(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】アーク消弧組立体、及びこれを含む遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 9/44 20060101AFI20240219BHJP
H01H 73/18 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01H9/44 A
H01H73/18 Z
(21)【出願番号】P 2022555983
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 KR2021002589
(87)【国際公開番号】W WO2021187774
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034575
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ハンベク
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-41445(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0048151(KR,A)
【文献】実開昭50-109163(JP,U)
【文献】特開昭53-128776(JP,A)
【文献】実開昭63-129932(JP,U)
【文献】特開2012-243659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/44
H01H 73/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;
前記側面部材の上部に設けられる排気部;
前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;
一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイド;及び
前記複数のグリッドの下部で両端が前記側面部材にそれぞれ結合するように設けられ、前記グリッドに向かう方向に電磁気力を形成するマグネット;を含
み、
前記マグネットは、
前記側面部材の下部で両側がそれぞれ固定され、電流によって磁化して磁場を形成する電磁石;及び
前記電磁石の内部に設けられ、前記電磁石の延び方向と交差する方向に回転する永久磁石;を含み、
前記マグネットは、前記アークガイドの両側にそれぞれ固定される、アーク消弧組立体。
【請求項2】
請求項1において、
前記電磁石は、
円筒状の磁化可能な材質からなるコア;及び
前記コアの外側面を取り囲む形状に延びるコイル;を含む、アーク消弧組立体。
【請求項3】
請求項2において、
前記コアの両端には、前記各側面部材の内側面に挿入されて支持されるように固定軸が突出する、アーク消弧組立体。
【請求項4】
請求項3において、
前記固定軸は、前記アークガイドを貫通して前記側面部材に備えられる固定溝に安着する、アーク消弧組立体。
【請求項5】
請求項1において、
前記永久磁石は、前記電磁石の内部に備えられる空間である永久磁石収容部に位置する、アーク消弧組立体。
【請求項6】
請求項5において、
前記永久磁石は、少なくとも1つ以上が備えられる、アーク消弧組立体。
【請求項7】
請求項1において、
前記側面部材の間に挿設され、前記複数のグリッドの一側と一定の距離だけ離間して位置し、前記グリッドの下部に向かって曲がるアークランナーをさらに含む、アーク消弧組立体。
【請求項8】
請求項1において、
前記マグネットは、前記アークガイドと一定の距離だけ離間した位置で両端が前記側面部材にそれぞれ結合される、アーク消弧組立体。
【請求項9】
請求項1において、
前記側面部材の外側面に絶縁物質を含む、アーク消弧組立体。
【請求項10】
固定接点;
前記固定接点に向かう方向又は前記固定接点から離れる方向に移動する可動接点;及び
前記固定接点及び前記可動接点に隣接して位置し、前記固定接点と前記可動接点とが離間して発生したアークを消弧するアーク消弧組立体;を含み、
前記アーク消弧組立体は、
一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;
前記側面部材の上部に設けられる排気部;
前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;
一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイド;及び
前記複数のグリッドの下部で両端が前記側面部材にそれぞれ結合するように設けられ、前記グリッドに向かう方向に電磁気力を形成するマグネット;を含
み、
前記マグネットは、
前記側面部材の下部で両側がそれぞれ固定され、電流によって磁化して磁場を形成する電磁石;及び
前記電磁石の内部に設けられ、前記電磁石の延び方向と交差する方向に回転する永久磁石;を含み、
前記マグネットは、前記アークガイドの両側にそれぞれ固定される、遮断器。
【請求項11】
請求項10において、
前記電磁石は、
円筒状の磁化可能な材質からなるコア;及び
前記コアの外側面を取り囲むように形状に延びるコイル;を含む、遮断器。
【請求項12】
請求項10において、
前記永久磁石は、前記電磁石の内部に備えられる空間である永久磁石収容部に位置する、遮断器。
【請求項13】
請求項12において、
前記永久磁石は、少なくとも1つ以上が備えられる、遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を遮断して発生したアークを効果的に消弧するようにマグネットが設けられるアーク消弧組立体と、これを含む遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
遮断器は、回路に漏電、短絡又は過剰な電流などの異常電流が発生する場合、電流の流れを遮断する装置である。これにより、回路又は回路に連結された電子機器で発生し得る事故を予防することができる。回路の電流が遮断器を通過するように、遮断器は回路の特定の位置に通電可能に設けられる。
【0003】
遮断器は、正常な電流が流れる場合、可動接触点は固定接触点に接触し、可動接触点と固定接触点とが互いに接触すると回路が通電可能に連結される。
【0004】
遮断器に過電流又は異常電流が流れる場合、接触状態にあった可動接点と固定接点とは互いに離間する。このとき、可動接点と固定接点との間で通電していた電流は直ちに消滅せず、アーク(arc)の形に変化して可動接点に沿って伸張(extend)するようになる。
【0005】
アークは高温高圧の電子の流れであり、発生したアークが遮断器の内部空間で長時間滞留する場合、遮断器の各構成要素が損傷するおそれがある。また、アークが別の処理過程なしに遮断器の外部に排出される場合、ユーザが傷害を負うおそれがある。
【0006】
このため、遮断器には、アークを消弧(extinguish)しながら排出するためのアーク消弧組立体が備えられる。発生したアークは、消弧装置を通過してアーク圧力が増加することで、移動速度が速くなると共に冷却されて外部に排出できるようになる。
【0007】
従来の遮断器(韓国公開実用新案文献第20-2008-0009468号)は、アークチャンバに一定の間隙を有するように積層され、接点が位置するように誘導溝が形成されるグリッドと、グリッドの誘導溝の側壁に設けられたグリッドプレートとを含む気中遮断器の構造に対して開示している。
【0008】
このような遮断器は、ガイドプレートを通じてグリッドに向かってアークを誘導することはできるが、電流の大きくない小電流の場合、発生する圧力が大きくなく、グリッドに沿ってアークの移動経路を生成しにくいという問題点がある。
【0009】
このため、アーク消弧組立体の内部に別に電磁気力を発生させることで、小電流が作用する場合でもグリッドに沿ってアーク経路を効果的に形成するための方案に対する研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一の目的は、発生したアークがグリッド及びランナーまで伸び得るアーク消弧組立体の構造を提供することである。
【0011】
本発明の他の一の目的は、小電流が印加される場合にも、アークの移動経路が円滑に形成されるように内部にマグネットを配置させることで、マグネットによって発生する磁場により発生したアークをランナーに向かって押すことができるアーク消弧組立体の構造を提供することである。
【0012】
本発明の他の一の目的は、アークの移動経路を形成するためのマグネットが安定して設けられ、マグネットの設置のために過度な設計変更が必要でないアーク消弧組立体の構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述した問題を解決することができるアーク消弧組立体は、一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;前記側面部材の上部に設けられる排気部;前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイド;及び前記複数のグリッドの下部で両端が前記側面部材にそれぞれ結合するように設けられ、前記グリッドに向かう方向に電磁気力を形成するマグネットを含んでもよい。
【0014】
本発明の一例によると、前記マグネットは、前記側面部材の下部で両側がそれぞれ固定され、電流によって磁化して磁場を形成する電磁石;及び前記電磁石の内部に設けられ、前記電磁石の延び方向と交差する方向に回転する永久磁石を含んでもよい。
【0015】
このとき、前記電磁石は、円筒状の磁化可能な材質からなるコア;及び前記コアの外側面を取り囲む形状に延設されるコイルを含んでもよい。
【0016】
また、コアの両端には、前記各側面部材の内側面に挿入されて支持されるように固定軸が突設されてもよい。
【0017】
本発明の一例によると、前記固定軸は、前記アークガイドを貫通して前記側面部材に形成される固定溝に安着してもよい。
【0018】
本発明の一例によると、前記永久磁石は、前記電磁石の内部に形成される空間からなる永久磁石収容部に位置してもよい。
【0019】
本発明の一例によると、前記永久磁石は、少なくとも1つ以上備えられてもよい。
【0020】
本発明の一例によると、前記マグネットは、前記アークガイドの両側にそれぞれ固定されてもよい。
【0021】
本発明の一例によると、前記側面部材の間に挿設され、前記複数のグリッドの一側と一定の距離だけ離間して位置し、前記グリッドの下部に向かって曲がるアークランナーをさらに含んでもよい。
【0022】
本発明の一例によると、前記マグネットは、前記アークガイドと一定の距離だけ離間した位置で両端が前記側面部材にそれぞれ結合するように設けられてもよい。
【0023】
本発明の一例によると、前記側面部材の外側面には絶縁物質が形成されてもよい。
【0024】
本発明は上述した問題を解決することができる遮断器は、固定接点;前記固定接点に向かう方向又は前記固定接点から離れる方向に移動する可動接点;及び前記固定接点及び前記可動接点に隣接して位置し、前記固定接点と前記可動接点とが離間して発生したアークを消弧するアーク消弧組立体を含み、前記アーク消弧組立体は、一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;前記側面部材の上部に設けられる排気部;前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイド;及び前記複数のグリッドの下部で両端が前記側面部材にそれぞれ結合するように設けられ、前記グリッドに向かう方向に電磁気力を形成するマグネットを含んでもよい。
【0025】
本発明の一例によると、前記マグネットは、前記側面部材の下部で両側がそれぞれ固定され、電流によって磁化して磁場を形成する電磁石;及び前記電磁石の内部に設けられ、前記電磁石の延び方向と交差する方向に回転する永久磁石を含んでもよい。
【0026】
本発明の一例によると、前記電磁石は、円筒状の磁化可能な材質からなるコア;及び前記コアの外側面を取り囲むように形状に延設されるコイルを含んでもよい。
【0027】
本発明の一例によると、前記永久磁石は、前記電磁石の内部に形成される空間からなる永久磁石収容部に位置してもよい。
【0028】
本発明の一例によると、前記永久磁石は、少なくとも1つ以上備えられてもよい。
【発明の効果】
【0029】
上記のようなアーク消弧組立体の構造によって、発生したアークは、マグネットにより形成される電磁気力によって、アークランナー側に向かって力を受け、アークランナーに向かう方向にアークの伸び速度が増加することで、アーク消弧性能がより向上することができる。
【0030】
また、アーク消弧組立体の内部に、電磁気力を発生させるための電磁石と永久磁石とが共に設けられる構造を通じて、アーク消弧組立体の設計構造を大きく変更することなく、アーク消弧性能の確保を達成することができる。
【0031】
また、アーク消弧組立体で電磁石は、側面部材の間で両側がそれぞれ安定して固定でき、電磁石の内部に形成された空間に少なくとも1つの永久磁石が設けられることで、より大きい電磁気力を確保すると共に空間確保の利点も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】
図1の遮断器をA-A’線に沿って切開した断面図である。
【
図4】アーク消弧組立体の様子を示す斜視図である。
【
図5】
図4のアーク消弧組立体の分解斜視図である。
【
図7】マグネットによって磁場が形成された様子を示す概念図である。
【
図8a】電磁石に永久磁石が設けられる様子を示す概念図である。
【
図8b】マグネットに電流が印加されるときの様子を示す概念図である。
【
図9】複数の永久磁石が設けられたアーク消弧組立体の様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して本明細書に開示の実施例について詳しく説明するが、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の図面符号を付与し、これについての重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書作成時における容易さのみが考慮されて付与又は混用されるものであり、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するのではない。また、本明細書に開示の実施例を説明するにあたって、関連する公知の技術についての具体的な説明が本明細書に開示の実施例の要旨を濁ごす可能性があると判断される場合はその詳細な説明を省略する。また、添付の図面は本明細書に開示の実施例を容易に理解するためのものであるだけ、添付の図面によって本明細書に開示の技術的思想が制限されるのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0034】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いることができるが、上記構成要素は上記用語により限定されない。上記用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的だけで用いられる。
【0035】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、又は「接続されて」いると言及された場合は、他の構成要素に直接的に連結又は接続されていることもできるが、それらの中間にまた他の構成要素が存在することもできると理解されるべきであるであろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、又は「直接接続されて」いると言及された場合は、それらの中間にまた他の構成要素が存在しないものと理解されるべきであるであろう。
【0036】
単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0037】
本出願で、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0038】
図1は、遮断器(10)の様子を示す斜視図であり、
図2は、遮断器(10)の分解斜視図である。また、
図3は、遮断器(10)をA-A’線に沿って切開した断面図である。
【0039】
遮断器(10)は、異常電流の発生時に電流の流れを遮断する役割をするもので、気中遮断器(Air Circuit Breaker)を意味することができる。
【0040】
ここで、気中遮断器は、遮断器の一種として、遮断器が遮断動作を行っている状態の電流を意味し、遮断器であらかじめ設定された電流範囲値を超過する異常電流が漏洩する場合、回路の電流の流れを遮断する装置である。
【0041】
遮断器(10)は、外観を形成して内部に収容空間が形成される遮断器胴体(11)を含む。遮断器胴体(11)の内部には、複数のアーク消弧組立体(100)が設けられてもよい。
【0042】
遮断器胴体(11)は、前方側カバー(11b)と後方側カバー(11a)とが互いに対向する方向に沿って結合されて内部空間を形成する。
【0043】
遮断器胴体(11)は、高耐熱性、高剛性の素材で形成されてもよい。これは、内部に実装された各構成要素の損傷を防止し、内部で発生したアークによって損傷することを防止するためである。例えば、遮断器胴体(11)は、合成樹脂又は強化プラスチックからなってもよい。
【0044】
遮断器胴体(11)の内部空間は外部と通電可能であり、内部に実装された各構成要素は、外部の電源又は負荷と通電可能なように連結されてもよい。
【0045】
遮断器胴体(11)の前方部には、電源側と通電可能に連結される電源側連結部(12a)と、負荷側と通電可能に連結される負荷側連結部(12b)とがそれぞれ設けられてもよい。
【0046】
また、前方側カバー(11b)と後方側カバー(11a)との結合によって形成される収容空間には、電源側連結部(12a)と負荷側連結部(12b)とを遮断又は通電させるための、固定接触子(13)と可動接触子(14)とがそれぞれ設けられてもよい。
【0047】
固定接触子(13)には固定接触点(13a)が形成され、可動接触子(14)には可動接触点(14a)が形成されてもよい。このため、回路に正常な電流が流れる場合、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とは互いに接触して、電源側連結部(12a)と負荷側連結部(12b)との間に電流が流れるようにする。
【0048】
図3に見られるように、シューター(21)は、可動接触子(14)が固定接触子(13)から離れる方向に回転することによって共に回転してもよい。
【0049】
シューター(21)は、クロスバー(22)及びレバー(23)と連結されるように設けられてもよい。具体的に、シューター(21)は、クロスバー(22)によって一側端部が拘束され、シューター(21)の他側端部には弾性部材が備えられる。
【0050】
固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とが互いに接触した状態で、シューター(21)は弾性部材を加圧して復元力を貯蔵するようになる。このとき、加圧のための外力は、クロスバー(22)が固定接触子(13)に向かって回転した状態によって提供されてもよい。
【0051】
可動接触点(14a)が固定接触点(13a)から離間して位置する場合、可動接触子(14)は、固定接触子(13)から離れる方向に回転するようになる。この場合、クロスバー(22)の回転が行われるようになり、具体的にシューター(21)の一側端部が解放され、弾性部材によって提供された復元力によって回転できるようになる。シューター(21)が回転しながらレバー(23)を打つと、レバー(23)も回転することでトリップ動作(trip mechanism)が行われるようになる。
【0052】
レバー(23)が気中遮断器(10)の外側に部分的に露出し、レバー(23)は、回転するシューター(21)によって打たれて回転することができる。トリップ動作が行われると、レバー(23)は既設定の方向に回転することができ、ユーザは、トリップ動作が行われたことを容易に認知することができる。また、ユーザは、レバー(23)を回転操作することにより、気中遮断器(10)を再度通電可能な状態に調整することができる。
【0053】
すなわち、遮断器(10)は、回路に異常電流が流れる場合、可動接触子(14)が固定接触子(13)から離間する方向に所定角度だけ回転し、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とが互いに離間することで電流の流れが遮断されるようになる。
【0054】
このとき、可動接触点(14a)と固定接触点(13a)とが互いに離間する場合、可動接触点(14a)と固定接触点(13a)との間にはアーク(Arc)が発生する。
【0055】
アーク(Arc)は高温の電子とイオンのプラズマであり、発生したアークが遮断器の内部空間で長時間滞留する場合、遮断器の各構成要素が損傷するおそれがある。
【0056】
また、アークが別の処理過程なしに遮断器の外部に排出される場合、ユーザが傷害を負うおそれがある。
【0057】
アークを迅速に消弧しない場合、遮断器をなす構成要素が損傷するようになる。遮断器(10)には、アークを消弧(extinguish)しながら排出するための消弧装置が備えられ、発生したアークは、消弧装置を通過してアーク圧力が増加することで、移動速度が速くなると共に冷却されて外部に排出できるようになる。
【0058】
本発明による遮断器(10)には、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)との上側で発生したアークを消弧するためのアーク消弧組立体(100)が設けられる。
【0059】
以下では、アーク消弧組立体(100)の構造について詳しく検討する。
【0060】
図4は、アーク消弧組立体(100)の様子を示す斜視図であり、
図5は、
図4のアーク消弧組立体(100)の分解斜視図である。
【0061】
アーク消弧組立体(100)は、上記で検討した遮断器胴体(11)の内部に形成される収容空間の開放された一側に挿設されてもよい。
【0062】
遮断器(10)で発生したアークは、アーク消弧組立体(100)で消弧した後、アーク消弧組立体(100)の排気部(120)を通じて遮断器(10)の外部に排出される。このとき、アークは、アーク消弧組立体(100)のグリッド(130)とアークランナー(140)とに乗って流れる過程で伸びるようになる。
【0063】
アーク消弧組立体(100)は、排気部(120)と結合する一対の側面部材(111)、グリッド(130)、アークランナー(140)、及びアークガイド(150)を含む。
【0064】
複数のグリッド(130)の上部には、消弧したアークを排出させる排気部(120)が形成されてもよい。排気部(120)は、金属ガスが遮断器(10)の外部に排出される通路として機能する。
【0065】
排気部(120)は、排気部胴体(124)、絶縁板(123)、フィルター(122)、及び排気カバー(121)を含む。
【0066】
排気部胴体(124)の左右側面には一対の側面部材(111)がそれぞれ結合し、排気部胴体(124)の上側面の中央部には絶縁板(123)及びフィルター(122)が収容される収容部(符号なし)が陥没して形成され、絶縁板(123)を複数の排気孔(符号なし)が貫通してもよい。
【0067】
排気部胴体(124)の上側面には排気カバー(121)が結合し、排気カバー(121)の中央部には複数のガス放出口(符号なし)が貫通形成されてもよい。
【0068】
排気部(120)には、絶縁板(123)、フィルター(122)、及び排気カバー(121)が下側から上側に向かって順に位置する。このため、絶縁板(123)の排気孔(図示せず)に流入した金属ガスは、フィルター(122)を通過した後、ガス放出口(図示せず)を通じて遮断器(10)の外部に排出される。
【0069】
アーク消弧組立体(100)は、排気部(120)を通じて遮断器胴体(11)に結合してもよい。
【0070】
排気カバー(121)の前方側と後方側には締結孔(符号なし)がそれぞれ形成され、排気カバー(121)が遮断器(10)の収容空間(S1)の開放部を覆っている状態で、締結部材(図示せず)が締結孔を通じて遮断器胴体(11)に結合できるようになる。
【0071】
排気部(120)は、アーク消弧組立体(100)の内部の圧力上昇手段として機能する。具体的に、排気部(120)が収容空間(S1)の開放部を覆い、金属ガスの発生時にアーク消弧組立体(100)の内部の圧力が瞬間的に上昇することがある。この場合、アーク消弧組立体(100)の内部の圧力と遮断器(10)の外部の一時的な圧力差が発生し、金属ガスが排気部(120)の排気孔に向かって移動し得る。
【0072】
側面部材(111)は、一定の距離だけ互いに離間し、対向するように配置される一対の板状になっていてもよい。
【0073】
側面部材(111)の間には、グリッド(130)とアークランナー(140)とが配置されるようになる。
【0074】
また、側面部材(111)の中央部をグリッド締結孔(111b)とアークランナー締結孔(図示せず)とが貫通してもよい。
【0075】
グリッド締結孔(111b)とアークランナー締結孔(図示せず)とには、グリッド締結突部(図示せず)とアークランナー締結突部(図示せず)とがそれぞれ挿入されるようになる。
【0076】
グリッド締結孔(111b)及びアークランナー締結孔(図示せず)は、グリッド締結突部(図示せず)及びアークランナー締結突部(図示せず)と対応する大きさ又は少し小さな大きさで形成されてもよい。このため、グリッド締結孔(111b)とアークランナー締結孔(図示せず)とには、グリッド締結突部とアークランナー締結突部とがそれぞれ圧入されるようになる。
【0077】
各側面部材(111)には、アークガイド(150)がそれぞれ結合されてもよい。側面部材(111)の下側には、アークガイド(150)との結合のためのアークガイド締結孔(111c)が貫通形成される。アークガイド締結孔(111c)は、前記側面部材(111)の一側を貫通する円筒状の孔(hole)の形状になっていてもよい。
【0078】
また、側面部材(111)には、前記アークガイド締結孔(111c)と一定の距離だけ離間した位置にコア(211)の固定軸(213)が位置するように、固定縮支持溝(111d)が形成されるようになる。
【0079】
アークガイド(150)の一側面は、前記側面部材(111)と密着するように位置する。
【0080】
このとき、アークガイド(150)の一側面には、アークガイド締結部(151)が前記側面部材(111)に向かう方向に突設されてもよい。
【0081】
また、前記一側面には、前記アークガイド締結部(151)と離間した位置にコア(211)が固定されるための固定軸挿入孔(152)が形成されてもよい。
【0082】
アークガイド(150)に突設されるアークガイド締結部(151)は、アークガイド締結孔(111c)に結合することでアークガイド(150)が側面部材(111)に結合できるようにする。
【0083】
アークガイド(150)に形成された固定軸挿入孔(152)にはコア(211)の固定軸(213)が挿入され、固定軸(213)は固定縮支持溝(111d)に位置してもよい。
【0084】
側面部材(111)の上側には、排気部(120)との結合のためのネジ締結孔(111a)が形成され、一対の側面部材(111)は、それぞれ排気部(120)と結合できるようになる。排気部胴体(124)には、側面部材(111)との結合のためのネジ結合溝(図示せず)が形成されるようになる。
【0085】
側面部材(111)が排気部胴体(124)に結合した状態で、締結ネジ(図示せず)がネジ締結孔(111a)を貫通してネジ締結溝(124a)に結合される。
グリッド(130)は板状になっており、固定接触点(13a)から離れる一方向に互いに所定間隔だけ離間して複数積層される構造を有する。
【0086】
グリッド(130)の両側面にはグリッド締結突部(図示せず)が突設され、グリッド締結孔(111b)に挿入されるように位置する。グリッド(130)は、一対の側面部材(111)の間で固定できるようになる。
【0087】
グリッド(130)は、アークに電磁気的引力を印加できる任意の素材からなってもよく、例えば、鉄(Fe)からなってもよい。
【0088】
複数のグリッド(130)の間でアークが伸びて移動することでアーク電圧が増加し、アークが冷却されるようになる。
【0089】
アークランナー(140)は板状に形成され、複数のグリッド(130)と後方に所定距離だけ離間して位置してもよい。
【0090】
発生したアークは、アークランナー(140)の下側端部まで伸びてアークランナー(140)に乗って流れる。アークがアークランナー(140)まで到達しない場合、アーク消弧性能が低減し得るため、アークランナー(140)の下側端部は固定接触点(13a)に向かって屈曲した形状になっていてもよい。
【0091】
屈曲して形成されるアークランナー(140)の下側端部は、複数のグリッド(130)のうち後方側に位置するグリッド(130)の下側に位置する。アークランナー(140)の屈曲した構造によってアークランナー(140)の下側端部と固定接触点(13a)との間の距離が短縮される。
【0092】
アークランナー(140)は、アークに電磁気的引力を印加できる任意の素材で形成されてもよく、例えば、アークランナーは、鉄(Fe)素材で形成されてもよい。
【0093】
アークガイド(150)は一対で備えられ、グリッド(130)の下側で一対の側面部材(111)にそれぞれ結合してもよい。
【0094】
アークガイド(150)は絶縁材質で形成され、グリッド(130)の積層方向に沿って延設されてもよい。すなわち、アークガイド(150)は、固定接触点(13a)から離れる方向に延設されてもよい。
【0095】
アークガイド(150)は、グリッド(130)の下側から後方側に延びる形状になっていてもよい。
【0096】
アークガイド(150)は、互いに対向するように設けられる一対の部材からなってもよく、各部材の間に形成される空間の大きさを減少させることができる。このため、異常電流の発生時に固定接点で発生する金属ガスが分散することを減らすことができる。
【0097】
また、アークガイド(150)を構成する各部材(図示せず)は、それらの間の距離が前方側から後方側に行くほど遠くなり、一対の部材間の空間の大きさは、前方側から後方側に行くほど増加できる。
【0098】
この場合、固定接触点で金属ガスが発生すると、前方側と後方側との圧力差が発生するため、金属ガスは前記圧力差によって後方側に押されるようになる。これにより、前方側から後方側にアークの伸び長さ及び伸び速度が増加できるであろう。
【0099】
また、アーク消弧組立体(100)はマグネット(200)を含んでもよい。
【0100】
マグネット(200)は、側面部材(111)の下部に位置するもので、互いに対向するように配置される各アークガイド(150)の間に配置されてもよい。
【0101】
遮断器(10)に小電流が印加される場合、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とが互いに離間することにより回転してトリップ動作(trip mechanism)が行われることで発生するアークの圧力そのものだけでは、アークをアーク消弧組立体(100)まで円滑に案内することが困難である。このため、アーク消弧組立体(100)にはマグネット(200)が設けられ、発生したアークの移動を誘導する役割をするようになる。
【0102】
以下では、マグネット(200)が適用されたアーク消弧組立体(100)の構造について詳しく検討する。
【0103】
図6は、アーク消弧組立体(100)の縦断面図を示し、
図7は、マグネット(200)によって磁場が形成された様子を示す概念図である。
【0104】
また、
図8aは、電磁石(210)に永久磁石(220)が結合される様子を示す斜視図であり、
図8bは、マグネット(200)に電流が流れるときの様子を示す概念図である。
【0105】
上記で検討したように、アーク消弧組立体(100)の下側で可動接触点(14a)が固定接触点(13a)が離間するとアークが発生する。アークは可動接触点(14a)に沿って伸び得る。
【0106】
可動接触点(14a)と固定接触点(13a)との間で金属のガスが発生して瞬間的に固定接触点(13a)の部分の圧力が瞬間的に上昇し、圧力差によってアークがグリッド(130)とアークランナー(140)とに向かって伸びるようになる。
【0107】
伸びたアークは複数のグリッド(130)とアークランナー(140)とに到達し、アークは、グリッド(130)及びアークランナー(140)に乗って流れて上側に伸びて冷却されるようになる。
【0108】
但し、小電流の遮断が必要な場合、可動接触点(14a)が固定接触点(13a)から離れて発生したアークをグリッド(130)及びアークランナー(140)に向かって押す力が十分でないおそれがあり、アーク消弧が十分に行われないため、遮断器の他の構成に損傷が発生するという問題が発生し得る。
【0109】
このような問題を解消するため、アーク消弧組立体(100)は、側面部材(111)の下側に設けられるマグネット(200)を含んでもよい。
【0110】
図6に見られるように、マグネット(200)は、アークガイド(150)に隣接した位置に設けられ、マグネット(200)は、グリッド(130)に向かう方向に磁場を形成する役割をするようになる。
【0111】
マグネット(200)は、発生したアークをグリッド(130)とアークランナー(140)とに向かって移動できるようになる。
【0112】
マグネット(200)は、電磁石(210)と永久磁石(220)とで構成されてもよい。
【0113】
電磁石(210)は、円筒状の強磁性体からなるコア(211)と、コア(211)の外側面を取り囲むように設けられるコイル(212)とで構成されてもよい。
【0114】
コア(211)は、一方向に延びる円筒状の磁化(magnetize)可能な材質からなってもよく、コイル(212)に流れる電流によってコア(211)は磁化して磁場を形成できるようになる。
【0115】
このとき、コア(211)は、コイル(212)に流れる電流方向によって発生する電磁気力の方向を異なるように形成できるであろう。例えば、
図8aの右側からコア(211)を見たときを基準として、コア(211)には時計回り又は反時計回りに電流が流れてもよい。このとき、コア(211)を取り囲むように設けられるコイル(212)に沿って電流が時計回りに移動すると、電磁石(210)の図面上の左側部はN極に磁化し、右側部はS極に磁化し得る。
【0116】
同様に、コイル(212)に沿って移動する電流が反時計回りに移動すると、図面上の電磁石(210)の右側部はN極に磁化し、左側部はS極に磁化するようになるであろう。
【0117】
これにより、遮断器の正接続又は逆接続によって電流の移動方向が変わっても、電磁石(210)によって形成される磁場がアークに作用して、アーク消弧組立体(100)の上部に向かう方向にアークに力を作用できるようになるであろう。これによって、アークは、グリッド(130)に乗ってより円滑に消弧できるようになるであろう。
【0118】
コア(211)の両端には、側面部材(111)の内側面に挿入支持されるように固定軸(213)がそれぞれ突設されてもよい。各固定軸(213)は、側面部材(111)の内側面に安着して固定されてもよい。
【0119】
具体的に、固定軸(213)は、アークガイド(150)に形成された固定軸挿入孔(152)を貫通して前記側面部材(111)に形成された固定軸支持溝(111d)に安着するように位置してもよい。
【0120】
また、他の実施例として、図示してはいないが、コア(211)は、アークガイド(150)と隣接した位置で一定の距離だけ離間した位置に設けられてもよい。
【0121】
この場合、コア(211)に形成された固定軸(213)は、アークガイド(150)とは一定の距離だけ離間した位置で側面部材(111)に形成された固定軸支持溝(111d)に直接結合されることが可能であろう。すなわち、コア(211)は、アークガイド(150)と接触することなく側面部材(111)に直接固定設置されてもよい。
【0122】
このとき、アークガイド(150)の一側面には、アークガイド締結部(151)が前記側面部材(111)に向かう方向に突設されてもよい。アークガイド締結部(151)は複数からなってもよく、この場合、各アークガイド締結部(151)に対応して、側面部材(111)にはアークガイド締結孔(111c)が複数形成されてもよい。
【0123】
図7に見られるように、コイル(212)に沿って電流(I)が印加される場合、電磁石(210)のコア(211)は、図面上の右側がS極に、左側がN極に磁化して磁場を形成するようになる。コイル(212)に沿って電流(I)が移動しながら電磁石(210)のコア(211)が磁化する場合、これと接触している側面部材(111)も磁化し、磁場の強度がより大きくなり得る。
【0124】
側面部材(111)は、金属として鉄(Fe)のような強磁性体からなってもよい。側面部材(111)が強磁性体からなる場合、前記マグネット(200)によって側面部材(111)が磁化することができ、これにより、マグネット(200)と共により大きな磁場を形成できるようになるであろう。
【0125】
仮に、側面部材(111)の外側面に絶縁物質が形成されていない場合、グリッド(130)に乗って移動するアークが側面部材(111)を通じて移動するようになるという問題が生じる可能性がある。
【0126】
このため、複数のグリッド(130) の両側に位置する側面部材(111)の外側面には、絶縁物質(図示せず)が塗布されてもよい。絶縁物質は、側面部材(111)の外部露出面を取り囲むか、塗布されて一定の層を形成してもよい。
【0127】
ここで、絶縁物質とは非金属材料を意味し、プラスチックのようなポリ性樹脂、ゴム及び非金属性物質のいずれか1つを意味することができる。
【0128】
このとき、遮断器に作用する電流の通電方向が紙面から出る方向である場合、アークに印加される力(F)の合力は上部に向かう方向に形成されるため、遮断器(10)で発生したアークには、アーク消弧組立体(100)の上部に向かう方向に力が作用するであろう。このため、アークは、グリッド(130)に乗って移動してより円滑に消弧できるようになるであろう。
【0129】
他の例として、遮断器に作用する電流の通電方向が紙面から入る方向である場合は、電磁石(210)のコア(211)を取り囲むコイル(212)に流れる電流の方向が、前述の内容と反対の方向になるようにすることで、遮断器(10)で発生したアークに対してアーク消弧組立体(100)の上部に向かう方向に力を作用させることができるであろう。
【0130】
マグネット(200)は、電磁石(210)によって形成される電磁気力と同一の方向に電磁気力を形成できる永久磁石(220)を含んでもよい。
【0131】
永久磁石(220)は円筒状の形状になり、第1極(221)と第2極(222)、及び電磁石のコア(211)に位置して回転するための回転軸(223)を含んでもよい。
【0132】
永久磁石(220)は、第1極(221)と第2極(222)は、互いに異なる極性を有するS極又はN極になってもよく、電磁石(210)の磁化による磁場の大きさを増加させる役割をするようになる。
【0133】
永久磁石(220)は、電磁石(210)の内部に設けられてもよい。電磁石(210)には、永久磁石を収容可能なように一定の空間からなる永久磁石収容部(214)が形成されてもよい。永久磁石(220)は、永久磁石収容部(214)に位置した状態で電磁石(210)の延び方向と交差する方向に回転してもよい。
【0134】
このため、電磁石(210)のコイル(212)に電流が流れてコア(211)が磁化する場合、永久磁石(220)は回転軸(223)を基準として回転することができ、電磁石(210)に形成された磁束の大きさを補強できるようになる。
【0135】
すなわち、異常電流が検知されて可動接触点(14a)が固定接触点(13a)から離間すると瞬間的に金属ガスが発生し、発生した金属ガスを通じてアークが流れるようになる。
【0136】
金属ガスが発生すると、金属ガスが発生した部分の圧力が瞬間的に増加し、その結果、金属ガスは圧力差によってアーク消弧組立体(100)の排気部(120)に向かって上昇する。これにより、金属ガスを通じて流れるアークが上昇してアーチ状に伸びるようになる。
【0137】
発生したアークは、アークガイド(150)の間の空間を通過してグリッド(130)及びアークランナー(140)に移動して、グリッド(130)及びアークランナー(140)で消弧過程を経て遮断器(10)の外部に排出されなければならない。
【0138】
発生したアークは高温高圧の電子の流れであり、早い時間内に遮断器(10)の外部に排出されることが好ましい。このために、発生したアークが固定接触点(13a)から最も遠く位置したアークランナー(140)まで速く伸びた後、排気部(120)に向かって速く伸びることが好ましい。
【0139】
但し、遮断器に印加される電流の大きさが小さい場合、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)との離間時に発生する瞬間的な圧力増加量が相対的に低くなるため、アークがアークランナー(140)まで到達されず、アーク消弧性能が低下するという問題点が生じ得る。
【0140】
このため、本発明による、アーク消弧組立体(100)は、互いに対向するように位置する側面部材(111)の間でアークガイド(150)に隣接した位置に設けられる電磁石(210)と、電磁石(210)の内部に設けられる永久磁石(220)とによって、アークがアークランナー(140)まで円滑に伸び得るようになる。
【0141】
図9は、本発明の他の実施例によるアーク消弧組立体(100)の様子を示す。
【0142】
本実施例によるアーク消弧組立体(100)は、変形した構造のマグネット(200)を除いては、前述のアーク消弧組立体(100)と同一の構造を有する。
【0143】
このため、以下ではマグネット(200)の変形した構造について具体的に説明し、残りの構成については重複する範囲でその説明を省略する。
【0144】
図9に見られるように、マグネット(200)の電磁石(210)内には複数の永久磁石(220a、220b、220c)が設けられてもよい。
【0145】
この場合、電磁石(210)を構成するコア(211)には、前記各永久磁石(220a、220b、220c)が収容されるように複数の永久磁石収容部(214)が形成されるようになる。
【0146】
複数の永久磁石(220a、220b、220c)とは2つ以上の永久磁石を意味でき、例えば、
図9に見られるように、3つの永久磁石で構成されることも可能であろう。但し、これは一例であるだけ、永久磁石の数は、コアの幅と長さになどを考慮してユーザによって選択されてもよい。
【0147】
複数の永久磁石(220a、220b、220c)で形成される電磁気力によってアークに作用する上方向への力が大きくなるため、アークは、グリッド(130)とアークランナー(140)とに乗ってより迅速に伸び得、その結果、アークの消弧性能が向上できるようになるであろう。
【0148】
特に、ユーザが電流の大きくない小電流を用いる場合、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)との離間によって発生する瞬間的な圧力増加量が相対的に小さくなるため、アークがアークランナー(140)まで到達されず、アーク消弧性能が低下するようになる。
【0149】
このため、マグネット(200)の電磁石(210)の内部に複数の永久磁石(220a、220b、220c)が設けられることで、電磁石(210)と共にアークに電磁気力を作用させることにより、アークランナー(140)までより円滑に伸び得るようにする。
【0150】
上記のように説明されたアーク消弧組立体、及びこれを有する遮断器は、上述した実施例の構成と方法が限定されるように適用できるのでなく、上記実施例は様々な変形がなされるように各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わせられて構成されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、電流を遮断して発生したアークを効果的に消弧するようにマグネットが設けられるアーク消弧組立体と、これを含む遮断器とを提供することができるため、産業上の利用可能性がある。