(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】流体処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C02F 9/00 20230101AFI20240220BHJP
C02F 1/20 20230101ALI20240220BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240220BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20240220BHJP
C02F 1/58 20230101ALI20240220BHJP
C02F 1/74 20230101ALI20240220BHJP
C02F 5/00 20230101ALI20240220BHJP
C02F 5/02 20230101ALI20240220BHJP
C02F 5/06 20230101ALI20240220BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20240220BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20240220BHJP
B01D 61/16 20060101ALI20240220BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C02F9/00
C02F1/20 A
C02F1/44 E
C02F1/52 Z
C02F1/58 J
C02F1/74 Z
C02F5/00 610E
C02F5/00 610G
C02F5/00 610Z
C02F5/00 620B
C02F5/02
C02F5/02 B
C02F5/06
B01D21/01 102
B01D61/04
B01D61/16
B01D71/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020219638
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2016551087の分割
【原出願日】2014-10-31
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2013-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】317006661
【氏名又は名称】1934612 オンタリオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バターズ,ブライアン,イー
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,アンソニー,エル
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-010073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0204419(US,A1)
【文献】特開2011-056411(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102417259(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0179256(US,A1)
【文献】特開2013-123701(JP,A)
【文献】特表2017-502835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20、44、52-64、72-78、
5/00-14、9/00-20
B01D 21/01、61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された流体を処理して、減少した金属含有量を有する処理された流体を生成するためのシステムであって、
エアレーションユニットと流体連通され、前記汚染された流体を前記エアレーションユニットに提供するように構成される供給流と、
濡れる側(wet side)と、直径が1ミクロン未満の孔とを有する基板を含む溶存酸素添加装置の乾燥側(dry side)に接続される圧縮ガス注入口を有し、空気及び酸素の一方を含むガスを、前記ガスが前記基板を通過するような圧縮ガス流量で前記圧縮ガス注入口から放出させることで、エアレーションが行われた流体流を、一の流量で生成するように構成された前記エアレーションユニットと、
前記エアレーションユニットの下流に配され、前記エアレーションが行われた流体流に添加剤を計量して供給するように構成された化学物質注入口と、
前記化学物質注入口の下流に配され、前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流を受けて、一の滞留時間の間、滞留させて、濃縮流を生成するように構成された反応タンク
を有するハイソリッド接触反応装置であって、前記ハイソリッド接触反応装置には、さらなる反応を促進するために蓄積された固体が存在し、前記ハイソリッド接触反応装置は、立向きに方向づけられた前記反応タンクの中間点より上方で前記汚染された媒体が堆積するように、前記反応タンクの壁を横切り、前記反応タンク内で少なくとも部分的に上昇し、Uターンを通って曲がり、注入口にて終端する注入流と、前記反応タンクの前記中間点より下方に位置する排出口とを備える、ハイソリッド接触反応装置と、
セラミック膜を有する濾過ユニットであって、前記濾過ユニットが、前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流の全量を含む前記濃縮流を受けて濾過し、処理された流体を生成するように構成されるように、前記反応タンクの下流に配され、前記反応タンクと流体連通する濾過ユニットと、
前記濾過ユニットの下流に、前記濾過ユニットから再循環流体を受けるように、及び、前記再循環流体を前記反応タンクに提供するように構成される再循環流と、
前記再循環流上に配置される排出流であって、前記排出流は、前記再循環流から前記再循環流体の少なくとも一部を排出するように構成される、排出流と、
を備え、
前記エアレーションユニットは、前記供給流が、前記エアレーションユニットを通過する又は通り、前記エアレーションユニットからミクロンサイズの気泡及びサブミクロンサイズの気泡の少なくとも1つを受けてエアレーションが行われた供給流を生成するように、前記供給流と流体連通され、
前記ミクロンサイズの気泡及び前記サブミクロンサイズの気泡の前記少なくとも1つは、前記基板の前記濡れる側に発生し、
前記添加剤は、凝固剤及び水酸化物沈殿剤の少なくとも一方を含む、
システム。
【請求項2】
前記化学物質注入口は、前記汚染された流体からの複数の金属の除去を促進するのに十分な量の少なくとも1つの塩基を、前記汚染された流体に提供するように構成され、
前記反応タンクの上流の前記化学物質注入口は、pHを上げるために十分な塩基を添加するようにさらに構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記圧縮ガス注入口は、前記溶存酸素添加装置の透過側に接続される
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記水酸化物沈殿剤の少なくとも1つは、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びに、その組み合わせを含む群から選択される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記凝固剤の少なくとも1つは、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)、並びに、その組み合わせを含む群から選択される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記反応タンクと、前記セラミック膜の濾過ユニットとの間に配置されるポンプをさらに含み、
前記ポンプは、前記反応タンクから前記濾過ユニットまでの前記濃縮流の流れを調節するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記再循環流上に配置される再循環バルブをさらに含み、
該再循環バルブは、前記濾過ユニットから前記反応タンクまでの前記再循環流体の流れを制御するように構成される、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記排出流上に配置される排出バルブをさらに含み、
前記排出バルブは、前記排出流の流れを制御するように構成される、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
前記反応タンクは100ガロンのタンクを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記反応タンクは6フィートの直径を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記滞留時間は、1分である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
汚染された流体を含む供給流を処理して、減少した金属の含有量を有する処理された流体を生成するための方法であって、
前記供給流をエアレーションユニットに通過させる又は通して、エアレーションが行われた流体流を生成するステップであり、前記エアレーションユニットは、圧縮ガス注入口と接続され、直径が1ミクロン未満の孔を有する基板を含む溶存酸素添加装置を有し、前記エアレーションユニットは、前記供給流と流体連通され、前記供給流は、前記エアレーションユニットからミクロンサイズの気泡及びサブミクロンサイズの気泡の少なくとも1つを受け、前記溶存酸素添加装置の乾燥側(dry side)に接続された前記圧縮ガス注入口から、空気及び酸素の一方を含むガスを放出させることで、前記ミクロンサイズの気泡及び前記サブミクロンサイズの気泡の前記少なくとも1つが前記基板の濡れた側(wet side)に生成され、前記ガスが前記基板を通過して前記汚染された流体の中に複数の気泡を生成するように、4L/分の流量で流れる前記汚染された流体によって、前記複数の気泡が前記基板の前記濡れた側から離されるステップと、
化学物質注入口から、前記エアレーションが行われた流体流に、凝固剤及び水酸化物沈殿剤の少なくとも一方を含む添加剤を計量して供給するステップと、
前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流を、反応タンク
を有するハイソリッド接触反応装置に受け入れるステップと、
前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流を、一の滞留時間の間、前記反応タンク中に滞留させて、濃縮流を生成するステップと、
前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流の全量を含む前記濃縮流を、セラミック膜を有する濾過ユニットを用いて濾過し、前記処理された流体を生成するステップと、
前記濾過ユニットからの再循環流体を、一の再循環流量で、前記反応タンクの中に入れるステップと、
前記再循環流体の少なくとも一部を、一の排出流量で、排出流を通して排出するステップと、
を有し、
前記ハイソリッド接触反応装置には、さらなる反応を促進するために蓄積された固体が存在し、前記ハイソリッド接触反応装置は、立向きに方向づけられた前記反応タンクの中間点より上方で前記汚染された媒体が堆積するように、前記反応タンクの壁を横切り、前記反応タンク内で少なくとも部分的に上昇し、Uターンを通って曲がり、注入口にて終端する注入流と、前記反応タンクの前記中間点より下方に位置する排出口とを備え、
前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流を前記ハイソリッド接触反応装置に受け入れるステップは、前記添加剤を含む前記エアレーションが行われた流体流を、前記注入流を通じて受け入れるステップを有し、
前記濃縮流は、前記排出口を通じて前記反応タンクから前記濾過ユニットに排出され、
前記ガスの圧力は、前記汚染された流体の圧力よりも大きい、
方法。
【請求項13】
前記水酸化物沈殿剤の少なくとも1つは、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びに、その組み合わせを含む群から選択される、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記流量は、4L/分である、
請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記金属は、カルシウム及びマグネシウムを含む、
請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記滞留時間は、1分である、
請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記圧縮ガス注入口は、前記溶存酸素添加装置の透過側に接続される、
請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
前記凝固剤の少なくとも1つは、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)、並びに、その組み合わせを含む群から選択される、
請求項
12に記載の方法。
【請求項19】
前記反応タンクと前記濾過ユニットとの間に置かれたポンプを使用して、前記反応タンクから前記濾過ユニットまでの前記濃縮流の流れを調節するステップをさらに含む、
請求項
12に記載の方法。
【請求項20】
再循環バルブを使用して、前記再循環流体の流れを調節するステップをさらに含む、
請求項
12に記載の方法。
【請求項21】
前記排出流に沿って配置される排出バルブを使用して、前記排出流の流れを調節するステップをさらに含む、
請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年11月1日出願の米国特許出願第14/070,263号に基づく利益及び優先権を主張する出願であり、参照により全内容を本願に援用する。
【0002】
本開示は、一部の実施形態において、流体処理システムに関する。より具体的には、本開示は、一部の実施形態において、硬度減少及び汚染物質除去に適した流体処理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
水等の流体は、例えば、溶存有機炭素、金属、及び、水の硬度に寄与する金属を含む種々の汚染物質を含み得る。水の硬度は、カルシウム又はマグネシウム等の金属の存在を指し得る。そのような金属及びその対応するイオンは、セッケンの作用に干渉し、水垢の集積をもたらし、さらに、電気化学的腐食を介して、コンテインメントユニット又は鉛管類の汚損をもたらし得る。
【0004】
汚染物質除去及び硬度減少は、種々の方法で成し遂げることができる。しかし、イオン交換、逆浸透及び石灰軟化等の方法は、大きな設備、大きな処理ユニット、高い化学的要求、及び/又は、高い洗浄の要求を行い得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、より小さな設備、より小さな処理ユニット、より低い化学的要求及び/又はより低い洗浄若しくは浄化の要求を可能にし得る改善された流体処理システム及びその方法に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一部の実施形態によると、流体処理システムに関する。流体処理システム及びその方法は、汚染物質を除去する及び/又は硬度を減らすように動作可能であってもよい。流体処理システムは、汚染された流体を提供するように構成される供給流(feed stream)、供給流から汚染された流体を受けるように構成される濃縮タンク(例えば、ハイソリッド接触反応装置(high solids contact reactor)等)、濃縮タンクから汚染された流体を受けるように構成される濾過ユニット、及び、濾過ユニットから処理された流体を受けるよう動作可能な吐出し流(exit stream)を含んでもよい。システムは、(例えば濃縮タンクにおいて)汚染された流体の硬度を減らすように動作可能であってもよい。濾過ユニットは、汚染された流体から汚染物質を濾過するように動作可能であってもよい。システムは、一部の実施形態において、凝固剤、塩基、及び/又は、他の化学物質を入れて、金属酸化、還元、薬品沈殿、化学的凝集処理又はその組み合わせを可能にする及び/又は促進するように構成される化学物質注入口を含んでもよい。システムは、相乗的に高められた性能を有する単一の隣接している統合したユニットにおいて濃縮タンク及び濾過ユニットを含んでもよい。
【0007】
一部の実施形態において、濾過ユニットは、セラミック膜のシステムを含んでもよい。一部の実施形態において、汚染された流体の硬度を減らすことは、汚染された流体から金属を沈殿させることを含んでもよい。金属は、カルシウム及びマグネシウムを含んでもよい。
【0008】
一部の実施形態において、流体処理システムは、濃縮タンクの上流にエアレーションユニットをさらに含んでもよい。エアレーションユニットは、汚染された流体からCO2含有量を除去するように動作可能であってもよい。エアレーションユニットは、溶存酸素添加装置を含んでもよい。エアレーションユニット又は溶存酸素添加装置は、圧縮空気注入口から圧縮空気を受けるように動作可能であってもよい。圧縮空気注入口は、溶存酸素添加装置の透過側に接続することができる。エアレーションユニット又は溶存酸素添加装置は、直径が1ミクロン未満の孔を有する基板を含んでもよい。
【0009】
一部の実施形態において、流体処理システムは、濃縮タンクの上流に化学物質注入口をさらに含んでもよい。化学物質注入口は、汚染された流体に少なくとも1つの凝固剤を提供するように構成することができる。凝固剤は、汚染された流体内の汚染物質の凝固を促進することができる。例えば、凝固剤は、濁り及びDOCを除去することができる。少なくとも1つの凝固剤を、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(aluminochloro hydrate)(ACH)、並びに、その組み合わせから選択することができる。
【0010】
一部の実施形態において、流体処理システムはポンプをさらに含んでもよい。ポンプは、反応装置(例えば濃縮タンク等)と濾過ユニットの間に配置することができる。ポンプは、反応装置から濾過ユニットまでの汚染された流体の流れを調節するように構成することができる。
【0011】
一部の実施形態において、流体処理システムは再循環流をさらに含んでもよい。再循環流は、濾過ユニットから再循環流体を受ける、及び、反応装置に再循環流体を提供するように構成することができる。一部の実施形態において、流体処理システムは、再循環バルブをさらに含んでもよく、再循環バルブは、再循環流上に配置することができ、さらに、濾過ユニットから反応装置までの再循環流体の流れを制御するように構成することができる。一部の実施形態において、流体処理システムは、再循環流上に配置される排出流をさらに含んでもよく、排出流は、再循環流から再循環流体の少なくとも一部を排出するように構成することができる。一部の実施形態において、流体処理システムは、排出バルブをさらに含んでもよく、排出バルブは、排出流上に配置することができ、さらに、排出流の流れを制御するように構成することができる。
【0012】
一部の実施形態において、濃縮タンクは、100ガロン/タンクを含んでもよい。濃縮タンクは、一般的には直径(例えば6フィートの直径等)を有する円形である少なくとも1つの大きさを有してもよい。濃縮タンクは、約1分の保持率(retention rate)を有するように構成する及び/又は動作させることができる。
【0013】
本開示は、一部の実施形態によると、流体処理の方法、硬度減少及び汚染除去の方法、並びに、流体処理システムを作動させる方法に関する。一部の実施形態において、方法は、供給流から汚染された流体を提供するステップ、濃縮タンクにて汚染された流体を受けるステップ、濾過ユニットにて、濃縮タンクから汚染された流体を受けるステップ、及び、吐出し流にて、濾過ユニットから処理された流体を受けるステップを含んでもよい。濃縮タンクは、汚染された流体の硬度を減らすように構成することができる。濾過ユニットは、汚染された流体から汚染物質を濾過するように構成することができる。
【0014】
一部の実施形態において、濾過ユニットは、セラミック膜のシステムを含んでもよい。一部の実施形態において、汚染された流体の硬度を減らすことは、汚染された流体から金属を沈殿させることを含んでもよい。金属は、カルシウム及びマグネシウムを含んでもよい。
【0015】
一部の実施形態において、方法は、濃縮タンクの上流にエアレーションユニットを含む。エアレーションユニットは、エアレーションユニットを使用して、汚染された流体からCO2含有量を除去するように動作可能であってもよい。エアレーションユニットは、溶存酸素添加装置を含んでもよい。一部の実施形態において、方法は、溶存酸素添加装置にて、圧縮空気注入口から圧縮空気を受けるステップを含んでもよい。方法は、圧縮空気注入口を溶存酸素添加装置の透過側に接続するステップを含んでもよい。
【0016】
一部の実施形態において、溶存酸素添加装置は、直径が1ミクロン未満の孔を有する基板を含む。一部の実施形態において、方法は、圧縮ガス又は圧縮空気を基板に通すステップ、基板の濡れた側にサブミクロンサイズの気泡を形成するステップ、及び、気泡が膨張する前に気泡を除去するのに十分な約4l/分の流量でサブミクロンサイズの気泡を洗浄(scrub)するステップを含んでもよい。
【0017】
一部の実施形態において、方法は、濃縮タンクの上流に化学物質注入口を提供するステップ、及び、化学物質注入口を介して、汚染された流体に少なくとも1つの凝固剤及び/又は塩基を提供するステップを含んでもよく、凝固剤は、汚染された流体内の汚染物質の凝固を促進する。少なくとも1つの凝固剤は、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)、並びに、その組み合わせを含む群から選択することができる。
【0018】
一部の実施形態において、方法は、濃縮タンクと濾過ユニットの間にポンプを提供するステップ、及び、ポンプを使用して、濃縮タンクから濾過ユニットまでの汚染された流体の流れを調節するステップを含んでもよい。
【0019】
一部の実施形態において、方法は、再循環流を提供するステップ、再循環流において、濾過ユニットから再循環流体を受けるステップ、及び、再循環流における再循環流体を濃縮タンクに提供するステップを含んでもよい。方法は、再循環流上に再循環バルブを提供するステップ、及び、再循環バルブを使用して、濾過ユニットから濃縮タンクまでの再循環流体の流れを調節するステップを含んでもよい。方法は、再循環流上に排出流を提供するステップ、及び、排出流を介して、再循環流から再循環流体の少なくとも一部を排出するステップを含んでもよい。方法は、排出流上に排出バルブを提供するステップ、及び、排出バルブを使用して、排出流の流れを調節するステップを含んでもよい。
【0020】
本開示の一部の実施形態は、本開示及び付随の図面を部分的に参照することによって理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の特定の例となる実施形態による流体処理システムの図である。
【
図2】本開示の特定の例となる実施形態による流体処理システムの図である。
【
図3】本開示の特定の例となる実施形態による流体処理システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
イオン交換軟水化システムは、単に、カルシウム又はマグネシウム(二価カチオン)をナトリウム(Na-一価カチオン)と置換することができる。現存するイオン交換(IX)技術の欠点は、IX樹脂が、廃物の鹹水溶液をもたらす塩(NaCl)又は水酸化ナトリウム(NaOH)の頻繁の逆流を要求し得る、及び、IXは、硬度レベルに比例して、処理された水のナトリウム濃度を上げるということである。ナトリウムは高血圧及び心疾患と関連づけられてきたため、ヒト又は動物での使用に意図される水中の高いナトリウムレベルを回避することが望ましくあり得る。
【0023】
逆浸透(RO)が、カルシウム及びマグネシウムを濾過することにおいて効果的であり得るが、鍵となる欠点が、硬度による汚損(カルシウムはRO膜を容易に塞ぐ)であり得る。従って、RO膜は、一般的に、化学的調整処理及び高い洗浄条件を要求する。別の鍵となる欠点は、さらなる処理又は処分を要求する生成された多い(流れのうち20%~25%の)鹹水廃液である。
【0024】
石灰軟化は、石灰(Ca(OH)2)及び時にはソーダ灰の添加も利用して、以下の反応、
(1)CO2+Ca(OH)2→CaCO3+H2O
(2)Ca(HCO3)2+Ca(OH)2→2CaCO3+2H2O
(3)Mg(HCO3)2+Ca(OH)2→CaCO3+MgCO3+2H2O
を介して、Caを沈殿させCaCO3にし、さらに、マグネシウムを沈殿させMgCO3にする。Ca及びMgのレベルに応じて、石灰軟化後のpHは、(低いMgの適用に対して)10.3から(高いMgの適用に対して)11.0である。これは、(例えば浄化器又は濾過方法を介して)硬度のスラッジが除去された後で、さらなる化学物質追加がpH中和に対して要求されるということを意味する。CO2は硬度に累積されないけれども、石灰と迅速に反応し、従って、要求される用量を増やす。これらの反応は、定着及び濾過を後に伴う。
【0025】
飲料水において典型的に処理される他のタイプの水汚染物質は、鉄及びマンガン等の金属、並びに、溶存有機炭素(DOC)を含む。DOCは、塩素処理(二次殺菌)後にTTHM及びHAAをもたらす。金属除去は、金属を浄化器及び/又はフィルタを介して除去することができるように凝固するために、薬品沈殿及び/又は酸化に対する反応タンク又は容器を要求する。同様に、凝固プロセスにおいて、大きなタンク又はせきの設計が、浄化器内に外れる又はフィルタ内に除去することができるように汚染物質が凝固してより大きなマクロの固体になるのを可能にするように要求される。どちらのプロセスにおいても、2ユニット動作を要求する2ステッププロセスが存在する。
【0026】
本開示は、一部の実施形態において、流体処理システムに対する物、システム及び使用方法に関する。より具体的には、本開示は、一部の実施形態において、汚染された流体から汚染物質を除去するように動作可能な流体処理システムに関する。本開示は、一部の実施形態によると、水を除染する方法に関し、反応装置(例えば、ハイソリッド接触反応装置等)において汚染物質の固体を形成するステップ、及び、フィルタユニットにおいて水から汚染物質の固体を分離するステップを含み、これらは、共に、汚染物質除去の相乗的増強を提供する。汚染物質の固体を形成するステップは、凝固、沈殿、酸化、還元又はその組み合わせを含んでもよい。
【0027】
本開示の一部の実施形態は、硬度減少及び/又は汚染物質除去のための流体処理システムに関し得る。例えば、システムは、硬度を沈殿除去(precipitate)するようにも沈殿物を濾過するようにも構成される精密濾過ユニット又は限外濾過ユニットを含んでもよい。一部の実施形態において、流体処理システムは、汚染された流体を提供するように動作可能な供給流を含んでもよい。汚染された流体は、溶存有機炭素、及び、カルシウム、マグネシウム、多価カチオンを形成し得る他の鉱物若しくは化合物、又は、そのいかなる組み合わせも含み得る水又は他の流体を含んでもよい。
【0028】
一部の実施形態によると、フィルタの上流にある別の反応装置容器が、取り除かれる及び/又は排除されてもよい。いかなる特定の実施形態も特定の作用機序に限定することなく、硬度の沈殿除去反応がセラミック膜のシステム(例えばCUF等)において生じ、フィルタの上流にある別の反応装置容器においては生じないため、沈殿反応装置は排除されてもよい。一部の実施形態において、CO2が濾過ユニットに到達する前に給水から取り除かれるため、及び、硬度の沈殿除去反応が濾過ユニットの内側で生じるため、濾過システム内の沈殿した炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムの蓄積によって、硬度の沈殿除去反応を促進するレベルにて濾過ユニット内のpHが調節される。一部の実施形態によると、そのような構成は、(a)濾過システムの上流で添加される石灰及び/若しくは可溶性水酸化イオンのうち実質的に全てが、硬度と直接反応するのを可能にする(例えば、pHを上げるように除去されない若しくは使用されず、減少した薬品使用量を意味し)、並びに/又は、(b)軟化水の最終的なpHが、(例えば減少したプロセスへの化学物質添加のため)従来の石灰軟化アプローチによって減少されるのを可能にする。後の中和(post neutralization)は要求されなくてもよい。
【0029】
供給流
一部の実施形態において、供給流は、パイプ又はチューブを含んでもよい。パイプ又はチューブは、特定の材料を含んでもよく、さらに、特定の長さ又は直径を有してもよい。供給流は、特定の流量又はその中の汚染された流体の流量を有してもよい。パイプの特定の材料、長さ及び直径等の大きさ及び規格、並びに、流量は、本明細書の記載から逸脱することなく変えられてもよい。
【0030】
エアレーションユニット
一部の実施形態において、流体処理システムは、エアレーションユニットをさらに含んでもよい。エアレーションユニットは、濃縮タンクの上流に配置することができる。エアレーションユニットは、供給流と流体連通していてもよい。流体接続は、エアレーションユニットを供給流に結合すること又さもなければ適切に接続することを介して確立することができる。エアレーションユニットは、供給流に沿って配置する、その中に汚染された流体を受けるように構成する、さらに、その中の汚染された流体を濃縮タンクに提供するように構成することができる。種々のエアレーションユニットが、本明細書の記載から逸脱することなく使用されてもよい。一部の実施形態において、エアレーションユニットは、溶存酸素(DO)添加装置を含み得る。
【0031】
エアレーション装置は、有利に、汚染された流体内の汚染物質が酸化されるのを可能にすることができる。一部の実施形態において、エアレーション装置は、有利に、汚染された流体内の金属が酸化されるのを可能にすることができる。エアレーションユニットは、汚染された流体に圧縮空気を提供するように構成される圧縮空気注入口を含んでもよい。圧縮空気注入口は、定常の計量された量にて圧縮空気が汚染された流体に接触するのを可能にすることができる。圧縮空気の添加は、CO2が汚染された流体から取り除かれるのを可能にすることができる。一部の流体処理システムにおいて、CO2は、硬度が沈殿剤又は凝固剤と反応する前に、水酸化物ベースの沈殿剤又は凝固剤と反応し得る。沈殿剤又は凝固剤と反応するCO2は、従って、硬度が沈殿剤又は凝固剤と反応するのを防ぎ得る。沈殿剤と反応するCO2は、水酸化物ベースの沈殿剤の用量を増やし、汚染された流体のpHも不必要に上げ得る。従って、流体処理システムに沈殿剤又は凝固剤を導入することに先立ちCO2含有量を除去することは、有利に、硬度と沈殿剤又は凝固剤とのより速い反応速度を可能にすることができる。CO2含有量を除去することは、有利に、流体処理システム内の汚染された流体のpHを制御することもできる。
【0032】
一部の実施形態において、エアレーションユニットは、DO添加装置を含んでもよい。DO添加装置は、金属(例えば鉄等)を酸化させて、不溶性の金属酸化物を作ることができる。DO添加装置を用いて、システムは、1つのユニット動作において金属を酸化させ、さらに、硬度を除去することができる。一部の実施形態において、エアレーションユニットは、有利に、水酸化物沈殿剤の添加に先立ち溶存CO2を除去することによって、所望のレベルの硬度減少を達成することに対する化学的要求を減らすことができる。一部の実施形態において、エアレーションユニットは、所望のレベルの硬度減少又は汚染物質除去に対して必須でなくてもよい。一部の実施形態において、エアレーションユニットは、有利に、流体処理システムの運転費を減らすことができる。
【0033】
一部の実施形態において、金属を酸化させて不溶性の金属酸化物にすることによって、汚染された流体から金属を除去することができる。圧縮ガス注入口は、圧縮ガス源と結合、接続、又さもなければ、連絡していてもよい。圧縮ガス源及び圧縮ガス注入口は、圧縮ガスを提供するように動作可能であってもよく、さらに、例えば、圧縮空気又は酸素を提供してもよい。圧縮ガス注入口のガスフローは、バルブ、又は、質量流量コントローラ若しくは他の制御装置によって制御することができる。
【0034】
一部の実施形態において、クロスフロー濾過装置を利用することができ、さらに、圧縮ガス源を、DO添加装置の透過側(乾燥側)に接続することができる。圧縮ガスは、汚染された流体の圧力よりも大きい圧力を有してもよい。従って、圧縮ガスがDO添加装置内に導入される場合に、圧縮ガスは、DO添加装置を押し進む、又は、より具体的には、装置の基板を押し進むことができる。圧縮ガスがDO添加装置の基板を押し進む場合に、気泡が液体媒体内に生じ得る。
【0035】
金属除去も硬度除去も所望されるか又は要求される場合、エアレーション装置は、一部の実施形態において、どちらも容易にすることができる。エアレーション装置は、金属を酸化させて、不溶性の金属酸化物にする、及び、水酸化物ベースの沈殿剤の添加に先立ちCO2を取り除くことによって、硬度除去に対する化学的要求を減らすことができる。
【0036】
一部の流体処理システムにおいて、圧縮ガスが基板を通過する場合に大きな気泡が形成され得る。大きな気泡は、基板から離れるのに十分な浮力を有し得る。従って、大きな気泡は、汚染された液体媒体又は汚染された流体の上面まで浮遊することができる。上面までの気泡の浮遊は、汚染された流体内に存在する汚染物質のエアストリッピングを容易にすることができる。
【0037】
本開示の実施形態によると、DO添加装置の基板内の小さい穴又は孔に圧縮ガスを通す又は通過させることは、基板のうち流体が通過する側に気泡を生成し得る。生成された気泡は、ミクロの気泡であってもよく、又は、サイズがサブミクロンであってもよい。サブミクロンサイズの気泡は、より大きな気泡よりも著しく小さい浮力を有し得る。従って、生成された気泡は、その浮力が、気泡が基板の表面張力を克服するのを可能にしないように十分小さくあってもよい。従って、生成された気泡は、基板から離れなくてもよく、さらに、汚染された流体の上まで上昇しなくてもよい。代わりに、生成された気泡は、実質的に、基板の表面に付着したまま又は近接したままであってもよい。一部の実施形態において、DO添加装置内の基板の濡れた側に沿って通過する汚染された流体の洗浄のみが、気泡を汚染された流体内に放出させ得る。
【0038】
本開示の実施形態によると、サブミクロンサイズの気泡を生成することは、実質的に、DO添加装置内の酸素の接触面を増やし得る。小さい気泡は、より大きな気泡と比較して、同じ量又は体積のガスを使用し、より大きな表面積対体積比を提供することができる。従って、開示された原理を利用することによって、DO添加装置内に導入された空気又は酸素ガスの表面積対体積比を最大にすることができる。言い方を変えれば、同じ体積のガスを使用して、より多くの数のより小さな気泡が、より大きな気泡よりも生成され得る。従って、より小さな気泡を生成することによって、汚染された流体内の酸素の表面積を増やすことができる。次に、導入されるガスの体積を著しく増やすことなく、酸素と汚染された流体との接触を著しく増やすことができる。
【0039】
一部の実施形態において、30l/分の加圧ガスあたり約76l/分の汚染された流体という比を達成することができる。一部の実施形態において、加圧純酸素を使用することができる。加圧純酸素が使用される実施形態において、名目上は6l/分の加圧酸素あたり約76l/分の汚染された媒体という比を達成することができる。本開示によると、いかなるタイプのフィルタユニットも、本明細書の記載から逸脱することなく、DO添加装置の代わりに使用することができる。適切なフィルタが、本明細書において定められる気泡をもたらすように、及び、通過する液体媒体内の金属粒子を酸化させるように動作可能であってもよい。
【0040】
一部の実施形態において、基板の孔を通され且つ流体を通すことによって洗浄されるガスの流体力学と共に、増加した圧縮ガスの圧力は、DO添加装置内に高乱流混合作用をもたらし得る。一部の実施形態において、乱流範囲における高いレイノルズ数が効果的であり得る。高いレイノルズ数は、4mmのチャネルを通る約4l/分という汚染された流体の流量を使用して達成することができる。汚染された流体は、直径が1ミクロン未満であってもよい開口部を有するセラミック膜を利用するクロスフロー濾過ユニットの透過側に放出することができる。
【0041】
高い乱流混合、及び、導入されたガスの最大にされた表面積対体積の比の正味の効果は、著しく少ない体積のガスが必要とされ、汚染された流体が溶存酸素で飽和され得るということであってもよい。さらに、気泡の浮力が、気泡に基板から離れさせないようにし、その結果、気泡に流体流に入らせないようにする、又は、流体流の上まで上昇させないようにすることができるため、気泡は、基板の濡れた側を洗浄する通過する液体媒体によってのみ除去することができる。一部の実施形態において、気泡によって提供される酸素を、汚染された流体又は液体媒体を通じてより均等に拡散させることができる。従って、流体処理プロセス及び酸化プロセスの効率を上げることができる。
【0042】
一部の実施形態において、DO添加装置を出る汚染された流体は、不溶性の金属粒子を含んでもよい。不溶性の金属粒子は、比較的大きな粒子として綿状に固まる傾向があり得る。一部の実施形態において、不溶性の金属粒子等の大きな粒子は、定着タンクの底面に定着し得る。一部の実施形態において、不溶性の金属粒子等の大きな粒子は、いかなるタイプの濾過システムを使用しても除去することができる。そのような不溶性の金属粒子を濾過する方法は、有利に、腐食性化学薬品(aggressive chemicals)の必要性を減らす又は排除することができる。他の利点は、下水道システム内に化合物を排出する、オフサイドの処理施設にて化学物質を処分する必要性を減らす又は排除することを含んでもよい。さらに、そのような作用に伴う費用も減らす又は排除することができる。
【0043】
凝固剤
一部の実施形態において、流体処理システムは化学物質注入口をさらに含んでもよい。化学物質注入口は、エアレーションユニットの下流及び/又はハイソリッド接触反応装置の上流に配置することができる。化学物質注入口は、濃縮タンクの上流に配置することができ、及び/又は、汚染された流体に、選択された凝固剤又は沈殿剤を計量して供給するように動作可能であってもよい。凝固剤は、一部の実施形態において、1つ又は複数の金属塩を含んでもよい。凝固剤は、(例えば固体及び溶存)分子上の電荷を不安定化することができ、汚染物質に共に凝固させて固体にする。汚染物質が凝固されると、濾過することができる。凝固剤を用いて除去することができる汚染物質は、例えば、溶存有機炭素(DOC)、リガンド等の色を与える汚染物質及び濁りを含んでもよい。
【0044】
凝固は、通常、大きな専用の反応容器において発生する。しかし、本開示の一部の実施形態は、凝固が、ハイソリッド混合を介して濃縮タンクにおいて促進され、別の凝固タンクを不必要にするということにおいて異なる。
【0045】
凝固剤は、汚染された流体の組成又は他の特徴に基づき選択することができる。一部の実施形態において、2つ以上の凝固剤の使用が望ましくあり得る。適切な凝固剤は、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)、並びに、その組み合わせを含んでもよい。他の凝固剤は、汚染された流体内の特定の汚染物質を標的にするように、必要に応じて選択することができる。同様に、凝固剤の組み合わせを、同じ又は異なる割合で、所望の凝固効果を達成するように選択することができる。化学物質注入口によって提供される凝固剤は、溶存有機化合物の除去を促進する及び/又は容易にするように動作可能であってもよい。
【0046】
水酸化物沈殿剤
一部の実施形態において、流体処理方法は、Ca(OH)2又は石灰の添加を含んでもよい。石灰添加は、Ca(OH)2の直接添加によって達成することができる。一部の実施形態において、Ca(OH)2は、可溶性の水酸化化合物(hydroxide compound)の添加によって間接的に導入されてもよい。可溶性の水酸化化合物は、水酸化ナトリウムNaOH及び/又は水酸化カリウムKOHを含んでもよい。石灰の間接添加は、以下の化学式:
2OH-+Ca(HCO3)2→2HCO3
-+Ca(OH)2の下で発生し得る。
【0047】
Ca(OH)2が直接添加されようと間接添加されようと、この添加は、汚染された流体内の硬度の沈殿除去を促進することができる。Ca(OH)2によって促進される硬度の沈殿除去は、本開示による濃縮タンク内で発生し得る。硬度の沈殿除去は、カルシウム及びマグネシウムが沈殿して炭酸塩になることを含んでもよい。沈殿した炭酸塩は、本開示による流体処理システムの濃縮ループで堆積し得る。
【0048】
濃縮タンク
一部の実施形態において、流体処理システムは濃縮タンクをさらに含んでもよい。濃縮タンクは、供給流と流体連通していてもよい。従って、汚染された流体を含む供給流は、汚染された流体を濃縮タンクに提供するように動作可能であってもよく、さらに、濃縮タンクは、供給流から汚染された流体を受けるように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、エアレーションユニット及び/又は化学物質注入口を、濃縮タンクの上流に配置することができる。一部の実施形態において、濃縮タンクは、エアレーションユニット及び/又は化学物質注入口と流体連通していてもよい。従って、濃縮タンクは、エアレーションユニット及び/又は化学物質注入口の下流で汚染された流体を受けることができる。
【0049】
濃縮タンクは、一部の実施形態において、いかなる所望のサイズ、形状及び定位を有してもよい。例えば、濃縮タンクは、概して円柱状であってもよく、さらに、概して立向きに置かれてもよい。一部の実施形態において、濃縮タンクは反応そうを含んでもよい。濃縮タンクの大きさ及びサイズは、種々の機能上のニーズを達成するように異なり得る。一部の実施形態において、より大きな濃縮タンクは、より大きな体積の汚染された流体を受けるように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、より小さな濃縮タンクは、より費用効率が高くあり得る。一部の実施形態において、濃縮タンクは、約800ガロンの容積を含んでもよい。一部の実施形態において、濃縮タンクは、約6フィートの直径を含んでもよい。異なる反応装置の設計又はタイプを、供給流内の汚染物質の特徴又は濃度等の要因に応じて選択することができる。
【0050】
一部の実施形態において、濃縮タンクは、クロスフロー濾過を利用してもよく、又は、クロスフロー機構を示してもよい。一部の実施形態において、濃縮タンクは、用途に応じて約30秒から約5分の滞留時間を示してもよい。一部の実施形態によると、比較的高い濃度の沈殿した及び/又は凝固した及び/又は酸化された汚染物質と関連したクロスフロー濾過からの多い流量によって、限外濾過装置内のハイソリッド接触反応装置が創作される。これは、濃縮タンク内の反応を促進する及び/又は加速させることができる。プロセスは、蓄積された固体がタンク内に存在(してさらなる反応を促進)する場合に機能し得る(例えば、よく機能し得る)。ブローダウン(例えば、断続的、連続的)が行われて、システム内に蓄積する一部の固体を放出してもよい。行われる場合、少なくとも一部の固体が、システム内(例えばタンク内等)に残るのを可能にされる。ブローダウンの後で保持されることになる固体の量は、所望の速度でのさらなる沈殿反応の核となるのに十分であるように(例えば経験的に)選択することができる。
【0051】
一部の実施形態において、濃縮タンクは、汚染された流体の硬度を減らすように動作可能であってもよい。水又は流体の硬度は、水又は流体が高いカルシウム及び/又はマグネシウム含有量を有する場合に生じ得る。濃縮タンクは、鉱物含有量から生じ得る多価カチオンを除去することによって硬度を減らすことができる。一部の実施形態において、濃縮タンクは、水若しくは流体から硬度を沈殿除去すること、又は、水若しくは流体から多価カチオンを沈殿させることによって硬度を減らすことができる。硬度の沈殿除去は、カルシウム及びマグネシウムを沈殿させて炭酸塩にすることを含んでもよい。沈殿された炭酸塩は、本開示による流体処理システムの濃縮ループで堆積してもよい。一部の実施形態において、適した化学的性質及び/又は混ぜ合わせを提供することは、カルシウム及びマグネシウムを沈殿させることにおいて鍵となる変化するものであり得る。
【0052】
ポンプ
一部の実施形態において、流体処理システムは、ポンプをさらに含んでもよい。ポンプは、濃縮タンクと濾過ユニットの間に配置することができる。ポンプは、濃縮タンクの吐出し流と流体連通していてもよい。ポンプは、濃縮タンクから濾過ユニットまでの濃縮された流体の流量を調節して、濾過ユニットを通る所望のクロスフローを発生させる、及び、濃縮タンクにおける十分な混ぜ合わせを提供するように構成することができる。
【0053】
種々のタイプのポンプを、本明細書の記載から逸脱することなく使用することができる。一部の実施形態において、ポンプは、遠心ポンプ、横軸ポンプ又はねじポンプであってもよい。
【0054】
濾過ユニット
一部の実施形態において、流体処理システムは濾過ユニットをさらに含んでもよい。濾過ユニットは、濃縮タンクと流体連通していてもよい。従って、濾過ユニットは、濃縮タンクから濃縮された流体を受けるように動作可能であってもよく、さらに、濃縮タンクは、濃縮された流体を濾過ユニットに提供するように動作可能であってもよい。パイプ又はチューブを使用して、濃縮タンクと濾過ユニットの間に流体連通を確立することができる。流体連通を確立するためのパイプ又はチューブは特定の材料を含んでもよく、さらに、特定の長さ又は直径を有してもよい。使用される大きさ及び材料は、本明細書の記載から逸脱することなく変わり得る。一部の実施形態において、パイプのサイズは、セラミック膜に対する所望のクロスフロー流量次第であってもよい。クロスフロー流量は、透過水の流量の(例えば、濾過されている材料次第で)1から10倍に及び得る。
【0055】
一部の実施形態において、濾過ユニットは、汚染された流体から汚染物質を濾過するように動作可能であってもよい。汚染された流体からの汚染物質は、総懸濁固体量(TSS)、病原体、酸化された汚染物質、凝固された汚染物質及び沈殿された汚染物質を含んでもよい。一部の実施形態において、水又は流体内の汚染物質は、硬度に寄与し得る多価カチオンの沈殿物を含んでもよい。
【0056】
一部の実施形態において、濾過ユニットは、セラミック膜の濾過ユニットを含んでもよい。一部の実施形態において、セラミック膜の濾過ユニットは、限外濾過膜、ナノ濾過膜又は精密濾過膜を含んでもよい。異なる膜又はセラミック膜の濾過ユニットのタイプを、汚染された流体内の汚染物質に応じて選択することができる。一部の実施形態において、セラミック膜の濾過ユニットは、1nmから900nmの孔径を含んでもよい。一部の実施形態において、セラミック膜の濾過ユニットは、α-Al2O3、γ-Al2O3、TiO2、ZrO2又はSiO2等の材料を含んでもよい。他の材料が、本明細書の記載から逸脱することなく使用されてもよい。
【0057】
濾過ユニットは、一部の実施形態において、クロスフローフィルタとして動作するように構成することができる。クロスフローの動作は膜壁にて剪断を提供することができ、それは、膜の洗浄及び/又は汚損の減少に寄与し得る。濾過ユニットは、例えば、本体を含んでもよく、本体は、その中を延びる少なくとも1つのチャネルを有する。チャネルは、濾過ユニットへ流体を入れるように構成される注入口、注入口と流体連通し、且つ、フロースルー流体(例えば濃縮した媒体)が濾過ユニットを出るのを可能にするように構成された排出口、及び、膜を含んでもよい。チャネルの少なくとも一部が膜によって画定されてもよく、膜は、注入口及び排出口と流体連通した汚染された媒体表面、並びに、反対側の透過表面を有する。濾過ユニットは、透過表面と流体連通し、且つ、処理された流体媒体(透過水)が濾過ユニットを出るのを可能にするように構成された第2の排出口をさらに含み得る。濾過は、注入口及び排出口と流体連通した第1の部分、並びに、透過水の排出口と流体連通した第2の部分を含んでもよい。第1の部分と第2の部分の間の流体連通は、その2つの間に挿入される膜によって媒介されてもよい。さもなければ、第1の部分は、膜の迂回を減らす又は防ぐために、第2の部分から密封されてもよい。濾過ユニットは、いかなる所望のサイズ、形状又は定位を有してもよい。例えば、濾過ユニットは、概して円柱状であってもよく、さらに、概して水平に置かれてもよい。注入口が一末端にて置かれてもよく、さらに、濃縮排出口が反対の末端にて置かれてもよい。透過排出口はどこに置かれてもよく、例えば、その中央にて又はその付近にてユニットの側面から延びることを含む。
【0058】
透過流
一部の実施形態において、流体処理システムは、濾過ユニットから処理された流体を受けるように動作可能な透過流をさらに含んでもよい。処理された流体は、硬度が減ったかもしれない且つ汚染物質が除去されたかもしれない流体であってもよい。処理された流体は、濾過ユニットからの透過水であってもよく、又は、該透過水を含んでもよい。透過流は、濾過ユニットと流体連通したパイプ又はチューブを含んでもよい。パイプ又はチューブは、特定の材料を含んでもよく、さらに、要望通り特定の長さ又は直径を有してもよい。供給流は、特定の流量又はその中の汚染された流体の流量を有してもよい。パイプの特定の材料、長さ及び直径等の大きさ及び規格、並びに、流量は、本明細書の記載から逸脱することなく変えられてもよい。
【0059】
再循環ループ
一部の実施形態において、流体処理システムは、再循環ループ又は再循環流をさらに含んでもよい。再循環流は、濾過ユニットから流体を受け、さらに、流体を濃縮タンクに提供するように構成することができる。一部の実施形態において、再循環流によって濃縮タンクに提供される流体は、濾過ユニットからの流体の少なくとも一部を含んでもよい。一部の実施形態によると、再循環ループ及び/又は供給流の注入口は、一般的には濃縮タンクの上側部分と流体連通していてもよく、及び/又は、一般的には濃縮タンクの排出口(例えば、濾過ユニットと流体連通した排出口)の反対側と流体連通していてもよい。
【0060】
再循環バルブ
一部の実施形態において、流体処理システムは再循環バルブをさらに含んでもよい。再循環バルブは、再循環流上に配置することができ、並びに/又は、濾過ユニット内の圧力(例えば規定若しくは所望の圧力等)及び/若しくはクロスフロー流量を提供するように構成することができる。種々のタイプのバルブを、本明細書の記載から逸脱することなく使用することができる。一部の実施形態において、再循環バルブは、ボールバルブ、バタフライバルブ、プラグバルブ、ニードルバルブ、ピンチバルブ、ゲートバルブ、アニュラーバルブ、ダイヤフラムバルブ又は他の適したバルブであってもよい。
【0061】
排出流
一部の実施形態において、流体処理システムは排出流をさらに含んでもよい。排出流は、再循環流上に配置することができ、及び/又は、システムからの少なくとも一部の固体の除去を可能にするように構成することができる。排出流は、再循環流内の流体の少なくとも一部を受けるように構成することができる。受けた流体は、実質的な濃度の沈殿除去された硬度、及び/又は、供給流によって提供された汚染された流体から除去された汚染物質を含んでもよい。
【0062】
排出流は、再循環流と流体連通したパイプ又はチューブを含んでもよい。パイプ又はチューブは、特定の材料を含んでもよく、さらに、特定の長さ又は直径を有してもよい。供給流は、特定の流量又はその中の汚染された流体の流量を有してもよい。パイプの特定の材料、長さ及び直径等の大きさ及び規格、並びに、流量は、本明細書の記載から逸脱することなく変えられてもよい。
【0063】
排出バルブ
一部の実施形態において、流体処理システムは排出バルブをさらに含んでもよい。排出バルブは、排出流上に配置することができる。排出バルブは、再循環流から排出流を通る流体の流れを制御するように構成されてもよい。一部の実施形態において、排出バルブは、そこを通る汚染された流体の流れを停止する及び/又は開始することができる。種々のタイプのバルブを、本明細書の記載から逸脱することなく使用することができる。一部の実施形態において、排出バルブは、ボールバルブ、バタフライバルブ、プラグバルブ、ニードルバルブ、ピンチバルブ、ゲートバルブ、アニュラーバルブ、ダイヤフラムバルブ又は他の適したバルブであってもよい。
【0064】
追加の構成要素
一部の実施形態において、ポンプ又はバルブ等の追加の物を、本明細書の記載から逸脱することなく使用することができる。例えば、一部の実施形態において、遠心ポンプ、横軸ポンプ、ねじポンプ及び他のポンプ等の追加のポンプを、流体処理システムの一部として加えて、その中の種々の流体流の流れを調節することができる。別の例として、一部の実施形態において、ボールバルブ、バタフライバルブ、プラグバルブ、ニードルバルブ、ピンチバルブ、ゲートバルブ、アニュラーバルブ、ダイヤフラムバルブ又は他の適したバルブ等の追加のバルブを、流体処理システムの一部として加えて、その中の種々の流体流の流れを制御又は調節することができる。
【0065】
pH制御
一部の実施形態において、本開示の流体処理システムは、有利に、硬度減少及び汚染物質除去の処理の間の汚染された流体のpHの変動を制御することができる。一部の流体処理システムにおいて、カルシウム及びマグネシウムを沈殿させて炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムにすることは、結果として生じる流体流のpHレベルを上げ得る。一部のシステムにおいて、pHレベルは、10ほどの高さまで又は10を超えて上昇してもよい。一部の目的に対して、pHレベルの増加は望ましくない場合がある。
【0066】
一部の流体処理システムにおいて、pH中和剤が、流体のpHレベルの増加を減らすか若しくは制御するために添加されてもよく、又は、そのために必要であり得る。本開示の一部の実施形態において、エアレーションユニット、化学物質注入口及び濃縮タンクの構成は、後の中和剤が流体処理プロセス又はそのシステムに必要でなくてもよいように、pHレベルを制御することができる。エアレーションユニットは、硬度減少が発生する前に供給流からCO2を取り除くように動作可能であってもよい。結果として、一部の実施形態において、上流で添加される石灰及び/又は可溶性の水酸化イオンのうち本質的に全てが、硬度と直接反応することができる。水酸化化学物質(hydroxide chemical)のほぼ化学量論的な添加のみが、一部の実施形態において要求され得る。沈殿反応が濃縮タンク内で発生し、そこでは、高い濃度のCaCO3及び/又はMgCO3が存在するため、水酸化化学物質は上記のpH10を上げるためには要求されない。濃縮タンク内のCaCO3及び/又はMgCO3は、9を下回るpHレベルにて溶存Ca及びMg沈殿を促進する。従って、処理された水のpHは、一部の実施形態において9未満であってもよい。
【0067】
pHの制御は、一部の実施形態において、望ましい反応が増強されるのを可能にすることができる。例えば、上流のpHを上げることは、容器内の反応を増強し得る。pHが、例えば7以下である場合、塩基を追加することができる。一部の実施形態において、pHを(例えば7未満から7を超えるまで)増加することによって、金属及び/又は硬度の除去が増強され得る。
【0068】
本開示の一部の実施形態において、流体処理システム及びその方法は、有利に、後の中和剤の必要性を減らすことができ、その結果、有利に、ケミカルフットプリント及び化学的要求を減らすことができる。本開示の一部の実施形態において、処理された流体は、約9以下のpHを有してもよい。
【0069】
強化物質移動
一部の実施形態において、流体処理システムは、クロスフロー濾過を利用することができるか、又は、クロスフロー機構を示すことができる。クロスフロー濾過において、入ってくる供給流は、クロスフロー膜の表面を通過することができる。一部のクロスフロー濾過システムにおいて、2つの吐出し流が生成され得る。透過流は、膜を通る流体の一部であってもよい。透過流は、供給流又は汚染された流体からのいくらかの可溶性及び/又は不溶性の成分を含有し得る。透過流内の成分は、膜の除去定格又は孔径よりも小さくあり得る。濃縮流は、膜を通らなかった供給流又は汚染された流体の残りであり得る。
【0070】
一部の実施形態において、クロスフロー濾過及びクロスフロー機構は、物質移動を改善する、及び、流体の混ぜ合わせを促進することができる。強化物質移動は成分接触を促進することができ、異なる成分間のさらなる接触が発生する。成分接触は、所望の反応をもたらし得る。従って、強化物質は、硬度減少に対するより速い沈殿速度等、より速い反応速度を可能にすることができる。
【0071】
一部の実施形態において、流体処理システムによって利用されるクロスフロー濾過は、有利に、吸込み系(sink)様効果をもたらし得る。濃縮タンクに入る汚染された流体内に存在する固体は、吸込み系として働き、さらに、濃縮タンクに入るに従い汚染物質を引き寄せ得る。吸込み系様効果は、さらなる硬度減少及び汚染物質除去を相乗的に促進することができる。
【0072】
ホーニング材料
一部の流体処理システムにおいて、ホーニング材料を流体に添加することができる。ホーニング材料は、有利に、濾過膜から汚染物を洗浄することができる。従って、流体処理システムは、ホーニング材料を加えて、濾過膜の汚損を防ぐことができる。
【0073】
本開示の一部の実施形態において、沈殿された炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム又は他の金属の沈殿物は、ホーニング材料と同じ効果を実証することができる。一部の実施形態において、沈殿された炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムは、濾過膜から汚染物を洗浄するのに役立ち得る。従って、一部の実施形態において、別のホーニング材料が、流体処理システムに添加される必要がなくてもよい。ホーニング材料として働く沈殿された炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムの能力は、有利に、別のホーニング材料の必要性等、膜の洗浄要求を減らすことができる。ホーニング材料として働く沈殿された炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムの能力は、有利に、運転費を減らすこともできる。
【0074】
小さいサイズ/小型化
本開示の一部の実施形態において、流体処理システムは、実質的に、従来の硬度除去システムよりもコンパクトであってもよく、又は、空間効率がよくあってもよい。一部の実施形態において、流体処理システムの濃縮タンクは、約800ガロンの容積を含んでもよい。一部の実施形態において、流体処理システムの濃縮タンクは、約6フィートの直径を含んでもよい。一部の実施形態において、さらにコンパクトで空間効率のよい流体処理システムは、費用効率がより高くあり得る。
【0075】
一部の実施形態において、本開示の流体処理システムは、沈殿反応装置又は別の濾過タンク若しくは濾過システムを不必要にし得る。
【0076】
一部の実施形態において、本開示の流体処理システムは、ケミカルフットプリント及び化学的要求を減らすことができる。一部の実施形態において、本開示の流体処理システムにおける増加した物質移動が、より短い処理又は滞留時間を可能にすることができる。
【0077】
使用方法
一部の実施形態によると、本開示は、流体を処理する方法、又は、流体処理システムを作動させる方法に関する。より具体的には、一部の実施形態において、本開示は、流体の硬度減少及び汚染除去のための方法に関する。
【0078】
一部の実施形態において、流体処理の方法は、汚染された流体を含む供給流を濃縮タンクに提供するステップを含んでもよい。方法は、濃縮タンク内に汚染された流体を受けるステップをさらに含んでもよい。方法は、濃縮タンク内で汚染された流体の硬度を減らすステップをさらに含んでもよい。開示された方法の実施形態による濃縮タンクは、汚染された流体の硬度を減らすように構成することができる。一部の実施形態において、汚染された流体の硬度を減らすステップは、汚染された流体から金属を沈殿させることを含んでもよい。汚染された流体から沈殿される金属は、カルシウム、マグネシウム、及び、酸化させることができる他の金属を含んでもよい。
【0079】
流体処理の方法は、濃縮された流体を濃縮タンクから濾過ユニットまで移すステップを含んでも(例えばさらに含んでも)よい。流体処理の方法は、濾過ユニットにて、濃縮された流体を濃縮タンクから受けるステップを含んでも(例えばさらに含んでも)よい。開示された方法の実施形態による濾過ユニットは、濃縮された流体から汚染物質を濾過するように構成することができる。一部の実施形態において、濾過ユニットは、セラミック膜のシステム又はセラミック膜の濾過ユニットであってもよい。方法は、処理された流体を濾過ユニットから移すステップをさらに含んでもよい。処理された流体は、吐出し流にて、濾過ユニットから受けることができる。
【0080】
一部の実施形態において、エアレーションユニットを、濃縮タンクの上流に配置することができる。エアレーションユニットはDO添加装置を含んでもよい。圧縮空気注入口又は圧縮ガス注入口が、DO添加装置に結合されてもよい。一部の実施形態において、本開示による方法は、DO添加装置にて又はDO添加装置を介して、圧縮空気注入口から圧縮空気を受けるステップをさらに含んでもよい。一部の実施形態において、方法は、エアレーションユニットを使用して、汚染された流体からCO2含有量を除去するステップをさらに含んでもよい。
【0081】
一部の実施形態において、圧縮ガス注入口又は圧縮空気注入口は、DO添加装置の透過側に接続させることができる。DO添加装置は基板を含んでもよく、基板は、特定の直径の孔を含んでもよい。基板の孔は、1ミクロン未満の直径を有してもよい。圧縮ガス注入口によって提供される圧縮ガスは、基板を通過させることができる。基板を通過した圧縮ガスは、基板の濡れた側にサブミクロンサイズの気泡を形成し得る。生成された気泡は、その浮力が、気泡が基板の表面張力を克服するのを可能にしないように、十分小さくあってもよい。従って、生成された気泡は、基板の側面に付着したままであってもよく、さらに、汚染された流体の上まで上昇しなくてもよい。生成されたサブミクロンサイズの気泡は、次に、約4l/分の流量にて洗浄されてもよい。
【0082】
一部の実施形態において、方法は、濃縮タンクの上流に化学物質注入口を提供するステップをさらに含んでもよい。少なくとも1つの凝固剤及び/又は塩基を、化学物質注入口を介して汚染された流体に提供することができる。凝固剤は、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)、並びに、その組み合わせを含む群から選択することができる。他の凝固剤を、汚染された流体の内容物又は特徴に応じて選ぶことができる。汚染された流体内に導入された凝固剤は、汚染された流体内の汚染物質の凝固を促進することができる。
【0083】
一部の実施形態において、方法は、濃縮タンクと濾過ユニットの間にポンプを提供するステップをさらに含んでもよい。その間に提供されるポンプは、濃縮タンクから濾過ユニットまでの濃縮された流体の流れを調節するように作動させられてもよい。
【0084】
一部の実施形態において、方法は、再循環流を提供するステップをさらに含んでもよい。方法は、再循環流において、濾過ユニットから再循環流体を受けるステップを含んでもよい。方法は、再循環流内の再循環流体を、濃縮タンクに提供するステップを含んでもよい。
【0085】
一部の実施形態において、方法は、再循環流上に再循環バルブを提供するステップ及び/又は再循環流上の再循環バルブを作動させるステップをさらに含んでもよい。再循環バルブは、再循環バルブを使用して、濾過ユニットから濃縮タンクまでの再循環流体の流れを調節するように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、方法は、再循環流上に排出流を提供するステップをさらに含んでもよい。再循環流体の少なくとも一部を、排出流を介して排出することができる。一部の実施形態において、方法は、排出流上に排出バルブを提供するステップをさらに含んでもよい。排出バルブは、排出流の流れを調節するように動作可能であってもよい。
【0086】
特定の例となる実施形態
流体処理システムの特定の例となる実施形態が
図1において例示されている。
図1は、汚染された流体101を処理するように動作可能であり得る流体処理システム100を例示している。より具体的には、流体処理システム100は、硬度減少及び汚染物質除去のために構成することができる。
図1において見られるように、流体処理システム100は、供給流103を含んでもよい。供給流103は、その中に汚染された流体101を提供するように動作可能であってもよい。
【0087】
供給流103は、エアレーションユニット105と流体連通していてもよい。エアレーションユニット105は、汚染された流体からCO2含有量を除去するように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、エアレーションユニット105はDO添加装置であってもよい。一部の実施形態において、エアレーションユニット105は、圧縮ガス注入口107に結合するか又さもなければ接続することができる。圧縮ガス注入口107は、エアレーションユニット105又はDO添加装置内に圧縮ガス又は圧縮空気の流れを提供するように動作可能であってもよい。エアレーションユニット105は、その中に基板(図示せず)を含んでもよい。圧縮ガス注入口は、エアレーションユニット105の透過側でエアレーションユニット105に結合するか又さもなければ接続することができる。
【0088】
一部の実施形態において、化学物質注入口109が、エアレーションユニット105の下流に配置されてもよい。化学物質注入口109は、エアレーションユニット105の出力された流体流に結合されるか又は該流体流と流体連通されてもよい。化学物質注入口109は、少なくとも1つの凝固剤、塩基又は他の材料を汚染された流体101に提供するように構成することができる。少なくとも1つの塩基は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを含む群から選択することができる。凝固剤は、ミョウバン(硫酸アルミニウム)、塩化第二鉄又は硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム(PAC)及びアルミニウムクロロハイドレート(ACH)、並びに、その組み合わせから選択することができる。
【0089】
濃縮反応装置110が、エアレーションユニット105の下流、及び、化学物質注入口109の下流に配置されてもよい。濃縮反応装置110は、汚染された流体101を受けるように動作可能であってもよい。濃縮反応装置110は、汚染された流体101の硬度を減らすように動作可能であってもよい。濃縮反応装置110は、800ガロン/タンクを含んでもよく、さらに、6フィートの直径を含んでもよい。濃縮反応装置110は、約1分の保持率を有してもよい。
【0090】
濃縮反応装置110は、濾過ユニット120と流体連通していてもよい。ポンプ116をその間に提供することができる。ポンプ116は、濃縮反応装置110から濾過ユニット120までの濃縮された流体113の流れを駆動する及び/又は調節するように構成することができる。
【0091】
一部の実施形態において、濾過ユニット120は、濃縮反応装置110の下流に提供することができ、さらに、ポンプ116の下流に提供することができる。濾過ユニット120は、濃縮された流体113から汚染物質を濾過するように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、濾過ユニット120は、セラミック膜のシステムであってもよい。
【0092】
一部の実施形態において、吐出し流121を、濾過ユニット120に結合させるか又さもなければ接続させることができる。吐出し流121は、濾過ユニット120からの処理された流体123を含んでもよい。
【0093】
流体処理システム100は、一部の実施形態において、流体125を再循環させ、濾過ユニット120から濃縮反応装置110まで戻すことができる。再循環流体125は、再循環流127を介して再循環させることができる。再循環流127は、濾過ユニット120から再循環流体125を受けるように、及び、再循環流体125を濃縮反応装置110に提供するように構成されてもよい。一部の実施形態において、再循環バルブ142を、再循環流127上に配置することができ、さらに、濾過ユニット120から濃縮反応装置110までの再循環流体125の流れを制御するように構成することができる。
【0094】
一部の実施形態において、流体処理システム100は、再循環流127上に配置される排出流131を含んでもよい。排出流131は、再循環流127から再循環流体125の少なくとも一部を排出するように構成することができる。排出バルブ130が、排出流131上に配置されてもよく、さらに、排出流131の流れを制御するように構成されてもよい。
【0095】
流体処理システムの特定の例となる実施形態が
図2において例示されている。
図2は、汚染された流体201を処理するように動作可能であり得る流体処理システム200を例示している。システム200は、注入口202、ハイソリッド接触反応装置210、ポンプ216、濾過ユニット220、吐出し流222及び再循環流240を含む。流体処理システム200は、汚染物質除去のために構成することができる。
図2において見られるように、流体処理システム200は供給流203を含んでもよい。供給流203は、その中に汚染された流体201を収容することができる。
【0096】
濃縮反応装置210を、一部の実施形態において、化学物質注入口209の下流に配置することができる。濃縮反応装置210は、大気に対して開いていてもよい開口部212を含み得る。濃縮反応装置210は、汚染された流体201を受けるように動作可能であってもよい。濃縮反応装置210は、汚染された流体201の硬度を減らすように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、濃縮反応装置210は、~100ガロン/タンクを含んでもよく、さらに、6フィートの直径を含んでもよい。濃縮反応装置210は、約1分の保持率を有してもよい。
【0097】
一部の実施形態において、濃縮反応装置210は、濾過ユニット220と流体連通していてもよい。ポンプ216をその間に提供することができる。ポンプ216は、濃縮反応装置210から濾過ユニット220までの濃縮された流体213の流れを駆動する及び/又は調節するように構成することができる。一部の実施形態において、濾過ユニット220は、濃縮反応装置210の下流に提供することができ、さらに、ポンプ216の下流に提供することができる。濾過ユニット220は、濃縮された流体213から汚染物質を濾過するように動作可能であってもよい。一部の実施形態において、濾過ユニット220は、セラミック膜のシステムであってもよい。吐出し流221を、濾過ユニット220に結合させるか又さもなければ接続させることができる。吐出し流221は、濾過ユニット220からの処理された流体223を含んでもよい。
【0098】
流体処理システム200は、一部の実施形態によると、流体225を再循環させ、濾過ユニット220から濃縮反応装置210まで戻すことができる。再循環流体225は、再循環流240を介して再循環させることができる。再循環流240は、濾過ユニット220から再循環流体225を受けるように、及び、再循環流体225を濃縮反応装置210に提供するように構成されてもよい。一部の実施形態において、再循環バルブを、再循環流240上に配置することができ、さらに、濾過ユニット220から濃縮反応装置210までの再循環流体225の流れを制御するように構成することができる。
【0099】
一部の実施形態において、流体処理システム100は、再循環流240上に配置される排出流231を含んでもよい。排出流231は、再循環流240から再循環流体225の少なくとも一部を排出するように構成することができる。例えば、排出流231は、断続的又は連続的に再循環ループをブローダウンして、蓄積された固体を除去するように構成することができる。排出バルブ230が、排出流231上に配置されてもよく、さらに、排出流231の流れを制御するように構成されてもよい。再循環流体241(バルブ230での排出に続く再循環流体225)は、反応装置210まで続く。
【0100】
タンク210は立向きで方向づけることができる。注入流202は、タンク210の壁を横切り、タンク210内で少なくとも部分的に上昇し、Uターン204を通って曲がり、さらに、注入口205にて終わってもよい。比較的高い位置(例えば立向きに方向づけられたタンク210の中間点よりも上等)で、及び/又は、媒体排出口214から遠く(例えば反対側)で、タンク210内で汚染された媒体を堆積させることは、混ぜ合わせ及び/又は精製に望ましくは寄与することができる。濾過ユニット220は、タンク210に対して要望通り置かれてもよい。例えば、濾過ユニット220は、ポンプ216及び/又はタンクの排出口214と概して同じ水平方向の面で置かれてもよい。再循環流240も、比較的高い位置(例えば立向きに方向づけられたタンク210の中間点よりも上等)で、及び/又は、媒体排出口214から遠く(例えば反対側)で、タンクに望ましくは注ぐことができる。媒体排出口214は、タンク210内の比較的低いところ(例えば底、底の近く、中間点よりも下等)で望ましくは置かれてもよい。
【0101】
流体処理システムの特定の例となる実施形態が
図3において例示されている。
図3は、汚染された流体を処理するように動作可能であり得る流体処理システム300を例示している。システム300は、注入口302、ハイソリッド接触反応装置310、ポンプ316、濾過ユニット320、吐出し(透過)流322及び再循環流340を含む。流体処理システム300は、汚染物質除去のために構成することができる。
図3において見られるように、流体処理システム300は供給流303を含んでもよい。供給流303は、その中に汚染された流体301を収容することができる。システム300は、スキッド370をさらに含んでもよく、スキッド370に対して、システム300の他の構成要素を固定することができる。システム300は、コントローラ380及び/又はフローレギュレータ、流量計、放出バルブ、フランジ並びに示されている他の構成要素をさらに含んでもよい。
【0102】
サンプルデータ
表1は、本開示の特定の実施形態による流体処理のサンプル結果を例示している。5つの例示的なサンプルに対するデータが表1において示されている。
【0103】
【表1】
本開示の恩恵を受ける当業者によって理解されることになるように、流体処理システムに対する他の同等の又は代わりとなる組成、装置、方法及びシステムを、本明細書において含有された記載から逸脱することなく構想することができる。従って、示され且つ記載された開示を実行する様式は、例示としてのみ解釈されることになる。
【0104】
当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく部品の形状、サイズ、数及び/又は構成において種々の変更を行うことができる。例えば、バルブ又はポンプの位置及び数を変えることができる。加えて、装置及び/又はシステムのサイズを、(例えばより大きな流体処理システムに使用するために)率に応じて増やすか又は(例えば小型化された流体処理システムに使用するために)減らして、従業者のニーズ及び/又は要望を満たすことができる。それぞれの開示された方法及び方法のステップは、いかなる他の開示された方法又は方法のステップに付随して、及び、一部の実施形態によるいかなる順でも行われてよい。「してもよい」という助動詞が現れる場合、任意及び/又は随意の状態を伝えていると意図されるが、その使用は、別段の指示がない限り、いかなる操作可能性の欠如も示唆するとして意図されない。当業者は、本開示の組成、装置及び/又はシステムを調製並びに使用する方法において種々の変更を行うことができる。
【0105】
また、範囲が提供されている場合、開示されたエンドポイントは、要望通りの若しくは特定の実施形態によって要求される正確な及び/又は近似の値として処理することができる。エンドポイントが近似である場合、適応性の程度は、範囲の規模に比例して変わり得る。例えば、一方で、約5から約50の範囲という状況において約50のレンジエンドポイント(range endpoint)は、50.5を含んでもよいが、52.5又は55は含まず、もう一方で、約0.5から約50の範囲という状況において約50のレンジエンドポイントは、55を含んでもよいが、60又は75は含まない。加えて、一部の実施形態において、レンジエンドポイントをうまく組み合わせることが望ましくあり得る。また、一部の実施形態において、(例えば実施例、表及び/又は図面のうち1つ又は複数において)開示されるそれぞれの図は、(例えば、描かれる値+/-約10%、描かれる値+/-約50%、描かれる値+/-約100%、等)範囲の基礎、及び/又は、レンジエンドポイントを形成することができる。前者に関して、実施例、表及び/又は図面に描かれている50の値は、例えば約45から約55、約25から約100、及び/又は、約0から約100という範囲の基礎を形成することができる。
【0106】
流体処理システムに対する装置及び/又はシステムのうち全て又は一部が、使い捨て、使用可能、交換可能及び/又は取替え可能であるように構成及び配置されてもよい。これらの同等物及び選択肢は、明らかな変更及び修正と共に、本開示の範囲に含まれるとして意図される。従って、上述の開示は、付随の特許請求の範囲によって例示された本開示の範囲の例示であると意図されるが、限定であると意図されない。
【0107】
名称、要約、背景及び見出しは、規制に従って及び/又は読者の利便性に対して提供されており、従来技術の範囲及び内容に関する承認を含まず、さらに、全ての開示される実施形態に適用可能な限定を含まない。