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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】イーサネットケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/02 20060101AFI20240219BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01B11/02
H01B7/18 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021540022
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2019017861
(87)【国際公開番号】W WO2020171358
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0019370
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168088
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513096691
【氏名又は名称】エルエス ケーブル アンド システム リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウキョン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ジョンピョ
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-145673(JP,A)
【文献】特開2017-188431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/02
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イーサネットケーブルであって、
単線導体及び前記単線導体を取り囲む絶縁体を含む一対のコアと、
前記一対のコアを全体的に取り囲む外被とを含み、
前記一対のコアはケーブルの長手方向に撚りピッチP1を有するように互いに撚られて形成され、
前記一対のコアの撚りピッチP1は下記の式1を満たすことを特徴とする、イーサネットケーブル。
【数1】
前記式1で、P2は、導体が1本の中心導体素線の周囲に6本の導体素線が配置され、このような導体素線の撚りピッチP3が10mmである撚線導体が適用されることにより、前記イーサネットケーブルと導体の公称断面積及び一対のコアの撚りピッチが互いに異なることを除き、導体の素材と導体の全径、絶縁体の素材及び厚さ、コアの数、外被の素材及び厚さ、及びケーブルの180°屈曲時の屈曲部の塑性変形率が実質的に同一である仮想のイーサネットケーブルでのコアの撚りピッチを意味する。
【請求項2】
前記塑性変形率は有限要素解釈法による数値解釈によって測定されることを特徴とする、請求項1に記載のイーサネットケーブル。
【請求項3】
前記塑性変形率は数値解釈プログラムとしてABAQUSプログラム(製造社:ダッソーシステム(dassault systemes))によって測定されることを特徴とする、請求項2に記載のイーサネットケーブル。
【請求項4】
前記コアの撚りピッチは7~28mmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項5】
前記塑性変形率は7~25%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項6】
前記一対のコアの撚りピッチP1は、下記の式2を満たすことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【数2】
前記式2で、P2は前記式1で定義した通りである。
【請求項7】
前記単線導体の半径は0.19~0.5mmであり、その公称断面積は0.11~0.79mmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項8】
前記絶縁体はポリオレフィン系樹脂を含み、前記外被はポリ塩化ビニル樹脂を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項9】
前記外被は前記一対のコアの間の空間を満たす充実式外被であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項10】
前記絶縁体の厚さは0.18~1.5mmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項11】
前記一対のコアと前記外被との間に備えられて前記一対のコアを取り囲む遮蔽層、及び前記一対のコアと前記遮蔽層との間の空間を埋めるベッド層をさらに含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のイーサネットケーブル。
【請求項12】
前記遮蔽層はアルミニウムテープ及び金属編造体を含むことを特徴とする、請求項11に記載のイーサネットケーブル。
【請求項13】
前記アルミニウムテープはアルミニウム-マイラー(Al-Mylar)テープを含み、前記金属編造体はスズメッキ銅編組体を含むことを特徴とする、請求項12に記載のイーサネットケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイーサネットケーブルに関するものである。具体的に、本発明は柔軟性及び振動耐性に優れて耐久性に優れるとともに電気的特性に優れ、製造コストを節減することができるイーサネットケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
イーサネットケーブルは通信ケーブルを意味する。図1は従来のイーサネットケーブルの横断面を概略的に示す図である。図1に示すように、従来のイーサネットケーブルは、導体11及び前記導体11を取り囲む絶縁体12を含み、一定ピッチで互いに撚られている一対のコア10と、前記一対のコア10を全体的に取り囲む外被層20とを含む構造を有する。
【0003】
また、従来のイーサネットケーブルはその用途及び敷設環境によって優れた柔軟性及び振動耐性を要求するので、前記導体11として複数の素線が撚り合わせられた撚線が一般的に適用される。
【0004】
ここで、イーサネットケーブルの柔軟性が一定基準を満たすことができない場合、曲面区間でケーブル敷設の際、一対のコアが互いに広がることによって電気的特性に問題が発生することがあり、またイーサネットケーブルの振動耐性が一定基準を満たすことができない場合、前記ケーブルが自動車、船舶、汽車、航空機などのような移動手段及びその他の振動が発生することができる敷設環境に適用されるとき、振動によるケーブル破壊が発生して通信機能が低下するか不能状況になることがあり、このような場合、例えばレーダーなどの各種通信装備がイーサネットケーブルの破壊によって通信不能状況になる場合、安全の側面で大きな脅威になることができる。
【0005】
ただ、前記導体11に撚線を適用する場合、柔軟性及び振動耐性は向上するが素線を撚り合わせる、特に一定ピッチで素線を撚り合わせるための加工費及び人件費が発生してイーサネットケーブルの製造コストが増加し、今後の高仕様の電気的特性を満たすために抵抗を低減させなければならない場合、ケーブルの外径が不必要に増加する問題などがある。
【0006】
したがって、柔軟性及び振動耐性に優れて耐久性に優れるとともに電気的特性に優れ、製造コストを節減することができるイーサネットケーブルが切実に要求されている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、柔軟性及び振動耐性に優れて耐久性に優れたイーサネットケーブルを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、電気的特性に優れ、ケーブル外径の増加なしに抵抗を低減することができるイーサネットケーブルを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、製造コストを節減することができるイーサネットケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、
【0011】
イーサネットケーブルであって、単線導体及び前記単線導体を取り囲む絶縁体を含む一対のコアと、前記一対のコアを全体的に取り囲む外被とを含み、前記一対のコアはケーブルの長手方向に撚りピッチP1を有するように互いに撚られて形成され、前記一対のコアの撚りピッチP1は下記の式1を満たすことを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0012】
【数1】
【0013】
前記式1で、
【0014】
P2は、導体が1本の中心導体素線の周囲に6本の導体素線が配置され、このような導体素線の撚りピッチP3が10mmである撚線導体が適用されることにより、前記イーサネットケーブルと導体の公称断面積及び一対のコアの撚りピッチが互いに異なることを除き、導体の素材と導体の全径、絶縁体の素材及び厚さ、コアの数、外被の素材及び厚さ、及びケーブルの180°屈曲時の屈曲部の塑性変形率が実質的に同一である仮想のイーサネットケーブルでのコアの撚りピッチを意味する。
【0015】
ここで、前記塑性変形率は有限要素解釈法による数値解釈によって測定されることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0016】
また、前記塑性変形率は数値解釈プログラムとしてABAQUSプログラム(製造社:ダッソーシステム(dassault systemes))によって測定されることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0017】
そして、前記コアの撚りピッチは7~28mmであることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0018】
また、前記塑性変形率は7~25%であることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0019】
また、前記一対のコアの撚りピッチP1は、下記の式2を満たすことを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0020】
【数2】
【0021】
前記式2で、P2は前記式1で定義した通りである。
【0022】
前記単線導体の半径は0.19~0.5mmであり、その公称断面積は0.11~0.79mmであることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0023】
また、前記絶縁体はポリオレフィン系樹脂を含み、前記外被はポリ塩化ビニル樹脂を含むことを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0024】
そして、前記外被は前記一対のコアの間の空間を満たす充実式外被であることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0025】
また、前記絶縁体の厚さは0.18~1.5mmであり、前記ケーブルの全径は3~6mmであることを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0026】
また、前記一対のコアと前記外被との間に備えられて前記一対のコアを取り囲む遮蔽層、及び前記一対のコアと前記遮蔽層との間の空間を埋めるベッド層をさらに含むことを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【0027】
ここで、前記遮蔽層はアルミニウムテープ及び金属編造体を含むことを特徴とする、イーサネットケーブル。
【0028】
また、前記アルミニウムテープはアルミニウム-マイラー(Al-Mylar)テープを含み、前記金属編造体はスズメッキ銅編組体を含むことを特徴とする、イーサネットケーブルを提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるイーサネットケーブルは、単線導体を適用するとともにコアの撚りピッチを精密に調節することにより、撚線導体を適用した水準の柔軟性及び振動耐性を具現する優れた効果を示す。
【0030】
また、本発明によるイーサネットケーブルは、単線導体を適用するとともにコアの撚りピッチを精密に調節することにより、電気的特性に優れ、ケーブル外径の増加なしに抵抗を低減することができる優れた効果を示す。
【0031】
さらに、本発明によるイーサネットケーブルは、単線導体を適用することにより、撚線導体の加工費及び人件費を節減することができ、製造コストを節減する優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】従来のイーサネットケーブルの横断面を概略的に示す図である。
【0033】
図2】本発明によるイーサネットケーブルの一実施例の横断面を概略的に示す図である。
【0034】
図3】本発明によるイーサネットケーブルの他の実施例の横断面を概略的に示す図である。
【0035】
図4】式1で導体が単線の場合一対のコアの撚りピッチP1を示す図である。
【0036】
図5】式1で導体が撚線の場合一対のコアの撚りピッチP2を示す図である。
【0037】
図6】式1で撚線導体の撚りピッチP3を示す図である。
【0038】
図7】撚線及び単線導体の撚りピッチによる塑性変形率の差をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。しかし、本発明はここで説明する実施例に限定されず、他の形態に具体化することもできる。むしろ、ここで紹介する実施例は開示内容が徹底的で完全になることができるように、かつ当業者に発明の思想を充分に伝達するために提供するものである。明細書全般にわたって同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0040】
図2は本発明によるイーサネットケーブルの一実施例の横断面を概略的に示す図、図3は本発明によるイーサネットケーブルの他の実施例の横断面を概略的に示す図である。
【0041】
図2に示すように、本発明によるイーサネットケーブルは、単線導体110及び前記単線導体110を取り囲む絶縁体120を含み、一定ピッチで互いに撚られている一対のコア100と、前記一対のコア100を全体的に取り囲む外被層200とを含むことができる。
【0042】
また、図3に示すように、本発明によるイーサネットケーブルは、一対のコア100と外被層200との間に備えられて前記一対のコア100を取り囲む遮蔽層300と、前記一対のコア100と前記遮蔽層300との間の空間を埋めるベッド層400とをさらに含むことができる。
【0043】
ここで、前記遮蔽層300は、前記一対のコア100から外部に放出される電磁波及び外部から本発明によるイーサネットケーブルの内部に侵透しようとする電磁波を反射又は吸収してこれを遮断する機能を果たし、例えばポリエステルフィルムにアルミニウム箔が付着されたアルミニウム-マイラー(Al-Mylar)テープなどのアルミニウムテープ310及び/又はスズメッキ銅編組体などの金属編造体320を含むことができる。
【0044】
また、前記遮蔽層300が前記アルミニウムテープ310及び前記金属編造体320の両者を含む場合、前記アルミニウムテープ310が前記一対のコア100を取り囲み、前記金属遮蔽層320が前記アルミニウムテープ310を取り囲む構造に配置されることができる。
【0045】
一方、前記ベッド層400は前記一対のコア100と前記遮蔽層300との間の空間を埋めて前記イーサネットケーブルの真円度を向上させ、構造的に安定させるとともに、前記一対のコア100と前記遮蔽層300との間の間隔及びこれによるインピーダンスを一定に維持させるなど、通信特性を向上させる機能を果たし、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン(XLPE)、ポリプロピレン(PP)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)などの樹脂からなることができる。
【0046】
前記単線導体110は、銅、アルミニウム、銀などの金属素材又はこれらの合金からなることができ、例えば比抵抗1.68×10-8Ω・mの金属素材からなることができ、その半径はケーブル用途によって通常の技術者によって適宜選択することができ、例えば0.19~0.5mm、好ましくは0.3~0.5mmであることができ、公称断面積は、例えば0.11~0.79mmであることができる。
【0047】
前記単線導体110は、従来に複数の素線が一定ピッチで撚り合わせられた撚線導体に比べ、同じ外径で公称断面積が大きいため、抵抗が低くて電気的特性に優れ、撚線導体での素線の撚合せのための加工費及び人件費が節減されるから、ケーブルの製造コストを節減することができる。
【0048】
ただ、前記単線導体110は、同じ外径を有する従来の撚線導体に比べ、柔軟性及び振動耐性が十分でないから、これは後述するコア100のピッチを精密に制御することによって克服することができる。
【0049】
前記絶縁体120は電気絶縁特性を有する高分子樹脂をベース樹脂として含む絶縁組成物の押出しなどによって形成することができ、前記高分子樹脂は電気絶縁特性を具現することができるものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアセテート、エチレンブチルアクリレートなどのポリオレフィン系樹脂を含むことができる。前記絶縁体120の厚さは、前記導体110の素材や直径、前記絶縁体120の素材などによって通常の技術者によって適切に選択することができ、例えば前記絶縁体120の厚さは0.18~1.5mmであることができる。
【0050】
前記外被層200は前記一対のコア100を全体的に取り囲んで外部の圧力や衝撃から前記コア100を保護する機能を果たし、特にケーブルの屈曲の際に一対のコア100の後述するピッチが維持され、これによりこれらの構造が安定的に維持されるように前記一対のコア100の間の空間を埋める充実式外被層を適用することができる。
【0051】
前記外被層200は、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂など、好ましくは柔軟性に優れたポリ塩化ビニル樹脂をベース樹脂として含む外被組成物の押出しなどによって形成することができる。前記外被層200の厚さは前記外被層200の素材、ケーブルの全径、ケーブルの用途や敷設環境などに鑑みて通常の技術者が適宜選択することができ、例えば、前記外被層200の厚さによる前記ケーブルの全径は3~6mmであることができる。
【0052】
本発明において、前記一対のコア100は精密に制御されたピッチ(pitch)の撚りによって撚り合わせられることができる。
【0053】
具体的に、図4に示すような前記一対のコアの撚りピッチP1は、下記の式1を満たすことができる。
【0054】
【数3】
【0055】
前記式1で、
【0056】
図5及び図6に示すように、P2は、導体が1本の中心導体素線の周囲に6本の導体素線が配置され、このような導体素線の撚りピッチP3が10mmである撚線導体が適用されることにより前記イーサネットケーブルと導体の公称断面積及び一対のコアの撚りピッチが互いに異なることを除き、導体の素材と導体の全径、すなわち導体が撚線導体の場合、撚線導体を構成する複数の素線を全て撚り合わせた状態の導体直径、絶縁体の素材及び厚さ、コアの数、外被の素材及び厚さ、及びケーブルの180°屈曲時の屈曲部の塑性変形率が実質的に同一である仮想のイーサネットケーブルにおけるコアの撚りピッチを意味する。
【0057】
好ましくは、前記一対のコアの撚りピッチP1は、下記の式2を満たすことができる。
【0058】
【数4】
【0059】
前記式2で、P2は前記式1と同一である。
【0060】
これにより、前記塑性変形率は7~25%であることができる。
【0061】
前記塑性変形率に関連して、外力によって前記ケーブルを180°屈曲させるときに屈曲部に変形が発生し、前記変形は、前記外力が除去される場合に復元する単性変形と、前記外力が除去されても材料の新しい原子結合によって復元しない塑性変形とを含み、前記単性変形による変形率を弾性変形率と言い、前記塑性変形による変形率を塑性変形率と言う。一方、前記‘実質的に同一である’の意味は塑性変形率などの対象の差が±1%以下であることを意味する。
【0062】
また、前記塑性変形率は有限要素解釈法(Finite Element Analysis;FEA)による数値解釈によって測定可能である。具体的に、有限要素解釈法を用いた数値解釈プログラム、例えばABAQUSプログラム(製造社:ダッソーシステム(dassault systemes))により、ケーブルの構造及び全径、導体の素材と導体の全径、絶縁体の素材及び厚さ、外被の素材及び厚さ、導体の撚線又は単線による公称断面積、素線又はコアの撚りピッチなどを適用したケーブルモデルを作り、これを180°屈曲させて屈曲部での塑性変形率を測定することができる。
【0063】
さらに、ケーブルの構造及び全径、導体の素材と導体の全径、絶縁体の素材及び厚さ、及び外被の素材及び厚さが同一である撚線導体適用ケーブルと単線導体適用ケーブルのそれぞれに対してコアの撚りピッチによる塑性変形率をそれぞれ測定し、塑性変形率が実質的に同一である撚線導体適用ケーブルと単線導体適用ケーブルのそれぞれの撚りピッチの差を計算することができる。
【0064】
本発明によるイーサネットケーブルが前記のようなコアの撚りピッチを有する場合、従来の撚線導体が適用され、同じ外径を有するイーサネットケーブルに比べ、抵抗が低減して電気的特性に優れるとともに、従来の撚線導体が適用されたイーサネットケーブルと同等な水準の塑性変形率及びこれによる柔軟性及び振動耐性を有することができる。
【0065】
本発明によるイーサネットケーブルにおいて、コア100の撚りピッチが7mm未満とあまりに短い場合、撚りピッチの適用の際、既に導体の撚りピッチによる張力によって応力が発生するから、従来の撚線導体が適用されたイーサネットケーブルと同等な水準の柔軟性及び振動耐性を保有しにくく、撚りピッチが28mm超過とあまりに長い場合、撚り適用の効果が具現されないこともある。また、一対のコア100の撚りピッチが7~28mmの場合、従来の撚線導体が適用されたイーサネットケーブルに比べ、抵抗の低減及び電気的特性の向上が極大化することができる。
【0066】
また、実質的に同一である塑性変形率を有する撚線導体適用ケーブルと単線導体適用ケーブルのコアの撚りピッチの差が2.2mm未満又は4mm超過の場合、単線導体適用ケーブルの塑性変形率が撚線導体適用ケーブルの塑性変形率と比較して実質的に同じ範囲である±1%を超えるので、本発明で目的としようとするイーサネットケーブルの柔軟性、耐久性向上及び抵抗低減による電気的特性の向上の効果が十分でないことがある。
【0067】
実際に、図7に示すように、一対のコアの撚りピッチが7~28mmであることを前提として撚線導体適用ケーブルと単線導体適用ケーブルのコアの撚りピッチの差が2.2~4mmの場合に限り塑性変形率の差が実質的に同じ範囲である±1%以内に調節されることが確認された。
【0068】
本明細書は本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野の当業者は以下で敍述する特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範疇内で本発明を多様に修正及び変更して実施することが可能であろう。したがって、変形された実施が基本的に本発明の特許請求範囲の構成要素を含んでいればいずれも本発明の技術的範疇に含まれると見なさなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7