(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】固体撮像素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/76 20230101AFI20240219BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240219BHJP
H04N 25/583 20230101ALI20240219BHJP
H04N 25/778 20230101ALI20240219BHJP
H04N 25/46 20230101ALI20240219BHJP
【FI】
H04N25/76
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H04N25/583
H04N25/778
H04N25/46
(21)【出願番号】P 2022177150
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2019555261の分割
【原出願日】2018-11-12
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2017224138
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】星野 幸三
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0350583(US,A1)
【文献】特開2013-062789(JP,A)
【文献】特開2015-012127(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203974(WO,A1)
【文献】特開2015-133469(JP,A)
【文献】特開2009-206210(JP,A)
【文献】特開2007-065330(JP,A)
【文献】特開2013-045907(JP,A)
【文献】特開2015-177429(JP,A)
【文献】特開2016-052041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0180689(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0312461(US,A1)
【文献】国際公開第2017/126326(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/76
H01L 27/146
H04N 25/583
H04N 25/778
H04N 25/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同色のカラーフィルタを有する画素セットを、複数の色に対応して複数有し、
各画素セットは4個の画素を含み、前記4個の画素の各々は2個の光電変換部を含み、
各画素セットは、前記画素セット内の前記4個の画素全ての2個の光電変換部に接続される電荷保持部をさらに含む
固体撮像素子。
【請求項2】
各画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された前記2個の光電変換部を含み、
各画素の前記2個の光電変換部の
配置方向は、同じ方向である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記画素の光電変換部の
配置方向は、全ての前記画素セットで同じ方向である
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
各画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された前記2個の光電変換部を含み、
各画素セット内の水平方向にある2個の画素の前記2個の光電変換部の
配置方向は、同じ方向である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
各画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された前記2個の光電変換部を含み、
各画素セット内の水平方向に配置された2個の画素の前記光電変換部の
配置方向は、直交する方向である
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
各画素の前記2個の光電変換部は、絶縁層によって互いに絶縁されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
各画素の前記2個の光電変換部は、前記2個の光電変換部の導電型と反対の導電型の不純物層によって互いに絶縁されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記不純物層は、画素境界におけるポテンシャル障壁よりも低いポテンシャル障壁を形成する
請求項7に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
複数の前記画素セットのうちの一部の画素セットには遮光膜が形成されており、前記遮光膜は、画素セット内の全ての画素を部分的に遮光している
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
複数の前記画素セットのうちの一部の画素セットには遮光膜が形成されており、前記遮光膜は、画素セット内の一部の画素を全て遮光している
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記電荷保持部は、前記4個の画素全ての前記2個の光電変換部で生成した電荷を加算して出力するように構成されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
各画素セットに含まれる前記4個の画素の前記2個の光電変換部のうち、第1の光電変換部と第2の光電変換部とは、異なる露光時間で露光される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
各光電変換部が受光した光の電荷を画素信号として出力する制御を行う制御部をさらに備え、
前記制御部は、第1の露光時間で露光された前記第1の光電変換部の第1の画素信号を出力し、第2の露光時間で露光された前記第2の光電変換部の第2の画素信号を出力する
請求項12に記載の固体撮像素子。
【請求項14】
各画素セットに含まれる前記4個の画素のうち少なくとも一部の画素の前記2個の光電変換部で生成された画素信号は別々に出力される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項15】
各画素セットに含まれる前記4個の画素のうち、第1の画素の前記光電変換部は、第1の露光時間で露光され、第2の画素の前記光電変換部は、前記第1の露光時間よりも短い第2の露光時間で露光され、前記第2の露光時間で露光された前記第2の画素の複数の前記光電変換部で生成された画素信号は別々に出力される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項16】
各画素セットに含まれる4個の画素のうち、第1の画素の光電変換部は、第1の露光時間で露光され、第2の画素の光電変換部は、前記第1の露光時間よりも短い第2の露光時間で露光され、第3の画素の光電変換部は、前記第2の露光時間よりも短い第3の露光時間で露光され、前記第2の露光時間で露光された前記第2の画素の複数の前記光電変換部で生成された画素信号は別々に出力される
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項17】
前記画素セットの前記カラーフィルタは、ベイヤ配列で配置されている
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項18】
同色のカラーフィルタを有する画素セットを、複数の色に対応して複数有し、
各画素セットは4個の画素を含み、前記4個の画素の各々は2個の光電変換部を含み、
各画素セットは、前記画素セット内の前記4個の画素全ての2個の光電変換部に接続される電荷保持部をさらに含む
固体撮像素子
を備える電子機器。
【請求項19】
各画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された前記2個の光電変換部を含み、
各画素セット内の水平方向に配置された2個の画素の前記光電変換部の
配置方向は直交する方向である
請求項18に記載の電子機器。
【請求項20】
前記電荷保持部は、前記4個の画素全ての前記2個の光電変換部で生成した電荷を加算して出力するように構成されている
請求項18に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子および電子機器に関し、特に、高ダイナミックレンジ画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することができるようにした固体撮像素子および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
高ダイナミックレンジな画像(以下、HDR画像ともいう。)を生成するための高感度信号と低感度信号の2種類の画素信号の取得と、測距用の位相差の検出信号の取得を同時に実現する固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画素構造では、1つのオンチップレンズ下に3つのフォトダイオードが形成されるが、オンチップレンズの曲率を上げて屈折力を高めることで角度依存性を向上させて位相差特性に特化するとHDR画像の生成が困難になり、逆にオンチップレンズの曲率を下げて屈折力を下げることで角度依存性を低下させてHDR画像の生成を良好にしようと特化すると、位相差特性の分離度が悪化するため、位相差特性とHDR特性の両立が難しい。1つのオンチップレンズの曲率を変えるレンズ構造も提案されているが、形状ばらつきにシビアとなるため、量産が難しい。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、高ダイナミックレンジな画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の側面の固体撮像素子は、同色のカラーフィルタを有する画素セットを、複数の色に対応して複数有し、各画素セットは4個の画素を含み、前記4個の画素の各々は2個の光電変換部を含み、各画素セットは、前記画素セット内の前記4個の画素全ての2個の光電変換部に接続される電荷保持部をさらに含む。
【0007】
本技術の第2の側面の電子機器は、同色のカラーフィルタを有する画素セットを、複数の色に対応して複数有し、各画素セットは4個の画素を含み、前記4個の画素の各々は2個の光電変換部を含み、各画素セットは、前記画素セット内の前記4個の画素全ての2個の光電変換部に接続される電荷保持部をさらに含む固体撮像素子を備える。
【0008】
本技術の第1および第2の側面においては、同色のカラーフィルタを有する画素セットが、複数の色に対応して複数設けられ、各画素セットには4個の画素が含まれ、4個の画素の各々には2個の光電変換部が含まれる。各画素セットには、画素セット内の4個の画素全ての2個の光電変換部に接続される電荷保持部が含まれる。
【0009】
固体撮像素子及び電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【発明の効果】
【0010】
本技術の第1および第2の側面によれば、高ダイナミックレンジな画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することができる。
【0011】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本技術を適用した固体撮像素子の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の固体撮像素子の画素アレイ部の第1断面構成例を示す図である。
【
図3】カラーフィルタの色配列について説明する図である。
【
図5】画素セットの転送トランジスタを制御する信号線の構成を示す図である。
【
図6】固体撮像素子がフル解像度モードで動作する場合の駆動を説明する図である。
【
図7】フル解像度モードの変形例を説明する図である。
【
図8】固体撮像素子が4画素加算位相差検出モードで動作する場合の駆動を説明する図である。
【
図9】固体撮像素子が位相差HDR第1モードで動作する場合の駆動を説明する図である。
【
図10】位相差HDR第1モードにおける画素信号の読み出し手順を示す図である。
【
図11】固体撮像素子が位相差HDR第2モードで動作する場合の駆動を説明する図である。
【
図12】位相差HDR第2モードにおける画素信号の読み出し手順を示す図である。
【
図13】位相差HDR第1モードに特化した信号線の配線例を示す図である。
【
図14】位相差HDR第2モードに特化した信号線の配線例を示す図である。
【
図15】カラーフィルタの色配列の変形例を示す図である。
【
図16】フォトダイオードPDの配置方向の変形例を示す図である。
【
図17】オンチップレンズの配置の変形例を示す図である。
【
図18】
図1の固体撮像素子の画素アレイ部の第2断面構成例を示す図である。
【
図20】
図1の固体撮像素子の画素アレイ部の第3断面構成例を示す図である。
【
図21】
図18の絶縁層と不純物層の形成領域を示す平面図である。
【
図22】
図21の不純物層のポテンシャルを説明する図である。
【
図24】フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第1の構成を示す平面図である。
【
図25】フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第2の構成を示す平面図である。
【
図26】フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第3の構成を示す平面図である。
【
図27】フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第4の構成を示す平面図である。
【
図28】
図1の固体撮像素子のその他の変形例を示す図である。
【
図29】
図1の固体撮像素子のさらにその他の変形例を示す図である。
【
図30】画素トランジスタの配置例を示す平面図である。
【
図31】本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図32】イメージセンサの使用例を説明する図である。
【
図33】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図34】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図35】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図36】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の概略構成例
2.画素の第1断面構成例
3.カラーフィルタの配置例
4.画素セットの回路構成例
5.出力モードの説明
6.カラーフィルタの色配列の変形例
7.フォトダイオードの配置方向の変形例
8.オンチップレンズの配置の変形例
9.画素の第2断面構成例
10.画素の第3断面構成例
11.遮光膜を追加した構成例
12.その他の変形例
13.画素トランジスタ配置例
14.電子機器への適用例
15.内視鏡手術システムへの応用例
16.移動体への応用例
【0014】
<1.固体撮像素子の概略構成例>
図1は、本技術を適用した固体撮像素子の概略構成を示している。
【0015】
図1の固体撮像素子1は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板12に、画素2が行列状に2次元配列された画素アレイ部3と、その周辺の周辺回路部とを有して構成される。周辺回路部には、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7、制御回路8などが含まれる。
【0016】
画素2は、光電変換部としてのフォトダイオードと、複数の画素トランジスタを有して成る。なお、画素2は、
図4を参照して後述するように、フォトダイオードで生成された電荷を保持する電荷保持部としてのフローティングディフージョン(浮遊拡散領域)を、複数の画素2で共有する共有画素構造で形成されている。共有画素構造では、フォトダイオード及び転送トランジスタが画素ごとに設けられ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ、及び、増幅トランジスタが複数の画素で共有して構成される。
【0017】
制御回路8は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また固体撮像素子1の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6等に出力する。
【0018】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、所定の画素駆動配線10を選択し、選択された画素駆動配線10に画素2を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素2を駆動する。すなわち、垂直駆動回路4は、画素アレイ部3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素2の光電変換部において受光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線9を通してカラム信号処理回路5に出力する制御を行う。
【0019】
カラム信号処理回路5は、画素2の列ごとに配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路5は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)およびAD変換等の信号処理を行う。
【0020】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線11に出力させる。
【0021】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線11を通して順次に供給される信号に対し、所定の信号処理を行って出力する。出力回路7は、例えば、バファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正などの各種のデジタル信号処理などが行われる場合もある。入出力端子13は、外部と信号のやりとりをする。
【0022】
以上のように構成される固体撮像素子1は、CDS処理とAD変換処理を行うカラム信号処理回路5が画素列ごとに配置されたカラムAD方式と呼ばれるCMOSイメージセンサである。
【0023】
また、固体撮像素子1は、複数枚の基板を積層した積層構造のチップで構成されてもよい。複数枚の基板を積層したチップは、下側基板及び上側基板がその順で下から上に積層されて構成される。下側基板には、制御回路8、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6および出力回路7のうち少なくとも1つ以上が形成され、上側基板には、少なくとも画素アレイ部3が形成される。垂直駆動回路4と画素アレイ部3との間、およびカラム信号処理回路5と画素アレイ部3との間は、接続部によって接続されることで下側基板と上側基板との間で信号が伝達される。接続部は、例えばTSV(Through Silicon Via)やCu-Cu等で形成される。
【0024】
<2.画素の第1断面構成例>
図2は、
図1の固体撮像素子1の画素アレイ部3の第1断面構成例を示す図である。
【0025】
固体撮像素子1の画素アレイ部3では、半導体基板12の、例えば、P型(第1導電型)の半導体領域31に、N型(第2導電型)の半導体領域32を形成することにより、フォトダイオードPDが形成されている。画素アレイ部3の各画素2には、1画素に対して2個のフォトダイオードPDが形成されており、2個のフォトダイオードPDは、画素領域を均等に2分割して対称配置となるように形成されている。なお、以下では、1画素に形成された2つのフォトダイオードPDのうち、図中、右側に配置されたフォトダイオードPDを右フォトダイオードPD、左側に配置されたフォトダイオードPDを左フォトダイオードPDと称して説明する場合がある。
【0026】
図2において下側となる半導体基板12の表面側には、各画素2のフォトダイオードPDで生成され蓄積された電荷の読み出し等を行う画素トランジスタ(図示せず)と、複数の配線層33と層間絶縁膜34とからなる多層配線層35が形成されている。
【0027】
一方、
図2において上側となる半導体基板12の裏面側の画素境界部分には、画素間遮光膜36が形成されている。画素間遮光膜36は、光を遮光する材料であればよいが、遮光性が強く、かつ微細加工、例えばエッチングで精度よく加工できる材料が望ましい。画素間遮光膜36は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)などの金属膜で形成することができる。
【0028】
また、半導体基板12の裏面側界面には、例えば、シリコン酸化膜などによる反射防止膜(絶縁層)などをさらに形成してもよい。
【0029】
画素間遮光膜36を含む半導体基板12の裏面上には、カラーフィルタ37が形成されている。カラーフィルタ37は、例えば顔料や染料などの色素を含んだ感光性樹脂を回転塗布することによって形成される。カラーフィルタ37の色配列については
図3を参照して後述するが、2x2(2行2列)の4画素単位に、R(赤色)、G(緑色)、または、B(青色)の各色がベイヤ配列で配置されている。
【0030】
カラーフィルタ37の上には、オンチップレンズ38が画素単位に形成されている。オンチップレンズ38は、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル共重合系樹脂、またはシロキサン系樹脂等の樹脂系材料で形成される。
【0031】
以上のように、固体撮像素子1は、多層配線層35が形成された半導体基板12の表面側と反対側の裏面側に、カラーフィルタ37やオンチップレンズ38を形成して、裏面側から光が入射される裏面照射型のCMOS固体撮像素子である。
【0032】
固体撮像素子1の各画素2は、画素内に、分離された2つのフォトダイオードPDを有する。2つのフォトダイオードPDは、形成位置が異なることにより、2つのフォトダイオードPDそれぞれから生成される像に、ずれが発生する。この像のずれから、位相ずれ量を算出してデフォーカス量を算出し、撮影レンズを調整(移動)することで、オートフォーカスを達成することができる。
【0033】
<3.カラーフィルタの配置例>
次に、
図3を参照して、画素アレイ部3のカラーフィルタ37の色配列について説明する。
【0034】
画素2が行列状に2次元配列された画素アレイ部3においては、2x2(縦2画素×横2画素)の4個の画素2で1つの画素セット51が構成される。そして、カラーフィルタ37は、画素セット51単位で同色となるように配置される。より具体的には、R、G、および、Bのカラーフィルタ37が、画素セット51単位でベイヤ配列となるように配置されている。
【0035】
図3では、Rのカラーフィルタ37を有する画素セット51を画素セット51Rで表し、画素セット51Rの隣りのGのカラーフィルタ37を有する画素セット51を画素セット51Grで表している。また、Bのカラーフィルタ37を有する画素セット51を画素セット51Bで表し、画素セット51Bの隣りのGのカラーフィルタ37を有する画素セット51を画素セット51Gbで表している。尚、カラーフィルタの構成はRGBの原色系フィルタに限定されず、CMYG(シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン)等の補色系フィルタ等、種々の構成が適用されても良い。
【0036】
また、各画素2に形成された2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向は、画素セット51内で同一方向であり、かつ、全ての画素セット51でも同一方向に形成されている。
【0037】
オンチップレンズ38は、画素単位に形成されている。
【0038】
<4.画素セットの回路構成例>
次に、
図4は、画素セット51の回路構成を示す図である。
【0039】
図4においては、画素セット51の一例として、画素セット51Grの回路構成が示されている。
【0040】
画素セット51Grの各画素2は、2個のフォトダイオードPDと、それらに蓄積された電荷を転送する2個の転送トランジスタTGを有している。そして、FD52、リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び選択トランジスタ55のそれぞれは、画素セット51Grに対して1つずつ設けられている。リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び選択トランジスタ55のそれぞれは、画素セット51Grの4画素で共有される。リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び選択トランジスタ55を共有する4画素が共有単位となる。
【0041】
なお、以下では、画素セット51Gr内の各画素2の2個のフォトダイオードPDと2個の転送トランジスタTGを区別する場合、画素セット51Grを構成する2x2の4画素のうち、左上の画素2の2個のフォトダイオードPDを、フォトダイオードPD_Gr1LおよびPD_Gr1Rと称し、フォトダイオードPD_Gr1LおよびPD_Gr1Rに蓄積された電荷を転送する2個の転送トランジスタTGを、転送トランジスタTG_Gr1LおよびTG_Gr1Rと称する。
【0042】
また、右上の画素2の2個のフォトダイオードPDを、フォトダイオードPD_Gr2LおよびPD_Gr2Rと称し、フォトダイオードPD_Gr2LおよびPD_Gr2Rに蓄積された電荷を転送する2個の転送トランジスタTGを、転送トランジスタTG_Gr2LおよびTG_Gr2Rと称する。
【0043】
同様に、左下の画素2の2個のフォトダイオードPDを、フォトダイオードPD_Gr3LおよびPD_Gr3Rと称し、フォトダイオードGr3LおよびGr3Rに蓄積された電荷を転送する2個の転送トランジスタTGを、転送トランジスタTG_Gr3LおよびTG_Gr3Rと称する。右下の画素2の2個のフォトダイオードPDを、フォトダイオードPD_Gr4LおよびPD_Gr4Rと称し、フォトダイオードPD_Gr4LおよびPD_Gr4Rに蓄積された電荷を転送する2個の転送トランジスタTGを、転送トランジスタTG_Gr4LおよびTG_Gr4Rと称する。
【0044】
画素セット51Gr内の各画素2のフォトダイオードPDのそれぞれは、光を受光して光電荷を生成して蓄積する。
【0045】
転送トランジスタTG_Gr1Lは、ゲート電極に供給される駆動信号TRGGr1Lがアクティブ状態になるとこれに応答して導通状態になることで、フォトダイオードPD_Gr1Lに蓄積されている光電荷をFD52に転送する。転送トランジスタTG_Gr1Rは、ゲート電極に供給される駆動信号TRGGr1Rがアクティブ状態になるとこれに応答して導通状態になることで、フォトダイオードPD_Gr1Rに蓄積されている光電荷をFD52に転送する。
【0046】
転送トランジスタTG_Gr2Lは、ゲート電極に供給される駆動信号TRGGr2Lがアクティブ状態になるとこれに応答して導通状態になることで、フォトダイオードPD_Gr2Lに蓄積されている光電荷をFD52に転送する。転送トランジスタTG_Gr2Rは、ゲート電極に供給される駆動信号TRGGr2Rがアクティブ状態になるとこれに応答して導通状態になることで、フォトダイオードPD_Gr2Rに蓄積されている光電荷をFD52に転送する。フォトダイオードPD_Gr3L、PD_Gr3R、PD_Gr4L、およびPD_Gr4Rと、転送トランジスタTG_Gr3L、TG_Gr3R、TG_Gr4L、およびTG_Gr4Rについても同様である。
【0047】
FD52は、画素セット51Gr内の各画素2のフォトダイオードPDから供給された光電荷を一時保持する。
【0048】
リセットトランジスタ53は、ゲート電極に供給される駆動信号RSTがアクティブ状態になるとこれに応答して導通状態になることで、FD52の電位を所定のレベル(リセット電圧VDD)にリセットする。
【0049】
増幅トランジスタ54は、ソース電極が選択トランジスタ55を介して垂直信号線9に接続されることにより、垂直信号線9の一端に接続されている定電流源回路部56の負荷MOSとソースフォロワ回路を構成する。
【0050】
選択トランジスタ55は、増幅トランジスタ54のソース電極と垂直信号線9との間に接続されている。選択トランジスタ55は、ゲート電極に供給される選択信号SELがアクティブ状態になるとこれに応答して導通状態となり、共有単位を選択状態として増幅トランジスタ54から出力される共有単位内の画素2の画素信号を垂直信号線9に出力する。尚、選択トランジスタ55は、
図4のように画素セット51(
図4では画素セット51Gr)に対して1つであっても良いし、複数の選択トランジスタ55が設けられても良い。画素セット51に対して複数の選択トランジスタ55を設けた場合には、複数の選択トランジスタ55それぞれが、異なる垂直信号線9に接続されることで、画素信号をより高速に読み出すことが可能となる。
【0051】
各画素2の転送トランジスタTG、リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、および、選択トランジスタ55は、垂直駆動回路4によって制御される。
【0052】
図5は、
図4に示したように、画素セット51を構成する8個の転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGrを供給するための信号線の構成を示している。
【0053】
画素セット51Grを構成する8個の転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGrを供給するためには、
図5に示されるように、水平方向に配列された複数の画素セット51に対して、8本の信号線61-1乃至61-8が必要となる。8本の信号線61-1乃至61-8は、
図1の画素駆動配線10の一部である。
【0054】
信号線61-1は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr1Lのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr1Lを伝送する。また、信号線61-1は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr1Lと同位置にある転送トランジスタTG_R1L(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr1Lを伝送する。
【0055】
信号線61-2は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr1Rのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr1Rを伝送する。また、信号線61-2は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr1Rと同位置にある転送トランジスタTG_R1R(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr1Rを伝送する。
【0056】
信号線61-3は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr2Lのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr2Lを伝送する。また、信号線61-3は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタG_Gr2Lと同位置にある転送トランジスタTG_R2L(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr2Lを伝送する。
【0057】
信号線61-4は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr2Rのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr2Rを伝送する。また、信号線61-4は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr2Rと同位置にある転送トランジスタTG_R2R(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr2Rを伝送する。
【0058】
信号線61-5は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr3Lのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr3Lを伝送する。また、信号線61-5は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr3Lと同位置にある転送トランジスタTG_R3L(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr3Lを伝送する。
【0059】
信号線61-6は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr3Rのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr3Rを伝送する。また、信号線61-6は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr3Rと同位置にある転送トランジスタTG_R3R(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr3Rを伝送する。
【0060】
信号線61-7は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr4Lのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr4Lを伝送する。また、信号線61-7は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr4Lと同位置にある転送トランジスタTG_R4L(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr4Lを伝送する。
【0061】
信号線61-8は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr4Rのゲート電極に供給される駆動信号TRGGr4Rを伝送する。また、信号線61-8は、画素セット51Grの隣りの画素セット51Rにおいて、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr4Rと同位置にある転送トランジスタTG_R4R(不図示)のゲート電極にも駆動信号TRGGr4Rを伝送する。
【0062】
同様に、水平方向に配列された画素セット51Bと51Gbに対しても、8本の信号線62-1乃至62-8が必要となる。
【0063】
信号線62-1は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr1Lに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb1Lを伝送する。
【0064】
信号線62-2は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr1Rに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb1Rを伝送する。
【0065】
信号線62-3は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr2Lに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb2Lを伝送する。
【0066】
信号線62-4は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr2Rに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb2Rを伝送する。
【0067】
信号線62-5は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr3Lに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb3Lを伝送する。
【0068】
信号線62-6は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr3Rに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb3Rを伝送する。
【0069】
信号線62-7は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr4Lに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb4Lを伝送する。
【0070】
信号線62-8は、画素セット51Grの転送トランジスタTG_Gr4Rに対応する、画素セット51Bと51Gbの転送トランジスタTGのゲート電極に駆動信号TRGGb4Rを伝送する。
【0071】
共有単位内の複数の画素2の回路を以上のように構成することにより、垂直駆動回路4からの駆動信号に応じて、共有単位内の各画素2は、フォトダイオードPD単位で画素信号を出力することもできるし、画素単位または複数画素単位で画素信号を出力することもできる。画素単位または複数画素単位で画素信号を出力する場合には、同時に出力する複数の転送トランジスタTGが同時にアクティブ状態とされる。FD52は、同時にアクティブ状態とされた転送トランジスタTGを介して複数のフォトダイオードPDから供給される電荷を加算する。これにより、画素単位または複数画素単位の画素信号が、FD52から、増幅トランジスタ54および選択トランジスタ55を介して、カラム信号処理回路5に出力される。
【0072】
なお、
図4および
図5は、画素セット51を構成する2x2の4画素を共有単位とした回路例を示したが、共有単位とする複数画素の組み合わせは、これに限られない。例えば、1x2(縦1画素×横2画素)若しくは2x1(縦2画素×横1画素)の2画素を共有単位としてもよいし、4x1(縦4画素×横1画素)の4画素を共有単位としてもよい。
【0073】
<5.出力モードの説明>
<5.1 フル解像度モード>
次に、固体撮像素子1が実行可能な複数の出力モードについて説明する。
【0074】
初めに、画素アレイ部3の全てのフォトダイオードPDで生成される画素信号を個別に出力するフル解像度モードについて説明する。
【0075】
図6は、固体撮像素子1がフル解像度モードで動作する場合の画素セット51Grの駆動(画素信号出力制御)を説明する図である。
【0076】
図6において斜線を付したフォトダイオードPDは、画素信号の出力が選択されたフォトダイオードPDを表している。フル解像度モードでは、
図6に示されるように、画素セット51Grの8個のフォトダイオードPDが順次選択され、8個のフォトダイオードPDそれぞれで生成された画素信号が個別に出力される。
【0077】
図6の例では、8個のフォトダイオードPDの選択される順番が、フォトダイオードPD_Gr1L、PD_Gr1R、PD_Gr2L、PD_Gr2R、PD_Gr3L、PD_Gr3R、PD_Gr4L、PD_Gr4Rの順で選択されているが、順番は、これに限られない。
【0078】
フル解像度モードでは、同一画素内の2つのフォトダイオードPDの画素信号を合算することにより、1画素の画素信号を得ることができ、同一画素内の2つのフォトダイオードPDの画素信号を比較することにより、位相差を検出することができる。他の画素セット51Gb、51R、および、51Bも、
図6の画素セット51Grと同様の動作を行う。
【0079】
これにより、フル解像度モードでは、全ての画素2で、画素単位の信号出力と、位相差検出のための信号出力が可能である。
【0080】
また、固体撮像素子1において、カラーフィルタ37は、
図3に示したように、4画素単位(画素セット51単位)にR,G,Bの色が配置されているが、フル解像度モードでは、画素単位にR,G,Bのベイヤ配列の画素信号に生成し直して出力するリモザイク処理も可能である。
【0081】
なお、
図6の駆動を行うフル解像度モードは、フレームレートが低くなったり、消費電力が大きくなるため、画素セット51Grの一部の画素2については、位相差検出を行わない駆動としてもよい。
【0082】
例えば、固体撮像素子1は、
図7に示されるように、画素セット51Grを構成する4画素のうち、右上の画素2と、左下の画素2については、画素内の2個のフォトダイオードPDを同時に読み出すように駆動する。
図7においても、斜線を付したフォトダイオードPDが、画素信号の出力が選択されたフォトダイオードPDを表している。
【0083】
位相差は、左上の画素2のフォトダイオードPD_Gr1LおよびPD_Gr1Rと、右下の画素2のフォトダイオードPD_Gr4LおよびPD_Gr4Rの画素信号を用いて検出される。このように、位相差検出する画素2を間引くことにより、フレームレートや消費電力を向上させることができる。あるいはまた、例えば、低照度のときは全画素で位相差検出を行う
図6の駆動を行い、高照度のときは一部を間引いた
図7の駆動を行うなど、受光量の違いによって位相差検出可能な画素2を変更してもよい。
【0084】
図7の例は、画素セット51Grを構成する4画素のうち、2画素で位相差検出を行う例であるが、1画素のみで位相差検出を行う駆動としてもよい。
【0085】
<5.2 4画素加算位相差検出モード>
次に、4画素加算位相差検出モードについて説明する。
【0086】
固体撮像素子1は、共有単位である画素セット51、すなわち2x2の4画素単位で画素信号を加算出力するとともに、画素アレイ部3の全面で位相差を検出する4画素加算位相差検出モードを実行することができる。
【0087】
図8は、4画素加算位相差検出モードの駆動を説明する図である。
【0088】
図8においても、斜線を付したフォトダイオードPDが、画素信号の出力が選択されたフォトダイオードPDを表している。
【0089】
4画素加算位相差検出モードでは、固体撮像素子1は、画素セット51の各画素2の2つのフォトダイオードPDのうち、画素内の位置が同じ位置どうしのフォトダイオードPDの画素信号を加算して出力する。例えば、固体撮像素子1は、最初に、
図8のAのように、画素セット51内の全ての左フォトダイオードPDの画素信号を加算して出力し、その後、
図8のBのように、画素セット51内の全ての右フォトダイオードPDの画素信号を加算して出力する。なお、左フォトダイオードPDと右フォトダイオードPDの読み出し順序は、逆でもよい。
【0090】
このような駆動を行うことにより、読み出した画素セット51単位の左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号とから、位相差を検出することができるとともに、両者の画素信号を合算することにより、画素セット51単位(4画素単位)の画素信号出力を得ることができる。すなわち、画素容量Qs増加によるダイナミックレンジの優位性を持ちつつ、全面位相差も検出することができる。
【0091】
左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を識別可能に読み出す方法としては、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を別々に読み出す第1の読み出し方法と、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を加算した信号を読み出す第2の読み出し方法の2通りが採用可能である。
【0092】
第1の読み出し方法と第2の読み出し方法について簡単に説明する。
【0093】
初めに、第1の読み出し方法について説明する。
【0094】
まず、左右のフォトダイオードPDが受光(露光)している間に、相関2重サンプリングを行うためのダークレベル信号が取得される。
【0095】
所定の露光時間経過後、固体撮像素子1は、最初に、画素セット51の左右のフォトダイオードPD群の一方の画素信号、例えば、左のフォトダイオードPD群の画素信号を読み出す。
【0096】
例えば、左のフォトダイオードPD群の画素信号の読み出しについて、
図4に示した画素セット51Grの例で説明すると、選択トランジスタ55をアクティブ状態とした上で、転送トランジスタTG_Gr1L、TG_Gr2L、TG_Gr3L、およびTG_Gr4Lをアクティブ状態として、フォトダイオードPD_Gr1L、PD_Gr2L、PD_Gr3L、およびPD_Gr4Lに蓄積された電荷をFD52に転送することで、FD52の蓄積電荷に応じた電圧信号が、垂直信号線9を介して、カラム信号処理回路5へ出力される。
【0097】
カラム信号処理回路5へ出力された電圧信号は、左のフォトダイオードPD群の画素信号とダークレベル信号との和となっているので、カラム信号処理回路5において、電圧信号からダークレベル信号を減算することで、左のフォトダイオードPD群の画素信号が得られる。
【0098】
次に、固体撮像素子1は、リセットトランジスタ53をオンして、FD52の蓄積電荷をリセットした後、画素セット51の左右のフォトダイオードPD群の他方の画素信号、例えば、右のフォトダイオードPD群の画素信号を読み出す。
図4に示した画素セット51Grの例では、選択トランジスタ55をアクティブ状態とした上で、転送トランジスタTG_Gr1R、TG_Gr2R、TG_Gr3R、およびTG_Gr4Rをアクティブ状態として、フォトダイオードPD_Gr1R、PD_Gr2R、PD_Gr3R、およびPD_Gr4Rに蓄積された電荷をFD52に転送することで、FD52の蓄積電荷に応じた電圧信号が、垂直信号線9を介して、カラム信号処理回路5へ出力される。
【0099】
カラム信号処理回路5へ出力された電圧信号は、右のフォトダイオードPD群の画素信号とダークレベル信号との和となっているので、カラム信号処理回路5において、電圧信号からダークレベル信号を減算することで、右のフォトダイオードPD群の画素信号が得られる。
【0100】
第1の読み出し方法では、以上のようにして、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号が別々に読み出され、位相差信号を直接取れることから、品質の良い測距用の信号を取得することが可能となる。一方で撮影画像用の信号は左右のフォトダイオードPDの信号をデジタル加算することで得ることが可能となる。
【0101】
次に、第2の読み出し方法について説明する。
【0102】
第2の読み出し方法において、ダークレベル信号の取得と、画素セット51の左右のフォトダイオードPD群の一方の画素信号(左のフォトダイオードPD群の画素信号)の取得までは、第1の読み出し方法と同様である。
【0103】
左右のフォトダイオードPD群の一方の画素信号を取得した後、固体撮像素子1は、第1の読み出し方法のようにリセットトランジスタ53をオンせずに(オフのまま)、画素セット51の左右のフォトダイオードPD群の他方の画素信号、例えば、右のフォトダイオードPD群の画素信号を読み出す。
【0104】
カラム信号処理回路5へ出力された電圧信号は、左右のフォトダイオードPD群の信号とダークレベル信号との和となっている。カラム信号処理回路5は、まず、電圧信号からダークレベル信号を減算することで、左右のフォトダイオードPD群の画素信号を取得し、その後、左右のフォトダイオードPD群の画素信号から、先に求めた左のフォトダイオードPD群の画素信号を減算し、右のフォトダイオードPD群の画素信号を取得する。
【0105】
第2の読み出し方法では、以上にようにして、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を取得することができ、位相差信号を間接的に取ることが可能となる。一方で撮影画像用の信号は、アナログ時に加算されている事から信号品質が良く、第1の読出し方法に比べて、読出し時間と消費電力の面でもメリットが生まれる。
【0106】
<5.3 4画素加算モード>
次に、4画素加算モードについて説明する。
【0107】
位相差情報を必要としない場合には、固体撮像素子1は、共有単位である画素セット51、すなわち2x2の4画素単位で画素信号を加算出力する4画素加算モードを実行することができる。
【0108】
4画素加算モードでは、共有単位である画素セット51内の全て(8個)の転送トランジスタTGが同時にオンされ、画素セット51内の全てのフォトダイオードPDの電荷が、FD52へ供給される。FD52は、画素セット51内の全てのフォトダイオードPDの電荷を加算する。そして、加算後の電荷に対応する電圧信号が、カラム信号処理回路5へ出力される。ダークレベル信号との差分を取ることで、画素セット51単位の画素信号を取得することができる。
【0109】
<5.4 位相差HDR第1モード>
次に、位相差HDR第1モードについて説明する。
【0110】
位相差HDR第1モードは、位相差の検出と、高ダイナミックレンジな画像(以下、HDR画像と称する。)の生成を可能とする出力モードである。
【0111】
位相差を検出するためには、画素アレイ部3を構成する複数の画素2の少なくとも一部に、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を個別に出力する画素2が必要である。
【0112】
また、HDR画像を生成するためには、画素アレイ部3を構成する複数の画素2に、露光時間が異なる画素2が含まれる必要がある。
【0113】
そこで、固体撮像素子1は、位相差HDR第1モードにおいて、
図9に示されるように、画素アレイ部3を構成する複数の画素2に、2種類の露光時間を設定する。
【0114】
図9は、位相差HDR第1モードにおいて、画素アレイ部3の一部であるベイヤ配列の4個(2x2)の画素セット51に対して設定される露光時間を示す図である。
【0115】
位相差HDR第1モードにおいては、第1の露光時間と第2の露光時間のいずれかが画素単位に設定される。第2の露光時間は、第1の露光時間よりも短い露光時間である(第1の露光時間>第2の露光時間)。
図9では、第1の露光時間が設定されているフォトダイオードPDには“L”と記述され、第2の露光時間が設定されているフォトダイオードPDには“S”と記述されている。
【0116】
図9に示されるように、1つの画素セット51を構成する4個の画素2の対角方向をペアとして、第1の露光時間および第2の露光時間が設定される。例えば、
図9の例のように、画素セット51を構成する4画素のうち、右上および左下の2画素に対して第1の露光時間(L)が設定され、右下および左上の2画素に対して第2の露光時間(S)が設定される。なお、第1の露光時間(L)および第2の露光時間(S)を設定する画素2の配置は逆でもよい。
【0117】
図10は、位相差HDR第1モードにおける画素信号の読み出し手順を示す図である。
図10においても、斜線を付したフォトダイオードPDは、画素信号の出力が選択されたフォトダイオードPDを表している。
【0118】
位相差HDR第1モードにおいては、固体撮像素子1は、
図10に示されるように、第1の露光時間(L)を設定した2画素については、全てのフォトダイオードPDの画素信号を出力し、第2の露光時間(S)を設定した2画素については、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を別々に出力する。
【0119】
具体的には、固体撮像素子1は、右上および左下の2個の画素2の全てのフォトダイオードPDの画素信号、左上と右下の画素2の左フォトダイオードPDの画素信号、左上と右下の右フォトダイオードPDの画素信号、の順で、複数のフォトダイオードPDの画素信号を同時出力する。
【0120】
これにより、露光時間が第2の露光時間(S)に設定された2個の画素2では、左フォトダイオードPDと右フォトダイオードPDの画素信号を別々に出力するので、位相差を検出することができる。また、第1の露光時間(L)を設定した画素2と、第2の露光時間(S)を設定した画素2とが含まれているので、HDR画像を生成することができる。
【0121】
なお、位相差を検出する画素2を、露光時間が第1の露光時間(L)に設定された画素2としてもよいが、光強度が強い場合に飽和する恐れがあるため、位相差を検出する画素2は、第2の露光時間(S)を設定した画素2とする方が好ましい。第2の露光時間(S)を設定した画素2を位相差検出画素とすることで、飽和させずに位相差情報を取得することができる。
【0122】
以上のように、位相差HDR第1モードでは、各画素セット51に対して、第1の露光時間(L)と第2の露光時間(S)の2種類の露光時間を設定するとともに、各画素セット51の一部の画素2、具体的には、第2の露光時間(S)を設定した画素2において、左右のフォトダイオードPDの画素信号を別々に出力し、位相差を検出することで、位相差検出用の信号と、高ダイナミックレンジなHDR画像の信号を、同時に取得することができる。
【0123】
<5.5 位相差HDR第2モード>
次に、位相差HDR第2モードについて説明する。
【0124】
位相差HDR第2モードも、位相差HDR第1モードと同様に、位相差の検出と、HDR画像の生成を可能とする出力モードである。位相差HDR第2モードが位相差HDR第1モードと異なる点は、画素アレイ部3内の画素2に設定される露光時間が、位相差HDR第1モードの2種類ではなく、3種類である点である。
【0125】
図11は、位相差HDR第2モードにおいて、画素アレイ部3の一部であるベイヤ配列の4個(2x2)の画素セット51に対して設定される露光時間を示す図である。
【0126】
位相差HDR第2モードにおいては、第1乃至第3の露光時間のいずれかが画素ごとに設定される。第2の露光時間は、第1の露光時間よりも短い露光時間であり、第3の露光時間は、第2の露光時間よりもさらに短い露光時間である(第1の露光時間>第2の露光時間>第3の露光時間)。
図11では、第1の露光時間が設定されているフォトダイオードPDには“L”と記述され、第2の露光時間が設定されているフォトダイオードPDには“M”と記述され、第3の露光時間が設定されているフォトダイオードPDには“S”と記述されている。第1の露光時間(L)、第2の露光時間(M)、および、第3の露光時間(S)のうち、真ん中の第2の露光時間(M)が自動露出(Automatic Exposure)時の適正露光に対応した露光時間となっている。
【0127】
図11に示されるように、1つの画素セット51を構成する4個の画素2のうち、所定の対角方向の2画素に対しては第2の露光時間(M)が設定され、他の対角方向の2画素の一方に対しては第1の露光時間(L)が設定され、他方に対しては第3の露光時間(S)が設定される。なお、第2の露光時間(M)を設定する対角方向は、
図11の左斜め方向ではなく、右斜め方向でもよい。また、第1の露光時間(L)と第3の露光時間(S)を設定する画素2の配置は逆でもよい。
【0128】
図12は、位相差HDR第2モードにおける画素信号の読み出し手順を示す図である。
図12においても、斜線を付したフォトダイオードPDは、画素信号の出力が選択されたフォトダイオードPDを表している。
【0129】
位相差HDR第2モードにおいては、固体撮像素子1は、
図12に示されるように、第2の露光時間(M)を設定した2画素については、左フォトダイオードPDの画素信号と右フォトダイオードPDの画素信号を別々に出力し、第1の露光時間(L)と第3の露光時間(S)を設定した2画素については、画素単位でフォトダイオードPDの画素信号を出力する。
【0130】
具体的には、固体撮像素子1は、右上の画素2の2個のフォトダイオードPDの画素信号、左上と右下の画素2の左フォトダイオードPDの画素信号、左上と右下の画素2の右フォトダイオードPDの画素信号、左下の画素2の2個のフォトダイオードPDの画素信号、の順で、複数のフォトダイオードPDの画素信号を同時出力する。
【0131】
これにより、露光時間が第2の露光時間(M)に設定された2個の画素2では、左フォトダイオードPDと右フォトダイオードPDの画素信号を別々に出力するので、位相差を検出することができる。また、異なる露光時間を設定した画素2が含まれているので、HDR画像を生成することができる。
【0132】
なお、位相差を検出する画素2を、露光時間が第1の露光時間(L)または第3の露光時間(S)に設定された画素2としてもよいが、光強度が強い場合に飽和したり、光強度が弱い場合に信号レベルが低すぎる恐れがあるため、適正露光である第2の露光時間(M)を設定した画素2とする方が好ましい。第2の露光時間(M)を設定した画素2を位相差検出画素とすることで、飽和させずに位相差情報を取得することができる。
【0133】
以上のように、位相差HDR第2モードでは、各画素セット51に対して、第1の露光時間(L)、第2の露光時間(M)、および、第3の露光時間(S)の3種類の露光時間を設定するとともに、各画素セット51の一部の画素2、具体的には、第2の露光時間(M)を設定した画素2において、左右のフォトダイオードPDの画素信号を別々に出力し、位相差を検出することで、位相差検出用の信号と、高ダイナミックレンジなHDR画像の信号を、同時に取得することができる。
【0134】
なお、位相差HDR第1モードと位相差HDR第2モードの両方の動作を可能とするためには、水平方向に並ぶ画素セット51に対して、
図5に示したような、8本の信号線61-1乃至61-8または62-1乃至62-8が必要となるが、位相差HDR第1モードまたは位相差HDR第2モードのどちらか一方のみの動作が可能であれば良い場合には、水平方向に並ぶ画素セット51単位に対する信号線の本数を削減する構成が可能である。
【0135】
例えば、
図13は、位相差の検出とHDR画像の生成を可能とする出力モードとして、位相差HDR第1モードのみを動作可能とする場合の信号線の配線例を示している。
【0136】
図13では、水平方向に並ぶ画素セット51に対して、4本の信号線81-1乃至81-4を配置することで、位相差HDR第1モードの動作が可能となる。
【0137】
具体的には、第2の露光時間(S)の露光時間を設定する対角方向のペアの画素2の左フォトダイオードPDどうしの画素信号を制御するために1本の信号線81-1が配置され、右フォトダイオードPDどうしの画素信号を制御するために1本の信号線81-2が配置される。また、第1の露光時間(L)の露光時間を設定する対角方向のペアの画素2の左フォトダイオードPDどうしの画素信号を制御するために1本の信号線81-3が配置され、右フォトダイオードPD側どうしの画素信号を制御するために1本の信号線81-4が配置される。
【0138】
図14は、位相差の検出とHDR画像の生成を可能とする出力モードとして、位相差HDR第2モードのみを動作可能とする場合の信号線の配線例を示している。
【0139】
図14では、水平方向に並ぶ画素セット51に対して、6本の信号線82-1乃至82-6を配置することで、位相差HDR第2モードの動作が可能となる。
【0140】
具体的には、第1の露光時間(L)の露光時間を設定する画素2の左フォトダイオードPDの画素信号を制御するために1本の信号線82-1が配置され、右フォトダイオードPDの画素信号を制御するために1本の信号線82-2が配置される。また、第2の露光時間(M)の露光時間を設定する対角方向のペアの画素2の左フォトダイオードPDどうしの画素信号を制御するために1本の信号線82-3が配置され、右フォトダイオードPDどうしの画素信号を制御するために1本の信号線82-4が配置される。第3の露光時間(S)の露光時間を設定する画素2の左フォトダイオードPDの画素信号を制御するために1本の信号線82-5が配置され、右フォトダイオードPDの画素信号を制御するために1本の信号線82-6が配置される。
【0141】
以上のように、固体撮像素子1は、出力モードとして、各画素2の各フォトダイオードPDの画素信号を個別に出力するフル解像度モード、左フォトダイオードPDどうし、または、右フォトダイオードPDどうしの画素信号を4画素単位で加算して出力する4画素加算位相差検出モード、画素セット51の全てのフォトダイオードPDの画素信号を加算して出力する4画素加算モード、位相差の検出とHDR画像の生成を可能とする位相差HDR第1モードおよび位相差HDR第2モードを実行することができる。
【0142】
フル解像度モードでは、全画素での位相差検出と、リモザイク処理による高解像度出力が実現でき、4画素加算位相差検出モードでは、全面での位相差検出と4画素加算による高S/Nおよび高ダイナミックレンジの信号出力が実現できる。また、4画素加算モードでは、4画素加算による高S/Nおよび高ダイナミックレンジの信号出力が実現でき、位相差HDR第1モードおよび位相差HDR第2モードでは、HDR画像生成と全面での位相差検出の両立が実現できる。なお、HDRの実現においては、前述の様に単一感度の画素に対して、複数の露光時間設定を行っても良いし、感度の異なる複数画素を画素セットとして構成して、単一の露光時間設定を行っても良い。感度の異なる複数画素の一例としては、感度の高い画素として受光面積の大きなフォトダイオードを有する画素が挙げられ、感度の低い画素として受光面積の小さなフォトダイオードを有する画素が挙げられる。
【0143】
なお、勿論、固体撮像素子1は、上述した以外の出力モードがさらに実行可能であってもよい。
【0144】
<6.カラーフィルタの色配列の変形例>
図15は、カラーフィルタの色配列の変形例を示している。
【0145】
上述した例では、
図3等に示したように、R、G、および、Bのカラーフィルタ37が、画素セット51単位でベイヤ配列となるように配置されていた。
【0146】
これに対して、
図15では、R、G、および、Bのカラーフィルタ37が、画素2の単位でベイヤ配列となるように配置されている。
【0147】
このように、カラーフィルタ37は、画素単位でベイヤ配列となるように配置してもよい。
【0148】
リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び選択トランジスタ55を共有する画素回路の共有単位は、
図4と同様に、2x2(縦2画素×横2画素)の4画素としてもよいし、4x1(縦4画素×横1画素)の4画素としてもよい。
図15に示したような画素単位でベイヤ配列とするカラーフィルタ37の色配列では、4x1の4画素を共有単位とすると、同色画素の画素信号どうしを加算することができる。
【0149】
<7.フォトダイオードの配置方向の変形例>
図16は、フォトダイオードPDの配置方向の変形例を示している。
【0150】
上述した例では、
図3に示したように、各画素2の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向は、画素セット51内で同一方向であり、かつ、全ての画素セット51でも同一方向となるように形成されていた。
【0151】
しかし、画素内の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向は、画素単位に、または、画素セット単位で異なるようにしてもよい。
【0152】
図16のAは、各画素2の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が、画素セット51内で同一方向ではあるが、画素セット51単位では異なる方向となるように形成された例を示している。
【0153】
図16のAでは、Gのカラーフィルタ37を有する画素セット51Grおよび画素セット51Gbの2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向は、左右方向(水平方向)であり、Rのカラーフィルタ37を有する画素セット51RとBのカラーフィルタ37を有する画素セット51Bの2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向は、上下方向(垂直方向)である。換言すれば、画素セット51Grおよび画素セット51Gbと、画素セット51Rおよび画素セット51Bとで、画素内の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が直交するように、フォトダイオードPDが形成されている。同じ色のカラーフィルタ37を有する画素セット51内のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向は同一である。
【0154】
図16のBは、同じ色のカラーフィルタ37を有する画素セット51内で、水平方向に並ぶ2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が同一方向となり、垂直方向に並ぶ2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が直交する方向となるように形成された例を示している。
【0155】
図16のBでは、各画素セット51内で、上側2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が左右方向(水平方向)であり、下側2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が上下方向(垂直方向)となるように、フォトダイオードPDが形成されている。
【0156】
図16のCは、同じ色のカラーフィルタ37を有する画素セット51内で、水平方向に並ぶ2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が直交する方向となり、垂直方向に並ぶ2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向も直交する方向となるように形成された例を示している。
【0157】
図16のCでは、各画素セット51内で、上側2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向が左右方向(水平方向)と上下方向(垂直方向)であり、下側2画素の2個のフォトダイオードPDの縦長形状の配置方向も左右方向(水平方向)と上下方向(垂直方向)となるように、フォトダイオードPDが形成されている。
【0158】
以上のように、画素内に形成される2個の縦長形状のフォトダイオードPDは、垂直方向または水平方向に対称となるように配置され、画素セット51内の各画素における配置方向が、同一方向または直交する方向のいずれをも採用することができる。
【0159】
<8.オンチップレンズの配置の変形例>
図17は、オンチップレンズ38の配置の変形例を示している。
【0160】
上述した例では、
図3に示したように、オンチップレンズ38は、画素単位に形成されていた。
【0161】
しかしながら、
図17に示されるように、画素アレイ部3を構成する複数の画素セット51の一部については、画素セット51に対して1個のオンチップレンズ91を配置してもよい。
【0162】
図17のAは、Gのカラーフィルタ37を有する画素セット51Gbに対して1個のオンチップレンズ91を配置し、他の画素セット51Gr、51R、および51Bについては画素単位のオンチップレンズ38を配置した例を示している。
【0163】
図17のBは、Rのカラーフィルタ37を有する画素セット51Rに対して1個のオンチップレンズ91を配置し、他の画素セット51Gr、51Gb、および51Bについては画素単位のオンチップレンズ38を配置した例を示している。
【0164】
図17のCは、Bのカラーフィルタ37を有する画素セット51Bに対して1個のオンチップレンズ91を配置し、他の画素セット51Gr、51R、および51Gbについては画素単位のオンチップレンズ38を配置した例を示している。
【0165】
画素セット51が2次元配置された画素アレイ部3において、
図17のA乃至Cのオンチップレンズ91が、一定の間隔で、または、ランダムに配置される構成とすることができる。
【0166】
オンチップレンズ91を備える画素セット51は、HDR画像を生成するための画素信号は取得できないが、画素単位の画素信号で位相差を検出することができるので、低照度のときの位相差検出に有効である。
【0167】
<9.画素の第2断面構成例>
図18は、
図1の固体撮像素子1の画素アレイ部3の第2断面構成例を示す図である。
【0168】
図18において、
図2に示した第1断面構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0169】
図18の第2断面構成例では、半導体基板12内に、絶縁層101が形成されている点が
図2に示した第1断面構成例と異なる。
【0170】
具体的には、
図2に示した第1断面構成例においては、半導体基板12内に、P型の半導体領域31と、N型の半導体領域32のみが形成されていたが、
図18の第2断面構成例では、さらに、絶縁層101が、隣接する画素どうしの画素境界と、画素内の2個のフォトダイオードPDの間に形成されている。絶縁層101は、例えば、半導体基板12の裏面側から掘り込まれた深い溝(トレンチ)の内周面に酸化膜(例えばTEOS膜)を形成し、その内部をポリシリコンで埋め込んだDTI(Deep Trench Isolation)で形成される。尚、絶縁層101は、酸化膜とポリシリコンを用いた構成に限定されず、ハフニウム等の金属を用いた構成であっても良いし、不純物層を用いた構成であっても良い。また、画素ごとに異なる構成の絶縁層101が適用されていても良い。例えば、比較的長波長を透過させるR画素においては、絶縁層101として不純物層を適用し、B画素とG画素においては絶縁層101として酸化膜、ポリシリコン、または金属を適用しても良い。さらに、絶縁層101は、DTIよりも浅く構成されたSTI(Shallow Trench Isolation)であっても良いし、完全に画素間分離されたFTI(Full Trench Isolation)であっても良い。
【0171】
図19は、4x4の16画素の範囲における絶縁層101の形成領域を示す平面図である。
【0172】
図19の平面図からも分かるように、画素2の境界と、画素内の2個のフォトダイオードPDの間に絶縁層101が形成されており、2個のフォトダイオードPDの間が、絶縁層101で分離されている。
【0173】
<10.画素の第3断面構成例>
図20は、
図1の固体撮像素子1の画素アレイ部3の第3断面構成例を示す図である。
【0174】
図20において、
図18に示した第2断面構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0175】
図18の第2断面構成例では、画素2の境界と、画素内の2個のフォトダイオードPDの間に、絶縁層101が形成されていた。
【0176】
図20の第3断面構成例では、画素2の境界には、第2断面構成例と同様に、絶縁層101が形成されているが、画素内の2個のフォトダイオードPDの間には、N型の半導体領域32と反対の導電型、即ちP型の不純物層102が形成されている。P型の不純物層102の不純物濃度は、半導体領域31よりも高濃度とされる。不純物層102は、例えば、半導体基板12の裏面側からのイオン注入により形成することができる。
【0177】
図21は、4x4の16画素の範囲における絶縁層101と不純物層102の形成領域を示す平面図である。
【0178】
図21の平面図からも分かるように、画素2の境界には絶縁層101が形成され、画素内の2個のフォトダイオードPDの間が、不純物層102で分離されている。
【0179】
画素内の2個のフォトダイオードPDの間のポテンシャル障壁は、画素境界のポテンシャル障壁と同じにしてもよいが、
図22のBに示されるように、画素境界のポテンシャル障壁よりも低く形成してもよい。
【0180】
図22のAは、第3断面構成例における1画素の断面構造図であり、
図22のBは、
図22のAに対応するポテンシャル図である。
【0181】
図22のBに示されるように、2個のフォトダイオードPDの間のポテンシャル障壁を、画素境界よりも低く形成することにより、一方のフォトダイオードPDに蓄積された電荷が飽和レベルになったとき、FD52にオーバーフローする前に、他方のフォトダイオードPDに流れる。これにより、左右のフォトダイオードPDを合算した1画素の画素信号の線形性を向上させることができる。
【0182】
フォトダイオードPDの間のポテンシャル障壁の高さは、不純物層102の不純物濃度を調整することで、画素境界のポテンシャル障壁よりも低く形成することができる。
【0183】
なお、不純物層102は、
図21に示したように、2個のフォトダイオードPDで挟まれる領域を完全に分離するように形成してもよいし、
図23に示されるように、2個のフォトダイオードPDで挟まれる領域の一部のみを分離するように形成してもよい。
図23では、2個のフォトダイオードPDで挟まれる領域のうち、画素中心付近の一部のみに、不純物層102が形成されている。
【0184】
図23の不純物層102が形成されている部分の断面図は、
図20と同じとなり、
図23の不純物層102が形成されていない部分の断面図は、
図18と同じとなる。
【0185】
<11.遮光膜を追加した構成例>
上述した例では、画素境界部分に、隣接画素への光の入射を防止する画素間遮光膜36が形成されるが、フォトダイオードPDの上方には、遮光膜は形成されていない。
【0186】
しかし、画素アレイ部3の一部の画素2については、画素内の2個のフォトダイオードPDの上方に、遮光膜を配置した構成を採用してもよい。
【0187】
図24は、フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第1の構成を示す平面図である。
【0188】
図24のAおよびBでは、画素セット51Grの各画素2において、画素内の2個のフォトダイオードPDの上側半分または下側半分が、遮光膜121により遮光されている。
【0189】
図24のAは、画素内の2個のフォトダイオードPDの下側半分が遮光膜121により遮光された例であり、
図24のBは、画素内の2個のフォトダイオードPDの上側半分が遮光膜121により遮光された例である。
【0190】
オンチップレンズ38は、
図3と同様に、画素単位に形成されている。
【0191】
遮光膜121が対称的に配置された
図24のAの画素セット51Grの画素信号(4画素の加算画素信号)と、
図24のBの画素セット51Grの画素信号(4画素の加算画素信号)とを用いて、位相差情報が取得される。
【0192】
図25は、フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第2の構成を示す平面図である。
【0193】
図25のAおよびBでは、画素セット51Grの各画素2において、画素内の2個のフォトダイオードPDのいずれか一方が、遮光膜121により遮光されている。
【0194】
図25のAは、画素セット51Grの各画素2の2個のフォトダイオードPDのうちの左フォトダイオードPDが遮光膜121により遮光された例であり、
図25のBは、画素セット51Grの各画素2の2個のフォトダイオードPDのうちの右フォトダイオードPDが遮光膜121により遮光された例である。
【0195】
オンチップレンズ38は、
図3と同様に、画素単位に形成されている。
【0196】
遮光膜121が対称的に配置された
図25のAの画素セット51Grの画素信号(4画素の加算画素信号)と、
図25のBの画素セット51Grの画素信号(4画素の加算画素信号)とを用いて、位相差情報が取得される。
【0197】
図24および
図25の第1及び第2の構成は、いずれも、遮光膜121が、画素セット51Gr内の全ての画素2の一部を遮光する構成である。
【0198】
図26は、フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第3の構成を示す平面図である。
【0199】
図26のAおよびBでは、画素セット51Gbを構成する4画素のうち、上側または下側の2画素の全てのフォトダイオードPDが、遮光膜121により遮光されている。
【0200】
図26のAは、画素セット51Gbの下側の2画素の全てのフォトダイオードPDが、遮光膜121により遮光された例であり、
図26のBは、画素セット51Gbの上側の2画素の全てのフォトダイオードPDが遮光膜121により遮光された例である。
【0201】
図26では、遮光膜121が配置された画素セット51Gbには、
図17と同様に、1個のオンチップレンズ91が形成されている。遮光膜121が配置されない画素セット51Gr、51R、および51Bには、画素単位のオンチップレンズ38が形成されている。
【0202】
遮光膜121が対称的に配置された
図26のAの画素セット51Gbの画素信号(4画素の加算画素信号)と、
図26のBの画素セット51Gbの画素信号(4画素の加算画素信号)とを用いて、位相差情報が取得される。
【0203】
図27は、フォトダイオードPDの上方に遮光膜を配置した第4の構成を示す平面図である。
【0204】
図27のAおよびBでは、画素セット51Gbを構成する4画素のうち、左側または右側の2画素の全てのフォトダイオードPDが、遮光膜121により遮光されている。
【0205】
図27のAは、画素セット51Gbの左側の2画素の全てのフォトダイオードPDが、遮光膜121により遮光された例であり、
図27のBは、画素セット51Gbの右側の2画素の全てのフォトダイオードPDが遮光膜121により遮光された例である。
【0206】
図27では、遮光膜121が配置された画素セット51Gbには、
図17と同様に、1個のオンチップレンズ91が形成されている。遮光膜121が配置されない画素セット51Gr、51R、および51Bには、画素単位のオンチップレンズ38が形成されている。
【0207】
遮光膜121が対称的に配置された
図27のAの画素セット51Gbの画素信号(4画素の加算画素信号)と、
図27のBの画素セット51Gbの画素信号(4画素の加算画素信号)とを用いて、位相差情報が取得される。
【0208】
図26および
図27の第3及び第4の構成は、いずれも、遮光膜121が、画素セット51Gr内の一部の画素2の全てを遮光する構成である。
【0209】
図24乃至
図27の遮光膜121を配置した第1乃至第4の構成は、入射光の光強度が強く、遮光膜121を配置しない画素セット51では位相差情報を取得できない場合に、遮光膜121を配置した画素セット51で位相差情報を取得することができる。したがって、遮光膜121を配置した第1乃至第4の構成は、入射光の光強度が強い場合の位相差情報取得に有効である。
【0210】
図24乃至
図27の遮光膜を配置した第1乃至第4の構成は、画素セット51Gbまたは画素セット51Grに遮光膜121を配置した例であるが、その他の画素セット51Rや51Bに対して、同様の遮光膜121を形成してもよいし、画素セット51Gb、51R、および51Bの全てに、遮光膜121を形成してもよい。
【0211】
<12.その他の変形例>
図28は、固体撮像素子1のその他の変形例を示している。
【0212】
上述した例では、画素セット51の構成単位を、2x2(縦2画素×横2画素)の4画素とした。しかし、画素セット51は、2x2の4画素に限定されず、複数の画素2で構成されさえすればよい。
【0213】
図28は、画素セット51の構成単位を、4x4(縦4画素×横4画素)の16画素とした例を示している。
図28の例は、オンチップレンズ38が画素ごとに形成される例を示しているが、これに限定されず、2x2の4画素に対して1つのオンチップレンズが配置されても良いし、4x4の16画素に対して1つのオンチップレンズが配置されても良い。
【0214】
その他、例えば、3x3(縦3画素×横3画素)の9画素などを、画素セット51の構成単位としてもよい。
【0215】
図29は、固体撮像素子1のさらにその他の変形例を示している。
【0216】
上述した例では、固体撮像素子1の各画素2に、R、G、または、Bの波長の光を通過させるカラーフィルタ37が形成されていた。
【0217】
しかしながら、
図29に示されるように、カラーフィルタ37を省略した構成を採用してもよい。この場合、固体撮像素子1の画素2は、R、G、および、Bの全ての波長の光を受光して、画素信号を生成、出力することができる。
【0218】
あるいはまた、カラーフィルタ37の代わりに、赤外光を透過させる赤外フィルタを設け、赤外光のみを受光して、画素信号を生成、出力する固体撮像素子1としてもよい。
【0219】
<13.画素トランジスタ配置例>
図30を参照して、画素トランジスタの配置例について説明する。
【0220】
画素アレイ部3では、例えば、
図30に示されるフォトダイオードPDと画素トランジスタの配置が水平方向および垂直方向に繰り返し配置されている。
【0221】
図30は、画素セット51の構成単位を、2x2(縦2画素×横2画素)の4画素とし、その画素セット51を2x2で配置した合計16画素の画素領域における画素トランジスタの配置例を示す平面図である。
図30において黒丸で示される部分は、電源、GND,または、信号線のコンタクト部を表す。なお、
図30では、図が煩雑になるのを防ぐため、符号の一部は省略されている。
【0222】
図30において、フォトダイオードPD、カラーフィルタ37(
図30では不図示)、および、オンチップレンズ38は、
図3に示した例と同様に構成されている。具体的には、フォトダイオードPDは、1画素に対して、水平方向に対称に縦長形状で2個配置されている。オンチップレンズ38は、画素単位に形成されている。カラーフィルタ37は、画素セット51単位でベイヤ配列となるように配置されており、左上の画素セット51が、Gのカラーフィルタ37を有する画素セット51Gr、右上の画素セット51が、Rのカラーフィルタ37を有する画素セット51R、左下の画素セット51が、Bのカラーフィルタ37を有する画素セット51B、右下の画素セット51が、Gのカラーフィルタ37を有する画素セット51Gbとなっている。
【0223】
4画素で構成される1つの画素セット51には、
図4を参照して説明したように、8個のフォトダイオードPDおよび8個の転送トランジスタTGと、それらで共有される、FD52、リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び、選択トランジスタ55とが設けられる。
【0224】
1つの画素セット51に含まれる8個のフォトダイオードPDは、
図30に示されるように、2x4(縦2個×横4個)で配列されるが、その2x4の8個のフォトダイオードPDの垂直方向(縦方向)に隣接して、それら8個のフォトダイオードPDで共有される、リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び、選択トランジスタ55が配置されている。8個のフォトダイオードPDで共有される、リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び、選択トランジスタ55をまとめて共有画素トランジスタと呼ぶこととすると、垂直方向に隣接する2つの画素セット51の2x4の8個のフォトダイオードPDどうしの間に、共有画素トランジスタが配置されている。
【0225】
フォトダイオードPDと1対1に設けられる転送トランジスタTGは、2x2の4個のフォトダイオードPDをグループとして、グループの中央部近傍に配置されている。画素セット51内の右側のグループの2x2の4個のフォトダイオードPDの中央部近傍に4個の転送トランジスタTGが集合配置され、画素セット51内の左側のグループの2x2の4個のフォトダイオードPDの中央部近傍に4個の転送トランジスタTGが集合配置されている。
【0226】
FD52は、その一部として金属配線52Aを少なくとも含み、金属配線52Aは、
図30に示されるように、画素セット51内の右側のグループの2x2の4個のフォトダイオードPDの中間部と、画素セット51内の左側のグループの2x2の4個のフォトダイオードPDの中間部と、増幅トランジスタ54のゲート電極と、リセットトランジスタ53のソース電極とを電気的に接続するように配線されている。画素セット51内の各フォトダイオードPDで蓄積された電荷は、対応する転送トランジスタTGによりFD52の一部である金属配線52Aに転送され、金属配線52Aを伝送して、増幅トランジスタ54のゲート電極に供給される。また、リセットトランジスタ53がオンされると、FD52の電荷が、リセットトランジスタ53のソース電極からドレイン電極へ排出される。
【0227】
このように、共有画素トランジスタ(リセットトランジスタ53、増幅トランジスタ54、及び、選択トランジスタ55)は、1つの画素セット51の8個のフォトダイオードPDと、列方向に隣接する他の画素セット51の8個のフォトダイオードPDとの間に配置するレイアウトを採用することができる。なお、図示は省略するが、行方向に隣接する画素セット51の8個のフォトダイオードPDどうしの間に、共有画素トランジスタを配置するレイアウトとしてもよい。
【0228】
<14.電子機器への適用例>
本技術は、固体撮像素子への適用に限られるものではない。即ち、本技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像素子を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像素子を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像素子は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0229】
図31は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0230】
図31の撮像装置200は、レンズ群などからなる光学部201、
図1の固体撮像素子1の構成が採用される固体撮像素子(撮像デバイス)202、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路203を備える。また、撮像装置200は、フレームメモリ204、表示部205、記録部206、操作部207、および電源部208も備える。DSP回路203、フレームメモリ204、表示部205、記録部206、操作部207および電源部208は、バスライン209を介して相互に接続されている。
【0231】
光学部201は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子202の撮像面上に結像する。固体撮像素子202は、光学部201によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像素子202として、
図1の固体撮像素子1、即ち、高ダイナミックレンジ画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することが可能な固体撮像素子を用いることができる。
【0232】
表示部205は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、固体撮像素子202で撮像された動画または静止画を表示する。記録部206は、固体撮像素子202で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0233】
操作部207は、ユーザによる操作の下に、撮像装置200が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部208は、DSP回路203、フレームメモリ204、表示部205、記録部206および操作部207の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0234】
上述したように、固体撮像素子202として、上述した実施の形態を適用した固体撮像素子1を用いることで、高ダイナミックレンジ画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置200においても、撮像画像の高画質化を図ることができる。
【0235】
<イメージセンサの使用例>
図32は、上述の固体撮像素子1を用いたイメージセンサの使用例を示す図である。
【0236】
上述の固体撮像素子1を用いたイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0237】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0238】
<15.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0239】
図33は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0240】
図33では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0241】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0242】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0243】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0244】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0245】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0246】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0247】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0248】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0249】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0250】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0251】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0252】
図34は、
図33に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0253】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0254】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0255】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0256】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0257】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0258】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0259】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0260】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0261】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0262】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0263】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0264】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0265】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0266】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0267】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0268】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0269】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。具体的には、撮像部11402として、上述した実施の形態に係る固体撮像素子1を適用することができる。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、高ダイナミックレンジ画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することができる。これにより、高画質の撮影画像や距離情報を取得することができ、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
【0270】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0271】
<16.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0272】
図35は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0273】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図35に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0274】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0275】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0276】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0277】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0278】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0279】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0280】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0281】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0282】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図35の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0283】
図36は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0284】
図36では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0285】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0286】
なお、
図36には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0287】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0288】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0289】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0290】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0291】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、上述した実施の形態に係る固体撮像素子1を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高ダイナミックレンジ画像生成用の信号と、位相差検出用の信号を同時に取得することができる。これにより、高画質の撮影画像や距離情報を取得することができ、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
【0292】
上述した例では、第1導電型をP型、第2導電型をN型として、電子を信号電荷とした固体撮像素子について説明したが、本技術は正孔を信号電荷とする固体撮像素子にも適用することができる。すなわち、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型として、前述の各半導体領域を逆の導電型の半導体領域で構成することができる。
【0293】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0294】
例えば、上述した複数の実施の形態の全てまたは一部を組み合わせた形態を採用することができる。
【0295】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0296】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
同色のカラーフィルタを有する複数の画素からなる画素セットを、複数の色に対応して複数有し、前記画素は、複数の光電変換部を備える
固体撮像素子。
(2)
前記画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された2個の光電変換部を備え、
前記画素の前記光電変換部の配置方向は、少なくとも画素セット単位で同一方向である
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記画素の前記光電変換部の配置方向は、全ての前記画素セットで同一方向である
前記(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された2個の光電変換部を備え、
前記画素セットの水平方向に並ぶ2つの前記画素の前記光電変換部の配置方向は、同一方向である
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(5)
前記画素は、垂直方向または水平方向に対称に配置された2個の光電変換部を備え、
前記画素セットの水平方向に並ぶ2つの前記画素の前記光電変換部の配置方向は、直交する方向である
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(6)
前記画素の前記複数の光電変換部の間は、絶縁層で分離されている
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)
前記画素の前記複数の光電変換部の間は、前記光電変換部の導電型と反対の導電型の不純物層で分離されている
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(8)
前記不純物層のポテンシャル障壁は、画素境界のポテンシャル障壁よりも低く形成されている
前記(7)に記載の固体撮像素子。
(9)
複数の前記画素セットの一部には、前記画素セット内の全ての前記画素の一部を遮光する遮光膜が形成されている
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(10)
複数の前記画素セットの一部には、前記画素セット内の一部の前記画素の全てを遮光する遮光膜が形成されている
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(11)
前記光電変換部で生成された電荷を保持する電荷保持部をさらに備え、
前記電荷保持部は、前記複数の画素の前記光電変換部で生成された電荷を加算して出力する
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(12)
前記電荷保持部は、前記画素セットの全ての前記画素の前記光電変換部で生成された電荷を加算して出力する
前記(11)に記載の固体撮像素子。
(13)
前記電荷保持部は、前記画素セットを構成する前記複数の画素の前記光電変換部のうち、画素内の位置が同じ位置どうしの前記光電変換部の電荷を加算して出力する
前記(11)に記載の固体撮像素子。
(14)
前記画素セットを構成する前記複数の画素の前記光電変換部のうち、第1の光電変換部と第2の光電変換部は、異なる露光時間で露光する
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(15)
前記光電変換部で受光された電荷を画素信号として出力する制御を行う制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の光電変換部の第1の露光時間による第1の画素信号を出力させた後、前記第2の光電変換部の第2の露光時間による第2の画素信号を出力させる
前記(14)に記載の固体撮像素子。
(16)
前記画素セットを構成する前記複数の画素のうち、少なくとも一部の画素の前記複数の光電変換部で生成された画素信号は、別々に出力される
前記(1)乃至(15)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(17)
前記画素セットを構成する前記複数の画素のうち、第1の画素の前記光電変換部は、第1の露光時間で露光し、第2の画素の前記光電変換部は、前記第1の露光時間よりも短い第2の露光時間で露光し、かつ、前記第2の露光時間で露光する前記第2の画素の前記複数の光電変換部で生成された画素信号は、別々に出力される
前記(1)乃至(16)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(18)
前記画素セットを構成する前記複数の画素のうち、第1の画素の前記光電変換部は、第1の露光時間で露光し、第2の画素の前記光電変換部は、前記第1の露光時間よりも短い第2の露光時間で露光し、第3の画素の前記光電変換部は、前記第2の露光時間よりも短い第3の露光時間で露光し、かつ、前記第2の露光時間で露光する前記第2の画素の前記複数の光電変換部で生成された画素信号は、別々に出力される
前記(1)乃至(16)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(19)
前記画素セットの前記カラーフィルタは、ベイヤ配列で配置されている
前記(1)乃至(18)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(20)
同色のカラーフィルタを有する複数の画素からなる画素セットを、複数の色に対応して複数有し、前記画素は、複数の光電変換部を備える
固体撮像素子
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0297】
1 固体撮像素子, 2 画素, PD フォトダイオード, TG 転送トランジスタ, 3 画素アレイ部, 5 カラム信号処理回路, 12 半導体基板, 31,32 半導体領域, 36 画素間遮光膜, 37 カラーフィルタ, 38 オンチップレンズ, 51(51Gr,51Gb,51R,51B) 画素セット, 91 オンチップレンズ, 101 絶縁層, 102 不純物層, 121 遮光膜, 200 撮像装置, 202 固体撮像素子