(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】物体認識装置および物体認識方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2020049726
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】山本 祥寛
(72)【発明者】
【氏名】森谷 貴行
(72)【発明者】
【氏名】秋山 智広
(72)【発明者】
【氏名】山科 典由
(72)【発明者】
【氏名】森 正憲
(72)【発明者】
【氏名】飯田 公司
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-205237(JP,A)
【文献】特開2012-198730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、前記検出した物体の状況に関する所定の物体情報を、所定の第1時点での、前記移動体の移動状況に関する所定の移動情報に基づいて求める検出部と、
前記検出部から前記物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正する補正部と、
前記移動体に搭載され、前記移動体のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、
前記移動体に搭載され、前記移動体の舵角を検出する舵角センサとを備え、
前記補正部は、前記ヨーレートセンサによって前記第1時点で検出したヨーレートと、前記舵角センサによって前記第2時点で検出した舵角に基づき求めた前記第2時点でのヨーレートとの差分に基づいて前記補正を行う、
物体認識装置。
【請求項2】
前記補正部は、
前記舵角センサによって前記第2時点で検出した舵角から変換情報を用いて前記第2時点でのヨーレートを求め、
前記変換情報は、予め用意された、前記舵角を前記ヨーレートに変換する情報である、
請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項3】
前記補正部で補正した補正後の物体情報に基づいて、前記移動体と前記検出した物体との衝突可能性を判定する判定部と、
前記判定部で衝突可能性有りと判定した場合に、衝突可能性を警告する警告部とをさらに備える、
請求項1
または請求項
2に記載の物体認識装置。
【請求項4】
移動体に搭載された検出部で、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、前記検出した物体の状況に関する所定の物体情報を、所定の第1時点での、前記移動体の移動状況に関する所定の移動情報に基づいて求める検出工程と、
前記検出部から前記物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正する補正工程と、
前記移動体に搭載されたヨーレートセンサによって前記第1時点で前記移動体のヨーレートを検出するヨーレート検出工程と、
前記移動体に搭載された舵角センサによって前記第2時点で前記移動体の舵角を検出する舵角検出工程とを備え、
前記補正工程は、前記ヨーレート検出工程で検出した前記第1時点でのヨーレートと、前記舵角検出工程で検出した前記第2時点での舵角に基づき求めた前記第2時点でのヨーレートとの差分に基づいて前記補正を行う、
物体認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載され、前記移動体の周囲に存在する物体を検知する移動体の物体認識装置および物体認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両やロボット等の移動体には、近年、周囲の状況を認識するために、物体を検知する物体認識装置(物体検知装置)が搭載されることが多い。このような物体を検知する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された車両の障害物検知装置は、車両の前端部に設けられ、前方に存在する障害物を検知するレーダ装置と、車速を検出する車速センサと、ヨーレートを検出するヨーレートセンサと、演算処理部とを備え、前記演算処理部は、前記車速センサおよび前記ヨーレートセンサの各検出値に基づいて前記車両の旋回半径を求め、前記求めた旋回半径に基づいて前記車両の進行路を推定し、前記推定した進行路に基づいて前記障害物の所定時間経過後の位置を推定し、前記推定した位置を基準に周囲に所定の大きさのエリアを設定し、検知から前記所定時間経過後に検知された障害物が、前記エリア内に存在する場合には、前記位置を推定した障害物と同一であると判定する(特許文献1の[0029]段落ないし[0041]段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーダ装置は、車両に設けられているため、レーダ装置は、車両に対する(車両を基準とした)物体の相対位置や相対速度で障害物を検知することになる。このため、レーダ装置は、例えば相対横速度を求める場合、車両のヨーレートを加味している。このレーダ装置で用いられるヨーレートの検出タイミングと、未来における物体の相対位置や相対速度の予測に用いられるヨーレートの検出タイミングとがずれると、移動体の移動により、前記レーダ装置で用いられるヨーレートの値と前記予測に用いられるヨーレートの値とにずれが生じてしまい、特許文献1の例では、障害物の同一判定(追尾)を誤ってしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、移動体の移動によって生じるずれを低減できる物体認識装置および物体認識方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる物体認識装置は、移動体に搭載され、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、前記検出した物体の状況に関する所定の物体情報を、所定の第1時点での、前記移動体の移動状況に関する所定の移動情報に基づいて求める検出部と、前記検出部から前記物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正する補正部とを備える。好ましくは、上述の物体認識装置において、前記物体情報は、物体の相対位置および相対速度を少なくとも含む。好ましくは、上述の物体認識装置において、前記移動体のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、前記移動体の舵角を検出する舵角センサとをさらに備え、前記移動情報は、ヨーレートを含み、前記検出部は、前記ヨーレートセンサで前記第1時点で検出したヨーレートに基づいて前記物体情報を求め、前記補正部は、前記舵角センサで検出した舵角に基づいて前記第2時点でのヨーレートを求め、前記求めた第2時点でのヨーレートに基づいて前記物体情報を補正する。好ましくは、上述の物体認識装置において、前記検出部および前記補正部それぞれは、所定の時間間隔で繰り返し動作し、前回の動作によって前記検出部で検出した物体と、今回の動作によって前記検出部で検出した物体との同一性を、前記補正部で補正した物体情報に基づいて判定する追尾部をさらに備える。
【0008】
このような物体認識装置は、物体情報を第1時点での移動情報に基づいて求めても、この求めた物体情報を第2時点での移動情報に基づいて補正するので、前記第1時点から前記第2時点までの間における、移動体の移動によって生じるずれを低減できる。
【0009】
他の一態様では、上述の物体認識装置において、前記補正部は、前記第1時点での前記移動情報と前記第2時点での前記移動情報との差分に基づいて前記補正を行う。
【0010】
このような物体認識装置は、第1時点から第2時点までの間における、移動体の移動によって生じた移動情報の変化分で補正できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述の物体認識装置において、前記移動情報は、ヨーレートを含む。
【0012】
これによれば、前記移動情報がヨーレートを含む物体認識装置が提供できる。特に、物体情報が相対速度を含み、相対縦速度および相対横速度を求める場合に、上記物体認識装置は、相対縦速度および相対横速度を補正できる。
【0013】
他の一態様では、これら上述の物体認識装置において、前記補正部で補正した補正後の物体情報に基づいて、前記移動体と前記検出した物体との衝突可能性を判定する判定部と、前記判定部で衝突可能性有りと判定した場合に、衝突可能性を警告する警告部とをさらに備える。
【0014】
このような物体認識装置は、補正後の物体情報に基づいて衝突可能性を判定するので、より精度良く衝突可能性を判定できる。
【0015】
発明の他の一態様にかかる物体認識方法は、移動体に搭載された検出部で、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、前記検出した物体の状況に関する所定の物体情報を、所定の第1時点での、前記移動体の移動状況に関する所定の移動情報に基づいて求める検出工程と、前記検出部から前記物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正する補正工程とを備える。
【0016】
このような物体認識方法は、物体情報を第1時点での移動情報に基づいて求めても、この求めた物体情報を第2時点での移動情報に基づいて補正するので、前記第1時点から前記第2時点までの間における、移動体の移動によって生じるずれを低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる物体認識装置および物体認識方法は、移動体の移動によって生じるずれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態における物体認識装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】旋回中の移動体に対する物体における相対縦速度および相対横速度を説明するための図である。
【
図3】前記物体認識装置で実施される補正を説明するための図である。
【
図4】前記物体認識装置における検出部の動作を示すフローチャートである。
【
図5】前記物体認識装置における制御処理部の動作を示すフローチャートである。
【
図6】前記物体認識装置における衝突警告部の動作を示すフローチャートである。
【
図7】変形形態における物体認識装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0020】
実施形態における物体認識装置は、移動体の周囲に存在する物体を検知する装置であって、移動体に搭載され、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、前記検出した物体の状況に関する所定の物体情報を、所定の第1時点での、前記移動体の移動状況に関する所定の移動情報に基づいて求める検出部と、前記検出部から前記物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正する補正部とを備える。以下、このような物体認識装置について、より具体的に説明する。
【0021】
図1は、実施形態における物体認識装置の構成を示すブロック図である。
図2は、旋回中の移動体に対する物体における相対縦速度および相対横速度を説明するための図である。
図2の縦軸は、X軸であり、旋回開始タイミングでの移動体VCの進行方向を表し、その横軸は、前記X軸に直交するY軸である。
図3は、前記物体認識装置で実施される補正を説明するための図である。
図3の横軸は、時刻を表し、その縦軸は、ヨーレートを表す。曲線ω_snsは、ヨーレートセンサの検出値(出力値、ヨーレート)であり、曲線ω_mrgは、舵角センサの舵角から推定したヨーレートである。
【0022】
実施形態における物体認識装置Dは、例えば、
図1に示すように、検出部1と、複数のセンサ2-1、2-2、2-3、・・・を含むセンサ群2と、制御処理部3と、衝突警告部4とを備える。
【0023】
検出部1は、制御処理部3に接続され、移動体に搭載され、前記移動体の周囲に存在する物体を検出し、前記検出した物体の状況に関する所定の物体情報を、所定の第1時点での、前記移動体の移動状況に関する所定の移動情報に基づいて求める装置である。検出部1は、この求めた移動情報を制御処理部3へ出力する。前記移動体は、例えば、車両やロボット等であり、本実施形態では、例えば、車両の一例としての自動車である。前記物体情報は、例えば、前記物体の状況を表す所定の物理量であり、より具体的には、例えば、物体の位置および速度を少なくとも含む。本実施形態では、検出部1が移動体に搭載されることから、前記物体情報は、車両に対する(車両を基準とした)物体の相対位置および相対速度である。前記移動情報は、前記移動体の移動状況を表す所定の物理量であり、より具体的には、移動体における車速、ヨーレートおよび舵角等を含む。このような検出部1は、例えば、自動車の前方端に備えられ、前記自動車の前方に、所定の検出範囲内(例えば略水平な所定の角度範囲内等)に存在する物体を検出するレーダ装置である。前記レーダ装置は、前記検出範囲に、検出波を送信して物体で反射した前記検出波の反射波を受信することで前記物体を検出し、前記検出波の送信タイミングから前記反射波の受信タイミングに基づいて前記自動車の前方端から前記検出した物体までの距離を測定し、前記測定した距離および前記物体を検出した方向に基づいて前記検出した物体における前記自動車に対する相対位置(前記自動車を基準とした相対位置)を求め、前記検出波の反射波におけるドップラシフトに基づいて前記検出した物体における前記自動車に対する相対速度(前記自動車を基準とした相対速度)を測定する。
【0024】
そして、前記レーダ装置は、後述のように、センサ群2のヨーレートセンサ2-2によって第1時点で検出されたヨーレートを制御処理部3を介して取得し、この第1時点でのヨーレートに基づいて相対縦速度および相対横速度を前記物体情報の一つとして求める。例えば、
図2に示すように、ヨーレートωで旋回する自動車VCにおいて、検出部1が方向θで距離rの位置に物体Obを検知した場合、物体の位置座標を(Px、Py)とすると、三角形の相似から、sinθ=Py/r、cosθ=Px/rとなるから、この検知した物体Obの相対縦速度Vxは、Vx=rωsinθ=Pyωであり、その相対横速度Vyは、Vy=rωcosθ=Pxωである。
【0025】
なお、上述では、検出部1は、レーダ装置であったが、これに限定されるものではなく、他の装置であってもよい。例えば、検出部1は、いわゆるカメラであってもよい。また、検出部1は、レーダ装置に加えてカメラを備えてもよく、レーダ装置で検出した物体の種別や追尾での同一性をカメラの画像から判別してもよい。
【0026】
センサ群2は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って移動体に関する所定の情報を検出する複数のセンサ2-1、2-2、-2-3、・・・を備える。例えば、第1センサ2-1は、自車の車速を検出する車速センサ2-1であり、第2センサ2-2は、自車のヨーレートを検出するヨーレートセンサ2-2であり、第3センサ2-3は、舵角を検出する舵角センサ2-3である。センサ群2における複数のセンサ2-1、2-2、-2-3、・・・は、それぞれ、その検出結果を制御処理部3へ出力する。
【0027】
制御処理部3は、物体認識装置Dの各部1、2、4を当該各部の機能に応じて制御し、移動体の周囲に存在する物体を検知するための装置である。制御処理部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および記憶素子等を備えるマイクロコンピュータを備えて構成される。前記記憶素子には、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)、書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、および、前記CPUのいわゆるワーキングメモリとなる揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)が含まれる。
【0028】
制御処理部3は、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを前記記憶素子に記憶する。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、物体認識装置Dの各部1、2、4を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、検出部1から前記物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正する補正プログラムや、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体との同一性を、前記補正プログラムで補正した物体情報に基づいて判定する追尾プログラム等が含まれる。前記追尾プログラムには、前回の物体情報に基づいて今回の物体情報を予測する予測プログラムや、前記補正プログラムで補正した補正後の物体情報と前記予測プログラムで予測した今回の物体情報に基づいて物体の同一性を判定する同一性判定プログラムや、前記補正プログラムで補正した補正後の物体情報および前記同一性判定プログラムの判定結果に基づいて物体情報を更新する物体情報更新プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、検出部1で検出した物体と対応付けられた物体情報、同一性を判定するための閾値(判定閾値)、ならびに、自車の速度および舵角をヨーレートに変換する変換情報等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。前記変換情報は、例えば重量、重心位置および重心位置から前輪(操舵輪)までの長さ等の自車情報を考慮したモデル式やテーブル等で予め用意される。
【0029】
制御処理部3は、データ入出力部31と、前記制御処理プログラムの実行により機能的に構成される制御部32、補正部33および追尾部34とを備える。
【0030】
データ入出力部31は、検出部1およびセンサ群2それぞれとの間でデータを入出力するインターフェースである。
【0031】
制御部32は、物体認識装置Dの各部1、2、4を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、物体認識装置D全体の制御を司るものである。
【0032】
補正部33は、検出部1から物体情報を取得し、前記取得した物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正するものである。補正部33は、検出部1で検出した物体ごとに、前記物体情報を補正する。本実施形態では、補正部33は、第1時点での移動情報と第2時点での移動情報との差分に基づいて前記補正を行う。例えば、前記移動情報は、ヨーレートを含み、補正部33は、舵角センサ2-3で検出した舵角に基づいて第2時点でのヨーレートを求め、この求めた第2時点でのヨーレートに基づいて前記物体情報を補正する。
【0033】
より具体的には、例えば、
図3に示すように、前記レーダ装置で相対縦速度Vxおよび相対横速度Vy(補正前における相対縦速度Vxおよび相対横速度Vy)を求める際に用いられた、ヨーレートセンサ2-2によって第1時点で検出されたヨーレートω_snsと、前記レーダ装置から前記物体情報の一つの前記相対縦速度Vxおよび相対横速度Vyを取得した第2時点で舵角センサ2-3によって検出された舵角から推定(変換)されるヨーレートω_mrgとの間には、前記第1時点から前記第2時点までの間における移動体(この例では自動車)の移動によって差分が生じる。このため、補正部33は、舵角センサ2-3から舵角を取得し、この取得した舵角から変換情報を用いて第2時点でのヨーレートを求め、この差分だけ相対縦速度Vxおよび相対横速度Vyを補正する。すなわち、補正後における相対縦速度Vx_modおよび相対横速度Vy_modは、それぞれ、次の式1-1および式1-2である。
式1-1;Vx_mod=Vx+Py(ω_mrg-ω_sns)
式1-2;Vy_mod=Vy-Px(ω_mrg-ω_sns)
【0034】
当該物体認識装置Dは、物体の検知動作を所定の時間間隔で繰り返し動作しており、追尾部34は、この繰り返し動作における前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体との同一性を、補正部33で補正した物体情報に基づいて判定するものである。追尾部34は、本実施形態では、例えば、予測部341と、同一性判定部342と、物体情報更新部343とを機能的に備える。
【0035】
予測部341は、前回の物体情報に基づいて今回の物体情報を予測するものである。予測部341は、前記記憶素子に記憶されている物体ごとに、今回の物体情報を予測する。より具体的には、制御部32は、現在値を取得するために車速センサ2-1および舵角センサ2-3それぞれから自車の車速および舵角それぞれをデータ入出力部31を介して取得する。なお、この取得した舵角は、上述のように、補正部33でも用いられる。そして、予測部341は、前記記憶素子に記憶されている前回の物体情報(この例では相対位置、相対縦速度および相対横速度)から、公知の常套手法等によって、これら取得した自車の車速、前記取得した舵角を変換情報で変換したヨーレート、および、前記繰り返し動作の時間間隔に基づいて、今回の物体情報(この例では相対位置、相対縦速度および相対横速度)を求める。
【0036】
同一性判定部342は、補正部33で補正した補正後の物体情報と予測部341で予測した今回の物体情報に基づいて物体の同一性を判定するものである。同一性判定部342は、検出部1で検出した物体ごとに、その同一性を判定する。より具体的には、同一性判定部342は、補正部33で補正した補正後の物体情報が予測部341で予測した今回の物体情報から所定の範囲内であるか否かを判定し、前記補正後の物体情報が前記今回の物体情報から所定の範囲内である場合には、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体とが同一であると判定し、前記補正後の物体情報が前記今回の物体情報から所定の範囲内ではない場合には、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体とが同一ではないと判定する。より詳しくは、本実施形態では前記物体情報が相対位置、相対縦速度および相対横速度であるので、同一性判定部342は、今回における相対位置、相対縦速度および相対横速度それぞれと、予測における相対位置、相対縦速度および相対横速度それぞれとを比較し、今回の相対位置が予測の相対位置から位置の判定閾値以内である場合であって、今回の相対縦速度が予測の相対縦速度から縦速度の判定閾値以内である場合であって、今回の相対横速度が予測の相対横速度から横速度の判定閾値以内である場合には、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体とが同一であると判定し、前記場合を除く他の場合には、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体とが同一ではないと判定する。なお、この同一性判定は、上述では相対位置、相対縦速度および相対横速度の3個の指標を用いて実行されたが、相対位置だけを用いて実行されてよい。
【0037】
物体情報更新部343は、補正部33で補正した補正後の物体情報および同一性判定部342の判定結果に基づいて物体情報を更新するものである。物体情報更新部343は、検出部1で検出した物体ごとに、前記物体情報を更新する。より具体的には、物体情報更新部343は、同一性判定部342で同一と判定された物体の物体情報を補正部33で補正した補正後の物体情報で更新し、同一性判定部342で同一と判定されなかった物体を新たに検出した物体と判定して、例えば新たな識別子(ID、ラベル)を付すことによって前記物体と対応付けて、補正部33で補正した補正後の物体情報を前記記憶素子に記憶する。そして、物体情報更新部343は、前記記憶素子に記憶されている物体の物体情報であって、今回の動作によって検出部1で検出した物体と同一と判定されなかった物体の物体情報を、前記記憶素子から消去(削除)する。なお、この消去(削除)は、前記繰り返し動作において、前記記憶素子に記憶されている物体の物体情報であって、今回の動作によって検出部1で検出した物体と同一と判定されなかった物体の物体情報であると、連続して複数回、判定された場合に、実施されてもよい。
【0038】
衝突警告部4は、制御処理部3に接続され、前記移動体と検出部1で検出した物体との衝突可能性を判定し、衝突可能性有りと判定した場合に、衝突可能性を警告する装置である。衝突警告部4は、本実施形態では、例えば、衝突判定部41と、警告部42とを備える。
【0039】
衝突判定部41は、補正部33で補正した補正後の物体情報に基づいて、前記移動体と検出部1で検出した物体との衝突可能性を判定するものである。より具体的には、衝突判定部41は、例えば、物体情報更新部343で更新された補正後の物体情報から、公知の常套手法等によって、自車の車速、ヨーレートおよび衝突可能性を判定するために予め設定された所定時間に基づいて、前記所定時間経過後の物体の相対位置を求めて前記物体と自車との相対距離を求め、この求めた相対距離が予め設定された閾値(衝突判定閾値)以内である場合に、前記衝突可能性があると判定し、前記距離が前記衝突判定閾値以内ではない場合に、前記衝突可能性がないと判定する。なお、衝突可能性の判定手法は、これに限定されるものではなく、他の手法であってもよい。例えば、ワールド座標系(物体と移動体との共通の座標系)において、前記所定時間における前記物体の移動軌跡と前記移動体の移動軌跡とが求められ、これら前記物体の移動軌跡と前記移動体の移動軌跡との交差の有無から、衝突可能性が判定されてもよい。このような衝突判定部41は、制御処理部3のマイクロコンピュータに機能的に構成されてよく、あるいは、制御処理部3のマイクロコンピュータとは別体のマイクロコンピュータに機能的に構成されてよい。
【0040】
なお、衝突判定部41は、前記補正部で補正した補正後の物体情報に基づいて、前記移動体と前記検出した物体との衝突可能性を判定する判定部の一例に相当する。
【0041】
警告部42は、衝突判定部41で衝突可能性有りと判定した場合に、衝突可能性を外部に警告する装置である。警告部42は、例えば、ランプを備え、前記ランプを点灯あるいは点滅することによって、あるいは、発光色を警告用の色に変えることによって、前記衝突可能性を警告する。あるいは、例えば、警告部42は、表示装置を備え、前記表示装置に、衝突可能性を警告するメッセージを表示することによって、前記衝突可能性を警告する。あるいは、例えば、警告部42は、スピーカを備え、前記スピーカから、衝突可能性を警告するメッセージを音声出力することによって、前記衝突可能性を警告する。
【0042】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図4は、前記物体認識装置における検出部の動作を示すフローチャートである。
図5は、前記物体認識装置における制御処理部の動作を示すフローチャートである。
図6は、前記物体認識装置における衝突警告部の動作を示すフローチャートである。
【0043】
このような構成の移動体の物体認識装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部3には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部32、補正部33および追尾部34が機能的に構成され、追尾部34には、予測部341、同一性判定部342および物体情報更新部343が機能的に構成される。
【0044】
まず、検出部1の動作について説明する。
図4において、検出部1は、後述のように制御処理部3から出力される第1時点での移動情報(この例ではヨーレート)を取得すると(S11)、検出部1は、所定の検出範囲で物体を検出したか否かを判定する(S12)。この判定の結果、物体を検出しない場合(No)には、検出部1は、今回の本処理を終了する。一方、前記判定の結果、物体を検出した場合(Yes)には、検出部1は、処理S11で取得した移動情報に基づいて、この検出した物体の物体情報(この例では相対位置、相対縦速度および相対横速度)を求める(S13)。例えば、この検出した物体の検出方向および距離に基づいて相対位置が求められ、そのドップラシフトから相対速度が求められ、この求めた速度および処理S11で取得した第1時点でのヨーレートに基づいて相対縦速度Vxおよび相対横速度Vyが求められる。
【0045】
そして、検出部1は、この求めた物体情報を制御処理部3へ出力し(S14)、今回の本処理を終了する。
【0046】
物体の物体情報の検出に関し、検出部1は、このように動作する。
【0047】
次に、制御処理部3の動作について説明する。制御処理部3は、移動中の周囲の状況を認識するために、所定の時間間隔で繰り返し次の各処理を実行している。
【0048】
図5において、制御処理部3は、制御部32によって、データ入出力部31を介してセンサ群2の各センサ2-1、2-2、2-3、・・・から各検出結果を取得する(S21)。これによって第1時点での移動情報が取得される。例えば、ヨーレートセンサ2-2から第1時点でのヨーレートが取得される。
【0049】
次に、制御処理部3は、制御部32によって、データ入出力部31を介して第1時点での移動情報(この例ではヨーレート)を検出部1へ出力する(S22)。
【0050】
次に、制御処理部3は、制御部32によって、検出部1から物体情報を取得したか否かを判定する(S23)。この判定の結果、検出部1から物体情報を取得した場合(Yes)には、制御処理部3は、次に、処理S24-1および処理S24-2の各処理を実行する。上述のように、検出部1が処理S14で物体情報を出力すると、検出部1から物体情報が取得される。一方、前記判定の結果、検出部1から物体情報を取得しない場合(No)には、制御処理部3は、今回の本処理を終了する。
【0051】
この処理S24-1では、制御処理部3は、補正部33によって、処理S23で取得した物体情報を、この取得した第2時点での移動情報に基づいて補正する。より具体的には、まず、制御部32は、データ入出力部31を介して車速センサ2-1および舵角センサ2-3それぞれから自車の車速および舵角それぞれを取得する。補正部33は、この取得した自車の速度および舵角を、変換情報を用いてヨーレートに変換し、第2時点でのヨーレートを求める。そして、補正部33は、式1-1および式1-2を用いて補正後の相対縦速度Vx_modおよび相対横速度Vy_modそれぞれを求める。なお、これら取得した自車の車速および舵角は、処理S24-2で予測部341によって用いられる。
【0052】
この処理S24-2では、制御処理部3は、予測部341によって、前回の物体情報に基づいて今回の物体情報を予測する。
【0053】
これら処理S24-1および処理S24-2の各処理の実行に続いて、制御処理部3は、同一性判定部342によって、補正部33で補正した補正後の物体情報と予測部341で予測した今回の物体情報に基づいて物体の同一性を判定する(S25)。
【0054】
そして、制御処理部3は、物体情報更新部343によって、補正部33で補正した補正後の物体情報および同一性判定部342の判定結果に基づいて物体情報を更新し(S26)、今回の本処理を終了する。
【0055】
所定の時間間隔で繰り返される各動作における1つの動作において、制御処理部3は、このように各処理を実行する。
【0056】
次に、衝突警告部4の動作について説明する。
図6において、衝突警告部4は、上述のように制御処理部3から出力される補正後の物体情報(この例では相対位置、相対縦速度および相対横速度)を取得すると(S31)、衝突警告部4は、衝突判定部41によって、処理S31で取得した補正後の物体情報に基づいて、前記移動体と検出部1で検出した物体との衝突可能性を判定する(S32)。この判定の結果、衝突可能性がないと判定された場合(No)には、衝突警告部4は、今回の本処理を終了する。一方、衝突可能性があると判定された場合(Yes)には、衝突警告部4は、警告部42によって、衝突可能性を外部に警告し(S33)、今回の本処理を終了する。
【0057】
衝突可能性の警告に関し、衝突警告部4は、このように動作する。
【0058】
以上説明したように、実施形態における物体認識装置Dおよびこれに実装された物体認識方法は、物体情報を第1時点での移動情報に基づいて求めても、この求めた物体情報を第2時点での移動情報に基づいて補正するので、前記第1時点から前記第2時点までの間における、移動体の移動によって生じるずれを低減できる。このため、上記物体認識装置Dおよび該方法は、物体情報の検出精度を向上でき、物体の追尾精度を向上できる。
【0059】
例えば、検出部1の一例である前記レーダ装置が制御処理部3の3クロック前にヨーレートセンサ2-2で検出したヨーレートを用いて物体の相対縦速度および相対横速度を求める一方、予測部341が、実際のヨーレートに対して遅れのない舵角センサ2-3で検出した舵角、および自車の速度を変換したヨーレートを用いて物体の相対縦速度および相対横速度を予測している場合、本実施形態の補正部33が備えられていない場合、同一性判定部342は、3クロック遅れたヨーレートで求めた物体の相対縦速度および相対横速度を前記レーダ装置から受信することになるので、前記レーダ装置からの物体の相対縦速度および相対横速度と予測部341からの物体の相対縦速度および相対横速度とにずれが生じ、実際には同一の物体であるにもかかわらず、同一ではないと誤判定してしまう虞がある。本実施形態では、上述の補正部33を備えるので、上記物体認識装置Dおよび該方法は、このような誤判定を低減でき、物体の追尾精度を向上できる。
【0060】
上記物体認識装置Dおよび該方法は、第1時点での移動情報と第2時点での移動情報との差分に基づいて前記補正を行うので、前記第1時点から前記第2時点までの間における、移動体の移動によって生じた移動情報の変化分で補正できる。
【0061】
本実施形態によれば、移動情報がヨーレートを含む物体認識装置Dが提供できる。特に、前記物体情報が相対速度を含み、相対縦速度および相対横速度を求める場合に、上記物体認識装置Dおよび該方法は、相対縦速度および相対横速度を補正できる。
【0062】
上記物体認識装置Dおよび該方法は、補正後の物体情報に基づいて衝突可能性を判定するので、より精度良く衝突可能性を判定できる。
【0063】
なお、上述の実施形態における物体認識装置Dは、補正後の物体情報を追尾部34および衝突警告部4それぞれで用いたが、補正後の物体情報を衝突警告部4のみで用いる物体認識装置が構成されてもよい。
【0064】
図7は、変形形態における物体認識装置の構成を示すブロック図である。このような物体認識装置Daは、例えば、
図7に示すように、検出部1と、センサ群2と、制御処理部3aと、衝突警告部4とを備える。これら変形形態の物体認識装置Daにおける検出部1、センサ群2および衝突警告部4は、それぞれ、上述の実施形態の物体認識装置Dにおける検出部1、センサ群2および衝突警告部4と同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
制御処理部3aは、データ入出力部31と、制御部32と、補正部33aと、追尾部34aとを備える。これら変形形態の制御処理部3aにおけるデータ入出力部31および制御部32は、それぞれ、上述の実施形態の制御処理部3におけるデータ入出力部31および制御部32と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
追尾部34aは、予測部341と、同一性判定部342aと、物体情報更新部343とを備える。これら変形形態の追尾部34aにおける予測部341および物体情報更新部343は、それぞれ、上述の追尾部34における予測部341および物体情報更新部343と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
同一性判定部342aは、検出部1からデータ入出力部31を介して取得した物体情報と予測部341で予測した今回の物体情報に基づいて物体の同一性を判定するものである。すなわち、上述の実施形態の同一性判定部342は、物体の同一性を判定する際に、補正部33で補正した補正後の物体情報を用いたが、変形形態の同一性判定部342aは、補正前の、検出部1からの物体情報を用いる。この点を除き、変形形態の同一性判定部342aは、上述の実施形態の同一性判定部342と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
補正部33aは、検出部1から物体情報を取得し、前記取得した物体情報に基づいて追尾部34aで物体を追尾し、追尾部34aの物体情報更新部343で更新された更新後の物体情報を、前記取得した第2時点での前記移動情報に基づいて補正するものである。すなわち、上述の補正部33は、検出部1から物体情報を取得したが、この補正部33aは、物体情報更新部343から、更新後の物体情報を取得する点を除き、補正部33と同様であるので、その説明を省略する。
【0069】
また、上述の実施形態では、前記物体情報は、物体の相対位置および相対速度(相対縦速度および相対横速度)であったが、これに限定されるものではなく、例えば、さらに相対加速度(相対縦加速度および相対横加速度)を含んでもよい。この場合では、例えば、同一性判定部342は、さらに、補正部33で補正された補正後の相対速度(相対縦速度および相対横速度)を時間微分することによって相対加速度(相対縦加速度および相対横加速度)を求める。そして、同一性判定部342は、今回における相対位置、相対速度および相対加速度それぞれと、予測における相対位置、相対速度および相対加速度それぞれとを比較し、今回の相対位置が予測の相対位置から位置の判定閾値以内である場合であって、今回の相対速度が予測の相対速度から速度の判定閾値以内である場合であって、今回の相対加速度が予測の相対加速度から加速度の判定閾値以内である場合には、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体とが同一であると判定し、前記場合を除く他の場合には、前回の動作によって検出部1で検出した物体と、今回の動作によって検出部1で検出した物体とが同一ではないと判定する。
【0070】
あるいは、検出部1の一例である前記レーダ装置は、さらに、相対速度(相対縦速度および相対横速度)を時間微分することによって相対加速度(相対縦加速度および相対横加速度)を求め、補正部33は、さらに、前記レーダ装置から取得した相対加速度を補正する。そして、同一性判定部342は、補正部33で補正した相対加速度を用いて上述のように物体の同一性を判定する。
【0071】
また、上述の実施形態では、物体認識装置D、Daは、補正部33で補正した補正後の物体情報を、前記移動体と検出部1で検出した物体との衝突可能性の判定に利用したが、他の処理に利用されてもよい。補正部33で補正した補正後の物体情報は、アクティブクルーズコントロール(ACC)や衝突被害軽減ブレーキ(AEB)等に利用されてもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、前記物体情報は、相対位置や相対速度や相対加速度等の車両に対する(車両を基準とした)所定の物理量であったが、ワールド座標系(物体と移動体との共通の座標系)での位置や速度や加速度等の所定の物理量であってもよい。この場合では、物体の同一性がワールド座標系での位置や速度等によって判定され、ワールド座標系での位置や速度等の物体情報で前記物体情報が更新され、衝突可能性がワールド座標系での位置や速度等によって判定される。
【0073】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0074】
D、Da 物体認識装置
1 検出部
2 センサ群
2-1 第1センサ(車速センサ)
2-2 第2センサ(ヨーレートセンサ)
2-3 第3センサ(舵角センサ)
3、3a 制御処理部
4 衝突警告部
31 データ入出力部
32 制御部
33、33a 補正部
34、34a 追尾部
41 衝突判定部
42 警告部
341 予測部
342 同一性判定部
343 物体情報更新部