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特許7439293導波管強化分析物検出ストリップを備えたドッキングステーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】導波管強化分析物検出ストリップを備えたドッキングステーション
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240219BHJP
   G01N 21/65 20060101ALI20240219BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N21/65
G01N37/00 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022557761
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021022996
(87)【国際公開番号】W WO2021194847
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】62/993,033
(32)【優先日】2020-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/104,636
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/056,580
(32)【優先日】2020-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522373965
【氏名又は名称】ストライク フォトニクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】キャロザーズ,ダニエル
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096813(JP,A)
【文献】特表2014-503800(JP,A)
【文献】特表2014-535051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0222799(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/62-21/74
35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端部を有する検査カードと、
前記検査カード上に位置付けられ、
シリコン基板、
前記シリコン基板上に形成されるとともに外面および複数の側面を含む非クラッドセンサ部を有する平面導波管であって、前記シリコン基板が半導体材料を含む平面導波管、
前記平面導波管の前記非クラッドセンサ部の前記外面上および前記複数の側面上に位置付けられる複数のナノ粒子であって、前記複数のナノ粒子の濃度は、前記平面導波管の前記外面よりも前記側面の方が高い複数のナノ粒子、
前記平面導波管上に位置付けられ、前記平面導波管と流体連通する流体入力ポートであって、前記流体入力ポート内に堆積された分析物が前記平面導波管に接触することを可能にする流体入力ポート、および
前記シリコン基板のV字溝に位置付けられる複数の光ファイバであって、前記平面導波管に光学的に接続し前記検査カードの前記接続端部まで延在する複数の光ファイバを含む光出力端部、
を含む検査構造と、を備える検査装置。
【請求項2】
前記検査カードは、前記検査カード内に位置付けられた複数の相互接続された金属レベルを含み、
前記検査構造は、前記検査構造の前記シリコン基板内に位置付けられた複数の相互接続された金属レベルを含み、前記検査構造の前記複数の相互接続された金属レベルは、前記検査カードの前記複数の相互接続された金属レベルに接続される、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査構造の前記複数の相互接続された金属レベルは、前記検査構造の前記シリコン基板内に位置付けられるとともに前記平面導波管に隣接する駆動電極を含む、請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記平面導波管の前記光出力端部がファセット面である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記検査カードは、内部に複数の相互接続された金属レベル、および前記検査カードの前記複数の相互接続された金属レベルに電気的に接続された表面電極を含む前記接続端部を有するプリント回路基板であり、前記検査構造の前記複数の相互接続された金属レベルは、前記プリント回路基板の前記複数の相互接続された金属レベルに電気的に接続され、前記接続端部はさらに、前記検査構造の前記光ファイバに光学的に接続されたフェルールを含む、請求項2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記平面導波管は、前記側面および前記外面に位置付けられた窒化物層を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記平面導波管は、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素を備える、請求項1に記載の検査装置。
【請求項8】
前記検査カードは、前記検査カードの前記接続端部に隣接して位置付けられたV字溝ファイバマウントベースを含み、前記検査構造の前記複数の光ファイバは、前記検査構造から前記V字溝ファイバマウントベースまで延在し、前記光ファイバは、前記V字溝ファイバマウントベースのV字型溝内に位置付けられる、請求項1に記載の検査装置。
【請求項9】
前記検査カードの前記接続端部は、フェルールマウントベースと、前記フェルールマウントベースから延在する複数の光フェルールとを備え、前記複数の光フェルールは、前記検査構造の前記複数の光ファイバに光学的に接続される、請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
1つ以上の相互接続された金属レベルおよび接続端部を有する検査カードと、
前記検査カード上に配置された検査構造であって、
シリコン基板、
前記シリコン基板上に形成されるとともに外面および複数の側面を含む非クラッドセンサ部を有する平面導波管であって、前記シリコン基板が半導体材料を含む平面導波管、
前記平面導波管の前記非クラッドセンサ部の前記外面上および前記複数の側面上に位置付けられる複数のナノ粒子であって、前記複数のナノ粒子の濃度は、前記平面導波管の前記外面よりも前記側面の方が高い複数のナノ粒子、
前記平面導波管上に位置付けられ、前記平面導波管と流体連通する流体入力ポートであって、前記流体入力ポート内に堆積された分析物が前記平面導波管に接触することを可能にする流体入力ポート、および
前記シリコン基板のV字溝に位置付けられる複数の光ファイバであって、前記平面導波管に光学的に接続し前記検査カードの前記接続端部まで延在する複数の光ファイバを含む光出力端部、
を含む検査構造と、
前記検査カードの前記接続端部を内部に受け入れるためのドッキングステーションであって、
前記検査カードの前記接続端部を内部に受け入れるように構成された検査カードインターフェースを有するハウジング、
前記ハウジング内に配置され、前記検査構造と光学的に位置合わせされ、そこから伝送を受信するレーザー、
前記ハウジング内に配置され、前記検査構造に光学的に接続され得るとともにそこから光伝送を受け入れる集積型干渉計および分光計、および
ハウジング内に配置されたデータプロセッサおよび制御ボードであって、前記制御ボードは、接続されるレーザー、干渉計、およびデータプロセッサの動作を制御するように構成されるデータプロセッサおよび制御ボード、
を含むドッキングステーションと、を含む検査構造と
を備える検査装置。
【請求項11】
前記ドッキングステーションは、電源と、前記ドッキングステーションからのデータの無線伝送のための通信回路と、をさらに備える、請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記通信回路は前記データの無線伝送のためのアンテナに接続される、請求項11に記載の検査装置。
【請求項13】
前記制御ボードに動作可能に接続される、レーザー駆動装置およびセンサと、誘電泳動フィルタ(DPF)駆動装置およびセンサと、干渉計駆動装置およびセンサと、をさらに備える、請求項10に記載の検査装置。
【請求項14】
前記ドッキングステーションは、前記検査カード基板を内部に受け入れ、前記検査カードの前記基板を前記ドッキングステーションと光学的および電気的に位置合わせするように構成されたバネ付クリップをさらに含む、請求項10に記載の検査装置。
【請求項15】
前記検査構造は、前記検査カードの1つまたは複数の相互接続された金属レベルに接続された、前記検査構造の前記シリコン基板内に形成された1つまたは複数の相互接続された金属レベルを含む、請求項10に記載の検査装置。
【請求項16】
前記検査構造の前記シリコン基板の前記1つまたは複数の相互接続された金属レベルは、前記シリコン基板内に位置付けられ、前記平面導波管に隣接する駆動電極を含む、請求項15に記載の検査装置。
【請求項17】
前記平面導波管の前記光出力端部がファセット面である、請求項10に記載の検査装置。
【請求項18】
前記検査カードの前記接続端部は、フェルールマウントベースと、前記フェルールマウントベースから延在する複数の光フェルールとを備え、前記複数の光フェルールは前記複数の光ファイバに光学的に接続され、前記光ファイバは、前記複数の光フェルール内に延在し、前記ドッキングステーションへの光接続を提供するように構成される、請求項10に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「DOCK STATION WITH WAVEGUIDE ENHANCED ANALYTE DETECTION STRIP」と題する2020年3月24日に出願された米国特許出願第62/994,200号、「ENHANCED WAVEGUIDE WITH MICROFLUIDIC PUMP」と題する2020年7月25日に出願された米国特許出願第63/056,580号、および「DOCKING STATION AND WAVEGUIDE WITH ENHANCED ANALYTE DETECTION STRIP AND OPTICAL AND ELECTRICAL ALIGNMENT SYSTEM」と題する2020年10月23日に提出された米国特許出願第63/104,636号の利益を主張するものであり、一般に本発明に割り当てられ、参照により本発明に組み込まれている。
【0002】
本発明は、ウイルス、細菌、薬物、または癌細胞などの分析物病原体を含む分析物の迅速な検出または検査のための光学またはフォトデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
COVID-19のような新しいウイルスの突然の発症により、感染した可能性のある個人の迅速な検出が緊急に必要とされている。ごく最近のCOVID-19ウイルスのようなパンデミックは、新しく進化する生物学的脅威に対する検査技術の対応に関連する多くの問題を浮き彫りにしている。現在の検査技術は、現在の供給不足に直面しているだけでなく、結果を迅速に取得し報告する手段も提供していない。例えば、現在の検査技術では、ウイルスの存在を確認するのに数日かかる。さらに、対象者が十分な時間感染していない場合、検査は偽陰性を示し、それによって知らず知らずのうちに一般住民への曝露を引き起こす可能性がある。現在の検査技術には、変異を迅速に同定し追跡する能力も欠けている。さらに、報告時間の遅れは、政府当局が適切な政策を形成し実施する上で重要となりうる最新のデータを欠く原因となる。
【0004】
したがって、この技術において緊急に必要とされるのは、感染の可能性のある対象者における病原体の存在を正確かつ迅速に決定し報告することができる迅速な応答試験技術である。
【0005】
上記で議論された先行技術の欠陥に対処するために、本開示は、ウイルスまたは細菌のようなヒト病原体、ならびに薬物、その他の化学物質、または癌細胞を含む分析物の検出において、直接的、迅速かつ感度を高めた正確な測定および検出を提供する、独自の光学ベースの検出技術を提供する。COVID-19ウイルスが広がり続ける中、この技術は、現在のバイオアッセイの許容できないほど低い感度レベルと誤った結果とのギャップを埋めるために不可欠であり、単一のプラットフォームでより広範な感染性病原体をより迅速かつ高感度に検出する必要性が高まっている。
【0006】
ここに示す実施形態は、マイクロ流体および積層製造法によるフォトニック処理ソリューションを提供し、迅速なウイルス検出、同定、および報告ソリューションを提供するためのコンパクトで表面増強ラマン分光法(SERS:Surface-Enhanced Raman Spectroscopy)ベースのシステムを実装する。これらの実施形態は、任意の医療施設、公衆衛生、および第一対応者ユニットへの展開を可能にするデバイス取得コストで、特定の病原体の存在についての非常に正確でほぼリアルタイムのスクリーニングと報告を提供する。SERS相互作用からのラマンスペクトルをマイケルソン干渉計と結合した検出器を用いて検出する。ここに開示された実施形態は、感染のリアルタイム遠隔検出および監視;感染性病原体、汚染された体液への人員の曝露または輸送を制限する、制御され隔離されたテストプロトコルの迅速な同時同定;検査対象から隔離された人員への検査ストリップからのデータの無線伝送;ほぼ瞬時の検査結果;エージングアウトする試薬や試料の二次加工を必要としない検査の実施;低コストで、製造が容易で、迅速に展開でき、最小限の訓練で操作される検査要素;および、ウイルス検出以外の拡張された用途を提供する。
【0007】
この開示の実施形態には、迅速な分析物の検出と報告のために検査カードを挿入できるドッキングステーションが含まれる。このドッキングステーションにはポータブル機能もあり、ローカルサーバーまたはクラウドベースのサーバーへの有線または無線伝送を含めることができる。
【0008】
上記は、当業者が以下の詳細な説明をよりよく理解できるように特徴を概説したものである。クレームの主題を形成することができる追加の特徴を以下に説明する。当業者は、開示された概念および特定の例を、ここに開示されたのと同じ目的を遂行するために他の構造を設計または修正するための基礎として容易に使用できることを認識すべきである。当業者はまた、そのような同等の構成が開示の精神と範囲から逸脱していないことを認識すべきである。
本発明をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】検査カードを備えるドッキングステーションの一実施形態を示す。
図1B】ドッキングステーションに挿入するように構成された検査カードの一実施形態の上面図を示す。
図1C図1Bの検査カードの部分的な断面図を示す。
図1D】ドッキングステーションに挿入するように構成された検査カードの別の実施形態の斜視図を示す。
図1E】ドッキングステーションの光学回路との光学的位置合わせを実現し、検査カードとドッキングステーションとの間の電気的接続を実現するためにドッキングステーションに挿入された検査カードの別の実施形態の上面図を示す。
図1F】ドッキングステーションに接続されるように構成されたフレキシブル延長サンプリングストリップの斜視図を示す。
図2】ドッキングステーションに実装できる検査カードのマイクロ流体チャネルの導波管の部分的な断面図を示す。
図3A】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3B】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3C】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3D】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3E】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3F】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3G】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3H】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図3I】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4A】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4B】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4C】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4D】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4E】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4F】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4G】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図4H】マイクロ流体チャネルを製造するために使用されるプロセス実施形態から生じる中間デバイスの部分的な断面図を示す。
図5A】検査構造のマイクロ流体チャネルに接続されたマイクロ流体ポンプの異なる実施形態のレイアウト図を示す。
図5B】検査構造のマイクロ流体チャネルに接続されたマイクロ流体ポンプの異なる実施形態のレイアウト図を示す。
図6A】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態のフローチャートを示す。
図6B】検査構造の導波管を製造するために使用されるプロセス実施形態のフローチャートを示す。
図7】マイクロ流体チャネルを作成するために使用されるプロセス実施形態のフローチャートを示す。
図8】検査カードと構造およびドッキングステーションの一実施形態のブロック図の一実施形態を示す。
図9】ドッキングステーションの一実施形態内の異なる構成要素を示すブロック図の一実施形態を示す。
図10】干渉計と安定化光源の一実施形態のレイアウトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ヒトウイルスのリアルタイム検出と特性評価、およびその他の生化学的および非生化学的分析を提供するシステムが非常に必要とされている。現在、コロナウイルス、COVID-19のような病原体は、長いサイクルの潜伏、初期の無症候性感染、空気感染、およびその高い感染性の性質が組み合わさって、封じ込めに成功しないまま広まっている。単純で迅速かつ効率的な検査検出能力が欠如しているため、感染者は早期に隔離から移行したり、症状が出るまで完全に隔離を逃したりする可能性がある。本開示において提示される様々な実施形態は、これらの現在の緊急のニーズに対処するものである。
【0011】
図1Aは、上記のニーズに対処する検査装置100の一実施形態の斜視図である。例示された実施形態は、ドッキングステーション105と、ドッキングステーション内で受信されるように構成された検査カード110を含む。検査構造115は、検査カード110に配置され、接続される。以下に説明するように、検査構造115は、検査される流体または分析物の流体経路を提供するマイクロ流体チャネルを有する。検査構造115は、以下に説明するように、その中に形成された修正された導波管を有する。光導波管は、導電性ナノ粒子またはそれに関連したナノ構造で修正されるが、これについても後述する。検査サンプルまたは分析物が検査構造115に適用された後、検査サンプルを含む検査カード110がドッキングステーション105に挿入される。ここでの実施形態は、以下でより詳細に説明するように、検査構造115の光学回路、検査カード110の電子回路、およびドッキングステーション105の光学および電気回路が、検査カード110、検査構造、およびドッキングステーション105の間の光学および電気パスを形成するように整合させる光学的および電気的位置合わせ(alignment)システムを提供する。検査カード110とドッキングステーション105との連携により、分析物のほぼ瞬時かつ正確な検査結果が得られる。
【0012】
検査カード110/検査構造115とドッキングステーション105との間の光学および電気回路の適切な機械的位置合わせは、いくつかの方法で達成することができる。例えば、ある実施形態では、図1Bおよび図1Bの一般的な断面図である図1Cに見られるように、検査カード110はプリント基板(PCB)であり、PCBの層間に形成された1つ以上の金属レベル110aを含む。図1Cに概略的に示すように、1つ以上の金属レベル110aは、検査構造115の1つ以上の金属レベル115aに電気的に接続されている。既知のプロセスを使用して設計および製造することができる1つ以上の金属レベル110a、115aは、検査カード110のインターフェース端110cで検査構造115を電気リード接点110bに電気的に接続する。この実施形態は、検査流体をその中で受け取ることができる流体入力ポート115bを備えた検査構造115を含む。前述のように、電気リード接点110bは、検査カード110がドッキングステーション105に挿入されたときに、検査カード110とドッキングステーション105との間の電気的接続を提供する。さらに、一実施形態では、検査構造115は、検査構造115の基板に形成されたV字型の溝に配置することができる光ファイバー115dを含む光インターフェース端部115cを含む。光ファイバ115dは、検査構造115とドッキングステーション105内の光学部品との間の光接続を提供し、電気リード接点110bは、検査カード110とドッキングステーション105との間の電気接続を提供する。
【0013】
図1Dは、検査カード110および検査構造115の別の実施形態の斜視図を示している。この実施形態では、検査カード110は、検査カード110がドッキングステーション105に適切に挿入されたときに、ドッキングステーション105の電気回路(図1A)への電気接続を提供する電気リード接点110bを含む。特定の実施形態では、静電短絡の発生を防ぐために、電気リード接点110bに接地リード110b(2)を含めることができる。検査構造115は、光フェルール(ferrule)キャップ110eがマウントされたV字型の溝型のファイバマウントベース110dまで延びる2つのV字型の溝型の光ファイバ115d(dual V-Groove optical fibers)を含む。光フェルールキャップベース110eは、間隔を空けて配置され、光ファイバ115dが延びる光フェルール110fを含む。光ファイバ115dは、検査構造115の導波管205に光学的に接続され。光ファイバ115cとフェルール110fは2つしか示されていないが、他の実施形態では示されている数以上の光ファイバと光フェルールを含むことができる。この図には示されていないが、検査カード115内の前述の金属レベルは、検査構造115から電気リード接点110bまで延在し、検査カード110と図1Aのドッキングステーション105との間の電気的接続を提供する。検査カード110をドッキングステーションに挿入すると、検査構造115の光学リードおよび電気リードは、図1Aのドッキングステーション105の光学および電気回路に位置合わせされるか、接続される。
【0014】
上記で説明した実施形態では、既知のリフロープロセスを使用して検査構造115を検査カード110に取り付け、検査カード110の金属レベル110aを検査構造115の金属レベル115aと電気的に接触させることができる。
【0015】
図1Eは、図1Aのドッキングステーション105が、検査構造115の2つのV字型の溝型の光ファイバ115dを、導波管105bおよびドッキングステーション105の電気回路(図示せず)と適切な光学的および電気的位置合わせに保持するために使用される、スプリングバイアスクリップ装置105aを含む一実施形態の部分的な上面図を示している。この実施形態では、検査カード110上に検査構造115を高精度に配置して位置合わせの複雑さを軽減し、x軸とz軸の導波管端の位置精度を5ミクロン未満にすることができる。スプリングバイアスクリップ装置105aは、検査構造115と検査カード110の端をドッキングステーション105との光学的および電気的接続に導くだけでなく、一度接続が行われると、ドッキングステーション105に対して相対的に検査カード110を保持する。さらに別の実施形態では、導波管位置合わせの正確な基準を提供するために、滑らかな表面と既知の厚さを実現するために、検査カードにアルミナを使用することができる。
【0016】
前述のように、検査構造115には流体サンプルまたは入力ポート115bがある。しかしながら、場合によっては、サンプルを提供する者を検査を実施する者からさらに隔離することが望ましい場合もある。このような場合には、拡張検査ストリップ構成を利用することができる。図1Fは、検査構造115がフレキシブルストリップ120a内に配置された光学的および電気的経路(図示せず)を持つフレキシブルサンプリングアダプタ120に接続可能な一実施形態を示している。フレキシブルサンプリングアダプタ120の一端には、対応する光学V溝115bと、検査構造115に接続する電気接点があり、反対側の端には、V字型の溝120bと、検査カード110に接続する電気接点があり、これらは、上述の実施形態を介してドッキングステーションに挿入することができる。距離規制が必要な場合、フレキシブルサンプリングアダプタ120は、検査サンプルを収集する際により多くの距離の分離を可能にする。
【0017】
操作の一実施形態では、ドッキングステーション105内のフォトニック測定インフラストラクチャと検査カード110上の検査構造115との間の光学的位置合わせを確保するためのキャリブレーションサイクルが行われるドッキングステーション105に検査カード110が配置される。このキャリブレーションが完了すると、緑色のLED、またはその他のキューによって、検査カード110のサンプルの準備ができていることが示される。分析物の単一液滴を流体入力またはサンプルポート115bに置く。必要なサンプル体積は0.1nLから10nLの間である。検査構造115のマイクロ流体チャネル内の伝搬は、チャネル内の抵抗変化によって測定される。サンプルを検出した後、目標長を伝播するとして、誘電泳動(dielectrophoretic)のサイクルを可変周波数で行い、ラマンスペクトル測定を行うことで、上記のように必要に応じて過剰な生体分子干渉を差し引く機構を提供することで、最高レベルの精度を確保する。
【0018】
図2は、図1に一般的に示されているように、検査カード110の検査構造115の一実施形態の部分的な断面図を示す。この実施形態では、検査構造115は半導体基板210上に配置された導波管205を含む。半導体基板210は、シリコン基板上の二酸化シリコンを備え、二酸化シリコン層内に形成された1つ以上の相互接続された金属レベル210a、210bを含む。既知のリソグラフィおよび蒸着プロセスを使用して、検査構造115を作成することができる。一実施形態では、半導体基板210内の金属レベル210a、210bの1つは、導波管205に垂直な電磁場を形成するために使用できる誘電体泳動フィルタ(DPF)を形成するために使用できる2つの電極の1つである駆動電極215を含み得る。DPFはDPFドライバによって駆動される。ただし、他の実施形態では、駆動電極215はオプションであり、したがって、存在しない場合もある。一実施形態では、導波管205はSiN、Si、SiONなどの窒化シリコン材料を含み、既知のリソグラフィおよび蒸着プロセスを使用して蒸着およびエッチングすることができる。窒化シリコンを例として挙げたが、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、シリコン、酸化アルミニウム、オキシ窒化シリコン、ドープ二酸化シリコン(チタン、リチウム、リン、ホウ素など)、またはそれらの組み合わせなどの他のタイプの導波管を使用してもよく、これらも本開示の範囲内である。基板210、金属レベル210a、210b、および導波管205は、以下で説明する他の要素とともに、独自の光学検査回路を形成する。
【0019】
銀、金、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、またはそれらの組み合わせなどのナノ粒子220は、導波管205上または(本明細書および特許請求の範囲で使用される「または」は、連言形(conjunctive)および選言形(disjunctive)「および/または」を含む)隣接して位置する。つまり、ナノ粒子は、導波管205によって伝送される光信号の電荷移動、またはプラズモン共鳴を形成するのに十分に近い。一実施形態では、ナノ粒子220の濃度は、外面205bよりも導波管205の側面205aにおいて、または隣接する側面の方が高くてもよい。本明細書および特許請求の範囲において、「外面(outer surface)」とは、マイクロ流体チャネル230の深さまで最も長く延びる表面である。ナノ粒子220は、導波管205の長さのセンサ部分に沿って延びている。センサ部分は、検査データが収集され、検査結果を決定するために使用される導波管205の部分である。センサ部分は、導波管205の長さを延長することも、その一部のみを延長することもできる。一実施形態では、導波管205にはクラッド部と非クラッド部があり、非クラッド部は導波管205のセンサ部である。このような実施形態では、ナノ粒子は非クラッド部に配置されるが、他の実施形態では、導波管205がクラッドされ、ナノ粒子が導波管205のクラッド上に堆積される場合がある。このような実施形態では、ナノ粒子は非クラッド部に配置されるが、他の実施形態では、導波管205の長さはクラッドされていてもよく、ナノ粒子は導波管205のセンシング長に沿ってクラッド上に堆積されてもよい。
【0020】
ナノ粒子220は、検査流体または分析物に関連するデータ収集を改善する。具体的には金属が挙げられるが、ナノスケールで蒸着や形成が可能な他の導電性の高い材料を使用することもできる。例えば、ナノ構造の半導体表面を使用して電荷移動、またはプラズモン共鳴を形成することもできる。使用が検討されている半導体材料には、炭化ケイ素、炭素、窒化ガリウムなどの狭いバンドギャップ材料のほか、ゲルマニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、アンチモン化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの狭いバンドギャップ材料がある。さらに、カルコジナイドモリブデンジスルフィド(MoS)のように、ナノ構造の挙動が独自の利点を持つ可能性のあるいくつかの進化中の半導体もある。
【0021】
半導体基板210の導波管205がある側に、第2のシリコン基板225が接合されている。第2シリコン基板225にはマイクロ流体チャネル230が形成される。マイクロ流体チャネル230は、一般的に示されているように、導波管205の側面205aと外面205bがマイクロ流体チャネル230内に延びるように、導波管205をカプセル化する。マイクロ流体チャネル230は、検査流体または分析物が配置されるチャネルを提供する。
【0022】
駆動電極215が存在するこれらの実施形態では、第2の基板225は駆動電極235を含む。駆動電極215と235を使用して、病原体などの対象の分子のナノ構造表面への制御された遷移を促進するための追加の電場を生成することができる。図の実施形態で見られるように、一般的に示されるように、駆動電極215は半導体基板210内に位置し、導波管205に隣接し、駆動電極235は第2のシリコン基板225上に位置し、マイクロ流体チャネル230内にある。駆動電極235は、別の実施形態で示されているように金属ストリップであってもよいし、n型基板またはシリコン表面を大量に注入して形成してもよい。駆動電極215および235を使用して、マイクロ流体チャネル230内で誘電泳動(DEP)力を発生させるための高周波(3-5MHz)電圧を電極に印加し、対象の分析物を測定表面に駆動することができる。
【0023】
DEPは、特定の質量とサイズの生体分子を、エバネッセント誘導プローブビームと相互作用する対象分析物の量を劇的に高めることができる測定表面に駆動するために使用される。DEP力は、導電性粒子と非導電性粒子の両方に加えることができ、直流(DC)または交流(AC)の場を使用することによって発生させることができる。誘電泳動力によって、ウイルスを非常に正確に分類することができる。DEP力は不均一な電場の存在下で懸濁粒子(浮遊粒子)に働く力である。力の大きさと方向は、電場強度、粒子半径、粒子と懸濁液との誘電率、および粒子と懸濁液との伝導率に関連している。DEPは、制御可能であり選択的かつ正確な対象ウイルスの操作を提供する。
【0024】
知られているように、DEPは生体分子の双極子と電場の空間勾配との相互作用による不均一な電場での粒子の動きである。生体分子の双極子は、主に2つの現象に由来する。1)原子の配向(orientation)と配置(configuration)による永久双極子、2)粒子表面に電荷の再分布をもたらす外部電場の印加によって生じる誘起双極子。
【0025】
生体分子の挙動は、物質が界面で電荷を生成する能力の尺度である分極率によって記述することができる。その分極率は、物質が電場に応答する能力の尺度であり、(i)電子分極、(ii)原子分極、(iii)配向分極という3つの基本的なメカニズムがある。
【0026】
10kHzから100MHzの動作周波数内の粒子に誘起された双極子の起源であるため、界面分極率は制限される。粒子の分極率が媒質の分極率より高い場合、粒子の側により多くの電荷が蓄積する。媒質の分極率が粒子の分極率よりも高い場合、媒質側により多くの電荷が蓄積する。この電荷の不均一な分布は、粒子の両側の電荷密度の違いを意味し、これにより、印加された電場と整列した粒子全体に誘起された双極子が生じる。粒子-媒質系が不均一な電場に置かれると、粒子は両端で異なる力を感じる。両端の力の差は、粒子と媒質の分極率に応じてどちらの方向にも正味の力を発生させる。
【0027】
交流誘電泳動AC-DEPを適用するための一般的な方法は、マイクロチャネルネットワーク内に埋め込まれた金属電極のアレイである。ほとんどの場合、これらの内部電極は平面(2-D)電極(すなわち、電極の高さは100ナノメートルのオーダーである)であり、デバイス内に製造される。AC-DEPは、ジュール発熱を防ぐ低い動作電圧により有利である。さらに、低い印加電圧は電界を発生させるために必要な回路を簡素化し、AC-DEPフォーカシングシステムを集積回路と互換性があり、バッテリー駆動のハンドヘルドデバイスに適したものにする。
【0028】
このように、DEPはウイルス検出技術を強化し、測定表面に沈着した選択的ウイルス分析物の量を強化し(enhancing)または高め(enriching)る。代替として、他の実施形態では、同じ検査構造内の多数の分析物の選択的、同時的、特性化および同定を可能にするために、生体分子をサイズおよび構造によって分離する周波数可変および位相選択的な誘電泳動を採用することができる。
【0029】
図3A-3Iは、検査構造115の複数の導波管205を製造するために使用できるプロセスの一実施形態の中間構造300の部分的な断面図を示す。図3Aは、二酸化シリコン層310を成長させたシリコン基板305を示す。また、窒化シリコン層315と、窒化シリコン層315上に位置するパターン化されたフォトレジスト層320も見られる。既知のプロセスおよび材料を使用して、この図示された中間構造および後述の中間構造を形成することができる。シリコン基板305は、P型ドーパントをドープした200mmのシリコンウェハであってもよく、実施形態によっては、ドーパント濃度と厚さが変わり得る。一実施形態では、二酸化シリコン層310は2000nmの厚さに形成することができる。後にパターン化されて導波管を形成する窒化シリコン315層の厚さも変わり得る。特定の実施形態では、厚さは約100nmから約200nmの範囲であり得る。一実施形態では、ドライエッチングを使用して窒化シリコン層315のマスクされていない部分をエッチングし、設計要件に応じて異なる間隔を持つ導波管を生成することができる。例えば、ある実施形態では、エッチングされた導波管の間隔は約300nmであり得る。
【0030】
図3Bは、図3Aに示すデバイスの中間的な実施形態を示しており、窒化シリコン315のパターン化に続いて複数の導波管315aを形成している。一実施形態では、既知のドライエッチングを用いて導波管315aを形成してもよい。導波管315aの1つの拡大図315bに示されているように、ドライエッチングにより、導波管の端部が約0°から約4°にテーパすることがある。導波管315aのテーパした端部は、電荷移動またはプラズモン共鳴をさらに形作るのに役立つ。ドライエッチングに続いて、ストリップレジストやウェハクリーンプロセスなどの既知のプロセスを使用して、残りのフォトレジスト320を導波管315aから除去する。いくつかの実施形態では、導波管315aは、その長さを長くするために様々な蛇行形状設計にパターン化することができる。例えば、図3Cは、導波管315aが長方形の折り畳み構成または蛇行形状315c、または円形構成315dでパターン化されるいくつかの例を示している。これらはいくつかの例としてのみ提示され、他の幾何学的デザインも本開示の範囲内である。さらに、フォトレジストのパターン化中に、同じレチクルを使用して、エッチングされたファセット(facet)表面330の近くにテーパ領域325(図3Dに見られるように)を形成することができる。この狭められたテーパ領域325は、導波管の出力端付近のモードおよび光伝送を改善する。一実施形態では、図3Dに見られるように、窒化シリコン導波管315の端部に光学ファセット表面を規定するためにディープエッチングを行うことができる。このオプションのエッチングは、下にあるシリコン酸化物を貫通し、さらに2~3ミクロンのシリコンの中にまでエッチングするように実施される。このような実施形態では、滑らかな酸化物表面を得るためにウェットクリーンのフォローが必要となる場合がある。
【0031】
図3Eは、残りのフォトレジスト320を除去し、その後のウェットエッチングプロセスのためのエッチング制御を提供する窒化物エッチストップ335を蒸着した後の図3Bのデバイスを示している。窒化物エッチストップ335を堆積させるために既知の堆積プロセスを使用することができ、約20nmから約30nmの範囲の厚さまで堆積させることができる。窒化物エッチストップ335は、以下に示すように、導波管のセンサ部分を露出させるために使用されるウェットエッチングのエッチング制御を提供する。
一実施形態では、この窒化物エッチストップ335は導波管上に残り、導波管の伝送容量を拡大する役割を果たす。窒化物エッチストップ335は、以下に示すように、導波管のセンサ部分を露出させるために使用されるウェットエッチングのエッチング制御を提供する。一実施形態では、窒化物エッチストップ335は導波管315a上に残り、導波管伝送容量を拡大する役割を果たし、分析物からのデータ収集をさらに強化する。
【0032】
図3Fは、既知の堆積プロセスを使用した、酸化シリコン層340の堆積後の図3Eの中間デバイスを示している。酸化シリコン層340の厚さは様々であるが、一実施形態では厚さは約2ミクロンであり得る。また、酸化シリコン層340は、後述するように導波管315aの少なくとも一部に対してクラッド層として機能する。
【0033】
図3Gは、フォトレジスト345にセンサ開口部350を形成するためにフォトレジスト345を蒸着し、パターン化した後の図3Fの中間デバイスを示している。センサ開口部350は、導波管の一部から酸化ケイ素を除去する後続のエッチングのために酸化シリコン340の領域を露出させ、その結果、ナノ粒子が堆積され、対象の分析物からデータを収集するために使用されるクラッドされていない導波管315aが生じる。次に、既知の基本的なウェット酸化物エッチングを行って、ターゲット導波管上のシリコン酸化物クラッドを除去すると、図3Hに示すように中間構造が得られる。図3Hに示すように、導波管315aの一部は二酸化シリコン340によってクラッドされたままであり、他の部分はクラッドされておらず、対象の分析物からデータを収集するためのセンサとして機能する。これらの非クラッド部分は、対象の分析物に関するデータを収集するために使用されるセンサ領域として機能する。
【0034】
図3Iは、図3Hに見られるように、露出した導波管315a上にナノ構造355が形成された後の中間構造を示している。いくつかの実施形態では、ナノ構造355は、約140nmから300nmピッチで約70nmから約100nmの範囲の直径を持つことができる。ただし、デバイスのパフォーマンスを最適化するために、他の範囲やピッチを使用することもできる。ナノ構造を形成するために異なる堆積プロセスを使用することができる。例えば、一実施形態では、ナノ構造355は、インクジェット堆積プロセスを使用して堆積させることができる。別の実施形態では、ナノ構造355は、深紫外線(DUV)フォトリソグラフィまたは金属蒸着リフトオフを伴う電子ビームリソグラフィを使用して、用いられることができる。このような実施形態では、リフトオフ構造の厚さは、平均直径に応じて、約40nmから約80nmの範囲である。
【0035】
図4A-4Hは、導波管205が形成されるウエハに最終的に接合されるウエハ内に上記のマイクロ流体チャネル230を製造するプロセスフローの一実施形態の中間構造400の部分的な断面図を示している。マイクロ流体チャネル230は、接合されると、図2に示すように、導波管の側面と最外面の周りに密閉された流体チャネルを形成する。一実施形態では、マイクロ流体チャネル230は、以下で説明するように、浅いエッチング構造と深いエッチング構造の二つのレベルから構成される。浅いエッチは横方向の毛細管流を支持し、深いエッチ構造はポスト裏面研削中に露出する通気口と供給口を提供する。
【0036】
図4Aは、一実施形態では、既知のP型ドーパントがドープされた200mmのシリコンウエハであり得るウエハ405を示し、その濃度と拡散深度は最適化された設計要件によって異なり得る。酸化成長や堆積プロセスなどの既知のプロセスを使用してシリコンウエハ405上に酸化物410を形成する。酸化層410の厚さは波打つことがある。例えば、ウェットエッチング条件では、厚さは約100nmまたは30nmから50nmであり得る。窒化シリコン層415は酸化物層410の上に配置され、特定の実施形態では、その厚さは約300nmであり得る。窒化シリコン層415は浅いトレンチエッチングのハードマスクの特徴である。酸化物層410は、その後のステップで窒化ケイ素415層の孤立除去を提供する。
【0037】
図4Bは、パターン化されたフォトレジスト420をもたらす既知のフォトレジスト堆積、現像、およびストリッププロセスに続く図4Aの中間デバイスを示している。パターン化されたフォトレジスト420は、その後にエッチングされる中間デバイスのトレンチ領域425を露出する。
【0038】
図4Cは、浅いトレンチ430を形成するウェットまたはドライエッチングのいずれかである既知のハードマスクエッチングプロセスに続く図4Bの中間デバイスを示している。エッチングの深さは様々であるが、特定の実施形態では、エッチングの深さは3から6ミクロンであり得る。見られるように、エッチは酸化層410と窒化シリコン層415の一部をアンダーカットする。パターン化されたフォトレジスト420は、示されているが、エッチングを行う前に除去することができる。エッチング後、窒化シリコン層415および酸化物層410は既知のストリップおよびクリーニングプロセスを用いて除去され、図4Dの中間デバイスが得られる。
【0039】
図4Eは、より深いトレンチを形成するために使用される浅いトレンチ430内のフォトレジスト層435の堆積とパターン形成に続く図4Dの中間デバイスを示している。一実施形態では、BOSCHエッチングプロセスのような深い反応性イオンエッチングプロセスを使用して、深いトレンチ440を約200ミクロンの深さまでエッチングし、図4Fに示す中間構造を得ることができる。エッチングに続いて、既知のストリップレジストアッシュ処理が行われ、クリーンプロセスによって流れ、浅いトレンチ430と深いトレンチ440を含む図4Gに示す中間構造が得られる。
【0040】
図4Hは、フォトレジストを除去して酸化物層445を形成した後の図4Gの中間デバイスを示しており、一実施形態では、約75nmから約100nmの厚さまで成長させることができるが、デバイス性能を最適化するために他の厚さを使用することもできる。前述のように、駆動電極が存在するこれらの実施形態では、トレンチの底に電極を堆積させたり、深いトレンチ440の底の露出したシリコンに高伝導領域を形成するためにインプラントを行うことができる。
【0041】
図4Hに示す中間構造のクリーニングに続いて、浅いトレンチ430と深いトレンチ440が形成されたシリコンウエハ405を反転してフォトニック基板に接合し、図2に示す一般的な構造となる。
【0042】
一実施形態では、マイクロ流体チャネル230をマイクロ流体ポンプ500、505に流体的に接続してもよく、これは単なる2つの例示的な実施形態である。図5A-5Bはいくつかの実施形態の例を示しているが、マイクロ流体ポンプ500、505は、図5Aおよび図5Bに一般的に示されているように、任意の数の蛇行形状として設計することができる。図5A-5Bに見られるように、強化/修正された導波管510、515およびそれらに関連するマイクロ流体チャネル520、525とマイクロ流体ポンプ530、535は、特定の用途のためにそれぞれの導波管510、515の長さを最適化するために使用できるいくつかの幾何学的構成を持つことができる。しかしながら、設計パラメータに応じて、いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル520、525は関連するマイクロ流体ポンプを持たない場合がある。例えば、設計パラメータがそのように要求する場合、強化/修正導波管510、515とマイクロ流体チャネル520、525の長さは、マイクロ流体ポンプを必要としないように十分に短くすることができる。設計パラメータが必要な他の実施形態では、強化/修正された導波管510、515と関連するマイクロ流体チャネル520、525は、それぞれ、図5A-5Bに見られるように、より長いか、より複雑である。このような実施形態では、マイクロ流体ポンプ530、535が存在し、分析物は、流体入力ポート540、545を介してマイクロ流体チャネル520、525に導入される。マイクロ流体ポンプ530、535は、存在する場合、毛細管原理で動作し、マイクロ流体チャネルを通って導波管を越えて流体を引き込むのを助け、テストサンプルから最大のデータを得ることができる。しかしながら、他の実施形態では、マイクロ流体ポンプ530、535を機械的に駆動して、マイクロ流体チャネルを通して検査流体をポンプすることもできる。例えば、マイクロ流体ポンプは圧電材料を含んでもよく、マイクロ流体チャネルを通して検査流体を移動させることができる。マイクロ流体チャネル530、535の長さと幾何学的構成は変化してもよく、設計パラメータとシステム要件に依存する。図示された実施形態では、マイクロ流体チャネル520、525およびマイクロ流体ポンプ530、535は一般的な蛇行形状を有するが、先に述べたように、他の幾何学的形状は本開示の範囲内である。既知のリソグラフィプロセスおよび材料を使用して、マイクロ流体チャネルを作成することができる。
【0043】
図6A-6Bは、上記のように、検査構造の異なる実施形態を作成するために使用できる異なるプロセスフローの例を示す。フローチャートは一般的な性質であり、特に明記されていない他の既知の中間ステップも実施することができるため、これらの実施形態の範囲内にある。図6Aの実施形態では、ステップ1は、サードパーティのサプライヤから、またはメーカー内部の供給元からシリコン基板を提供することから始まる。ステップ2では、クラッド下酸化物を約2ミクロンの厚さに形成する。ステップ3では、窒化シリコン導波材を蒸着する。一実施形態では、最小導波管の幅は約300nmである。ステップ4では、フォトレジストとリソグラフィプロセスを使用して窒化シリコン導波材をパターン化し、エッチングして複数の導波管を形成する。ステップ5では、特定の実施形態では任意であるが、パターン化された導波管上に窒化シリコンのエッチストップ層が堆積される。任意のステップA)において、光学ファセットの選択的なクリア/エッチングが、導波管の端の光学ファセットを形成してもよい。ステップ6では、エッチングされた導波管の上に酸化物の上部クラッドが堆積される。一実施形態では、上部クラッド酸化物は約2ミクロンの厚さを有する。ステップ7では、上部クラッド酸化物をフォトレジストでパターン化し、センサー導波管を露出させる。ステップ8では、選択した導波管領域を露出するために酸化物エッチングを行い、他の導波管長はクラッド酸化物で覆われたままにする。ファセットエッチングのための任意のパターンは、下にある酸化物を介してシリコン基板に伝導され、その後、さらなる平滑化のために任意のファセット湿式プロセスを行うことができる。ステップE1では、例えば銀ナノ粒子のインクジェット蒸着を使用して、露光された導波管にそれらを蒸着する。一実施形態では、インクジェット蒸着は、外部プロセスとして、接着剤材料と一緒に行うことができる。
【0044】
図6Bの代替的な実施形態のプロセスフローでは、ステップ1は、サードパーティのサプライヤまたはメーカー内部の供給元からシリコン基板を提供することから始まる。ステップ2では、下部クラッド酸化物を約2ミクロンの厚さに形成する。ステップ3では、窒化シリコン導波材を蒸着する。一実施形態では、最小導波管幅は約300nmである。ステップ4では、フォトレジストとリソグラフィプロセスを使用して導波管をパターン化およびエッチングし、複数の導波管を形成する。任意のステップであるステップ5では、いくつかの実施形態において、パターン化された導波管上に窒化シリコンのエッチストップ層が堆積される。任意のステップA)では、光導波管の終端で光ファセットの選択的なクリア/エッチングを行うことができる。ステップ6では、パターン化された窒化物導波管の上に酸化物の上部クラッドが堆積される。一実施形態では、上部クラッド酸化物は約2ミクロンの厚さを有する。ステップ7では、センサ導波管の上にフォトレジストで上部クラッド酸化物をパターン化する。ステップ8では、選択した導波管領域を露出するために酸化物エッチングを行い、他の導波管長はクラッド酸化物で覆われたままにする。ファセットエッチングのための任意のパターンは、下にある酸化物を介してシリコン基板に伝導され、その後、さらなる平滑化のために任意のファセット湿式プロセスを行うことができる。ステップ9では、銀ナノ構造の蒸着とリフトオフによってリソグラフィプロセスを行う。銀が記載されているが、金、白金、パラジウムなど他の金属を使用することもある。あるいは、リソグラフィプロセスの代わりに、銀ナノ構造の堆積とリフトオフのために既知の電子ビームリソグラフィを行うこともできる。
【0045】
図7は、前述のように、マイクロ流体チャネルを形成するためのプロセスフローの実施例を示している。ステップ1は、サードパーティのサプライヤまたはメーカー内部のソースからシリコン基板を提供することから始まる。ステップ2では、誘電体ハードマスクを形成する。一実施形態では、ハードマスクは窒化物層を含むことができる。ステップ3では、パターンとエッチングを行い、深さが約3ミクロンから約6ミクロンの浅いトレンチを形成する。ステップ4で、ハードマスクが剥がされる。ステップ5では、トレンチの深部を形成するために使用する深部エッチング用のフォトレジストを蒸着し、パターン化する。ステップ6では深部シリコンエッチングを行う。深部トレンチの深さは約200ミクロンである。ステップ7では、酸化のためにウェハを剥がして洗浄する。ステップ8では、熱酸化プロセスを行い、約200ミクロンから約400ミクロンの厚さの酸化物層を形成する。ステップ9では、導波管の露光とエッチングのために基板をパターン化し、ステップ10では、ウェットエッチングを行って、選択した導波管領域をオープン/露光する。任意のステップA)では、マイクロ流体チャネルへの粉砕副産物の侵入を制限するために、材料を選択的にベント/フィーエッチングポートに堆積させることができ、その後、材料は堆積させた材料の熱硬化を受ける。
【0046】
図8は、ドッキングステーションと検査カードの一実施形態の一般的なレイアウトを示す。この概略図に見られるように、検査カードには、前述のようにナノ構造またはナノ粒子によって修正されたマイクロ流体チャネルと導波管を含む光導波管検査構造が含まれる。受動デバイスである検査カードには、検査サンプルをそこに受け取るための入力ポートと、マイクロ流体チャネルへの容易な流体の流れを可能にするためのベントポートが含まれる。検査カードはパッシブであるため、使用後に破棄される場合がある。ドッキングステーションの筐体に挿入すると、検査カードの導波管がドッキングステーションの光回路と光学的に一致する。ドッキングステーションは、検査装置の能動要素で構成されており、滅菌後に使用することができる。例えば、後述のような光源と、干渉グラフを生成する集積スペクトロメータを備え、集積スペクトロメータはフーリエ変換を受けてスペクトルを生成する。その後、スペクトルはコンパレータによって既知のスペクトルと比較され、その後ドッキングステーションによって結果が出力される。
【0047】
動作中、検査流体は入力ポートを介してマイクロ流体チャネルに配置される。次に、ドッキングステーションの安定化光源が、検査カードの導波管内をチャネルに沿って誘導される。チャネルと光導波管の領域が比較的長いため、導波管の周囲または間のエバネッセントに導かれた領域は、より多くのターゲット分析物と相互作用し、相互作用の合計によって増加したデータを得ることができ、検査の精度を高めることができる。センサ領域の端部で、光信号は、対象の分子または病原体に関連する電磁スペクトルの特定の部分にわたる光の特性を測定する集積スペクトロメータに入力される。これらのスペクトロメータは、共振器結合型検出器から後述の干渉計のような走査構造まで、幅広い集積構造の形態をとることができる。基準経路(reference arm)の固定長に対する一方の経路(one arm)の位相誘起伝搬変動は干渉パターン干渉グラフ(interferogram)を導入し、外部プロセッサに送信される。これは、高速フーリエ変換(FFT)によって、一意のピーク位置、幅、および形状から構成される一意の指紋のスペクトルに変換される。スペクトルはさらにコンパレータによって処理され、視覚信号や英数字の読み出しなどの検出可能な形式に送信できる最終的なデータセットが得られる。
【0048】
図9は、検査構造115を含むドッキングステーション105と検査カード110の内部要素の概略的なブロック図を示す。図示された実施形態では、ドッキングステーション105はハウジングを含み、概ね破線で示されている。ドッキングステーション105内にはいくつかの要素が含まれている。図示された実施形態では、ドッキングステーションは、上述のような検査カードインターフェース905、レーザー、レーザドライバおよびセンサのような光源、データの無線伝送のためにアンテナ910に接続された通信チップ、DPFドライバおよびセンサ、データプロセッサ、ラマンスペクトロメータのような干渉計に接続された干渉計ドライバおよびセンサ、および電源を含み、これらはすべてPCBインターフェースおよびコントローラに動作可能に接続されている。本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、動作接続とは、光学的、電気的、または無線的に、またはそれらの組み合わせによって、要素が接続され、データを取得および分析し、検査結果を提供および/または送信するための動作ユニットを提供することを意味する。前述のように、検査カードの導波管は、ドッキングステーションの光学部品であるレーザーおよび干渉計と光学的に位置を合わせながら、ドッキングステーションの電気回路とも適切に接続する。
【0049】
図9の実施形態では、フォトニック集積をマイクロ流体と積層造形法と組み合わせて、コンパクトなラマン分光法ベースのシステムを迅速に実装し、ヒト集団に感染する病原体の検出と同定を提供する。
【0050】
光集積回路のフーリエ変換(FT)スペクトロメータは、干渉によって時間領域の放射線(radiation)を変調することで出力スペクトルを生成し、フーリエ変換を行う。位相変調されたアームに沿って伝搬する信号と非位相変調されたアームとの間の干渉は、位相の変化が振幅変化を引き起こすカプラに反射される。これを記録すると、変調されたアーム内の駆動電圧または結果として生じる有効経路長の変動に対して、時間ベースの振幅情報が記録され、これは干渉グラフ(interferogram)I(xeff)と呼ばれる。この干渉グラフは、干渉計の2つのアーム間の有効経路長の変化の関数として変調された放射信号を表す。干渉光回路では、アナログ信号は光検出器で記録され、光検出器は符号化されたラマンスペクトルの波長または波数情報を符号化する。次に、ラマンスペクトルを回復するために、干渉グラフに対してフーリエ変換ルーチンが実行される。このシステムの利点はフォトニック集積回路、安定化光源である。一実施例では、共振空洞を使用して、外部空洞に対して安定化され、ブラッグミラー(Bragg mirror)と位相チューナーで構成される初期利得分布を定義する。このアプローチにより、共振利得段の注入ロックのために再注入される信号の位相と周波数の内容を制御することができる。
【0051】
上述のように、本開示の1つの実施形態はラマン分光法を使用するが、他のタイプのスペクトロメータを使用することもできる。ラマン分光法は、入射したレーザー光を試料から非弾性散乱し、その特徴的な分子振動のエネルギーによって周波数をシフトさせる手法である。ラマンスペクトルは、プローブされた物質の化学構造に関する高い情報量を提供し、この方法をウイルスと細菌の同定、違法薬物、医薬品および医薬品製造のモニタリング/検証、またはがん細胞の検出と同定のための理想的なツールにする。しかしながら、ラマンビームを対象物を含む表面上の一点に集中させる既知のプロセスとは異なり、本開示の実施形態は、導波管または導波管の長さの少なくとも一部に沿ってデータを収集する構造を提供し、データの量と精度を大幅に向上させる。
【0052】
実際には、検査流体はマイクロ流体チャネルに注入され、検査対象の分子が閉じ込められる。この閉じ込めにより、分子とプローブビームが最も重なり合うことが保証される。さらに、マイクロ流体チャネルに配置された導波管の壁に沿って分子とナノ構造との緊密で強力な相互作用を提供し、既知のデバイスおよびプロセスに対して強化されたラマンシグナル強度を提供する。
【0053】
信号強度を改善するための表面増強ラマン分光法(SERS)の応用はラマン分光法の改良である。細菌やウイルスなどの生体分子を同定するための非常に優れたアプローチとして実証されている。これは、特定の分子が、通常は銀、金、銅などの貴金属のように適切な金属ナノ構造の近くに吸着または配置されたときに、その分子のラマン散乱シグナルが増強されることに基づいている。SERS法では、1014~1015という大きな増強因子を得ることができ、最新の検査セットや検出パネルで使用される蛍光性有機色素やその他の試薬よりも大きなラマン散乱断面積をもたらすことが示されている。
【0054】
この開示の実施形態は、図9に一般的に示されているように、干渉計に接続された検出器を使用してSERS相互作用からラマンスペクトルを検出する。このユニークなアプローチは、スペクトロメータの一方の経路(in one arm of)における位相伝搬長変化の関数として時間領域で変調された周波数依存情報を含む干渉グラフ(interferogram)を生成する。その後、システムはフーリエ変換を実行して、サンプル中に存在するウイルスの検出と識別に使用される詳細なラマンスペクトルを抽出する。
【0055】
図10は、マイケルソン干渉計などの干渉計の一実施形態と、ドッキングステーション105に集積できる安定化光源を図式的に示したものであり、いずれも集積フォトニック構成要素として示される。このアプローチでは、~660nmで動作するシェルフレーザーダイオード(shelf laser diodes)に接続されたファイバを使用することができるが、コンパクトなスペクトロメータには、コンパクトなユニット内で必要なレベルの再現性と集積を確保するために必要なスペクトル精度と波長スパンを提供するための、2つの構成のいずれかの実装を含めることができる。フォトニック集積回路安定化光源は、一実施形態では共振空洞であり、外部空洞に対して安定化される初期利得分布を定義するために使用され、ブラッグミラーと位相チューナーで構成される。このアプローチにより、図10に示すように、共鳴利得段の注入ロックのために再注入される信号の位相と周波数の内容を制御することができる。一般的に図9に示すように、既知のリソグラフィプロセスを使用して、これらのフォトニック要素を形成し、ドッキングステーション105の実施形態に集積することができる。
【0056】
上記の実施形態の分析は、干渉計と接続した検出器を使用したSERS相互作用からのラマン分光法に基づいている。この方法では、スペクトロメータの一方の経路の位相伝搬長変化の関数として時間領域で変調された周波数依存情報を含む干渉グラフが生成される。詳細なラマンスペクトルを抽出するフーリエ変換は、サンプル中に存在するウイルスの検出と識別に使用される。
【0057】
光集積回路のフーリエ変換(FT)スペクトロメータは、干渉によって時間領域の放射線(radiation)を変調することで出力スペクトルを生成し、フーリエ変換を行う。病原体の検出と同定は、半導体の製造技術とパッケージング技術を活用して、6つの要素を図に示したドッキングステーションのような比較的小さな領域に集積する能力によって保証されている。これには、1)制御可能なラマンプローブを提供するための安定化された狭帯域光源;2)導波管の外部を移動するモードエネルギーとラマン散乱のフォトニック強化を提供する金属ナノ構造の制御されたオーバーラップを提供するエバネッセント接続した低指数コントラスト導波管;3)病原体の特性評価のための制御された表面領域を提供する導波管の間と上のナノ構造の形成;4)金属ナノ構造表面で対象の病原体を制御濃縮できる電極の集積化;5)導波管と濃縮構造に対する試料体積を閉じ込めるためのマイクロ流体構造の集積;6)小型フーリエ変換スペクトロメータの集積能力、が含まれる。
【0058】
迅速な検査製品を可能な限り迅速に利用できるようにするために、ここに開示された実施形態は、検査のより単純なバージョンを可能な限り最短時間で提供することを可能にする初期の受動的検査構造への道を開示している。
【0059】
検査ストリップ検出および同定システムのさまざまな実施形態には、ウイルス物質を含む液滴をマイクロチャネルに閉じ込めることができ、プローブビームと対象物質との間の相互作用断面積を改善することができるという独特の利点が含まれる。これにより、他のどのアプローチよりも感度が何桁も改善されたシステムが提供される;マイクロチャネルの壁に沿って金属ナノ構造を適用し、複数の表面との強制的な相互作用を提供し、全体的な相互作用の長さと蓄積された信号強度を増加させることから生じる信号感度の14から15桁の増加;低コストの生成、接続、伝送、ラマンスペクトルの処理と検出、チャネル内の局在化した金属ナノ構造の形成を支援するためのマイクロチャネル集積技術の適用と、マイクロチャネルへのプローブビームの注入を制御するためのフォトニック集積回路と支持素子との集積、マイクロチャネルを介して制御された方法でプローブをガイドし、プローブビームをフォトニック回路に再接続して処理とスペクトル抽出を行う;追加の人を危険にさらすことなく、孤立したリアルタイムの単一点検査を可能にするために、センサを使用可能な車両にパッケージングすること。
【0060】
ここで開示される実施形態は、
1つの実施形態は、その中に形成された1または複数の相互接続された金属レベルを有するプリント基板(PCB)検査カード基板と、PCBに配置され、1または複数の相互接続された金属レベルに電気的に接続された検査構造とを備える検査装置を対象とする。光導波管は第1のシリコン基板に配置され、マイクロ流体チャネルは第2のシリコン基板に配置される。第1のシリコン基板に第2のシリコン基板が取り付けられる。マイクロ流体チャネルは、光導波管の側面と最外面がマイクロ流体チャネル内に延びるように光導波管上に配置され、マイクロ流体チャネルは光導波管の長さに沿って延び、その両端に流体入力ポートと流体ベントポートを持つ。ナノ粒子は、マイクロ流体チャネル内に位置する光導波路上または隣接して位置する。
【0061】
別の実施形態は、その中に形成された1または複数の相互接続された金属レベルを有するプリント基板(PCB)検査カード基板と、PCBに配置され、1または複数の相互接続された金属レベルに電気的に接続された検査構造と、第1のシリコン基板に配置される光導波管と、第2のシリコン基板に配置され、第1のシリコン基板に取り付けられるマイクロ流体チャネルと、を含むテスト装置を提供する。マイクロ流体チャネルは、光導波管の側面と最外面がマイクロ流体チャネル内に延びるように光導波管上に配置され、マイクロ流体チャネルは光導波管の長さに沿って延び、その両端に流体入力ポートと流体ベントポートを持つ。ナノ粒子は、マイクロ流体チャネル内に位置する光導波路上または隣接して位置する。この実施形態は、その中で検査カードを受け入れるためのドッキングステーションも含む。ドッキングステーションには、その中で検査カードを受け入れるように構成された検査カードインターフェイスを持つハウジングがある。レーザーはハウジング内に配置され、そこからの伝送を受信するために検査構造と光学的に位置合わせされる。干渉計もハウジング内に配置され、検査構造に光学的に接続されてそこから光伝送を受信する。データプロセッサと制御ボードがハウジング内に配置される。制御ボードは、これらの要素に動作的に接続されたレーザー、干渉計、およびデータプロセッサの動作を制御するように構成される。
【0062】
要素1:検査構造は、検査カードの1つまたは複数の相互接続された金属レベルに接続された、第1の基板内に形成された1つまたは複数の相互接続された金属層を含む。
【0063】
要素2:検査構造の1つまたは複数の相互接続された金属層は、第1の基板内に位置し、光導波管に隣接する駆動電極を含む。
【0064】
要素3:ナノ粒子の濃度は、最外面の上よりも光導波路の側面の上の方が高い。
【0065】
要素4:光導波管はクラッド部分と非クラッド部分を有し、ナノ粒子は光導波管の非クラッド部分に位置する。
【0066】
要素5:光導波管は側面と最外面に位置する窒化物層を含む。
【0067】
要素6:光導波管は窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを含む。
【0068】
要素7:検査構造の光インターフェース端部は、V字型の溝内に位置する光ファイバを備える。
【0069】
要素8:検査カードがインターフェース端部を含み、検査カードのインターフェース端部は、V字型溝ファイバマウントベース、フェルールマウントベース、およびそこから延在する光フェルールを含み、光フェルールは検査構造の光ファイバに光学的に接続される。
【0070】
要素9:ドッキングステーションは、ドッキングステーションからデータを無線伝送するための電源と通信回路をさらに含む。
【0071】
要素10:通信回路がデータの無線送信のためのアンテナに接続される。
【0072】
要素11:さらに、レーザードライブとセンサ、DPFドライブとセンサ、および制御ボードに動作可能に接続される干渉計ドライブとセンサを含む。
【0073】
要素12:さらに光安定回路を含む。
【0074】
要素13:干渉計はマイケルソン干渉計である。
【0075】
要素14:さらに、検査カードをその中に受け入れ、検査カードをドッキングステーションに光学的および電気的に位置合わせするように構成されたバネ付クリップを含む。
【0076】
要素15:検査構造は、検査カードの1つまたは複数の相互接続された金属レベルに接続された、第1の基板内に形成された1つまたは複数の相互接続された金属層を含む。
【0077】
要素16:検査構造の1つまたは複数の相互接続された金属層は、第1の基板内に位置し光導波路に隣接する駆動電極を含む。
【0078】
要素17:ナノ粒子の濃度は、最外面の上よりも光導波管の側面の上の方が高い。
【0079】
要素18:光導波管にはクラッド部と非クラッド部を有し、ナノ粒子は光導波管の非クラッド部に位置する。
本発明は詳細に説明されているが、当業者は、本発明の精神および範囲を最も広範な形態で逸脱することなく、ここで様々な変更、置換および変更を加えることができることを理解すべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10