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特許7439085重なり合う細長い鋼構造体およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】重なり合う細長い鋼構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20240219BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20240219BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B62D25/04 B
B21D22/26 D
B21D22/20 G
B21D22/20 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021528934
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019081452
(87)【国際公開番号】W WO2020104310
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】1851446-3
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501426943
【氏名又は名称】イェスタムプ・ハードテック・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ボーディン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・ヨハンソン
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-251659(JP,A)
【文献】特表2010-501353(JP,A)
【文献】特開2009-292367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
B21D 22/00-26/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の細長い鋼構造体(10)であって、
- 第1の鋼板(11)と
- 第2の鋼板(12)を含み、
前記第1および第2の鋼板は、前記細長い鋼構造体(10)のそれぞれ反対側の端部を構成し、前記第1および第2の鋼板は、前記細長い鋼構造体の中間部分で互いに重なり合っているが、前記細長い鋼構造体(10)の前記反対側の端部では重なっておらず、第1および第2の鋼板(11,12)が、中央部分(17)、2つのウェブ(18)および2つのフランジ(19)を含む重なり合う帽子形状を有し、
第1および第2の鋼板の少なくとも1つが、前記フランジ(19)に沿って重なり合いが中断されるように、前記フランジ(19)に沿って複数の切り欠き(13)を含み、
第1および第2の鋼板(11,12)のうちの一方のみが、フランジ(19)に沿って複数の切り欠き(13)を含み、
第1の鋼板(11)が、細長い鋼構造体(10)の上部を形成し、第2の鋼板(12)が、細長い鋼構造体(10)の下部を形成し、第1および第2の鋼板(11,12)が、中央部分(17)の全長の大部分で互いに重なり合っており、
細長い鋼構造体(10)の帽子形状の2つのフランジ(19)が途切れておらず、第1の鋼板(11)がフランジ(19)の上部を提供し、第2の鋼板(12)がフランジ(19)の下部を提供し、第1および第2の鋼板の部分的に重なる部分がフランジ(19)の中間部を提供し、フランジ(19)の前記部分的に重なる部分が複数の切り欠き(13)を含むことを特徴とする、上記鋼構造体。
【請求項2】
前記複数の切り欠き(13)間のフランジ(19)の部分的に重なる部分(14)に溶接部(15)が設けられており、前記溶接部(15)は、第1および第2の鋼板(11,12)のフランジ(19)を互いに取り付けるために設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の細長い鋼構造体。
【請求項3】
第1および第2の鋼板(11,12)の中央部分を互いに取り付けるために、中央部分(17)の部分的に重なる部分に溶接部(15)が設けられている、請求項1または2に記載の細長い鋼構造体。
【請求項4】
第1および第2の鋼板(11,12)の両方が、反対側の鋼板(11,12)の中央部分(17)の上に延びるように配置された舌部(20,21)を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の細長い鋼構造体。
【請求項5】
第1および第2の鋼板(11,12)が異なる機械的特性を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の細長い鋼構造体。
【請求項6】
第1および第2の鋼板(11,12)が異なる厚さを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の細長い鋼構造体。
【請求項7】
請求項1~いずれか1項に記載の細長い鋼構造体(10)を備えることを特徴とする、ホワイトボデーの車体。
【請求項8】
2つの鋼板(11,12)から車両用の細長い鋼構造体(10)を成形する方法であって、少なくとも1つの成形工程(D)において、重なり合う鋼板を用いて細長い鋼構造体を製造することを特徴とし、各鋼板の別個の部分およびその間の鋼板の重なり合う部分が、中央部分(17)、2つのウェブ(18)および2つのフランジ(19)を含む帽子形状に成形され、鋼板ブランクの重なり部分は2枚のシートであり、前記重なり部分において、第1および第2の鋼板(11,12)のうちの少なくとも1つは、前記フランジ(19)に沿って複数の切り欠き(13)を含み、前記複数の切り欠き(13)において前記フランジ(19)に沿って重なりが中断されるようになっていて、第1および第2の鋼板(11,12)のうちの一方のみが、フランジ(19)に沿って複数の切り欠き(13)を含み、第1の鋼板(11)が、細長い鋼構造体(10)の上部を形成し、第2の鋼板(12)が、細長い鋼構造体(10)の下部を形成し、第1および第2の鋼板(11,12)が、中央部分(17)の全長の大部分で互いに重なり合っており細長い鋼構造体(10)の帽子形状の2つのフランジ(19)が途切れておらず、第1の鋼板(11)がフランジ(19)の上部を提供し、第2の鋼板(12)がフランジ(19)の下部を提供し、第1および第2の鋼板の部分的に重なる部分がフランジ(19)の中間部を提供し、フランジ(19)の前記部分的に重なる部分が複数の切り欠き(13)を含む、上記方法。
【請求項9】
前記鋼板の成形は、前記鋼板の加熱(C)後に加熱成形されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成形の前に前記鋼板ブランクを互いに溶接(B)することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記鋼板ブランクは、前記複数の欠き(13)の間のフランジにおいて互いに溶接されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
鋼板ブランクが、中央部分(17)において互いに溶接されることを特徴とする。請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
第1および第2の鋼板(11,12)の少なくとも一方が、反対側の鋼板(11,12)の中央部分(17)の上に延びるように配置された舌部(20,21)を含み、鋼板(11,12)の重なりあいがフランジ(19)の上よりも中央部分(17)の上で長くなり、鋼板ブランクが前記舌部(20,21)の縁に沿って互いに溶接されていることを特徴とする、請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの重なり合う部品から作られた細長い鋼構造体に関するものである。また、本発明は、そのような細長い鋼構造体を含む車両およびそのような細長い鋼構造体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界では、ほとんどの部品、特にホワイトボディの(塗装前の)構成部品にとって、重量と構造的強度が重要な要素となっている。さらに、これらの特徴は互いに相反する傾向があるため、重量と構造的強度の間で妥協する必要がある場合が多い。
【0003】
重量と構造的強度の間でバランスをとるには、機械的な力に特にさらされる部分に材料のパッチをあてる方法がある。このようなパッチは、例えば、金属板や繊維強化プラスチックで作られており、パッチは、溶接や熱プレスなどによって地金板に取り付けられている。このようなパッチは、小面積の部分に特に有効である。
【0004】
さらに、異なる特性を有する2つの要素を1つに結合することにより、異なる部分で異なる特性を有する製品を得ることができる。
【0005】
特許文献1は、重なり合う部分を持つ2つの鋼板で構成された金属シートを、熱成形して強化する方法を示している。この方法は、オーダーメイドの機械的特性を有する鉄鋼製品を得るための有用な方法である。
【0006】
しかし、自動車のホワイトボディの細部については、その重量を過度に増加させることなく、良好な構造的強度を達成する別の方法を見つけることが有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP 2 056 979 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、車両用の細長い鋼構造体(an elongate steel structure)を提供することであり、この細長い鋼構造体は、良好な構造的強度/重量比を有し、高い構造的強度が必要とされる部分、特に細長い鋼構造体の中間部において高い構造的強度を有する。
【0009】
第1の側面によれば、本発明は、以下を含む車両用の細長い鋼構造体に関する。
【0010】
- 第1の鋼板(steel sheet element)と
- 第2の鋼板であって、前記第1および第2の鋼板は、細長い鋼構造体のそれぞれ対向する端部を構成し、前記第1および第2の鋼板は、前記細長い鋼構造体の中間部分では互いに重なり合っているが、前記細長い鋼構造体の前記対向する端部においては重なっておらず、前記第1および第2の鋼板は、中央部分、2つのウェブ、および2つのフランジを含む重なり合った帽子形状(hat profile)を有し、また、第1および第2の鋼板の少なくとも1つが、重なりが前記フランジに沿って遮られるように、前記フランジに沿った切り欠き(cut-outs)を有し、また、第1および第2の鋼板の少なくとも1つが、鋼板の重なりがフランジ上よりも中央部分上で長くなるように、反対側の鋼板の中央部分上に延びるように配置された舌部を有する。
【0011】
本発明は、長さ方向にわたって異なる特性を持ち、必要なところでは補助的な強度を持ち、2つの鋼製構造体の間に溶接できる構造を持つ車両用の細長い鋼製構造体を提供する。
【0012】
フランジに沿った重なりあいの中断は、それがフランジの延長が中断することを意味しない。一方の鋼板のみが特定の位置に切り欠きを有し、他方の鋼板のフランジが当該位置に切り欠きを持たず、フランジの延長が中断されないようになっている。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、第1および第2の鋼板のうちの一方のみが、フランジに沿った切り欠きを有する。第1および第2の鋼板の他方は、好ましくは、切り欠きのない中断されていないフランジを有する。
【0014】
本発明の具体的な実施形態では、第1の鋼板が細長い鋼構造体の上部を形成し、第2の鋼板が細長い鋼構造体の下部を形成し、第1および第2の鋼板が、中央部分の全長の大部分で互いに重なり合っていることを特徴とする。
【0015】
細長い鋼構造体の帽子形状の2つのフランジは途切れておらず、第1の鋼板がフランジの上部を提供し、第2の鋼板がフランジの下部を提供し、第1および第2の鋼板の部分的に重なった部分がフランジの中間部を提供し、フランジの前記部分的に重なった部分が切り欠きを含むようになっていてもよい。
【0016】
本発明の具体的な実施形態では、前記切り欠きの間のフランジの部分的に重なる部分に溶接部が設けられており、前記溶接部は、第1および第2の鋼板のフランジを互いに取り付けるために設けられている。
【0017】
また、第1および第2の鋼板の中央部分を互いに取り付けるために、中央部分の部分的に重なる部分に溶接部が設けられていてもよい。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、第1および第2の鋼板の両方が、対向する鋼板の中央部分上に延びるように配置された舌部を含んでもよい。これにより、プレート間の非常に良好な取り付けと、帽子形状の中央部分の良好な剛性とが得られる。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、第1および第2の鋼板は、異なる機械的特性を有する。具体的には、第1および第2の鋼板は、異なる機械的厚さを有していてもよい。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は、先行する請求項のいずれかに記載の細長い鋼構造体を備える車両に関する。
【0021】
第3の態様によれば、本発明は、2つの鋼板ブランク(sheet steel blank)からの車両用の細長い鋼構造体を熱間成形する方法であって、この方法は、重なり合う鋼板ブランク(未加工の鋼板)を用いて少なくとも1つの成形工程で車両部品を製造する工程であり、
各鋼板ブランクの別個の部分と、その間の鋼板ブランクの重なり合う部分とが中央部分を含む帽子形状(hat profile)に成形される工程であり、前記鋼板ブランクの前記重なり部分が2枚のシート状であり、前記重なり部分において、第1および第2の鋼板の少なくとも一方が、前記フランジに沿った切り欠きを含み、前記切り欠きにおいて前記重なりが前記フランジに沿って中断されることを特徴とする。
【0022】
本方法の具体的な実施形態では、前記鋼板ブランクの成形は、前記鋼板ブランクの加熱後に熱成形される。
【0023】
本方法の具体的な実施形態では、成形の前に、鋼板ブランクを互いに溶接する。
【0024】
具体的には、鋼板ブランクは、切欠きの間のフランジにおいて互いに溶接されてもよい。
【0025】
また、鋼板ブランクは、中央部で互いに溶接されてもよい。
【0026】
本発明の細長い鋼構造体の利点は、前記細長い鋼構造体の中央部の構造的強度が向上することである
他の実施形態および利点は、詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】車両のパネルとカバープレートとの間に配置されるBピラーの分解斜視図である。
図2】Bピラーが上下に重なる部分に分離された状態を示す分解図である。
図3】重ね合わせた部品を細長い鋼板に組み立てる様子を示す図である。
図4】細長い鋼板を加熱して細長い鋼構造体に成形する方法を示す図である。
図5】車両のパネルとカバープレートの間に細長い鋼構造体を組み立てる様子を示す図である。
図6】パネルとカバープレートとの間の細長い鋼構造体の中間部の詳細図である。
図7図6のVII-VII線に沿って取った断面図である。
図8図6のVIII-VIII線に沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、車両のパネルまたは車体1とカバープレート2との間に配置された細長い鋼構造体10の分解図である。図示の実施形態では、細長い鋼構造体10は、Bピラー、すなわち、車両のフロントドアとバックドアとの間のビームを形成するホワイトボディの部分である。しかし、本発明は、車両の任意のタイプの細長い鋼構造体に適応できることはもちろんである。細長い鋼構造体10は、車両の上方に向けて配置された上端部と、車両の下方に向けて配置された下端部とを有する。
【0030】
本発明は、2つの重なり合う部分から形成される細長い鋼構造体10に関する。図2では、細長い鋼構造体10は、細長い鋼構造体10の上端に延びるように設けられた上側鋼シート要素11と、重なり合う中間部を有する細長い鋼構造体10の下端に延びるように設けられた下側鋼シート要素12が図示されている。上側鋼製シート要素11は、細長い鋼製構造物10の下端まで延びておらず、下側鋼製シート要素12は、細長い鋼製構造物10の上端まで延びていない。しかし、図2の分割された細長い鋼構造体10の図は説明のためだけのものである。すなわち、後述するように、鋼板の重なり合った部分は、細長いスチール構造体10に形成される前に、好ましくは互いに取り付けられる。
【0031】
図3は、車両の細長い鋼構造体10に形成される前の、ブランクの形をした第1および第2の鋼板11および12を示す。
【0032】
第1および第2の鋼板11および12は、細長いスチール構造10の対向する端部を構成する。第1および第2の鋼板は、前記細長いスチール構造の中間部で互いに重なり合うように構成されている。組み立てられた製品(例えば図4参照)では、第1および第2の鋼板は、好ましくは溶接によって互いに取り付けられており、重なりあう帽子形状を有する。細長い鋼構造体10は、重なり合う中間部に断面帽子形状を有する細長い形状を有する。
【0033】
第1の工程(A)では、第1の鋼板11および第2の鋼板12が用意され、第1および第2の鋼板の少なくとも1つは、第1および第2の鋼板の重なりあいが前記フランジに沿って中断されるように、前記フランジに沿った切り欠きを含む。第1の鋼板11は、細長いスチール構造体10の上部を形成するために設けられ、第2の鋼板12は、同じ細長いスチール構造体10の下部を形成するために設けられる。
【0034】
第2の工程(B)では、第1の鋼板11および第2の鋼板12の重なり合う部分が、好ましくは溶接によって互いに取り付けられる。溶接部15は、前記切り欠き部13の間のフランジの部分的に重なる部分14に設けられており、前記溶接部は、第1の鋼板と第2の鋼板のフランジを互いに取り付けるために設けられている。同様に、溶接部15は、第1および第2の鋼板エレメントの中央部分を互いに取り付けるために、中央部分の部分的に重なる部分に設けられることが好ましい。
【0035】
細長い鋼構造体10の成形は、図4に示されている。
【0036】
溶接後、第1の鋼板11および第2の鋼板12で構成される細長いシート構造は、例えば、断面帽子形状を有する細長い構造に形成される。典型的には、成形は打ち抜きによって行われ、好ましくは、細長いシート構造は打ち抜きの前に加熱され、成形は熱プレスによって行われる。図4では、加熱工程(C)、熱プレス(ホットスタンプ)による成形工程(D)、および組み立てられた製品(E)が示されている。
【0037】
成形工程(D)に続いて、細長いシート構造(E)は組み立てとなる。細長いシート構造の各フランジは、第1および第2の鋼板が相互に断続的に重なり合う中間部分からなる。フランジの重なり部分は、少なくとも部分的に互いに取り付けられる。
【0038】
図5には続く工程が示されており、フランジの重なりがない部分、すなわち切り取り部では、フランジが車両のパネル2と車体1の両方に取り付けられ、例えば溶接され、その場合、取り付け/溶接部には3つの層しかない。
【0039】
図6には、車体1とカバープレート2の間に配置された細長い鋼構造体の中間部が示されている。
【0040】
図7および図8は、それぞれ、図6の線VII-VIIおよび線VIII-VIIIに沿って取った断面図である。
【0041】
図8に示されるように、帽子形状は、中央部分17、2つのウェブ18、および2つのフランジ19を含む。中央部分17は、細長い実質的に平坦な部分である。ウェブ18は、共通の長手方向に中央部分17と並んで配置されており、中央部分の両側に1つずつのウェブが配置されている。断面図に見られるように、ウェブ18は、中央部分17に対して、典型的には45度から90度の間の角度で配置されている。フランジ19は、ウェブ18と並んで配置されており、各ウェブ18の両側に1つずつのフランジが配置されている。フランジ19は、フランジ19によって形成される平面が中央部分によって形成される平面と平行になるように、典型的には45度から90度の間で、ウェブ18に対して角度をつけて配置されており、前記平面は、中央部分17およびフランジ19の平面に対して直交する方向へのウェブ18の延長によって分離されている。
【0042】
好ましくは、第1および第2の鋼板11,12は、中央部分17に沿って、および2つのフランジ19に沿って、溶接部15、典型的にはスポット溶接部によって互いに取り付けられる。また、ウェブ18に沿って溶接部を設けてもよい。しかし、好ましくは中央部とウェブとの間、またはウェブとそれぞれのフランジとの間の過渡的な曲がり部分に沿って溶接部は設けられない。これは溶接部が鋼板の機械的特性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。多くの場合、溶接部およびその周辺では鋼が脆くなる。
【0043】
第1および第2の鋼板の少なくとも一方は、フランジに沿って重なりあいが中断されるようにフランジに沿って切り欠き13を含む。これらの切り欠きはBピラーを車両のパネルと車体の両方に溶接できるように配置されている。すなわち、溶接の際には、3つ以上の層を含まないことが好ましい。したがって、これらの構成要素を取り付ける際に4つの層を避けるために、第1および第2の鋼板の一方はフランジ19に沿って切り欠き13を有し、溶接部16(典型的にはスポット溶接)を切り欠き内に設けることができ、それによって第1および第2の鋼板の一方を車両のパネルおよび車体の内側の両方に取り付けることができる。図8に示すように、第1の鋼板11は切り欠きを有し、第2の鋼板12のフランジは切り欠き部でボディワーク1およびカバープレート2に溶接され、カバープレート2は前記切り欠き13で第2の鋼板12に接するように形成される。
【0044】
図示の実施形態では、第1および第2の鋼板のうち一方のみが、フランジ19に沿って切り欠き13を含んでおり、すなわち第1の鋼板11である。図示されていない別の実施形態では、第1および第2の鋼板の両方に、両方のフランジに沿って断続的に切り欠きが設けられているか、あるいは代わりに、第1の鋼板の第1の側のフランジに切り欠きが設けられ、第2の鋼板の反対側のフランジに切り欠きが設けられてもよい。
【0045】
図示の実施形態では、第1の鋼板11がBピラーの上部を形成し、第2の鋼板12がBピラーの下部を形成しており、第1および第2の鋼板は、中央部分の全長の大部分で互いに重なり合っているが、Bピラーの上部および下部には及んでいない。図3に示されているように、第1の鋼板は、第2の鋼板の中央部分の一部と重なる第1の舌部20を有し、第2の鋼板は、第1の鋼板の中央部分の一部と重なる第2の舌部21を含む。図示の実施形態では第1の舌部20を第2の鋼板12要素の中央部分に取り付けるために溶接部15が設けられており、第2の舌部21を第1の鋼板11の中央部分に取り付けるために溶接部15が設けられており、好ましくはスポット溶接が行われる。
【0046】
図示の実施形態では、2つのブランクによって形成されたBピラーの帽子形状の2つのフランジ19は中断されておらず、第1の鋼板がフランジの上部を提供し、第2の鋼板がフランジの下部を提供し、第1および第2の鋼板の部分的に重なる部分がフランジの中間部を提供し、フランジの前記部分的に重なる部分は、第1および第2の鋼板の少なくとも1つに設けられた切り欠きを含む。Bピラーの帽子形状の中断されていないフランジはBピラーの強度に寄与する。
【0047】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照しながら説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。以下の請求項の範囲内で他の実施形態が可能であることは、当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8