(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】楔ロック式シース保持メカニズム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240219BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61M25/00 540
A61M25/00 530
A61B17/12
(21)【出願番号】P 2022518681
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 US2020052465
(87)【国際公開番号】W WO2021061963
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マコーネル、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】マクスウィーニー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ナイガード、エリック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】セクストン、ダニエル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】タッソーニ、ニコラス リー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540501(JP,A)
【文献】特表2005-506105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置システムであって、
近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間に配置された中間領域、並びに前記近位端から前記遠位端まで延びるルーメンを有するシースと、
前記シースの前記ルーメン内に摺動可能に配置されたプッシャワイヤと、
近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端との間に配置された中間領域、並びに前記近位端から前記遠位端まで延びるルーメンを有するロック要素であって、該ロック要素は前記遠位端に隣接する第1の内径及び前記近位端に隣接する第2の内径を有し、前記第2の内径は、前記第1の内径よりも小さい、前記ロック要素と
を備え、
前記ロック要素の遠位端領域は、前記シースに被さって自由に摺動するように構成されており、
前記ロック要素の近位端領域が前記シースに被さって配置されると、前記ロック要素は、前記シースを半径方向内向きに押圧するように構成され
、
前記ロック要素は、前記ロック要素の近位端から前記ロック要素の遠位端まで延びるスロットをさらに備え、前記スロットは、前記ロック要素の壁を貫通して延びる、医療装置システム。
【請求項2】
前記ロック要素の前記近位端領域における前記ルーメンは、直径が前記ロック要素の前記近位端に向かって傾斜するように減少する、請求項1に記載の医療装置システム。
【請求項3】
前記ロック要素の前記遠位端領域における前記ルーメンは、ほぼ均一な内径を有する、請求項1又は2に記載の医療装置システム。
【請求項4】
前記シースは、第1のスロット及び第2のスロットを含み、前記第1のスロット及び前記第2のスロットは、前記シースの前記近位端から遠位側に延び、且つ前記シースの全長よりも短く延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項5】
前記シースは、前記シースの前記近位端から遠位側に延びる、長手方向に延びるスロットを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項6】
前記長手方向に延びるスロットは、周方向に延びるスリットで終端する、請求項5に記載の医療装置システム。
【請求項7】
前記シースは、当該シースの外面から半径方向外向きに延びる、角度付突出部を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項8】
前記シースの前記角度付突出部は、直径が近位方向に減少する、請求項7に記載の医療装置システム。
【請求項9】
前記ロック要素は、前記ロック要素の前記ルーメンの内面から半径方向内向きに延びる、角度付突出部を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項10】
前記ロック要素の前記角度付突出部は、直径が遠位方向に減少する、請求項9に記載の医療装置システム。
【請求項11】
前記シースの前記角度付突出部及び前記ロック要素の前記角度付突出部は、前記ロック要素の軸方向移動を制限するために協働するように構成される、請求項9又は10に記載の医療装置システム。
【請求項12】
前記スロットは、前記プッシャワイヤの幅よりも大きく、且つ前記シースの幅よりも小さい幅を有する、請求項
1に記載の医療装置システム。
【請求項13】
前記ロック要素は、当該ロック要素の外面から延びる、周方向に延びる複数のリブを備える、請求項1~
12のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【請求項14】
前記ロック要素は、前記シースよりも硬質の材料から形成される、請求項1~
13のいずれか一項に記載の医療装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置並びに医療装置を製造及び/又は使用するための方法に関する。より詳細には、本開示は、シース内に医療装置を固定するためのシステムの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な体内型医療装置が医学的用途、例えば外科及び/又は脈管内用途のために開発されている。これらの装置のいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル、医療装置送達システム(例えば、ステント、グラフト、置換弁のためなど)などを含む。これらの装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、且つ様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。代替的な医療装置並びに医療装置を製造及び/又は使用するための代替的な方法を提供することが継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
第1の例において、医療装置システムは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有するシースと、シースのルーメン内に摺動可能に配置されたプッシャワイヤと、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有するロック要素とを備え得る。ロック要素は、遠位端に隣接する第1の内径及び近位端に隣接する第2の内径を有し得る。第2の内径は、第1の内径よりも小さい。ロック要素の遠位端領域は、シースに被さって自由に摺動するように構成され得る。ロック要素の近位端領域がシースに被さって配置されると、ロック要素は、シースを半径方向内向きに押圧するように構成され得る。
【0004】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の近位端領域におけるルーメンは、直径がロック要素の近位端に向かって傾斜するように減少し得る。
【0005】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の遠位端領域におけるルーメンは、ほぼ均一な内径を有し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースは、第1のスロット及び第2のスロットを含み得、第1のスロット及び第2のスロットは、シースの近位端から遠位側に延び、且つシースの全長よりも短く延びる。
【0006】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースは、シースの近位端から遠位側に延びる、長手方向に延びるスロットを含み得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、長手方向に延びるスロットは、周方向に延びるスリットで終端し得る。
【0007】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースは、当該シースの外面から半径方向外向きに延びる、角度付突出部を含み得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースの角度付突出部は、直径が近位方向に減少し得る。
【0008】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、ロック要素のルーメンの内面から半径方向内向きに延びる、角度付突出部を含み得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の角度付突出部は、直径が遠位方向に減少し得る。
【0009】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースの角度付突出部及びロック要素の角度付突出部は、ロック要素の軸方向移動を制限するために協働するように構成され得る。
【0010】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、ロック要素の近位端からロック要素の遠位端まで延びるスロットをさらに備え得、スロットは、ロック要素の壁を貫通して延びる。
【0011】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、スロットは、プッシャワイヤの幅よりも大きく、且つシースの幅よりも小さい幅を有し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、当該ロック要素の外面から延びる、周方向に延びる複数のリブを備え得る。
【0012】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、シースよりも硬質の材料から形成され得る。
別の例において、医療装置システムは、シースを備え、該シースは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有し、シースは第1のスロット及び第2のスロットを有し、第1のスロット及び第2のスロットは、シースの近位端から遠位側に延び、シースの全長よりも短く延び、且つ第1の可撓性アーム及び第2の可撓性アームを画定し、該医療装置システムはシースのルーメン内に摺動可能に配置されたプッシャワイヤを備え、該医療装置システムはロック要素を備え、該ロック要素は、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有し、ロック要素は遠位端に隣接する第1の内径及び近位端に隣接する第2の内径を有し、第2の内径は、第1の内径よりも小さい。ロック要素の遠位端領域は、シースに被さって自由に摺動するように構成され得る。ロック要素の近位端領域がシースの近位端領域に被さって配置されると、ロック要素は、第1及び第2の可撓性アームを半径方向内向きに押圧するように構成され得る。
【0013】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の近位端領域におけるルーメンは、直径がロック要素の近位端に向かって傾斜するように減少し得る。
【0014】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の遠位端領域におけるルーメンは、ほぼ均一な内径を有し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、ロック要素の近位端からロック要素の遠位端まで延びるスロットをさらに備え得、スロットは、ロック要素の壁を貫通して延びる。
【0015】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、スロットは、プッシャワイヤの幅よりも大きく、且つシースの幅よりも小さい幅を有し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、当該ロック要素の外面から延びる、周方向に延びる複数のリブを備え得る。
【0016】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、ロック要素の近位端から遠位端までほぼ均一な壁厚を有し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、近位端に隣接する第1の壁厚及び遠位端に隣接する第2の壁厚を有し得、第1の壁厚は、第2の壁厚よりも大きい。
【0017】
別の例において、医療装置システムは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有するシースであって、シースの近位端から遠位側に延びる、長手方向に延びるスロットをさらに含むシースと、シースのルーメン内に摺動可能に配置されたプッシャワイヤと、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有するロック要素であって、ロック要素のルーメンは、全体的に砂時計の形状を有する、ロック要素とを含み得る。ロック要素の遠位端領域は、シースに被さって自由に摺動するように構成され得る。ロック要素の中間領域がシースに被さって配置されると、ロック要素は、シースを半径方向内向きに押圧するように構成され得る。
【0018】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースの長手方向に延びるスロットは、周方向に延びるスリットで終端する。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースは、長手方向に延びるスロットに隣接して第1のフラップ及び第2のフラップをさらに含み得る。
【0019】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素は、遠位端に隣接する第1の内径及び中間領域に隣接する第2の内径を有し得、第2の内径は、第1の内径よりも小さい。
【0020】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、第2の内径は、ほぼ一定であり得、且つフレア付き遠位端領域とフレア付き近位端領域との間に延びる。
別の例において、医療装置システムは、シースを備え、該シースは、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメンを有し、該シースは当該シースの外面から半径方向外向きに延びる、角度付突出部をさらに含み、該医療装置システムは、シースのルーメン内に摺動可能に配置されたプッシャワイヤを備え、該医療装置システムはロック要素を備え得る。ロック要素は、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に配置された中間領域、並びに近位端から遠位端まで延びるルーメン、遠位端に隣接する第1の内径、近位端に隣接する第2の内径であって、第1の外径よりも小さい第2の内径、並びにロック要素のルーメンの内面から半径方向内向きに延びる、角度付突出部を含み得る。ロック要素の遠位端領域は、シースに被さって自由に摺動するように構成され得る。ロック要素の近位端領域がシースに被さって配置されると、ロック要素は、シースを半径方向内向きに押圧するように構成され得る。
【0021】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースの角度付突出部は、直径が近位方向に減少し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースの角度付突出部は、シースの近位端に隣接して位置決めされ得る。
【0022】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の角度付突出部は、直径が遠位方向に減少し得る。
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の角度付突出部は、ロック要素の遠位端に隣接して位置決めされ得る。
【0023】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、シースの角度付突出部及びロック要素の角度付突出部は、ロック要素の軸方向移動を制限するために協働するように構成され得る。
【0024】
上述の例のいずれかに加えて又はそれらの代わりに、別の例において、ロック要素の近位端領域におけるルーメンは、直径がロック要素の近位端に向かって傾斜するように減少し得る。
【0025】
いくつかの実施形態、態様及び/又は例の上記の概要は、本開示の各実施形態又は全ての実装形態を説明するものではない。以下の図及び詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0026】
本開示は、添付図面に関連する様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮してより詳細に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の構成における例示的な医療装置システムの斜視図。
【
図8】第2の構成における
図1の例示的な医療装置システムの斜視図。
【
図9】
図8の例示的な医療装置システムの部分断面図。
【
図10】第3の構成における
図1及び
図8の例示的な医療装置システムの斜視図。
【
図12】第1の構成における別の例示的な医療装置システムの斜視図。
【
図16】第2の構成における
図12の例示的な医療装置システムの斜視図。
【
図18】第1の構成における別の例示的な医療装置システムの斜視図。
【
図20】第2の構成における
図18の例示的な医療装置システムの部分断面図。
【
図23】第1の構成における別の例示的な医療装置システムの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の態様は、様々な修正形態及び代替的な形態に適しているが、その詳細は、図面に例として示され、且つ詳細に説明される。しかしながら、本発明は、説明される特定の実施形態に本開示の態様を限定するものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正形態、均等物及び代替形態を網羅するものである。
【0029】
以下の説明は、図面を参照して読まれる必要があり、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、同様の参照符号は、いくつかの図を通して同様の要素を示す。詳細な説明及び図面は、特許請求される本発明を限定するものではなく、説明するものである。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、説明及び/又は図示される様々な要素が様々な組み合わせ及び構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明及び図面は、特許請求される本発明の例示的な実施形態を示す。しかしながら、明確且つ理解しやすくするために、全ての特徴及び/又は要素が各図面に示されるわけではない場合があるが、特徴及び/又は要素は、それとは関係なく他に特に規定がなければ存在すると理解され得る。
【0030】
下記で定義する用語に関して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り適用される。
本明細書では、全ての数値は、明確に指示されるか否かに関わらず、用語「約」で修飾されることが想定される。数値に関連して、用語「約」は、一般的に、列挙した値と均等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と当業者がみなすであろう数字の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められる数字を含み得る。用語「約」(例えば、数値以外に関連して)の他の使用は、他に特に規定がなければ、本明細書の文脈から理解され、且つそれと一致するようなそれらの通常の及び慣習的な定義を有すると考えられ得る。
【0031】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数字を含み、端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの好適な寸法、範囲及び/又は値が開示されるが、本開示によって触発された当業者は、所望の寸法、範囲及び/又は値が、明示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、別段の指示が明確にない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、用語「又は」は、一般的に、別段の指示が明確にない限り、「及び/又は」を含む意味で用いられる。理解を促すために、本開示のいくつかの特徴は、それらの特徴が複数であるか、又は開示される実施形態内で繰り返されるとしても、単数形で説明され得ることに留意されたい。特徴の各例は、特段の明確な記載がない限り、単数形の開示を含み得、且つ/又はそれに含まれ得る。簡潔且つ明瞭にするために、開示される本発明の全ての要素が必ずしも各図に示されるか又は下記で詳細に説明されるわけではない。しかしながら、以下の説明は、特段の明確な記載がない限り、2つ以上の構成要素のいずれか及び/又は全てに等しく当てはまり得ることが理解される。さらに、いくつかの要素又は特徴の全ての例は、明瞭にするために各図に示されるわけではない場合がある。
【0033】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形例などの相対的な用語は、一般的に、装置のユーザ/オペレータ/操作者に対する様々な要素の位置決め、方向及び/又は動作に関して考慮され得、「近位」及び「後退」は、ユーザにより近い又はユーザに向かうことを示すか又は指し、「遠位」及び「前進」は、ユーザからより遠い又はユーザから離れることを示すか又は指す。場合により、用語「近位」及び「遠位」は、本開示の理解を促進するために任意に割り当てられ得、そのような場合、当業者に容易に明らかとなる。他の相対的な用語、例えば「上流」、「下流」、「流入」及び「流出」は、体内管腔、血管などの管腔内又は装置内での流体の流れの方向を指す。さらに他の相対的な用語、例えば「軸方向」、「周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」など、及び/又はそれらの変形例は、一般的に、開示される構造又は装置の長手方向中心軸に対する方向及び/又は向きを指す。
【0034】
本明細書では、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造又は特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性がある実施形態に関連して説明されるとき、明確に説明されるか否かに関わらず、特段の明確な記載がない限り、他の実施形態に関連して特定の特徴、構造又は特性をもたらすことは、当業者の知識内であろう。すなわち、下記で説明される様々な個々の要素は、特定の組み合わせで明確に図示されない場合でも、それでもなお当業者によって理解されるように、他の追加的な実施形態を形成するか、又は説明の実施形態を補完及び/若しくは強化するために互いに組み合わせ可能又は配置可能であるとみなされる。
【0035】
明瞭にするために、いくつかの識別のための数字による用語法(例えば、第1、第2、第3、第4など)は、明細書及び/又は特許請求の範囲を通して、様々な説明及び/又は特許請求される特徴を命名及び/又は区別するために使用され得る。数字による用語法は、限定ではなく、例示にすぎないことが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、以前に使用した数字による用語法の変更及びそれからの逸脱は、簡潔且つ明瞭にするために行われ得る。すなわち、「第1」の要素として識別された特徴は、後に「第2」の要素、「第3」の要素などと呼ばれ得るか若しくは完全に省略され得、及び/又は異なる特徴が「第1」の要素として呼ばれ得る。各例での意味及び/又は名称は、当業者に明白である。
【0036】
心血管系に影響を及ぼし、且つ/又はその影響を受ける疾患及び/又は医学的状態は、世界中に蔓延している。例えば、何らかの形態の動静脈奇形(AVM:arterial venous malformation)は、血管系を通る正常な血流から「力を得る」可能性がある。理論に拘束されるものではないが、酸素及び/又は栄養分に富んだ正常な血流を欠乏させ、それにより成長し且つ/又は広まる能力を制限することにより、動静脈奇形及び/又は他の疾患若しくは状態を少なくとも部分的に治療することが可能であり得ることが想定される。血管閉塞から恩恵を受け得る疾患又は状態の他の例には、限定されないが、出血、動脈瘤、静脈不全、器官切除前の血流遮断又は肝臓内の分岐血管内への塞栓用ビーズの逆流の予防が含まれる。本明細書では、一部の動静脈奇形及び/又は他の疾患若しくは状態を治療及び/又は修復するために心血管系の一部分内で使用され得る医療装置が開示される。本明細書で開示する装置はまた、下記でより詳細に説明するように、いくつかの追加的な望ましい特徴及び利益を構成し得る。
【0037】
図1は、部分的に組み立てられていない構成における例示的な医療装置システム100の斜視図である。医療装置システム100は、プッシャワイヤ102、限定されないが、塞栓用コイルなどのインプラント104(例えば、
図9を参照されたい)、イントロデューサシース106及びロック要素108を含み得る。簡潔にするために、インプラント104は、塞栓用コイルとして説明されるが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出されるなどの他の好適な医療装置も想定され、これらには、限定されないが、血管閉塞装置用コイル、ステント、塞栓用フィルタ、置換心臓弁、他の閉塞装置及び/又は他の医療用インプラントなどが含まれる。
【0038】
塞栓用コイル104は、一般に、患者の体外の近位点から塞栓部位に近い遠位点まで延びるマイクロカテーテル(明示せず)を使用することによって血管に導入され得る。コイル104を含むイントロデューサシース106は、患者内に挿入する前にコイル104を運び且つ保護するために使用され得る。さらに、イントロデューサシース106は、コイルをマイクロカテーテルに移し、且つ/又は選択された塞栓部位でのコイルの展開を支援するために使用され得る。シース106は、インプラント104が展開されるまで、インプラント104を保護し、且つインプラント104を送達できる向きに維持するように構成され得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素108は、ユーザがインプラント104を前進させてシース106から出す準備ができるまで、シース106内でのプッシャワイヤ102及びインプラント104の(例えば、軸方向及び回転)移動を制限するように構成され得る。
【0039】
シース106は、近位端112と、遠位端114と、それらの間に位置決めされた中間領域116とを含むチューブ状部材であり得る。シース106の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えばポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。シース106は、近位端112から遠位端114まで延びるルーメン110を画定し得る。プッシャワイヤ102及びインプラント104は、プッシャワイヤ102及びインプラント104がシース106の半径方向内側になるように、シース106のルーメン110内に摺動可能に配置され得る。インプラント104は、シース106の遠位端114に接近して配置され得る。プッシャワイヤ102は、インターロック位置と解放位置との間で軸方向に摺動可能であり得る。プッシャワイヤ102は、インプラント104に解放可能に取り付けられるように構成され得る。インプラント104は、送達構成から展開構成に拡張するように構成され得る。プッシャワイヤ102は、一般的に、ソリッドワイヤ又はシャフトであり得るが、いくつかの実施形態ではチューブ状でもあり得る。プッシャワイヤ102の、好適であるが非限定的ないくつかの材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。本明細書でより詳細に説明するように、プッシャワイヤ102は、シース106内でのプッシャワイヤ102の軸方向移動及び/又は回転移動を制限するために、ロック要素108を介してシース106に解放可能に固定され得る。
【0040】
シース106は、近位端112から遠位側に延びる第1のスロット118a及び第2のスロット118b(まとめて118)を有し得る。第1のスロット118a及び第2のスロット118bは、シース106の周囲で相手方のスロットの向かいに位置決めされ得る。すなわち、およそ180°離間して位置決めされ得る。シース106は、2つのスロットを有すると説明されるが、シース106は、必要に応じて1つ又は3つ以上のスロットを含み得る。スロット118は、シース106の全長よりも短く延び得る。シース106から材料を除去してスロット118を形成して、可撓性アーム又は部材120a、120b(まとめて120)が作り出され得る。シース106は、2つのアーム120を有すると説明されるが、可撓性アームの数は、スロット118の数によって変化し得ること、しかも必要に応じて1つ又は3つ以上の可撓性アームがあり得ることを理解すべきである。さらに、スロット118は、シース106の周囲に均一に又は偏って配設され得る。スロット118(及び/又はアーム120)の長さ及び/又は寸法は、異なる程度の楔留め(ロック要素108とプッシャワイヤ102との間)及びロック能力をもたらすべく、変化し得る。シース106の近位端領域129は、ポリプロピレン又はそれと同様の材料から形成され得ることが想定される。近位端領域129のデュロメータは、所望のロック効果を生じるように操作され得る。場合により、シース106の他の部分は、近位端領域129と同じ材料から形成され得るが、他の場合、シース106の他の部分は、近位端領域129と異なる材料から形成され得る。例えば、シース106は、ポリイミド製遠位チップ(しかしながら、これは、必須ではない)を含み得る。
【0041】
さらに、ロック要素108の斜視図を示す
図2を参照して説明すると、ロック要素108は、近位端122と、遠位端124と、それらの間に位置決めされた中間領域126とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素108は、近位領域128にわたってほぼ一定の又は均一な外径130を有し得る。該近位領域128は、近位端122から中間領域126の途中に向かって延びる。ロック要素108は、遠位領域132を含み得る。該遠位領域132は、複数の隆起した領域すなわち周方向リブ136a、136b、136c、136d(まとめて136)を含む。周方向リブ136は、近位領域128の外径130よりも大きい外径134を有し得る。周方向リブ136は、ロック要素108の触覚性を増加させ得、且つ/又はロック要素108を簡単に把持若しくは取り扱いできるようにし得ることが想定される。周方向リブ136の数(例えば、3つ以下又は5つ以上)、周方向リブ136の寸法(例えば、直径134の増減)、周方向リブ136の幾何学的形状(全周未満に延びる、異なる形状を有するなど)、ロック要素108の長さ部分に沿った周方向リブ136の位置決め及び/又は周方向リブ136の間隔は、必要に応じて、ロック要素108の触覚性又は把持性を高めるか又は減少させるために変更され得る。
【0042】
ロック要素108は、近位端122から遠位端124まで延びるルーメン135を画定し得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素108のルーメン135の一部分は、シース106に被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、本明細書でより詳細に説明するように、ルーメン135の別の部分は、シース106に半径方向内向きの圧縮力を加えるような寸法にされ得る。このように、いくつかの構成では、シース106の少なくとも一部分は、ロック要素108の半径方向内側にあり得る。
【0043】
ロック要素108は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素108は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素108は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。
【0044】
図3は、
図2の線3-3に沿って取ったロック要素108の断面図を示す。ロック要素108は、変化のある内径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素108の内径は、第1の長さ部分140にわたって遠位方向に、近位端122に隣接する第1の内径137から第2の内径138まで傾斜して増大し得る。いくつかの実施形態では、第1の長さ部分140は、シース106のアーム120の長さとおよそ同じであり得るが、これは、必須ではない。第2の内径138は、ロック要素108の第2の長さ部分142にわたっておよそ一定又は均一であり得る。明示しないが、場合により、第1の内径137から第2の内径138までの移行は、急激な又は段階的な移行であり得る。第1の長さ部分140及び/又は第2の長さ部分142は、必要に応じて変更され得る。さらに、第1の長さ部分140の傾斜は、必要に応じて変更され得る。テーパ付きの第1の長さ部分140及び/又は第2の長さ部分142の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。
【0045】
いくつかの実施形態では、ロック要素108の壁厚は、第1の長さ部分140にわたって内径と逆に変わり得るが、変化する内径に対して外径130は一定のままである。例えば、ロック要素108は、近位端122に隣接する壁厚144を有し得る。その壁厚は、第2の長さ部分142における又はその近くの第2の壁厚146まで次第に薄くなり得る。他の実施形態では、壁厚は、一定のままであり得る。そのような場合、ロック要素108の内径及び外径は、第1の長さ部分140に沿って変わり得る(例えば、同様の方法で傾斜され得る)。例えば、ロック要素108の外径は、内径が増大するにつれて、第1の長さ部分140にわたって近位端122から増大し得る。
【0046】
第2のより大きい内径138は、ロック要素108がシース106に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。第1のより小さい内径137は、本明細書でより詳細に説明するように、シース106の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0047】
ロック要素108の構成は、所望の効果をもたらすように調整され得ることが想定される。例えば、内径137、138の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース106及び/又は異なる外径のプッシャワイヤ102に適応し得る。さらに、第1及び/又は第2の長さ部分140、142は、より長い、より短い、あまり角度が付けられていない、より角度が付けられているなどであり得る。別の例において、ロック要素108の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素108の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための、周方向リブ136に加えて又はその代わりの特徴、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目などを含み得ることがさらに想定される。場合により、シース106及び/又はロック要素108は、ロック要素108の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素108の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素108は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0048】
図4は、別の例示的なロック要素200の斜視図である。ロック要素200は、本明細書で説明する例示的なロックメカニズム108と形状及び機能が同様であり得、且つ医療装置システム、例えば本明細書で説明する医療装置システム100と一緒に使用され得る。ロック要素200は、近位端202と、遠位端204と、それらの間に位置決めされた中間領域206とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素200は、近位端202から遠位端204まで延びるほぼ一定の又は均一な外径210を有し得るが、これは、必須ではない。ロック要素200は、近位端202から遠位端204まで延びるルーメン212を画定し得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素200のルーメン212の一部分は、本明細書で説明するシース106などのシースに被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、本明細書でより詳細に説明するように、ルーメン212の別の部分は、シース106に半径方向内向きの力、すなわち圧縮力を加えるような寸法にされ得る。このように、いくつかの構成では、シース106の少なくとも一部分は、ロック要素200の半径方向内側にあり得る。
【0049】
ロック要素200は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素200は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素200は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。
【0050】
図5は、
図4の線5-5に沿って取ったロック要素200の断面図である。ロック要素200は、変化のある内径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素200の内径は、第1の長さ部分214にわたって遠位方向に、近位端202に隣接する第1の内径216から第2の内径218まで傾斜して増大し得る。いくつかの実施形態では、第1の長さ部分214は、シース106のアーム120の長さとおよそ同じであり得るが、これは、必須ではない。第2の内径218は、ロック要素200の第2の長さ部分220にわたっておよそ一定又は均一であり得る。場合により、明示しないが、第1の内径216から第2の内径218までの移行は、急激な又は段階的な移行であり得る。第1の長さ部分214及び/又は第2の長さ部分220は、必要に応じて変更され得る。さらに、第1の長さ部分214の傾斜は、必要に応じて変更され得る。テーパ付きの第1の長さ部分214及び/又は第2の長さ部分220の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。
【0051】
いくつかの実施形態では、ロック要素200の壁厚は、第1の長さ部分214にわたって内径と逆に変わり得るが、外径210が一定のままで内径を変える。例えば、ロック要素200は、近位端202に隣接する第1の壁厚222を有し得る。その壁厚は、第2の長さ部分220における又はその近くの第2の壁厚224まで次第に薄くなり得る。他の実施形態では、壁厚は、一定のままであり得る。そのような場合、ロック要素200の内径及び外径は、第1の長さ部分214に沿って変わり得る(例えば、同様の方法で傾斜され得る)。例えば、ロック要素200の外径は、内径が増大するにつれて、近位端202から第1の長さ部分214にわたって増大し得る。
【0052】
第2のより大きい内径218は、ロック要素200がシース106に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。第1のより小さい内径216は、本明細書でより詳細に説明するように、シース106の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0053】
ロック要素200の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。例えば、内径216、218の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース106に適応し得る。さらに、第1及び/又は第2の長さ部分214、220は、より長い、より短い、あまり角度が付けられていない、より角度が付けられているなどであり得る。別の例において、ロック要素200の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素200の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース106及び/又はロック要素200は、ロック要素200の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素200の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素200は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0054】
図6は、別の例示的なロック要素300の斜視図を示す。ロック要素300は、本明細書で説明する例示的なロックメカニズム108と形状及び機能が同様であり得、且つ医療装置システム、例えば本明細書で説明する医療装置システム100と一緒に使用され得る。ロック要素300は、近位端302と、遠位端304と、それらの間に位置決めされた中間領域305とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素300は、近位端302から遠位端304まで延びるルーメン312を画定し得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素300のルーメン312の一部分は、本明細書で説明するシース106などのシースに被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、本明細書でより詳細に説明するように、ルーメン312の別の部分は、シース106に半径方向内向きの力、すなわち圧縮力を加えるような寸法にされ得る。このように、いくつかの構成では、シース106の少なくとも一部分は、ロック要素300の半径方向内側にあり得る。ロック要素300は、近位端302から遠位端304まで延びるスロット310をさらに含み得る。スロット310は、ロック要素300の側壁を貫通して(例えば、その外面から内面まで)延び得る。スロット310は、プッシャワイヤ(例えば、本明細書で説明するプッシャワイヤ102など)の幅よりも大きいが、シース106の幅よりも小さい幅314を有し得る。これにより、本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素300を医療装置システム100からより簡単に除去することができるようにする。
【0055】
ロック要素300は、近位端302から中間領域305内に向かって延びる近位領域328にわたってテーパ又は傾斜された外径を有し得る。ロック要素300は、複数の隆起した領域、すなわち周方向リブ332a、332b、332c、332d(まとめて332)を含む遠位領域330を含み得る。周方向リブ332は、近位領域328の外径324、326よりも大きい外径334を有し得る。周方向リブ332は、スロット310に起因して360°未満であり得るロック要素300の全周に延び得る。周方向リブ332は、ロック要素300の触覚性を増加させ得、且つ/又はロック要素300を簡単に把持若しくは取り扱いできるようにし得ることが想定される。周方向リブ332の数(例えば、3つ以下又は5つ以上)、周方向リブ332の寸法(例えば、直径334の増減)、周方向リブ332の幾何学的形状(全周未満に延びる、異なる形状を有するなど)及び/又は周方向リブ332の間隔は、必要に応じて、ロック要素300の触覚性又は把持性を高めるか又は減少させるために変更され得る。
【0056】
ロック要素300は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素300は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素300は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。
【0057】
図7は、
図6の線7-7に沿って取ったロック要素300の断面図である。ロック要素300は、変化のある外径及び変化のある内径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素300の内径は、第1の長さ部分316にわたって遠位方向に、近位端302に隣接する第1の内径318から第2の内径320まで傾斜して増大し得る。いくつかの実施形態では、第1の長さ部分316は、シース106のアーム120の長さとおよそ同じであり得るが、これは、必須ではない。第2の内径320は、ロック要素300の第2の長さ部分322にわたっておよそ一定又は均一であり得る。場合により、明示しないが、第1の内径318から第2の内径320への移行は、急激な又は段階的な移行であり得る。第1の長さ部分316及び/又は第2の長さ部分322は、必要に応じて変化し得る。さらに、第1の長さ部分316の傾斜は、必要に応じて変化し得る。第2のより大きい内径320は、ロック要素300がシース106に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。第1のより小さい内径318は、本明細書でより詳細に説明するように、シース106の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ロック要素300の壁厚336は、ロック要素300の第1及び/又は第2の長さ部分316、322にわたってほぼ均一なままであり得る。そのような場合、ロック要素300の内径及び外径は、第1の長さ部分316に沿って変化し得る(例えば、同様の方法で傾斜され得る)。例えば、ロック要素300の外径は、内径が増大するにつれて、第1の長さ部分316にわたり、近位端302における第1の外径324から第2の外径326まで増大し得る(第1の外径324を上回る)。いくつかの実施形態では、壁厚336は、ロック要素300の第1及び/又は第2の長さ部分316、322にわたって変化し得る。例えば、周方向リブ332が設けられるとき、リブ332に隣接する壁厚は、ロック要素300の他の部分の壁厚336よりも厚いことができる。他の実施形態では、壁厚336を変化させて、ルーメン312の直径を変化させ得る。
【0059】
ロック要素300の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。テーパ付きの第1の長さ部分316及び/又は第2の長さ部分322の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。例えば、内径318、320の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース106に適応し得る。さらに、第1及び/又は第2の長さ部分316、322は、より長い、より短い、あまり角度が付けられていない、より角度が付けられているなどであり得る。別の例において、ロック要素300の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素300の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース106及び/又はロック要素300は、ロック要素300の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素300の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素300は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0060】
図8は、ロック解除された、すなわち第1の組立構成における例示的な医療装置システム100の斜視図であり、
図9は、
図8の線9-9に沿って取った例示的な医療装置システム100の部分断面図である。医療装置システム100は、特定のロック要素108に関して説明されるが、理解すべきことは、本明細書で説明するロック要素の任意のものがロック要素108の代わりとなり得ることである。そのようなロック要素は、限定されないが、ロック要素200、300、408、508、600、708、800を含む。
図1に示す部分的に組み立てられていない構成から、ロック要素108がプッシャワイヤ102を固定するために使用可能にするようにロック要素108を位置決めするために、ロック要素108は、近位端112からシース106の近位端領域129に被さって遠位側に前進される。第1の組立構成において、ロック要素108の全体がシース106に被さって配置されなくてもよい。例えば、ロック要素108の、内径が減少された第1の長さ部分140は、部分的にのみシース106に被さって配置されるか、又は全くシース106被さらずに配置されてもよい。この構成では、プッシャワイヤ102は、シース106のルーメン110内で軸方向(例えば、近位側及び遠位側)に自由に摺動し、及び/又は回転する。上述の通り、シース106の内径は、近位端112から遠位端114まで一定のままであり得るか又は実質的に一定であり得る。
【0061】
シース106にプッシャワイヤ102をロックするために、ロック要素108は、ロック要素108の第1の長さ部分140がシース106のアーム120に被さって配置されるまでさらに遠位方向に前進される。
図10は、ロックされた、すなわち第2の組立構成における例示的な医療装置システム100の斜視図であり、及び
図11は、
図10の線11-11に沿って取った例示的な医療装置システム100の部分断面図である。上述の通り、ロック要素108の遠位部分132及び近位部分128の一部分は、シースの近位端領域129に被さって自由に摺動し得る。ロック要素108の、直径が減少した近位部分128が外側シース106に到達すると、シース106のアーム120は、プッシャワイヤ102の外面に押圧され得る。例えば、ロック要素108は、ロック要素108の内径がシース106の外径とおよそ等しいか又はそれよりも小さくなるまで、外側シース106に被さって自由に摺動し得る。外側シース106の壁厚及びプッシャワイヤ102の外径は、集合的に、プッシャワイヤ102をロックする前に、どの程度シースのアーム120が潰れるかに影響を及ぼすことが想定される。ロック要素108の内径がシース106の外面と摩擦係合し始めると、ロック要素108を遠位側に移動させ続けるためにより強い力が必要とされ得る。ロック要素108がシース106上に遠位側にさらに前進されると、テーパ付き領域(例えば、第1の長さ部分140)は、シース106のアーム120を内向きにワイヤ102上に撓ませるように作用する。十分に遠くに前進されると、ロック要素108は、適所に楔留めし、シース106とプッシャワイヤ102との間に所望のロック効果をもたらす。例えば、ロック要素108のルーメン135のテーパ付き部分が、
図11に示すように、アーム120の外径が減少され、且つアームの内径が半径方向内向きに付勢されるように、シース106のアーム120の外面を締め付けるか、又はそれに半径方向内向きの付勢力を加える楔としての機能を果たし得る。アーム120の内径が減少されるとき、アーム120の内面は、プッシャワイヤ102の外面に接触して摩擦係合する。
【0062】
図10及び
図11に示すロック構成では、シース106の内面とプッシャワイヤ102の外面との間の摩擦係合は、シース106のルーメン110内でのプッシャワイヤ102の軸方向(例えば、近位側及び遠位側)移動及び/又は回転移動を除外又は抑止し得る。いくつかの実施形態では、アーム120は、その内向きの撓みを促すように構成される。例えば、スロット118の切り込みパターンは、アーム120の潰れを促し、且つシース106の内面(例えば、アーム120の内面)とプッシャワイヤ102との間に局所的な摩擦点をもたらすように用いられ得る。
【0063】
ロック要素108の内径の漸進的な減少は、シース106の上のロック要素108の位置決めを容易にし得ることが想定される。例えば、遠位部分132(及び/又は近位部分128の部分)におけるロック要素108の内径138は、シース106の外径に被さって自由に通過するのに十分な大きさであり得る。ロック要素の内径は、シース106の外径よりも小さい寸法までテーパが付けられ(例えば、近位端122に向かって近位方向に)、且つシース106に被さって遠位側に十分に遠くに前進されるため、アーム120の潰れを促す。これにより、プッシャワイヤ102がシース106内を通して位置決めされるとき、シース106とプッシャワイヤ102との間に摩擦ロックをもたらす。
【0064】
ユーザがインプラント104を前進させる準備ができると、ロック要素108は、シース106の近位領域129から近位側に除去され得る。この除去により、シース106のアーム120に隣接する内径を元の構成まで拡張させるため、摩擦ロックを解除することができ、且つプッシャワイヤ102を自由に移動させることができるようになる。従って、シース106がプッシャワイヤ102から除去され、且つ/又はプッシャワイヤ102が遠位側に前進されるとき、シース106は、プッシャワイヤ102のいずれの部分にも係合しないか又は掛からない。
【0065】
ロック要素108が、長手方向に延びるスロット、例えばロック要素300に示されるスロット310を設けられるとき、ロック要素108は、シース106の近位側におけるプッシャワイヤ102の長さ全体にわたって近位側に後退される必要なく、プッシャワイヤ102から自由に外され得る(例えば、スロットを経由して)ことが想定される。同様に、製造時にロック要素108を装填する際、ロック要素108は、ロック要素108をプッシャワイヤ102に螺合するのではなく、プッシャワイヤ102に被さって配置され得る。
図6及び
図7に関して上述した通り、そのように設けられる場合、長手方向スロットは、プッシャワイヤ102がスロットを通り抜けることができるが、シース106が通り抜けられないような寸法にされ得る。これにより、ロック位置(例えば、
図10及び
図11)では、ロック要素108がシース106から抜け落ちないようにするが、ロック要素がロック解除構成になると、プッシャワイヤ102から簡単に除去できるようにすることを保証し得る。
【0066】
そのようなロック要素108は、外側シース106よりも硬質又は堅固な材料から形成され得ることがさらに想定される。例えば、ロック要素108の材料は、ロック要素108のルーメン135のテーパ付き部分がシース106に被さって前進されるとき、ロック要素108は、撓まず、むしろシース106を強制的に内向きに撓ませるように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロック要素108は、ユーザによって簡単に認識され得るように明るい(又は他の)色で形成され得る。
【0067】
図12は、部分的に組み立てられていない構成における別の例示的な医療装置システム400の斜視図である。
図13は、
図12の線13-13に沿って取った例示的な医療装置システム400の断面図である。医療装置システム400は、プッシャワイヤ402、限定されないが、塞栓用コイルなどのインプラント(明示せず)、イントロデューサシース406及びロック要素408を含み得る。簡潔にするために、インプラントは、塞栓用コイルとして説明されるが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出されるなどの他の好適な医療装置も想定され、これらには、限定されないが、血管閉塞装置コイル、ステント、塞栓用フィルタ、置換心臓弁、他の閉塞装置及び/又は他の医療用インプラントなどが含まれる。
【0068】
塞栓用コイルは、一般に、患者の体外の近位点から塞栓部位に近い遠位点まで延びるマイクロカテーテル(明示せず)を使用することによって血管に導入され得る。コイルを含むイントロデューサシース406は、患者内に挿入する前にコイルを運び且つ保護するために使用され得る。さらに、イントロデューサシース406は、コイルをマイクロカテーテルに移し、且つ/又は選択された塞栓部位でのコイルの展開を支援するために使用され得る。シース406は、インプラントが展開されるまで、インプラントを保護し、且つインプラントを送達できる向きに維持するように構成され得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素408は、ユーザがインプラントを前進させてシース406から出す準備ができるまで、シース406内でのプッシャワイヤ402及びインプラントの(例えば、軸方向及び回転)移動を制限するように構成され得る。
【0069】
シース406は、近位端412と、遠位端414と、それらの間に位置決めされた中間領域415とを含むチューブ状部材であり得る。シース406の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えばポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。シース406は、近位端412から遠位端414まで延びるルーメン410を画定し得る。プッシャワイヤ402及びインプラントは、プッシャワイヤ402及びインプラントがシース406の半径方向内側になるように、シース406のルーメン410内に摺動可能に配置され得る。インプラントは、シース406の遠位端414に接近して配置され得る。プッシャワイヤ402は、インターロック位置と解放位置との間で軸方向に摺動可能であり得る。プッシャワイヤ402は、インプラントに解放可能に取り付けられるように構成され得る。インプラントは、送達構成から展開構成まで拡張するように構成され得る。プッシャワイヤ402は、一般的に、ソリッドワイヤ又はシャフトであり得るが、いくつかの実施形態ではチューブ状でもあり得る。プッシャワイヤ402の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。本明細書でより詳細に説明するように、プッシャワイヤ402は、ロック要素408を介してシース406に解放可能に固定され、シース406内でのプッシャワイヤ402の軸方向移動及び/又は回転移動を制限し得る。
【0070】
シース406は、近位端412から遠位側に延びる、長手方向に延びるスロット416を有し得る。スロット416は、シース406の周囲に延びる「C字状」の切り込み418で終端し得る。切り込み418は、シース406の長手方向軸に対してほぼ垂直である平面に位置決めされ得る。場合により、切り込み418は、必要に応じて、シース406の周囲の360°未満、270°未満、180°未満、135°未満、90°未満に延び得る。切り込み418の半径方向長さは、所望のロック効果を生じるために変更され得ることが想定される。同様に、スロット416の長さ及び幅は、所望のロック効果を生じるために変更され得る。本明細書でより詳細に説明するように、スロット416及び切り込み418は、シース406の自由縁又はフラップ420a、420b(まとめて420)が、その外面に半径方向内向きの力が加えられて摩擦ロックをもたらすとき、畳まれるか又は潰れることができるようにする。
【0071】
シース406の近位端領域422は、ポリプロピレン又はそれと同様の材料から形成され得ることが想定される。近位端領域422のデュロメータは、所望のロック効果を生じるように操作され得る。場合により、シース406の他の部分は、近位端領域422と同じ材料から形成され得るが、他の場合、シース406の他の部分は、近位端領域422と異なる材料から形成され得る。例えば、シース406は、ポリイミド製遠位チップを含み得る(しかしながら、これは、必須ではない)。
【0072】
ロック要素408の斜視図を示す
図14をさらに参照して説明すると、ロック要素408は、近位端424と、遠位端426と、それらの間に位置決めされた中間領域428とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素408は、中間領域428にわたってほぼ一定の又は均一な外径430を有し得る。外径は、中間領域428から近位方向及び遠位方向の両方において増大して、フレア付き近位部分432及びフレア付き遠位部分434を形成し得る。フレア付き近位部分432は、直径において、近位端424に向かって、中間領域428に隣接する第1の外径430よりも大きい第2の外径436まで増大し得る。同様に、フレア付き遠位部分434は、直径において、遠位端426に向かって、中間領域428に隣接する第1の外径430よりも大きい第2の外径436まで増大し得る。
【0073】
ロック要素408は、近位端424から遠位端426まで延びるルーメン438を画定し得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素408のルーメン438の一部分は、シース406に被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、本明細書でより詳細に説明するように、ルーメン438の別の部分は、シース406に半径方向内向きの圧縮力を加えるような寸法にされ得る。従って、いくつかの構成では、シース406の少なくとも一部分は、ロック要素408の半径方向内側にあり得る。
【0074】
ロック要素408は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素408は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素408は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。
【0075】
図15は、
図14の線15-15に沿って取ったロック要素408の断面図である。ロック要素408は、変化のある内径を有し得る。場合により、ルーメン438は、全体的に砂時計の形状を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素408は、内径を有し得、これは、その近位端及び遠位端424、426に隣接する第1の内径440を有する。第1の内径440は、第2のほぼ一定の内径442に向かってテーパ又は傾斜され得る。傾斜した内径は、フレア付き近位部分432及びフレア付き遠位部分434にほぼ対応し得るが、ほぼ一定の内径442は、中間領域428にほぼ対応し得ることが想定される。しかしながら、これは、必須ではない。しかしながら、そのような配置構成では、ロック要素408は、その近位端424から遠位端426までほぼ均一な壁厚を有し得る。他の実施形態では、ロック要素408の内径は、ロック要素408の壁厚をその長さ部分に沿って変化させることによって変えられ得る。さらに、場合により、明示しないが、第1の内径440から第2の内径442への移行は、急激な又は段階的な移行であり得る。フレア付き近位部分432、フレア付き遠位部分434及び/又は中間領域428の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。
【0076】
第1のより大きい内径440は、ロック要素408がシース406に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。第1のより小さい内径442は、本明細書でより詳細に説明するように、シース406の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0077】
ロック要素408の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。例えば、内径440、442の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース406に適応し得る。さらに、フレア付き近位部分432、フレア付き遠位部分434及び/又は中間領域428は、より長い、より短い、あまり角度が付けられていない、より角度が付けられているなどであり得る。別の例において、ロック要素408の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素408の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース406及び/又はロック要素408は、ロック要素408の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素408の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素408は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0078】
図16は、ロック構成における例示的な医療装置システム400の斜視図であり、及び
図17Aは、
図16の線17A-17Aに沿って取った例示的な医療装置システム400の部分断面図である。医療装置システム400は、特定のロック要素408に対して説明されるが、限定されないが、ロック要素108、200、300、508、600、708、800を含む、本明細書で説明するロック要素のいずれかがロック要素408の代わりとなり得ることを理解すべきである。
図12に示す部分的に組み立てられていない構成から、ロック要素408を、プッシャワイヤ402を固定するために使用され得るように位置決めするために、ロック要素408は、近位端412からシース406の近位端領域422に被さって遠位側に前進される。
【0079】
シース406に対してプッシャワイヤ402をロックするために、ロック要素408の中間領域428がシース406のフラップ420に被さって配置されるまで、ロック要素408は、遠位方向にさらに前進される。ロック要素408のフレア付き遠位部分432は、シースの近位端領域422に被さって自由に摺動し得る。ロック要素408の、減少された直径442の中間領域428が外側シース406に到達すると、シース406のフラップ420は、畳まれ、且つプッシャワイヤ402の外面に押圧され得る。これは、
図17Aの線17B-17Bに沿って取った例示的な医療装置システム400の部分断面図である
図17Bにより明瞭に示されている。例えば、ロック要素408は、ロック要素408の内径がシース406の外径とおよそ等しいか又はそれよりも小さくなるまで、外側シース406に被さって自由に摺動し得る。ロック要素408の内径がシース406の外面に摩擦係合し始めると、ロック要素408を遠位側に移動させ続けるためにより強い力が必要とされ得る。ロック要素408がシース406上に遠位側にさらに前進されるとき、中間領域428は、シース406のフラップ420を内向きにワイヤ402上に撓ませる役割を果たす。場合により、フレア付き遠位部分434のテーパ付きルーメンは、フラップ420を内向きに漸進的に撓ませ得る。十分に遠くに前進されると、ロック要素408は、適所に楔留めして、シース406とプッシャワイヤ402との間に所望のロック効果をもたらす。例えば、ロック要素408のルーメン438の直径減少部分(例えば、第2のより小さい内径442を有する)は、
図17Bに示すようにフラップ420の外径が減少され、且つアームの内径が半径方向内向きに付勢されるように、シース406のフラップ420の外面を締め付けるか、又はそれに半径方向内向きの付勢力を加える楔としての機能を果たし得る。フラップ420の内径は、減少されるため、フラップ420の内面は、プッシャワイヤ402の外面に接触して摩擦係合する。
【0080】
図16、
図17A及び
図17Bに示すロック構成では、シース406の内面とプッシャワイヤ402の外面との間の摩擦係合は、シース406のルーメン410内でのプッシャワイヤ402の軸方向(例えば、近位側及び遠位側)移動及び/又は回転移動を除外又は抑止し得る。いくつかの実施形態では、フラップ420は、その内向きの撓みを促すように構成される。例えば、スロット416及び/又はスリット418の切り込みパターンは、フラップ420の潰れを促し、且つシース406の内面(例えば、フラップ420の内面)とプッシャワイヤ402との間に局所的な摩擦点をもたらすように用いられ得る。
【0081】
ロック要素408の内径の漸進的な減少はシース406の上にロック要素408を位置決めすることを容易にし得ることが想定される。例えば、遠位部分434(及び/又は近位部分432の部分)におけるロック要素408の内径440は、シース406の外径に被さって自由に通過するのに十分な大きさであり得る。ロック要素408の内径は、シース406の外径よりも小さい寸法までテーパが付けられ(例えば、近位端424に向かって近位方向に)、且つシース406に被さって遠位側に十分に遠くに前進されるため、フラップ420の潰れを促す。これにより、プッシャワイヤ402がシース406内を通して位置決めされるとき、シース406とプッシャワイヤ402との間に摩擦ロックをもたらす。
【0082】
ユーザがインプラントを前進させる準備ができると、ロック要素408は、シース406の近位領域422から近位側に除去され得る。この除去により、シース406のフラップ420に隣接する内径を元の構成まで拡張させるため、摩擦ロックを解除することができ、且つプッシャワイヤ402を自由に移動させることができるようになる。従って、シース406がプッシャワイヤ402から除去されるとき、シース406は、プッシャワイヤ402のいずれの部分にも係合しないか又は掛からない。
【0083】
ロック要素408に、長手方向に延びるスロット、例えばロック要素300に示されるスロット310が設けられるとき、ロック要素408は、シース406の近位側におけるプッシャワイヤ402の長さ全体にわたって近位側に後退される必要なく、プッシャワイヤ402から自由に外され得る(例えば、スロットを経由して)ことが想定される。同様に、製造時にロック要素408を装填する際、ロック要素408は、ロック要素408をプッシャワイヤ402に螺合するのではなく、プッシャワイヤ402に被さって配置され得る。
図6及び
図7に関して上述した通り、そのように設けられる場合、長手方向スロットは、プッシャワイヤ402がスロットを通り抜けることができるが、シース406を通り抜けないような寸法にされ得る。これにより、ロック位置(例えば、
図16、
図17A及び
図17B)では、ロック要素408がシース406から抜け落ちないようにするが、ロック要素がロック解除構成になると、プッシャワイヤ402から簡単に除去できるようにすることを保証し得る。
【0084】
そのようなロック要素408は、外側シース406よりも硬質又は堅固な材料から形成され得ることがさらに想定される。例えば、ロック要素408の材料は、ロック要素408のルーメン438のテーパ付き部分がシース406に被さって前進されるとき、ロック要素408は、撓まず、むしろシース406を強制的に内向きに撓ませるように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロック要素408は、ユーザによって簡単に認識され得るように明るい(又は他の)色で形成され得る。
【0085】
図18は、ロック解除された組立構成における例示的な医療装置システム500の斜視図である。
図19は、
図18の線19-19に沿って取った医療装置システム500の部分断面図である。医療装置システム500は、プッシャワイヤ502、限定されないが、塞栓用コイルなどのインプラント(明示せず)、イントロデューサシース506及びロック要素508を含み得る。簡潔にするために、インプラントは、塞栓用コイルとして説明されるが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出されるなどの他の好適な医療装置も想定され、これらには、限定されないが、血管閉塞装置コイル、ステント、塞栓用フィルタ、置換心臓弁、他の閉塞装置及び/又は他の医療用インプラントなどが含まれる。
【0086】
塞栓用コイルは、一般に、患者の体外の近位点から塞栓部位に近い遠位点まで延びるマイクロカテーテル(明示せず)を使用することによって血管に導入され得る。コイルを含むイントロデューサシース506は、患者内に挿入する前にコイルを運び且つ保護するために使用され得る。さらに、イントロデューサシース506は、コイルをマイクロカテーテルに移し、且つ/又は選択された塞栓部位でのコイルの展開を支援するために使用され得る。シース506は、インプラントが展開されるまで、インプラントを保護し、且つインプラントを送達できる向きに維持するように構成され得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素508は、ユーザがインプラントを前進させてシース506から出す準備ができるまで、シース506内でのプッシャワイヤ502及びインプラントの(例えば、軸方向及び回転)移動を制限するように構成され得る。
【0087】
シース506は、近位端512(例えば、
図19)と、遠位端514と、それらの間に位置決めされた中間領域516とを含むチューブ状部材であり得る。シース506の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えばポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。シース506は、近位端512から遠位端514まで延びるルーメン510を画定し得る。プッシャワイヤ502及びインプラントは、プッシャワイヤ502及びインプラントがシース506の半径方向内側になるように、シース506のルーメン510内に摺動可能に配置され得る。インプラントは、シース506の遠位端514に接近して配置され得る。プッシャワイヤ502は、インターロック位置と解放位置との間で軸方向に摺動可能であり得る。プッシャワイヤ502は、インプラントに解放可能に取り付けられるように構成され得る。インプラントは、送達構成から展開構成まで拡張するように構成され得る。プッシャワイヤ502は、一般的に、ソリッドワイヤ又はシャフトであり得るが、いくつかの実施形態ではチューブ状でもあり得る。プッシャワイヤ502の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。本明細書でより詳細に説明するように、プッシャワイヤ502は、ロック要素508を介してシース506に解放可能に固定されて、シース506内でのプッシャワイヤ502の軸方向及び/又回転移動を制限し得る。
【0088】
シース506の近位端領域520は、ポリプロピレン又はそれと同様の材料から形成され得ることが想定される。近位端領域520のデュロメータは、所望のロック効果を生じるように操作され得る。場合により、シース506の他の部分は、近位端領域520と同じ材料から形成され得るが、他の場合、シース506の他の部分は、近位端領域520と異なる材料から形成され得る。例えば、シース506は、ポリイミド製遠位チップを含み得る(しかしながら、これは、必須ではない)。
【0089】
さらに
図19を参照して説明すると、シース506は、近位端512に隣接し、且つシース506の外面から半径方向外向きに延びる、角度付突出部518を含み得る。角度付突出部518は、ロック要素508上における対応する突出部528と協働して、ロック要素508がシース506に被さって遠位側に前進され得るようにし得る一方、ロック要素508の近位方向における作動を制限する機械的停止部を提供し得る。場合により、角度付突出部518は、シース506の全周(例えば、360°)に延びる単一の構成要素であり得る。他の場合、角度付突出部518は、シース506の周囲で離間している(均一に又は偏って)複数の個々の突出部から形成され得る。角度付突出部518の外径は、近位方向に(例えば、近位端512に向かって)減少し得る。角度付突出部518の遠位端は、本明細書でより詳細に説明するように、全体的に平面的であり、且つロック要素508の突出部528の近位端の内径よりも大きい外径を有し得る。角度付突出部518の遠位端は、シース506の長手方向軸に対してほぼ直角に延び得るが、角度付面は、シース506の長手方向軸に対して非直角及び非平行の角度で延びる。
【0090】
ロック要素508は、近位端522と、遠位端524と、それらの間に位置決めされた中間領域526とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素508は、近位領域536にわたり、近位端522から中間領域526内に向かって増大するテーパ又は傾斜された外径を有し得る。ロック要素508は、ほぼ均一な又は一定の外径を有する遠位領域538を含み得る。ロック要素508は、近位端522から遠位端524まで延びるルーメン530を画定し得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素508のルーメン530の一部分は、シース506に被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、ルーメン530の別の部分は、本明細書でより詳細に説明するように、シース506に半径方向内向きの圧縮力を加えるような寸法にされ得る。従って、いくつかの構成では、シース506の少なくとも一部分は、ロック要素508の半径方向内側にあり得る。
【0091】
ロック要素508は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素508は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素508は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。
【0092】
ロック要素508は、変化のある内径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素508の内径は、近位領域536にわたって遠位方向に、近位端522に隣接する第1のより小さい内径から第2のより大きい内径まで傾斜して増大し得る。第2の内径138は、ロック要素508の遠位領域538にわたっておよそ一定又は均一であり得る。場合により、明示しないが、第1の内径から第2の内径138への移行は、急激な又は段階的な移行であり得る。近位領域536及び/又は遠位領域538は、必要に応じて変化し得る。さらに、近位領域536の傾斜は、必要に応じて変化し得る。テーパ付き近位領域536及び/又は遠位領域538の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。
【0093】
いくつかの実施形態では、ロック要素508の壁厚は、ロック要素508の近位及び/又は遠位領域536、538にわたってほぼ均一なままであり得る。そのような場合、ロック要素508の内径及び外径は、近位領域536に沿って変化し得る(例えば、同様の方法で傾斜され得る)。例えば、ロック要素508の外径は、内径が増大するにつれて、近位領域536にわたり、近位端522における第1の外径から第2の外径(第1の外径を上回る)まで増大し得る。いくつかの実施形態では、壁厚は、ロック要素508の近位及び/又は遠位領域536、538にわたって変化し得る。第2のより大きい内径は、ロック要素508がシース506に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。第1のより小さい内径は、本明細書でより詳細に説明するように、シース506の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0094】
ロック要素508は、遠位端524に隣接し、且つロック要素508の内面から半径方向内向きに延びる、角度付突出部528を含み得る。角度付突出部528は、シース506上における突出部518と協働して、ロック要素508がシース506に被さって遠位側に前進され得るようにし得る一方、ロック要素508の近位方向における作動を制限する機械的停止部を提供し得る。場合により、角度付突出部528は、ロック要素508のルーメン530の内面全体(例えば、360°)に延びる単一の構成要素であり得る。他の場合、角度付突出部528は、ルーメン530の内面で離間している(均一に又は偏って)複数の個々の突出部から形成され得る。角度付突出部528の内径は、遠位方向に(例えば、遠位端524に向かって)減少し得る。角度付突出部528の近位端は、全体的に平面であり、且つシース506の突出部518の遠位端の外径よりも小さい内径を有し得る。角度付突出部528の近位端は、ロック要素508の長手方向軸に対してほぼ直角に延び得るが、角度付面は、ロック要素508の長手方向軸に対して非直角及び非平行の角度で延びる。
【0095】
角度付突出部518、528の傾斜面は、シース506における角度付突出部518が、ロック要素508の角度付突出部528のための傾斜路として本質的に機能するような構造にされ得る。これにより、シース506の遠位端514を前進させてロック要素の遠位端524を貫通させることにより、ロック要素508をシース506の近位端領域520に装填できるようにし得る。シース506に装填されると、ロック要素508の近位側への後退が制限される。例えば、ロック要素508上における角度付突出部528の全体的に平面的な近位端は、シース506上における角度付突出部518の、機械的停止部を作り出す全体的に平面的な遠位端に当接するため、ロック要素508の軸方向移動を制限する。これにより、ロック要素508を、より短い距離にわたって且つプッシャワイヤ502から完全に除去することなく、ロック構成(例えば、
図20を参照されたい)とロック解除構成との間で移動させることができるようにし得る。
【0096】
ロック要素508の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。例えば、内径の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース506に適応し得る。さらに、近位及び/又は遠位領域536、538は、より長い、より短い、あまり角度が付けられていない、より角度が付けられているなどであり得る。別の例において、ロック要素508の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素508の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース506及び/又はロック要素508は、ロック要素508の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素508の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素508は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0097】
医療装置システム500は、特定のロック要素508に対して説明されるが、本明細書で説明するロック要素のいずれかがロック要素508の代わりとなり得ることを理解すべきである。ロック要素508を、プッシャワイヤ502を固定するために使用され得るように位置決めするために、ロック要素508は、シース506の近位端領域520に被さって近位端512から遠位側に前進される。ロック解除構成において、長さに変化のあるロック要素508がシース506に被さって位置決めされ得ることを理解すべきである。しかしながら、ロック解除構成では、ロック要素508の全体がシース506に被さって配置されなくてもよい。例えば、ロック要素508の、内径が減少された近位領域536は、部分的にのみシース506に被さって配置されるか、又は全くシース506に被さらずに配置されてもよい。この構成では、プッシャワイヤ502は、シース506のルーメン510内で軸方向(例えば、近位側及び遠位側)に自由に摺動及び/又は回転する。上述の通り、シース506の内径は、近位端512から遠位端514まで一定のままであり得るか又は実質的に一定であり得る。
【0098】
シース506に対してプッシャワイヤ502をロックするために、ロック要素508は、ロック要素508の近位領域536がシース506の近位端領域520に被さって配置されるまでさらに遠位方向に前進される。
図20は、ロック構成における医療装置システム500の部分断面図である。上述の通り、ロック要素508の遠位部分538及び近位部分536の一部分は、シースの近位端領域520に被さって自由に摺動し得る。ロック要素508の、直径が減少した近位部分536が外側シース506に到達すると、シース506は、プッシャワイヤ502の外面に押圧され得る。例えば、ロック要素508は、ロック要素508の内径がシース506の外径とおよそ等しいか又はそれよりも小さくなるまで、外側シース506に被さって自由に摺動し得る。ロック要素508の内径がシース506の外面に摩擦係合し始めると、ロック要素508を遠位側に移動させ続けるためにより強い力が必要とされ得る。ロック要素508は、シース506上に遠位側にさらに前進されるため、テーパ付き領域(例えば、近位領域536)は、シース506を内向きにワイヤ502上に撓ませる役割を果たす。十分に遠くに前進されると、ロック要素508は、適所に楔留めし、シース506とプッシャワイヤ502との間に所望のロック効果をもたらす。例えば、ロック要素508のルーメン530のテーパ付き部分は、
図20に示すようにシース506の外径が減少され、且つシース506の内径が半径方向内向きに付勢されるように、シース506の外面を締め付けるか、又はそれに半径方向内向きの付勢力を加える楔としての機能を果たし得る。シース506の内径は、減少されるため、シース506の内面は、プッシャワイヤ502の外面に接触して摩擦係合する。
【0099】
図20に示すロック構成では、シース506の内面とプッシャワイヤ502の外面との間の摩擦係合は、シース506のルーメン510内でのプッシャワイヤ502の軸方向(例えば、近位側及び遠位側)移動及び/又は回転移動を除外又は抑止し得る。いくつかの実施形態では、シース506は、その内向きの撓みを促すように構成され得る。例えば、シース506は、切り込み、スロットを含み、厚さが減少され、より可撓性が高いなどであり得、シース506の潰れを促し、且つシース506の内面とプッシャワイヤ502との間に局所的な摩擦点を構成し得る。
【0100】
ロック要素508の内径の漸進的な減少は、シース506の上にロック要素508を位置決めすることを容易にし得ることが想定される。例えば、遠位部分538(及び/又は近位部分536の部分)におけるロック要素508の内径は、シース506の外径に被さって自由に通過するのに十分な大きさであり得る。ロック要素の内径は、シース506の外径よりも小さい寸法までテーパが付けられ(例えば、近位端522に向かって近位方向に)、且つシース506に被さって遠位側に十分に遠くに前進されるため、シース506の潰れを促す。これにより、プッシャワイヤ502がシース506内を通して位置決めされるとき、シース506とプッシャワイヤ502との間に摩擦ロックをもたらす。
【0101】
ユーザがインプラントを前進させる準備ができると、ロック要素508は、シース506の近位領域520から近位側に移動され得る(しかし、完全には除去されない)。この移動により、シース506の内径を元の構成まで拡張させるため、摩擦ロックを解除することができ、且つプッシャワイヤ502を自由に移動させることができるようになる。従って、シース506がプッシャワイヤ502から除去されるとき、シース506は、プッシャワイヤ502のいずれの部分にも係合しないか又は掛からない。
【0102】
そのようなロック要素508は、外側シース506よりも硬質又は堅固な材料から形成され得ることが想定される。例えば、ロック要素508の材料は、ロック要素508のルーメン530のテーパ付き部分がシース506に被さって前進されるとき、ロック要素508は、撓まず、むしろシース506を強制的に内向きに撓ませるように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロック要素508は、ユーザによって簡単に認識され得るように明るい(又は他の)色で形成され得る。
【0103】
図21は、別の例示的なロック要素600の斜視図を示す。ロック要素600は、本明細書で説明する例示的なロックメカニズム108と形状及び機能が同様であり得、且つ医療装置システム、例えば本明細書で説明する医療装置システム100と一緒に使用され得る。ロック要素600は、近位端602と、遠位端604と、それらの間に位置決めされた中間領域605とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素600は、近位端602から遠位端604まで延びるルーメン612を画定し得る。ロック要素600のルーメン612の一部分は、本明細書で説明するシース106などのシースに被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、ルーメン612の別の部分は、本明細書でより詳細に説明するように、シース106に半径方向内向きの力、すなわち圧縮力を加えるような寸法にされ得る。このように、いくつかの構成では、シース106の少なくとも一部分は、ロック要素600の半径方向内側にあり得る。
【0104】
ロック要素600は、近位領域628にわたってテーパ又は傾斜された外径を有し得る。該近位領域628は、近位端602から中間領域605に向かい、且つ、中間領域605に延びる。同様に、ロック要素600は、遠位領域630にわたってテーパ又は傾斜された外径を有し得る。該遠位領域630は、遠位端604から中間領域605に向かい、且つ、中間領域605に延びる。しかしながら、場合により、近位領域628及び遠位領域630の一方又は両方は、ほぼ一定の外径を有し得る。或いは、直径が必要に応じて中間領域605に向かって増大し得る。中間領域605は、複数の隆起した領域、すなわち周方向リブ632a、632b、632c(まとめて632)を含み得る。周方向リブ632は、リブ632間の中間領域605の外径624よりも大きい外径634を有し得る。周方向リブ632は、必要に応じてロック要素600の全周又は全周未満に延び得る。周方向リブ632は、ロック要素600の触覚性を増加させ得、且つ/又はロック要素600を簡単に把持若しくは取り扱いできるようにし得ることが想定される。周方向リブ632の数(例えば、2つ以下又は4つ以上)、周方向リブ632の寸法(例えば、直径634の増減)、周方向リブ632の幾何学的形状(全周未満に延びる、異なる形状を有するなど)及び/又は周方向リブ632の間隔は、必要に応じて、ロック要素600の触覚性又は把持性を高めるか又は減少させるために変更され得る。
【0105】
ロック要素600は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素600は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素600は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。
【0106】
図22は、
図21の線22-22に沿って取ったロック要素600の断面図である。ロック要素600は、変化のある外径及び変化のある内径を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素600の内径は、遠位方向に、近位端602に隣接する第1の内径618から、遠位端604に隣接する第2の内径620まで傾斜して増大し得る。さらに、内面の傾斜は、必要に応じて変化し得る。第2のより大きい内径620は、ロック要素600の遠位領域630がシース106に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。第1のより小さい内径618は、近位領域628がシース106の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるように構成されるような寸法にされ得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、ロック要素600の壁厚636は、ロック要素600の長さ部分にわたって変化し得る。場合により、壁厚636は、ロック要素600の内径に直接相関しない。他の場合、壁厚636の寸法は、内径が増大するにつれて小さくなり得る。これらは、いくつかの例にすぎない。ロック要素600の外径は、近位端602における第1の外径622から、中間領域605に隣接する第2の外径626(第1の外径624よりも小さい)まで減少し得る。ロック要素600の外径は、遠位端604における第3の外径636から、中間領域605に隣接する第4の外径632(第3の外径636よりも小さい)まで減少し得る。いくつかの実施形態では、第1の外径622及び第3の外径636は、およそ等しいことができるが、これは、必須ではない。同様に、第2の外径626及び第4の外径632は、およそ等しいことができるが、これは、必須ではない。
【0108】
ロック要素600の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。テーパ付きの内径の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る。例えば、内径618、620の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース106に適応し得る。別の例において、ロック要素600の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素600の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース106及び/又はロック要素600は、ロック要素600の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素600の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素600は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0109】
図23は、部分的に組み立てられていない構成における別の例示的な医療装置システム700の斜視図である。医療装置システム700は、プッシャワイヤ702、限定されないが、塞栓用コイルなどのインプラント(明示せず)、イントロデューサシース706及びロック要素708を含み得る。簡潔にするために、インプラントは、塞栓用コイルとして説明されるが、同様の方法で輸送、送達、使用、放出されるなどの他の好適な医療装置も想定され、これらには、限定されないが、血管閉塞装置コイル、ステント、塞栓用フィルタ、置換心臓弁、他の閉塞装置及び/又は他の医療用インプラントなどが含まれる。医療装置システム700は、特定のロック要素708に対して説明されるが、限定されないが、ロック要素108、200、300、408、508、600、800を含む、本明細書で説明するロック要素のいずれかがロック要素408の代わりとなり得ることを理解すべきである。
【0110】
塞栓用コイルは、一般に、患者の体外の近位点から塞栓部位に近い遠位点まで延びるマイクロカテーテル(明示せず)を使用することによって血管に導入され得る。コイルを含むイントロデューサシース706は、患者内に挿入する前にコイルを運び且つ保護するために使用され得る。さらに、イントロデューサシース706は、コイルをマイクロカテーテルに移し、且つ/又は選択された塞栓部位でのコイルの展開を支援するために使用され得る。シース706は、インプラントが展開されるまで、インプラントを保護し、且つインプラントを送達できる向きに維持するように構成され得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素708は、ユーザがインプラントを前進させてシース706から出す準備ができるまで、シース706内でのプッシャワイヤ702及びインプラントの(例えば、軸方向及び回転)移動を制限するように構成され得る。
【0111】
シース706は、近位端712と、遠位端714と、それらの間に位置決めされた中間領域716とを含むチューブ状部材であり得る。シース706の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えばポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。シース706は、近位端712から遠位端714まで延びるルーメン710を画定し得る。プッシャワイヤ702及びインプラントは、プッシャワイヤ702及びインプラントがシース706の半径方向内側になるように、シース706のルーメン710内に摺動可能に配置され得る。インプラントは、シース706の遠位端714に接近して配置され得る。プッシャワイヤ702は、インターロック位置と解放位置との間で軸方向に摺動可能であり得る。プッシャワイヤ702は、インプラントに解放可能に取り付けられるように構成され得る。インプラントは、送達構成から展開構成まで拡張するように構成され得る。プッシャワイヤ702は、一般的に、ソリッドワイヤ又はシャフトであり得るが、いくつかの実施形態ではチューブ状でもあり得る。プッシャワイヤ702の好適であるが、非限定的ないくつかの材料、例えば金属材料、ポリマー材料、複合材料などが下記で説明される。本明細書でより詳細に説明するように、プッシャワイヤ702は、ロック要素708を介してシース706に解放可能に固定されて、シース706内でのプッシャワイヤ702の軸方向移動及び/又は回転移動を制限し得る。
【0112】
シース706は、近位端712から遠位側に延びる第1のスロット718a及び第2のスロット718b(まとめて718)を含む。第1のスロット718a及び第2のスロット718bは、シース706の周囲で相手方のスロットの向かいに位置決めされ得る。すなわちおよそ180°離間して位置決めされ得る。シース706は、2つのスロットを有すると説明されるが、シース706は、必要に応じて1つ又は3つ以上のスロットを含み得る。スロット718は、シース706の全長よりも短く延び得る。シース706から材料を除去してスロット718を形成して、可撓性アーム又は部材720a、720b(まとめて720)が作り出され得る。シース706は、2つのアーム720を有すると説明されるが、可撓性アームの数は、スロット718の数によって変化し得ること、しかも必要に応じて1つ又は3つ以上の可撓性アームがあり得ることを理解すべきである。さらに、スロット718は、シース706の周囲に均一に又は偏って配設され得る。スロット718(及び/又はアーム720)の長さ及び/又は寸法は、異なる程度の楔留め(ロック要素708とプッシャワイヤ702との間)及びロック能力をもたらすべく、変化し得る。
【0113】
シース706は、その外面から半径方向に延びる隆起した突起730をさらに含み得る。隆起した突起730は、シース706の近位端領域729に隣接して位置決めされ得る。場合により、隆起した突起730は、シース706の近位端712から遠位側に延び得る。しかしながら、これは、必須ではない。隆起した突起730は、本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素708内における、対となる溝、切欠き又は窪みと係合するように構成された、底面が長方形の角柱、例えば、限定されないが、リッジ又は他の3次元構造であり得る。
【0114】
シース706の近位端領域729は、ポリプロピレン又はそれと同様の材料から形成され得ることが想定される。近位端領域729のデュロメータは、所望のロック効果を生じるように操作され得る。場合により、シース706の他の部分は、近位端領域729と同じ材料から形成され得るが、他の場合、シース706の他の部分は、近位端領域729と異なる材料から形成され得る。例えば、シース706は、ポリイミド製遠位チップを含み得る(しかしながら、これは、必須ではない)。
【0115】
ロック要素708の斜視図を示す
図24をさらに参照して説明すると、ロック要素708は、近位端722と、遠位端724と、それらの間に位置決めされた中間領域726とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素708は、全体的に砂時計の形状の輪郭を有し得る。例えば、外径は、全体的に近位端722から中間領域726に向かって減少し、且つ中間領域726から遠位端724まで増大する。しかしながら、これは、必須ではない。ロック要素708の輪郭は、所望の任意の形状を取り得る。
【0116】
ロック要素708は、近位端722から遠位端724まで延びるルーメン728を画定し得る。本明細書でより詳細に説明するように、ロック要素708のルーメン728の一部分は、シース706に被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、ルーメン728の別の部分は、本明細書でより詳細に説明するように、シース706に半径方向内向きの圧縮力を加えるような寸法にされ得る。このように、いくつかの構成では、シース706の少なくとも一部分は、ロック要素708の半径方向内側にあり得る。
【0117】
中間領域726は、複数の隆起した領域、すなわち周方向リブ732a、732b、732c(まとめて732)を含み得る。周方向リブ732は、リブ732間の中間領域726の外径736よりも大きい外径734を有し得る。周方向リブ732は、必要に応じてロック要素708の全周又は全周未満に延び得る。周方向リブ732は、ロック要素708の触覚性を増加させ得、且つ/又はロック要素708を簡単に把持若しくは取り扱いできるようにし得ることが想定される。周方向リブ732の数(例えば、2つ以下又は4つ以上)、周方向リブ732の寸法(例えば、直径734の増減)、周方向リブ732の幾何学的形状(全周未満に延びる、異なる形状を有するなど)及び/又は周方向リブ732の間隔は、必要に応じて、ロック要素708の触覚性又は把持性を高めるか又は減少させるために変更され得る。
【0118】
ロック要素708は、どのようにロック要素708をシース706に組み付けるべきかに関する視覚的な合図を提供する1つ以上の特徴をさらに含み得る。例えば、特徴は、ユーザに、どのようにロック要素708をシース706と整合して、ロック要素708がシース706に被さって摺動し得るようにするかの指示をもたらすように構成され得る。場合により、特徴は、ロック要素708の構造に組み込まれ得る。例えば、
図24に示す実施形態では、ロック要素708は、軸方向に延びる(例えば、ロック要素708の長手方向軸に対して平行な)隆起した部分738を含む。隆起した部分738は、ロック要素708の内面に形成された内部溝740(例えば、
図25及び
図26を参照)と半径方向に整合する。本明細書でより詳細に説明するように、溝740は、シース706に対するロック要素708の選択的な組立を可能にするように、シース706の隆起した突起730と整合するように構成され得る。隆起した部分738は、オペレータに視覚的な合図を提供するために使用され得る特徴の一例にすぎない。他の特徴は、必要に応じてロック要素708の外面上の視覚的なマーク(例えば、矢印、単語など)又は他の構造的な特徴を含み得る。
【0119】
ロック要素708は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素708は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素708は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。そのロック要素708は、外側シース706よりも硬質又は堅固な材料から形成され得ることがさらに想定される。例えば、ロック要素708の材料は、ロック要素708のルーメン728のテーパ付き部分がシース706に被さって前進されるとき、ロック要素708は、撓まず、むしろシース706を強制的に内向きに撓ませるように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロック要素708は、ユーザによって簡単に認識され得るように明るい(又は他の)色で形成され得る。
【0120】
図25は、
図24の線25-25に沿って取ったロック要素708の断面図である。
図26は、ロック要素708の遠位端面図である。ロック要素708は、変化のある内側断面寸法を有し得る。場合により、ルーメン728は、全体的にテーパ付きの構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素708のルーメン728は、その近位端722に隣接する第1の断面寸法742を有し得、これは、遠位方向に、その遠位端724に隣接する第2の断面寸法744(第1の断面寸法742よりも大きい)まで増大する。断面寸法は、テーパ又は傾斜されて漸進的に移行し得る。他の実施形態では、断面寸法は、急激に又は段階的に変化し得る。これらは、いくつかの例にすぎない。場合により、ロック要素708の壁厚は、ロック要素の少なくとも一部分にわたって変化し得る。しかしながら、これは、必須ではない。ロック要素708の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。遠位内側断面寸法744は、ロック要素708がシース706に被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。より小さい近位内側断面寸法742は、シース706の外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0121】
ロック要素708の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。例えば、内側断面寸法742、744の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシース706に適応し得る。別の例において、ロック要素708の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素708の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース706及び/又はロック要素708は、ロック要素708の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素708の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素708は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0122】
上述の通り、ロック要素708は、軸方向に延びる(例えば、ロック要素の長手方向軸に対して平行な)切欠き又は溝740をさらに含み得る。
図25に示すように、溝740は、遠位端724に隣接する第1の深さ746及び近位端722に隣接する第2の深さ748を有し得る。溝740がシース706の隆起した突起730と整合されるとき、ロック要素708の遠位部分がシース706に被さって自由に摺動できるように、第2の深さ748は、第1の深さ746を下回る。ロック要素708が遠位側に前進されるとき、ルーメン728は、シース706の半径方向内向きの力、すなわち圧縮力に加える。
【0123】
同時に、シース706の半径方向突起730と、ロック要素708の溝740とは、向きに依存する組立体を構成し得る。例えば、ロック要素708の向きは、溝740がシースの半径方向突起730と整合されて、ロック要素708がシース706に被さって遠位側に前進できるような向きにされる。溝740と半径方向突起730との不整合があると、ロック要素708とシース706との間において、干渉を生じ得る。該干渉は、シース706がロック要素708内へ通過すること及びそれに続くプッシャワイヤ702のロッキングを防止することになる。この干渉は、ロック要素708がプッシャワイヤ702から完全に除去されない場合、システム700を使用している間のロック要素708とシース706との望ましくない係合の再発を防止し得る。向きに依存する特徴がない場合において、ロック要素708がプッシャワイヤ702に掛かったままであるとき、ロック要素は、プッシャワイヤ702がシース706を通って前進している間、シース706及びプッシャワイヤ702との意図しない係合を再発し得る。他の向きに依存する特徴は、必要に応じてシース706及び/又はロック要素708で使用され得ることが想定される。
【0124】
図27は、別の例示的なロック要素800の斜視図を示し、これは、シース、例えば、限定されないが、本明細書で説明するシース106、406、506、706、706に対してロック要素800の方向を合わせるように構成された特徴を含み得る。ロック要素800は、近位端802と、遠位端804と、それらの間に位置決めされた中間領域806とを有するチューブ状部材であり得る。ロック要素800は、全体的に砂時計の形状の輪郭を有し得る。例えば、外径は、全体的に、近位端802から中間領域806に向かって減少し、且つ中間領域806から遠位端804まで増大する。しかしながら、これは、必須ではない。ロック要素800の輪郭は、所望の任意の形状を取り得る。
【0125】
ロック要素800は、近位端802から遠位端804まで延びるルーメン808を画定し得る。ロック要素800のルーメン808の一部分は、シースに被さって自由に摺動するような寸法にされ得るが、ルーメン808の別の部分は、シースに半径方向内向きの圧縮力を加えるような寸法にされ得る。このように、いくつかの構成では、シース706の少なくとも一部分は、ロック要素800の半径方向内側にあり得る。
【0126】
中間領域806は、複数の隆起した領域、すなわち周方向リブ810a、810b、810c(まとめて810)を含み得る。周方向リブ810は、リブ810間の中間領域806の外径814(例えば、
図28を参照されたい)よりも大きい外径812(例えば、
図28を参照されたい)を有し得る。周方向リブ810は、必要に応じてロック要素800の全周又は全周未満に延び得る。周方向リブ810は、ロック要素800の触覚性を増加させ得、且つ/又はロック要素800を簡単に把持若しくは取り扱いできるようにし得ることが想定される。周方向リブ810の数(例えば、2つ以下又は4つ以上)、周方向リブ810の寸法(例えば、直径812の増減)、周方向リブ810の幾何学的形状(全周未満に延びる、異なる形状を有するなど)及び/又は周方向リブ810の間隔は、必要に応じて、ロック要素800の触覚性又は把持性を高めるか又は減少させるために変更され得る。
【0127】
ロック要素800は、様々な異なる方法で形成され得る。例えば、ロック要素800は、射出成形、熱収縮、3次元印刷などされ得る。ロック要素800は、様々な異なる材料、例えば、限定されないが、硬質又は軟質ポリマー、金属、複合材などから形成され得る。そのロック要素800は、外側シース706よりも硬質又は堅固な材料から形成され得ることがさらに想定される。例えば、ロック要素800の材料は、ロック要素800のルーメン808のテーパ付き部分がシース706に被さって前進されるとき、ロック要素800は、撓まず、むしろシース706を強制的に内向きに撓ませるように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロック要素800は、ユーザによって簡単に認識され得るように明るい(又は他の)色で形成され得る。
【0128】
図28は、
図27の線28-28に沿って取った、ロック要素800の遠位端から見た斜視断面図である。
図29は、ロック要素800の遠位端面図である。ロック要素800は、変化のある内側断面寸法を有し得る。場合により、ルーメン808は、全体的にテーパ付きの構成を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロック要素800のルーメン808は、その近位端802に隣接する第1の断面寸法816を有し得、これは、遠位方向に、その遠位端804に隣接する第2の断面寸法818(第1の断面寸法816よりも大きい)まで増大する。断面寸法は、テーパ又は傾斜されて漸進的に移行し得る。他の実施形態では、断面寸法は、急激に又は段階的に変化し得る。これらは、いくつかの例にすぎない。場合により、ロック要素800の壁厚は、ロック要素の少なくとも一部分にわたって変化し得る。しかしながら、これは、必須ではない。ロック要素800の寸法(例えば、内径、外径、長さ、傾斜など)は、所望のロック効果をもたらすために変更され得る(本明細書でより詳細に説明する)。遠位内側断面寸法818は、ロック要素800がシースに被さって自由に摺動できるような寸法にされ得る。より小さい近位内側断面寸法816は、シースの外面に圧縮力、すなわち半径方向内向きの力を加えるような寸法にされ得る。
【0129】
ロック要素800の構成は、所望の効果をもたらすために調整され得ることが想定される。例えば、内側断面寸法816、818の1つ以上は、より大きく又はより小さくされて、異なる寸法のシースに適応し得る。別の例において、ロック要素800の外径は、取り扱いを容易にするために増減され得る。ロック要素800の外面は、人間工学的取り扱いを向上させるための特徴、例えば、限定されないが、把持性を向上させるためのバンプ、波形、粗面加工又は刻み目を含み得ることがさらに想定される。場合により、シース及び/又はロック要素800は、ロック要素800の操作においてユーザを導くための可視的な印を含み得る。場合により、ロック要素800の全長は、必要に応じて長く又は短くすることができる。ロック要素800は、簡単に取り扱うことができるようにするために十分に大きいことができるが、他の構成要素、例えば、限定されないが、パッケージングと合わないほど大きくないことがさらに想定される。
【0130】
ロック要素800は、軸方向に延びる(例えば、ロック要素の長手方向軸に対して平行な)突出部820をさらに含み得、これは、ロック要素80の内面から半径方向内向きに延びる。突出部820は、底面が長方形の角柱、例えば、限定されないが、シース内に設けられた、対となる溝、切欠き又は窪みに係合するように構成されたリッジ又は他の3次元構造であり得る。突出部820は、突出部820がシースの対となるスロット又は窪みと整合されるとき、ロック要素800の遠位部分がシースに被さって自由に摺動できるような寸法及び形状にされ得る。ロック要素800が遠位側に前進されるとき、ルーメン808が細くなって、シースに半径方向内向きの力、すなわち圧縮力を加えるようにする。
【0131】
同時に、シースのスロット及びロック要素800の突出部820は、向きに依存する組立体を構成し得る。例えば、ロック要素800の向きは、突出部820がシースのスロットと整合されて、ロック要素800がシースに被さって遠位側に前進できるような向きにされる。突出部820と溝との不整合があると、ロック要素800とシースとの間において、ロック要素800内へのシースの通過及びそれに続くプッシャワイヤのロッキングを防げるであろう干渉を生じ得る。この干渉は、ロック要素800がプッシャワイヤから完全に除去されない場合、システムを使用している間のロック要素800とシースとの望ましくない係合の再発を防止し得る。向きに依存する特徴がないとき、ロック要素800がプッシャワイヤに掛かったままである場合、ロック要素は、プッシャワイヤがシース内を通して前進している間、シース及びプッシャワイヤと意図しない係合を再発し得る。他の向きに依存する特徴は、必要に応じてシース及び/又はロック要素800で使用され得ることが想定される。
【0132】
明示しないが、ロック要素800は、どのようにロック要素800をシースと組み立てるべきかに関する視覚的な合図を提供する1つ以上の特徴をさらに含み得る。例えば、特徴は、限定されないが、必要に応じてロック要素800の外面上の視覚的なマーク(例えば、矢印、単語など)又は他の構造的な特徴を含み得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を下記で説明する)、金属-ポリマー複合材、セラミックス、これらの組み合わせなど、又は他の好適な材料から作製され得る。好適な金属及び金属合金のいくつかの例は、ステンレス鋼、例えば444V、444L及び314LVのステンレス鋼;軟鋼;ニッケル-チタン合金、例えば線形弾性及び/又は超弾性ニチノール;他のニッケル合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えばインコネル(INCONEL)(登録商標)625、UNS:N06022、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)、UNS:N10276、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えばモネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えばハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイ(ALLOY)B2(登録商標))、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、ファイノックス(PHYNOX)(登録商標)など);白金強化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;これらの組み合わせ;及び同様のもの;又は任意の他の好適な材料を含む。
【0134】
本明細書で示唆したように、市販のニッケル-チタン又はニチノール合金ファミリー内には、「線形弾性」又は「非超弾性」と指定されるカテゴリーがあり、これらは、化学的性質が従来の形状記憶及び超弾性の品種と同様であり得るが、明確に異なり且つ有用な機械的性質を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが、応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さない点で超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能にした歪みが増すため、応力が実質的に線形に又は幾分線形に増大し続けるが、必ずしも塑性変形が始まるまで全体的に線形関係であるわけではないか、又は少なくとも超弾性ニチノールに見られ得る超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形である関係にある。従って、本開示の目的では、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性のニチノールと呼ばれ得る。
【0135】
場合により、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが約2~5%の歪みを受け入れ得るものの、(例えば、塑性変形前に)実質的に弾性を維持し得る一方、超弾性ニチノールが塑性変形前に約8%までの歪みを受け入れ得る点でも超弾性ニチノールから区別可能であり得る。これらの材料の両方は、他の線形弾性材料、例えば塑性変形前に約0.2~0.44パーセントの歪みを受け入れ得るステンレス鋼(同様にその組成に基づいて区別され得る)から区別され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、大きい温度範囲にわたり、示差走査熱量測定(DSC:differential scanning calorimetry)及び動的金属熱分析(DMTA:dynamic metal thermal analysis)による分析によって検出可能である、いずれのマルテンサイト/オーステナイト相変化も示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金には、約-60℃~約120℃の範囲内において、DSC及びDMTAによる分析によって検出可能にしたマルテンサイト/オーステナイト相変化がないこともあり得る。従って、そのような材料の機械的な曲げ特性は、一般的に、この非常に広範囲の温度にわたって温度の効果に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温における線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的な曲げ特性は、体温での機械的性質と実質的に同じであり、例えば超弾性プラトー及び/又はフラグ領域を示さない。例えば、広い温度範囲にわたり、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性の特性及び/又は性質を維持する。
【0137】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、ニッケルが約50~約60重量パーセントの範囲であり得、残りが実質的にチタンである。いくつかの実施形態では、組成は、ニッケルが約54~約57重量パーセントの範囲内である。好適なニッケル-チタン合金の一例は、古河テクノマテリアル(Furukawa Techno Material Co.)(神奈川、日本)から市販されているFHP-NT合金である。他の好適な材料は、ウルタニウム(ULTANIUM)(商標)(ネオ-マトリックス(Neo-Metrics)から入手可能)及びガムメタル(GUM METAL)(商標)(トヨタ(Toyota)から入手可能)を含み得る。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールは、所望の特性を達成するために使用され得る。
【0138】
少なくともいくつかの実施形態では、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素の部分又は全てはまた、放射線不透過性材料でドープされるか、作製されるか又はそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中、X線透視検査スクリーン上に又は別の撮像技術で比較的明るい画像を生じることができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素などの位置をユーザが判断することを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例は、限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が入っているポリマー材料などを含み得る。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルも、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素などの設計に組み込まれて同じ結果を達成し得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)の互換性が医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素などに与えられる。例えば、医療装置システム100、プッシャワイヤ102、インプラント104、シース106、ロック要素108、200など、及び/又はそれらの構成要素若しくは部分は、画像を実質的に歪ませるか、又は実質的なアーチファクト(例えば、画像内の間隙)を生じさせない材料で作製され得る。いくつかの強磁性材料は、例えば、MRI画像にアーチファクトを生じさせ得るため、好適でないことがあり得る。医療装置システム100、プッシャワイヤ102、インプラント104、シース106、ロック要素108、200など、又はそれらの部分は、MRI機械が撮像できる材料からも作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44003、例えばエルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、ファイノックス(PHYNOX)(登録商標)など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44035、例えばMP35-N(登録商標)など)、ニチノールなど、及び他のものを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素は、ポリマー又は他の好適な材料から作製され得るか又はそれらを含み得る。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン(DuPont)から入手可能であるデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能であるアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル若しくはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン(DuPont)から入手可能であるハイトレル(HYTREL)(登録商標))、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能であるデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフ・アトケム(Elf Atochem)から入手可能であるクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能である)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)(登録商標)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(例えば、EMSアメリカン・グリロン(EMS American Grilon)から入手可能であるグリルアミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などを含み得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP:liquid crystal polymer)とブレンドされ得る。例えば、混合物は、LCPを約6パーセントまで含有し得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素などは、構造上又はその内部に配置されるファブリック材料を含み得る。ファブリック材料は、生体適合性材料、例えば組織内部成長を促すように適合された高分子材料又はバイオマテリアルで構成され得る。いくつかの実施形態では、ファブリック材料は、生体吸収性材料を含み得る。好適なファブリック材料のいくつかの例は、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリオレフィン系材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン及び/又はこれらのブレンド若しくは組み合わせを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素などは、テキスタイル材料を含み得、且つ/又はそれから形成され得る。好適なテキスタイル材料のいくつかの例は、フラットヤーン、付形されたヤーン、撚糸、加工糸、防縮加工済み糸又は未防縮加工糸であり得る合繊糸を含み得る。本発明において使用するのに好適な生体適合性合繊糸は、限定されないが、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然絹糸及びポリテトラフルオロエチレンを含む。さらに、合繊糸の少なくとも1つは、金属糸又はガラス、若しくは、セラミック糸若しくは繊維であり得る。有用な金属糸は、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル又はNi-Co-Crベースの合金から作製されるか又はそれらを含む糸を含む。糸は、カーボン、ガラス又はセラミック繊維をさらに含み得る。望ましくは、糸は、熱可塑性材料、例えば、限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどから作製される。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメント又は紡糸タイプのものであり得る。選択される糸のタイプ及びデニールは、生体適合性であり、植込み可能にしたプロテーゼ、より詳細には望ましい性質を有する血管構造を形成するように選択され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、医療装置システム100、400、500、700、プッシャワイヤ102、402、502、702、インプラント104、シース106、406、506、706、ロック要素108、200、300、408、508、600、708、800及び/又はそれらの構成要素などは、好適な治療薬を含み得、且つ/又はそれを用いて治療される。好適な治療薬のいくつかの例は、抗血栓薬(例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン));抗増殖剤(例えば、エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋の細胞増殖を妨げることができるモノクローナル抗体、ヒルディン及びアセチルサリチル酸);抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン);抗腫瘍/抗増殖/抗有糸分裂薬(例えば、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害薬);麻酔薬(例えば、リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン);抗凝血薬(例えば、D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害薬、抗血小板薬及びダニ性抗血小板ペプチド);血管細胞増殖促進剤(例えば、増殖因子阻害薬、増殖因子受容体拮抗薬、転写活性化因子及び翻訳促進因子);血管細胞増殖阻害薬(例えば、増殖因子阻害薬、増殖因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、抑制抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子及び細胞毒素からなる二官能性分子、抗体及び細胞毒素からなる二官能性分子);コレステロール降下薬;血管拡張剤;及び内因性血管作動メカニズムに干渉する作用物質を含み得る。
【0144】
本開示は、多くの点で説明にすぎないことを理解すべきである。本発明の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、寸法及びステップの配置に関して変更形態がなされ得る。これは、適切な範囲において、他の実施形態で使用される例示的な一実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。当然のことながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で表される言語で定義される。