(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】力測定アセンブリ、このような力測定アセンブリを備えた力測定装置およびこのような力測定アセンブリを用いた方法
(51)【国際特許分類】
G01L 25/00 20060101AFI20240219BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G01L25/00 A
G01L5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021532363
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2019083931
(87)【国際公開番号】W WO2020120300
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102018221337.2
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,ミヒャエル
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第95/009353(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/110778(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0343148(US,A1)
【文献】特表2018-519936(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114447(WO,A1)
【文献】米国特許第06254569(US,B1)
【文献】中国実用新案第204269271(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0011083(US,A1)
【文献】国際公開第2008/128929(WO,A1)
【文献】特開2005-308751(JP,A)
【文献】特表2005-521869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-1/26,5/00-5/28,25/00
A61B 5/00
A61M 3/00-9/00,31/00,39/00-39/28
G01M 3/00-3/40
G01N 3/00-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体に試験パラメータを加え、および/または前記試験体からもたらされる抗力を測定するための力測定アセンブリ(3)であって、少なくとも1つの力受止め要素(25)と、第1取付け装置と、力伝達要素(27)とを備え、前記力受止め要素(25)が、前記第1取付け装置によって力測定機器に移動可能に取付け可能であり、前記力受止め要素(25)が、2つの力受止め領域、すなわち第1力受止め領域と第2力受止め領域(51)との間で作用する相対力を測定するように構成され
力受止め要素(25)に力伝達技術的に結合可能であり、前記第2力受止め領域(51)が、前記力伝達要素(27)に、第2取付け装置を介して力伝達技術的に結合可能であり、前記力伝達要素(27)が、試験体に試験パラメータを加えるために構成されている、力測定アセンブリ(3)において、
前記第2取付け装置が、磁石(37)を有しており、該磁石(37)が、前記力伝達要素(27)を、少なくとも前記第2力受止め領域(51)に力伝達技術的に結合された状態に保持するように構成されて
おり、
前記第1取付け装置が、位置決めピン(49)を有しており、該位置決めピン(49)は、貫通案内部内に導入可能であり、かつ導入された状態で位置固定要素である溝付きナット(21)によって、前記力受止め要素(25)が前記位置決め円筒体(49)の位置決め軸線の方向で前記位置固定要素により固定されているように、前記貫通案内部内に位置固定可能であることを特徴とする、力測定アセンブリ(3)。
【請求項2】
前記第2取付け装置が、別個に形成された第2アダプタ部材(29)として形成されている、請求項1に記載の力測定アセンブリ。
【請求項3】
前記力伝達要素(27)が、前記磁石(37)により、前記力測定アセンブリ(3)の支持面に向かって押圧されている、請求項1または請求項2に記載の力測定アセンブリ。
【請求項4】
前記試験体が、栓体要素を備えた医薬用の中空体として形成されており、前記力伝達要素(27)が、前記医薬用の中空体の内容積内に少なくとも部分的に進入し、前記内容積内で前記栓体要素
に負荷方向(B)で荷重を加えるように構成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の力測定アセンブリ。
【請求項5】
前記力伝達要素が、前記栓体要素の長手方向延在長さと一緒に、前記内容積の長手方向延在長さに適合させられている長手方向延在長さまたは前記内容積の前記長手方向延在長さよりも大きな長手方向延在長さを有している
、請求項
4に記載の力測定アセンブリ。
【請求項6】
前記力伝達要素(27)が、少なくとも部分的に磁化可能に形成されており、および/またはプラズマ窒化処理された特殊鋼を有しており、前記力受止め要素(25)または前記第2アダプタ部材(29)が、前記磁石を有している、および/または前記力伝達要素が、前記磁石を有しており、前記力受止め要素または前記第2アダプタ部材が、少なくとも部分的に磁化可能に形成されており、および/またはプラズマ窒化処理された特殊鋼を有している、請求項
2に記載の力測定アセンブリ。
【請求項7】
前記第1取付け装置が、別個に形成された第1アダプタ部材(15)として形成されており、該第1アダプタ部材(15)の第1当接面が、前記力測定アセンブリ(3)における規定通りの組込み位置において、前記第1力受止め領域で前記力受止め要素(25)に当接している、請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の力測定アセンブリ。
【請求項8】
前記力受止め要素(25)が、調整手段を有しており、該調整手段によって、前記力受止め要素(25)の、負荷された状態において前記相対力の配向と一致する力受止め軸線が調整可能である、請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の力測定アセンブリ。
【請求項9】
前記力測定アセンブリ(3)の全長が、前記力測定機器内に収容するために設けられた医薬用の中空体の係合高さおよび/または長さに適合可能であるように、前記力受止め要素(25)と前記力伝達要素(27)との間に、少なくとも1つのシムが配置可能である、請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の力測定アセンブリ。
【請求項10】
力測定装置(1)であって、請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの力測定アセンブリ(3)と、力測定機器
である力測定タワーと、少なくとも1つの試験体収容部とを有しており、前記力測定アセンブリ(3)が、少なくとも1つの力受止め要素(25)を有しており、前記少なくとも1つの力受止め要素(25)が、少なくとも1つの第1取付け装置によって、前記力測定機器に取り付けられており、前記少なくとも1つの試験体収容部(9)が、試験体を収容するためにそれぞれ構成されており、前記力測定装置(1)が、前記力測定アセンブリ(3)の力伝達要素(27)によって、それぞれの前記試験体に試験パラメータを加え、および/または前記試験パラメータとは反対に作用する力を前記力受止め要素(25)により測定するように構成されていることを特徴とする、力測定装置(1)。
【請求項11】
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の力測定アセンブリ(3)または請求項
10に記載の力測定装置を用いて力を測定する方法であって、
-力受止め要素(25)に第1力受止め領域および/または第2力受止め領域(51)を介して試験パラメータを導入する工程と、
-試験体に前記試験パラメータを加える工程と、
-前記試験体の抗力を求める工程と
を含む、方法。
【請求項12】
力伝達要素(27)を、前記試験体の内容積内に少なくとも部分的に進入させ
、前記試験体の栓体要素に荷重を加える、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記抗力を求めるために、前記第2力受止め領域(51)に作用する重力を制御技術的に考慮する、請求項
11または請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に試験体に試験パラメータを加え、および/または試験体からもたらされる抗力を測定するための力測定アセンブリと、このような力測定アセンブリを備えた力測定装置と、このような力測定アセンブリを用いた方法とに関する。
【0002】
力測定アセンブリおよびこのような力測定アセンブリを用いた方法は、既に知られている。このような力測定アセンブリは、移動可能に支承された力受止め要素、特にロードセルを含んでおり、これにより、この力受止め要素の2つの力受止め領域間で作用する力が求められる。力受止め要素には、第1力受止め領域を介して負荷方向で力が加えられる。これによって、通常は、試験体の方向への力受止め要素の運動が引き起こされる。試験体との相互作用のために、力受止め要素は、第2力受止め領域を介して力伝達要素に結合されており、これにより、特に力伝達要素と試験体との直接的な接触による試験体との相互作用時に、試験体を起点とする抗力が生じる。この抗力は、第2力受止め領域を介して力受止め要素内に導入され、第1力受止め領域を介して導入された力に抗して作用する。力受止め要素は、両方の力受止め領域間で作用する相対力を測定するように構成されている。したがって、第1力受止め領域を介して作用する力を知り、力受止め要素に作用する相対力を測定することによって、試験体から生じる抗力を測定することができる。
【0003】
第2力受止め領域と試験体との間の結合要素、特に第2力受止め領域に力伝達要素を取り付けるために役立つアダプタ要素は、少なくとも生じた相対力に対して剛性に形成されているので、このアダプタ要素は、荷重が加えられても弾性にも塑性にも著しく曲げられない。
【0004】
典型的には、力伝達要素は、ピンを用いてこのようなアダプタ要素に保持されており、アダプタ要素は、第2力受止め領域にねじで固定されている。力伝達要素をアダプタに保持するために、ピンは、力伝達要素に設けられた貫通案内部と、この貫通案内部に整合する、アダプタ内に設けられた別の貫通案内部とを通して差し込まれ、ピンには、アダプタ要素を起点として、ローレット付きねじを用いてプレス力が加えられる。この場合に、力伝達要素は、この力伝達要素の貫通案内部の内面でピンに対して押し当てられ、これによって力伝達要素は確実に、特にクランプ式にアダプタ部材に保持されている。特に、薬剤容器内での力測定時に、力測定アセンブリの関与する構成部材は極めて小さく形成されており、これにより、これらの構成部材は薬剤容器内に進入することができ、特に薬剤容器内に配置された栓体要素に荷重を加えることができる。力測定アセンブリのこの寸法およびこれに起因した小さなピンに基づいて、ピンは、力測定アセンブリの取扱い時に紛失してしまうことが多いので、対応する交換部品が必要とされる。さらに、力伝達要素を位置固定するための付加的な作業工程、すなわちローレット付きねじの操作が必要である。力伝達要素は、特に横方向、つまり負荷方向に対して直交して、特に垂直方向に傾動しやすく、これにより力測定の精度が落ちてしまう。
【0005】
さらに、力受止め要素は、第1力受止め領域において、中心で負荷方向に整合するねじによって、アダプタプレートにねじ締結されている。この場合に、別の不正確さが生じる。
【0006】
アダプタプレート自体は、アングル部材を介して力測定タワーのスライダ部材に取り付けられている。アングル部材は、アダプタプレートを水平方向で力測定タワーに対して離間して保持する。スライダ部材は、力測定タワーに沿って移動可能であるので、アダプタプレート、ひいては力受止め要素を力測定タワーの延在方向で、つまり鉛直方向で移動させることができる。このような移動、特に下方に向かう移動により、試験体に、力伝達要素によって試験パラメータを加えることができる。アングル部材を介したアダプタプレートと力測定タワーとの間の取付けも、典型的にはピンによって実現されている。これにより、この場合にも測定時の不正確さが生じる。
【0007】
特に薬剤容器内または薬剤容器における力測定時に、精度は重要であり、極めて小さな不正確さでさえも、力測定を繰り返す必要性が生じてしまう。公知の力測定アセンブリは、この高い精度要求を十分に満たしていない。
【0008】
本発明の課題は、上述の欠点が回避されている力測定アセンブリを提供することである。
【0009】
この課題は、独立請求項に記載の対象を提供することにより解決される。有利な構成は、従属請求項から明らかになる。
【0010】
課題は、特に、特に試験体に試験パラメータを加え、および/または試験体からもたらされる抗力を測定するための力測定アセンブリであって、力測定アセンブリが、少なくとも1つの力受止め要素と、第1取付け装置と、力伝達要素とを有しており、力受止め要素が、第1取付け装置によって力測定機器に移動可能に取付け可能であり、特に取り付けられており、力受止め要素が、2つの力受止め領域、すなわち第1力受止め領域と第2力受止め領域との間で作用する相対力を測定するように構成されており、第1取付け装置が、第1力受止め領域を介して、力受止め要素に力伝達技術的に結合可能であり、第2力受止め領域が、力伝達要素に、第2取付け装置を介して力伝達技術的に結合可能であり、力伝達要素が、試験体に試験パラメータを加えるために構成されている、力測定アセンブリが提供されることによって解決される。力測定アセンブリは、第2取付け装置が、磁石を有しており、磁石が、力伝達要素を、少なくとも第2力受止め領域に力伝達技術的に結合された状態に保持するように構成されていることにより優れている。したがって、簡単な取付け機構が提供されており、この取付け機構は、特にねじまたは別の対応する手間のかかる作業工程なしに、力伝達要素を力受止め要素に力伝達技術的に結合する。これにより、特にねじおよび/またはピンの周面の領域において発生するような丸み付けされた当接面が回避されている。これにより、力測定アセンブリの安定性も高くなる。
【0011】
力受止め要素とは、特に、センサにより、第1力受止め領域と第2力受止め領域との間の引張力および/または押圧力を測定するように構成されている測定機器であると理解される。好適には、力受止め要素はロードセルとして構成されている。
【0012】
力伝達要素とは、本明細書では、特に、剛性の、つまり力測定アセンブリの規定通りの使用時に屈曲しない材料から成っているか、または少なくともこのような材料によって、第2力受止め領域と、力測定アセンブリの規定通りの使用時に試験体に係合するように構成されている負荷点との間の結合部を提供する要素であると理解される。
【0013】
力伝達要素は、好適には、試験体に、特に円筒形の中空体に導入するために形成されているロッドおよび/またはプランジャとして形成されている。試験体に荷重を加えるために、力伝達要素は好適には、負荷点を有する端面を有している。力伝達要素の端面は、好適には平坦に形成されていて、力測定アセンブリにおける規定通りの組付け時および力測定アセンブリにおける試験体の対応する規定通りの組付け時に、この端面が試験体の負荷面に対して平行に配置されているように、試験体に面している。
【0014】
試験パラメータとは、本明細書において、特に力、衝撃、速度、質量および/または作用時間であると理解される。重要であるのは、試験パラメータが、測定すべき力のための尺度として使用され、好適には測定すべき力のための尺度に換算して使用することができることである。したがって、試験パラメータは、試験体に作用する入力量として使用することができる。好適には入力量、つまり試験パラメータに依存して求められる特定すべき抗力は、好適には試験パラメータに対応した量、特に力および/または圧力である。
【0015】
第1取付け装置および/または第2取付け装置は、好適には、別個のアダプタ要素として形成されている。アダプタ要素は、力受止め要素に、特に力受止め領域のうちの1つに取付け可能である。さらに、第1取付け装置は、特に固定的に配置された力測定機器に、第1取付け装置および/または力受止め要素が力測定機器に対して移動可能であるように、取付け可能である。第2取付け装置は、好適には、力伝達要素を取付け装置に取り付けるように構成されている。この取付けは、少なくとも部分的に、好適には専ら、磁石により行われる。
【0016】
代替的には、第1取付け装置が、力受止め要素および/または力測定機器と一体的に構成されている、および/または第2取付け装置が、力伝達要素および/または力受止め要素と一体的に構成されている。この場合でも、第2取付け装置が、力伝達要素を力受止め要素の第2力受止め領域に保持するように構成されている磁石を有していることが規定されている。磁石は、力伝達要素の側に、特にこの力伝達要素に一体的に構成されているか、または力受止め要素の側に、特にこの力受止め要素に一体的に構成されていてよい。重要であるのは、磁石が、力伝達要素と第2力受止め領域とが規定通りに結合された状態において、それぞれ対峙する側にある金属および/または別の磁石と協働し、これにより力伝達要素を力受止め要素に保持することができることである。
【0017】
本発明の1つの改良形によれば、第2取付け装置が、別個に形成された、特に下側の第2アダプタ部材として形成されていることが規定されている。したがって、第2取付け装置は、個別に力伝達要素に合わせて適合させられている。これによって、特に、磁石が第2取付け装置に、つまり第2アダプタ部材に配置されていることにより、通常は磁石を有しない既知のロードセルが使用可能である。
【0018】
第2アダプタ部材は、好適には重力方向で力受止め要素の下側に配置されている。しかし代替的には、第2アダプタ部材が力受止め要素の上側または側方に配置されていることも可能である。
【0019】
好適には、第2アダプタ部材は、規定通りの組込み位置において、力受止め要素に面した端部において、ねじ技術的に力受止め要素に第2力受止め領域において結合可能である。特に好適には、第2力受止め領域は、第2対応当接面を有しており、第2アダプタ部材は、第2当接面を有している。第2当接面および第2対応当接面は、少なくとも部分的に平坦に互いに当接し、これにより特に円環形の接触面を形成するように形成されている。第2当接面および/または第2対応当接面は、好適には対称的であり、少なくとも力の作用時に負荷方向に対して垂直方向に配置されている。アダプタ部材は、力受止め要素とは反対側の端部において、好適には磁石を有している。この磁石によって、力伝達要素をアダプタ部材に保持することができる。
【0020】
負荷方向とは、本明細書において特に、第1力受止め領域に作用すべき力、つまり特に力測定機器、極めて特別には力測定タワーを起点とする力が向けられている方向であると理解される。好適には、この方向は、力測定アセンブリ、特に力受止め要素、第2アダプタ部材および/または力伝達要素の中心軸線と一致する。特に好適には、負荷方向は、重力方向に、つまり垂直方向で下方に向かって位置調整されている。さらに、負荷方向は、好適には力伝達要素の端面に対して垂直方向に位置調整されている。
【0021】
本発明の1つの改良形によれば、力伝達要素が、磁石により、力測定アセンブリの好適には平坦な支持面に向かって押圧されている。したがって、最適な力作用が保証されており、力測定アセンブリの精度が高くなる。
【0022】
力伝達要素の対応支持面は、磁気的な保持力により好適には第2力受止め領域において力受止め要素に向かって、および/または第2取付け装置に向かって、特に第2アダプタ部材に向かって押し付けられ、特に引っ張られており、これにより本改良形では、好適には力伝達要素と第2アダプタ部材との間の円環形の平坦な接触部が形成されている。支持面は、好適には専ら平坦に、および/または力受止め要素に、および/または第2アダプタ部材において形成されており、支持面は、特に好適には、段部または斜面を有していない。さらに、好適には、力伝達要素と力受止め要素との間で専ら一貫した面状の当接が形成されている。
【0023】
本発明の1つの改良形によれば、試験体が、栓体要素を備えた医薬用の中空体、特に薬剤容器として形成されており、力伝達要素が、医薬用の中空体の内容積内に少なくとも部分的に進入し、内容積内で栓体要素に好適には負荷方向で荷重を加えるように構成されていることが規定されている。したがって、力測定機器により、医薬用の中空体の内容積内での栓体要素の保持力を確実に検査することができる。特に、このような医薬用の中空体では、保持力の検査が特に正確に、かつ栓体の変形なしに行われることが重要である。なぜならば、変形は、中空体内における保持力の変化をもたらしてしまい、これにより力測定がこの場合に変形されていない栓体の実際の保持力をもはや測定することができないからである。
【0024】
つまり力伝達要素は、その負荷方向に向けられた端面で栓体要素に作用し、負荷方向は好適には端面に対して垂直方向に位置調整されている。
【0025】
医薬用の中空体とは、本明細書において、特に注射器、カープル、アンプルおよび/またはフラスコであると理解される。
【0026】
1つの改良形によれば、力伝達要素が、栓体要素の長手方向延在長さと一緒に、内容積の長手方向延在長さに適合させられている長手方向延在長さ、または前記内容積の前記長手方向延在長さよりも大きな長手方向延在長さを有していることが規定されている。したがって、力伝達要素が、簡単に医薬用の中空体を完全に貫通することが可能であるので、力測定時に栓体要素の最大の移動距離を検査することができる。
【0027】
好適には、力伝達要素は、ロッド状の延長部を有している。この延長部は、この長さに一致する。ロッド状の延長部、特に延長部の、栓体要素に面した端部は、好適には、特に平坦な端面を有している。この端面は、最大で1mm、好適には最大で0.5mm、好適には最大で0.1mm、好適には最大で0.06mmだけ、栓体要素の、規定通りの組込み位置において対峙する栓体横断面の栓体直径よりも小さな直径を有している。したがって、力伝達要素による栓体要素への特に変形のない負荷が可能である。
【0028】
本発明の1つの改良形によれば、力伝達要素が、少なくとも部分的に磁化可能に形成されており、および/またはプラズマ窒化処理された特殊鋼を有しており、力受止め要素または第2アダプタ部材が、磁石を有している、および/または力伝達要素が、磁石を有しており、力受止め要素または第2アダプタ部材が、少なくとも部分的に磁化可能に形成されており、および/またはプラズマ窒化処理された特殊鋼を有していることが規定されている。したがって、力伝達要素は、磁石なしに形成することができ、これにより力測定アセンブリは、高いコストをかけることなしにフレキシブルに使用可能である。したがって、特に種々異なる端面を備えた種々異なる多数の力伝達要素を第2アダプタ部材に組み付けることができ、この場合にコストは低く、力測定アセンブリの精度は高くなる。
【0029】
好適には、磁石は、下側のアダプタ部材の収容領域内に配置されている。収容領域は、力伝達要素を収容するために形成されている。この場合、磁力は、力伝達要素に直接作用し、力伝達要素の保持された状態における安定性は高くなる。
【0030】
代替的または付加的には、第1取付け装置は、第1取付け軸線に対して、および/または第2取付け装置は、第2取付け軸線に対して、少なくとも部分回転対称的に、特に回転対称的に構成されている。これにより、特に均一な力伝達が可能にされ、栓体要素の変形は十分に回避されている。
【0031】
本発明の1つの改良形によれば、第1取付け装置が、位置決めピンを有しており、位置決めピンは、好適には少なくとも部分的に円筒形であり、および/または少なくともほぼ遊びなしに、特に好適には遊びなしに特に円筒形の貫通案内部内に導入可能であり、かつ導入された状態で位置固定要素によって、力受止め要素が、好適には負荷方向と一致する、位置決め円筒体の位置決め軸線の方向で位置固定要素により固定されているように、貫通案内部内に位置固定可能であることが規定されている。したがって、試験体への特に均一な負荷が確保されており、特に試験体に対する力測定アセンブリの傾倒、特に試験体と力伝達要素との間の傾倒は回避されている。これにより、力測定は極めて正確であり、力伝達要素による試験体、特に医薬用容器の損傷は回避されている。
【0032】
位置決め円筒体の位置決め軸線は、好適には、負荷方向に対して平行に位置調整されており、位置決め軸線は、特に好適には位置決め円筒体および/または円筒形の貫通案内部の中心軸線、特に対称軸線と一致する。これにより、特に精密かつ正確な力伝達が実現されている。
【0033】
本発明の1つの改良形によれば、第1取付け装置が、別個に形成された特に上側の第1アダプタ部材として形成されており、第1アダプタ部材の、特に平坦な第1当接面が、力測定アセンブリにおける規定通りの組込み位置において、第1力受止め領域で力受止め要素に当接することが規定されている。したがって、力受止め要素は、特に簡単に対応する保持要素内に、特に試験装置ホルダ内に組み付けることができ、負荷方向での力の測定はエラーを起こしにくい。
【0034】
好適には、第1アダプタ部材の第1当接面は、力受止め要素の第1対応当接面に特に面状に当接する。特に好適には、第1当接面は、位置決め円筒体の特に下端部において、負荷方向に対して垂直方向に配向された環状面により形成され、第1対応当接面は、位置固定要素により位置決め円筒体が固定された状態において、第1当接面に対して押圧されている。第1当接面も、第1対応当接面も、好適には、位置決め軸線に対して垂直方向に、および/または負荷方向に対して垂直方向に位置調整されており、および/または環状に形成されている。特に好適には、相対力、負荷方向ならびに/または上側のアダプタ部材、下側のアダプタ部材、力受止め要素、力伝達要素および/または位置固定要素の中心軸線は、軸線方向で相互に位置調整されている。
【0035】
本発明の1つの改良形によれば、力受止め要素が、調整手段を有しており、調整手段によって、力受止め要素の、負荷された状態において相対力の配向と一致する力受止め軸線が調整可能であることが規定されている。したがって、負荷経路に沿った傾倒および斜めに位置調整された構成部材を補正することができる。これにより、力測定機器の精度は高くなる。
【0036】
好適には、第1対応当接面は、好適には中心軸線に一致し、および/または負荷方向に対して平行に位置調整されている力受止め要素の力受止め軸線に対して相対的に、調整手段により傾倒可能である。これにより、力測定機器に対して相対的な力受止め要素の配向を調節することができるので、力受止め要素の中心軸線および/または相対力に対して相対的な負荷方向の調整における最小限の、場合によっては製造に起因する偏差も、調整手段により簡単に補正可能である。
【0037】
調整手段は、好適には、少なくとも1つ、特に3つのねじにより形成されるので、本改良形では、三点当接が形成されている。少なくとも1つのねじは、本改良形では好適には特に上側のプレートカバーとして形成されている第1対応当接面を第2対応当接面に対して傾倒させる。第2対応当接面は、好適には、力受止め要素の、第1対応当接面とは反対に位置する側に配置されている。
【0038】
好適には、第2アダプタ部材が第2力受止め領域に当接している当接領域に、第2対応当接面が形成されている。この第2対応当接面は、好適には、負荷方向に対して垂直方向に、かつ平坦に形成されている。調整手段は、好適には、調整手段により第1対応当接面が、第2対応当接面に対して平行に調整可能であるように構成されている。これにより、特に直線的な力伝達が達成されるので、力測定機器の精度は高くなる。
【0039】
本発明の1つの改良形によれば、力測定アセンブリの全長が、力測定機器内に収容するために設けられた医薬用の中空体の係合高さおよび/または長さに適合可能であるように、力受止め要素と力伝達要素との間に、少なくとも1つのシムが配置可能であり、特に配置されていることが規定されている。これにより、力測定機器は、特にフレキシブルに使用可能であり、種々異なる種類の医薬用の中空体を、力測定機器全体の変更、特に力伝達要素および/またはアダプタ部材の変更を必要とすることなしに、測定することができる。
【0040】
第2アダプタ部材が設けられている限り、シムは、好適には、第2アダプタ部材と力受止め要素との間に配置可能であるので、第2アダプタ部材と力受止め要素との間の間隔は、医薬用の中空体の係合高さおよび/または長さに適合可能である。
【0041】
好適には、少なくとも2つの力受止め要素が、力測定アセンブリ内で特に互いに平行に配置されており、第1力受止め要素は、少なくとも1つのシムにより、第1長さを備えた薬剤容器内に進入し、この薬剤容器内で栓体を移動させるように構成されており、第2力受止め要素は、少なくとも1つの別のシムにより、またはシムを用いずに、第2長さを有する薬剤容器内に係合するように構成されている。
【0042】
課題は、特に、力測定装置であって、上述の実施例のいずれか1つの実施例による少なくとも1つの力測定アセンブリと、力測定機器、特に力測定タワーおよび少なくとも1つの、好適には3つの試験体収容部とを有しており、力測定アセンブリが、少なくとも1つの力受止め要素、好適には3つのこのような力受止め要素を有しており、少なくとも1つの力受止め要素が、少なくとも1つの第1取付け装置によって、力測定機器に取り付けられており、少なくとも1つの試験体収容部が、試験体を収容するためにそれぞれ構成されており、力測定装置が、力測定アセンブリの力伝達要素によって、それぞれの試験体に試験パラメータを加え、および/または試験パラメータとは反対に作用する力を力受止め要素により測定するように構成されている力測定装置を提供することにより解決される。力測定アセンブリに関連して既に上述した利点が生じる。
【0043】
課題は特に、上述の実施例のいずれか1つの実施例による力測定アセンブリまたは上述の実施例による力測定装置を用いた力測定の方法であって、試験パラメータ、特に試験力または試験速度を力収容要素内に第1力受止め領域および/または第2力受止め領域を介して導入し、試験体、特に医薬用の中空体内の端部栓に試験パラメータを加え、特に試験パラメータと、力測定アセンブリにおいて、特に力受止め要素において測定された相対力に応じた試験体の抗力を求める方法を提供することにより解決される。このような方法は、上述の実施例のいずれか1つの実施例による力測定アセンブリにより極めて正確であり、かつ傾倒が起こりにくい。
【0044】
本発明の1つの改良形によれば、力伝達要素を試験体、特に医薬用の中空体の内容積内に少なくとも部分に進入させ、好適には試験体の栓体要素に荷重を加えることが規定されている。したがって、この方法により、試験体の栓体要素の抗力を求めることができる。
【0045】
本発明の1つの改良形によれば、抗力を求めるために、第2力受止め領域に作用する重力、特に力伝達要素および/または下側のアダプタ部材の重力を制御技術的に、特に装置を風袋引き(tariert)することにより、考慮することが規定されている。このように重力を考慮することは、特に複雑ではなく、フレキシブルに使用可能であり、付加的な構造的な措置を必要とせず、特に、力受止め要素もしくは力受止め領域に互いに重力とは反対に向けて、かつ量的に重力と同等に予荷重を加えることを省略することができる。
【0046】
課題は、特に、上述の実施例のいずれか1つの実施例による力測定アセンブリのためのアダプタ部材であって、アダプタ部材が、力測定アセンブリのための第2アダプタ部材として、ひいては第2取付け装置として構成されていて、磁石を有しており、磁石が、力測定アセンブリの力伝達要素を力測定アセンブリの第2力受止め領域に保持するように構成されている、アダプタ部材を提供することによっても解決される。方法および力測定アセンブリおよび力測定装置に関連して既に上述した利点と同一の利点が生じる。
【0047】
特に第2アダプタ部材が、力測定アセンブリ内に組み付けられた状態で、一方では力受止め要素と、および/または他方では力伝達要素と、それぞれ平坦な当接面を形成し、これらの当接面が、負荷方向に対して垂直に位置調整されている。特に好適には、力受止め要素と力伝達要素との間で特に平坦ではない別の当接面が形成されていない。
【0048】
力測定アセンブリ、力測定装置、方法およびアダプタ部材の説明は、互いに相補的であると理解される。特に明示的にまたは非明示的に方法に関連して説明された力測定アセンブリ、力測定装置および/またはアダプタ部材の特徴は、好適には個別でも、または互いに組み合わせても、力測定アセンブリ、力測定装置および/またはアダプタ部材の特徴である。好適には、力測定アセンブリ、力測定装置および/またはアダプタ部材は、方法に関連して説明された複数の方法工程のうちの少なくとも1つの方法工程を実施するために構成されている。明示的または非明示的に力測定アセンブリ、力測定装置および/またはアダプタ部材に関連して説明された方法工程は、好適には個別でも、互いに組み合わせても、方法の好適な実施形態の工程である。特に、方法の枠内において、好適には、力測定アセンブリ、力測定装置および/またはアダプタ部材の少なくとも1つの特徴から生じる少なくとも1つの工程が規定されている。
【0049】
以下に本発明を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】第1実施例による力測定アセンブリを備えた力測定装置を示す図。
【
図2】第2実施例による力測定アセンブリの、磁気により保持された力伝達要素を備えた下側のアダプタ部材を示す図。
【
図3】力伝達要素を省略して第2実施例による力測定アセンブリを示す図。
【
図4】力伝達要素を省略して第2実施例による力測定アセンブリを示す側方部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、力測定装置1を正面図で示している。力測定装置1は、力測定アセンブリ3と、力測定タワー5と、スライダ部材7と、試験体ホルダ9と、制御機器11と、別のホルダ13とを含んでいる。この別のホルダ13により、力測定アセンブリ3は、力測定タワー5のスライダ部材7に保持されている。
【0052】
力測定アセンブリ3は、好適には、特に試験体ホルダ9に保持されている試験体に試験パラメータを加え、および/または試験体からもたらされる抗力を測定するために構成されている。力測定アセンブリ3は、少なくとも1つの力受止め要素25と、第1取付け装置と、力伝達要素27とを有している。力受止め要素25は、第1取付け装置により力測定機器に移動可能に取付け可能であり、本実施例では特にスライダ部材7により力測定タワー5に移動可能に取付け可能である。力受止め要素は、2つの力受止め領域、すなわち第1力受止め領域と第2力受止め領域51との間で作用する相対力を測定するように構成されている。さらに、第1取付け装置は、第1力受止め領域を介して力受止め要素25に力伝達技術的に結合可能であり、第2力受止め領域51は、力伝達要素27に、本実施例では特に下側の第2アダプタ部材29として形成されている第2取付け装置により力伝達技術的に結合可能である。力伝達要素27は、本実施例では、試験体に試験パラメータを加えるように構成されている。第2取付け装置は、磁石37を有している。この磁石37は、少なくとも第2力受止め領域51に力伝達技術的に結合された状態において、力伝達要素27を保持するように構成されている。
【0053】
図面では見えない円筒形の位置決め円筒体が、別のホルダ13の、対応して円筒形に形成された貫通案内部を通じてガイドされ、位置決め円筒体の上端部17がねじ山19を有しており、このねじ山19によって位置決め円筒体がねじ技術的に、特に溝付きナット21によりホルダ13に保持されることによって、力測定アセンブリ3は、本実施例では、本実施例において特に上側の第1アダプタ部材15として形成されている第1取付け装置によって、別のホルダ13に取り付けられている。溝付きナット21により、位置決め円筒体は、別のホルダ13と、力測定タワー5もしくはスライダ部材7に固定され、上側のアダプタ部材15は、鉛直方向および水平方向で固くスライダ部材7に結合されている。上側のアダプタ部材15の、上端部17とは反対側に位置する下端部23において、上側のアダプタ部材15は、力受止め要素25の第1力受止め領域に力伝達技術的に固く結合されている。力受止め要素25は、本実施例では特に方形のロードセルとして構成されている。このロードセルは、第1力受止め領域と、本実施例では鉛直方向で見て第1力受止め領域とは反対側に位置する第2力受止め領域51との間で作用する相対力を測定するように構成されている。
【0054】
相対力は、特に下側の第2アダプタ部材29によって第2力受止め領域に力伝達技術的に取り付けられている力伝達要素27が、抵抗を形成する試験体、本実施例では特に医薬用容器31の栓体要素(図示せず)に当接するまで、力測定アセンブリ3がスライダ部材7により力測定タワー5において下方に移動させられることにより、生じる。したがって、下側のアダプタ部材29は、本実施例では、特に第2取付け装置として働き、この第2取付け装置は、試験体に作用するために形成された力伝達要素27を力受止め要素25の第2力受止め領域に力伝達技術的に結合させるので、相対力を、力受止め要素25によって測定することができる。
【0055】
力伝達要素27は、本実施例では、特にプランジャとして形成されている。プランジャの下端部は、平坦な負荷面33を有している。この負荷面33は、負荷方向Bに対して垂直方向に延びている。負荷方向は、本実施例では、中央の共通の中心軸線Mに一致する。この中心軸線Mは、力伝達要素27、下側のアダプタ部材29、力受止め要素25および上側のアダプタ部材15を通って真ん中に延びている。これにより、力伝達要素27と、医薬用容器31の栓体要素との間で特に均一な負荷力が生じるので、測定精度は極めて高くなる。さらに、力測定アセンブリ3は、中心軸線Mが、栓体要素の中心軸線および/または医薬用容器31の中心軸線にも一致するように位置調整されており、これにより測定精度は同様に高くなる。
【0056】
栓体要素の変形と、変形による不均一かつ不正確な抗力を回避するために、負荷面33は、医薬用容器31内の栓体要素の、この負荷面33に対峙する面とほぼ同一の大きさである。栓体要素の面は、好適には医薬用容器31の横断内面に一致する。負荷面33は、栓体要素の対峙する面および/または横断内面よりも、好適には1mm以下、好適には0.5mm以下、好適には0.1mm以下、好適には0.06mm以下だけ小さい。
【0057】
図2には、下側のアダプタ部材29と、この下側のアダプタ部材29に取り付けられた力伝達要素27とが縦断面図で示されている。力伝達要素27を下側のアダプタ部材29ひいては力受止め要素(
図2には図示せず)に保持するために、下側のアダプタ部材29は、力伝達要素27に面した下端部35に、磁石37を有している。磁石37は、好適にはプラズマ窒化処理された特殊鋼を軸線方向で磁石に隣接する領域に有しているか、またはプラズマ窒化処理された特殊鋼から形成された力伝達要素27を引き付けて、力伝達要素27の上端部39が、下側のアダプタ部材29と一緒に円環形の平坦な接触面41を形成するようになっている。下側のアダプタ部材29は、本実施例では、平坦に形成された支持面を有している。この支持面に、力伝達要素27の、対応して平坦に形成された対応支持面が支持され、これにより、円環形の平坦な接触面41が形成されるので、力測定時の力測定アセンブリ3の精度は高くなる。
【0058】
さらに、
図2において、力伝達要素27が、中間の領域43において、つまり負荷面33と円環形の接触面41との間で、負荷面33を有する端部よりも細く形成されていることを良好に確認することができる。この領域において力伝達要素が半径方向でセットバックされていることにより、医薬用容器31内への力伝達要素27の導入時の医薬用容器31の引っかかりおよび/または損傷の恐れが減じられている。好適には、力伝達要素27の半径は、負荷面33から円環形の接触面41に向かって見て、負荷面33の直後で減少しているので、負荷面33は力伝達要素27の円錐体形の一区分により提供されている。
【0059】
円環形の接触面41により、傾倒が防止された当接部が形成されるので、力測定時の誤測定が回避される。
【0060】
力伝達要素27をアダプタ部材29に対して、中心軸線Mに対して見た半径方向で位置固定するために、アダプタ部材29は、ピン状の延長部45を有している。この延長部45は、好適には円筒形に形成されており、磁石を有している。この延長部45は、力伝達要素27の、対応して逆向きに成形された切欠き47に係合するように形成されている。好適には、本実施例では、延長部45と、切欠き47との間の遊びが最小限に、特に0.1mm未満、好適には0.05mm未満に制限されているので、試験力を加えた場合の力伝達要素27の傾倒と、この傾倒により生じる力伝達要素27の退避運動とが回避されている。
【0061】
図3は、力伝達要素27を省略して力測定アセンブリ3を斜視図で示しており、力測定アセンブリ3は、力測定タワー5に取り付けられていない。
【0062】
図3に図示されている第2実施例による力測定アセンブリ3も、中心の力受止め要素25の他に、上側のアダプタ部材15と、下側のアダプタ部材29とを有している。上側のアダプタ部材15は、第2実施例でも第1取付け装置として、
図3において力受止め要素25の、観察者と反対側に配置されている、力受止め要素25の第1力受止め領域を力測定機器に力伝達技術的に結合するために働く。このためには、上側のアダプタ部材15が、位置決め円筒体49を有している。この位置決め円筒体49は、位置固定のための貫通案内部を通じてガイドすることができ、特に溝付きナット21によりねじ技術的にホルダ13に位置固定することができる。これに関しては、第2実施例による力測定アセンブリ3は、第1実施例による力測定アセンブリ3に一致する。
【0063】
下側のアダプタ部材29は、本実施例では、第2取付け装置として、第2力受止め領域51を、
図3では組み付けられていない力伝達要素27に力伝達技術的に結合するために働く。このためには、力受止め要素25と下側のアダプタ部材29との間で、中心軸線に対して垂直方向に延びる平坦な接触面が形成されているように、下側のアダプタ部材29が、力受止め要素25に当接する。下側のアダプタ部材29の、観察者に面した端部において、
図3でさらに磁石37が確認可能である。この磁石37は、下側のアダプタ部材29の円筒形の延長部45と一緒に力伝達要素27を保持するように構成されている。
【0064】
上側のアダプタ部材15を下側のアダプタ部材29に軸線方向で位置調整するために、力測定アセンブリは、調整手段を有している。調整手段は、少なくとも1つの調整ねじを含んでいる。少なくとも1つの調整ねじは、
図3に図示された実施例では、力受止め要素25の、観察者とは反対の側、つまり上側のアダプタ部材15に面した側に配置されている。好適には、本実施例では3つの調整ねじが配置されており、これらの調整ねじは、周方向で互いに同一の間隔を空けて上側のカバープレート53の円周ラインに沿って、見えている3つのねじ55の配置と同様に配置されている。この少なくとも1つの調整ねじにより、上側のカバープレート53、特に第1力受止め領域の、中心軸線Mに対する傾きひいては第2力受止め領域および下側のアダプタ部材29に対する傾きならびに組み付けられた状態では力伝達要素27に対する傾きを調整することができる。上側のアダプタ部材15は、観察者とは反対の側で、上側のカバープレート53に平坦に当接しており、この箇所で別の円環形の接触面を形成する。この接触面は、
図4の部分断面図において確認可能であり、上側のアダプタ部材15の第1当接面56と、力受止め要素25の第1対応当接面57とにより形成される。
【0065】
上側のアダプタ部材15は、
図4において確認可能であるように、力受止め要素25の円筒形に形成された延長部59に取り付けられており、好適にはねじで固定されている。したがって、上側のアダプタ部材15は、力受止め要素25に固く保持され、別の円環形の接触面によって、下側のアダプタ部材29に対する上側のアダプタ部材15の軸線方向の位置調整が損なわれにくいことにより、力測定アセンブリの高い精度が確保されている。
【0066】
特に好適には、上側のアダプタ部材から、力受止め要素25、下側のアダプタ部材29および力伝達要素27を介して、試験体、特に医薬用容器31の栓体要素に至るまでの力作用経路に沿って、接触面、当接面および/または対応当接面全体が平坦に形成されており、中心軸線Mに対して垂直方向に延びている。特に、下側のアダプタ部材29と力伝達要素27との間の円環形の接触面41、力伝達要素27の負荷面33、力受止め要素25の第1対応当接面57、第2力受止め領域51における力受止め要素25の第2対応当接面61ならびに上側のアダプタ部材15もしくは溝付きナット21と別のホルダ13との間の2つの別の当接面63は、円環形であり、中心軸線Mに対して対称的であり、かつ互いに平行に、および/または平坦に形成されている。別の当接面63は、好適には中心軸線Mに対してそれぞれ垂直方向に延びている。挙げられたこれらの当接面の他に、好適には中心軸線の方向の別の当接面は形成されていない。したがって、特にエラーを起こしにくい力測定アセンブリ3が提供されており、この力測定アセンブリ3により、試験体に作用する力と、試験体を起点とする抗力とを極めて正確に測定することができる。
【0067】
さらに、力受止め要素25、特に第2力受止め領域51と、力伝達要素27および/または試験体との間で、力測定装置1における規定通りの組込み位置において、これらの要素を互いにねじ技術的に取り付けるためのねじ山と、中心軸線Mに対して半径方向の円形の接触面は形成されていない。これにより、特に正確な力測定が生じ、力伝達要素27の組付けは、迅速かつ簡単に実施可能である。