020659
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】18186165.9
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521035543
【氏名又は名称】ヒューバーグループ ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヒューベル,パトリック
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-195172(JP,A)
【文献】特表2005-509215(JP,A)
【文献】特表2008-503909(JP,A)
【文献】特開2018-074516(JP,A)
【文献】特開2002-320095(JP,A)
【文献】特開2004-186756(JP,A)
【文献】特開2003-037746(JP,A)
【文献】特開2015-139179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0012810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0035126(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46-62
G01J 3/46
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するための方法であって、前記方法が、
a)複数のデータセットが記憶されているデータベースを提供することであって、前記データセットの各々が、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および前記塗布方法を使用した前記基材上での前記色処方の塗布の後に生じる前記色製品の色相に関する情報をそれぞれ含むことと、
b)ユーザによる、目的の塗布方法の指定、目的の基材の指定、および前記指定された目的の塗布方法を使用した指定された前記目的の基材上での色処方の塗布の後に取得された色製品に対して生じる所望の目的の色相の指定と、
c)コンピュータプログラムを使用して前記データベースを検索し、前記データベースが、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された前記目的の基材上での塗布の後に、ステップb)で指定された前記目的の色相に対応する色相、または多くとも指定された許容値だけ目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じる、関連する情報が前記データセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つの好適なデータセットを含むかどうかを確認することと、
d)ステップc)で前記少なくとも1つの好適なデータセットが見つかった場合、前記少なくとも1つの好適なデータセットに記憶されている前記色処方に関する前記情報を表示することと、
を含み、
前記データセットのうちの少なくとも1つはまた、少なくとも1つの参照色相に関する情報、参照塗布方法に関する情報、および参照基材に関する情報も含み、前記参照色相は、関連する情報が前記データセットに記憶されている前記色処方が前記参照塗布方法を使用して前記参照基材に塗布されるときに取得され、前記参照塗布方法は、関連する情報が前記データセットに含まれる前記塗布方法とは異なり、および/または前記参照基材は、関連する情報が前記データセットに含まれる前記基材とは異なることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全てが、少なくとも1つの参照色相に関する情報および関連する参照塗布方法に関する情報および関連する参照基材に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの参照色相に関する前記情報が、前記参照塗布方法を使用して前記参照基材に関連するデータセットに記憶されている前記色処方を塗布し、次いで、このようにして取得された前記色製品の表面の180~4000nm、および好ましくは400~700nmの波長範囲にわたるスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって、取得されたスペクトル曲線のデータを含むことを特徴とする、少なくとも請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
関連する情報が前記データベース内の前記データセットに含まれる前記塗布方法、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法、および前記少なくとも1つの参照塗布方法のうちの少なくとも1つ、ならびに好ましくは関連する情報が前記データベース内の前記データセットに含まれる前記塗布方法、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法、および前記少なくとも1つの参照塗布方法の全てが、印刷方法、皮革染色プロセス、織物染色プロセス、塗装、圧延、ブラッシング、吹き付け、浸漬、浸水、艶出し、粉末コーティング、エナメル加工、および上記の方法の2つ以上の任意の組み合わせから選択され、ならびに好ましくは平板印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、スクリーン印刷、レタープレス印刷、パッド印刷、転写印刷、昇華印刷、コロタイプ印刷、皮革染色プロセス、織物染色プロセス、および上記の方法の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
関連する情報が前記データベース内の前記データセットに記憶されている前記基材、ステップb)で指定された前記目的の基材、および前記少なくとも1つの参照基材のうちの少なくとも1つ、ならびに好ましくは、関連する情報が前記データベース内の前記データセットに含まれる前記基材、ステップb)で指定された前記目的の基材、および前記少なくとも1つの参照基材の全てが、紙、厚紙、板紙、プラスチックフィルム、皮革、織物、金属、木材、ガラス、セラミック、スキン、金属化表面、コンクリート、プラスチック体、積層体、複合材、および上記の基材の2つ以上の任意の組み合わせから選択され、好ましくは、新聞用紙、非コート紙、コート紙、厚紙、板紙、段ボール、プラスチックフィルム、フェルト、不織布、プラスチックおよびアルミニウムフィルムで作成された積層体、皮革、織物、および上記の基材の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータプログラムは、前記ユーザがステップb)において以下の方法:
i)分光光度計で記録された180~4,000nm、および好ましくは400~700nmの前記目的の基材のスペクトル曲線のデータを前記コンピュータプログラムに転送すること、
ii)前記コンピュータプログラムに記憶されている異なる基材の事前選択の集合から前記目的の基材をクリックすること、
iii)前記目的の基材のスペクトル曲線の値に入力するかまたは読み取ること、
iv)前記目的の基材の実験値に入力するかまたは読み取ること、の少なくとも1つ、および好ましくは全てにおいて、前記目的の基材を指定できるような方法で構成されること、
および/または
前記ユーザが、ステップb)の以下の方法:
i)分光光度計で記録された180~4,000nm、および好ましくは400~700nmの前記目的の色相のスペクトル曲線のデータを前記コンピュータプログラムに転送すること、
ii)前記コンピュータプログラムに記憶されている異なる色相の事前選択の集合から目的の色相をクリックすること、
iii)前記目的の色相のスペクトル曲線の値に入力するかまたは読み取ること、
iv)前記目的の色相の実験値に入力するかまたは読み取ることの少なくとも1つ、および好ましくは全てにおいて、前記目的の色相を指定できることを特徴とする、請求項1~の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップc)の許容値が前記コンピュータプログラムに事前設定されており、および/または前記ユーザがステップc)の前記許容値を連続的にまたはデフォルト設定に従って事前設定することができ、ステップc)の最大の許容値が、多くとも1、好ましくは最大0.5、および特に好ましくは多くとも0.2のΔE00値に対応することを特徴とする、請求項1~の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピュータプログラムが、色相を計算することができる試験アルゴリズムを含み、前記計算された色相が、コンピュータを使用して、ステップc)で指定された前記目的の塗布方法とは異なる試験紙プリンタを使用して試験紙基材上に印刷され、ステップb)で指定された前記目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された前記目的の基材上へのステップc)で見つかった前記色処方の前記塗布の場合と同じ色相を生じることを特徴とする、請求項1~の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コンピュータプログラムは、前記ユーザが試験紙プリンタおよび試験紙基材を指定できるような方法で構成されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンピュータプログラムは、前記試験紙プリンタが少なくとも4色紙プリンタ、好ましくは少なくとも7色紙プリンタ、特に好ましくは少なくとも7色インクジェットプリンタであるように構成されていることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項11】
前記データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全ては、前記ユーザが選択できる以下の特性:
i)1つ以上のハーフトーン、
ii)前記色製品の光沢レベル、
iii)前記色製品の異なる視野角での異なる光沢レベル、
iv)前記色製品の触覚特性、
v)前記色製品の耐擦傷性、
vi)前記色製品の引き裂き強度、
vii)前記色製品の引張強度、
viii)前記色製品の光に対する耐性、
ix)前記色製品の温度に対する耐性、
x)前記色製品のガンマ線に対する耐性、
xi)前記色製品の化学物質に対する耐性、
xii)前記色製品の低温殺菌に対する耐性、
xiii)前記色製品の滅菌に対する耐性、
xiv)前記色製品の湿気に対する耐性、
xv)前記色製品の層間剥離に対する耐性、
xvi)前記色処方に特定の成分が含まれていないこと
xvii)前記色製品の不透明度、
xviii)前記色製品の滑り特性のうちの少なくとも1つに関する情報も含む、請求項1~10の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムは、請求項1に記載の方法のステップb)で指定された前記目的の塗布方法を使用した請求項1に記載の方法のステップb)で指定された前記目的の基材上での前記塗布の後に、指定された最大の許容値内の前記目的の色製品の前記指定された色相を生じる色処方が計算されることを可能にする処方アルゴリズムを含み、前記コンピュータプログラムは、前記色処方を計算する前記処方アルゴリズムが、ステップc)で好適なデータセットが見つからなかった場合に実行されるように構成されており、前記色処方を計算する前記処方アルゴリズムの前記実行の前に、前記ユーザの前記指定に基づいて前記コンピュータプログラムから前記処方アルゴリズムに前記色処方のための適切な成分が転送され、そこから成分前記処方アルゴリズムのみが前記色処方を計算することを特徴とする、請求項1~11の少なくとも一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙などの指定された基材上に平版印刷方法などの指定された塗布方法を使用して塗布した後に、指定された色相を使用して印刷紙などの色製品を生じる色処方を確認するためのシステムおよび方法に関するものである。
【0002】
このようなシステムおよび方法は、包装開発に含む様々な用途に使用される。例えば、食品包装などの包装を開発するとき、新しいカラフルな多色設計が作成され、その正確な製造には、異なる色を再現するために使用される色処方を使用して包装を印刷するときに、包装開発者によって指定された色が正確に実現できることが必要とされる。しかしながら、塗布方法を使用した色処方の塗布後に達成される色相、すなわち、印刷の場合には印刷インクを基材上に印刷した後に達成される色相は、多くの要因、特に基材の特定のタイプおよび使用される塗布方法に依存する。印刷インクを板紙にフレキソ印刷を使用して印刷すると、例えば、グラビア印刷方法を使用してコート紙に同じ印刷インクを印刷する場合と比較して著しく異なる色相を有する印刷製品が生じることがある。さらに、紙用の既知のグラビア印刷インクは、グラビア印刷方法を使用して所望の包装板に塗布されたときに、包装開発者が必要とする色相を製造するが、所望の色相にはつながらない。したがって、特定の基材に所望の色相および所望の印刷方法を与える印刷インクを見つける必要があるか、またはまだ入手できない場合は、それを開発する必要がある。
【0003】
指定された塗布方法を使用して目的の基材に塗布した後に生じる所望の色相に加えて、新しい包装などの新しい塗布に好適な色処方は、他の様々な基準を満たす必要がある。用途に応じて、色処方は、例えば、指定された光沢値を有し、必要な要件のほんの一部を挙げれば、多かれ少なかれ顕著な耐薬品性または多かれ少なかれ顕著な耐光性によって特徴付けられる必要がある。
【0004】
このような複雑な関係にもかかわらず、包装開発者および他のユーザが特定のシステムに好適な色処方を見つけることを容易にするために、データベースおよびコンピュータプログラムがすでに開発されており、これによりユーザは、目的の色相、基材、色処方が基材上に塗布される塗布方法、基材への色処方の塗布後に取得される色製品の必要な耐薬品性、および他のパラメータなどの所望の目的のパラメータを指定することができるようになっている。次に、コンピュータプログラムは、データベースから好適な色処方を検索し、データベースに記憶されている情報に従って、指定された塗布方法を使用して目的の基材に塗布した後、要求された目的の色相に最も近い色相を有する色製品を生じる色処方を表示する。少なくとも所望の目的の色相にほぼ近い結果を生じる色処方が見つからない場合、ユーザにはヒットしなかったことが示される。
【0005】
このような方法およびシステムは、例えば、PantoneLIVEの商品名で販売されている。
【0006】
米国特許第7,034,960(B2)号から、データベースを使用して色製品を現像する方法が知られており、この方法は、以下のステップを含む:i)現像情報をデータベースに記憶することであって、現像情報が複数の色製品の現像に関連する特性を含む、記憶することと、ii)少なくとも第1の色を含む第1の色情報を受け取ることと、iii)データベース内の第1の現像情報を識別することであって、第1の現像情報が少なくとも第1の色を含む、識別することと、iv)色製品の少なくとも1つの物理的特性を受け取ることと、v)第1の現像情報を使用して、少なくとも1つの物理的特性が第1の色と互換性があるかどうかを決定すること。少なくとも1つの物理的特性が最初の色と互換性がない場合、本方法は終了するか、または少なくとも1つの物理的特性が第1の色と互換性がないという警告がユーザに表示される。次に、ユーザは、色処方に対応するヒットがデータベースで見つかるまで、所望の設計または色製品に課せられた要件を変えることができる。しかしながら、後者は満足のいく解決策ではない。というのも、この場合、ユーザは、最初に、所望される色製品を生じる色処方を受け取らないからである。
【0007】
ユーザが特定の塗布方法を使用して色処方が塗布される特定の基材からユーザが計画された色製品の色処方を受け取った後に、この色処方は通常、色製造業者(おそらく世界の別の場所に位置する)に転送され、その後、ユーザはその色を製造できるようになる。通常、ユーザは、例えば、前述の方法を使用して色処方が確認されたコンピュータプログラムの販売業者によって商業的に販売されている複数の半製品の混合処方として色処方を表示される。そのような色処方は、例えば、2~5個の着色剤および非着色ブレンドからなることができる。着色剤の各々は、例えば、溶剤および/または結合剤に分散される1つ以上の顔料を含み、一方、非着色ブレンドは、アルキド樹脂などの1つ以上の結合剤、および/または鉱油または植物油などの1つ以上の溶剤を含み得る。オフセット印刷インキの場合、ブレンドはワニスとも呼ばれる。色製造業者は、これらの成分を混合して色処方を作成する。しかしながら、これに関する1つの問題は、この方法で取得された色製品の色相を指定された目的の色相と比較する前に、指定された塗布方法を使用して指定された基材に色処方を塗布する必要があるため、製造された色処方の品質管理を確実に実行するために色製造業者に非常にコストがかかるということである。ただし、原則として、色製造業者は実験室での塗布方法しか利用できず、顧客の基材も利用できないことが多い。指定された目的の色相と製造バッチに対して取得された色相との不一致が大きすぎる場合、色製造業者は、適切な量の半製品のうち1つ以上を後で追加することによって製造バッチを修正する必要がある。
【0008】
これから進めて、本発明は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するためのシステムおよび方法を提供するという目的に基づいており、システムおよび方法は、確認された色処方を容易に製造することと、製造された色処方に単純で確実な品質管理を施すことと、を可能にする。
【0009】
本発明によれば、本目的は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するための方法によって達成され、本方法は以下を含む:
a)複数のデータセットが記憶されているデータベースを提供することであって、各場合におけるデータセットの各々が、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報を含む、提供することと、
b)ユーザによる、目的の塗布方法の指定、目的の基材の指定、および指定された目的の塗布方法を使用した指定された目的の基材上での色処方の塗布の後に取得される色製品に対して生じる所望の目的の色相の指定と、
c)好ましくはコンピュータプログラムを使用してデータベースを検索し、データベースが、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材上での塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応する色相、または多くとも指定された許容値だけ目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じる、関連する情報が前記データセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認することと、
d)ステップc)で少なくとも1つの好適なデータセットが見つかった場合、前記少なくとも1つのデータセットに記憶されている前記色処方に関する前記情報を表示することと、を含み、
データセットの少なくとも1つは、これに記憶されている色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報に加えて、少なくとも1つの参照色相に関する情報、参照塗布方法に関する情報、および参照基材に関する情報も含み、参照色相は、関連する情報がデータセットに含まれる色処方がデータセットで指定された参照塗布方法を使用してデータセットで指定された参照基材に塗布されるときに取得され、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布方法とは異なり、および/または参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基材とは異なる。
【0010】
データセットの少なくとも1つ、好ましくはデータセットの複数、および特に好ましくはデータセットの全ては、これに記憶されている色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上への塗料処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報に加えて、少なくとも1つの参照色相に関する情報、参照塗布方法に関する情報、および参照基材に関する情報も含み、参照色相は、関連する情報がデータセットに含まれる色処方が参照塗布方法を使用して参照基材に塗布されるときに取得され、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布方法とは異なり、および/または参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基材とは異なり、色処方の製造されたバッチに確実な品質管理を施すことができる。色処方の製造されたバッチの対応する量を参照塗布方法を使用して参照基材に塗布し、次いで、このような方法で製造された参照色製品の色相を、関連する情報がデータセットに含まれる参照色相と比較するだけでよい。この比較から取得された偏差が指定された許容値範囲内にある場合、バッチを販売することができる。それ以外の場合は、スペクトル曲線を使用して製造された参照色製品の許容値範囲内の色相が取得されるまで、1つ以上の成分を追加してバッチを修正する必要がある。
【0011】
本発明による方法の特定の利点は、品質管理が、製造された色処方を顧客によって指定された目的の塗布方法(通常は複雑なシステムを必要とする)を使用して、顧客によって指定された目的の基材(おそらく非常に特殊で商業的に入手困難な基材)に塗布することを色製造業者に要求せず、顧客は、例えば、世界中で入手可能で一般的な標準的な紙である参照基材を、参照塗布方法(好ましくは単純で複雑なシステムを必要としない)で使用するだけでよいということである。それ以外の場合、色製造業者は、各個々の色処方に対して顧客が指定した対応する目的の基材(顧客の場所では入手できない場合があり得るか、または見出すのが非常に困難であり得る)を調達する必要があり、顧客によって指定された特定の目的の塗布方法を使用しなければならないであろう。この場合、多数の異なる色処方を製造する色製造業者は、多数の異なる、おそらく取得が困難な目的の基材、およびウェブオフセット印刷機、グラビア印刷機などの多数の異なるアプリケーションシステムを備えた非常に大きな倉庫を必要とすることになる。一方、本発明によれば、データベースで利用可能な全ての色処方に対して同じ参照基材および参照塗布方法が記憶されていれば、参照基材および参照塗布方法で十分であり得る。ただし、色が異なる場合、特に印刷インクが異なる場合、例えば、液体色とペースト色に対して異なる参照塗布方法を選択することが推奨される。これらの参照塗布方法は、例えば、オフセットインク用の実験室校正装置(例えば、Prufbau多目的試験印刷機MZ IIもしくはMZE、オフセットインク用のIGT試験校正装置、またはMickle Ink Proofer)、実験室試験装置180(nsm Norbert Schlafli AG)などの液体印刷用の別の実験室校正装置、刻印またはエッチングされたプレートを備えた平丸校正装置、Pamarco Proofer、Harper ScientificのQD Proofing System、またはスキージアプリケータ(例えば、ErichsenのスキージアプリケータK Control Coater 623)であり得る。例えば、参照塗布方法がオフセット印刷方法である場合、参照基材は一般的な標準紙であり、参照色相に関する情報が、180~4,000nmの波長範囲の参照スペクトル曲線、例えば特に400~700nmの波長範囲の参照スペクトル曲線である場合、色製造業者は品質管理のために、対応する量の製造バッチを標準紙に印刷し、このように取得された色製品の表面(すなわち、色処方で提供される標準紙)から180~4,000nm、好ましくは400~700nmの波長範囲の参照スペクトル曲線を記録し、この方法で取得されたスペクトル曲線を参照スペクトル曲線と比較する必要がある。2つのスペクトル曲線が、指定された許容値範囲内の最大係数だけ互いに異なる場合、製造バッチを販売することができる。標準紙を使用すると、従来の紙よりも経年劣化が少なく、耐久性に優れているという利点もある。
【0012】
本発明の文脈において、標準紙は、国内または国際標準で標準化された紙を意味すると理解される。好適な標準紙の例は、DIN ISO 2846-1:2017標準で指定されている。例えば、透明なフィルムに液体の色を塗る場合、スペクトル曲線を記録するための標準化された条件を確保するためにも、スペクトル曲線を記録する前に標準の紙を下に置くことができる。
【0013】
本発明の文脈において、2つ以上の同一の色相は、2つ以上の色相が同じ光の下、好ましくはISO 3664に準拠する同じ標準光の下で見られた場合、または例えば、測定条件M0、M1、M2、もしくはM3の下で測定された場合、人間の目に区別できず、特に、0.5のDE00値を超えて、および好ましくは0.2のDE00値を超えて、互いからずれないことを意味すると理解される。さらに、2つ以上の同一の色相は、好ましくは、2つ以上の色相が最大0.5のdH*、特に好ましくは最大0.2のdH*だけ互いに異なることを意味すると理解されるべきである。パラメータDEおよびdH*は、DIN EN ISO 11664-6:2014で定義されている。
【0014】
本発明によれば、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布方法とは異なり、および/または参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基材とは異なる。これには、次の3つの選択肢がある:第1に、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布方法とは異なるが、参照基材は基材と同じであること。第2に、参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基材とは異なるが、参照塗布方法は塗布方法と同じであること。第3に、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布方法とは異なり、参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基材とは異なること。これは、データセットに記憶された参照色相が、データセットに記憶されている色相、およびデータセットに記憶されている塗布方法を使用して記憶された基材に記憶された色処方を塗布すると生じる色相とも、偶然にも、塗布方法と参照塗布方法との違い、または基板と参照基板との違いにもかかわらず、両方の塗布で同じ色相が得られる場合を除いて、一般に異なることを意味する。
【0015】
本発明の利点をうまく利用するために、本発明に従う概念のさらなる発展では、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全てのデータセットは、これらに記憶されている色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報に加えて、少なくとも1つの参照色相に関する情報、および関連する参照塗布方法に関する情報、および関連する参照基材に関する情報を含むことが提案される。
【0016】
本発明に従う概念のさらなる発展では、上記の実施形態において、同じ参照基材が、参照基材が記憶される全てのデータセットに記憶され、および/または関連する参照塗布方法が、参照塗布方法が記憶される全てのデータセットに記憶されることが提案される。これにより、色処方の製造業者は、品質管理のためにデータベースに記憶されている全ての色処方に同じ参照素材を使用することができる。
【0017】
本発明は、データセットごとに含まれる参照色相の数に関して特に限定されない。したがって、データセットのいくつかは各々、参照色相および関連する参照塗布方法に関する情報を含むことができ、関連する参照基質および他のデータセットは各々、2つ以上の異なる参照色相ならびに関連する参照塗布方法および参照に関する情報を含み、これらは各々、異なる塗布方法を使用して、および/または異なる基材上で同じ目的の色相を生じる。
【0018】
この実施形態の第1の変形例によれば、データベースの少なくとも1つのデータセットは、正確に1つの参照色相に関する情報および関連する参照塗布方法に関する情報および関連する参照基材に関する情報を含む。データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全てが、少なくとも1つの参照色相に関する情報および関連する参照塗布方法に関する情報および関連する参照基材に関する情報を含む。
【0019】
この実施形態の第2の変形例によれば、データベースの少なくとも1つのデータセットは、2つの異なる参照色相に関する情報およびそれぞれの参照塗布方法に関する情報およびそれに関連付けられている参照基材に関する情報を含み、関連する情報がデータセットに記憶されている色処方が第1の参照塗布方法を使用して第1の参照基材上に塗布されたときに取得される第1の参照色相、および第2の参照色相は、関連する情報がデータセットに記憶されている色処方がどの情報についての色レシピが得られるときに得られ、第2の参照色相は、情報がデータセットに含まれる色処方が第2の参照塗布方法を使用して第2の参照基材に塗布されたときに取得され、第1の参照塗布方法は、第2の参照塗布方法とは異なり、および/または第1の参照基材が第2の参照基質とは異なる。データセットの好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、2つの異なる参照色相に関する情報、ならびにそれぞれの参照塗布方法およびそれに関連する参照基材を含む。
【0020】
この実施形態の第3の変形例によれば、データベース内の少なくとも1つのデータセットは、3つ以上の異なる参照色に関する情報を含む。データセットの好ましくは少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、3つ以上の異なる参照色相に関する情報を含む。
【0021】
この実施形態の第4の変形例によれば、データベース内のデータセットのいくつかは、正確に1つの参照色相に関する情報を含み、一方、データセットの他の部分は、2つ以上の参照色相に関する情報を含む。
【0022】
本発明の文脈において、少なくとも1つの参照色相に関するデータセットに記憶された情報は、参照色相を一意に特徴付ける全てのタイプの情報を意味すると理解される。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、参照色相に関する情報は、参照基材上で参照塗布方法を使用して関連するデータセットに記憶されている色処方を塗布し、次いで生じた色製品の表面から180~4000nmの波長範囲にわたるスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって取得されたデータである。記録されたスペクトル曲線は、特に好ましくは、400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル反射曲線である。スペクトル反射曲線は、全体的な反射、全反射、拡散反射、または指向性反射が測定されるように記録することができる。光スペクトルは、好ましくは、第1の角度で測定される色製品上に放射され、反射は、第2の角度でセンサで測定される。例えば、光源は色製品に45°の角度で光スペクトルを放射することができ、センサは0°で反射を測定することができるが、両方の角度は垂直、すなわち色製品の表面に直角な平面に関連して意味しており、0°は垂直に対応する。あるいは、光源は色製品上へ0°の角度で光スペクトルを放射することができ、センサは45°で反射を測定することができ、または光源は色製品上へ拡散的に光スペクトルを放射することができ、センサは0°、8°、または任意の他の角度で反射を測定することができる。本発明のこの実施形態におけるスペクトル曲線のデータは、測定された波長範囲のナノメートルごとの反射値、測定された波長範囲の5ナノメートルごとの反射値、測定された波長範囲の10ナノメートルごとの反射値、または他の間隔での反射値であってもよい。
【0024】
本発明の代替の実施形態によれば、参照色相に関する情報はまた、参照色相に対応する色空間内の値でもあり得る。この実施形態によれば、参照色相に関する情報は、好ましくは参照色相の実験値である。あるいは、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値など、他の色空間からの値を使用することもできる。
【0025】
参照色相およびデータベース内のデータセットに記憶された情報に関する上記の記述は、データセットに記憶された各色相および本発明による方法のステップb)で入力される目的の色相に等しく適用される。このため、色相に関するデータセット内に含まれる情報、または、ステップb)でユーザによって指定される目的の色相は、各場合において、180~4,000nmの波長範囲にわたって、および好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線のデータに関するデータセットに含まれる情報、例えば特に、スペクトル反射曲線であり得るか、または色相の実験値などであり得る。
【0026】
少なくとも1つの参照色相に関する情報に加えて、対応するデータセットは、参照色相が、関連する情報がこれらのデータセットに含まれる色処方を参照塗布方法を使用して参照基材に塗布することによって生じる、参照塗布方法に関する情報および参照基質に関する情報を含む。参照塗布方法に関する情報は、ウェブオフセット印刷などの参照塗布方法の指定、参照塗布方法を識別する数字および/もしくは文字コードもしくはテキストなどの指定を含むが、参照基材に関する情報は、例えば、特殊な標準紙などの参照基材の指定、参照基材を識別する数字および/もしくは文字コードまたはテキストの指定であるか、あるいは180~4000nm、好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線、例えば特にスペクトル反射曲線のデータであるか、あるいは参照基材などの実験値である。
【0027】
本発明は、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる参照塗布方法の種類に関して制限されない。したがって、参照塗布方法は、色処方を基材に塗布することができる任意の塗布方法であり得る。例えば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる参照塗布方法は、印刷方法、皮革染色プロセス、織物染色プロセス、塗装、圧延、吹き付け、浸漬、浸水、艶出し、粉末コーティング、エナメル加工、および上記の方法のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される塗布方法であり得る。関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる参照塗布方法は、好ましくは、平版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、パッド印刷、転写印刷、昇華印刷、コロタイプ印刷、皮革染色プロセス、織物染色プロセス、および上記の方法の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択されるものである。平板印刷の例としては、枚葉オフセット印刷、ウェブオフセット印刷、石版印刷、リソグラフィー印刷が挙げられるが、デジタル印刷の例としては、ゼログラフィーおよびインクジェットが挙げられる。
【0028】
参照塗布方法およびこれに記憶されたデータベースのデータセット内の情報に関する上記の記述は、色相のデータセットに記憶された塗布方法、および本発明による方法のステップb)で入力される目的の塗布方法に等しく適用される。したがって、データセットに含まれる塗布方法に関する情報、またはステップb)でユーザが指定する目的の塗布方法に関する情報は、したがって塗布方法の指定、塗布方法を識別する数値および/もしくは数字コードまたはテキストの指定であってもよく、塗布方法または目的の塗布方法は、上述したように、同じ塗布方法の群から選択されてもよい。
【0029】
本発明は、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる参照基材の種類に関して特には制限されない。したがって、参照基材は、塗布方法を使用して色処方を塗布することができる任意の基材であり得る。例えば、参照基材は、紙、厚紙、板紙、プラスチックフィルム、皮革、織物、金属、木材、ガラス、セラミック、スキン、金属化表面、コンクリート、プラスチック体、積層体、複合材料、および上記の基材のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される基材であり得る。参照基材は、好ましくは、新聞用紙、非コート紙、コート紙、厚紙、板紙、段ボール、プラスチックフィルム(例えば、PEポリエチレン、OPPポリプロピレン、OPAポリアミド、PVCポリ塩化ビニル、PETポリエチレンテレフタレート、PLAポリラクチドフィルムからなる)、フェルト、不織布、プラスチックおよびアルミニウムフィルムからなる積層体、皮革、織物、および上記の基材のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
参照基材およびこれに記憶されたデータベースのデータセット内の情報は、色相のデータセットに記憶された基材、および本発明による方法のステップb)で入力される目的の塗布方法および目的の基材に等しく適用される。データセットに含まれる基材に関する情報、またはステップb)でユーザによって指定される基材に関する情報は、各々、特殊な標準紙などの基材の指定、基材を識別する数値および/もしくは文字コードまたはテキストの指定、180から4000nmまで、好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル曲線のデータ、例えば特に、スペクトル反射曲線、基材の実験値などであってもよく、基材または目的の基材は上述の同じ群の基材から選択することができる。代替として、またはこれに加えて、例えば、その名称または商品名もまた、基材について入力することができ、またはスペクトル曲線を測定するか、または読み取ることができる。データベース内のデータセットに記憶されているそれぞれの基材に関する情報は、好ましくは、関連する基材のスペクトル曲線を180~4000nmの波長範囲にわたって、および好ましくは400~700nmの波長範囲にわたって分光光度計で記録することによって取得されたデータである。これは、特に好ましくは、180~4000nmの波長範囲にわたって、好ましくは400から700nmの波長範囲にわたって記録されたスペクトル反射曲線であり、これに対して、曲線全体的な反射、全反射、拡散反射、または指向性反射を測定することができる。測定は、例えば、入射角/センサ測定角度45°/0°、0°/45°、拡散照射/0°、拡散照射/8°、または他の角度で行うことができる。本発明のこの実施形態では、スペクトル曲線のデータは、180~4000nm、好ましくは400~700nmの各ナノメートルの反射値、180~4000nm、好ましくは400~700nmの5ナノメートルごとの反射値、180~4000nm、好ましくは400~700nmの10ナノメートルごとの反射値、または他の距離での反射値であり得る。
【0031】
本発明の文脈において、データセットに記憶された色処方に関する情報は、色処方を一意に特徴付ける全てのタイプの情報を意味すると理解される。例えば、この情報には、色処方に含まれる全ての個々の成分または原材料の詳細、およびそれらの量を含めることができる。ただし、1つ以上のブレンドおよび1つ以上の着色剤の混合物などの、半製品の混合物として色処方を指定することもできる。2つ以上の色の混合物など、完成品の混合物として色処方を指定することもできる。これらの場合、情報は、色処方に含まれる全ての半製品の指定およびその量、または色処方に含まれる全ての完成品の指定およびその量を含む。また、色処方を、個々の成分もしくは原材料と半製品との混合物として、個々の成分もしくは原材料と完成品との混合物として、半製品と完成品との混合物として、または個々の成分もしくは原材料と半製品と完成品との混合物として指定することも可能である。最後に、商品名または文字および/もしくは数字の組み合わせで構成されるコードを使用して色処方を指定することもできる。
【0032】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方の、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てが、半製品、すなわち、好ましくは少なくとも1つの着色剤および少なくとも1つの非着色ブレンドから構成されることが提供される。色処方は、特に好ましくは2~15個、および特に好ましくは2~10個の半製品から構成される。例えば、色処方は2~4個の着色剤および非着色ブレンドから構成されることが好ましい。例えば、溶剤または溶剤混合物などのさらなる半製品またはスリップ添加剤、ワックス添加剤、または消泡剤などの添加剤、接着促進剤、光開始剤、安定剤、乾燥剤、または硬化剤などを、これらの着色および非着色成分に加えることができる。この実施形態では、データセットに記憶された色処方に関する情報は、色処方に含まれる全ての半製品の指定およびそれらの量を含む。非着色ブレンドは、結合剤、溶剤、ワックス、添加剤、反応性シンナー、光開始剤、硬化剤、およびこれらの化合物の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むことができる。少なくとも1つの着色剤は、好ましくは、固体、液体またはペースト形態の顔料配合物、または1つの顔料、もしくは2つ以上の顔料の混合物が、溶剤、結合剤、もしくは溶剤と結合剤との混合物中に分散されている、2つ以上の顔料の混合物を含む1つ以上の染料を含む配合物である。着色剤は、例えば、金属効果顔料、真珠光沢顔料、金属酸化物でコーティングされた雲母、干渉顔料、発光顔料、UV吸収顔料、IR吸収顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料、ピエゾ電子顔料、磁性顔料、および上記の顔料タイプの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から好ましくは選択される少なくとも1つの効果顔料を含むことができる。あるいは、および/またはこれに加えて、着色顔料、白色顔料、黒色顔料、または染料などの非効果顔料を使用することもできる。少なくとも1つの着色剤は、好ましくは、添加剤、反応性シンナー、光開始剤、硬化剤、および上記の化合物の2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の化合物をさらに含む。例えば、少なくとも1つの着色剤は、添加剤として分散剤を含むことができる。
【0033】
本発明の代替の実施形態によれば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方の、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てが、完成品、すなわち好ましくは2~15色、特に好ましくは2~10色からなる色処方からなることが提供される。これらは、着色剤として少なくとも1つの効果顔料を含むことができ、これは、好ましくは、金属効果顔料、真珠光沢顔料、金属酸化物でコーティングされた雲母、干渉顔料、発光顔料、UV吸収顔料、IR吸収顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料、ピエゾ電子顔料、磁性顔料、および上記の顔料タイプの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される。あるいは、および/またはこれに加えて、非効果顔料または染料を使用することもできる。
【0034】
本発明のさらなる代替の実施形態によれば、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方のいくつかは、完成品、すなわち、好ましくは2~5色、および場合によってはブレンドなどの追加の色が中性の成分からなるのに対し、色処方の他の部分は、半製品、すなわち好ましくは2~10個の半製品からなることが提供される。
【0035】
本発明は、関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方のタイプに関して限定されない。関連する情報がデータベース内のデータセットに含まれる色処方の、好ましくは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全ては、印刷インク、色コーティング、粉末コーティング、レザーインク、および織物インクからなるグループから選択される。
【0036】
ステップb)での指定は、好ましくは、コンピュータプログラムに入力を行うユーザによって実行される。ユーザがステップb)でコンピュータプログラムに指定を入力できるようにするために、本発明に従う概念のさらなる発展では、コンピュータプログラムは、入力されるパラメータ、すなわち、目的の塗布方法、目的の基材、および目的の色相クリック可能な事前選択を含むことが提案される。これに代わるものとして、データを転送することによって、例えば、対応するデータをデータキャリアまたはコンピュータに記憶されたファイルからコンピュータプログラムに転送することによって指定を行うこともできる。
【0037】
ステップb)で目的の塗布方法を指定できるようにするために、コンピュータプログラムは、ユーザがステップb)をクリックすることによって目的の塗布方法を指定することができる塗布方法のクリック可能な事前選択を含むことが好ましい。あるいは、コンピュータプログラムは、目的の塗布方法をテキストとして、または目的の塗布方法を識別する数値および/もしくはテキストコードとして入力することを可能にするようにプログラムすることができる。
【0038】
本発明に従う概念のさらなる発展では、コンピュータプログラムは、ユーザがステップb)における以下の方法の少なくとも1つ、および好ましくは全てにおいて、目的の基材を指定できるような方法で構成されることが提案される:
i)180~4000nm、および好ましくは400~700nmの分光光度計で記録されたスペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の基材のスペクトル反射曲線のデータを、例えばDVDまたはUSBスティックなどから直接(すなわち、介在されたデータキャリアを使用せずに)コンピュータプログラムに転送すること、
ii)コンピュータプログラムに記憶されている異なる基材の事前選択の集合から目的の基材をクリックすること、
iii)スペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の基材のスペクトル反射曲線の値をコンピュータプログラムに、例えば、180~4000nm、および好ましくは400~700nmの波長の反射値を、1nm間隔、5nm間隔、10nm間隔、または他の間隔で数字として入力することによって、コンピュータプログラムに入力すること、
iv)目的の基材の実験値または別の色空間の値、例えば、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値などをコンピュータプログラムに入力または転送すること。
【0039】
同様に、コンピュータプログラムは、ユーザがステップb)における以下の方法の少なくとも1つ、および好ましくは全てにおいて、目的の色相を指定できるような方法で構成されることが好ましい:
i)180~4000nm、および好ましくは400~700nmの分光光度計で記録されたスペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の色相のスペクトル反射曲線のデータを、例えばDVDまたはUSBスティックなどから直接(すなわち、介在されたデータキャリアを使用せずに)コンピュータプログラムに転送すること、
ii)コンピュータプログラムに記憶されている異なる色相の事前選択の集合から目的の色相をクリックすること、
iii)スペクトル曲線、好ましくはスペクトル反射曲線、および特に好ましくは上記で説明したように測定された目的の色相のスペクトル反射曲線の値をコンピュータプログラムに、例えば、180~4000nm、および好ましくは400~700nmの波長の反射値を、1nm間隔、5nm間隔、10nm間隔、または他の間隔で数字として入力することによって、コンピュータプログラムに入力するかまたは読み取ること、
iv)目的の色調の実験値または別の色空間の値、例えば、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値などをコンピュータプログラムに入力し、読み取り、または転送すること。
【0040】
本発明によれば、ステップc)において、データベースは、コンピュータプログラムを使用して検索され、データベースが、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用して、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材への塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応するか、または多くとも指定された許容値内で目的の色相からずれる、色相を有する色製品を生じる、関連する情報がデータセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを決定する。人間の目が2つのほぼ同一の色相のわずかな違いを認識できないという事実を考慮に入れるために、許容値が付与される。したがって、許容値を設定すると、指定された目的の色相からの許容できないずれを受け入れる必要を伴わずに、ステップc)でのヒットの確率が高まる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、ステップc)の許容値は、コンピュータプログラム内で事前設定されている。
【0042】
あるいは、ユーザがステップc)の許容誤差をコンピュータプログラムに入力できることを提供することができる。この目的のために、コンピュータプログラムは、例えば数値を入力することによって、許容値を連続的に設定できるような方法で構成することができる。コンピュータプログラムを、例えば、ユーザがコンピュータプログラムによって指定されたい複数の許容値のうちの1つをクリックして選択することによって、ユーザがコンピュータプログラム内で指定されたデフォルト設定に従って許容値を設定できるように設計することも可能である。また、コンピュータプログラムを、ユーザが、コンピュータプログラム内で指定されたデフォルト設定に従って許容値を設定するか、または例えば数値を入力することによって決定できるような方法で構成することによって、両実施形態を組み合わせることも可能である。
【0043】
本発明に従う概念のさらなる発展では、ステップc)において、最大許容誤差が最大2、好ましくは最大1、特に好ましくは最大0.5、および特に好ましくは最大0.5のデルタE値に対応するように、この許容値がコンピュータプログラム内で事前設定されているか、またはユーザによって入力されているかに関係なく、最大許容値を設定することが提案される。全ての一般的なデルタE値は、DE*ab、DE94、DE00、DIN99、DIN99、CMC、Lubbe、Lubbe補正、CIECAM02などのデルタE値として使用することができる。好ましくは、DE00を使用する。原理上は、DE00の偏差が1までの2つの異なる色相は、訓練された目でしか見ることができない非常に小さな色相偏差に対応している。0.5までのDE00値の偏差は、通常は視認できないと考えられ、0.2までのDE00値の偏差は、訓練された目でももはや視認できない。
【0044】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ステップd)において、目的の色相を最もよく生じる色処方のみが表示されることが提供される。ステップc)において、関連する情報がデータセットに含まれる色処方を有する2つ以上のデータセットが見つかった場合、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材への塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応するか、または多くとも指定された許容値で目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じ、したがって、この好ましい実施形態によれば、目的の色相から最小でずれる(すなわち、ΔE00値が最小である)色相を有する色製品を生じるそのデータセットのみが表示される。
【0045】
上述したように、色処方は原則として全ての個々の原材料の量の処方として与えることができる。ただし、このような色処方は非常に複雑であるため、全ての原材料を最初に調達する必要があるため、特にロジスティック的に複雑な製造プロセスで色全体を製造する必要がある。したがって、色処方は、1つ以上のブレンドおよび1つ以上の着色剤の混合物などの半製品の混合物として、または複数の色の混合物などの完成品の混合物として、任意選択で追加のブレンドを使用して指定することが好ましい。このため、ステップd)において、色処方の組成は、i)半製品の混合物として、好ましくは2~15個の半製品の混合物として、および特に好ましくは、2~10個の半製品の混合物として、またはii)完成品の混合物として、好ましくは2~15個の完成品の混合物として、特に好ましくは2~10個の完成品の混合物として示されることが好ましい。
【0046】
したがって、少なくとも1つのデータセットに記憶された色処方に関する情報の表示は、これらの実施形態では、量の指定と、色処方が構成される個々の半製品または完成品の指定とを含む。
【0047】
本発明に従う概念のさらなる発展では、少なくとも1つのデータセットの少なくとも1つの参照色相もまた、ステップd)で示されることが提案される。ユーザはこのデータセットを後で品質管理に使用するか、色処方を製造することを条件に保存するか、色処方を作成したサービスプロバイダに渡すことができる。
【0048】
少なくとも1つの参照色相は、参照色相を一意に特徴付ける任意の形式で指定することができる。例えば、少なくとも1つの参照色相は、実験値(または、LUV値、RGB値、LCh値、またはXYZ値などの別の色空間の値)として、180~4000nm、好ましくは180~4000nmのスペクトル曲線(特に、スペクトル反射曲線)として、または180~4000nm、好ましくは180~4000nmのスペクトル曲線(特に、スペクトル反射曲線)のデータとして示すことができる。
【0049】
本発明は、多数のデータセットを有するデータベースの使用に特に好適である。本発明による方法に使用されるデータベースは、好ましくは、10超のデータセット、より好ましくは100超のデータセット、さらにより好ましくは1,000超のデータセット、特に好ましくは10,000超のデータセット、特に好ましくは100,000超のデータセット、非常に特に好ましくは500,000超のデータセット、および最も好ましくは100万セット以上を含む。
【0050】
本発明による方法のステップc)で見つかったヒットを表示した後、ユーザは、見つかった色処方を製造するか、またはそれをサービスプロバイダに製造させることができる。特に、データベースに含まれる情報に従って、ステップc)で見つかった色処方が、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用した、ステップb)で指定された目的の基材への塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相から、所定の許容値内(例えばDE00の値が0.5である)でずれた色相を有する色製品を生じる場合、ユーザは、最初に色処方を作成する必要を伴わずに、生じた色相を受け入れて、その色を製造するか、または製造させるかを決定する前にその色調を目視で見ることができれば有利である。可能な限り少ない労力でこれを可能にするために、本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、コンピュータプログラムは、色相をシミュレートまたは計算することができる試験アルゴリズムを含み、シミュレートまたは計算された色相が、コンピュータを使用して、試験基材上で、ステップb)で指定された目的の塗布方法とは異なる試験プリンタを介して印刷すると、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用して、ステップb)で指定された目的の基材上に、ステップc)で見つかった色処方の塗布と同じ色相が製造されることが提供される。この実施形態では、コンピュータプログラムは、好ましくは、ユーザが、例えば、コンピュータプログラムによって表示されるリスト内の対応する試験プリンタおよび試験基材をクリックすることによって、または試験プリンタおよび試験基材を指定する数字および/または数字コードなどを入力することによって、試験プリンタおよび試験基材を指定できるように構成される。試験プリンタは、好ましくは、慣習的かつ世界中で市販されている紙プリンタ、枚葉オフセット印刷機、スクリーン印刷機、またはグラビア印刷機である。試験プリンタは、特に好ましくは、慣習的かつ世界中で市販されている紙プリンタであり、特に好ましくは、少なくとも4色紙プリンタであり、および特に好ましくは少なくとも7色紙プリンタである。この文脈では、少なくとも4色紙プリンタは、4色紙プリンタ、6色紙プリンタ、またはさらに多くの色を含む紙プリンタを意味し、またこの文脈での少なくとも7色紙プリンタは、7色紙プリンタ、8色紙プリンタ、9色紙プリンタ、またはさらに多くの色を含む紙プリンタを意味する。この方法で、指定された色相を非常に正確に再現することができる。一般的な4色プリンタは、典型的には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色に基づいている。本発明によれば、好適な少なくとも7色プリンタは、好ましくは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、オレンジ、バイオレット、およびグリーンの色を含む。特に、試験紙プリンタは、慣習的で世界的に市販されているインクジェットプリンタまたはレーザープリンタであり、および最も好ましくは、少なくとも7色のインクジェットプリンタである。試験基材は、好ましくは慣習的かつ世界中で市販されているインクジェット印刷またはレーザ印刷紙である。この実施形態により、ユーザは、本発明による方法のステップd)で表示された色処方が、目的の基材(ある状況下では調達するのに高価であり得)に目的の塗布方法(ある状況下では複雑であり得る)を使用して塗布される必要を伴わずに、本発明による方法のステップd)で表示された色処方が目的の塗布方法を使用して基材に塗布されたときに生じる色相を、簡単かつ安価に見て評価することができる。これは、試験アルゴリズムで計算された色の色相が、ステップd)で表示された色処方を目的の塗布方法を使用して目的の基材に塗布したときに生じる色相に対応しているためである。したがって、本発明のこの実施形態は、ユーザが、ステップd)で示された色処方がユーザのニーズに対して正しいものであるかどうかを特に容易かつ迅速にチェックすることを可能にする。色処方が正しいものであれば、ユーザはこれを、参照塗布方法を使用して参照基材上で、色処方を適用すること、および取得された色相と、目的の色相および試験色相とは異なる参照色相とマッチングさせることによって、品質管理について上で詳細に記載されているように製造された色処方を、迅速かつ簡単に施すことができる好適な製造業者から注文することができ、本発明よる方法のステップd)で示された色処方を目的の塗布方法を使用して目的の基材に塗布することが品質管理上必要でなくなる。したがって、この実施形態は、目的の塗布方法が非常に複雑で高価であり、目的の基材が複雑で調達に費用がかかる場合に特に有利である。
【0051】
多くの場合、ユーザが目指す色製品は、色が提供される基材だけでなく、例えば、色処方が指定された塗布方法を使用して指定された基材に塗布された後、トップコートまたはプライマーが塗布された対応する色製品である。トップコートまたはプライマーは、マット塗料、効果塗料、触覚塗料、香り付き塗料などのように色が中性でない場合には、少なくとも色製品の色相をわずかに変化させる。トップコートまたはプライマーの色が中性であっても、トップコートまたはプライマーは色製品の光沢に影響を与える。この方法でこれらの効果を考慮に入れるために、データセットの少なくとも10%、および好ましくは少なくとも30%などのデータセットの少なくともいくつかは、オーバーコートまたはプライマーに関する指定も含むことが好ましく、関連するデータセットに記憶されている色相は、データセットに記憶されている色処方をデータセットに記憶されている塗布方法を使用してデータセットに保存されている基材上に印刷し、次いでデータセットに保存されているオーバーコートまたはプライマーを塗布することによって取得される色製品の1つである。これにより、トップコートまたはプライマーが使用された場合でも、本発明による方法は、指定された許容値で、トップコートまたはプライマーを含む色製品に所望の色相を生じる色処方を確認できるようになる。
【0052】
上記の理由から、本発明による方法に使用されるコンピュータプログラムは、ユーザが、ステップb)でトップコートまたはプライマー、およびトップコートまたはプライマーを塗布する量を指定し、データベースがステップc)で検索されて、データベースが、ステップb)で指定されたターゲット塗布方法を使用してステップb)で指定された目的の基材に塗布し、次いでステップb)で指定されたオーバーコートまたはプライマーを指定された量塗布するときに、記憶された色処方が、指定された最大許容値で所定の色相をもたらす、少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認するように構成されていることが好ましい。
【0053】
この実施形態はまた、印刷インクにも特に好ましく、その場合、オーバーコートはオーバーコートワニスであり、塗布方法は印刷方法であり、基材は紙、厚紙、板金、またはプラスチックフィルムである。
【0054】
印刷インクに加えて、本発明による方法はまた、皮革および織物の染色プロセスに特に好適であり、その結果、塗布方法は、特に皮革染色プロセスまたは織物染色プロセスであり得、基材は、皮革または織物であり得る。
【0055】
本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全ては、ユーザが選択できる以下の特性のうちの少なくとも1つに関する情報も含む:
i)色製品の1つ以上のハーフトーン、
ii)色製品の光沢レベル、
iii)色製品の異なる視野角での異なる光沢レベル、
iv)色製品の触覚(すなわち触覚的に知覚可能な)特性、
v)色製品の耐擦傷性、
vi)色製品の引き裂き強度、
vii)色製品の引張強度、
viii)色製品の光に対する耐性、
ix)色製品の温度に対する耐性、
x)色製品のガンマ線に対する耐性、
xi)色製品の化学物質に対する耐性、
xii)色製品の低温殺菌に対する耐性、
xiii)色製品の滅菌に対する耐性、
xiv)色製品の湿気に対する耐性、
xv)色製品の層間剥離に対する耐性、
xvi)色処方に特定の成分が含まれていないこと
xvii)色製品の不透明度、
xviii)色製品の滑り特性。
【0056】
次に、色製品は、関連する情報が対応するデータセットに含まれる色処方を、関連する情報が対応するデータセットに含まれる塗布方法を使用して、関連する情報が対応するデータセットに含まれる基材に塗布することによって取得される製品である。
【0057】
本発明のさらなる実施形態によれば、塗布方法は、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てがまた、以下の特徴のうちの少なくとも1つに関する情報も含む織物染色プロセスである:
i)帯電防止仕上げ、
ii)難燃性仕上げ、
iii)撥水性、
iv)撥油性、
v)親水化、
vi)固定、
vii)仕上げ、
viii)コンディショニング、
ix)ワックスによるコーティング、
x)フッ素樹脂によるコーティング、
xi)耐光性、
xii)耐洗濯性、
xiii)摩擦に対する堅牢性。
【0058】
本発明のさらなる実施形態によれば、塗布方法は、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てはまた、以下の特性のうちの少なくとも1つに関する情報も含む皮革染色プロセスである:
i)ポリウレタンドレッシング、
ii)アニリンドレッシング、
iii)ニトロセルロースドレッシング、
iv)含浸、
v)エンボス加工、
vi)オイルドレッシング、
vii)ワックスドレッシング、
viii)コーティング(油性コーティング)、
ix)コーティング(常温コーティング)、
x)耐光性、
xi)摩擦に対する堅牢性、
xii)汚れをはじくこと、
xiii)光沢。
【0059】
これらの最後の3つの実施形態は、本発明による方法で、所望の目的の塗布方法を使用して所望の目的の基材に塗布されたときに、所望の目的の色相を有する色製品をも生じる色処方を確認するだけでなく、特に、所望の耐薬品性などの所望の追加の特性を有し、色製品などの所望の光沢につながる対応する色処方を確認することも可能にする。
【0060】
この実施形態を実装するために、本発明による方法に使用されるコンピュータプログラムは、ユーザが、印刷方法のための特性i)~xviii)、または織物および皮革のための特性i)~xiii)のうちの少なくとも1つを、ステップb)において追加で指定できるように構成されることも好ましい。
【0061】
この実施形態の利点をより大きく達成するために、本発明に従う概念のさらなる発展では、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、非常に特に好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは全てはまた、特性i)~xviii)の少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、特に好ましくは少なくとも10個、非常に特に好ましくは少なくとも15個、および最も好ましくは全てに関する情報も含み、好ましくはステップb)においてユーザがこれを指定できることが提案される。
【0062】
本発明に従う概念のさらなる発展では、データベースに含まれるデータセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、3つの異なる角度、好ましくは20°、60°、85°で、ただし色製品の表面に対して少なくとも60°で、特定の光沢値を含み、ユーザは、色製品の3つの異なる角度で達成される目的の光沢値をステップb)で指定することが提案される。この実施形態では、光沢値は、少なくとも光沢、セミマット、およびマットの間で等級付けされることが特に好ましい。例えば、マット塗料は、0~24の光沢値を有し、セミマット塗料は、25~50の光沢値に対応し、光沢塗料は、51を上回る光沢値に対応することができる。
【0063】
光沢値は、DIN67530/ISO 2813に従って測定され、塗料は、例えば6-μmのドクターブレードで塗布される。
【0064】
本発明のさらに非常に特に好ましい実施形態によれば、データベースに含まれるデータセットの、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、少なくとも1つのハーフトーンに関する情報を含み、この情報は、関連する情報が対応するデータセットに記憶されている色処方が目的の塗布方法を使用してハーフトーンとして目的の基材に塗布されたときに取得される、色製品が有する色相に関する少なくとも情報を含む。これにより、所望の色相がフルトーンおよび個々のグラデーション/ハーフトーンでどのように表示されるか、またはそれに応じてどのスペクトル曲線が生じるかについて記述を作成することができる。これは、ハーフトーンで、複数の異なる顔料の組み合わせから混合された視覚的およびスペクトル的に同一の色相を区別できるようにするために好ましい。フルトーンは視覚的にもスペクトル的にも同じように表示され得るが、異なる顔料の組み合わせが存在する場合、ハーフトーンで異なる色相/色位置が取得される。
【0065】
この実施形態では、対応するデータセットが、少なくとも2つのハーフトーン、好ましくは少なくとも4つのハーフトーン、特に好ましくは少なくとも6つのハーフトーンに関する対応する情報を含むことが特に好ましく、ここで、少なくとも2つのハーフトーンの各々に関する情報は、少なくとも、関連する色製品が有する、関連する色相に関する情報は、関連する情報が対応するデータセットに記憶されている色処方が、目的の塗布方法を使用して目的の基材に関連するハーフトーンとして塗布されたときに取得される関連する色相に関する少なくとも情報を含む。関連する情報が関連するデータセットに含まれるハーフトーンは、好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも50%、非常に特に好ましくは少なくとも75%、および最も好ましくは全体のハーフトーン範囲をカバーする。
【0066】
この実施形態を実装するために、本発明による方法で使用されるコンピュータプログラムはまた、ユーザがフルトーンおよび少なくとも1つのハーフトーンの両方の値をステップb)で指定(測定、読み込み)できるように構成されることも好ましい。
【0067】
特に、本発明による方法に使用されるデータベースが任意の他の印刷方法の特性i)~xviii)または織物および皮革の特性i)~xiii)とともに、塗布方法、基材、および色相の全ての可能な組み合わせのためのデータセットをまだ含まない、データベースの構築の開始時において、ステップb)で入力された目的の塗布方法、目的の基材、および目的の色相の特別な組み合わせに対して、方法ステップc)で好適なデータセットが見つからないことは避けられない。この場合に、ユーザの所望のプロジェクトを実行できる色処方をユーザに提供するためにも、本発明に従う概念のさらなる発展では、コンピュータプログラムが、最大許容値による、本発明に従う方法のステップb)で指定された目的の基材上での、本発明のステップb)で指定された目的の塗布方法を使用した塗布の後に、目的の色製品の指定された色相を生じる色処方を計算することを可能にする処方アルゴリズムを含むことが提案される。
【0068】
コンピュータプログラムは、好ましくは、ステップc)で好適なデータセットが見つからなかった場合に色処方を計算する処方アルゴリズムが実行されるように構成される。
【0069】
さらに、色処方を計算する処方アルゴリズムが実行される前に、色処方に対する適切な成分が、ユーザの指定に基づいて、コンピュータプログラムから処方アルゴリズムに送信され、そこから処方アルゴリズムのみが色処方を計算することが好ましい。色処方の成分とは、それらの特性および色特性とともにデータベースに記憶される原材料、半製品、および/または完成品を意味すると理解される。この実施形態は、ユーザが所望の色相を受け取るだけでなく、特に、印刷方法の特性i)~xviii)または織物および皮革の特性i)~xiii)の1つ以上などの、さらに指定された特性も満たす色処方を計算することを可能にする。例えば、ユーザが、例えば、酸に対して達成されるべき特定の耐薬品性をステップb)で指定する場合、コンピュータプログラムは、それらの成分、すなわち、原材料、半製品、および/または完成品をこの耐薬品性を有する処方アルゴリズムに転送するだけである。
【0070】
本発明の上記の実施形態では、コンピュータプログラムから処方アルゴリズムに転送される色処方の成分が、特に、ユーザによって指定された印刷方法の基準i)~xviii)または織物および皮革の基準i)~xiii)の少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも5個、特に好ましくは少なくとも10個、非常に特に好ましくは少なくとも15個、および最も好ましくは全てを満たすことが好ましい。
【0071】
本発明のさらに非常に特に好ましい実施形態によれば、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、非常に特に好ましくは少なくとも80%、および最も好ましくは全てはまた、例えば、ステップd)で示された色処方の第1の製造バッチの一部を白色コート紙にスプレッドコーティングし、スペクトル曲線、特に好ましくは180~4000nmの、好ましくは白色コート紙の表面の400~700nmのスペクトル反射曲線を分光光度計で記録することによって取得された第1の製造色製品の表面のスペクトル曲線に関する情報も含む。スプレッドコーティングに加えて、第1の製造バッチはまた、例えば、実験室校正またはドクターブレードストロークなどの他の任意の塗布方法を使用して、基材、好ましくは紙に塗布することができる。この実施形態は、製造されるさらなる各製造バッチの品質管理を容易にする。各々のさらなる製造バッチに対して、次いで色処方のさらなる生産バッチの一部を同じコート紙にスプレッドコーティングして品質管理を行い、最初の製造バッチと同じ条件で、この方法で取得された色製品の表面からスペクトル曲線を記録することができる。この方法で取得されたスペクトル曲線は、データセットに記憶されているスペクトル曲線と比較するだけでよい。この比較から取得された偏差が指定された許容値範囲内にある場合、バッチを販売することができる。それ以外の場合は、スペクトル曲線を使用して製造された参照色製品の許容値範囲内の色相が取得されるまで、1つ以上の成分を追加してバッチを修正する必要がある。
【0072】
本発明に従う概念のさらなる発展では、この実施形態において、データセット少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも60%、非常に特に好ましくは少なくとも80%が提案される。および最も好ましくは全ては、例えば、ステップd)で示された色処方の第2の製造バッチの一部を白色コート紙にスプレッドコーティングし、180~4,000nm、好ましくは白色コート紙の表面の400~700nmのスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって取得された第2の製造色製品の表面のスペクトル曲線も含む。スプレッドコーティングに加えて、第2の製造バッチはまた、例えば、実験室校正またはドクターブレードストロークなどの他の任意の塗布方法を使用して、基材、好ましくは紙に塗布することができる。
【0073】
さらに、本発明のこの実施形態では、データセットが、第2の製造色製品のスペクトル曲線に加えて、第1の製造バッチの予備サンプルで製造された色製品のスペクトル曲線を含むことが好ましく、この第1の製造バッチは、ステップd)で示された色処方の第1の製造バッチの予備サンプルの一部を白色コート紙上へスプレッドコーティングすることによって、およびステップd)で示されたスプレッドコーティングおよび色処方の第2の製造バッチの一部のスペクトル曲線の記録と同時に、白色コート紙上への表面の180~4,000nm、好ましくは400~700nmのスペクトル曲線を分光光度計で記録することによって取得されたものである。両方のサンプルを同じ白色コート紙上へ同時にスプレッドコーティングして比較することにより、品質管理の精度をさらに高めることができる。
【0074】
本発明の別の目的は、指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後に、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するためのデータベースであり、データベースに複数のデータセットが記憶されており、データセットの各々が、少なくとも、色処方に関する情報、基材に関する情報、塗布方法に関する情報、および塗布方法を使用した基材上での色処方の塗布の後に生じる色製品の色相に関する情報を含み、本発明によれば、データセットのうちの少なくとも1つはまた、少なくとも1つの参照色相に関する情報、1つの参照塗布方法に関する情報、および1つの参照基材に関する情報も含み、参照色相は、関連する情報がデータセットに記憶されている色処方が参照塗布方法を使用してデータセット内で指定された参照基材に塗布されるときに取得され、参照塗布方法は、関連する情報がデータセットに含まれる塗布方法とは異なり、および/または記参照基材は、関連する情報がデータセットに含まれる基板とは異なる。
【0075】
データベースは、好ましくは、10超のデータセット、より好ましくは100超のデータセット、さらにより好ましくは1,000超のデータセット、特に好ましくは10,000超のデータセット、特に好ましくは100,000超のデータセット、非常に特に好ましくは500,000超のデータセット、および最も好ましくは100万データセット以上を含む。
【0076】
本発明に従う概念のさらなる発展では、データセットの少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは全ては、少なくとも1つの参照色相に関する情報を含む。
【0077】
本発明の別の目的は、に指定された塗布方法を使用した指定された基材上での塗布の後、特に上記の方法を実行するために、指定された色相を有する色製品を生じる色処方を確認するためのシステムであり、システムは、
a)前述のデータベースと、
b)コンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがユーザに、目的の塗布方法、目的の基材、および指定された目的の塗布方法を使用した指定された目的の基材上での色処方の塗布の後に生じる取得された色製品の所望の目的の色相を、コンピュータプログラム内に入力することを可能にするような方法でプログラムされている、コンピュータプログラムと、を備え、
c)コンピュータプログラムはまた、データベースが、ステップb)で指定された目的の塗布方法を使用したステップb)で指定された目的の基材上での塗布の後に、ステップb)で指定された目的の色相に対応する色相、または多くとも指定された許容値だけ目的の色相からずれる色相を有する色製品を生じる、関連する情報がデータセットに含まれる色処方を有する少なくとも1つのデータセットを含むかどうかを確認するために、コンピュータプログラムが前記データベースを検索できるようにもプログラムされており、
d)コンピュータプログラムはまた、ステップc)で少なくとも1つの好適なデータセットが見つかった場合、コンピュータプログラムが少なくとも1つのデータセットに記憶されている色処方に関する情報をユーザに表示する方法でもプログラムされている。