(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】太陽電池ストリングおよび太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02S 40/36 20140101AFI20240219BHJP
【FI】
H02S40/36
(21)【出願番号】P 2021541928
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2019034163
(87)【国際公開番号】W WO2021038837
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】荒井 一仁
(72)【発明者】
【氏名】富田 修
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109067354(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0187328(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0053890(US,A1)
【文献】中国実用新案第205453631(CN,U)
【文献】特開2004-221479(JP,A)
【文献】特開2000-068537(JP,A)
【文献】特開2012-174702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが正極ケーブルと負極ケーブルとを有して線状に配列した太陽電池モジュールと、
互いに先隣の位置にある前記太陽電池モジュールの前記正極ケーブルと前記負極ケーブルとを電気的に接続して前記太陽電池モジュールを電気的に直列接続する直列回路と、を備え、
前記太陽電池モジュールの配列方向を左右方向と定義して、前記各太陽電池モジュールはハーフセルモジュールであり、前記太陽電池モジュールごとに、前記正極ケーブルを接続する正極側端子箱と前記負極ケーブルを接続する負極側端子箱とを一対のみ有し、かつ前記正極側端子箱と前記負極側端子箱を左右方向に離して配置し、
互いに隣り合う前記太陽
電池モジュールを交互に上下逆向きに配列することによって、1つ先隣の位置にある前記太陽電池モジュール同士では、前記正極側端子箱と前記負極側端子箱
が左右方向で同じ配置順になり、
隣接する位置にある前記太陽電池モジュール同士では、前記正極側端子箱と前記負極側端子箱が左右方向で逆の配置順になるように前記太陽電池モジュールを配列することを特徴とする太陽電池ストリング。
【請求項2】
前記正極側端子箱および前記負極側端子箱を、前記太陽電池モジュールを左右方向に貫く線上の両端部に配置することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池ストリング。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールは、定格銘板を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池ストリング。
【請求項4】
前記正極側端子箱および前記負極側端子箱の左右方向の距離をD、前記太陽電池モジュールの左右方向の寸法をWとして、D/W≧0.1であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽電池ストリング。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池ストリングを備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、太陽電池ストリングおよび太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、光を受けて直流電力を発電する太陽電モジュールと、太陽電池モジュールが発生する直流電力を交流電力に変換して送電網へ送るパワーコンディショナと、を備える。
【0003】
近年、所謂メガソーラーシステムと呼ばれ、1MWを越える発電能力を有する太陽光発電システムの開発が進んでいる。メガソーラーシステムは、数十Wの発電能力を有する太陽電池モジュールを数千枚以上備える太陽光発電システムである。メガソーラーシステムのような太陽光発電システムは、所望の発電能力を得るために複数の太陽電池モジュールを備える。太陽光発電システムは、出力電圧を高めるために複数の太陽電池モジュールを電気的に直列接続し、さらに出力電流を高めるために直列接続した太陽電池モジュールを電気的に並列接続する。ここで、電気的に直列接続する複数の太陽電池モジュールを太陽電池ストリングと呼び、電気的に並列接続する複数の太陽電池ストリングを太陽電池アレイと呼ぶ。
【0004】
図3は、従来の太陽光発電システムを示す概略図である。
図3に示す太陽光発電システム1は太陽電池ストリング3を備える。太陽電池ストリング3には、複数の(例えば、6つの)太陽電池モジュール2が線状に配列されている。太陽電池モジュール2は同じ向きに配列されており、各太陽電池モジュール2の上部寄りの中央に端子箱(ジャンクションボックスとも言う)11が設置されている。端子箱11には正極ケーブル12および負極ケーブル13(以下、単にケーブル12、13とも呼ぶ)が取り付けられる。
【0005】
ケーブル12、13は、それぞれの太陽電池モジュール2を電気的に直列に接続するため、太陽電池モジュール2が線状に並んだ状態で先隣の位置にある太陽電池モジュール2のケーブル12、13に接続可能な長さを有する。また、ケーブル12、13は、それぞれの自由端にコネクタを備える。コネクタは相互に電気的に接続することが可能である。太陽電池ストリング3では、互いに先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士のケーブル12、13とが電気的に接続されることで、太陽電池モジュール2を電気的に直列接続する直列回路15が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、太陽光発電システムの更なる高効率化が求められている。そのため、太陽電池モジュールとして、セルサイズを半分にしたハーフセルモジュールが提案されている。
図4に示すように、ハーフセルモジュールを採用した太陽電池モジュール2では、クラスタAとクラスタBが上下方向に2分割されている。
【0008】
図4に示す太陽電池モジュール2では、ケーブル12、13が取り付けられる端子箱は一つではなく、正極側端子箱112および負極側端子箱113が設けられている。正極側端子箱112は左側の側縁部に配置されている。負極側端子箱113は右側の側縁部に配置されている。
【0009】
ところで、
図3に示した太陽電池ストリング3でも、
図4に示した太陽電池ストリング3でも、1個飛ばしで太陽電池モジュール2同士のケーブル12、13を接続したケーブル接続体は4本ある。
図3に示した太陽電池ストリング3では、ケーブル接続体のケーブル長はどれもほぼ等しく、余長を含めても太陽電池モジュール2の幅寸法の2倍程度である。
【0010】
一方、
図4に示した太陽電池ストリング3では、ケーブル接続体のケーブル長が長いものと短いものが存在する。6枚の太陽電池モジュール2を
図4の左側から順に2A、2B、2C、2D、2E、2Fとした場合、ケーブル長が長いケーブル接続体は、太陽電池モジュール2Bの正極側端子箱112から太陽電池モジュール2Dの負極側端子箱113まで接続したものと、太陽電池モジュール2Dの正極側端子箱112から太陽電池モジュール2Fの負極側端子箱113まで接続したものである。
【0011】
つまり、正極側端子箱112と負極側端子箱113が太陽電池モジュール2の左右の側縁部に設けられたので、ケーブル12、13を接続したケーブル接続体のうちケーブル長が長い方は、3枚分の太陽電池モジュール2にわたって延びることになる。このように、ハーフセルモジュールを採用した場合、端子箱112、113が左右方向に2つに分かれて配置されたことで、ケーブル12、13とを接続したケーブル接続体のケーブル長が長大化していた。その結果、ケーブル12、13自体のケーブル長も長くならざるを得ず、電力損失が増大すると共に、コストの高騰を招いた。
【0012】
本発明は、ケーブル長の短縮化を図り、電力損失の増大及びコストを抑えることが可能な太陽電池ストリングおよび太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の実施形態に係る太陽電池ストリングは、次の構成要素(A)~(E)を備える。
(A)それぞれが正極ケーブルと負極ケーブルとを有して線状に並ぶ複数の太陽電池モジュールを備える。
(B)互いに先隣の位置にある前記太陽電池モジュールの前記正極ケーブルと前記負極ケーブルとを電気的に接続して前記太陽電池モジュールを電気的に直列接続する直列回路と、を備える。
(C)前記太陽電池モジュールの配列方向を左右方向と定義して、前記各太陽電池モジュールはハーフセルモジュールであり、前記太陽電池モジュールごとに、前記正極ケーブルを接続する正極側端子箱と前記負極ケーブルを接続する負極側端子箱とを一対のみ有し、かつ前記正極側端子箱と前記負極側端子箱を左右方向に離して配置する。
(D)互いに隣り合う前記太陽電池モジュールを交互に上下逆向きに配列することによって、1つ先隣の位置にある前記太陽電池モジュール同士では、前記正極側端子箱と前記負極側端子箱が左右方向で同じ配置順になるように前記太陽電池モジュールを配列する。
(E)隣接する位置にある前記太陽電池モジュール同士では、前記正極側端子箱と前記負極側端子箱が左右方向で逆の配置順になるように前記太陽電池モジュールを配列する。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る太陽光発電システムは、前記太陽電池ストリングを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る太陽光発電システムを示すブロック図。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る太陽電池モジュールの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(構成)
本発明に係る太陽電池ストリングおよび太陽光発電システムの実施形態について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る太陽光発電システムを示すブロック図である。本実施形態に係る太陽光発電システム1は、太陽電池モジュール2としてハーフセルモジュールを採用する。太陽電池モジュール2は上半分をクラスタA、下半分をクラスタBとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る太陽光発電システム1は、電気的に直列接続する複数の太陽電池モジュール2を有する太陽電池ストリング3と、太陽電池ストリング3を電力系統50に連系するパワーコンディショナ6と、太陽電池ストリング3とパワーコンディショナ6とを電気的に接続する接続箱7と、パワーコンディショナ6の出力を電力系統50に連系する連系用変圧器8と、を備える。太陽光発電システム1は、複数のパワーコンディショナ6を備え、それぞれのパワーコンディショナ6に複数の太陽電池ストリング3を電気的に並列接続して所要の発電能力を得る。
【0018】
太陽電池ストリング3は、線状に並ぶ複数の(例えば、6つの)太陽電池モジュール2と、互いに先隣の(隣り合う1つ先の、あるいは1つ飛ばした先の)位置にある太陽電池モジュー2の正極ケーブル12と負極ケーブル13とを電気的に接続して太陽電池モジュール2を電気的に直列接続する直列回路15と、を備える。複数の太陽電池モジュール2は、その配列方向を左右方向と定義して直線状に配列する。6枚の太陽電池モジュール2は、
図1の左側から順に2A、2B、2C、2D、2E、2Fとする。
【0019】
それぞれの太陽電池モジュール2は、数十Wの発電能力を有し、長方形状の受光面で光を受けて発電する。太陽電池モジュール2は、長辺と短辺を持つ長方形状の板状体であり、例えば、長辺=約1235mm、短辺=約641mmの板状体である。各太陽電池モジュール2では短辺が延びる方向を左右方向、それに直交する長辺が延びる方向を上下方向とする。本実施形態に係る太陽電池ストリング3は、太陽電池モジュール2を短辺方向へ直線状に並べたものであるが、太陽電池モジュール2を長辺方向へ直線状に並べてもよい。
【0020】
それぞれの太陽電池モジュール2は、非受光面側に位置する正極側端子箱112および負極側端子箱113と、正極側端子箱112に接続される正極ケーブル12および負極側端子箱113に接続される負極ケーブル13(以下、単にケーブル12、13とも呼ぶ)と、を備える。端子箱112、113の外径寸法は、太陽電池モジュール2に対して十分に小さく設定される。
【0021】
各太陽電池モジュール2では正極側端子箱112と負極側端子箱113とを左右方向に離して配置する。本実施形態では、正極側端子箱112および負極側端子箱113が太陽電池モジュール2の長辺の中央を左右方向に貫く線上の両端部に配置する。つまり、正極側端子箱112が太陽電池モジュール2の左側縁部に位置し、負極側端子箱113が太陽電池モジュール2の右側縁部に位置する。このとき、太陽電池モジュール2の上下方向が全て同じであるならば、異なる極性の端子箱112、113が近接することになる。
【0022】
しかし、本実施形態では、互いに隣り合う太陽電池モジュール2を交互に上下逆向きに配列する。
図1に示した例では、太陽電池モジュール2A、2C、2Eが上半分をクラスタAとする上向きとなり、太陽電池モジュール2B、2D、2Fが下半分をクラスタAとする下向きとなっている。すなわち、互いに隣り合う太陽電池モジュール2同士は、180度回転して配置されており、端子箱112、113の左右の位置が入れ替わって、同じ極性の端子箱112、113同士が近接するように配列されることになる。
【0023】
具体的には、上向きである太陽電池モジュール2A、2C、2Eでは左側縁部に正極側端子箱112が位置し、右側縁部に負極側端子箱113が、それぞれ位置する。反対に、下向きである太陽電池モジュール2B、2D、2Fでは左側縁部に負極側端子箱113が、右側縁部に正極側端子箱112が、それぞれ位置する。
【0024】
つまり、本実施形態では、1つ先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士では、正極側端子箱112と負極側端子箱113が左右方向で同じ配置順になるように太陽電池モジュール2を配列している。具体的には、太陽電池モジュール2A、2C、2Eでは正極側端子箱112が左側で、負極側端子箱113が右側となる。反対に、太陽電池モジュール2B、2D、2Fでは正極側端子箱112が右側で、負極側端子箱113が左側となる。
【0025】
太陽電池モジュール2Aの正極側端子箱112から延びる正極ケーブル12には延長ケーブル4が接続される。太陽電池モジュール2Aの負極側端子箱113から延びる負極ケーブル13と、太陽電池モジュール2Cの正極側端子箱112から延びる正極ケーブル12とは、太陽電池モジュール2Bを飛ばして接続される。
【0026】
太陽電池モジュール2Cの負極側端子箱113から延びる負極ケーブル13と、太陽電池モジュール2Eの正極側端子箱112から延びる正極ケーブル12とは、太陽電池モジュール2Dを飛ばして接続される。太陽電池モジュール2Eの負極側端子箱113から延びる負極ケーブル13と、太陽電池モジュール2Fの正極側端子箱112から延びる正極ケーブル12とはS字状に接続される。
【0027】
太陽電池モジュール2Fの負極側端子箱113から延びる負極ケーブル13と、太陽電池モジュール2Dの正極側端子箱112から延びる正極ケーブル12とは、太陽電池モジュール2Eを飛ばして接続される。さらに、太陽電池モジュール2Dの負極側端子箱113から延びる負極ケーブル13と、太陽電池モジュール2Bの正極側端子箱112から延びる正極ケーブル12とは、太陽電池モジュール2Cを飛ばして接続される。太陽電池モジュール2Bの負極側端子箱113から延びる負極ケーブル13は緩やかなS字状を描いて延び、自由端に延長ケーブル5が接続される。
【0028】
パワーコンディショナ6は、太陽電池ストリング3が出力する直流電力を所定周波数(例えば、商用電源周波数)の交流電力に変換するインバータ(図示省略)を備え、交流系統に接続する負荷設備(図示省略)に電力供給したり、電力系統50に並列接続して電力供給したりする。
【0029】
また、パワーコンディショナ6は、日射強度や太陽電池モジュール2の表面温度によって太陽電池ストリング3の出力が変動するために、最大出力点を追従するように太陽電池ストリング3の動作を変化して太陽電池ストリング3の最大電力を取り出す最大電力追従制御(MPPT:MaximumPowerPointTracking)を行う。ここで、太陽電池ストリング3を接続箱7に接続する電力線21に着目する。電力線21は、延長ケーブル4、5を接続箱7に導く。
【0030】
(作用および効果)
以上の構成を有する本実施形態では、各太陽電池モジュール2における正極側端子箱112と負極側端子箱113とを左右方向に離して配置し、1つ先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士では、正極側端子箱112と負極側端子箱113が左右方向で同じ配置順になるように太陽電池モジュール2を配列する。
【0031】
このような本実施形態によれば、1つ先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士では、正極側端子箱112と負極側端子箱113が左右方向で同じ配置順なので、ハーフセルモジュールを採用して正極側端子箱112と負極側端子箱113とを左右方向に離して配置しても、1つ先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士では、極性の異なる端子箱112、113が距離的に近づくことができる。従って、本実施形態においては、正極ケーブル12および負極ケーブル13を接続したケーブル長を、太陽電池モジュール2を1個飛ばしただけの長さに近づけることができる。
【0032】
このとき、本実施形態では、正極側端子箱112および負極側端子箱113を、太陽電池モジュール2を左右方向に貫く線上の両端部に配置したので、各太陽電池モジュール2における正極側端子箱112および負極側端子箱113は、水平な状態で左右方向に最も離れている。そのため、1つ先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士の正極側端子箱112と負極側端子箱113とを左右方向の距離で最も近づけることができる。具体的には太陽電池モジュール2Aの負極側端子箱113と太陽電池モジュール2Cの正極側端子箱112、太陽電池モジュール2Bの正極側端子箱112と太陽電池モジュール2Dの負極側端子箱113、太陽電池モジュール2Cの負極側端子箱113と太陽電池モジュール2Eの正極側端子箱112、太陽電池モジュール2Dの正極側端子箱112と太陽電池モジュール2Fの負極側端子箱113を、それぞれ左右方向の距離で最も近づけることができる。その結果、ケーブル12、13を接続したケーブル接続体のケーブル長を短縮化することができ、ケーブル12、13自体のケーブル長も短くすることができる。これにより、電力損失の増大を抑えると共に、コストダウンを図ることが可能である。
【0033】
特に、メガソーラーシステムのように大量の太陽電池ストリング3を備える太陽光発電システム1では、ケーブル長の長大化に起因する電力損失の排除は有効であって、ハーフセルモジュールの採用と相まって、太陽光発電システム1および太陽電池ストリング3の高効率化をいっそう進めることができる。さらに、本実施形態では、ケーブル長の短縮化による費用削減を図ることができるので、太陽光発電システム1および太陽電池ストリング3の低コスト化にも寄与する。
【0034】
また、本実施形態では、互いに隣り合う太陽電池モジュール2を交互に上下逆向きに配列するだけで、1つ先隣の位置にある太陽電池モジュール2同士で、正極側端子箱112と負極側端子箱113が左右方向で同じ配置順になるように太陽電池モジュール2を配列することができる。従って、簡単な作業で太陽電池モジュール2を所望の配列とすることが可能であり、作業コストが低減する。また、太陽電池モジュール2の構成自体には変更を加えることないので、製造コストの観点からもコスト増大の心配がない。
【0035】
さらに、本実施形態では、正極側端子箱112および負極側端子箱113を、太陽電池モジュール2の中央を左右方向に貫く線上の両端部に配置したので、太陽電池モジュール2を交互に上下逆向きに配列した場合に、正極側端子箱112および負極側端子箱113の水平位置がずれない。従って、正極ケーブル12および負極ケーブル13を接続したケーブル接続体のケーブル長を最短化することができる。また、ケーブル接続体のケーブル長を揃えることができるので、ケーブル12、13の標準化が容易であり、経済的にも有利である。
【0036】
(他の実施形態)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0037】
例えば、
図2に示すように、太陽電池モジュール2に定格銘板16を取り付けてもよい。この実施形態によれば、定格銘板16の位置や表記などを目安として、太陽電池モジュールの上下の向きを的確に把握することができる。そのため、同じ極性の端子箱112、113同士が近接するように太陽電池モジュール2を配列することが容易であり、正極ケーブル12および負極ケーブル13のケーブル長を確実に短縮化して、電力損失を効率良く抑えることが可能である。
【0038】
さらには、
図2に示すように、正極側端子箱112および負極側端子箱113の左右方向の距離をD、太陽電池モジュール2の左右方向の寸法をWとして、D/W≧0.1とした実施形態も包含する。このような実施形態では、正極側端子箱112および負極側端子箱113の左右方向の距離が、太陽電池モジュール2の幅寸法の10分の1は離れているので、正極ケーブル12および負極ケーブル13のケーブル長の短縮化に効果を発揮することができる。
【0039】
また、
図2に示すように、正極側端子箱112および負極側端子箱113の左右方向の距離をD、太陽電池モジュール2の左右方向の寸法をW、太陽電池モジュール2同士の間隙をdとする。また、ケーブルの余長をleとし、太陽電池モジュール2を一つ飛ばした時の正極ケーブル12および負極ケーブル13のケーブル接続体のケーブル長を2Lmとすると、
Lm=(W-D)/2+d+W/2+le
という式が成り立つ。ここで、Lmが最小となるように設定することで、正極ケーブル12および負極ケーブル13のケーブル長の最短化を簡単に実現することができる。
【0040】
また、正極側端子箱112および負極側端子箱113の位置は、左右方向に離して配置されていればよく、太陽電池モジュール2の中央を左右方向に貫く線上の両端部に配置されていなくてもよい。例えば、正極側端子箱112および負極側端子箱113は、太陽電池モジュール2の中央から、上下方向のいずれかにずらした水平な線上の両端部に配置されもよい。
【0041】
このような実施形態では、互いに隣り合う太陽電池モジュール2を交互に上下逆向きに配列した場合に、太陽電池モジュール2ごとに正極側端子箱112および負極側端子箱113の位置が上下方向にずれるので、太陽電池モジュール2の状態を即座に確認することができる。しかも、ケーブル12、13同士を接続する接続作業を行う際、正極側端子箱112および負極側端子箱113が作業の邪魔にならないに。従って、作業性が向上し、さらなるコストダウンを図ることができる。
【0042】
また、
図1の接続箱7に代えて、PCS6と変圧器8の間に交流の集電箱が設置された太陽光発電システムであっても各実施形態同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0043】
1…太陽光発電システム
2…太陽電池モジュール
3…太陽電池ストリング
4、5…延長ケーブル
6…パワーコンディショナ
7…接続箱
8…連系用変圧器
11…端子箱
12…正極ケーブル
13…負極ケーブル
15…直列回路
16…定格銘板
21…電力線
50…電力系統