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特許7439091臭気抑制組成物およびそれを組み込んだ衛生用品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】臭気抑制組成物およびそれを組み込んだ衛生用品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240219BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240219BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20240219BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20240219BHJP
   C08K 5/19 20060101ALI20240219BHJP
   C08K 5/5317 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61F13/15 141
A61F13/53 300
A61F13/15 145
C08L33/02
C08K5/053
C08K5/19
C08K5/5317
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021533158
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 US2019066000
(87)【国際公開番号】W WO2020123821
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】62/779,453
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】レプティック,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーラー,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,デビッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフェ,ミカエラ ペブルス
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116535(JP,A)
【文献】特表2015-519409(JP,A)
【文献】特表2016-507360(JP,A)
【文献】特開2016-147080(JP,A)
【文献】特開2003-052746(JP,A)
【文献】特開2008-036434(JP,A)
【文献】特開2009-061063(JP,A)
【文献】国際公開第2006/033477(WO,A1)
【文献】特表2002-508222(JP,A)
【文献】特表2013-540000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
A61F 13/53
C08L 33/02
C08K 5/053
C08K 5/19
C08K 5/5317
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー粒子と、
キレート剤を含む第1の臭気制御剤と、
第2の臭気制御剤と、を含む臭気抑制組成物であって、
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、三リン酸五塩基ナトリウム、N-カルボキシメチル化ポリエチレンイミン、および1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはそれらの塩からなる群から選択され、
前記第2の臭気制御剤が、1,2-デカンジオール、塩化セトリモニウム、コカミドプロピルベタイン、ポリ(t-ブチルアミノエチルメタクリレート)、ベヘントリモニウム、および1,2-ペンタンジオールからなる群から選択される膜溶解化合物である、臭気抑制組成物
【請求項2】
前記第1の臭気制御剤が、前記吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて約0.25重量%~約1.0重量%存在し、前記第2の臭気制御剤が、前記吸水性ポリマー粒子の前記総重量に基づいて、約0.25重量%~約2.0重量%存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記吸水性ポリマー粒子が、架橋ポリアクリル酸を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記吸水性ポリマー粒子が、前記第1の臭気制御剤または前記第2の臭気制御剤のうちの1つ以上の存在下で重合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2の臭気制御剤が、1,2-デカンジオールまたは塩化セトリモニウムを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が第3の臭気制御剤を含み、前記第3の臭気制御剤が前記第1の臭気制御剤および前記第2の臭気制御剤とは異なる化合物である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第3の臭気制御剤が、過酸化亜鉛を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
臭気抑制組成物を製造する方法であって、
キレート剤を含む第1の臭気制御剤を吸水性ポリマー粒子に注入することと、
前記注入された吸水性ポリマー粒子を第2の臭気制御剤と混合することと、を含み、
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、三リン酸五塩基ナトリウム、N-カルボキシメチル化ポリエチレンイミン、および1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはそれらの塩からなる群から選択され、
前記第2の臭気制御剤が、1,2-デカンジオール、塩化セトリモニウム、コカミドプロピルベタイン、ポリ(t-ブチルアミノエチルメタクリレート)、ベヘントリモニウム、および1,2-ペンタンジオールからなる群から選択される膜溶解化合物である、方法。
【請求項9】
前記第1の臭気制御剤が、前記吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて約0.25重量%~約1.0重量%存在し、前記第2の臭気制御剤が、前記吸水性ポリマー粒子の前記総重量に基づいて、約0.25重量%~約2.0重量%存在する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
吸水性ポリマー粒子に前記第1の臭気制御剤を注入することは、前記第1の臭気制御剤の存在下でモノマー溶液を重合することを含む、請求項または請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第2の臭気制御剤が、1,2-デカンジオールまたは塩化セトリモニウムを含む、請求項~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
臭気抑制組成物を含む衛生用品であって、前記組成物は、
吸水性ポリマー粒子と、
キレート剤を含む第1の臭気制御剤と、
第2の臭気制御剤と、を含み、
前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、三リン酸五塩基ナトリウム、N-カルボキシメチル化ポリエチレンイミン、および1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはそれらの塩からなる群から選択され、
前記第2の臭気制御剤が、1,2-デカンジオール、塩化セトリモニウム、コカミドプロピルベタイン、ポリ(t-ブチルアミノエチルメタクリレート)、ベヘントリモニウム、および1,2-ペンタンジオールからなる群から選択される膜溶解化合物である、衛生用品。
【請求項13】
前記第1の臭気制御剤が、前記吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて約0.25重量%~約1.0重量%存在し、前記第2の臭気制御剤が、前記吸水性ポリマー粒子の前記総重量に基づいて、約0.25重量%~約2.0重量%存在する、請求項12に記載の衛生用品。
【請求項14】
前記衛生用品が、おむつ、おむつパッド、女性用衛生用品、失禁用品、ベッドパッド、看護パッド、動物のトイレ砂、動物のトレーニングパッド、およびペット用おむつからなる群から選択される、請求項12または請求項13のいずれかに記載の衛生用品
【請求項15】
架橋ポリアクリル酸を含む吸水性粒子と、
塩化セトリモニウムと
1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはその塩と、を含む臭気抑制組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/779,453号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込められる。
【背景技術】
【0002】
超吸収剤とも呼ばれる吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン、およびその他の衛生用品の臭気抑制組成物に使用される。吸水性ポリマー粒子の特性は、粒子のポリマーマトリックス内の架橋の量を調整することによってなど、様々な方法で調整され得る。しかしながら、組成物中の特定の成分の量を増やすことは、組成物の臭気抑制能力を改善し得るが、一方で、これは、遠心分離保持能力(CRC)および圧力に対する吸収度(AAP)など組成物の他の望ましい特性とのトレードオフをもたらすことがよくある。
【発明の概要】
【0003】
以下では、かかる態様の基本的な理解を提供するために、本開示の様々な態様の簡略化された要約を提示する。本概要は、本開示の広範な概略となるものではない。本開示の本質的な要素または重要な要素を特定することも、本開示の特定の実施形態の範囲または特許請求の範囲を描写することも意図されていない。当該概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、開示の一部の概念を簡略化された形態で提示することである。
【0004】
本開示の一態様において、臭気抑制組成物は、吸水性ポリマーと、キレート剤を含む第1の臭気制御剤であって、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて約0.25重量%~約1.0重量%存在する第1の臭気制御剤と、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて、約0.25重量%~約2.0重量%存在する第2の臭気制御剤と、を含む。
【0005】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて、約0.25重量%~約1.0重量%存在する。
【0006】
一実施形態において、吸水性ポリマー粒子は、架橋ポリアクリル酸を含む。
【0007】
一実施形態において、吸水性ポリマー粒子は、第1の臭気制御剤または第2の臭気制御剤のうちの1つ以上の存在下で重合される。
【0008】
一実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、三リン酸五塩基ナトリウム、N-カルボキシメチル化ポリエチレンイミン、および1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはそれらの塩からなる群から選択される。
【0009】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、膜溶解化合物、スルフォラファン、穏やかな酸化剤、およびpH緩和剤からなる群から選択される。
【0010】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、1,2-デカンジオール、塩化セトリモニウム、コカミドプロピルベタイン、ポリ(t-ブチルアミノエチルメタクリレート)、ベントリモニウム、および1,2-ペンタンジオールからなる群から選択される膜溶解化合物である。
【0011】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、1,2-デカンジオールまたは塩化セトリモニウムを含む。
【0012】
一実施形態において、組成物は、少なくとも20g/gの圧力に対する吸収度(AAP)を示す。
【0013】
一実施形態において、組成物は、少なくとも30g/gの遠心分離保持能力(CRC)を示す。
【0014】
一実施形態において、組成物は、約23℃で45時間超のアンモニア破過時間を示す。
【0015】
一実施形態において、組成物は、第3の臭気制御剤を含み、第3の臭気制御剤は、第1の臭気制御剤および第2の臭気制御剤とは異なる化合物である。一実施形態において、第3の臭気制御剤は過酸化亜鉛を含む。一実施形態において、第1の臭気制御剤は、1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはその塩を含み、第2の臭気制御剤は塩化セトリモニウムを含み、第3の臭気制御剤は過酸化亜鉛を含む。
【0016】
本開示の別の態様において、臭気抑制組成物を製造する方法は、吸水性ポリマー粒子に、キレート剤を含む第1の臭気制御剤を注入することと、注入された吸水性ポリマー粒子を第2の臭気制御剤と混合することと、を含み、第1の臭気制御剤は、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて約0.25重量%~約1.0重量%存在し、第2の臭気制御剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.25重量%~約2.0重量%存在する。
【0017】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて、約0.25重量%~約1.0重量%存在する。
【0018】
一実施形態において、吸水性ポリマー粒子に第1の臭気制御剤を注入することは、第1の臭気制御剤の存在下でモノマー溶液を重合することを含む。
【0019】
一実施形態において、キレート剤は、EDTA、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、三リン酸五塩基ナトリウム、N-カルボキシメチル化ポリエチレンイミン、および1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはそれらの塩からなる群から選択される。
【0020】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、膜溶解化合物、スルフォラファン、穏やかな酸化剤、およびpH緩和剤からなる群から選択される。
【0021】
一実施形態において、第2の臭気制御剤は、1,2-デカンジオールまたは塩化セトリモニウムを含む。
【0022】
一実施形態において、少なくとも20g/gの圧力に対する吸収度(AAP)を示す。
【0023】
一実施形態において、組成物は、少なくとも30g/gの遠心分離保持能力(CRC)を示す。
【0024】
一実施形態において、組成物は、約23℃で45時間超のアンモニア破過時間を示す。
【0025】
本開示の別の態様において、衛生用品は、臭気抑制組成物を含み、組成物は、吸水性ポリマー粒子と、キレート剤を含む第1の臭気制御剤であって、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて約0.25重量%~約1.0重量%存在する第1の臭気制御剤と、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて、約0.25重量%~約2.0重量%存在する第2の臭気制御剤と、を含む。
【0026】
一実施形態において、衛生用品は、おむつ、おむつパッド、女性用衛生用品、失禁用品、ベッドパッド、看護パッド、動物のトイレ砂、動物のトレーニングパッド、およびペット用おむつからなる群から選択される。
【0027】
本明細書で言及される「遠心分離保持能力」は、標準試験方法不織布標準手順(Nonwovens Standard Procedures)(NWSP)241.0.R2「遠心分離後の食塩水中の流体保持能力の重量分析」(“Gravimetric Determination of the Fluid Retention Capacity in Saline Solution after Centrifugation”)に従って決定される。
【0028】
本明細書で言及される「圧力に対する吸収度」は、標準試験方法NWSP242.0.R2「圧力に対する吸収の重量分析」(“Gravimetric Determination of Absorption against Pressure”)に従って決定される。
【0029】
また、本明細書で使用される場合、「重量%」の単位は、参照材料の総重量に関する特定の材料の重量対重量比を指す。例えば、組成物Cが合計で10グラムの重さであり、5グラムの化合物A、2グラムの化合物B、および3グラムの他の材料からなる場合、化合物Aは、組成物の総重量Cに基づいて50重量%で存在すると言われる。
【0030】
また、本明細書で使用される場合、本明細書で使用される用語「粒子」は、それぞれが0.1μm~50mmの範囲の最大寸法を有する材料の個別の部分の集合を指す。本明細書に開示されるサイズ範囲は、特に明記しない限り、平均(mean)/平均(average)または中央値サイズであり得る。粒子は球形である必要はなく、当業者によって理解されるような、立方体、円柱、円盤、または任意の他の好適な形状の形態であり得ることにも留意されたい。「顆粒」は一種の粒子であり得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、測定量に関連して使用される用語「約」は、測定を行い、測定の目的および測定機器の精度に相応なレベルの注意を払う当業者によって予想されるような、その測定量の通常の変動を指す(例えば、記載された量の±1%以内)。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載の実施形態は、臭気抑制組成物、および衛生用品などの臭気抑制組成物を組み込んだ物品に関する。より具体的には、実施形態は、2つ以上の異なる臭気制御剤と組み合わせて超吸収剤(すなわち、吸水性ポリマー粒子)を利用する多様な臭気抑制組成物に関する。
【0033】
追加物(add-ons)としての臭気制御剤の追加は、通常、遠心分離保持能力(CRC)および圧力に対する吸収度(AAP)などの超吸収剤の吸収特性を減少させる。したがって、臭気制御剤は通常最小限に抑えられ、臭気制御剤の全体的な有効性を減少させる。
【0034】
本明細書の実施形態によれば、2つ以上の作用機序を有する臭気制御剤の二成分混合物の使用は、臭気制御の効力を高めながら、吸収特性への影響を減少することを可能にする。本明細書で使用される場合、「臭気制御」または「臭気抑制」は、細菌の作用により尿素からアンモニアが生成されるまでの時間を指す。例えば、衛生用品の超吸収剤または吸収構造への2つ以上の臭気制御剤の添加は、アンモニア臭気が生成するまでの時間を増加させることが見出された。各臭気制御剤の低い濃度は、高い臭気抑制効果を達成するために使用される添加物レベルを、CRCおよびAAPなどの吸収特性にほとんど、またはまったく影響を与えないほど十分に少ない量で存在するようにできる。臭気制御剤は、超吸収剤だけでなく、おむつの不織布、綿毛、または接着剤成分にも添加し得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、吸水性ポリマー粒子、および1つ、2つ、またはそれ以上の臭気制御剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、3つの臭気制御剤を含む。いくつかの実施形態において、組成物はいずれの臭気制御剤を含まない。臭気制御剤は、いくつかの実施形態において、市販されている薬剤であり得る。いくつかの実施形態において、臭気制御剤は、キレート剤、膜溶解化合物、スルフォラファン、穏やかな酸化剤、およびpH緩和剤を含み得るが、これらに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、吸水性ポリマー粒子は、例えば、酸基を有し、少なくとも部分的に中和され得る少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの開始剤、任意に、他の前述のモノマーと共重合可能な少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、および任意に1つ以上の水溶性ポリマーを含むモノマー溶液または懸濁液を重合することによって製造される。適切なモノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)およびエチレン性不飽和スルホン酸(例えば、スチレンスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)を含み得る。いくつかの実施形態において、吸水性ポリマー粒子は、架橋ポリアクリル酸を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、吸水性ポリマー粒子は、米国特許第9,433,697号に記載されているように製造され得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。適切な吸水性ポリマー粒子は、例えば、HySorb(登録商標)T6600、HySorb(登録商標)B7055、およびHySorb(登録商標)B7065(BASF SE、ルートヴィヒスハーフェン、ドイツ)が含まれ得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、吸水性ポリマー粒子は、乾燥すると粉末形態であり、少なくとも約200μm、約200μm~約800μm、約250μm~約750μm、約300μm~約600μm、または約300μm~約500μmの平均粒子サイズによって特徴付けられる。
【0039】
臭気制御剤に関して、いくつかの実施形態において、代表的なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸溶液、三リン酸五塩基ナトリウム、N-カルボキシメチル化ポリエチレンイミン(例えば、BASFから入手可能なTrilon(登録商標)P液体)、および1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸またはそれらの塩を含むが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態において、代表的な膜溶解化合物は、1,2-デカンジオール、塩化セトリモニウム、コカミドプロピルベタイン、ポリ(t-ブチルアミノエチルメタクリレート)、ベントリモニウム、および1,2-ペンタンジオールを含むが、これらに限定されない。
【0041】
いくつかの実施形態において、代表的なスルフォラファンは、例えば、乾燥ブロッコリーの芽、ニンニク、およびマスタードシード、または他のスルフォラファン源に由来するものを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、代表的な穏やかな酸化剤は、過酸化水素、漂白剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム溶液)、および過酸化亜鉛を含むが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、代表的なpH緩和剤は、プロピオン酸、グリオキシル酸、およびモノグリセリドの酸(例えば、BASFから入手可能なSILOhealth(登録商標)化合物)などの有機酸を含むが、これらに限定されない。
【0044】
1つの有利な実施形態において、キレート剤は、第2の臭気制御剤としての1,2-デカンジオールと組み合わせて、第1の臭気制御剤として使用される。別の有利な実施形態において、キレート剤は、第2の臭気制御剤としての塩化セトリモニウムと組み合わせて、第1の臭気制御剤として使用される。別の有利な実施形態において、キレート剤は、第2の臭気制御剤としての過酸化亜鉛と組み合わせて、第1の臭気制御剤として使用される。
【0045】
上記のような臭気制御剤は、単なる例示であることが理解されるべきである。臭気抑制組成物は、記載された臭気制御剤の代わりに、またはそれに加えて、1つ以上の食品または化粧品の防腐剤を含み得る。そのような食品または化粧品の防腐剤は、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、ソルビン酸カリウム、カプリル酸ソルビタン、フェノキシエタノール、クロルフェネシン、パラベン(例えば、プロピルパラベン)、ラウロイルアルギン酸エチル、抗菌剤(たとえば、Clariantから入手可能なNipaguard(登録商標)ブランドの薬剤)、DMDMヒダントイン、およびメチルイソチアゾリノンを含み得るが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、第1の臭気制御剤(一次臭気制御剤と呼ばれ得る)および第2の臭気制御剤(補助臭気制御剤と呼ばれ得る)を含む。いくつかの実施形態において、一次臭気制御剤は、キレート剤を含む。一次臭気制御剤は、吸水性ポリマー粒子の総重量に基づいて、約0.05重量%~約2.0重量%存在し得る。いくつかの実施形態において、一次臭気制御剤は、約0.05重量%、約0.10重量%、約0.15重量%、約0.20重量%、約0.25重量%、約0.30重量%、約0.35重量%、約0.40重量%、約0.45重量%、約0.50重量%、約0.55重量%、約0.60重量%、約0.65重量%、約0.70重量%、約0.75重量%、約0.80重量%、約0.85重量%、約0.90重量%、約0.95重量%、約1.00重量%、約1.05重量%、約1.10重量%、約1.15重量%、約1.20重量%、約1.25重量%、約1.30重量%、約1.35重量%、約1.40重量%、約1.45重量%、約1.50重量%、約1.55重量%、約1.60重量%、約1.65重量%、約1.70重量%、約1.75重量%、約1.80重量%、約1.85重量%、約1.90重量%、約1.95重量%、約2.00重量%、またはそれらの間で定義された任意の範囲内(例えば、約0.50重量%~約1.00重量%)で存在する。
【0047】
いくつかの実施形態において、補助臭気制御剤は、1,2-デカンジオール、塩化セトリモニウム、または過酸化亜鉛を含む。補助臭気制御剤は、吸水性粒子の総重量に基づいて、約0.05重量%~約2.0重量%存在し得る。いくつかの実施形態において、一次臭気制御剤は、約0.05重量%、約0.10重量%、約0.15重量%、約0.20重量%、約0.25重量%、約0.30重量%、約0.35重量%、約0.40重量%、約0.45重量%、約0.50重量%、約0.55重量%、約0.60重量%、約0.65重量%、約0.70重量%、約0.75重量%、約0.80重量%、約0.85重量%、約0.90重量%、約0.95重量%、約1.00重量%、約1.05重量%、約1.10重量%、約1.15重量%、約1.20重量%、約1.25重量%、約1.30重量%、約1.35重量%、約1.40重量%、約1.45重量%、約1.50重量%、約1.55重量%、約1.60重量%、約1.65重量%、約1.70重量%、約1.75重量%、約1.80重量%、約1.85重量%、約1.90重量%、約1.95重量%、約2.00重量%、またはそれらの間で定義された任意の範囲内(例えば、約0.50重量%~約1.00重量%)で存在する。
【0048】
いくつかの実施形態において、一次および補助臭気制御剤は、吸水性ポリマー粒子に担持される。いくつかの実施形態において、一次または補助臭気制御剤のうちの1つ以上が、吸水性ポリマー粒子に注入される。例えば、一次臭気制御剤(例えば、キレート剤)は、一次臭気制御剤の存在下で吸水性ポリマー粒子を重合することにより、吸水性ポリマー粒子に注入し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、少なくとも約30.0g/g、少なくとも約32.0g/g、または約32.0g/g~約35.0g/gのCRCを示す。いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、約30.0g/g、約30.5g/g、約31.0g/g、約31.5g/g、約32.0g/g、約32.5g/g、約33.0g/g、約33.5g/g、約34.0g/g、約34.5g/g、約35.0g/g、約35.5g/g、約36.0g/g、約36.5g/g、約37.0g/g、約37.5g/g、約38.0g/g、約38.5g/g、約39.0g/g、約39.5g/g、約40.0g/g、またはそれらの間で定義された任意の範囲内(例えば、約30.0g~約35.0g/g)のCRCを示す。
【0050】
いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、少なくとも20g/gのAAPを示す。いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、約20.0g/g、約20.5g/g、約21.0g/g、約21.5g/g、約22.0g/g、約22.5g/g、約23.0g/g、約23.5g/g、約24.0g/g、約24.5g/g、約25.0g/g、約25.5g/g、約26.0g/g、約26.5g/g、約27.0g/g、約27.5g/g、約28.0g/g、約28.5g/g、約29.0g/g、約29.5g/g、約30.0g/g、またはそれらの間で定義された任意の範囲内(例えば、約20.0g~約25.0g/g)のAAPを示す。
【0051】
いくつかの実施形態において、記載されているとおり、一次および補助臭気制御剤を利用する臭気抑制組成物と、補助臭気制御剤を有しない一次臭気制御剤を利用する同様の臭気抑制組成物との間において、CRCに統計的に有意な差はない。
【0052】
いくつかの実施形態において、記載されているとおり、一次および補助臭気制御剤を利用する臭気抑制組成物のAAPの減少は、補助臭気制御剤を有しない一次臭気制御剤を利用する同様の臭気抑制組成物のAAPと比較して、約3g/g未満、約2g/g未満、または約1g/g未満である。
【0053】
いくつかの実施形態において、臭気抑制組成物は、おむつ、おむつパッド、女性用衛生用品、失禁用品、動物トレーニングパッド、およびペット用おむつなどの衛生用品に組み込まれる。そのような衛生用品は、典型的には、水不透過性の裏側、水透過性の上面、およびそれらの間に配置された吸収性材料を含む。吸収性材料は、本明細書に記載の臭気抑制組成物だけでなく他の吸収性成分を含み得る。衛生用品はまた、吸収性の動物のトイレ砂などの顆粒の形態であり得る。
【実施例
【0054】
説明に役立つ実施例
以下の実施例は、開示された実施形態を理解するのを助けるために記載されており、本明細書に記載され、特許請求される実施形態を具体的に限定するものとして解釈されるべきではない。当業者の範囲内である、現在知られているまたは後に開発される全ての均等物の置換を含む、実施形態のそのような変形、および処方の変更または実験計画のわずかな変更は、本明細書に組み込まれる実施形態の範囲内であると解釈されるべきである。
【0055】
以下の実施例の測定は、特に明記されていない限り、周囲温度23±2℃、相対湿度50±10%で実行された。吸水性ポリマー粒子は、任意の測定を行う前に、完全に混合された。
【0056】
以下の実施例のそれぞれについて、細菌誘発アンモニア放出を決定するために、以下の方法が使用された。ブレインハートインフュージョン(BHI)培地が、プロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)ATCC14153とOD=0.1で植菌され、10mLの試験管内で37℃および220rpmで15時間インキュベートされた。得られた培養物は、約10CFU/mL(OD=2.0~2.5)の細胞密度を有していた。合成尿は、16.7g/Lのグルコース(滅菌ろ過)、50g/Lの尿素(滅菌ろ過)、9.0g/Lの塩化ナトリウム、4.0g/Lの硫酸カリウム、2.5g/Lの硫酸アンモニウム、0.8g/Lの酢酸カルシウム、0.7g/Lの硫酸マグネシウム、0.5g/Lの酵母抽出物、1g/Lの肉由来ペプトン、および1g/Lの肉抽出物から調製され、混合物は、滅菌ろ過されたグルコースおよび尿素溶液の添加前にオートクレーブ処理された。125mLのポリプロピレン組織学ビーカーは、オートクレーブ処理され、1gの吸水性ポリマー粒子が添加された。次いで、合成尿500mLが、約10CFU/mLの総濃度に対応する細菌株溶液50μLで植菌され、そのうちの32mLが吸水性ポリマー粒子と混合された直後に、拡散試験管(Dragerwerk AG&Co.KGaA、Lubeck、ドイツ、Drager-Tube(登録商標)Ammonia20/a-D;Art.No.8101301)を備えた蓋がねじ込まれた。アンモニアの発生は、37℃で48時間超、または室温(約23℃)で70時間超観察された。
【0057】
以下の説明において使用されるように、「化合物A」は、1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸の二ナトリウム塩を指す。
【0058】
比較例1
5LのLodigeプラウシェアミキサーにおいて、1kgのHySorb(登録商標)T6600超吸収剤粒子(対流式オーブン内で120℃で3時間乾燥されたもの)が、265rpmで混合された。混合しながら、30部の2-プロパノールに溶解した5部の1,2-デカンジオール(Aldrich Chemical Co.)の溶液が、加えられた。5分間混合した後、処理された超吸収剤は排出され、防爆オーブン内で100℃で1時間乾燥された。これは、HySorb(登録商標)T6600上に合計0.5重量%の1,2-デカンジオールをもたらした(つまり、HySorb(登録商標)T6600の重量に対する1,2-デカンジオールの重量が0.5%の比率)。
【0059】
比較例2
1,2-デカンジオール溶液の代わりに、30部の水中の5部のEDTA-二ナトリウム塩(Aldrich)の溶液で比較例1の手順が繰り返された。これは、HySorb(登録商標)T6600上に合計で0.5重量%のEDTA-二ナトリウム塩をもたらした。
【0060】
比較例3
1,2-デカンジオール溶液の代わりに、30部の水中の5.6部の化合物Aの溶液で比較例1の手順が繰り返された。これは、HySorb(登録商標)T6600上に合計で0.5重量%の化合物Aをもたらした。
【0061】
比較例4
1-2-デカンジオール溶液の代わりに、17.7部の水中の17.2部の塩化セトリモニウム(水中の29%溶液、MakingCosmetics Inc.)の溶液で比較例1の手順が繰り返された。これは、HySorb(登録商標)T6600上に合計で0.5重量%の純粋な塩化セトリモニウムをもたらした。
【0062】
比較例5
HySorb(登録商標)T6600は、重合において0.35重量%の化合物Aで製造され、HySorb(登録商標)T6600-化合物Aを注入したサンプル(市販製品、BASF Corp.から入手可能)を作成した。
【0063】
比較例6
HySorb(登録商標)T6600は無処理で使用された(市販製品、BASF Corp.から入手可能)。
【0064】
比較例7
HySorb(登録商標)T6600OCは無処理で使用された(市販製品、BASF Corp.から入手可能)。
【0065】
比較例の結果を表1に示す。アンモニア破過時間(BTT)は、室温でのインキュベーションに対応する。
【表1】
【0066】
次に、本発明の実施例が説明される。
【0067】
実施例1
5L Lodigeプラウシェアミキサーにおいて、1kgのHySorbT6600超吸収剤(0.35重量%の化合物Aが注入された)が、265rpmで混合された。混合しながら、10部の溶解した1,2-デカンジオール(Aldrich Chemical Co.)の溶液が、スプレーチップシリンジで5分間かけて加えられた。これは、HySorb(登録商標)T6600上に1.0重量%の1,2-デカンジオールをもたらした。
【0068】
実施例2
10部の代わりに5部の溶解した1,2-デカンジオールの溶液で実施例1の手順が繰り返された。これは、HySorb(登録商標)T6600上に0.5重量%の1,2-デカンジオールをもたらした。
【0069】
実施例3
10部の代わりに2.5部の溶解した1,2-デカンジオールの溶液で実施例1の手順が繰り返された。これは、HySorb(登録商標)T6600上に0.25重量%の1,2-デカンジオールをもたらした。
【0070】
実施例4
1,2-デセジオール溶液の代わりに、34.4部の塩化セトリモニウムの溶液(水中の29%溶液、MakingCosmetics Inc.)で実施例1の手順が繰り返された。これは、0.35重量%の化合物Aが注入されたHySorb(登録商標)T6600上に合計で1重量%の純粋な塩化セトリモニウムをもたらした。
【0071】
実施例5
1,2-デカンジオール溶液の代わりに、17.2部の塩化セトリモニウムの溶液(水中の29%溶液、MakingCosmetics Inc.)で実施例1の手順が繰り返された。これは、0.35重量%の化合物Aが注入されたHySorb(登録商標)T6600上に合計で0.5重量%の純粋な塩化セトリモニウムをもたらした。
【0072】
実施例6
1,2-デカンジオール溶液の代わりに、8.6部の塩化セトリモニウムの溶液(水中の29%溶液、MakingCosmetics Inc.)で実施例1の手順が繰り返された。これは、0.35重量%の化合物Aが注入されたHySorb(登録商標)T6600上に、合計で0.25重量%の純粋な塩化セトリモニウムをもたらした。
【0073】
実施例の結果を表2に示す。アンモニアBTTは室温でのインキュベーションに対応する。
【表2】
【0074】
表2に示されるように、アンモニアBTTは、本発明の実施例のそれぞれについて40時間を超えた。比較例1、5、および6は、室温で20時間未満のアンモニアBTTをもたらし、比較例のいずれも、室温で50時間を超えるアンモニアBTTをもたらさなかった。
【0075】
実施例1~6は、一次臭気制御剤と組み合わせて削減した量の補助臭気制御剤を使用することにより、AAPが20g/gを下回ることなく、高アンモニアBTTが達成可能であることを示している。実施例1~6のそれぞれにおいて、化合物Aが一次臭気制御剤として使用され、0.35重量%で固定された。塩化セトリモニウムおよび1,2-デカンジオールは、異なる補助臭気制御剤として使用され、さまざまな濃度で存在していた。
【0076】
実施例1~3において、1,2-デカンジオールは、実施例1の1重量%から実施例3の0.25重量%まで変化した。実施例1は、70時間を超えるアンモニアBTTを示した。ただし、AAPは20g/g未満であり、これは、1,2-デカンジオールの担持が比較的高いためであった。1,2-デカンジオールが減少すると、アンモニアBTTは40~50時間の範囲に減少した。AAPは両方とも20g/gを超えたままであり、これは望ましいことである。
【0077】
例4~6は、比較例よりも性能が大幅に向上した。ここで、塩化セトリモニウム濃度は、1重量%から0.25重量%まで降下させて変化させた。アンモニアBTTおよびAAPの性能は、3つの実施例すべてで一貫しており、アンモニアBTTは70時間を超え、AAPは20g/gを超えた。
【0078】
実施例2および5は、一次および補助臭気制御剤を使用した場合のアンモニアBTTに対する相乗効果をさらに示している。実施例2(0.35重量%の化合物Aおよび0.5重量%の1,2-デカンジオール)は、49時間のアンモニアBTTをもたらし、これは、比較例1(0.5重量%の1,2-デカンジオール)および比較例5(0.35重量%の化合物A)の各アンモニアBTTおよびそれらの合計(37時間)よりも大きかった。実施例5(0.35重量%の化合物Aおよび0.5重量%の塩化セトリモニウム)は、72時間超のアンモニアBTTをもたらし、これは、比較例4(0.5重量%の塩化セトリモニウム)および比較例5(0.35重量%の化合物A)の各アンモニアBTTおよびその合計(68.7時間)よりも大きかった。
【0079】
比較例8
綿毛パッドの長方形のシートは、HySorb(登録商標)6600超吸収剤粒子をセルロース繊維から作られた綿毛材料と乾式混合することによって調製された。ポリプロピレン不織布のトップシートが綿毛パッドシート上に置かれ、圧縮され、組み立て品(約99gの質量を有する)はそれぞれ直径約2インチの円形パッドに切断された。
【0080】
パッドには、任意の臭気制御剤で処理されていないHySorb(登録商標)6600を含んだ。各パッドにおけるHySorb(登録商標)6600は、パッドの重量に基づいて約20.2重量%で存在していた。アンモニアBTTは、35℃でのインキュベーション中に測定された。
【0081】
比較例9
塩化セトリモニウムの29%w/w溶液がHySorb(登録商標)6600に噴霧された後、99gの組み立て品を円形パッドに切断して合計で0.853gの塩化セトリモニウムを堆積させたことを除いて、比較例8の手順が繰り返された。これは、パッドの重量に基づいて0.25重量%で存在する塩化セトリモニウムをもたらした。
【0082】
比較例10
HySorb(登録商標)6600-化合物Aを注入したサンプルを追加の処理なしで使用したことを除いて、比較例8の手順が繰り返されたこれは、パッドの重量に基づいて0.07重量%で存在する化合物Aをもたらした。
【0083】
ここで、追加の発明の実施例を説明する。
【0084】
実施例7
塩化セトリモニウムの29%w/w溶液がHySorb(登録商標)6600-化合物A注入サンプルに噴霧された後、99gの組み立て品を円形パッドに切断して合計で0.853gの塩化セトリモニウムを堆積させることを除いて、比較例8の手順が繰り返された。これは、パッドの重量に基づいて、合計で0.25重量%の塩化セトリモニウムおよび0.07重量%の化合物Aをもたらした。
【0085】
実施例8
化合物Aおよび過酸化亜鉛が注入されたHySorb(登録商標)6600超吸着性粒子を使用したことを除いて、比較例8の手順が繰り返された。これは、パッドの重量に基づいて、合計で0.07重量%の化合物Aおよび0.06重量%の過酸化亜鉛をもたらした。
【0086】
実施例9
塩化セトリモニウムの29%w/w溶液が、化合物Aおよび過酸化亜鉛を注入したHySorb(登録商標)6600超吸着剤粒子に噴霧された後、99gの組み立て品を円形パッドに切断して合計で0.853gの塩化セトリモニウムを堆積させたことを除いて、比較例8の手順が繰り返された。これは、パッドの重量に基づいて、合計で0.07重量%の化合物A、0.25重量%の塩化セトリモニウム、および0.06重量%の過酸化亜鉛をもたらした。
【表3】
【0087】
表3に示されるとおり、2つの臭気制御剤を含む実施例7および8は、比較例8~10と比較して、より長いアンモニアBTTをもたらした。3つの臭気制御剤を含む実施例9は、実施例7および8よりもさらに長いアンモニアBTTをもたらした。
【0088】
前述の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を促すために、特定の材料、寸法、プロセスパラメータ等の様々な点で特定の詳細が示されている。特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0089】
本明細書で使用される「例」または「例示的」という語は、例、実例、または例示として機能することを意味する。本明細書において「例」または「例示的」と記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計より好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という語の使用は、概念を具体的な形で提示することを意図している。
【0090】
本出願で使用される場合、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、別途指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを含む」という文脈は、自然な包括的組み合わせのいずれかを意味することが意図されている。つまり、XがAを含み、XがBを含み、またはXがAとBの両方を含む場合、「XがAまたはBを含む」は、上記の例のいずれにおいても満たされる。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」および「an」は、特に明記しない限り、または単数形に関する文脈から明らかでない限り、「1つ以上」を意味すると一般に解釈されるべきである。
【0091】
本明細書全体を通して「ある実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での「ある実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」という句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているとは限らず、そのような言及は「少なくとも1つ」を意味する。
【0092】
上記の説明は例示を意図したものであり、限定を意図したものではないことを理解されるべきである。上記の説明を読んで理解すると、当業者においては他の多くの実施形態が自明となるであろう。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。