(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】一体型原子炉
(51)【国際特許分類】
G21C 1/32 20060101AFI20240219BHJP
G21C 1/02 20060101ALI20240219BHJP
G21C 15/02 20060101ALI20240219BHJP
G21D 1/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G21C1/32
G21C1/02 230
G21C15/02 R
G21D1/00 Q
(21)【出願番号】P 2022535838
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 RU2020000729
(87)【国際公開番号】W WO2021137728
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】515142237
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“アクメ-エンジニアリング”
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トシンスキー、ゲオルギー イリイッチ
(72)【発明者】
【氏名】コムレフ、オレグ ゲンナジエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】デデュル、アレクサンドル ヴラディスラヴォヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】グリゴーリエフ、セルゲイ アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】オシェイコ、ユーリー ヴィクトロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】トルミーシェフ、イヴァン ウラジーミロヴィチ
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508788(JP,A)
【文献】国際公開第2009/024854(WO,A2)
【文献】特表2019-525161(JP,A)
【文献】米国特許第03384549(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 1/32
G21C 1/02
G21C 15/02
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温室および高温室が炉心の上下にある炉心と、保護プラグと、熱媒体レベルに位置する熱交換器と、を備える、高沸点を有する循環熱伝達液体を有する一体型原子炉において、前記熱交換器は、前記炉心、
前記低温室および前記高温室、ならびに保護プラグが位置するハブと、環状ダウンカマダクトを形成して下向きの低温熱媒体流を高温上向き流から分離する原子炉容器内の分離シェルとの間の環状空間内で前記炉心と同軸に位置し、前記熱交換器は
、熱交換器セクションのチューブ
が原子炉ヘッド上のパイプ上の二次回路熱媒体の
水室および水蒸気室にグループ化されるように前記二次回路熱媒体に沿って区分されたコイル熱交換器であり、前記熱交換器底部は、高温熱媒体が前記炉心の前記
高温室から前記熱交換器入口に向かって流れる前記ハブ内の窓の上方にあり、前記熱交換
器からの前記低温熱媒体は、
熱媒体レベルの下の環状格納タンクに入り、その後前記環状ダウンカマダクトに入り、次いで前記炉心の前記
低温室に流入す
ることを特徴とする、一体型原子炉。
【請求項2】
低温室および高温室が炉心の上下にあり、保護プラグが熱媒体レベルの下にある炉心と、循環設
備と、熱交換器と、を備える、高沸点を有する熱伝達液体を有する一体型原子炉において、前記熱交換器は、前記炉心、
前記低温室および前記高温室ならびに前記保護プラグが配置されるハブと、環状のダウンカマダクトを形成し、下向きの低温熱媒体流を高温上向き流から分離する原子炉容器の内側の分離シェルとの間の環状空間内で前記炉心と同軸に配置され、前記熱交換器は、前記熱交換器セクションのチューブ
が原子炉ヘッド上のパイプ上の二次回路熱媒体の
水室および水蒸気室にグループ化されるように前記二次回路熱媒体に沿って区分されたコイル熱交換器であり、前記熱交換器底部は、高温熱媒体が前記炉心の前記
高温室から前記熱交換器の入口に向かって流れる前記ハブ内の窓の上方にあり、前記低温熱媒体は、循環ポンプにより、前記熱交換
器から流れて
、熱媒体レベル
の下の環状
格納タンクに入り、前記循環ポンプは、前記熱媒体が前記熱媒体レベルの下から前記
分離シェル内の
開口および前記原子炉ヘッドに接続され
たポンプダクトを介して前記環状
格納タンクから直接前記ポンプ吸引に供給されるように前記原子炉容器の内側に配置され、前記ポンプ
の圧力パイプは、それぞれ、前記分離シェルまたは
水平隔壁の
開口を介して前記環状ダウンカマダクト頂部を覆う前記分離シェルまたは前記
水平隔壁を介して、前記環状ダウンカマダクトに接続されることを特徴とする、一体型原子炉。
【請求項3】
前記環状ダウンカマダクトが、前記原子炉容器と前記分離シェルとの間の長手方向の隔壁によって、前記原子炉内の循環ポンプの数に応じて等しいセクションに分割され、前記環状ダウンカマダクトのすべての部分が、前記炉心の前記
低温室内で結合することを特徴とする、請求項2に記載の原子炉。
【請求項4】
逆止弁が前記環状ダウンカマダクト内に位置することを特徴とする、請求項2に記載の原子炉。
【請求項5】
前記原子炉ヘッド上に配置されたアクチュエータを備え
る弁が、前記循環ポンプの数に応じて前記環状ダウンカマダクト内に位置することを特徴とする、請求項2に記載の原子炉。
【請求項6】
前記分離シェルが、前記環状ダウンカマダクト内にバイパス弁を備える窓を有し、それらのアクチュエータが前記原子炉ヘッド上に配置されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の原子炉。
【請求項7】
放射線遮蔽ユニットが前記環状空間内にあることを特徴とする、請求項1
または2に記載の原子炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項に係る本発明の実施形態の両方は、核技術に関し、例えば、液体金属、溶融塩などの高沸点を有する異なる種類の熱伝達流体を有する原子炉に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、2006年6月20日の優先日を有するロシア特許第2313143号明細書に基づく原子力発電プラントを開示しており、この原子力発電プラントは、液体金属原子炉アクチベータまたはその合金が自由熱媒体レベルの下に配置された原子炉と、活性ゾーンと、蒸気発生器(SG)と、循環設備、例えば軸流ポンプと、ブランケットガスシステムとを含む。請求項に係る発明と類似する原子力発電プラントの設計および動作原理は以下の通りである。蒸気発生器およびポンプは、炉心の上方に位置する環状ダクト内の自由熱媒体レベルの下に設置されている。環状ダクトの内径は、炉心の外径よりも大きい。蒸気発生器入口は、炉心の上方の熱媒体容積に接続されている。蒸気発生器出口は、環状ダクト内のポンプの入口吸引室に接続されている。ポンプの圧力室は、ダウンカマ領域を介して原子力発電プラントの炉心と接続されている。原子力発電プラントは以下のように動作する。熱媒体は、重原子核分裂中に放出される熱により炉心内で加熱される。加熱された熱媒体は、ポンプの動作によって炉心の上方の容積に入る。熱媒体は、このセクションを出て蒸気発生器セクションの入口セクションに入り、自由熱媒体レベルの下で蒸気発生器チューブを洗浄し、作動媒体回路に熱を伝達する。熱媒体は、蒸気発生器の出口セクションを出て、ポンプの吸引室に入る。ポンプは、ダウンカマ領域および炉心の油圧抵抗を克服するために、ならびにポンプの吸引ノズルに向かう蒸気発生器の入口セクションの油圧抵抗に等しい蒸気発生器の入口セクション内の自由熱媒体レベルを上昇させるために消費される熱媒体流にエネルギーを伝達する。冷却された熱媒体流は、ポンプの圧力室を出て、ダウンカマ領域を通って炉心に入る。この技術的解決策の欠点は、プラントの信頼性が低いことにあり、これは、大幅な戻り熱媒体流が停止したポンプを通過するために、共通のダウンカマダクトに並列に接続されたポンプのうちの1つが故障した場合に現れ、これにより、炉心を通る流れが大幅に減少し、原子炉出力を大幅に減少させる必要性が生じる。さらに、チューブの1つの格納の喪失およびSG停止に起因するSGセクションの1つの故障の場合、高温の熱媒体流は、二次回路を通って停止したSGセクションを通過し、この流れは、まだ動作しているSGセクションからの低温熱媒体流と混合されると、炉心に到達する熱媒体の大きな温度脈動を引き起こし、その構造材料の熱サイクル疲労に起因して性能を低下させる。この技術的解決策の欠点はまた、燃料補給プロセスで、特許図面に示されていない原子炉から保護プラグを取り外す必要があり、これは、熱媒体レベルがSGを下回り、熱放散が停止する可能性があるときに上方向の放射線量率を低減するために必要である場合、燃料補給作業中に残留熱を除去することが不可能であるという事実にある。
【0003】
従来技術はまた、少なくとも1つの小型熱交換器、特に、原子炉容器と同軸環状ハブとの間の環状キャビティ内に垂直に位置する蒸気発生器を備えた液体金属熱媒体を有する原子炉を開示しており、その底部に位置する一次回路の炉心および高温熱媒体室(国際公開第2009/024854号パンフレット)は、請求項に係る発明の類似物でもある。熱交換器は、上下に位置する扁平な螺旋の形態の多くの熱交換チューブを有する。熱交換器(蒸気発生器)の内部には循環ポンプがある。高温熱媒体は、下方からポンプ入口に供給され、次いで、熱交換器内のポンプダクトを通って上方に移動し、熱交換器チューブ束に、熱交換器軸線からその周囲に向かって半径方向に離れるように入る。さらに、炉心の高温室をポンプ入口に接続するノズルは、熱媒体流の流体力学を改善するガイドと、熱媒体流が逆転したときにポンプが緊急停止した場合に熱媒体流を熱交換器に隔離する機械的ダンパとを有する。
【0004】
両方の実施形態による請求項に係る発明のプロトタイプは、先行特許と同様に、原子炉容器内の設備の同様の配置、熱交換器(蒸気発生器)の同様の設計、ならびに特許図面に示されているように、一次回路および二次回路の同じ熱媒体循環パターン(国際公開第2018/007961号パンフレット)を有する原子炉からなる。この原子炉は、炉心の高温室をポンプ入口と接続するパイプ内の速度場を均等化して機械ダンパを動かす油圧ユニットを有さず、請求項に係る本発明のプロトタイプとしての国際公開第2018/007961号パンフレットによる原子炉の選択に影響を及ぼさないその設計に関して他の違いを有する。
【0005】
この原子炉にはいくつかの欠点がある。ポンプインペラおよび軸受が位置するポンプの上部は、一次回路の高温熱媒体によって洗浄され、これは、熱媒体温度の上昇に伴うポンプインペラ材料の耐食性および耐侵食性の低下により、長寿命のポンプの設計を複雑にする。プロトタイプの欠点はまた、蒸気発生器チューブ内に漏れが発生した場合、熱媒体が蒸気発生器を出るときに熱媒体が下方に流れて蒸気泡を伴うため、原子炉の設計上の特徴に起因して熱媒体から原子炉のガスキャビティへの蒸気の流出が妨げられるという事実にある。さらに、プロトタイプのポンプの数は常に熱交換器の数に等しく、これは最適ではない可能性があり、技術的および経済的特徴の低下につながる。プロトタイプの設計上の特徴のために、放電プロセスがその前に原子炉から保護プラグを取り外すことを提供する場合、燃料放電動作中に炉心を冷却することは不可能であり、これは原子炉内の熱媒体レベルの低下および潜在的循環回路の破損につながる。最小限の金属消費量ならびにより良好な技術的および経済的特徴を有する原子炉を作成することを不可能にするプロトタイプの主な欠点の1つは、原子炉容器と同軸環状ハブとの間の熱交換器(蒸気発生器)を有する格納間空間の非効率的な使用にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】ロシア特許第2313143号明細書
【文献】国際公開第2009/024854号パンフレット
【文献】国際公開第2018/007961号パンフレット
【発明の概要】
【0007】
請求項に係る発明のグループの作成が解決しようとする課題は、金属消費量を低減し、技術的および経済的特徴、その信頼性および安全性を改善するために、原子炉の設計を改善することである。
【0008】
請求項に係る本発明の実施形態の両方の実施によって達成される一般的な技術的結果は、特に、熱交換器(蒸気発生器)が原子炉容器と同軸ハブとの間の環状空間に配置されたときに、原子炉の内部容積の効率的な使用によって達成される原子炉の金属消費の減少による技術的および経済的特徴の改善にあり、熱交換器(蒸気発生器)内の熱媒体速度ベクトルの方向が上昇する蒸気泡の速度ベクトルの方向と一致する熱媒体流回路を介して熱媒体として重液体金属(鉛、鉛ビスマス)を使用するときに熱交換器(蒸気発生器)チューブが漏れる場合のより良好な安全性により、自由熱媒体レベルでガスキャビティ内へのそれらの効率的な重力分離を確実にし、燃料排出プロセスが燃料排出前に保護プラグの取り外しを提供する場合、燃料排出前の保護プラグの取り外し後の期間中に、原子炉内の熱媒体レベルの低下および循環回路の故障を引き起こす残留熱を除去することを可能にする。
【0009】
第1の形態による請求項に係る発明の要旨は次の通りである。
【0010】
高沸点を有する循環熱伝達液体を有する一体型原子炉は、低温室および高温室が炉心の上下にある炉心と、保護プラグと、熱交換器であって、内部の炉心、低温室および高温室、保護プラグを有するハブと、ダウンカマ環状ダクトを形成し、下向きの低温熱媒体流を高温上向き流から分離する容器の内側の分離シェルとの間の環状空間内の熱媒体レベルの下に位置する熱交換器と、を含む。熱交換器は、熱交換器セクションのチューブが原子炉ヘッド上のパイプ上の二次回路熱媒体の水室および水蒸気室内にグループ化されるように、二次回路熱媒体内に区分されたコイル熱交換器である。熱交換器底部は、高温熱媒体が炉心の水蒸気室から熱交換器の入口に向かって流れるハブ内の窓の上方に位置する。熱交換器頂部からの低温熱媒体は、ダウンカマ環状ダクトに入り、次いで炉心の低温室に入る原子炉ヘッドの下の熱媒体レベルで環状格納タンクに入る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一次熱媒体回路の自然循環の原理を実装する第1の形態に対応する一体型原子炉の設計を示す。
【
図2】熱媒体が1つまたは複数のポンプによって循環する第2の形態に対応する一体型原子炉の設計を示す。
【
図3】環状ダウンカマダクト頂部を覆う
水平隔壁の開口部を詳述して請求項に係る原子炉のセグメントを示す。
【
図4】原子炉内のポンプの数に対応する隔壁を有する環状ダウンカマダクトの設計を詳述して請求項に係る原子炉のセグメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一次熱媒体回路の自然循環の原理を実装する第1の形態に対応する一体型原子炉の設計を示す。
【0013】
図1に示すように、一体型原子炉は、容器1と、
高温室3および
低温室4が炉心2の上下にある炉心2と、保護プラグ5と、熱交換器6(蒸気発生器)とを含む。請求項に係る技術的結果は、原子炉の炉心2、
高温室3および
低温室4、および保護プラグ5を有するハブ8と、原子炉容器1と分離シェル9との間の環状ダウンカマダクト10を通る下向きの熱媒体流を高温上向きの熱媒体流から分離する分離シェル9との間の環状空間7が、その軸線が原子炉容器1の軸線と一致する二次熱媒体回路に沿って区分されたコイル熱交換器(蒸気発生器)6を有するという事実によって達成される。熱媒体は、重力対流によって循環される。高温熱媒体は、炉心2の出口から熱交換器6の入口に向かってハブ8の窓11を通って供給される。熱交換器6の底部は、窓11の上方にある。環状空間7はまた、原子炉容器1上の中性子放射線量をその許容値まで低減し、二次回路熱媒体の誘導放射能をその許容値まで低減する放射線遮蔽ユニット12を有する。ダウンカマ環状ダクト10は、上方から熱媒体のレベル14の下で環状
格納タンク13に接続されている。自然循環の動的圧力は、熱媒体の温度がその高さに関して一定である、低温ダウンカマ環状ダクト10内の熱媒体の密度と、炉心2内の熱媒体の加熱により温度が最初に上昇する、上昇流内のその高さの中間レベルにおける熱媒体の密度との差によって生成され、下流は、炉心2の出口におけるその温度に等しい一定の熱媒体温度を有する、炉心2からの熱媒体出口と熱交換器6への入口との間のセクション流は、温度が炉心2の入口における熱媒体の温度まで低下する熱交換器内のセクションである。低温熱媒体は、熱交換器6を出て、熱媒体のレベル14で、その上のわずかな過圧の下で不活性ガスを有する環状
格納タンク13内に直接入る。熱媒体は、環状
格納タンク13から分離シェル9の上縁部を通ってダウンカマ環状ダクト10に流入し、次いで炉心2の
低温室4に流入し、したがって自然循環回路を閉じる。熱交換器6は、二次熱媒体回路に沿って区分され、その結果、熱交換器セクション15のチューブは、原子炉ヘッド19上のパイプ18上の二次熱媒体回路の
水室16および
水蒸気室17にグループ化され、その結果、停止の場合、そのチューブが格納を失っている熱交換器6のセクション15の1つの弁は、熱交換器出口における熱媒体の均一な温度分布を維持する。この目的のために、異なるコイル化列からのチューブが、二次熱媒体回路の
水室および
水蒸気室の各々の半径に沿って配置される。これにより、高温熱媒体と低温熱媒体とが混合したときに炉心2に到達する熱媒体の大きな温度脈動が防止され、原子炉のサバイバビリティが向上する。保護プラグ5の取り外しがこれに必要とされ、熱媒体レベルが分離シェル9を通って熱媒体オーバーフローのレベルを下回る場合に、燃料排出動作中に炉心2を冷却するために、分離シェル9は、保護プラグ5の取り外し後に熱媒体レベルを下回るそれぞれの高さに、ダウンカマ環状ダクト10内のバイパス弁21を用いて通常動作中に閉じられる窓20を有し、原子炉ヘッド19上のアクチュエータ22を有し、バイパス弁21の開放を補助し、したがって自然循環回路を閉じ、燃料排出動作中に保護プラグ5を取り外した後に原子炉内の熱媒体のレベルを下回る熱交換器6のセクションを通る残留熱を除去する。
【0014】
第2の形態による請求項に係る発明の実施によって達成される技術的結果は、上記に加えて、熱交換器セクションの少なくとも1つが故障した場合に、低減された容量で原子炉の運転を可能にすることにあり、低温熱媒体が自由熱媒体レベルで環状格納タンクに供給される原子炉内の熱媒体循環、ならびに熱媒体流および上昇する蒸気泡の速度ベクトルが上向きであるためにSGチューブが漏れる場合の蒸気泡の重力分離の最良の条件の場合の蒸気泡の重力分離の最良の条件により、ポンプおよび原子炉ヘッド上の設備、例えばCPS機構の信頼性が向上する。
【0015】
第2の形態による請求項に係る発明の要旨は次の通りである。
【0016】
高沸点を有する熱伝達液体を有する一体型原子炉は、低温室および高温室が炉心の上下にある炉心と、保護プラグと、熱交換器であって、内部の炉心、低温室および高温室、および保護プラグを有するハブと、ダウンカマ環状ダクトを形成し、下向きの低温熱媒体流を高温上向き流から分離する原子炉容器の内側の分離シェルとの間の環状空間内の熱媒体レベルの下に位置する熱交換器と、循環設備、例えば少なくとも1つの循環ポンプと、を含む。熱交換器は、熱交換器セクションのチューブが原子炉ヘッド上のパイプ上の二次回路熱媒体の水室および水蒸気室内にグループ化されるように、二次回路熱媒体内に区分されたコイル熱交換器である。熱交換器底部は、高温熱媒体が高温室から熱交換器入口に向かって流れるハブ内の窓の上方にあり、熱交換器頂部からの低温熱媒体は、原子炉ヘッドの下の熱媒体レベルで環状格納タンクに入る。垂直循環ポンプは、熱媒体がヒートキャリアレベルの下からポンプシェル内の窓および原子炉ヘッドに接続されたポンプダクトを介して環状格納タンクから直接ポンプインペラ吸引に供給されるように原子炉容器内に配置され、ポンプ排出パイプは、それぞれ分離シェルまたは水平隔壁内の窓を介して環状ダウンカマダクト頂部を覆う水平隔壁を介して環状ダウンカマダクトに接続される。
【0017】
図2は、熱媒体が1つまたは複数のポンプによって循環する第2の形態に対応する一体型原子炉の設計を示す。
【0018】
図3は、環状ダウンカマダクト頂部を覆う隔壁の開口部を詳述して請求項に係る原子炉のセグメントを示す。
【0019】
図4は、原子炉内のポンプの数に対応する隔壁を有する環状ダウンカマダクトの設計を詳述して請求項に係る原子炉のセグメントを示す。
【0020】
図2に示すように、一体型原子炉は、容器1と、
高温室3および
低温室4が炉心2の上下にある炉心2と、保護プラグ5と、熱交換器6(蒸気発生器)と、循環ポンプ23(複数可)とを含む。請求項に係る技術的結果は、原子炉の炉心2、
高温室3および
低温室4、および保護プラグ5を有するハブ8と、環状のダウンカマダクト10を形成し、原子炉容器1と分離シェル9との間の環状ダウンカマダクト10を通る下向きの熱媒体流を上向きの高温の熱媒体流から分離する分離シェル9との間の環状空間7が、その軸線が原子炉容器1の軸線と一致する二次熱媒体回路に沿って区分されたコイル熱交換器6を有するという事実によって達成される。高温熱媒体は、炉心2の出口から熱交換器6の入口に向かってハブ8の窓11を通って供給される。熱交換器6の底部は、窓11の上方にある。熱交換器の下方の環状空間7は、原子炉容器上の中性子放射線量をその許容値まで低減し、二次回路熱媒体の誘導放射能をその許容値まで低減する放射線遮蔽ユニット12を有する。低温熱媒体は、熱交換器6を出て、熱媒体のレベル14で、ポンプインペラに必要なキャビテーション防止圧力ヘッドを確保する必要な過圧の下で不活性ガスを有する環状
格納タンク13内に直接入る。熱交換器6は、二次回路に沿って区分され、その結果、セクション15のチューブは、原子炉ヘッド19上のパイプ18上の二次熱媒体回路の
水室16および
水蒸気室17にグループ化され、その結果、停止の場合、そのチューブが格納を失っている熱交換器6のセクション15の1つの弁は、熱交換器6出口における熱媒体の均一な温度分布を維持する。この目的のために、異なるコイル化列からのチューブが、二次熱媒体回路の
水室および
水蒸気室の各々の半径に沿って配置される。これにより、弁が熱交換器セクションの1つを遮断すると、高温および低温の熱媒体が混合するときに炉心2に到達する熱媒体の著しい温度脈動が防止され、原子炉のサバイバビリティが向上する。ポンプ23は、熱交換器6の上方の原子炉ヘッド19上のパイプ24上に垂直に設置される。熱媒体は、熱媒体レベル14の下から、原子炉ヘッド19に取り付けられたダクト25内の窓およびポンプ26のシェルを介して、環状
格納タンク13から直接ポンプ吸引に供給される。ポンプ23の圧力パイプ27は、それぞれ分離シェルまたは
水平隔壁の窓を介して、原子炉容器1と分離シェル9との間の環状ダウンカマダクト10頂部を覆う分離シェルまたは
水平隔壁28(
図3参照)を介して、原子炉の炉心2の
低温室4に接続されている。
水平隔壁28は、環状
格納タンク13内の熱媒体レベル14よりも低い。
水平隔壁28は、熱交換器(蒸気発生器)6チューブの漏れの場合に原子炉が熱媒体または蒸気泡で満たされたときにガスを放出するための開口部29(
図3参照)を有する。ポンプ23の圧力パイプ27は、側面の分離シェル9または頂部の
水平隔壁28を介して環状のダウンカマダクト10に接続されている。
【0021】
さらに、環状ダウンカマダクト10は、原子炉の容器1と分離シェル9との間の長手方向の隔壁30(
図4参照)を用いて、炉心2の
低温室4(
図2を参照)に結合する原子炉内のポンプ23の数に応じて等しいセクションに分割され得る。
【0022】
必要な数の逆止弁31を環状ダウンカマダクト10内に配置することもでき、その対応する部分は、1つまたは複数のポンプが停止した場合に逆圧力降下によって閉じられる(
図2参照)。
【0023】
逆止弁の代わりに、既存のポンプ23の数に応じて原子炉ヘッド19上のアクチュエータを備える弁32を、作動中のポンプから停止したポンプの圧力パイプ27に向かう熱媒体の戻り流を隔離する環状のダウンカマダクト10内に配置することができる。弁が閉じられているときのシールの気密性に対する厳密な要件は課されておらず、これにより、閉じるときのシールの確実な移動が容易になる(
図2参照)。
【0024】
請求項に係る発明の第1の形態と同様に、保護プラグ5の取り外しを必要とする場合に燃料排出動作中に炉心2を冷却するために、熱媒体レベルがダクト25内の窓および環状
格納タンク13からの熱媒体がポンプインペラの吸引に供給されるポンプ26(
図2参照)のシェルの下に低下し、窓20は、原子炉ヘッド19上のアクチュエータ22を備える環状ダウンカマダクト内のバイパス弁21によって通常動作中に閉じられる保護プラグ(
図1参照)を取り外し後に熱媒体レベルより下の適切な高さで分離シェル10内に配置されて、バイパス弁の開放を補助し、したがって燃料排出動作中に保護プラグを取り外した後に、自然循環回路の閉鎖および原子炉内の熱媒体レベルより下の熱交換器のセクションを通る残留熱の除去を確実にすることができる。
【0025】
上記のような原子炉設計は、戻り熱媒体流に対する水力抵抗を増加させるか、または1つまたは複数のポンプが停止したときにそれを完全に防止し、低減された容量での原子炉運転を可能にする。