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特許7439172搬送物供給装置、搬送システムおよび搬送物供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】搬送物供給装置、搬送システムおよび搬送物供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20240219BHJP
   B65G 47/28 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B65G47/30 L
B65G47/28 L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022102951
(22)【出願日】2022-06-27
(65)【公開番号】P2024003659
(43)【公開日】2024-01-15
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】小曽 勉
(72)【発明者】
【氏名】北村 慎次
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-115670(JP,A)
【文献】実開平04-130219(JP,U)
【文献】特開平10-202569(JP,A)
【文献】実開昭54-179669(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/30
B65G 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により撮像領域内で取得された搬送物の二次元画像に基づいて特定の姿勢にある搬送物を保持する搬送ロボットに対して、前記特定の姿勢にある搬送物を供給するための搬送物供給装置であって、
搬送物を第1の位置から第2の位置に移動させるように構成された第1のベルトコンベアと、
前記搬送物を第3の位置から第4の位置に移動させるように構成された第2のベルトコンベアとを備え、
前記第1および第2のベルトコンベアは、前記搬送物が前記第2の位置から前記第3の位置に落下するように配置され、
前記第2のベルトコンベアの前記第3の位置と前記第4の位置との間に前記撮像領域が設定され、
前記撮像領域を通過した前記搬送物が前記第4の位置、前記第1の位置、前記第2の位置および前記第3の位置を循環するように循環経路が形成され、
前記第2のベルトコンベアは、前記第3の位置から前記撮像領域に前記搬送物を案内する第3の案内部を有する、搬送物供給装置。
【請求項2】
前記第2のベルトコンベアの前記第3の位置から前記第4の位置へ向かう方向が第1の方向と定義され、前記第1の方向および鉛直方向に垂直な方向が第2の方向と定義され、鉛直方向が第3の方向と定義された場合、
前記第2の方向視において、前記第3の位置が前記第2の位置よりも下方にあり、かつ前記第3の方向視において、前記第2の位置と前記第3の位置とが隣り合うように、前記第1および第2のベルトコンベアが配置される、請求項1記載の搬送物供給装置。
【請求項3】
前記第3の方向視において、前記第1のベルトコンベアと前記第2のベルトコンベアとの間でかつ前記第2の位置と第3の位置との間に配置され、前記第2の位置から前記第3の位置に落下する前記搬送物が接触可能な静止部材をさらに備えた、請求項2記載の搬送物供給装置。
【請求項4】
前記第1のベルトコンベアは、前記第3の方向視において、前記第2の位置に向かって移動する前記搬送物を前記第3の位置に近づけるように案内する第1の案内部を有する、請求項2または3記載の搬送物供給装置。
【請求項5】
前記第1のベルトコンベアは、前記第1および第2の位置が設定された第1の上面を有し、
前記第1の案内部は、前記第1のベルトコンベアの前記第1の上面上に配置され、前記第3の方向視において、前記第2の位置へ移動する前記搬送物が接触することにより前記搬送物を前記第3の位置に近づけるように案内する第1の案内側面を有する、請求項4記載の搬送物供給装置。
【請求項6】
前記第2の方向視において、前記第1の位置が前記第4の位置よりも下方にあり、かつ前記第3の方向視において、前記第1の位置と前記第4の位置とが隣り合うように、前記第1および第2のベルトコンベアが配置される、請求項2または3に記載の搬送物供給装置。
【請求項7】
前記第2のベルトコンベアは、前記第4の位置に向かって移動する前記搬送物を前記第1の位置に近づけるように案内する第2の案内部を有する、請求項6記載の搬送物供給装置。
【請求項8】
前記第2のベルトコンベアは、前記第3および第4の位置が設定された第2の上面を有し、
前記第2の案内部は、前記第2のベルトコンベアの前記第2の上面上に配置され、前記第3の方向視において、前記第4の位置へ移動する前記搬送物が接触することにより前記搬送物を前記第1の位置に近づけるように案内する第2の案内壁面を有する、請求項7記載の搬送物供給装置。
【請求項9】
前記第2の位置と前記第3の位置との間の鉛直方向の距離は、前記搬送物に外接する球体の内径よりも大きく設定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送物供給装置。
【請求項10】
前記第4の位置と前記第1の位置との間の鉛直方向の距離は、前記搬送物に外接する球体の内径よりも大きく設定される、請求項5記載の搬送物供給装置。
【請求項11】
前記搬送ロボットが前記特定の姿勢にある前記搬送物を保持する際に、前記第1および第2のベルトコンベアの動作を停止させる動作制御部をさらに備えた、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送物供給装置。
【請求項12】
前記動作制御部は、前記撮像装置が前記撮像領域内の前記搬送物を撮像する際、前記第1および第2のベルトコンベアの動作を停止させるように構成された、請求項11記載の搬送物供給装置。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送物供給装置と、
前記撮像領域を撮像する前記撮像装置と、
前記撮像装置により撮像領域内で取得された前記搬送物の二次元画像に基づいて、前記搬送物が前記特定の姿勢にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記搬送物が前記特定の姿勢にあると判定された場合に、前記特定の姿勢にある前記搬送物を保持する前記搬送ロボットとを備えた、搬送システム。
【請求項14】
撮像装置により撮像領域内で取得された搬送物の二次元画像に基づいて特定の姿勢にある搬送物を保持する搬送ロボットに対して、前記特定の姿勢にある搬送物を供給するための搬送物供給方法であって、
搬送物を第1のベルトコンベアにより第1の位置から第2の位置に向かう方向に移動させるステップと、
前記搬送物を前記第1のベルトコンベアの前記第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置に落下させるステップと、
前記第3の位置に落下した前記搬送物を前記第2のベルトコンベアにより前記第3の位置から第4の位置に向かって移動させることにより前記第3の位置と前記第4の位置との間に予め設定された撮像領域に移動させるステップと、
前記撮像領域を通過した前記搬送物を前記第4の位置、前記第1の位置、前記第2の位置および前記第3の位置を含む循環経路を循環させるステップとを含
前記撮像領域に移動させるステップは、前記第3の位置から前記撮像領域に前記搬送物を案内することを含む、搬送物供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物供給装置、搬送システムおよび搬送物供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の製造プロセスにおいて、ロボットが物品の製造に必要な部品を把持して自動組み立て装置等の製造装置に搬送する。その場合、部品をロボットが把持することができる特定の姿勢にする必要がある。
【0003】
特許文献1に記載された部品取り出しシステムは、3次元画像センサおよび第1のロボットハンドを有する第1のロボットと、2次元画像センサおよび第2のロボットハンドを有する第2のロボットと、揺動機構とを備える。第1のロボットは、部品が山積みされたトレイから取り出すべき1つの部品の3次元位置および状態を3次元画像センサで認識し、認識に応じて1つの部品を第1のロボットハンドで取り出し、取り出された1つの部品を第1のロボットハンドでステージの上に仮置きする。揺動機構は、ステージの上に仮置きされた1つの部品の姿勢を複数の姿勢のうちの特定の姿勢へ誘導するように、ステージを揺動させる。この場合、複数の揺動パターンのうちステージで揺動させるべき揺動パターンが決定される。第2のロボットは、ステージの上における特定の姿勢にある1つの部品の位置を2次元画像センサで認識し、認識に応じて1つの部品を第2のロボットハンドでステージから取り出す。上記の部品取り出しシステムでは、揺動により特定の姿勢になった部品が第2のロボットハンドでステージ上から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-094936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の部品取り出しシステムでは、第2のロボットハンドにより部品が取り出されるまでに煩雑な動作を行う必要がある。特に、部品を揺動させるために、ステージを揺動させる揺動機構が必要となる。また、揺動機構が複数の揺動パターンでステージを揺動させなければならない。そのため、揺動機構およびその制御機構の構成が複雑となる。また、部品の重量が比較的大きい場合には、部品の姿勢を容易に変更することが難しくなる。部品の形状によっては、揺動により部品の位置が変化するだけで部品の姿勢が変化しにくい場合がある。さらに、ステージ上に多数の部品が存在する場合、複数の部品の重なりが生じやすい。これらの場合、揺動機構がステージを大きく揺動させることが必要になる。したがって、種々の部品の姿勢を変更させるためには揺動機構が大型化し、部品取り出しシステムの製造コストが増大する。
【0006】
本発明の目的は、低コスト化が可能でかつ複数の搬送物の重なりの抑制が可能な搬送物供給装置、搬送システムおよび搬送物供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一局面に従う搬送物供給装置は、撮像装置により撮像領域内で取得された搬送物の二次元画像に基づいて特定の姿勢にある搬送物を保持する搬送ロボットに対して、前記特定の姿勢にある搬送物を供給するための搬送物供給装置であって、搬送物を第1の位置から第2の位置に移動させるように構成された第1のベルトコンベアと、前記搬送物を第3の位置から第4の位置に移動させるように構成された第2のベルトコンベアとを備え、前記第1および第2のベルトコンベアは、前記搬送物が前記第2の位置から前記第3の位置に落下するように配置され、前記第2のベルトコンベアの前記第3の位置と前記第4の位置との間に前記撮像領域が設定され、前記撮像領域を通過した前記搬送物が前記第4の位置、前記第1の位置、前記第2の位置および前記第3の位置を循環するように循環経路が形成される。
【0008】
(2)本発明の他の局面に従う搬送システム500は、上記一態様に係る搬送物供給装置と、前記撮像領域を撮像する前記撮像装置と、前記撮像装置により撮像領域内で取得された前記搬送物の二次元画像に基づいて、前記搬送物が前記特定の姿勢にあるか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記搬送物が前記特定の姿勢にあると判定された場合に、前記特定の姿勢にある前記搬送物を保持する前記搬送ロボットとを備える。
【0009】
(3)本発明の他の局面に従う搬送方法は、撮像装置により撮像領域内で取得された搬送物の二次元画像に基づいて特定の姿勢にある搬送物を保持する搬送ロボットに対して、前記特定の姿勢にある搬送物を供給するための搬送物供給方法であって、搬送物を第1のベルトコンベアにより第1の位置から第2の位置に向かう方向に移動させるステップと、前記搬送物を前記第2のベルトコンベアの前記第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置に落下させるステップと、前記第3の位置に落下した前記搬送物を前記第2のベルトコンベアにより前記第3の位置から第4の位置に向かって移動させることにより前記第3の位置と前記第4の位置との間に予め設定された撮像領域に移動させるステップと、前記撮像領域を通過した前記搬送物を前記第4の位置、前記第1の位置、前記第2の位置および前記第3の位置を含む循環経路を循環させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コスト化が可能でかつ複数の搬送物の重なりの抑制が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態に係る搬送物供給装置および搬送システムの構成を説明するための模式図である。
図2】Z方向視における図1の撮像領域の拡大平面図である。
図3図1の搬送物供給装置の模式的平面図である。
図4図1の搬送物供給装置の模式的側面図である。
図5図1の主制御装置による搬送システムの動作を示すフローチャートである。
図6】他の実施の形態に係る搬送物供給装置の模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る搬送物供給装置、搬送システムおよび搬送物供給方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(1)搬送システム
図1は、一実施の形態に係る搬送物供給装置および搬送システムの構成を説明するための模式図である。図1には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。本実施の形態においては、Y方向が第1の方向に相当し、X方向が第2の方向に相当し、Z方向が第3の方向に相当する。図2は、図1の撮像領域IAの拡大平面図である。図2には、Z方向視(平面視)における撮像領域IAの拡大図が示される。
【0014】
図1の搬送システム500は、搬送物供給装置100、撮像装置200、搬送ロボット300および主制御装置400を備える。図1および図2に示すように、撮像装置200は、後述する搬送物供給装置100の第2のベルトコンベア20上に設定された撮像領域IA内の一または複数の搬送物TI(図2の例では、搬送物TI1~TI6)を撮像する。本実施の形態では、撮像装置200は、搬送物供給装置100の第2のベルトコンベア20の上方で支持され、撮像領域IA内の搬送物TIを撮像する。それにより、搬送物TIの2次元画像が取得される。本実施の形態では、2次元画像は静止画である。
【0015】
搬送ロボット300は、図示しない移動機構により、X方向、Y方向およびZ方向に移動可能に支持されるとともに、図示しない回転駆動機構により、Z方向の周りに回転可能に構成される。搬送ロボット300は、一対の接続部材311,312および一対の保持部321,322を含む。一対の保持部321,322は、搬送対象の搬送物が有する最大径の孔に挿入可能な形状を有する。本実施の形態において、一対の保持部321,322は、各搬送物TIの凹部HA(図2参照)に挿入可能な形状を有する。搬送ロボット300は、例えば電動モータを含み、一対の保持部321,322の間隔I1を変更可能に構成される。搬送ロボット300による搬送物TIの搬送時には、搬送ロボット300は、搬送物TIの凹部HAに保持部321,322を挿入した後に、保持部321,322の間隔I1を拡大することにより、搬送物TIを保持する(以下、この動作を保持動作と呼ぶ。)。以下、搬送ロボット300が搬送可能な搬送物TIの姿勢を特定姿勢と呼ぶ。本実施の形態では、搬送物TIの凹部HAが上面を向くような搬送物TIの姿勢が特定姿勢であり、図2の例では、太字で示される搬送物TI3および搬送物TI5が特定姿勢にある。なお、搬送物TIの孔H1,H2が上面を向く搬送物TIを特定姿勢とし、一対の保持部321,322が孔H1,H2にそれぞれ挿入されることにより保持動作が行われてもよい。
【0016】
主制御装置400は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置等を含む。主制御装置400は、搬送システム500の各構成要素の動作を制御する。主制御装置400の制御については、後述する。主制御装置400は、判定部410を含む。判定部410は、CPUがROMまたは記憶装置に記憶された搬送プログラムをRAM上で実行することにより実現する。
【0017】
判定部410は、例えば画像処理等により、撮像領域IA内の各搬送物TIが特定姿勢にあるか否かを判定するとともに、撮像領域IA内の特定姿勢の搬送物TIの個数を検出する。また、主制御装置400は、特定姿勢にあると判定された搬送物TIの位置(本実施の形態では、X-Y座標)を、撮像装置200により取得された2次元画像に基づいて算出する。搬送ロボット300は、主制御装置400により算出された搬送物TIの位置に移動する。ここで、搬送ロボット300は、上述した保持動作を行うとともに、搬送物TIを保持した状態で移動することにより、搬送物TIを搬送する(以下、この動作を搬送動作と呼ぶ。)。搬送物TIは、図示しない次の工程(例えば、搬送物TIが用いられる部品の組み立て工程)が行われる場所に搬送される。以下、この動作を搬送ロボット300の搬送動作と呼ぶ。
【0018】
ここで、搬送システム500において、搬送物供給装置100は、撮像装置200の撮像領域IAに特定姿勢の搬送物TIを供給するために用いられる。
【0019】
(2)搬送物供給装置100の構成
図3は、図1の搬送物供給装置の模式的平面図である。図4は、図1の搬送物供給装置の模式的側面図である。図3には、Z方向視における搬送物供給装置100が示され、図4には、X方向視における搬送物供給装置100が示される。
【0020】
搬送物供給装置100は、第1のベルトコンベア10、第2のベルトコンベア20および動作制御部60を含む。なお、図4では、第1および第2のベルトコンベア10,20の位置関係を説明するために、第1および第2のベルトコンベア10,20以外の構成の図示が省略される。図1および図3の動作制御部60は、CPU、RAM、ROMおよび記憶装置等を含む。動作制御部60は、第1および第2のベルトコンベア10,20の動作を制御する。本実施の形態においては、動作制御部60による制御は、図1の主制御装置400による搬送システム500の動作に同期して行われる。
【0021】
第1および第2のベルトコンベア10,20は、図3のZ方向視において、Y方向にそれぞれ延びるように配置されている。また、第1のベルトコンベア10と第2のベルトコンベア20とは、Z方向視で、X方向において互いに隣り合うように並ぶ。
【0022】
図1および図3に示すように、第1のベルトコンベア10には、第1および第2の位置P1,P2が設定され、第2のベルトコンベア20には、第3および第4の位置P3,P4が設定される。第1~第4の位置P1~P4は、搬送物TIよりも大きな面積を有する領域の位置を意味する。
【0023】
本実施の形態では、第1および第2の位置P1,P2は、それぞれ第1のベルトコンベア10の上面の両端の近傍に設定される。また、第3および第4の位置P3,P4は、それぞれ第2のベルトコンベア10の上面の両端の近傍に設定される。
【0024】
本実施の形態では、図4に示すように、第2のベルトコンベア20の上面は、Y方向に平行である。第1のベルトコンベア10の上面は、Y方向に対して傾斜している。第1のベルトコンベア10は、太線矢印a1で示すように、第1の位置P1から第2の位置P2に搬送物TIを移動させるように動作する。第2のベルトコンベア20は、太線矢印a2で示すように、第3の位置P3から第4の位置P4に搬送物TIを移動させるように動作する。本実施の形態において、第1および第2のベルトコンベア10,20は、同じ速度で搬送物TIを移動させる。また、撮像装置200により撮像領域IAの2次元画像を取得するために、一時的に第1および第2のベルトコンベア10,20の作動が停止するように制御される。
【0025】
図3に示すように、第1および第2のベルトコンベア10,20は、Z方向視で、X方向において第2の位置P2と第3の位置P3とが隣り合い、かつX方向において第1の位置P1と第4の位置P4とが隣り合うように配置される。本実施の形態においては、第1および第2のベルトコンベア10,20の間に静止部材11,21が設けられる。本実施の形態では、第1のベルトコンベア10は、Y方向に延びる静止した一対の枠間に無端帯状のベルトが配置された構成を有する。静止部材11は、第1のベルトコンベア10の両側にY方向に延びる一対の枠のうち1つの枠である。同様に、第2のベルトコンベア20は、Y方向に延びる静止した一対の枠間に無端帯状のベルトが配置された構成を有する。静止部材12は、第2のベルトコンベア20の両側にY方向に延びる一対の枠のうち1つの枠である。これらの静止部材11,12は、第1および第2のベルトコンベア10,20の移動するベルト間で静止状態を維持する。
【0026】
また、図4に示すように、第1および第2のベルトコンベア10,20は、X方向視において、第3の位置P3が第2の位置P2よりも下方にあり、かつ第1の位置P1が第4の位置P4よりも下方にあるように配置される。具体的には、第3の位置P3が第2の位置P2から下方に少なくとも高さΔT1離間し、第1の位置P1が第4の位置P4から下方に少なくとも高さΔT2離間するように第1のベルトコンベア10が第2のベルトコンベア20に対して傾斜する。高さΔT1,ΔT2としては、搬送物TIの重心から最外部分までの最大長さに設定されてもよい。本実施の形態においては、高さΔT1,ΔT2としては、搬送物TIに外接する仮想の球体の直径以上に設定される。
【0027】
図1および図3に示すように、第1のベルトコンベア10の上面の第2の位置P2には、Z方向視で、X方向およびY方向に傾斜するように案内部材30が設けられる。案内部材30は、第2の位置P2に向かって移動する搬送物TIが接触することにより搬送物TIを第2のベルトコンベア20に導くように傾斜する。本実施の形態においては、案内部材30は、長尺平板形状を有する。案内部材30は、第2の位置P2に向かって移動する第1のベルトコンベア10上の搬送物TIを第2のベルトコンベア20の第3の位置P3に近づけるように案内する案内側面31を有する。
【0028】
それにより、第1のベルトコンベア10上の搬送物TIは、第1のベルトコンベア10の作動により、案内側面31に接触するとともに、矢印Ta1(図3)で示すように案内側面31に沿って第2の位置P2から第3の位置P3に向かって移動する。その結果、搬送物TIは、第1のベルトコンベア10上から第2のベルトコンベア20上に落下する。このとき、搬送物TIを回転させることが可能になる。また、第1のベルトコンベア10上で複数の搬送物T1が重なる状態で移動している場合でも、複数の搬送物TIが落下により分散される。
【0029】
本実施の形態では、上記のように、第2の位置P2と第3の位置P3との間に静止部材11,21が設けられる。そのため、搬送物TIが第2の位置P2から第3の位置P3に向かって移動する際に、搬送物TIが矢印a1の方向に移動する第1のベルトコンベア10の上面と静止部材11,21とに接触する場合がある。この場合、搬送物TIが静止部材11,21と矢印a2の方向に移動する第2のベルトコンベア20の上面とに接触する。それにより、搬送物TIがより回転しやすくなる。
【0030】
第2のベルトコンベア20の上面には、第3の位置P3に落下した搬送物TIを撮像領域IAに導くための案内部材40が設けられる。本実施の形態では、案内部材40は、長尺平板形状を有する。案内部材40は、第3の位置P3から第4の位置P4に向かって移動する第2のベルトコンベア20上の搬送物TIを撮像領域IAに案内する案内側面41を含む。それにより、第2のベルトコンベア20上の搬送物TIは、第2のベルトコンベア20の作動により、複数の搬送物TIが略一列に整列した状態で撮像領域IAに導かれる。また、案内部材40の案内側面41に接触するとともに、静止部材21の上面と第2のベルトコンベア20の上面とに搬送物TIが接触している場合、静止している静止部材21および案内側面41と作動する第2のベルトコンベア20との作用により、搬送物TIが回転しやすくなる。
【0031】
この状態で、第2のベルトコンベア20上の搬送物TIは、撮像領域IAに導かれる。撮像領域IA内において、特定姿勢を有さない搬送物TIは、第4の位置P4に向かって移動する。
【0032】
第1のベルトコンベア10の上面の第4の位置P4には、Z方向視で、X方向およびY方向に対して傾斜するように案内部材50が設けられる。案内部材50は、第4の位置P4に向かって移動する搬送物TIが接触することにより搬送物TIを第1のベルトコンベア10に導くように傾斜する。本実施の形態においては、案内部材50は、長尺平板形状を有する。案内部材50は、第4の位置P4に向かって移動する第2のベルトコンベア20上の搬送物TIを第1のベルトコンベア10の第1の位置P1に近づけるように案内する案内側面51を有する。
【0033】
それにより、第2のベルトコンベア20上の搬送物TIは、第2のベルトコンベア20の作動により、案内側面51に接触するとともに、矢印Ta3(図3)で示すように案内側面51に沿って第4の位置P4から第1の位置P1に向かって移動する。その結果、搬送物TIは、第2のベルトコンベア20上から第1のベルトコンベア10上に落下する。このとき、搬送物TIを回転させることが可能になる。また、第2のベルトコンベア20上で複数の搬送物TIが重なる状態で移動している場合でも、複数の搬送物T1が落下により分散される。
【0034】
本実施の形態では、上記のように、第4の位置P4と第1の位置P1との間に静止部材11,21が設けられる。そのため、搬送物TIが第4の位置P4から第1の位置P1に向かって移動する際に、搬送物TIが矢印a2の方向に移動する第2のベルトコンベア20の上面と静止部材11,21とに接触する場合がある。この場合、搬送物TIが静止部材21,11と矢印a1の方向に移動する第1のベルトコンベア10の上面とに接触する。それにより、搬送物TIがより回転しやすくなる。
【0035】
第1のベルトコンベア10の第1の位置P1に落下した搬送物TIは、再び第2の位置P2に向かって移動する。このような構成により、撮像領域IA内で特定姿勢を有さない搬送物TIを撮像領域IA、第4の位置P4、第1の位置P1、第2の位置P2および第3の位置P3の順に循環させることが可能になる。換言すれば、撮像領域IA内で特定姿勢を有さない搬送物TIの循環経路が第1および第2のベルトコンベア10,20により形成される。
【0036】
(3)搬送システム500の動作
図5は、図1の主制御装置400による搬送システム500の動作を示すフローチャートである。まず、動作制御部60は、第1および第2のベルトコンベア10,20の作動を開始させる(ステップS1)。第1または第2のベルトコンベア10,20の上面には、複数の搬送物TIが供給される。
【0037】
主制御装置400は、第1および第2のベルトコンベア10,20の作動の開始から予め定められた時間が経過したか否かを判定する(ステップS2)。なお、予め定められた時間は、例えば撮像領域AIのY方向における距離だけ第2のベルトコンベアの上面が移動する時間に設定される。予め定められた時間が経過していない場合、第1および第2のベルトコンベア10,20が継続して作動する。第1および第2のベルトコンベア10,20の作動の開始から予め定められた期間が経過した場合、動作制御部60は、第1および第2のベルトコンベア10,20の作動を停止させる(ステップS3)。それにより、第1および第2のベルトコンベア10,20の上面上の複数の搬送物TIの移動が停止する。
【0038】
撮像装置200は、停止している第2のベルトコンベア20上の撮像領域IAを撮像することにより、撮像領域IAの2次元画像を取得する(ステップS4)。次に、判定部410は、取得された2次元画像に基づいて、撮像領域IA内に特定姿勢の搬送物TIが存在するか否かを判定する(ステップS5)。撮像領域IA内に特定姿勢の搬送物TIがない場合、判定部410は、ステップS1に戻る。
【0039】
撮像領域IA内に特定姿勢の搬送物TIがある場合、判定部410は、撮像領域IA内の特定姿勢の搬送物TIの個数k(kは、1以上の整数。)を2次元画像に基づいて検出する(ステップS6)。ここで、主制御装置400は、変数nに1を設定する(ステップS7)。主制御装置400は、判定部410により取得された2次元画像に基づいて、n個目の特定姿勢の搬送物TIの位置(X-Y座標)を算出する(ステップS8)。具体的には、特定姿勢の搬送物TIの2つの孔H1,H2位置をそれぞれ算出する。搬送ロボット300は、主制御装置400による制御に基づいて、算出された位置にあるn個目の搬送物TIを保持するとともに所定の搬送先に搬送する(ステップS9)。続いて、主制御装置400は、変数nに1を加算する(ステップS10)。
【0040】
ここで、主制御装置400は、変数nが撮像領域IA内の特定姿勢の搬送物TIの個数kよりも大きいか否かを判定する(ステップS11)。変数nが撮像領域IAの特定姿勢の搬送物TIの個数k以下である場合、主制御装置400は、ステップS8に戻る。それにより、撮像領域IA内にk個の特定姿勢の搬送物TIが存在しなくなるまで、ステップS8~S11の動作が繰り返される。
【0041】
変数nが撮像領域IA内の特定姿勢の搬送物TIの個数kよりも大きい場合、主制御装置400は、例えば使用者により搬送システム500の動作の終了が指令されたか否かを判定する(ステップS12)。搬送システム500の動作の終了が指令されていない場合、主制御装置400は、ステップS1に戻る。搬送システム500の動作の終了が指令された場合、搬送システム500の動作が終了する。
【0042】
(4)実施の形態の効果
上記実施の形態の搬送物供給装置100によれば、第1のベルトコンベア10の第2の位置P2から第2のベルトコンベア20の第3の位置P3への搬送物TIの落下により搬送物TIの姿勢が変更される。この場合、搬送物TIの重量または搬送物TIの形状に関わらず、搬送物TIの姿勢が変更されやすい。また、第1のベルトコンベア10から落下した搬送物TIは、第2のベルトコンベア20で跳ねる。それにより、第1のベルトコンベア10により複数の搬送物TIが移動している場合に、第2のベルトコンベア20に落下した複数の搬送物TIの重なりが回避されやすい。さらに、第2のベルトコンベア20に落下した搬送物TIは搬送物TIの自然落下により搬送物TIの姿勢が変更されるので、第1および第2のベルトコンベア10,20の構成および制御の複雑化が抑制される。したがって、搬送物供給装置100の製造コストが低減される。その結果、低コスト化が可能でかつ複数の搬送物TIの重なりを抑制することが可能となる。
【0043】
また、隣り合うように配置された第1および第2のベルトコンベア10,20のみで、搬送物TIの循環経路が形成されるので、搬送物供給装置100の全体の長さの増大を抑制することができる。それにより、搬送物供給装置100をコンパクトに構成することが可能となる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、第3の位置P3からの第2の位置P2の最小の高さΔT1および第1の位置P1からの第4の位置P4の最小の高さΔT2が搬送物TIの全体の大きさよりも大きいので、搬送物TIの姿勢が容易に変更される。それにより、撮像領域IA内の搬送物TIの姿勢が特定の姿勢になる確率が向上する。したがって、少ない循環回数で搬送物TIの姿勢が特定の姿勢になることができる。その結果、搬送ロボット300が短時間で搬送物TIを保持することが可能となる。
【0045】
本実施の形態に係る搬送システム500では、本実施の形態に係る搬送物供給装置100が用いられているので、簡単な構成で搬送ロボット300が搬送物TIを容易かつ迅速に保持することが可能となる。
【0046】
(5)他の実施の形態
(5-1)上記実施の形態において、搬送物供給装置100における搬送物TIの循環経路は、第1および第2のベルトコンベア10,20のみで形成されるが、本発明はこれに限定されない。図6は、他の実施の形態に係る搬送物供給装置100aの模式的側面図である。例えば、搬送物供給装置100aにおいては、第1および第2のベルトコンベア10,20がX方向において互いに隣り合わずに、Z方向視においてY方向において隣り合っている。それにより、第1および第2のベルトコンベア10,20の第2の位置P2および第3の位置P3がX方向において隣り合っていない。この場合、搬送物TIは第1のベルトコンベア10の第2の位置P2から第2のベルトコンベア20の第3の位置P3にY方向に落下する。図6の搬送物供給装置100aでは、第2のベルトコンベア20の第4の位置P4から第1のベルトコンベア10の第1の位置P1に搬送物TIが供給されるように、矢印a5の方向に搬送物TIを移動させる他のベルトコンベアVCが設けられる。
【0047】
(5-2)上記実施の形態においては、第1のベルトコンベア10の第2の位置P2から第2のベルトコンベア20の第3の位置P3に搬送物PIを案内するために長尺平板形状の案内部材30が用いられ、第2のベルトコンベア20の第4の位置P4から第2のベルトコンベア20の第1の位置P1に案内するために長尺平板形状の案内部材50が用いられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1のベルトコンベア10の第2の位置P2の搬送物TIが第2のベルトコンベアの第3の位置P3に向かって重力により移動するように、案内部として、第1のベルトコンベア10の第2の位置P2がX方向において斜め下方に傾斜するように形成されてもよい。同様に、第2のベルトコンベア20の第4の位置P4の搬送物TIが第1のベルトコンベア10の第1の位置P1に向かって重力により移動するように、案内部として、第2のベルトコンベア20の第4の位置P4がX方向と逆方向において斜め下方に傾斜するように形成されてもよい。
【0048】
(5-3)上記実施の形態では、第2のベルトコンベア20の第3の位置P3から撮像領域IAに搬送物TIを案内するための長尺平板形状の案内部材40が用いられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、案内部として、第2のベルトコンベア20の上面が搬送物TIを撮像領域IAに誘導するように形成されてもよい。また、第2のベルトコンベア20に設定された撮像領域IAのX方向の長さがベルトの幅に近い場合には、案内部材40が設けられなくてもよい。
【0049】
(5-4)上記実施の形態においては、第1および第2のベルトコンベア10,20の作動が停止される毎に撮像装置200による撮像が行われるが、本発明はこれに限定されない。例えば、撮像装置200は、リアルタイムで撮像領域IAを撮像する。この場合、判定部410により、撮像領域IA内に特定姿勢の搬送物TIが存在すると判定された場合にのみ、動作制御部60が第1および第2のベルトコンベア10,20の作動を停止させてもよい。また、第1および第2のベルトコンベア10,20の作動が停止されずに、撮像装置200による撮像および搬送ロボット300による特定姿勢の搬送物TIの搬送が行われてもよい。さらに、上記実施の形態において、撮像装置200による撮像により撮像領域IAの静止画が取得されるが、撮像領域の動画が取得されてもよい。
【0050】
(5-5)上記実施の形態では、第2のベルトコンベア20の上面がY方向に平行であり、第1のベルトコンベア10の上面がY方向に対して傾斜しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1のベルトコンベア10の上面がY方向に平行であり、第2のベルトコンベア20の上面がY方向に対して傾斜していてもよい。また、第1のベルトコンベア10および第2のベルトコンベア20の両方がY方向に対して傾斜し、第1のベルトコンベア10と第2のベルトコンベア20とが互いに相対的に傾斜していてもよい。これらの場合、第2のベルトコンベア20上の撮像領域IAの傾斜に対応するように、撮像装置200が傾斜して支持される。また、搬送ロボット300は、撮像領域IA内の傾斜する搬送物TIの凹部HAに保持部321,322が挿入可能になるように移動機構に傾斜状態で支持される。あるいは、搬送ロボット300は、撮像領域IA内の傾斜する搬送物TIの凹部HAに保持部321,322が挿入されるときに傾斜するように制御されてもよい。
【0051】
(6)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、案内部材30が第1の案内部の例であり、案内側面31が第1の案内側面の例であり、案内部材40が第3の案内部の例であり、案内部材50が第2の案内部材の例であり、案内側面51が第2の案内側面の例である。
【0052】
(7)実施の形態の総括
(第1項)一態様に係る搬送物供給装置は、撮像装置により撮像領域内で取得された搬送物の二次元画像に基づいて特定の姿勢にある搬送物を保持する搬送ロボットに対して、前記特定の姿勢にある搬送物を供給するための搬送物供給装置であって、
搬送物を第1の位置から第2の位置に移動させるように構成された第1のベルトコンベアと、
前記搬送物を第3の位置から第4の位置に移動させるように構成された第2のベルトコンベアとを備え、
前記第1および第2のベルトコンベアは、前記搬送物が前記第2の位置から前記第3の位置に落下するように配置され、
前記第2のベルトコンベアの前記第3の位置と前記第4の位置との間に前記撮像領域が設定され、
前記撮像領域を通過した前記搬送物が前記第4の位置、前記第1の位置、前記第2の位置および前記第3の位置を循環するように循環経路が形成される。
【0053】
第1項に記載の搬送物供給装置によれば、搬送物は、第1のベルトコンベアの第1の位置から第2の位置に移動し、第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置に落下する。それにより、搬送物の姿勢が変更される。さらに、搬送物は、第3の位置から撮像領域内に移動する。撮像領域内の搬送物の二次元画像が撮像装置により取得される。取得された二次元画像に基づいて、撮像領域内の搬送物が特定の姿勢にあるか否かを判定することができる。撮像領域内の搬送物が特定の姿勢にあると判定された場合には、搬送ロボットが搬送物を保持して搬送することができる。
【0054】
一方、撮像領域内の搬送物が特定の姿勢にないと判定された場合には、搬送物は搬送ロボットにより保持されずに撮像領域を通過し、第2のベルトコンベアの第4の位置に移動する。この場合、搬送物が第4の位置、第1の位置、第2の位置および第3の位置を循環するように循環経路が形成されるので、搬送物の姿勢が特定の姿勢になるまで、搬送物は第1および第2のベルトコンベアを含む循環経路を循環する。
【0055】
上記の構成によれば、第1のベルトコンベアの第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置への搬送物の落下により搬送物の姿勢が変更される。この場合、搬送物の重量または搬送物の形状に関わらず、搬送物の姿勢が変更されやすい。また、第1のベルトコンベアから落下した搬送物は、第2のベルトコンベアで跳ねる。それにより、第1のベルトコンベアにより複数の搬送物が移動している場合に、第2のベルトコンベアに落下した複数の搬送物の重なりが回避されやすい。さらに、第2のベルトコンベアに落下した搬送物は搬送物の自然落下により搬送物の姿勢が変更されるので、第1および第2のベルトコンベアの構成および制御の複雑化が抑制される。したがって、搬送物供給装置の製造コストが低減される。その結果、低コスト化が可能でかつ複数の搬送物の重なりを抑制することが可能となる。
【0056】
(第2項)第1項に記載の搬送物供給装置において、前記第2のベルトコンベアの前記第3の位置から前記第4の位置へ向かう方向が第1の方向と定義され、前記第1の方向および鉛直方向に垂直な方向が第2の方向と定義され、鉛直方向が第3の方向と定義された場合、
前記第2の方向視において、前記第3の位置が前記第2の位置よりも下方にあり、かつ前記第3の方向視において、前記第2の位置と前記第3の位置とが隣り合うように、前記第1および第2のベルトコンベアが配置されてもよい。
【0057】
この場合、第1のベルトコンベアの第2の位置に移動した搬送物が側方に移動しつつ第2のベルトコンベアの第3の位置に落下する。この構成によれば、複数の搬送物が第1のベルトコンベアにより移動している場合に、複数の搬送物が落下時に側方に移動するので、落下後の複数の搬送物の重なりがより回避されやすい。また、第3の方向視において、第1および第2のベルトコンベアを互いに隣接するように配置することができる。それにより、搬送物供給装置の全体の長さの増大を抑制することができる。その結果、搬送物供給装置をコンパクトに構成することが可能となる。
【0058】
(第3項) 第2項に記載の搬送物供給装置の前記第3の方向視において、前記第1のベルトコンベアと前記第2のベルトコンベアとの間でかつ前記第2の位置と第3の位置との間に配置され、前記第2の位置から前記第3の位置に落下する前記搬送物が接触可能な静止部材をさらに備えてもよい。
【0059】
この場合、搬送物が落下する際に、搬送物が第1または第2のベルトコンベアと静止部材とに接触することにより、搬送物が回転し易くなる。
【0060】
(第4項) 第2項または第3項に記載の搬送物供給装置において、前記第1のベルトコンベアは、前記第3の方向視において、前記第2の位置に向かって移動する前記搬送物を前記第3の位置に近づけるように案内する第1の案内部を有してもよい。
【0061】
この場合、簡単な構成で搬送物を第2の位置から第3の方向視において第2の位置に隣り合う第3の位置に落下させることができる。
【0062】
(第5項)第4項に記載の搬送物供給装置において、前記第1のベルトコンベアは、前記第1および第2の位置が設定された第1の上面を有し、
前記第1の案内部は、前記第1のベルトコンベアの前記第1の上面上に配置され、前記第3の方向視において、前記第2の位置へ移動する前記搬送物が接触することにより前記搬送物を前記第3の位置に近づけるように案内する第1の案内側面を有してもよい。
【0063】
この場合、第1のベルトコンベアに容易に第1の案内部を形成することができる。また、第1のベルトコンベアでの搬送物の移動および第1の案内部への搬送物の接触により、第1のベルトコンベアの搬送方向とは異なる方向に移動させることができる。その結果、第2の位置から第3の方向視において第2の位置に隣り合う第3の位置に搬送物を容易に落下させることができる。
【0064】
(第6項)第2項~第5項のいずれか一項に記載の搬送物供給装置の前記第2の方向視において、前記第1の位置が前記第4の位置よりも下方にあり、かつ前記第3の方向視において、前記第1の位置と前記第4の位置とが隣り合うように、前記第1および第2のベルトコンベアが配置されてもよい。
【0065】
この場合、第1および第2のベルトコンベアのみで、循環経路を形成することができる。また、第2のベルトコンベアの第4の位置に移動した搬送物が側方に移動しつつ第1のベルトコンベアの第1の位置に落下する。この構成によれば、第1のベルトコンベアと第2のベルトコンベアとを等しいかまたは近い長さに形成することが可能である。それにより、搬送物供給装置の全体の長さの増大を抑制することができる。その結果、搬送物供給装置をコンパクトに構成することが可能となる。また、搬送物の姿勢を第2の位置から第3の位置への落下および第4の位置から第1の位置への落下により変更することができる。それにより、搬送物の姿勢を重量および形状に関わらずより容易に変更することが可能となる。さらに、複数の搬送物が第2のベルトコンベアにより移動している場合に、複数の搬送物が落下時に側方に移動するので、落下後の複数の搬送物の重なりがより回避されやすい。
【0066】
(第7項)第6項に記載の搬送物供給装置において、前記第2のベルトコンベアは、前記第4の位置に向かって移動する前記搬送物を前記第1の位置に近づけるように案内する第2の案内部を有してもよい。
【0067】
この場合、簡単な構成で搬送物を第4の位置から第1の位置に落下させることができる。
【0068】
(第8項)第7項に記載の搬送物供給装置において、前記第2のベルトコンベアは、前記第3および第4の位置が設定された第2の上面を有し、
前記第2の案内部は、前記第2のベルトコンベアの前記第2の上面上に配置され、前記第3の方向視において、前記第4の位置へ移動する前記搬送物が接触することにより前記搬送物を前記第1の位置に近づけるように案内する第2の案内壁面を有してもよい。
【0069】
この場合、第2のベルトコンベアに容易に第2の案内部を形成することができる。
【0070】
(第9項)第1項~第8項のいずれか一項に記載の搬送物供給装置において、前記第2のベルトコンベアは、前記第3の位置から前記撮像領域に前記搬送物を案内する第3の案内部を有してもよい。
【0071】
この場合、第2のベルトコンベア上の多くの搬送物を撮像領域に導くことが可能になる。
【0072】
(第10項)第1項~第8項のいずれか一項に記載の搬送物供給装置において、前記第2の位置と前記第3の位置との間の鉛直方向の距離は、前記搬送物に外接する球体の内径よりも大きく設定されてもよい。
【0073】
この場合、第2の位置から第3の位置までの落下距離が搬送物の全体の大きさよりも大きいので、搬送物の姿勢が容易に変更される。それにより、撮像領域内の搬送物の姿勢が特定の姿勢になる確率が向上する。したがって、少ない循環回数で搬送物の姿勢が特定の姿勢になることができる。その結果、搬送ロボットが短時間で搬送物を保持することが可能となる。
【0074】
(第11項)第5項~第10項のいずれか一項に記載の搬送物供給装置において、 前記第4の位置と前記第1の位置との間の鉛直方向の距離は、前記搬送物に外接する球体の内径よりも大きく設定されてもよい。
【0075】
この場合、第4の位置から第1の位置までの落下距離が搬送物の全体の大きさよりも大きいので、搬送物の姿勢が容易に変更される。それにより、落下後の複数の搬送物の重なりがより回避されやすい。そのため、撮像領域内の搬送物の姿勢が特定の姿勢になる確率を向上させることが可能になる。したがって、少ない循環回数で搬送物の姿勢を特定の姿勢にすることができる。その結果、搬送ロボットが短時間で搬送物を搬送することが可能となる。
【0076】
(第12項)第1項~第11項のいずれか一項に記載の搬送物供給装置は、前記搬送ロボットが前記特定の姿勢にある前記搬送物を保持する際に、前記第1および第2のベルトコンベアの動作を停止させる動作制御部をさらに備えてもよい。
【0077】
この場合、搬送ロボットが、静止している搬送物を保持することができる。それにより、搬送ロボットの制御が容易になる。
【0078】
(第13項)第12項記載の搬送物供給装置において、前記動作制御部は、前記撮像装置が前記撮像領域内の前記搬送物を撮像する際、前記第1および第2のベルトコンベアの動作を停止させるように構成されてもよい。
【0079】
この場合、撮像装置が、静止している搬送物を撮像することが可能になる。そのため、静止画のみを取得する撮像装置を用いることができる。
【0080】
(第14項) 他の態様に係る搬送システムは、第1項~第13項のいずれか一項に記載の搬送物供給装置と、
前記撮像領域を撮像する前記撮像装置と、
前記撮像装置により撮像領域内で取得された前記搬送物の二次元画像に基づいて、前記搬送物が前記特定の姿勢にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記搬送物が前記特定の姿勢にあると判定された場合に、前記特定の姿勢にある前記搬送物を保持する前記搬送ロボットとを備える。
【0081】
この搬送システムによれば、搬送物供給装置の構成の複雑化および大型化を抑制するとともに低コスト化が可能でかつ複数の搬送物の重なりが抑制される。それにより、簡単な構成で搬送ロボットが搬送物を容易かつ迅速に保持することが可能となる。
【0082】
(第15項)さらに他の態様に係る搬送方法は、撮像装置により撮像領域内で取得された搬送物の二次元画像に基づいて特定の姿勢にある搬送物を保持する搬送ロボットに対して、前記特定の姿勢にある搬送物を供給するための搬送物供給方法であって、
搬送物を第1のベルトコンベアにより第1の位置から第2の位置に向かう方向に移動させるステップと、
前記搬送物を前記第1のベルトコンベアの前記第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置に落下させるステップと、
前記第3の位置に落下した前記搬送物を前記第2のベルトコンベアにより前記第3の位置から第4の位置に向かって移動させることにより前記第3の位置と前記第4の位置との間に予め設定された撮像領域に移動させるステップと、
前記撮像領域を通過した前記搬送物を前記第4の位置、前記第1の位置、前記第2の位置および前記第3の位置を含む循環経路を循環させるステップとを含む。
【0083】
この搬送物供給方法によれば、搬送物は、第1のベルトコンベアの第1の位置から第2の位置に移動し、第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置に落下する。それにより、搬送物の姿勢が変更される。さらに、搬送物は、第3の位置から撮像領域内に移動する。撮像領域内の搬送物の二次元画像が撮像装置により取得される。取得された二次元画像に基づいて、撮像領域内の搬送物が特定の姿勢にあるか否かを判定することができる。撮像領域内の搬送物が特定の姿勢にあると判定された場合には、搬送ロボットが搬送物を保持して搬送することができる。
【0084】
一方、撮像領域内の搬送物が特定の姿勢にないと判定された場合には、搬送物は搬送ロボットにより保持されずに撮像領域を通過し、第2のベルトコンベアの第4の位置に移動する。この場合、搬送物が第4の位置、第1の位置、第2の位置および第3の位置を含む循環経路を循環するので、搬送物の姿勢が特定の姿勢になるまで、搬送物は第1および第2のベルトコンベアの循環経路を循環する。
【0085】
上記の方法によれば、第1のベルトコンベアの第2の位置から第2のベルトコンベアの第3の位置への搬送物の落下により搬送物の姿勢が変更される。この場合、搬送物の重量または搬送物の形状に関わらず、搬送物の姿勢が変更されやすい。また、第1のベルトコンベアから落下した搬送物は、第2のベルトコンベアで跳ねる。それにより、第1のベルトコンベアにより複数の搬送物が移動している場合に、第2のベルトコンベアに落下した複数の搬送物の重なりが回避されやすい。さらに、第2のベルトコンベアに落下した搬送物は搬送物の自然落下により搬送物の姿勢が変更されるので、第1および第2のベルトコンベアの構成および制御の複雑化が抑制される。搬送物供給装置の製造コストが低減される。その結果、低コスト化が可能でかつ複数の搬送物の重なりを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
10…第1のベルトコンベア,20…第2のベルトコンベア,VC…他のベルトコンベア,11,21…静止部材,30,40,50…案内部材,31,41,51…案内側面,60…動作制御部,100,100a…搬送物供給装置,200…撮像装置,300…搬送ロボット,311,312…接続部材,321,322…保持部,400…主制御装置,410…判定取得部,500…搬送システム,H1,H2…孔,IA…撮像領域,P1~P4…第1~第4の位置,TI,TI1~TI6…搬送物
図1
図2
図3
図4
図5
図6