(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】外科用ステープラ用のバットレス上の接着剤分布
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021537809
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 IB2019060545
(87)【国際公開番号】W WO2020136483
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-09
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マックギべロン・オマール・ゼット
(72)【発明者】
【氏名】リッジリー・パメラ・エム
(72)【発明者】
【氏名】シェリン・エミリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スパソルト・レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ストラング・ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ジョーダン・ビー
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512218(JP,A)
【文献】特表2014-531240(JP,A)
【文献】特表2020-508123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するためのバットレス組立体であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する長手方向軸線を規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備える、バットレスと、
(b)前記バットレスの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで連続的に延在し、前記バットレスの前記中央領域を実質的に前記接着剤を含まない状態に残して前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域に沿って配置されている、接着剤と、を備
え、
前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第1のビードを含み、また前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第2のビードを更に含み、
前記接着剤の前記第1のビードは、前記バットレスの長さの少なくとも一部分に沿って前記接着剤の前記第2のビードと部分的に重なる、バットレス組立体。
【請求項2】
前記バットレスの前記中央領域は、前記バットレスを半分に分離することを促進するように構成された1つ以上のスリットを備える、請求項1に記載のバットレス組立体。
【請求項3】
前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部よりも前記バットレスの前記遠位端部において前記接着剤をより多く含む不均一な分布を備える、請求項1に記載のバットレス組立体。
【請求項4】
前記接着剤の前記第1のビードは、前記バットレスの前記長さの少なくとも一部分に沿って前記接着剤の前記第2のビードから離間する、請求項
1に記載のバットレス組立体。
【請求項5】
前記接着剤の前記第2のビードは、前記接着剤の前記第1のビードよりも更に近位側に延在する、請求項
1に記載のバットレス組立体。
【請求項6】
前記接着剤の前記第1のビードと前記接着剤の前記第2のビードは、前記バットレスに対して実質的に同じ程度に遠位側に延在する、請求項
1に記載のバットレス組立体。
【請求項7】
前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第3のビードを含み、前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第4のビードを更に含む、請求項
1に記載のバットレス組立体。
【請求項8】
前記接着剤の前記第1のビード及び前記第2のビードは集合的に、前記バットレスの中心線を規定する前記バットレスの前記長手方向軸線を中心として前記接着剤の前記第3のビード及び前記第4のビードと対称的である、請求項
7に記載のバットレス組立体。
【請求項9】
前記接着剤は、前記接着剤が前記バットレスに塗布される箇所において、前記接着剤が前記バットレスから盛り上がって位置するような最小高さを備える、請求項1に記載のバットレス組立体。
【請求項10】
前記接着剤の前記最小高さは0.254mm~1.27mmである、請求項
9に記載のバットレス組立体。
【請求項11】
前記接着剤の前記最小高さ
は0.4064mm
~0.762mmである、請求項
9に記載のバットレス組立体。
【請求項12】
前記接着剤の前記最小高さは、外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルのステープル成形ポケットの深さと実質的に一致するように構成されている、請求項
9に記載のバットレス組立体。
【請求項13】
前記接着剤の前記最小高さは、外科用ステープラのエンドエフェクタのステープルカートリッジのポケット延長部の高さと実質的に一致するように構成されている、請求項
9に記載のバットレス組立体。
【請求項14】
外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するためのバットレス組立体であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、前記近位端部から前記遠位端部までの長さを規定し、前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する長手方向軸線を規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備え、前記中央領域を切り開くことによって実質的に等しい半分へと切断されるように構成されている、バットレスと、
(b)前記バットレスの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在し、前記バットレスの前記中央領域を実質的に前記接着剤を含まない状態に残して前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域に沿って配置され、前記バットレスの前記長さに沿って非対称分布を備える、接着剤と、を備
え、
前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域上の前記接着剤は、前記バットレスの前記長さに沿って、より多量の接着剤のエリアと、より少量の接着剤のエリアとの間で変化し、前記第1の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第2の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置し、前記第2の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第1の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置する、バットレス組立体。
【請求項15】
前記接着剤の前記非対称分布は、外科用ステープラのエンドエフェクタを開放するときに、前記エンドエフェクタのアンビル及びステープルカートリッジのうちの選択された1つから前記バットレス組立体を剥離するために必要な力を低減するように構成されている、請求項
14に記載のバットレス組立体。
【請求項16】
外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するための装置であって、
(a)一対のバットレス組立体であって、前記一対
のバットレス組立体のうちの各バットレス組立体は、
(i)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、前記近位端部から前記遠位端部までの長さを規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備え、前記中央領域を切り開くことによって実質的に等しい半分へと切断されるように構成されている、バットレスと、
(ii)前記バットレスの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在し、前記バットレスの前記中央領域を実質的に前記接着剤を含まない状態に残して前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域に沿って配置され、前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域上に前記接着剤を有して、より多量の接着剤のエリアとより少量の接着剤のエリアとの間で変化する、前記バットレスの前記長さに沿った非対称分布を備え、前記第1の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第2の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置し、前記第2の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第1の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置する、接着剤と、を備える、一対のバットレス組立体を備え、
(b)前記
一対のバットレス組立体の各々は、前記
一対のバットレス組立体のうちの一方の前記接着剤が前記
一対のバットレス組立体のうちの他方の前記接着剤から離れる方を向いた状態で対向する様式で位置付けられるように構成されており、前記対向する様式で位置付けられるとき、前記
一対のバットレス組立体のうちの一方の上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記
一対のバットレス組立体のうちの他方の上の前記より少量の接着剤のエリアと整列される、装置。
【請求項17】
前記バットレスの前記中央領域は、前記バットレスを半分に切断することを促進するように構成された1つ以上のスリットを備える、請求項
16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の状況では、切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、いくつかの形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療送達デバイス、及び、超音波振動、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達デバイスなど)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸線を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易にし得る。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸線に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ又は2つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。例示的に過ぎない外科用ステープラが、1989年2月21日発行の「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する米国特許第4,805,823号、1995年5月16日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日発行の「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日発行の「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日発行の「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日発行の「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許第8,408,439号、及び2013年6月4日発行の「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号に開示されている。上に引用した米国特許の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。単なる例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることができる。このような処置では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び処置において使用され得る。
【0004】
開胸術を介した使用に特に好適となり得る外科用ステープラの例が、2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、2018年1月16日発行の「Surgical Instrument with Articulation Lock having a Detenting Binary Spring」と題する米国特許第9,867,615号、2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号に開示されている。上に引用した米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
更なる手術用ステープリング器具が、2014年8月12日発行の「Surgical Circular Stapler with Tissue Retention Arrangements」と題する米国特許第8,801,735号、2012年3月27日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第8,141,762号、2013年2月12日発行の「Surgical End Effector Having Buttress Retention Features」と題する米国特許第8,371,491号、2017年3月21日発行の「Method and Apparatus for Sealing End-to-End Anastomosis」と題する米国特許第9,597,082号、2016年7月26日発行の「Rotary Powered Surgical Instruments with Multiple Degrees of Freedom」と題する米国特許第9,398,911号、2013年8月15日公開の「Linear Stapler」と題する米国特許出願公開第2013/0206813号、2008年7月17日公開の「Buttress Material for Use with a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2008/0169328号、2017年12月26日発行の「Woven and Fibrous Materials for Reinforcing a Staple Line」と題する米国特許第9,848,871号、2018年4月10日発行の「Devices and Methods for Sealing Staples in Tissue」と題する米国特許第9,936,954号、及び2016年3月31日公開の「Radically Expandable Staple Line」と題する米国特許公開第2016/0089146号に開示されている。上に引用した米国特許、米国特許出願公開、及び、米国特許出願それぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
場合によっては、ステープルでもたらされる組織の機械的締結を補強するため、手術用ステープル留め器具がバットレス材を備えることが望ましい場合がある。かかるバットレスは、適用後のステープルが組織から抜けるのを防止でき、本来、ステープルの適用部位又はその付近の組織が裂けるリスクを低減することができる。
【0007】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】エンドエフェクタがバットレスアプリケータに接近している、外科用ステープラの例示的なエンドエフェクタ及び例示的なバットレスアプリケータの斜視図である。
【
図2】バットレスアプリケータがエンドエフェクタ内に位置付けられた、
図1のエンドエフェクタ及びバットレスアプライヤの斜視図である。
【
図3A】
図1のバットレス組立体がエンドエフェクタに適用され、組織がエンドエフェクタ内のバットレス間に位置付けられ、アンビルが開放位置にある、
図1のエンドエフェクタの一部分の端断面図である。
【
図3B】組織がエンドエフェクタ内のバットレス間に位置付けられ、アンビルが閉鎖位置にある、
図3Aの組み合わされたエンドエフェクタとバットレス組立体の端断面図である。
【
図3C】
図1のエンドエフェクタによって組織に固定されている、
図3Aのステープル及びバットレス組立体の横断面図である。
【
図4】
図1のエンドエフェクタによって組織に固定されている、
図3Aのステープル及びバットレス組立体の斜視図である。
【
図5】
図1のエンドエフェクタと共に使用可能な別のバットレスアプリケータの斜視図である。
【
図6】
図5のバットレスアプリケータの分解組立図である。
【
図8A】
図7の線8A-8Aに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図8B】
図7の線8B-8Bに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図8C】
図7の線8C-8Cに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図8D】
図7の線8D-8Dに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図8E】
図7の線8E-8Eに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図8F】
図7の線8F-8Fに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図8G】
図7の線8G-8Gに沿って取られた、
図7のバットレス組立体の横断面図である。
【
図9】円形外科用ステープラと共に使用するように構成された例示的なバットレス組立体の頂面図である。
【
図10】
図1のエンドエフェクタのステープルカートリッジの横断面図である。
【
図11】例示的な非対称接着剤分布を示す、別の例示的なバットレス組立体の頂面図である。
【
図12】エンドエフェクタのジョーから剥離された
図11のバットレス組立体を示す、開放位置にある外科用ステープラ用のエンドエフェクタの側面図である。
【
図13】別の例示的な非対称接着剤分布を示す、別の例示的なバットレス組立体の頂面図である。
【
図14】エンドエフェクタのジョーから剥離された
図13のバットレス組立体を示す、開放位置にある
図12の外科用ステープラ用のエンドエフェクタの側面図である。
【0009】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0011】
I.例示的なバットレス装填及び適用
図1及び
図2は、切断及びステープル留め操作が実施される組織部位にバットレスを適用するように構成された例示的なエンドエフェクタ(40)を示す。エンドエフェクタ(40)は、シャフト組立体(30)と連結される。エンドエフェクタ(40)は、アンビル(60)と、下部ジョー(50)と、下部ジョー(50)によって受容されるステープルカートリッジ(70)と、を備える。
【0012】
図1及び
図2はまた、例示的なバットレスアプリケータ(200)を示す。バットレスアプリケータ(200)は、バットレス組立体(100、110)を選択的に保持するように構成されている。本実施例では、バットレス組立体(100)は、アプリケータ(200)の上部側に選択的に保持され、またバットレス組立体(110)は、アプリケータ(200)の下部側に選択的に保持される。いくつかの他の変形例では、アプリケータ(200)は、1つのバットレス組立体(100、110)のみがバットレスアプリケータ(200)によって選択的に保持されるように構成され得る。
【0013】
バットレスアプリケータ(200)を使用してエンドエフェクタ(40)にバットレス組立体(100、110)を装填するために、操作者はまず、
図1に示されるようにエンドエフェクタ(40)がアプリケータ(200)の開放端部(202)と整列するように、アプリケータ(200)及びエンドエフェクタ(40)を位置付けする。操作者は次いで、
図2に示されるように、エンドエフェクタ(40)を遠位側に前進させて(かつ/又はアプリケータ(200)を近位側に後退させて)、バットレス組立体(100、110)をアンビル(60)とステープルカートリッジ(70)との間に位置付ける。バットレス組立体(100、110)をエンドエフェクタ(40)に装填するために、操作者は、アンビル(60)をステープルカートリッジ(70)に向かって枢動させることによって、エンドエフェクタ(40)を簡単に閉鎖し得る。エンドエフェクタ(40)の閉鎖は結果として、バットレス組立体(100、110)をバットレスアプリケータ(200)と共に選択的に保持するように構成されたバットレスアプリケータ(200)の保持機構を、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)の遠位端部が支持することになる。この接触は、バットレスアプリケータ(200)のそのような保持機構を偏向させ、それによって、バットレスアプリケータ(200)の一方の側におけるアンビル(60)の表面とバットレス組立体(100)との間、及びバットレスアプリケータ(200)の別の側におけるステープルカートリッジ(70)の表面とバットレス組立体(110)との間の接触を可能にする。バットレス組立体(100、110)は、それぞれの表面上に接着剤を備え、したがって、エンドエフェクタ(40)が両方のバットレス組立体(100、110)をクランプする状態で、バットレス組立体(100、110)はそれぞれ、アンビル(60)の下側及びステープルカートリッジ(70)のデッキ表面に接着される。エンドエフェクタ(40)は次いで再開放され(すなわち、アンビル(60)をステープルカートリッジ(70)から離して枢動させ)、バットレス組立体(200)から引き離され得る。アプリケータ(200)の保持機構がバットレス組立体(100、110)から係合解除された状態で、エンドエフェクタ(40)は、バットレスアプリケータ(200)からエンドエフェクタ(40)が引き離されるときに、バットレス組立体(100、110)をバットレスアプリケータ(200)から自在に引き離し得る。バットレス組立体(100、110)がエンドエフェクタ(40)に装填されている状態で、エンドエフェクタ(40)は次いで、
図3A~
図4を参照して更に説明されるように使用され得る。
【0014】
図3A~
図3Cは、バットレス組立体(100、110)を装填されたエンドエフェクタ(40)が作動されて、2つの並列する組織層(T
1、T
2)を通してステープル(90)を駆動し、バットレス組立体(100、110)がステープル(90)によって同じ組織層(T
1、T
2)に固定されるシーケンスを示す。具体的に言えば、
図3Aは、アンビル(60)とステープルカートリッジ(70)との間に配置された組織層(T
1、T
2)を示し、アンビル(60)は開放位置にある。図示のように、アンビル(60)は、ステープル成形ポケット(64)を備える。バットレス組立体(100)は、接着剤によってアンビル(60)の下面(65)に接着され、バットレス組立体(110)は、接着剤によってステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)に接着される。したがって、組織層(T
1、T
2)は、バットレス組立体(100、110)の間に挟まれている。次に、エンドエフェクタ(40)が閉鎖され、それにより、
図3Bに示されるようにアンビル(60)が閉鎖位置に駆動される。この段階において、バットレス組立体(100、110)が、組織層(T
1、T
2)の対向する表面を係合して、組織層(T
1、T
2)がアンビル(60)とステープルカートリッジ(70)との間で圧迫される。エンドエフェクタ(40)が次いで作動され、それによって、ステープルドライバ(75)がバットレス組立体(100、110)及び組織(T
1、T
2)を通してステープル(90)を駆動する。
図3Cに示されるように、駆動されたステープル(90)のクラウン部(92)は、組織層(T
2)に対してバットレス組立体(110)を捕捉し、かつ保持する。ステープル(90)の変形した脚部(94)が、組織層(T
1)に対してバットレス組立体(100)を捕捉し、かつ保持する。
【0015】
一連のステープル(90)が組織(T
1、T
2)の層に対してバットレス組立体(100、110)を同様に捕捉及び保持し、それによって、
図4に示されるように、バットレス組立体(100、110)が組織(T
1、T
2)に固定されることを理解されたい。ステープル(90)及びバットレス組立体(100、110)が配備された後に、エンドエフェクタ(40)が組織(90)から引き離されるとき、バットレス組立体(100、110)はエンドエフェクタから係合解除され、そのため、バットレス組立体(100、110)は依然としてステープル(90)によって組織(T
1、T
2)に固定されるようになる。このようにして、バットレス組立体(100、110)が、ステープル(90)のラインに構造的な補強をもたらす。更に
図4から分かるように、ナイフ部材(図示せず)が、エンドエフェクタ(40)を通過し、またそうする際に、バットレス組織組立体(100、110)の中央線に沿って切り開き、各バットレス組立体(100、110)を対応する一対の部分へと、各部分が依然として組織(T
1、T
2)のそれぞれの切断領域に固定されるように分離する。
【0016】
前述の実施例では、バットレス組立体(100)は、ナイフ部材(図示せず)がエンドエフェクタ(40)の作動中にバットレス組立体(100)を切断するように、アンビル(60)の下面(65)の全幅にわたって広がるようにサイズ決めされている。いくつかの他の実施例では、バットレス組立体(100)は、2つの別々の横方向に離間した部分として提供され、一方の部分はアンビル(60)の一方の半分においてアンビル(60)の下面(65)に配設され、もう一方の部分はアンビル(60)の他方の半分においてアンビル(60)の下面(65)に配設される。そのような変形例では、ナイフ部材(図示せず)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にバットレス組立体(100)を切断しない。
【0017】
同様に、バットレス組立体(110)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にナイフ部材(図示せず)がバットレス組立体(110)を切断するようにするため、デッキ(73)の全幅にわたって広がるようにサイズ決めされてもよい。それに代わって、バットレス組立体(110)は、2つの別々の横方向に離間した部分として提供され、一方の部分は一方の半分においてデッキ(73)に配設され、もう一方の部分は他方の半分においてデッキ(73)に配設される。そのような変形例では、ナイフ部材(図示せず)は、エンドエフェクタ(40)の作動中にバットレス組立体(110)を切断しない。
【0018】
上記に加えて、本明細書で説明された様々なバットレス組立体のいずれもが、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年9月29日に公開された「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号の教示の少なくとも一部に従って、更に構成され動作可能となり得ることがまた理解されるべきである。
【0019】
II.例示的なバットレスアプリケータ
図5及び
図6は、エンドエフェクタ(40)と共に使用するための代替的なバットレスアプリケータ(300)を示す。バットレスアプリケータ(300)は、第1のハウジング部分(302)と、第2のハウジング部分(304)とを備える。ハウジング部分(302、304)のそれぞれは、フレーム(306)と接続する。圧縮パッド(308)が、フレーム(306)の中央部分(310)内に嵌合するように構成される。第1の一対のクランプアーム(312)が、フレーム(306)とハウジング部分(302)との間のフレーム(306)の第1の側に位置する。第2の一対のクランプアーム(314)が、フレーム(306)とハウジング部分(304)との間のフレーム(306)の第2の側に位置する。本変形例では、クランプアーム(312)は、左クランプアーム(311)と右クランプアーム(313)とを含む。同様に、クランプアーム(314)は、左クランプアーム(311)と右クランプアーム(313)とを含む。バットレス組立体(316、318)は、圧縮パッド(308)のそれぞれの側に位置し、また、バットレスアプリケータ(300)が完全に組み立てられると、一対のクランプアーム(312、314)は、バットレス組立体(316、318)を圧縮パッド(308)に対して選択的に保持する。本実施例では、バットレス組立体(316、318)は同一であり、以下でより詳細に説明されるように、バットレス(322)上に配置された接着剤(320)をそれぞれ備える。
【0020】
バットレスアプリケータ(300)は、バットレスアプリケータ(200)に関して上述されたのと同じ方式でエンドエフェクタ(40)と共に使用され得る。例えば、バットレス組立体(316、318)は、上述と同様にしてエンドエフェクタ(40)に装填されているが、ここでエンドエフェクタ(40)は、例えば
図2に示されるように、アンビル(60)及び下部ジョー(50)がフレーム(308)中央部分(310)に被さって位置付けされると、閉鎖位置又はクランプ位置へと移動される。より具体的には、バットレス組立体(316、318)及び圧縮パッド(308)の上にあるときのエンドエフェクタ(40)のクランプ作用は、アンビル(60)及び下部ジョー(50)のステープルカートリッジ(70)を、左クランプアーム(311)上の保持機構(324)及び右クランプアーム(313)上の保持機構(325)に接触させることになる。この接触は、クランプアーム(311、313)をバットレス組立体(316、318)から横方向に離れるように駆動し、それによって保持機構(324、325)をバットレス組立体(316、318)から係合解除する。エンドエフェクタ(40)と共に使用されるクランプの向きに応じて、保持機構(324、325)が係合解除されると、バットレス組立体(316)の接着剤(320)は、アンビル(60)の下面(65)又はステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)のいずれかに接触する一方で、バットレス組立体(318)の接着剤(320)は、アンビル(60)の下面(65)又はステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)の他方と接触する。これにより、バットレス組立体(316、318)はエンドエフェクタ(40)に付着され、また、エンドエフェクタが開放され、バットレスアプリケータ(300)から離れるように移動する際に、エンドエフェクタ(40)と共に残存する。この時点から、バットレス組立体(316、318)は、上述され、
図4に関して例示されるように、切断及びステープル留めされた組織部位に適用され得る。
【0021】
III.例示的なバットレス組立体
図7は、バットレス組立体(316)を示しており、バットレス組立体(318)は同一であることが理解される。上述したように、バットレス組立体(316)は、バットレス(322)と、バットレス(322)の一方の側にある接着剤(320)と、を含む。バットレス(322)は、1つ以上の材料層を含む。複数の層が使用される場合、それらの層は一緒に積層され得る。いくつかの実施例では、バットレス(322)は、メッシュ層と、一緒に積層された1つ以上のフィルム層と、を含む。いくつかの他の実施例では、バットレス(322)は、メッシュ層を有さない1つ以上のフィルム層を含む。本明細書の教示を考慮すると、バットレス(322)の1つ以上の層のための他の様々な材料が当業者に明らかになるであろう。
【0022】
本実施例では、バットレス(322)は、切断及びステープル部位を補強するために使用されるとき、患者の身体によって完全吸収されるように構成された吸収性材料で構成される。いくつかの実施例では、バットレス(322)は、90%のグリコリドと10%のL-ラクチドであるポリグラクチン910で構成される。ポリグラクチン910の一例が、商標名Vicryl(登録商標)としてEthicon Inc.によって製造されている。本明細書の教示を考慮すると、バットレス(322)と共に使用するための他の吸収性合成材料が、当業者には明らかとなるであろう。
【0023】
A.例示的な接着剤の配置
バットレス(322)は、第1の表面(326)と、第1の表面(326)とは反対側の第2の表面(328)と、を備える。バットレスはまた、近位端部(330)と、遠位端部(332)とを含む。
図4及び
図5を参照すると分かるように、バットレス組立体(316)は、バットレス組立体(316、318)をエンドエフェクタ(40)に装填するとき、バットレス(322)の遠位端部(332)がエンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)と整列するようにアプリケータ(300)によって保持される。この構成により、バットレス(322)は、近位端部(330)から遠位端部(332)まで延在する長さを規定する。バットレス(322)は、近位端部(330)と遠位端部(332)との間に延在する長手方向軸線(A1)を更に規定する。バットレス(322)は、第1の縁部領域(334)と、第2の縁部領域(336)と、第1の縁部領域(334)と第2の縁部領域(336)との間にありかつ第1の縁部領域(334)と第2の縁部領域(336)とを分離する中央領域(338)とを含む。バットレス(322)は、上記で規定されたその長さに直交して延在する幅を規定し、その幅は、第1の縁部領域(334)から中央領域(338)をまたいで第2の縁部領域(336)を通って延在する。
【0024】
本実施例では、接着剤(320)はバットレス(322)の第1の表面(326)上に塗布される。バットレス組立体(316)のいくつかの他の変形例では、接着剤(320)はバットレス(322)の第2の表面(328)上に塗布され得る。本実施例に戻ると、接着剤(320)は、バットレス(322)の近位端部(330)から遠位端部(332)まで延在する。更に、本実施例では、接着剤(320)は連続的に、あるいは途切れない様式で延在する。
図7に示すように、接着剤(320)は、第1の縁部領域(334)及び第2の縁部領域(336)に沿って配置され、中央領域(338)は接着剤(320)を実質的に含まない。以下で更に説明するように、接着剤(320)は、接着剤(320)がバットレス(322)から盛り上がるような高さを接着剤(320)が備えるような様式でバットレスに塗布される。接着剤(320)の高さは、バットレス組立体(316)を装填するときのエンドエフェクタ(40)の向きに応じて、接着剤(320)がエンドエフェクタ(40)のアンビル(60)の下面(65)又はエンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)のいずれかと良好な接触をなすのを容易にするように構成される。
【0025】
接着剤(320)の高さと共に接着剤(320)の連続的な性質は、バットレス(322)が付着するエンドエフェクタ(40)の部分にバットレス(322)の縁部を封止するように作用する。例えば、バットレス組立体(316)がエンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側にある場合、その高さを有する連続的な接着剤(320)は、アンビル(60)の下面(65)に接着剤(320)が接触する封止部をバットレス組立体(316)のバットレス(322)の縁部に沿って形成する。同様に、バットレス組立体(318)がエンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)側にある場合、その高さを有する連続的な接着剤(320)は、ステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)に接着剤(320)が接触する封止部をバットレス組立体(318)のバットレス(322)の縁部に沿って形成する。この封止付着により、使用時に、バットレス組立体(316)に到達し得る水分量が低減される。例えば、水分はバットレス組立体(316)の内部の外側に封止され、これにより、接着剤(320)の少なくとも一部分は水分を含まない状態に保たれる。このような様式で水分移動を制御することによって、バットレス組立体(316、318)は、エンドエフェクタ(40)とのより長い付着時間を有し得る。これにより、切断及びステープル留め動作を実行する前にエンドエフェクタ(40)を位置付ける及び操作するためのより長い時間をユーザに与え、それによって、補強構造体としてバットレス(322)を切断及びステープル留めされた部位に適用することが可能となる。
【0026】
例示的なバットレス組立体(416)を示す
図9を参照すると、上述の封止付着はまた、円形外科用ステープラと共に使用するように構成されたバットレス組立体にも適用され得る。例えば、バットレス組立体(416)は円形の形状を含み、円形外科用ステープラと共に使用するように構成されている。バットレス組立体(416)は、バットレス(422)と接着剤(420)とを含む。図示のように、接着剤(420)は、バットレス(422)上に同心円状のパターンをなして塗布される。このようにして、当業者には本明細書の教示を考慮することで理解されるように、外側接着剤リング(424)が、円形ステープラのエンドエフェクタ構成要素との封止付着を作り出す。これにより、バットレス組立体(316、318)に関して上述したものと同じか又は類似の方法で、内側接着剤リング(426)を含むバットレス組立体(416)の大部分と水分が接触するのを遅らせるかあるいは防止する。
【0027】
B.例示的な接着剤パターン及び分布
依然として
図7を、また同様に
図8A~
図8Gを参照すると、バットレス組立体(316、318)に関する他の詳細が、接着剤(320)並びにそのパターン及び量に関連して以下に記載される。
図7に示すように、バットレス(322)の中央領域(338)はスリット(340)を備える。図示した変形例では、スリット(340)は、近位スリット(342)と、遠位スリット(344)と、近位スリット(342)と遠位スリット(344)との間の中間スリット(346)と、を含む。スリット(340)は、上述のように、切断及びステープル留め操作中にバットレス(322)を実質的に等しい半分へと切断及び分離することを促進又は助長するように構成されている。本実施例に示すように、バットレス組立体(316、318)は、バットレス(322)の近位端部(330)及び遠位端部(332)の両方にスリット(342、344)を含み、これらのスリット(342、344)はバットレス(322)のそれぞれの端部まで延在する。この構成は、切断及びステープル留めシーケンスの間のバットレス(322)の端部におけるバットレス(322)の完全な切断及び分離を確実にするのに役立つ。また、本実施例では、長手方向軸線(A1)がスリット(340)を通過し、また中央領域(338)の各側で、接着剤(320)が、長手方向軸線(A1)を中心として他方の側と実質的に対称であるパターンを画定する。
【0028】
ここで、第1の縁部領域(334)に適用される接着剤(320)について考察すると、接着剤(320)は、第1のビード(348)と第2のビード(350)とを含む。接着剤の各ビード(348、350)は、概ねバットレス(322)の近位端部(330)からバットレス(322)の遠位端部(332)まで延在する。
図8A~
図8Gに示されるように、接着剤の第1のビード(348)は、バットレス(322)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第2のビード(350)と部分的に重なる。また、他のエリアでは、接着剤の第1のビード(348)は、バットレス(322)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第2のビード(350)から離間している。
図7に最も良く示されるように、接着剤の第2のビード(350)は、接着剤の第1のビード(348)と比較して更に近位に延在している。更に、接着剤の第1及び第2のビード(348、350)は、バットレス(322)に対して実質的に同程度に遠位に延在している。
【0029】
ここで、第2の縁部領域(336)に適用される接着剤(320)について考察すると、接着剤(320)は、第3のビード(352)と第4のビード(354)とを含む。接着剤の各ビード(352、354)は、概ねバットレス(322)の近位端部(330)からバットレス(322)の遠位端部(332)まで延在する。
図8A~
図8Gに示されるように、接着剤の第3のビード(352)は、バットレス(322)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第4のビード(354)と部分的に重なる。また、他のエリアでは、接着剤の第3のビード(352)は、バットレス(322)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第4のビード(354)から離間している。
図7に最も良く示されるように、接着剤の第4のビード(354)は、接着剤の第3のビード(352)と比較して更に近位に延在している。更に、接着剤の第3及び第4のビード(352、354)は、バットレス(322)に対して実質的に同程度に遠位に延在している。上述したように、接着剤の第1及び第2のビード(348、350)は集合的に、バットレス(322)の中心線を規定する長手方向軸線(A1)を中心として、接着剤の第3及び第4のビード(352、354)と対称である。
【0030】
ここで、バットレス(322)の近位端部及び遠位端部(330、332)に塗布される接着剤(320)について考察すると、本実施例では、接着剤(320)の不均一な分布が使用されている。接着剤(320)のこの不均一な分布は、バットレス(322)の近位端部(330)よりもバットレス(322)の遠位端部(332)においてより多くの接着剤を含む。本実施例では、これは、半分へと切断する前のバットレス(322)を比較するとき、又は切断されたバットレス(322)の半分を比較するときに当てはまる。接着剤(320)のこの不均一な分布は、対応する接着剤の第1のビード(348)及び接着剤の第3のビード(352)と比較してバットレス(322)の近位端部(330)へと更に近位側に延在する、接着剤の第2のビード(350)及び接着剤の第4のビード(354)によって少なくとも部分的に作り出される。更に、遠位端部(332)上において、接着剤の第1及び第2のビード(348、350)の両方、並びに接着剤の第3及び第4のビード(352、354)の両方が同じ程度まで延在する。このアレインメント(arraignment)の結果として、遠位端部(332)の接着剤(320)が、バットレス(322)の近位端部(330)と比較して、より多くなる。より多くの接着剤(320)がバットレス(322)の遠位端部(332)に存在する本実施例のような実施例では、これは、エンドエフェクタ(40)を積極的に操作するとき、すなわち、小孔を貫通するとき、組織上に軸方向に摺動するときなどの際に、バットレス(322)がエンドエフェクタ(40)のそれぞれの部分に付着され、かつそれらと位置合わせされた状態に留まるのを助ける。
【0031】
上述したように、バットレス(322)の遠位端部(332)は、エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)と整列する。エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)は、エンドエフェクタ(40)を位置付けするときに組織と接触する、エンドエフェクタ(40)の最初の部分であるため、エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)は、エンドエフェクタ(40)の近位端部と比較して、より大きな力を使用中に受けることになり得る。これにより、エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)においてバットレス組立体(316、318)の付着をより強固にすることは、バットレス組立体(316、318)とエンドエフェクタ(40)の対応の部分との付着及び整列を維持するのに有益であり得る。バットレス組立体(316、318)の遠位端部(332)におけるこのようなより強固な付着を達成するための1つの方法は、バットレス(322)の遠位端部(332)により多くの接着剤を配置することである。より多くの接着剤(320)は、体積基準、質量基準、表面積若しくは接触面積基準、又は面積密度基準によって達成され得る。本明細書の教示を考慮すると、遠位端部(332)におけるバットレス組立体(316、318)とエンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)におけるそれぞれの構成要素との間のより強い付着を提供する他の方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0032】
使用時には、エンドエフェクタ(40)からのバットレス(322)の剥離も検討事項である。バットレス(322)は、組織の切断及びステープル留めされた部位に移送されるようにエンドエフェクタ(40)から剥離されなければならず、そうすることで、バットレス(322)は、部位に構造的な補強をもたらし得る。エンドエフェクタ(40)のジョーのクランプ作用により、エンドエフェクタ(40)が発射され、エンドエフェクタ(40)を切断及びステープル留めされた部位から除去するためにエンドエフェクタ(40)が開放された後に、遠位端部(41)の大きな開き又は開口が存在する。大きな開き又は開口を伴う遠位端部(41)のこの動作は、バットレス(322)が最初にその近位端部(330)と比較してその遠位端部(332)においてより多くの接着剤(320)を有していても、エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)からのバットレス(322)の剥離を可能にする。
【0033】
上述した接着剤パターン及び分布は、バットレス(322)の長さに沿った接着剤(320)の横断面を示す
図8A~
図8Gにおいて確認され得る。例えば、
図8Aは、バットレス組立体(316)の近位端部(330)に沿って取られたものである。
図8Aに示されるように、接着剤の第2及び第4のビード(350、354)は、接着剤の第1及び第3のビード(348、352)と比較して更に近位に延在している。また、
図8Aから明らかなことは、近位スリット(342)である。更に、
図7及び
図8Aに示されるように、バットレス(322)は、その近位端部(330)にテーパを備えており、バットレス(322)の幅はバットレス(322)が近位方向に延在するにつれて減少する。
【0034】
図8Bは、接着剤の第1のビード(348)が接着剤の第2のビード(350)と部分的に重なるエリアと、同様に接着剤の第3のビード(352)が接着剤の第4のビード(354)と部分的に重なるエリアとを示す。
図8B並びに
図8A及び
図8C~
図8Gの他の図に示されるように、接着剤(320)は、長手方向軸線(A1)に関して対称である。
【0035】
図8Cは、接着剤(320)をバットレス(322)の長さに沿って更に遠位側で検査するとき、接着剤の第1のビード(348)が接着剤の第2のビード(350)からどれだけ離間しているかを示す。同様に、接着剤の第3のビード(352)は、接着剤の第4のビード(354)から離間している。
図8Cに示される位置では、中央領域(338)は、本実施例におけるあらゆるスリットを欠いている。
【0036】
図8Dは、バットレス組立体(316、318)の長さのほぼ中間にある接着剤パターン及び分布を示す。ここでもまた、接着剤の第1のビード(348)が接着剤の第2のビード(350)と部分的に重なり、同様に接着剤の第3のビード(352)が接着剤の第4のビード(354)と部分的に重なる。
図8Dと
図8Bとを比較すると、本実施例では、接着剤の重なりの程度は、重なりの幅がより広くなることで明らかなように、バットレス組立体(316、318)の長さのほぼ中間においてより大きくなる。
【0037】
図8Eは、
図8Cに示すような同様の構成配置を示す。
図8Eとの唯一の違いは、スリット(346)がバットレス(322)を
図8Eに示される長さに沿って半分へと分割するのに対し、中央領域(338)は、
図8Cに示される長さに沿ってあらゆるスリットを欠いているということである。
【0038】
図8Fは、
図8Dに示すような同様の構成配置を示す。
図8Fとの唯一の違いは、中央領域(338)が
図8Fに示される長さに沿って遠位スリット(344)を備えるが、中央領域(338)は、
図8Dに示される長さに沿って中間スリット(346)を備えているということである。
【0039】
図8Gは、バットレス(322)の遠位端部(332)における接着剤(320)を示す。
図7及び
図8Gに見られるように、接着剤の第2のビード(350)は、バットレス(322)の遠位端部(332)において中央領域(338)から離れて延在している。同様に、接着剤の第4のビード(354)は、バットレス(322)の遠位端部(332)において中央領域(338)から離れて延在している。本実施例では、接着剤の第2のビード(350)は、バットレス(322)の遠位端部(332)において接着剤の第2のビード(350)が接着剤の第1のビード(348)と接続又は接触するように、中央領域(338)から離れて延在している。また、接着剤の第4のビード(354)は、バットレス(322)の遠位端部(332)において接着剤の第4のビード(354)が接着剤の第3のビード(352)と接続又は接触するように、中央領域(338)から離れて延在している。
図8Gにも示されるように、バットレス(322)は、遠位端部(332)に間隙(356)を備え、間隙(356)は中央領域(338)と整列する。
図7を参照すると、本実施例では間隙(358)が近位端部(330)にも存在する。
【0040】
C.例示的な接着剤高さ
上述のように、接着剤高さは、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)構成要素とのバットレス(322)の付着及び剥離を容易にする特徴又は属性である。この点において、接着剤(320)の高さは、塗布されるバットレス(322)の表面から接着剤(320)が突出する距離として理解される。本実施例では、接着剤のビード(348、350、352、354)は最小高さを有する。一実施例では、最小高さは、ステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)上のポケット延長部(74)の高さに近いか、それに一致するか、又はそれを超えるように構成される。
図10は、ポケット延長部(74)を有するステープルカートリッジ(70)の変形例の横断面図を示す。ポケット延長部(74)は、ステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)の上方に突出し、エンドエフェクタ(40)によって捕捉された組織を把持するのを支援することができる。ポケット延長部(74)がデッキ(73)の上方に突出する距離に近いか、それに一致するか、又はそれを超える最小高さを有するように接着剤ビード(348、350、352、354)を構成することによって、接着剤(320)は、ポケット延長部(74)の表面と接触し得るが、ポケット延長部(74)間のデッキ(73)の表面とも接触し得る。これにより、バットレス装填処理中にバットレス組立体(316、318)のうちの1つがステープルカートリッジ(70)と良好に付着され、また、エンドエフェクタ(40)を用いて作業し、それを位置付けするときに、エンドエフェクタ(40)のこの構成要素へのバットレス(322)の保持が向上する。ポケット延長部(74)は、
図10に示されるステープルカートリッジ(70)の変形例と共に使用されているが、ステープルカートリッジ(70)の他の変形例では、ポケット延長部(74)は、デッキ(73)がステープル(90)を駆動するための開口部を除いて平坦となるように省略される。
【0041】
一実施例では、接着剤のビード(348、350、352、354)は、約0.010インチ(0.254mm)~約0.050インチ(1.27mm)の高さを有する。別の実施例では、接着剤のビード(348、350、352、354)は、約0.016インチ(0.4064mm)~約0.030インチ(0.762mm)の高さを有する。本明細書の教示に鑑みれば、接着剤のビード(348、350、352、354)の他の高さが当業者には明らかになるであろう。
【0042】
最小接着剤高さの別の実施例では、接着剤のビード(348、350、352、354)は、アンビル(60)のステープル成形ポケット(64)の深さに近いか、それに一致するか、又はそれを超えるように構成された最小高さを有する。参考として、ステープル成形ポケット(64)が
図3A~
図3Bに示されている。ステープル成形ポケット(64)の深さに近いか、それに一致するか、又はそれを超える最小高さを有するように接着剤ビード(348、350、352、354)を構成することによって、接着剤(320)は、アンビル(60)の下面(65)と接触し得るが、ステープル成形ポケット(64)の中にも延在し得る。これにより、バットレス装填処理中にバットレス組立体(316、318)のうちの1つがアンビル(60)と良好に付着され、また、エンドエフェクタ(40)を用いて作業し、それを位置付けするときに、エンドエフェクタ(40)のこの構成要素へのバットレス(322)の保持が向上する。
【0043】
いくつかの実施例では、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)を有するエンドエフェクタ(40)と同様に、アンビル(60)のステープル成形ポケット(64)の深さは、ポケット延長部(74)がステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)の上方に突出する距離とは異なり得る。バットレス組立体(316、318)が同一である例では、接着剤のビード(348、350、352、354)は、最小高さがより長い距離に基づいたものとなるように構成され得る。例えば、ステープル成形ポケット(64)がポケット延長部(74)よりも浅く、そのため、ステープル成形ポケット(64)が、ポケット延長部(74)がデッキ(73)から突出する距離よりも短い深さを有する実施例では、接着剤のビード(348、350、352、354)は、最小高さが、アンビル(60)のステープル成形ポケット(64)の深さと比較してより長い距離であるため、デッキ(73)の上方にポケット延長部(74)が突出する距離に基づいたものとなるように構成され得る。更に他の変形例では、バットレス組立体(316、318)は、エンドエフェクタのアンビル側又はステープルカートリッジ側のいずれかに特有な接着剤高さを構成するために、接着剤高さに関して異なって構成され得る。しかしながら、より長い距離に基づいて最小接着高さを設定することによって、アプリケータ(300)を汎用とすることができ、エンドエフェクタにバットレス組立体を装填する際にアプリケータ(300)がエンドエフェクタの任意の特定の側に特有であるものとしない対称な構成において、良好な付着及び保持の結果を得ることができる。
【0044】
接着剤(320)がビードで塗布される本実施例では、バットレス(322)の表面全体にわたって接着剤の均一なスプレーを塗布することと比較して、様々な接着剤高さがより効率的に達成され得る。この効率は、材料の使用量とコストの両方の点で実現される。加えて、上記の実施例は、線状スタイルのバットレス組立体(316、318)に関する接着高さを図示及び説明しているが、接着剤高さは、
図9のバットレス組立体(416)などの円形バットレスでも同じ方式で制御及び構成され得る。
【0045】
D.例示的な非対称接着剤分布
バットレス組立体をエンドエフェクタに装填し、それらを組織の切断及びステープル留め部位に適用するときの、バットレス組立体とエンドエフェクタとの良好な付着及び保持以外の別の検討事項は、切断及びステープル留め操作を実行した後にエンドエフェクタからバットレス組立体を剥離することである。例えば、剥離が不十分である場合、バットレス組立体が、組織に移送されずにエンドエフェクタに固着することがあり、あるいはバットレス組立体が、組織部位に対して平坦かつ平滑に載置されずに、房をなしたり、折れ曲がったりすることがある。ここで
図11~
図14を参照すると、バットレス組立体の所望の付着性と保持性の両方を達成すると共に、バットレス組立体の剥離も達成するために、非対称の接着剤分布を用いたバットレス組立体が示されている。
【0046】
図11は、非対称の接着剤分布を有するバットレス組立体(516)を示す。バットレス組立体(516)は、異なる接着剤塗布パターンを有することを除いて、上述のバットレス組立体(316、318)と同様に構成される。したがって、2つのバットレス組立体(516)は、上述のバットレス組立体(316、318)の代わりに使用され得る。これは、バットレス組立体(316、318)の代わりにアプリケータ(300)及びエンドエフェクタ(40)と共に使用されることを含む。
【0047】
図11の本実施例では、バットレス組立体(516)は、バットレス(522)と、バットレス(522)の一方の側にある接着剤(520)とを含む。バットレス(522)は、第1の表面(526)と、第1の表面(526)とは反対側の第2の表面とを備える。バットレスはまた、近位端部(530)と、遠位端部(532)とを含む。バットレス組立体(316、318)と同様に、バットレス組立体(516)がエンドエフェクタ(40)に付着されると、バットレス(522)の遠位端部(532)がエンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)と整列する。この構成により、バットレス(522)は、近位端部(530)から遠位端部(532)まで延在する長さを規定する。バットレス(522)は、近位端部(530)と遠位端部(532)との間に延在する長手方向軸線(A2)を更に規定する。バットレス(522)は、第1の縁部領域(534)と、第2の縁部領域(536)と、第1の縁部領域(534)と第2の縁部領域(536)との間にありかつ第1の縁部領域(534)と第2の縁部領域(536)とを分離する中央領域(538)とを含む。バットレス(522)は、上記で規定されたようにその長さに直交して延在する幅を規定し、その幅は、第1の縁部領域(534)から中央領域(538)をまたいで第2の縁部領域(536)を通って延在する。
【0048】
本実施例では、接着剤(520)はバットレス(522)の第1の表面(526)上に塗布される。接着剤(520)は、バットレス(522)の近位端部(530)から遠位端部(532)まで延在する。更に、本実施例では、接着剤(520)の少なくとも一部分は連続的に、あるいは途切れない様式で延在する。接着剤(520)は、第1の縁部領域(534)及び第2の縁部領域(536)に沿って配置され、中央領域(538)は接着剤(520)を実質的に含まない。上述のように、接着剤(520)は、接着剤(520)がバットレス(522)から盛り上がるような高さを接着剤(520)が備えるような様式でバットレスに塗布される。接着剤(520)の高さは、アプリケータ(300)を使用してエンドエフェクタ(40)上にバットレス組立体(516)を装填するときのエンドエフェクタ(40)の向きに応じて、接着剤(520)がエンドエフェクタ(40)のアンビル(60)の下面(65)又はエンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)のいずれかと良好な接触をなすのを容易にするように構成される。
【0049】
接着剤(520)の高さと共に接着剤(520)の連続的な性質は、バットレス(522)が付着するエンドエフェクタ(40)の部分にバットレス(522)の縁部を封止するように作用する。この封止付着により、使用時に、バットレス組立体(516)に到達し得る水分量が低減される。このような様式で水分移動を制御することによって、バットレス組立体(516)は、エンドエフェクタ(40)とのより長い付着時間を有し得る。これにより、切断及びステープル留め動作を実行する前にエンドエフェクタ(40)を位置付ける及び操作するためのより長い時間をユーザに与え、それによって、補強構造体としてバットレス(522)を切断及びステープル留めされた部位に適用することが可能となる。
【0050】
依然として
図11を参照すると、バットレス(522)の中央領域(538)は、バットレス組立体(316、318)のスリット(340)と構造的に、また機能的に同じであるスリット(540)を含む。図示した変形例では、スリット(540)は、近位スリット(542)と、遠位スリット(544)と、近位スリット(542)と遠位スリット(544)との間の中間スリット(546)とを含む。本実施例では、長手方向軸線(A2)がスリット(540)を通過し、また中央領域(538)の各側で、接着剤(520)が、長手方向軸線(A2)を中心として他方の側と非対称であるパターンを画定する。接着剤(520)は、近位端部(330)と遠位端部(332)との間で測定されるバットレス組立体(516)の中点を通って長手方向軸線(A2)に対して直交して延在する横方向軸線(A3)に対して更に非対称である。
【0051】
ここで、第1の縁部領域(534)に適用される接着剤(520)について考察すると、接着剤(520)は、第1のビード(548)と第2のビード(550)とを含む。接着剤の各ビード(548、550)は、概ねバットレス(522)の近位端部(530)からバットレス(522)の遠位端部(532)まで延在する。接着剤の第1のビード(548)は、バットレス(522)の長さの少なくとも一部分に沿って、具体的には、本実施例では、
図11に示されるように、近位端部(530)の近くで、またバットレス(522)の長さに沿った中間エリアの近くで、接着剤の第2のビード(550)と部分的に重なる。他のエリアでは、接着剤の第1のビード(548)は、バットレス(522)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第2のビード(550)から離間している。接着剤の第2のビード(550)は、接着剤の第1のビード(548)と比較して更に近位に延在している。更に、接着剤の第1及び第2のビード(548、550)は、バットレス(522)に対して実質的に同程度に遠位に延在している。接着剤の第1のビード(548)は、バットレス(522)の遠位端部(532)付近で不連続であり、ここには接着剤の第1のビード(548)内に空隙又は間隙(560)が存在する。対照的に、接着剤の第2のビード(550)は、バットレス(522)の近位端部(530)から遠位端部(532)へと連続的に延在する。
【0052】
ここで、第2の縁部領域(536)に適用される接着剤(520)について考察すると、接着剤(520)は、第3のビード(552)と第4のビード(554)とを含む。接着剤の各ビード(552、554)は、概ねバットレス(522)の近位端部(530)からバットレス(522)の遠位端部(532)まで延在する。接着剤の第3のビード(552)は、バットレス(522)の長さの少なくとも一部分に沿って、具体的には、本実施例では、近位端部(532)の近くで、またバットレス(522)の長さに沿った中間エリアの近くで、接着剤の第4のビード(554)と部分的に重なる。他のエリアでは、接着剤の第3のビード(552)は、バットレス(522)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第4のビード(554)から離間している。接着剤の第4のビード(554)は、接着剤の第3のビード(552)と比較して更に近位に延在している。更に、接着剤の第3及び第4のビード(552、554)は、バットレス(522)に対して実質的に同程度に遠位に延在している。本実施例では、接着剤の第3及び第4のビード(552、554)は異なる形状又はパターンを有するが、両方ともバットレス(522)の近位端部(530)から遠位端部(532)まで連続的に延在する。
【0053】
上述のように、接着剤の第1及び第2のビード(548、550)は集合的に、長手方向軸線(A2)及び横方向軸線(A3)を中心として、接着剤の第3及び第4のビード(552、554)と非対称である。また上述のように、バットレス(522)は、バットレス(522)の長手方向中心線を中心として2つの半分へと切断されるように構成されている。切断されたバットレス(522)の第1の半分は、第1の縁部領域(534)と、中央領域(538)の約半分とを含むことになり、切断されたバットレス(522)の第2の半分は、第2の縁部領域(536)と、中央領域(538)の他方の約半分とを含むことになる。
【0054】
ここで、バットレス(522)のそれぞれの半分の近位及び遠位端部(530、532)に塗布される接着剤(320)について考察すると、本実施例では、接着剤(320)の不均一な分布が使用されている。切断されたバットレス(522)の第1の半分に関して言えば、バットレス(522)の遠位端部(532)よりもバットレス(522)の近位端部(530)に、より多くの接着剤(520)が存在する。しかしながら、切断されたバットレス(522)の第2の半分に関して言えば、バットレス(522)の近位端部(530)よりもバットレス(522)の遠位端部(532)に、より多くの接着剤(520)が存在する。
図11を参照すると、これらの接着剤(520)の量の違いは丸で囲まれた領域によって示され、第1の領域(R1)は、第2の領域(R2)よりも多くの接着剤(520)を有する。
【0055】
2つのバットレス組立体(516)を使用する場合、各バットレス組立体(516)は、エンドエフェクタ(40)に適用されると、接着剤(520)を含んだ第1の表面(526)が互いから離れる方を向いた状態で、互いに反対側に向けられる。この構成配置では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(516)の第1の縁部領域(534)は、ステープルカートリッジ(70)に付着されたバットレス組立体(516)の上方となりかつ第2の縁部領域(536)と整列される。同様に、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(516)の第2の縁部領域(536)は、ステープルカートリッジ(70)に付着されたバットレス組立体(516)の上方となりかつ第1の縁部領域(534)と整列される。この構成配置では、より多くの接着剤(520)を有する第1の領域(R1)は、より少ない接着剤(520)を有する第2の領域(R2)と向かい合って方向付けられ、かつ第2の領域(R2)と整列される。ほんの一例として、近位端部(530)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(516)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(516)の第2の領域(R2)と向かい合って位置付けられかつ整列された第1の領域(R1)を有する。同様に、更に近位端部(530)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(516)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(516)の第1の領域(R1)と向かい合って位置付けられかつ整列された第2の領域(R2)を有する。遠位端部(532)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(516)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(516)の第1の領域(R1)と向かい合って位置付けられかつ整列された第2の領域(R2)を有する。同様に、更に遠位端部(532)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(516)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(516)の第2の領域(R2)と向かい合って位置付けられかつ整列された第1の領域(R1)を有する。
【0056】
半分に切断される前のバットレス組立体(516)について考察すると、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側に付着されたバットレス組立体(516)に関して、本実施例では2つの第1の領域(R1)が存在する。そのような第1の領域(R1)の一方は、近位端部(530)における第1の縁部領域(534)内にあり、他方は、遠位端部(532)における第2の縁部領域(536)内にある。これは、エンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)側に付着されたバットレス組立体(516)に関しても同じである。より多くの接着剤を有するこれらの第1の領域(R1)は、エンドエフェクタ(40)を積極的に操作するとき、すなわち、小孔を貫通するとき、組織上に軸方向に摺動するときなどの際に、バットレス(522)がエンドエフェクタ(40)の対応の部分に付着され、それと整列したままとなるのを助ける。更に、バットレス組立体(516)はまだ切断されていないため、これらのより多量の接着剤のエリアは、バットレス組立体(516)全体をエンドエフェクタ(40)のその対応の部分に付着させかつ保持するのに役に立つ。
【0057】
半分に切断される前のバットレス組立体(516)について更に考察すると、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側に付着されたバットレス組立体(516)に関して、本実施例では2つの第2の領域(R2)が存在する。そのような第2の領域(R2)の一方は、近位端部(530)における第1の縁部領域(534)内にあり、他方は、遠位端部(532)における第2の縁部領域(536)内にある。これは、エンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)側に付着されたバットレス組立体(516)に関しても同じである。より少量の接着剤を有するこれらの第2の領域(R2)は、切断及びステープル留め操作の後に、バットレス(522)がエンドエフェクタ(40)から適切に剥離されるのを助ける。しかしながら、バットレス組立体(516)はまだ切断されていないため、接着性の弱い方のこれらのエリアは、一つには上述のようにそれらの第1の領域(R1)がより多くの接着剤(520)を有することによって、エンドエフェクタ(40)のそれぞれの部分に依然として付着及び保持される。
【0058】
図12を参照すると、例示的な開放操作中のエンドエフェクタ(40)の側面図が示されており、これは、切断及びステープル留め動作後のものであり、したがってバットレス組立体(516)が半分に切断された後のものである。上述の接着剤(520)の非対称な分布により、エンドエフェクタ(40)が切断及びステープル留め後に開放されるとき、第1の領域(R1)により多くの接着剤(520)を有し、その反対の第2の領域(R2)により少量の接着剤(520)を有することにより、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)の対応する表面への接着性の付着が低減する。例えば、切断及びステープル留め動作の後にエンドエフェクタ(40)を開放すると、より少ない接着剤(520)を有する第2の領域(R2)は、より多くの接着剤(520)を有する第1の領域(R1)の前にエンドエフェクタ(40)から分離又は剥離される。上述したように、バットレス組立体(516)を半分に切断する前に、バットレス組立体(516)は単体として動作し、したがって、より多量の接着剤と組み合わされた第1のエリア(R1)は、バットレス組立体(516)の付着及び保持をもたらす。しかしながら、このことは、バットレス組立体(516)が半分に切断されると、第2の領域(R2)はエンドエフェクタ(40)から直ちに剥離されることになるので変化する。
【0059】
説明を容易にするために、
図12は、ステープルカートリッジ(70)側に単一のバットレス組立体(516)が装填されており、エンドエフェクタ(40)のナイフがバットレス組立体(516)を半分に切断するような切断及びステープル留め操作が生じている、エンドエフェクタ(40)を示す。
図12では、バットレス組立体(516)の第1の半分(562)及び第2の半分(564)が、それらの付着及び剥離プロファイルで示されている。第1の半分(562)は、
図11に示されるように、第1の縁部領域(534)と、中央領域(538)の半分とを表す。図示のように、第1の半分(562)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部に位置するより多くの接着剤(520)を有する第1の領域(R1)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第1の半分(562)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部付近で依然としてステープルカートリッジ(70)に付着したままとなる。第1の半分(562)は、ステープルカートリッジ(70)の遠位端部に位置するより少ない接着剤(520)を有する第2の領域(R2)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第1の半分(562)は、ステープルカートリッジ(70)の遠位端部付近でステープルカートリッジ(70)から剥離する。第2の半分(564)は、
図11に示されるように、第2の縁部領域(536)と、中央領域(538)の半分とを表す。図示のように、第2の半分(564)は、ステープルカートリッジ(70)の遠位端部に位置する、より多くの接着剤(520)を有する第1の領域(R1)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第2の半分(564)は、ステープルカートリッジ(70)の遠位端部付近でステープルカートリッジ(70)に付着したままとなる。第2の半分(564)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部に位置する、より少ない接着剤(520)を有する第2の領域(R2)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第2の半分(564)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部付近でステープルカートリッジ(70)から剥離する。切断及びステープル留め後のこの付着及び剥離のパターンはまた、アンビル(60)上に装填されたバットレス組立体(516)について、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側においても明らかであろう。
【0060】
上述の接着剤(520)の不均衡の他に、エンドエフェクタ(40)からのバットレス組立体(516)の剥離に寄与する別の要因は、エンドエフェクタ(40)が切断及びステープル動作後に開放されるときのエンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)の大きな開き又は大きな運動である。エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)のこの大きな動作範囲はまた、切断及びステープル動作後に、2つのバットレス組立体(516)の2つの対向する半分が、それらの間の組織と共にステープル留めされるという事実と相まって機能する。したがって、これらの要因は、バットレス組立体(516)をエンドエフェクタ(40)の対応の部分に接着させていた、より多くの接着剤を有する第1の領域(R1)においても、バットレス組立体(516)の剥離をもたらす。
【0061】
ここで
図13及び
図14を参照すると、
図13は、別の例示的な非対称接着剤分布を有するバットレス組立体(616)を示す。バットレス組立体(616)は、異なる接着剤塗布パターンを有することを除いて、上述のバットレス組立体(316、318)と同様に構成される。したがって、2つのバットレス組立体(616)が上述のバットレス組立体(316、318)の代わりに使用され得る。これは、バットレス組立体(316、318)の代わりにアプリケータ(300)及びエンドエフェクタ(40)と共に使用されることを含む。
【0062】
図13の本実施例では、バットレス組立体(616)は、バットレス(622)と、バットレス(622)の一方の側にある接着剤(620)とを含む。バットレス(622)は、第1の表面(626)と、第1の表面(626)とは反対側の第2の表面とを備える。バットレスはまた、近位端部(630)と、遠位端部(632)とを含む。バットレス組立体(316、318)と同様に、バットレス組立体(616)がエンドエフェクタ(40)に付着されると、バットレス(622)の遠位端部(632)がエンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)と整列する。この構成により、バットレス(622)は、近位端部(630)から遠位端部(632)まで延在する長さを規定する。バットレス(622)は、近位端部(630)と遠位端部(632)との間に延在する長手方向軸線(A4)を更に規定する。バットレス(622)は、第1の縁部領域(634)と、第2の縁部領域(636)と、第1の縁部領域(634)と第2の縁部領域(636)との間にありかつ第1の縁部領域(634)と第2の縁部領域(636)とを分離する中央領域(638)と、を含む。バットレス(622)は、上記で規定されたようにその長さに直交して延在する幅を規定し、その幅は、第1の縁部領域(634)から中央領域(638)をまたいで第2の縁部領域(636)を通って延在する。
【0063】
本実施例では、接着剤(620)はバットレス(622)の第1の表面(626)上に塗布される。接着剤(620)は、バットレス(622)の近位端部(630)から遠位端部(632)まで延在する。更に、本実施例では、接着剤(620)の少なくとも一部分は連続的に、あるいは途切れない様式で延在する。接着剤(620)は、第1の縁部領域(634)及び第2の縁部領域(636)に沿って配置され、中央領域(638)は接着剤(620)を実質的に含まない。上述のように、接着剤(620)は、接着剤(620)がバットレス(622)から盛り上がるような高さを接着剤(620)が備えるような様式でバットレスに塗布される。接着剤(620)の高さは、アプリケータ(300)を使用してエンドエフェクタ(40)上にバットレス組立体(616)を装填するときのエンドエフェクタ(40)の向きに応じて、接着剤(620)がエンドエフェクタ(40)のアンビル(60)の下面(65)又はエンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)のいずれかと良好な接触をなすのを容易にするように構成される。
【0064】
接着剤(620)の高さと共に接着剤(620)の連続的な性質は、バットレス(622)が付着されるエンドエフェクタ(40)の部分にバットレス(622)の縁部を封止するように作用する。この封止付着により、使用時に、バットレス組立体(616)に到達し得る水分量が低減される。このような様式で水分移動を制御することによって、バットレス組立体(616)は、エンドエフェクタ(40)とのより長い付着時間を有し得る。これにより、切断及びステープル留め動作を実行する前にエンドエフェクタ(40)を位置付ける及び操作するためのより長い時間をユーザに与え、それによって、補強構造体としてバットレス(622)を切断及びステープル留めされた部位に適用することが可能となる。
【0065】
依然として
図13を参照すると、バットレス(622)の中央領域(638)は、バットレス組立体(316、318)のスリット(340)と構造的に、また機能的に同じであるスリット(640)を含む。図示した変形例では、スリット(640)は、近位スリット(642)と、遠位スリット(644)と、近位スリット(642)と遠位スリット(644)との間の中間スリット(646)と、を含む。本実施例では、長手方向軸線(A4)がスリット(640)を通過し、また中央領域(638)の各側で、接着剤(620)が、長手方向軸線(A4)を中心として他方の側と非対称であるパターンを画定する。接着剤(620)は、近位端部(630)と遠位端部(632)との間で測定されるバットレス組立体(616)の中点を通って長手方向軸線(A4)に対して直交して延在する横方向軸線(A5)に対して更に非対称である。
【0066】
ここで、第1の縁部領域(634)に適用される接着剤(620)について考察すると、接着剤(620)は、第1のビード(648)と第2のビード(650)とを含む。接着剤の各ビード(648、650)は、概ねバットレス(622)の近位端部(630)からバットレス(622)の遠位端部(632)まで延在する。接着剤の第1のビード(648)は、バットレス(622)の長さの少なくとも一部分に沿って、具体的には、本実施例では、
図13に示されるように、近位端部(630)の近くで、バットレス(622)の長さに沿った中間エリアの近くで、また遠位端部(632)の近くで、接着剤の第2のビード(650)と部分的に重なる。他のエリアでは、接着剤の第1のビード(648)は、バットレス(622)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第2のビード(650)から離間している。接着剤の第2のビード(650)は、接着剤の第1のビード(648)と比較して更に近位に延在している。更に、接着剤の第1及び第2のビード(648、650)は、バットレス(622)に対して実質的に同程度に遠位に延在している。本実施例では、接着剤の第1及び第2のビード(648、650)は異なる形状又はパターンを有するが、両方ともバットレス(622)の近位端部(630)から遠位端部(632)まで連続的に延在する。
【0067】
ここで、第2の縁部領域(636)に適用される接着剤(620)について考察すると、接着剤(620)は、第3のビード(652)と第4のビード(654)とを含む。接着剤の各ビード(652、654)は、概ねバットレス(622)の近位端部(630)からバットレス(622)の遠位端部(632)まで延在する。接着剤の第3のビード(652)は、バットレス(622)の長さの少なくとも一部分に沿って、具体的には、本実施例では、遠位端部(632)の近くで、また近位端部(630)の近くで、接着剤の第4のビード(654)と部分的に重なる。他のエリアでは、接着剤の第3のビード(652)は、バットレス(622)の長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第4のビード(654)から離間している。接着剤の第4のビード(654)は、接着剤の第3のビード(652)と比較して更に近位に延在している。更に、接着剤の第3及び第4のビード(652、654)は、バットレス(622)に対して実質的に同程度に遠位に延在している。接着剤の第3のビード(652)は、バットレス(622)の中間区間付近で不連続であり、ここには接着剤(652)の第3のビード内に空隙又は間隙(660)が存在する。対照的に、接着剤の第4のビード(654)は、バットレス(622)の近位端部(630)から遠位端部(632)へと連続的に延在する。
【0068】
上述のように、接着剤の第1及び第2のビード(648、650)は集合的に、長手方向軸線(A4)及び横方向軸線(A5)を中心として、接着剤の第3及び第4のビード(652、654)と非対称である。また上述のように、バットレス(622)は、バットレス(622)の長手方向中心線を中心として2つの半分へと切断されるように構成されている。切断されたバットレス(622)の第1の半分は、第1の縁部領域(634)と、中央領域(638)の約半分とを含むことになり、切断されたバットレス(622)の第2の半分は、第2の縁部領域(636)と、中央領域(638)の他方の約半分とを含むことになる。
【0069】
ここで、バットレス(622)のそれぞれの半分の近位及び遠位端部(630、632)に塗布される接着剤(620)について考察すると、本実施例では、接着剤(620)の不均一な分布が使用されている。切断されたバットレス(622)の第1の半分に関して言えば、バットレス(622)の遠位端部(630、632)よりもバットレス(622)の中間領域に、より多くの接着剤(620)が存在する。しかしながら、切断されたバットレス(622)の第2の半分に関して言えば、バットレス(622)の中間領域よりもバットレス(522)の近位及び遠位端部(630、632)に、より多くの接着剤(620)が存在する。
図13を参照すると、これらの接着剤(620)の量の違いは丸で囲まれた領域によって示され、第1の領域(R1)は、第2の領域(R2)よりも多くの接着剤(620)を有する。
【0070】
2つのバットレス組立体(616)を使用する場合、各バットレス組立体(616)は、エンドエフェクタ(40)に適用されると、接着剤(620)を含んだ第1の表面(626)が互いから離れる方を向いた状態で、互いに反対側に向けられる。この構成配置では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)の第1の縁部領域(634)は、ステープルカートリッジ(70)に付着されたバットレス組立体(616)の上方となりかつ第2の縁部領域(636)と整列される。同様に、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)の第2の縁部領域(636)は、ステープルカートリッジ(70)に付着されたバットレス組立体(616)の第1の縁部領域(634)の上方となりかつ第1の縁部領域(634)と整列される。この構成配置では、より多くの接着剤(620)を有する第1の領域(R1)は、より少ない接着剤(620)を有する第2の領域(R2)と向かい合って方向付けられ、かつ第2の領域(R2)と整列される。ほんの一例として、近位端部(630)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(616)の第2の領域(R2)と向かい合って位置付けられ、かつそれと整列された第1の領域(R1)を有する。同様に、更に近位端部(630)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(616)の第1の領域(R1)と向かい合って位置付けられ、かつそれと整列された第2の領域(R2)を有する。遠位端部(632)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(616)の第1の領域(R1)と向かい合って置付けられ、かつそれと整列された第2の領域(R2)を有する。同様に、更に遠位端部(632)では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(616)の第2の領域(R2)と向かい合って位置付けられ、かつそれと整列された第1の領域(R1)を有する。中間領域付近では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(616)の第2の領域(R2)と向かい合って位置付けられ、かつそれと整列された第1の領域(R1)を有する。同様に、更に中間領域では、アンビル(60)に付着されたバットレス組立体(616)は、ステープルカートリッジ(70)に付着された他のバットレス組立体(616)の第1の領域(R1)と向かい合って位置付けられ、かつそれと整列された第2の領域(R2)を有する。
【0071】
半分に切断される前のバットレス組立体(616)について考察すると、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側に付着されたバットレス組立体(616)に関して、本実施例では3つの第1の領域(R1)が存在する。そのような1つの第1の領域(R1)は、バットレス(622)の中間領域の第1の縁部領域(634)内にあり、もう1つの第1の領域(R1)は、遠位端部(632)の第2の縁部領域(636)内にあり、もう1つの第1の領域(R1)もまた、近位端部(630)の第2の縁部領域(636)内にある。これは、エンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)側に付着されたバットレス組立体(616)に関しても同じである。より多くの接着剤を有するこれらの第1の領域(R1)は、エンドエフェクタ(40)を積極的に操作するとき、すなわち、小孔を貫通するとき、組織上に軸方向に摺動するときなどの際に、バットレス(622)がエンドエフェクタ(40)の対応の部分に付着され、それと整列したままとなるのを助ける。更に、バットレス組立体(616)はまだ切断されていないため、これらのより多量の接着剤のエリアは、バットレス組立体(616)全体をエンドエフェクタ(40)の対応の部分に付着させかつ保持するのに役立つ。
【0072】
半分に切断される前のバットレス組立体(616)について更に考察すると、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側に付着されたバットレス組立体(616)に関して、本実施例では3つの第2の領域(R2)が存在する。そのような1つの第2の領域(R2)は、近位端部(630)の第1の縁部領域(634)内にあり、もう1つは、遠位端部(632)の第1の縁部領域(634)内にあり、もう1つは、バットレス(622)の中間領域の第2の縁部領域(636)内にある。これは、エンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)側に付着されたバットレス組立体(616)に関しても同じである。より少量の接着剤を有するこれらの第2の領域(R2)は、切断及びステープル留め操作の後に、バットレス(622)がエンドエフェクタ(40)から適切に剥離されるのを助ける。しかしながら、バットレス組立体(616)はまだ切断されていないため、接着性の弱い方のこれらのエリアは、一つには上述のようにそれらの第1の領域(R1)がより多くの接着剤(620)を有することによって、エンドエフェクタ(40)のそれぞれの部分に依然として付着及び保持される。
【0073】
図14を参照すると、例示的な開放操作中のエンドエフェクタ(40)の側面図が示されており、これは、切断及びステープル留め動作後のものであり、したがってバットレス組立体(616)が半分に切断された後のものである。上述の接着剤(620)の非対称な分布により、エンドエフェクタ(40)が切断及びステープル留め後に開放されるとき、第1の領域(R1)により多くの接着剤(620)を有し、その反対の第2の領域(R2)により少量の接着剤(620)を有することにより、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)の対応する表面への接着性の付着が低減する。例えば、切断及びステープル留め動作の後にエンドエフェクタ(40)を開放すると、より少ない接着剤(620)を有する第2の領域(R2)は、より多くの接着剤(620)を有する第1の領域(R1)の前にエンドエフェクタ(40)から分離又は剥離される。上述したように、バットレス組立体(616)を半分に切断する前に、バットレス組立体(616)は単体として動作し、したがって、より多量の接着剤と組み合わされた第1のエリア(R1)は、バットレス組立体(616)の付着及び保持をもたらす。しかしながら、このことは、バットレス組立体(616)が半分に切断されると、第2の領域(R2)はエンドエフェクタ(40)から直ちに剥離されることになるので変化する。
【0074】
説明を容易にするために、
図14は、ステープルカートリッジ(70)側に単一のバットレス組立体(616)が装填されされており、エンドエフェクタ(40)のナイフがバットレス組立体(616)を半分に切断するような切断及びステープル留め操作が生じている、エンドエフェクタ(40)を示す。
図14では、バットレス組立体(616)の第1の半分(662)及び第2の半分(664)が、それらの付着及び剥離プロファイルで示されている。第1の半分(662)は、
図13に示されるように、第1の縁部領域(634)と、中央領域(638)の半分とを表す。図示のように、第1の半分(662)は、ステープルカートリッジ(70)の中間領域に位置する、より多くの接着剤(620)を有する第1の領域(R1)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第1の半分(662)は、ステープルカートリッジ(70)の中間領域付近でステープルカートリッジ(70)に付着したままとなる。第1の半分(662)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部及び遠位端部に位置する、より少ない接着剤(620)を有する第2の領域(R2)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第1の半分(662)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部及び遠位端部付近でステープルカートリッジ(70)から剥離する。
【0075】
第2の半分(664)は、
図13に示されるように、第2の縁部領域(636)と、中央領域(638)の半分とを表す。図示のように、第2の半分(664)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部及び遠位端部に位置する、より多くの接着剤(620)を有する第1の領域(R1)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第2の半分(664)は、ステープルカートリッジ(70)の近位端部及び遠位端部付近でステープルカートリッジ(70)に付着したままとなる。第2の半分(664)は、ステープルカートリッジ(70)の中間領域に位置する、より少ない接着剤(620)を有する第2の領域(R2)を有する。したがって、エンドエフェクタ(40)を最初に開放すると、第2の半分(664)は、ステープルカートリッジ(70)の中間領域付近でステープルカートリッジ(70)から剥離する。切断及びステープル留め後のこの付着及び剥離のパターンはまた、アンビル(60)上に装填されたバットレス組立体(616)について、エンドエフェクタ(40)のアンビル(60)側においても明らかであろう。
【0076】
上述の接着剤(620)の不均衡の他に、エンドエフェクタ(40)からのバットレス組立体(616)の剥離に寄与する別の要因は、エンドエフェクタ(40)が切断及びステープル動作後に開放されるときのエンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)の大きな開き又は大きな運動である。エンドエフェクタ(40)の遠位端部(41)のこの大きな動作範囲はまた、切断及びステープル動作後に、2つのバットレス組立体(616)の2つの対向する半分が、それらの間の組織と共にステープル留めされるという事実と相まって機能する。したがって、これらの要因は、バットレス組立体(616)をエンドエフェクタ(40)の対応の部分に接着させていた、より多くの接着剤を有する第1の領域(R1)においても、バットレス組立体(616)の剥離をもたらす。
【0077】
上記の実施例に示され、説明されたように、バットレス組立体(516、616)上の接着剤(520、620)の非対称な分布を使用することにより、剥離力を、すなわちバットレス組立体(516、616)が半分に切断された後にエンドエフェクタ(40)からバットレス組立体(516、616)を剥離するために必要な力を低減することが可能となる。これにより、バットレス組立体(516、616)は、バットレス組立体(516、616)の特定の部分が他の部分よりも早期にあるいは速やかに剥離するように構成される、制御された剥離力を伴って構成されることが可能となる。更に、非対称な接着剤分布の領域を計画的に配置することは、切断されていないバットレス組立体(516、616)の適切な付着及び保持をもたらす。複数の接着剤分布が本明細書に示され、記載されているが、本明細書に記載されるバットレス組立体の所望の付着、保持、及び剥離特性を達成するために、他の接着剤分布も用いられ得る。本明細書の教示を考慮すれば、本明細書に記載されたバットレス組立体に対する接着剤分布のそのような他のパターンが当業者には明らかとなるであろう。
【0078】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0079】
外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するためのバットレス組立体であって、(a)第1の表面及び第2の表面を備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備えるバットレスを備える、バットレス組立体。バットレスは、近位端部と遠位端部との間に延在する長手方向軸線を規定し、バットレスは、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備える。バットレス組立体はまた、(b)バットレスの第1の表面及び第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで連続的に延在する接着剤を更に備える。接着剤は、バットレスの中央領域を実質的に接着剤を含まない状態に残して第1の縁部領域及び第2の縁部領域に沿って配置されている。
【実施例2】
【0080】
バットレスの中央領域は、バットレスを半分に分離することを促進するように構成された1つ以上のスリットを備える、実施例1に記載のバットレス組立体。
【実施例3】
【0081】
接着剤は、バットレスの近位端部よりもバットレスの遠位端部において接着剤をより多く含む不均一な分布を備える、実施例1又は2に記載のバットレス組立体。
【実施例4】
【0082】
接着剤は、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで延在する接着剤の第1のビードを含み、また接着剤は、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで延在する接着剤の第2のビードを更に含む、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例5】
【0083】
接着剤の第1のビードは、バットレスの長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第2のビードと部分的に重なる、実施例4に記載のバットレス組立体。
【実施例6】
【0084】
接着剤の第1のビードは、バットレスの長さの少なくとも一部分に沿って接着剤の第2のビードから離間する、実施例4又は5に記載のバットレス組立体。
【実施例7】
【0085】
接着剤の第2のビードは、接着剤の第1のビードよりも更に近位側に延在する、実施例4~6のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例8】
【0086】
接着剤の第1のビードと接着剤の第2のビードは、バットレスに対して実質的に同じ程度に遠位側に延在する、実施例4~7のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例9】
【0087】
接着剤は、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで延在する接着剤の第3のビードを含み、また接着剤は、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで延在する接着剤の第4のビードを更に含む、実施例4~8のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例10】
【0088】
接着剤の第1のビード及び第2のビードは集合的に、バットレスの中心線を規定するバットレスの長手方向軸線を中心として接着剤の第3のビード及び第4のビードと対称的である、実施例4~9のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例11】
【0089】
接着剤は、接着剤がバットレスに塗布される箇所において、接着剤がバットレスから盛り上がって位置するような最小高さを備える、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例12】
【0090】
接着剤の最小高さは約0.254mm~約1.27mmである、実施例11に記載のバットレス組立体。
【実施例13】
【0091】
接着剤の最小高さは約0.4064mm~約0.762mmである、実施例11又は12に記載のバットレス組立体。
【実施例14】
【0092】
接着剤の最小高さは、外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルのステープル成形ポケットの深さと実質的に一致するように構成されている、実施例11~13のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例15】
【0093】
接着剤の最小高さは、外科用ステープラのエンドエフェクタのステープルカートリッジのポケット延長部の高さと実質的に一致するように構成されている、実施例11~14のいずれか1つ以上に記載のバットレス組立体。
【実施例16】
【0094】
外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するためのバットレス組立体であって、(a)第1の表面及び第2の表面を備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備えるバットレスを備える、バットレス組立体。バットレスは、近位端部から遠位端部までの長さを規定し、バットレスは、近位端部と遠位端部との間に延在する長手方向軸線を規定する。バットレスは、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備え、バットレスは、中央領域を切り開くことによって実質的に等しい半分へと切断されるように構成されている。バットレス組立体はまた、(b)バットレスの第1の表面及び第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで延在する接着剤を更に備える。接着剤は、バットレスの中央領域を接着剤を実質的に含まない状態に残して第1の縁部領域及び第2の縁部領域に沿って配置され、接着剤はバットレスの長さに沿って非対称の分布を備える。
【実施例17】
【0095】
第1の縁部領域及び第2の縁部領域上の接着剤は、バットレスの長さに沿って、より多量の接着剤のエリアと、より少量の接着剤のエリアとの間で変化し、第1の縁部領域上のより多量の接着剤のエリアは、第2の縁部領域上のより少量の接着剤のエリアの反対側に位置し、第2の縁部領域上のより多量の接着剤のエリアは、第1の縁部領域上のより少量の接着剤のエリアの反対側に位置する、実施例16に記載のバットレス組立体。
【実施例18】
【0096】
接着剤の非対称分布は、外科用ステープラのエンドエフェクタを開放するときに、エンドエフェクタのアンビル及びステープルカートリッジのうちの選択された1つからバットレス組立体を剥離するために必要な力を低減するように構成されている、実施例16又は17に記載のバットレス組立体。
【実施例19】
【0097】
外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するための装置であって、(a)一対のバットレス組立体であって、一対のうちの各バットレス組立体は、(i)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、近位端部から遠位端部までの長さを規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備え、中央領域を切り開くことによって実質的に等しい半分へと切断されるように構成されている、バットレスと、(ii)バットレスの第1の表面及び第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、バットレスの近位端部からバットレスの遠位端部まで延在し、バットレスの中央領域を実質的に接着剤を含まない状態に残して第1の縁部領域及び第2の縁部領域に沿って配置され、第1の縁部領域及び第2の縁部領域上に接着剤を有して、より多量の接着剤のエリアとより少量の接着剤のエリアとの間で変化する、バットレスの長さに沿った非対称分布を備え、第1の縁部領域上のより多量の接着剤のエリアは、第2の縁部領域上のより少量の接着剤のエリアの反対側に位置し、第2の縁部領域上のより多量の接着剤のエリアは、第1の縁部領域上のより少量の接着剤のエリアの反対側に位置する、接着剤と、を備える、一対のバットレス組立体を備える。本装置はまた、(b)バットレス組立体の各々は、バットレス組立体のうちの一方の接着剤がバットレス組立体のうちの他方の接着剤から離れる方を向いた状態で対向する様式で位置付けられるように構成されており、対向する様式で位置付けられるとき、バットレス組立体のうちの一方の上のより多量の接着剤のエリアは、バットレス組立体のうちの他方の上のより少量の接着剤のエリアと整列される、バットレス組立体を備える。
【実施例20】
【0098】
バットレスの中央領域は、バットレスを半分に切断することを促進するように構成された1つ以上のスリットを備える、実施例19に記載の装置。
【0099】
V.その他
「バットレス」及び「バットレス組立体」という用語が本開示の全体を通じて用いられているが、この用語は、いかなる形式においても本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。例えば、「バットレス」及び「バットレス組立体」という用語の使用は、「バットレス」又は「バットレス組立体」が、ステープルラインに構造的支持を提供するか、又は任意の他の特定の目的を果たすためにのみ使用され得ることを意図するものではない。「バットレス」又は「バットレス組立体」は、ステープルラインに構造的支持を提供することに加えて、あるいはそれに代わって、様々な目的を果たし得ることが企図される。したがって、「バットレス」及び「バットレス組立体」という用語は、任意の好適な目的を果たす、ステープルラインへの任意の種類の付属物を包含するように広く読まれるべきである。
【0100】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0101】
上記に加えて、本明細書で説明された様々なバットレス組立体のいずれもが、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年9月29日に公開された「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler」と題する米国特許出願公開第2016/0278774号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月23日に公開された「Implantable Layers for a Surgical Instrument」と題する米国特許出願公開第2017/0049444号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された「Compressible Adjunct with Crossing Spacer Fibers」と題する米国特許出願公開第2017/0086837号、並びにその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」と題する米国特許出願公開第2017/0086842号の教示の少なくとも一部に従って更に構成され、また動作可能となり得ることもまた理解されたい。更に、本明細書で説明した方法に加えて、本明細書で説明した様々なバットレス組立体のいずれもが、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日に公開された「Surgical Stapler Buttress Applicator with End Effector Actuated Release Mechanism」と題する米国特許出願公開第2017/0056016号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日に公開された「Surgical Stapler Buttress Applicator with Multi-Zone Platform for Pressure Focused Release」と題する米国特許出願公開第2017/0056017号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日に公開された「Surgical Stapler Buttress Applicator with Spent Staple Cartridge Lockout」と題する米国特許出願公開第2017/0055980号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日に公開された「Surgical Stapler Buttress Applicator with State Indicator」と題する米国特許出願公開第2017/0056018号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日に公開された「Surgical Stapler Buttress Applicator with Multi-Point Actuated Release Mechanism」と題する米国特許出願公開第2017/0055982号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月2日に公開された「Method of Applying a Buttress to a Surgical Stapler End Effector」と題する米国特許出願公開第2017/0055981号、並びに/又はその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された「Method for Applying an Implantable Layer to a Fastener Cartridge」と題する米国特許出願公開第2017/0086842号の教示の少なくとも一部に従ってエンドエフェクタ(40)に適用され得る。本明細書の教示が上記の引用文献の様々な教示と組み合わされ得る様々な適切な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0102】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日出願の「Configuration of Buttress for Surgical Stapler」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8635USNP.0663976]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END8635USNP.0663976]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方法が当業者には明らかとなろう。
【0103】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Surgical Stapler Buttress with Tissue In-Growth Promotion」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8636USNP.0663978]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示は、米国特許出願第__号[代理人整理番号END8636USNP.0663978]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0104】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Applicator for Surgical Stapler Buttress」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8637USNP.0663981]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END8637USNP.0663981]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0105】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Packaging for Surgical Stapler Buttress」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8638USNP.0663983]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第米国特許出願第__号[代理人整理番号END8638USNP.0663983]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0106】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Applicator for Surgical Stapler Buttress」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8639USDP.0663985]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END8639USDP.0663985]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0107】
本明細書の教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日出願の「Buttress for Surgical Stapler」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8640USDP.0663994]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END8640USDP.0663994]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0108】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Tray for Surgical Stapler Buttress Applicator」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END8641USDP.0663996]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END8641USDP.0663996]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0109】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Method of Applying Buttresses to Surgically Cut and Stapled Sites」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END9071USNP1.0714576]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END9071USNP1.0714576]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0110】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Opening Feature for Curved Tip Alignment」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END9072USNP1.0714574]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END9072USNP1.0714574]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0111】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Proximal Alignment Features」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END9073USNP1.0714572]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END9073USNP1.0714572]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0112】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Curved Tip Surgical Stapler Buttress Assembly Applicator with Compression Layer Pocket Feature」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END9075USNP1.0714570]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END9075USNP1.0714570]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0113】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Applicator for a Surgical Stapler Buttress」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END9080USDP1.0714568]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END9080USDP1.0714568]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0114】
本明細書の教示は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Buttress Assembly for a Surgical Stapler」と題される米国特許出願第__号[代理人整理番号END9081USDP1.0714566]における様々な教示と容易に組み合わされ得ることもまた理解されたい。本明細書の教示が米国特許出願第__号[代理人整理番号END9081USDP1.0714566]の教示と組み合わされ得る様々な好適な方式が当業者には明らかとなろう。
【0115】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0116】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0117】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は手技の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0118】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0119】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0120】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するためのバットレス組立体であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する長手方向軸線を規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備える、バットレスと、
(b)前記バットレスの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで連続的に延在し、前記バットレスの前記中央領域を実質的に前記接着剤を含まない状態に残して前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域に沿って配置されている、接着剤と、を備えるバットレス組立体。
(2) 前記バットレスの前記中央領域は、前記バットレスを半分に分離することを促進するように構成された1つ以上のスリットを備える、実施態様1に記載のバットレス組立体。
(3) 前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部よりも前記バットレスの前記遠位端部において前記接着剤をより多く含む不均一な分布を備える、実施態様1に記載のバットレス組立体。
(4) 前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第1のビードを含み、また前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第2のビードを更に含む、実施態様1に記載のバットレス組立体。
(5) 前記接着剤の前記第1のビードは、前記バットレスの長さの少なくとも一部分に沿って前記接着剤の前記第2のビードと部分的に重なる、実施態様4に記載のバットレス組立体。
【0121】
(6) 前記接着剤の前記第1のビードは、前記バットレスの前記長さの少なくとも一部分に沿って前記接着剤の前記第2のビードから離間する、実施態様4に記載のバットレス組立体。
(7) 前記接着剤の前記第2のビードは、前記接着剤の前記第1のビードよりも更に近位側に延在する、実施態様4に記載のバットレス組立体。
(8) 前記接着剤の前記第1のビードと前記接着剤の前記第2のビードは、前記バットレスに対して実質的に同じ程度に遠位側に延在する、実施態様4に記載のバットレス組立体。
(9) 前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第3のビードを含み、前記接着剤は、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在する前記接着剤の第4のビードを更に含む、実施態様4に記載のバットレス組立体。
(10) 前記接着剤の前記第1のビード及び前記第2のビードは集合的に、前記バットレスの中心線を規定する前記バットレスの前記長手方向軸線を中心として前記接着剤の前記第3のビード及び前記第4のビードと対称的である、実施態様9に記載のバットレス組立体。
【0122】
(11) 前記接着剤は、前記接着剤が前記バットレスに塗布される箇所において、前記接着剤が前記バットレスから盛り上がって位置するような最小高さを備える、実施態様1に記載のバットレス組立体。
(12) 前記接着剤の前記最小高さは約0.254mm~約1.27mmである、実施態様11に記載のバットレス組立体。
(13) 前記接着剤の前記最小高さは約0.4064mm~約0.762mmである、実施態様11に記載のバットレス組立体。
(14) 前記接着剤の前記最小高さは、外科用ステープラのエンドエフェクタのアンビルのステープル成形ポケットの深さと実質的に一致するように構成されている、実施態様11に記載のバットレス組立体。
(15) 前記接着剤の前記最小高さは、外科用ステープラのエンドエフェクタのステープルカートリッジのポケット延長部の高さと実質的に一致するように構成されている、実施態様11に記載のバットレス組立体。
【0123】
(16) 外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するためのバットレス組立体であって、
(a)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、前記近位端部から前記遠位端部までの長さを規定し、前記近位端部と前記遠位端部との間に延在する長手方向軸線を規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備え、前記中央領域を切り開くことによって実質的に等しい半分へと切断されるように構成されている、バットレスと、
(b)前記バットレスの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在し、前記バットレスの前記中央領域を実質的に前記接着剤を含まない状態に残して前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域に沿って配置され、前記バットレスの前記長さに沿って非対称分布を備える、接着剤と、を備えるバットレス組立体。
(17) 前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域上の前記接着剤は、前記バットレスの前記長さに沿って、より多量の接着剤のエリアと、より少量の接着剤のエリアとの間で変化し、前記第1の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第2の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置し、前記第2の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第1の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置する、実施態様16に記載のバットレス組立体。
(18) 前記接着剤の前記非対称分布は、外科用ステープラのエンドエフェクタを開放するときに、前記エンドエフェクタのアンビル及びステープルカートリッジのうちの選択された1つから前記バットレス組立体を剥離するために必要な力を低減するように構成されている、実施態様16に記載のバットレス組立体。
(19) 外科用ステープリングによって接合された組織層を補強するための装置であって、
(a)一対のバットレス組立体であって、前記一対のうちの各バットレス組立体は、
(i)第1の表面と第2の表面とを備えるバットレスであって、近位端部と遠位端部とを更に備え、前記近位端部から前記遠位端部までの長さを規定し、一方の側で第1の縁部領域に隣接し、他方の側で第2の縁部領域に隣接する中央領域を更に備え、前記中央領域を切り開くことによって実質的に等しい半分へと切断されるように構成されている、バットレスと、
(ii)前記バットレスの前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの選択された1つに塗布される接着剤であって、前記バットレスの前記近位端部から前記バットレスの前記遠位端部まで延在し、前記バットレスの前記中央領域を実質的に前記接着剤を含まない状態に残して前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域に沿って配置され、前記第1の縁部領域及び前記第2の縁部領域上に前記接着剤を有して、より多量の接着剤のエリアとより少量の接着剤のエリアとの間で変化する、前記バットレスの前記長さに沿った非対称分布を備え、前記第1の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第2の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置し、前記第2の縁部領域上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記第1の縁部領域上の前記より少量の接着剤のエリアの反対側に位置する、接着剤と、を備える、一対のバットレス組立体を備え、
(b)前記バットレス組立体の各々は、前記バットレス組立体のうちの一方の前記接着剤が前記バットレス組立体のうちの他方の前記接着剤から離れる方を向いた状態で対向する様式で位置付けられるように構成されており、前記対向する様式で位置付けられるとき、前記バットレス組立体のうちの一方の上の前記より多量の接着剤のエリアは、前記バットレス組立体のうちの他方の上の前記より少量の接着剤のエリアと整列される、装置。
(20) 前記バットレスの前記中央領域は、前記バットレスを半分に切断することを促進するように構成された1つ以上のスリットを備える、実施態様19に記載の装置。