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特許7439216選択的卵内注射のための蠕動ポンプ組立体、ならびに関連するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】選択的卵内注射のための蠕動ポンプ組立体、ならびに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20240219BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240219BHJP
   A61D 7/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
F04C5/00 341H
F04C5/00 341D
F04C5/00 341K
A61M5/142 504
A61D7/00 A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181588
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2020031375の分割
【原出願日】2014-10-06
(65)【公開番号】P2023022085
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】62/032,831
(32)【優先日】2014-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/888,251
(32)【優先日】2013-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】シュナッパー,マイケル・グレン
(72)【発明者】
【氏名】リース,ダニエル・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ギフィン,イェール・セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヘッスラー,トーマス・マシュー
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2017477(EP,A1)
【文献】実開昭62-167889(JP,U)
【文献】特表2002-534066(JP,A)
【文献】特開昭48-45909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 5/00
A61M 5/142
A61D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を対応する卵に注射する複数の注射装置と、卵の状態に関する分類情報を送信する検卵装置とを含む卵内注射器具の一部を構成する蠕動ポンプ組立体であって、
筐体と、
前記筐体内に配設され、かつ複数の圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように適合された複数のチューブローラを有する回転可能な組立体と、
複数の係合部材であって、各々が選択的に空気圧により作動可能であり、かつ前記回転可能な組立体と前記それぞれの係合部材との間に配設されるそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブの閉鎖を促進するために、協働して、前記回転可能な組立体から所定の距離に離間配置された裏板配置を形成し、各係合部材が前記チューブローラと協働して、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブをそれと整列して維持する、係合部材と、
複数のスペーサーと、
複数の作動装置を有する作動装置組立体と、を備え、
各作動装置は、それぞれの係合部材と一対一に関連付けられ、かつ前記検卵装置から受信した前記分類情報に基づいて、前記係合部材と関連付けられた前記それぞれの圧縮可能な流体送達チューブとの相互作用のために前記係合部材を選択的に空気圧により変位させるために、前記係合部材の上面と相互作用するように構成され、
各スペーサーは、隣接する前記係合部材の対の間に位置付けられる
前記蠕動ポンプ組立体。
【請求項2】
前記回転可能な組立体が、前記圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように適合された複数のチューブローラを備え、各係合部材が前記チューブローラと協働して、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブをそれと整列して維持する、請求項1に記載の蠕動ポンプ組立体。
【請求項3】
各係合部材が、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブをその中に維持するように構成された溝を画定する、請求項2に記載の蠕動ポンプ組立体。
【請求項4】
各チューブローラが、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブをその中に維持するように構成された一連のローラ溝を画定する、請求項2に記載の蠕動ポンプ組立体。
【請求項5】
各係合部材が、前記ローラ溝内のそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブを圧縮するように、それぞれのローラ溝内に適合するように構成されたプロファイルを有する、請求項4に記載の蠕動ポンプ組立体。
【請求項6】
前記裏板配置が、前記係合部材を旋回可能な様式で受容するように構成された旋回ロッドを更に備える、請求項1に記載の蠕動ポンプ組立体。
【請求項7】
複数の付勢部材を更に備え、各係合部材がそれと関連付けられた前記付勢部材のうちの少なくとも1つを有し、各付勢部材が、前記圧縮可能な流体送達チューブを挟んで、その中を通る流体の送達を防ぐように、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブに対して前記係合部材を押し進めるように構成される、請求項1に記載の蠕動ポンプ組立体。
【請求項8】
流体を対応する卵に注射する複数の注射装置と、卵の状態に関する分類情報を送信する検卵装置とを含む卵内注射器において、複数の圧縮可能な流体送達チューブを通して流体を選択的にポンプ圧送する方法であって、
複数の圧縮可能な流体送達チューブを、協働して、裏板配置を形成する、各々が選択的に空気圧により作動可能に構成された複数の係合部材と、接触の領域でそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブのルーメンの閉鎖を促進するために、裏板配置から所定の距離に離間配置された回転可能な組立体との間に装着することと、
それぞれの圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように、前記係合部材の各々を選択的に作動させることと、
前記回転可能な組立体を、およそその中心軸を中心とし、かつ前記圧縮可能な流体送達チューブの長さに沿った方向に回転させて、選択的に作動される前記係合部材と関連付けられた前記圧縮可能な流体送達チューブを通して流体物質を供給することと、を含み、
前記係合部材の各々を選択的に作動させることが、複数の作動装置を有する作動装置組立体で前記係合部材を選択的に作動させることを更に含み、
各作動装置は、それぞれの係合部材と一対一に関連付けられ、かつ前記検卵装置から受信した前記分類情報に基づいて、前記係合部材と関連付けられた前記それぞれの圧縮可能な流体送達チューブとの相互作用のために前記係合部材を選択的に空気圧により変位させるために、前記係合部材の上面と相互作用するように構成され、
隣接する前記係合部材の対の間にそれぞれスペーサーが設けられている
方法。
【請求項9】
各圧縮可能な流体送達チューブを複数のローラチューブとそれぞれの係合部材との間に位置付けるステップを更に含み、前記ローラチューブ及び係合部材が協働して、前記圧縮可能な流体送達チューブを整列して維持する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の鳥卵に治療物質を注射するように適合された卵内注射器具であって、
鳥卵の状態に関する分類情報を送信する検卵装置と、
複数の注射装置を有する注射組立体であって、各注射装置がそれぞれの鳥卵を突き刺すように構成される、注射組立体と、
前記注射組立体と流体連通する選択可能な蠕動ポンプ組立体であって、前記注射装置が治療物質を選択的に分注することができるように、流体貯蔵器から前記注射装置へと前記治療物質を選択的に供給するように構成される、選択可能な蠕動ポンプ組立体と、
前記流体貯蔵器と前記注射組立体との間に配設される複数の圧縮可能な流体送達チューブと、を備え、
前記圧縮可能な流体送達チューブが、前記流体貯蔵器と前記注射組立体との間で前記選択可能な蠕動ポンプ組立体と係合し、
前記選択可能な蠕動ポンプ組立体が、
筐体と、
前記筐体内に配設され、かつ前記圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように構成された回転可能な組立体と、
複数の係合部材であって、各々が選択的に空気圧により作動可能であり、かつ前記回転可能な組立体と前記それぞれの係合部材との間に配設されるそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブの閉鎖を促進するために、協働して、前記回転可能な組立体から所定の距離に離間配置された裏板配置を形成する、係合部材と、
複数のスペーサーと、
複数の作動装置を有する作動装置組立体と、を有し、
各作動装置は、それぞれの係合部材と一対一に関連付けられ、かつ前記検卵装置から受信した前記分類情報に基づいて、前記係合部材と関連付けられた前記それぞれの圧縮可能な流体送達チューブとの相互作用のために前記係合部材を選択的に空気圧により変位させるために、前記係合部材の上面と相互作用するように構成され、
各スペーサーは、隣接する前記係合部材の対の間に位置付けられる
前記卵内注射器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に流体ポンプシステムに関する。より具体的には、本開示は、選択的様式で、長い動作期間にわたって複数のチューブを通して少量の流体を計量するための蠕動ポンプ組立体、ならびに関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの例において、孵化前の生きた鳥卵に物質を導入することが望ましい。鳥卵への様々な物質の注射は、一般的に卵内注射と称される。そのような注射は、孵化後の死亡率を減少させるため、潜在的な成長率または結果として生じるトリの最終サイズを増加させるため、及び胚の性別決定に影響を与えるためにすら用いられている。同様に、生きた卵への抗原の注射は、ヒトまたは動物の医薬的もしくは診断的用途を有するワクチンにおいて使用される様々な物質をインキュベートするために用いられている。卵内注射に使用されている、または提唱されている物質の例には、ワクチン、抗生物質、及びビタミンが挙げられる。
【0003】
卵注射器具(すなわち卵内注射器具)は、同時に動作して、複数の卵に注射する複数の注射装置を備え得る。注射器具は、注射装置を備える注射ヘッドを備えることができ、各注射装置は、注射される治療物質を含有する供給源と流体連通する。従来、卵内注射器具は、商業的卵搬送体またはケースとの組み合わせで動作するように設計される。卵内注射器具との組み合わせで利用される卵ケースは、典型的にそれぞれの複数の鳥卵を一般に直立の配向で支持するように構成されたポケットの配列を含む。卵ケースは、典型的に卵ケースによって搬送される卵の注射のために、注射ヘッドの下の卵ケースを位置合わせするための自動搬送機システムを介し、卵内注射器具を通して輸送される。物質の卵内注射(及び材料の卵内抽出)は、典型的に卵殻を突き刺して、(例えば穿孔器を介して)開口を形成し、孔を通して卵の内部へと(及びいくつかの場合、その中に含有される鳥胚へと)注射針を伸長させ、針を通して治療物質(複数可)を注射する、及び/またはそこから材料を除去することによって生じる。
【0004】
以前の卵内流体送達システムは、注射順序中に、すべての注射装置から同時に治療物質を送達するための蠕動ポンプを用いている。しかしながら、いくつかの場合、ワクチンを浪費しないために、治療物質が、例えば死亡卵、無精卵、または存在しない卵に分注されないように選択的に卵内注射を実装することが望ましい。卵内ワクチン投与システム上で実装される以前の蠕動ポンプシステムは、生存可能な卵の選択的注射を可能にするそのような柔軟性を提供しなかった。
【0005】
したがって、生存可能であると特定された、選択された標的卵への治療物質の選択的送達を提供することができる卵内注射器具上で実装するための流体ポンプ組立体を提供することが望ましい。更に、ケース内の選択された標的卵への治療物質の選択的注射を促進する関連する方法及びシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
以上及び他の必要性は、一態様に従うと、筐体を備える蠕動ポンプ組立体を提供する本開示の態様によって満たされる。回転可能な組立体は筐体内に配設され、かつ複数の圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように適合された複数のローラチューブを含む。複数の係合部材は、個々に作動可能であり、かつ回転可能な組立体とそれぞれの係合部材との間に配設されるそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブの閉鎖を促進するために、協
働して、回転可能な組立体から所定の距離に離間配置された裏板配置を形成する。各係合部材はチューブローラと協働して、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブをそれと整列して維持する。
【0007】
別の態様は、複数の圧縮可能な流体送達チューブを通して流体を選択的にポンプ圧送する方法を提供する。本方法は、複数の圧縮可能な流体送達チューブを、協働して、裏板配置を形成する複数の係合部材と、接触の領域でそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブのルーメンの閉鎖を促進するために、裏板配置から所定の距離に離間配置された回転可能な組立体との間に装着することを含む。本方法は、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブを複数のローラチューブと各係合部材との間に位置付けることを更に含む。ローラチューブ及び係合部材は協働して、圧縮可能な流体送達チューブを整列して維持する。本方法は、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように、係合部材を選択的に作動させることを更に含む。本方法は、回転可能な組立体を、その中心軸を中心とし、かつ圧縮可能な流体送達チューブの長さに沿った方向に回転させて、選択的に作動される係合部材と関連付けられた圧縮可能な流体送達チューブを通して流体物質を供給することを更に含む。
【0008】
更に別の態様は、複数の鳥卵に治療物質を注射するように適合された卵内注射器具を提供する。本器具は複数の注射装置を有する注射組立体を備え、各注射装置はそれぞれの鳥卵を突き刺すように構成される。選択可能な蠕動ポンプ組立体は、注射組立体と流体連通する。選択可能な蠕動ポンプ組立体は、注射装置が治療物質を選択的に分注することができるように、流体貯蔵器から注射装置へと治療物質を選択的に供給するように構成される。選択可能な蠕動ポンプ組立体は、筐体と、筐体内に配設され、かつ圧縮可能な流体送達チューブと相互作用するように構成された複数のローラチューブを有する回転可能な組立体と、複数の係合部材であって、個々に作動可能であり、かつ回転可能な組立体とそれぞれの係合部材との間に配設されるそれぞれの圧縮可能な流体送達チューブの閉鎖を促進するために、協働して、回転可能な組立体から所定の距離に離間配置された裏板配置を形成する、係合部材と、を含む。各係合部材はチューブローラと協働して、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブをそれと整列して維持する。
【0009】
したがって、本開示の様々な態様は、その他の点で本明細書に詳述されるような利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
一般的な用語で本開示の様々な実施形態をこのように記載し、以降添付の図面への参照がなされるが、図面は必ずしも縮尺通りには描写されていない。
【0011】
図1】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体を実装することができる卵内注射システムの模式断面図である。
図2】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体の透視図である。
図3】開放位置の蓋組立体を有する、図2の選択的蠕動ポンプ組立体の透視図である。
図4図2の選択的蠕動ポンプ組立体の立面図である。
図5】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体の単一送達線を図示し、流体が送達線を通して移動することが防がれる。
図6】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体の単一送達線を図示し、流体は送達線を通して流動することが可能である。
図7】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体上で実装される作動装置の透視図である。
図8】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体上で実装される係合部材の透視図である。
図9図8の係合部材の透視断面図である。
図10】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体の係合部材と相互作用する作動装置の断面図である。
図11】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体の係合部材と相互作用する作動装置の先端を図示する。
図12】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体の透視断面図である。
図13】本開示の一態様に従う、複数のスペーサーを有する選択的蠕動ポンプ組立体の透視断面図である。
図14】本開示の一態様に従う、それぞれが溝を画定する複数の係合部材を有する選択的蠕動ポンプ組立体の透視断面図である。
図15】本開示の一態様に従う、流体送達チューブの整列を維持するための溝を画定する係合部材の透視図である。
図16】本開示の一態様に従う、非圧縮状態の、チューブローラと溝を有する係合部材との間に配設される流体送達チューブを図示する断面図である。
図17】本開示の一態様に従う、圧縮状態の、チューブローラと溝を有する係合部材との間に配設される流体送達チューブを図示する断面図である。
図18】本開示の一態様に従う、それぞれがローラ溝を画定する複数のチューブローラを有する選択的蠕動ポンプ組立体の透視断面図である。
図19】本開示の一態様に従う、それぞれがローラ溝を画定する複数のチューブローラを有する選択的蠕動ポンプ組立体において実装される係合部材の透視図である。
図20】本開示の一態様に従う、それぞれがローラ溝を画定する複数のチューブローラを有する選択的蠕動ポンプ組立体の透視断面図である。
図21】本開示の一態様に従う、圧縮状態の1本の流体送達チューブ及び非圧縮状態の別の流体送達チューブを図示する断面図であり、これらの流体送達チューブは、それぞれの係合部材とローラ溝を有するチューブローラとの間に配設される。
図22】本開示の一態様に従う、それぞれがローラ溝を画定する複数のチューブローラと、それぞれが流体送達チューブと相互作用するように構成されたプロファイルを有する複数の係合部材と、を有する選択的蠕動ポンプ組立体の透視断面図である。
図23】本開示の一態様に従う、選択的蠕動ポンプ組立体において実装される係合部材の透視図であり、各係合部材は流体送達チューブと相互作用するように構成されたプロファイルを有する。
図24】本開示の一態様に従う、圧縮状態の1本の流体送達チューブ及び非圧縮状態の別の流体送達チューブを図示する断面図であり、これらの流体送達チューブは、プロファイルを有するそれぞれの係合部材とローラ溝を有するチューブローラとの間に配設される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで本発明のいくつかの態様は示されるが、すべての態様は示されない添付の図面を参照しながら、下に本開示の様々な態様がより詳細に記載される。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に説明される態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が該当する法定必要条件を満たすために提供される。類似する番号は、終始類似する要素を指す。
【0013】
図1は、本開示のいくつかの態様に従う、1つ以上の物質を複数の卵に注射するように構成され得る複数の注射装置10を有する、卵内注射器具20の一部分を図示する。図示される器具20は、据え付け基材22及び注射装置10を含む。ケース30は、複数の卵1を実質的に直立の位置で保持する。ケース30は、卵1の所定の領域への外部アクセスを提供するように構成される。各卵1は、注射装置10が器具の基材22に向かって前進するにつれて、そのそれぞれの末端が注射装置10の対応する末端に対して適切に整列す
るようにケース30によって保持される。
【0014】
複数の注射装置10のうちのそれぞれは、対向する第1及び第2の末端16、17を有する。注射装置10は、第1の伸長した位置及び第2の縮退した位置を有する。注射装置10の伸長時、第1の末端16は、卵の外殻の所定の領域に接触し、それに対して寄りかかるように構成される。この位置から、注射装置10内の穿孔器(図示せず)が殻に小さな開口を形成し、注射針(図示せず)がその中を通して挿入されて、1つ以上の治療物質を卵中に送達する。注射しないとき、注射装置10は縮退して、卵1及び据え付け基材22上に所定の距離を置く。
【0015】
以前に論じたように、いくつかの場合、卵内注射は、治療物質が、例えば死亡卵、無精卵、または存在しない卵に分注されないように選択的に実装され得る。そのようなものとして、各注射装置10は、別々の量の治療物質を選択的に送達するように構成される。この点について、卵内注射器具20は、例えば各注射装置10を通して治療物質を選択的に送達するように構成された選択的蠕動ポンプ組立体100などの流体送達システムを含み得る。選択的蠕動ポンプ組立体100は、選択的蠕動ポンプ組立体100が、適切な流体コネクタ及びチューブなどを使用して、例えば第2の末端17で注射装置10と流体連通するように卵内注射器具20にポンプ圧送され得る。この様式において、注射装置10は、流体治療物質をケース30内に位置する卵1に選択的に分注し得る。
【0016】
いくつかの態様に従うと、選択的蠕動ポンプ組立体100は、流体治療物質をそれぞれの送達装置10に選択的に送達するように向けられることが可能であってもよい。例えば、卵内注射器具20を通して搬送されるとき、検卵装置(図示せず)が使用されて、ケース30内の卵を生存可能または生存不可能として分類し得る。いくつかの例において、そのような分類情報は、生存可能な卵のみが注射装置10に搬送されるように生存不可能な卵をケース30から除去するために卵除去器に伝達されてもよく、その後その分類情報はまた、流体治療物質が、卵(生存可能)が存在する部位にのみ分注されるように選択的蠕動ポンプ組立体100の選択的手段に伝達される。他の例において、卵除去器が使用されない場合、分類情報は、注射装置10を通して流体治療物質が生存可能な卵を有する部位に分注されるように選択的蠕動ポンプ組立体100の選択的手段に伝達され得る一方で、生存不可能と特定された卵と関連付けられた注射装置10では分注は生じない。
【0017】
ここで、図2~4を参照すると、基材平板を有し、駆動モーターと関連することができる選択的蠕動ポンプ組立体100が図示される。複数の圧縮可能な流体送達チューブ12は選択的蠕動ポンプ組立体100上に装着され得、前面チューブクランプ手段13から複数の駆動されたチューブローラ14にわたって、後面チューブクランプ手段(図示せず)まで伸長する。チューブクランプ手段13は、末端平板19及び23上に装着されたブラケット15によって選択的蠕動ポンプ組立体100の前面に固定され得る。対応するチューブクランプ手段は、末端平板19及び23上に装着されたブラケットによってポンプ組立体の後面に固定される。チューブローラ14はローラ支持体36及び37に回転可能に装着され得、各ローラ支持体は中心駆動シャフト29に固定され、それを中心として選択的蠕動ポンプ組立体100の縦軸について回転され得る。チューブローラ14の境界内の縦軸に沿って中心に配設されるのは、チューブローラ14と正面接触して、両末端のローラ支持体36、37間のチューブローラ14の半径方向の偏向を防ぐためにチューブローラ14の長さに沿った側方支持を提供する支持ローラ18であり得る。チューブローラ14、ローラ支持体36及び37、中心駆動シャフト29、ならびに支持ローラ18は、協働して、200として一般に示される回転可能な組立体を形成し得る。
【0018】
21で一般に示される弓状裏板配置は、図示の明確さのために、回転した開放位置で図3に示される。複数の係合部材50またはさもなければ刃部材として知られるものは、協
働して、裏板配置21の一部分及び弓状表面28を形成し得、裏板配置21は、閉鎖した位置に回転されるとき、回転可能な組立体200から所定の距離に離間配置され得る。係合部材50は、上平板70に取り付けられる末端キャップ60、65間を伸長する旋回ロッド55に旋回可能に蝶番付けされ得る。裏板配置21は、末端キャップ60、65の後面縁近くの旋回孔を係合するピン24の手段によって末端平板19及び23に旋回的に装着され得る。裏板配置21は、旋回的に装着されて、圧縮可能な流体送達チューブ12を装着または除去するときにチューブローラ14へのアクセスを提供し、選択的蠕動ポンプ組立体100が動作していないときに圧縮可能な流体送達チューブ12に対する圧縮力が解放されることを可能にし得る。動作中、裏板配置21は、末端平板19及び23上に装着された揺動クランプ25の手段、ならびに裏板配置21の上平板70上に装着された対応する係合鉤27によって定位置にしっかりとクランプされ得る。チューブローラ14に過度にである圧縮可能な流体送達チューブ12は、チューブローラ14によって裏板配置21の弓状表面28に対して圧縮され得る。
【0019】
図5及び6は、裏板配置21が動作のための位置にロックされた選択的蠕動ポンプ組立体100の断面図を図示する。図12はまた、裏板配置21が動作可能な位置にある配置を図示する。チューブローラ14は、中心駆動シャフト29の周りを時計回り方向に回転するようにローラ支持体36に装着され得る。各チューブローラは、回転可能な組立体200が時計回りに回転するにつれて、各チューブローラ14がそれ自身の軸を中心として反時計回り方向に自由に回転することを可能にする軸受け手段33によってローラ支持体36内に回転可能に支持され得る。チューブローラ14の間にそれらと正面接触して配設されるのは、回転可能な組立体200が中心軸を中心として回転するにつれて、チューブローラ14との接触によって駆動されるものとして、支持ローラ18が時計回り方向に自由に回転することを可能にする軸受け手段31を通して、中心駆動シャフト29上に回転可能に装着される支持ローラ18であり得る。
【0020】
圧縮可能な流体送達チューブ12は、チューブローラ14によって裏板配置21の弓状表面28に対して圧縮され得る。弓状表面28の長さは、各圧縮可能な流体送達チューブ12が、少なくとも1つの、及び好ましくは少なくとも2つのチューブローラ14によって常に圧縮されるようであり得る。裏板配置21の弓状表面28は、チューブローラ14が圧縮可能な流体送達チューブ12を過度に押し潰さずに、圧縮可能な流体送達チューブ12のルーメンを圧縮し、しっかり閉鎖することを可能にする距離だけ、チューブローラ14の表面から離間配置され得る。
【0021】
ローラ支持体36及び37は、中心駆動シャフト29にしっかりと固定され、それとともに回転し得る。チューブローラ14は、軸受け手段33によってローラ支持体36及び37に回転可能に支持され得る。末端平板19には、ローラ支持体36を通って伸長するチューブローラ14の近位の末端を受容するように溝が作られてもよく、各チューブローラ14の末端上の接合ギア歯(図示せず)を係合するリングギア(図示せず)が備えられ、これによってローラ支持体36及び37が中心駆動シャフト29とともに選択的蠕動ポンプ組立体100の縦軸を中心として回転するにつれて、各チューブローラ14に正の回転駆動を提供してもよい。
【0022】
ここで本開示の選択的態様を参照すると、例えば係合部材50などの圧縮可能な流体送達チューブ12を挟むための手段は、係合部材50がそれと相互作用して、流体治療物質を分注するための選択的手段を促進し得るように、それぞれの圧縮可能な流体送達チューブ12と関連付けられ得る。いくつかの態様に従うと、各係合部材50は、作動装置組立体のそれぞれの作動装置300を使用して旋回されて、分注のための圧縮可能な流体送達チューブ12を選択または選択解除し得る。他の種類の作動装置もまた実装され得るものの、いくつかの場合、作動装置300は空気圧により動作され得る。空気源は、上平板7
0上に取り付けられた多岐管95上に装着された複数の流体コネクタ90を介して、選択的蠕動ポンプ組立体100と流体連通し得る。いくつかの場合、作動装置300は多岐管95内に配設され得る。
【0023】
この点について、個々の係合部材50は、注射ヘッド上の注射装置10の数と一致するために必要とされるすべての圧縮可能な流体送達チューブ12について作動され得る。動作中、係合部材50は、前方に旋回し得るか、またはさもなければ空気圧シリンダ部材310によって選択的に作動されることによって変位させられ得る。図6に示すように、この前方旋回運動は、チューブローラ14のセット上の圧縮可能な流体送達チューブ12を圧縮して、圧縮可能な流体送達チューブ12中の流体治療物質が組立体100内で圧縮可能な流体送達チューブ12を通して押し出されることを引き起こし得る。圧縮可能な流体送達チューブ12が、流体治療物質が分注されることを必要としない場合、検卵装置によって伝達される分類信号に従って、係合部材50は空気圧により選択解除され得、図5に示すように、非付勢位置にある付勢部材320(例えばバネ)によって選択解除位置で維持され得る。選択解除位置は、圧縮可能な流体送達チューブ12が、係合部材50の対向する末端を使用して、前面壁400に対して挟み取られることを引き起こし得る。選択位置において、作動装置300は、付勢部材320が付勢位置にあるように、係合部材50を付勢部材320に対して旋回するように作動され得る。そのような例において、作動装置300が作動解除されるとき、付勢部材320は係合部材50を選択解除位置に追いやらせる。
【0024】
いくつかの態様に従うと、空気圧シリンダ部材310は、係合部材50によって画定される湾入部52(図9及び11)内で接合するように構成された先端部分330(図7、10、及び11)を含み得る。各係合部材50は、図3に示すように弓状表面28が形成され得るように、その中を通して旋回ロッド55を受容するための開口部54(図8)を画定し得る。係合部材50は、圧縮可能な流体送達チューブ12の幅におよそ類似する幅を有する、薄い平板様構造であり得る。いくつかの例において、図13に示すように複数のスペーサー75が提供されてもよく、各スペーサー75は隣接する係合部材50の対の間に位置付けられる。スペーサー75は類似した形状であっても、または係合部材もしくは刃部材50として構成されてもよい。
【0025】
作動装置300は、注射順序中に、作動装置300が選択的かつ個別的に作動されて、それぞれの卵が生存可能であると分類される場合に注射装置10を通して選択的分注を引き起こし得るように、検卵装置と連通して、分類情報を受容し得る。この様式において、選択的蠕動ポンプ組立体100は、流体治療物質の選択的注射がそれぞれの卵の分類状態に従って生じ得るように、注射装置10への流体治療物質の選択的送達を提供することができる。
【0026】
本開示の様々な態様に従うと、係合部材50及びチューブローラ14は協働して、圧縮可能な流体送達チューブ12を適切に整列して維持し得る。つまり、係合部材50及び/またはチューブローラ14は、流体送達チューブ12がそれぞれの係合部材50の幅の外側に横流れすることを防ぐように構成され得、この横流れは、流体を送達することに関して、それぞれの係合部材50が不適切に機能することにつながる可能性がある。この点について、ポンプ圧送動作中に流体送達チューブ12に対して生じ得る摩耗もまた最小化しながら、正確かつ信頼できる流体分注を促進するように、流体送達チューブ12の位置付けの封じ込め及び制御が提供され得る。したがって、本開示の態様は、改良された機械的圧縮及び流体制御を促進する。
【0027】
したがって、いくつかの例において、図14~17に示すように、各係合部材50は、その下側にある弓状部分38に溝45を画定し得る。溝45は、それぞれの流体送達チュ
ーブ12をその中に維持して、流体送達チューブ12が係合部材50の幅の外側に横流れするのを防ぐように構成され得る。いくつかの例において、溝45は、弓状部分38の近位末端47で開始し、その後弓状部分38の遠位末端48の前で終了し得る。更に、溝45は、流体送達チューブ12の機械的摩耗を制限するように、遠位末端48に近接する溝の終点で細くなり得る。
【0028】
他の態様に従うと、図18~21に示すように、各チューブローラ14は、その外周の周りでその長さに沿って位置付けられる一連のローラ溝80を画定し得る。この点について、流体送達チューブ12は、その封じ込めのためそれぞれのローラ溝80内に位置付けられ得、流体送達チューブ12は、ローラ溝80内でのそれらの位置を維持するように引張され得る。いくつかの例において、係合部材50の弓状部分38は、図21に示すように比較的平坦であり得る。他の例において、図22~24に示すように、弓状部分38は、突出し、かつローラ溝80内に対応して適合するように構成されるプロファイル85を含み得る(特に図24に示す)。そのような構成は、プロファイル85がローラ溝80内で伸長して、作動されるときにそれぞれの流体送達チューブ12を圧縮することを可能にし得る。いくつかの例において、プロファイル85は、弓状部分38の近位末端47で開始し、その後弓状部分38の遠位末端48で終了し得る。プロファイル85が提供される例において、ローラ溝80は、プロファイル85が使用されない例におけるよりも深くあり得る。
【0029】
本明細書で説明される本開示の多くの修正及び他の態様が、前述の記載及び関連する図面において提示される教示の利益を有する、本開示が属する当業者に想起されるであろう。したがって、本開示は開示される特定の態様に限定されないこと、ならびに修正及び他の態様が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることが理解されたい。本明細書で特定の用語が用いられるものの、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的のためではない。
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