(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ハサミスリーブアセンブリの保護
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240219BHJP
A61B 34/35 20160101ALI20240219BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B34/35
(21)【出願番号】P 2021548702
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2020051372
(87)【国際公開番号】W WO2020170147
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウォレル・バリー・クリスチャン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530771(JP,A)
【文献】特表2002-542876(JP,A)
【文献】特開平09-000538(JP,A)
【文献】特表2016-517331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/16
A61B 34/30-34/37
A61B 17/28-17/295
A61B 17/3201
A61B 17/3211
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブ挿入アセンブリであって、
内室を画定し、遠位端及び前記遠位端の反対側の近位端を有
し、前記遠位端及び前記近位端は開放されている、スリーブ挿入器と、
前記内室内に受容可能なスリーブと、
前記スリーブ内に受容可能であり、内部及び開放端を画定する円筒形本体を有するブレードガードと、を備え、
前記開放端は、エンドエフェクタのジョー部材を前記内部に受容するが、
前記ジョー部材よりも近位側に位置する前記エンドエフェクタ
の本体が前記内部に入らないようにサイズ決めされており、
前記スリーブが前記エンドエフェクタに装着される際に、前記スリーブが前記スリーブ挿入器の前記遠位端から押し出されないように前記スリーブの遠位端がサイズ決めされており、
前記スリーブの前記遠位端は開放されており、
前記ブレードガードは、前記スリーブが前記エンドエフェクタに装着される
際に、前記スリーブ
の前記遠位端および前記スリーブ挿入器の前記遠位端から押し出される、スリーブ挿入アセンブリ。
【請求項2】
前記スリーブ挿入器は、プラスチック、金属、ゴム、エラストマー、シリコーン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料で作製されている、請求項1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【請求項3】
前記スリーブ挿入器の前記近位端に画定されて、前記スリーブ及び前記ブレードガードを前記スリーブ挿入器内に維持することに役立つ保持機構を更に備える、請求項1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【請求項4】
前記ブレードガードは、金属、熱可塑性材料、複合材料、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される剛性材料で作製されている、請求項1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【請求項5】
前記スリーブ挿入器に画定され、前記近位端から前記遠位端に向かって延在する、1つ以上の長手方向スロットを更に備える、請求項1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【請求項6】
スリーブ抜き取りツールを更に備え、前記スリーブ抜き取りツールは、
前記内室内に受容可能な環状リングと、
前記
環状リングから長手方向に延在する1つ以上のアームであって、各アームは、前記1つ以上の長手方向スロットのうちの対応する1つの
長手方向スロットにに受容される、1つ以上のアームと、
各アームの端部から延在するタブであって、前記タブは、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定されたノッチ内に受容可能である、タブと、を設ける、請求項5に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【請求項7】
各アームの前記端部に設けられた指掴み部を更に備え、前記指掴み部は傾斜していて、前記スリーブを取り外す力の低減に役立つ機械的利点を提供する、請求項6に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【請求項8】
前記ブレードガードを前記スリーブ挿入器内に保持することに役立つ保持機構を、前記スリーブ挿入器の前記遠位端又はその付近に更に備える、請求項1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その内容が本明細書に参照により組み込まれる、2018年4月17日出願の米国特許出願第15/955,226号の一部継続出願であり、その優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術(MIS)器具は、術後回復時間が短縮され、かつ瘢痕が最小限であるため、多くの場合、従来の開腹手術装置よりも好ましい。腹腔鏡手術は、1つ以上の小切開が患者の腹部に形成され、トロカールが切開を通して挿入されて、腹腔へのアクセスを提供する経路を形成する、MIS手技の一種である。トロカールを通して、種々の器具及び外科用ツールを腹腔内に導入することができる。トロカールはまた、臓器の上方に腹壁を持ち上げるための送気を容易にするのに役立つ。トロカールを介して腹腔内に導入されるこれらの器具及び用具を使用し、多くの方法で組織と係合し及び/又は組織を処置して、診断又は治療効果を得ることができる。
【0003】
MIS手技を支援するために、種々のロボットシステムが近年開発されてきた。ロボットシステムは、自然な目-手の軸線を維持することにより、より直感的な手の動きを可能にすることができる。ロボットシステムはまた、より自然な手のような関節運動を作り出す「リスト」関節部を含むことにより、動きにおけるより多くの自由度を可能にすることもできる。必須ではないが、器具のエンドエフェクタは、リスト関節部を通って延在する1つ以上の駆動ケーブルを組み込んだケーブル駆動型運動システムを使用して、関節運動(移動)することができる。ユーザ(例えば、外科医)は、手術器具に連結されたツール駆動部と連通する1つ以上のコントローラを空間内で把持し操作することにより、器具のエンドエフェクタを遠隔操作することが可能である。ユーザ入力は、ロボット外科用システム内に組み込まれたコンピュータシステムにより処理され、ツール駆動器は、ケーブル駆動型運動システム、より具体的には駆動ケーブルを作動させることにより応答する。駆動ケーブルを移動させることにより、エンドエフェクタを所望の位置及び構成に関節運動させる。
【0004】
一般に電気外科用器具と称されるいくつかの外科用ツールは、電気的に通電される。電気外科用器具は、1つ以上の電極を含む、遠位に取り付けられたエンドエフェクタを有する。電気エネルギーが供給された場合、エンドエフェクタ電極は、組織を切断、焼灼及び/又は封止するのに十分な熱を発生させることができる。
【0005】
電気外科用器具は、双極又は単極動作用に構成することができる。双極動作中、電流は、エンドエフェクタの活性電極により組織に導入され、またエンドエフェクタの戻り電極により組織から戻される。双極動作における電流は、戻り電極に戻る前に、患者を通って長い距離を移動する必要はない。したがって、必要とされる電流の量は最小であり、偶発的アブレーション及び/又は火傷のリスクを大幅に低減させる。加えて、2つの電極は、緊密に離間しており、かつ概ね外科医の視野内にあるので、意図しないアブレーション及び火傷の危険性を更に低減させる。
【0006】
単極動作では、電流は、エンドエフェクタの活性電極(あるいは「ソース電極」と呼ばれる)により組織内へと導入され、また患者の身体上に別個に位置する戻り電極(例えば、接地パッド)を介して戻される。単極電気外科用器具は、組織を切断すること、組織を凝固させて出血を止める、又は同時に組織を切断及び凝固させるなどの、いくつかの外科的機能を容易にする。外科医は、器具の導電性部分が患者と電気的に近接している場合はいつでも電流を印加することができ、外科医が、多くの異なる角度から単極電気外科用器具で手術することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれるが、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能における考慮すべき修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【
図1】本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる代表的なロボット外科用システムのブロック図である。
【
図2】本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる代表的な外科用ツールの側面図である。
【
図3】
図1のリスト部が関節運動(枢動)することが可能であり得る潜在的自由度を示す。
【
図4】
図1の外科用ツールの遠位端の拡大等角図である。
【
図5】エンドエフェクタに組み付けられたスリーブの側面図である。
【
図6A】それぞれ、本開示の1つ以上の原理に従って使用され得る、代表的なスリーブ挿入アセンブリの分解図及び断面側面図である。
【
図6B】それぞれ、本開示の1つ以上の原理に従って使用され得る、代表的なスリーブ挿入アセンブリの分解図及び断面側面図である。
【
図7A】1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブの装着を示す、
図6A~
図6Bのスリーブ挿入アセンブリの漸次的な断面側面図である。
【
図7B】1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブの装着を示す、
図6A~
図6Bのスリーブ挿入アセンブリの漸次的な断面側面図である。
【
図7C】1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブの装着を示す、
図6A~
図6Bのスリーブ挿入アセンブリの漸次的な断面側面図である。
【
図8】
図4~
図5のスリーブ及びシャフトアダプタの部分断面図である。
【
図9A】それぞれ、1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブ抜き取り器の等角図及び側面図である。
【
図9B】それぞれ、1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブ抜き取り器の等角図及び側面図である。
【
図10A】それぞれ、1つ以上の実施形態による、別の代表的なスリーブ抜き取り器の等角図及び側面図である。
【
図10B】それぞれ、1つ以上の実施形態による、別の代表的なスリーブ抜き取り器の等角図及び側面図である。
【
図11A】本開示の1つ以上の原理に従って使用され得る、別の代表的なスリーブ挿入アセンブリの等角分解図及び組立図である。
【
図11B】本開示の1つ以上の原理に従って使用され得る、別の代表的なスリーブ挿入アセンブリの等角分解図及び組立図である。
【
図12A】1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブの装着を示す、
図11A~
図11Bのスリーブ挿入アセンブリの漸次的な断面側面図である。
【
図12B】1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブの装着を示す、
図11A~
図11Bのスリーブ挿入アセンブリの漸次的な断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、電気外科用器具を組み込むロボット外科用システムに関し、より具体的には、保護スリーブの装着中に電気外科用器具の遠位端上にある保護スリーブへの損傷を防止すること、また更には、保護スリーブの組み付け及び取り外しを容易にするために使用される装置に関する。
【0009】
図1は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる代表的なロボット外科用システム100のブロック図である。図示されるように、システム100は、少なくとも1つのマスタコントローラ102a、及び少なくとも1つのアームカート104を含むことができるが、アームカート104は必ずしも必要ではない。アームカート104は、ロボットマニピュレータに、より具体的には、1つ以上のロボットアーム106又は「ツール駆動部」に、機械的及び/又は電気的に連結されてよい。各ロボットアーム106は、患者110に対して様々な外科的作業を実施するための1つ以上の外科用ツール又は器具108を含んでよく、さもなければ1つ以上の外科用ツール又は器具108を装着するための場所を提供してもよい。ロボットアーム106及び器具108の動作は、マスタコントローラ102aから臨床医112a(例えば、外科医)によって指示されることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2の臨床医112bによって操作される第2のマスタコントローラ102b(破線で示される)もまた、第1の臨床医112aと共にロボットアーム106及び器具108の動作を指示することができる。そのような実施形態では、例えば、各臨床医102a、bは、異なるロボットアーム106を制御してよく、又は場合により、ロボットアーム106の完全な制御は、臨床医102aと臨床医102bとの間で引き継がれてもよい。いくつかの実施形態では、追加のロボットアーム(図示せず)を有する追加のアームカート(図示せず)が患者110の手術中に利用されてよく、これらの追加のロボットアームは、1つ以上のマスタコントローラ102a、bによって制御され得る。
【0011】
アームカート104及びマスタコントローラ102a、bは、通信リンク114を介して互いに通信してもよく、通信リンク114は、任意の通信プロトコルに従って様々な通信信号(例えば、電気、光、赤外線等)を搬送するように構成された任意の種類の有線又は無線の通信手段であってよい。いくつかの用途では、例えば、ロボットアーム106を駆動するように設計された補助装置及び処理コアを備えるタワーが存在する。
【0012】
マスタコントローラ102a、bは、概して、外科医がステレオディスプレイを介して処置を見ている間に臨床医112a、bが把持し空間内で操作することができる1つ以上の物理的コントローラを含む。物理的コントローラは、概して、複数の自由度で移動可能な手動入力装置を備えており、手動入力装置は、多くの場合、外科用器具(複数可)108を作動させるための(例えば、対向するジョーを開閉する、電位(電流)を電極に印加する等のための)作動可能なハンドルを含む。マスタコントローラ102a、bはまた、外科用器具(即ち、切断器具又は動的クランプ部材)に加わる力の量などの様々な外科用器具の測定基準の視覚的指標を提供するための、臨床医112aがディスプレイを介して視認可能な任意のフィードバック計を含むことができる。
【0013】
システム100などのロボット外科用システムの代表的な実現形態が、その内容が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第7,524,320号に開示されている。そのような装置の様々な特色については、本明細書では、本明細書に開示されるロボット手術の機器、システム、及び方法の様々な実施形態及び様々な実施形態の形式を理解するのに必要となり得る範囲を越えて、詳細に説明することはしない。
【0014】
図2は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる代表的な外科用ツール200の側面図である。外科用ツール200は、
図1の外科用器具(複数可)108と同一又は同様であってよく、したがって、
図1のロボット外科用システム100などのロボット外科用システムと併せて使用され得る。したがって、外科用ツール200は、ロボット外科用システム100に含まれるツール駆動部に解放可能に連結されるように設計され得る。しかしながら、他の実施形態では、外科用ツール200は、本開示の範囲から逸脱することなく、手動又は手で操作される方法で使用するように適合され得る。
【0015】
図示されるように、外科用ツール200は、細長いシャフト202と、エンドエフェクタ204と、エンドエフェクタ204をシャフト202の遠位端に連結するリスト部206(或いは、「リスト関節部」と称される)と、シャフト202の近位端に連結された駆動ハウジング208と、を含む。外科用ツールがロボット外科用システム(例えば、
図1のロボット外科用システム100)と共に使用される用途では、駆動ハウジング208は、外科用ツール200をロボット外科用システムに解放可能に連結する連結機構を含むことができる。
【0016】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用ツール200(例えば、ハウジング208)をロボットマニピュレータに機械的及び電気的に連結するように構成されたインターフェースを有するロボット外科用システムに対して定義される。「近位」という用語は、ロボットマニピュレータにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、エンドエフェクタ204により近く、したがってロボットマニピュレータからより離れた要素の位置を指す。或いはは、手動又は手で操作される用途では、用語「近位」及び「遠位」は、本明細書では、外科医又は臨床医などのユーザに対して定義される。「近位」という用語は、ユーザにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、エンドエフェクタ204により近く、したがって、ユーザからより離れた要素の位置を指す。更に、上、下、上方、下方、上向き、下向き、左、右等などの方向用語の使用は、それらが図に示されるように代表的な実施形態に関連して使用され、上向き又は上方方向は、対応する図の頂部に向かっており、下向き又は下方方向は、対応する図の底部に向かっている。
【0017】
外科用ツール200の使用中、エンドエフェクタ204は、手術部位に対して所望の向き及び場所にエンドエフェクタ204を位置付けるために、リスト部206においてシャフト202に対して移動(枢動)するように構成されている。ハウジング208は、エンドエフェクタ204と関連付けられた様々な機能の動作(例えば、クランプ、発射、回転、関節運動、エネルギー送達等)を制御するように設計された種々の機構を含む(収容している)。少なくともいくつかの実施形態では、シャフト202、したがってシャフト202に連結されたエンドエフェクタ204は、シャフト202の長手方向軸線A1の周りで回転するように構成されている。そのような実施形態では、ハウジング208に含まれる(収容されている)機構のうち少なくとも1つは、長手方向軸線A1の周りでのシャフト202の回転運動を制御するように構成されている。
【0018】
外科用ツール200は、少なくとも1つの外科的機能を実行することが可能な種々の構成のいずれかを有することができる。例えば、外科用ツール200としては、鉗子、把持器具、持針器、ハサミ、電気焼灼器ツール、ステープラ、クリップアプライヤ、フック、スパチュラ、吸引ツール、潅注ツール、撮像装置(例えば、内視鏡若しくは超音波プローブ)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、外科用ツール200は、高周波(RF)エネルギーなどのエネルギーを組織に加えるように構成されてよい。
【0019】
シャフト202は、ハウジング208から遠位に延在する細長い部材であり、その軸方向長さに沿って内部を通って延在する、少なくとも1つの管腔を有する。いくつかの実施形態では、シャフト202はハウジング208に固定されてよいが、代替的に、シャフト202が長手方向軸線A1の周りで回転することが可能となるように、ハウジング208に回転可能に装着されてもよい。更に他の実施形態では、シャフト202は、ハウジング208に解放可能に連結されてもよく、これにより、単一のハウジング208が、異なるエンドエフェクタを有する種々のシャフトに対して適合可能となり得る。
【0020】
エンドエフェクタ204は、様々なサイズ、形状、及び構成を有することができる。図示する実施形態では、エンドエフェクタ204は、開放位置と閉鎖位置との間で移動(関節運動)するように構成された対向するジョー210、212(又は「刃」とも称される)を含む外科用ハサミを備える。しかしながら、後に理解されるように、対向するジョー210、212は、組織把持器具、クリップアプライヤ、持針器、一対の対向する把持ジョーを含むバブコック、双極のジョー(例えば、双極メリーランド把持器具、鉗子、有窓把持器具等)などであるがこれらに限定されない、その他の種類のエンドエフェクタの一部を代替的に形成してよい。ジョー210、212の一方又は両方は、エンドエフェクタ204を開放位置と閉鎖位置との間で関節運動させるために、リスト部206において枢動するように構成されてよい。
【0021】
図3は、リスト部206が関節運動(枢動)することが可能であり得る潜在的自由度を示す。リスト部206は、任意の様々な構成を有することができる。一般に、リスト部206は、シャフト202に対するエンドエフェクタ204の枢動運動を可能にするように構成された継手を備える。リスト部206の自由度は、3つの並進変数(即ち、サージ、ヒーブ、及びスウェイ)により、並びに3つの回転変数(即ち、オイラー角又はロール、ピッチ、及びヨー)により表される。並進変数及び回転変数は、所与の基準デカルトフレームに対する外科用システム(例えば、エンドエフェクタ204)の構成要素の位置及び向きを説明する。
図3に示すように、「サージ」は、前方及び後方への並進運動を指し、「ヒーブ」は、上下への並進運動を指し、「スウェイ」は、左右の並進運動を指す。回転用語については、「ロール」とは、側面を傾斜させることを意味し、「ピッチ」とは、前方及び後方に傾斜させることを意味し、「ヨー」とは、左及び右に回転させることを指す。
【0022】
枢動運動は、リスト部206の第1の軸線(例えば、X軸)の周りのピッチ運動、リスト部206の第2の軸線(例えば、Y軸)の周りのヨー運動、及びこれらの組み合わせを含むことができ、リスト部206の周りでのエンドエフェクタ204の360°の回転運動を可能にすることができる。その他の用途では、枢動運動は、単一平面内での運動、例えば、リスト部206の第1の軸線の周りのピッチ運動のみ、又はリスト部206の第2の軸線の周りのヨー運動のみに限定され得、その結果、エンドエフェクタ204は、単一平面内でのみ運動する。
【0023】
再び
図2を参照すると、外科用ツール200はまた、シャフト202に対するエンドエフェクタ204の移動及び関節運動を容易にするように構成されたケーブル駆動運動システムの一部を形成する、複数の駆動ケーブル(
図2では隠れている)を含み得る。駆動ケーブルの少なくともいくつかを移動させる(作動させる)ことにより、エンドエフェクタ204は、非関節運動位置と関節運動位置との間を移動する。エンドエフェクタ204は、エンドエフェクタ204の長手方向軸線A
2がシャフト202の長手方向軸線A
1と実質的に整列し、それにより、シャフト202に対するエンドエフェクタ204の角度が実質的にゼロになるような非関節運動位置にて、
図2に図示されている。測定装置の製造公差及び精度などの要因に起因して、エンドエフェクタ204は、非関節運動位置においてシャフト202に対して正確なゼロ角度ではない場合があるが、それでもなお、シャフト202に対して「実質的に整列された」と見なされ得る。関節運動位置では、長手方向軸線A
1、A
2は、エンドエフェクタ204がシャフト202に対してゼロ以外の角度にあるように、互いから角度的にオフセットされることになる。
【0024】
更に
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、外科用ツール200には、ハウジング208に(恒久的に又は取り外し可能に)連結された電力ケーブル214を介して電力(電流)が供給されてよい。その他の実施形態では、電力ケーブル214は省略されてもよく、また電力は、1つ又以上の電池又は燃料電池などの内部電源を介して外科用ツール200に供給されてよい。しかしながら、本明細書の主旨に沿って、電力は、電力ケーブル214を介して外科用ツール200に供給されることが想定される。いずれの場合も、外科用ツール200は、本明細書において、エンドエフェクタ204に電気エネルギーを供給することが可能な「電気外科用器具」と特徴付けられることができ、さもなければ「電気外科用器具」と呼ばれ得る。
【0025】
電力ケーブル214は、外科用ツール200を発生器216と連通させることができ、発生器216は、電気エネルギー(例えば、高周波エネルギー)、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、熱エネルギー、又はこれらの任意の組み合わせなどのエネルギーを、外科用ツール200、より具体的にはエンドエフェクタ204に供給する。したがって、発生器216は、独立して又は同時に起動され得る高周波(RF)源、超音波源、直流源、及び/又は任意のその他の好適な種類の電気エネルギー源を備えることができる。
【0026】
外科用ツール200が双極動作用に構成されている用途では、電力ケーブル214は、供給導体及び戻り導体を含む。電流は、発生器216から、エンドエフェクタ204に位置する活性(又はソース)電極まで、供給導体を介して供給することができ、電流は、戻り導体を介して、エンドエフェクタ204に位置する戻り導体を介して発生器216に戻ることができる。例えば、対向するジョーを有する双極ツールの場合、ジョーは電極として機能し、ジョーの近位端は互いに分離し、ジョーの内側表面(即ち、組織を把持するジョーの領域)は、組織を通る制御された経路に電流を印加する。外科用ツール200が単極動作用に構成されている用途では、発生器216は、供給導体を介して、エンドエフェクタ204に位置する活性電極に電流を伝達し、また患者の身体に別個に連結された戻り電極(例えば、接地パッド)を介して電流が戻される(消散される)。
【0027】
図4は、
図2の外科用ツール200の遠位端の拡大等角図である。より具体的には、
図4は、エンドエフェクタ204が非関節運動位置にある、エンドエフェクタ204及びリスト部206の拡大図を示す。リスト部206は、エンドエフェクタ204をシャフト202に動作可能に連結する(
図2)。しかしながら、図示した実施形態では、シャフトアダプタ400は、リスト部206に直接連結されてもよく、さもなければシャフト202とリスト部206との間に介在してもよい。他の実施形態では、シャフトアダプタ400は省略されてもよく、代わりに、シャフト202は、本開示の範囲から逸脱することなく、リスト部206に直接連結されてもよい。本明細書で使用する「動作可能に連結する」という用語は、直接的又は間接的な連結係合を指す。したがって、リスト部206は、リスト部206がシャフト202の遠位端に直接連結される直接連結係合、又はシャフトアダプタ400がリスト部206とシャフト202の遠位端との間に介在する間接的な連結係合のいずれかによって、シャフト202に動作可能に連結されることができる。
【0028】
エンドエフェクタ204をシャフト202に(例えば、シャフトアダプタ400を介して)動作可能に連結するために、リスト部206は遠位クレビス402a及び近位クレビス402bを含む。エンドエフェクタ204(即ち、ジョー210、212)は、第1の軸404aにおいて遠位Uリンク402aに回転可能に取り付けられ、遠位Uリンク402aは、第2の軸404bにおいて近位Uリンク402bに回転可能に取り付けられ、近位Uリンク402bは、シャフトアダプタ400の遠位端406(又は代替的にシャフト202の遠位端)に連結されている。
【0029】
リスト部206は、第1の軸404aを通って延在する第1の枢動軸線P1、及び第2の軸404bを通って延在する第2の枢動軸線P2を提供する。第1の枢動軸線P1は、エンドエフェクタ204の長手方向軸線A2に対して実質的に垂直(直交)であり、第2の枢動軸線P2は、長手方向軸線A2及び第1の枢動軸線P1の両方に対して実質的に垂直(直交)である。第1の枢動軸線P1の周りの運動は、エンドエフェクタ204の「ヨー」関節運動をもたらし、第2の枢動軸線P2の周りの運動は、エンドエフェクタ204の「ピッチ」関節運動をもたらす。図示した実施形態では、ジョー210、212は、第1の枢動軸線P1において装着され、それにより、ジョー210、212は、エンドエフェクタ204を開閉するために互いに対して枢動する、又は代替的には、エンドエフェクタ204の向きを関節運動させるために縦一列に並んで枢動することが可能になる。
【0030】
駆動ケーブル408a、408b、408c、及び408dとして示される複数の駆動ケーブルは、シャフトアダプタ400(及び/又は
図2のシャフト202)によって画定された管腔410内で長手方向に延在し、また、リスト部206を通過してエンドエフェクタ204に動作可能に連結されている。4本の駆動ケーブル408a~dが
図4に示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、4本超又は4本未満の駆動ケーブル408a~dが含まれることができる。
【0031】
駆動ケーブル408a~dは、簡潔に上述したケーブル駆動運動システムの一部を形成し、ケーブル、バンド、線、コード、ワイヤ、ロープ、ストリング、撚糸ストリング、細長い部材などと称され、そうでなければ特徴付けられ得る。駆動ケーブル408a~dは、金属(例えば、タングステン、ステンレス鋼等)又はポリマーが挙げられるがこれらに限定されない、種々の材料から作製されることができる。代表的な駆動ケーブルは、「Compact Robotic Wrist」と題された米国特許出願公開第2015/0209965号及び「Hyperdexterous Surgical System」と題された同第2015/0025549号に説明されており、それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。管腔410は、図示されているように単一の管腔であってよく、又は代替的に、それぞれが駆動ケーブル408a~dの1つ以上を受容する複数の独立した管腔を備えてもよい。
【0032】
駆動ケーブル408a~dは、エンドエフェクタ204から駆動ハウジング208(
図2)まで近位に延在し、管腔410内での駆動ケーブル408a~dの長手方向の移動(並進)を容易にするために、駆動ハウジング208の内部に収納された(収容された)種々の作動機構又は装置に動作可能に連結されている。駆動ケーブル408a~dの全て又は一部の選択的作動は、エンドエフェクタ204(例えば、ジョー210、212の一方又は両方)をシャフト202に対して関節運動(枢動)させる。より具体的には、選択的作動により、対応する駆動ケーブル408a~dが管腔410内で長手方向に並進し、それによって、エンドエフェクタ204の枢動運動が生じる。1つ以上の駆動ケーブル408a~dは、例えば、長手方向に並進して、エンドエフェクタ204を関節運動させ(例えば、ジョー210、212の両方が同じ方向に傾く)、エンドエフェクタ204を開放させ(例えば、ジョー210、212のうちの一方又は両方が、他方から離れるように動く)、又はエンドエフェクタ204を閉鎖させる(例えば、ジョー210、212のうちの一方又は両方が、他方に向かって動く)ことができる。
【0033】
駆動ケーブル408a~dを移動させることは、駆動ハウジング208(
図2)に動作可能に連結された又はその内部に収容された関連するアクチュエータ又は機構をトリガすることなどの様々な方法により、達成され得る。所与の駆動ケーブル408a~dを移動させることにより、所与の駆動ケーブル408a~dに近位方向の張力(即ち、引張力)が加わり、これは、所与の駆動ケーブル408a~dを並進させ、それによって、エンドエフェクタ204をシャフト202に対して移動(関節運動)させる。
【0034】
リスト部206は、第1の複数のプーリ412a及び第2の複数のプーリ412bを含み、これらはそれぞれ、駆動ケーブル408a~dと相互作用してそれらの方向を変化させ、エンドエフェクタ204と係合するように構成されている。第1の複数のプーリ412aは、第2の軸404bにおいて近位クレビス402bに装着され、第2の複数のプーリ412bもまた近位クレビス402bに装着されているが、これは第2の軸404bの近位に位置する第3の軸404cにおいて装着されている。駆動ケーブル408a~dがエンドエフェクタ204に動作可能に連結される前に、第1及び第2の複数のプーリ412a、bが協働して、「S」字形経路を介して駆動ケーブル408a~dの方向を変化させる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、一対の駆動ケーブル408a~dは、各ジョー210、212に動作可能に連結されており、対応するジョー210、212を「拮抗して」動作させるように構成されている。図示の実施形態では、例えば、第1及び第2の駆動ケーブル408a、bは、第1のジョー210においてコネクタ(図示せず)と連結され、第3及び第4の駆動ケーブル408c、dは、第2のジョー212においてコネクタ(図示せず)と連結されている。したがって、第1の駆動ケーブル408aを作動させると、第1のジョー210は第1の枢動軸線P1の周りで開放位置に向かって枢動し、第2の駆動ケーブル408bを作動させると、第1のジョー210は第1の枢動軸線P1の周りで反対方向に閉鎖位置に向かって枢動する。同様に、第3の駆動ケーブル408cを作動させると、第2のジョー212は第1の枢動軸線P1の周りで開放位置に向かって枢動し、第4の駆動ケーブル408dを作動させると、第2のジョー212は第1の枢動軸線P1の周りで反対方向に閉鎖位置に向かって枢動する。
【0036】
したがって、駆動ケーブル408a~dは、第1及び第2のジョー210、212の相対的な又は縦一列に並んだ移動を引き起こすように協働して(更に拮抗して)動作する「拮抗」ケーブルとして特徴付けることができ、さもなければ「拮抗」ケーブルと呼ばれることができる。第1の駆動ケーブル408aが作動される(移動される)と、第2の駆動ケーブル408bは、第1の駆動ケーブル408aに連結されているため、自然に追従し、第3の駆動ケーブル408cが作動されると、第4の駆動ケーブル408dは、第3の駆動ケーブル408cに連結されているため、自然に追従し、逆もまた同様である。
【0037】
エンドエフェクタ204は、第1のジョー保持部414aと、第1のジョー保持部414aから横方向にオフセットされた第2のジョー保持部414bと、を更に含む。第1のジョー保持部414aは、第1の軸404aに装着され、かつ第1のジョー210を受容し着座させるように構成されており、これにより、第1のジョー保持部414aが第1の枢動軸線P1を周りで移動(回転)すると、第1のジョー210も対応して移動(回転)するようになっている。第1のジョー保持部414aは更に、そのような運動(回転)をもたらすために、第1及び第2の駆動ケーブル408a、bなどの1つ以上の駆動ケーブルを受容し着座させるように構成された第1のプーリ416aを提供することができ、また別の方法で第1のプーリ416aを画定することができる。第2のジョー保持部414bも同様に、第1の軸404aに装着され、かつ第2のジョー212を受容し着座させるように構成されており、これにより、第2のジョー保持部414bが第1の枢動軸線P1の周りで移動(回転)すると、第2のジョー212も対応して移動(回転)するようになっている。第2のジョー保持部414bは更に、そのような運動(回転)をもたらすために、第3及び第4の駆動ケーブル408c、dなどの1つ以上の駆動ケーブルを受容し着座させるように構成された第2のプーリ416bを提供することができ、また別の方法で第2のプーリ416bを画定することができる。
【0038】
本明細書で使用する「ジョー保持部」という用語は、互いに対して移動可能な対向するジョー又は刃を有する種々の種類のエンドエフェクタに適用することが意図される。図示の実施形態では、ジョー210、212は、外科用ハサミのエンドエフェクタの対向するハサミ刃を備えている。したがって、ジョー保持部414a、bは、代替的に「刃保持部」と呼ばれることもできる。しかしながら、他の実施形態では、ジョー210、212は、代替的に、把持器エンドエフェクタ等に使用される対向するジョーを備えてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、「ジョー保持部」という用語が同様に当てはまる。更に、「ジョー保持部」における用語「保持部」は、「装着部」、「駆動部材」、又は「作動部材」と置き換えられてもよい。
【0039】
外科用ツール200はまた、電気エネルギーをエンドエフェクタ204に供給し、それによって、外科用ツール200を「電気外科用器具」へと変換する電気伝導体418を含んでよい。駆動ケーブル408a~dと同様に、電気伝導体418は、管腔410内で長手方向に延在してよい。いくつかの実施形態では、電気伝導体418及び電力ケーブル214(
図2)は、同じ構造を備えていてもよい。しかしながら、他の実施形態では、電気伝導体418は、例えば駆動ハウジング208(
図2)において、電力ケーブル214に電気的に連結されていてもよい。更に他の実施形態では、電気伝導体418は、駆動ハウジング208まで延在してよく、そこで電池又は燃料電池などの内部電源に電気的に連結される。
【0040】
いくつかの実施形態では、電気伝導体418は、ワイヤを含み得る。しかしながら、他の実施形態では、電気伝導体418は、導電性材料で作製された剛性又は半剛性のシャフト、ロッド、又はストリップ(リボン)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電気伝導体418は、非導電性材料で作製された絶縁被覆420(破線で示される)で部分的に覆われてもよい。絶縁被覆420は、例えば、熱収縮によって電気伝導体418に適用されるプラスチックを含んでもよいが、別の方法として、任意のその他の非導電性材料であってもよい。
【0041】
動作中、エンドエフェクタ204は、本開示の範囲から逸脱することなく、単極又は双極動作用に構成され得る。電気エネルギーは、電気伝導体418によってエンドエフェクタ204に伝達され、これは活性(又はソース)電極として作用する。少なくとも1つの実施形態では、電気伝導体418を通して伝導される電気エネルギーは、約100kHz~1MHzの周波数を呈する高周波(「RF」)エネルギーを含んでよい。RFエネルギーは、超音波撹拌又は摩擦を引き起こし、実際には抵抗加熱を生じさせ、それによって標的組織の温度を上昇させる。したがって、エンドエフェクタ204に供給される電気エネルギーは、熱に変換され、隣接組織に伝達されて、当該組織を切断、焼灼、及び/又は凝固するので(組織の局部加熱に依存する)、血管の封止又は出血の拡散に特に有用であり得る。
【0042】
外科用ツール200は、エンドエフェクタ204(リスト部206を含む)の様々な活きている(通電されている)部分を絶縁するように構成された保護スリーブ422を更に含んでもよく、それにより、動作中の漂遊放電から患者を保護する。図示されるように、スリーブ422は、第1の端部又は遠位端426aと、遠位端426aとは反対側の第2の端部又は近位端426bとを有する細長くて概ね円筒状の本体424を含んでもよい。本体424は、エンドエフェクタ204、リスト部206、及びシャフトアダプタ400(又は、シャフトアダプタ400が省略された場合、代替的にシャフト202)の部分の上に延在するようにサイズ決定されてもよい。使用するためにスリーブ422が適切に位置付けられると、ジョー部材210、212は、本体424の遠位端426aに画定された開口部430から突出し、近位端426bは、シャフトアダプタ400(又はシャフト202)に画定された半径方向肩部428(「シャフトアダプタフランジ」とも呼ばれる)に係合するか、又はこれと密接する。スリーブ422が適切に位置付けられる(装着される)と、電流は、露出したジョー部材210、212での意図された患者組織にのみ伝導することができる。
【0043】
図5は、エンドエフェクタ204に組み付けられたスリーブ422の側面図である。図示されるように、スリーブ422は、ジョー部材210、212が本体424の遠位端426aにある開口部430から突出するまで近位に前進させられ、近位端426bは、シャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)の半径方向肩部428に係合する。スリーブ422は、手術前に滅菌野内でエンドエフェクタ204に組み付けられ、ツール200(
図2)の洗浄前に取り外されてよい。スリーブ422は、意図しない経路での放電を軽減するために適切に装着されなければならず、適切に装着することの責務は、多くの場合、手術室内に待機している様々な手術室看護師に任されている。1つの課題は、スリーブ422の適切な装着をエラー防止し、スリーブ422が使用のために適切に位置付けられていることを確実にすることである。ジョー部材210、212の上方にスリーブ422を延在させると、ジョー部材210、212がスリーブ422の内壁に係合し、これに食い込む場合があり、これにより使用中に穴を形成し、その後、不注意によりこの穴を介して患者に放電する恐れがある。本開示は、確実にスリーブ422を適切に組み付けつつ(装着しつつ)、同時に装着中にジョー部材210、212がスリーブ422の内壁を抉出しないようにする実施形態を含む。
【0044】
更に、スリーブ422は、可撓性材料で作製されてよく、スリーブ422の半径方向内側表面と、エンドエフェクタ204の半径方向外側表面、リスト部206(
図4)、及び/又はシャフトアダプタ400との間での締まり嵌めを介して装着されてよい。好適な可撓性材料としては、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ニトリルゴム、ポリイソプレン、シリコーン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。スリーブ422の可撓性は、リスト部206が使用中に関節運動することを可能にするが、リスト部206が関節運動するために、スリーブ422が軸方向に変形する傾向を有してよく、これにより、近位端426bが半径方向肩部428から分離し、意図しない経路での放電の可能性を増加させ得る。本明細書に記載される実施形態はまた、スリーブ422を適所に固定するための手段と、スリーブ422を取り外すために使用され得るスリーブ抜き取りツールとを提供する。
【0045】
図6A及び
図6Bは、それぞれ、本開示の1つ以上の原理に従って使用され得る、代表的なスリーブ挿入アセンブリ602の分解図及び断面側面図である。スリーブ挿入アセンブリ602は、エンドエフェクタ204(
図4~
図5)にスリーブ422を装着する(組み付ける)ことに役立ち、同時に、ジョー部材210、212(
図4~
図5)との不注意による偶発的接触からユーザ(例えば、手術室看護師、外科医など)及びスリーブ422を保護するために使用されてよい。理解されるように、ジョー部材210、212は、並外れて鋭利であることが必要とされ、ユーザは、スリーブ422をジョー部材210、212の上に組み付けることを一般に課せられる。適切な予防策が講じられていない場合、ユーザは、ジョー部材210、212と接触することによって、スリーブ422及び/又は自身の手を不注意により切断する、又は穿刺することがある。スリーブ挿入アセンブリ602は、エンドエフェクタ204の偶発的な誤操作に起因する損傷又は切断の発生を低減するのに有利であることが判明してよい。
【0046】
図示されるように、スリーブ挿入アセンブリ602は、スリーブ挿入器604と、スリーブ422と、ブレードガード606とを含む。スリーブ挿入器604は、遠位端610aと、遠位端610aと反対側の近位端610bとを有する細長い略円筒形本体608を含む。本体608は、プラスチック、金属、ゴム、エラストマー、シリコーン、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な材料で作製され得る。
【0047】
本体608は、スリーブ422の上方に延在し、スリーブ422を受容するのに十分に大きい内室612を画定する、さもなければそのようにサイズ決めされる。いくつかの実施形態では、本体608は、近位端610bから遠位端610aに向かって延在する1つ以上の長手方向スロット614(2つを図示)を画定し得る。スロット614は、本体608内に弱い点を作り出し、これらの弱い点は、装着中にユーザが本体608を指で挟み、それによってスリーブ422の外側径方向表面に押し付けて本体608を潰すことを可能にする。これにより、スリーブ422の外側表面に直接接触する代わりにスリーブ挿入器604を把持し、移動させることによって、スリーブ422を装着位置に向かって前進させることができる。
【0048】
図示の実施形態では、2つのスロット614が示されているが、代替的に2つ以上が用いられてよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、スロット614のうちの1つ以上は、本体608の全長の半分を超える軸方向長さを呈し得る。他の実施形態では、スロット614の軸方向長さは、本開示の範囲から逸脱することなく、本体608の全長の半分未満であり得る。
【0049】
ブレードガード606は、閉鎖遠位端618aと、遠位端618aと反対側の開放近位端618bとを有する細長い略円筒形本体616を提供する。本体616は、スリーブ422内に受容されるようにサイズ決めされ、さもなければそのように構成されてよく、遠位端618aは、適切に装着されると、スリーブ422の開口部430を通って延在し得る。したがって、スリーブ挿入アセンブリ602は、ブレードガード606がスリーブ422内に受容され、スリーブ422及びブレードガード606が合わせてスリーブ挿入器604内に受容される、入れ子アセンブリを形成する。
【0050】
少なくとも1つの実施形態では、スリーブ挿入器604は、スリーブ422及びブレードガード606をスリーブ挿入器604内に収容することに役立つ、さもなければスリーブ挿入器604からスリーブ422及びブレードガード606が落下しないようにするために、近位端610bに保持機構620(
図6B)を設ける、さもなければ保持機構620を画定してよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、保持機構620は、内室612内へと短い距離を延在する突出部を備えてよいが、代替的に、スリーブ422及びブレードガード606をスリーブ挿入器604内に維持することに役立つ、任意の他の構造的機構を備えてよい。
【0051】
ブレードガード606は、エンドエフェクタ204(
図4~
図5)にスリーブ422を装着するときにジョー部材210、212(
図4~
図5)を受容するようにサイズ決めされた内部622を画定してよい。ブレードガード606は、スリーブ422の装着中にジョー部材210、212がスリーブ422の内壁を貫通しないように、さもなければ内壁に係合しないように構成されてよい。これを達成するために、ブレードガード606の本体616は、金属、熱可塑性材料(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンなど)、複合材料、及びこれらの任意の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない様々な剛性材料で作製されてよい。
【0052】
図7A~
図7Cは、1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブ422の装着を示す、スリーブ挿入アセンブリ602の漸次的な断面側面図である。
図7Aでは、スリーブ挿入アセンブリ602は、スリーブ422内で入れ子状であるブレードガード606を有し、どちらもスリーブ挿入器604内に配置され、スリーブ422を展開する準備ができている。いくつかの実施形態では、スリーブ挿入器604、スリーブ422、及びブレードガード606は、共通の無菌包装に入れられて、一緒に出荷されてよい。無菌パックを開くと、ユーザ(例えば、手術室看護師、外科医など)は、概ね上述したようにスリーブ422及びブレードガード606を嵌合させ、入れ子状のスリーブ422及びブレードガード606をスリーブ挿入器604内へと延在させてよい。しかしながら、他の実施形態では、スリーブ422及びブレードガード606は、配達時に予めスリーブ挿入器604に組み込まれてよい。
【0053】
スリーブ422を展開するために、スリーブ挿入アセンブリ602は、エンドエフェクタ204に近接させられ、ジョー部材210、212は、ブレードガード606の内部622と整列させられて、挿入される。いくつかの実施形態では、近位端618bにあるブレードガード606の開口部は先細であってよく、さもなければ傾斜していて、鋭利な角部に結合せずにジョー部材210、212を受容することを支援してよい。ジョー部材210、212をブレードガード606に挿入することにより、ジョー部材210、212が、不注意にもスリーブ422の内壁に接触し、内壁を切断する可能性を阻止する。次いで、ユーザは、スリーブ挿入器604をエンドエフェクタ204に対して近位に前進させ、同時に、エンドエフェクタ204、リスト部206、及びシャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)の上方でスリーブ422を前進させてよい。
【0054】
近位端618bにあるブレードガード606の開口部は、ジョー部材210、212を受容するのに十分な大きさであるが、エンドエフェクタ204の本体(即ち、
図4のジョーホルダ414a、414b)よりも小さい。したがって、エンドエフェクタ204全体が内部622に入らないようにする。代わりに、スリーブ挿入器604がエンドエフェクタ204に対して近位に(即ち、
図7A~
図7Cでは右へと)前進するにつれて、エンドエフェクタ204の一部は、ブレードガード606の近位端618bに係合し、スリーブ挿入器604の更なる近位移動は、それに対応して、ブレードガード606をスリーブ422及びスリーブ挿入器604に対して遠位に付勢するであろう。
【0055】
図7Bでは、スリーブ挿入器604は、エンドエフェクタ204に対して近位方向に更に移動している。いくつかの実施形態では、スリーブ422は、スリーブ挿入器604を片手の親指及び人差し指で挟むことによってなど、近位端610b又はその付近で対抗する半径方向荷重Fをスリーブ挿入器604に加えることによりエンドエフェクタ204の上方を前進し得る。半径方向荷重Fは、スリーブ挿入器604の半径方向内側表面にスリーブ422の半径方向外側表面と係合させ得る、さもなければスリーブ422の半径方向外側表面を把持させ得る。いくつかの実施形態では、近位端610b又はその付近の半径方向内側表面は、スリーブ422の半径方向外側表面を把持することに役立つように構成された、ローレット面又はリブ付き輪郭など把持境界面を含み得る。スロット614(
図6A)は、スリーブ挿入器604が半径方向内側に屈曲することを可能にし、その結果、スリーブ挿入器604は、スリーブ挿入器604内のスリーブ422に潜在的に結合する(つぶれる)ことなく、エンドエフェクタ204に対して近位に前進し得る。代替的に、スリーブ挿入器604の内側は、スリーブ422の外径よりも大きくてよく、これにより、ユーザは、スリーブ挿入器604の遠位端を把持することによってスリーブ422を押すことができる。スリーブ挿入器604の内側表面とスリーブ422との間のこの隙間は、例えば0.05mm~1.0mmであってよい。この隙間は、シャフトアダプタ400に当接してスリーブ422を挟まないようにし、同時にスリーブ422の組付け中に、スリーブ422が座屈しないように十分にスリーブ422を収容する。
【0056】
スリーブ挿入器604がエンドエフェクタ204に対して近位に移動するにつれて、ブレードガード606は、それに応じて、遠位端618aでエンドエフェクタ204に当接して係合するために、スリーブ422に対して遠位に移動し得る。スリーブ挿入器604は、遠位端610aに開口部702を画定してよい、さもなければ開口部702を設けてよく、ブレードガード606の遠位端618aは、ブレードガード606が遠位に移動するにつれて開口部702を通って延在してよい。スリーブ挿入器604は、開口部702を通って前進するにつれて開口部702が屈曲し、半径方向外側に膨張してブレードガード606を受容することを可能にする可撓性材料で作製されてよい。
【0057】
図7Cでは、スリーブ挿入器604は、スリーブ422がエンドエフェクタ204、リスト部206、及びシャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)の上方で適切に装着されるまで、エンドエフェクタ204に対して近位に前進する。いくつかの実施形態では、スリーブ挿入器604は、スリーブ422の近位端426bがシャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)の半径方向肩部428に係合するか、又はこれと密接するまで近位に前進する。他の実施形態では、又はそれに加えて、スリーブ挿入器604は、スリーブ422が半径方向肩部428に接して適切に着座されるであろう底部にエンドエフェクタ204が達するまで近位に前進してよい。より具体的には、スリーブ422が半径方向肩部428に対して押し上げられると、スリーブ挿入器604は、スリーブ挿入器604がこれ以上近位に押されることができないように、ハードストップを示す。これにより、スリーブ422が、シャフトアダプタ400上で過剰に近位に、場合によっては半径方向肩部428を超えて押されないようにする。少なくとも1つの実施形態では、例えば、この移動ハードストップの端部は、スリーブ挿入器604の遠位内径に係合するブレードガード606の近位部分によって設けられ得る。
【0058】
次いで、スリーブ挿入器604を遠位に後退させ、それによってスリーブ挿入器604をエンドエフェクタ204から取り外し、スリーブ422が適切に装着されたままにしてよい。スリーブ挿入器604が柔軟な材料(例えば、エラストマー又はシリコーン)で作製されている実施形態では、スロット614(
図6A)は、組み付け後にエンドエフェクタ204からスリーブ挿入器604を「はがす」ことを可能にしてよい。そのような実施形態では、ユーザは、近位端610b又はその付近でスリーブ挿入器604を把持してよく、スロット614は、バナナをむく方法と同様に、スリーブ挿入器604を漸次的に取り外すことに役立ち得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ブレードガード606は、ユーザによって開口部702から取り外されてよいが、代替的に、開口部702においてスリーブ挿入器604と係合したままであってよい。いくつかの実施形態では、ブレードガード606は、明るいオレンジ又は蛍光オレンジなどユーザ(例えば、手術室看護師、外科医など)が容易に知覚可能な色で製作されるか、さもなければ製造されてよい。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上の視覚的インジケータ(図示せず)がブレードガード606の本体に含まれてよい。視覚的インジケータが露出すると、スリーブ422が適切に着座されていることをユーザに示し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、スリーブ挿入器604はまた、スリーブ422の取り外しに役立つように使用されてよい。そのような実施形態では、スリーブ挿入器604はスリーブ422の上方に延在してよく、この場合にも半径方向荷重F(
図7B)が加えられて、近位端426b又はその付近でスリーブ422の半径方向外側表面に係合してよい、さもなければ半径方向外側表面を把持してよい。スリーブ422が係合されると、ユーザは、スリーブ挿入器604及びスリーブ422を合わせてエンドエフェクタ204に対して遠位に移動させてよい。そのような実施形態では、上述の把持境界面は、スリーブ422の外側径方向表面を把持するのを助けるのに有利であり得る。
【0061】
図8は、本開示の1つ以上の実施形態による、スリーブ422及びシャフトアダプタ400の部分分解断面図である。スリーブ422の可撓性は、リスト部206(
図2及び
図4)が使用中に関節運動することを可能にするが、リスト部206が関節運動するにつれて、スリーブ422は軸方向に変形する傾向を有してよく、これにより、スリーブ422の近位端426bが半径方向肩部428から分離し、意図しない経路での放電の可能性を増加させ得る。いくつかの実施形態では、図示されるように、シャフトアダプタ400は、その外側表面に1つ以上の環状溝802を設けてよい、さもなければそれを画定してよく、スリーブ422の内側表面は、環状溝802と嵌合するように構成された、対応する1つ以上の環状突出部804(2つを図示)を設けてよい、さもなければそれを画定してよい。スリーブ422は、突出部804が溝802と係合するように位置し、スナップ嵌めされるまで近位に前進してよく、このことは、使用中にスリーブ422を適所に維持することに役立つが、スリーブ422が適切に装着されていることを示すポジティブインジケータも提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、突出部804が溝802を探すときにスリーブ422の近位端426bが半径方向肩部428に同時に係合する(又はそれと密接する)ことができるように、溝802及び突出部804は、半径方向肩部428及び近位端426bからそれぞれ既知の距離だけ離れていてよい。更に、
図8は、シャフトアダプタ400に固定されているスリーブ422を示すが、スリーブ422は、代替的に、本開示の範囲から逸脱することなく、同様の係合手段を介してシャフト202に連結されてよいことに留意されたい。更に、溝802及び突出部804の配置は逆であってよく、本開示の範囲から逸脱することなく、溝802は、代替的にスリーブ422に画定され、突出部804は、シャフトアダプタ400(又はシャフト202)に画定される。
【0063】
図9A及び
図9Bは、それぞれ、1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブ抜き取り器900の等角図及び側面図である。スリーブ抜き取り器900は、使用後にスリーブ422をエンドエフェクタ204から取り外すように設計され、使用されてよい。図示されるように、スリーブ抜き取り器900は、遠位端904a及び近位端904bを有する略円筒形本体902を有する。近位端904bは、エンドエフェクタ204及びスリーブ422を受容するように開放されていてよい。
【0064】
スリーブ抜き取り器900は、スリーブ422の近位端426bに係合することができてよく、それにより、ユーザは、取り外しのために、スリーブ422の半径方向外側表面を掴む(把持する)、又はスリーブ422の遠位端426aを引き寄せる必要がない。これを達成するために、スリーブ抜き取り器900は、スリーブ422の近位端426bに係合するように構成された1つ以上の長手方向に延在する指部906を設けてよい、さもなければそれを画定してよい。各指部906は、半径方向内側に延在し、シャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)に画定されたノッチ910内に受容されるようにサイズ決めされたタブ908を設けてよい。少なくとも1つの実施形態では、図示されるように、ノッチ910は、シャフトアダプタ400をシャフト202に固定することに役立つように構成されたシャフトアダプタリングを備え得る、半径方向肩部428に画定されてよい。ノッチ910は、スリーブ422が適切に装着されると、スリーブ422の近位端426bの近位に位置してよい。
【0065】
スリーブ422を取り外すために、スリーブ抜き取り器900は、エンドエフェクタ204及びスリーブ422の上方を前進する。スリーブ抜き取り器900は、指部906のタブ908がノッチ910を角度的に、かつ軸方向に位置付けるまで、スリーブ422に対して近位に前進し、回転してよい。少なくとも1つの実施形態では、図示されるように、ユーザによるノッチ910の正確な位置付けに役立つように、マーキング912(例えば、矢印など)がシャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)に設けられてよい。マーキング912は、外側表面にレーザエッチングされてよい、若しくは塗装されてよく、又は代替的に、適切な位置に貼付されたステッカーを含んでよい。
【0066】
ノッチ910が位置付けられると、ユーザは、指部906に半径方向内向き荷重を与えて、ノッチ910内にタブ908を着座(受容)させ、それによってタブ908をスリーブ422の近位端426bに配置してよい。次いで、スリーブ抜き取り器900をシャフトアダプタ400に対して遠位に後退させてよく、タブ908は近位端426bに係合し、スリーブ422を同じ方向に付勢してよい。スリーブ抜き取り器900の継続的な遠位移動は、最終的に、シャフトアダプタ400及びエンドエフェクタ204からスリーブ422を取り外す。
【0067】
図9A~
図9Bでは、スリーブ抜き取り器900が開放遠位端904aを有するように図示されているが、本明細書では閉鎖遠位端904aを有することが企図される。閉鎖遠位端904aは、エンドエフェクタ204のジョー部材210、212が遠位端904aから延出しないようにしてよく、それによって、スリーブ抜き取り器900の使用中にジョー部材210、212がユーザに接触しないようにする。更に、閉鎖遠位端904aはまた、スリーブ422及びスリーブ抜き取り器900を一緒に容易に廃棄するために、スリーブ422の取り外し後に、スリーブ422をその円筒形本体の内部に収容するように機能してよい。
【0068】
図10A及び
図10Bは、それぞれ、1つ以上の実施形態による、別の代表的なスリーブ抜き取り器1000の等角図及び側面図である。スリーブ抜き取り器1000は、いくつかの点で
図9A~
図9Bのスリーブ抜き取り器900に類似していてよく、したがって、それに関連して最も良く理解されてよい(同様の数字は同様の構成要素に対応し、再度説明されない)。図示されるように、スリーブ抜き取り器1000は、タブ908がノッチ910内に受容されると、スリーブ422の近位端426bをタブ908と係合させるように構成された、長手方向に延在する指部906を画定する本体902を含む。
【0069】
スリーブ抜き取り器1000は、本体902の周囲に延在することができる略円筒形本体1004を設ける円筒形ロック1002を更に含んでよい。円筒形ロック1002は、本体902に画定されたスロット1010内に受容可能な延長部1008をもたらすロックアーム1006を設けてよい、又はそれを画定してよい。円筒形ロック1002は、スリーブ抜き取り器1000に対して軸方向に並進することができてよく、スロット1010内に受容された延長部1008は、円筒形ロック1002がスロット1010の境界を越えて移動しないようにする。
【0070】
スリーブ422を取り外すために、周囲に円筒形ロック1002を位置付けたスリーブ抜き取り器1000は、エンドエフェクタ204及びスリーブ422の上方を前進する。スリーブ抜き取り器1000は、指部906のタブ908がノッチ910を角度的に、かつ軸方向に位置付けるまで、スリーブ422に対して近位に前進し、回転してよい。ノッチ910が配置されると、円筒形ロック1002は、
図10Bに示されるように、下にある本体902に対して近位に前進してよい。円筒形ロック1002の近位移動は、スロット1010の軸方向長さ及び中に受容される延長部1008によって限定される。
【0071】
円筒形ロック1002を近位に前進させることは、指部906に作用し、タブ908をノッチ910と係合させ、これにより、タブ908をスリーブ422の近位端426bに配置する。いくつかの実施形態では、例えば、円筒形ロック1002の半径方向内側表面及び指部906の半径外側表面の一方又は両方は、円筒形ロック1002が前進するにつれて、指部906が半径方向内側に付勢されるように先細であってよく、さもなければ傾斜していてよい。代替的に、指部906は、スリーブ422から離れるように自然に付勢されてよく、円筒形ロック1002を近位に前進させることは指部906に作用し、アーム906を半径方向内側に押し進める。
【0072】
タブ908がノッチ910内に着座すると、スリーブ422は、スリーブ抜き取り器1000をシャフトアダプタ400に対して遠位に後退させることによって取り外されてよい。スリーブ抜き取り器1000が遠位に移動すると、タブ908はスリーブ422の近位端426bに係合し、同時にスリーブ422を同一方向に付勢してよい。スリーブ抜き取り器1000の継続的な遠位移動は、最終的に、シャフトアダプタ400及びエンドエフェクタ204からスリーブ422を取り外すであろう。
【0073】
図10A~
図10Bでは、スリーブ抜き取り器1000が開放遠位端を有するものとして図示されているが、本明細書では、
図9A及び
図9Bのスリーブ抜き取り器900について上述した理由と同じ理由で、閉鎖遠位端を有することが企図される。
【0074】
図11A及び
図11Bは、本開示の原理に従って使用され得る、別の代表的なスリーブ挿入アセンブリ1102の等角分解図及び組立図である。スリーブ挿入アセンブリ1102は、いくつかの点で
図6A~
図6Bのスリーブ挿入アセンブリ602に類似していてよく、したがって、スリーブ挿入アセンブリ1102は、エンドエフェクタ204(
図4~
図5)にスリーブ422を装着(組み付け)することに役立つように使用されてよく、同時に、不注意によるジョー部材210、212(
図4~
図5)との偶発的な接触からスリーブ422を保護してよい。
【0075】
図示されるように、スリーブ挿入アセンブリ1102は、スリーブ挿入器1104と、スリーブ抜き取りツール1106と、スリーブ422と、ブレードガード1108とを含む。スリーブ挿入器1104は、遠位端1112aと、遠位端1112aと反対側の近位端1112bとを有する細長い略円筒形本体1110を含む。本体1110は、プラスチック、金属、ゴム、エラストマー、シリコーン、及びこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な材料で作製され得る。しかしながら、少なくとも1つの実施形態では、本体1110は、使用中に本体が屈曲する又は膨張することを可能にする、シリコーン又は柔軟エラストマーなど可撓性材料で作製されるであろう。
【0076】
本体1110は、スリーブ422及びスリーブ抜き取りツール1106の一部の上方に延在し、これらを受容するのに十分に大きい内室1114を画定する、さもなければそのようにサイズ決めされる。本体1110は、近位端1112bから遠位端1112aに向かって延在する1つ以上の長手方向スロット1116(1つを図示)を画定し得る。スロット1116は、以下に記載されるように、エンドエフェクタ204(
図4~
図5)を受容すると、スリーブ挿入器1104が外向きに屈曲することを可能にする。
【0077】
スリーブ抜き取りツール1106は、熱可塑性材料又は金属など剛性又は半剛性材料で作製されてよい。図示されるように、スリーブ抜き取りツール1106は、環状リング1118と、リング1118から長手方向に延在する1つ以上のアーム1120(2つを図示)とを提供する。スリーブ挿入アセンブリ1102が適切に組み付けられると、リング1118は、スリーブ挿入器1104の内室1114内に受容されてよく、各アーム1120は、長手方向スロット1116のうちの対応する1つの内部に受容されてよい。
【0078】
各アーム1120は、半径方向内側に延在し、シャフトアダプタ400(
図4~
図5及び
図9A~
図9B)又はシャフト202(
図2)に画定されたノッチ(例えば、
図9A~
図9Bのノッチ910)内に受容されるようにサイズ決めされたタブ1122を設けてよい。各アーム1120は、外側に自然に付勢されてよく、以下に記載されるように、ユーザは、アーム1120の端部に対抗する力Fを与えて、スリーブ422の取り外しに備えて、対応するノッチ内にタブ1122を着座させてよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、各アーム1120の近位端に指掴み部1124が設けられてよい、さもなければ指掴み部1124が画定されてよく、各指掴み部1124は、ユーザが対向する指で対抗する力Fを加える位置を提供してよい。
【0079】
少なくとも1つの実施形態では、指掴み部1124は、取り外す力を低減することに役立つ機械的利点を提供するように傾斜していてよい。より具体的には、指掴み部1124の角度は、スリーブ422の半径方向外側表面を挟むのとは対照的に、スリーブ422を遠位方向に押し出すように力ベクトルFを向ける。これは、スリーブ422が緊密な締まり嵌めによってシャフトアダプタ400の半径方向外側表面に固定され得るために有利であり得、傾斜した指掴み部1124は、この係合を克服するのに役立ち得る。
【0080】
ブレードガード1108は、いくつかの点で
図6A~
図6Bのブレードガード606に類似していてよい。
図11Aに最も良く示されているように、ブレードガード1108は、閉鎖遠位端1128aと、遠位端1128aと反対側の開放近位端1128bとを有する細長い略円筒形本体1126を提供する。本体1126は、スリーブ422内に受容されるようにサイズ決めされてよい、さもなければそのように構成されてよく、遠位端1128aは、適切に装着されると、スリーブ422の開口部430を通って延在し得る。更に、スリーブ422の遠位端426aは、適切に装着されると、スリーブ抜き取りツール1106のリング1118において受容されるようにサイズ決めされてよい。したがって、スリーブ挿入アセンブリ1102は、適切に組付けられると、ブレードガード1108はスリーブ422内に受容され、スリーブ422はスリーブ抜き取りツール1106内に部分的に受容され、スリーブ抜き取りツール1106、スリーブ422、及びブレードガード1108は合わせてスリーブ挿入器1104内に受容される、入れ子構成を形成する。
【0081】
図12A及び
図12Bは、1つ以上の実施形態による、代表的なスリーブ422の装着を示す、
図11A~
図11Bのスリーブ挿入アセンブリ1102の漸次的な断面側面図である。
図12Aでは、スリーブ挿入アセンブリ1102は、スリーブ422内で入れ子状であるブレードガード1108を伴って組み立てられ、スリーブ422の遠位端426aは、スリーブ抜き取りツール1106のリング1118とブレードガード1108との内部に受容され、スリーブ422及びスリーブ抜き取りツール1106は全て、スリーブ挿入器1104の内室1114内に少なくとも部分的に受容される。この状態で、スリーブ挿入アセンブリ1102はスリーブ422を展開する準備ができている。
【0082】
少なくとも1つの実施形態では、スリーブ挿入器1104は、近位端1112bにおいて保持機構1202を設け得る、さもなければ保持機構1202を画定し得る。保持機構1202は、
図6Bの保持機構620に類似していてよく、したがって、スリーブ挿入器1104内にスリーブ422及びブレードガード1108を収容し、それらが脱落しないようにすることに役立つように使用されてよい。いくつかの実施形態では、図示されるように、保持機構1202は、近位端1112bにおいて内室1114内へと短い距離を延在する突出部を備えてよいが、スリーブ422及びブレードガード1108をスリーブ挿入器1104内に維持することに役立つ、任意の他の構造的機構を代替的に備えてよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、スリーブ挿入アセンブリ1102は、スリーブ挿入器1104の遠位端1112a又はその付近に第2の保持機構1204を含んでよい。第2の保持機構1204は、ブレードガード1108をスリーブ挿入器1104内に保持することに役立つように構成されてよい。いくつかの実施形態では、第2の保持機構1204は、ブレードガード1108とスリーブ挿入器1104との間に実矧ぎ関係を含んでよい。図示の実施形態では、突出部1206は、スリーブ挿入器1104の内室1114の半径方向内側表面に画定され、突出部1206は、ブレードガード1108の半径方向外側表面に画定された溝1208内に受容されるようにサイズ決めされる。第2の保持機構1204におけるブレードガード1108とスリーブ挿入器1104との嵌合係合は、以下に記載されるようにブレードガード1108に軸荷重を加えることによって破壊され得る。
【0084】
ブレードガード1108は、エンドエフェクタ204のジョー部材210、212を受容するようにサイズ決めされた内部1210を画定してよい。ブレードガード1108は、スリーブ422の装着中にジョー部材210、212がスリーブ422の内壁を貫通しないように、さもなければ内壁に係合しないように構成されてよい。これを達成するために、ブレードガード1108は、金属、熱可塑性材料(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンなど)、複合材料、及びこれらの任意の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない様々な剛性材料で作製されてよい。
【0085】
スリーブ422を展開するために、スリーブ挿入アセンブリ1102をエンドエフェクタ204に近接させ、まずエンドエフェクタ204をスリーブ挿入器1104の内室1114へと前進させる。エンドエフェクタ204が内室1114に入るにつれて、エンドエフェクタ204は、スリーブ挿入器1104の近位端1112bにおいて保持機構1202と係合し得、したがって、スリーブ挿入器1104を外向きに屈曲させてエンドエフェクタ204を受容させる。スリーブ挿入器1104に画定されたスロット1116は、スリーブ挿入器1104が屈曲して開放することを可能にする。更に、スリーブ挿入器1104を外向きに屈曲させることにより保持機構1202の係合を解除し、それによってスリーブ422が更なる動作中にスリーブ挿入器1104から外れることを可能にする。
【0086】
ジョー部材210、212は、ブレードガード1108の内部1210と位置合わせされ、そこに挿入される。いくつかの実施形態では、近位端1128bにあるブレードガード1108の開口部は先細であってよく、鋭利な角部に結合せずにジョー部材210、212を受容することに役立ってよい。ジョー部材210、212をブレードガード1108に挿入することにより、ジョー部材210、212が、不注意にもスリーブ422の内壁に接触し、場合によっては内壁を切断しないようにする。次いで、ユーザは、スリーブ挿入器1104をエンドエフェクタ204に対して近位に(即ち、
図12A~
図12Bでは右へと)前進させ、同時に、エンドエフェクタ204、リスト部206、及びシャフトアダプタ400(又は
図2のシャフト202)の上方でスリーブ422を前進させてよい。
【0087】
近位端618bにあるブレードガード606の開口部は、ジョー部材210、212を受容するのに十分な大きさである。したがって、エンドエフェクタ204全体が内部1210に入らないようにする。代わりに、スリーブ挿入器1104がエンドエフェクタ204に対して近位に前進するにつれて、エンドエフェクタ204の一部は、ブレードガード1108の近位端1128bに係合し、スリーブ挿入器1104の更なる近位移動は、それに対応して、ブレードガード1108をスリーブ422及びスリーブ挿入器604に対して遠位に付勢するであろう。
【0088】
図12Bでは、スリーブ挿入器1104は、エンドエフェクタ204に対して近位方向に更に移動している。スリーブ挿入器1104が近位に移動するにつれて、ブレードガード1108は、ブレードガード1108の遠位端1128bにおいてエンドエフェクタ204に当接して係合するために、それに対応してスリーブ422に対して遠位に付勢され得る。スリーブ挿入器1104を近位に移動させることによって生じた、エンドエフェクタ204によってブレードガード1108に加えられる軸荷重は、第2の保持機構1204を破損させ得る。より具体的には、スリーブ挿入器1104は、可撓性材料(例えば、シリコーン)で作製されてよく、エンドエフェクタ204によってブレードガード1108にかけられる軸荷重は、スリーブ挿入器1104の突出部1206を屈曲させて、ブレードガード1108の溝1208との係合を解除し得る。第2の保持機構1204が破壊されると、ブレードガード1108は、概ね妨げられずに遠位に移動することができてよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、スリーブ挿入器1104は、遠位端1112aに開口部1212を画定してよい、さもなければ開口部1212を設けてよく、ブレードガード1108の遠位端1128aは、ブレードガード1108が遠位に移動するにつれて、開口部1212を通って延在してよい。スリーブ挿入器1104は可撓性材料で作製されているため、開口部1212は屈曲し、半径方向外側に膨張して、ブレードガード1108が遠位に前進できるようにする。
【0090】
スリーブ挿入器1104は、スリーブ422がエンドエフェクタ204、リスト部206、及びシャフトアダプタ400(又はシャフト202)の上方に適切に装着されるまで、エンドエフェクタ204に対して近位に前進する。スリーブ挿入器1104が近位に前進している間、スリーブ抜き取りツール1106のアーム1120は、外向きに自然に屈曲し、スリーブ422の外側表面との係合から外れる。いくつかの実施形態では、スリーブ挿入器1104は、スリーブ422の近位端426bがシャフトアダプタ400の半径方向肩部428と係合するか、又はこれと密接に接触するまで近位に前進する。他の実施形態では、又はそれに加えて、スリーブ挿入器1104は、スリーブ422が半径方向肩部428に接して適切に着座されるであろう底部にエンドエフェクタ204が達するまで近位に前進してよい。スリーブ422が適切に装着されると、次いで、スリーブ挿入器1104は遠位に後退させられ、それによってスリーブ挿入器1104及びスリーブ抜き取りツール1106をエンドエフェクタ204から取り外し、使用するためにスリーブ422を装着したままにしておいてよい。
【0091】
スリーブ挿入アセンブリ1102はまた、必要に応じてスリーブ422の取り外しに役立つように使用されてよい。そのような実施形態では、スリーブ挿入器1104及びスリーブ抜き取りツール1106は、この場合もスリーブ422の上方に延在してよく、スリーブ挿入器1104は、各アーム1120のタブ1122が半径方向肩部428に画定された対応するノッチ910を角度的に、かつ軸方向に位置付けるまで、スリーブ422に対して近位に前進し、回転してよい。ノッチ910が位置付けられると、ユーザは、指掴み部1124において各アーム1120に半径方向内向き荷重を与えて、例えば、ノッチ910内にタブ1122を着座(受容)させ、それによってタブ1122をスリーブ422の近位端426bに配置してよい。次いで、スリーブ挿入器1104及びスリーブ抜き取りツール1106をシャフトアダプタ400に対して遠位に後退させてよく、タブ1122は近位端426bに係合し、同時に、スリーブ422を同じ方向に付勢してよい。スリーブ抜き取り器900の継続的な遠位移動は、最終的に、シャフトアダプタ400及びエンドエフェクタ204からスリーブ422を取り外す。
【0092】
本明細書に開示される実施形態は、以下を包含する。
【0093】
A.内室を画定し、遠位端及び遠位端と反対側の近位端を有するスリーブ挿入器と、内室内に受容可能なスリーブと、スリーブ内に受容可能であって、内部及び開放端を画定する円筒形本体を有するブレードガードと、を含むスリーブ挿入アセンブリであって、開放端は、エンドエフェクタのジョー部材を内部に受容するが、エンドエフェクタが内部に入らないようにサイズ決めされ、ブレードガードは、スリーブがエンドエフェクタに装着されると、スリーブから押し出される。
【0094】
B.外科用ツールのエンドエフェクタにスリーブを装着する方法は、スリーブ挿入アセンブリをエンドエフェクタに近接させることであって、スリーブ挿入アセンブリは、スリーブ挿入器と、スリーブ挿入器内に位置付けられたスリーブと、スリーブ内に受容されたブレードガードと、を有する、ことと、エンドエフェクタのジョー部材をブレードガードの内部に挿入することと、スリーブ挿入器をエンドエフェクタに対して近位に前進させ、それによってスリーブをエンドエフェクタの上方で前進させることと、エンドエフェクタをブレードガードに係合させ、それによってスリーブ挿入器が近位に前進するにつれてブレードガードをスリーブから外すことと、スリーブ挿入器が近位に前進するにつれて、ジョー部材がスリーブをブレードガードと接触させないようにすることと、を含む。
【0095】
C.スリーブ抜き取り器は、遠位端及び近位端を有する円筒形本体と、本体に画定された、1つ以上の長手方向に延在する指部と、各指部の端部に設けられ、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定されたノッチ内に受容可能なタブであって、ノッチは、スリーブの近位端の近位に位置する、タブと、を備え、スリーブは、対応するノッチ内に各指部のタブを位置付け、シャフトアダプタ又はシャフトに対して遠位に本体及びスリーブを後退させることによって取り外される。
【0096】
D.スリーブをエンドエフェクタから取り外す方法は、スリーブ抜き取り器をスリーブの上方に延在させることであって、スリーブ延長装置は、遠位端及び近位端を有する円筒形本体と、本体に画定された、1つ以上の長手方向に延在する指部と、を含む、ことと、1つ以上の長手方向に延在する指部を、シャフトアダプタ又はシャフトに画定された、対応する1つ以上のノッチと軸方向に、かつ角度的に整列させることと、長手方向に延在する指部に半径方向荷重を加え、それによって、各指部に画定されたタブを対応する1つ以上のノッチ内に受容することと、エンドエフェクタに対して遠位にスリーブ抜き取り器を移動させ、それによってエンドエフェクタ及びシャフトアダプタ又はシャフトからスリーブを取り外すことと、を含む。
【0097】
実施形態A、B、C、及びDのそれぞれは、以下の追加要素の1つ以上を任意の組み合わせで有してよい。要素1:スリーブ挿入器は、プラスチック、金属、ゴム、エラストマー、シリコーン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料で作製されている。要素2:スリーブ挿入器の近位端に画定されて、スリーブ及びブレードガードをスリーブ挿入器内に維持することに役立つ保持機構を更に備える。要素3:ブレードガードは、金属、熱可塑性材料、複合材料、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される剛性材料で作製されている。要素4:スリーブ挿入器に画定され、近位端から遠位端に向かって延在する、1つ以上の長手方向スロットを更に備える。要素5:内室内に受容可能な環状リングと、リングから長手方向に延在する1つ以上のアームであって、各アームは、1つ以上の長手方向スロットのうちの対応する1つの内部に受容される、1つ以上のアームと、各アームの端部から延在するタブであって、タブは、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定されたノッチ内に受容可能である、タブと、を設けるスリーブ抜き取りツールを更に備える。要素6:各アームの端部に設けられた指掴み部を更に備え、指掴み部は傾斜していて、スリーブを取り外す力の低減に役立つ機械的利点を提供する。要素7:ブレードガードをスリーブ挿入器内に保持することに役立つ保持機構を、スリーブ挿入器の遠位端又はその付近に更に備える。
【0098】
要素8:スリーブ挿入器が近位に前進するにつれて、スリーブ挿入器の遠位端に画定された開口部からブレードガードを外すことを更に含む。要素9:スリーブ挿入器をスリーブの上方に延在させることと、スリーブ挿入器に半径方向荷重を加え、それによってスリーブの近位端又はその付近でスリーブの半径方向外側表面を把持することと、エンドエフェクタに対して遠位にスリーブ挿入器及びスリーブを移動させ、それによってエンドエフェクタからスリーブを取り外すことと、を更に含む。要素10:スリーブ挿入器は、1つ以上の長手方向に延在する指部を画定し、方法は、スリーブ挿入器をスリーブの上方に延在させることと、1つ以上の長手方向に延在する指部を、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定された、対応する1つ以上のノッチと軸方向に、かつ角度的に整列させることと、長手方向に延在する指部に半径方向荷重を加え、それによって、各指部に画定されたタブを対応する1つ以上のノッチ内に受容することと、エンドエフェクタに対して遠位にスリーブ挿入器及びスリーブを移動させ、それによってエンドエフェクタからスリーブを取り外すことと、を更に含む。要素11:スリーブ挿入器は、近位端から延在する、1つ以上の長手方向スロットを画定し、スリーブ挿入アセンブリは、スリーブ挿入器内に受容可能な環状リングと、リングから長手方向に延在し、1つ以上の長手方向スロットのうちの対応する1つの内部に受容される、1つ以上のアームと、を設けるスリーブ抜き取りツールを更に含み、方法は、スリーブ挿入器及びスリーブ抜き取りツールをスリーブの上方に延在させることと、1つ以上のアームを、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定された、対応する1つ以上のノッチと軸方向に、かつ角度的に整列させることと、1つ以上のアームに半径方向荷重を加え、それによって、各アームに画定されたタブを対応する1つ以上のノッチ内に受容することと、エンドエフェクタに対して遠位にスリーブ挿入器、スリーブ抜き取りツール、及びスリーブを移動させ、それによってエンドエフェクタ及びシャフトアダプタ又はシャフトからスリーブを取り外すことと、を更に含む。要素12:各アームに指掴み部が設けられ、各指掴み部は傾斜しており、1つ以上のアームに半径方向荷重を加えることは、指掴み部に半径方向荷重を加えることと、スリーブに対する指掴み部の角度に基づいて、スリーブを取り外す力を低減させることと、を含む。要素13:スリーブ抜き取りツールは閉鎖遠位端を有し、方法は、ジョー部材が、ユーザをスリーブ抜き取りツールと接触させないようにすることと、スリーブが取り外されると、スリーブをスリーブ抜き取りツール内に収容することと、を更に含む。
【0099】
要素14:シャフトアダプタ又はシャフトに設けられて、ノッチの位置を示すマーキングを更に備える。要素15:本体の周囲に延在可能な円筒形ロックを更に備え、円筒形ロックは、本体に対して軸方向に並進可能であり、各指部のタブを対応するノッチ内に位置付ける。要素16:円筒形ロックは、本体に画定されたスロット内に受容可能な延長部を有するロックアームを画定する。
【0100】
非限定的な例として、A、B、C、及びDに適用可能な例示的な組み合わせとしては、要素4及び要素5、要素5及び要素6、要素11及び要素12、要素11及び要素13、並びに要素15及び要素16が挙げられる。
【0101】
したがって、開示されるシステム及び方法は、言及された結果及び利点、並びにその中で固有の結果及び利点を達成するように、十分に適合されている。本開示の教示は、異なってはいるが本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな同等の方法で修正及び実施され得るため、上記に開示された特定の実施形態は単なる例示である。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細を、限定することを意図するものではない。したがって、上で開示された特定の例示的実施形態は、変更、組み合わせ、又は修正されてもよく、またそのような全ての変形形態は、本開示の範囲内であると考えられる。本明細書に例示的に開示されたシステム及び方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、及び/又は本明細書に開示されたいずれかの任意選択の要素の不在下で適切に実施され得る。組成物及び方法は、種々の構成要素及び工程を「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、種々の構成要素及び工程「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなる(consist of)」こともできる。上で開示された全ての数及び範囲は、ある程度異なり得る。下限及び上限を伴う数値範囲が開示される場合はいつでも、その範囲内に収まる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示される(形態の)値の全ての範囲(「約a~約b」、又は同等に「およそa~b(from approximately a to b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a-b)」)は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を述べる、と理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によりそれでないことが明示的かつ明確に定義されない限り、平易かつ通常の意味を有する。更に、請求項で使用する際に、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書では、それが導入する要素のうちの1つ以上を意味するように定義される。本明細書及び参照により本明細書に組み込まれ得る1つ以上の特許又はその他の文書において単語又は用語の使用に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義を採用すべきである。
【0102】
本明細書で使用する場合、一連の項目に先行する語句「のうちの少なくとも1つ」は、項目のうちのいずれかを分離するための用語「及び(and)」又は「又は(or)」を伴うものであるが、一覧の各構成要素(即ち、各項目)ではなく、一覧を全体として修飾する。語句「のうちの少なくとも1つ」は、項目のうちのいずれかのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という語句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、並びに/又はA、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
【0103】
〔実施の態様〕
(1) スリーブ挿入アセンブリであって、
内室を画定し、遠位端及び前記遠位端の反対側の近位端を有するスリーブ挿入器と、
前記内室内に受容可能なスリーブと、
前記スリーブ内に受容可能であり、内部及び開放端を画定する円筒形本体を有するブレードガードと、を備え、
前記開放端は、エンドエフェクタのジョー部材を前記内部に受容するが、前記エンドエフェクタが前記内部に入らないようにサイズ決めされており、
前記ブレードガードは、前記スリーブが前記エンドエフェクタに装着されると、前記スリーブから押し出される、スリーブ挿入アセンブリ。
(2) 前記スリーブ挿入器は、プラスチック、金属、ゴム、エラストマー、シリコーン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される材料で作製されている、実施態様1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
(3) 前記スリーブ挿入器の前記近位端に画定されて、前記スリーブ及び前記ブレードガードを前記スリーブ挿入器内に維持することに役立つ保持機構を更に備える、実施態様1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
(4) 前記ブレードガードは、金属、熱可塑性材料、複合材料、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される剛性材料で作製されている、実施態様1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
(5) 前記スリーブ挿入器に画定され、前記近位端から前記遠位端に向かって延在する、1つ以上の長手方向スロットを更に備える、実施態様1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
【0104】
(6) スリーブ抜き取りツールを更に備え、前記スリーブ抜き取りツールは、
前記内室内に受容可能な環状リングと、
前記リングから長手方向に延在する1つ以上のアームであって、各アームは、前記1つ以上の長手方向スロットのうちの対応する1つの内部に受容される、1つ以上のアームと、
各アームの端部から延在するタブであって、前記タブは、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定されたノッチ内に受容可能である、タブと、を設ける、実施態様5に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
(7) 各アームの前記端部に設けられた指掴み部を更に備え、前記指掴み部は傾斜していて、前記スリーブを取り外す力の低減に役立つ機械的利点を提供する、実施態様6に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
(8) 前記ブレードガードを前記スリーブ挿入器内に保持することに役立つ保持機構を、前記スリーブ挿入器の前記遠位端又はその付近に更に備える、実施態様1に記載のスリーブ挿入アセンブリ。
(9) 外科用ツールのエンドエフェクタにスリーブを装着する方法であって、
スリーブ挿入アセンブリを前記エンドエフェクタに近接させることであって、前記スリーブ挿入アセンブリは、スリーブ挿入器と、前記スリーブ挿入器内に位置付けられた前記スリーブと、前記スリーブ内に受容されたブレードガードと、を有する、ことと、
前記エンドエフェクタのジョー部材を前記ブレードガードの内部に挿入することと、
前記スリーブ挿入器を前記エンドエフェクタに対して近位に前進させ、それによって前記スリーブを前記エンドエフェクタの上方で前進させることと、
前記エンドエフェクタを前記ブレードガードに係合させ、それによって前記スリーブ挿入器が近位に前進するにつれて前記ブレードガードを前記スリーブから外すことと、
前記スリーブ挿入器が近位に前進するにつれて、前記ジョー部材が前記スリーブを前記ブレードガードと接触させないようにすることと、を含む、方法。
(10) 前記スリーブ挿入器が近位に前進するにつれて、前記スリーブ挿入器の遠位端に画定された開口部から前記ブレードガードを外すことを更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0105】
(11) 前記スリーブ挿入器を前記スリーブの上方に延在させることと、
前記スリーブ挿入器に半径方向荷重を加え、それによって前記スリーブの近位端又はその付近で前記スリーブの半径方向外側表面を把持することと、
前記エンドエフェクタに対して前記スリーブ挿入器及び前記スリーブを遠位に移動させ、それによって前記エンドエフェクタから前記スリーブを取り外すことと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記スリーブ挿入器は、1つ以上の長手方向に延在する指部を画定し、前記方法は、
前記スリーブ挿入器を前記スリーブの上方に延在させることと、
前記1つ以上の長手方向に延在する指部を、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定された、対応する1つ以上のノッチと軸方向に、かつ角度的に整列させることと、
前記長手方向に延在する指部に半径方向荷重を加え、それによって、各指部に画定されたタブを前記対応する1つ以上のノッチ内に受容することと、
前記エンドエフェクタに対して遠位に前記スリーブ挿入器及び前記スリーブを移動させ、それによって前記エンドエフェクタから前記スリーブを取り外すことと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記スリーブ挿入器は、前記近位端から延在する、1つ以上の長手方向スロットを画定し、前記スリーブ挿入アセンブリは、前記スリーブ挿入器内に受容可能な環状リングと、前記リングから長手方向に延在し、前記1つ以上の長手方向スロットのうちの対応する1つの内部に受容される、1つ以上のアームと、を設けるスリーブ抜き取りツールを更に含み、前記方法は、
前記スリーブ挿入器及び前記スリーブ抜き取りツールを前記スリーブの上方に延在させることと、
前記1つ以上のアームを、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定された、対応する1つ以上のノッチと軸方向に、かつ角度的に整列させることと、
前記1つ以上のアームに半径方向荷重を加え、それによって、各アームに画定されたタブを前記対応する1つ以上のノッチ内に受容することと、
前記エンドエフェクタに対して遠位に前記スリーブ挿入器、前記スリーブ抜き取りツール、及び前記スリーブを移動させ、それによって前記エンドエフェクタ及び前記シャフトアダプタ又は前記シャフトから前記スリーブを取り外すことと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 各アームに指掴み部が設けられ、各指掴み部は傾斜しており、前記1つ以上のアームに前記半径方向荷重を加えることは、
前記指掴み部に前記半径方向荷重を加えることと、
前記スリーブに対する前記指掴み部の角度に基づいて、前記スリーブを取り外す力を低減させることと、を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記スリーブ抜き取りツールは閉鎖遠位端を有し、前記方法は、前記ジョー部材が、ユーザを前記スリーブ抜き取りツールと接触させないようにすることと、前記スリーブが取り外されると、前記スリーブを前記スリーブ抜き取りツール内に収容することと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0106】
(16) スリーブ抜き取り器であって、
遠位端及び近位端を有する円筒形本体と、
前記本体に画定された、1つ以上の長手方向に延在する指部と、
各指部の端部に設けられ、外科用ツールのシャフトアダプタ又はシャフトに画定されたノッチ内に受容可能なタブであって、前記ノッチはスリーブの近位端の近位に位置する、タブと、を備え、
前記スリーブは、対応するノッチ内に各指部の前記タブを位置付け、前記シャフトアダプタ又は前記シャフトに対して遠位に前記本体及び前記スリーブを後退させることによって取り外される、スリーブ抜き取り器。
(17) 前記シャフトアダプタ又は前記シャフトに設けられて、前記ノッチの位置を示すマーキングを更に備える、実施態様16に記載のスリーブ抜き取り器。
(18) 前記本体の周囲に延在可能な円筒形ロックを更に備え、前記円筒形ロックは、前記本体に対して軸方向に並進可能であり、各指部の前記タブを前記対応するノッチ内に位置付ける、実施態様16に記載のスリーブ抜き取り器。
(19) 前記円筒形ロックは、前記本体に画定されたスロット内に受容可能な延長部を有するロックアームを画定する、実施態様18に記載のスリーブ抜き取り器。
(20) エンドエフェクタからスリーブを取り外す方法であって、
スリーブ抜き取り器を前記スリーブの上方に延在させることであって、前記スリーブ延長装置は、遠位端及び近位端を有する円筒形本体と、前記本体に画定された1つ以上の長手方向に延在する指部と、を含む、ことと、
前記1つ以上の長手方向に延在する指部を、前記シャフトアダプタ又は前記シャフトに画定された、対応する1つ以上のノッチと軸方向に、かつ角度的に整列させることと、
前記長手方向に延在する指部に半径方向荷重を加え、それによって、各指部に画定されたタブを前記対応する1つ以上のノッチ内に受容することと、
前記エンドエフェクタに対して遠位に前記スリーブ抜き取り器を移動させ、それによって前記エンドエフェクタ及び前記シャフトアダプタ又は前記シャフトから前記スリーブを取り外すことと、を含む方法。