(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】低エミッション、高作業能力吸着体およびキャニスタシステム
(51)【国際特許分類】
B01J 20/20 20060101AFI20240219BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20240219BHJP
F02M 25/08 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B01J20/20 B
B01J20/28 Z
F02M25/08 311C
F02M25/08 311D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017780
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2020518069の分割
【原出願日】2018-10-01
【審査請求日】2023-03-09
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516107826
【氏名又は名称】インジェヴィティ・サウス・カロライナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒルツィク,ローレンス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェームス・アール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ロジャー・エス
(72)【発明者】
【氏名】トムソン,キャメロン・アイ
(72)【発明者】
【氏名】ハイム,マイケル・ジィ
(72)【発明者】
【氏名】カード,エマ・エム
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-249409(JP,A)
【文献】米国特許第5538932(US,A)
【文献】特開2015-124644(JP,A)
【文献】特開2013-151875(JP,A)
【文献】特開平6-9208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/20
B01J 20/28
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより調製された活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料であって、前記活性吸着体粉末が、少なくとも50g/100gのブタン活性(pBACT)を有し、前記混合物が、形状に成形され、前記成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLの標準方法ASTM D5228におけるブタン作業能力(BWC)を有し、前記成形吸着体材料が、(i)80%よりも大きい、0.05~100ミクロンの幅に対する0.05~1ミクロンの幅の細孔容積の比、かつ(ii)50%よりも大きい、0.05~100ミクロンの幅に対する0.05~0.5ミクロンの幅の細孔容積の比を有する、成形吸着体材料。
【請求項2】
前記活性吸着体前駆体が、活性炭前駆体である、請求項1に記載の成形吸着体材料。
【請求項3】
前記結合剤が、有機結合剤、無機結合剤、または有機結合剤と無機結合剤との組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の成形吸着体材料。
【請求項4】
前記有機結合剤が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、合成有機結合剤、またはその両方のうちの少なくとも1つである、請求項3に記載の成形吸着体材料。
【請求項5】
前記無機結合剤が、粘土である、請求項3に記載の成形吸着体材料。
【請求項6】
前記活性炭前駆体が、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくず、ヤシ、野菜、合成高分子、天然高分子、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに由来する、請求項2に記載の成形吸着体材料。
【請求項7】
前記形状が、ペレット、顆粒、球体、ハニカム、モノリス、シリンダー、微粒子、中空シリンダー、星形、ねじれらせん、アスタリスク、形成リボン、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項3に記載の成形吸着体材料。
【請求項8】
結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより調製された活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料であって、前記活性吸着体粉末が、少なくとも50g/100gのブタン活性(pBACT)を有し、前記混合物が、形状に成形され、前記成形吸着体材料が、(i)80%よりも大きい、0.05~100ミクロンの幅に対する0.05~1ミクロンの幅の細孔容積の比、かつ(ii)50%よりも大きい、0.05~100ミクロンの幅に対する0.05~0.5ミクロンの幅の細孔容積の比を有する、成形吸着体材料。
【請求項9】
前記活性吸着体前駆体が、活性炭前駆体である、請求項8に記載の成形吸着体材料。
【請求項10】
前記結合剤が、有機結合剤、無機結合剤、または有機結合剤と無機結合剤との組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の成形吸着体材料。
【請求項11】
前記有機結合剤が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、合成有機結合剤、またはその両方のうちの少なくとも1つである、請求項10に記載の成形吸着体材料。
【請求項12】
前記無機結合剤が、粘土である、請求項10に記載の成形吸着体材料。
【請求項13】
前記活性炭前駆体が、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくず、ヤシ、野菜、合成高分子、天然高分子、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに由来する、請求項9に記載の成形吸着体材料。
【請求項14】
前記形状が、ペレット、顆粒、球体、ハニカム、モノリス、シリンダー、微粒子、中空シリンダー、星形、ねじれらせん、アスタリスク、形成リボン、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項10に記載の成形吸着体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月29日に出願された「LOW EMISSIONS,HIGH WORKING CAPACITY ADSORBENT AND CANISTER SYSTEM」と題する米国仮特許出願第62/565,699号に対する優先権の利益を主張しており、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、様々な実施形態における蒸発エミッション制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
自動車の燃料システムからのガソリン燃料の蒸発が、炭化水素の大気汚染の主要な考えられる要因となっている。これらの燃料蒸気エミッションは、車両が走行中、燃料補給中、または駐車中(エンジンオフ)に発生する。そのようなエミッションは、燃料システムから放出された燃料蒸気を吸着するのに活性炭を採用するキャニスタシステムによって制御することができる。特定のエンジン動作モードでは、キャニスタシステムを周囲の空気でパージして活性炭から燃料蒸気を脱着することにより、活性炭から吸着された燃料蒸気が定期的に除去される。その後、再生された炭素により追加の燃料蒸気を吸着する準備が整う。
【0004】
この用途向けのより空間効率の高い活性炭吸着体が、高蒸気分圧に向かって急勾配に傾斜した吸着容量を有するn-ブタン蒸気吸着等温線によって特徴付けられる(米国特許第6,540,815号)ことは、当該技術分野において周知である。このように、吸着体は、ガソリン燃料と共に存在する蒸気の種類の比較的高い濃度で高い容量を有しており、吸着体は、パージ中のような低蒸気濃度または部分圧に曝された場合、これらの捕捉された蒸気を放出することが好ましい。これらの高性能活性炭は、「小さなメソ細孔」(例えば、SAE Technical Papers 902119 and 2001-03-0733、およびBurchell1999、pp.252-253)のような大量の細孔容積を有し、これは、好ましくは、窒素吸着等温線のBJH法(例えば、米国特許第5,204,310号)によって測定されたように、約1.8nm~約5nmのサイズである。(IUPAC分類によれば、これらは<2nmのミクロ細孔サイズ範囲内の約1.8~2nmサイズの細孔に加えて、2~50nmメソ細孔サイズ範囲内の約2~5nmサイズの細孔である。)小さなメソ細孔は、凝縮相として蒸気を捕捉するのに十分に小さく、かつ、低分圧の蒸気に曝されると、容易に空になる。したがって、これらの細孔の容積は、ガソリン作業能力(GWC)として知られるキャニスタ容積内の吸着体によって回収可能な蒸気容量と線形に相関しており、これは、参照により本明細書に組み込まれる標準ASTM5228法によって測定されるように、吸着体のASTMブタン作業能力(BWC)と同様に線形に相関する。ASTM BWCの範囲は、約3~約17g/dLであり、9+g/dLのBWC炭素は、キャニスタシステムの燃料蒸気源への作業能力のために有利であり、1つ以上の後続の容積で、大気ポートまたは通気孔側(すなわち、通気孔側吸着体容積)に向かって使用される、より低いBWC炭素を有する。一般に、特に燃料補給中の蒸気の捕捉など、適度な流量制限が必要なキャニスタシステムの場合、不規則に成形または粉砕された微粒子よりも、円筒形ペレットおよびその他の加工成形(球状顆粒など)の活性炭が好まれる。ペレット化および加工された成形活性炭の利点には、優れた機械的強度、低粉塵、低粉塵率、処理時の高いサイズ収率、ならびに、バルク輸送および取り扱い後にリットルサイズのキャニスタ充填物全体に一貫性をもたらす狭い粒子サイズ
分布が含まれる。
【0005】
ペレット化および加工された成形活性炭を調製するためのいくつかの手法が記載されている。あるグループの手法では、すでに活性化(「粉砕結合」)されている炭素粉末の結合が含まれる。例えば、米国特許第4,677,086号にはベントナイト粘土結合剤の使用が記載されており、US2006/0154815A1にはCMC結合剤系を含むアクリルまたはアクリルスチレンエマルジョンが記載されており、米国特許第6,277,179号には熱硬化性樹脂結合剤が記載されており、米国特許第6,472,343号にはカルボキシメチルセルロース(CMC)などの架橋結合剤が記載されている。粉砕結合の利点としては、細孔形成活性化プロセスとは無関係に、活性化後処理における機械的強度と粉塵特性の制御が挙げられる。ただし、非吸着性結合剤は希釈剤であり、吸着体に適用される処理条件によっては炭素の多孔性が損なわれる可能性がある。細孔のブロッキングおよび結合剤からの汚染による吸着特性の損失の問題については、米国特許第6,277,179号とその参考文献を参照されたい。さらに、熱処理を必要とする特定の結合剤には、活性炭成分の燃焼を避けるために、不活性雰囲気が必要であり、それにもかかわらず、特に活性化処理中にそのような高温に曝されていない活性炭成分の場合、吸着多孔が破壊する可能性がある。それでも、粉砕結合手法は、ペレット化活性炭に中程度のレベルのBWC(例えば、約9.5~12g/dL BWC)を提供するのに役立つ。燃料蒸気源に対する作業能力に有利な市販製品の例は、粘土結合NUCHAR(登録商標)BAX950、BAX1000、およびBAX1100、有機結合NUCHAR(登録商標)BAX1100LD(Ingevity Corporation、ノースチャールストン、サウスカロライナ州)、ならびにBWCプロパティが12.3g/dL未満の全ての製品である。粉砕結合手法は、特別に成形されたペレット(例えば、MPAC1(クラレケミカルリミテッド、備前市、日本)の市販例を含む、米国特許第9,174,195号および米国特許第9,322,368号、体積希釈ペレット(米国特許第RE38,844号、NUCHAR(登録商標)BAX LBEの市販例)、および高熱容量のペレット(米国特許第6,599,856号)の形成にも役立つ。特別な成形および非吸着性添加剤の結果として、ペレット化された活性炭のBWCはそれぞれ9.5g/dL未満に希釈され、これらの特殊なペレットがキャニスタシステム内の通気孔側容積にある場合、昼間のブリードエミッションの抑制に効果的となる。
【0006】
ペレット化活性炭を調製するための別のグループの手法は、最初に炭素質前駆体またはチャーを成形し、次に吸着多孔を形成するために活性化(「成形活性化」)することを含む。例えば、酸活性化プロセスについてはUS5,039,651、US5,204,310、US5,250,491、US5,324,703、EP0 423 967(B1)、およびCN102856081、ならびに熱活性化プロセスについてはUS2008/0063592(A1)を参照されたい。これらの方法は、成形材料に構造的完全性と機械的強度をもたらす成分が炭素質前駆体の天然成分であるという点、本質的に「結合剤レス」であり、また、樹脂またはピッチ結合剤成分が添加される場合(例えば、米国特許第3,864,277号および米国特許第5,538,932号)、結合剤成分はプロセスで活性炭に変換されるため、最終製品の吸着性能にも貢献する。米国特許第5,324,703号は、おがくずによるリン酸活性化を採用し、マクロ細孔容積を最小化するプロセスにより、17g/dLのBWC特性を持つ活性炭ペレットを調製し、それにより、ガソリン蒸気の作業能力に有効であることが知られている目標1.8~5nmのサイズ範囲の細孔ペレットの容積含有量を最大化する。これらの成形活性化の方法は、非吸着性の添加剤または充填剤を使用せずに、キャニスタ充填物1リットルあたり最大容積の吸着孔を提供する効率的な手段である。成形活性化プロセスによって調製された活性炭は、その後の粉砕、結合剤および細孔保護成分の計量、成形、さらに乾燥および熱処理を必要としないため、成形製品そのものとなる。成形活性化の市販例には、NUCHAR(登録商標)BAX1500、BAX1500E、BAX1700(Ingevity Corpo
ration、N.Charleston、サウスカロライナ州、米国)、CNR115、CNR120、CNR150(Cabot Corporation、ボストン、マサチューセッツ州、米国)、3GX(クラレケミカル株式会社、備前市、日本)、ならびに、KMAZ2およびKMAZ3(Fujian Xinsen Carbon、福建省、中国)が挙げられる。これらの成形活性化製品のBWC特性は、約11g/dL~約17g/dLの範囲である。成形活性化技術は、蒸発エミッション制御用の高作業能力炭素ペレット(例えば、13g/dLを超えるBWC)、ならびにプロセスステップの経済性、製造コストの削減、および最高のBWC特性を注入する効果のための、認可された唯一の商用技術である。キャニスタシステムの高い作業能力の利点には、必要な活性炭の量を低減し、システムの作業能力およびエミッション性能のための重要な要因である利用可能なパージのベッドボリューム(キャニスタシステムのリットルあたりのパージ量)を増大させることで、キャニスタシステムのサイズおよび重量を低減することが含まれる。例えば、SAE paper 2000-01-0895および2001-01-0733を参照されたい。
【0007】
非常にメソポーラスな吸着体は作業能力に有利であるが、吸着体の高いASTM BWCおよびその高いGWCは、実際には、車両が動作していないときでも低エミッションを提供する燃料蒸気エミッション制御システムの同時必要性に反しているとみられる。
【0008】
例えば、環境への懸念の高まりによって、これらの炭化水素エミッションの厳しい規制が継続して推進されている。車両が、日中の加熱(すなわち昼間の加熱)の間の暖かい環境で駐車しているとき、燃料タンク内の温度が上昇して燃料タンク内の蒸気圧が増加する。通常は、車両から大気への燃料蒸気の漏れを防止するために、燃料タンクは、コンジットを通じて、燃料蒸気を一時的に吸着することができる適切な燃料吸着体を含有するキャニスタへベントされている。キャニスタは、車両が静止しているときに液体の燃料蒸気が燃料タンクから、燃料タンクのコンジットを通り、1つ以上の吸着体容積を通り、大気に通じるベントポートに出るように、蒸気または流体の流れ経路を画定する。燃料タンクからの燃料蒸気および空気は、キャニスタの燃料蒸気入口を通り、キャニスタに入って吸着体容積へと拡散し、燃料蒸気は一時貯蔵域で吸着され、精製された空気はキャニスタのベントポートを通って大気に放出される。エンジンをオンにすると、キャニスタのベントポートからキャニスタシステムに周囲の空気が取り込まれる。パージ用空気は、キャニスタの内部の吸着体容積を通って流れ、吸着体容積に吸着された燃料蒸気を脱着してから燃料蒸気パージコンジットを通って内燃エンジンに入る。パージ空気は、吸着体容積に吸着された燃料蒸気全体を脱着せず、大気に排出され得る残留炭化水素(「ヒール」)をもたらす。
【0009】
それに加えて、気相を備える局所平衡におけるそのヒールにより、燃料タンクからの燃料蒸気が、キャニスタシステムを通ってエミッションとして拡散することも可能になる。そのようなエミッションは、一般に、車両が駐車していて、いく日かの期間にわたる昼間の温度変化に曝されたときに生じ、一般に「終日保管時排出」(DBL)エミッションと称される。カリフォルニア州の低公害車の規定では、キャニスタシステムからのこれらのDBLエミッションについて、2003年のモデルイヤーで始まる複数の車両は10mg未満(「PZEV」)が望ましく、2004年のモデルイヤーで始まる多数の車両は50mg未満、一般的には20mg未満(「LEV-II」)が望ましいとされている。
【0010】
現在、カリフォルニア州の低公害車の規定(LEV-III)および米国連邦政府のTier3規制は、2012年3月22日のCalifornia Evaporative Emissions Standards and Test Procedures for 2001 and Subsequent Model Motor Vehiclesに記載されているように、ブリードエミッション試験方法(BETP)によ
ってキャニスタのDBLエミッションが20mgを超過しないことを義務づけている。さらに、DBLエミッションに関する規制は、特にパージ空気のレベルが低い場合、蒸発エミッション制御システムに課題をもたらし続けている。例えば、DBLエミッションは、パワートレインが内燃エンジンと電気モータの両方である車両を含むハイブリッド車両(「HEV」)にとってより深刻になる可能性があり、内燃エンジンを自動的にシャットダウンして再始動する始動停止システム/停止始動システムがある車両は、エンジンがアイドリングに費やす時間を短縮し、それにより燃料消費と排気管のエミッションを削減する。そのようなハイブリッド車両では、内燃エンジンは、車両操作中の時間のほぼ半分は停止している。吸着体に吸着された燃料蒸気がパージされるのは、内燃エンジンが動作中のときに限られるので、ハイブリッド車両のキャニスタの中の吸着体が、多くの場合55BV~100BVの範囲の新鮮な空気でパージされる時間は、従来型の車両と比較して半分未満となる。それでも、ハイブリッド車両は、従来の車両とほぼ同じ量の蒸発燃料蒸気を生成する。ハイブリッド車両の低いパージ頻度と容積は、キャニスタ内の吸着体から残留炭化水素ヒールを洗浄するには不十分であり得、結果としてDBLエミッションが多くなる。その他のパワートレインでは、最適な駆動性能、燃料効率、および排気管エミッションのために設計された場合、同様にキャニスタをリフレッシュするための高レベルのパージを提供するための取り組みがなされ、エンジンに最適な混合気および速度を提供するための取り組みがなされる。これらのパワートレインには、ターボ過給エンジンまたはターボアシストエンジン、およびガソリン直接噴射(「GDI」)エンジンが含まれる。
【0011】
対照的に、世界的には、蒸発エミッション規制は米国ほど厳しくないが、現在では米国が歩んだ道に沿って、規制がより厳しくなる傾向にある。特に、小型車の使用が急速に増加し、空気の質の問題に緊急の注意が必要な地域では、車両燃料のより良い使用および空気の清浄化のためのより厳密な制御の利点に対する認識が高まっている。注目すべき例として、中華人民共和国の環境保護省は、2020年に実施するための、燃料蒸気エミッションの制限を含む2016年規制(「中国6」としても知られる「Limits and
Measurement Methods for Emissions from Light-Duty Vehicles、GB 18352.6-2016を参照されたい)を発表した。この規格は、ハイブリッド電気自動車を含む、常温および低温でのエミッションガスのためのポジティブイグニッションエンジン、実走行エミッション(RDE)、クランクケースエミッション、蒸発エミッションおよび燃料補給エミッション、技術的要件、汚染制御機器の耐久性の測定方法、およびオンボード診断システム(OBD)を搭載した、小型車両の制限および測定方法を規定している。蒸発エミッション制御に加えて、オンボード燃料補給蒸気回収(ORVR)が必要である。蒸発エミッションは、自動車の燃料(ガソリン)システムから排出される炭化水素蒸気として定義され、(1)燃料タンクの温度変化に起因する炭化水素のエミッションである燃料タンクの呼吸損失(昼間損失)と、(2)一定期間運転後の静止車両の燃料システムから生じる炭化水素のエミッションである高温浸漬損失と、を含む。車両全体の試験に関する試験プロトコルとエミッションガス制限が提供されているが、総エミッションに寄与するコンポーネントの設計制限(例えば、蒸発ガスエミッション制御キャニスタシステム、燃料タンクの壁、ホース、チューブなど)については、車両メーカーによる割り当てには余裕がある。割り当てのうち、蒸発エミッション制御キャニスタシステムの制限は、一般に、中国6規制の車両要件全体を満たすための設計バランスの一部として、燃料システムおよび車両設計プロセスで2日目のDBLエミッションが100mg未満になるように設定されている。
【0012】
しかし、高い作業能力性能と許容限度内での燃料エミッションのためのシステム設計のニーズに直面したとき、当該技術分野でよく知られているように、GWC性能およびBWC特性が増加すると、ブリードエミッションの特性が不均衡に増加する。例えば、
図8のSAE Technical Paper 2001-01-0733(DBLエミッションデータの比較)および表の米国特許第6,540,815号(11BWCと15BW
C活性炭の比較および発明データ)を参照されたい。
【0013】
高い作業能力と低いDBLエミッション性能という明らかに対立するニーズを満たすために、いくつかの手法が報告されている。手法の1つには、パージガスの容積を著しく増加させて、吸着体容積からの残留炭化水素ヒールの脱着を強化するものがある。米国特許第4,894,072号を参照されたい。しかしながら、この手法には、パージステップ中のエンジンへの燃料/大気混合気の管理が複雑になって排気管のエミッションに悪影響を及ぼしがちであるという難点があり、このような高レベルのパージは、特定のパワートレイン設計では単純に利用できない。設計および設置の費用はかかるが、エンジンの真空を補完する手段として、またエンジンの真空のみに依存する場合のエンジン性能と排気管のエミッション制御に関するいくつかの問題を回避する手段として、蒸発エミッション制御システム内のある場所で補助ポンプを使用して、パージ流れまたはパージ容積を補完、支援、または増強してもよい。
【0014】
別の手法には、既存のキャニスタ寸法の再設計により、または適切な寸法の補足の通気孔側キャニスタを取り付けることにより、キャニスタの通気孔側に比較的小さい断面積を有するようにキャニスタを設計するものがある。この手法は、パージ用空気の強度を増すことによって残留炭化水素ヒールを低減するものである。そのような手法の難点の1つには、比較的小さい断面積によって、キャニスタに過度の流量制限が生じることがある。米国特許第5,957,114号を参照されたい。
【0015】
パージ効率を向上するための別の手法には、パージ用空気、もしくは燃料蒸気を吸着した吸着体容積の一部分、またはその両方を加熱するものがある。しかしながら、この手法では、制御システムの管理がより複雑になり、安全上の問題がいくつか生じる。米国特許第6,098,601号および第6,279,548号を参照されたい。
【0016】
別の手法には、燃料蒸気を、流体ストリーム内の燃料源の近くに位置する燃料側吸着体容積に通し、その後、大気へのベント前に燃料側吸着体の下流側に位置する少なくとも1つの後続の(すなわち、通気孔側)吸着体容積に送ることであり、燃料側吸着体容積(ここでは初期の吸着体容積)は、後続の(すなわち、通気孔側)吸着体容積よりも、増分吸着容量として定義されるより高い等温線勾配を有するものがある。米国特許第RE38,844号を参照されたい。米国特許第RE38,844号が、DBLブリードエミッション性能とBWCとのトレードオフを、吸着、パージ、浸漬サイクル中の蒸気流路に沿った蒸気と吸着質の濃度勾配のダイナミクスに従った高BWC吸着体に存在する吸着等温線の高い勾配特性の避けられない結果と見なしていることは、注目に値する。この手法には、低エミッションを実現するためのさまざまな特性を持つ複数の吸着体容積を直列にする必要があるという欠点があり、システムのサイズ、複雑さ、および設計と製造のコストが増加する。
【0017】
低レベルのパージのみが利用できる場合に特に有用な別の手法は、増分吸着容量のウィンドウ、ASTM BWC、特定のg-合計BWC能力および流路断面全体でほぼ均一な空気と蒸気の流れの分配を促進する実質的に均一な構造を含む少なくとも1つの後続の(つまり、通気孔側)吸着体を通して燃料蒸気をルーティングするものがある。US9,732,649およびUS2016/0271555(A1)を参照されたい。この手法には、低エミッションを実現するためのさまざまな特性を持つ複数の吸着体容積を直列にする必要があるという欠点もあり、システムのサイズ、複雑さ、および設計と製造のコストが増加する。
【0018】
蒸発エミッション制御キャニスタシステムの高作業能力炭素に対するDBLエミッションの課題は、US9,322,368で認識されており、通気孔側への低作業能力を含め
ると、高作業能力と最大許容DBLエミッション目標の両方を満たすキャニスタシステムのサイズと重量に過度の負担がかかると主張されている。US9,322,368で教示されている代替の解決策は、中空ペレットを含むキャニスタシステムの通気孔側に向かって容積を持たせることであり、ペレット構造内のマクロ細孔サイズ範囲の細孔容積は、実施例では合計(0.05~100ミクロンサイズ)の約50%が0.5ミクロン(0.05~0.5ミクロン)より小さいサイズに制御されている。’368号は、細孔内の総マクロ細孔容積の90+%が0.05~0.5ミクロンの場合、脱着性能が劣ることを開示している。これらの実施例は、マクロ細孔容積を生成するためにプロセス加熱時に分解する粉末成分を含む粉砕結合プロセスによって調製される。
【0019】
US9,657,691では、高い作業能力に対するDBLエミッションの課題のジレンマも認識されている。ここでは、燃料蒸気の容量が大きいメインキャニスタと、13g/dLを超えるBWCを含む活性炭を含むチャンバを備えた小型のバッファキャニスタとを組み合わせ、その後、エミッションを目標レベルに制限するために必要な6~10g/dLのBWCの炭素を含む後続のチャンバと直列に接続する解決策を教示する。目標のエミッションレベルを達成するには、バッファキャニスタチャンバに熱を加えるというさらなる複雑さが必要である。このように、この補助チャンバの場合、高作業能力の炭素に対する過剰なDBLブリードエミッションのジレンマが認識され、キャニスタシステムのサイズと複雑さが増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、必要なGWCおよび低DBLエミッションレベルの両方を提供するために、できるだけ低コストで、単純で、可能な限りコンパクトな蒸発エミッション制御システムを有することが望ましい。したがって、DBLエミッション特性が比較的低い高作業能力の吸着体は、通常のレベルまたは低レベルのパージが利用可能な場合に、システムの設計と操作のために、より小さく、より安価で、より複雑でない手法を可能にすることにより、その目的に貢献する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示で説明されているのは、驚くほどかつ予想外に、比較的高い作業能力を実証し、同時に、車両エミッションキャニスタシステムに組み込まれた場合に、比較的低いDBLブリードエミッション性能特性を実証する、吸着体材料である。記載された材料により、現在知られているよりも低コストで、より単純で、よりコンパクトな蒸発燃料エミッション制御システムの設計が有利に可能となる。本明細書に記載されているように、標準蒸気サイクルプロトコルで試験した場合、比較的高いASTM BWCの吸着体を含む試験キャニスタは、標準ブリードエミッション試験方法(BETP)を使用して低エミッションを実証した。
【0022】
したがって、一態様では、説明により、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの有機結合剤またはベントナイト粘土などの無機結合剤を備えた比較的高い作業能力の活性吸着体粉末を含む成形吸着体材料が提供される。特定の実施形態では、成形吸着体材料は、結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより得られた活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料であって、混合物が、形状に成形され、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを有する。
【0023】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、活性吸着体粉末は、少なくとも50g/100gの粉末ブタン活性(pBACT)を有する。
【0024】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、本明細
書に記載の、例えば約80%よりも大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比を含む。
【0025】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、本明細書に記載の、例えば約50%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比を含む。
【0026】
特定の実施形態において、成形吸着体材料は、本明細書に記載の例えば約80%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比、本明細書に記載の例えば約50%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比、本明細書に記載の例えば約13g/dLより大きいASTM BWCを有する。
【0027】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、活性吸着体前駆体は活性炭前駆体である。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、活性炭前駆体は、少なくとも約50g/100gのブタン活性(pBACT)を有する。
【0028】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、結合剤は、有機結合剤、無機結合剤、または両方の少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、結合剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの有機結合剤またはベントナイト粘土などの無機結合剤または両方を含む。
【0029】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、活性炭、炭素チャコール、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む。
【0030】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくず、ヤシ、野菜、合成高分子、天然高分子、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される部材を含む材料に由来する活性炭を含む。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくず、ヤシ、野菜、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに由来する活性炭を含む。
【0031】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料の形状は、顆粒、ペレット、球体、ハニカム、モノリス、ペレット化円筒、均一な成形の粒状媒体、不均一な成形の粒状媒体、押し出し形状の構造化媒体、流し込み形状の構造化媒体、中空シリンダー、星形、ねじれらせん、アスタリスク、形成リボン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0032】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、後続の吸着体容積を通るおよそ均一な空気または蒸気流れ分布を可能にするまたは促進する、およそ均一なセルまたは幾何学的構造、例えばハニカム構造のマトリックスを含む構造に形成される。
【0033】
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの燃料側吸着体容積と少なくとも1つの通気
孔側吸着体容積とを含む蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供し、少なくとも1つの燃料側または少なくとも1つの通気孔側吸着体容積のうちの少なくとも1つが、本明細書に記載の成形吸着体材料を含む。
【0034】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、燃料蒸気流路の終わりで、または近くで、均一なセル構造を有する1つ以上の通気孔側吸着体容積を含む。
【0035】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)による本明細書で定義されている2.1リットルのキャニスタ(すなわち、「定義済みキャニスタ」)で決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315リットルのパージで、100mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを実証する。
【0036】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、システムは、本明細書で定義される中国6試験方法により試験される場合、100mg未満の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0037】
特定の追加の実施形態では、成形吸着体材料は、前駆体活性吸着体材料よりも少なくとも10%少ない2日間のDBLを有する。
【0038】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、蒸発エミッション制御システムは、加熱ユニットをさらに含んでもよい。
【0039】
追加の態様では、本記載は、蒸発エミッション制御システムにおける燃料蒸気のエミッションを減少させるための方法を提供し、本方法は、本明細書で記載されるように、燃料蒸気を本明細書に記載の成形吸着体材料を含む蒸発エミッション制御システムに接触させることを含む。
【0040】
別の態様では、本説明は(a)活性吸着体前駆体を提供することと、(b)活性吸着体前駆体を粉末に粉砕することであって、粉末が、少なくとも約50g/100gのpBACTを有する、粉砕することと、(c)粉末を結合剤材料と混合することと、(d)粉末と結合剤材料との混合物を形状に成形することであって、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを有する、成形することと、を含むステップに従って作製された成形吸着体材料を提供する。特定の実施形態では、成形吸着体材料は、(i)約80%よりも大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比、(ii)約50%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比、または(iii)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つをさらに有する。
【0041】
実用性の、前述の一般的な領域は、例としてのみ与えられ、本開示および添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の構成、方法およびプロセスに関連した追加の目的および優位点は、現在の特許請求の範囲、詳細な説明および実施例を参照して、当業者によって理解されるであろう。例えば、本発明の様々な態様および実施形態は、多くの組み合わせにおいて活用され得、その全てが本願記載によって明示的に検討される。これらの追加の優位点、目的および実施形態は、本発明の範囲内に明示的に含まれる。本発明の背景を明らかにするために、かつ、特に、実施に関する追加の詳細を提供するために、本明細書で用いられる文献および他の材料は、参照によって組み込まれる。
【0042】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を形成する、添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。図面は、本発明の実施形態を示す目的のためだけであり、本発明を限定するように解釈されるべきではない。本発明のさらなる目的、特徴および優位点は、本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】吸着体の本発明の実施形態が利用され得る多くの可能な組み合わせを備えた蒸発エミッション制御キャニスタシステムの断面図である。
【
図2】吸着体の本発明の実施形態が利用され得る多くの可能な組み合わせを備えた蒸発エミッション制御キャニスタシステムの断面図である。
【
図3】吸着体の本発明の実施形態が利用され得る多くの可能な組み合わせを備えた蒸発エミッション制御キャニスタシステムの断面図である。
【
図4】吸着体の本発明の実施形態が利用され得る多くの可能な組み合わせを備えた蒸発エミッション制御キャニスタシステムの断面図である。
【
図5】ASTM BWCの特性を備えた従来の市販活性炭吸着体の比較例のBETPによるDBLエミッション試験データである。
【
図6】粉砕結合プロセスにより調製された13g/dLより大きいASTM BWC特性を備えた本発明の実施例を含むBETPによる試験データDBLエミッション試験データである。
【
図7】11~12g/dLのASTM BWC比較市販例および12.0~12.6g/dLの粉砕結合例9および10のマクロ細孔サイズ分布である。
【
図8】11~12g/dLのASTM BWC比較市販例および12.0~12.6g/dLの粉砕結合例9および10における、サイズ0.05~0.5ミクロンの細孔内の総マクロ細孔のパーセントの関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図9】11~12g/dLの比較市販例および12.0~12.6g/dLの粉砕結合例9および10における、サイズ0.05~1ミクロンの細孔内の総マクロ細孔のパーセントの関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図10】13+g/dLのASTM BWC比較市販例のマクロ細孔サイズ分布であり、すべて成形活性化プロセスによって作製される。
【
図11】13+g/dL ASTM BWCの実施例11~16のマクロ細孔サイズ分布であり、すべて粉砕結合プロセスによって調製される。
【
図12】13+g/dL ASTM BWCの比較市販例および13+g/dLの粉砕結合例11~16における、サイズ0.05~0.5ミクロンの細孔内の総マクロ細孔のパーセントの関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図13】13+g/dL ASTM BWCの比較市販例および13+g/dLの粉砕結合例11~16における、サイズ0.05~1ミクロンの細孔内の総マクロ細孔のパーセントの関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図14】比較市販例および粉砕結合例9~16における、cc/gの単位でサイズ0.05~100ミクロンの総マクロ細孔の関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図15】比較市販例および粉砕結合例9~16における、cc/ccペレットの単位でサイズ0.05~100ミクロンの総マクロ細孔の関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図16】比較市販例および粉砕結合例9~16における、サイズ0.1~100ミクロンの総マクロ細孔容積とサイズ0.1未満の細孔容積の比の関数としてのBETPによる2日目のDBLエミッションを示す。
【
図17】比較市販例および粉砕結合例9~16における、ブタンの保持力の関数としての2日目のDBLエミッションを示す。
【
図18】実施例9~16における、活性炭粉末成分のブタン活性と、得られた最終結合ペレットのASTM BWCとの相関関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本開示が以下でより十分に説明されるが、本開示のすべての実施形態が示されるわけではない。本開示は例示的実施形態を参照しながら説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく様々な変更形態を製作することができ、また、その要素の代わりに等価物で置換し得ることが当業者には理解されよう。それに加えて、特定の構造または材料を、本開示の教示に、その本質的な範囲から逸脱することなく適合させるために、多くの修正形態が製作され得る。
【0045】
適用に伴う図面は、説明のみを目的とするものである。それらの図面は、本出願の実施形態を限定するようには意図されていない。さらに、図面は原寸に比例するものではない。図の間で共通の要素は、同一の数値記号を保ち得る。
【0046】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、および、その表示された範囲における任意の他の表示値または介在値が本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、より小さい範囲において独立して含まれ得、また、本発明内に包含され得、表示された範囲における任意の具体的に除外された制限に従う。表示された範囲が、1つまたは両方の限界を含む場合、それらの含まれた限界の両方のいずれかを除外する範囲もまた本発明に含まれる。
【0047】
以下の用語は、本発明を説明するために用いられる。用語が本明細書で具体的に定義されない場合、その用語は、本発明の説明におけるその使用への文脈においてその用語を適用する当業者によって、当該技術分野において認識される意味が与えられる。
【0048】
本明細書で、および添付の特許請求の範囲において用いられるような冠詞「a」および「an」は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、1つのまたは1つより多い(つまり、少なくとも1つの)、冠詞の文法上の目的語を指すために用いられる。例として、「an element」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
【0049】
ここで明細書においておよび特許請求の範囲において用いられるような語句「and/or」は、そのように結合した要素の内の「いずれかまたは両方」、つまり、いくつかの場合では結合的に(conjunctively)に存在し、他の場合では選言的に(disjunctively)存在する要素、を意味すると理解されるべきである。「and/or」によって挙げられる複数の要素は、同様に、つまり、そのように結合した「1つ以上の」要素と解釈されるべきである。他の要素は、具体的に特定されるそれらの要素に関連するまたは関連しないにかかわらず、「and/or」の句によって具体的に特定される要素以外に、必要に応じて存在し得る。そのため、非限定的な例として、「A and/or B」への参照は、「comprising」等のオープンエンドの言葉と併せて用いられるとき、一実施形態では、(必要に応じてB以外の要素を含む)Aのみ;他の実施形態では、(必要に応じてA以外の要素を含む)Bのみ;さらに他の実施形態では、(必要に応じて他の要素を含む)AおよびBの両方;等を参照し得る。
【0050】
ここで明細書においておよび特許請求の範囲において用いられるように、「or」は、上述のような「and/or」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにおける項目を分離するとき、「or」または「and/or」は、包含的であるとして、つまり、1つより多くも含むこともあるが、多数の要素または要素のリストの内の少なくとも1つ、および、必要に応じて、追加の挙げられていない項目の包含として解釈されるべきである。「only one of」もしくは「exactly one o
f」、または、特許請求の範囲において用いられるとき、「consisting of」等の、逆に明確に示された用語のみが、多数の要素または要素のリストの内の厳密に1つの要素の包含を指すことになる。一般的に、本明細書で用いられるような用語「or」は、「either」、「one of」、「only one of」または「exactly one of」等の、排他性の用語によって先行されるとき、排他的な選択肢(つまり、「one or the other but not both」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。
【0051】
上記の明細書におけるのと同様に、特許請求の範囲では、「comprising」、「including」、「carrying」、「having」、「containing」、「involving」、「holding」、「composed of」および同類のもの等の全ての移行句は、オープンエンドである、つまり、含むがそれらに限定されないことを意味すると理解されるべきである。移行句「consisting of」、および「consisting essentially of」のみが、10
United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03において規定されるように、それぞれ、クローズドのまたはセミクローズドの移行句であるものとする。
【0052】
ここで、本明細書でおよび特許請求の範囲で用いられるように、1つ以上の要素のリストを参照する語句「at least one」は、要素のリストにおける任意の1つ以上の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解されるものとするが、要素のリスト内に具体的に挙げられた各々のおよび全ての要素の内の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストにおける要素の任意の組み合わせを排除しない。この定義はまた、具体的に特定されたそれらの要素に関連するまたは関連しないにかかわらず、語句「at least one」が指す要素のリスト内に具体的に特定される要素以外の要素が必要に応じて存在し得ることを可能にする。そのため、非限定的な例として、「at least one of A and B」(または、同等に、「at least one of A or B」、または、同等に、「at least one of A and/or B」)は、一実施形態では、Bが存在しない(かつ、必要に応じてB以外の要素を含む)、少なくとも1つの、必要に応じて1つより多くを含む、A;他の実施形態では、Aが存在しない(かつ、必要に応じてA以外の要素を含む)、少なくとも1つの、必要に応じて1つより多くを含む、B;さらに他の実施形態では、少なくとも1つの、必要に応じて1つより多くを含む、A、および、少なくとも1つの、必要に応じて1つより多くを含む、B(および、必要に応じて他の要素を含む);等を指し得る。また、明確に反対に示されない限り、1つより多いステップまたは行為を含む本明細書で主張される任意の方法では、方法のステップまたは行為の順序は、本方法のステップまたは行為が特定される順序に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。
【0053】
本明細書で用いられるように、「流体(fluid)」、「気体(gas)」または「気体の(gaseous)」および「蒸気(vapor)」または「蒸気の(vaporous)」という用語は、文脈がそうでないことを示さない限り、一般的な意味において用いられ、交換可能であると意図される。
【0054】
本明細書で用いられるように、文脈がそうでないことを示さない限り、「成形吸着体(shaped adsorbent)」または「成形吸着体材料(shaped adsorbent material)」という用語は、粉末に粉砕され、結合剤を使用して結合され、本明細書に記載のように成形された(すなわち「粉砕および結合」)高活性または高BWC活性吸着体を指すことを意図され、記載され主張された多孔性とシステムの利点を提供する。上記の用語は、活性化の前に結合および成形された前駆体炭素材料を特
に指す「成形活性化(shaped and activated)」材料への説明の参照と区別されるべきである。
【0055】
2017年7月21日に出願された「Particulate Adsorbent Material and Methods of Making the Same」と題された米国特許出願第15/656,643号、米国特許出願公開第2016/0271555(A)号、米国特許第9,732,649号、および米国特許第6,472,343号は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
本明細書は、比較的低いパージ容積を含む、比較的低いDBLブリードエミッション性能特性を有する高作業能力の吸着体を驚くほどかつ予想外に実証する成形吸着体材料およびシステムを説明し、これにより、現在利用可能なものよりも低コストで、より単純で、よりコンパクトな蒸発燃料エミッション制御システムの設計が可能となる。
【0057】
したがって、一態様では、本説明は、結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより得られた活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料であって、混合物が、形状に成形され、成形吸着体材料が、少なくとも約13g/dLのASTM BWC特性を含む成形吸着体材料を提供する。
【0058】
特定の実施形態において、本明細書に記載の成形吸着体材料は、約13g/dLより大きいASTM BWCを有する。特定の実施形態において、本明細書に記載の成形吸着体材料は、約13g/dL超、14g/dL、15g/dL、16g/dL、17g/dL、18g/dL、19g/dL、20g/dL、21g/dL、22g/dL、23g/dL、24g/dL、25g/dL、もしくは25g/dL超、または約13g/dL~約40g/dL、約13g/dL~約30g/dL、もしくは約13g/dL~約20g/dL、かつ、重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含むASTM
BWCを有する。
【0059】
特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載の記載された成形吸着体材料の予想外に高いBWCおよび低いDBLは、非常に高いブタン活性を有する前駆体材料の選択と相関しているとみられる。したがって、本明細書に記載の任意の態様または実施形態では、活性吸着体粉末、例えば活性炭粉末は、少なくとも約50g/100gのブタン活性(pBACT)を有する。特定の実施形態では、活性吸着体前駆体のpBACTは、少なくとも約50g/100g、55g/100g、60g/100g、65g/100g、70g/100g、75g/100g、80g/100g、85g/100g、90g/100g、95g/100gまたはそれ以上のすべての値を含む。特定の実施形態では、活性化吸着剤粉末、例えば活性炭粉末のpBACTは、約50g/100g~約95g/100g、約50g/100g~約90g/100g、約50g/100g~約85g/100g、約50g/100g~約80g/100g、約50g/100g~約75g/100g、約50g/100g~約70g/100g、約50g/100g~約65g/100g、約50g/100g~約60g/100g、ならびに重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。
【0060】
一般に、活性炭の表面積が大きいほど、その吸着能力は大きくなる。活性炭の利用可能な表面積は、その細孔容積に依存する。個々の細孔サイズが大きくなると単位体積あたりの表面積が減少するため、一般に、非常に小さな寸法の細孔の数を最大化し、および/または非常に大きな寸法の細孔の数を最小化することにより、大きな表面積が最大化される。本明細書では、細孔サイズは、ミクロ細孔(細孔幅<1.8nm)、メソ細孔(細孔幅=1.8~50nm)、マクロ細孔(細孔幅>50nm、名目上は50nm~100ミクロン)として定義されている。メソ細孔は、小さなメソ細孔(細孔幅=1.8~5nm)
と大きなメソ細孔(細孔幅=5~50nm)にさらに分割できる。
【0061】
特定の実施形態において、本明細書に記載の成形吸着体材料は、その間のすべての値を含めて、約80%または約90%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比を有する。特定の実施形態では、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比は、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%であり、その間にあるすべての値を含む。特定の実施形態において、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比は、80~85%、80~90%、80~95%、80~99%、82~85%、82~90%、82~95%、82~99%、85~90%、85~95%、85~99%、90~95%、または90~99%、ならびに重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。
【0062】
特定の実施形態において、本明細書に記載される成形吸着体材料は、その間のすべての値を含めて、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超の、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比を有する。特定の実施形態では、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比は、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%である。特定の実施形態では、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比は、約50~99%、約50~95%、約50~90%、約50~85%、約50~80%、約50~75%、約50~70%、約50~65%、約50~60%、約50~55%、約55~99%、約55~95%、約55~90%、約55~85%、約55~80%、約55~75%、約55~70%、約55~65%、約55~60%、約60~99%、約60~95%、約60~90%、約60~85%、約60~80%、約60~75%、約60~70%、約60~65%、約65~99%、約65~95%、約65~90%、約65~85%、約65~80%、約65~75%、約65~70%、約70~99%、約70~95%、約70~90%、約70~85%、約70~80%、約70~75%、約75~99%、約75~95%、約75~90%、約75~85%、約75~80%、約80~99%、約80~95%、約80~90%、約80~85%、約85~99%、約85~95%、約85~90%、約90~99%、または約90~95%、ならびに重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書は、例えば約80%超、約90%超またはそれ以上の、本明細書に記載の0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比と、例えば、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超の、本明細書に記載の0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比と、例えば、約13g/dL超、もしくは14g/dL、もしくは15g/dL、もしくは16g/dL、もしくは17g/dL、もしくは18g/dL、もしくは19g/dL、もしくは20g/dL、もしくは21g/dL、もしくは22g/dL、もしくは23g/dL、もしくは24g/dL、もしくは25g/dL、もしくは25g/dL超、または約13g/dL~約40g/dL、もしくは約13g/dL~約30g/dL、もしくは約13g/dL~約20g/dL、およびその間のすべての値を含む、本明細書に記載のASTM BWCと、を含む、成形吸着体材料を提供する。
【0064】
特定の実施形態において、本明細書に記載の活性吸着体粉末は、活性炭前駆体を粉砕することにより得られ、活性炭前駆体は、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくず、ヤシ、野菜、合成高分子、天然高分子、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに由来する。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、活性炭前駆体は、本明細書に記載のブタン活性(pBACT)を有する。
【0065】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、活性炭、炭素チャコール、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリアおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む。
【0066】
態様または実施形態のいずれにおいても、吸着体材料は、例えば、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの有機結合剤またはベントナイト粘土などの無機結合剤で結合された高活性(すなわち、高い作業能力)活性炭粉末を含む。特定の実施形態では、結合剤は、粘土またはケイ酸塩材料の少なくとも一方を含む。例えば、特定の実施形態において、結合剤は、ゼオライト粘土、ベントナイト粘土、モンモリロナイト粘土、イライト粘土、フレンチグリーン粘土、パスカライト粘土、レドモンド粘土、テラミン粘土、生きている粘土、フラー土粘土、オーマライト粘土、バイタライト粘土、レクトライト粘土、コージェライト、ボール粘土、カオリンまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである。
【0067】
追加の潜在的な結合剤には、熱硬化性結合剤およびホットメルト結合剤が含まれる。熱硬化性結合剤は、周囲温度で液体または固体である熱硬化性樹脂、特に尿素ホルムアルデヒド、メラミン-尿素-ホルムアルデヒドまたはフェノール-ホルムアルデヒド型の熱硬化性樹脂に基づく組成物であり、メラミン-尿素-ホルムアルデヒド型の樹脂が好ましいだけでなく、ラテックスフォーム中の熱硬化性(コ)ポリマーのエマルジョンも好ましい。架橋剤を混合物に組み込むことができる。架橋剤の例として、塩化アンモニウムを挙げることができる。ホットメルト結合剤は一般に周囲温度で固体であり、ホットメルト型の樹脂に基づいている。結合剤として、ピッチ、タールまたは他の既知の結合剤を使用してもよい。
【0068】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、結合剤は、水溶性結合剤(例えば、極性結合剤)を含むことができ、セルロース系結合剤および関連エステルを含むがこれらに限定されず、メチルおよびエチルセルロースおよびそれらの誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース、芳香族スルホン酸塩の結晶塩、ポリフルフリルアルコール、ポリエステル、ポリエポキシドまたはポリウレタンポリマーなどを含む。
【0069】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、結合剤は、粘土、フェノール樹脂、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)など、フルオロポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアミド(例えばナイロン-6,6’もしくはナイロン-6)、高性能プラスチック(例えばポリフェニレンスルフィド)、ポリケトン、ポリスルホン、および液晶ポリマー、フルオロポリマーとのコポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレン
プロピレン、もしくはペルフルオロアルコキシアルカン)、ポリアミドとのコポリマー(例えば、ナイロン-6,6’またはナイロン-6)、ポリイミドとのコポリマー、高性能プラスチック(ポリフェニレンスルフィドなど)とのコポリマーまたはその組み合わせなどの非水性結合剤を含むことができる。
【0070】
特定の実施形態では、本明細書に記載の成形吸着体材料は、粉砕前駆体活性炭材料の結合剤架橋から作製され、粉砕活性炭材料は粉末の形状である。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載の成形吸着体材料は、粉末活性炭材料を取り、米国特許第6,472,343号の架橋結合剤技術を適用することにより作製される。
【0071】
本発明のポリマー結合剤技術により、さまざまな種類の成形炭素体が実証された。これらには、顆粒、円筒形ペレット、球体、シート、リボン、三葉、およびハニカムが含まれるが、これらに限定されない。原則として、炭素体の任意の所望の形状は、適切な成形デバイスで成形することができる。そのため、モノリス、ブロック、その他のモジュール形式などの成形も想定されている。この結合剤技術は、木材、石炭、ココナッツ、ナッツ殻、酸、アルカリ、または熱活性化によって調製されたオリーブ核(pit)などの異なる前駆体材料から製作されたものを含む、実質的にすべての種類の活性炭に適用できる。
【0072】
あるいは、無機結合剤を使用してもよい。無機結合剤は、粘土またはケイ酸塩材料であり得る。例えば、低保持力粒子吸着体の結合剤は、ゼオライト粘土、ベントナイト粘土、モンモリロナイト粘土、イライト粘土、フレンチグリーン粘土、パスカライト粘土、レドモンド粘土、テラミン粘土、生きている粘土、フラー土粘土、オーマライト粘土、バイタライト粘土、レクトライト粘土、コージェライト、ボール粘土、カオリンまたはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0073】
粉末活性炭材料と組み合わせて使用するための本明細書に記載の結合剤は、さまざまな混合、成形、および熱処理機器で機能し得る。低せん断ミュラー、中せん断パドルミキサー、および高せん断ピンミキサーなどのさまざまな混合デバイスが、その後の成形に適した材料を作製することが実証されている。用途に応じて、オーガー押出機、ラム押出機、造粒機、ローラーペレタイザー、スフェロナイザー、および打錠機などの成形デバイスが適している。湿った炭素体の乾燥および硬化は、対流トレイオーブン、振動流動層乾燥機、およびロータリーキルンなどのさまざまな異なるデバイスを使用して、270℃未満の温度で実行することができる。対照的に、粘土結合およびフェノール樹脂結合炭素の熱処理には、通常、ロータリーキルンを使用して、約500~1000℃の高温を使用できる。
【0074】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、吸着体材料の形状は、顆粒、ペレット、球体、ペレット化円筒、均一な成形の粒状媒体、不均一な成形の粒状媒体、押し出し形状の構造化媒体、流し込み形状の構造化媒体、中空シリンダー、星形、ねじれらせん、アスタリスク、形成リボン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0075】
特定の追加の実施形態では、吸着体材料は、後続の吸着体容積を通るおよそ均一な空気または蒸気流れ分布を可能にするまたは促進する、およそ均一なセルまたは幾何学的構造、例えばハニカム構造のマトリックスを含む構造に形成される。さらなる実施形態では、吸着体材料は、前述のいずれかの組み合わせを含む構造に形成される。
【0076】
吸着体材料は、上記の特徴のうちの任意の1つ以上を含むことができ、本説明に従って任意の数の方法で組み合わせることができ、本明細書で明示的に企図される。
【0077】
別の態様では、本説明は、成形吸着体材料の製造方法、および/または、(a)活性吸
着体前駆体(例えば、活性炭などの本明細書に記載の活性炭前駆体)を提供することと、(b)活性吸着体前駆体を粉末に粉砕することであって、粉末が、少なくとも約50g/100gのpBACTを有する、粉砕することと、(c)粉末を結合剤材料と混合することと、(d)粉末と結合剤材料との混合物を形状に成形することであって、成形吸着体材料が、本明細書に記載のASTM BWC、例えば少なくとも13g/dLを有する、成形することと、を含むステップに従って作製された成形吸着体材料を提供する。特定の実施形態では、成形吸着体材料は、(i)本明細書に記載の、例えば、約80%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比、(ii)本明細書に記載の、例えば、約50%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比、または(iii)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つをさらに有する。特定の実施形態では、成形工程は押出により実施される。
【0078】
特定の追加の実施形態では、この方法は、(e)成形吸着体材料を乾燥、硬化または焼成するステップを含む。特定の実施形態において、乾燥、硬化または焼成ステップは、約30分から約20時間にわたって実施される。特定の実施形態では、乾燥、硬化または焼成ステップは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、または約20時間で実施され、その間のすべての値を含む。特定の実施形態において、乾燥、硬化または焼成ステップは、約100℃から約650℃の範囲の温度で実施される。特定の実施形態では、乾燥、硬化、または焼成ステップは、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、約500℃、約550℃、約600℃、約650℃、約700℃、または約750℃、または約800℃、または約850℃、または約900℃、または約950℃、または約1000℃、または約1050℃、または約1100℃の温度で実施される。
【0079】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、活性吸着体粉末、例えば活性炭粉末は、75重量%~約99重量%、または約80重量%~約99重量%の量で含まれ、重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、活性吸着体粉末、例えば活性炭粉末は、約75重量%、約76重量%、約77重量%、約78重量%、約79重量%、約80重量%、約81重量%、約82重量%、約83重量%、約84重量%、約85重量%、約86重量%、約87重量%、約88重量%、約89重量%、約90重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、または約99重量%の量で含まれ、その間のすべての値を含む。
【0080】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、結合剤、例えばセルロースまたは粘土結合剤は、約0.05重量%~約25重量%~約1重量%の量で含まれる。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、結合剤、例えば粘土結合剤は、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、または約25重量%の量で含まれ、その間のすべての値を含む。
【0081】
特定の実施形態では、結合剤の量は、約8重量%未満、例えば約0.05重量%~約8重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.5重量%~約8重量%、約1.0重量%~約8重量%、約1.5重量%~約8重量%、約2.0重量%~約8重量%、約2.5重量%~約8重量%、約3.0重量%~約8重量%、約3.5重量%~約8重量%、または約
4.0重量%~約8重量%であり、その間のすべての値を含む。特定の実施形態では、結合剤はCMCであり、約8重量%未満、例えば約0.05重量%~約8重量%、約0.1重量%~約8重量%、約0.5重量%の量%~約8重量%、約1.0重量%~約8重量%、約1.5重量%~約8重量%、約2.0重量%~約8重量%、約2.5重量%~約8重量%、約3.0重量%~約8重量%、約3.5重量%~約8重量%、または約4.0重量%~約8重量%で存在し、その間のすべての値を含む。請求された量の結合剤で、得られた成形吸着体は、驚くほどかつ予想外に有利なBWCと比較的低いDBLを提供することが観察された。
【0082】
特定の実施形態では、結合剤の量は、約10重量%~約35重量%、例えば約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%であり、その間のすべての値を含む。特定の実施形態では、結合剤はベントナイト粘土であり、約10重量%~約35重量%、例えば約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%の量で存在し、その間のすべての値を含む。請求された量の結合剤で、得られた成形吸着体は、驚くほどかつ予想外に有利なBWCと比較的低いDBLを提供することが観察された。
【0083】
特定の実施形態では、成形吸着体材料は、約80%超、約90%超またはそれ以上の、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比を有する。さらなる実施形態において、成形吸着体は、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超の、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比を有する。追加の実施形態では、成形吸着体は、約13g/dL超、もしくは14g/dL、もしくは15g/dL、もしくは16g/dL、もしくは17g/dL、もしくは18g/dL、もしくは19g/dL、もしくは20g/dL、もしくは21g/dL、もしくは22g/dL、もしくは23g/dL、もしくは24g/dL、もしくは25g/dL、もしくは25g/dL超、または約13g/dL~約40g/dL、約13g/dL~約30g/dL、もしくは約13g/dL~約20g/dL、かつ、重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含むASTM BWCを有する。特定の実施形態では、活性吸着体前駆体は、活性炭前駆体である。特定の実施形態では、結合剤材料は本明細書に記載されている通りである。別の実施形態において、成形吸着体は、本明細書に記載される任意の形状である。
【0084】
特定の実施形態において、本明細書に記載の成形吸着体材料が、本明細書に記載の寸法を有する2.1リットルの試験キャニスタ(すなわち、「定義済みキャニスタ」)の充填物である場合、定義済みキャニスタは、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315リットル(すなわち、150BV)のパージで、約100mg以下、約90mg以下、約80mg以下、約70mg以下、約60mg以下、約50mg以下、約40mg以下、約30mg以下、約20mg以下、または約10mg以下の2日間のDBLブリードエミッション性能(2日目の終日保管時排出(DBL)エミッション)を実証する。特定の実施形態において、本明細書に記載の成形吸着体材料が定義済みキャニスタの充填物である場合、定義済みキャニスタは、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315リットル(すなわち、150BV)のパージで、約10mg~約100mg、約10mg~約90mg、約10mg~約80mg、約10mg~約70mg、約10mg~約60mg、約10mg~約50mg、約10mg~約40mg、約10mg~約30mg、約10mg~約20mg、約15mg~約100mg、約15mg~約90mg、約15mg~約80mg、約15mg~約70mg、約15mg~約60mg、約15mg~約50mg、約15mg~約40mg、約15mg~約30mg、約15mg~約20mg、約20mg~約100mg、約20mg~約90mg、約20mg~約80mg、約20m
g~約70mg、約20mg~約60mg、約20mg~約50mg、約20mg~約40mg、約20mg~約30mg、約30mg~約100mg、約30mg~約90mg、約30mg~約80mg、約30mg~約70mg、約30mg~約60mg、約30mg~約50mg、約30mg~約40mg、約40mg~約100mg、約40mg~約90mg、約40mg~約80mg、約40mg~約70mg、約40mg~約60mg、約40mg~約50mg、約50mg~約100mg、約50mg~約90mg、約50mg~約80mg、約50mg~約70mg、約50mg~約60mg、約60mg~約100mg、約60mg~約90mg、約60mg~約80mg、約60mg~約70mg、約70mg~約100mg、約70mg~約90mg、約70mg~約80mg、約80mg~約100mg、約80mg~約90mg、または約90mg~約100mgの2日間のDBLブリードエミッション性能を実証し、重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。
【0085】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている2.1リットルのキャニスタ(すなわち、「定義済みキャニスタ」)の容積が充填されるときに試験される成形吸着剤は、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)で決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリューム(BV)のパージで、100mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッション、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで90mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで80mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで70mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで60mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで50mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで40mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで30mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで20mg以下のDBL、を有し、その間にあるすべての値を含む。
【0086】
特定の追加の実施形態では、本明細書に記載の2.1リットルキャニスタの容積充填として試験される本明細書に記載の成形吸着体を含むキャニスタ(すなわち、「定義済みキャニスタ」)は、前駆体活性吸着体材料と比較して約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上低減された、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315Lまたは150BVの2日間のDBLを有する。
【0087】
特定の追加の実施形態では、本明細書に記載の2.1リットルキャニスタの容積充填として試験される本明細書に記載の成形吸着体を含むキャニスタ(すなわち、「定義済みキャニスタ」)は、前駆体活性吸着体材料と比較して約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約7
5%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、または約50%~約55%またはそれ以上低減された、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315Lまたは150BVの2日間のDBLを有し、重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。
【0088】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の成形吸着体容積を含む少なくとも1つの吸着体容積を含む蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。特定の実施形態では、成形吸着体容積は、結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより得られた活性吸着体粉末との混合物を含み、混合物が、形状に成形され、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを有する。特定の実施形態において、活性吸着体粉末は、少なくとも約50g/100gのブタン活性(pBACT)を有する。特定の実施形態では、成形吸着体材料は、(i)約80%より大きい0.05~1ミクロン対0.05~100ミクロンの細孔容積の比、(ii)約50%より大きい0.05~0.5ミクロン対0.05~100ミクロンの細孔容積の比、または(iii)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを有する。
【0089】
特定の態様では、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、少なくとも1つの燃料側吸着体容積と少なくとも1つの後続(すなわち、通気孔側)吸着体容積とを含み、少なくとも1つの燃料側吸着体容積または少なくとも1つの後続の吸着体容積のうちのの少なくとも1つは、本明細書に記載の成形吸着体材料を含む。
【0090】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)により決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315リットル以下のパージで、100mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0091】
特定の実施形態において、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法により決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される約315リットル以下、約310リットル以下、約300リットル以下、約290リットル以下、約280リットル以下、約270リットル以下、約260リットル以下、約250リットル以下、約240リットル以下、約230リットル以下、約220リットル以下、約210リットル以下、約200リットル以下、約190リットル以下、約180リットル以下、約170リットル以下、約160リットル以下、約150リットル以下、約140リットル以下、約130リットル以下、約120リットル以下、約110リットル以下、約100リットル以下、約90リットル以下、または約80リットル以下のパージで、約100mg以下、約95mg以下、約90mg以下、約85mg以下、約80mg以下、約75mg以下、約70mg以下、約65mg以下、約60mg以下、約55mg以下、約50mg以下、約45mg以下、約40mg以下、約35mg以下、約30mg以下、約25mg以下、約20mg以下、約15mg以下また
は約10mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。特定の実施形態では、2012BETPにより決定される上記の2日間のDBLエミッションを提供するパージ量は、約50リットル~約315リットル、約75リットル~約315リットル、約100リットル~約315リットル、約125リットル~約315リットル、約150リットル~約315リットル、約175リットル~約315リットル、約200リットル~約315リットル、約210リットル~約315リットル、約220リットル~約315リットル、約230リットル~約315リットル、約240リットル~約315リットル、または約250リットル~約315リットルであり、重複するすべての範囲、含まれる範囲、およびその間の値を含む。
【0092】
特定の実施形態において、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法により決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される約150BV以下、約145BV以下、約140BV以下、約135BV以下、約130BV以下、約125BV以下、約120BV以下、約115BV以下、約110BV以下、約105BV以下、約100BV以下、約95BV以下、約90BV以下、約85BV以下、約80BV以下、約75BV以下、約70BV以下、約65BV以下、約60BV以下、約55BV以下、約50BV以下、約45BV以下、または約40BV以下のパージで、約100mg以下、約95mg以下、約90mg以下、約85mg以下、約80mg以下、約75mg以下、約70mg以下、約65mg以下、約60mg以下、約55mg以下、約50mg以下、約45mg以下、約40mg以下、約35mg以下、約30mg以下、約25mg以下、約20mg以下、約15mg以下または約10mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0093】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、本明細書で定義される中国6試験方法により試験される場合、100mg未満の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0094】
「燃料側吸着体容積」という用語は、燃料蒸気源に近い吸着体材料の容積に関して使用されるため、後続の吸着体容積に対して燃料蒸気流路の早い段階で、必然的にベントポート(ここでは「通気孔側吸着体容積」)に近い位置に位置付けられる。当業者が理解するように、パージサイクル中、通気孔側または後続の吸着体容積は、パージ空気流路内でより早く接触する。便宜上、燃料側吸着体は、通気孔側または後続の吸着体容積に対して燃料蒸気流路の上流に位置付けられるため、「初期の吸着体容積」と呼ばれ得るが、初期の吸着体容積は必ずしもキャニスタ内の第1の吸着体容積である必要ではない。
【0095】
図1は、単一のキャニスタ101内に直列の吸着体容積を有する蒸発エミッション制御キャニスタシステム100の一実施形態を示す。キャニスタシステム100は、支持スクリーン102と、分割壁103と、燃料タンクからの燃料蒸気入口104と、大気に対して開いているベントポート105と、エンジンへのパージ出口106と、燃料側または初期の吸着体容積201と、通気孔側または後続の吸着体容積202とを含む。エンジンが停止しているとき、燃料タンクからの燃料蒸気は、燃料蒸気入口104を通ってキャニスタシステム100に入る。燃料蒸気は、燃料側または初期の吸着体容積201の中へ拡散または流入し、次いで通気孔側または後続の吸着体容積202へと拡散して、空気および蒸気流れ経路を共に画定してから、キャニスタシステムのベントポート105を通って大気に放出される。一旦エンジンが作動すると、周囲空気が、ベントポート105を通ってキャニスタシステム100に引き込まれる。パージ空気は、キャニスタ101の容積202を通って流れ、最終的に燃料側または初期の吸着体容積201を通って流れる。このパージ流れは、パージ出口106から内燃エンジンに入る前に、吸着体容積201から202に吸着された燃料蒸気を脱着する。本明細書で記載される蒸発エミッション制御キャニスタシステムの任意の実施形態では、キャニスタシステムは、1つより多い通気孔側また
は後続の吸着体容積を含み得る。例えば、
図2に示されるように、通気孔側吸着体容積201は、支持スクリーン102の前に追加のまたは複数の通気孔側吸着体容積202を有してもよい。追加の通気孔側吸着体容積203および204は、分割壁の反対側に見られてもよい。
【0096】
なお、さらに追加の実施形態では、キャニスタシステムは、独立して選択され得る、かつ/または1つ以上の容器に含まれる、1つより多い種類の通気孔側吸着体容積を含むことができる。例えば、
図3に示されるように、通気孔側吸着体容積301を含む補助チャンバ300は、複数の吸着体容積を含むメインキャニスタ101と、空気および蒸気の流れに関して直列であってもよい。
図4に示されるように、補助チャンバ300は、直列の2つの通気孔側吸着体容積301および302を含むことができる。吸着体容積301および302は、
図4の単一のチャンバ300ではなく、直列のチャンバまたは補助キャニスタ内に含まれてもよい。
【0097】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、蒸発エミッション制御システムは、電気抵抗または熱伝導により熱を加える加熱ユニットまたは手段をさらに含んでもよい。
【0098】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、燃料蒸気流路の終わりで、または近くで、均一なセル構造を有する1つ以上の通気孔側吸着体容積を含む。
【0099】
特定の実施形態では、少なくとも1つの燃料側または初期の吸着体容積および少なくとも1つの通気孔側または後続の吸着体容積(または、複数の容積)は、蒸気的にまたは気体的に連通しており、それを通して空気および蒸気流経路を画定する。空気および蒸気流経路は、キャニスタシステムにおけるそれぞれの吸着体容積間での、方向性のある空気または蒸気の流れまたは拡散を可能にするまたは促進する。例えば、空気および蒸気流経路は、少なくとも1つの通気孔側または後続の吸着体容積(または複数の容積)への少なくとも1つの燃料側または初期の吸着体容積からの燃料蒸気の流れまたは拡散を促進する。
【0100】
本明細書で記載される任意の実施形態では、少なくとも1つの燃料側または初期の吸着体容積および少なくとも1つの通気孔側または後続の吸着体容積は、単一のキャニスタ、個別のキャニスタ、または両方の組み合わせ内に配置され得る。例えば、特定の実施形態では、システムは、燃料側または初期の吸着体容積および1つ以上の通気孔側または後続の吸着体容積を含むキャニスタを含み、通気孔側または後続の吸着体容積は、それらが、蒸気的にまたは気体的に連通して蒸気流経路を形成し、空気および/または蒸気がそれを通して流れるまたは拡散できるように、燃料側の初期の吸着体容積へ接続される。特定の態様では、キャニスタは、空気または燃料蒸気によって吸着体容積の逐次的接触を可能にする。
【0101】
追加の実施形態では、システムは、初期の吸着体容積と、少なくとも1つの追加の後続の吸着体容積を含む1つ以上の個別のキャニスタに接続される1つ以上の後続の吸着体容積と、を含むキャニスタを含み、後続の吸着体容積は、それらが、蒸気的にまたは気体的に連通して蒸気流経路を形成し、空気および/または燃料蒸気がそれを通して流れるまたは拡散できるように、初期の吸着体容積へ接続される。
【0102】
特定の実施形態では、システムは、燃料側または初期の吸着体容積と、少なくとも1つの追加の後続の吸着体容積を含む1つ以上の個別のキャニスタに接続される1つ以上の通気孔側または後続の吸着体容積と、を含むキャニスタを含み、1つ以上の通気孔側吸着体容積および少なくとも1つの追加の後続の吸着体容積は、それらが、蒸気的にまたは気体的に連通して蒸気流経路を形成し、空気および/または燃料蒸気がそれを通して流れるま
たは拡散できるように、初期の吸着体容積へ接続され、システム内の吸着体容積のうちの少なくとも1つは、13g/dLを超えるASTM BWCを有する本明細書に記載の成形吸着体材料であり、成形吸着体材料は、本明細書に記載の例えば約80%より大きい0.05~1ミクロン対0.05~100ミクロンの細孔容積の比を有し、キャニスタシステムは、BETPにより試験される場合、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)で決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで、20mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッション、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで90mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで80mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで70mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで60mg以下のDBL、または、2012BETPにより決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150ベッドボリュームのパージで50mg以下のDBLを有し、その間にあるすべての値を含む。
【0103】
特定の実施形態では、システムは、燃料側または初期の吸着体容積と、少なくとも1つの追加の後続の吸着体容積を含む1つ以上の個別のキャニスタに接続される1つ以上の通気孔側または後続の吸着体容積と、を含むキャニスタを含み、1つ以上の通気孔側吸着体容積および少なくとも1つの追加の後続の吸着体容積は、それらが、蒸気的にまたは気体的に連通して蒸気流経路を形成し、空気および/または燃料蒸気がそれを通して流れるまたは拡散できるように、燃料側の初期の吸着体容積へ接続され、システム内の吸着体容積のうちの少なくとも1つは、13g/dLを超えるASTM BWCを有する本明細書に記載の成形吸着体であり、成形吸着体材料は、本明細書に記載の例えば約80%より大きい0.05~1ミクロン対0.05~100ミクロンの細孔容積の比を有し、キャニスタシステムは、本明細書に記載されている中国6試験方法に従って試験される場合、高温浸漬、高温パージ、および20℃浸漬の連続試験準備の後、100mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッション、または、高温浸漬、高温パージ、および20℃浸漬の連続試験準備の後、85mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッション、または、高温浸漬、高温パージ、および20℃浸漬の連続試験準備の後、70mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッション、または、高温浸漬、高温パージ、および20℃浸漬の連続試験準備の後、55mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッション、または、高温浸漬、高温パージ、および20℃浸漬の連続試験準備の後、40mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有し、その間にあるすべての値を含む。
【0104】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、燃料側または初期の吸着体容積は第1および/または第2の吸着体容積であるため、通気孔側または後続の吸着体容積は、同じキャニスタまたは別のキャニスタ、あるいはその両方であっても、ベントポートに向かう流体流路の下流の容積である。
【0105】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、(i)蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、1グラムのn-ブタン/L~35グラムのn-ブタン/L未満の25℃での増分吸着容量、(ii)3g/dL未満の有効BWC、(iii)6グラム未満のg-合計BWC、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの通気孔側吸着体容積を含む。特定の実施形態では、キャニスタは、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、約35、約34、約33、約32、約31、約30、約29、約28、約37
、約36、約35、約34、約23、約22、約21、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1g/Lの25℃での増分吸着容量を有する少なくとも1つの通気孔気側吸着体容積を含む。
【0106】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、1リットルあたり約35グラム超のn-ブタン(g/L)~約90g/L、または、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、1リットルあたり約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90またはそれ以上のグラムのn-ブタン(g/L)の25℃での増分吸着容量を有する少なくとも1つの燃料側吸着体容積を含む。本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、1リットルあたり約35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90またはそれ以上のグラムのn-ブタン(g/L)から約90g/Lまでの25℃での増分吸着容量を有する少なくとも1つの燃料側吸着体容積を含む。
【0107】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、1リットルあたり約35グラム未満のn-ブタン(g/L)、または、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、1リットルあたり約34、約33、約32、約31、約30、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1グラムのn-ブタン(g/L)の25℃での増分吸着容量を有する少なくとも1つの通気孔側吸着体容積を含む。
【実施例】
【0108】
表1には、比較市販例1から8の説明と特性がある。成形活性化による活性炭吸着体の市販例としては、CNR115(Cabot Corporation、ボストン、マサチューセッツ州)、KMAZ2およびKMAZ3(Fujian Xinsen Carbon、福建省、中国)、3GX(クラレケミカル株式会社、備前市、日本)、ならびに、NUCHAR(登録商標)BAX1100LD、BAX1500、BAX1500E、BAX1700(Ingevity Corporation、North Charleston、サウスカロライナ州)が挙げられる。これらの吸着体はすべて、直径約2~2.5mmの円筒形ペレットの形状をしている。表2に、本発明の粉砕結合例の説明と特性を示す。
【0109】
実施例9および10は、リン酸活性化おがくず(Ingevity CorporationによるNUCHAR(登録商標)FP-1100)から製作された炭素粉末から調製した。この炭素粉末は、粉末ブタン活性は42.6g/100g、ならびに、Malvern PanalyticalモデルMastersizer 2000レーザ粒子サイズアナライザで測定した場合、39.1ミクロンの平均粒子径、7.5ミクロンのd10%、34.7ミクロンのd50%、および77.6ミクロンのd90%を有していた。CMC結合例9の炭素ペレットの調製では、乾燥成分の配合は95.3重量%の炭素粉末および4.7重量%CMCであった。押出の調製でドライミックスを混合および調整するために、SimpsonモデルLGミックスミュラー(Simpson Technologies Corporation、オーロラ、イリノイ州)で、せん断混合/混練を35~50分間行い、押出に必要な可塑性を得るために、水のアリコートを追加した。直径2.18mmの穴とカッターブレードを備えたダイプレートを備えたオーガー押出機(
The Bonnot Company、Akron、オハイオ州)を使用して、ペレットに成形した。得られたペレットをバッチ回転式パンペレタイザーで4分間タンブリングし、110℃のトレイオーブンで約16時間静的ベッドとして乾燥させ、その後、150℃で3時間、再循環空気中で静的ベッドとして硬化した。実施例10の調製では、以下の相違点を除いて、実施例9と同じプロセスを使用した。1)CMC結合剤の代わりに、ベントナイト粘土結合剤(Bentonite Performance Minerals LLCのNATIONAL(登録商標)STANDARD SPCL GRINDグレード)を81重量%の炭素と19%粘土の乾燥成分配合で使用し、2)硬化の代わりに、得られた乾燥物ペレットは、垂直石英管炉内の流動層内で窒素気流中、650℃で30分間焼成した。
【0110】
実施例12は、実施例9と同様に調製した。ただし、おがくずベースのリン酸活性炭粉末成分(INGEVITY CORPORATION)の粉末ブタン活性がより高い56.2g/100gであることを除き、かつ、40.0ミクロンの平均粒子径、4.4ミクロンのd10%、31.0ミクロンのd50%、および88.0ミクロンのd90%の粒子サイズ特性を除く。
【0111】
実施例11、13、14、および16は、以下のプロセスによりCMC結合剤で調製した。活性炭粉末成分は、さまざまなブタン活性特性のリン酸活性化おがくず(INGEVITY CORPORATION)であった。炭素粉末のブタン活性は、それぞれ例11、13、14、16で59.4、61.4、59.8、64.9g/100gであった。粉末は、約40ミクロンの平均粒子径、約10ミクロンのd10%、約40ミクロンのd50%、および約80ミクロンのd90%を有するものであった。ペレットの調製では、炭素粉末とCMC結合剤粉末(95.3重量%炭素粉末および4.7重量%CMC)を約20~30分間プラウミキサーでブレンドし、押出に必要な可塑性を得るために水のアリコートを加えた。得られたブレンドは、2つの連続する単軸スクリュー押出機で処理し、第2の押出機は、直径2.18mmの穴を有するダイプレートとブレンドをペレットに成形するためのカッターブレードを備えている。得られたペレットを連続回転タンブラーで約4分間タンブリングし、乾燥させ、次に空気を再循環させながら移動ベッドで約130℃で約40分間硬化させた。
【0112】
実施例15は、実施例10と同じ粘土結合法により調製した。ただし、成分活性炭粉末が、0.065”Фの開口スクリーンを備えたハンマーミル(ニューヨーク州バッファローのBuffalo Hammer Mill Corp.のモデルWA-6-L SS)で実施例6ペレットを粉砕して粉末活性炭成分を調製することにより、比較例6ペレット(NUCHAR(登録商標)BAX1500)から製作されたことを除く。実施例15のペレットを製作するのに使用された得られた炭素粉末は、68.8g/100gの粉末ブタン活性、ならびに38.7ミクロンの平均粒子径、4.4ミクロンのd10%、28.2ミクロンのd50%、および88.9ミクロンのd90%の特性を有していた。
【0113】
実施例9~16はリン酸活性炭で調製されたが、本明細書に記載の効果および利点は、任意の炭素質原料(例えば、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくずなど)から製作された活性炭粉末成分を結合および成形することにより得られ、最終的に成形された吸着体の十分に高いASTM BWCを達成するのに十分高いブタン活性が炭素粉末にある限り、他の化学的または熱的活性化プロセスによって多孔性が生成された。当該技術分野で知られているように、吸着体中の凝縮n-ブタン相に寄与する<5nmサイズの細孔容積(すなわち、ASTM5228法によるブタン活性)内では、主に1.8~5nmの小さなメソ細孔サイズの細孔分布を有することが好ましい。
図18は、実施例9~16
における、活性炭粉末成分のブタン活性と、得られた最終結合ペレットのASTM BWCとの相関関係を示す。例えば、ブタン活性が50g/100gを超える活性炭粉末は、ASTM BWCが13g/dLを超えるペレットに必要であるという傾向が示されている。
【0114】
図5は、本明細書に記載の定義済みキャニスタシステムの容積充填として試験された(すなわち、2.1Lキャニスタシステム-
図1の容積201および202としてそれぞれ1.4Lおよび0.7Lの容積充填)、ASTM BWCのさまざまな特性(実施例1~8)のさまざまな市販炭素のBETP試験プロトコルによる2日目のDBLエミッションデータを示す。示されている関係は、DBLエミッションに対する作業能力の影響に関する最新技術であり、すなわち、BWCが12g/dL BWCを超えて14g/dL BWCを超えるとDBLエミッションが急激に増加する。これらの高いBWCの例には、NUCHAR(登録商標)BAX1500、BAX1500E、BAX1700(Ingevity Corporation)、3GX(クラレケミカル株式会社)、およびKMAZ3(Fujian Xinsen Carbon、福建省、中国)が挙げられ、すべて成形活性化法によって調製される。米国特許第RE38,844号(「US’844」)で説明されているように、吸着体の平衡吸着特性、具体的には、等温線の勾配および吸着体容積を直列に通した細長い蒸気流路を備えたキャニスタシステムの設計の避けられない結果として、
図1キャニスタシステムでのより高いBWC容積充填に対するより高いブリードエミッションが予想される。大量の脱着蒸気の結果として、パージ中にキャニスタシステムの通気孔側に向かう高作業能力の吸着体が、蒸気流路に沿ったキャニスタシステム内の下流のパージ流を汚染する動的なものであり、これにより、燃料蒸気源へのパージの濃度差駆動力が次第に妨げられる。脱着のための濃度駆動力が枯渇することにより、燃料源に向かってより大きな保持されたヒールを残し、キャニスタシステム全体にヒール分布状態が生成される。ヒールの分布は、昼間の浸漬中に大量の後続の蒸気拡散と通気孔側への蒸気汚染を引き起こし、昼間の呼吸イベント中に高レベルのエミッションを引き起こす。これは、既知の特徴的な高BWC吸着剤としての高DBLエミッションのジレンマであり、避けられない問題であるように思われるが、追加コスト、システムサイズ、および複雑な上記の手法によってのみ対処される。
【0115】
図5では、US‘844の開示に基づいて、同様の2.1Lキャニスタシステムの16.0g/dL BWCペレット充填物を含む実施例が試験された(●)。これらの実施例では、0.3Lの通気孔側容積の高BWC吸着体は、より低いASTM BWC特性の吸着体に置き換えられる(例えば、
図4では、容積201および202は、16.0g/dL BWC炭素ペレットの1.5Lの単一容積であり、容積203は0.3L容積の16.0g/dL BWC炭素ペレットであり、0.3Lの通気孔側容積204には、16.0g/dL BWC炭素ペレットが5.0、5.7、または11.9g/dL BWC吸着体ペレットに代わりに置き換えられる)。引用されたx軸のBWC値は、204の通気孔側容積ペレットのASTM BWCに対応している。4.0g/dL BWCのUS‘844の活性炭ハニカムの実施例も示されており(■)、これは
図3と同様のシステムであり、容積201から204の16.0g/dL BWCペレットを含む2.1Lデュアルチャンバキャニスタと、吸着体充填物301として補助キャニスタ300に含まれる炭素ハニカムとで構成されている。US‘844のこのデータセットは、
図5の市販製品の同じデータトレンドに従う。したがって、
図5の結果、高BWC吸着剤の過半数を含むUS’844のキャニスタシステムは、メイン2.1Lキャニスタシステムの高作業能力吸着体の一部を代替グレードの代替吸着体で置き換えることの複雑さ、または追加の吸着体を含む追加の補助チャンバの設置にもかかわらず、それ以外の場合は、より低いBWC吸着体のみで充填されたシステムと同じDBLエミッションを有する。
【0116】
図5で重要であるのは、比較の粉砕結合2.1L容積充填例、比較の成形活性化2.1
L容積充填例、およびUS‘844粉砕結合通気孔側の交換例、11~12g/dL BWC範囲のすべてが、2日目のDBLエミッションに対する調製方法の影響を示さず、すべて約70~90mgの範囲内にあることである。そのため、特定のメインキャニスタ設計のトレードオフは、その作業能力のレベルに依存する単一タイプの吸着体充填物のDBLエミッションレベル、または連続するチャンバ内もしくは直列に追加されたチャンバ内の複数のタイプの吸着体による吸着体充填物の複雑さとなる。
【0117】
図5の比較例1~8とは対照的に、BETP試験プロトコルにより、ASTM BWC特性である13.7~14.7g/dLに対して予想されるよりも大幅に低いDBLエミッションで、実施例11~16が調製された(
図6を参照)。実施例のDBLエミッションは、予想される量の一部であり、例えば、比較的高いBWCでの市販例の150~229mgと比較して、50~80mgである。この傾向は、その作業能力に対して予想されるDBLエミッションの半分未満で(約130mgに対し60mg)、本発明の吸着体の13g/dL ASTM BWCを有する。
【0118】
重要な2つの強調された実施例は、6および15である。実施例15は、比較例6から、BAX1500ペレットを粉砕し、活性炭粉末をベントナイト粘土および水と組み合わせ、成形し、乾燥し、最後に、無酸素雰囲気で焼成するステップにより調製した。得られた実施例15の2mmペレットは、14.6g/dLのBWCを有するが、2日目のDBLエミッションは、実施例1の11.2g/dLのBWCペレットよりもわずかに低い。
【0119】
13+g/dL ASTM BWCを使用した実施例11~16の一般的な特徴の1つは、活性炭粉末を有機または無機の結合剤と組み合せ、本明細書に記載の成形吸着体材料を形成する「粉砕結合」処理によって調製されることである。理論に拘束されるものではないが、13g/dLを超えるこれらの高ASTM BWC特性における予想外の非常に有用なDBLエミッション性能の利点の潜在的な原因として、吸着体の内部全体への吸着孔の均一な分布の存在、および蒸気輸送のための粉末粒子間の細孔の均一な内部ネットワークの存在が挙げられる。作業能力を最大化し、単位操作の回数を最小化するための、従来のすべての高作業能力製品(例えば、13+g/dL ASTM BWC)は、炭素質または炭素含有成分をペレットに成形し、次に活性化して吸着多孔を形成することを含むプロセスを経て製作される。提示されているように、本明細書では、高BWC粉砕結合吸着体は、DBLエミッションが緩やかであるという驚くべき利点のために、最終的な作業能力の潜在的なトレードオフにもかかわらず、追加の処理ステップを克服する、キャニスタシステム設計の最終用途の多数の利点を有する。既に活性化された硬質粉末粒子を結合した結果、粉砕結合13+g/dL ASTM BWC吸着体は、0.05から100ミクロンのマクロ細孔サイズ範囲で、顕著に狭く小さな細孔サイズまたは容積分布を有し、従来の高BWC成形活性化吸着体に見られるように、より広い分布と比較して、小サイズと大サイズのマクロ細孔間でバランスが取れている。
【0120】
本明細書に記載の成形吸着体材料の高い作業能力と低いDBLエミッションの組み合わせの驚くべき結果は、従来の成形活性化の熱または化学活性化プロセスによって排他的に製作された13g/dLを超えるASTM BWCの従来の高作業能力吸着体が、サイズが0.05~0.5ミクロンの小さなマクロ細孔とサイズが0.5~100ミクロンの大きなマクロ細孔との間でバランスが取れている0.05~100ミクロンの総マクロ細孔サイズ範囲の細孔容積を有するため、特に予想外なものである。このような細孔サイズ分布は、より高いガソリン蒸気作業能力用に設計された蒸発エミッション制御吸着体の脱着およびブリードエミッション性能にとって非常に重要であることが教示されている。例えば、5~50%n-ブタン間の増分吸着容量が35g/Lを超える場合、これは約8g/dLを超えるASTM BWCと相関する。US9,322,368を参照されたい。0.05~0.5ミクロンサイズの細孔内の全マクロ細孔容積の約90%を有する好ましく
ない比較例とは対照的に、0.05~0.5ミクロンサイズの細孔内の全マクロ細孔容積の約50%を提供する実施例を有する。
【0121】
ペレットが粉砕結合法(比較例1)または成形活性化(比較例2および3)法で調製される11~12g/dL ASTM BWC範囲の市販の吸着体の場合、マクロ細孔サイズ分布は大きく異なり、細孔容積が1ミクロン未満90%超~1ミクロン未満10%未満まで(
図7を参照)、13+g/dLの高BWC吸着体のDBLエミッションにおける大きな潜在的利益を示すものはほとんどない。この11~12g/dL BWCの範囲の近くで、CMCまたは粘土結合剤と同じ粉末活性炭を使用して製作された2つの実験用粉砕結合試料を調製した(実施例9および10)。
図8に示すように、0.05~0.5ミクロンの体積パーセントの関数として表されるマクロ細孔分布の違いにもかかわらず、DBLエミッション性能の違いは試料間でそれほど大きくない。0.05~1ミクロンの体積パーセントに対して、より良い相関関係が示されている(
図8)。US9,322,368(「US‘368」)から予想されるように、比較市販例のマクロ細孔分布は0.05~0.5ミクロンサイズの細孔で約50%に最適化されているため、DBLエミッションが改善される。ただし、2つの方法で製作された実施例の違いはわずか約40mgである。0.05~0.5ミクロンのサイズのマクロ細孔の細孔容積のほぼ90%の割合を持つ実施例9は、グループのDBLエミッションが最も低く、これは、その細孔サイズ分布が、以前に教示された回避すべき小さなサイズのマクロ細孔に偏っていることを考えると、驚くべきことである。
【0122】
対照的に、成形活性化プロセスによる調製を通じてすべての活性炭の構造を組み込むことにより作業能力を最大化した結果、
図10に示すように、13g/dLを超えるASTM BWCを備えた従来の市販の活性炭はすべて、マクロ細孔の広いサイズ分布を有する。これらの比較例4~8は、サイズが0.05~0.5ミクロンの細孔内の総マクロ細孔容積の約20~60%のみであり、サイズが約0.05~1ミクロンのわずか約40~70%のみである。これは、サイズが0.05~0.5ミクロンの細孔内の総マクロ細孔容積の約50%の米国特許第9,322,368号が教示する好ましいマクロ細孔サイズ分布と一致する。ASTM BWCが13g/dLを超え、DBLエミッションが大幅に低い独創的な粉砕結合実施例では、マクロ細孔分布が、小さなマクロ細孔に大きく偏っており、教示された目標から離れ、回避すべき小さなサイズ分布に向かっている(
図11)。これらの実施例11~16では、サイズが0.05から0.5ミクロンのマクロ細孔の合計の割合は58~92%(
図12)で、サイズが0.05から1ミクロンのマクロ細孔の合計の割合は90%以上である(
図13)。
図9の12.0~12.6g/dL ASTM BWCおよび比較例11~12g/dL ASTM BWCの実施例9および10と同様に、13+g/dL BWCでの比較例および粉砕結合例11~16は、ブリードエミッションとサイズが0.05~1ミクロンの細孔内の総マクロ細孔容積の割合との良好な相関関係を示しているが、その効果は、BWCの高い材料ほど驚くほど顕著である(
図13を参照)。例えば、比較例6は、マクロ細孔容積の約半分が0.05~1ミクロンの細孔内にあり、成形活性化プロセスによって形成されたこのペレットを、そのサイズ範囲にマクロ細孔の90%がある実施例15の粉砕結合ペレットに再構成することにより、ブリードエミッションが約100mg減少した。
【0123】
高BWCでの成形活性化と比較して、粉砕結合の予想外の低DBLエミッションの結果を理解するために、cc/gベースとcc/cc粒子ベースの両方で、ASTM BWC試験からのg/dLブタン保持力、および吸着孔サイズ範囲内の細孔容積に対する総マクロ細孔容積の比(すなわち、容積0.1~100ミクロンのサイズ対容積0.1ミクロン未満のサイズの比、US9,174,195または「US‘195」での「M/m」比、)のマクロ細孔の総容積についての綿密な研究を行った。この分析はさらに、DBLエミッションの低い結果が予想外であることを示した。例えば、
図14および15は、マクロ
細孔の総容積がDBLエミッション性能の予測因子ではないことを示す。低エミッションの13+g/dL BWC粉砕結合例11~16は、cc/g炭素ベースとcc/cc粒子ベースの両方で、13+g/dL ASTM BWCの高いDBLエミッションを持つが成形活性化プロセスによって製作される比較例4から8と同じ範囲の総マクロ細孔容積を有する。US’195では、0.1~100ミクロンのサイズの総マクロ細孔容積と0.1ミクロン未満のサイズの「ミクロ細孔」容積との比は、大気ポートの近くで使用される吸着体に対して65~150%の範囲内で最適化されると教示される。ただし、
図16に示すように、低DBLエミッションの粉砕結合例のM/m特性は、比較例のものと同じである。低DBLエミッションは、最適な65~150%M/mの範囲外で得られた。特に、
図16で強調されているように、低DBLエミッションの粉砕結合例15は、その前駆体炭素である比較例6と比較して、実際には最適なM/m範囲から遠く離れたものであった。さらに、大気ポートの近くで使用される吸着体の1.7g/dLの最大保持力目標がUS‘195に引用されている。しかしながら、
図17に示されるように、粉砕結合実施例9~16および比較例1~8は、約2~3g/dLの同様の範囲の保持力を有する。特に、
図17で強調されているように、低DBLエミッションの粉砕結合例15は、その前駆体炭素である比較例6と比較して、実際に保持力が高くなっている。
【0124】
当業者が理解するように、特に、パワートレインおよび空気/燃料混合物と流量管理(例えば、ハイブリッド、HEV、ターボ過給エンジン、ターボアシストエンジン、およびGDIエンジン)の前述の進歩によって課せられる課題に直面して、かつ、さらに厳しくなる燃料蒸気エミッション規制に直面したときに、蒸気回収のための高い作業能力を提供しながらエミッション要件を満たすために、より安価で、より小さく、より複雑でない手法の使用を可能にするためのより低いDBLエミッション性能特性と高い作業能力を提供することは、蒸発エミッション制御キャニスタの設計者にとって非常に有益である。例えば、一実施形態は、US9,732,649のように、キャニスタシステムを単純化することであり、ここで説明されている成形吸着体材料は、メインキャニスタタイプ#1の1800ccのBAX1500を置き換え(
図4の201、202、203の容積充填位置と同様)、複数の補助チャンバのDBLエミッションの課題の発生を減らし、それにより、そのような補助チャンバが少ないシステムの目標エミッション性能を提供する(例えば、
図4の吸着体301または302nの補助チャンバ300を排除する)。US9,732,649などの別の実施形態では、メインキャニスタの唯一の吸着体として2100ccの高作業能力の本発明の吸着体を使用することにより、メインキャニスタタイプ#1のメインキャニスタ充填物を代替的に単純化し、複数のタイプの吸着体でキャニスタを充填する生産の複雑さを排除し、その例示的なシステム(例えば、
図3の容積201~203ではなく、本発明の吸着体で充填された
図1の容積201と202を、従来の高作業能力の吸着体を低作業能力、低ブリードエミッションペレットを含む容積204と組み合わせたもので充填したもの)の通気孔側の300ccにおける、高コストで低作業能力のブリードエミッションペレットの費用を排除する。現在説明されている成形吸着体材料を含む特定のキャニスタシステムの実施形態では、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)で決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される210リットル未満、または100ベッドボリューム未満のパージで試験した場合、20mg未満の2日目のDBLエミッションの目標が満たされる。
【0125】
別の実施形態は、従来の13+g/dL BWCペレット(例えば、
図4の補助キャニスタ300の吸着体充填物301と同様)の代替として、US9,657,691で教示されるように、補助キャニスタに現在記載されている高い作業能力の成形吸着体材料ペレットを使用する。US9,657,691に示されているシステムでそのようにすることにより、より低い6~10g/dL BWC吸着体の後続の容積(例えば、
図4の容積302)を加熱する必要性を排除するか、後続の吸着体を完全に排除することができる。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
見掛け密度、BWC、および粉末ブタン活性の測定
標準方法ASTM D 2854(以下「標準方法」)は、燃料システムの蒸発エミッション制御のために一般的に用いられるサイズおよび成形の、粒状吸着体、ペレット化吸着体などの粒子吸着体の呼び容積の見掛け密度を求めるのに用いられ得る。
【0130】
標準方法ASTM D5228は、粒子吸着体、粒状吸着体および/またはペレット化
吸着体を含有している吸着体容積の呼び容積のブタン作業能力(BWC)を求めるのに用いられ得る。ブタン保持力は、体積ブタン活性(すなわち、g/cc見掛け密度にg/100gブタン活性を乗じたもの)とg/dL BWCとの差(g/dL単位)として計算される。
【0131】
押出用粉末活性炭成分の場合、粉末ブタン活性(「pBACT」)は、25℃、1.0atmのn-ブタンの流れに平衡にさらした後の0.50~1.00gの乾燥試料による重量ピックアップとして測定した。ASTM5228メソッドのブタン活性測定は、ガラスウールのプラグを使用して、試料管に粉末活性炭試料を保持するために使用した。吸着による試料によるn-ブタンの重量ピックアップを決定する際に、最初は気相でのホルダ内の空気密度と、気相での飽和後のn-ブタンの差から、総重量増加への寄与を説明するため、重量補正が適用される(総試料とブタン飽和ステップからの試料ホルダ重量増加から減算される)。気相ブタン置換重量補正は、理想気体の法則(PV=nRT)で行われ、最初に空気で充填された容積と飽和時のn-ブタンガスで充填された容積の重量差を計算する。圧力Pは1気圧、体積Vは、水の充填などの方法で個別に決定される試料ホルダの容積(cc)、温度Tは298K、Rは気体定数(82.06cc atm/K gmole)である。気相gmolesの数nの値は、(吸着体試料の最小容積を無視して)試料管について計算され、重量補正は、空気(28.8g/gmole)と重いn-ブタン(58.1g/gmole)の質量差である。
【0132】
BETP試験に基づく終日保管時排出(DBL)エミッションの決定
実施例の蒸発エミッション制御システムは、以下を含むプロトコルで試験した。
図5および6のデータを生成するために使用される定義済み2.1Lキャニスタ(本明細書およびクレームにおける「定義済みキャニスタ」)は、
図1に示すように、支持スクリーン102の上に約19.5cmの高さ(例えば「h」)を有する1.4Lの吸着体容積201、加えて、支持スクリーン102の上に約19.5cmの高さを有する0.7Lの吸着体容積202を有する。1.4Lの吸着体容積201は、分割壁103からキャニスタの側壁までの平均幅が9.0cm(例えば「w」)であり、0.7Lの吸着体容積202は、分割壁103からその側壁までの平均幅が4.5cmである。吸着体容積201および202の両方は、8.0cmの同様の深さ(
図1のページ内)を有する。
【0133】
各実施例の吸着体充填物は、保証されたTier3燃料(9RVP、10vol%のエタノール)と、22.7LPMにおける乾燥空気パージの300のメインキャニスタに基づく呼びベッドボリューム(例えば2.1Lのメインキャニスタについては630リットル)とを用いて、ガソリン蒸気吸着の反復サイクリングにより、均一にあらかじめ調整した(エージングした)ものである。(米国特許第RE38,844号の作業は、認定TF-1燃料を使用して実施した。)ガソリン蒸気の装填の割合は40g/hrであり、炭化水素組成は50vol%であり、2リットルのガソリンを約36℃まで加熱し、泡立てる空気を200mL/分で通すことによって生成されたものである。FID(火炎電離検出器)によって5000ppmのブレークスルーが検出されるまで、整除できる2リットルの燃料が、2時間毎に新規のガソリンと自動的に置換された。未使用のキャニスタに対して、最低25回のエージングサイクルを用いた。ガソリン作業能力(GWC)は、最後の2~3サイクルのパージ蒸気の平均重量損失として測定でき、キャニスタシステム内の吸着体容積1リットルあたりのグラムとして報告される。ブリードエミッション性能を測定するためにさらに進むと、GWCエージングサイクルの後に単一のブタン吸着/空気パージステップが続いた。このステップは、1気圧の空気中に50vol%の濃度のブタンを40g/時間で5000ppmのブレークスルーまで装填し、1時間にわたって浸漬し、次いで、乾燥空気で21分間パージしたものであり、合計のパージ容積は、その期間にわたって適切な一定の空気パージ流量を選択することによって達成した。次いで、キャニスタを、ポートを密閉して20℃で24時間浸漬させた。
【0134】
次に、この実施例のタンク口を、CARB LEV III燃料(7RVP、0%のエタノール)で充填された燃料タンクに取り付けることにより、DBLのエミッションが生成された。(米国特許第RE38,844号の作業は、CARBフェーズII燃料で実施した。)
作業能力が実際に活用されるサイズの燃料タンクのキャニスタシステムに適切に取り組むために(すなわち、より現実的な昼間の蒸気装填を提供し、それによって適切に同等のエミッションデータを生成することにより)、より小さなアレージを備えたより小さな燃料タンクが、<12.6g/dL ASTM BWCの実施例を含むキャニスタシステムに採用された。すなわち、13+g/dL ASTM BWCを備えたキャニスタシステムは、接続された大型タンクと大型アレージのために、すなわち、所定のASTM BWC充填のために、エミッション制御の昼間試験中に適切に大きな装填の課題があり、それ以外の場合では、過小タンクシステムが十分に機能しない。詳細には、<12.6g/dL ASTM BWCキャニスタシステムの実施例は、4ガロンの液体燃料(11.0ガロンのアレージ)で充填された15ガロンのタンクに接続された。13.7~16.1g/dL ASTM BWCキャニスタシステムの実施例は、7.2ガロンの液体燃料(12.8ガロンのアレージ)で充填された20ガロンのタンクに接続された。17.1g/dL ASTM BWCキャニスタシステムの実施例は、5.6ガロンの液体燃料(14.4ガロンのアレージ)で充填され、それにより、この非常に高いASTM BWCキャニスタの充填に必要な大きなアレージスペースを提供する20ガロンのタンクに接続されたが、既存の20ガロンサイズのタンクを伴う。
【0135】
充填された燃料タンクは、取り付ける前に、通気した状態で18.3℃で24時間にわたって安定化しておいた。次いで、タンクおよびキャニスタシステムを、CARBの2日間の温度プロファイルによる温度サイクルにかけ、毎日、11時間かけて18.3℃から40.6℃まで上昇させ、次いで13時間かけて18.3℃まで戻した。加熱ステージ中に、6時間および12時間において、実施例の通気部から、エミッション試料を、カイナーバッグ(Kynar bag)に収集した(米国特許第RE38,844号の作業では、5.5および11時間で試料収集を行った)。カイナーバッグを、圧力に基づいて既知の合計の容積まで窒素で充填し、次いでFIDの中へ排気して炭化水素濃度を求めた。FIDは5000ppmのn-ブタン基準で較正した。カイナーバッグの容積、エミッション濃度、および理想気体の想定から、エミッションの質量を(ブタンとして)計算した。毎日、5.5時間と11時間において、エミッションの質量を付加した。CARBのプロトコルの次に、最大の総エミッションを得た日を「2日間のエミッション」として報告した。すべての場合において、最大のエミッションは2日目に得られた。このプロシージャは、全般的に、R.S.WilliamsおよびC.R.Clontz、「Impact
and Control of Canister Bleed Emissions」と題する、SAE Technical Paper 2001-01-0733、およびCARBのLEV III BETPプロシージャ(section D.12 in California Evaporative Emissions Standards and Test Procedures for 2001 and Subsequent Model Motor Vehicles、2012年3月22日)に説明されている。
【0136】
中国6試験方法に基づく作業能力およびエミッションの決定 (本明細書およびクレームにおける「中国6試験方法」)
事前調整ステップ。キャニスタシステムは、38℃に加熱された2リットルのEPA Tier III燃料(9RVP、10%エタノール)を通して200ml/minの速度で空気をバブリングすることによりエージングされる。空気流量は、マスフローコントローラを使用して制御される。これらの条件下では、蒸気発生率は約40g/hで、炭化
水素濃度は約50%(容積)であった。これらの蒸気は、大気ポートで5000ppmのブレークスルーが検出されるまでキャニスタに導入される(90分後にブレークスルーが検出されない場合、ガソリンが交換される)。2分以内に、キャニスタシステムは、加圧乾燥空気で大気ポートにパージされ、パージ(エンジン)ポートから300ベッドボリュームに対して22.7リットル/分の速度でパージされる。このシーケンスは、合計で少なくとも35サイクル繰り返される。結果として得られたGWCは、最後の3つの装填およびパージサイクルの平均として計算され、2gのブレークスルーは含まれない。次に、試験キャニスタに、ブタン-窒素を40g/hの速度で50:50vol%のブタンで装填し、2gのブレークスルー相当量にする。
【0137】
高温浸漬ステップ。70L PATAC 358タンク(40%まで充填)の予想される蒸気空間を模倣して、68Lタンクは25.7L(38%)のEPA Tier III燃料(9RVP、10%エタノール)で充填されている。次に、キャニスタシステムをタンクに接続し、システム全体を温度制御されたチャンバ(38℃に予熱済み)に約22時間入れる。チャンバの汚染を回避し、この加熱および高温浸漬ステップ中にキャニスタの破過量を測定できるようにするため、キャニスタシステムは低制限の「スレーブキャニスタ」(2.1L Nuchar(登録商標)BAX1500)に排出される。
【0138】
高温パージ。キャニスタシステムは、加熱されたチャンバに残ったまま、次に19.5分間真空でパージされる。この間、理論上のパージ空気目標である487.5Lを達成するために、真空レベルを調整して流量を約25L/min(流入空気)に維持した。総流量(除去された炭化水素を含む)は、乾燥ガスメータを使用してチャンバ外で同時に測定される。このパージサイクルに続いて、次にシステムは38℃で1時間休止できる。このシステム試験は、完全な車両試験プロトコルの実際の車両試験(実際の車両なしでは温度勾配が存在しない)と比較されるため、この期間中は高温浸漬エミッションは測定されない。
【0139】
20℃の浸漬および2日間の昼間時間。次に、チャンバを開いてキャニスタの重量を記録し、次の浸漬期間(6~36時間)に温度を20℃に調整する。この浸漬に続いて、キャニスタの重量を再び測定し、昼間エミッション試験のためにタンクに再接続する。カイナー(登録商標)バッグは、キャニスタシステムの大気ポートに接続され、チャンバはEUの昼間温度プロファイル(20→35→20℃)に基づいて温度を制御するようにプログラムされている。6時間後、バッグを取り外して新しいバッグと交換する(例えば、1つのバッグは通常、12時間のエミッションをすべて取り込むにはサイズが不十分である)。取り外されたカイナー(登録商標)バッグのエミッションは、火炎電離検出器(FID)によって測定される。12時間後、第2のカイナー(登録商標)バッグが取り外され、エミッションも測定される。キャニスタの重量を測定し、タンクに再接続する。昼間サイクルのクールダウン部分の間は、バックパージを可能にするためにキャニスタシステムにバッグが取り付けられていない。同じプロシージャが2日目に繰り返される。2日目の加熱部分(12時間)の後に試験を停止する。2日目のエミッションは、2つのカイナー(登録商標)バッグで捕捉され、FIDで測定された2日目の総エミッションである。
【0140】
細孔容積と表面積の決定
細孔容積(PV)<1.8nm~100nmのサイズは、Micromeritics
ASAP 2420(ノークロス、ジョージア州)を使用した窒素ガス吸着法ISO15901-2:2006による窒素吸着ポロシメトリによって測定される。ASTM BWCのサイズが1.8~5.0nmの細孔と相関があるため、本明細書の総メソ細孔の定義は、サイズが2.0~50nmの細孔としてのIUPAC定義の総メソ細孔と比較して、サイズが1.8~50nmの細孔(サイズが1.8~5nmの小さなメソ細孔とサイズが5~50nmの大きなメソ細孔に分割)である。したがって、本明細書のミクロ細孔の
定義は、サイズが2.0nm未満の細孔のIUPAC定義と比較して、サイズが1.8nm未満の細孔である。細孔容積値「m」についてUS9,174,195で言及されている「ミクロ細孔」は、約100nm未満のサイズの細孔である。窒素吸着試験の試料調製方法は、10μmHg未満の圧力まで脱気することであった。サイズが<1.8nmから100nmの細孔の細孔容積の決定は、0.1gの試料の77K等温線の脱着分岐からのものであった。窒素吸着等温線データをKelvinおよびHalseyの方程式で分析して、Barrett、Joyner、およびHalendaのモデル(「BJH」)に従って、円筒形細孔の細孔サイズを伴う細孔容積の分布を決定した。非理想係数は0.0000620であった。密度変換係数は0.0015468であった。熱蒸散剛体球の直径は3.860Åであった。分子断面積は0.162nm2であった。計算に使用された細孔サイズ(D、Å)に関連する凝縮層の厚さ(Å)は、0.4977[ln(D)]2-0.6981ln(D)+2.5074であった。等温線の目標相対圧力は次のとおりである。0.04、0.05、0.085、0.125、0.15、0.18、0.2、0.355、0.5、0.63、0.77、0.9、0.95、0.995、0.95、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.12、0.1、0.07、0.05、0.03、0.01。実際のポイントは、それぞれ5mmHgまたは5%のいずれか厳しい方の絶対または相対圧力許容範囲内で記録した。平衡化中の連続する圧力測定間の時間は10秒であった。ccペレットあたりのcc単位の体積の細孔容積は、Hgポロシメトリによって得られるように、cc/g単位の重量細孔容積にg/cc単位の<サイズが100ミクロンの粒子密度を乗じることによって得られた。
【0141】
サイズと粒子密度が0.05~100ミクロンの細孔の巨視的な細孔容積は、水銀圧入ポロシメトリ法ISO15901-1:2016で測定される。実施例に使用された機器は、Micromeritics Autopore V(ノークロス、ジョージア州)であった。使用した試料のサイズは約0.4gで、105℃のオーブンで少なくとも1時間前処理した。Washburnの方程式に使用される水銀の表面張力と接触角は、それぞれ485dynes/cmと130°であった。本明細書で言及されるマクロ細孔は、約0.05~100ミクロンの細孔サイズまたは幅を有するものである。米国特許第9,174,195号のM/mを計算するため、総マクロ細孔容積「M」は、サイズが0.1から100ミクロンの細孔に対するものであった。ccペレットあたりのcc単位の体積の細孔容積(cc/cc)は、Hg侵入ポロシメトリによって得られるように、cc/g単位の重量細孔容積に<100ミクロンの粒子密度(g/cc単位)を乗じることによって得られた。
【0142】
増分吸着容量の決定
マクベイン法。代表的な吸着体成分の試料(「吸着体試料」)を、110℃で3時間を超える時間にわたってオーブン乾燥させてから、試料管の内部のばねに取り付けられた試料パン上に装填する。次に、試料管を記載の装置に取り付ける。見掛け密度値の決定が、その質量の分子に、不活性の結合剤、充填剤および構成要素の質量を等しく含んでいるとき、吸着体試料は、吸着体成分の呼び容積の中に、代表的な量の任意の不活性の結合剤、充填剤および構成要素も含むべきである。反対に、見掛け密度値が、その分子において、不活性の結合剤、充填剤、および構成要素の質量を等しく排除するとき、吸着体試料は、これらの不活性の結合剤、充填剤、および構成要素を排除すべきである。普遍概念は、呼び容積内に、ブタンに対する吸着特性を容積ベースで正確に定義することである。
【0143】
試料管に対して1torr未満の真空を適用し、吸着体試料を105℃で1時間加熱する。次いで、カセトメータを使用して、ばねの伸張量によって吸着体試料の質量を求める。その後、試料管を25℃の温度制御された水浴に浸す。試料管内の圧力が10-4torrになるまで、試料管から空気を排気する。選択した圧力で平衡に達するまで、n-ブ
タンを試料管に導入する。それぞれが約38torrおよび約380torrで取得された、4つの選択された平衡圧の2つのデータの組に対して試験を実施する。n-ブタンの濃度は、試料管の内部の平衡圧力に基づいている。選択された平衡圧における各試験の後、カセトメータを使用して、ばねの伸張量に基づいて吸着体試料の質量を測定する。吸着体試料の増加した質量は、吸着体試料が吸着したn-ブタンの量である。各試験について、異なるn-ブタン平衡圧で、吸着体試料の質量(グラム)当りの吸着されたn-ブタンの質量(グラム)を求め、n-ブタンの濃度(%容積)の関数としてグラフにプロットする。常圧における5vol%のn-ブタン濃度(容積濃度)が、試料管の内部の38torrの平衡圧によって与えられる。常圧における50vol%のn-ブタン濃度が、試料管の内部の380torrの平衡圧によって与えられる。38torrおよび380torrにおける正確な平衡は、容易には達成され得ないので、5vol%のn-ブタン濃度および50vol%のn-ブタン濃度における吸着体試料の質量当りの吸着されたn-ブタンの質量は、目標の38torrおよび380torrの圧力のあたりで収集されたデータポイントを用いてグラフから補間する。あるいは、増分のブタン吸着容量を求めるのに、マクベインの方法の代わりに粉体工学(ASAP2020などの粉体工学)を用いてもよい。
【0144】
例示的な実施形態
一態様では、本説明は、結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより調製された活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料であって、混合物が、形状に成形され、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを含む成形吸着体材料を提供する。
【0145】
追加の態様において、本説明は、活性吸着体前駆体を提供することと、活性吸着体前駆体を粉末に粉砕することであって、粉末が、少なくとも約50g/100gのpBACTを有する、粉砕することと、粉末を結合剤材料と混合することと、粉末と結合剤材料との混合物を形状に成形することであって、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを有する、成形することと、を含むステップに従って作製された成形吸着体材料を提供する。
【0146】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、記載の成形吸着体材料の活性吸着体粉末前駆体は、少なくとも約50g/100gのブタン活性(pBACT)を有する。本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、活性吸着体前駆体は活性炭前駆体である。本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、約80%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比を含む。
【0147】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、成形吸着体材料は、約50%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比を含む。
【0148】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、結合剤は、有機結合剤、無機結合剤、または両方の少なくとも1つを含む。
【0149】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、有機結合剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、合成有機結合剤、またはその両方のうちの少なくとも1つである。
【0150】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、無機結合剤は粘土である。
【0151】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、結合剤はCMCであり、約8重量%未満、その間にあるすべての値の量で存在する。
【0152】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、結合剤はベントナイト粘土であり、約10重量%~約35重量%、その間にあるすべての値の量で存在する。
【0153】
別の態様では、本明細書は、少なくとも1つの吸着体容積を含み、本明細書に記載の、例えば、結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより得られる活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料を含む蒸発エミッション制御キャニスタシステムであって、混合物が、形状に成形され、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを有する、蒸発エミッション制御キャニスタシステムを提供する。
【0154】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムが、少なくとも1つの燃料側吸着体容積と少なくとも1つの通気孔側吸着体容積とを含み、少なくとも1つの燃料側吸着体容積もしくは少なくとも1つの通気孔側吸着体容積のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせが、結合剤と、活性吸着体前駆体を粉砕することにより得られる活性吸着体粉末との混合物を含む成形吸着体材料を含み、混合物が、形状に成形され、成形吸着体材料が、少なくとも13g/dLのASTM BWCを有する。
【0155】
本明細書に記載される態様または実施形態のいずれにおいても、本明細書に記載されるキャニスタシステムの成形吸着体材料は、(i)約80%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~1ミクロンの細孔容積の比、(ii)約50%より大きい、0.05~100ミクロンに対する0.05~0.5ミクロンの細孔容積の比、または(iii)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを有する。
【0156】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、本明細書に記載の成形吸着体材料は、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)による定義済みキャニスタで決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315リットルのパージで、100mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを示す。
【0157】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、中国6試験方法により試験される場合、100mg未満の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0158】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、(i)蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、4グラムのn-ブタン/L~35グラムのn-ブタン/L未満の25℃での増分吸着容量、(ii)3g/dL未満の有効BWC、(iii)6グラム未満のg-合計BWC、または(iv)それらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの通気孔側吸着容積を含む。
【0159】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、キャニスタシステムは、蒸気濃度5vol%~50vol%のn-ブタンにおける、35グラムのn-ブタン/Lを超える25℃での増分吸着容量を有する少なくとも1つの燃料側吸着容積を含む。
【0160】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、活性炭前駆体は、木材、木材粉塵、木粉、綿花リンター、泥炭、石炭、ココナッツ、亜炭、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果物の核(pit)、果物の核(
stone)、ナッツ殻、ナッツの核(pit)、おがくず、ヤシ、野菜、合成高分子、天然高分子、リグノセルロース材料、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに由来する。
【0161】
本明細書に記載の成形吸着体材料の態様または実施形態のいずれにおいても、形状は、ペレット、顆粒、球体、ハニカム、モノリス、シリンダー、微粒子、中空シリンダー、星形、ねじれらせん、アスタリスク、形成リボン、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0162】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)により決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される315リットル以下のパージで、20mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0163】
本明細書に記載の態様または実施形態のいずれにおいても、蒸発エミッション制御キャニスタシステムは、2012年カリフォルニアブリードエミッション試験方法(BETP)により決定される、40g/時間のブタン装填ステップの後に適用される150BV以下のパージで、20mg以下の2日間の終日保管時排出(DBL)エミッションを有する。
【0164】
本出願にわたって引用された、全ての参照、特許、係属中の特許出願、および公開特許の内容は、参照によって明白に本明細書に組み込まれる。
【0165】
当業者は、本明細書に記載される発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するであろう、またはルーティンに過ぎない実験を用いて確かめることができるであろう。このような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。本明細書に記載される詳細な実施例および実施形態は、例示目的のみのために例として与えられ、本発明を限定することは一切考えられていないことが理解される。それを考慮した様々な修正または変更は、当業者に示唆されることになり、本出願の精神および視野内に含まれ、添付の特許請求の範囲の範疇内と考えられる。例えば、成分の相対量は、所望の効果を最適化するために変更され得、追加の成分が追加され得る、および/または、同様の成分が、記載された1つ以上の成分に関して置換され得る。本発明のシステム、方法およびプロセスに関連した追加の有利な特徴および機能は、添付の特許請求の範囲から明確になるであろう。さらに、当業者は、本明細書に記載される発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識することになるであろう、またはルーティンに過ぎない実験を用いて確かめることができるであろう。このような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。