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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】弾頭
(51)【国際特許分類】
   F42B 12/32 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
F42B12/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021552196
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 SE2020050256
(87)【国際公開番号】W WO2020190192
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】1900053-8
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518357852
【氏名又は名称】ベーアーエー・システムズ・ボフォース・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS BOFORS AB
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】トゥーマン,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ハムダン,ハムザー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03799054(US,A)
【文献】米国特許第04982668(US,A)
【文献】国際公開第2017/168146(WO,A1)
【文献】特開2011-075251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0014177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0167833(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 12/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された破砕を有する弾頭(4)を製造する方法であって、
前記方法は、内殻(1)が製造され、爆発物で充填されるステップを含み、
前記方法はさらに、
前記内殻(1)の外面の周囲にネットを設けるステップと、
粉末状またはスレッド状の材料(8)が、前記ネット(5)の上および周囲に付加製造方法で塗布されるステップと、を含み、
塗布された前記材料(8)は、高温で溶融され、前記ネット(5)は脆くなり、その結果、前記材料(8)と前記ネットとによるユニットは、ガイドされた破砕をするための弱いポイントを含むこととなる、
方法。
【請求項2】
多数のあらかじめ成形された飛翔体(9)を製造するステップと、
前記あらかじめ成形された飛翔体(9)がそれぞれの位置に保持されるように、前記あらかじめ成形された飛翔体(9)が前記内殻(1)の外面に沿って前記ネット(5)の内側に配置されるステップと、
前記材料(8)が、粉末状またはスレッド状で前記あらかじめ成形された飛翔体(9)の上および周囲に付加製造方法で塗布され、同時に前記ネット(5)の上および周囲に固定されるステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粉末状またはスレッド状で付加製造方法で塗布される前記材料(8)が、前記材料(8)にガイドされた破砕をするための弱いポイントが作られるように、適切な速度で塗布されるステップを含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
粉末状またはスレッド状で付加製造方法で塗布される前記材料(8)が、前記材料(8)にガイドされた破砕をするための弱いポイントが作られるように、適切な温度で塗布されるステップを含む、
請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の方法で製造され、内殻(1)を含む弾頭であって、
前記弾頭(4)に塗布される材料(8)が、前記弾頭(4)の爆発時に前記塗布された材料(8)がガイドされた破砕をするための弱いポイントを含む、弾頭。
【請求項6】
前記塗布された材料(8)の、ガイドされた破砕をするための弱いポイントが、前記内殻(1)の外側に備えられるネット(5)の位置に対応する位置に配置される、請求項5に記載の弾頭。
【請求項7】
前記塗布された材料(8)の、ガイドされた破砕をするための弱いポイントが、前記材料の堆積によって選択される他の位置に配置される、請求項5または6に記載の弾頭。
【請求項8】
多数のあらかじめ成形された飛翔体(9)が前記塗布された材料(8)の内側に設けられる、請求項5~7のいずれか1つに記載の弾頭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕(fragmentation)が制御された弾頭を製造する手順に関するもので、その手順は、内殻(inner shell)を製造して爆発物質を充填するステップを含む。
【0002】
本発明はまた、この手順で製造され、内殻を含む弾頭にも関する。
【背景技術】
【0003】
弾頭にあらかじめ成形された飛翔体(projectile)を搭載することは、古くから知られている。その効果は、予め設定された大きさと質量を持つ飛翔体の爆発時の拡散によって、ハードターゲットとソフトターゲットに対する有効性が変化するというものである。また、あらかじめ形成された飛翔体が拡散する方向に影響を与える可能性もある。
【0004】
所定の大きさと質量の飛翔体を製造することについて、当業者に知られている別の方法は、弾頭の制御された破砕に影響を与えることである。本質的には、例えば弾頭の材料にフライス加工で軌道をつけるなどで弱点を設け、起爆時に弾頭がランダムにではなくこれらの弱点に従って分裂するようにすることである。
【0005】
また、1つの同じ弾頭の中で、あらかじめ形成された飛翔体と制御された破砕の提供とを組み合わせることも可能である。
【0006】
ゴム製の治具が、製造工程の一部において、あらかじめ形成された飛翔体を配置するためにしばしば使用される。このゴム製の治具の製造自体、非常に高価で手間がかかる。同様に、弾頭の材料に軌道をフライス加工してガイドされた破砕を製造するのは、しばしば困難で手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
あらかじめ形成された飛翔体と制御された破砕を有する弾頭を製造するために、より簡単で、より速く、よりコスト効率の高い方法を作り出すことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、本発明に基づく手順が、以下のステップを含むことを特徴とする場合に達成される、すなわち、内殻の外面の周囲にネットが設けられ、ネットの上およびその周囲に材料が堆積されるステップである。
【0009】
堆積した材料の破砕を弾頭の爆発時にガイドするための弱いスポットを含む弾頭に堆積した材料を特徴とするものであれば、弾頭に関する目的は達成される。
【0010】
本発明が従属請求項に記載された特徴の1つ以上をさらに備えていれば、さらなる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面を参照してここから本発明を説明する。
【0012】
図1図1は、本発明に係る弾頭の内殻の斜視図である。
図2図2は、図1の内殻の斜視図であり、周囲にネットが備えられている。
図3図3は、堆積された材料の外層を含む弾頭の斜視図である。
図4図4は、図3の弾頭の部分断面図である。
図5図5は、図2に対応する本発明の第二の実施形態の図である。
図6図6は、弾頭の第二の実施形態の部分断面図である。
図7図7は、本発明の第三の実施形態による弾頭が部分的に組み立てられた状態の斜視図である。
図8図8は、図2に対応する本発明の第三の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態
図1aは、本発明に係る弾頭の内殻を示している。内殻1は、そこに爆発物を備えることができるように、中空である。内殻1はまた、その前部2と後部3の端部に、ノーズ部分とリア部分を受け入れるように設計されている。ノーズ部分とリア部分は、弾頭の所望の特性に応じて多くの実施形態となることができるが、それらは本発明とは無関係であるため、図面上には示されていない。中央の部分6は、図示の実施形態においては少しリセスしており、すなわち、前部2および後部3の端部よりも少し小さい半径を有する。
【0014】
内殻1は、専門家によってその目的に適していると判断された材料で製造されることが好ましく、多くの場合、金属材料である。多くの材料例が、この分野ですでに知られている。本発明は、材料自体の製造や、内殻1の製造方法を含まない。本発明は、材料の選択や内殻の製造方法とは独立して機能する。
【0015】
本発明により弾頭4を製造するステップが図2に示される。ネット5が、好ましくは円周方向に内殻1を囲むように、内殻1の周りに設けられる。ネット5は、軸方向に内殻1の一部に沿って延びるが、好ましい実施形態では、前端2および後端3は、ノーズ部分およびリア部分をそれぞれ取り付けるためにネット無しで残されている。好ましい実施形態では、ネット5は、リセス部6の周りに設けられる。
【0016】
図示の実施形態では、ネット5は、半径が軸方向に多少変化する内殻1の形状に取り付けるために、サイズと形状が弾頭の軸方向に多少変化する正方形のメッシュ7を有している。メッシュ7の形状は、広い範囲で可変であり、サイズも同様である。
【0017】
ネット5の製造材料は、多くの場合、ネット5に塗布される材料と一緒に機能する特性を持つように選択された金属であり、以下にさらに詳しく説明する。ネット5の材料を選択する際に考慮すべき典型的な特性は、融点、熱処理後の破砕性、そして他の材料、特に後から追加される材料、と合金を形成する能力、である。
【0018】
特定の実施形態では、ネット5は、ネット内部に設けられたあらかじめ形成された飛翔体の保持機能を有する。飛翔体のサイズと形状は可変である。以下、いくつかの例が説明される。ネット5は、飛翔体の意図された保持のために機能するように設計されており、それにより、メッシュ7の形状およびサイズが飛翔体の通過を阻止する。
【0019】
図3は、さらなる製造工程を経たあとの弾頭4を示す。図2に示したネット5の上に塗布材料8が塗布されている。塗布方法は様々であり、好ましい実施形態は、何らかの形の付加製造(additive manufacturing)方法である。材料は、粉末状またはスレッド(thread)状で塗布され、塗布に続いて溶融されるので、弾頭4の意図した場所に直ちに固定される。
【0020】
付加製造において、パウダーとスレッドのどちらを選択するかは、完成品に要求される幾何学的な寸法と接着性や、その他の要因によって決まる。粉末は、製造公差が厳しい場合、つまり添加される材料が小さい寸法の空間に到達しなければならない場合にしばしば好まれる。しかし、スレッド状の材料の方が概してコスト効率が良く、関連する寸法や強度の要求に対して十分であると通常考えられる。また、スレッド状の材料は、意図せずに環境に放出される材料の量が最小限であるという製造上の利点もあり、すなわち、基本的には、このプロセスではまったく埃を発生させない。
【0021】
塗布材料8を溶かすのに必要な高い温度は、下地のネット5の材料も影響を受けることを意味する。ネット5の材料と塗布材料8の材料の両方について、材料を適切に選択すれば、ネット5の材料は、溶けたり、脆くなったり、付加材料8と合金を形成したりする。ネット5に付加された材料の上で付加材料8の層が薄くなる以外は、ネット5と付加材料8が互いの物理的特性に影響を与えないという代替案もある。これら全ての場合において、付加材料8とネット5が一緒にユニットを形成し、ネット5がもともと置かれていた場所の弱いスポットも含むように付加材料と付加時の温度が選択される。
【0022】
付加材料8とネット5で形成されるユニットの弱いスポットは、弾頭4の起爆時の破砕を制御する機能を果たす。したがって、付加材料8のうち、ネット5のメッシュ7に配列された部分は、飛翔体を形成することになる。好ましい実施形態のこの態様は、形成される飛翔体が適切な質量を有するような付加材料8の選択において、および形成される飛翔体が適切なサイズおよび形状を有するようなメッシュのサイズおよび形状の選択において、考慮される。
【0023】
付加材料として選択できる材料の例としては、アルミニウム、ステンレスを含む様々な品質のスチール、およびチタンなどがある。
【0024】
図4には、弾頭4の部分的断面が示されており、ネット5と付加材料8の両方が見えている。
【0025】
図5は、本発明の第二の実施形態を示す。この実施形態では、ネット5は、図2および図4に示すものよりも著しく小さいメッシュ7を有する。図5のネットの考えられる製造方法としては、例えば、ダイカット、エッチング、レーザー切断、または、当業者が好適と考えるその他の製造方法で、所望のサイズの穴をシートメタルに作ることである。図示されたネットは、メッシュ7のサイズよりも少し大きい断面を有するあらかじめ形成された飛翔体の保持に特に適している。図6には、弾頭4の内殻1、ネット5、付加材料8、および多数のあらかじめ形成された飛翔体9の断面図が示されている。
【0026】
多数のあらかじめ形成された飛翔体9の弾頭内の配置は、標準製品であるか、または比較的簡単で費用対効果の高い製造プロセスで製造可能なネット5の助けを借りて達成される。ネット5は取り外す必要がなく、弾頭4と一体化しているため、製造プロセスが大幅に簡素化されている。ネット5はまた、弾頭4のコスト効率の良い製造を実現する方法で、弾頭4の制御された破砕に貢献する。
【0027】
代替実施形態
本発明に係る弾頭4の代替実施形態が図7に示されている。図6に示す実施形態に対する違いは、内殻1の外側に配列されるあらかじめ形成された飛翔体9が、より大きいことと、本質的に正方形であることである。弾頭4の起爆時の所望の特性に応じて、この実施形態は特定の用途において興味深いものであるが、当業者によってさらに変化させることも当然可能である。
【0028】
図8は、図7による弾頭4に、あらかじめ形成された飛翔体9の外側に設けられたネット5を加えたものである。ネット5のメッシュ7は、あらかじめ形成された飛翔体9よりも小さく、外部材料8が塗布されるまで飛翔体を保持することが明らかである。
【0029】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の枠内で変更可能である。特に、本発明は、あらかじめ形成された飛翔体9がある場合とない場合の両方の実施形態を含むことは変わらない。ネット5は、多くの場合、弾頭4の所望の効果を構成するのに十分であると考えることができるような制御された破砕を構成する。他のケースでは、あらかじめ形成された飛翔体9と制御された破砕とを組み合わせた実施形態が好ましい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8