(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ケーシング、オプトエレクトロニクス半導体構成部材および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240219BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240219BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/60
(21)【出願番号】P 2022540668
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2020087189
(87)【国際公開番号】W WO2021144120
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020100542.3
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020106250.8
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ アーント
(72)【発明者】
【氏名】スィモン イェレビチ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト イェガー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス エーバーハート
(72)【発明者】
【氏名】マークス ボス
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュトル
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン ヘッツァー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ゴルトバッハ
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019032(JP,A)
【文献】特開2007-134540(JP,A)
【文献】特開2001-352013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0284639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)用のケーシング(2)であって、前記ケーシング(2)は、
チップ装着面(22)を有するケーシング基体(21)と、
前記ケーシング基体(21)内の、かつ/または前記ケーシング基体(21)における少なくとも2つの電気伝導構造体(23)と、
前記チップ装着面(22)における複数のドレイン構造体(24)と、を有し、
前記チップ装着面(22)における電気伝導構造体(23)は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ(3)用の電気コンタクト面(25)を形成し、
前記ドレイン構造体(24)は、前記電気コンタクト面(25)に向かう、液体の封止材料(40)用の供給部として構成されており、
前記ドレイン構造体(24)はそれぞれ、前記ケーシング基体(21)と一体で構成されており、
前記ドレイン構造体(24)はそれぞれ、ストリップ(26)を有し、前記ストリップ(26)はそれぞれ、前記チップ装着面(22)の残りの部分の上に立ち上がっている、ケーシング(2)。
【請求項2】
さらに少なくとも1つの熱伝導構造体(29)を有し、少なくとも1つの前記熱伝導構造体(29)および前記電気伝導構造体(23)はそれぞれ金属導体フレーム部分によって形成されており、複数の前記導体フレーム部分は、前記ケーシング基体(21)によって互いに機械的に結合されている、請求項1記載のケーシング(2)。
【請求項3】
前記ドレイン構造体(24)はそれぞれ、前記ストリップ(26)における少なくとも1つのエッジとして形成されている、請求項1または2記載のケーシング(2)。
【請求項4】
前記ドレイン構造体(24)はそれぞれ、少なくとも2つの前記ストリップ(26)によって形成されており、前記ストリップ(26)は、チャネル(41)を定め、該当する前記ドレイン構造体(24)内で、最大で10°の許容差で互いに平行に延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載のケーシング(2)。
【請求項5】
前記ストリップ(26)の断面は、矩形または台形またはドーム型またはこれらの混合形である、請求項3または4記載のケーシング(2)。
【請求項6】
前記ケーシング基体(21)は、リフレクタ槽を形成するキャビティ(27)を有し、前記リフレクタ槽は、前記ケーシング基体(21)の側壁(28)によって全周を囲まれて形成され、前記側壁(28)は、前記チップ装着面(22)の全周を取り巻いている、請求項1から5までのいずれか1項記載のケーシング(2)。
【請求項7】
前記側壁(28)は、連続的に前記チップ装着面(22)に移行しており、これにより、前記側壁(28)および前記チップ装着面(22)は、前記電気コンタクト面(25)に対して垂直方向の断面で見ると、局所的にまたは全周を囲んで、少なくとも1mmの曲率半径を有する丸みを形成している、請求項6記載のケーシング(2)。
【請求項8】
前記ケーシング(2)は、前記チップ装着面(22)を上面視すると、矩形、またはほぼ矩形であり、2つの前記ドレイン構造体(24)は、前記ケーシング基体(21)の長手方向軸線(A)に沿って延びており、別の2つの、特に短い方のドレイン構造体(24)は、前記チップ装着面(22)を上面視すると、前記長手方向軸線(A)に対して横方向に配向されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のケーシング(2)。
【請求項9】
前記長手方向軸線(A)に対して横方向に配向されている前記ドレイン構造体(24)は、前記キャビティ(27)の長い方の側壁(28)から、前記電気コンタクト面(25)間の中間スペースに向かって液体の前記封止材料(40)を導くように構成されている、請求項6
を引用する請求項8記載のケーシング(2)。
【請求項10】
前記ケーシング基体(21)の前記長手方向軸線(A)に沿って延びる少なくとも1つの前記ドレイン構造体(24)は、前記側壁(28)から離隔されて終端している、請求項9記載のケーシング(2)。
【請求項11】
オプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)であって、前記オプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)は、
請求項1から10までのいずれか1項記載のケーシング(2)と、
前記電気コンタクト面(25)上の少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ(3)と、
液体の前記封止材料(40)から形成される反射封止部(4)と、を有し
前記封止部(4)は、少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)の下に到達しており、少なくとも1つの前記半導体チップ(3)の側面(34)は、封止部(4)より大部分が露出されているかまたは完全に露出されている、オプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)は、すべての、または少なくとも3つの前記ドレイン構造体(24)に載置されている、請求項11記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項13】
少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)の、前記チップ装着面(22)側を向いた下面(32)は、接合手段(6)と共に、また前記ドレイン構造体(24)と共に前記反射封止部(4)によって完全に覆われており、
前記接合手段(6)は、はんだであるかまたははんだを有し、かつ/または前記接合手段(6)は、前記チップ装着面(22)に対して平行な方向に、前記封止部(4)により、全周が囲まれて完全にまたは大部分が覆われている、請求項11または12記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項14】
前記封止部(4)は、マトリクス材料(42)および反射性粒子(43)から構成されかつ白色であり、
前記ドレイン構造体(24)は好ましくは、前記チップ装着面(22)の上に、少なくとも10μmもしくは30μmもしくは60μm、および/または最大で200μmもしくは100μmもしくは80μmの、特に30μm以上100μm以下の高さを有し、
少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)は、サファイアフリップチップであり、これにより、前記半導体チップ(3)のすべての電気端子面(31)は、前記電気コンタクト面(25)に一意に対応付けられており、
前記半導体チップ(3)のサファイア基板(30)が、前記チップ装着面(22)とは反対側を向いている、請求項11から13までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項15】
少なくとも請求項2記載の前記ケーシング(2)を有し、
少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)は、前記電気伝導構造体(23)にも、少なくとも1つの前記熱伝導構造体(29)にも被着されており、
前記熱伝導構造体(29)は、前記電気伝導構造体(23)から電気的に切り離されており、かつ電気的な機能を有しない、
請求項2を引用する請求項11から14までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)は、前記チップ装着面(22)側を向いた下面(32)にミラー(37)を有し、
前記ミラー(37)は、前記下面(32)の縁部から離隔されて終端しており、かつ前記ミラー(37)によって覆われていない、前記下面(32)の領域(38)は、完全にまたは大部分が前記封止部(4)によって覆われている、請求項11から15までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項17】
さらに、少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)を覆いかつ前記封止部(4)に接触しかつ前記チップ装着面(22)を上面視すると、全周を取り巻く充填材(5)を有し、
前記充填材(5)は好ましくは、1つ以上の蛍光体を含有し、これによって前記半導体チップ(3)により、特に青色光が生成され、前記半導体構成部材(1)は好ましくは、白色光を放射するように構成されている、請求項11から16までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)。
【請求項18】
請求項11から17までのいずれか1記載のオプトエレクトロニクス半導体構成部材(1)の製造方法であって、前記製造方法は、次に示した順序で次のステップ、すなわち、
A)前記ケーシング(2)を形成するステップと、
B)前記電気コンタクト面(25)上に少なくとも1つの前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)を装着するステップと、
C)封止部(4)を作製するステップと、を有し、
前記封止部(4)を形成する封止材料(40)を液体状態でランドゾーン(44)に被着し、
前記ランドゾーン(44)は、上面視すると、前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)と並んでおり、
前記ドレイン構造体(24)は、前記ランドゾーン(44)を通って延びているか、または前記ランドゾーン(44)内で始まっており、
前記封止材料(40)は、特に毛管作用により、前記ランドゾーン(44)から前記ドレイン構造体(24)を通って前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(3)に到達する、製造方法。
【請求項19】
前記ステップA)では、鋳造加工、射出成形加工、および/またはプレス加工によって前記ケーシング(2)を作製し、これにより、前記ケーシング基体(21)と一体で、かつ同じ材料から接合手段なしに前記ドレイン構造体(24)を作製する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ステップC)では、噴射により、前記ランドゾーン(44)の領域だけに前記封止材料(40)を被着する、請求項18または19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明で提供されるのは、オプトエレクトロニクス半導体構成部材用のケーシング、オプトエレクトロニクス半導体構成部材およびオプトエレクトロニクス半導体構成部材用の製造方法である。
【0002】
解決すべき課題は、高い効率を有するオプトエレクトロニクス半導体構成部材を提供することである。
【0003】
この課題は特に、独立請求項の特徴的構成を有するケーシングと、オプトエレクトロニクス半導体構成部材と、オプトエレクトロニクス半導体構成部材用の製造方法とによって解決される。有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0004】
少なくとも1つの実施形態において、好ましくはオプトエレクトロニクス半導体構成部材用に構成されているケーシングは、
-チップ装着面を有するケーシング基体と、
-ケーシング基体内の、かつ/またはケーシング基体における、電気導体または導体フレーム部分のような少なくとも2つの伝導構造体と、
-複数のチップ装着面における複数のドレイン構造体と、を有し、
-チップ装着面における伝導構造体は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ用の電気コンタクト面を形成し、
-ドレイン構造体は、電気コンタクト面に向かう、好ましくは液体の封止材料用の供給部として構成されている。
【0005】
さらに本発明では、オプトエレクトロニクス半導体構成部材が提供され、このオプトエレクトロニクス半導体構成部材は好ましくは、1つまたは複数の、上述の実施形態に関連して説明したようなケーシングを有する。したがってオプトエレクトロニクス半導体構成部材の特徴的構成は、ケーシングについても開示されており、またその逆も同様である。
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体構成部材は、
-ケーシングと、
-電気コンタクト面上の少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップと、
-液体の封止材料から形成される反射封止部と、を有し、
-封止部は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップの下に到達しており、少なくとも1つの半導体チップの側面は好ましくは、大部分が露出されているかまたは完全に露出されている。
【0007】
さらに本発明では、1つまたは複数の上述の実施形態に関連して説明したようなオプトエレクトロニクス半導体構成部材の製造方法が提供される。したがってオプトエレクトロニクス半導体構成部材の特徴的構成は、方法についても開示されており、またその逆も同様である。
【0008】
少なくとも1つの実施形態では、この方法は、少なくとも1つの前述の実施形態に記載された1つまたは複数のオプトエレクトロニクス半導体構成部材の製造に使用され、好ましくは、特に次に示した順序で、次のステップ、すなわち、
A)ケーシングを形成するステップと、
B)電気コンタクト面上に少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを装着するステップと、
C)封止部を作製するステップと、を有し、
-封止部を形成する封止材料を液体状態で1つまたは複数のランドゾーンに被着し、
-ランドゾーンは、上面視すると、オプトエレクトロニクス半導体チップと並んでおり、
-ドレイン構造体は、ランドゾーンを通って延びているか、またはランドゾーン内で始まっており、
-封止材料は、特に毛管作用により、ランドゾーンからドレイン構造体を通ってオプトエレクトロニクス半導体チップに到達する。
【0009】
さらに、モールドとも称される型が提供され、この型により、1つまたは複数の上述の実施形態に関連して示したようなケーシングが作製可能である。したがってケーシングおよび方法の特徴的構成は、型についても開示されているのであり、またその逆も同様である。
【0010】
本明細書で説明されるケーシングの根底にある技術的課題は特に、メーカのオスラムオプト半導体社のSYNIOS E4014ファミリの、特に発光ダイオード、略してLEDの、4014_LEDの第3世代が、第2世代よりも10%、より効率的になるようにすることである。
【0011】
より高輝度のLEDチップを使用することによって輝度を増大させるのに加え、LEDパッケージにおける吸収損失も徹底的に低減させたい。このために、多くの測定および光学シミュレーションにより、生成される光についての損失チェーンが特定されている。例えば、白色のTiO2封止部は、白色のエポキシ・モールド・封止部、略してEMCよりも良好には反射することが確認されている。
【0012】
ESD保護ダイオードが、TiO2封止部から成る厚い層の下に覆い隠されていない場合、このESD保護ダイオードも光を吸収する。ESDは、Electro Static Discharge、すなわち静電気放電を表す。金線が光を吸収することも知られている。金属面は、銀コーティングされているとしても光を吸収するため、TiO2封止部によって同様に厚く覆われるべきである。さらに認識されているのは、TiO2支持体シリコーンは、チップ縁部およびケーシング縁部において駆け上がってしまい、露出した平面にはわずかな層厚しか形成されないため、大きな平面を均一な厚さのTiO2封止層によって覆うことができないことである。
【0013】
さらに認識されているのは、LEDチップに密に位置する反射器壁部は、より多くの光を吸収し、またチップから遠く離れたところに位置する反射器壁部よりも急速に経年変化することである。さらに、平坦な反射器壁部は、傾斜が急な壁部よりも良好に反射することが確認されている。これに対応して実現可能であるのは、固定に設定される大きさの対称なキャビティにおいて中央に位置するLEDチップが、非対称に配置されているチップの場合よりも、構成部材からより多くの光を放射するようにすることである。
【0014】
特にサファイアLEDチップの下面は、確かに鏡面化されているが、最も外側の縁部まで鏡面化されていないことが多い。サファイアLEDチップが金属パッド上に位置する場合、LDF金属とも称される金属から成る導体フレームにより、チップのこれらの縁部において出射する光の一部が吸収されてしまう。したがって有利に実現されるのは、チップ下面が、鏡面化されていない箇所においてTiO2シリコーンによって濡らされているようにすることである。これに対し、サファイアチップの側面は、LEDチップへの不都合な後方反射が生成されることになるため、可能な限りTiO2封止部によって濡らされるべきではない。半導体チップを固定するはんだは好ましくは、横方向に反射封止部により、特に直接に接触接続されて、全周を囲むように包まれている。
【0015】
本明細書では、特にTiO2シリコーン封止部により、下面のチップエッジが完全に濡らされ、かつその際にチップの側面が露出されたままになることを可能にするLED設計が記載される。
【0016】
以下の説明は、好ましくは、十分にESD安定でありかつESD保護ダイオードも接続ワイヤも必要とせずにはんだ付けされるサファイアLEDフリップチップに関する。しかしながらこれとは異なり、別のLEDチップも使用可能である。
【0017】
本明細書で説明されるコンセプトとは択一的に、フリップチップは、エポキシ・モールド・封止部、略してEMC(Epoxy-Mold-Compound)から成る閉じたフレームに載置される。この場合、塗布されたTiO2シリコーンはチップの下に到達せずにフレームに残る。このことには、特に次の欠点が必然的に伴う、すなわち、
-はんだが閉じ込められ、フラックスが自由に蒸発しない。
-はんだペーストが、潰されて出てしまうことがあり、はんだボールが生じ得る。
-EMCは、TiO2シリコーンほど反射性を有しない。
-光学シミュレーションにより、はんだが光を漏らさないように閉じ込められることが光学的に有利であることが示されている。EMCフレームでは、これは達成されない。
-LEDチップの下に残存したフラックスは、フレームに起因して良好に清浄できない。
【0018】
本明細書で説明されるケーシングおよび半導体構成部材についての設計により、特に次の技術的な特徴的構成によってプラスの作用が得られ、これらの技術的な特徴的構成は、個々に、任意の組み合わせで、またはすべて共通に実現可能である。すなわち、
-定められたTiO2噴射ランドゾーンが設けられている。チップとは反対側を向いた、ケーシングキャビティにおける領域は、大きく丸みを帯びており、これにより、この領域にはTiO2封止材料が蓄積しない。
-ドレイン構造体により、好ましくは少なくとも1つのシリコーンを含有する調合されたTiO2封止材料が、噴射ランドゾーンからチップに直接に導かれる。ドレイン構造体は、例えば、基本的にほぼ90°のインナエッジであり、このインナエッジは、好ましくは毛管作用を利用して、ランドゾーンからチップに直接に通じている。
-ケーシングの長手方向インナエッジもドレイン経路として利用可能である。これにより、TiO2封止材料は、チップの長手方向エッジに選択的に設けられる小さなドレイン構造体にも到達する。これは、特殊なケースである。というのは、E4014ファミリのLEDのような構造形態は一般に幅が狭いからである。
-チップは、ドレイン構造体に載置されるべきであり、これにより、ドレイン構造体は同時にチップはんだ付けの際のスタンドオフとして使用可能である。
-ドレイン構造体は、部分的または完全に、チップに対して放射状に延びている。
-ドレイン構造体は、技術的に可能な範囲で幅が狭い。
-ドレイン構造体は、長手方向側面が、技術的に可能な範囲で鋭利なエッジ状であり、これにより、高い毛管作用が実現される。
-ドレイン構造体は、チップが載置されている端部において、すべて高さが同じである。これにより、チップのがたつきまたは傾きが阻止される。
-好ましくは少なくとも3つのドレイン構造体が設けられており、これにより、チップは安定して載置され、傾くことはない。
【0019】
上述の技術的な特徴的構成から、例えば、個別にまたは組み合わせで以下の利点が得られる。すなわち、
-TiO2封止部は、毛管作用を利用して、封止材料が向かうべき箇所、すなわちチップの下に大部分が流れるようにされる。
-ケーシングのキャビティにおける、チップとは反対側を向いた領域は、このようなエッジがドレイン経路としてあらかじめ想定されていない限り、大きく丸みを帯びている。
-ドレイン構造体は、同時に、チップはんだ付けのためのスタンドオフを形成する。好ましいのは、60μm以上80μm以下の高さである。したがって、最終的なはんだ厚さは、固定に設定され、広範囲にわたってはんだ量とは無関係である。
-ドレイン構造体を開放型で放射状に配置することは、幅広に潰されるはんだペーストが、チップの下のメインのはんだペースト塊と結合されたままになり、溶融する際にチップの下に引き戻され得るというプラスの効果を有する。この点について言えるのは、はんだペーストは、一般に溶融の際に約50%、体積が収縮する。というのは、はんだペーストでは一般に、20重量%未満のフラックスしか含まれないのではあるが、密度の低いフラックスは大部分が蒸発して、SnAgCuなどの金属だけが、凝固したはんだ接合部に残るからである。
-ドレイン構造体を開放型で放射状に配置することにより、フラックスの容易な蒸発が可能になる。これにより、全体としてキャビティには、あまりフラックス残留物がとり残されない。
-ドレイン構造体を開放型で放射状に配置することにより、フラックス残留物のより良好な洗浄成果に結び付く。というのは、洗浄液が、洗浄の際にはんだ箇所により容易に到達するからである。
【0020】
したがって、本明細書で説明されるケーシングの上述の技術的な特徴的構成は特に、光学的な収率、英語のefficacyを最大化することを目的として、TiO2封止部によってチップを可能な限り幅広く下から裏打ちするために使用される。光学シミュレーションによって示されたのは、はんだが、可能な限り厚くかつ周囲を取り囲まれて光を漏らすことなく閉じ込められるべきであることである。
【0021】
努力が払われるのは、材料の、特にシリコーンの可能な限り広いスペクトルで、TiO2封止部アンダーフィルプロセスを可能にすることである。択一的なTiO2アンダーフィル設計では、プロセス結果は、使用されるシリコーンおよびその粘度に大きく依存する。ドレイン経路および不所望のシリコーン溜めの回避を伴う、本明細書で説明される設計により、粘度および/または濡れ角などのいくつかの材料特性に対し、TiO2アンダーフィルプロセスをより寛大にすることができる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によると、2つ以上の伝導構造体が、電気伝導構造体として構成される。例えば、これらの電気伝導構造体は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップと電気的に接触接続するように構成されている。完成された半導体構成部材では、電気伝導構造体は、外部に向かう電気コンタクトとして使用される。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によると、1つまたは複数の伝導構造体が、熱伝導構造体として構成される。すなわち、熱伝導構造体は、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップの放熱のために構成されている。このために、少なくとも1つの熱伝導構造体は、電気伝導構造体から電気的に絶縁されている。特に、少なくとも1つの熱伝導構造体は、ポテンシャルフリーである。
【0024】
以下で単に伝導構造体という場合、該当する記載は好ましくは、少なくとも1つの熱伝導構造体にも電気伝導構造体にも関連する。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によると、伝導構造体、すなわち好ましくは少なくとも1つの熱伝導構造体も電気伝導構造体もそれぞれ、金属導体フレーム部分によって形成される。例えば、伝導構造体は、金属シートからの打抜き加工によって作製される。金属導体フレームとは択一的に、コーティング、特に金属コーティングにより、セラミックなどの支持体上に伝導構造体を実現することも可能である。この場合、伝導構造体は、例えば、電気端子面および/または導体路用の電気めっきコーティングである。
【0026】
少なくとも1つの実施形態によると、複数の導体フレーム部分は、ケーシング基体によって互いに機械的に結合されている。すなわち、ケーシング基体がなければ、導体フレーム部分間に強固な機械的接続は生じないことになる。
【0027】
少なくとも1つの実施形態によると、ドレイン構造体はそれぞれ、部分的にエッジによって形成されている。エッジは特に、ケーシング基体の互いに当接する面によって形成されている。エッジにおけるこれらの面の角度は好ましくは、少なくとも60°もしくは75°および/または最大で110°もしくは95°である。特に、エッジでは、該当する面の間に、直角またはほぼ直角の角度が存在する。
【0028】
したがって、ドレイン構造体は、この場合にほぼ直角で互いに当接する複数の面である。これにより、ドレイン構造体は特に、エッジにおける毛管力によって作用する。さらに、液体の封止材料が、エッジに沿って導かれてよい。
【0029】
鋭利なエッジによって形成されるこのようなドレイン構造体は好ましくは、チップ装着面に持ち上がるでっぱり、例えばストリップによって定められる。このストリップは好ましくは、ケーシング基体と一体で構成される。このようなストリップは、断面で見ると、例えば、矩形、台形もしくは半円形の断面またはそれらの組み合わせを有する。特に、ストリップは、断面で見ると、矩形から形成されており、この矩形には、チップ装着面から遠ざかる方向にアーチ構造が続いている。換言すると、ストリップはそれぞれ、ドレイン構造体の好ましくは関連するペアを定めていてよい。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によると、ドレイン構造体はそれぞれ、2つのストリップまたは2つよりも多くストリップを有するかまたはこれらから構成されており、これらのストリップは、チップ装着面の残り部分の上に立ち上がっている。ストリップは好ましくは、ケーシング基体と一体で構成される。
【0031】
ドレイン構造体ごとに複数のストリップが設けられる場合、これらのストリップは、該当するドレイン構造体内で互いに平行にまたは互いにほぼ平行に延びていてよい。該当するドレイン構造体用のストリップは、断面において矩形または台形のチャネルを定めることが可能である。該当するドレイン構造体のストリップは、電気コンタクト面において、チップ装着面を上面視すると、U字形に互いに結合されていてよい。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシング基体は、リフレクタ槽を形成するキャビティを有する。リフレクタ槽は好ましくは全周を囲まれて、ケーシング基体の側壁によって形成される。すなわち、側壁は、チップ装着面の全周を取り巻いていてよい。チップ装着面は、例えば、キャビティの底面、特に底面の平坦領域であり、この平坦領域は、伝導構造体と面一に終端し、かつ/または平坦かつ全周を囲まれて伝導構造体に続いている。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によると、ドレイン構造体、特にストリップは、リフレクタ槽よりも高さが低く、ひいては側壁よりも高さが低い。好ましくは側壁は、ひいてはリフレクタ槽は、ドレイン構造体およびストリップよりも少なくとも10倍または20倍または50倍高い。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によると、ドレイン構造体、特にストリップは、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ用の載置面として構成されている。すなわち、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、意図されたようにドレイン構造体、特にストリップに支持される。
【0035】
ドレイン構造体、特にストリップは、チップ装着面の上に一定かつ不変の高さを有することが可能である。択一的には、ドレイン構造体、特にストリップは、可変の高さを有していてよく、特に、少なくとも1つの半導体チップ用の載置面として設けられている領域おいて、別の高さ、例えばより低いまたはより高い高さを有していてよい。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によると、合計で少なくとも3個もしくは4個もしくは6個、および/または最大で24個もしくは12個もしくは8個のストリップが設けられる。すなわち、ケーシングは、比較的少数のストリップと、これに対応して比較的少数のドレイン構造体だけを有する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によると、ストリップおよび/またはドレイン構造体は、電気コンタクト面の近くで終端する。例えば、電気コンタクト面と、所属のドレイン構造体および/もしくはストリップとの間の間隔は、少なくとも5μmもしくは10μmもしくは30μmおよび/または最大で0.1mmもしくは50μmである。これにより、省スペースの配置構成を達成することができ、半導体チップをケーシングに確実に配置することができる。択一的には、ドレイン構造体および/またはストリップは、電気コンタクト面と面一に終端してよい。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つのドレイン構造体および/またはストリップは、電気コンタクト面の間の領域で終端している。このことは、特に、長い方の側壁から延びていてよい短い方のドレイン構造体に当てはまる。電気コンタクト面の間に達するこのようなドレイン構造体および/またはストリップはさらに、長い方のドレイン構造体および/またはストリップよりも、取り付け対象のオプトエレクトロニクス半導体チップのさらに下に達していてよい。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によると、ドレイン構造体および/またはストリップは、互いに連結していない別の構造体である。特に、ドレイン構造体および/またはストリップは、少なくとも1つの半導体チップの周りを取り囲む縁部またはフレームを形成しない。すなわち、すべてのドレイン構造体および/またはストリップは、電気コンタクト面に向かって、または電気コンタクト面の間の領域に向かって放射状に延びていてよい。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシング基体の側壁は、局所的にまたはチップ装着面の全周に沿って連続的にチップ装着面に移行している。側壁およびチップ装着面は、電気コンタクト面に対して垂直方向の断面で見ると、例えば、少なくとも1mm、特に少なくとも2mmまたは少なくとも3mmの曲率半径を有する丸みを形成することができる。
【0041】
択一的に可能であるのは、ケーシング基体の側壁が、局所的に、またはチップ装着面の全周に沿い、鋭利なエッジでチップ装着面に移行することである。このような鋭いエッジは、1つのドレイン構造体を形成してよい。特に、リフレクタ槽の長手方向面に沿い、側壁とチップ装着面との間にこのような鋭い移行部が設けられる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシングは、チップ装着面を上面視すると、矩形、またはほぼ矩形、すなわち丸みを帯びたコーナを有する矩形である。
【0043】
少なくとも1つの実施形態によると、電気コンタクト面は、上面視すると、ケーシング基体の長手方向軸線に沿って対称に配置されている。これとは択一的に、コンタクト面を非対称に配置することも可能である。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも2つの、特に正確に2つのドレイン構造体は、長手方向軸線に沿って延びており、少なくとも2つの別の、特に正確に2つの別の、好ましくは短い方のドレイン構造体は、長手方向軸線に対して横方向に配向されている。すなわち、ドレイン構造体は、上面視すると、十字形の幾何学形状を有してよく、該当する十字の中央には好ましくはドレイン構造体が設けられていない。該当する十字は、上面視すると、ドレイン構造体によって形成されかつ直角に延びるビームを有していてよい。
【0045】
少なくとも1つの実施形態によると、例えば、長手方向軸線に対して横方向に配向されている短い方のドレイン構造体は、キャビティの長い方の側壁から、電気コンタクト面間の中間スペースに向かって液体の封止材料を導くように構成されている。このためにドレイン構造体により、好ましくは、側壁に沿って延びる、液体の封止材料からなる流れが、コンタクト面に向かって迂回される。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシング基体の長手方向軸線に沿って延びる少なくとも1つのドレイン構造体またはすべてのドレイン構造体は、側壁から離隔されて終端している。すなわち、該当するドレイン構造体と、対応付けられている側壁との間には間隙があり、この間隙ではケーシング基体の厚さは、該当するドレイン構造体の領域における厚さよりも薄くてよい。少なくとも1つの該当するドレイン構造体が依然として、特に平坦なチップ装着面で終端し、ひいては選択的な、例えば丸みを帯びたキャビティ端部まで到達しないことが可能である。
【0047】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシング基体の長手方向軸線に沿って延びる少なくとも1つのドレイン構造体またはすべてのドレイン構造体は、対応付けられた側壁においてまたはこの側壁内で終端する。すなわち、少なくとも1つの該当するドレイン構造体は、長手方向軸線に沿い、対応付けられた側壁に間隙なしに移行してよく、特に連続的に移行してよい。
【0048】
長手方向軸線に対して横方向に配向されているドレイン構造体は、好ましくは、それぞれ対応付けられている側壁内でまたは側壁で終端する。
【0049】
半導体構成部材の少なくとも1つの実施形態によると、封止部は、反射性材料から成る。封止部は好ましくは、観察者には白色に見える。可視スペクトル領域における封止部の反射率は好ましくは、少なくとも80%または90%または95%である。
【0050】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、発光ダイオード、略してLED、またはレーザダイオード、略してLDである。半導体構成部材には、例えば、種々異なる色を放射する種々異なるタイプの半導体チップが取り付けられていてよい。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によると、半導体チップまたはすべての半導体チップは、すべての、またはそれぞれ少なくとも3つの、または少なくとも4つのドレイン構造体に載置されている。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によると、ドレイン構造体を定めるストリップは、少なくとも10μmもしくは30μmもしくは60μm、および/または最大で200μmもしくは100μmもしくは80μmの高さを有する。特に、該当するストリップの高さは、チップ装着面を基準にして30μm以上100μm以下である。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップの、チップ装着面側を向いた下面は、完全にまたは極めて大部分が、接合手段と共に、またドレイン構造体と共に、反射性の封止部によって覆われている。極めて大部分とは、例えば、少なくとも95%または98%または99%または99.8%までを意味する。接合手段は、ここでは好ましくははんだであるか、またははんだを含む。択一的には、接合手段は導電性接着剤であってもよい。
【0054】
少なくとも1つの実施形態によると、接合手段は、チップ装着面に対して平行な方向に、封止部により、全周を囲まれて完全にまたは大部分が側方に包囲されている。接合手段は好ましくは、封止部によって直接に覆われている。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によると、封止部は、マトリクス材料から、特にシリコーンから成り、また反射性粒子から、特にTiO2のような金属酸化物から成るか、またはこれを有する。これにより、封止部は好ましくは、白色でありかつ高反射性である。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシング基体は、エポキシ材料、好ましくは白色のエポキシ材料から成る。封止部と比べて、ケーシング基体の材料の反射率は低い。ケーシング基体の材料は、完全に不透明ではなく、半透明であってよい。択一的には、ケーシング基体は、UP樹脂などの不飽和ポリエステルから成っていてもよい。
【0057】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、サファイアフリップチップであるか、または半導体チップは、このようなチップである。
【0058】
少なくとも1つの実施形態によると、半導体チップのすべての電気コンタクト面と、ケーシングの電気コンタクト面とは互いに一意に対応付けられている。択一的には、複数の端子面が、共通のコンタクト面に取り付けられていてよい。
【0059】
少なくとも1つの実施形態によると、半導体チップのサファイア基板は、チップ装着面とは反対側を向いている。すなわち、少なくとも1つの半導体チップの半導体積層体は、チップ装着面側を向いている。
【0060】
少なくとも1つの実施形態によると、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、チップ装着面側を向いた下面にミラーを有する。ミラーは、金属ミラーまたは誘電体ミラーまたはこれらの混合形態であってよい。
【0061】
少なくとも1つの実施形態によると、ミラーは、該当する半導体チップの下面の縁部から離隔されて終端している。ミラーによって覆われていない、下面の領域は好ましくは、完全にまたは大部分が封止部によって覆われている。これにより、ミラーが設けられていない、下面の領域においても、封止部によって高い反射率が保証される。
【0062】
少なくとも1つの実施形態によると、半導体構成部材はさらに、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップを覆いかつ封止部に接触する充填材を有する。チップ装着面を上面視すると、充填材は、半導体チップの好ましくは全周を取り巻いている。少なくとも1つの半導体チップは好ましくは、封止部と同様に充填材によって完全に覆われている。
【0063】
少なくとも1つの実施形態によると、充填材は、1つ以上の蛍光体を含有し、これによって半導体チップにより、特に青色光が生成され、半導体構成部材は全体として、白色光を放射するように構成可能である。
【0064】
少なくとも1つの実施形態によると、半導体構成部材は、静電気放電による損傷に対する保護ダイオードを有さない、かつ/または半導体構成要素は、ボンディングワイヤを有さない。すなわち、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップは、リフレクタ槽におけるただ1つのチップであってよく、これにより、オプトエレクトロニクス半導体チップだけが設けられていてよい。
【0065】
少なくとも1つの実施形態によると、封止部が形成される封止材料は、液体状態でランドゾーンに被着される。ランドゾーンは、上面視すると、オプトエレクトロニクス半導体チップに並んでいる。
【0066】
少なくとも1つの実施形態によると、ランドゾーンは、ドレイン構造体を覆っている。この際にランドゾーンは、部分的にドレイン構造体に並んでおり、好ましくは大部分がドレイン構造体に並んでいる。ドレイン構造体は、ランドゾーンを通り、かつ/またはランドゾーン内で始まっている。択一的に可能であるのは、特にケーシングの長手方向軸線に沿って見ると、特に、ドレイン構造体と側壁との間の間隙において、ランドゾーンは、ドレイン構造体に完全に並んでいることである。すなわち、ランドゾーンは、所属の少なくとも1つのドレイン構造体が中断されている領域に位置していてよい。
【0067】
少なくとも1つの実施形態によると、封止材料は、特に毛管作用により、ランドゾーンから、ドレイン構造体を通って、オプトエレクトロニクス半導体チップへ導かれる。したがって、封止材料は、特に、ドレイン構造体を定めるストリップによって形成されるエッジに沿って延びている。
【0068】
少なくとも1つの実施形態によると、ケーシングは、鋳造加工、射出成形加工、および/またはプレス加工によって作製される。この際に好ましくは、型、英語のmoldが使用される。型は、チップ装着面と、リフレクタ槽と、ドレイン構造体とに対するネガを形成する。
【0069】
少なくとも1つの実施形態によると、ステップC)では、噴射により、ランドゾーンの領域だけに封止材料を被着する。この場合にケーシングにおけるランドゾーン外に着地する、封止材料の意図的でない飛沫は、無視したままにする。ランドゾーンと、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップとの間隔は好ましくは、少なくとも0.3mmもしくは0.4mmおよび/または最大で1mmもしくは0.7mmであり、これにより、省スペースの配置が実現され、封止材料によるオプトエレクトロニクス半導体チップの汚染が阻止される。
【0070】
以下では図面を参照し、実施例に基づいて、本明細書で説明されるケーシングと、本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材と、本明細書で説明される型、英語のMoldと、本明細書で説明される方法とを詳しく説明する。個々の図面において同じ参照符号は、同じ要素を示す。しかしながらここでは、特に断りがない限り、縮尺通りの関係は示されておらず、むしろ個々の構成要素は、理解し易くするために誇張されて大きく示されていることがある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】本明細書で説明されるケーシングの実施例の概略斜視図である。
【
図3】半導体チップが装着された、
図1のケーシングの別の詳細図である。
【
図4】半導体チップが装着された、
図1のケーシングのさらに別の詳細図である。
【
図6】本明細書で説明されるケーシングの実施例を作製するための型の概略斜視図である。
【
図8】本明細書で説明されるケーシングの別の実施例の概略平面図である。
【
図11】本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材の実施例の概略斜視断面図である。
【
図12】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【
図13】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【
図14】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【
図15】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【
図16】本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材の別の実施例の概略平面図である。
【
図17】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略断面図である。
【
図18】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略断面図である。
【
図19】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略断面図である。
【
図20】本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材用の反射封止部および封止材料の概略図である。
【
図21】本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材のさらに別の実施例の概略断面図である。
【
図22】本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材用のオプトエレクトロニクス半導体チップの実施例の概略図である。
【
図23】本明細書で説明されるオプトエレクトロニクス半導体構成部材のさらに別の実施例の概略断面図である。
【
図24】オプトエレクトロニクス半導体構成部材を製造するための、本明細書で説明される方法の実施例のブロック図である。
【
図25】本明細書で説明されるケーシングの実施例の概略平面図である。
【
図26】
図25のケーシング用の導体フレームの概略斜視図である。
【
図27】
図25の導体フレーム用の導体フレーム結合体の概略平面図である。
【
図33】
図25のケーシング用に部分的に射出成形加工される導体フレーム結合体の概略平面図である。
【
図34】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【
図35】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【
図36】本明細書で説明されるケーシングのさらに別の実施例の概略平面図である。
【0072】
図1~
図5には、ケーシング2の実施例が示されている。ケーシング2は、キャビティ27を備えたケーシング基体21を有する。キャビティ27は、周囲を取り囲む複数の側壁28によって画定されており、これらの側壁28は、丸みを帯びたキャビティ端部48において、ほぼ平坦なチップ装着面22へと移行している。
【0073】
ケーシング基体21には2つの電気伝導構造体23が組み込まれており、これらは、導体フレーム部分によって形成されている。導体フレーム部分の代わりに、電気導体路が、ケーシング基体21に被着されることも可能であり、このことは、他のすべての実施例においても当てはまってよい。電気伝導構造体23により、電気コンタクト面25が形成されている。
【0074】
図示されていない封止材料用のランドゾーン44を通り、実質的に長手方向軸線Aに沿って、ストリップ26によって定められる複数のドレイン構造体24が延びている。ストリップ26は、チップ装着面22の上に立ち上がり、ケーシング基体21と一体で接合されている。ドレイン構造体24およびストリップ26は、ケーシング2に取り付けられかつ
図3および
図4にだけ示されている半導体チップ3の位置に関して放射状に延びている。
【0075】
ストリップ26およびチップ装着面22により、エッジ49が定められている。エッジ49ではほぼ直角である。後にケーシング2に形成される封止部4用の、図示しない封止材料が、ランドゾーン44に被着されると、この封止材料は、エッジ49に沿い、電気コンタクト面25に向かい、また半導体チップ3の下に導かれる。
【0076】
上面視すると、ドレイン構造体24用のストリップ26は、例えば十字形に延びており、十字の中央領域にはドレイン構造体24がない。ドレイン構造体24は、半導体チップ3の台として使用される。
【0077】
断面視すると、ストリップ26は、矩形の基部と、この基部に続くほぼ半円形のドームとを有する。ストリップ26の他の形状も同様に可能である。
【0078】
キャビティ27の端部には、比較的浅く終端する領域48が設けられている。長い方のストリップ26は、これらの領域48を起点としている。短い方のストリップ26は、キャビティ27の長い方の側壁28から出ている。長い方の側壁28は、別のエッジ47において選択的に鋭いエッジでチップ装着面22に移行している。択一的には、この移行領域において、チップ装着面22に向かって丸め付けが行われてよい。
【0079】
特に
図4において見て取れるのは、長い方の側壁28を起点とする短い方のストリップ26が、側壁28で引き上げられて構成されていることである。これによって達成されるのは、封止材料が、これらのストリップ26を越えてこぼれてしまうのではなく、半導体チップ3に向かって導かれることである。短い方のストリップ26が、エッジ49に沿い、側壁28に向かって丸みを帯びることが可能である。短い方のストリップ26は、選択的である。
【0080】
図1~
図5の図とは異なり、このような別のエッジ47は、キャビティ27の全周を囲んで設けられていてよい。択一的には、キャビティ27の全周を囲んで、比較的浅く終端する領域48が設けられてよい。同じことは、他のすべての実施例にも当てはまる。
【0081】
図6および
図7には型7が示されており、この型7により、特に
図1~
図5のケーシング2が作製可能である。型7は、特に鋳型またはプレス型である。型7は、ケーシング2のキャビティ27用の槽72を有する。槽72には、ケーシング2のストリップ26用の複数のチャネル71が設けられている。このような型7により、ドレイン構造体24を効率的に作製することができる。例えば、チップ装着面22は、槽72の上面において研削加工により製作され、チャネル71は、フライス加工により形成される。同様に、相応に構成される型7は、他のすべての実施例の作製にも使用可能である。
【0082】
図8~
図10には、ケーシング2の別の実施例が示されている。ケーシング2は、キャビティ27を備えたケーシング基体21を有する。キャビティ27は、周囲を取り巻く複数の側壁28によって画定されており、これらの側壁28は、丸みを帯びたキャビティ端部48において、平坦なまたはほぼ平坦なチップ装着面22へと移行している。
【0083】
ストリップ26は、ドレイン構造体24を定める複数のチャネル41を形成し、これらのチャネル41を通り、特に毛管力により、ランドゾーン44から電気コンタクト面25に向かって、図示しない封止材料が導かれる。ランドゾーン44は好ましくは、噴射ランドゾーンであり、これにより、特に、図示しないノズルから、ランドゾーンの領域だけに封止材料が意図的に被着される。
【0084】
長手方向軸線Aに沿ったドレイン構造体24に加えて、選択的には、横方向に延びておりかつより短いドレイン構造体24が設けられている。これらの短い方のドレイン構造体24は、長い方のドレイン構造体24に到達せずかつ側壁28に沿って導かれる封止材料を電気コンタクト面25に向かって導くことができる。したがって、短い方のドレイン構造体24には、封止材料用の専用のランドゾーン44は、対応付けられていない。
【0085】
丸みを帯びたキャビティ端部48の大きな曲率半径により、キャビティ端部48の領域において封止材料が大量に蓄積してしまうことが阻止される。
【0086】
その他の点では、
図1~
図5についての説明は、
図8~
図10にも相応に当てはまり、その逆も同様である。
【0087】
図11には、好ましくは
図1~
図5または
図8~
図10のケーシング2を有するオプトエレクトロニクス半導体チップ1の実施例が示されている。
【0088】
図11では見て取ることのできないドレイン構造体の上には、オプトエレクトロニクス半導体チップ3が装着されている。半導体チップ3は好ましくは、例えば青色光を生成するLEDチップである。半導体チップ3は好ましくは、フリップチップである。半導体チップ3は、特にはんだまたは接着剤である接合手段6によってケーシング2に固定されている。
【0089】
ケーシング2および接合手段6における吸収損失を低減するために、半導体チップ3とチップ装着面22との間に、反射率の高い封止部4が挿入されている。封止部4は、半導体チップ3の下面32に限定されており、したがって半導体チップ3の側面34は露出している。封止部4は、特に、ケーシング基体21よりも良好に光を反射し、封止部4およびケーシング基体21は白色であってよい。
【0090】
さらに、半導体チップ3は好ましくは、充填材5に埋め込まれており、充填材5は、キャビティ27を埋めることができかつ好ましくは蛍光体を含有している。
【0091】
図12~
図14には、電気コンタクト面の近くの領域における、
図8~
図10のドレイン構造体24の端部領域の種々異なる例示的な構成の選択肢が示されている。
図12~
図14のドレイン構造体24は、ケーシング2のすべての実施例において、特に
図8~
図10の実施例において設けられていてよい。
【0092】
図12によると、ストリップ26は、互いに平行に延びており、それらの端部おいて、チップ装着面22を上面視するとU字形をしている構造体によって接合されており、この構造体は、
図12ではハッチングで示されている。U字形構造体は、ストリップ26と同じ高さを有していてよいか、または択一的には、減じられた高さを有していてよい。
【0093】
図13によると、ストリップ26は、接合構造が設けられることなく終端している。
【0094】
図14には、ストリップ26が、ハッチングで示されている端部領域において漏斗状に拡がっていることが示されている。その他の領域では、ストリップ26は互いに平行に延びていてよい。端部領域は、
図7には図示されていない半導体チップによって覆われる領域に限定されていてよい。
【0095】
図15によるケーシング2の実施例においてケーシング基体21は、上面視すると、正方形に形成されている。図示しない半導体チップ用の領域は、中央に配置されている。この領域の周囲には、4つのドレイン構造体24が配置されており、これらのドレイン構造体24は、この領域に向かって放射状に延びている。それぞれのドレイン構造体24には、専用のランドゾーン44が対応付けられている。丸みを帯びたキャビティ端部48は、上面視すると、キャビティ27の全周を囲んでいる。さらに、キャビティ27のコーナは、ここでも上面視すると、好ましくは同様に丸みを帯びている。
【0096】
図15の設計において使用されるドレイン構造体24は、
図1~
図5にしたがって構成されていてよく、または
図8~
図10にしたがって構成されていてもよい。
【0097】
図16の半導体構成部材1の実施例では、複数の半導体チップ3が設けられている。これは、他のすべての実施例においても可能である。
【0098】
さらに
図16において見て取ることができるのは、ただ1つのランドゾーン44を起点にして複数のドレイン構造体24が出発してよいことである。ここでは、それぞれの半導体チップ3には、長いドレイン構造体24が、所属のランドゾーン44から直接的に、また選択的には短いドレイン構造体24が、特に図示しないキャビティの側壁から対応付けられていてよい。さらに、オプションとして可能であるのは、隣接する半導体チップ3間に別のドレイン構造体24が延在することである。
【0099】
【0100】
図17~
図19には、すべての実施例において、特に
図8~
図10のケーシング2において設けられてよいドレイン構造体24の断面の種々異なる構成の選択肢が示されている。
【0101】
図17によると、ストリップ26およびストリップ26間に形成されるチャネル41は、断面で見ると、矩形または正方形に形成されている。複数のエッジは、可能な限りに鋭く、直角またはほぼ直角に互いに移行している。
【0102】
これに対し、
図18によるストリップ26の側面は、ケーシング基体21をより効率的に作製できるようにするために、チップ装着面22の残りの領域に対して90°よりも小さい角度で延びている。この角度は、チャネル41に向かって、例えば、少なくとも75°もしくは80°もしくは85°、および/または最大で89°である。チャネル41とは反対側において、この角度は、より小さく、例えば、少なくとも15°もしくは30°、および/または最大で75°もしくは60°もしくは45°もしくは35°であってよい。
【0103】
図19には、ストリップ26が、チャネル41の外側において丸みを帯びた輪郭を有することが示されている。これによって実現可能であるのは、毛管力が、チャネル41に制限されたままになることである。
【0104】
他のすべての実施例の場合と同様に、ドレイン構造体24の典型的な寸法は、次の通りである。すなわち、
-ストリップ26は、少なくとも30μmおよび/または最大で100μmの高さを有する。
-ストリップ26の幅は、少なくとも10μmもしくは20μm、および/または最大で200μmもしくは80μmである。
-選択的に設けられるチャネル41の平均幅は、少なくとも20μmもしくは40μm、および/または最大で100μmもしくは60μmである。
【0105】
図20には、封止材料40および封止部4が略示されている。これらは、マトリクス材料42、特にシリコーンから、また反射性粒子43、例えば二酸化チタンから構成される。
【0106】
封止部4を作製する際に、封止材料は、ケーシング基体21が、ひいてはドレイン構造体24が濡れるように、または軽度に濡れるように作用することが可能であり、これにより、封止材料の接触角は、例えば、85°もしくは75°未満であってよく、択一的または付加的には50°もしくは65°よりも大きく設定される。
【0107】
図21の半導体構成部材1の実施例では、半導体チップ3は、LEDチップであり、好ましくはサファイアから成る基板30と、好ましくはAlInGaNから成りかつ活性領域36を有する半導体積層体35とから構成されている。基板30とは反対側には、好ましくはミラー37が設けられているが、このミラーは、半導体チップ3の側面34まで完全には達していない。半導体チップ3の放射側33は、ケーシング2とは反対側を向いており、好ましくは基板30を通して形成されている。
【0108】
半導体チップ3は、局所的にドレイン構造体24に載置されており、これにより、半導体チップ3の下面32における電気端子面31と、電気コンタクト面25との間隔は、ドレイン構造体24によって設定される。下面32と側面34とは、鋭利なエッジによって隔てられている。半導体チップ3は、好ましくははんだである接合手段6によってケーシング2に固定されている。
【0109】
接合手段6は、封止部4によって全周が囲まれて覆われている。下面32は、ドレイン構造体24および封止部4と合わせて接合手段6によって完全に覆われている。したがって、ドレイン構造体24が設けられていない箇所では、封止部4は、下面32の縁部まで到達しているが、好ましくは側面34を露出させたままにしている。
【0110】
【0111】
例示的な半導体チップ3は、より詳細に
図22に示されている。ここでは、半導体チップ3の内部の電気配線は示されていない。
図22において見て取ることができるのは特に、半導体チップ3が、側面34の近くの下面32において、ミラー37により覆われていない領域38を有することである。
【0112】
この領域38は、半導体構成部材1の複数の実施例において、封止部4によって完全にまたは少なくとも大部分が覆われているため、この領域38においても高い反射率を達成することができ、この領域38から出射するビームは、封止部4から半導体構成部材1のビーム出射面に向けて導かれる。側面34には封止部4がないままである。
【0113】
図21によると、ストリップ26は、コンタクト面25に向かって急峻に、特にチップ装着面22に対して90°またはほぼ90°の角度で終端している。これに対し、
図23によると、ストリップ26は、連続的にかつ比較的平坦に、例えば、チップ装着面22に対して、少なくとも20°および/または最大で70°の角度で終端してよい。その他の点では、
図23の実施例は、
図21の実施例と同じである。
【0114】
図24には、半導体構成部材1用の製造方法の実施例が示されている。
【0115】
第1ステップS1では、例えば、プレス加工、射出成形加工、またはトランスファー成形加工を用いてケーシング2を作製する。ここでは、結合体に設けられていてよい複数のケーシング2を同時に形成することができる。
【0116】
続いて、ステップS2では、少なくとも1つの半導体チップ3を装着する。
【0117】
これに続いて、封止部4を形成する。このために、特に、噴射加工または射出成形加工により、または、例えば、図示しない少なくとも1つのノズルにより、ランドゾーン44に封止材料40を被着する。毛管力により、封止材料40は、ドレイン構造体24を通って半導体チップ3へと導かれ、その下面を覆う。続いて、例えば熱によって封止材料40を硬化させる。
【0118】
選択的な方法ステップS4では、充填材5が作製される。
図11も参照されたい。
【0119】
図25~
図33には、ケーシング2の別の実施例が示されている。ケーシング2は、上面視すると、例えば十字形をした複数のドレイン構造体24を有し、これらはそれぞれストリップ26によって形成されている。さらに、他のすべての実施例と同様に、ケーシング2は、位置決めマーク82を有していてよい。位置決めマーク82は、例えば、ケーシング2の上部のコーナに配置されているため、ケーシング2を装着する際にはその向きが、良好に識別可能である。
【0120】
図1のケーシング2とは異なり、
図25のケーシングは、2つの電気伝導構造体23に加えて熱伝導構造体29を有する。熱伝導構造体29は、電気伝導構造体23と同じ導体フレーム8に組み込まれている。
図26も参照されたい。例えば、熱伝導構造体29は、電気伝導構造体23の間の中央に配置されている。長手方向軸線に対して横方向に延びる2つのストリップ26は、熱伝導構造体29において終端していてよい。
【0121】
導体フレーム8は、例えばハーフエッチングされている。
図8を参照されたい。すなわち、チップ装着面22における導体フレーム8の、外側に見える面は、ケーシング下面20における面とは異なる形状にすることができる。ケーシング基体21が、可視化のために透明な物体として図示されている
図29および
図30も参照されたい。ここで
図29は、ケーシング下面20を見た図を、また
図30は、チップ装着面22を見た図を表している。
図28では、ケーシング基体21は、ここでも不透明として示されており、ケーシング下面20が示されている。このようなハーフエッチングされた導体フレーム8は、他のすべての実施例にも相応に使用可能である。
【0122】
図31には、ケーシング基体21の横方向側面85の側面図が示されている。上面視すると、横方向側面85は、矩形であってよい。選択的には、互いに対向する2つの横方向側面85のそれぞれに、はんだ制御構造部83が設けられている。はんだ制御構造部83は特に、導体フレーム8において側方に露出した凹部を通り、ケーシング下面20から実現される。これにより、はんだ制御構造部83は、電気伝導構造体23と一体に形成され、電気伝導構造体23の横方向拡張部に配置される。これに対し、
図1によると、はんだ制御構造部は、ケーシング基体21の長手方向側面にペアで配置されている。
【0123】
導体フレーム8は、はんだ制御構造部83に隣接する領域において、また電気伝導構造体23および熱伝導構造体29の領域においても、その最大厚さを有していてよい。他のすべての領域において、ハーフエッチングにより、導体フレーム8をより薄くすることができる。好ましくは、ケーシング下面20において、導体フレーム8は、横方向側面85におけるはんだ制御構造部83の領域においてのみ、ケーシング下面20の側方エッジに達している。
【0124】
ケーシング下面20における熱伝導構造体29の幅が、長手方向軸線に沿って、チップ装着面22における幅よりも狭くなるようにすることが可能である。
【0125】
特に
図26に示されている導体フレーム設計は、メッシュ設計、英語のMesh-Designと見なすことも可能である。ここでは、半導体チップ3用の電気コンタクト面23,25は、横方向側面85におけるそれぞれのはんだ制御構造部83に接続されている。この設計は、チップはんだ接合部に加わる熱機械的応力を最小化することができる。
【0126】
さらにこの設計によって実現可能であるのは、導体フレーム8が、ケーシング基体21の材料の下に広範囲に覆い隠されることであり、これにより、導体フレーム8において場合によって生じ得る腐食の損傷によって、半導体構成部材1の発光特性の光学的変化が引き起こされてしまうことがない。さらに、この設計により、導体フレーム構造体は、パネルレベルでフレキシブルになり、これにより、従来のQFN設計の場合よりもケーシング密度を高くすることができる。
【0127】
さらに、導体フレーム8のこの設計により、ケーシング2において使用される材料の機械的、化学的および光学的な相互作用が、互いに低減される。これにより、新たな構成部材の開発および材料のサーチが、単純化されて加速される。
【0128】
図32において見て取れるのは、ケーシング基体21の長手方向側面84において、導体フレーム8の切断された結合ウェブ81が、露出されていることである。隣接する導体フレーム8は、これらの結合ウェブ81を介し、導体フレーム結合体80において互いに機械的に結合される(
図27も参照されたい)。すなわち、導体フレーム結合体80では、伝導構造体23,29は、依然として短絡されておりかつ互いに一体に結合されている。結合ウェブ81は好ましくは、ケーシング下面20から離隔されているが、チップ装着面22における電気コンタクト面25と共に同一平面内に位置していてよい。
【0129】
ケーシング2を作製する際には好ましくは、まず導体フレーム結合体80を準備し、次いで、連続する基体としてケーシング基体21を作製する。
図33も参照されたい。引き続いて、個別のケーシング2にするために個別化する。この際に結合ウェブ81を切断する。
【0130】
このような導体フレーム8は、特に、
図26に関連して詳細に説明したように、ケーシング2の他のすべての実施例においても使用可能である。
【0131】
【0132】
図34には、ケーシング2の別の実施例が示されている。ここでもストリップ26は、例えば十字形に配置されている。
図1とは異なり、長手方向軸線Aに沿って延びるストリップ26は、側壁28に対して離隔され、ひいてはキャビティ28内で終端している。特に、これらのドレイン構造体24は、平坦なチップ装着面22内で、かつ例えば丸みを帯びたキャビティ端部48の手前で終端している。
【0133】
長手方向軸線Aに沿ったドレイン構造体24,26の十字形のこのようなより短い脚によって及ぼされ得るのは、封止部4、例えばTiO2シリコーン用の例えば噴射される封止材料40を、特にチップ装着面22の平坦領域に次に噴射することができ、その後はじめて、この封止材料40が、ドレイン構造体24,26と接触接続されるようにすることである。すなわち、ランドゾーン44は、長手方向軸線Aに沿って、短縮されたドレイン構造体24、26と、所属のキャビティ端部48または所属の側壁48との間に位置していてよい。このことは、封止材料40による半導体チップ3の均一な裏打ちに結び付く。
【0134】
このような短縮されたドレイン構造体24,26は、その他のすべての実施例にも使用可能である。
【0135】
【0136】
図35の実施例では、熱伝導構造体29は、長手方向軸線Aに沿って、電気接触接続片23よりも狭くてもよいことも示されている。ここでは、すべての伝導構造体23,29は、長手方向軸線Aに対して垂直な方向において、同じ寸法を有していてよく、かつ互いに面一に終端してよい。同じことは、他のすべての実施例においても可能である。
【0137】
【0138】
これに対し、熱伝導構造体29の幅を広げることもでき、例えば、長手方向軸線Aに沿って、電気伝導構造体23の寸法を、例えば、少なくとも1.5倍、もしくは少なくとも2倍、および/または最大で5倍もしくは最大で3倍だけ上回ってもよい。このことは、特に、少なくとも1つのオプトエレクトロニクス半導体チップ3を電気的に接続するためのボンディングワイヤを取り付けるために、電気伝導構造体23が構成される場合に当てはまる。同じことは、他のすべての実施例においても可能である。
【0139】
【0140】
図に示されているコンポーネントは、特に断らない限り、好ましくは、示された順序で互いに続いており、特に直接に続いている。図において接触していないコンポーネントは好ましくは、互いに所定の間隔を有する。線が互いに平行であるように示されている場合、対応付けられている面は、好ましくは同様に互いに平行に配向されている。さらに、図示されたコンポーネントの相互の相対位置は、特に記載のない限り、図面において正しく再現されている。
【0141】
ここで説明された本発明は、実施例に基づく説明によって限定されることはない。本発明にはむしろ、あらゆる新たな特徴的構成および特徴的構成の組み合わせが含まれるのであり、これには特に、特徴的構成または組み合わせそれ自体が、特許請求の範囲または実施例に明示的に示されていない場合であっても、特許請求の範囲におけるこれらの特徴的構成のあらゆる組み合わせが含まれる。
【0142】
この特許出願は、独国特許出願第102020100542.3号明細書および独国特許出願第102020106250.8号明細書の優先権を主張するものであり、その開示内容は、引用によってここに取り込まれるものである。
【符号の説明】
【0143】
1 オプトエレクトロニクス半導体構成部材
2 ケーシング
20 ケーシング下面
21 ケーシング基体
22 ケーシング基体のチップ装着面
23 電気伝導構造体
24 ドレイン構造体
25 電気コンタクト面
26 ドレイン構造体のストリップ
27 キャビティ(反射槽)
28 キャビティの側壁
29 熱伝導構造体
3 オプトエレクトロニクス半導体チップ
30 サファイア基板
31 電気端子面
32 半導体チップの下面
33 半導体チップの放射面
34 半導体チップの側面
35 半導体積層体
36 活性領域
37 ミラー
38 ミラーによって覆われていない下面の領域
4 反射封止部
40 封止材料
41 チャネル
42 マトリクス材料
43 反射性粒子
44 封止材料用のランドゾーン
47 別のエッジ
48 丸みを帯びたキャビティ端部
49 エッジ
5 充填材
6 接合手段
7 型(モールド)
71 ドレイン構造体用のチャネル
72 キャビティ用の槽
8 導体フレーム
80 導体フレーム結合体
81 結合ウェブ
82 位置決めマーク
83 はんだ制御構造部
84 ケーシング基体の長手方向側面
85 ケーシング基体の横方向側面
A 長手方向軸線
S 方法ステップ