(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】レーザモジュール及びファイバレーザ装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02255 20210101AFI20240219BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20240219BHJP
H01S 3/067 20060101ALI20240219BHJP
H01S 3/0941 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/02253
H01S3/067
H01S3/0941
(21)【出願番号】P 2022559084
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 JP2021039066
(87)【国際公開番号】W WO2022091959
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2020179187
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】葛西 洋平
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013105467(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271837(US,A1)
【文献】特開2020-166128(JP,A)
【文献】特開2014-216361(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134966(WO,A1)
【文献】特開2016-224376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1レーザダイオードと、
前記第1の光と異なる波長の第2の光を出射する第2レーザダイオードと、
前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれに対応して設けられ、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれから出射する光のファスト軸方向をコリメートするファスト軸コリメートレンズと、
前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれに対応して設けられ、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれから出射する光のスロー軸方向をコリメートするスロー軸コリメートレンズと、
VBG(Volume Bragg Grating)又は回折格子から成る波長合成素子と、
を備え、
前記第1レーザダイオードから出射して前記ファスト軸コリメートレンズ及び前記スロー軸コリメートレンズを透過した前記第1の光、及び、前記第2レーザダイオードから出射して前記ファスト軸コリメートレンズ及び前記スロー軸コリメートレンズを透過した前記第2の光は、前記波長合成素子に入射し、
前記波長合成素子は、前記第1の光を所定の方向に反射するとともに、前記第2の光を前記第1の光と重ね合わせて前記所定の方向に出射し、
前記波長合成素子に入射する前記第1の光のファスト軸は、前記第1の光を前記波長合成素子に直接入射させる光学素子から前記波長合成素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、前記波長合成素子から当該波長合成素子を出射する前記第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、を通る第1の平面と平行であり、
前記波長合成素子に入射する前記第2の光のファスト軸は、前記第1の光を前記波長合成素子に直接入射させる光学素子から前記波長合成素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、前記波長合成素子から当該波長合成素子を出射する前記第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、を通る第2の平面と平行であ
り、
前記第1レーザダイオード、前記第2レーザダイオード、及び前記波長合成素子は、互いに平行な実装面に実装され、
前記波長合成素子に入射する際における前記第1の光及び前記第2の光のファスト軸は、前記実装面に平行であり、
前記第1の平面は、前記実装面に平行で、前記波長合成素子に入射する前記第1の光の光軸と前記波長合成素子で反射する前記第1の光の光軸とを通る
ことを特徴とするレーザモジュール。
【請求項2】
前記第2の平面は、前記波長合成素子に入射する前記第1の光の光軸と前記波長合成素子で反射する前記第1の光の光軸とを通る
ことを特徴とする請求項
1に記載のレーザモジュール。
【請求項3】
複数の前記第1レーザダイオード及び複数の前記第2レーザダイオードを有し、
複数の前記第1レーザダイオードから出射するそれぞれの前記第1の光及び複数の前記第2レーザダイオードから出射するそれぞれの前記第2の光は、前記ファスト軸コリメートレンズ及び前記スロー軸コリメートレンズを透過して前記波長合成素子に入射し、
前記波長合成素子は、それぞれの前記第1の光を前記所定の方向に反射するとともに、それぞれの前記第2の光をそれぞれの前記第1の光と一対一で重ね合わせて、前記所定の方向に出射し、
互いに重ね合わされる前記第1の光及び前記第2の光のそれぞれの対において、前記波長合成素子に入射する前記第1の光のファスト軸は前記対における前記第1の平面と平行であり、前記波長合成素子に入射する前記第2の光のファスト軸は前記対における前記第2の平面と平行である
ことを特徴とする請求項
1または2に記載のレーザモジュール。
【請求項4】
前記波長合成素子に入射するそれぞれの前記第1の光のファスト軸は互いに平行である
ことを特徴とする請求項
3に記載のレーザモジュール。
【請求項5】
前記波長合成素子に入射するそれぞれの前記第2の光のファスト軸は、少なくとも1つの前記第1の光のファスト軸と平行である
ことを特徴とする請求項
3または4に記載のレーザモジュール。
【請求項6】
前記波長合成素子に入射するそれぞれの前記第2の光のファスト軸は、互いに平行である
ことを特徴とする請求項
3から5のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
【請求項7】
前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードから出射する光の波長は、970nm以上982nm以下である
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
【請求項8】
前記第1の光の波長と前記第2の光の波長とは976nmを挟み、前記第1の光の波長と前記第2の光の波長との差が2nm以内である
ことを特徴とする請求項
7に記載のレーザモジュール。
【請求項9】
前記第1の光の前記波長合成素子への入射角及び前記第2の光の前記波長合成素子への入射角が、それぞれ3°以上である
ことを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
【請求項10】
前記波長合成素子はアポダイズを有するVBGである
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
【請求項11】
前記波長合成素子に入射する前記第1の光の全てのパワーに対する前記波長合成素子で反射して前記所定の方向に進む前記第1の光の全てのパワーが80%以上であり、かつ、前記波長合成素子に入射する前記第2の光の全てのパワーに対する前記波長合成素子から出射して前記所定の方向に進む前記第2の光の全てのパワーが80%以上である
ことを特徴とする請求項1から
10のいずれか1項に記載のレーザモジュール。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか1項に記載のレーザモジュールと、
前記レーザモジュールから出射する光が入射し、前記光により励起される活性元素がコアに添加される増幅用光ファイバと、
を備えることを特徴とするファイバレーザ装置。
【請求項13】
前記第1の光の波長及び前記第2の光の波長は、前記活性元素が吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置する
ことを特徴とする請求項
12に記載のファイバレーザ装置。
【請求項14】
前記ファイバレーザ装置の使用温度における一部において、前記第1の光の前記活性元素への吸収率と、前記第2の光の前記活性元素への吸収率とが互いに等しい
ことを特徴とする請求項
13に記載のファイバレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザモジュール及びファイバレーザ装置に関し、具体的には、異なる波長の光を合成して出射するレーザモジュール、及び、当該レーザモジュールを備えるファイバレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファイバレーザ装置では出射する光の高出力化が求められており、ファイバレーザ装置の高出力化のために、例えば、レーザモジュールから出射する励起光が高出力化されている。例えば、下記特許文献1には、レーザモジュールから出射する励起光を高出力化し得るレーザモジュールが記載されている。
【0003】
この特許文献1のレーザモジュールは、第1の波長の光をそれぞれ出射する複数のLD(Laser Diode)と、第2の波長の光をそれぞれ出射する複数のLDとを有している。これらのLDは、LDを実装する実装面に対して活性層が平行になるように載置されている。このため、LDから出射する光のファスト軸は実装面に垂直であり、スロー軸は実装面と平行である。また、特許文献1のレーザモジュールは、上記実装面に垂直に立設された波長合成素子を備えている。このような構成により、波長の異なる複数の光が、スロー軸方向が実装面と平行な状態で波長合成素子に入射し、波長合成素子から出射する。その結果、下記特許文献1によれば、空間的に密に充填された光が生成され、レーザモジュールから出射する励起光の出力が高まるとされる。
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0271837号明細書
【発明の概要】
【0005】
上記の波長合成素子として、回折格子や、ガラスブロックに屈折率変化を周期的につけたボリュームブラッググレーティング(VBG:Volume Bragg Grating)が使用されることがある。所望の回折効率を得るためには、これらに入射する光の入射角を所定の設計値に正確に合わせる必要がある。
【0006】
ところで、一般に、LDから出射する光のファスト軸方向の広がり角はスロー軸方向の広がり角よりも大きい。しかし、一般に、LDから出射する光のスロー軸方向の幅はファスト軸方向の幅よりも広く、当該光のスロー軸方向におけるビーム品質はファスト軸方向におけるビーム品質よりも悪い。そのため、LDから出射する光がファスト軸コリメートレンズ及びスロー軸コリメートレンズを透過した後において、当該光の光軸に対するスロー軸方向の広がり角は、光軸に対するファスト軸方向の広がり角に比べて大きくなり易い。特許文献1のレーザモジュールでは、ファスト軸コリメートレンズ及びスロー軸コリメートレンズを透過した後において、波長の異なる複数の光のそれぞれのスロー軸が、波長合成素子に入射するそれぞれの光の光軸と波長合成素子から出射するそれぞれの光の光軸とを通る平面に平行な状態で波長合成素子に入射し、波長合成素子から出射する。したがって、特許文献1のようにスロー軸方向が上記平面に平行な状態で光を波長合成素子に入射させる場合、当該光には、スロー軸方向の大きな広がり角に起因して、上記設計値と異なる角度で波長合成素子に入射する成分が多く含まれる。このため、特許文献1のレーザモジュールでは、回折効率が低下し易く、レーザモジュールから出射する光の輝度が低下する傾向にある。
【0007】
そこで、本発明は、高輝度の光を出射し得るレーザモジュール及び当該レーザモジュールを備えるファイバレーザ装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的の達成のため、本発明のレーザモジュールは、第1の光を出射する第1レーザダイオードと、前記第1の光と異なる波長の第2の光を出射する第2レーザダイオードと、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれに対応して設けられ、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれから出射する光のファスト軸方向をコリメートするファスト軸コリメートレンズと、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれに対応して設けられ、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードのそれぞれから出射する光のスロー軸方向をコリメートするスロー軸コリメートレンズと、VBG又は回折格子から成る波長合成素子と、を備え、前記第1レーザダイオードから出射して前記ファスト軸コリメートレンズ及び前記スロー軸コリメートレンズを透過した前記第1の光、及び、前記第2レーザダイオードから出射して前記ファスト軸コリメートレンズ及び前記スロー軸コリメートレンズを透過した前記第2の光は、前記波長合成素子に入射し、前記波長合成素子は、前記第1の光を所定の方向に反射するとともに、前記第2の光を前記第1の光と重ね合わせて前記所定の方向に出射し、前記波長合成素子に入射する前記第1の光のファスト軸は、前記第1の光を前記波長合成素子に直接入射させる光学素子から前記波長合成素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、前記波長合成素子から当該波長合成素子を出射する前記第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、を通る第1の平面と平行であり、前記波長合成素子に入射する前記第2の光のファスト軸は、前記波長合成素子に前記第1の光を直接入射させる光学素子から前記波長合成素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、前記波長合成素子から当該波長合成素子を出射する前記第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの前記第1の光の全区間と、を通る第2の平面と平行であることを特徴とするものである。
【0009】
第1の光を波長合成素子に直接入射させる光学素子から波長合成素子に至るまでの第1の光の光軸の全区間と、波長合成素子から当該波長合成素子を出射する第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの第1の光の光軸の全区間とを通る平面を基準面として規定すると、波長合成素子に第1の光が入射する際、第1の光の基準面と平行な方向における光軸に対する広がり成分が小さい程、波長合成素子における第1の光の回折効率の低下が抑制される。なお、波長合成素子に入射する光の基準面に垂直な方向における広がり成分は、基準面に平行な方向における広がり成分に比べて、波長合成素子から出射する光同士の干渉に及ぼす影響が小さい。上記第1の平面は、第1の光を波長合成素子に直接入射させる光学素子から波長合成素子に至るまでの第1の光の全区間と、波長合成素子から当該波長合成素子を出射する第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの第1の光の全区間と、を通るため、基準面と平行か、又は平行に近い。なお、第1の平面は、上記のように第1の光を通れば良く、第1の光の光軸を通ることに限定されず、第1の光の光軸を通る平面と僅かに非平行であってもよい。また、上記のように、レーザモジュールでは、一般的に、ファスト軸方向における光軸に対する光の広がり角は、スロー軸方向における光軸に対する光の広がり角に比べて小さい。このレーザモジュールでは、第1の光のファスト軸は第1の平面と平行であるため、第1の光のファスト軸は基準面と平行か、又は平行に近い。よって、このレーザモジュールでは、第1の光の基準面と平行な方向における広がり角が小さく、第1の光の回折効率の低下を抑制することができる。また、上記第2の平面は、第1の光を波長合成素子に直接入射させる光学素子から波長合成素子に至るまでの第1の光の全区間と、波長合成素子から当該波長合成素子を出射する第1の光が直接入射する光学素子に至るまでの第1の光の全区間と、を通るため、上記基準面と平行か、又は平行に近い。なお、第2の平面は、上記のように第1の光を通れば良く、第1の光の光軸を通ることに限定されず、第1の光の光軸を通る平面と僅かに非平行であってもよい。また、第2の平面は、第1の平面と同じ平面でもよく、異なる平面でもよい。ただし、第2の平面が第1の平面と異なる場合であっても、第2の平面と第1の平面とは平行に近い。このレーザモジュールでは、第2の光のファスト軸は第2の平面と平行であるため、第2の光のファスト軸は基準面と平行か、又は平行に近い。よって、このレーザモジュールでは、第2の光の基準面と平行な方向における広がり角が小さく、第2の光の回折効率の低下を抑制することができる。このように、このレーザモジュールによれば、第1の光と第2の光との回折効率の低下がそれぞれ抑制されるため、出射する光の密度を高めて高輝度の光を出射し得る。
【0010】
また、前記第1の平面は、前記波長合成素子に入射する前記第1の光の光軸と前記波長合成素子で反射する前記第1の光の光軸とを通ることが好ましい。
【0011】
第1の平面が上記のように第1の光の光軸を通る場合、この第1の平面は上記基準面と平行である。よって、第1の平面が第1の光の光軸を通らない場合に比べて、回折効率の低下を抑制することができる。
【0012】
また、前記第2の平面は、前記波長合成素子に入射する前記第1の光の光軸と前記波長合成素子で反射する前記第1の光の光軸とを通ることがより好ましい。
【0013】
第2の平面が上記のように第1の光の光軸を通る場合、第2の平面は上記基準面と平行である。よって、第2の平面が第1の光の光軸を通らない場合に比べて、回折効率の低下を抑制することができる。
【0014】
また、複数の前記第1レーザダイオード及び複数の前記第2レーザダイオードを有し、複数の前記第1レーザダイオードから出射するそれぞれの前記第1の光及び複数の前記第2レーザダイオードから出射するそれぞれの前記第2の光は、前記ファスト軸コリメートレンズ及び前記スロー軸コリメートレンズを透過して前記波長合成素子に入射し、前記波長合成素子は、それぞれの前記第1の光を前記所定の方向に反射するとともに、それぞれの前記第2の光をそれぞれの前記第1の光と一対一で重ね合わせて、前記所定の方向に出射し、互いに重ね合わされる前記第1の光及び前記第2の光のそれぞれの対において、前記波長合成素子に入射する前記第1の光のファスト軸は前記対における前記第1の平面と平行であり、前記波長合成素子に入射する前記第2の光のファスト軸は前記対における前記第2の平面と平行であることがさらに好ましい。
【0015】
この場合、複数の第1の光のそれぞれのファスト軸が第1の平面と平行であり、複数の第2の光のそれぞれのファスト軸が第2の平面と平行であるため、複数の第1の光と複数の第2の光のそれぞれにおいて回折効率の低下が抑制され得る。よって、全体として出射する光の密度を高めて高輝度の光を出射し得る。
【0016】
また、レーザモジュールが複数の第1レーザダイオード及び複数の第2レーザダイオードを有する場合、前記波長合成素子に入射するそれぞれの前記第1の光のファスト軸は互いに平行であることがより好ましい。
【0017】
この場合、波長合成素子に入射するそれぞれの第1の光のファスト軸の少なくとも一部のファスト軸が互いに非平行である場合に比べて、第1の光のそれぞれを近づけることができ、高密度の第1の光を波長合成素子に入射させ得る。よって、より高輝度の光を出射し得る。
【0018】
また、レーザモジュールが複数の第1レーザダイオード及び複数の第2レーザダイオードを有する場合、前記波長合成素子に入射するそれぞれの前記第2の光のファスト軸は、少なくとも1つの前記第1の光のファスト軸と平行であることが好ましい。
【0019】
この場合、波長合成素子に入射するそれぞれの第2の光のファスト軸が、それぞれの第1の光のファスト軸と非平行である場合に比べて、第1の光と第2の光とが重なる度合を高くすることができ、波長合成素子に入射する第1の光及び第2の光の密度を高め得る。よって、より高輝度の光を出射し得る。
【0020】
また、レーザモジュールが複数の第1レーザダイオード及び複数の第2レーザダイオードを有する場合、前記波長合成素子に入射するそれぞれの前記第2の光のファスト軸は、互いに平行であることが好ましい。
【0021】
この場合、波長合成素子に入射するそれぞれの第2の光のファスト軸の少なくとも一部のファスト軸が互いに非平行である場合に比べて、第2の光のそれぞれを近づけることができ、高密度の第2の光を波長合成素子に入射させ得る。よって、より高輝度の光を出射し得る。
【0022】
また、前記第1レーザダイオード及び前記第2レーザダイオードから出射する光の波長は、970nm以上982nm以下であってもよい。
【0023】
レーザモジュールをファイバレーザ装置に使用する場合、レーザモジュールから出射する光が伝搬する増幅用光ファイバのコアには、活性元素としてイッテルビウム(Yb)が添加されることがある。このイッテルビウムが吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長帯の1つは、概ね970nm以上982nm以下である。したがって、複数のレーザダイオードから出射する光の波長が970nm以上982nm以下であれば、イッテルビウムの添加された増幅用光ファイバにレーザモジュールを接続する場合において、効果的に当該増幅用光ファイバに光を吸収させることができる。
【0024】
第1レーザダイオード及び第2レーザダイオードから出射する光の波長が970nm以上982nm以下の場合、前記第1の光の波長と前記第2の光の波長とは976nmを挟み、前記第1の光の波長と前記第2の光の波長との差が2nm以内であることが好ましい。
【0025】
第1の光の波長と第2の光の波長との差がこのように小さければ、第1の光及び第2の光の両方のイッテルビウムへの吸収効率が高いため、このレーザモジュールをイッテルビウムの添加された増幅用光ファイバに接続する場合において、増幅用光ファイバにおける励起効率をより高くすることができる。
【0026】
また、前記第1の光の前記波長合成素子への入射角及び前記第2の光の前記波長合成素子への入射角が、それぞれ3°以上であることが好ましい。
【0027】
上記入射角が3°以上であれば、上記入射角が3°未満の場合に比べて、第1の光と第2の光とが、波長合成素子から上記所定の方向に出射し易い。このため、波長合成素子から出射する第1の光及び第2の光が、本来入射すべき光学素子とは異なる光学素子に入射することを抑制し得るレイアウトを構成し易い。
【0028】
また、前記波長合成素子はアポダイズを有するVBGであってもよい。
【0029】
このような構成によれば、VBGに入射する光の波長に対するVBGの回折効率の分布にサイドローブが生じる場合に、このサイドローブを低減することができる。その結果、短い波長間隔の光同士であってもサイドローブに干渉されずに合成することが可能になり得る。
【0030】
また、前記波長合成素子に入射する前記第1の光の全てのパワーに対する前記波長合成素子で反射して前記所定の方向に進む前記第1の光の全てのパワーが80%以上であり、かつ、前記波長合成素子に入射する前記第2の光の全てのパワーに対する前記波長合成素子から出射して前記所定の方向に進む前記第2の光の全てのパワーが80%以上であることが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、波長合成素子に入射する第1の光及び第2の光のそれぞれ80%以上が所定の方向に出射するため、波長合成素子から出射する光の密度がより高まる。
【0032】
また、上記目的達成のために、本発明のファイバレーザ装置は、上記いずれかに記載のレーザモジュールと、前記レーザモジュールから出射する光が入射し、前記光により励起される活性元素がコアに添加される増幅用光ファイバと、を備えることを特徴とするものである。
【0033】
このファイバレーザ装置は、上記いずれかに記載のレーザモジュールを備えるため、増幅用光ファイバの活性元素のピーク波長帯に収まる励起光を高密度かつ高輝度で当該増幅用光ファイバに入射させることができる。このため、増幅用光ファイバを伝搬する励起光が高密度かつ高輝度になり、増幅用光ファイバにおける励起光の吸収効率を高めることができる。
【0034】
また、上記ファイバレーザ装置において、前記第1の光の波長及び前記第2の光の波長は、前記活性元素が吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置してもよい。
【0035】
同一のレーザモジュールに搭載されるレーザダイオードは、同一のレーザモジュールに搭載されることによって、それらの外的環境や駆動条件が概ね同一である。このため、それぞれのレーザダイオードから出射する光の波長シフトの方向は、いずれも同じ方向になる傾向にあり、いずれも長波長側又は短波長側にシフトする傾向にある。よって、第1の光の波長及び第2の光の波長が、上記ピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置すれば、ファイバレーザ装置の温度変化等によって、それぞれのレーザダイオードから出射する光が例えば長波長側に波長シフトした場合、第1の光及び第2の光のうち波長がピーク波長を挟んで低波長側に位置する光の波長は、活性元素への吸収率が上がる側の波長にシフトし、高波長側に位置する光の波長は活性元素への吸収率が下がる側の波長にシフトし得る。したがって、波長シフトが生じた場合において、第1の光の活性元素への吸収率と、第2の光の活性元素への吸収率とが全体的にバランスされ得、励起光の活性元素への吸収率が変化することによるレーザ装置の挙動変化を抑制することができる。
【0036】
この場合、第1の光の波長及び第2の光の波長が、活性元素が吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置する場合、前記ファイバレーザ装置の使用温度における一部において、前記第1の光の前記活性元素への吸収率と、前記第2の光の前記活性元素への吸収率とが等しいことが好ましい。
【0037】
第1の光の活性元素への吸収率と、第2の光の活性元素への吸収率とに差がある場合、活性元素の添加量や増幅用光ファイバの長さなどを、吸収率の差を考慮して設計する必要がある。一方、上記のように、ファイバレーザ装置の使用温度における一部において、第1の光の活性元素への吸収率と、第2の光の活性元素への吸収率とが同じであれば、単一の吸収率に合わせて活性元素の添加量などを決定することができ、レーザ装置の設計が容易になり得る。
【0038】
以上のように、本発明によれば、高輝度の光を出射し得るレーザモジュール及び当該レーザモジュールを備えるファイバレーザ装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るファイバレーザ装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す増幅用光ファイバの長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るレーザモジュールを、レーザダイオードの活性層に垂直な方向から見る平面図である。
【
図4】光回転素子に入射する光の様子を示す図である。
【
図5】
図3に示される光回転素子の一例を示す斜視図である。
【
図6】光回転素子から出射する光の様子を示す図である。
【
図7】
図3に示される波長合成素子近傍の様子を概略的に示す図である。
【
図8】活性元素が吸収する光の吸収スペクトルを示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るレーザモジュールを
図3と同様の視点で示す平面図である。
【
図10】本発明のレーザモジュールの第1の変形例を
図7と同様の視点で示す図である。
【
図11】本発明のレーザモジュールの第2の変形例を
図7と同様の視点で示す図である。
【
図12】本発明のレーザモジュールの第3の変形例を
図7と同様の視点で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係るレーザモジュール及びファイバレーザ装置を実施するための形態が添付図面と共に例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。また、本明細書では、理解を容易にするために、各部材の寸法が誇張して示されている場合がある。
【0041】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るファイバレーザ装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のファイバレーザ装置1は、励起光源2、光コンバイナ3、増幅用光ファイバ5、増幅用光ファイバ5の一方側に接続される光ファイバ4、光ファイバ4に設けられる第1FBG(Fiber Bragg Grating)7、増幅用光ファイバ5の他方側に接続される光ファイバ6、及び、光ファイバ6に設けられる第2FBG8を主な構成として備える。このファイバレーザ装置1では、増幅用光ファイバ5、第1FBG7、及び第2FBG8によって共振器が構成される。このファイバレーザ装置1の一般的な使用温度は、0℃以上60℃以下であるが、0℃以上60℃以下の温度範囲よりも低温又は高温においてファイバレーザ装置1を使用してもよい。
【0042】
図2は、
図1に示す増幅用光ファイバ5の長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。
図2に示すように増幅用光ファイバ5は、コア5aと、コア5aの外周面を隙間なく囲む内側クラッド5bと、内側クラッド5bの外周面を被覆する外側クラッド5cと、外側クラッド5cを被覆する被覆層5dとを主な構成として備え、いわゆるダブルクラッド構造とされている。内側クラッド5bの屈折率はコア5aの屈折率よりも低く、外側クラッド5cの屈折率は内側クラッド5bの屈折率よりも低くされている。
【0043】
コア5aを構成する材料としては、例えば、屈折率を上昇させるゲルマニウム(Ge)等の元素、及び、励起光源2から出射される励起光により励起されるイッテルビウム(Yb)等の活性元素が添加された石英が挙げられる。なお、これらの元素の他に、必要に応じてアルミニウム(Al)やリン(P)などが添加されてもよい。このような活性元素としては、希土類元素が挙げられ、希土類元素としては、上記Ybの他にツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、エルビウム(Er)等が挙げられる。さらに活性元素として、希土類元素の他に、ビスマス(Bi)等を挙げることができる。本実施形態では、活性元素としてイッテルビウムが添加されている。
【0044】
内側クラッド5bを構成する材料としては、例えば、何らドーパントが添加されていない純粋石英を挙げることができる。なお、内側クラッド5bの材料には、屈折率を低下させるフッ素(F)等の元素が添加されてもよい。外側クラッド5cは、樹脂または石英から成る。このような樹脂としては例えば紫外線硬化樹脂が挙げられ、石英としては例えば内側クラッド5bよりもさらに屈折率が低くなるように屈折率を低下させるフッ素(F)等のドーパントが添加された石英が挙げられる。被覆層5dを構成する材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂が挙げられ、外側クラッド5cが樹脂の場合、外側クラッドを構成する樹脂とは異なる紫外線硬化樹脂とされる。
【0045】
増幅用光ファイバ5の一方側に接続される光ファイバ4は、活性元素が添加されていないコアと、このコアの外周面を隙間なく囲む内側クラッドと、この内側クラッドの外周面を被覆する外側クラッドと、外側クラッドを被覆する被覆層とを主な構成として備える。光ファイバ4のコアの直径や屈折率等は、活性元素が添加されていないことを除いて増幅用光ファイバ5のコア5aの直径や屈折率等と略同様である。光ファイバ4のコアは増幅用光ファイバ5のコア5aと接続され、光ファイバ4の内側クラッドは増幅用光ファイバ5の内側クラッド5bと接続されている。また、光ファイバ4のコアには、第1ミラーとしての第1FBG7が設けられている。こうして第1FBG7は、増幅用光ファイバ5の一方側において増幅用光ファイバ5のコア5aと光学的に結合している。第1FBG7は、光ファイバ4の長手方向に沿って周期的に屈折率が高くなる部分が繰り返されており、この周期が調整されることにより、励起状態とされた増幅用光ファイバ5の活性元素が放出する光うち少なくとも一部の波長の光を反射するように構成されている。第1FBG7の反射率は、後述の第2FBG8の反射率よりも高く、活性元素が放出する光のうち所望の波長の光を例えば99%以上で反射する。また、第1FBG7が反射する光の波長は、上述のように活性元素がイッテルビウムである場合、例えば1070nmとされる。
【0046】
増幅用光ファイバ5の他方側に接続される光ファイバ6は、活性元素が添加されていないコアと、このコアの外周面を隙間なく囲むクラッドと、このクラッドの外周面を被覆する被覆層とを主な構成として備える。光ファイバ6のコアは増幅用光ファイバ5のコア5aと接続され、光ファイバ6のクラッドは増幅用光ファイバ5の内側クラッド5bと接続されている。また、光ファイバ6のコアには、第2ミラーとしての第2FBG8が設けられている。こうして第2FBG8は、増幅用光ファイバ5の他方側において増幅用光ファイバ5のコア5aと光学的に結合している。第2FBG8は、光ファイバ6の長手方向に沿って一定の周期で屈折率が高くなる部分が繰り返されており、第1FBG7が反射する光のうち少なくとも一部の波長の光を第1FBG7よりも低い反射率で反射するように構成される。第2FBG8は、第1FBG7が反射する光のうち少なくとも一部の波長の光を例えば5%~50%の反射率で反射する。また、本実施形態では光ファイバ6の増幅用光ファイバ5側と反対側の他端には特に何も接続されていないが、光ファイバ6のコアの直径より大径のガラスロッド等を加工ヘッドの一部として接続してもよい。
【0047】
励起光源2は、複数のレーザモジュール20と、それぞれのレーザモジュール20に接続される光ファイバ11とを備える。それぞれの光ファイバ11のコアは、光コンバイナ3を介して光ファイバ4の内側クラッドに接続されている。従って、それぞれのレーザモジュール20から出射する励起光が伝搬する光ファイバ11のコアと増幅用光ファイバ5の内側クラッド5bとは、光ファイバ4の内側クラッドを介して光学的に結合されている。
【0048】
図3は、レーザモジュール20を示す平面図である。
図3に示すように、レーザモジュール20は、後述の光学素子群と、当該光学素子群が実装される実装基板21と、実装基板21に被せられて実装基板21と共に光学素子群を収容する不図示の蓋体と、を備える。
【0049】
実装基板21は、平板部22と、階段状に形成される階段部23とを含む。平板部22の階段部23側とは反対側の縁部近傍には、上記光ファイバ11が接続されている。
【0050】
階段部23は、平板部22に垂直な第1方向において段差がつくように構成されている。平板部22の表面を0段目とすると、本実施形態では、階段部23は第1方向に沿って6段の段差を有している。階段部23の1段目は平板部22に最も近い段であり、階段部23のうち最も低い段である。段数が増えるに従って、平板部22からの距離が遠くなると共に平板部22の表面から離れる高さが高くなる。なお、階段部23の段数は6段に限定されるものではない。各段の表面は、それぞれ平板部22の表面と平行であり、平板部22の表面と各段の表面とには上記光学素子群が載置されるため、平板部22の表面と各段の表面とを併せて実装面21Fと言うことがある。この実装面21Fに垂直な方向が上記第1方向である。また、各段の表面は、互いに平行な帯状に形成されており、各段の長手方向は、第1方向に垂直な方向の1つである第2方向に沿っている。第1方向及び第2方向の双方に垂直な方向が第3方向である。
【0051】
実装面21Fに実装される上記光学素子群は、複数のレーザダイオード(LD)、複数のファスト軸コリメートレンズ36、複数のスロー軸コリメートレンズ37、複数のミラー39、2つの光回転素子40、2つの波長安定化素子43、一対のミラー44A1,44A2、一対のミラー44B1,44B2、波長合成素子45、第1集光レンズ46、及び第2集光レンズ47を含む。この光学素子群のうち、2つの光回転素子40、2つの波長安定化素子43、一対のミラー44A1,44A2、一対のミラー44B1,44B2、波長合成素子45、第1集光レンズ46、及び第2集光レンズ47は平板部22に配置される。また、複数のLD、複数のファスト軸コリメートレンズ36、複数のスロー軸コリメートレンズ37、複数のミラー39は階段部23に配置される。
【0052】
複数のLDは、第2方向における実装基板21の中央を基準とする一方側に配置される複数の第1LD31からなる第1LD群31Gと、他方側に配置される複数の第2LD32からなる第2LD群32Gとを含む。第1LD31及び第2LD32のそれぞれは、階段部23の各段の表面に1つずつ配置される。また、第1LD31及び第2LD32のそれぞれは、活性層を含む複数の半導体層が積層されて成るファブリペロー構造を有し、この活性層が実装面21Fと平行になるように配置される。また、第1LD31は、同じ段に配置される第2LD32側に向かって第2方向に光を出射し、第2LD32は、同じ段に配置される第1LD31側と反対側に向かって第2方向に光を出射する。したがって、第1LD31及び第2LD32から出射する光のファスト軸方向は第1方向と平行である。また、第1LD31及び第2LD32から出射する光のスロー軸方向は実装面21Fに平行であり、第2方向に垂直な第3方向と平行である。
【0053】
第1LD31及び第2LD32は、波長970nm以上982nm以下の波長帯域の光を出射し、より具体的には、波長970nm以上980nm以下の波長帯域の光を出射する。第1LD31が出射する第1の光L1の波長と、第2LD32が出射する第2の光L2の波長とは互いに異なっている。本実施形態では、これらの波長の間隔は例えば2nm以内であり、第1の光L1の波長は例えば概ね975nmであり、第2の光L2の波長は例えば概ね977nmである。
【0054】
複数のファスト軸コリメートレンズ36は、複数のLDに対して一対一対応で設けられており、対応するLDと同じ段に設けられている。ファスト軸コリメートレンズ36は、LD31,32の出射面の近傍に設けられ、LD31,32から出射するファスト軸方向に広がる成分の光をコリメートする。
【0055】
複数のスロー軸コリメートレンズ37は、複数のLDに対して一対一対応で設けられており、対応するLDと同じ段に設けられている。スロー軸コリメートレンズ37は、ファスト軸コリメートレンズ36と第2方向に沿って並んでおり、ファスト軸コリメートレンズ36を透過したスロー軸方向に広がる成分の光をコリメートする。
【0056】
複数のミラー39は、複数のLDに対して一対一対応で設けられており、対応するLDと同じ段に設けられている。ミラー39は、ファスト軸コリメートレンズ36及びスロー軸コリメートレンズ37と第2方向に沿って並んでおり、スロー軸コリメートレンズ37を透過した光を反射する反射面を有している。この反射面は、第2方向に対して概ね45°傾いている。このため、ミラー39で反射された光は、上記平板部22側に向かって第3方向に沿って伝搬する。
【0057】
図4は、それぞれの第1LD31から出射してミラー39で反射して階段部23と平板部22との境界に達した時点での第1の光L1の様子を示す図である。
図4では、それぞれの第1の光L1が実装面21Fに垂直で第3方向に直交する断面で示されている。
図4に示すように、個々の第1LD31から出射する第1の光L1は、長軸が実装面21Fに平行な楕円の形状である。
図4には、ミラー39で反射した後の第1の光L1の様子が示されており、符号Sは、第1の光L1のスロー軸方向を示し、符号Fはこの第1の光L1のファスト軸方向を示す。このファスト軸方向は、上述のように第1方向と平行である。それぞれの第1の光L1は、上述の6段の階段部23により、ファスト軸方向である第1方向に沿って並列している。本実施形態では、それぞれの第1の光L1は、大きさの概ね等しい楕円の形状であり、それぞれの光軸LA1が第1方向に沿って直線上に並んでいる。
【0058】
なお、第2LD群32Gから出射してミラー39で反射し、階段部23と平板部22との境界に達した時点の第2の光L2の様子も、
図4に示される第1の光L1の様子と同様である。このため、これら6つの第2の光L2のそれぞれは、大きさの概ね等しい楕円の形状であり、それぞれの光軸LA2が第1方向に沿って直線上に並んでいる。
【0059】
図3に示すように、2つの光回転素子40のうち一方の光回転素子40は、第1の光L1のそれぞれの光路上に設けられており、第1LD群31Gに対応するミラー39と共に第3方向に沿って並んでいる。他方の光回転素子40は、第2の光L2のそれぞれの光路上に設けられており、第2LD群32Gに対応するミラー39と共に第3方向に沿って並んでいる。これらの光回転素子40は互いに同様の構成を有する。そのため、上記一方の光回転素子40について説明する。
【0060】
図5は、光回転素子40の一例を示す斜視図である。なお、
図5では、図が複雑になることを避けるために、光回転素子40に入射するそれぞれの第1の光L1の1つが示されている。
図5に示すように、光回転素子40は、第1方向の下側に配置される第1反射部材41と、上側に配置される第2反射部材42とを含む。第1反射部材41の第3方向における階段部23側には、反射面41rが設けられており、この反射面41rは、平板部22の表面に対して概ね45°傾斜している。第2反射部材42の反射面41rの直上には、反射面42rが設けられており、この反射面42rは、平板部22の表面に対して概ね45°傾斜している。反射面42rは、第2反射部材42における上記他方の光回転素子40側とは反対側の面である。したがって、ミラー39で反射され第3方向に伝搬するそれぞれの第1の光L1は、第1反射部材41の反射面41rに入射すると、反射面41rで第1方向の上側に反射する。これにより、第1の光L1のファスト軸が第3方向と平行になる。なお、この段階において、第1の光L1のスロー軸は第2方向と平行のままである。この状態で、第1の光L1のそれぞれは第1方向の上側に伝搬して、上方に位置する第2反射部材42の反射面42rに入射する。
【0061】
上述のように、反射面42rは45°傾斜している。このため、反射面41rで反射した第1の光L1のそれぞれは、反射面42rで反射して第2方向における上記他方の光回転素子40側とは反対側に伝搬する。
図6は、反射面42rで反射した第1の光L1の様子を示す図である。
図6では、それぞれの第1の光L1が実装面21Fに垂直で第2方向に直交する断面で示されている。
図6に示すように、光回転素子40から出射する第1の光L1のそれぞれは、反射面42rで反射することによって、スロー軸が第1方向と平行かつファスト軸が第3方向と平行な状態となる。また、本実施形態では、光回転素子40から出射した後において、それぞれの第1の光L1は概ね同じ大きさの楕円の形状であり、それぞれの光軸LA1が実装面21Fと平行な第3方向に沿って直線上に並んでいる。したがって、本実施形態では、光回転素子40から出射するそれぞれの第1の光L1の光軸LA1の第1方向における高さが一致している。
【0062】
第2の光L2のそれぞれは、他方の光回転素子40において第1の光L1と同様に反射し、
図6に示す第1の光と同様の状態になる。なお、本実施形態では、光回転素子40から出射した後において、第2の光L2の光軸の第1方向における高さは、それぞれの第1の光L1の光軸LA1の第1方向における高さと一致している。
【0063】
2つの波長安定化素子43の一方は、一方の光回転素子40で反射した第1の光L1のそれぞれの光路上に配置されており、当該光回転素子40と第2方向に沿って並んでいる。このため、光回転素子40で反射した第1の光L1が一方の波長安定化素子43に入射する。他方の波長安定化素子43は、他方の光回転素子40で反射した第2の光L2のそれぞれの光路上に配置されており、光回転素子40と第2方向に沿って並んでいる。よって、光回転素子40で反射した第2の光L2が他方の波長安定化素子43に入射する。
【0064】
本実施形態において、一方の波長安定化素子43は、波長が概ね975nmの光の一部を透過し、他の一部を反射する光学素子であり、本実施形態ではVBG又は回折格子である。上述のように、第1の光L1の波長は概ね975nmである。したがって、この波長安定化素子43に入射する第1の光L1の上記他の一部が波長安定化素子43において反射して、第1LD群31Gに戻る。このように、波長安定化素子43と第1LD群31Gとによって共振器が構成されており、共振器内における利得と損失とが等しくなることにより、波長が概ね975nmの第1の光L1が発振状態となる。
【0065】
本実施形態において、他方の波長安定化素子43は、波長が概ね977nmの光の一部を透過し、他の一部を反射する光学素子であり、VBG又は回折格子である。したがって、この波長安定化素子43と第2LD群32Gとによって共振器が構成され、波長が概ね977nmの第2の光L2が発振状態となる。
【0066】
一対のミラー44A1,44A2のうちミラー44A1は、一方の波長安定化素子43から出射する複数の第1の光L1をミラー44A2に向かって反射する。ミラー44A2は、ミラー44A1で反射した第1の光L1を波長合成素子45に向かって反射する。また、一対のミラー44B1,44B2のうちミラー44B1は、他方の波長安定化素子43から出射する複数の第2の光L2をミラー44B2に向かって反射する。ミラー44B2は、ミラー44B1で反射した第2の光L2を波長合成素子45に向かって反射する。こうして、複数の第1の光L1が、ファスト軸が実装面21Fと平行かつスロー軸が実装面21Fと垂直な第1方向と平行の状態で、波長合成素子45に向かって伝搬する。同様に、複数の第2の光L2が、ファスト軸が実装面21Fと平行かつスロー軸が実装面21Fと垂直な第1方向と平行の状態で、波長合成素子45に向かって伝搬する。
【0067】
なお、本実施形態では、ミラー44A1,44A2で反射したそれぞれの第1の光L1は、長軸方向が第1方向に平行な概ね同じ大きさの楕円であり、それぞれの光軸LA1の第1方向における平板部22の表面からの高さが一致している。同様に、ミラー44B1,44B2で反射したそれぞれの第2の光L2は、長軸方向が第1方向に平行な概ね同じ大きさの楕円であり、それぞれの光軸の第1方向における平板部22の表面からの高さが一致している。また、ミラー44A1,44A2で反射した第1の光L1の光軸LA1の高さと、ミラー44B1,44B2で反射した第2の光L2の光軸LA2の高さとは互いに一致している。
【0068】
波長合成素子45は、平板部22における階段部23とは反対側の縁部近傍であって、上記光ファイバ11側と反対側に配置されている。本実施形態において、この波長合成素子45は回折格子であり、波長合成素子45には、当該波長合成素子45に入射する直前の第1の光L1及び第2の光L2のそれぞれの概ねスロー軸方向に沿って延在する不図示の複数の溝が所定のパターンで形成されている。したがって、本実施形態の波長合成素子45は、反射面45rを有し、当該反射面45rに概ね第1方向に沿って延在する複数の溝が形成されている。このような回折格子としては、例えば、反射型回折格子、ブレーズド回折格子、あるいはホログラフィック回折格子を挙げることができる。
【0069】
波長合成素子45には、ミラー44A2で反射した第1の光L1が入射する。したがって、ミラー44A2は第1の光L1を波長合成素子45に直接入射させる光学素子である。また、波長合成素子45には、ミラー44B2で反射した第2の光L2が入射する。したがって、ミラー44B2は第2の光L2を波長合成素子45に直接入射させる光学素子である。
【0070】
図7は、波長合成素子45近傍の様子を示す図である。
図7に示すように、波長合成素子45は、第1方向に沿っており、第2方向及び第3方向に対して所定の角度で傾いている。本実施形態において、それぞれの第1の光L1が波長合成素子45に入射する第1の入射角と、それぞれの第2の光L2が波長合成素子45に入射する第2の入射角とは互いに異なっている。それぞれの第1の光L1と、それぞれの第2の光L2とは、波長合成素子45における概ね同じ位置に入射し、それぞれの第1の光L1にそれぞれの第2の光L2が1つずつ重なっており、第1の光L1と第2の光L2とが一対一で重なり、合成光SLとなる。従って、それぞれの合成光SLには、第1の光L1と第2の光L2とが含まれる。なお、
図7では、図が複雑になることを防止するために、第1の光L1と第2の光L2とが2つずつ示されている。
【0071】
波長合成素子45は、第1の光L1が第1の入射角で入射し、かつ、第2の光L2が第2の入射角で入射する場合に、第1の光L1及び第2の光L2が概ね同一の所定の方向に反射して出射するように形成されている。本実施形態において、上記所定の方向は第2方向に沿って光ファイバ11側に向かう方向である。したがって、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1及びそれぞれの第2の光L2は、波長合成素子45において第2方向に沿って光ファイバ11側に反射する。なお、第1の光L1及び第2の光L2は、反射により波長合成素子45から出射する。波長合成素子45から出射する第1の光L1及び第2の光L2を含む合成光SLは、第1集光レンズ46に入射する。そのため、第1集光レンズ46は、波長合成素子45を出射する第1の光L1及び第2の光L2が直接入射する光学素子である。本実施形態において、波長合成素子45から出射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸は実装面21Fと平行な第3方向と平行であり、それぞれの光軸LA1の第1方向の高さは一致している。同様に、波長合成素子45から出射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は実装面21Fと平行な第3方向と平行であり、それぞれの光軸LA2の第1方向の高さは一致している。また、波長合成素子45から出射する光L1,L2の光軸LA1,LA2の第1方向における高さは一致している。こうして、1つの第1の光L1と1つの第2の光L2とが重ね合わされた合成光SLが複数形成され、これらの合成光SLが光ファイバ11に向かって伝搬する。
【0072】
ここで、互いに重ね合わされる第1の光L1と第2の光L2とを対にして、それぞれの対において、第1の光L1を波長合成素子45に直接入射させる光学素子であるミラー44A2から波長合成素子45に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、波長合成素子45から当該波長合成素子45を出射する第1の光L1が直接入射する光学素子である第1集光レンズ46に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、を通る第1の平面を定める。この第1の平面は、それぞれの第1の光L1ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第1の光L1ごとに定まるそれぞれの第1の平面を実装面21Fと平行にできる。この場合、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸は上記対における第1の平面と平行である。また、上記のように、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1の光軸LA1の高さは一致しているため、それぞれの第1の平面の高さは同じである。このため、本実施形態では、それぞれの第1の平面を互いに重複した1つの平面状の基準面SFに含ませることができる。なお、
図7では、基準面SFの一部の領域のみが示されている。
【0073】
また、それぞれの第1の光L1及びそれぞれの第2の光L2のうち、互いに重ね合わされる第1の光L1と第2の光L2とを対にして、それぞれの対において、ミラー44A2から波長合成素子45に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、波長合成素子45から第1集光レンズ46に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、を通る第2の平面を定める。この第2の平面は、それぞれの第2の光L2ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第2の光L2ごとに定まるそれぞれの第2の平面を実装面21Fと平行にできる。この場合、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は上記対における第2の平面と平行である。また、上記のように、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2の光軸LA2の高さは波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1の光軸LA1の高さと一致しており、かつ、波長合成素子45で反射するそれぞれの第2の光L2の光軸LA2の高さは波長合成素子45で反射するそれぞれの第1の光L1の光軸LA1の高さと一致している。このため、それぞれの第2の平面の高さを第1の平面の高さと同じにできる。このため、本実施形態では、それぞれの第2の平面を上記基準面SFに含ませることができる。
【0074】
なお、第1の入射角及び第2の入射角は、例えば、3°以上90°未満であってもよく、3°以上45°以下であってもよい。入射角が3°以上であれば、入射角が3°未満の場合に比べて、第1の光L1及び第2の光L2が波長合成素子45から所望の方向に出射するようにし易い。このため、波長合成素子45から出射する第1の光L1及び第2の光L2が、本来入射すべき光学素子とは異なる光学素子に入射することを抑制できるレイアウトを構成し易い。
【0075】
また、本実施形態の波長合成素子45は、波長合成素子45に入射する第1の光L1の全てのパワーに対する波長合成素子45で反射して第2方向に沿って光ファイバ11側に進む第1の光L1の全てのパワーが80%以上となるように構成される。また、この波長合成素子45は、波長合成素子45に入射する第2の光L2の全てのパワーに対する波長合成素子45から出射して第2方向に沿って光ファイバ11側に進む第2の光L2の全てのパワーが80%以上となるように構成される。
【0076】
図3に示すように、波長合成素子45から出射する第1の光L1及び第2の光L2が直接入射する第1集光レンズ46は、波長合成素子45と第2方向に沿って並んでいる。この第1集光レンズ46は、入射する第1の光L1及び第2の光L2の合成光SLをファスト軸方向に集光するレンズである。したがって、波長合成素子45から出射したそれぞれの合成光SLは、第1集光レンズ46に入射して、ファスト軸方向である第3方向に集光される。
【0077】
第2集光レンズ47は、第1集光レンズ46と第2方向に沿って並んでいる。この第2集光レンズ47は、入射する合成光SLをスロー軸方向に集光するレンズである。よって、第1集光レンズ46から出射した合成光SLは、スロー軸方向である第1方向に集光される。
【0078】
光ファイバ11は、第2集光レンズ47と第2方向に沿って並んでいる。また、光ファイバ11のコアは、第2集光レンズ47を透過した光の光路上に配置されている。したがって、第2集光レンズ47を透過した合成光SLは、光ファイバ11のコアに入射して、コアを伝搬する。なお、合成光SLは、概ね975nmの波長の複数の第1の光L1と、概ね977nmの波長の複数の第2の光L2とを含む光である。
【0079】
次に、ファイバレーザ装置1の動作について説明する。
【0080】
励起光源2を構成するレーザモジュール20のそれぞれに所定の電力が供給されると、概ね975nmの波長の複数の第1の光L1が上記第1LD群31Gから出射し、概ね977nmの波長の複数の第2の光L2が上記第2LD群32Gから出射する。これらの光は、レーザモジュール20の上述の光学素子群によって合成されて、励起光として光ファイバ11のコアを伝搬する。レーザモジュール20のそれぞれから出射する励起光のそれぞれは、光コンバイナ3で合成される。この合成された励起光は、光ファイバ4の内側クラッドを介して、増幅用光ファイバ5の内側クラッド5bに入射する。内側クラッド5bは内側クラッド5bより屈折率が高いコア5aと内側クラッド5bより屈折率が低い外側クラッド5cとに挟まれており、内側クラッド5bに入射した励起光は主に内側クラッド5bを伝搬してコア5aに入射する。こうして、コア5aに入射する励起光は、コア5aに添加されている活性元素であるイッテルビウムを励起する。
【0081】
図8は、活性元素であるイッテルビウムが吸収する光の吸収スペクトルを示す図である。
図8に示すように、イッテルビウムの吸収スペクトルにおけるピーク波長帯の1つは、概ね970nm以上982nm以下である。より具体的には、このピーク波長帯は概ね970nm以上980nm以下であり、このピーク波長帯におけるピークは概ね波長976nmである。また、このピークである概ね波長976nmを挟んで低波長側である概ね波長975nmの光のイッテルビウムへの吸収率と、このピークを挟んで高波長側である概ね波長977nmの光のイッテルビウムへの吸収率とは、上述のファイバレーザ装置1の使用温度の一部、例えば、一般的な使用温度である0℃以上60℃以下において、同等と見做し得る。本実施形態では、ピーク波長を挟んで低波長側の概ね975nmの波長の光と、高波長側の概ね977nmの波長の光とが励起光である。
【0082】
励起状態とされたイッテルビウムは、特定の波長の自然放出光を放出する。このときの自然放出光は、1070nmの波長を含み一定の波長帯域を有する光である。この自然放出光は、増幅用光ファイバ5のコア5aを伝搬して、一部の波長の光が第1FBG7により反射され、このように反射された光のうち第2FBG8が反射する波長の光が第2FBG8で反射されて、共振器内を往復する。そして、第1FBG7及び第2FBG8で反射される光が増幅用光ファイバ5のコア5aを伝搬するときに、誘導放出が生じてこの光が増幅され、共振器内における利得と損失が等しくなったところでレーザ発振状態となる。そして、第1FBG7と第2FBG8との間を共振する光のうち一部の光が第2FBG8を透過して、光ファイバ6の端部から出射する。
【0083】
ファイバレーザ装置1が例えばレーザ加工装置である場合、光ファイバ6の端部から出射する光は、例えば不図示の加工ヘッドを介して被加工体に照射され、被加工体の加工に寄与する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のレーザモジュール20は、第1の光L1を出射する複数の第1LD31と、第2の光L2を出射する複数の第2LD32と、上記それぞれの第1LD31及びそれぞれの第2LD32に対応して設けられ、それぞれのLD31,32から出射する光をコリメートするファスト軸コリメートレンズ36及びスロー軸コリメートレンズ37と、回折格子から成る波長合成素子45と、を備える。また、コリメートレンズ36,37を透過したそれぞれの第1の光L1、及び、コリメートレンズ36,37を透過したそれぞれの第2の光L2は、波長合成素子45に入射する。また、波長合成素子45は、それぞれの第1の光L1を第2方向における光ファイバ11側に反射するとともに、それぞれの第2の光L2を第2方向における光ファイバ11側に出射して、それぞれの第1の光L1とそれぞれの第2の光L2とを一対一対応で重ね合わせる。また、互いに重ね合わされる第1の光L1及び第2の光L2の複数の対のそれぞれにおいて、波長合成素子45に入射する第1の光L1のファスト軸は、ミラー44A2から波長合成素子45に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、波長合成素子45から第1集光レンズ46に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、を通る第1の平面と平行であり、波長合成素子45に入射する第2の光L2のファスト軸は、ミラー44A2から波長合成素子45に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、波長合成素子45から第1集光レンズ46に至るまでの第1の光L1の光軸LA1の全区間と、を通る第2の平面と平行である。なお、上述のように、本実施形態では、第1の光L1ごとに定まるそれぞれの第1の平面及び第2の光L2ごとに定まるそれぞれの第2の平面は1つの基準面SFに含まれる。
【0085】
このレーザモジュール20では、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸が、第1の光L1ごとに定まる第1の平面の全てを含む基準面SFと平行である。一般に、LDから出射する光のスロー軸方向の幅はファスト軸方向の幅よりも広く、当該光のスロー軸方向におけるビーム品質はファスト軸方向におけるビーム品質よりも悪い。そのため、LDから出射する光がファスト軸コリメートレンズ及びスロー軸コリメートレンズを透過する場合、当該光のスロー軸方向における成分はファスト軸方向における成分に比べてコリメートされ難く、その結果、ファスト軸コリメートレンズ及びスロー軸コリメートレンズを透過した後において、当該光の光軸に対するスロー軸方向の広がり角は、光軸に対するファスト軸方向の広がり角に比べて大きくなり易い。一般的なレーザモジュールでは、ファスト軸コリメートレンズ及びスロー軸コリメートレンズを透過した後において、ファスト軸方向の光の広がり角は例えば概ね0.05°~0.1°であるのに対して、スロー軸方向の光の広がり角は例えば概ね0.5°~1°であり、前者の広がり角は後者の広がり角に比べて1桁程度小さい。このため、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸が基準面SFと平行であることによって、第1の光L1の基準面SFと平行な方向における広がり成分が、第1の光L1のスロー軸が基準面SFと平行である場合に比べて少なくなる。したがって、それぞれの第1の光L1のうち第2方向における光ファイバ11側の方向に回折しない成分が少なくなり得、集光レンズ46,47を介して光ファイバ11に結合する第1の光L1の結合効率が低下することを抑制することができる。また、このレーザモジュール20では、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は、第2の光L2ごとに定まる第2の平面の全てを含む基準面SFと平行である。このため、全ての第2の光L2の基準面SFと平行な方向における広がり成分が少なくなる。よって、それぞれの第2の光L2のうち第2方向における光ファイバ11側の方向に回折しない成分が少なくなり得、集光レンズ46,47を介して光ファイバ11に結合する第2の光L2の結合効率が低下することを抑制することができる。したがって、このレーザモジュール1によれば、波長合成素子45として回折格子を使用することによって、回折効率の低下を抑制することができ、その結果、出射する光の密度を高めて高輝度の光を出射することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、波長合成素子45に入射する第1の光L1及び第2の光L2のスロー軸方向における広がり成分が大きくなるが、波長合成素子45に入射する光の基準面SFに垂直な方向における広がり成分は、基準面SFに平行な方向における広がり成分に比べて、波長合成素子45から出射する光同士の干渉に及ぼす影響が小さい。
【0087】
また、上述のように、本実施形態の波長合成素子45は、波長合成素子45に入射する第1の光L1の全てのパワーに対する波長合成素子45で反射して第2方向に沿って光ファイバ11側に進む第1の光L1の全てのパワーが80%以上となるように構成される。また、この波長合成素子45は、波長合成素子45に入射する第2の光L2の全てのパワーに対する波長合成素子45から出射して第2方向に沿って光ファイバ11側に進む第2の光L2の全てのパワーが80%以上となるように構成される。このような構成により、波長合成素子45に入射する光L1,L2のそれぞれ80%以上が第2方向に沿って光ファイバ11側に出射するため、波長合成素子45から出射する光の密度がより高まる。なお、このように80%以上であることは必須ではない。
【0088】
また、上述のように、このレーザモジュール20では、LD31,32から出射する光の波長は、970nm以上982nm以下である。上述のように、このレーザモジュール20を備えるファイバレーザ装置1の増幅用光ファイバ5のコア5aには、活性元素としてイッテルビウムが添加されている。このイッテルビウムが吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長帯の1つは、概ね970nm以上982nm以下である。したがって、本実施形態によれば、レーザモジュール20から出射する光が増幅用光ファイバ5のイッテルビウムに効果的に吸収される。
【0089】
また、本実施形態のファイバレーザ装置1は、上述のように、レーザモジュール20と、レーザモジュール20から出射する光が入射し当該光により励起される活性元素がコア5aに添加される増幅用光ファイバ5と、を備える。このような構成によれば、レーザモジュール20によって、増幅用光ファイバ5の活性元素のピーク波長帯に収まる励起光が高密度かつ高輝度となるため、増幅用光ファイバ5における励起光の吸収効率を高め得る。
【0090】
また、本実施形態のファイバレーザ装置1では、上述のように、第1の光L1の波長及び第2の光L2の波長は、活性元素であるイッテルビウムが吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置する。同一のレーザモジュールに搭載されるLDは、同一のレーザモジュールに搭載されることによって、それらの外的環境や駆動条件が概ね同一である。このため、それぞれのLDから出射する光の波長シフトの方向は、いずれも同じ方向になる傾向にあり、いずれも長波長側又は短波長側にシフトする傾向にある。このため、上記のように、第1の光L1の波長及び第2の光L2の波長が、上記ピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置すれば、ファイバレーザ装置1の温度変化等によって、それぞれのLDにおいて例えば長波長側への波長シフトが生じた場合、低波長側の第1の光L1の波長が活性元素への吸収率が上がる側の波長にシフトし、高波長側の第2の光L2の波長が活性元素への吸収率が下がる側の波長にシフトし得る。したがって、波長シフトが生じた場合において、第1の光L1の活性元素への吸収率と、第2の光L2の活性元素への吸収率とが全体的にバランスされ得、励起光の活性元素への吸収効率が変化することによるレーザ装置の挙動変化を抑制することができる。なお、第1の光L1の波長及び第2の光L2の波長が、活性元素であるイッテルビウムが吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長を挟んで低波長側と高波長側とに位置することは必須ではない。
【0091】
また、本実施形態のファイバレーザ装置1では、上述のように、ファイバレーザ装置の使用温度の一部、例えば0℃以上60℃以下において、概ね波長975nmの第1の光L1のイッテルビウムへの吸収率と、概ね977nmの第2の光L2のイッテルビウムへの吸収率とが互いに等しい。このような温度において第1の光L1の活性元素への吸収率と第2の光L2の活性元素への吸収率とに差がある場合、活性元素の添加量や増幅用光ファイバの長さなどを、吸収率の差を考慮して設計する必要がある。一方、上記のように、ファイバレーザ装置の一般的な使用温度における一部において、第1の光L1の活性元素への吸収率と第2の光L2の活性元素への吸収率とが同じであれば、単一の吸収率に合わせて活性元素の添加量などを決定することができ、設計が容易である。なお、ファイバレーザ装置の一般的な使用温度における一部において第1の光L1の活性元素への吸収率と第2の光L2の活性元素への吸収率とが等しいことは必須の構成ではない。
【0092】
なお、本実施形態では、波長合成素子45として回折格子を用いる例を説明したが、VBGを用いてもよい。
【0093】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明を省く。
【0094】
本実施形態のファイバレーザ装置は、第1実施形態のレーザモジュール20とは構成の異なるレーザモジュールを備える点を除いて、第1実施形態のファイバレーザ装置1と同様の構成を有する。
図9は、本実施形態のレーザモジュール20を
図3と同様の視点で示す平面図である。
図9に示すように、本実施形態のレーザモジュール20は、光学素子群の数や種類が第1実施形態のレーザモジュール20と異なる点を除いて、第1実施形態のレーザモジュール20と同様の構成を有する。したがって、以下、本実施形態の光学素子群の第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0095】
本実施形態の光学素子群は、複数のLDと、複数のファスト軸コリメートレンズ36と、複数のスロー軸コリメートレンズ37と、複数のミラー39と、3つの波長板247と、3つのミラー248と、3つの偏波合成素子249と、3つの光回転素子40と、3つの波長安定化素子43と、第1波長合成素子245と、第2波長合成素子246と、第1集光レンズ46と、第2集光レンズ47と、を含む。複数のLD、コリメートレンズ36,37、及びミラー39は階段部23に配置され、他の光学素子は平板部22に配置される。
【0096】
本実施形態の複数のLDは、第1実施形態の複数のLDと同様に、活性層が実装面21Fと平行になるように階段部23に配置されている。しかし、複数のLDの数及び複数のLDの一部から出射する光の波長が第1実施形態の複数のLDと異なる。
【0097】
本実施形態では、複数のLDは、例えば概ね波長975nmの第1の光L1を出射する複数の第1LD31からなる第1LD群31Gと、例えば概ね波長976nmの第2の光L2を出射する複数の第2LD32からなる第2LD群32Gと、例えば概ね波長977nmの第3の光L3を出射する複数の第3LD33からなる第3LD群33Gと、を含む。本実施形態では、第2の光L2の波長と第1の光L1の波長との差及び第3の光L3の波長と第2の光L2の波長との差は、いずれも概ね1nmであり、2nm未満である。
【0098】
それぞれのLD群31G,32G,33Gは、第2方向に沿って並んでおり、光ファイバ11に最も近く配置されるLD群が第1LD群31Gであり、光ファイバ11から最も離れて配置されるのが第3LD群33Gである。LD群31G,32G,33Gのそれぞれは、第2方向の一方側に配置される複数のLDと、他方側に配置される複数のLDから構成されており、それぞれのLD群31G,32G,33Gにおける一方側に配置される1つのLDと他方側に配置される1つのLDとの対が各段に配置される。こうして、一方側のLDのそれぞれは、同じ段に配置される他方側のLDに向かって光を出射し、他方側のLDのそれぞれは、同じ段に配置される一方側のLDに向かって光を出射する。ここで言う一方側とは、LD群31G,32G,33Gのそれぞれにおいて、第2方向における光ファイバ11に近い側であり、他方側とは第2方向における光ファイバ11から遠い側である。
【0099】
これら複数のLDのそれぞれに対応して、コリメートレンズ36,37、及びミラー39が配置される。LD群31G,32G,33Gのそれぞれにおいて、同じ段に配置される一方側のミラー39と他方側のミラー39とは隣り合っている。また、LD群31G,32G,33Gのそれぞれにおいて、一方側のミラー39は、同じ段に配置される一方側のLDから出射する光を第3方向の平板部22側に反射し、他方側のミラー39は、同じ段に配置される他方側のLDから出射する光を第3方向の光ファイバ11側に反射する。
【0100】
一方側と他方側とのそれぞれの側のミラー39で反射される光は、コリメートレンズ36,37でコリメートされた光である。LD群31G,32G,33Gのそれぞれにおいて、一方側と他方側とのそれぞれの側のミラー39で反射されたそれぞれの光は、
図4に示されるように並んでいる。
【0101】
3つの波長板247は、平板部22と階段部23との境界近傍に設けられており、LD群31G,32G,33Gのそれぞれにおける一方側のミラー39で反射した光の光路上に1つずつ配置される。それぞれの波長板247は、光の偏光方向を90°回転させる1/2波長板である。したがって、一方側のミラー39から出射するそれぞれの光の偏光方向は、波長板247によって、他方側のミラー39から出射するそれぞれの光の偏光方向に対して90°回転される。
【0102】
3つのミラー248は、波長板247を透過したそれぞれの光の光路上に配置されている。また、ミラー248は、第3方向における光ファイバ11側に伝搬する光を第2方向における光ファイバ11側とは反対側に反射する反射面を有する。このため、上記光は、ミラー248で反射して、他方側のミラー39で反射した光に向かって伝搬する。ミラー248で反射した光のスロー軸は第3方向、ファスト軸は第1方向にそれぞれ平行である。
【0103】
3つの偏波合成素子249は、他方側のミラー39で反射した光の光路上、かつ、ミラー248で反射した光の光路上に配置されている。偏波合成素子249は、例えば、2つの直角プリズムを貼り合わせて片方のプリズムに誘電体多層膜を設けた構成を有しており、偏光方向が90°異なる2つの光のうち一方の光を透過し、他方の光を入射方向に対して90°異なる方向に反射する。本実施形態では、他方側のミラー39で反射した光を透過し、ミラー248で反射した光を第3方向における光ファイバ11側に反射する。
【0104】
こうして、12個のそれぞれの第1の光L1が、偏波合成素子249で合成され、第3方向における光ファイバ11側に伝搬する。偏波合成素子249から出射するそれぞれの第1の光L1は、
図4に示すように並列しており、スロー軸が第2方向と平行であり、ファスト軸が第1方向と平行である。本実施形態では、一方側に位置する6つの第1の光L1と他方側に位置する6つの第1の光L1とが一対一で重なって合成されることによって、
図4に示すように6つの第1の光L1が並んでいる。なお、12個のそれぞれの第2の光L2及び第3の光L3も他の偏波合成素子249において一対一で重なって合成されることによって、
図4に示すように6つの光が並んだ状態となる。なお、偏波合成素子249から出射する第2の光L2及び第3の光L3も第3方向における光ファイバ11側に伝搬する。
【0105】
3つの光回転素子40は、光L1,L2,L3のそれぞれの光路上に配置されている。本実施形態において、光回転素子40の構成は第1実施形態の光回転素子40の構成と概ね同様である。光L1,L2,L3のそれぞれが対応する光回転素子40に入射すると、第2方向における光ファイバ11側に向かって伝搬する。
図6に示すように、光回転素子40から出射する光L1,L2,L3のそれぞれのスロー軸は第1方向と平行であり、ファスト軸は第3方向と平行である。
【0106】
3つの波長安定化素子43は、光回転素子40から出射した光L1,L2,L3のそれぞれの光路上に設けられている。本実施形態では、それぞれの波長安定化素子43は、第1実施形態の波長安定化素子43と概ね同様の構成を有する。それぞれの波長安定化素子43から、波長が概ね975nmに安定化された第1の光L1、波長が概ね976nmに安定化された第2の光L2、及び波長が概ね波長977nmに安定化された第3の光L3が、それぞれ第2方向における光ファイバ11側に伝搬する。
【0107】
一対のミラー44A1,44A2のうちミラー44A1は、波長安定化素子43から出射するそれぞれの第1の光L1の光路上に配置され、それぞれの第1の光L1をミラー44A2に向かって反射する。ミラー44A2は、ミラー44A1で反射した第1の光L1を第1波長合成素子245に向かって反射する。こうして、第1波長合成素子245には、ミラー44A2で反射した第1の光L1が入射する。したがって、ミラー44A2は、第1の光L1を第1波長合成素子245に直接入射させる光学素子である。また、一対のミラー44B1,44B2のうちミラー44B1は、波長安定化素子43から出射するそれぞれの第2の光L2の光路上に配置され、それぞれの第2の光L2をミラー44B2に向かって反射する。ミラー44B2は、ミラー44B1で反射した第2の光L2を第2波長合成素子246に向かって反射する。こうして、第2波長合成素子246には、ミラー44B2で反射した第2の光L2が入射する。したがって、ミラー44B2は、第2の光L2を第2波長合成素子246に直接入射させる光学素子である。
【0108】
第2波長合成素子246は、波長安定化素子43から出射したそれぞれの第3の光L3の光路上、かつ、ミラー44B2で反射したそれぞれの第2の光L2の光路上に配置されている。したがって、第3の光L3が透過する波長安定化素子43は、第3の光L3を第2波長合成素子246に直接入射させる光学素子である。第2波長合成素子246は、所定の条件下、それぞれの第2の光L2を反射し、かつ、それぞれの第3の光L3を透過させて出射するVBGである。第2波長合成素子246は、第2方向及び第3方向に対して所定の角度で傾いている。この第2波長合成素子246の傾きは、第2波長合成素子246に入射する第3の光L3の入射角が第1の入射角となる傾きであり、第2波長合成素子246に入射する第2の光L2の入射角が第1の入射角とは異なる第2の入射角となる傾きである。第2波長合成素子246では、第2の光L2が第2の入射角で入射し、かつ、第3の光L3が第1の入射角で入射する場合に光L2,L3が概ね同じ所定の方向に出射するように、屈折率変化が周期的に形成されている。本実施形態における上記所定の方向は、第2方向における光ファイバ11側の方向である。このため、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第2の光L2は、第2波長合成素子246で反射して光ファイバ11に向かって出射する。また、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第3の光L3は、第2波長合成素子246を透過して、それぞれの第2の光L2と一対一で重ね合わされて光ファイバ11側に向かって出射する。こうして、複数の合成光SL2が形成され、これらの合成光SL2が第1波長合成素子245に向かって伝搬する。よって、第1波長合成素子245は、第2波長合成素子246を出射する第2の光L2及び第3の光L3が直接入射する光学素子である。
【0109】
ここで、それぞれの第2の光L2とそれぞれの第3の光L3のうち、互いに重ね合わされる第2の光L2と第3の光L3とを対にして、それぞれの対において、第2の光L2を第2波長合成素子246に直接入射させる光学素子であるミラー44B2から第2波長合成素子246に至るまでの第2の光L2の光軸の全区間と、第2波長合成素子246から当該第2波長合成素子246を出射する第2の光L2が直接入射する光学素子である第1波長合成素子245に至るまでの第2の光L2の光軸の全区間と、を通る第1の平面を定める。この第1の平面は、それぞれの第2の光L2ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第2の光L2ごとに定まるそれぞれの第1の平面を実装面21Fと平行にできる。この場合、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は上記対における第1の平面と平行である。また、本実施形態では、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第2の光L2の光軸の高さは一致しているため、それぞれの第1の平面の高さを同じにできる。よって、本実施形態では、それぞれの第1の平面を互いに重複した1つの基準面に含ませることができる。
【0110】
また、それぞれの上記対において、ミラー44B2から第2波長合成素子246に至るまでの第2の光L2の光軸の全区間と、第2波長合成素子246から第1波長合成素子245に至るまでの第2の光L2の光軸の全区間と、を通る第2の平面を定める。この第2の平面は、それぞれの第3の光L3ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第3の光L3ごとに定まるそれぞれの第2の平面を実装面21Fと平行にできる。また、本実施形態では、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第3の光L3の光軸の高さは第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第2の光L2の光軸の高さと一致しており、かつ、第2波長合成素子246で反射するそれぞれの第3の光L3の光軸の高さは第2波長合成素子246で反射するそれぞれの第2の光L2の光軸の高さと一致している。よって、それぞれの第2の平面の高さを第1の平面の高さと同じにできる。このため、本実施形態では、それぞれの第2の平面を上記基準面SFに含ませることができる。
【0111】
第1波長合成素子245は、それぞれの合成光SL2の光路上、かつ、ミラー44A2で反射したそれぞれの第1の光L1の光路上に配置されている。第2波長合成素子246を出射したそれぞれの合成光SL2は、第1波長合成素子245に入射する。したがって、合成光SL2を出射する第2波長合成素子246は、第2の光L2及び第3の光L3を第1波長合成素子245に直接入射させる光学素子である。本実施形態において、第1波長合成素子245は、所定の条件下、第1の光L1を反射し、かつ、合成光SL2を形成する第2の光L2及び第3の光L3を透過させて出射するVBGである。第1波長合成素子245は、第2方向及び第3方向に対して所定の角度で傾いている。この第1波長合成素子245の傾きは、第1波長合成素子245に入射する第1の光L1の入射角が第3の入射角となる傾きであり、第1波長合成素子245に入射する第2の光L2及び第3の光L3の入射角が第3の入射角とは異なる第4の入射角となる傾きである。第1波長合成素子245では、第1の光L1が第3の入射角で入射し、かつ、第2の光L2及び第3の光L3が第4の入射角で入射する場合に、第1の光L1、第2の光L2、及び第3の光L3が概ね同じ所定の方向に出射するように、屈折率変化が周期的に形成されている。本実施形態における上記所定の方向は、第2方向における光ファイバ11側の方向である。このため、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第1の光L1は、第1波長合成素子245で反射して、第1集光レンズ46に向かって出射する。また、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第2の光L2及び第3の光L3は、第1波長合成素子245を透過して、第1の光L1と一対一で重ね合わされて、1つの第1の光L1、1つの第2の光L2、及び1つの第3の光L3からなる合成光SL1が複数形成され、これらの合成光SL1が第1集光レンズ46に向かって伝搬する。よって、第1集光レンズ46は、第1波長合成素子245を出射する第1の光L1、第2の光L2、及び第3の光L3が直接入射する光学素子である。
【0112】
ここで、それぞれの第1の光L1とそれぞれの第2の光L2のうち、互いに重ね合わされる第1の光L1及び第2の光L2を対にして、それぞれの対において、第1の光L1を第1波長合成素子245に直接入射させる光学素子であるミラー44A2から第1波長合成素子245に至るまでの第1の光L1の光軸の全区間と、第1波長合成素子245から第1波長合成素子245を出射する第1の光L1が直接入射する光学素子である第1集光レンズ46に至るまでの第1の光L1の光軸の全区間と、を通る第1の平面を定める。この第1の平面は、それぞれの第1の光L1ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第1の光L1ごとに定まるそれぞれの第1の平面を実装面21Fと平行にできる。この場合、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸はそれぞれの上記対における第1の平面と平行である。また、本実施形態では、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第1の光L1の光軸の高さは一致しており、それぞれの第1の平面の高さを同じにできる。よって、本実施形態では、それぞれの第1の平面を互いに重複した1つの基準面に含ませることができる。
【0113】
また、それぞれの上記対において、ミラー44A2から第1波長合成素子245に至るまでの第1の光L1の光軸の全区間と、第1波長合成素子245から第1集光レンズ46に至るまでの第1の光L1の光軸の全区間とを通る第2の平面を定める。この第2の平面は、それぞれの第2の光L2ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第2の光L2ごとに定まるそれぞれの第2の平面を実装面21Fと平行にできる。また、本実施形態では、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第2の光L2の光軸の高さは第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第1の光L1の光軸の高さと一致しており、かつ、第1波長合成素子245を透過するそれぞれの第2の光L2の光軸の高さは第1波長合成素子245で反射するそれぞれの第1の光L1の光軸の高さと一致している。よって、それぞれの第2の平面の高さを第1の平面の高さと同じにできる。このため、本実施形態では、それぞれの第2の平面を上記基準面SFに含ませることができる。
【0114】
また、別の観点で、第2の平面を定める。具体的には、それぞれの第1の光L1とそれぞれの第3の光L3のうち、互いに重ね合わされる第1の光L1及び第3の光L3を対にして、それぞれの対において、ミラー44A2から第1波長合成素子245に至るまでの第1の光L1の光軸の全区間と、第1波長合成素子245から第1集光レンズ46に至る全ての第1の光L1の光軸の全区間とを通る第2の平面を定める。この第2の平面は、それぞれの第3の光L3ごとに定まる面である。本実施形態では、それぞれの第3の光L3ごとに定まるそれぞれの第2の平面を実装面21Fと平行にできる。また、本実施形態では、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第3の光L3の光軸の高さは第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第1の光L1の光軸の高さと一致しており、かつ、第1波長合成素子245を透過するそれぞれの第3の光L3の光軸の高さは第1波長合成素子245で反射するそれぞれの第1の光L1の光軸の高さと一致している。よって、それぞれの第2の平面の高さを第1の平面の高さと同じにできる。このため、本実施形態では、それぞれの第2の平面を上記基準面SFに含ませることができる。
【0115】
第1波長合成素子245から出射したそれぞれの合成光SL1は、第1集光レンズ46に入射した後、第2集光レンズ47に入射し、ファスト軸方向及びスロー軸方向に集光され、光ファイバ11のコアに入射する。
【0116】
この合成光SL1は、増幅用光ファイバ5のコア5aに添加されているイッテルビウムを励起する。
図8に示すように、イッテルビウムの吸収スペクトルにおけるピークである概ね波長976nmを挟んで、低波長側である概ね波長975nmの光のイッテルビウムへの吸収率と、高波長側である概ね波長977nmの光のイッテルビウムへの吸収率とは互いに等しい。本実施形態では、このような概ね975nmの波長の光と、概ね976nmの波長の光と、概ね977nmの波長の光とが励起光とされる。
【0117】
以上説明したように、本実施形態のレーザモジュール20では、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸が、第2の光L2ごとに定まる第1の平面を含む基準面と平行である。このため、第2の光L2の基準面と平行な方向における広がり成分が、第2の光L2のスロー軸が基準面と平行である場合に比べて少なくなる。したがって、それぞれの第2の光L2のうち第2方向における第1波長合成素子245側の方向に回折しない成分が少なくなり得る。また、このレーザモジュール20では、第2波長合成素子246に入射するそれぞれの第3の光L3のファスト軸は、第3の光L3ごとに定まる第2の平面を含む基準面と平行である。このため、第3の光L3の基準面と平行な方向における広がり成分が少なくなる。よって、それぞれの第3の光L3のうち第2方向における第1波長合成素子245側の方向に回折しない成分が少なくなり得る。
【0118】
なお、本実施形態において、第2波長合成素子246で反射する第2の光L2を第1の光L2と読み替え、第2波長合成素子246を透過する第3の光L3を第2の光L3と読み替える場合、第2波長合成素子246は、それぞれの第1の光L2を所定の方向に反射するとともに、それぞれの第2の光L3をそれぞれの第1の光L2と一対一で重ね合わせて、所定の方向に出射し、互いに重ね合わされる第1の光L2及び第2の光L3のそれぞれの対において、第2波長合成素子246に入射する第1の光L2のファスト軸は上記対における第1の平面と平行であり、第2波長合成素子246に入射する第2の光L3のファスト軸は上記対における第2の平面と平行である。
【0119】
また、本実施形態のレーザモジュール20では、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸が、第1の光L1ごとに定まる第1の平面を含む基準面に平行である。このため、第1の光L1の基準面と平行な方向における広がり成分が、第1の光L1のスロー軸が基準面と平行である場合に比べて少なくなる。したがって、それぞれの第1の光L1のうち第2の方向における光ファイバ11側に回折しない成分が少なくなり得る。また、このレーザモジュールでは、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は、第2の光L2ごとに定まる第2の平面を含む基準面と平行である。このため、第2の光L2の基準面と平行な方向における広がり成分が少なくなる。よって、それぞれの第2の光L2のうち第2方向における第1集光レンズ46側の方向に回折しない成分が少なくなり得る。さらに、このレーザモジュール20では、第1波長合成素子245に入射するそれぞれの第3の光L3のファスト軸は、第3の光L3ごとに定まる第2の平面を含む基準面と平行である。このため、第3の光L3の基準面と平行な方向における広がり成分が少なくなる。よって、それぞれの第3の光L3のうち第2方向における第1集光レンズ46側の方向に回折しない成分が少なくなり得る。したがって、本実施形態のレーザモジュール20によれば、光L1,L2,L3が回折効率の低下が抑制された状態で合成され、光の密度が高まり高輝度の光が出射し得る。
【0120】
なお、第1実施形態と同様に、波長合成素子に入射する第1の光、第2の光、及び第3の光のスロー軸方向における広がり成分が大きくなるが、波長合成素子に入射する光の基準面に垂直な方向における広がり成分は、基準面に平行な方向における広がり成分に比べて、波長合成素子から出射する光同士の干渉に及ぼす影響が小さい。このため、上記のように基準面に平行な光の広がり成分を少なくすることによって、波長合成素子における回折効率の低下を抑制することができる。
【0121】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なり、3つのLD群を備えており、かつ、各LD群を構成するLDの数が第1実施形態のLD群を構成するLDの数の倍であるため、より光の密度が高まり、より高出力で高輝度の光が生成され得る。
【0122】
なお、本実施形態では、光L1,L2,L3を合成する第1波長合成素子245と、光L2,L3を合成する第2波長合成素子246とを設け、光L1,L2,L3の全てを合成する例を説明した。しかし、光L1,L2,L3の少なくとも2つを合成すればよい。例えば、第1波長合成素子245のみを設けて光L1,L2のみを合成してもよい。あるいは、第2波長合成素子246のみを設け、光L2,L3のみを合成してもよい。
【0123】
また、本実施形態では、波長合成素子245,246がVBGである例を説明したが、これらのうち少なくとも一方が回折格子であってもよい。
【0124】
また、上記第1~第4の入射角のそれぞれは、例えば3°以上90°未満であってもよく、3度以上45°以下であってもよい。また、波長合成素子245,246のそれぞれは、波長合成素子に入射する光の全てのパワーに対する波長合成素子から出射する光の全てのパワーが80%以上となるように構成されてもよい。
【0125】
以上、本発明について上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0126】
例えば、上記実施形態では、異なる波長の光が2種類又は3種類の例を説明したが、例えば、第4の波長の光を出射する第4LD群をさらに設けて、異なる波長の光の種類を4種類にしてもよい。このように、光の種類は4種類以上であってもよい。また、第2実施形態で説明したように、光の種類が4つ以上の場合であっても、少なくとも波長の異なる2種類の光を合成すればよい。
【0127】
また、上記実施形態では、活性元素としてイッテルビウムを用いた例を説明したが、活性元素は上述のようにイッテルビウムに限定されない。また、活性元素としてイッテルビウムとは異なる元素を用いる場合、LDが出射する光の波長は、その活性元素が吸収する光の吸収スペクトルにおけるピーク波長帯の波長であることが好ましい。
【0128】
また、上記実施形態では、第Nの光の波長と第(N+1)の光の波長(Nは1以上)との波長の間隔が2nm未満である例を説明したが、この間隔は2nm以上であってもよい。ただし、この間隔が2nm未満であれば、上述のようにピーク波長帯が狭い場合でも、全ての波長の光を当該ピーク波長帯に収め易い。
【0129】
また、波長合成素子としてVBGを使用する場合において、波長合成素子はアポダイズを有するVBGであってもよい。このような構成によれば、VBGに入射する光の波長に対するVBGの回折効率の分布にサイドローブが生じる場合に、このサイドローブを低減することができる。その結果、短い波長間隔の光同士であってもサイドローブに干渉されずに合成することが可能になり得る。
【0130】
また、上記実施形態では、それぞれの第1の平面が実装面21Fと平行な1つの基準面SFに含まれる例を説明した。しかし、それぞれの第1の平面が1つの基準面に含まれる必要はない。以下、この点ついて説明する。
【0131】
例えば、
図10に示すように、第1の光L1aのファスト軸と第1の光L1bのファスト軸とが平行であるが、第1の光L1aと第1の光L1bとが第1方向に沿ってずれている場合を考える。この場合、第1の光L1aの光軸LA1aと第1の光L1bの光軸LA1bとの高さが一致していない。したがって、第1の光L1aの光軸LA1aによって定まる基準面SF1aと、第1の光L1bの光軸LA1bによって定まる第1の平面SF1bとは異なる平面となる。なお、
図10では、基準面SF1a及び第1の平面SF1bのそれぞれの一部の領域のみが示されている。
【0132】
また、
図11に示すように、第1の光L1aのファスト軸と第1の光L1bのファスト軸とが非平行の場合を考える。この場合、第1の光L1bによって定まる第1の平面SF1bが基準面SF1aに対して傾いている。
図11の例において、基準面SF1aは、第1の光L1aの光軸LA1aによって定まる平面である。なお、
図11では、基準面SF1a及び第1の平面SF1bのそれぞれの一部の領域のみが示されている。この場合、第1の平面SF1bは、基準面SF1aとは異なる平面であり、第1の光L1bの光軸LA1bを通らない。ただし、第1の平面SF1bは、波長合成素子45に第1の光L1bを直接入射させる光学素子から波長合成素子45に至るまでの第1の光L1bの全区間と、波長合成素子45から当該波長合成素子45を出射する第1の光L1bが直接入射する光学素子に至るまでの第1の光L1bの全区間と、を通る必要がある。この条件により、第1の平面SF1bが基準面SF1aに対して傾いている場合でも、基準面SF1aに対する第1の平面SF1bの傾きは小さく、第1の平面SF1bを定める第1の光L1bのファスト軸の基準面SF1aに対する傾きも小さい。よって、第1の光L1bのファスト軸が傾いている場合でも、第1の光L1bの基準面SF1aと平行な方向における広がり成分が小さくなる。ただし、回折効率の低下を抑制する観点から、第1の平面は、第1の光の光軸を通ることが好ましい。
【0133】
また、上記実施形態では、それぞれの第2の平面が実装面21Fと平行な1つの基準面SFに含まれる例を説明した。しかし、
図10と同様に、ある第2の光L2のファスト軸は他の第2の光L2のファスト軸と平行であるが、ある第2の光L2と他の第2の光L2とが第1方向に沿ってずれていてもよい。この場合、ある第2の光の光軸の高さと他の第2の光の光軸の高さとは一致しておらず、ある第2の光L2の光軸によって定まる第2の平面と、他の第2の光の光軸によって定まる第2の平面とは異なる平面となる。
【0134】
また、
図12に示すように、第2の光L2のファスト軸と第1の光L1のファスト軸とが非平行の場合を考える。この場合、第2の光L2によって定まる第2の平面SF2が、第1の光L1の光軸LA1によって定まる基準面SF1に対して傾いている。なお、
図12では、基準面SF1及び第2の平面SF2のそれぞれの一部の領域のみが示されており、また、第1の光L1及び第2の光L2が1つずつ示されている。
図12の例では、第2の光L2によって定まる第2の平面SF2は、第1の光L1によって定まる基準面SF1とは異なる平面であり、第2の光L2の光軸LA2を通らない。ただし、第2の平面SF2は、波長合成素子45に第1の光L1を直接入射させる光学素子から波長合成素子45に至るまでの第1の光L1の全区間と、波長合成素子45から当該波長合成素子45を出射する第1の光L1が直接入射する光学素子に至るまでの第1の光L1の全区間と、を通る必要がある。この条件により、第2の平面SF2が基準面SF1に対して傾いている場合でも、基準面SF1に対する第2の平面SF2の傾きは小さく、第2の平面SF2を定める第2の光L2のファスト軸の基準面SF1に対する傾きも小さい。よって、第2の光L2のファスト軸が傾いている場合でも、第2の光L2の基準面SF1と平行な方向における広がり成分が小さくなる。ただし、回折効率の低下を抑制する観点から、第2の平面SF2は、第1の光L1の光軸LA1を通ることが好ましい。なお、
図12の例では、波長合成素子が回折格子である例を説明したが、波長合成素子がVBGであっても同様である。
【0135】
しかし、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸は互いに平行であることが好ましい。これにより、波長合成素子45に入射するそれぞれの第1の光L1のファスト軸の少なくとも一部のファスト軸が互いに非平行である場合に比べて、第1の光L1のそれぞれを近づけることができ、高密度の第1の光L1を波長合成素子45に入射させ得る。よって、より高輝度の光を出射し得る。また、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は、少なくとも1つの第1の光L1のファスト軸と平行であることが好ましい。これにより、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸が、それぞれの第1の光L1のファスト軸と非平行である場合に比べて、第1の光L1と第2の光L2とが重なる度合を高くすることができ、波長合成素子45に入射する第1の光L1及び第2の光L2の密度を高め得る。よって、より高輝度の光を出射し得る。また、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸は、互いに平行であることが好ましい。これにより、波長合成素子45に入射するそれぞれの第2の光L2のファスト軸の少なくとも一部のファスト軸が互いに非平行である場合に比べて、第2の光L2のそれぞれを近づけることができ、高密度の第2の光L2を波長合成素子に入射させ得る。よって、より高輝度の光を出射し得る。
【0136】
また、上記実施形態では、波長合成素子に入射する光が実装面と平行な方向に伝搬する例を説明したが、波長合成素子から出射する光の方向はこの方向に限定されない。
【0137】
本発明によれば、高輝度の光を出射し得るレーザモジュール及び当該レーザモジュールを備えるファイバレーザ装置が提供され、レーザ加工などの分野において利用可能である。