(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】マルチ入力‐マルチ出力レーダセンサのキャリブレーション装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20240219BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20240219BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240219BHJP
【FI】
G01S7/40 191
G01S7/02 216
G01S13/931
(21)【出願番号】P 2021541540
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2020050516
(87)【国際公開番号】W WO2020148179
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】102019200612.4
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ゼチナー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン シック
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513027(JP,A)
【文献】特開2019-178922(JP,A)
【文献】特開2001-227982(JP,A)
【文献】特開2017-211241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 ー 7/42
13/00 ー 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ入力‐マルチ出力(MIMO)レーダセンサ(12)のキャリブレーションを実行するための装置(14)であって:
・車両の周辺における多数のターゲットにつき,角度データおよびチャネルデータを含むMIMOレーダセンサのターゲットリストを受信する入力インターフェース(20)であって,前記角度データがターゲットの配置されるターゲット角度の関連情報を含み,前記チャネルデータが前記MIMOレーダセンサの個別チャネルにおけるターゲットの受信反射信号に関する情報を含む,入力インターフェース(20)と;
・多数のターゲットにおける各ターゲットにつき,前記角度データに基づいて,前記MIMOレーダセンサの遠視野のターゲット角度内における単一のターゲットの仮想検出のために予想される反射信号の関連情報を含むモデルデータを生成するモデル化ユニット(22)と;
・多数のターゲットにおける各ターゲットにつき,前記チャネルデータと前記ターゲットのモデルデータとの間の偏差に関する情報を含むモデル誤差を決定するプロセッサユニット(24)と;
・該決定されたモデル誤差に基づいて,特定のターゲットを多数のターゲットから選択する選択ユニット(28)であって,該選択されたターゲットのモデル誤差は,他のターゲットのモデル誤差よりも小さいものとする,選択ユニット(28)と;
・ 前記モデルデータおよびチャネルデータに基づいて,MIMOレーダセンサのチャネルのチャネル出力の適応に関する情報を含み,かつ,前記チャネルデータの前記モデルデータからの偏差を補償するキャリブレーション係数を決定する適応ユニット(30)と;
を備える,キャリブレーション装置(14)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(14)であって,前記モデル化ユニット(22)は,
・前記チャネルデータに基づいて,前記MIMOレーダセンサ(12)の個別のチャネルの平均スケーリング係数を含むスケーリングベクトルを決定するように構成され;
・前記MIMOレーダセンサ(12)のチャネルの配置と角度データに基づいて制御
行列を決定するように構成され;更に,
・前記制御行列と前記スケーリングベクトルの乗算に基づいて前記モデルデータを生成するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置(14)であって,前記プロセッサユニット(24)は,
前記モデル誤差として前記MIMOレーダセンサ(12)のチャネルについての平均二乗誤差を決定するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(14)であって,前記選択ユニット(28)は,しきい値を下回る平均二乗誤差を有するターゲットを選択するように構成さ
れている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(14)であって,前記選択ユニット(28)は,前記受信反射信号のS/N比に基づいてターゲットを選択するように構成され
ている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(14)であって,前記適応ユニット(30)は,移動する平均値に基づいて前記キャリブレーション係数を決定するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(14)であって,キャリブレーション係数に基づいて角変位を決定し,角変位がしきい値を上回る場合に前記キャリブレーション係数に対する補償係数を計算および適用するためのズレ補償ユニット(32)を備
えている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(14)であって,前記ズレ補償ユニット(32)が:
・前記キャリブレーション係数に基づいて,ゼロ点およびゼロ点の近傍点に対してビームフォーミングを実行するように構成されてお
り;更に,
・ゼロ点の近傍点におけるビームフォーミングの絶対応答値が,ゼロ点におけるビームフォーミングの絶対応答値よりも大きい場合に,補償係数を計算して適用するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(14)であって,前記ズレ補償ユニット(32)は,前記ゼロ点と,ビームフォーミングの絶対応答値が最も高い前記ゼロ点の近傍点との間の角度の半分に基づいて補償係数を計算するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(14)であって,前記適応ユニット(30)は,前記ターゲットリストに基づいて,車両が移動していないことを決定した場合に,前回のタイムステップのキャリブレーション係数を決定するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項11】
請求項1に記載の装置(14)であって,前記モデル化ユニット(22)は,個別のチャネルの相互の影響に基づいて前記モデルデータを生成するように構成されている,キャリブレーション装置(14)。
【請求項12】
MIMOレーダセンサ(12)と,請求項1~11のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置(14)とを備えるシステム(10)。
【請求項13】
請求項12に記載のシステム(10)であって,前記MIMOレーダセンサ(12)は,70GHz~80GHzの周波数範囲
内のレーダ信号を送受信するように構成されている,システム(10)。
【請求項14】
マルチ入力‐マルチ出力(MIMO)レーダセンサ(12)のキャリブレーション方法であって:
・車両の周辺における多数のターゲットにつき,角度データおよびチャネルデータを含むMIMOレーダセンサのターゲットリストを受信(S10)し,前記角度データは,ターゲットが配置されるターゲット角度の関連情報を含み,また,前記チャネルデータは,前記MIMOレーダセンサのターゲットチャネルの受信反射信号の関連情報を含むものとし;
・ 前記角度データに基づいて,前記MIMOレーダセンサの遠視野における前記レーダセンサの単一のターゲットの仮想的な検出のための予想される反射信号に関する情報に基づいて,前記多数のターゲットにおける各ターゲットのモデルデータを生成(S12)し;
・複数のターゲットの各ターゲットにつき,前記チャネルデータとターゲットのモデルデータとの間の偏差に関する情報に基づいてモデル誤差を決定(S14)し;
・前記決定されたモデル誤差に基づいて,前記多数のターゲットから特定のターゲットを選択(S16)し,該選択されたターゲットのモデル誤差は,他のターゲットのモデル誤差よりも小さいものとし;
・前記モデルデータおよびチャネルデータに基づいて,前記MIMOレーダセンサのチャネルのチャネル出力を適応させるための情報を含むキャリブレーション係数を決定(S18)し,該キャリブレーション係数により,前記モデルデータからのチャネルデータの偏差を補償する,キャリブレーション方法。
【請求項15】
プログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって,該プログラムコードが,コンピュータ上で実行したときに,請求項14に記載の方法におけるステップを実施するものである,コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,マルチ入力‐マルチ出力(MIMO)レーダダセンサのキャリブレーション装置およびこれに対応する方法に関し,更にはMIMOレーダセンサと装置とを含むシステムに関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
現代の車両(乗用車,バン,トラック,オートバイなど)には,運転者に情報を提供すると共に,車両の個別的機能を自動的または半自動的に制御するための多くのセンサが含まれている。その場合の重要な前提条件は,自己車両の環境に関する情報の取得,認識およびモデル化である。レーダ,LIDAR,超音波,カメラセンサなどの環境センサを使用して,環境に関する情報を含むセンサデータを記録する。次に,記録されたデータに基づいて,そして必要であれば車両において利用可能なデータを更に考慮して,車両近傍の物体を識別および分類することができる。これに基づいて,例えば,自動運転車または半自動運転車の挙動を現在状況に適合させ,あるいはドライバーにより追加情報を利用可能とすることができる。
【0003】
この場合に広く普及しているセンサ原理は,レーダ技術である。車両用のレーダセンサは,通常,複数の送受信素子を含んでおり,マルチ入力‐マルチ出力レーダ(MIMOレーダ)として動作する。送受信素子は,レーダセンサにおける仮想チャネル(Rx/Txアンテナペア)を構成し,各チャネルは異なる位置を表す。異なるチャネルにおけるレーダ信号の位相および振幅(チャネル応答)を評価すれば,ターゲット(方位角および仰角に係る角度位置,ドップラーまたは相対速度,および距離)を検出することができる。
【0004】
レーダセンサの製造と処理に際しては,製造に関連する相違や偏差が生じる。したがって,信号品質を改善するため,製造後に個々のレーダセンサを測定してチャネル応答のキャリブレーションを行うのが通例である。往々にして,レーダセンサのキャリブレーションは,レーダセンサが既に車両に取り付けられている場合にのみ行われる。そのために,通常は,ターゲットを方位角および仰角が角度ゼロで測定チャンバ内に生成してチャネル応答値を測定する。これは,n個の利用可能なチャネルについてのn個の複素数値で構成され,その数値は,位置が既知である場合に,対応するターゲットのレンジ/ドップラーマップから抽出される。角度ゼロのターゲットは,理想的には全てのチャネルで振幅および位相において同一の応答値を生成する筈である。したがって,測定値は,対応するセンサにおける偏差を直接的に示すものとして正規化に使用することができる。このアプローチにより,チャネルについての(複雑な)キャリブレーション係数が得られる。これらのキャリブレーション係数は,計算後にレンジ/ドップラーマップで除算することによって適用される。
【0005】
従来技術の問題点は,レーダセンサの性能が,その寿命の間に変化する可能性があることである。特に自動車分野においては,温度や湿度の変化,振動などの要因の影響下で,レーダセンサの過負荷や劣化の発生する可能性がある。1回限りのキャリブレーションでは性能が大幅に劣化する恐れがあり,一定の時間が経過すると,精度が制限される。レーダセンサ内における変化は,長期(例えば,数年間)と短期(例えば,数分間)の両者で発生する可能性がある。それ故,往々にしてレーダセンサの更新されたキャリブレーション(複雑である)または交換(コストのかかる)を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0006】
以上に鑑み,本発明の課題は,レーダセンサの使用時における信頼性および精度を改善することにある。特に,新規なキャリブレーションのための労力やコストは,削減する必要がある。また,レーダセンサの劣化に対する堅牢性を実現する必要もある。
【0007】
上記の課題を解決するため,本発明の第1の態様に係るMIMOレーダセンサのキャリブレーション装置は:
・車両の周辺における多数のターゲットにつき,角度データおよびチャネルデータを含むMIMOレーダセンサのターゲットリストを受信する入力インターフェースであって,前記角度データが,前記ターゲットの配置されるターゲット角度の関連情報を含み,前記チャネルデータが前記MIMOレーダセンサの個別チャネルにおける前記ターゲットの受信反射信号に関する情報を含む,入力インターフェースと;
・多数のターゲットにおける各ターゲットにつき,前記角度データに基づいて,前記MIMOレーダセンサの遠視野のターゲット角度内における単一のターゲットの仮想検出のために予想される反射信号の関連情報を含むモデルデータを生成するモデル化ユニットと;
・多数のターゲットにおける各ターゲットにつき,前記チャネルデータと,前記ターゲットのモデルデータとの間の偏差に関する情報を含むモデル誤差を決定するプロセッサユニットと;
・該決定されたモデル誤差に基づいて,特定のターゲットを多数のターゲットから選択する選択ユニットであって,該選択されたターゲットのモデル誤差は,他のターゲットのモデル誤差よりも小さいものとする,選択ユニットと;
・前記モデルデータおよびチャネルデータに基づいて,MIMOレーダセンサのチャネルのチャネル出力の適応に関する情報を含み,かつ,前記ちぇなるデータの前記モデルデータからの偏差を補償するキャリブレーション係数を決定する適応ユニットと;を備える。
【0008】
更なる態様において,本発明は,MIMOレーダセンサおよび上記キャリブレーション装置を備えるシステムに関するものである。
【0009】
本発明の更なる態様は,上記キャリブレーション装置に対応するキャリブレーション方法,コンピュータ上で実行したときに上記キャリブレーション方法におけるステップを実施するプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品,ならびにコンピュータ上で実行したときに上記キャリブレーション方法を実施するプログラムコードが保存された記憶媒体に関するものである。
【0010】
本発明の好適な実施形態は,従属請求項に記載したとおりである。言うまでもなく,本発明の範囲を逸脱することなく,上記の特徴および後述する特徴を,それぞれ指定された組み合わせだけでなく,他の組み合わせにおいて,単独で使用することができる。特に,装置,該装置に対応するシステム,方法およびコンピュータプログラム製品は,従属請求項で装置およびシステムについて記載する形態で実施することができる。
【0011】
本発明によれば,MIMOレーダセンサのセンサデータが受信される。受信したターゲットリストには,特に,車両周辺におけるターゲットの方位角と仰角(角度データ),およびMIMOレーダセンサにおける様々なチャネルのチャネル応答(チャネルデータ)が含まれる。レーダセンサは,好適には,前処理後にレーダセンサによって受信する。受信したデータに基づいて,想定される単一ターゲットのモデル(単一ターゲットモデル)を生成し,そのターゲットは,レーダセンサの遠視野における実際のターゲットのターゲット角度で認識する。すなわち,チャネルデータに対応するモデルデータが含まれるモデルを生成する。換言すると,(実際の)ターゲット角度で想定されるターゲットについての,シミュレートされた理想的なチャネル応答を,モデルデータとして生成する。この想定される個々のターゲットについて,モデル誤差を計算する。このモデル誤差は,実際のターゲットまたは実際のデータ(チャネルデータ)と,シミュレートされた個々のターゲットまたは理想的なデータ(モデルデータ)との間の偏差を表す。次のステップとして,識別されたモデル誤差に基づいて少なくとも1つのターゲットを選択する。特に,他のターゲットと比較してモデル誤差の小さいターゲットを選択する。この選択されたターゲットでは,実際のターゲットは実際には単一のターゲットであるものと仮定する。この仮定は,チャネルデータとモデルデータ間の偏差が,不正確なキャリブレーションに由来することを意味している。将来の測定のためにチャネル出力を適合させるべく,この偏差を補償するようにキャリブレーション係数を決定する。換言すると,レーダセンサのキャリブレーションを行ってMIMOレーダセンサのチャネル応答またはチャネルのチャネル出力を補正することにより,実際のデータを選択されたターゲットのモデルにより良好に対応させるものである。
【0012】
これにより,本発明に係る装置によれば,レーダセンサの作動中にレーダセンサを較正することが可能である。特に,キャリブレーションを継続的に実施し,かつ,キャリブレーションを継続的に更新することが可能である。チャネルのキャリブレーション係数は,各測定後に調整する。次のステップとして,決定されたチャネルデータを,新たなキャリブレーション係数に基づいて決定または前処理する。これにより,センサの変化を直ちに認識して補償することができる。そのキャリブレーション係数は,製造中に決定された初期キャリブレーション係数に対応しており,好適には,これらに加えてチャネル出力にも適用される。この点で,チャネルの微調整という意味合いでの追加的なキャリブレーションが行われる。短期的および長期的な影響の両者について補償が行われる。その結果,検出精度が改善され,ターゲットに対する方位角および仰角のより正確な割り当てが行われる。かくして,より高い精度が達成される。
【0013】
好適な実施形態において,モデル化ユニットは,チャネルデータに基づいて,MIMOレーダセンサにおける個別のチャネルの平均スケーリング係数を含むスケーリングベクトルを決定するように構成されている。また,モデル化ユニットは,MIMOレーダセンサにおけるチャネルの配置および角度データに基づいて制御マトリックスを決定するように構成されている。更に,モデル化ユニットは,制御行列およびスケーリングベクトルの乗算に基づいて,モデルデータを生成するように構成されている。特に,チャネルデータに基づいて平均位相および振幅を推定し,対応するスケーリングベクトルを決定するものである。次に,(仮想)チャネルの配置と,ターゲットが認識された角度を反映する制御行列(ステアリングベクトルとも称される)を計算する。制御行列にスケーリングベクトルを乗じて,モデルデータを決定する。センサトポロジーと,現在の測定値の正しいマッピングを生成する。これは,限られた計算能力にも関わらず,高い更新頻度で実行することができ,効率的に計算することのできるアプローチに帰結する。
【0014】
好適な実施形態において,プロセッサユニットは,MIMOレーダセンサのチャネルを介して平均二乗誤差を決定するように構成されている。モデル誤差を平均二乗誤差として計算するものである。誤差をチャネルごとに決定し,二乗する。その場合,平均値の平方根は,二乗平均値に対応する。この二乗平均値は,チャネルデータおよびターゲットモデルデータの間の偏差の指標として使用されるものである。これにより,モデル誤差を決定するための,効率的に計算可能な手段が得られる。更に,モデルと現実との間における偏差の簡単な評価が可能となる。
【0015】
好適な実施形態において,選択ユニットは,しきい値を下回る平均二乗誤差を有するターゲットを選択するように構成されている。しきい値は,好適には,事前に定義されたものである。 しきい値との比較は,評価を行うための効率的な手法である。しきい値を下回る平均二乗誤差を有するターゲットのみが更に考慮される。これにより,簡単な計算が可能となる。
【0016】
好適な実施形態において,選択ユニットは,受信された反射信号の信号対雑音比に基づいてターゲットを選択するように構成されている。好適には,ターゲットは,信号対雑音比がしきい値を超えるターゲットを選択する。ターゲットの選択に際して,信号対雑音比を考慮することもできる。その場合,強い信号または比較的強い信号のみが,以降の処理に供される。これにより,強力なターゲット,すなわち信号対雑音比が高いターゲットの認識が改善され,またはより正確になるため,キャリブレーション精度が向上する。
【0017】
好適な実施形態において,適応ユニットは,移動平均値に基づいてキャリブレーション係数を決定するように構成されている。移動平均値を使用すれば,時間の経過に伴う平滑化を実現することができる。レーダセンサのチャネル応答の変化に小さなステップで常時反応させることができる。移動平均値を使用すれば,1回限りの影響による誤差や誤ったキャリブレーションを回避することができる。
【0018】
好適な実施形態において,キャリブレーション装置は,キャリブレーション係数に基づいて角変位を決定し,角変位がしきい値を超える場合に補償係数を計算してキャリブレーション係数に適用するための偏差補償ユニットを備える。この場合,好適には,しきい値は事前定義されている。換言すると,偏差補償ユニットは,キャリブレーション係数を適用したときに発生しかねないドリフトを補正するように構成されている。本発明に係る方法では,レーダセンサのゼロ点が時間とともにズレを生じる懸念がある。そのようなズレが確認された場合に,補償を実行するものである。システムは,最初に設定されたゼロ点方向に再配向される。これにより,精度を長期的に保証することができる利点が達成される。
【0019】
好適には,ズレ補償ユニットは,キャリブレーション係数に基づいて,ゼロ点およびゼロ点の近傍点に対してビームフォーミングを実行するように構成されている。好適には,ゼロ点近傍における全ての点は,ゼロ点から同じ角度だけ離隔している。更に,ズレ補償ユニットは,ゼロ点近傍の点におけるビームフォーミングの絶対応答値がゼロ点におけるビームフォーミングの絶対応答値よりも大きい場合に,補償係数を計算して適用するように構成されている。直近の間隔は,例えば,方位角および/または仰角で0.02度の距離によって定義することができる。ゼロ点の近傍点の1つでビームフォーミングがゼロ点自体よりも大きな応答値を生じることが確認された場合,キャリブレーションが行われる。特に,最大のチャネル応答値を生じていると決定された方向の値は,キャリブレーション係数に適用される指数を計算するための基礎として使用可能である。これにより,長期的な精度が保証されると共に,バイアスの意味合いにおける偏差が回避される。
【0020】
好適な実施形態において,ズレ補償ユニットは,ゼロ点と,ビームフォーミングの最大応答値を生じるゼロ点の近傍点との間の角度の半分に基づいて補償係数を計算するように構成されている。好適には,ゼロ点と最大応答値を生じるものと決定された点との間の中間点は,新たな設定または微調整の基礎として使用することができる。これにより,長期に亘って精度が維持される。
【0021】
好適な実施形態において,適応ユニットは,ターゲットリストに基づいて車両が動いていないものと決定された場合に,前回のタイムステップのキャリブレーション係数を決定するように構成されている。常に同一のターゲットを念頭に置いていない場合,誤差が発生する可能性がある。したがって,車両が静止しているときに常に同一のターゲットが長期に亘って検出される場合,本発明による微調整を一時的に無効化することが可能である。これにより,キャリブレーション係数の決定に際して一定の誤差が伝播しないことが保証されると共に,長期的な精度および的を絞ったキャリブレーションが保証される。
【0022】
好適な実施形態において,モデル化ユニットは,個々のチャネル間における相互の影響に基づいてモデルデータを生成するように構成されている。モデル化に際して,チャネル応答値と単一のキャリブレーション係数の間の明確な関係が使用されるものではないが,より一般的なモデルが確立される可能性がある。特に,隣接するチャネル間における相互の影響を考慮に入れることができる。これにより,モデルデータの生成(モデル化)の精度が更に向上する。
【0023】
本発明に係るシステムの好適な実施形態において,MIMOレーダセンサは,70GHzから80GHzの周波数範囲,好ましくは77GHzでレーダ信号を送受信するように構成されている。これらの周波数は,自動車分野での使用に特に有利であることが実証されている。
【0024】
レーダセンサはレーダ信号を送信し,レーダセンサの視野内における物体からレーダ信号の反射波を受信する。視野は,その内側で物体を検出することのできる領域を指す。車両周辺には,特に,車両に取り付けられたレーダセンサにより視認し得る車両周辺領域が含まれる。レーダセンサは,例えば,360度の全方位ビューを可能にし,したがって車両周辺の完全な画像を記録可能な複数の個別センサを含むことができる。レーダ信号のセンサデータには,特に,距離,マイクロドップラ情報に対応するポイント速度,レーダセンサによるさまざまな検出のための仰角および方位角が含まれる。スキャンポイントは,単一のポイント,すなわち上記の情報による個別の検出を意味する。通常,レーダセンサの測定サイクル中には,多数のスキャンポイントが生成される。測定サイクルは,可視領域についての1回の実行を意味する。測定サイクルで記録されたスキャンポイントは,ターゲットリスト(レーダのターゲットリスト)と称される。本明細書で言及される数値および係数は,それぞれの場合において,複数の数値を含むベクトル量であり得る。ここでの数値および係数は,複素数値であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下,本発明を,添付図面に示す若干の例示的な実施形態を参照しながら詳述する。
【
図1】
図1は,環境内における車両に搭載される,本発明に係るシステムの概略図である。
【
図3】
図3a,3bは,本発明におけるデータ処理の概略図である。
【
図4】
図4は,本発明におけるズレ補償の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は,本発明によるシステム10を示す概略図であり,このシステムは,MIMOレーダセンサ12と,MIMOレーダセンサ12のキャリブレーションを実行するための装置14を備えている。図示の例示的な実施形態において,システム10は,車両16に統合されている。MIMOレーダセンサ12により,車両16の周辺における物体18が検出される。この目的のため,MIMOレーダセンサ12は,複数の送信要素および複数の受信要素を備える。送信要素は,レーダ信号を車両16の周辺に送信する。受信要素は,車両16の周辺における物体18からのレーダ信号の反射波を受信する。したがって,送信要素と受信要素との組み合わせは,いくつかの仮想受信チャネルをもたらし,各受信チャネルは,送信要素と受信要素との組み合わせに対応する。各チャネルにつき,振幅および位相を含むチャネル応答が受信される。
【0027】
そのようなMIMOレーダセンサ12を作動させる場合,個々のチャネルは通常,正確な測定を可能にするようにキャリブレーションが行われる。そのために,通常は吸収ホール内におけるレーダターゲット(コーナーリフレクターなど)が使用される。ターゲット位置が0度の場合,全てのチャネルで同一のチャネル応答が生成される。車両の運転中,このキャリブレーションは時間の経過とともに劣化するため,新たなキャリブレーションを実行する必要がある。本発明は,MIMOレーダセンサのキャリブレーションを実行するための装置を提案するものであり,これは,現在の測定データに基づいて定常的な(インラインでの)キャリブレーションを可能にする。
【0028】
図2は,本発明に係る装置14の概略図である。装置14は,例えば,車両の車両制御装置に統合することができる。デバイス14は,MIMOレーダセンサ12と統合することも可能である。デバイス14は,車両制御装置またはレーダセンサのプロセッサに対して,ソフトウェア製品として実装することも可能である。
【0029】
装置14は,MIMOレーダセンサのターゲットリストを受信する入力インターフェース20を備える。ターゲットリストは,少なくとも複数のターゲットについての角度データ,特に仰角および方位角,ならびにMIMOレーダセンサ12の仮想チャネルにおける個別チャネル応答に対応するチャネルデータを含むレーダーターゲットリストである。入力インターフェース20は,例えば,車両バスシステムに接続することができる。
【0030】
本発明に係る装置14は,個別のターゲットモデルを決定するため,またはターゲットリストの各ターゲットに対してモデルデータを生成するためのモデル化ユニット22を更に備える。特に,モデルデータとしてチャネル応答値を計算し,このチャネル応答値は,最適なキャリブレーション下での実際の角度をもってレーダセンサの遠視野(たとえば,距離20m)における個別ターゲットを検出するために期待されるものである。モデルデータを生成するために,検出されたターゲットの角度データ(方位角および仰角)を使用して,個別ターゲット(個別ターゲットモデル)の予想されるチャネル応答値を決定する。
【0031】
装置14は,プロセッサユニット24を含む。プロセッサユニット24は,モデル誤差を決定するものである。特に,実際のデータ,すなわちチャネルデータと,以前に生成されたモデルデータ,すなわち,仮定された個別ターゲットのモデル化されたデータとの間の偏差を計算する。そのために,好適には,測定された信号と個々のターゲットモデルとの間の平均二乗誤差(MSE)に基づくエゴサマトリクスを決定する。信号電力に対するMSEの比は,同一の信号強度を有する理想的な個々のターゲットからの信号における偏差の尺度である。
【0032】
更に,MSEの導出のために,ここでは信号チャネル応答のベクトルxがターゲットに対して次式に基づいて生じるものと仮定する:
【数1】
【0033】
ここに,Anmは,立体角δから作成される制御行列(ステアリング行列)である。添字のnはチャネルの数に対応し,添字のmは信号に関与するターゲット(ポイント)の数に対応する。複素数値であるスケーリング係数の未知のベクトルs(スケーリングベクトル)は,長さがmである。個々のスケーリング係数は,mポイントにおけるターゲットの振幅および位相シフトに対応する。また,ノイズ成分σが発生する。キャリブレーションで考慮されるモデル誤差(個別のターゲット誤差),および対応するモデル(単一ターゲットモデル)は,m=1の式から導出される。
【0034】
スケーリングベクトルsは,次式に基づいて,測定信号からの平均スケーリング
として推定することができる。
【数2】
【0035】
ここに,A
+は,制御行列Aの疑似逆行列を示す。これに基づいて,次式で示される入力信号(チャネルデータ)への正規化に際して,個別ターゲットのモデル信号(モデルデータ)を取得する。
【数3】
【0036】
この場合,モデル誤差は,チャネルデータとモデルデータと間の平均二乗誤差として,次式に基づいて決定することができる。
【数4】
【0037】
図3aおよび3bは,このアプローチの概略図である。想定される線形アンテナ配置26の場合,例えば,ある角度で知覚されるターゲットの理想的な場合において,
図3aに示す振幅(上側のグラフ)と位相(下側のグラフ)の組み合わせが生じる。振幅は,値1と仮定する。位相は,ゼロから始まるものと仮定する。この表現は,立体角δで知覚される個別ターゲットの制御行列に対応する。
図3aは,モデル化のためのアプローチを示す。
【0038】
図3bにおいて,実線は,例示的な実際の測定値またはチャネルデータを示す概略図である。
ターゲットのモデル誤差を決定するため,次に,量
の推定された複素スケーリングベクトルをステアリングベクトルに適用する(
図3aを参照)。振幅および位相における差は,このターゲットのモデル誤差に対応する。破線は,モデルまたはモデルデータに対応する。
【0039】
改めて
図2を参照すると,装置14は,選択ユニット28を更に備える。選択ユニット28により,複数のターゲットに対して以前に決定されたモデル誤差に基づいて,少なくとも1つのターゲットを選択する。特に,モデル誤差が小さいターゲットを選択する。換言すると,個別ターゲットモデルからの僅かな偏差を含む検出値のみを考慮するものである。これらのターゲットは,実質的に,全てのレーダ次元において実際の個別ターゲットまたは十分に分離されたターゲットであるものと仮定する。
【0040】
選択ユニット28におけるターゲットのこの選択によれば,高い信号対雑音比および/または高い信号電力などの追加の基準を考慮し,キャリブレーションに適切なターゲットの選択を更に制限することができ,ひいては効率的なキャリブレーションを達成することができる。
【0041】
装置14の適応ユニット30において,キャリブレーションン係数を決定することにより,その決定に基づいてMIMOレーダセンサにおけるチャネルのチャネル出力のキャリブレーションを実行可能とする。選択されたターゲットが実質的に全てのレーダ次元で個別のターゲットまたは十分に分離されたターゲットであるという仮定に基づいて,複素信号(チャネルデータ)と単一のターゲットモデル(モデルデータ)との関係を決定し,その関係は,検討中のターゲットのキャリブレーションエラーに対応するものである。換言すると,キャリブレーション誤差を決定し,かつ,キャリブレーション係数に基づいて補償することができる。
【0042】
個別のターゲットに対する仮定は限定的な範囲でしか満たすことができない(実際のターゲットは,例えばその範囲のために,例外的な場合にのみ理想的な個別ターゲットを表すことができる)ので,適応ユニット30は,好適には,長期間の観察を実行するように構成する。この目的のため,多数の異なるターゲットを観察する。微調整量を見積もるため,またはキャリブレーション係数を決定するため,各チャネルについて移動平均値フィルタを使用する。信号処理の各サイクルで,このタイムステップで決定された誤差を,キャリブレーション係数を決定する際に部分的に考慮する。MIMOレーダセンサの信号処理において,キャリブレーション係数と,製造時のキャリブレーション中に実行されたキャリブレーションに基づく補正を使用することで,改善を達成することができる。整定時間の後,角度寸法に関してレーダ信号の品質を大幅に向上させることができる。
【0043】
本発明に係る装置14は,任意選択的に,ズレ補償ユニット32も含む。各チャネルを個別にフィルタリングすると,ターゲットの角度を決定する際に信号処理で誤差が生じる可能性があり得る。その結果,製造時または初回のキャリブレーション時に設定済みの角度のゼロ点がズレを生じることがある。この誤差を防止するため,MIMOレーダセンサのチャネルのチャネル出力にキャリブレーション係数を適用することで生じるキャリブレーション効果を常時監視することが有利である。全てのチャネルに亘って角度依存型のズレが生じている場合,これを補正することができる。この目的のため,好適には,角度ズレがしきい値を超える場合に,補償係数を計算して使用する。
【0044】
図4は,補償係数を計算するためのアプローチを示す概略図である。同図では,方位角が横軸にプロットされ,仰角が縦軸にプロットされている。複雑な微細キャリブレーション(キャリブレーション係数)の値を使用して,方位角0度および仰角0度のゼロ点Nに対してビームフォーミングを実行する。更に,ビームフォーミングは,ゼロ点Nの近傍の点Pに対しても実行する。近傍とは,例えば,両方向で0.02度の偏差により定義することができる。すなわち,
図4では,ゼロ点Nの近傍は9つの点Pで構成されている。ゼロ点と点Pに対して,ビームフォーミングの絶対応答値を決定する。絶対的な応答値が0度において最大である場合,関連する角度ズレは生じない。ビームフォーミングの絶対応答値がゼロ点Nの外側における角度の組み合わせで終了する場合,つまりゼロ点Nの近傍の外側における点Pにおいてより大きい場合には,補償係数を決定する。特に,対応する制御ベクトル(制御行列)を,ビームフォーミングの最大絶対応答値を生じる点Pの方向に,半分の角度で複雑に分割することができる。図示例では,ゼロ点Nとゼロ点Nの近傍の点Pとの間に×印でマークした点Sが生じる。決定した補償係数を使用すれば,連続的な角度ドリフトを常に能動的に補正することができる。
【0045】
適応ユニット30は,車両の静止状態で同一のターゲットをより長期に亘って常時検出する場合,以前のタイムステップで決定されたキャリブレーション係数を再び出力するように構成することができる。換言すると,微調整が一時的に無効化され,新たなキャリブレーション係数は計算されない。これにより信頼性が向上する。同一のターゲットを複数回観察すれば,ズレやバイアスが生じる可能性がある。
【0046】
任意選択的に,アンテナ位置を推定することができる。キャリブレーション誤差が複素係数のみに基づいて補償される場合,供給ラインの偏差は適切な振幅および位相(減衰量および長さ)で補償することができる。仮想アンテナアレイのズレを直接推定することもできる。例えば,入射する個別ターゲットの波面とアンテナ面との交点を,修正量と見なすことができる。残余のその交点に対して垂直に変位させることにより,微調整誤差を補償することができる。この場合,これらのアプローチでは,全ての方向でアンテナ構造を補償するために,異なる方向のターゲットが必要であることに留意されたい。
【0047】
任意選択的に,隣接する供給ラインからの影響の推定値を含めることもできる。それぞれのチャネル応答値とキャリブレーション係数の間に明確な関係を確立する代わりに,チャネルのより一般的なモデルを設定することもできる。特に,隣接するチャネル(供給ライン)に対するチャネルの影響をモデリングで考慮することができる。このため,チャネル間にいくつかの未知の(複雑な)スケーリング係数を有する連立方程式を解くために,複数の測定が必要となる。ただし,原則として,上記のアプローチは変更されない。
【0048】
図5は,本発明に係る方法を示す概略図である。この方法は,ターゲットリストを受信するステップ(S10),モデルデータを生成するステップ(S12),モデル誤差を決定するステップ(S14),ターゲットを選択するステップ(S16),ならびにキャリブレーション係数を決定するステップ(S18)を含む。この方法は,例えば,レーダセンサのプロセッサ上または車両制御装置上で実行されるソフトウェアとして実装することができる。好適には,本発明に係る方法は,レーダセンサの通常動作において使用される。すなわち,現在の運転状況が微調整に適合しているか否かを常時チェックするものである。
【0049】
以上,図面および説明に基づいて本発明を包括的に記載し,かつ説明してきた。記載および説明は,単なる例示であって限定的ではないものと理解すべきである。本発明は,開示された実施形態に限定されるものではない。本発明を実施する場合,そして図面,開示および以下の特許請求の範囲の厳密な分析に基づけば,他の実施形態または変形例も可能であることは,当業者において明白である。
【0050】
なお,特許請求の範囲において,「含み」または「含む」用の用語は,更なる要素またはステップの存在を排除するものではない。原文明細書における「ein」または「eine」等の不定冠詞は,複数の存在を排除していない。個々の要素または個々のユニットは,特許請求の範囲に記載されているユニットの機能のいくつかを実行することができる。要素,ユニット,インターフェース,装置およびシステムは,部分的または完全にハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装することができる。いくつかの異なる従属請求項における,いくつかの手段への単なる言及は,これら手段の組み合わせが有利には適用できないことを意味するものと理解すべきではない。コンピュータプログラムは,不揮発性データキャリア,例えば光メモリまたは半導体ドライブ(SSD)により保存/配布することができる。コンピュータプログラムは,ハードウェアと共に,および/またはハードウェアの一部として,例えばインターネットにより,あるいは有線または無線通信システムを介して販売することができる。特許請求の範囲における参照記号は,限定的なものと解釈すべきではない。
【参照符号の説明】
【0051】
10 システム
12 MIMOレーダセンサ
14 キャリブレーション装置
16 車両
18 対象物
20 入力インターフェース
22 モデル化ユニット
24 プロセッサユニット
26 アンテナ装置
28 選択ユニット
30 適応ユニット
32 ズレ補償ユニット