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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】計器用変圧器
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/26 20060101AFI20240219BHJP
   H01F 38/38 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01F38/26
H01F38/38
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022545155
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020088028
(87)【国際公開番号】W WO2021151614
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102020201100.1
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クナープ,ヴォルフガング
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501579(JP,A)
【文献】特開2003-007553(JP,A)
【文献】特開2004-055740(JP,A)
【文献】特開平09-199358(JP,A)
【文献】特開2002-124424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/26
H01F 38/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器用変圧器の巻線が巻回された1つの巻線脚(12)と、前記巻線脚(12)から離間して配置された1つのベース脚(13)と、それぞれが前記巻線脚(12)と前記ベース脚(13)を相互に接続する2つのサイド脚(14)と、を備えた、少なくとも1つのマグネットコア(9)と、
それぞれの前記マグネットコア(9)に対して1つの位置決め取付台(21)を有し、前記位置決め取付台(21)で前記マグネットコア(9)が位置決めされる、カバー(3)と、
それぞれの前記マグネットコア(9)のそれぞれに設けられた保持部(11)であって、互いに離間した2つのフレーム要素(23)を備え、前記2つのフレーム要素(23)のそれぞれが、前記マグネットコア(9)の互いに対向する両方の側面において両方の前記サイド脚(14)および前記ベース脚(13)に沿って延び、それぞれが前記カバー(3)に結合されている、保持部(11)と、
を有する計器用変圧器(1)であって、
それぞれの前記マグネットコア(9)の前記保持部(11)が複数の固定要素(25、27)を有し、
前記複数の固定要素(25、27)によって前記マグネットコア(9)が前記保持部(11)に固定されており、
それぞれの前記マグネットコア(9)の前記保持部(11)の前記複数の固定要素(25、27)が、2つのクランプ要素(25)と、前記2つのクランプ要素(25)を接続する1つの固定ロッド(27)とを備え、
それぞれの前記クランプ要素(25)が、前記保持部(11)の前記2つのフレーム要素(23)の隣接する端部の間に嵌め合い結合で配置され、
前記固定ロッド(27)が、前記マグネットコア(9)の前記巻線脚に沿って延びている、
ことを特徴とする計器用変圧器(1)
【請求項2】
それぞれの前記クランプ要素(25)が、前記マグネットコア(9)の1つのサイド脚(14)と前記巻線脚(12)との間の移行部(16)に配置されていることを特徴とする請求項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項3】
前記移行部(16)が湾曲した表面(19)を有し、
前記表面(19)に前記クランプ要素(25)が当接している、
ことを特徴とする請求項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項4】
それぞれの前記マグネットコア(9)の前記保持部(11)の前記固定ロッド(27)が、前記クランプ要素(25)によりガイドされた、ねじ山を有する端部領域を少なくとも1つ有し、
前記ねじ山にねじ要素(29)がねじ込まれ、前記ねじ要素(29)が前記クランプ要素(25)を前記マグネットコア(9)に押し付ける、
ことを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項5】
それぞれの前記マグネットコア(9)の前記保持部(11)のそれぞれの前記フレーム要素(23)が、前記マグネットコア(9)の回りに巻かれた巻線に対向する面を備えたシールド(33)を有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項6】
前記マグネットコア(9)の周りに配置された前記巻線の両側の前記シールド(33)が、前記マグネットコア(9)の前記巻線脚(12)の回りを部分的に取り囲んでいることを特徴とする請求項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項7】
前記シールド(33)が、前記マグネットコア(9)の両方の前記サイド脚(14)に沿って延びていることを特徴とする請求項またはに記載の計器用変圧器(1)。
【請求項8】
前記シールド(33)が、前記マグネットコア(9)の前記ベース脚(13)に沿って延びていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項9】
前記マグネットコア(9)の前記ベース脚(13)が、それぞれの前記マグネットコア(9)の前記位置決め取付台(21)に嵌め合い結合で取り付けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項10】
それぞれの前記フレーム要素(23)が、前記カバー(3)に着脱自在に結合されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項11】
それぞれの前記フレーム要素(23)が、少なくとも1つのねじ結合によって前記カバー(3)に結合されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項12】
3つのマグネットコア(9)を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項13】
前記マグネットコア(9)の前記巻線脚(12)が互いに120°の角度で星形に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の計器用変圧器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計器用変圧器に関する。
【0002】
本発明は特に高圧開閉装置用の計器用変圧器に関する。このような計器用変圧器により、測定、保護または制御の目的のために、高電圧が比例的に、かつ、正しい位相精度でより低い値に変換される。この目的のために、誘導形の計器用変圧器は一般に、金属製カプセルハウジング内に配設された少なくとも1つのマグネットコアを有し、その回りに1つの一次巻線および(少なくとも1つの)二次巻線が巻かれている。計器用変圧器の能動部品(巻線付きマグネットコア)をカプセルハウジング内に正しく配置し、しっかりと固定することは、高電圧電界が印加されるという理由から非常に重要である。何故ならば、能動部品の配置を誤ったり、固定が不十分であったりすると、計器用変圧器の損傷や、さらには全故障につながる可能性があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に能動部品の位置決め可能性および部品点数が改善された計器用変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明に基づき請求項1の特徴を有する計器用変圧器によって解決される。
【0005】
本発明の有利な形態は従属請求項の主題である。
【0006】
本発明による計器用変圧器は、
計器用変圧器の巻線が巻回された1つの巻線脚と、該巻線脚から離間して配置された1つのベース脚と、それぞれが前記巻線脚と前記ベース脚を相互に接続する2つのサイド脚(14)と、を備えた、少なくとも1つのマグネットコアと、
各マグネットコアに対して1つの位置決め取付台を有しており、これらの位置決め取付台でマグネットコアが位置決めされる、1つのカバーと、
各マグネットコアに備えられた保持部であって、互いに離間した2つのフレーム要素を備え、これらのフレーム要素はそれぞれマグネットコアの互いに対向する両方の側面において2つのサイド脚およびベース脚に沿って延び、それぞれがカバーに結合されている、保持部と、
を有する。
【0007】
前記カバーは、例えば、計器用変圧器のカプセルハウジングを封止している。各マグネットコアに対して1つの位置決め取付台を備えたカバーのこの形状により、位置決めゲージまたは類似の補助具なしに、各マグネットコアの簡単で、かつ、精密な位置決めが可能となる。1つのマグネットコアを2つのフレーム要素で保持することにより、1つの位置決め取付台に取り付けられた1つのマグネットコアを両方のフレーム要素の間で機械的に固定することが可能になる。以下に言及する保持部の適切な構成によって、この保持部はさらに、マグネットコアをこの保持部で固定し、マグネットコアに電界を印加することができる。従って、本発明により、計器用変圧器の組立が簡素化され、さらに、能動部品を固定するための、および、所望の様式に電界を形成するための計器用変圧器の構成部品の数を減らすことができる。
【0008】
本発明の一実施形態では、各マグネットコアの保持部は複数の固定要素を有し、これらの固定要素によってマグネットコアが保持部に固定されている。例えば、各マグネットコアの保持部のこれらの固定要素は、2つのクランプ要素と、これら2つのクランプ要素を連結する1つの固定ロッドとを含み、各クランプ要素は保持部の2つのフレーム要素の隣接する端部の間に嵌め合い結合で配置され、固定ロッドはマグネットコアの巻線脚に沿って延びている。こうして、マグネットコアのこの保持部により、両方のフレーム要素に嵌め合い結合されてマグネットコアに押し付けられるクランプ要素によって、マグネットコアと保持部との固定が可能となる。
【0009】
例えば、マグネットコアの保持部の各クランプ要素は、マグネットコアの1つのサイド脚と巻線脚との間の移行部に配置されている。この場合、この移行部は例えば湾曲した表面を有し、その表面にクランプ要素が当接している。その結果、マグネットコアを固定するために、これらのクランプ要素をこの表面に沿って固定ロッドに向けてずらすことによって、簡単な方法でこれらクランプ要素を移行部の湾曲した表面に押し付けることができる。例えば積層鉄心として設計されたマグネットコアは、両方のサイド脚と巻線脚との間に湾曲した表面を有する移行部を備えており、従って、本発明のこの実施形態に特に適している。
【0010】
各マグネットコアの保持部の固定ロッドは、例えばクランプ要素によりガイドされた、ねじ山を有する端部領域を少なくとも1つ有し、このねじ山にねじ要素がねじ込まれており、このねじ要素がクランプ要素をマグネットコアに押し付ける。その結果、マグネットコアは、少なくとも1つのねじ要素を締め付けることによって、簡単な方法でその保持部に固定することができる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、各マグネットコアの保持部の各フレーム要素が、マグネットコアの回りに巻かれた巻線に対向する面を備えたシールドを有する。このシールドは、例えば、マグネットコアの回りに配置された巻線の両側でマグネットコアの巻線脚の回りに部分的に、および/または、両方のサイド脚に沿って、および/または、ベース脚に沿って延びている。したがって、本発明のこれらの構成では、各マグネットコアの保持部は、電界をシールドするために、例えばフレーム要素のエッジでの高い電界強度を避けるために、フレーム要素上に配置された複数のシールドを有する。これらのフレーム要素に一体化されたシールドによって有利に、別個のまたは追加のシールドを省略する、または、減らすことができる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、マグネットコアのベース脚が各マグネットコアの位置決め取付台に嵌め合い結合で取り付けられている。言い換えれば、本発明のこの実施形態では、各マグネットコアのベース脚はカバーの位置決め取付台において取り付けられている。本発明のこの実施形態により、計器用変圧器の省スペース設計が可能になり、この場合、この計器用変圧器の巻線は実質的にこのカバーに直交する平面内で実行される。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、各フレーム要素は、例えば少なくとも1つのねじ結合によって、カバーに着脱自在に結合されている。その結果、マグネットコアの保持部のフレーム要素は、マグネットコアの位置決め後に簡単な方法で位置決め取付台でカバーに取り付けることができる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、この計器用変圧器は3つのマグネットコアを有する。例えば、マグネットコアのこれらの巻線脚は、互いに120°の角度で星形に配置されている。特に、これにより、三相交流電圧に対する計器用変圧器の実用的な設計が可能となる。
【0015】
上述した本発明の特性、特徴および利点、ならびに、それらを達成する方法を図面に基づいて下の実施例の説明とともにより明確に、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】計器用変圧器の第1の実施例の斜視図
図2図1に示す計器用変圧器の位置決め取付台部の斜視図
図3】計器用変圧器の第2の実施例の斜視図図面中の対応する部品には同じ参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1(FIG1)は、計器用変圧器1の第1の実施例の斜視図である。この計器用変圧器1は単相交流電圧用に設計されている。この計器用変圧器1は、1つのカバー3と、1つの一次巻線5と、1つの二次巻線と、1つの電極7と、1つのマグネットコア9と、マグネットコア9用の1つの保持部11とを備えている。
【0018】
カバー3は、図示されていないカプセルハウジングを封止し、このカプセルハウジングの中には、一次巻線5、二次巻線、電極7、マグネットコア9および保持部11が配設されている。
【0019】
マグネットコア9は、一次巻線5および二次巻線が巻回されている1つの巻線脚12と、この巻線脚12から離間していて巻線脚12に平行な1つのベース脚13と、2つのサイド脚14とを含み、これらのサイド脚は巻線脚12とベース脚13を互いに接続し、巻線脚12およびベース脚13に対して垂直である。このマグネットコア9は積層鉄心として設計されている。サイド脚14と巻線脚12との間の移行部16およびサイド脚14とベース脚13との間の移行部17は、それぞれ湾曲した外側表面19を有する。一次巻線5が二次巻線の回りに巻かれているので、二次巻線は図1では見えない。一次巻線5の一端は電極7に接続されており、この電極は一次巻線5の中央部の回りに配置されている。
【0020】
カバー3は、マグネットコア9をカバー3上に位置決めするために設けられた位置決め取付台21を有する。マグネットコア9のベース脚13が位置決め取付台21に嵌め合い結合で取り付けられている。
【0021】
図2(FIG2)は、図1に示す計器用変圧器1の位置決め取付台21の一部の斜視図である。
【0022】
保持部11は、2つのフレーム要素23と、2つのクランプ要素25と、1つの
固定ロッド27と、2つのねじ要素29とを含む。
【0023】
2つのフレーム要素23はマグネットコア9の互いに対向している両方の側面に配置され、それぞれが両方のサイド脚14およびベース脚13に沿って延びている。したがって、それぞれのフレーム要素23の形状は略U字形である。各フレーム要素23はねじ結合部31によってカバー3に着脱自在に結合されている。さらに、各フレーム要素23は湾曲した表面を有する1つのシールド33を有し、このシールドはマグネットコア9の回りに巻回された巻線(一次巻線5、二次巻線)に対向している。シールド33は、巻線脚12に巻かれた巻線の一部の両側に、ならびに、両方のサイド脚14およびベース脚13に沿って延びており、この場合、両方のフレーム要素23のシールド33は互いに接触しない。特に、両方のフレーム要素23のシールド33は巻線脚12の領域内における巻線の両側でそれぞれギャップ35によって互いに離間されており、このギャップにより巻線近傍の電磁界におけるコア窓内でのこれらのフレーム要素23の電気的接続が阻止される。
【0024】
各クランプ要素25は、両方のフレーム要素23の隣接する端部の間でマグネットコア9の1つのサイド脚14と巻線脚12との間の移行部16に嵌め合い結合で配置されている。固定ロッド27が両方のクランプ要素25を互いに結合し、巻線脚12に沿って延びている。固定ロッド27の各端部領域は、クランプ要素33によりガイドされ、ねじ山を有し、このねじ山にねじ要素29がねじ込まれており、このねじ要素がサイド脚14と巻線脚12との間の移行部16の湾曲した表面19にクランプ要素25を押し付ける。
【0025】
図3(FIG3)は、計器用変圧器1の第2の実施例の斜視図である。この計器用変圧器1は三相交流電圧用に設計されている。したがって、この計器用変圧器1は三つのマグネットコア9を有し、それぞれの回りに一次巻線5と二次巻線が配置されている。各マグネットコア9は、図1および図2に示された計器用変圧器1のマグネットコア9と同様に設計されている。これらのマグネットコア9の巻線脚12は、互いに120°の角度で星形に配置されている。これらのマグネットコア9のベース脚13は、図1および図2に示された計器用変圧器1のマグネットコア9と同様に、それぞれ、計器用変圧器1のカバー3の位置決め取付台21に嵌め合い結合で取り付けられている。さらに、この計器用変圧器1は各マグネットコア9のための保持部11を有しており、この保持部は、図1および図2に示された計器用変圧器1のマグネットコア9の保持部11と同様に設計され、ねじ結合部31によりカバー3に固定されている。
【0026】
本発明を好ましい実施例によって詳細に図解し説明したが、本発明は開示された実施例によって限定されるものではなく、当業者ならば、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変形例をそこから導出することができる。


図1
図2
図3