(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ミキサー用のナイフ
(51)【国際特許分類】
B01F 27/112 20220101AFI20240219BHJP
A47J 43/07 20060101ALI20240219BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20240219BHJP
B01F 27/171 20220101ALI20240219BHJP
【FI】
B01F27/112
A47J43/07
B02C18/18 Z
B01F27/171
(21)【出願番号】P 2021543148
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2020050152
(87)【国際公開番号】W WO2020151935
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】102019101823.4
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519253661
【氏名又は名称】ツヴィリング ヨット アー ヘンケルス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン,ルネ
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202010008152(DE,U1)
【文献】特開2002-320872(JP,A)
【文献】特開2003-144956(JP,A)
【文献】特開昭63-216515(JP,A)
【文献】特開昭63-158028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0023130(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0208999(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02679122(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第103784034(CN,A)
【文献】中国実用新案第204765239(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/112
B01F 27/171
B02C 18/18
A47J 42/28
A47J 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサー用のナイフ(1)であって、
回転軸(3)と、
少なくとも1つのブレード(4)であって、
前記回転軸(3)を起点とするように延在し、且つ、
少なくとも1つの切断エッジ(5)を有するブレード(4)と、
複数の鋸歯(6)であって、
前記少なくとも1つの切断エッジ(5)内に設けられ
た凹所であり、且つ、
個々の鋸歯(6)は、前記少なくとも1つの切断エッジ(5)の平坦部(7)によって互いに離間して配置される複数の鋸歯(6)と
を少なくとも備え、
前記少なくとも1つの切断エッジ(5)の前記平坦部(7)の鋭利度は、前記鋸歯(6)の鋭利度に劣る
ナイフ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のナイフ(1)であって、
前記鋸歯(6)は、最大0.2mmの第1の切断エッジ厚さ(8)を有し、
前記平坦部(7)は、0.2から1.0mmの第2の切断エッジ厚さ(9)を有する
ナイフ(1)。
【請求項3】
請求項1、2のいずれか1項に記載のナイフ(1)であって、
前記鋸歯(6)は、径方向内側の鋸歯始点(10)から径方向外側の鋸歯終点(11)まで延在しており、
前記鋸歯始点(10)と前記鋸歯(6)の頂点(13)との間の第1の間隔(12)は、前記頂点(13)と前記鋸歯終点(11)との間の第2の間隔(14)よりも小さい
ナイフ(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のナイフ(1)であって、
前記鋸歯(6)は、前記鋸歯始点(10)において、第1の勾配(15)を有し、
前記鋸歯(6)は、前記鋸歯終点(11)において、第2の勾配(16)を有し、
前記第1の勾配(15)の値は、前記第2の勾配(16)の値とは異なる
ナイフ(1)。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のナイフ(1)であって、
前記鋸歯始点(10)と前記頂点(13)との間の第1の中心(17)に接する第1の接線(18)は、前記少なくとも1つのブレード(4)の中心軸(19)に、第1の角度(α)で交わり、
前記頂点(13)と前記鋸歯終点(11)との間の第2の中心(20)に接する第2の接線(21)は、前記中心軸(19)に、第2の角度(β)で交わる
ナイフ(1)。
【請求項6】
請求項5に記載のナイフ(1)であって、
前記第1の角度(α)は、前記第2の角度(β)よりも大きい
ナイフ(1)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のナイフ(1)であって、
前記第1の角度(α)は、50°より大きく且つ90°より小さ
い
ナイフ(1)。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載のナイフ(1)であって、
前記第2の角度(β)は、10°から45°である
ナイフ(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のナイフ(1)であって、
前記鋸歯(6)の深さ(22)は、前記鋸歯(6)の鋸歯幅(23)の最大で50%に相当する
ナイフ(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のナイフ(1)であって、
前記少なくとも1つの切断エッジ(5)の前記平坦部(7)は、丸めた刃先(32)を有する、
ナイフ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサー、例えば、ハンドミキサー又はスタンドミキサー用のナイフに関する。ミキサーは、通常、家庭や飲食業界において、食材を粉砕したり、すりつぶしたり、混ぜ合わせたりするのに使用される。
【背景技術】
【0002】
ミキサーは、通常、回転ナイフを備える。この種のナイフは、ほとんどの場合、中心に開孔を備え、その開孔に、ナイフを回転させるためのドライブシャフト等が挿入される。そのため、ナイフは、ほとんどの場合、少なくとも2つのナイフ部分を有し、それらのナイフ部分は、開孔とは反対の側にあり、ナイフ部分はそれぞれ、周方向に整列される切断エッジを有する。2つの切断エッジを有するナイフだけではなく、3つ、4つ、又は、それより多くの切断エッジを有するナイフも知られている。ナイフ部分は、特に、アンバランスにならずに回転可能となるように配置される。複数の部品で構成されるナイフも知られており、(取り外し可能な)各ナイフ要素が協働して複数の切断エッジを有するナイフを形成する。
【0003】
ナイフの切削性能は、ナイフの鋭利度に特に依存する。ナイフの鋭利度が高いほど切削性能は高くなる。従来、ミキサー用の回転ナイフは、鈍くなるように研削されてきた。なぜなら、回転ナイフの刃先が鋭利に研削されていると、硬い材料に当たった際に簡単に破損しかねないからである。これは、最終的には、ナイフの破損につながる恐れがある。不利なことではあるが、動作信頼性を高くすると切削性能を低くせざるを得なかった。
【0004】
よって、本発明の目的は、先行技術を参照して記載した課題を少なくとも部分的に解決することであり、特に、動作信頼性が高く同時に切削性能も高い、ミキサー用のナイフを特定することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、独立請求項の特徴によるナイフによって達成される。ナイフのさらなる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。なお、従属請求項に個別に提示される特徴は技術的に好適な任意の態様で互いに組み合わせることができ、本発明のさらなる実施形態を定義することができる。さらに、請求項に記載した特徴は、本明細書でより詳細に説明されており、本発明の更に好適な実施形態が提示される。
【0006】
上記に対する貢献は、ミキサー用のナイフであって、
回転軸と、
回転軸を起点とするように延在し、且つ、少なくとも1つの切断エッジを有する、少なくとも1つのブレードと、
複数の鋸歯(Wellen)であって、少なくとも1つの切断エッジ内に設けられており、且つ、個々の鋸歯は、少なくとも1つの切断エッジの平坦部によって互いに離間して配置される複数の鋸歯と
を少なくとも備え、
少なくとも1つの切断エッジの平坦部の鋭利度は、鋸歯の鋭利度に劣ることを特徴とするナイフである。
【0007】
ハンドミキサーとは、具体的には、ユーザの手によって案内されて通常は使用される台所用機器である。したがって、このようなハンドミキサーは、重量がせいぜい5キログラムであることが好ましい。ハンドミキサーは、特に、プラスチック材料や金属から少なくとも部分的に構成される筐体を有することができる。さらに、ハンドミキサーは、特に筐体の長手方向の端部に、カッティングヘッドを有することができる。ナイフは、カッティングヘッドの領域に、特に、ハンドミキサーのドライブシャフトに、固定可能である。
【0008】
スタンドミキサーとは、密閉容器を有する据え置き型の基部から構成される又はこれを備える据え置き型の機器である。その密閉容器は、ステンレス鋼、ガラス又は透明プラスチック材料から作られており、前述の据え置き型の基部に固定される。スタンドミキサーの場合、そのナイフは、容器の底に配され、結合部を介して、据え置き型の基部の電気モータによって(高速)回転するように設定可能である。
【0009】
ナイフは、ドライブシャフト又は結合部を介して、例えば0から20,000rpm(1分当たりの回転数)の回転速度で、ナイフの回転軸の周りを回転可能である。ナイフは、特に、少なくとも部分的には、(硬化された)金属又はシートメタルから構成される。金属又はシートメタルは、特に、0.1から0.5重量%(重量パーセント)の炭素を含んでいてもよく、好ましくは(約)0.2重量%の炭素を含んでいてもよい。又は、金属又はシートメタルは、特に、硬さが42から46HRC(ロックウェル硬さ、スケールC)であってもよい。
【0010】
ナイフは少なくとも1つのブレードを備える。ナイフは、好ましくは、2つ、3つ、又は4つのブレードを有する。少なくとも1つのブレードは、ナイフの回転軸から、特に径方向に延在する。ナイフが複数のブレードを有する場合、ブレードは、好ましくは、回転軸の周りに一様に分散するように配設される。2つのブレードを有するナイフでは、ブレードは、例えば、回転軸の周りで180°ずれるように配設可能である。互いに反対側にある2つのブレードを有するナイフは、一体化させるように又は単一の部品になるように構成可能である。3つのブレードを有するナイフでは、ブレードは、例えば、回転軸の周りに120°ずつずれるように配設可能である。4つのブレードを有するナイフでは、ブレードは、回転軸の周りに90°ずつずれるように配設可能である。互いに反対にある2つのブレードを2セット有するナイフは、一体化させるように又は単一の部品になるように構成可能であり、又は、これ以外に、それぞれが2つのブレードを有する2つのナイフ要素から構成することも可能である。各ブレードは少なくとも1つの切断エッジを有することができる。特に、この少なくとも1つの切断エッジが鋭利であるか、又は、少なくとも1つのブレードが鋭利なエッジを有する。
【0011】
ブレードは、回転軸を起点として、実質的に径方向又は横方向に延在する。ブレードは、回転軸の中心領域から外周に向かって(周方向又は幅方向に見て)先細り形状にすることもできる。鋸歯はそれぞれ、局所的に最大又は最小のブレードの幅を構成することができる。
【0012】
少なくとも1つの切断エッジ内には、複数の鋸歯(適宜、凹所とも称される)が設けられる。切断エッジ又はブレード1つ当たりの鋸歯の数は、好ましくは10個未満であり、特に、5個未満であり、好ましくは2個又は3個又は4個のいずれかである。ナイフの全ての切断エッジが、同じ数の鋸歯を有することが好ましい。
【0013】
ナイフを上から見ると、すなわち、ナイフの回転軸の方向にから見ると、鋸歯はブレードに沿って延在している。鋸歯は、少なくとも1つの切断エッジ内に円弧状に突き出している。切断エッジのうち鋸歯ではない領域は、特にナイフの周方向において、鋸歯に対して突き出している。少なくとも1つの切断エッジの刃先は、鋸歯の領域で、波形に延在している。さらに、鋸歯は、特に、部分円の形状にならないように延在しており、すなわち、特に、一定の曲率半径では延在せず且つ正弦曲線にならないように延在している。さらに、ブレードの鋸歯は、特に、鏡面対称になるようには構成されていない。さらに、鋸歯は、特に、回転軸に垂直に延在している。鋸歯は、特に、鋭利にされるか、又は、切断エッジの少なくとも1つになるように研削されるか、又は、その両方である。
【0014】
個々の鋸歯は、少なくとも1つの切断エッジの平坦部によって互いに離間して配置される。少なくとも1つの平坦部は、特に、波形には形成されていない。少なくとも1つの平坦部は、特に、鋭利ではないか、又は、ブレードの別の領域と比べて鋭利ではない(鈍い)ように構成されている。平坦部における刃先は、研磨ペースト等で磨くことによって、丸くすることができる。平均半径は(通常)0.25mm以下である。
【0015】
このように、平坦部は、有利には、高いエッジ安定性を有する。さらに、少なくとも1つの平坦部は、少なくとも1つの平坦な領域、又は、平坦になるように研削された領域を有することができる。平坦部の領域では、少なくとも1つの切断エッジは、特に、(上/下から見て)直線的な刃先を有することができる。一つのブレードの全ての平坦部の各刃先は、特に、互いに平行であるか又は互いに位置合わせされているか又はその両方になるように延在することができる。
【0016】
ハンドミキサーの動作中に平坦部にぶつかると、切断対象の材料は、特に、鋸歯にぶつかる場合と比べて、切削というよりもむしろより激しく押しつぶすことができる。平坦部は、硬い切断対象の材料が予備切削されることを(必要に応じて)保証し、切断対象の材料が鋸歯に向かう方向へずれるようにする。
【0017】
少なくとも1つの切断エッジの平坦部の鋭利度は、鋸歯鋭利度に劣るようにすることができる。平坦部は、特に、鋸歯又は丸めた刃先よりも大きい切断エッジ厚さ又はファセット厚さを有することができる。切断エッジ厚さ又はファセット厚さは、具体的には、少なくとも1つの切断エッジの刃先の厚さである。切断エッジ厚さ又はファセット厚さが小さいほど、少なくとも1つの切断エッジはより鋭利になる。
【0018】
鋸歯は、最大0.2mm(ミリメートル)の第1の切断エッジ厚さを有することができる。平坦部は、0.2から1.0mmの第2の切断エッジ厚さを有することができる。、鋸歯は、具体的には0mm~0.2mmの、好ましくは0mmの第1の切断エッジ厚さを有する。これとは別に又はこれと組み合わせて、平坦部は、具体的には、0.2~0.6mm、好ましくは0.2~0.4mmの第2の切断エッジ厚さを有する。
【0019】
鋭利に研削された鋸歯状領域と、平坦部の鈍い又は丸めた刃先との組み合わせにより、全体的に刃先安定性を高めることを可能となり、且つ、ナイフの破損が防止される。このように、有利には、高い動作信頼性と共に高い切削性能が実現する。
【0020】
鋸歯は、径方向内側の鋸歯始点から径方向外側の鋸歯終点まで延在することができ、鋸歯始点と鋸歯の頂点との間の第1の間隔は、頂点と鋸歯終点との間の第2の間隔よりも小さい。鋸歯始点及び鋸歯終点は、特に、切断エッジの刃先上にある。鋸歯始点は、具体的には、鋸歯の波形領域が始まる点であり、鋸歯終点は、具体的には、鋸歯の波形領域が終わる点である。鋸歯終点よりも、鋸歯始点が回転軸に近い。鋸歯の頂点は、特に、鋸歯のうち、鋸歯の深さが最大となる点である。さらに、鋸歯は、特に、頂点において、その曲率半径が最小となることができる。鋸歯の曲率半径は、頂点を起点として、鋸歯始点の方向に向かって大きくすることができ、鋸歯終点の方向に向かった場合よりも変化量は小さい。深さは、特に、(仮想の)直線の接続線と、鋸歯との間の垂直な距離であり、その接続線は、特に、鋸歯始点と鋸歯終点との間に延在する。鋸歯始点と頂点との間の第1の間隔は、頂点と鋸歯終点との間の第2の間隔よりも小さい。
【0021】
鋸歯は、鋸歯始点で第1の勾配を有することができ、鋸歯終点で第2の勾配を有することができる。第1の勾配の値は、第2の勾配の値とは異なる。ここで、「値」という用語は、通常の数学的な意味でゼロ(「0」)からの距離であると理解される。
【0022】
鋸歯始点と頂点との間の第1の中心に接する第1の接線は、少なくとも1つのブレードの中心軸に第1の角度で交わることができ、頂点と鋸歯終点との間の第2の中心に接する第2の接線は、中心軸に第2の角度で交わることができる。ここで、「接線」という用語は、同様に数学的な意味で理解される。鋸歯の第1の中心は、鋸歯始点と頂点との間に精密に位置決めされる。これは、特に、第1の中心は、頂点からの距離と鋸歯始点からの距離が同じであることを意味することができる。鋸歯上の第2の中心は、頂点と鋸歯終点との間に精密に位置決めされる。これは、特に、第2の中心は、鋸歯終点からの距離と頂点からの距離が同じであることを意味することができる。第1の接線は、特に、第1の中心で鋸歯の刃先に接する仮想の直線である。第1の中心に接する、鋸歯の第1の接線は、第1の角度をなすようにブレードの中心軸に交わる。第2の接線は、特に、第2の中心で鋸歯の刃先に接する仮想の直線である。第2の中心に接する、鋸歯の第2の接線は、第2の角度をなすようにブレードの中心軸に交わる。
【0023】
第1の角度は、第2の角度よりも大きくすることができる。
【0024】
第1の角度は、50°より大きく且つ90°より小さくすることができる。第1の角度は、好ましくは60°から90°未満、特に好ましくは70°から90°未満である。
【0025】
第2の角度は、10°から45°とすることができる。
【0026】
第1の角度と第2の角度を提案された構成にすることにより、切断対象の材料が、頂点と鋸歯終点との間の鋸歯の領域に(ほぼ)直角にぶつかることが実現し、これにより、ナイフの切削性能が非常に高くなる。さらに、鋸歯のうち、鋸歯始点と頂点との間の領域は、頂点と鋸歯終点との間の領域よりも小さい。鋸歯始点と頂点との間の領域を小さく維持することは、ナイフの切削性能に良い影響を及ぼす。これは、切断対象の材料が鋸歯始点と頂点との間の領域で、鋭角で切断エッジにぶつかるだけだからである。
【0027】
鋸歯の深さは、鋸歯の鋸歯幅の最大で50%に相当することができる。深さは、特に、(仮想の)直線的な接続線と鋸歯との間の垂直な距離であり、その直線的な接続線は、鋸歯始点と鋸歯終点との間に延在する。鋸歯幅は、特に、鋸歯始点から鋸歯終点までとなる。
【0028】
ブレードは、平坦であってもよく、曲線状であってもよく、(部分的に)ねじれていてもよい。特に、(周方向において)切断エッジに隣接する領域において、曲率を一様にする又は平面にすることが可能である。この場合、回転軸に近い領域及び外周に近い領域の少なくとも一方において、ブレードの曲率を変えるか又はブレードの向きを変えるか又はその両方となる。ブレードの外周には、上向き又は下向きに曲げられる羽部を設けることができる。
【0029】
鋸歯の深さは、好ましくは、少なくとも2mmであり、特に、2.8mmと3.7mmとの間である。
【0030】
鋸歯の鋸歯幅は、好ましくは、少なくとも5mmであり、特に、6mmと10mmとの間である。
【0031】
1つの切断エッジの鋸歯は、好ましくは、常に、深さと鋸歯幅の比が同じである。深さと鋸歯幅の比は、好ましくは、0.3から0.5の範囲であり、特に、0.35から0.4の範囲である。
【0032】
本発明ならびに技術的環境は、図を参照して以下により詳細に説明する。なお、各図には、本発明の実施形態の特に好ましい変形例を示す。しかし、本発明はそれに限定されない。ここで、図中の同一の構成要素は同じ参照符号が付されている。図では、例示的かつ概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図4】
図4は、鋸歯の第1の変形例における、0mmを超える切断エッジ厚さを有する鋸歯を断面図で示す。
図4*は、鋸歯の第2の変形例における、0mmに等しい切断エッジ厚さを有する鋸歯を断面図で示す。
【
図5】切断エッジの平坦部の第1の変形例における、0mmを超える切断エッジ厚さを有する平坦部を断面図で示す。
【
図6】切断エッジの平坦部の第2の変形例における、丸めた刃先を有する平坦部を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明によるナイフの例示的な利用分野として、側面視におけるハンドミキサー2を示す。ハンドミキサー2は、カッティングヘッド25を有する筐体24を備える。カッティングヘッド25には、ナイフ1(ここでは不図示)が配されており、このナイフ1は、切断対象の材料を粉砕するためにハンドミキサー2を動作させているときに、ハンドミキサー2の駆動部により回転可能である。
【0035】
図2は、平面視におけるナイフ1をに示しており、すなわち、
図2は下から上に見た図である。ナイフ1は、その中心に、
図1に示すハンドミキサー2のドライブシャフト用の開孔26を有する。これにより、ナイフ1は、回転軸3の周りを回転することができる。ここで、回転軸3は図面の平面に垂直に延びる。ここに示す実施形態の変形例では、2つのブレード4が、回転軸3から、2つの反対の径方向27に向かって延在する。ブレード4は中心軸19を有する。ここで、中心軸19は、回転軸3と、2つのブレード4の中心とを通って延在する。各ブレード4に1つの切断エッジ5が設けられており、ここに示す実施形態の変形例では、この切断エッジ5はそれぞれ、鋸歯6を3つ有する。各鋸歯6は、切断エッジ5内において研削されており、切断エッジ5の平坦部7によって、径方向27において互いに離間して配置される。平坦部7は部分幅36を有し、ここでは部分幅36は3mmである。したがって、鋸歯6は、部分幅36の分だけ互いに離間して配置される。さらに、切断エッジ5はそれぞれ、平坦な端部領域28を有し、この端部領域28は少なくとも5mmの端部領域幅29を有する。平坦な端部領域28は、径方向において最も外側の鋸歯6からブレード4の先端30まで延在する。ブレード4の先端30は、
図2に示す実施形態の変形例とは異なり、上向きに曲げることもできる。
【0036】
図3は、
図2に印を付けたブレード4の領域31における鋸歯6の拡大図を示す。鋸歯6は、径方向内側の鋸歯始点10から径方向外側の鋸歯終点11まで延在する。鋸歯始点10及び鋸歯終点11は、切断エッジ5の刃先32上にある。鋸歯6はさらに頂点13を有する。頂点13は、鋸歯6のうち、鋸歯6の深さ22が最大となる点である。さらに、鋸歯6は、頂点13において、その曲率半径が最小となる。鋸歯6の曲率半径は、頂点13から、鋸歯始点10の方向に向かって大きくなるが、鋸歯終点11の方向に向かった場合よりも変化量は小さい。深さ22は、鋸歯始点10と鋸歯終点11との間を延びる接続線33と、鋸歯6との間の垂直な距離である。鋸歯始点10と頂点13との間の第1の間隔12は、頂点13と鋸歯終点11との間の第2の間隔14よりも小さい。さらに、鋸歯6は、鋸歯始点10から鋸歯終点11までとする鋸歯幅23を有する。
【0037】
鋸歯6は、鋸歯始点10では、接続線33及び刃先32の少なくとも一方に対して第1の勾配15を有し、鋸歯終点11では、接続線33及び刃先32の少なくとも一方に対して第2の勾配16を有する。第1の勾配15の値は第2の勾配16の値よりも大きい。
【0038】
さらに、鋸歯6は、第1の中心17及び第2の中心20を有する。鋸歯6の第1の中心17は、鋸歯始点10と頂点13との間に精密に位置決めされる。言い換えれば、これは、第1の中心17は、頂点13からの距離と鋸歯始点10からの距離が同じであることを意味する。鋸歯6の第2の中心20は、頂点13と鋸歯終点11との間に精密に位置決めされる。言い換えれば、これは、第2の中心20は、鋸歯終点11からの距離と頂点13からの距離が同じであることを意味する。第1の中心17に接する、鋸歯6の第1の接線18は、第1の角度αをなすようにブレード4の中心軸19に交わる。第2の中心20に接する、鋸歯6の第2の接線21は、第2の角度βをなすようにブレード4の中心軸19に交わる。ここで、第1の角度αは60°であり、第2の角度βは17°である。ナイフ1が回転しているときに、切断対象の材料(ここでは不図示)は、鋸歯6のうち、頂点13と鋸歯終点11との間の部分に、約90°の角度で衝突する。これにより、ナイフ1の高い切削性能が実現可能である。
【0039】
図4は、鋸歯6の第1の変形例における、
図2に示す切断線IV‐IVに沿った、鋸歯6を通る断面を示す。この鋸歯6は、第1の切断エッジ厚さ8が0.1mmであり、第1の切削角34が33°である。
【0040】
図4*は、鋸歯6の第2の変形例における、
図2に示す切断線IV‐IVに沿った、鋸歯6を通る断面を示す。この鋸歯6は、第1の切断エッジ厚さ8が0mmであり、そのため、切断エッジは最大限の鋭利度を有する。
【0041】
図5は、平坦部7の第1の変形例における、
図2に示す切断線V‐Vに沿った、平坦部7を通る断面を示す。この平坦部7は、第2の切断エッジ厚さ9が0.4mmであり、第2の切削角35が28°である。
【0042】
図6は、平坦部7の第2の変形例における、
図2に示す切断線V‐Vに沿った、平坦部7を通る断面を示す。この平坦部7は丸めた刃先32を有する。
【0043】
本ナイフは、動作信頼性が特に高く且つ切削性能も特に高いことが特徴である。
【符号の説明】
【0044】
1 ナイフ、2 ハンドミキサー、3 回転軸、4 ブレード、5 切断エッジ、6 鋸歯、7 平坦部
8 第1の切断エッジ厚さ、9 第2の切断エッジ厚さ、10 鋸歯始点、11 鋸歯終点
12 第1の間隔、13 頂点、14 第2の間隔、15 第1の勾配、16 第2の勾配
17 第1の中心、18 第1の接線、19 中心軸、20 第2の中心、21 第2の接線
22 深さ、23 鋸歯幅、24 筐体、25 カッティングヘッド、26 開孔、27 径方向
28 端部領域、29 端部領域幅、30 先端、31 領域、32 刃先、33 接続線
34 第1の切削角、35 第2の切削角、36 部分幅、α 第1の角度、β 第2の角度