(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】口腔から唾液サンプルを収集するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
A61C 17/06 20060101AFI20240219BHJP
A61C 17/10 20060101ALI20240219BHJP
A61C 17/12 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61C17/06 Z
A61C17/10
A61C17/12
A61C17/06 C
(21)【出願番号】P 2021535776
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 IB2019060000
(87)【国際公開番号】W WO2020128679
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フゼア・リチャード
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541693(JP,A)
【文献】特開2009-066370(JP,A)
【文献】特開2005-215818(JP,A)
【文献】特開平07-101388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/06
A61C 17/10
A61C 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の口腔から唾
液サンプルを収集し、かつ分析するための
デバイスの作動方法であって、
前記デバイスが、
マウスピースであって、前記マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部、並びに基底内側壁部によって画定されたチャンバを含み、前記基底
内側壁部が前記前方内側壁部と前記後方内側壁部との間に延び
、前記チャンバの前記前方内側壁部及び前記後方内側壁部の各々が複数の開口部を含み、前記マウスピースが、流体の第1の部分を収容し、前記第1の部分を前記前方内側壁部の前記開口部を通じて前記チャンバに提供する第1のマニホールドと、前記流体の第2の部分を収容し、前記第2の部分を前記後方内側壁部の前記開口部を通じて前記チャンバに提供する第2のマニホールドと、前記流体の前記第1の部分を前記第1のマニホールドに、かつこれから運搬するための第1のポートと、前記流体の前記第2の部分を前記第2のマニホールドに、かつこれから運搬するための第2のポートと、前記マウスピース内に設置されたスイッチと、を更に含んだ、マウスピースと、
前記口腔から前記唾液サンプルを収集し、前記唾液サンプルの分析を実施するための手段と、を含
み、
前記スイッチが、咬合運動に敏感な場所で前記マウスピース内に設置され、前記スイッチを噛み締めることによって起動されるように構成され、
前記スイッチが起動することにより、前記デバイスが、前記口腔から前記唾液
サンプルの収集を開始し、
前記スイッチの起動後、前記スイッチ上で3回以上噛み締められることによって、前記デバイスが、唾液収集を停止させ
、洗浄/処理プロセス
に切り替えられるように
構成される、方法。
【請求項2】
前記デバイスが、
(i)流体を前記第1のマニホールドを通じて前記チャンバ内に、前記第2のマニホールドを通じて前記チャンバ外に方向付けることと、(ii)流体を前記第2のマニホールドを通じて前記チャンバ内に、前記第1のマニホールドを通じて前記チャンバ外に方向付けることと、を交互に行うためのポンプシステムを含む、往復運動を提供するための手段を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記唾液サンプルを収集するための前記手段が、前記唾液
サンプルの収集専用のマニホールド、前記マウスピースの周りに離間した間隔で配置されたオリフィス及び複数のノズル、前記
前方及び後方内側壁部のうちの少なくとも1つにおける前記開口部、前記第1のマニホールド及び前記第2のマニホールドのうちの少なくとも1つ、並びに前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの少なくとも1つからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記唾液サンプルを収集するための前記手段が、前記
前方及び後方内側壁部のうちの少なくとも1つにおける前記開口部、前記第1のマニホールド及び前記第2のマニホールドのうちの少なくとも1つ、並びに前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの少なくとも1つからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
哺乳類の口腔から唾液を収集するための
デバイスの作動方法であって、
前記デバイスがマウスピースを含み、
前記マウスピースが、前記マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部並びに基底内側壁部によって画定されたチャンバを含み、前記基底
内側壁部が、前記前方内側壁部と前記後方内側壁部との間に延び、前記チャンバの前記前方内側壁部及び前記後方内側壁部の各々が、複数の開口部と、前記マウスピース内に設置されたスイッチと、を含み、
前記デバイスが、唾液収集リザーバと、流体供給リザーバと、ポンプと、前記デバイスを通じて流体を方向付けるための手段と、を更に含
み、
前記スイッチが、咬合運動に敏感な場所で前記マウスピース内に設置され、前記スイッチを噛み締めることによって起動されるように構成され、
前記スイッチを起動することにより、前記デバイスが、収集のために前記口腔から前記唾液収集リザーバに唾液をポンプ圧送
し、
前記スイッチの起動後、前記スイッチ上で3回以上噛み締められることによって、前記デバイスが、前記唾液収集リザーバへの唾液の前記ポンプ圧送を停止
し、
前記口腔の洗浄又は処理のために前記流体供給リザーバから前記マウスピースに流体をポンプ圧送する
動作に切り替えられるように構成される、
方法。
【請求項6】
前記スイッチがタイマー構成要素を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記唾液収集リザーバ及び前記タイマー構成要素に唾液をポンプ圧送することが、前記スイッチの噛み締めによって開始される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記唾液収集リザーバへの唾液のポンプ圧送が、前記タイマー構成要素の開始からの設定時間の後に停止され、前記口腔の洗浄又は処理のために、前記流体供給リザーバから前記マウスピースに流体をポンプ圧送することが開始される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイスが側方流動技術、マイクロ流体イムノアッセイ、DNA-DNAハイブリッド形成、カラーメトリック、フォトイメージング、ガスクロマトグラフィー、酸化亜鉛半導体センサ、定量的光蛍光及び定量的ポリメラーゼ連鎖反応からなる群から選択される方法によって、収集された前記唾液を分析する
ための手段を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイスが唾液サンプル刺激剤及び集塊剤からなる群から選択される薬剤を導入する
ための手段を更に含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析のために口腔から唾液サンプルを収集するための家庭内使用に好適なデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
唾液試験は、内分泌腺、免疫学的、炎症性、感染性、及び他の種類の状態のマーカーを同定するための唾液の分析を伴う診断技術である。唾液は、コルチゾールなどのステロイドホルモン、RNAなどの遺伝物質、酵素及び抗体などのタンパク質、並びに、唾液亜硝酸を含む天然代謝産物、一酸化窒素状態のバイオマーカーを含む様々な他の物質をアッセイするための有用な生物学的流体である。唾液試験を使用して、クッシング病、無排卵、HIV、癌、寄生虫、性腺機能低下症、及びアレルギーを含む多数の状態及び疾患状態をスクリーニングするために又は診断するために使用される。
【0003】
唾液の利点としては、収集の容易さ、安全性、非侵襲性、適正価格、及び精度が挙げられる。加えて、複数のサンプルを容易に得ることができるため、唾液試験は、数時間、数日間、又は数週間にわたる経時的な生物学的評価を行うのに特に有用である。
【0004】
唾液全体の大きなサンプルを収集することは、無数の利点を有する。大きいサンプルサイズの収集は、サンプルを2つ以上のバイオマーカーについて試験することを可能にする。受動的流涎、並びに唾液サンプル刺激剤の使用は、唾液全体の大きなサンプルを収集することができる1つの方法である。しかしながら、受動的流涎は時間がかかり、唾液サンプル刺激剤の使用は、サンプルの汚染の可能性を増加させ得る。
【0005】
日常的な口腔衛生が一般的に、歯周病、歯肉炎及び/又は虫歯の発現、進行、及び/又は悪化に対する効果的な予防措置として認識されている。しかしながら、残念なことに、十分な歯磨きやデンタルフロスの実施を行っている最も注意深い個人でさえも、多くの場合、歯茎の奥及び/又は歯間深くの食物微粒子、歯垢又はバイオフィルムに達したり、それらを緩めたりかつ除去したりすることができていない。ほとんどの個人は、歯石(tarter)堆積物を除去するために半年ごとに専門家による歯の洗浄を受ける。
【0006】
長年にわたり、単純な歯の家庭洗浄を促進するための製品が考案されてきたが、使用が簡単でかつ歯及び/又は歯肉若しくは歯肉縁下部の全ての表面を同時に洗浄するための単一のデバイスは未だ入手可能でない。従来の歯ブラシは広範に使用されているがこれは、効果的であるためには多大な労力を投じることを必要とし、更に従来の歯ブラシは隣接歯間領域を十分に洗浄することができない。歯間領域の洗浄は、現在、歯ブラシ以外に、フロス、楊枝、又はいくつかのそのような他の追加的なデバイスを必要とする。
【0007】
電動歯ブラシは、適切な近位歯間洗浄を確実にするのに不十分である。口腔イリガートルは歯の間の隣接歯間領域を洗浄するものとして既知である。しかしながら、このようなデバイスは、食渣を除去するために、関連する正確な歯間領域に向けられなくてはならない単一のジェットを有する。これらウォーターポンプ式洗浄機は、そのため、典型的には、食物の大径粒子をそこに捉えるブレースを有する歯に関してのみ有意義である。食渣及び歯垢の両方が歯から除去されるべき場合においては、現在、多くのデバイスを組み合わせて使用しなくてはならず、これは非常に時間がかかり、不便であることが理解される。
【0008】
加えて、このような実施及びデバイスが効果的であるためには、消費者が技術及び/又は指示を高度に遵守することが要求される。時間、洗浄/処理方式、技術などのユーザー間における違いは、歯の洗浄に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
要約すると、唾液収集及び試験は、個体の健康を評価するために安全で、容易で、非侵襲性で、適正価格で、かつ正確な診断技術である。唾液全体の大きなサンプルを収集する単純な方法は、無数の利点を有する。加えて、唾液全体を収集し、有害な状態を改善するか、又は口腔の美容的外観を改善するためのデバイス及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、哺乳類の口腔から唾液を収集するための方法であって、マウスピースを含んでデバイスのマウスピースを哺乳類の口腔内に配置することであって、マウスピースが、マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部並びに基底内側壁部によって画定されたチャンバを含み、チャンバの前方内側壁部及び後方内側壁部の各々が、複数の開口部と、マウスピース内に設置されたスイッチと、を含み、デバイスが、唾液収集リザーバと、流体供給リザーバと、ポンプと、当該デバイスを通じて流体を方向付けるための手段と、を更に含む、配置することと、
収集のために口腔から唾液収集リザーバに唾液をポンプ圧送するように、マウスピース内に設置されたスイッチを起動させることと、
唾液収集リザーバへの唾液のポンプ圧送を停止することと、
続いて、口腔の洗浄又は処理のために流体供給リザーバからマウスピースに流体をポンプ圧送することと、を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明において使用されてもよい装置の一実施形態の概略図である。
【
図2】本発明において使用されてもよい装置の代替的な実施形態の概略図である。
【
図3】本発明において使用されてもよい適用トレーの、第1の実施形態の上面前方斜視図である。
【
図4】
図3の適用トレーの実施形態の底部後面斜視図である。
【
図7a】本発明において使用されてもよいシステムの実施形態の前方上面斜視図である。
【
図7b】システムのハンドピース区分の前方上面斜視図である。
【
図7c】システムの流体リザーバ区分の前方上面斜視図である。
【
図7d】
図7cの流体リザーバの領域の挿入図である。
【
図7e】システムのハンドピース区分の断面図である。
【
図7f】
図7eのハンドピースの領域の挿入図である。
【
図7g】基部ステーションに取り付けられた流体リザーバを有する、
図7aのシステムの前方上面斜視図である。
【
図7h】
図7gの基部ステーションの領域の挿入図である。
【
図7i】
図7aのシステムの基部ステーションの切取図である。
【
図7j】基部ステーションに取り付けられた流体リザーバを有する、
図7aのシステムの切取図である。
【
図7k】基部ステーションに取り付けられた流体リザーバ及びハンドピースを有する、
図7aのシステムの切取図である。
【
図7l】
図7kの基部ステーション及びハンドピースの領域の挿入図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、哺乳類の口腔から唾液サンプルを収集するのに好適なデバイスを目的とする。デバイスは、ユーザーの歯の周囲に嵌合するためのチャンバと、口腔から唾液サンプルを収集するための手段と、を含む、適用トレー又はマウスピースを含む。特定の実施形態では、マウスピースは、口腔の複数の表面上に流体を方向付けるのに好適である。このような実施形態では、チャンバは、口腔の複数の表面に近接して流体を維持し、前方内側壁部及び後方内側壁部は、複数の開口部を含む。マウスピースは、流体の第1の部分を収容し、第1の部分を前方内側壁部の開口部を通じてチャンバに提供する第1のマニホールドと、流体の第2の部分を収容し、第2の部分を後方内側壁部の開口部を通じてチャンバに提供する第2のマニホールドと、流体の第1の部分を第1のマニホールドに、かつこれから運搬するための第1のポートと、流体の第2の部分を第2のマニホールドに、かつこれから運搬するための第2のポートと、を含む。マウスピースは、口腔内でマウスピースの有効な封止を提供するための手段を更に含む。本発明は、口腔から唾液サンプルを収集し、かつ分析する方法であって、口腔内にデバイスを配置するステップと、唾液サンプルを収集するステップと、唾液サンプルの分析を実施するステップと、を含む、方法を更に目的とする。
【0013】
用語「流体の往復移動」及び「流体の往復運動」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書において使用するとき、双方の用語とも、哺乳類の口腔表面にわたって、第1の流れ方向から第1の流れ方向と反対の第2の流れ方向へと、流体の流れ方向を前後に変更することを意味する。
【0014】
「有効な密着又は封止」とは、口腔内の複数の表面上に、又は表面の周りに、流体を方向付けるための手段、例えば、適用トレーとの間の封止のレベルが、使用中の、そのトレーから口腔内への流体の漏出の量が十分に低いものであることにより、使用される流体の量が低減されるか、又は最小限に抑えられ、かつユーザーの快適性が維持される、例えば、窒息又は嘔吐が回避されるようなものであることを意味する。制限を意図しないが、吐き気とは、軟口蓋の後方、咽頭壁、扁桃領域又は舌の付け根の刺激によって生じる咽喉の奥の反射的な(すなわち、意図的な運動ではない)筋肉収縮であり、異物が咽頭及び気管に侵入することを防ごうとする防御運動を意味するものとして理解される。咽頭反射は、個人によってばらつきがある(例えば、口のどの領域がこれを刺激するか)。吐き気の身体的な原因に加え、吐き気に対する心理的要素が存在し得る(例えば、窒息に対する恐怖がある人々は、口内に何かが入ると容易に吐き気を催し得る)。
【0015】
本明細書で使用するとき、「流体を移送するための手段」とは、それを通じて、流体が、本発明によるシステム及びデバイスの全体にわたって移行するか、又は輸送されることが可能な構造を含み、経路、導管、管、ポート、ポータル、チャネル、ルーメン、パイプ、及びマニホールドが挙げられるが、これらに限定されない。流体を移送するためのこのような手段は、流体の往復運動を提供するデバイス及び口腔表面上及びその周囲に流体を方向付けるための手段に使用され得る。このような移送手段はまた、流体を収容するためのリザーバから、方向付け手段に流体を提供し、かつ往復運動手段に流体を提供する(リザーバが往復運動手段を収納する手持ち式デバイス内に収容されていても又は基部ユニットに収容されていても)。この移送手段はまた、基部ユニットから、手持ち式デバイス内部に収容される流体リザーバにも、流体を提供する。
【0016】
本明細書に記載される発明は、分析及び診断目的のために、哺乳類、例えばヒトの口腔から唾液サンプルを収集するのに有用な方法及びデバイスを含む。本発明のデバイスは、唾液の収集を提供するだけでなく、口腔、例えば洗浄又は処理に有益な効果を提供することもできる。
【0017】
本発明によるマウスピースの使用は、本明細書で以下により詳細に記載されるように、より高品質かつより均一な診断唾液サンプルのために、口腔のより広い領域にわたって一貫してサンプルをサンプル採取する能力を提供し、また、口腔内の特定の部位に一貫したサンプル収集を提供する。本発明のデバイス及び方法は、サンプル採取前、サンプル採取中、又はサンプル採取後に、唾液サンプルを生体内で調製するという利点を提供する。特定の実施形態では、より一貫した高品質の唾液サンプルを提供することができる唾液サンプル刺激剤及び/又は集塊剤は、唾液サンプルの収集前、収集中、又は収集後に、導入されてもよい。
【0018】
特定の方法は、分析のために口腔から唾液サンプルを収集すること、及び、口腔の複数の表面を、所望の有益効果を口腔に提供するために有効な流体と接触させることを含む。そのような方法では、口腔の複数の表面にわたる流体の往復運動が、所望の有益効果を口腔に提供するために有効な条件下で提供される。複数の表面の、流体との接触は、実質的に同時に実施することができる。実質的に同時とは、口腔の複数の表面の全てが、唾液によって必ずしも同時に接触されるわけではないが、それらの表面の大部分が、同時に、又は短期間のうちに接触して、全ての表面が同時に接触する場合の効果と同様の、全体的効果を提供することを意味する。唾液サンプルの収集は、口腔の表面を流体と接触させる前に、又はそれと同時に、又はそれに続いて実施されてもよい。特定の実施形態では、収集は、口腔の表面を流体と接触させる前に、同時に、及びそれに続いて実施されてもよい。
【0019】
口腔内に所望の有益効果を提供するための条件は、特定の環境、状況、及び求められる効果によって変化し得る。それらの種々の変数は、それらが、流体の特定の速度を生じさせるという点で、相互依存的である。速度要件はいくつかの実施形態において配合の関数であり得る。例えば、粘度、添加物(例えば、研磨剤、ずり減粘剤など)、及び配合物の一般的な流量特性の変化により、同じレベルの有効性を生成するためのジェットの速度要件は変化し得る。求められる特定の有益効果を達成するための適切な条件を提供するために検討され得る要因としては、非限定的に、流体蒸気の速度及び/又は流量及び/又は圧力、流体の脈動、流体のスプレー形状又はスプレーパターン、流体の温度及び流体の往復運動周期の周波数が挙げられる。
【0020】
流体圧力、すなわち、噴出口を通じて出る前のマニホールド圧力は、約0.5psi~約30psi、又は約3~約15psi、又は約5psiであり得る。流体の流量は、約10mL/s~約60mL/s、又は約20mL/s~約40mL/sであり得る。より大きく、かつより高品質のジェットは、所与の圧力/速度においてより高い流量を必要とすることに留意すべきである。パルス周波数(パルス長さ及び供給量(mL/パルス))は、約0.5Hz~約50Hz、又は約5Hz~約25Hzであり得る。送達パルス・デューティサイクルは、約10%~100%、又は約40%~約60%であり得る。100%ではパルスは存在しないが、代わりに、連続的な流体の流れが存在することに留意されたい。供給パルス容積(全ての噴出口/ノズルを通じた合計容積)は、約0.2mL~約120mL、又は約0.5mL~約15mLであり得る。噴出されるパルスの速度は約4cm/s~約400cm/s、又は約20cm/s~約160インチ/sであり得る。真空デューティサイクルは、約10%~100%、又は約50%~100%であり得る。真空は常に100%であることに留意する。容積送達と真空の比率は、約2:1~約1:20、又は約1:1~1:10であり得る。
【0021】
流体は、求められる有益効果を提供するために有効な少なくとも1つの成分又は薬剤を、口腔表面と接触したときに有益効果を提供するために有効な量で含み得る。例えば、この流体は液体であってもよく、液体は、限定するものではないが、洗浄剤、抗菌剤、石灰化剤、減感剤、界面活性剤、及び白化剤からなる群から選択される成分を含み得る。特定の実施形態において、2種類以上の液体が単一セッションで使用され得る。例えば、洗浄溶液が口腔に適用され、続いて、例えば白化剤又は抗菌剤を含有する第2溶液が適用されてもよい。溶液はまた、単一の適用によって2つ以上の利益を達成するために複数の薬剤を含み得る。例えば、以下で更に記載されるように、溶液は、洗浄剤及び有害な状態を改善するための薬剤の両方を含み得る。加えて、口腔に2つ以上の有益効果を提供するために、単一の溶液が有効であり得る。例えば、溶液は、口腔を洗浄し、かつ抗菌剤として作用するか、又は口腔を洗浄し、かつ歯を白化する単一の薬剤を含み得る。
【0022】
口腔の美的外観を改善するために有用な液体は、口腔内で歯を白化するための白化剤を含み得る。このような白化剤としては、非限定的に、過酸化水素及び過酸化カルバミド、又は歯に適用されると過酸化水素水を生成し得る他の薬剤が挙げられる。他の白化剤としては、シリカ、重炭酸ナトリウム、アルミナ、アパタイト、及びバイオグラスなどの研磨剤が挙げられる。
【0023】
研磨剤は歯を洗浄及び/又は白化するように作用し得る一方で、いくつかの研磨剤はまた、エナメルの欠損及び歯の小管の露出により生じる歯の過敏症を改善するように作用し得ることに留意すべきである。
【0024】
いくつかの実施形態において、液体は、3~6の炭素原子を有するアルコールを含有する抗菌組成物を含み得る。液体は抗菌口腔洗浄組成物、特に低減したエタノール含有量を有するか又は実質的にエタノールを含まず、歯垢、歯茎疾患及び口臭を防ぐために高い効果を提供するものであってよい。3~6個の炭素原子を有するアルコールは、脂肪族アルコールであることに留意する。3つの炭素を有する特定の脂肪族アルコールは、1-プロパノールである。
【0025】
一実施形態において、液体は、(a)抗菌有効量のチモール及び1つ又は2つ以上の他の精油、(b)約0.01%~約70.0%v/v、約0.1%~約30%v/v、約0.1%~約10%v/v、又は約0.2%~約8%v/vの、3~6個の炭素原子を有するアルコール、及び(c)ビヒクルを含む、抗菌組成物を含み得る。アルコールは1-プロパノールであり得る。液体ビヒクルは、水性又は非水性であり得、特定の稠度を有する組成物を提供するために増粘剤又はゲル化剤を含み得る。水及び水/エタノール混合物は好ましいビヒクルである。
【0026】
液体の別の実施形態は、(a)抗菌有効量の抗菌剤、(b)約0.01%~約70%v/v又は約0.1%~約30%v/v、又は約0.2%~約8%v/vのプロパノール、及び(c)ビヒクルを含む、抗菌組成物である。本実施形態の抗菌組成物は従来技術のエタノールシステムと比較して予想を上回る優れた送達系速度を呈する。利用され得る代表的な抗菌剤としては、非限定的に、精油、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、ヘキセチジン、キトサン、トリクロサン、臭化ドミフェン、フッ化第一スズ、可溶性ピロリン酸塩、酸化亜鉛が挙げられるがこれらに限定されない酸化金属、ペパーミント油、セージ油、血根草、二カルシウム水和物、アロエベラ、ポリオール、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及びクエン酸亜鉛などが挙げられるがこれらに限定されない金属塩などが挙げられる。本実施形態の特に好ましい態様は、例えば、約30%v/v以下、約10%v/v以下、又は約3%v/vの1-プロパノールを有する口腔洗浄剤などの、抗菌口腔組成物を対象とする。
【0027】
液体の更に別の実施形態は、(a)抗菌有効量のチモール及び1つ又は2つ以上の他の精油と、(b)約0.01%~約30%v/v、又は約0.1%~約10%v/v、又は約0.2%~約8%v/vの、3~6個の炭素原子を有するアルコールと、(c)約25%v/v以下の量のエタノールと、(d)少なくとも1つの界面活性剤と、(e)水と、を含む、低減したエタノールの抗菌口腔洗浄組成物である。好ましくは、エタノール及び3~6個の炭素原子を有するアルコールの合計濃度は、30%v/v以下、25%v/v以下、又は22%v/v以下である。
【0028】
更に別の実施形態では、液体は、(a)抗菌有効量のチモール及び1つ又は2つ以上の他の精油と、(b)約0.01%~約30%v/v、又は約0.1%~約10%v/v、又は約0.2%~約8%の、3~6個の炭素原子を有するアルコールと、(c)少なくとも1つの界面活性剤と、(d)水と、を含む、エタノールの含まれない抗菌口腔洗浄組成物である。
【0029】
3~6個の炭素原子を有するアルコールは好ましくは、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、第三級ブタノール及び対応するジオールからなる群から選択される。1-プロパノール及び2-プロパノールが好ましく、1-プロパノールが最も好ましい。
【0030】
例えば、歯垢の形成、食物微粒子、バイオフィルムなどの除去又は分解など、洗浄によって口腔の口内衛生を一般的に改善することに加えて、本発明は口腔内の有害な状態を診断し、かつ改善し、口腔の美的外観を改善するために有用である。有害な状態としては、非限定的に、虫歯、歯肉炎、炎症、歯周病と関連する症状、口臭、歯の感度、及び菌感染などを挙げることができる。液体自体は様々な形態であり得るが、本発明のデバイス及び方法における使用に好適な流動特性を有することが条件となる。例えば、液体は、溶液、エマルション及び分散液からなる群から選択され得る。特定の実施形態において、液体は、液相(例えば、水相)中に分散した微粒子(例えば、研磨剤)を含み得る。そのような場合、研磨剤は、口腔表面に適用されるために水相中に実質的に均一に分散されることになる。他の実施形態において、水中油型、又は油中水型エマルションが使用され得る。そのような場合、液体は場合によって、連続的な水相中に実質的に均一に分散した非連続的な油相、又は連続的な油相中に実質的に均一に分散した非連続的な水性相を含む。更に他の実施形態において、液体は、薬剤がキャリア中に溶解しているか又はキャリア自体が所望の有益効果を提供するための薬剤とみなされ得る(例えば、通常内部に他の薬剤が溶解しているアルコール又はアルコール/水混合物)溶液であり得る。
【0031】
本発明は、家庭用用途に好適であり、口腔から唾液サンプルを収集し、歯及び/又は歯肉領域の複数の表面上に流体を方向付けるように適合されたデバイス、例えば、口腔衛生デバイス、例えば、歯洗浄装置を含む。特定の実施形態では、口腔表面は、流体によって実質的に同時に接触される。本明細書において使用するとき、歯肉領域への言及は、非限定的に、歯肉縁下部ポケットへの言及を含む。口腔の洗浄及び/若しくは美的外観の全般的な改善、並びに/又は歯及び/若しくは歯肉領域の有害な状態の改善を提供するために有効な条件下で、適切な流体が、往復作用で歯及び/又は歯肉領域の複数の表面上に、実質的に同時に方向付けられることにより、歯及び/又は歯肉領域の口腔衛生の全般的な改善が提供される。例えば、1つのそのようなデバイスは、適切な洗浄液を使用して、歯の前面及び裏面、並びに隣接歯間領域にわたって、前後に流体を往復させることにより、洗浄周期を作り出すと共に、使用される洗浄液の量を最小限に抑えることによって、歯及び/又は歯肉領域を洗浄して歯垢を除去する。
【0032】
流体の往復運動を提供する本発明のデバイスは、流体の往復運動を制御する手段を含む。制御手段は、流体を口腔の複数の表面上に方向付けるための手段へ、また、その手段から流体を移送するための手段を含む。本明細書において以下でより詳細に記載されるように、いくつかの実施形態において、流体の往復運動を提供するための手段は、流体を受容及び排出するための複数のポータル、流体がそれを通じて移送される複数の経路又は導管、及び流体の往復運動を提供するために液体の流れ方向を変えるための手段を含む。制御手段は、論理回路及び/又は機械的に制御された回路によって制御され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、往復運動を提供するためのデバイスは、流体を収容するためのリザーバに、そのデバイスを取り付けるか又は接続するための手段を含み得る。リザーバはデバイスに取り外し可能に取り付けられ得る。この場合は、リザーバ及びデバイスは、一方を他方に取り付けるための手段を含み得る。プロセスの完了後、リザーバは廃棄されて別のリザーバと交換されてもよく、又は再充填されて再使用されてもよい。他の実施形態において、往復運動するデバイスはデバイスと一体のリザーバを含む。デバイスを基部ユニットに取り付けることができる実施形態では、本明細書に記載するように、リザーバは、デバイスと一体であるか又はデバイスに取り外し可能に取り付けられるかにかかわらず、基部ユニットの一部を形成する供給リザーバから充填され得る。基部ユニットが使用される場合、デバイス及び基部ユニットは、一方を他方に取り付けるための手段を含む。
【0034】
デバイスは、流体を往復させるための手段を駆動するための電源を含む。例えば、電池(再充電可能又は使い捨て)などの電源が、デバイス内(例えば、デバイスのハンドル内)に収容され得る。基部ユニットが利用され得る場合、基部はデバイスに電力を提供するための手段を含み得る。他の実施形態において、基部ユニットは、デバイス内に収容される再充電可能な電池を再充電するための手段を含み得る。
【0035】
流体の往復運動を提供するためのデバイスは、デバイスを、口腔の複数の表面に流体を方向付けるための手段(例えば、適用トレー又はマウスピース)に取り付けるための手段を含む。いくつかの実施形態において方向付け手段は、口腔の複数の表面と液体との実質的に同時の接触を提供する。取り付け手段は、デバイスへの取り外し可能なマウスピースの取り付けを提供し得る。いくつかの実施形態において、多数のユーザーが自らのマウスピースを、往復運動手段を含む単一のデバイスと共に使用し得る。他の実施形態において、取り付け手段はマウスピースに取り外し不可能な取り付けを提供してもよく、よってマウスピースはデバイスの一体部分である。上述のような往復運動を提供するためのデバイスを、以降で説明するように、他のデバイス構成要素と共にハウジング内に収容することにより、方向付け手段に流体を提供するために好適な手持ち式デバイスを提供することができる。
【0036】
口腔の表面上に流体を方向付けるための手段(例えば、適用トレー又はマウスピース)は、複数の構成要素を含む。方向付け手段は、流体を複数の表面に近接するように維持するためのチャンバ(すなわち、液体接触チャンバ(LCC))を含む。「近接して」とは、流体が、表面と接触した状態に維持されることを意味する。LCCは、マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部、並びにマウスピースの前方内側壁部と後方内側壁部との間に延び、これと一体の壁部又は膜、及びいくつかの実施形態においては後方歯茎封止膜によって境界される空間によって画定される。前方内側壁部及び後方内側壁部と共に、その間に延びる壁部及び後方歯茎封止膜が液体接触チャンバ膜(LCCM)を形成する。液体との均一かつ最適な接触を提供するために、歯の整列に適合するマウスピースの配置によって、LCCMの一般的形状は、「U」又は「n」の形状である。LCCMは、特定の方向付け手段によって、可撓性又は剛性であり得る。膜は、LCCMの基底膜として配置され得る。LCCMの前方及び後方内側膜はそれぞれ、複数の開口部又はスロットを含み、液体がこれらを通じて口腔の複数の表面と接触するように方向付けられる。
【0037】
LCCMの設計は、快適性を提供し、ユーザーの嘔吐反射を最小限に抑えるために、サイズ、形状、厚さ、材料及び歯/歯肉の周囲に作り出される容積、ノズルの設計及び配置(これはマニホールド及び歯肉縁部封止と共に、口腔及び歯と関連する)と関連して、最大有効性のために最適化することができる。上記の組み合わせが歯及び歯肉領域と液体との効果的な接触を提供する。
【0038】
LCCMは、既知の体積を有する、制御され、分離された環境(すなわち、LCC)を提供し、歯及び/歯肉領域を液体と接触させ、その後、消費された液体、並びに細片、歯垢などをLCCから、口腔全体を液体、細片等に曝露することなく除去する。これは、液体の摂取の可能性を低減する。LCCMはまた、例えば、十分な洗浄を提供するために著しい流量が必要とされる場合に、個別のノズルを引くことなく、液体の流量及び圧力の増加を可能にする。LCCMはまた、口腔全体ではなくLCCの内部の領域のみが液体と接触するために、必要とされる際の液体量及び流量の低減を可能にする。LCCMはまた、歯及び歯肉領域上、これらを通じた及びこれらの周囲の液体との接触の制御された供給量及び持続時間を可能にし、液体と接触する領域上の液体のより高い濃度を可能にし、それによって液体のより有効な制御及び供給を提供する。
【0039】
LCCMはまた、検出又は診断での使用のための口腔ケア空洞内の、マウスピースの正確な位置決めによる、口腔の制御されたサンプル採取も可能にし得る。また、様々な方法を通じて、歯茎の健康状態の撮影及び/又は診断も提供できる。本システムはまた、限定するものではないが、舌、頬、歯肉などのような、他の口腔領域を洗浄及び/又は処理するための機能性を拡張する能力も提供する。
【0040】
使用中、診断分析のために唾液サンプルを口腔から収集する。口腔の制御されたサンプル採取の利点としては、リアルタイム分析及びユーザーへのフィードバック、マウスピースによる一貫したサンプル採取、及びユーザーの口腔状態のベースラインを作成する能力、及び個人別分析のために経時的傾向を自動的に分析する能力を含み得る。マウスピースは、口腔内のサンプル唾液の一貫した収集のための優れた機会を提供する。「一貫した収集」とは、唾液の収集、したがって唾液サンプルが、コンプライアンス又はユーザーによって使用される技術によって影響を受けないことを意味する。マウスピースは、毎回同じ様式でユーザーの口内に固定されてもよく、したがって、サンプル収集ごとに唾液サンプルを同じ場所で収集するための手段を配置する。更に、収集環境は、毎回一貫し、制御されてもよい。特定の実施形態では、サンプル採取環境及び/又は場所は、マウスピース内に配置されたセンサからのフィードバックを介して確認され得る。
【0041】
多くの診断試験が個人ごとに変化するため、ユーザーは、日常的及び定期的な試験から個人ベースラインを理解することで利益を得られる。ユーザーのベースラインは、システムの使用ごとに完全かつ適切な分析を可能にする時間にわたって決定され得る。
【0042】
口腔からの唾液を使用して、様々な有益な診断分析を行うことができる。唾液の多くの収集方法が当該技術分野において存在するが、これらは、正しい量の所望の唾液を収集するために適切な技術で専門訓練を必要とすることが多い。次いで、サンプルを二次プロセスで分析しなければならない。本明細書で論じられるマウスピースは、反復可能な分析のために唾液の一貫した収集を可能にする。
【0043】
本発明のデバイスは、洗浄/処理プロセスの開始前に新鮮な唾液を最初に収集するように設計されている。これは、咬合運動に敏感な場所で、適用トレー(マウスピース)内又はその上に設置されたスイッチを有することによって達成される。使用中、マウスピースは最初に口に挿入される。ユーザーはマウスピースを噛み締め、口腔から唾液の収集を開始するようにスイッチを起動する。
【0044】
いくつかの実施形態では、ユーザーは、咀嚼運動においてマウスピースを繰り返し噛み締める。咀嚼は、口腔内の唾液の産生を刺激することが知られており、それにより大量の新鮮な唾液が得られる。設定数の咬合の後、唾液の収集が停止され、洗浄/処理プロセスが開始される。唾液収集から洗浄/処理へとデバイスを切り替えるためのマウスピースの咬合の設定数は、2回以上、又は3回以上、又は6回以上、又は8回以上、又は10回以上である。
【0045】
他の実施形態では、ユーザーがまずマウスピースを噛み締めると、スイッチが口腔からの唾液の収集を起動し、またタイマーも起動する。ユーザーは、口腔内の唾液の産生を刺激するために、咀嚼運動においてマウスピースに繰り返し噛み締める。設定時間後、唾液の収集が停止され、洗浄/処理プロセスが開始される。唾液収集から洗浄/処理へとデバイスを切り替える時間は、約2秒超、又は約5秒超、又は約10秒超、又は約15秒超である。
【0046】
マウスピースが口に挿入されるたびに、マウスピースは同じ位置に配置される。唾液のサンプル採取のために、複数のノズルが口腔全体に配置される。システムが動作するとき、洗浄/処理流体は、器具を通じて口腔内に、また、口腔外に移動し得る。唾液が口腔を通じて移動するとき、唾液は流体と混合され、したがって、システムを通じて唾液を移動させることができる。混合溶液は、後で分析するために機能しているか又は保存されているために、デバイス内で分析され得る。所望であれば、いくつかの手段を使用して唾液の産生を増加させ、全体的なシステム唾液混合物中の唾液の割合を増加させることができる。方法としては、システム動作中の唾液分泌誘発性唾液の使用、特定の唾液誘発臭へのユーザー曝露、電気刺激、超音波刺激、又は機械的刺激が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
あるいは、唾液混合物は、マウスピース内の別個の、かつ/又は特定のマニホールドを通じて収集されてもよい。収集の任意の手段を通じて、唾液は、洗浄/処理プロセスの前、洗浄/処理プロセスの間、若しくは洗浄/処理プロセスの後に、又はこれらの任意の組み合わせで収集されてもよい。
【0048】
マウスピースはまた、舌と接触して唾液を吸引する、又は吸収する収集手段を有してもよい。舌に接触するプローブ又はパッドは、唾液を収集するために舌上の真空を引く1つ又は2つ以上のノズルを有してもよい。あるいは、パッドは唾液を吸収し、二次プロセスで唾液を自動的に抽出し、又は別の方法でパッド上の唾液を直接分析してもよい。上記技術と同様に、この方法は、ユーザーにとって技術及びコンプライアンスを必要としない。
【0049】
唾液サンプルは、いくつかの口腔衛生状態の診断サンプルとして利用され、様々な診断方法を介して分析され得る。
【0050】
デバイスは、唾液サンプルに対して実施されたマイクロ流体イムノアッセイを介して虫歯リスクを診断して、S.mutansに特異的なタンパク質抗原及び/又は出力の蛍光検出によってラクトバチルス菌を検出してもよい。アッセイは、毎週又は毎月行われてもよく、細菌のレベルが高虫歯リスクの閾値を超えた場合にユーザーに登録された警告を行うことができる。あるいは、デバイスは、当該技術分野において既知のように、pHインジケータと共に埋め込まれた一連の吸収パッドを使用して唾液の緩衝能力を測定してもよい。ユーザーへの警告は、虫歯のリスクが高いことを示す、低い緩衝能力の結果によってトリガされ得る。追加の代替例として、デバイスは、フッ化物イオン電極を使用して、唾液中のフッ化物イオンの濃度を直接測定することができる。ベースラインは、フッ化物イオン濃度を、特定の期間にわたって毎日又は毎週監視することによって確立され得る。ベースライン濃度傾向からのいかなる有意な偏差も、ユーザーに警告をトリガするであろう。
【0051】
デバイスは、歯肉炎及び歯周炎に関連付けられた細菌に特異的な抗原の存在について唾液サンプルを分析するために、マイクロ流体イムノアッセイを使用してもよい。アッセイは、毎日、毎週又は毎月行われてもよく、データは経時的に記録される。通常の傾向からのいかなる有害な偏差も、更なる評価のために、歯科専門家に相談するようユーザーに警告するであろう。
【0052】
あるいは、デバイスは、側方流動技術(LFT)試験を使用して唾液サンプルを分析してもよい。収集後、サンプルは細菌細胞溶解剤と混合され得、得られた混合物は、当該技術分野において既知であるように、虫歯リスク(carries risk)を評価するためにS.mutansに特異的な抗原を検出し得る基部ステーション内で側方流動デバイスに適用されてもよい。側方流動デバイスはまた、単独で又はS.mutans抗原と組み合わせて、歯肉炎及び/又は歯周炎に関連付けられた細菌に特異的な抗原を検出してもよい。これはまた、揮発性硫黄化合物(VSC)中のチオールと反応してもよく、又はVSC産生細菌に特異的な抗原を検出して、存在するVSCの濃度と相関する色の強度を有する検出可能な色変化を生じさせてもよい。側方流動試験は、単一の状態に特異的な再充填可能なLFTストリップ、又は複数の口腔条件に対する抗原及び/又は化学物質の組み合わせを検出するストリップを用いて、基部ステーション内で実施されてもよい。結果は、基部ステーションにおいて評価されてもよい。あるいは、試験は外部で実施されてもよく、ユーザーは、デバイスによって収集され、かつLFTストリップに調製されたサンプルを、ユーザーによって視覚的に読み取る試験結果に適用して、ストリップ上の着色されたインジケータ又は色変化の外観として視覚的に読み取る。逆に、ストリップの分析は、デジタル画像解析を通じて自動的に行うことができる。
【0053】
あるいは、デバイスは、唾液サンプルを分析して、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)分析を使用して、サンプル中の全集団内の疾患関連細菌の有病率を決定することができる。分析は、マイクロ流体技術を使用してデバイス又は基部ステーション内で実施されてもよく、あるいは、サンプルは収集され、デバイス内に収容され、分析のために外部実験室に送られてもよい。分析は、毎日、毎週又は毎月行われてもよく、多数のS.mutans又はラクトバチルス(Lactobacilli)は、虫歯を発症する危険性があり得るというユーザーへの警告をトリガし、一方、歯周炎に関連付けられた多くの有機体は、ユーザーに、歯茎疾患の可能性のある有病率について警告するであろう。各場合において、分析は毎日、毎週又は毎月行われ、通常の傾向から有意な偏差を同定するために経時的に追跡することができる。
【0054】
あるいは、デバイスは、DNA-DNAハイブリッド形成技術を使用して唾液サンプルを分析し、サンプルの細菌集団プロファイルを決定してもよい。この情報は、毎日、毎週又は毎月記録され、集団全体の異なる細菌の相対量の変化を監視するために経時的に追跡されてもよい。有意な有害集団シフトは、疾患発症又は進行の増加したリスク(虫歯又は歯周病のリスクが高いなど)について、ユーザーへの警告をトリガする。情報はまた、疾患治療の進行を追跡するために使用されてもよい。
【0055】
これらの場合の各々において、ユーザーは、記載された診断試験を可能にしない可能が高いか、又は不可能であり、ほとんどは歯科医院において日常的に実施されない。マウスピースは、定期的に一貫した方法でこの情報を取得する追加の利益を提供することができ、ユーザーが、自分の口腔衛生状態を厳密に監視し、時宜的に任意の必要な矯正手段を取ることを可能にし得る。
【0056】
上述の収集方法及び診断分析は、任意の組み合わせで、互いに併用されてもよい。システムの柔軟性により、各サンプルの収集は、使用ごとではなく、決定された、又は事前確立されたときにのみ発生する必要がある。例えば、いくつかのサンプルは、1週間に1回のみ採取される必要があり得、一方、他のサンプルは理想的には1日1回又は2回以上採取されてもよい。システムは、結果及び所定の基準に基づいて、各個人に対して必要に応じてサンプル採取計画を自動的に調整することができる。
【0057】
上述の口腔衛生診断に加えて、デバイスはまた、癌、高血圧、糖尿病などを含むがこれらに限定されない全身性健康状態及びバイオマーカーを診断するために利用され、拡張され得る。
【0058】
異なるバイオマーカーとサンプルとの組み合わせを組み合わせて、特定の条件についてより堅牢な分析及び診断を提供し、GCG及び唾液サンプルを使用するなどの改善された結果を提供し、かつ/又は特定の状態にリンクされた複数のバイオマーカーを確認することができる。1つのバイオマーカーの存在はまた、診断結果を改善するために、他のバイオマーカーのサンプル採取及び分析を自動的にトリガしてもよい。
【0059】
診断結果はまた、条件のための自動処理を提供し、かつ/又はユーザーに特定の製品を購入して潜在的な状態に対処するように指示するために使用することもできる。処理はまた、その診断結果に応じて、特定のユーザーの洗浄配合物に適切な添加剤を添加することによってもカスタマイズされ得る。一例として、抗菌剤、口臭低減剤、知覚過敏性改善剤、増白剤、フッ化物、及び/又はこれら若しくは他の添加剤の任意の組み合わせを添加して経口及び/又は全身状態を治療する。
【0060】
LCCMの壁部の厚さは、必要な物理的性能特性を提供する一方で含有材料を最小化し性能を最適化するため、0.2mm~1.5mmの範囲であり得る。LCCMの内側壁部と歯との間の距離は、最大快適性を提供する一方でカスタマイズ及びLCC容積要件を最小化するため、約0.1mm~約5mmであってもよく、より典型的には、約2.5mmの平均距離である。
【0061】
マウスピースの寸法及び形状は、好ましくは、上の歯及び下の歯の両方のための3つの基本的な自在寸法(小、中、及び大)を利用するが、設計は、個別のユーザーに快適性及び機能性を保証するために必要に応じて、異なるレベルのカスタマイズを可能にする機構を提供する。デバイスは、これが口の中で正しい位置にあるときのみ動作することを可能にする、スイッチ機構を組み込んでもよい。マウスピースは、口腔の複数の表面と流体との実質的に同時の接触を提供するために、上方区分及び下方区分の両方を含み得る。別の実施形態において、上方区分及び下方区分は、ユーザーの上の歯又は下の歯及び歯茎上で使用され得る単一のブリッジを使用して洗浄され得る(最初に洗浄のために一部分に配置され、その後、洗浄のために他の部分に配置される)。
【0062】
流体が通過して方向付けられる、マウスピースの内側壁部の内部に収容される、本明細書ではスロット、噴出口、又はノズルとも称される開口部の、数及び場所は様々であり、使用の状況及び環境、具体的なユーザー、並びに求められている有益効果に基づいて決定される。開口部の断面形状は、円形、楕円形、台形、又は口腔表面と流体との効果的な接触を提供する他の任意の形状を提供する他の形状であり得る。開口部の場所及び数は、所望の有益効果を提供するために有効な様々な噴霧パターンで、流体の噴出口を方向付けるように設計することができる。開口部直径は、効果的な洗浄、並びに平均ジェット速度及び適用範囲を提供するために、約0.1~約3mm、又は約0.2mm~約0.8mm、又は約0.5mmであり得る。
【0063】
口腔と流体とが接触する場合、最適な開口部の配置及び方向/角度は、歯間、上部、側部、後部、及び歯肉ポケット表面が挙げられるが、これらに限定されない領域の実質的に全ての歯表面を適用範囲とすることを可能にする。別の実施形態において、開口部は、異なる洗浄、適用範囲及びスプレーパターンを提供するために、速度、密度及びファンパターン(完全な円錐、扇型、部分的円錐、ジェット)を調節するために、又は配合物を考慮して、異なる寸法及び異なる形状であり得る。ノズルはまた、管状に設計されてもよく、及び/又はLCCMから延びて方向付けられたスプレーを提供してもよく、又はホーススプリンクラーシステムと同様に歯にわたって拡張した適用範囲を提供するためにスプリンクラー様の機構として機能してもよい。ノズルは好ましくは、LCCMの内側壁部と一体であり、任意の数のアセンブリ又は当該技術分野において既知の形成技術によって内側壁部内に組み込まれ得る(機械加工、射出成型などを通じて膜内にインサート成型される)。
【0064】
LCCMは、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、又はシリコーンなどのエラストマー材料であってもよく、内側壁部の移動を可能にし、最小限の機械的構造でより大きな噴出適用領域を提供し、最適な性能を達成するための体積流量要件を低減する一方で、歯と直接接触した際に歯を保護するためにより柔軟でより可撓性の材料を提供する。可撓性膜はまた、その歯に適合する能力のために、広範なユーザーにとって許容可能な嵌合具を提供し得る。あるいは、LCCMは、剛性又は半剛性の材料(例えば、限定されないが熱可塑性)で作製され得る。
【0065】
必須ではないが、歯に対する、LCCMの動きを有することが望ましい場合がある、洗浄及び/又は処理動作中のLCCMの移動、続くノズル方向の移動は、洗浄及び/又は処理のためのこの適用範囲を提供するために必要とされるノズル/流体噴出口の数を最小限に抑えながら、歯/歯茎の増加した適用範囲を提供する。また、必要とされる全体的な流体流量要件も低減し、これは、適切な流れを提供することに関連し、より小さい、より軽い、及び使用可能なデバイスをもたらすために、全流体要件及び全体的なデバイスオーバーヘッドを低減する。この運動はまた、デバイスがユーザーに対してより普遍的な嵌合を提供することを可能にし(異なるユーザーに対して同じサイズのLCCMを使用することができる)、一方でまた、ユーザーの歯/歯茎の上のLCCMの僅かな誤配置/向きの補償も可能にする。
【0066】
一部の実施形態では、LCCMの動きは、マニホールドを通過する流体の加圧、脈動、及び移動を通じて提供される。代替的実施形態では、この動きは、振動機構、音波機構、又は超音波機構を通じて達成することができる。この動きはまた、LCC内部に構築されるか、又はLCCに取り付けられる、管及び/マニホールドの別個のネットワークを通じて提供することもでき、このネットワークに、流体及び/又は空気を注入又は排出させて、この膜の所望の動きを作り出すことができる。更には、LCCMの運動は、ユーザーの顎又は歯の運動の結果とすることができる。代替的実施形態では、LCCM運動システムはまた、軌道のような誘導往復運動を介して、LCCMを機械的に移動させることも含み得、この軌道は、歯によって作り出される。別の代替的実施形態では、所望のLCCMの動きは、1つ又は複数のリニアモーターシステムを使用することによって作り出すことができ、このシステムは、マウスピース上の戦略的な場所内に配置される、複数の永久磁石/コイルの対を介した、連続的な動きを可能にして、噴出口及び洗浄要素の方向付けに関して、最適化された洗浄及び処理の連続を提供する。更に別の代替的実施形態では、形状記憶材料又は圧電体によって、動きを作り出すことができる。
【0067】
好ましい実施形態では、システムは、送達マニホールド、チャネル、及びノズル、真空マニホールド、チャネル及びノズルを通じて、また、送達チャネルが真空チャネルとなり、真空チャネルが送達チャネルをチャネルにする流れの往復運動/反転を通じて、様々な要素を通る脈動を提供する。流体の脈動は、記載されるようにLCCMの所望の運動を生じさせる、記載される要素内の流体の圧力の変化をもたらす。LCCMは、LCCMの材料と設計との組み合わせを介して、X、Y、及びZ方向におけるノズルの必要な運動及び移動/方向を作り出すために提供される流体脈動手段と協働するように設計され、一方で、口腔内への漏れを最小限に抑え、かつLCCMを含むマウスピースの構造的一体性を損なうことなく、必要な性能を依然として提供する。
【0068】
要素の移動/脈動は、調整されるか、又はランダムであり得る。脈動は、所望の運動を生成するために、個々の要素の固定周波数で、複数の周波数で、かつ/又は位相外で提供され得る。全ての要素を一度に脈動させる必要はない。一例として、場合によっては、送達要素のみが脈動される必要があり得る一方で、真空は脈動されない。
【0069】
加えて、LCCMは、歯及び/又は歯茎に何らかの効果をもたらすために、LCCMに対して移動する洗浄要素及び/又はスペーサを含み得る。デバイスのユーザーへの運動及び嵌合中に、LCCMと歯/及び/又は歯茎との間の最小距離を維持するために必要であれば、これらの洗浄要素及び/又はスペーサをまた使用して、LCCMの運動を制約することもできる。これにより、LCCM内に位置するノズルと処理され、かつ洗浄される表面との間の最小距離が提供され、ノズルが遮断されることを防止し、流体送達及び/又は除去を防止する。スペーサが洗浄及び/又は処理中にLCCMの移動と共に移動するとき、表面上のこの係合場所が常に変化するため、スペーサと直接接触している表面の洗浄及び/又は処理を防止も阻害もしない。加えて、洗浄/処理される表面に対するスペーサの運動は、洗浄/処理プロセス中の接触表面の洗浄及び/又は刺激によって、歯のブラッシング又は歯茎マッサージのような作用と同様に、追加的な有益な効果を有し得る。
【0070】
代替の実施形態では、LCCMはまた、研磨要素、例えば、フィラメント、テクスチャ、磨き要素、添加物(シリカなど)、他の洗浄及び/又は処理要件、加えて限定されないが処理、洗浄、及び配置のために歯とLCCMとの間の最小限の距離を保証するために使用され得る他の形状要素を含むことができる。
【0071】
一部の実施形態では、LCCMは、感知手段デバイスを収容することができ、これは、マウスピースが口腔内の歯の上で正しい位置にあるか否かを判定し、そのセンサを通じて、この位置が検証されない限り本デバイスが起動することを許可しない。また、マウスピースが、使用中に、この位置から移動又は取り除かれた場合にも、機能することを即座に停止させる。オーバーライドスイッチを、適用トレー洗浄中に組み込むことができる。
【0072】
感知手段は、膜スイッチなどの手動スイッチ、又は当該技術分野において既知の他のスイッチのように手動であってもよい。超音波、ホール(磁気)、周波数、圧力、静電容量、インダクタンス、レーザー、光学、並びに当該技術分野において既知の他の感知手段及びデバイスなど、他の接触及び非接触検知手段も使用することができる。
【0073】
検知手段は、ユーザーが口腔内の許容可能な位置にマウスピースを位置付け、デバイスが適切なサイクルを動作させることを可能にするときに、変化を測定するか、又は信号を提供するような方法で器具内に配置される。
【0074】
マウスピースの位置及び向きが正しいかどうかを判定する代替的かつ潜在的に冗長な手段は、駆動モーターによって必要とされる電流及び/又は電力を監視することである。電流が許容範囲を超える場合、マウスピースが誤って位置付けられている可能性があり、流体の送達を阻止しているか、又はLCCMからの流体の除去/真空のいずれかを遮断していることを示している。電流が低すぎる場合、真空又は送達流に制限がないことを示し、再び、洗浄/処理サイクルが完了する前にユーザーがデバイスを誤って除去したか、又は口腔内に正しく位置決めされていないときにサイクルを開始した場合など、ユーザーの口内の正しい位置にマウスピースが存在しないことを示している可能性がある。
【0075】
LCCMは、限定されないが、機械加工、射出成型、吹込み成形、押出成形、圧縮成型及び/又は真空成型などの、様々な方法により形成され得る。これはまたマニホールドと共に形成されつつマニホールド回路をLCC内に組み込む及び/又はマニホールド上にオーバーモールドされて最小アセンブリで一体構成を提供し得る。
【0076】
一実施形態において、LCCMは別個に作製されて、その後、接着剤、エポキシ、シリコーン、ヒートシール、超音波溶接、及び熱接着材を含む任意の数の組み立て及び封止技術を使用して、マニホールドに組み立てられてもよい。LCCMは、マニホールドと組み立てた際に、これがいずれの追加的構成要素も用いずに好ましいデュアルマニホールド設計を効果的かつ効率的に形成するような方法で設計される。
【0077】
いくつかの実施形態において、LCCMは、歯肉封止領域を生成するように設計又は使用され得る。いくつかの実施形態において、LCC内に真空が適用されるが、これはマウスピースとの係合を改善して口腔内で歯肉との正の封止を形成する。他の実施形態では、口腔内でLCCMの外側に圧力が適用されるが、これはマウスピースの係合を改善し、口腔内で歯肉との正の封止を形成する。更に他の実施形態において、特定のユーザーに関して口腔内に挿入された際にカスタム再使用可能な弾力的封止を提供するために、最初の使用中にマウスピースの周囲に義歯様接着剤が適用され得る。これはその後、歯肉に対し及び以降の用途において、適合しかつ正の封止を提供するために弾性的に剛性となる。別の実施形態において、封止は適用され及び/又は各使用の後に交換又は処分され得る。
【0078】
方向付け手段はまた、液体を収容しかつ前方内側壁部の開口部を通じてLCCに液体を提供するための第1のマニホールド及び液体を収容しかつ後方内側壁部の開口部を通じてチャンバに液体を提供するための第2のマニホールドを含む。この設計は、どの操作が行われているかによって、多くの異なる選択肢を提供する。例えば、洗浄操作において、液体ジェットをLCC内に、歯に直接、LCCの一方の側部から第1のマニホールドから供給し、その後、歯の周囲の液体を、LCCの他方の側部から、第2のマニホールドへと排出し/引き、制御された歯間、歯肉ライン及び表面の洗浄を提供することが好ましい場合がある。LCCの一方の側部からの流れは、脈動作用で多数回繰り返され得、その後、流れが逆転されて、一定期間及び/又は多数の周期にわたり、第2のマニホールドから液体ジェットを供給し、歯の裏側を通じて第1のマニホールド内へと液体を排出する/引く。このような液体作用は、乱流の、反復可能の及び可逆の流れを生じ、したがって口腔の表面周囲に液体の往復運動を提供する。
【0079】
処理、前処理、又は後処理の動作では、一方又は双方のマニホールドを通じて、液体を同時に供給してチャンバを充満させ、一定期間歯を浸漬して、次いで設定期間の後に、一方又は双方のマニホールドを通じて、チャンバから排出させることが好ましい場合がある。
【0080】
別の実施形態において、マニホールドは、単一マニホールド設計であり得、同じジェットの対を通じて同時に液体の押し引きを提供するか、又は任意の数のマニホールド区画であり液体供給、並びに洗浄及び液体処理剤の除去における更に高い制御を提供する。複数マニホールドにおいてまた、専用供給及び除去マニホールドを有するように設計され得る。マニホールドはまた、LCCMと一体である及び/又はその内部にあるように設計され得る。
【0081】
マニホールドの材料は、半剛性熱可塑性樹脂であり、これは液体の制御された流れの間に崩壊又は破裂しないために必要な剛性を提供するが、マウスピースの挿入、封止/配置及び除去のためにユーザーの口内にフィットする際に一定の柔軟性を提供する。製作の複雑性、構成要素の数、及び金型費用を最小化するため、LCCMと組み合わせる際にデュアルマニホールドが生成される。マニホールドはまた、適合性のある熱可塑性エラストマー(TPE)が挙げられるがこれらに限定されない、より低いジュロ硬度のエラストマー材を使用し、歯/歯肉に、より柔軟な外側の「感触」を提供するために多成分であってもよい。マニホールドは、例えば、機械加工、射出成形、吹込み成形、圧縮成形及び/又は真空成形などだが、これらに限定されない、様々な方法により作成され得る。
【0082】
方向付け手段はまた、液体を第1のマニホールドに及びここから運搬するための第1のポートと、液体を第2のマニホールドに及びここから運搬する第2のポートと、口腔内の方向付け手段の効果的な封止(すなわち、歯肉封止)を提供するための手段と、を含む。いくつかの実施形態において、第1のポート及び第2のポートは、第1のマニホールド及び第2のマニホールドに及びここから液体を運搬するように、かつマウスピースを液体をマウスピースに提供する手段に取り付けるように、機能し得る。他の実施形態において、方向付け手段は、方向付け手段を、液体を方向付け手段に提供するための手段に取り付けるための手段を更に含み得る。
【0083】
図1は、本発明による方法及びシステムの一実施形態の概略図である。洗浄/処理プロセスの開始前に、最初に新鮮な唾液を収集するように設計されたシステム。図は、以下の構成要素:唾液収集リザーバ12、流体供給リザーバ14、この例では適用トレー又はマウスピース16として示される口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段、ポンプ18、フロー弁22及び24、並びに、システム全体を通じて流体を搬送するための管31、33、及び35を有するシステム10を示す。スイッチ20は、唾液収集及び洗浄/処理サイクルを開始するために、マウスピース16内又はマウスピース16上に設置される。管35は管33に繋がっている。
【0084】
ポンプ18は、ピストンポンプ、無弁回転ピストンポンプ、隔膜ポンプ、蠕動ポンプ、歯車ポンプ、回転ポンプ、複動ピストンポンプ、ベーンポンプなどとすることができる。流体供給リザーバ14は、ガラス、プラスチック、又は金属で作製され得る。流体供給リザーバ14は、システム10と一体であり、かつ再充填可能とすることができる。いくつかの実施形態において、流体供給リザーバ14は、交換可能な流体供給源、例えば、システム10に取り外し可能に接続された単回又は複数回使用カートリッジであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、流体供給リザーバ14及び/又は管31、33、及び35は、口腔の表面への適用のためにマウスピース16の中へ方向付ける前に、流体を予熱するための熱源を含み得る。温度は使用中にユーザーに有効性及び快適性を提供するために効果的な範囲内に維持されるべきである。
【0086】
本明細書において以下で詳細に記載される適用トレー16は、管31、33及び更なる取り付け手段(図示せず)によりシステム10と一体であるか又は取り外し可能に接続され得る。これは食物微粒子を捕捉するための容易に洗浄可能なフィルターを内部に備え、1又は2つの側部を有し得る。口腔内(例えば、歯及び歯肉周囲)に位置付けられたとき、マウスピース16は、歯肉に対して効果的なフィット又は封止を形成し、流体を口腔の表面(例えば、歯の表面)に対して方向付けるための手段を含む。
【0087】
唾液収集中、マウスピース16内に収集された唾液は、管33、ポンプ18、及びフロー弁22を通じて唾液収集リザーバ12に流れる。洗浄/処理サイクル中、流体供給リザーバ14内に収容された流体は、管35のフロー弁24を通じて管31内に繋がり、ポンプ18を通じてマウスピース16内に流れる。
【0088】
いくつかの実施形態では、洗浄/処理サイクル中、マウスピース16からの流体は、管31を通じて流れることによって流体供給リザーバ14に戻される。これにより、システム10によって使用される洗浄/処理流体の容積がより小さくなる。
【0089】
他の実施形態では、システム10は、流体供給リザーバ14とマウスピース16との間の流体の往復運動を提供するための手段を有する。この実施形態では、洗浄/処理サイクル中、液体供給リザーバ14内に収容された流体は、管35のフロー弁24を通じて管31内に繋がり、ポンプ18を通じてマウスピース16内に流れ、管31を通じて流れることによって流体供給リザーバ14に戻される。次いで、流れの方向が反転され、流体供給リザーバ14内に収容された流体は、管31を通じてマウスピース16内に流れ、管31、ポンプ18、フロー弁24、及び管35を通じて流れることによって流体供給リザーバ14に戻される。いくつかの実施形態では、流れの方向は、ギアポンプの使用などのポンプ18の流れ方向を逆転させることによって反転される。
【0090】
システム10の唾液収集及び洗浄/処理作用は、スイッチ20が咬合運動によって起動されるとき、また、唾液収集の完了時、洗浄/処理サイクルの開始時に唾液収集を開始するためのプログラムを含み得る、論理回路によって制御されてもよい。洗浄/処理流体の往復運動を使用する実施形態では、プログラムは往復運動サイクルを実行し、すなわち、流体を歯の周囲で往復運動させることによって、例えば歯を洗浄するなどの口腔に有益な効果を提供する。最後に、システム10は、往復運動サイクルの終了時にマウスピース16を空にするプログラム、及び、使用間又は事前設定若しくは自動洗浄時間でシステムを洗浄するための自己洗浄サイクルを有する。
【0091】
図示されないが、インジケータライトを有するフェースパネルが、システム10内に組み込まれてもよい。インジケータライト、又はディスプレイライトは、電源投入、充電、往復運動プログラムの実行、システム内容排出、洗浄結果又はフィードバック、及び操作中の自己洗浄サイクルを含むがこれらに限定されない。適用トレー16への方向付けの前に流体が予備加熱される実施形態において、ディスプレイライトは、液体が使用のために適切な温度にあることを示すために使用され得る。
【0092】
唾液を収集し、歯を洗浄/処理するためにシステム10を使用する1つの方法は次のとおりである。第1のステップにおいて、ユーザーは適用トレー16を口腔内で歯及び歯肉領域の周囲に位置付ける。ユーザーはトレー16を閉じ、それによって歯肉と、歯及びトレー16と、の間の効果的なフィット又は封止を達成する。本発明によるシステムを使用する際、ユーザーは、マウスピースを噛み締め、システムを開始するようにマウスピース内のスイッチを起動する。全プロセスは、以下のとおりである。
1.システム10は、ユーザーが、マウスピース16を噛み締め、口腔から唾液の収集を開始するようにスイッチを起動するときに、起動される。フロー弁24は閉じられて、フロー弁22は開放される。ポンプ18は、管33、ポンプ18、及びフロー弁22を通じて適用トレー16内に収集された唾液の引き込みを開始し、唾液収集リザーバ12内に唾液が収集される。
2.唾液収集が完了すると、システム10が適用トレー16への洗浄/処理流体の分配を開始するように起動される。フロー弁22は閉じられて、フロー弁24は開放される。ポンプ18は、フロー弁24、管33、及びポンプ18を通じて、管35を介して流体供給リザーバ14から洗浄液/処理流体を引き込むことを開始する。洗浄/処理流体は、適用トレー16内に分配される。
3.洗浄/処理は、必要とされる時間が経過するまで継続する。
【0093】
唾液を収集し、歯を洗浄/処理するためにシステム10を使用する別の方法では、洗浄/処理流体は、システム10を通じて往復運動し、ユーザーは、歯及び歯肉領域の周囲の口腔内に適用トレー16を位置付ける。ユーザーはトレー16を閉じ、それによって歯肉と、歯及びトレー16と、の間の効果的なフィット又は封止を達成する。ユーザーは、マウスピースを噛み締め、システムを開始するようにマウスピース内のスイッチを起動する。洗浄プロセスは、以下のとおりである。
1.システム10は、ユーザーが、マウスピース16を噛み締め、口腔から唾液の収集を開始するようにスイッチ20を起動するときに、起動される。フロー弁24は閉じられて、フロー弁22は開放される。ポンプ18は、管33、ポンプ18、及びフロー弁22を通じて適用トレー16内に収集された唾液の引き込みを開始し、唾液収集リザーバ12内に唾液が収集される。
2.唾液収集が完了すると、システム10が適用トレー16への洗浄/処理流体の分配を開始するように起動される。フロー弁22は閉じられて、フロー弁24は開放される。ポンプ18は、フロー弁24、管33、及びポンプ18を通じて、管35を介して流体供給リザーバ14から洗浄液/処理流体を引き込むことを開始する。洗浄/処理流体は、適用トレー16内に分配される。次いで、洗浄液/処理流体は、管31を通じて適用トレー16から引き出され、流体供給リザーバ14内に収集される。
3.洗浄液を往復運動させるために、流体の流れの方向は、ポンプ18内の流れ方向を逆転させることによって反転される。フロー弁22は閉じたままであり、フロー弁24は開放されたままである。ポンプ18は、ポンプ18、管、35及びフロー弁24を通じて、かつ、流体供給リザーバ14内に管33を介して、適用トレー16から洗浄/処理流体をポンプ圧送し始める。次いで、洗浄/処理流体を管31を通じて引き出し、ポンプ18によって適用トレー16内に分配し、したがって1往復運動サイクルを完了する。
4.各往復運動サイクルについて、ステップ2及び3を繰り返す(流れ方向を反転させる)。
5.洗浄/処理のために必要とされる時間が経過するまで、又は所望の往復運動サイクル数が完了するまで、ステップ4が繰り返される。
【0094】
ステップ2とステップ3との間には(一方向又は双方向において)遅延が存在する場合があり、流れを伴わずに流体が歯と接触することを可能にする滞留時間を可能にすることに留意されたい。
【0095】
図2は、本発明によるシステム及び方法の代替の実施形態の概略図である。洗浄/処理プロセスの開始前に、最初に新鮮な唾液を収集するように設計されたシステム。図は、以下の構成要素:唾液収集リザーバ52、流体供給リザーバ54及び55、この例では適用トレー又はマウスピース56として示される口腔の複数の表面上に流体を方向付けるための手段、ポンプ58及び59、フロー弁62、並びに、システム全体を通じて流体を搬送するための管71、73、75、及び77を有するシステム50を示す。スイッチ60は、唾液収集及び洗浄/処理サイクルを開始するために、マウスピース56内又はマウスピース56上に設置される。
【0096】
ポンプ58及び59は、ピストンポンプ、無弁回転ピストンポンプ、隔膜ポンプ、蠕動ポンプ、歯車ポンプ、回転ポンプ、複動ピストンポンプ、ベーンポンプなどとすることができる。流体供給リザーバ54及び55は、ガラス、プラスチック又は金属で作製され得る。流体供給リザーバ54及び55は、システム50と一体であり、かつ再充填可能とすることができる。いくつかの実施形態では、流体供給リザーバ54及び55は、交換可能なリザーバ54及び55、例えば、システム50に取り外し可能に接続された単回又は複数回使用カートリッジであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、流体供給リザーバ54及び55及び/又は管71、73、75、及び77は、口腔の表面への適用のためにマウスピース56の中へ方向付ける前に、流体を予熱するための熱源を含み得る。温度は使用中にユーザーに有効性及び快適性を提供するために効果的な範囲内に維持されるべきである。
【0098】
本明細書において以下で詳細に記載される適用トレー56は、管71、73及び更なる取り付け手段(図示せず)によりシステム50と一体であるか又は取り外し可能に接続され得る。これは食物微粒子を捕捉するための容易に洗浄可能なフィルターを内部に備え、1又は2つの側部を有し得る。口腔内(例えば、歯及び歯肉周囲)に位置付けられたとき、マウスピース56は、歯肉に対して効果的な嵌合又は封止を形成し、流体を口腔の表面(例えば、歯の表面)に対して方向付けるための手段を含む。
【0099】
唾液収集中、マウスピース56内に収集された唾液は、管73、ポンプ58、及びフロー弁62を通じて唾液収集リザーバ52に流れる。洗浄/処理サイクル中、流体供給リザーバ54及び55内に収容された流体は、管71及び75を通じてマウスピース56内に流れる。ポンプ59は、洗浄/処理流体をマウスピース56にポンプ圧送するために使用される。
【0100】
この実施形態では、洗浄/処理サイクル中、マウスピース56からの流体は、管71及び75を通じて流れることによって流体供給リザーバ54及び55に戻ることができる。これにより、システム50によって使用される少容量の洗浄/処理流体が可能になる。システム50によって使用される洗浄/処理流体の容積は、約40ml未満、又は約30ml未満、又は約20ml未満、又は約10ml未満であり得る。
【0101】
一実施形態では、ポンプ59は、流体供給リザーバ54内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ55内に引き込む。次いで、流体供給リザーバ55内に収容された液体は、管75を通じてマウスピース56内に押し込まれる。マウスピース56内に収容された流体は、管71を通じて流体供給リザーバ54に押し込まれる。洗浄/処理流体は、流体供給リザーバ54、流体供給リザーバ55及びマウスピース56を通じて循環し続ける。
【0102】
別の実施形態では、ポンプ59は、流体供給リザーバ55内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ54内に引き込む。流体供給リザーバ54内に収容された流体は、次いで、管1を通じてマウスピース56に押し込まれる。マウスピース56内に収容された流体は、管75を通じて流体供給リザーバ55に押し込まれる。洗浄液/処理流体は、流体供給リザーバ55、流体供給リザーバ54及びマウスピース56を通じて循環し続ける。
【0103】
更に別の実施形態では、システム50は、流体リザーバ54及び55とマウスピース56との間の流体の往復運動を提供するための手段を有する。洗浄/処理サイクル中、ポンプ59は、まず、流体供給リザーバ54内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ55内に引き込むように設定されてもよい。流体供給リザーバ55内に収容された流体は、次いで、管75を通じてマウスピース56内に押し込まれる。マウスピース56内に収容された流体は、管71を通じて流体供給リザーバ54に押し込まれる。次いで、流れの方向が反転され、ポンプ59は、流体供給リザーバ55内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ54内に引き込むように設定される。流体供給リザーバ54内に収容された流体は、次いで、管71を通じてマウスピース56内に押し込まれる。マウスピース56内に収容された流体は、管75を通じて流体供給リザーバ55に押し込まれる。いくつかの実施形態では、流れの方向は、ギアポンプの使用などでポンプ59の流れ方向を逆転させることによって反転される。
【0104】
システム50の唾液収集及び洗浄/処理作用は、論理回路によって制御されてもよく、論理回路は、スイッチ60が咬合運動によって起動されるときに、及び唾液収集の完了時、洗浄/処理サイクルの開始時に、唾液収集を開始するためのプログラムを含み得る。洗浄/処理流体の往復運動を使用する実施形態では、プログラムは往復運動サイクルを実行し、すなわち、流体を歯の周囲で往復運動させることによって、例えば歯を洗浄するなどの口腔に有益な効果を提供する。最後に、システム50は、往復運動サイクルの終了時にマウスピース56を空にするプログラム、及び使用間又は事前設定若しくは自動洗浄時間でシステムを洗浄するための自己洗浄サイクルを有する。
【0105】
図1の実施形態の説明で述べたように、インジケータライトを有するフェースパネルをシステム50に組み込むこともできる。インジケータライト、又はディスプレイライトは、電源投入、充電、往復運動プログラムの実行、システム内容排出、洗浄結果又はフィードバック、及び操作中の自己洗浄サイクルを含むがこれらに限定されない。適用トレー56への方向付けの前に流体が予備加熱される実施形態において、ディスプレイライトは、流体が使用のために適切な温度にあることを示すために使用され得る。
【0106】
唾液を収集し、歯を洗浄/処理するためにシステム50を使用する1つの方法は次のとおりである。第1のステップにおいて、ユーザーは適用トレー56を口腔内で歯及び歯肉領域の周囲に位置付ける。ユーザーはトレー56を閉じ、それによって歯肉と、歯及びトレー56と、の間の効果的なフィット又は封止を達成する。本発明によるシステムを使用する際、ユーザーは、マウスピースを噛み締め、システムを開始するようにマウスピース内のスイッチを起動する。全プロセスは、以下のとおりである。
1.システム50は、ユーザーが、マウスピース56を噛み締め、口腔から唾液の収集を開始するようにスイッチ60を起動するときに、起動される。フロー弁62が開放される。ポンプ58は、管73、ポンプ58、及びフロー弁62を通じて適用トレー56内に収集された唾液の引き込みを開始し、唾液収集リザーバ52内に唾液が収集される。
2.唾液収集が完了すると、システム50が適用トレー56への洗浄/処理流体の分配を開始するように起動される。フロー弁62は閉じられている。ポンプ59は、流体供給リザーバ54内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ55内に引き込み、供給リザーバ55内の流体を管75を通じてマウスピース56内に押し込む。マウスピース56内に収容された流体は、管71を通じて流体供給リザーバ54に押し込まれる。
3.洗浄/処理は、必要とされる時間が経過するまで継続する。
【0107】
言うまでもなく、上記の流体供給リザーバ55から流体を引き込むようにポンプ59が設定される場合、上記ステップは、流体供給リザーバ54及び55並びにマウスピース56からの流れ方向を除いて、同じである。
【0108】
唾液を収集し、歯を洗浄/処理するためにシステム50を使用する別の方法では、洗浄/処理流体は、システム50を通じて往復運動し、ユーザーは、歯及び歯肉領域の周囲の口腔内に適用トレー56を位置付ける。ユーザーはトレー56を閉じ、それによって歯肉と、歯及びトレー56と、の間の効果的なフィット又は封止を達成する。ユーザーは、マウスピースを噛み締め、システムを開始するようにマウスピース内のスイッチを起動する。全プロセスは、以下のとおりである。
1.システム50は、ユーザーが、マウスピース56を噛み締め、口腔から唾液の収集を開始するようにスイッチ60を起動するときに、起動される。フロー弁62が開放される。ポンプ58は、管73、ポンプ58、及びフロー弁62を通じて適用トレー56内に収集された唾液の引き込みを開始し、唾液収集リザーバ52内に唾液が収集される。
2.唾液収集が完了すると、システム50が起動されて、適用トレー56への洗浄/処理流体の分配を開始する。フロー弁62は閉じられている。ポンプ59は、流体供給リザーバ54内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ55内に引き込み、供給リザーバ55内の流体を管75を通じてマウスピース56内に押し込む。マウスピース56内に収容された流体は、管71を通じて流体供給リザーバ54に押し込まれる。
3.洗浄液を往復運動させるために、流体の流れの方向は、ポンプ59内の流れ方向を逆転させることによって反転される。フロー弁22は閉じたままである。ポンプ59は、流体供給リザーバ55内に収容された流体を管77、ポンプ59を通じて流体供給リザーバ54内に引き込み、供給リザーバ54内の流体を管71を通じてマウスピース56内に押し込む。マウスピース56内に収容された流体は、管75を通じて流体供給リザーバ55に押し込まれ、したがって1往復運動サイクルを完了する。
4.各往復運動サイクルについて、ステップ2及び3を繰り返す(流れ方向を反転させる)。
5.洗浄/処理のために必要とされる時間が経過するまで、又は所望の往復運動サイクル数が完了するまで、ステップ4が繰り返される。
【0109】
ステップ2とステップ3との間には(一方向又は双方向において)遅延が存在する場合があり、流れを伴わずに流体が歯と接触することを可能にする滞留時間を可能にすることに留意されたい。
【0110】
図3は、本発明による、口腔内の複数の表面上に流体、又は流体を方向付けるための手段、例えば、適用トレー100の、第1の実施形態の上面斜視図である。
図4は、
図3の適用トレー100の底面斜視図である。図面は、外側前方壁部112、外側後方壁部114、内側前方壁部116、内側後方壁部118、及び基底膜(例えば、バイトプレート156)を有する適用トレー100を示す。内側前方壁部噴出スロット132は、内側前方壁部116上に位置し、一方で内側後方壁部噴出スロット134は、内側後方壁部118上に位置する。
図3及び
図4に示す、内側前方壁部噴出スロット132及び内側後方壁部噴出スロット134は、噴出スロット構成の一実施形態に過ぎない。第1のポート142及び第2のポート144は、外側前方壁部112を通じて適用トレー100に入る。
【0111】
図3及び
図4は、適用トレー100の実施形態を表すが、ユーザーの上の歯及び下の歯並びに/又は歯肉領域は、所望の有益効果を提供するために液体と実質的に同時に接触する。他の実施形態において、適用トレー100は、ユーザーの上の歯若しくは下の歯及び/又は歯肉領域のみを洗浄及び/又は処理するように設計され得ることが理解される。
【0112】
図5及び
図6は、それぞれ、
図3の適用トレー100の、垂直断面図及び水平断面図である。図面は、外側前方壁部112及び内側前方壁部116によって境界される空間として画定される第1のマニホールド146を示す。第2のマニホールド148は、外側後方壁部114及び内側後方壁部118によって境界される空間として画定される。液体接触チャンバ(LCC)154は、内側前方壁部116、内側後方壁部118、及び基底膜156によって画定される。
【0113】
動作の一実施形態において、液体が圧力により第1のポート142を通じて第1のマニホールド146に入り、その後、内側前方壁部ジェットスロット132を通じてLCC154に入る。真空が第2のポート144に引かれ、内側後方壁部ジェットスロット134を通じて第2のマニホールド148に、最終的には第2のポート144に液体を引く。この実施形態において、液体ジェットは、LCC154の一方の側部から、歯及び/又は歯肉領域の前方表面へと向けられ、LCC154の他方の側部から第2のマニホールドへと、歯及び/又は歯肉領域の表面を通じて、その間及びその周囲に方向付けられ、制御された、歯間、歯茎ライン、表面及び/又は歯肉領域の洗浄又は処理を提供する。次にマニホールド内の流れが逆転される。洗浄液は、圧力によって第2のポート144を通じて第2のマニホールド148に入り、その後、内側後方壁部ジェットスロット134を通じてLCC154に入る。真空が第1のポート142上で引かれて、内側前方壁部ジェットスロット132を通じて第1のマニホールド146、及び最終的には第1のポート142内に液体を引く。この実施形態の第2の部分において、液体ジェットは歯及び/又は歯肉領域の後方表面上に方向付けられ、歯及び/又は歯肉領域の表面を通じ、この間及び周囲に方向付けられる。多くのサイクルを通じた交互の圧力/真空は、乱流の、反復可能の及び可逆の流れを生じさせ、口腔の複数の表面付近に液体の往復運動を提供し、口腔の表面と液体とを実質的に同時に接触させ、それによって所望の有益効果を提供する。
【0114】
別の実施形態では、一方又は双方のマニホールドを通じて、液体を同時に送達して、LCC154をあふれさせ、一定期間歯を浸漬して、次いで設定期間の後に、一方又は双方のマニホールドを通じて、LCC154から排出させることが好ましい場合がある。ここで、洗浄液又は処理液は圧力により、第1のポート142を通じて第1のマニホールド146に、第2のポート144を通じて第2のマニホールド148に入り、その後、内側前方壁部ジェットスロット132及び内側後方壁部ジェットスロット134を通じて同時にLCC154に入る。LCC154を空にするため、第1のポート142を通じて第1のマニホールド146に、第2のポート144を通じて第2のマニホールド148に、真空が同時に引かれる。洗浄又は処理液は、内側前方壁部ジェットスロット132及び内側後方壁部ジェットスロット134を通じて、第1のマニホールド146及び第2のマニホールド148に引かれる。
【0115】
第1のマニホールド146及び第2のマニホールド148に異なる液体組成物を送達することがまた可能である。改善された洗浄有効性又は処理効果のために、異なる液体組成物が、その後、LCC内で混合し得る。
【0116】
歯肉封止
この歯肉封止は、LCCMの底部部分を形成し、歯肉縁下ポケットを含めた、歯肉領域を洗浄するような方法で、歯肉組織と接触する。一実施形態では、この歯肉封止は、口腔及び歯に対するマウスピースの位置決めを提供し、動作中の最小限の/許容可能な漏出を伴う、比較的隔離された環境を作り出す一方で、嘔吐要因を最小限に抑え、ユーザーに対する不快感を和らげるように設計される。一実施形態では、歯肉封止は、エラストマー材量の、歯肉との摩擦係合及び圧縮によって作り出される。この封止は、内部の液体の排出中、並びに洗浄及び処理周期中に、強化される。この封止はまた、マニホールド及びLCCMの取り付け並びに組み立てのための、二次機構としても機能する。歯肉又は歯茎の封止のサイズ及び形状は、好ましくは、3つの基本的なサイズ(小、中、及び大)を利用するが、快適性及び洗浄/処理の有効性のために、ユーザーの必要に応じて、種々のレベルのカスタマイズを可能にするように設計される。これらのサイズは、マニホールド及びLCCMの構成要素の、3つの基本的なサイズと組み合わせられる。
【0117】
歯肉封止を得るための代替的実施形態としては、以下のものが挙げられ、互いに組み合わせて、又は上記の実施形態と共に使用することができる。
【0118】
実施形態#1
マウスピースを、口腔内部で、歯肉上に位置付ける。軽度の咬合圧が、咬合スタンドオフ/位置決めブロックに対して加えられると、封止及び位置が、歯及び歯肉に対して固定される。マウスピースは、単一の材料から、あるいは異なる硬度及び弾性の材料の組み合わせから作製される。好ましい実施形態では、この「H」形状のマウスピースは、「H」の脚部のそれぞれの末端部に、柔軟な弾性ガスケット様の材料(独立気泡シリコーン、ゲル充填封止など)を有する、可撓性の壁部(「H」の垂直縁部)を有する。「H」の水平パッドは、歯及び歯肉に対して、X、Y、及び/又はZの場所で、マウスピースを位置付けるための、咬合ブロック/スタンドオフを含む。マウスピースが口腔内で位置決めされた後、この咬合ブロックと係合するための上下の顎の閉鎖により、マウスピースの、口腔に対する確実かつ堅固な位置決めが提供され、その一方で、ガスケット様の材料と歯肉材料との干渉が提供され、動作の持続時間の間の、洗浄、処理、及び/又は診断の空洞の、有効な封止並びに形成が提供される。
【0119】
実施形態#2
マウスピースに力を加えて、側壁部の内側方向への移動を生じさせ、歯肉組織に対して、柔軟な弾性縁部を封止する。実施形態#1で説明されるものと同様のマウスピースはまた、封止の係合を改善するための、能動的係止機構も含む。この機構の1つの可能な実行は、本デバイスが係合されない場合に、中空の区分が、水平の脚部分の内部、及びマウスピースの上方区分と下方区分との間の、一部若しくは全てのスタンドオフの間に設計されることを必要とする。マウスピースを口腔内に定置した後、ユーザーが、中空区分を噛み締めて圧縮すると、その中空区分が圧壊することにより、全ての咬合ブロックが接触する。このことは一方で、外側壁部(垂直の脚の部分)を、歯肉組織に向けて内側方向に折り曲げる。これらの壁部に取り付けられた弾性ガスケットが、歯肉に対して係合して圧縮し、封止と、上下の歯を取り囲む、洗浄、診断、及び/又は処理チャンバと、を作り出す。
【0120】
実施形態#3
マウスピースを口腔内に位置付ける際に、空気圧袋が膨張又は加圧され、歯肉と共に、封止及び空洞を作り出す。実施形態#1で説明されるものと同様のマウスピースはまた、マウスピース内部での袋の膨張を通じて、能動的封止を提供することもできる。この空気はまた、歯/空洞の洗浄及び/又は乾燥のために、並びに/あるいは処理、洗浄及び/又は診断に関する、処理(気体及び/又は気体中に混入される粒子)を提供するために、その後、利用することもできる。
【0121】
実施形態#4
マウスピースを口腔内に位置付ける際に、水圧袋が膨張又は加圧され、歯肉と共に、封止及び空洞を作り出す。実施形態#1で説明されるものと同様のマウスピースはまた、マウスピース内部での袋の加圧を通じて、能動的封止を提供することもできる。この液体組成物はまた、洗浄、処理、又は診断に関する、気体又は混入粒子の有無に関わりなく、歯及び/又は歯肉組織を、洗浄及び/又は処理するために、その後、利用することもできる。
【0122】
実施形態#5
マウスピースを口腔内に位置付けた後、歯肉の周囲を封止する材料の拡張の有無に関わりなく、液体の吸収(ヒドロゲルを利用するなど)による、歯肉と係合する材料の順応性の変化を通じて、封止を作り出す。
【0123】
実施形態#6
マウスピースを口腔内に位置付けた後、マウスピース内に埋め込まれたニチノールワイヤー又は他の形状記憶材料が、口腔内の体温の変化により、側壁部を歯肉に係合させて、歯肉と共に、正の封止を作り出す。
【0124】
実施形態#10
マウスピース領域内に、泡様の材料を、最初に、あるいは毎回の使用中に押し出して、マウスピースの封止並びにその後の洗浄、処理、及び診断の空洞を作り出す。
【0125】
実施形態#11
使い捨て又は溶解可能な挿入具を提供して、マウスピースの複数回又は毎回の使用のための、歯肉組織への封止を提供する。
【0126】
実施形態#12
歯肉封止接触表面上に、唾液又は水で活性化させることができる接着剤を含有させる。接着剤は、潜在的な封止の改善を提供し、製剤に応じて、単一の使用又は複数回の使用に適用することができる。封止システムは、論じられる他の封止システムの任意の組み合わせと共に使用することができる。
【0127】
実施形態#13
封止接触領域(吸着カップ)内に、係合中のこの領域内での真空の生成を通じて、吸着のような効果を作り出す、接触領域上の材料と境界面での形状との組み合わせを通じて、歯肉の封止を作り出す。
【0128】
実施形態#14
歯肉に対して定置及び位置付けることができ、次いで、ユーザーに関する永久歪みを呈する、変型可能材料を利用することによって、歯肉封止領域を作製し、ユーザーの口に合わせてカスタマイズすることができる。この歯肉封止領域は、煮沸して、口内に定置し、顎の閉鎖及び/又は同様の方法によって歯肉に対して押し付け、次いで、口腔から取り外すことを通じて(マウスガードと同様に)、作り出すことができる。封止材料が冷却すると、その封止材料は、永久歪みを呈する。
【0129】
実施形態#15
汎用的又は半汎用的な袋を取得して、所望の歯肉封止接触領域に極めて近接させて、口腔内に定置することによって、歯肉封止領域を作り出すことができる。次いで、この袋を充填して、歯肉に対して係合及び適合するように、方向付けて支持することができる。充填材料は、カスタマイズされた封止形態を提供して、次いで、この特定ユーザーによって再使用可能となるように固化する、速硬性材料である。この袋は、TPE及び/又は薄いシリコーンベースの材料とすることができ、充填材料は、RTV、エポキシ、ポリウレタン、又は硬化若しくは固化すると、剛性、半剛性、若しくは可撓性の永久歪みを提供する、同様の材料とすることができる。
【0130】
好ましい実施形態では、歯肉有効封止は、歯肉に係合するLCCM底縁部の幾何学的形状によって形成される接触封止である。LCCM底縁部は、好ましくは、歯茎ラインの下及び接触点に沿って異なるユーザーの歯肉面への適合を可能にするように可撓性であることが好ましい。この部分はまた、効果的な封止を維持しながら、ユーザーに快適性を提供するために歯肉領域に磨耗又は損傷を生じさせないように十分に柔らかくする必要がある。好ましい形状では、LCCM接触領域は、接触点及び快適な封止を提供するために、半径方向及び又は湾曲した滑らかな表面を提供する。この縁部の好ましい材料は、その耐久性及び固有の性能特性により、低デュロメータのシリコーンであり、100Ra未満、より好ましくは15Ra~70Raであるが、当該技術分野において既知のTPE及び他の材料などの軟質及び/又は可撓性材料であってもよい。
【0131】
有効封止は、LCCからの真空操作及び唾液除去と併せて形成され、その後の除去のために、ユニバーサル器具からのいかなる残留漏れもLCC及び手持ち式デバイス内に引き戻されることを可能にする。
【0132】
構成要素
本システムの全体は、本質的にモジュラー式であるため、個別の構成要素は、ユーザーによって容易に交換することができる。交換の理由としては、磨耗、機能不全、及び生物学的危害が挙げられるが、これらに限定されない。一部の構成要素はまた、本来、使い捨て及び交換可能(再充填カートリッジなど)であることにより、モジュラー式であり、ユーザーによって容易に交換することもできる。
【0133】
ポンプシステム
一実施形態では、液体は、動力ポンプを介して、マウスピースのハンドル又は基部ステーション内のリザーバから送達することができる。このポンプは、論理システム(人工知能、すなわち、AI)からの入力に応答して、圧力、周期時間(各段階及びプロセス全体に関して)、往復運動要件及び/又はタイミング、流れの方向、液体の速度/圧力、パージの仕様などを変更することが可能な場合がある。このポンプは、ピストンポンプ、無弁回転ピストンポンプ、隔膜ポンプ、蠕動ポンプ、歯車ポンプ、回転ポンプ、複動ピストンポンプ、ベーンポンプなどとすることができる。給気気圧シリンダー又は空気圧縮機もまた、代替的実施形態として、本システムを駆動することができる。プロセス全体に関する周期時間、個別段階に関する周期時間、及びその周期の各段階に関する流速は、可変とすることができ、各個別ユーザー/曜日/口腔の健康状態に対して、潜在的にカスタマイズすることができる。特定のユーザー及び特定の処理要件に応じて、本システムの種々の提供での、1行程当り又は一定期間にわたって供給される、液体の容積を変化させることもまた可能である。ポンプシステムは、ハンドピース内に、又は基部ステーション内に存在し得る。液体の容積は、マウスピース内の液体の脈動の効果を生じさせるために、比較的大きくすることができる。代替的実施形態は、低い脈動を有するか又は脈動を有さない、一定の流量を提供する、ポンプを有する。マウスピースとの間で往復する液体の方向は、ギアポンプ内のモーター、方向弁、又は他の手段の方向を変化させることによって、反転させることができる。この液体駆動システムは、マウスピースが適切に挿入され、歯肉に対して封止されるまで、開始することはない。このシステムは、マウスピースが口から取り出される(歯肉に対する効果的な封止が中断される)と、分配を自動的に停止して、口から残留液を除去することができる。このことにより、ユーザーは、洗浄/処理製剤中の活性成分の濃度を安全に増大させることが可能になる。このシステムは、マウスピースが歯茎に対して効果的な封止を有するまで、開始することはない。一実施形態では、ポンプシステムは、ハンドピース内に完全に収容され、別の実施形態では、ポンプシステムは、基部ステーション内に収納される。
【0134】
弁/液体制御及び液体流入口/流出口
マウスピースが1つの入口及び1つの出口を有する、マウスピースの実施形態を使用する場合には、マウスピースへの流れの方向を変化させることが望ましい場合がある。歯を通過する液体流の方向は、マウスピースへの入口及び出口の流れの方向を変化させることによって反転し、それゆえ、洗浄プロセスの効果及び感覚的影響を増大させる。マウスピースは、歯の両側にノズルを有し得、一方の側の噴出口が加圧され、反対側が負の圧力差で引き込む。このことにより、液体は、歯を「通過して」/歯の「間に」、押しやられる。次いで、各セットのノズル上で、流れが反転され、液体を、反対方向で歯に通過させて移動させる。次いで、この液体を前後に往復運動させることができる。流れの方向は、ギアポンプ又は回転無弁ポンプなどの、専用のポンプの方向を反転させることによって、反転及び/又は往復運動させることができる。別の実施形態としては、限定するものではないが、可逆性の逆止弁が挙げられ、この逆止弁の、ポンプに対する配向を反転させることにより、システムの全体にわたって、流れの方向が反転される。別の実施形態としては、起動時に、流れの方向を反転させる、論理(AI)システムを有する2つの制御3方弁が挙げられる。更なる実施形態は、ポンプからの1つの流入口と、ポンプへの戻りと、所望により流れ方向を反転させることができる2つの出口と、を有する1つの制御4方弁に対する、論理(AI)システムを有する。別の実施形態は、システムの流れを反転させるために、特定の管に対して、ピンチ弁を使用して流れを遮断するように、配管を構成することを伴う。別の実施形態としては、液体制御切替ボックスの開発が挙げられるが、これは、ボックスの一方の側上の2つの管を、ボックスの他方の側上の2つの管に接続する。1つの向きでは、液体流は、1つの共線の管から次の管へと、ボックスを直接横断して移動するが、他の位置では、液体流が「X」の方向で移動することにより、液体流の方向は、切替ボックス内で「交差」する。別の実施形態では、流れは、複動ピストンポンプを使用することによって往復運動し、2つのピストンポンプヘッド部の間で、流れは常に、前後に往復運動する。
【0135】
一実施形態では、液体制御システムは、ハンドピース内に完全に収容され、別の実施形態では、液体制御システムは、基部ステーション内に収納される。本システム内で使用される配管は、加圧状態及び真空状態の双方に耐えなければならない。
【0136】
個別のリザーバからの、1つ又は2つ以上の種類の液体を、マウスピースを通じて、個別に、又は組み合わせて送達することができる。任意の組み合わせ及び濃度の変動を使用することができる。リザーバは、ハンドピース内に、又は基部ステーション内に存在し得る。
【0137】
本システムは、手動及び/又は自動の空気パージ、並びに/あるいはシステムの圧縮性を提供するための蓄圧器を含み得る。
【0138】
真空ポンプシステム及び送達ポンプシステムへの流体を方向付け、かつ制御するための弁システムは、簡略化された製造及び組み立てを可能にするモジュール式、費用効果的、効率的なシステムを提供するように最適化されてもよい。加えて、システムのメンテナンスの改善は、2つの射出成形可能な構成要素の間に挟まれた可撓性フィルムの切断シートを使用することによって達成することができる。
【0139】
流体往復運動を生成するための切替/流体往復運動制御システムは、機械的(電気信号を介して開始される、機構/歯車又は電気的(多方式ソレノイドフロー弁などの電気的に制御された弁)を介して駆動される)。好ましい機械的実施形態では、切替システムは、システム全体のサイズ、複雑性、及びコストを最小限に抑えるように、ポンプ駆動モーターから離れて駆動される。これは、以下に示すように機械的連結及び歯車加工を介して完了され、固有の切替機構を駆動する。切替機構は、摺動スイッチ部材を係合し、前後に押すカムなど、本質的に往復運動可能であり得る。また、独自のD字形状の流路により、ディスクの単一回転ごとに流体方向を2回切り替える、以下の分解図及び断面図に示されるような独自の連続的な回転切替ディスク部材であってもよい。この設計は、駆動モーター/システム上の歪みを最小化し、モーター/システムの寿命を延ばすために、任意の追加のハードウェアなしでの流れ方向の切替時に流れるクロスオーバーを可能にする、内蔵型圧力逃がし弁様機能を提供する。
【0140】
インターフェース(電気的及び流体)
ハンドピースは、基部ステーションとインターフェースする電気システム及び/又は情報伝達システムを有し得る。このシステムとしては、再充電可能電池の充電、ユニット間での診断情報の転送、ユニット間でのカスタムプロファイル情報の転送、及びユニット間でのプログラム関連情報の転送が挙げられるが、これらに限定されない。情報は、無線(RFID、802.11、赤外線など)で、又はハード接続を通じて転送することができる。この電気システムは、本システムの機能、開始、及び停止を、事前設定された判定基準に基づいて制御するための論理を含む。基準は、マウスピースと歯茎との間に封止が作り出された後のみ開始すること、適切に給気された液体システムを確保すること、最小の電池充電レベルを確保すること、液体レベルが指定範囲内にあることを確実にすることなどを含んでもよい。デバイスの様々な構成要素と通信することができる論理システムが存在してもよく、これには、弁のシークエンシングを制御するためのアルゴリズムの開始、ピストンの運動、したがって液体の運動、消費者からの入力の受信、温度センサからの入力の受信、診断入力の受信、歯茎に対するマウスピース封止の係合の検出などを含むが、これらに限定されない。論理システムは、入力を処理し、入力に応答し、適切なデータを出力することができなければならない。このシステムは、冗長回路機構を含み、フェイルセーフ設計を提供することができる。
【0141】
このシステムは、ライト、ディスプレイ、タッチスクリーン、録音メッセージ、振動、音、臭気などのような、ユーザーへのフィードバックを提供するための手段を含み得る。このシステムはまた、スイッチ、タッチスクリーン、ボタン、音声コマンドなどのような、システムを操作してプロセス/設定を選択するための手段も有し得る。
【0142】
このシステムは、使用の間隔時間、使用/周期の長さ、使用の総計、レジメンの詳細(毎回の液体/処理の量及び時間)、特定のシステム構成要素を交換する時期などのような統計を追跡するための手段を含み得る。このシステムは、磨耗、使い捨て、若しくは交換可能な構成要素を、交換又は補充する時期を指示するための、ユーザーへのフィードバックを提供することができる。
【0143】
液体供給の方法が存在するが、この方法は、液体リザーバ、ホース供給システムなどとすることができる。この液体供給は、基部ステーション内に配置され、ハンドピースが基部ステーション内に結合されると、ハンドピース内のリザーバに転送され得る。次いで、液体は、洗浄プロセスの間、マウスピースを通じて供給され、供給及び/又は洗浄プロセスの後、システムからパージすることができる。別の実施形態では、ハンドピースは、液体接続手段で基部ステーションに接続され、液体は、基部ステーション内のリザーバから、ハンドピースを通じて、マウスピースに直接供給される。
【0144】
処理溶液、洗浄溶液、診断溶液などを収容することができる、消耗カートリッジが存在し得る。このカートリッジは、ユーザーによって容易に交換可能であるように、モジュラー式の設計にすることができる。
【0145】
このシステムは、歯の上の歯垢のレベルを検出する手段を含み得る。1つのそのような検出の方法は、歯垢に固着することが判明しているフルオレセイン溶液で歯をコーティングして、そのフルオレセインでコーティングされた歯垢から放出される光波を、コーティングされていない歯の領域から放出される光波と比較して監視することによるものである。光波は、それぞれの領域によって異なるため、歯垢が、歯の上で、どの領域に、またどの程度存在するかを識別することができる。視覚システムなどの、他の同様の歯垢検出の方法もまた使用することができる。
【0146】
洗浄/パージ/注入
液体システムは、使い捨てカートリッジ、チャンバの再充填、基部ステーション内の主リザーバへの、配管を使用したアクセス、又は液体転送の他の手段(重量式、手動ポンプ、サイフォンポンプ、リザーバを充填/注入するための主ポンプ駆動又は二次システムの使用など)で、注入することができる。液体リザーバは、種々の液体の組み合わせで充填して、種々の液体濃度の、独特の組み合わせを作り出すことができる。別の実施形態では、成分は、最初は液体以外の形態(ゲル、粉末、錠剤など)にすることができ、更なる処理及び/又は洗浄の利益のための液体と組み合わせることができる。
【0147】
ハンドピースは、洗浄プロセス中及び/又は洗浄プロセス後に、ユーザーによって単純かつ容易に起動されるパージ設定を有する。これは、ハンドピースから液体及び廃棄物をパージする、ユーザーによって押される単一ボタンなどの方法で達成することができる。別の実施形態では、過剰な液体及び廃棄物は、ハンドピースから、基部ステーションの外部の、又は基部ステーション内に結合される廃棄物リザーバ若しくは排水管へと転送される。汚染物質から構成要素を保護するための、濾過システムが存在し得る。更なる実施形態では、ハンドピースは、使い捨ての廃棄物カートリッジを収容する。代替的実施形態では、マウスピースは、使用の合間に基部ステーション内で洗浄される。洗浄方法としては、UV洗浄、アルコール浴、代替洗浄液浴、又は他の同様の方法が挙げられるが、これらに限定されない。この液体洗浄浴は、マウスピース内及び/又はマウスピースの周囲で、循環しても、あるいは循環しなくてもよい。
【0148】
駆動システム
液体システムは、運動を回転から直線移動に変換する手段を有する回転モーターによって駆動されてもよい。これは、偏心カム、線形スライダ、又は他の既知の方法によって達成され得る。代替的な実施形態では、リニアモーター又は一連のリニアモーターは、システムを駆動してもよい。このことにより、液体システムのサイズを低減し、液体の真空を通じた、液体供給の更なる制御が得られる可能性がある。このモーターは、並進運動方式で、上下に直接ピストンを駆動することができる。
【0149】
本デバイスの設計を最適化し、本デバイスのサイズを最小限に抑えるために、この直線駆動装置の構成要素は、ポンプシステム内に統合することができる。ピストン自体に、磁石を組み込むことができ、外側のピストンチャンバの壁部内、又は壁部の周囲にコイルを埋め込むことができる。あるいは、ピストン、及び/又はピストンに対する固定取り付け手段を、移動部分とすることができ、磁石は、静止状態(すなわち、ピストンの壁部を取り囲むか、又は壁部の内部)にすることができる。更には、真空ピストン及び供給ピストンの双方が、互いに対抗して作用する埋め込み磁石を有して、ピストンの移動を生じさせるか、又は補助することができる。
【0150】
モーターはまた、往復式流量制御装置の移動も駆動する。回転モーターは、モーター回転を並進させて往復式流量制御装置を回転させるために、ウォーム、ベベル、又は同様の歯車アセンブリを有してもよい。往復式流量制御装置の外周はギア歯で構成されてもよいが、これは、並進モーター回転から往復式流量制御ディスクを回転させる手段として使用されてもよい。あるいは、リニアモーターは、ゼネバ機構のような運動転移などの、ラチェット方式又は歯車方式で、FDMを駆動することができる。
【0151】
一部の実施形態では、ポンプ圧送区分及び真空区分は、互いに直列方式に配向することができる。あるいは、それらの区分は、互いに並列に配向することができる。それぞれの配向は、コンパクト性に関して、異なる有利点を有する。ポンプ圧送区分及び真空区分は、一体に接続されるか、あるいは、独立して動作することができ、周波数、及び/又は周波数の一部の因子で同期される(すなわち、真空区分は、供給区分の容積測定の変位を有するが、異なる速度で移動することができる)か、あるいは非同期的に動くことができる。供給区分及び真空区分が、互いに直列方式に配向される場合には、それらの区分は、ロッドを介して互いに接続することができる。このことにより、供給ピストン及び真空ピストンを同時に駆動することが可能になり、ポンプ圧送行程と真空行程との同期を確実にすることができる。
【0152】
供給ピストンは、真空ピストンを駆動するものと同じロッドによって駆動することができるが、そのピストンに取り付けられるスロットなどの、何らかの制動手段も有し、かつ/又は一方を他方に対して遅延させることもできる。このことにより、駆動ピストン内の追加の遊びが可能になり、真空行程を、供給行程の若干前に開始させ、供給行程の若干後まで継続させる。このことは、器具から液体を除去する更なる機会を、真空行程に与えることができるが、これは、供給ピストンが一時停止している間にも、その器具が、依然として真空を作り出していることに加えて、口腔内への、重力及び器具の位置による漏出を最小限に抑えているためである。
【0153】
真空ピストン及び供給ピストンは、デバイスの構成要素(モーター、弁、封止など)の早期故障をもたらす恐れがある、あらゆる種類の部分的又は完全な閉塞を、いずれかが経験する場合に、リザーバ内に安全に液体を放出処分するための手段を有し得る。このことにより、安全かつ制御された動作が可能になり、主要な流れポートが損なわれている場合の過剰圧力を防止して、有効性に関する反復可能なデバイスの性能を可能にする。環境に対してではなく、局部リザーバ内に放出処分することによって、デバイスの外側への漏出可能性が最小限に抑えられる。
【0154】
温度制御
一実施形態では、液体の温度は、特定の範囲内に制御することができる。液体が過度に冷たい場合には、その液体は、ユーザーの口内で、不快感及び刺激感応性を引き起こす恐れがある。液体の温度が過度に高い場合には、その液体は、不快感、刺激感応性、及びユーザーの口に対する損傷を引き起こす恐れがある。本システムは、液体の温度が特定の限度を上回る場合には、実行しないことを確認することができる。温度が、特定の最小限度よりも低い場合には、発熱体が、温度を上昇させることができる。本システムは、液体の温度が特定の範囲内にない限りは、実行しないことを確認することができる。温度のフィードバックは、サーミスタ、熱電対、IR、又は他の温度監視手段で提供することができるが、これらに限定されない。この情報は、論理(AI)システムにフィードバックすることができる。
【0155】
駆動システムは、特定の温度範囲に液体を加熱するための手段を含み得る。液体は、本システムの1つ又は2つ以上の場所で、加熱することができる。液体を加熱する方法としては、誘導素子、放射素子、セラミック素子、管状封止発熱体(例えば、ステンレス鋼又は黄銅で作製された管の内部に封止される、絶縁結合剤(MgO、アルミナ粉末)中のニッケルクロム線の微細コイル)、シリコーンヒーター、マイカヒーター、又は赤外線ヒーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
図7a~
図7lは、本発明による歯科用洗浄システム2000の実施形態の例を示す。図は、歯科用洗浄システム2000を示し、ハンドピース2220、基部ステーション2250、及び基部ステーション流体リザーバ2280を示す。基部ステーション液体リザーバ2280を使用して、ハンドピース2220内の液体リザーバを再充填する。適用トレー2100が、ハンドピース2220に取り付けられて示される。
【0157】
この実施形態において、基部ステーション充填管2245は、これを通じて洗浄液又は処理液が基部ステーション液体リザーバ2280からハンドピース2220内の液体リザーバに通過する導管である。液体は、基部ステーション液体リザーバポート2285を通じて、基部ステーション液体リザーバ2280を出て、ハンドピースポート2225を通じて、ハンドピース2220内の液体リザーバに入る。
【0158】
基部ステーション2250内にあるとき、ハンドピース2220の内部電池が再充電され、ハンドピース2220内の液体リザーバが、基部ステーション2250内の液体リザーバから再充填される。ハンドピース2220内のあらゆる診断情報が、基部ステーション2250と交換される。ハンドピース2220はまた、洗浄プロセスを経ることもできる。
【0159】
図7aは、ハンドピース2220、基部ステーション2250及び基部ステーション液体リザーバ2280を含む歯科用洗浄システム2000の実施形態の前方上面斜視図である。基部ステーション2250は、基部ステーション蓋2252、衛生チャンバ2254、UV消毒光2256、UV光殺菌スイッチ2206、開始ボタン2262、インジケータライト2264及びACアダプタ2270を有する電源コードを含む。衛生チャンバ2254内のUV消毒光2256を使用して、使用間に適用トレー2100を消毒する。UV光殺菌スイッチ2206は、基部ステーション蓋2252が開いているか、又は半開きであるときに、UV消毒光2256を遮断する。また、UV殺菌スイッチを利用して、蓋が閉じられ、ハンドピースがドッキングされたときに衛生プロセスを開始することができる。インジケータライト2264を使用して、ハンドピース2220の状態、位置、若しくは衛生状態、又は基部ステーション液体リザーバ2280の状態(例えば、満杯/空)をユーザーに知らせることができる。
【0160】
ハンドピース2220は、取り付けられた適用トレー2100を含み、
図7bに示すように、ハンドピースポート2225を含む。流体はハンドピースポート2225を通じてハンドピース2220に入り、そこから出る。
【0161】
基部ステーション液体リザーバ2280の前方上面斜視図を
図7cに示す。基部ステーション液体リザーバ2280(
図7d)の挿入図に示されるように、基部ステーション液体リザーバ2280は、ハンドピース2220を充填するために新鮮な流体が使用される基部ステーション液体リザーバポート2285、及び、基部ステーション液体リザーバ2280を基部ステーション2250に係合するために使用される基部ステーション液体リザーバ係止特徴部2282を含む。基部ステーション液体リザーバポート2285は、リザーバポート2285と基部ステーション入口管2245aとの間の封止を確実にするためにOリング2287を含む。
【0162】
ハンドピース2220の部分断面を
図7eに示す。ハンドピース2220の挿入図に示されるように(
図7f、ハンドピースポート2225はハンドピースポート2225を含み、ハンドピースポート2225から、ハンドピース2220を充填するために新しい流体が使用される。ハンドピースポート2225は、ボールベアリング2222及びバネ2224アセンブリを含む。ハンドピースポート2225を通じてハンドピース2220に入る流体は、ボールベアリング2222及びバネ2224アセンブリを通過するが、これは、基部ステーションに係合されていないときにハンドピース2220の封止手段として機能する。
【0163】
図7hの挿入図を有する
図7gは、基部ステーション対ハンドピースドッキング機構2232を示す。基部ステーションポート2230からの流体は、ハンドピースポート2225に入る前にドッキング特徴部2232を通過する。Oリング2234は、基部ステーションポート2230とハンドピースポート2225との間の封止を保証する。ハンドピース2220が、基部ステーション2250からの流体装填及び/又は器具トレーの衛生プロセスの開始のために、ハンドピース2220が適切なドッキング位置にあることを確実にするために、基部ステーション2250ハンドピースドッキング領域内に位置してもよい。手持ち式位置/ドッキング状態はまた、手持ち式充電回路への基部ステーションのフィードバックによって検証されてもよい。
【0164】
図7iは、ハンドピース2220又は基部ステーション液体リザーバ2280が取り付けられていない、基部ステーション2250の切取図である。切取図は、ポンプ2247、加熱コイル2249、リザーバからポンプへの管2245a、基部ステーションポンプから基部ステーションポートへの管2245b、並びにマイクロコントローラ及び回路基板2241、及び基部ステーション2250上に位置するハンドピース充電パッド2243を示す。
【0165】
図7jは、基部ステーション液体リザーバ2280が取り付けられた、切取図の基部ステーション2250である。基部ステーション液体リザーバ係止特徴部2282を使用して、基部ステーション液体リザーバ2280を基部ステーション2250に係合する。係合すると、基部ステーション液体リザーバ2280内の流体は、リザーバポート2285を通じて基部ステーション液体リザーバ2280から出る基部ステーションリザーバ管2282を通過し、基部ステーション入口管2245aを通じて基部ステーション2250に入ることができる。加熱コイル2249は、流体がハンドピース2220に入る前に管2245a及び2245b内の流体を温めるために使用される。
【0166】
図7kは、ハンドピース2220及び基部ステーション液体リザーバ2280が取り付けられた、基部ステーション2250の切取図である。挿入図(
図7l)に示されるように、ハンドピース2220が基部ステーション2250に取り付けられるとき、ドッキング特徴部2232はボールベアリング2222及びバネ2224アセンブリと接触し、ボールベアリング2222を変位させ、流体がハンドピース2220を充填することを可能にする。
【0167】
この実施形態では、基部ステーション液体リザーバ2280は、十分な流体量を収容する基部ステーション2250内に装填されて、リザーバ2280を何回も使用してから空にすることを可能にする。取り外し可能かつ交換可能なリザーバ2280は、基部ステーション2250内のリザーバ2280を正しく位置合わせし、保持し、かつ基部ステーション2250内への流体導管のための封止を提供するように、液体リザーバ係止特徴部2282を介して基部ステーション2250と係合する。
【0168】
流体は、加熱コイル2249を通過して基部ステーション液体リザーバ2280からポンプ圧送され、この加熱コイル2249は、許容可能な温度に加熱され、洗浄/処理プロセス中に適用されたときにLCCに適用されるときの感度を最小限に抑える。
【0169】
ハンドピース2220は、ユーザーによって基部ステーション2250のハンドルドック内に配置される。ハンドピース2220は、基部ステーション2250内の正しい位置にハンドピース2220を正しく位置合わせして保持するようにドッキング特徴部を介して基部ステーション2250と係合して、流体が基部ステーション液体リザーバ2280からハンドピース2220内の局部リザーバ内にポンプ圧送されることを可能にする。ハンドピース2220は、ドッキングステーション内に適切に配置されたときに、基部ステーション2250からの流体の流れのための導管を提供するために開放される特徴部を含む。ハンドピース2220が基部ステーション2250から取り外されると、流体チャネルは自動的に閉じられ、封止される。
【0170】
要約すると、基部ステーション2250は、ハンドル流体装填システム、流体加熱システム、マウスピースUV衛生チャンバ、手持ち式充電ステーション、並びに、流体負荷、加熱、及びマウスピース衛生の全ての態様を制御するための制御電子機器及び信号調整を収容し、並びにハンドピース2220ユニット及び消耗品リザーバ2280のドッキングステーションを提供する。基部ステーション2250はまた、限定されないが、流体レベル、充電レベル、衛生プロセス状態、デバイスが使われた最後の時間などのシステム状態及び診断分析結果上のフィードバックをユーザーに提供するためのユーザーインターフェースを含んでもよい。
【0171】
他の実施形態において、逆止弁を有するピストンポンプは、液体供給のために使用される。
【0172】
更に他の実施形態において、回転ピストンポンプが液体供給のために使用される。ポンプは当業者にとって既知であり、ピストンはこれが往復運動すると共に回転し、したがって動作にいずれの弁も必要としない。駆動モーターの回転方向を逆転すると、液体流方向が逆転する。
【0173】
更に他の実施形態において、隔膜ポンプ、歯車ポンプ、又は複動ピストンポンプが液体供給のために使用される。複動ピストンポンプの場合、液体システムが充填される際に、このポンプの種類はマウスピースへの液体流の方向を往復運動させる利益を有する。給気気圧シリンダー、ハンドポンプ、又は回転ポンプが、システムを駆動するために使用され得る。
【0174】
〔実施の態様〕
(1) 哺乳類の口腔から唾液を収集するための方法であって、
マウスピースを含んだデバイスの前記マウスピースを哺乳類の前記口腔内に配置することであって、前記マウスピースが、前記マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部並びに基底内側壁部によって画定されたチャンバを含み、前記基底壁部が、前記前方内側壁部と前記後方内側壁部との間に延び、前記チャンバの前記前方内側壁部及び前記後方内側壁部の各々が、複数の開口部と、前記マウスピース内に設置されたスイッチと、を含み、前記デバイスが、唾液収集リザーバと、流体供給リザーバと、ポンプと、前記デバイスを通じて流体を方向付けるための手段と、を更に含む、配置することと、
収集のために前記口腔から前記唾液収集リザーバに唾液をポンプ圧送するように、前記マウスピース内に設置された前記スイッチを起動させることと、
前記唾液収集リザーバへの唾液の前記ポンプ圧送を停止することと、
続いて、前記口腔の洗浄又は処理のために前記流体供給リザーバから前記マウスピースに流体をポンプ圧送することと、を含む、方法。
(2) 前記スイッチが、咬合運動に敏感な場所で前記マウスピース内に設置される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記スイッチが、前記スイッチを噛み締めることによって起動される、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記唾液収集リザーバへの唾液のポンプ圧送が、前記スイッチ上の設定数の噛み締めの後に停止される、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記口腔の洗浄又は処理のために、前記流体供給リザーバから前記マウスピースに流体をポンプ圧送することが、前記スイッチ上の設定数の噛み締めの後に開始される、実施態様3に記載の方法。
【0175】
(6) 前記唾液収集リザーバへの唾液のポンプ圧送が、前記スイッチ上の3回以上の噛み締めの後に停止される、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記スイッチがタイマー構成要素を含む、実施態様2に記載の方法。
(8) 前記唾液収集リザーバ及び前記タイマー構成要素に唾液をポンプ圧送することが、前記スイッチの噛み締めによって開始される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記唾液収集リザーバへの唾液のポンプ圧送が、前記タイマー構成要素の開始からの設定時間の後に停止され、前記口腔の洗浄又は処理のために、前記流体供給リザーバから前記マウスピースに流体をポンプ圧送することが開始される、実施態様8に記載の方法。
(10) 側方流動技術、マイクロ流体イムノアッセイ、DNA-DNAハイブリッド形成、カラーメトリック、フォトイメージング、ガスクロマトグラフィー、酸化亜鉛半導体センサ、定量的光蛍光(quantitative light fluorescence)及び定量的ポリメラーゼ連鎖反応からなる群から選択される方法によって、収集された前記唾液を分析するステップを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0176】
(11) 唾液サンプル刺激剤及び集塊剤からなる群から選択される薬剤を導入することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 哺乳類の口腔から唾液のサンプルを収集し、かつ分析するための方法であって、
前記哺乳類の前記口腔内の前記唾液の前記サンプルを収集するのに好適なデバイスを配置することであって、前記デバイスが、
マウスピースであって、前記マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部、並びに基底内側壁部によって画定されたチャンバを含み、前記基底壁部が前記前方内側壁部と前記後方内側壁部との間に延び、マウスピースであって、前記マウスピースの前方内側壁部及び後方内側壁部、並びに基底内側壁部によって画定されたチャンバを含み、前記基底壁部が前記前方内側壁部と前記後方内側壁部との間に延び、前記チャンバの前記前方内側壁部及び前記後方内側壁部の各々が複数の開口部を含み、前記マウスピースが、流体の第1の部分を収容し、前記第1の部分を前記前方内側壁部の前記開口部を通じて前記チャンバに提供する第1のマニホールドと、前記流体の第2の部分を収容し、前記第2の部分を前記後方内側壁部の前記開口部を通じて前記チャンバに提供する第2のマニホールドと、前記流体の前記第1の部分を前記第1のマニホールドに、かつこれから運搬するための第1のポートと、前記流体の前記第2の部分を前記第2のマニホールドに、かつこれから運搬するための第2のポートと、前記マウスピース内に設置されたスイッチと、を更に含んだ、マウスピースと、
前記口腔から前記唾液サンプルを収集し、前記口腔から前記唾液サンプルを収集し、前記唾液サンプルの分析を実施するための手段と、を含む、配置することと、
前記口腔から前記唾液の収集を開始し、
唾液収集を停止させ、
洗浄/処理プロセスを開始するように、前記マウスピース内に設置された前記スイッチを起動させることと、を含む、方法。
(13) (i)流体を前記第1のマニホールドを通じて前記チャンバ内に、前記第2のマニホールドを通じて前記チャンバ外に方向付けることと、(ii)流体を前記第2のマニホールドを通じて前記チャンバ内に、前記第1のマニホールドを通じて前記チャンバ外に方向付けることと、を交互に行うためのポンプシステムを含む、往復運動を提供するための手段を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記唾液サンプルを収集するための前記手段が、前記唾液の収集専用のマニホールド、前記マウスピースの周りに離間した間隔で配置されたオリフィス及び複数のノズル、前記内側壁部のうちの少なくとも1つにおける前記開口部、前記第1のマニホールド及び前記第2のマニホールドのうちの少なくとも1つ、並びに前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの少なくとも1つからなる群から選択される、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記唾液サンプルを収集するための前記手段が、前記内側壁部のうちの少なくとも1つにおける前記開口部、前記第1のマニホールド及び前記第2のマニホールドのうちの少なくとも1つ、並びに前記第1のポート及び前記第2のポートのうちの少なくとも1つからなる群から選択される、実施態様12に記載の方法。