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特許7439294アーク消弧組立体、及びこれを含む遮断器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】アーク消弧組立体、及びこれを含む遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/08 20060101AFI20240219BHJP
   H01H 73/18 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01H33/08
H01H73/18 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022558204
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2021002590
(87)【国際公開番号】W WO2021201445
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0040425
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】キム,イルヒョン
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0067042(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0048151(KR,A)
【文献】実開昭62-112818(JP,U)
【文献】実開昭52-136155(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/30 - 9/52
H01H 33/00 - 33/26
H01H 69/00 - 69/01
H01H 71/00 - 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;
前記側面部材の上部に設けられる排気部;
前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;及び
一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイド;を含み、
前記アークガイドは、耐加熱性を有し、発生したアークとの反応によっても絶縁性能の確保が可能な材料を含
前記アークガイドはセラミック素材を含む、アーク消弧組立体。
【請求項2】
請求項1において、
前記アークガイドの外側面にセラミックコーティング層を含む、アーク消弧組立体。
【請求項3】
請求項1において、
前記アークガイドは、前記側面部材の内側面の両側にそれぞれ設けられ、
前記アークガイドは、
前記側面部材に結合される第1延長部;及び
前記第1延長部と既設定の角度を有し、前記第1延長部から延びる第2延長部;を含む、アーク消弧組立体。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1延長部と前記第2延長部との少なくとも一領域にはセラミック層がコーティングされる、アーク消弧組立体。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1延長部と前記第2延長部とはセラミック材質を含む、アーク消弧組立体。
【請求項6】
請求項3において、
前記第1延長部と前記第2延長部との前記グリッドと対向するように配置される外面部にセラミック層がコーティングされる、アーク消弧組立体。
【請求項7】
請求項1において、
前記側面部材の間に挿設され、前記複数のグリッドの一側と一定の距離だけ離間して位置し、前記グリッドの下部に向かって曲がるアークランナーをさらに含む、アーク消弧組立体。
【請求項8】
固定接点;
前記固定接点に向かう方向又は前記固定接点から離れる方向に移動する可動接点;及び
前記固定接点及び前記可動接点に隣接して位置し、前記固定接点と前記可動接点とが離間して発生したアークを消弧するアーク消弧組立体;を含み、
前記アーク消弧組立体は、
一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;
前記側面部材の上部に設けられる排気部;
前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;及び
一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイド;を含み、
前記アークガイドは、耐加熱性を有する材料からなり、
前記アークガイドはセラミック素材を含む、遮断器。
【請求項9】
請求項8において、
前記アークガイドの外側面にセラミックコーティング層を含む、遮断器。
【請求項10】
請求項8において、
前記アークガイドは、前記側面部材の内側面の両側にそれぞれ設けられ、
前記アークガイドは、
前記側面部材に結合される第1延長部;及び
前記第1延長部と既設定の角度を有し、前記第1延長部から延びる第2延長部;を含み、
前記第1延長部と前記第2延長部との少なくとも一領域にはセラミック層がコーティングされる、遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を遮断して発生したアークを効果的に消弧するようにアーク消弧組立体を含む遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
遮断器は、回路に漏電、短絡又は過剰な電流などの異常電流が発生する場合、電流の流れを遮断する装置である。これにより、回路又は回路に連結された電子機器で発生し得る事故を予防することができる。回路の電流が遮断器を通過するように、遮断器は回路の特定の位置に通電可能に設けられる。
【0003】
遮断器は、正常な電流が流れる場合、可動接触点は固定接触点に接触し、可動接触点と固定接触点とが互いに接触すると回路が通電可能に連結される。
【0004】
遮断器に過電流又は異常電流が流れる場合、接触状態にあった可動接点と固定接点とは互いに離間する。このとき、可動接点と固定接点との間で通電していた電流は直ちに消滅せず、アーク(arc)の形に変化して可動接点に沿って伸張(extend)するようになる。
【0005】
アークは高温高圧の電子の流れであり、発生したアークが遮断器の内部空間で長時間滞留する場合、遮断器の各構成要素が損傷するおそれがある。また、アークが別の処理過程なしに遮断器の外部に排出される場合、ユーザが傷害を負うおそれがある。
【0006】
このため、遮断器には、アークを消弧(extinguish)しながら排出するためのアーク消弧組立体が備えられる。発生したアークは、消弧装置を通過してアーク圧力が増加することで、移動速度が速くなると共に冷却されて外部に排出できるようになる。
【0007】
従来の遮断器(韓国公開実用新案文献第20-2008-0009468号)は、アークチャンバに一定の間隙を有するように積層され、接点が位置するように誘導溝が形成されるグリッドと、グリッドの誘導溝の側壁に設けられたグリッドプレートとを含む気中遮断器の構造に対して開示している。
【0008】
遮断器には、ガイドプレートを通じてグリッドに向かってアークを誘導する役割をし、アーク消弧組立体の内部には、グリッドに沿ってアーク経路を効果的に形成するためにアークガイドが設けられる。
【0009】
一般に、アークガイドは、耐熱性の強い材料からなり、ガラス繊維を強化材としたプラスチック系複合材料であるBMC(Bulk Molding Compound)やSMC(Sheet Molding Compound)などの繊維強化プラスチックからなることが一般的である。
【0010】
但し、アークガイドの材料としてガラス繊維が含まれる場合、電流遮断時に発生するアークは、アークガイドとの間でガラス繊維がイオン化する現象が発生し、電荷を帯びて絶縁性能が弱くなるという問題が生じる。このため、アークガイドの耐熱性及び強度の確保と共に、絶縁性能まで確保できる方案が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一の目的は、発生したアークがグリッド及びランナーまで伸び得るようにアークガイドを備えるアーク消弧組立体を提供することである。
【0012】
本発明の他の一の目的は、小電流が遮断される場合でもアークの移動経路を円滑に形成でき、耐加熱性も共に確保できるアークガイドを有するアーク消弧組立体を提供することである。
【0013】
本発明の一の目的は、高温環境で持続的に露出されても安定した性能の確保が可能なアークガイドを備えるアーク消弧組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上述した問題を解決することができるアーク消弧組立体は、一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;前記側面部材の上部に設けられる排気部;前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;及び一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイドを含み、前記アークガイドは、耐加熱性を有する材料からなってもよい。
【0015】
本発明の一例によると、アークガイドは、ポリアミド樹脂で形成されてもよい。
【0016】
本発明の一例によると、ポリアミド樹脂は、ナイロン6(PA6)及びナイロン66(PA66)のいずれか一方を含んでもよい。
【0017】
本発明の一例によると、アークガイドは、セラミック素材で形成されてもよい。
【0018】
本発明の一例によると、アークガイドの外側面には、セラミックコーティング層が形成されてもよい。
【0019】
本発明の一例によると、前記アークガイドは、前記側面部材の内側面の両側にそれぞれ設けられ、前記アークガイドは、前記側面部材に結合される第1延長部;及び前記第1延長部と既設定の角度を有し、前記第1延長部から延設される第2延長部を含んでもよい。
【0020】
本発明の一例によると、第1延長部と前記第2延長部との少なくとも一領域にはセラミック層がコーティングされてもよい。
【0021】
本発明の一例によると、前記第1延長部と前記第2延長部とは、セラミック材質からなってもよい。
【0022】
本発明の一例によると、第1延長部と前記第2延長部との前記グリッドと対向するように配置される外面部にセラミック層がコーティングされてもよい。
【0023】
本発明の一例によると、側面部材の間に挿設され、前記複数のグリッドの一側と一定の距離だけ離間して位置し、前記グリッドの下部に向かって曲がるアークランナーをさらに含んでもよい。
【0024】
本発明は上述した問題を解決することができる遮断器は、固定接点;前記固定接点に向かう方向又は前記固定接点から離れる方向に移動する可動接点;及び前記固定接点及び前記可動接点に隣接して位置し、前記固定接点と前記可動接点とが離間して発生したアークを消弧するアーク消弧組立体を含み、前記アーク消弧組立体は、一定の距離だけ離間して互いに対向するように配置される側面部材;前記側面部材の上部に設けられる排気部;前記側面部材の間に設けられ、両端が前記各側面部材に固定される複数のグリッド;及び一側が前記側面部材に結合し、前記複数のグリッドの下部に設けられるアークガイドを含み、前記アークガイドは、耐加熱性を有する材料からなってもよい。
【0025】
本発明の一例によると、前記アークガイドは、ポリアマド樹脂からなり、前記ポリアマド樹脂は、ナイロン6(PA6)及びナイロン66(PA66)のいずれか一方を含んでもよい。
【0026】
本発明の一例によると、アークガイドは、セラミック素材で形成されてもよい。
【0027】
本発明の一例によると、本発明の一例によると、アークガイドの外側面には、セラミックコーティング層が形成されてもよい。
【0028】
本発明の一例によると、前記アークガイドは、前記側面部材の内側面の両側にそれぞれ設けられ、前記アークガイドは、前記側面部材に結合される第1延長部;及び前記第1延長部と既設定の角度を有し、前記第1延長部から延設される第2延長部を含み、前記第1延長部と前記第2延長部との少なくとも一領域にはセラミック層がコーティングされてもよい。
【発明の効果】
【0029】
上記のようなアーク消弧組立体の構造によって、発生したアークは、アークガイドに乗ってアークランナーに向かう方向にアークの伸び速度が増加することでアーク消弧性能を確保できるようになる。
【0030】
また、アーク消弧組立体に備えられるアークガイドは、耐加熱性を確保すると共に絶縁性能が弱くなることを防止できるように、ガラス繊維が除去されたプラスチック系複合材料又はセラミック材質からなり、機械的な物性及び耐久性を確保できるようになる。これにより、小電流が遮断される場合でも、アークガイドの焼損が発生して絶縁性能が弱くなることを防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】遮断器の様子を示す斜視図である。
図2】遮断器の分解斜視図である。
図3】遮断器をA-A’線に沿って切開した断面図である。
図4】アーク消弧組立体の様子を示す斜視図である。
図5図4のアーク消弧組立体の分解斜視図である。
図6】アーク消弧組立体の側面図である。
図7】アーク消弧組立体の内部の様子を示す断面図である。
図8】アークガイドが繊維強化プラスチックからなる場合と、耐加熱性の単一材料であるポリアマド66(PA66又はナイロン66)からなる場合との平均アーク時間を示す表である。
図9】(a)は、アークガイドに耐加熱性の物質が全体的に塗布された様子を示す概念図であり、(b)は、アークガイドの一側面に耐加熱性の物質が塗布された様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して本明細書に開示の実施例について詳しく説明するが、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の図面符号を付与し、これについての重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書作成時における容易さのみが考慮されて付与又は混用されるものであり、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するのではない。また、本明細書に開示の実施例を説明するにあたって、関連する公知の技術についての具体的な説明が本明細書に開示の実施例の要旨を濁ごす可能性があると判断される場合はその詳細な説明を省略する。また、添付の図面は本明細書に開示の実施例を容易に理解するためのものであるだけ、添付の図面によって本明細書に開示の技術的思想が制限されるのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0033】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いることができるが、上記構成要素は上記用語により限定されない。上記用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的だけで用いられる。
【0034】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、又は「接続されて」いると言及された場合は、他の構成要素に直接的に連結又は接続されていることもできるが、それらの中間にまた他の構成要素が存在することもできると理解されるべきであるであろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、又は「直接接続されて」いると言及された場合は、それらの中間にまた他の構成要素が存在しないものと理解されるべきであるであろう。
【0035】
単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0036】
本出願で、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0037】
図1は、遮断器(10)の様子を示す斜視図であり、図2は、遮断器(10)の分解斜視図である。また、図3は、遮断器(10)をA-A’線に沿って切開した断面図である。
【0038】
本明細書で遮断器(10)は、異常電流の発生時に電流の流れを遮断する役割をするもので、気中遮断器(Air Circuit Breaker)を意味することができる。
【0039】
ここで、気中遮断器は、遮断器の一種として、遮断器であらかじめ設定された電流範囲値を超過する異常電流が漏洩する場合、回路の電流の流れを遮断する装置を意味する。
【0040】
遮断器(10)は、外観を形成して内部に収容空間(S1)が形成される遮断器胴体(11)を含んでもよい。遮断器胴体(11)の内部には、複数のアーク消弧組立体(100)が設けられてもよい。
【0041】
遮断器胴体(11)を構成する前方側カバー(11b)と後方側カバー(11a)とが互いに対向する方向に沿って結合されて内部空間(S1)を形成するようになる。
【0042】
このとき、遮断器胴体(11)は、高耐熱性、高剛性の素材で形成されてもよい。これは、内部に実装された各構成要素の損傷を防止し、内部で発生したアークによって損傷することを防止するためである。例えば、遮断器胴体(11)は、合成樹脂又は強化プラスチックからなってもよい。
【0043】
遮断器胴体(11)の内部空間(S1)は外部と通電可能であり、内部に実装された各構成要素は、外部の電源又は負荷と通電可能なように連結されてもよい。
【0044】
遮断器胴体(11)の前方部には、電源側と通電可能に連結される電源側連結部(12a)と、負荷側と通電可能に連結される負荷側連結部(12b)とがそれぞれ設けられてもよい。
【0045】
また、前方側カバー(11b)と後方側カバー(11a)との結合によって形成される収容空間(S1)には、電源側連結部(12a)と負荷側連結部(12b)とを遮断又は通電させるための、固定接触子(13)と可動接触子(14)とがそれぞれ設けられてもよい。
【0046】
固定接触子(13)には固定接触点(13a)が形成され、可動接触子(14)には可動接触点(14a)が形成されてもよい。このため、回路に正常な電流が流れる場合、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とは互いに接触して、電源側連結部(12a)と負荷側連結部(12b)との間に電流が流れるようにする。
【0047】
図3に見られるように、シューター(21)は、可動接触子(14)が固定接触子(13)から離れる方向に回転することによって共に回転してもよい。
【0048】
シューター(21)は、クロスバー(22)及びレバー(23)と連結されるように設けられてもよい。具体的に、シューター(21)は、クロスバー(22)によって一側端部が拘束され、シューター(21)の他側端部には弾性部材が備えられる。
【0049】
固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とが互いに接触した状態で、シューター(21)は弾性部材を加圧して復元力を貯蔵するようになる。このとき、加圧のための外力は、クロスバー(22)が固定接触子(13)に向かって回転した状態によって提供されてもよい。
【0050】
可動接触点(14a)が固定接触点(13a)から離間して位置する場合、可動接触子(14)は、固定接触子(13)から離れる方向に回転するようになる。この場合、クロスバー(22)の回転が行われるようになり、具体的にシューター(21)の一側端部が解放され、弾性部材によって提供された復元力によって回転できるようになる。シューター(21)が回転しながらレバー(23)を打つと、レバー(23)も回転することでトリップ動作(trip mechanism)が行われるようになる。
【0051】
レバー(23)が気中遮断器(10)の外側に部分的に露出し、レバー(23)は、回転するシューター(21)によって打たれて回転することができる。トリップ動作が行われると、レバー(23)は既設定の方向に回転することができ、ユーザは、トリップ動作が行われたことを容易に認知することができる。また、ユーザは、レバー(23)を回転操作することにより、気中遮断器(10)を再度通電可能な状態に調整することができる。
【0052】
すなわち、遮断器(10)は、回路に異常電流が流れる場合、可動接触子(14)が固定接触子(13)から離間する方向に所定角度だけ回転し、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)とが互いに離間することで電流の流れが遮断されるようになる。
【0053】
このとき、可動接触点(14a)と固定接触点(13a)とが互いに離間する場合、可動接触点(14a)と固定接触点(13a)との間にはアーク(Arc)が発生する。
【0054】
アーク(Arc)は高温の電子とイオンのプラズマであり、発生したアークが遮断器の内部空間で長時間滞留する場合、遮断器の各構成要素が損傷するおそれがある。
【0055】
また、アークが別の処理過程なしに遮断器の外部に排出される場合、ユーザが傷害を負うおそれがある。
【0056】
アークを迅速に消弧しない場合、遮断器をなす構成要素が損傷するようになる。遮断器(10)には、アークを消弧(extinguish)しながら排出するための消弧装置が備えられ、発生したアークは、消弧装置を通過してアーク圧力が増加することで、移動速度が速くなると共に冷却されて外部に排出できるようになる。
【0057】
本発明による遮断器(10)には、固定接触点(13a)と可動接触点(14a)との上側で発生したアークを消弧するためのアーク消弧組立体(100)が設けられる。
【0058】
以下では、アーク消弧組立体(100)の構造について詳しく検討する。
【0059】
図4は、アーク消弧組立体(100)の様子を示す斜視図であり、図5は、図4のアーク消弧組立体(100)の分解斜視図である。また、図6は、アーク消弧組立体(100)の側面図であり、図7は、アーク消弧組立体(100)の内部の様子を示す断面図である。
【0060】
アーク消弧組立体(100)は、胴体(11)の内部に形成される収容空間(S1)の開放された一側に挿設されてもよい。遮断器(10)で発生したアークは、アーク消弧組立体(100)で消弧した後、アーク消弧組立体(100)の排気部(120)を通じて遮断器(10)の外部に排出される。
【0061】
アーク消弧組立体(100)は、排気部(120)と結合する一対の側面部材(111)、グリッド(130)、アークランナー(140)、及びアークガイド(150)を含み、遮断器(10)で発生したアークは、アーク消弧組立体(100)のグリッド(130)とアークランナー(140)とに乗って流れる過程で伸びるようになり得る。
【0062】
アーク消弧組立体(100)の構造を検討すると、複数のグリッド(130)の上部には、消弧したアークを排出させる排気部(120)が形成されてもよい。ここで、排気部(120)は、金属ガスが遮断器(10)の外部に排出される通路として機能する。
【0063】
排気部(120)は、排気部胴体(124)、絶縁板(123)、フィルター(122)、及び排気カバー(121)からなってもよい。
【0064】
排気部胴体(124)の左右側面には一対の側面部材(111)がそれぞれ結合し、排気部胴体(124)の上側面の中央部には絶縁板(123)及びフィルター(122)が収容される収容部が陥没して形成され、絶縁板(123)を複数の排気孔が貫通してもよい。
【0065】
排気部胴体(124)の上側面には排気カバー(121)が結合し、排気カバー(121)の中央部には複数のガス放出口が貫通形成されてもよい。
【0066】
排気部(120)には、絶縁板(123)、フィルター(122)、及び排気カバー(121)が下側から上側に向かって順に位置してもよい。絶縁板(123)の排気孔(図示せず)に流入した金属ガスは、フィルター(122)を通過した後、ガス放出口(図示せず)を通じて遮断器(10)の外部に排出される。
【0067】
アーク消弧組立体(100)は、排気部(120)を通じて遮断器胴体(11)に結合してもよい。
【0068】
排気カバー(121)の前方側と後方側には締結孔(符号なし)がそれぞれ形成され、排気カバー(121)が遮断器(10)の収容空間(S1)の開放部を覆っている状態で、締結部材(図示せず)が締結孔を通じて遮断器胴体(11)に結合できるようになる。
【0069】
排気部(120)は、アーク消弧組立体(100)の内部の圧力上昇手段として機能することができる。具体的に、排気部(120)が収容空間(S1)の開放部を覆い、金属ガスの発生時にアーク消弧組立体(100)の内部の圧力が瞬間的に上昇することがある。この場合、アーク消弧組立体(100)の内部の圧力と遮断器(10)の外部の一時的な圧力差が発生し、金属ガスが排気部(120)の排気孔に向かって移動し得る。
【0070】
側面部材(111)は、一定の距離だけ互いに離間し、対向するように配置される一対の板状の形状からなってもよく、側面部材(111)の間には、グリッド(130)とアークランナー(140)とが配置されるようになる。
【0071】
また、側面部材(111)の中央部をグリッド締結孔(111b)とアークランナー締結孔(111e)とが貫通してもよい。
【0072】
グリッド締結孔(111b)とアークランナー締結孔(111e)とには、グリッド締結突部(131)とアークランナー締結突部(141)とがそれぞれ挿入されるようになる。
【0073】
グリッド締結孔(111b)及びアークランナー締結孔(111e)は、グリッド締結突部(131)及びアークランナー締結突部(141)と対応する大きさ、又はこれよりは面積が少し小さな大きさでなってもよい。これによって、グリッド締結孔(111b)とアークランナー締結孔(111e)とには、グリッド締結突部(131)とアークランナー締結突部(141)とがそれぞれ圧入固定できるようになるであろう。
【0074】
各側面部材(111)には、アークガイド(150)がそれぞれ結合されてもよい。側面部材(111)の下側には、アークガイド(150)との結合のためのアークガイド締結孔(111c)が貫通形成される。アークガイド締結孔(111c)は、前記側面部材(111)の一側を貫通する円筒状の孔(hole)の形状になっていてもよい。
【0075】
アークガイド締結孔(111c)は複数からなり、一定の間隔だけ互いに離間した位置にそれぞれ形成されてもよい。また、各アークガイド締結孔(111c)には、後述するアークガイド締結部(151)がそれぞれ結合されて側面部材(111)にアークガイド(150)が固定できるようになる。
【0076】
アークガイド(150)は、側面部材(111)の下側に位置してもよく、アークガイド(150)の一側面は、前記側面部材(111)と密着するように設けられてもよい。
【0077】
このために、アークガイド(150)の一側面には、アークガイド締結部(151)が前記側面部材(111)に向かう方向に突設されてもよい。このため、アークガイド(150)に突設されるアークガイド締結部(151)は、アークガイド締結孔(111c)に結合することでアークガイド(150)が側面部材(111)に結合できるようにする。このとき、アークガイド締結部(151)は複数からなってもよく、互いに離間して配置される各アークガイド締結部(151)と結合してもよい。例えば、アークガイド締結部(151)は2つでなってもよく、互いに離間した位置に配置されてもよい。
【0078】
アークガイド(150)は、第1延長部(150a)及び第2延長部(150b)を含む。
【0079】
第1延長部(150a)は、アークガイド(150)が側面部材(111)に結合される部分を意味し、第1延長部(150a)は側面部材(111)の下側部に位置する。第1延長部(150a)は、アークガイド締結部(151)によって側面部材(111)の内側面に結合してもよい。
【0080】
また、第1延長部(150a)は、グリッド(130)に向かう方向に側面部材(111)と接触した状態で延設されてもよい。第1延長部(150a)は、側面部材(111)と平行に延設されてもよい。
【0081】
第2延長部(150b)は、第1延長部(150a)の端部から延設され、グリッド(130)に向かう方向に曲げられて部分的に取り囲む形状になっていてもよい。
【0082】
第2延長部(150b)は、第1延長部(150a)と一定の角度をなして延設されてもよい。例えば、第2延長部(150b)は、第1延長部(150a)と鈍角をなして延設されてもよい。また、第2延長部(150b)は、グリッド(130)の端部に向かって延設されてもよい。
【0083】
一般に、アークガイド(150)は、耐熱性の強い材料からなることが一般的である。特に、最近はアークガイド(150)を、ガラス繊維を強化材としたプラスチック系複合材料であるBMC(Bulk Molding Compound)やSMC(Sheet Molding Compound)などの繊維強化プラスチックで製作している。
【0084】
ここで、ガラス繊維(glass fiber)とは、耐高温性及び耐化学性の性質を有し、引張強度が大きい。また、ガラス繊維は、電気絶縁性が大きく、耐磨耗性が低い特性を有する。
【0085】
但し、アークガイド(150)を繊維強化プラスチックで形成する場合、遮断時に発生するアーク(Arc)とアークガイド(150)との間でガラス繊維がイオン化する現象が発生して電荷を帯びるようになり、絶縁性能が弱くなるという問題が生じる。すなわち、アークガイド(150)がガラス繊維が含まれた繊維強化プラスチックで製造される場合、アークとの相互作用で電荷を帯びるようになるため、アーク持続時間が増え、電流遮断性能が低下するようになる。
【0086】
このため、本発明によるアーク消弧組立体(100)のアークガイド(150)は、耐加熱性を確保すると共に絶縁性能が弱くなることを防止できるように、ガラス繊維が除去されたプラスチック系複合材料からなってもよい。
【0087】
例えば、アーク消弧組立体(100)は、耐加熱性の単一材料からなってもよく、ポリアマド(Polyamide)樹脂からなってもよい。
【0088】
ポリアマド樹脂はナイロン樹脂を意味でき、例えば、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)を意味することができる。ポリアミドは、機械的強度、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性、自己消火性(難燃性)の特性を有し、加工性に優れるため、他の材料との複合化が容易である特性を有する。
【0089】
ポリアミドは、自動車部品、電気・電子部品、機械部品、建材部品、医療用品、家廷用品など幅広い分野に利用されている。
【0090】
本発明による、アークガイド(150)は、ガラス繊維が含まれていない、ナイロン6(PA6)及びナイロン66(PA66)のいずれか一方の物質からなってもよい。
【0091】
また、本発明によるアークガイド(150)は、ナイロン6(PA6)とナイロン66(PA66)とが混合した複合ポリアミド樹脂組成物からなることも可能であろう。
【0092】
例えば、アークガイド(150)がポリアミド6(PA6)からなる場合、射出特性に優れており、またポリアミド66と混用するときに共に溶融可能であり、混和性に優れ、射出特性を維持することができる。
【0093】
また、アークガイド(150)はポリアミド66(PA66)からなってもよく、ポリアミド66は、重量平均分子量が11,000~21,000g/molであり、機械的剛性と耐熱性に優れた特性を有する。
【0094】
また、ポリアミド樹脂としてガラス繊維を含んでいない同一の原材料からなる素材でアークガイド(150)を製作して、遮断器の電流遮断試験を行った結果、アーク持続時間が減少して電流遮断性能を向上できることが確認された。
【0095】
また、側面部材(111)に対して検討すると、側面部材(111)の上側には、排気部(120)との結合のためのネジ締結孔(111a)が形成され、一対の側面部材(111)は、それぞれ排気部(120)と結合できるようになる。排気部胴体(124)には、側面部材(111)との結合のためのネジ結合溝(124a)が形成されるようになる。
【0096】
側面部材(111)が排気部胴体(124)に結合した状態で、締結ネジ(図示せず)がネジ締結孔(111a)を貫通してネジ結合溝(124a)に結合される。
【0097】
グリッド(130)は板状になっており、固定接触点(13a)から離れる一方向に互いに所定間隔だけ離間して複数積層される構造を有する。
【0098】
グリッド(130)の両側面にはグリッド締結突部(131)が突設され、グリッド締結孔(111b)に挿入されるように位置する。グリッド(130)は、一対の側面部材(111)の間で固定できるようになる。
【0099】
グリッド(130)は、アークに電磁気的引力を印加できる任意の素材からなってもよく、例えば、鉄(Fe)からなってもよい。
【0100】
複数のグリッド(130)の間でアークが伸びて移動することでアーク電圧が増加し、アークが冷却されるようになる。
【0101】
アークランナー(140)は板状に形成され、複数のグリッド(130)と後方に所定距離だけ離間して位置してもよい。
【0102】
アークランナー(140)は、発生したアークがグリッド(130)に向かって流動するようにアークを誘導する役割をする。発生したアークは、アークランナー(140)によって、グリッド(130)を超えてカバーに進行することを防止できるようになる。このため、発生したアークによって遮断器(10)のカバー(11a、11b)が損傷することを防止することができる。
【0103】
発生したアークは、アークランナー(140)の下側端部まで伸びてアークランナー(140)に乗って流れる。アークがアークランナー(140)まで到達しない場合、アーク消弧性能が低減し得るため、アークランナー(140)の下側端部は固定接触点(13a)に向かって屈曲した形状になっていてもよい。
【0104】
屈曲して形成されるアークランナー(140)の下側端部は、複数のグリッド(130)のうち後方側に位置するグリッド(130)の下側に位置する。アークランナー(140)の屈曲した構造によってアークランナー(140)の下側端部と固定接触点(13a)との間の距離が短縮される。
【0105】
アークランナー(140)は、アークに電磁気的引力を印加できる任意の素材で形成されてもよく、例えば、アークランナーは、鉄(Fe)素材で形成されてもよい。
【0106】
図8は、アークガイド(150)が繊維強化プラスチックからなる場合と、耐加熱性の単一材料であるポリアマド66(PA66)からなる場合との平均アーク時間を示す表である。
【0107】
上記で検討したように、異常電流が検知されて可動接触点(14a)が固定接触点(13a)から離間すると瞬間的に金属ガスが発生し、発生した金属ガスを通じてアークが流れるようになる。
【0108】
金属ガスが発生すると、金属ガスが発生した部分の圧力が瞬間的に増加し、その結果、金属ガスは圧力差によってアーク消弧組立体(100)の排気部(120)に向かって上昇する。これにより、金属ガスを通じて流れるアークが上昇してアーチ状に伸びるようになる。
【0109】
発生したアークは、アークガイド(150)の間の空間を通過してグリッド(130)及びアークランナー(140)に移動して、グリッド(130)及びアークランナー(140)で消弧過程を経て遮断器(10)の外部に排出されなければならない。
【0110】
発生したアークは高温高圧の電子の流れであり、早い時間内に遮断器(10)の外部に排出されることが好ましい。このために、発生したアークが固定接触点(13a)から最も遠く位置したアークランナー(140)まで速く伸びた後、排気部(120)に向かって速く伸びることが好ましい。
【0111】
このとき、アークガイド(150)は、発生したアークがグリッド(130)に乗って流動するようにアークを誘導する役割をする。
【0112】
アークガイド(150)は、遮断器の正接続又は逆接続によって電流の移動方向が変わっても、アーク消弧組立体(100)の上部に向かう方向にアークに力を作用できるようになる。このため、アークは、グリッド(130)に乗ってより円滑に消弧できるようになるであろう。
【0113】
アークガイド(150)は、耐加熱性を確保すると共に絶縁性能が弱くなることを防止できるように、ガラス繊維が除去されたプラスチック系複合材料からなってもよく、例えば、アーク消弧組立体(100)は、耐加熱性の単一材料からなってもよく、ポリアマド(Polyamide)樹脂からなってもよい。
【0114】
ここで、ポリアマド樹脂は、ナイロン樹脂を意味でき、例えば、ナイロン66(PA66)を意味することができる。ポリアミドは、機械的強度、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性、自己消火性(難燃性)の特性を有し、加工性に優れるため、他の材料との複合化が容易である特性を有する。
【0115】
また、図8に見られるように、アークガイド(150)がガラス繊維が含まれた繊維強化プラスチックからなる場合は、アークガイド(150)が耐加熱性の単一材料であるポリアマド66(PA66)からなることに比べ、全体的な正接続と逆接続における平均アーク時間がより大きくなることを確認できる。正接続及び逆接続における平均アークタイムが大きくなることはアーク持続時間が大きいことを意味し、これは電流遮断性能が低いことを意味する。
【0116】
例えば、遮断器(10)に印加される正接続及び逆接続の電流が16Aである場合、アークガイド(150)がガラス繊維が含まれた繊維強化プラスチックからなる場合、正接続の平均アーク時間は約55.8(ms)であり、逆接続の平均アーク時間は約81.5(ms)であった。
【0117】
これに対して、ガラス繊維を含んでいないポリアミド樹脂(PA66)を用いてアークガイド(150)を形成した場合、正接続の平均アーク時間は約31.7(ms)であり、逆接続の平均アーク時間は約22.1(ms)で、ガラス繊維を含む繊維強化プラスチックに比べてアーク持続時間がより低いことを確認した。
【0118】
同様に、遮断器(10)に印加される電流が32(A)、64(A)である場合にも、ガラス繊維を含んでいないポリアミド樹脂(PA66)を用いてアークガイド(150)を形成した場合、ガラス繊維を含む繊維強化プラスチックに比べてアーク持続時間がより低いことを確認した。
【0119】
図9の(a)は、アークガイド(150)に耐加熱性の物質が全体的に塗布された様子を示す概念図であり、図9の(b)は、アークガイド(150)の一側面に耐加熱性の物質が塗布された様子を示す概念図である。
【0120】
アーク消弧組立体(100)の下側で可動接触点(14a)が固定接触点(13a)が離間するとアークが発生する。アークは可動接触点(14a)に沿って伸び得る。
【0121】
可動接触点(14a)と固定接触点(13a)との間で金属のガスが発生して瞬間的に固定接触点(13a)の部分の圧力が瞬間的に上昇し、圧力差によってアークがグリッド(130)とアークランナー(140)とに向かって伸びるようになる。
【0122】
伸びたアークは、複数のグリッド(130)とアークランナー(140)とに到達し、アークは、グリッド(130)及びアークランナー(140)に乗って流れて上側に伸びて冷却されるようになる。
【0123】
このとき、アークガイド(150)は、発生したアークと化学的に感応して、絶縁性能が弱くなることが防止される必要性が生じる。仮に、アークガイド(150)の絶縁性能が悪くなると、発生したアーク消弧が十分に行われないため、遮断器の他の構成に損傷が発生するという問題が生じる。これは、遮断器の電流性能遮断性能を弱化させる結果につながる。
【0124】
このために、アークガイド(150)は耐加熱性素材からなってもよい。アークガイド(150)が耐熱性の素材からなる場合、発生したアークによる損傷及び形状の変形を防止できるようになる。
【0125】
特に、本実施例において、アークガイド(150)は、耐加熱性を有すると共に絶縁性能が弱くなることを防止できるようにセラミック(ceramic)素材からなってもよい。
【0126】
セラミック(ceramic)は、金属(metal)と非金属(non-metal)又は準金属(metalloid)が熱処理によって互いに結合して結晶質を作る焼結過程(sintering process)を経た後、形成された結晶質が集まって三次元網構造を形成した固体物質を意味する。
【0127】
セラミックは、基本的に無機物質や金属の特性を有していない非金属性(non-metallic)の物質である。熱処理により結晶質を形成できる炭素やシリコンが主成分として構成される。
【0128】
セラミックは、堅くて強度が高いため圧縮過程(compression)に対抗してよく耐え、化学的に比較的安定しており、強い酸や塩基、腐食性の条件でも高い抵抗性を有する。
【0129】
また、セラミックは、製造工程で高温(1,000 ℃ 以上)の熱処理により焼結過程を経て温度変化に対する高い安全性を有するため、耐加熱性が向上した特性を有する。
【0130】
本発明によるアーク消弧組立体(100)は、アークガイド(150)の表面に耐加熱性の物質が塗布されてコーティングされてもよい。
【0131】
アークガイド(150)の外側面には耐加熱性の物質が塗布されてもよい。耐加熱性の物質によって、アークガイド(150)の外部露出面を取り囲むか、塗布されて一定の層を形成してもよい。
【0132】
ここで、耐加熱性の物質とは非金属材料を意味し、セラミックを意味することができる。
【0133】
例えば、セラミックバインダーとグラファイトパウダーとを混合して低度の低い液状のセラミックコーティング液をアークガイド(150)の表面に所定の厚さに塗布することで、セラミックコーティング層(153)を形成してもよい。
【0134】
このとき、図9の(a)に見られるように、セラミックコーティング層(153)は、アークガイド(150)の第1延長部(150a)及び第2延長部(150b)の全領域にわたって表面に吸着することで、所定の厚さのセラミックコーティング層(153)が形成されてもよい。これにより、機械的強度、耐熱性、耐磨耗性、耐食性、耐酸化性などの性能の向上を図ることができる。
【0135】
また、図9の(b)に見られるように、セラミックコーティング層(153’)は、アークガイド(150)の表面の全領域でなく、第1延長部(150a)と第2延長部(150b)との表面の一領域に形成されてもよい。例えば、第1延長部(150a)と第2延長部(150b)とのアーク消弧組立体(100)の内側部と対向する表面にセラミックコーティング層(153’)が形成されてもよい。言い換えると、第1延長部(150a)と第2延長部(150b)とのグリッド(130)と対向するように配置される外面部にはセラミックコーティング層(153’)が形成されてもよい。
【0136】
これにより、発生したアークとの相互作用が行われる領域にだけセラミックコーティング層(153’)が形成されてもよい。
【0137】
セラミックコーティング層(153)は、アークガイド(150)の表面を洗浄、脱脂し、アークガイド(150)の表面の全領域に一定の形状の凹凸(図示せず)を形成した後、セラミックコーティング液を塗布する方法で形成されてもよい。セラミックコーティング液が前記アークガイド(150)に塗布された後、乾燥ステップを経ると、セラミックは、前記アークガイド(150)の表面に均一に分布された状態で接合できるようになる。
【0138】
上記のように説明されたアーク消弧組立体、及びこれを有する遮断器は、上述した実施例の構成と方法が限定されるように適用できるのでなく、上記実施例は様々な変形がなされるように各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わせられて構成されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、電流を遮断して発生したアークを効果的に消弧するようにアーク消弧組立体を提供することができるため、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】