(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240220BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240220BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023018933
(22)【出願日】2023-02-10
(62)【分割の表示】P 2021124159の分割
【原出願日】2011-05-26
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2010-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502330377
【氏名又は名称】テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバートセン、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】バーネット、マイケル
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-263118(JP,A)
【文献】特許第4046511(JP,B2)
【文献】特許第4256206(JP,B2)
【文献】特許第3819409(JP,B2)
【文献】特開2003-93554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0181789(US,A1)
【文献】特開2009-273579(JP,A)
【文献】特開2004-351173(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139082(JP,U)
【文献】特許第4367822(JP,B2)
【文献】特開2002-52099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
A63B 102/32
A63B 60/00 - 60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
(i)フェースと、
(ii)ソールと、
(iii)クラウンと、
(iv)ボアと、
(v)重心と、
(vi)応力低減特徴と
を備え、
前記フェースは、前記ゴルフクラブヘッドがゴルフボールにインパクトするフロント部に位置し、前記ゴルフクラブヘッドのリア部の反対側であって、工学的インパクトポイントと、上端縁高さと、下端縁高さとを有し、
前記ソールは、前記ゴルフクラブヘッドの底部に位置し、
前記クラウンは、前記ゴルフクラブヘッドの頂部に位置し、
前記ボアは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールが置かれる水平方向に延在する基面と交差することによって原点を定めるシャフト軸を定めるセンターを有し、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置し、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側は、前記ヒール側の反対に位置し、
前記重心は、
(a)前記ゴルフクラブヘッドの前記クラウンに向かって前記原点から鉛直方向に距離Ycgを置いて、
(b)前記原点から前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かう水平方向に、前記フェースおよび前記水平方向に延在する基面に対して実質的に平行な距離Xcgを置いて、
(c)前記原点から前記リア部に向かい、前記距離Ycgの測定に用いられる鉛直方向に対して実質的に直交し、前記距離Xcgの測定に用いられる水平方向に実質的に直交する方向に距離Zcgを置いて
位置し、
前記応力低減特徴は、前記ソールに少なくとも部分的に位置するソール側応力低減特徴を含み、前記ソール側応力低減特徴は、前記ソール側応力低減特徴の最もトウ寄りのポイントと前記ソール側応力低減特徴の最もヒール寄りのポイントとの間のソール側応力低減特徴長さと、Zcg方向に向かって、前記ソール側応力低減特徴の先端縁であるソール側応力低減特徴先端縁に沿ういずれかのポイントから前記フェースの下端縁のポイントまでのまっすぐ前方の距離であるソール側応力低減特徴先端縁オフセットを有する前記ソール側応力低減特徴先端縁と、前記ソール側応力低減特徴の幅であるソール側応力低減特徴幅と、前記ソール側応力低減特徴の深さであるソール側応力低減特徴深さと、を含み、前記ソール側応力低減特徴幅の最大値は前記距離Zcgの10%以上であり、前記ソール側応力低減特徴深さの最大値は前記距離Ycgの10%以上であり、
(vii)前記フェースは、220μ秒以上のUSGAによって規定されるCT値を有し、
(viii)前記ゴルフクラブヘッドは、ヘッド体積を定めるアウターシェルを備え、前記アウターシェルの一部分は、5g/cc未満の第1の密度を有する非金属複合材から形成されている、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記非金属複合材は、連続繊維プリプレグ材料を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記非金属複合材は、熱硬化性材料を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記非金属複合材は、熱可塑性プラスチック材料を含む、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記フェースは、最小のフェース厚さから最大のフェース厚さまで変動するフェース厚さを有し、前記最小のフェース厚さは、少なくとも0.050インチ(0.127cm)であり、前記最大のフェース厚さは、前記最小のフェース厚さよりも少なくとも25%大きい、請求項1から4の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ゴルフクラブヘッドは、第1の密度を有する第1の金属材料と、前記第1の密度の少なくとも2倍である第2の密度を有する第2の金属材料とを含む、請求項1から5の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第2の密度は15g/cm
3以上であり、前記第1の密度は5g/cm
3未満である、請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記第1の金属材料は80g以上である、請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ソール側応力低減特徴先端縁の大部分は湾曲しており、前記ソール側応力低減特徴先端縁の曲率は前記フェースのバルジの曲率の40%以内である、請求項1から8の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ソール側応力低減特徴先端縁の大部分は湾曲しており、前記ソール側応力低減特徴先端縁の曲率は前記フェースのバルジの曲率の20%以内である、請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ソール側応力低減特徴先端縁オフセットの最小値は、前記上端縁高さの最大値と前記下端縁高さの最小値との差の10%以上である、請求項1から10の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記ソール側応力低減特徴先端縁オフセットの最大値は、前記上端縁高さの最大値と前記下端縁高さの最小値との差の75%未満である、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記ソール側応力低減特徴幅の最小値は、前記ソール側応力低減特徴先端縁オフセットの最小値の50%以上である、請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記ソール側応力低減特徴の一部分の前記ソール側応力低減特徴深さは、前記上端縁高さの最大値と前記下端縁高さの最小値との差の20%以上である、請求項11から13の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記フェースは、前記原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に前記工学的インパクトポイントから前記最も離れた点まで測定されるトウ側ブレード長さ部位および前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるヒール側ブレード長さ部位を含み、前記ソール側応力低減特徴長さは、前記ヒール側ブレード長さ部位の長さ以上である、請求項1から14の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記ソール側応力低減特徴先端縁の少なくとも一部分は、前記シャフト軸及びXcg方向によって定められる平面の後方に位置する、請求項1から15の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記ソール側応力低減特徴の少なくとも一部は、フェース厚さの最大値の60%未満の、ソール側応力低減特徴の壁部厚さであるソール側応力低減特徴壁部厚さを有する、請求項1から16の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
前記ソール側応力低減特徴は、前記ソール側応力低減特徴のトレーリングエッジであるソール側応力低減特徴トレーリングエッジと、前記ソール側応力低減特徴トレーリングエッジから前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる少なくとも後方壁部とを含む、請求項1から17の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
前記ソール側応力低減特徴は、前記ソール側応力低減特徴先端縁から前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる少なくとも前方壁部とを含む、請求項1から18の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
前記フェースは、7.0インチ(17.78センチメートル)以上13.0インチ(33.02センチメートル)以下のロール半径を有する、請求項1から19の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項21】
前記CT値は240μ秒以上である、請求項1から20の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項22】
前記原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定される、3.0インチ(7.62cm)以上のブレード長さを備え、
前記ブレード長さは、
(a)前記ブレード長さと同じ方向に前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定される0.8インチ(2.032cm)以上のヒール側ブレード長さ部位と、
(b)前記ブレード長さと同じ方向に前記工学的インパクトポイントから前記最も離れた点まで測定されるトウ側ブレード長さ部位と
を有し、
(c)前記ソール側応力低減特徴長さは前記ヒール側ブレード長さ部位の長さ以上であり、
(d)前記ソール側応力低減特徴深さの最大値は、前記上端縁高さの最大値と前記下端縁高さの最小値との差の5%以上である、
請求項1から21の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項23】
ヘッド体積は300cm
3未満である、請求項1から22の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項24】
前記重心から前記工学的インパクトポイントまでの距離であるクラブモーメントアームが1.3インチ(3.302cm)未満である、請求項23に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項25】
前記ヘッド体積は200cm
3未満であり、前記クラブモーメントアームは1.1インチ(2.794cm)未満である、請求項24に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項26】
前記クラブモーメントアームは1.0インチ(2.54cm)未満である、請求項25に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項27】
前記クラブモーメントアームは0.95インチ(2.413cm)未満である、請求項26に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項28】
前記ヘッド体積は170cm
3未満である、請求項25から27の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項29】
前記上端縁高さの最大値と前記下端縁高さの最小値との間のフェース高さは、1.50インチ(3.81cm)未満である、請求項25から28の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項30】
前記重心から、前記原点から延びる鉛直方向の線まで水平方向に測定されるトランスファー距離が、前記クラブモーメントアームより少なくとも10%大きい、請求項25から29の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項31】
前記フェースは、前記原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に前記工学的インパクトポイントから前記最も離れた点まで測定されるトウ側ブレード長さ部位および前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるヒール側ブレード長さ部位を含み、前記ヒール側ブレード長さ部位に対する前記クラブモーメントアームの比は0.9未満である、請求項25から30の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項32】
前記距離Ycgは、0.65インチ(1.651cm)未満である、請求項25から31の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項33】
前記距離Ycgは、0.60インチ(1.524cm)未満である、請求項32に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項34】
前記距離Ycgは、0.55インチ(1.397cm)未満である、請求項33に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項35】
前記重心から、前記原点から延びる鉛直方向の線まで水平方向に測定されるトランスファー距離が、前記クラブモーメントアームより40%以下大きい、請求項25から29の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項36】
前記上端縁高さの最大値に対する前記距離Ycgの比は0.400未満である、請求項1から35の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項37】
前記フェースは、前記原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に前記工学的インパクトポイントから前記最も離れた点まで測定されるトウ側ブレード長さ部位および前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるヒール側ブレード長さ部位を含み、前記重心から前記工学的インパクトポイントまでの距離であるクラブモーメントアームの前記ヒール側ブレード長さ部位に対する比は0.9未満である、請求項1から36の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項38】
前記応力低減特徴は、前記ソールに少なくとも部分的に位置する少なくとも2つのソール側応力低減特徴を含む、請求項1から37の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項39】
前記少なくとも2つのソール側応力低減特徴のうちの少なくとも1つは、前記重心を通るフロント-リア鉛直方向面の両側に位置する、請求項38に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項40】
前記ソール側応力低減特徴深さは、フェース中心線の方が、前記フェース中心線の前記トウ側の少なくとも1つのポイントより小さい、請求項1から39の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項41】
前記ソール側応力低減特徴深さは、フェース中心線の方が、前記フェース中心線の前記ヒール側の少なくとも1つのポイントより小さい、請求項1から40の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項42】
前記ソール側応力低減特徴長さに沿う少なくとも2点は、異なる値の前記ソール側応力低減特徴先端縁オフセットを有する、請求項1から41の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項43】
前記ソール側応力低減特徴の断面積は、フェース中心線の方が、前記フェース中心線の前記トウ側の少なくとも1つのポイントより小さい、請求項1から42の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項44】
前記ソール側応力低減特徴の少なくとも一部分は、湾曲した面を含む断面プロファイルを有する、請求項1から43の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項45】
湾曲した前記断面プロファイルを有する前記ソール側応力低減特徴の前記一部分は、前記断面プロファイルの少なくとも50%に亘って湾曲している、請求項44に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項46】
前記湾曲した断面プロファイルを有する前記ソール側応力低減特徴の前記一部分は、U型の断面プロファイルを有する、請求項45に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項47】
前記ソール側応力低減特徴幅の最大値は前記距離Zcgの40%以上である、請求項1から46の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はゴルフクラブの分野に関し、特に中空ゴルフクラブヘッドの分野に関する。本願発明は、クラウン側応力低減特徴およびソール側応力低減特徴を含む応力低減特徴を有する、中空ゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、その内容が参照によりここに組み込まれる、2010年6月1日に提出された米国特許出願第12/791,025の便益を主張する。
【0003】
<連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載>
本願発明は、連邦政府による資金提供を受けた研究開発のプロジェクトの一部として考案されたものではない。
【背景技術】
【0004】
時速100マイルを超えた動きをすることも多いゴルフクラブヘッドが、静止したゴルフボールと衝突するインパクトによって、ゴルフクラブヘッドのフェースには非常に大きな力がかかり、それに応じてフェースには大きな応力がかかる。フェースが受けるピーク応力を低減させることが望ましく、インパクト力をゴルフクラブヘッドの他の、インパクト力を有利に活用することが出来るエリアへと選択的に分散させることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その最も一般的な特徴において、本願発明は、多様な新しい機能によって従来技術を発展させ、新しい今までなかった方法により、従来の方法の課題の多くを解決する。その最も一般的な実施形態において、本願発明は、多くの一般的に有効な特徴のいずれにおいても、従来技術の課題を解決し、限界を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のゴルフクラブは、クラブヘッドのクラウンに位置するクラウン側応力低減特徴(SRF)と、クラブヘッドのソールに位置するソール側SRFを含む応力低減特徴を備える。SRFの位置および大きさ、また位置と大きさとの間の関係は、ゴルフボールとのインパクトの際中にゴルフクラブのフェースが受けるピーク応力の低減、およびフェースの撓みの選択的な増加において重要な役割を果たす。
【0007】
好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによってより容易に当業者に明白となるように、好ましい様々な実施形態、プロセスおよび方法の多くの変形例、修正例、代替例および変更例を単体で、または互いに組み合わせることにより、用いることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面を参照し本願発明を説明するが、これらの図面によって、特許請求の範囲に記載される本願発明は限定されない。
【
図1】
図1は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図2】
図2は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図3】
図3は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図4】
図4は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態のトウ側側面図である。
【
図5】
図5は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図6】
図6は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態のトウ側側面図である。
【
図7】
図7は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図8】
図8は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態のトウ側側面図である。
【
図9】
図9は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図10】
図10は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図11】
図11は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図12】
図12は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図13】
図13は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図14】
図14は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図15】
図15は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図16】
図16は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図17】
図17は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図18】
図18は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図19】
図19は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図20】
図20は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態のトウ側側面図である。
【
図21】
図21は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の正面図である。
【
図22】
図22は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図23】
図23は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の底面図である。
【
図24】
図24は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図25】
図25は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図26】
図26は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図27】
図27は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図28】
図28は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図29】
図29は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図30】
図30は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図31】
図31は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の底面図である。
【
図32】
図32は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図33】
図33は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の底面図である。
【
図34】
図34は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図35】
図35は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図36】
図36は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図37】
図37は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の底面図である。
【
図38】
図38は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図39】
図39は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図40】
図40は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図41】
図41は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図42】
図42は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の上面図である。
【
図43】
図43は、ノンスケールで示す、本願発明の一実施形態の部分断面図である。
【
図44】
図44は、負荷に応じたフェースのずれを示すグラフである。
【
図45】
図45は、負荷に応じてフェースが受けるピーク応力を示すグラフである。
【
図46】
図46は、負荷に応じた応力-撓みの割合を示すグラフである。
【0009】
これらの図面は、以下にさらに詳細に説明する本願発明のゴルフクラブの実施形態の理解が容易になるよう提供されており、ゴルフクラブを不当に限定するものと解釈されるべきではない。特に、図面に示す様々な要素の相対的な間隔、位置決め、大きさおよび寸法は、ノンスケールで示されており、説明をより明瞭にするべく、誇張したり、小さくしたり、あるいは修正を加えたりしたものを示している。当業者であれば、説明をより明瞭にし、図面の数を減らすべく、一定の範囲の代替的な特徴が省略されていることも理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の中空ゴルフクラブは、従来技術を大幅に発展させる。ゴルフクラブの好ましい実施形態は、この大幅な発展を、独特かつ今までなかった方法で構成される、従来は実現されなかったが、好ましく所望される機能を示す、新しい今までなかった方法によって達成する。図面を参照して記載される以下の説明は、ゴルフクラブの現時点で好ましい実施形態の説明であり、本願発明のゴルフクラブを作製したり活用したりする、全ての形態を表すものではない。以下の説明では、ゴルフクラブを実施する際の設計、機能、手段および方法を、実施形態に関連して示す。しかし、同様な、または同等な機能および特徴を、特許請求するゴルフクラブヘッドの思想および態様に含まれることが意図される他の異なる実施形態によって達成することも可能である。
【0011】
本願発明のゴルフクラブに関する理解を完全なものとするべく、本明細書で用いる一般用語をいくつか定義する。最初に、当業者であれば、本明細書でCGと呼ぶこともある、固体力学の基礎レベルのコースで学ぶ、「重心」の意味を理解するであろう。密度が均一であるとは限らない木製ゴルフクラブ、ハイブリッドゴルフクラブ、中空アイアンタイプのゴルフクラブにおいてCGとは、クラブヘッドの全てのバランス点の交点とみなされることが多い。つまり、フェースでヘッドのバランスをとり、それからソールでヘッドのバランスをとると、それらバランス点を直線的に通る2つの想像線の交点が、CGと呼ばれる点となる。
【0012】
CGの位置を特定し説明する際に用いる座標系を定める。座標系を定めるにあたって、最初に、基面(GP)およびシャフト軸(SA)を特定する。最初に、ゴルフクラブヘッドのフェースを見ている状態の、ゴルフクラブヘッドの正面図である
図1に示すようにゴルフクラブヘッドが置かれる水平面が、基面(GP)である。次に、シャフトを受容する、ゴルフクラブヘッドのボアの中心軸が、シャフト軸(SA)である。ゴルフクラブヘッドによっては、シャフトを受容するボアを収容する外側のホーゼルを有しており、当業者であれば、容易にシャフト軸(SA)を理解することができるであろう。他の「ホーゼルのない」ゴルフクラブは、シャフトを受容する内部ボアを有し、この場合でもこの内部ボアが、シャフト軸(SA)を定める。シャフト軸(SA)は、ゴルフクラブヘッドの設計によって決まる。シャフト軸(SA)を
図1に示す。
【0013】
シャフト軸(SA)と基面(GP)との交点が、原点となる。原点は
図1の座標系において「原点」と示されている。当技術分野では一般的に知られているが、シャフトが取り付けられるボアに近い側の、
図1に示すクラブヘッドの右側は、ゴルフクラブヘッドの「ヒール」側と呼ばれており、その反対側である
図1の左側は、ゴルフクラブヘッドの「トウ」側と呼ばれている。さらに、ゴルフクラブヘッドの、ゴルフボールを実際に打つ部位は、ゴルフクラブヘッドのフェースと呼ばれ、一般的にゴルフクラブヘッドのフロントと呼ばれる。一方、ゴルフクラブヘッドのその反対側は、ゴルフクラブヘッドのリアおよび/またはトレーリングエッジと呼ばれている。
【0014】
3次元の座標系を原点に基づいて定める。Y方向は、原点から鉛直方向である。X方向は、Y方向に対して垂直な、水平方向であり、設計姿勢としても知られる自然な静止姿勢にあるゴルフクラブヘッドのフェースに対して平行である。Z方向はX方向に対して垂直であり、ゴルフクラブヘッドのリアに向かう方向である。X、Y、Z方向を
図1の座標系に符号で示す。なお、この座標系は、従来から用いられているX方向が右側に向かう座標系とは反対であるが、このことによって重心が全方向に正の座標を有することになるので好ましい。
【0015】
原点と座標系とを定めたので、CGの位置を定義する用語を説明する。当業者であれば、
図2に示すような、木製ゴルフクラブヘッドなどの中空ゴルフクラブヘッドのCGが、ゴルフクラブヘッドのフェースの後方にあることを理解するであろう。
図2に示すように、原点から後方へCGまでの距離をZcgと呼ぶ。同様に、
図3に示すように、原点から上方へCGまでの距離をYcgと呼ぶ。最後に、
図3に示すように、原点からCGまでの水平方向の距離をXcgと呼ぶ。よって、Xcg、YcgおよびZcgを用いることによって、CGの位置を容易に特定できる。
【0016】
ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントは、クラブの性能を決める主要な要素である。繰り返すが、当業者であれば、ゴルフクラブヘッドに関して慣性モーメントとは何かを理解するだろうが、本明細書で用いる慣性モーメントの2種類の成分を定義しておく。最初に、
図4においてMOIxと示す慣性モーメントは、X軸に対して平行かつCGを通る軸の周りの、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。MOIxは、フェースの上側または下側でボールを打つことによって起こる、ロフティングまたはデロフティングモーメントに抵抗する、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。次に、
図5においてMOIyと示す慣性モーメントは、Y軸に対して平行かつCGを通る軸の周りの、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。MOIyは、フェースのトウ側またはヒール側でボールを打つことによって引き起こされるオープニングモーメントに、またはクロージングモーメントに抵抗する、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントである。
【0017】
ゴルフクラブヘッドの主な寸法の定義についてさらに説明すると、FB寸法と呼ぶ「フロント-バック」寸法は、
図6に示すように、ゴルフクラブヘッドの先端縁の最前部から、ゴルフクラブヘッドのリア、すなわちトレーリングエッジの最後部までの距離である。HT寸法と呼ぶ「ヒール-トウ」の寸法は、
図7に示すように、トウ側の、X方向の正の方向に原点から最も離れたクラブヘッドのフェースの表面上の点から、ヒール側の、X方向の負の方向に原点から最も離れた、基面から0.875インチ上にあるゴルフクラブヘッドのフェースの表面上の点までの距離である。
【0018】
ゴルフクラブのフェース上の重要な位置は、工学的インパクトポイント(EIP)である。工学的インパクトポイント(EIP)は、本願発明のゴルフクラブヘッドの他の重要な属性のいくつかを定義するのに用いられるので、重要である。工学的インパクトポイント(EIP)とは一般的に、ゴルフボールを打つのに理想的とされるフェース上の点と見なされる。一般的に、ゴルフクラブヘッド上のスコアラインにより、ゴルフクラブの工学的インパクトポイント(EIP)を容易に特定することが出来る。
図9に示す実施形態において、工学的インパクトポイント(EIP)を特定するべく実行する最初のステップは、トップスコアライン(TSL)とボトムスコアライン(BSL)とを特定することである。次に、トップスコアライン(TSL)の中間点からボトムスコアライン(BSL)の中間点まで、想像線(IL)を引く。この想像線(IL)は、鉛直方向に延びるものでないことが多い。なぜなら、スコアラインは、クラブが自然姿勢にあるとき、トウ側に行くにつれて高くなるよう角度を付けて設計されることが多いからである。次に、
図10に示すように、トップスコアライン(TSL)とボトムスコアライン(BSL)とが、基面(GP)に対して平行になるよう、すなわち想像線(IL)が鉛直方向を向くよう、クラブを回転させる。この姿勢で、基面(GP)からの高さである、下端縁高さ(LEH)および上端縁高さ(TEH)をそれぞれ測る。次に、下端縁高さ(LEH)から上端縁高さ(TEH)を減算し、フェース高さを特定する。フェース高さを2で割り、下端縁高さ(LEH)を加算し、工学的インパクトポイント(EIP)の高さを計算する。
図10の姿勢にあるクラブヘッドを引き続き参照すると、想像線(IL)上かつ、基面(GP)から、上述の通り求めた高さ分だけ高い位置に印が付けられている。この印が、工学的インパクトポイント(EIP)を示す。
【0019】
代替的なスコアラインの構成を有するクラブヘッドに関しても、工学的インパクトポイント(EIP)を容易に特定することが可能である。例えば、
図11のゴルフクラブヘッドは、中央に寄せられたトップスコアラインを有さない。このような場合、互いの長さの差が5%以内である2つの最も外側のスコアラインをトップスコアライン(TSL)およびボトムスコアライン(BSL)として用いる。このフェース上での工学的インパクトポイント(EIP)の位置を特定するプロセスは、上述した通りに実施する。さらに、ゴルフクラブヘッドによっては、
図12に示すクラブヘッドのフェースの上部に見られるように、非連続的なスコアラインを有するものもある。この場合、2つのトップスコアラインの断絶部分を繋ぐ線を引き、連続的なトップスコアライン(TSL)を引く。この新たに引かれた連続的なトップスコアライン(TSL)を二等分し、想像線(IL)の位置決めに用いる。ここでも、このフェース上で工学的インパクトポイント(EIP)の位置を特定するプロセスは、上述した通りに実施する。
【0020】
スコアラインのパターンが非対称なゴルフクラブヘッド、またはスコアラインを全く有さないゴルフクラブヘッドなどの稀に見られるケースであっても、工学的インパクトポイント(EIP)を容易に特定することが出来る。そのような実施形態においては、工学的インパクトポイント(EIP)は、USGAが発行する「Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubhead」第2.0版2005年3月25日に基づいて特定する。同手順は、参照により本明細書に組み込まれる。このUSGAによる手順は、検査対象のゴルフクラブのフェース上のインパクト位置を特定するプロセスを説明している。同文献内では、インパクト位置のことをフェースセンターと呼んでいる。このUSGAによる手順は、ゴルフクラブのフェース上に置かれるテンプレートを用いて、フェースセンターを特定する。スコアラインのパターンが非対称である、または全くスコアラインがないといった限られたケースにおいては、このUSGAがフェースセンターと呼ぶ位置が、本明細書を通じて工学的インパクトポイント(EIP)と呼ばれる位置となる。
【0021】
フェース上の工学的インパクトポイント(EIP)は、本願発明のゴルフクラブヘッドの他の属性を定める重要な基準となる。一般的に、工学的インパクトポイント(EIP)は、EIPと示され、フェース上に×印で示されている。工学的インパクトポイント(EIP)の正確な位置は、
図22~24に示すように、寸法Xeip、YeipおよびZeipで特定される。X座標Xeipは、Xcgと同じように測定され、Y座標Yeipは、Ycgと同じように測定され、Z座標Zeipは、Zcgと同じように測定される。Zeipは、原点の手前にあるか原点の奥にあるかに関わらず、常に正の値である。
【0022】
工学的インパクトポイント(EIP)を用いる重要な寸法は、
図8および14に示す、センターフェースプログレッション(CFP)である。センターフェースプログレッション(CFP)は、1次元の測定値であり、シャフト軸(SA)から工学的インパクトポイント(EIP)へのZ方向に向かう距離として定める。工学的インパクトポイント(EIP)を用いるもう一つの寸法を、クラブモーメントアーム(CMA)と呼ぶ。
図8に示すように、CMAは、クラブヘッドのCGからフェース上の工学的インパクトポイント(EIP)までの2次元的な距離である。よって、
図1の座標系に基づいて説明すると、クラブモーメントアーム(CMA)は、Z方向の成分とY方向の成分を含むが、CGと工学的インパクトポイント(EIP)との間の、X方向での差は無視している。よって、クラブモーメントアーム(CMA)は、工学的インパクトポイント(EIP)を通り、X方向に延びる、インパクト鉛直方向面に関して考えることが出来る。最初に、インパクト鉛直方向面に当たるまでCGをX方向に水平に動かす。それから、クラブモーメントアーム(CMA)は、インパクト鉛直方向面にCGを投影した位置から、工学的インパクトポイント(EIP)までの距離となる。クラブモーメントアーム(CMA)は、インパクト時の、ゴルフボールの発射角とスピンとに大きな影響を与える。
【0023】
ゴルフクラブの設計に関する他の重要な寸法は、
図13および14に示す、クラブヘッドのブレード長さ(BL)である。ブレード長さ(BL)は、原点から、トウ側の、X方向に原点から最も離れたクラブヘッドの表面上の点までの距離である。ブレード長さ(BL)は2つの部位からなっている。それらは、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)およびトウ側ブレード長さ部位(Bbl)である。これらの2つの部位が区別される点は、工学的インパクトポイント(EIP)であり、より適切には、
図13に示すように、ゴルフクラブヘッドが設計姿勢とも呼ばれる自然な静止姿勢にあるときに、工学的インパクトポイント(EIP)を通って延びる、フェース中心線(FC)とも呼ばれる鉛直方向の線である。
【0024】
さらに、ゴルフクラブの設計において必須である他の点との関連でCGの位置を理解するのに役立つ寸法が他にもいくつかある。最初に、CGアングル(CGA)は、
図14に示すように、CGと原点とを繋ぐ線と、シャフト軸(SA)の延長線との間の1次元的な角度である。CGアングル(CGA)は、X-Z面内のみにおいて測定され、よって、CGと原点との間の高さの差は考慮されない。よって、
図14の上面図を参照すると最もわかりやすい。
【0025】
最後に、本願発明のゴルフクラブの設計を数値化する際に重要な寸法は、
図17に示すトランスファー距離(TD)と呼ばれる、2次元のみを考慮したものである。トランスファー距離(TD)は、CGから、原点から延びる鉛直方向の線までの水平方向の距離である。よって、トランスファー距離(TD)は、CGの高さ、つまりYcgを無視する。よって、単純幾何学のピタゴラスの定理を用いると、トランスファー距離(TD)は、第1の底辺としてXcgを有し、第2の底辺としてZcgを有する直角三角形の斜辺である。
【0026】
トランスファー距離(TD)は、本願発明のゴルフクラブにとって重要となるもう1つの慣性モーメント値を定めるのに用いられるので重要である。このもう1つの慣性モーメント値は、原点を通る鉛直方向の軸の周りのフェースクロージング慣性モーメント(MOIfcと呼ぶ)である。この慣性モーメントは、MOIyを水平方向に動かしたもの(Y方向への変化はない)である。MOIfcは、クラブヘッドの質量に対してトランスファー距離(TD)の2乗を乗じ、MOIyを加算したものである。よって、MOIfcは以下のとおりとなる。
【数1】
【0027】
フェースクロージングモーメント(MOIfc)は、ゴルフボールとのインパクト位置であるスクエアポジションへとクラブのフェースを戻すべくスウィングをする際にゴルファーが感じる抵抗を表すので、重要である。言い換えると、ゴルフスウィングによって、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールとのインパクト位置である元の位置に戻されるにしたがって、インパクト時にボールを飛ばす方向に対してフェースが直角であるよう、フェースが閉じられ始める。
【0028】
本願発明の中空ゴルフクラブは、従来技術の中空タイプのゴルフクラブと異なり、応力低減特徴を有している。
図21に示すように、中空ゴルフクラブは、シャフト(200)、グリップ(300)およびゴルフクラブヘッド(100)を備える。シャフト(200)は、シャフト近位端(210)およびシャフト遠位端(220)を有する。グリップ(300)は、シャフト近位端(210)に取り付けられる。ゴルフクラブヘッド(100)は、シャフト遠位端(220)に取り付けられる。中空ゴルフクラブの全体的な長さ、つまりクラブ長さは、USGAのガイドラインによれば36インチ以上であり、45インチ以下である。
【0029】
ゴルフクラブヘッド(400)はそれ自体が中空構造である。その中空構造は、フェース(500)、ソール(700)、クラウン(600)およびスカート(800)を含む。フェース(500)は、ゴルフクラブヘッド(400)のゴルフボールに対するインパクト位置である、ゴルフクラブヘッド(400)のフロント部(402)に位置する。ソール(700)は、ゴルフクラブヘッド(400)の底部に位置する。クラウン(600)は、ゴルフクラブヘッド(400)の頂部に位置する。スカート(800)は、ソール(700)とクラウン(600)との間の、ゴルフクラブヘッド(400)の外縁の一部に亘って位置する。フェース(500)、ソール(700)、クラウン(600)およびスカート(800)によって、アウターシェルが定められ、またそのアウターシェルによって、ゴルフクラブヘッド(400)の、300cm3未満である、ヘッド体積が定められる。さらに、ゴルフクラブヘッド(400)は、フェース(500)の反対側に、リア部(404)を有する。当業者に理解されるように、リア部(404)は、ゴルフクラブヘッド(400)のトレーリングエッジを含む。フェース(500)は、12°以上かつ30°以下のロフト角(L)を有し、フェース(500)は、上記の通り定義した工学的インパクトポイント(EIP)を含む。当業者に理解されるように、スカート(800)は、ゴルフクラブヘッド(400)の特定のエリアにおいて大きくてもよく、他の特定のエリアにおいては実質的に存在しなくてもよい。実質的に存在しない部分というのは、特に、単にクラウン(600)によって覆われ、そのままソール(700)へと繋がることも多い、ゴルフクラブヘッド(400)のリア部(404)などである。
【0030】
ゴルフクラブヘッド(100)は、センターを有するボアを含む。センターは、シャフト軸(SA)を定め、シャフト軸(SA)は、上述したように、水平方向の基面(GP)と交差することにより原点を定めるボアは、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)に位置し、シャフト遠位端(220)をゴルフクラブヘッド(400)に取り付けるべく受容する。また、ゴルフクラブヘッド(100)は、ヒール側(406)の反対側に位置するトウ側(408)を有する。本願発明のゴルフクラブヘッド(400)の質量であるクラブヘッド質量は、270g未満である。従来技術のロフト、クラブヘッド体積およびクラブ長さを考慮すると、本願発明のゴルフクラブは、フェアウェーウッド、ハイブリッドクラブまた中空アイアンのような中空ゴルフクラブとして意図されている。
【0031】
ゴルフクラブヘッド(400)は、応力低減特徴(1000)を含む。応力低減特徴(1000)は、
図22に示すように、クラウン(600)に位置するクラウン側SRF(1100)、および、
図23に示すようにソール(700)に位置するソール側SRF(1300)を含む。
図22および25に示すように、クラウン側SRF(1100)は、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)とCSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)との間のCSRF長さ(1110)、CSRF先端縁(1120)、CSRFトレーリングエッジ(1130)、CSRF幅(1140)およびCSRF深さ(1150)を有する。同様に、
図23および25に示すように、ソール側SRF(1300)は、SSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)とSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)との間のSSRF長さ(1310)、SSRF先端縁(1320)、SSRFトレーリングエッジ(1330)、SSRF幅(1340)およびSSRF深さ(1350)を有する。
【0032】
図24を参照すると、SRF接続面(1500)は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の一部を通る。SRF接続面(1500)の位置を特定するべく、クラブヘッド(400)を、シャフト軸(SA)を含む鉛直方向面に対して垂直に、フロント-リア方向に切り取った、鉛直方向断面を得る。その断面を
図24に示す。その後、クラウン側SRF(1100)のクラウン側SRF中間点を、クラウン(600)の自然な曲がり具合に沿ったクラウンの想像線上の位置において特定する。クラウンの想像線は、
図24において、CSRF先端縁(1120)とCSRFトレーリングエッジ(1130)とをつなぐ破線、または隠れ線によって示し、クラウン側SRF中間点は×印で示す。同様に、ソール側SRF(1300)のソール側SRF中間点を、ソール(700)の自然な曲がり具合に沿ったソールの想像線上の位置において特定する。ソールの想像線は、
図24において、SSRF先端縁(1320)とSSRFトレーリングエッジ(1330)とをつなぐ破線、または隠れ線によって示し、ソール側SRF中間点は、×印で示す。最後に、
図24に示すように、SRF接続面(1500)は、クラウン側SRF中間点およびソール側SRF中間点を両方通るヒール-トウ方向に延在する面である。
図24に示すSRF接続面(1500)は、鉛直方向に延在しているが、SRF接続面(1500)の方向は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置に応じて変わり、
図26に示すようにその上部がフェース側に傾いていたり、
図27に示すように上部がフェースから離れるように傾いていたりしてよい。
【0033】
図26および27では、SRF接続面(1500)は、鉛直方向から接続面角度(1510)分だけ傾けて方向づけられている。接続面角度(1510)は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置を定めるのに用いられる。特定の一実施形態において、
図26に示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)は互いに鉛直方向真上または真下に位置しておらず、接続面角度(1510)は0より大きい角度であり、クラブヘッド(400)のロフト角(L)の90%未満の角度である。ソール側SRF(1300)は、同様に、クラウン側SRF(1100)よりも前方に、つまりフェース(500)側に位置していてもよく、この場合でも、本実施形態の条件を満たし得る。その条件とはつまり、接続面角度(1510)が0より大きい角度であり、クラブヘッド(400)のロフト角(L)の90%未満の角度であるということである。
【0034】
代替的な実施形態において、
図27に示すように、SRF接続面(1500)は、鉛直方向から接続面角度(1510)分だけ傾けて方向づけられており、接続面角度(1510)は、クラブヘッド(400)のロフト角(L)よりも10%以上大きい角度である。クラウン側SRF(1100)は、同様に、ソール側SRF(1300)の前方、つまりフェース(500)側に位置していてもよく、この場合でも、本実施形態の条件を満たし得る。その条件とはつまり、接続面角度(1510)がクラブヘッド(400)のロフト角(L)よりも10%以上大きな角度であるということである。さらに他の一実施形態において、SRF接続面(1500)は、鉛直方向から接続面角度(1510)分だけ傾けて方向づけられており、接続面角度(1510)は、クラブヘッド(400)のロフト角(L)よりも50%以上大きく、かつ100%未満大きい角度である。これらの3つの実施形態は、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との独特な関係を示しており、これらの実施形態においては、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)とが互いに鉛直方向に整列しておらず、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)とは、オフセットされて、接続面角度(1510)がクラブヘッド(400)のロフト角(L)と等しくなくともよい。
【0035】
図30および31を参照すると、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)のいずれか一方または両方が、
図22に24-24と示すCG断面に位置しない場合、CGを通るフロント-リア鉛直方向面(フロント-リア鉛直方向CG通過面)に最も近く位置するクラウン側SRF(1100)が選択される。例えば、
図30に示すように、右側のクラウン側SRF(1100)が、左側のクラウン側SRF(1100)よりもフロント-リア鉛直方向CG通過面に近い。言い換えると、右側のクラウン側SRF(1100)の方が、距離「A」が短い。次に、フェース中心線(FC)を、破線「B」で示すようにCSRF先端縁(1120)およびCSRFトレーリングエッジ(1130)の両方を通る位置まで動かす。その後、線「B」の中間点を特定し、「C」と示す。最後に、線「B」に対して垂直な想像線「D」を引く。
【0036】
図31に示すように、ソール側SRF(1300)についても同様なプロセスを繰り返す。フロント-リア鉛直方向CG通過面に最も近いクラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との両方が、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)にあるというのは単なる偶然に過ぎない。たとえフロント-リア鉛直方向CG通過面に最も近いクラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)とが互いにゴルフクラブヘッド(400)の反対側にあった場合であっても、同様なプロセスが適用される。ここで、続けて
図31を参照し、プロセスでは最初に、右側のソール側SRF(1300)が、左側のソール側SRF(1300)よりもフロント-リア鉛直方向CG通過面に近いことを特定する。言い換えると、ヒール側のソール側SRF(1300)の方が、距離「E」が小さい。次に、フェース中心線(FC)を、破線「F」で示すように、SSRF先端縁(1320)およびSSRFトレーリングエッジ(1330)の両方を通る位置まで動かす。その後、線「F」の中間点を特定し、「G」と示す。最後に、線「F」に対して垂直な想像線「H」を引く。想像線「D」および想像線「H」の両方を通る面が、SRF接続面(1500)である。
【0037】
次に、
図24に戻り、CG-面オフセット(1600)を、CGの位置に関わらず、重心(CG)からSRF接続面(1500)までの最短距離として定める。特定の一実施形態において、CG-面オフセット(1600)は、クラブモーメントアーム(CMA)より25%以上小さく、クラブモーメントアーム(CMA)は、1.3インチ未満である。本明細書で説明するクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置、および関連するそれらの位置を特定する変数は、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかる応力を好ましく低減させ、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の一時的な屈曲および変形を、CG位置および/または原点との相対位置を一定にするよう調節し、かつ、フェース(500)、クラウン(600)およびソール(700)の耐久性を維持するよう、選択される。実験およびモデリングにより、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の両方が、フェース(500)の撓みを増加させ、ゴルフボールとのインパクト時にフェース(500)にかかるピーク応力を低減させるのに必要であることがわかった。この応力の低減により、実質的に厚さが薄いフェースを用いることが出来、減少した分の重量をクラブヘッド(400)の他の部分に用いることが出来る。さらに、フェース(500)の撓みが増加したことにより、特にクラブヘッド(400)が300cc以下の体積を有する場合に、クラブヘッド(400)の反発係数(COR)がさらに向上する。
【0038】
実際に、さらに他の実施形態において、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置をより詳細に特定し、これらの目的を達成する。例えば、他の一実施形態において、CG-面オフセット(1600)は、クラブモーメントアーム(CMA)の25%以上であり、クラブモーメントアーム(CMA)の75%未満である。さらに他の一実施形態において、CG-面オフセット(1600)は、クラブモーメントアーム(CMA)の40%以上であり、クラブモーメントアーム(CMA)の60%未満である。
【0039】
代替的な他の実施形態において、上述したようにCG-面オフセット(1600)の変数を用いずに、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置を、フェース高さと呼ぶ、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差と関連付ける。そこで、2つの新たな変数、つまりCSRF先端縁オフセット(1122)およびSSRF先端縁オフセット(1322)を
図24に示す。CSRF先端縁オフセット(1122)は、CSRF先端縁(1120)に沿った任意の点から、Zcg方向にまっすぐ前方へ向かい、フェース(500)の上端縁(510)の点までの距離である。よって、CSRF先端縁オフセット(1122)は、CSRF先端縁(1120)の各点において変わり得、または、CSRF先端縁(1120)の曲がり具合が、フェース(500)の上端縁(510)の曲がり具合と一致する場合は、一定である。しかし、CSRF先端縁オフセット(1122)は常に、CSRF先端縁(1120)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース上端縁(510)上の対応する点との距離が最も短い距離となる点において最小値となり、CSRF先端縁(1120)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース上端縁(510)上の対応する点との距離が最も長くなる点において最大値となる。同様に、SSRF先端縁オフセット(1322)は、SSRF先端縁(1320)に沿った任意の点から、Zcg方向にまっすぐ前方へ向かい、フェース(500)の下端縁(520)の点までの距離である。よって、SSRF先端縁オフセット(1322)は、SSRF先端縁(1320)の各点において変わり得、または、SSRF先端縁(1320)の曲がり具合が、フェース(500)の下端縁(520)の曲がり具合と一致する場合は、一定である。しかし、SSRF先端縁オフセット(1322)は常に、SSRF先端縁(1320)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース下端縁(520)上の対応する点との距離が最も短い距離となる点において最小値となり、SSRF先端縁(1320)に沿った点のうち、真っ直ぐ前方のフェース下端縁(520)上の対応する点との距離が最も長くなる点において最大値となる。一般的に、CSRF先端縁オフセット(1122)の最大値およびSSRF先端縁オフセット(1322)の最大値は、フェース高さの75%未満である。この適用において、また定義を簡単なものにするべく、フェース上端縁(510)は、バーチカルフェースロールが1インチ未満になるフェース(500)の頂部に沿った一連の点であり、同様にフェース下端縁(520)は、バーチカルフェースロールが1インチ未満になるフェース(500)の底部に沿った一連の点である。
【0040】
この特定の一実施形態において、CSRF先端縁オフセット(1122)の最小値はフェース高さ未満であり、SSRF先端縁オフセット(1322)の最小値は、フェース高さの2%以上である。さらに他の実施形態において、CSRF先端縁オフセット(1122)の最大値もフェース高さ未満である。さらに他の実施形態において、CSRF先端縁オフセット(1122)の最小値は、フェース高さの10%以上であり、CSRF幅(1140)の最小値は、CSRF先端縁オフセット(1122)の最小値の50%以上である。さらに他の実施形態において、範囲をより狭めて定め、CSRF先端縁オフセット(1122)の最小値は、フェース高さの20%以上である。
【0041】
同様に、多くの実施形態において、ソール側SRF(1300)に関する有利な関係を定める。例えば、一実施形態において、SSRF先端縁オフセット(1322)の最小値は、フェース高さの10%以上であり、SSRF幅(1340)の最小値は、SSRF先端縁オフセット(1322)の最小値の50%以上である。さらに、他の実施形態において、範囲をより狭めて定め、SSRF先端縁オフセット(1322)の最小値は、フェース高さの20%以上である。
【0042】
さらにCSRF先端縁オフセット(1122)と、SSRF先端縁オフセット(1322)と、フェース高さの関係を定めると、一実施形態において、工学的インパクトポイント(EIP)が、以下の条件を満たすYeip座標、Xeip座標およびZeip座標を有する。YeipとYcgとの差が、0.5インチ未満、-0.5インチ超であり、XeipとXcgとの差が、0.5インチ未満、-0.5インチ超であり、ZeipとZcgとの合計が2.0インチ未満である。クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の先端縁の位置と併せて、これらの工学的インパクトポイント(EIP)の位置と、重心(CG)の位置との関係を用いることにより、インパクト時の安定性を向上させ、SRF(1100、1300)およびフェース(500)の望ましい撓みを可能にし、クラブヘッド(400)の耐久性を維持し、フェース(500)が受けるピーク応力を低減させることが出来る。
【0043】
クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の位置は、本願発明の目的を達成するのに重要ではあるが、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の大きさも重要な役割を果たす。
図42および43に示す、フェアウェーウッドタイプのゴルフクラブおよびハイブリッドタイプのゴルフクラブを対象とした、ブレード長さが長い場合の特定の実施形態において、ゴルフクラブヘッド(400)のブレード長さ(BL)は3.0インチ以上であり、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)は、0.8インチ以上である。本実施形態において、以下のような場合に好ましい結果が得られる。CSRF長さ(1110)が、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長さ以上であり、SSRF長さ(1310)が、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長さ以上であり、CSRF深さ(1150)の最大値が、距離Ycgの10%以上であり、SSRF深さ(1350)の最大値が、距離Ycgの10%以上である。これらにより、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の圧縮および/または屈曲が十分なものとなり、インパクト時にフェース(500)が受ける応力を大幅に低減できる。ここで、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の断面プロファイルの例としては、
図24に示す箱型、
図28に示す滑らかなU型、および
図29に示すV型などの多くの形状が含まれ、またこれらに限定されない。さらに
図40および41に示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)は、SRF(1100、1300)の変形をさらに選択的に制御できるよう、補強エリアを含んでいてもよい。さらに、CSRF長さ(1110)およびSSRF長さ(1310)は、湾曲している場合、SRF(1100、1300)の曲がり具合に沿ってではなく、Xcgと同じ方向に測定する。
【0044】
図25に示すように、クラウン側SRF(1100)は、CSRF壁部厚さ(1160)を有し、ソール側SRF(1300)は、SSRF壁部厚さ(1360)を有する。多くの実施形態において、CSRF壁部厚さ(1160)およびSSRF壁部厚さ(1360)は、0.010インチ以上かつ0.150インチ以下である。特定の一実施形態において、CSRF壁部厚さ(1160)およびSSRF壁部厚さ(1360)をフェース厚さ(530)の10%~60%の範囲とすることにより、フェース(500)が受ける応力の所望される低減およびフェース(500)の所望される撓みを得つつ、求められる耐久性が得られる。さらに、この範囲の厚さを用いることにより、本願発明の効果を弱めることなく、また、重量配分をクラブヘッド(400)のSRF(1100、1300)の近傍において過度に増加させることなく、本願発明の目的の達成が促される。
【0045】
さらに、CSRF深さ(1150)の最大値およびSSRF深さ(1350)の最大値といった用語を用いるのは、
図32~35に示すようにクラウン側SRF(1100)の深さと、ソール側SRF(1300)の深さとが、一定である必要がないからであり、実際に、変わり得る。さらに、
図35のSRF(1100、1300)の右側と左側とに示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の端壁は、はっきりと区別できるものである必要はなく、深さが最も深い部分からクラウン(600)またはソール(700)の自然な輪郭へと連続するものであってもよい。この連続部分は、滑らかなものである必要はなく、段階的なもの、複数の形状の集まり、または他の形状であってもよい。実際に、端壁が存在するかまたは不在であるかは、本願発明のゴルフクラブの形状の特定において、必須のものではない。しかし、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)、SSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)およびSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)の位置を特定するべく、基準を設定する必要がある。よって、区別のできる端壁によって特定できない場合、これらのポイントは、クラウン(600)またはソール(700)の自然な曲がり具合からのずれが、CSRF深さ(1150)の最大値またはSSRF深さ(1350)の最大値の10%以上の点から始まるものとする。多くの実施形態において、CSRF深さ(1150)の最大値およびSSRF深さ(1350)の最大値は、0.100インチ以上かつ0.500インチ以下であることが好ましい。
【0046】
図36に示すように、CSRF先端縁(1120)は直線であってもよく、または、CSRF先端縁曲率半径(1124)を有してもよい。同様に、
図37に示すようにSSRF先端縁(1320)は直線であってもよく、または、SSRF先端縁曲率半径(1324)を有してもよい。特定の一実施形態において、CSRF先端縁(1120)およびSSRF先端縁(1320)は湾曲しており、CSRF先端縁(1120)の曲率とSSRF先端縁(1320)の曲率との両方が、フェース(500)のバルジの曲率の40%以内である。さらに他の実施形態において、CSRF先端縁(1120)の曲率とSSRF先端縁(1320)の曲率との両方が、フェース(500)のバルジの曲率の20%以内である。これらの曲率によって、フェース(500)の撓みの制御がさらにしやすくなる。
【0047】
図32~35に示すように、特定の一実施形態において、CSRF深さ(1150)は、フェース中心線(FC)よりトウ側(408)の点における深さ、およびフェース中心線(FC)よりヒール側(406)の点における深さよりも、フェース中心線(FC)において浅い。このことにより、USGAが許可する限界値より一般的にCORが低い、フェース(500)のヒール側(406)およびトウ側(408)で起こり得る撓みが増加する。他の実施形態において、
図35に示すように、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)は、深さ減少領域、つまりCSRF深さ減少領域(1152)およびSSRF深さ減少領域(1352)をそれぞれ有する。各深さ減少領域は、特定のSRF深さ(1100、1300)の最大値より20%以上深さが浅くなっている、連続した領域である。CSRF深さ減少領域(1152)は、CSRF深さ減少領域長さ(1154)を有し、SSRF深さ減少領域(1352)は、SSRF深さ減少領域長さ(1354)を有する。特定の一実施形態において、各深さ減少領域長さ(1154、1354)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の50%以上である。
図35に示すように、他の実施形態において、CSRF深さ減少領域(1152)およびSSRF深さ減少領域(1352)のおよその中心位置は、フェース中心線(FC)である。さらに他の実施形態における設計では、CSRF深さ減少領域長さ(1154)は、CSRF長さ(1110)の30%以上であり、SSRF深さ減少領域長さ(1354)は、SSRF長さ(1310)の30%以上である。本願発明の目的の達成を促すことに加え、深さ減少領域(1152、1352)は、SRF(1100、1300)の寿命を向上させ、早期故障の発生確率を低下させることが出来、この場合でも、フェース(500)上の所望される位置でのCORを増加させることが出来る。
【0048】
図25に示すようにクラウン側SRF(1100)は、CSRF断面積(1170)を有し、ソール側SRF(1300)はSSRF断面積(1370)を有する。断面積は、鉛直方向面においてクラブヘッド(400)のフロント部(402)からリア部(404)に亘る断面を用いて測定する。
図28および29の断面プロファイル(1190、1390)がCSRF長さ(1110)およびSSRF長さ(1310)の範囲内の各点において変わり得るように、CSRF断面積(1170)およびSSRF断面積(1370)も長さ(1110、1310)の範囲内の各点において変わり得る。実際、特定の一実施形態においては、CSRF断面積(1170)は、フェース中心線(FC)よりトウ側(408)の点における断面積、およびフェース中心線(FC)よりヒール側(406)の点における断面積よりも、フェース中心線(FC)において小さい。同様に、他の実施形態において、SSRF断面積(1370)は、フェース中心線(FC)よりトウ側(408)の点における断面積、およびフェース中心線(FC)よりヒール側(406)の点における断面積よりも、フェース中心線(FC)において小さい。さらに他の実施形態において、CSRF断面積(1170)およびSSRF断面積(1370)に関する前述の2つの実施形態の両方の特徴を含む。特定の一実施形態において、CSRF断面積(1170)およびSSRF断面積(1370)は、0.005~0.375平方インチの間である。さらに、クラウン側SRF(1100)は、CSRF体積を有し、ソール側SRF(1300)は、SSRF体積を有する。一実施形態において、CSRF体積とSSRF体積との合計は、クラブヘッドの体積の0.5%以上かつ10%未満である。この範囲の値を用いることにより、本願発明の効果を弱めることなく、また、重量配分をクラブヘッド(400)のSRF(1100、1300)の近傍において過度に増加させることなく、本願発明の目的の達成が促される。
【0049】
ここで、
図36および37に示す別の実施形態においては、距離Xcgと同じ方向への、原点からCSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)までの距離を、CSRF原点オフセット(1118)と定める。ここで、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)に位置する場合、CSRF原点オフセット(1118)は正の値であり、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)に位置する場合は、CSRF原点オフセット(1118)は負の値である。同様に、距離Xcgと同じ方向への、原点からSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)までの距離を、SSRF原点オフセット(1318)と定める。ここで、SSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)に位置する場合、SSRF原点オフセット(1318)は正の値であり、SSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)が、原点より、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)に位置する場合は、SSRF原点オフセット(1318)は負の値である。
【0050】
図37に示す特定の一実施形態において、SSRF原点オフセット(1318)は正の値であり、つまり、SSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)は原点の手前にある。さらに、別の実施形態において、
図36の実施形態が組み合わされる。CSRF原点オフセット(1118)が負の値であり、つまり、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)が原点を超え、CSRF原点オフセット(1118)の絶対値は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の5%以上である。しかし、代替的な実施形態において、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)は原点を超えないので、CSRF原点オフセット(1118)は正の値であり、その絶対値は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の5%以上である。これらの特定の実施形態において、CSRFの最もヒール寄りのポイント(1116)およびSSRFの最もヒール寄りのポイント(1316)を、それらと原点との距離がヒール側ブレード長さ部位(Abl)の5%未満とならないよう位置させることは、幅広いゴルフボールとのインパクト位置において、本願発明の多くの目的を達成するうえで望ましい。
【0051】
図36および37に示すように、さらに他の実施形態において、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)およびSSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)の位置の範囲を、CSRFトウオフセット(1114)およびSSRFトウオフセット(1314)を定めることにより特定する。CSRFトウオフセット(1114)は、CSRFの最もトウ寄りのポイント(1112)から、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)の距離Xcgと同じ方向に最も離れた点までの距離であり、同様に、SSRFトウオフセット(1314)は、SSRFの最もトウ寄りのポイント(1312)から、ゴルフクラブヘッド(400)のトウ側(408)の距離Xcgと同じ方向に最も離れた点までの距離である。好ましいフェース応力配分、並びにクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の圧縮並びに屈曲を生み出す特定の一実施形態において、CSRFトウオフセット(1114)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の50%以上であり、SSRFトウオフセット(1314)は、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の50%以上である。さらに他の実施形態において、CSRFトウオフセット(1114)およびSSRFトウオフセット(1314)はそれぞれ、ゴルフボールの直径の50%以上であり、よって、CSRFトウオフセット(1114)およびSSRFトウオフセット(1314)はそれぞれ、0.84インチである。これらの実施形態は、クラブヘッド(400)全体の統合性にほとんど影響を与えないので、特にヒール側(406)およびトウ側(408)での所望される耐久性を確保し、この場合でも、センターを外してインパクトした時のフェースの撓みが向上される。
【0052】
さらに他の実施形態において、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の大きさに注目する。そのような一実施形態において、CSRF幅(1140)の最大値は、距離Zcgの10%以上であり、SSRF幅(1340)の最大値は、距離Zcgの10%以上である。これらにより、インパクト時のクラブヘッド(400)の安定性が増す。さらに他の実施形態において、CSRF幅(1140)の最大値およびSSRF幅(1340)の最大値を増加させ、それぞれ距離Zcgの40%以上とする。これにより、インパクト時の撓みと、フェース(500)が受けるピーク応力の選択的な制御性が向上する。代替的な実施形態において、CSRF深さ(1150)の最大値およびSSRF深さ(1350)の最大値を、上述したように距離Zcgではなく、フェース高さに関連付ける。例えば、さらに他の実施形態おいて、CSRF深さ(1150)の最大値は、フェース高さの5%以上であり、SSRF深さ(1350)の最大値は、フェース高さの5%以上である。さらに他の実施形態において、CSRF深さ(1150)の最大値は、フェース高さの20%以上であり、SSRF深さ(1350)の最大値は、フェース高さの20%以上である。この場合でも、インパクト時の撓みと、フェース(500)が受けるピーク応力の選択的な制御性が向上する。多くの実施形態において、CSRF幅(1140)の最大値およびSSRF幅(1340)の最大値は、好ましくは0.0.050インチ以上であり、0.750インチ以下である。
【0053】
他の実施形態は、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の、シャフト軸(SA)およびXcg方向によって定められる鉛直方向面に対する位置に注目する。そのような一実施形態において、クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)がシャフト軸面の後方に位置するとき、安定性の向上とフェース応力の低減が認められた。他の実施形態において、さらに、この関係について定める。そのような一実施形態においては、CSRF先端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの20%以上の距離を置いて位置する。さらに他の実施形態は、ソール側SRF(1300)の位置に注目し、SSRF先端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの10%以上の距離を置いて位置する。クラウン側SRF(1100)に注目するさらに他の実施形態において、CSRF先端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの75%以上の距離を置いて位置する。ソール側SRF(1300)を対象とした類似の実施形態において、SSRF先端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの75%以上の距離を置いて位置する。同様に、シャフト軸面の後方のCSRF先端縁(1120)およびSSRF先端縁(1320)の位置は、上述したように距離Zcgではなく、フェース高さに関連付けられてもよい。例えば、一実施形態において、CSRF先端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、フェース高さの10%以上の距離を置いて位置する。他の実施形態は、ソール側SRF(1300)の位置に注目し、SSRF先端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、距離Zcgの5%以上の距離を置いて位置する。クラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)の両方に注目する、さらに他の実施形態において、CSRF先端縁(1120)は、シャフト軸面の後方に、フェース高さの50%以上の距離を置いて位置し、SSRF先端縁(1320)は、シャフト軸面の後方に、フェース高さの50%以上の距離を置いて位置する。
【0054】
クラブヘッド(400)が含むのは、単一のクラウン側SRF(1100)と単一のソール側SRF(1300)に限らない。実際に、
図30、31および39に示すように、多くの実施形態において、複数のクラウン側SRF(1100)および複数のソール側SRF(1300)を含んでよく、これらの場合において、複数のSRF(1100、1300)は、互いにヒール-トウの方向に並べられて位置してよく、若しくは、互いにフロント-リア方向に並べられて位置してもよい。そこで、
図31に示すように、特定の一実施形態において、上面図で見たときに工学的インパクトポイント(EIP)の両側に位置する2つ以上のクラウン側SRF(1100)を含んでおり、これにより、さらに選択的にCORを増加させることが出来、フェース(500)のピーク応力を向上させることができる。従来技術によると、フェース(500)のCORは、測定ポイントが工学的インパクトポイント(EIP)から離れるにつれて小さくなり、よって、ゴルファーがゴルフクラブヘッドのヒール側(406)か、またはトウ側(408)でゴルフボールを打つと、CORの高いゴルフクラブを用いた場合であっても、その恩恵を受けることが出来なかった。そこで、
図30に示すように2つのクラウン側SRF(1100)を位置させることにより、ゴルフクラブヘッド(400)のヒール側(406)か、またはトウ側(408)で打った際のフェースの撓みをさらに向上することが出来る。
図31に示す他の実施形態において、述べたばかりの原理を複数のソール側SRF(1300)に適用する。
【0055】
クラブヘッド(400)とゴルフボールとのインパクトは、実験を行う、またはコンピュータによってモデリングを行うなど、多くの方法でシミュレーションが可能である。最初に、あらゆるゴルフクラブヘッドへの適用が容易であり、主観を省くことが出来るので、実験によるプロセスについて説明する。プロセスでは、フェース(500)に対して、工学的インパクトポイント(EIP)を中心とした直径0.6インチのエリアに力を加える。4000lbfの力は、クラブヘッド(400)とゴルフボールとの間の、およそ100mphでのインパクトに相当する。さらに重要なことには、この力はフェースへの適用と再現とが容易である。クラブヘッドの境界に関する条件として、力を加える際に、クラブヘッド(400)のリア部(404)を固定することにした。言い換えると、クラブヘッド(400)は、材料試験機の固定具に容易に固定することが出来、力を加えることが出来る。一般的に、リア部(404)は、ゴルフボールとの実際のインパクト時、ほとんど負荷を受けない。これは特に、「フロント-バック」寸法(FB)が大きいときに当てはまる。力を加えられた状態でのフェース(500)のピーク撓みは、容易に測定でき、実際のインパクト時に見られるピーク撓みと極めて近い。ピーク撓みは、CORと線形相関の関係にある。フェース(500)に適用された歪みゲージによって、実際の応力を測定する。この実験プロセスの実施は、数分で済み、どのような種類のクラブヘッド(400)にも様々な力を加えることが出来る。さらに、クラブフェース(500)の特定のエリアに、明確に区別可能な負荷を加えられるコンピュータによるモデリングを用いれば、実際の動的なインパクトよりもさらに短時間でのシミュレーションが可能になる。
【0056】
応力低減特徴(1000)を有さないクラブヘッド、ソール側SRF(1300)のみを有するクラブヘッド(400)、クラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との両方を有するクラブヘッド(400)に対して、1000lbf、2000lbf、3000lbfおよび4000lbfの負荷を与える実験より得られた、負荷に応じたフェースのずれのグラフを
図44に示す。負荷は全て、工学的インパクトポイント(EIP)を中心とした直径0.6インチのエリアに加えられた。フェース厚さ(530)は、いずれの3つのクラブヘッドにおいても同じであり、0.090インチであった。ソール側SRF(1300)のみを有する場合にはフェース(500)のずれに関してほとんど影響がないことを、
図44のグラフははっきりと示している。しかし、本明細書で説明するようにクラウン側SRF(1100)とソール側SRF(1300)との両方を含んだ場合には、フェースの撓みが、4000lbfの負荷レベルで、0.027インチから0.030インチへと11%超増加した。特定の一実施形態において、撓みが増加することによって、クラブヘッドの特性時間(CT)が、187μ秒から248μ秒に長くなった。負荷に応じて、
図44に関連して説明した3種類のクラブヘッドのフェースが受けるピーク応力のグラフを、
図45に示す。
図45に示すように、本明細書で説明するようにクラウン側SRF(1100)およびソール側SRF(1300)を有する場合には、4000lbfの負荷レベルで、フェースが受けるピーク応力を170.4ksiから128.1ksiへ、およそ25%低減させた。応力低減特徴(1000)によって、クラブヘッド(400)の統合性を犠牲にすることなく、極めて薄いフェース(500)を用いることが出来るようになる。実際に、フェース厚さ(530)は、0.050~0.120インチの範囲で変わり得る。
【0057】
図44および45から得られる情報を組み合わせると、
図46に示すように新たな割合を考えることが出来る。つまり、任意の負荷における、フェースのずれに対するフェース上のピーク応力の割合である、応力-撓みの割合である。一実施形態において、応力-撓みの割合は、撓み1インチあたり5000ksi未満であり、この場合、フェース(500)の工学的インパクトポイント(EIP)を中心とした直径0.6インチのエリアに、インパクト力と似た力を与え、そのインパクト力と似た力は、1000lbf以上かつ4000lbf以下であり、クラブヘッドの体積は300cc未満であり、フェース厚さ(530)は0.120インチ未満であった。さらに他の実施形態において、フェース厚さ(530)は、0.100インチ未満であり、応力-撓みの割合は撓み1インチあたり4500ksi未満であった。さらに他の実施形態において、応力-撓みの割合は、撓み1インチあたり4300ksi未満であった。
【0058】
述べたばかりの特有な応力-撓みの割合に加え、本願発明の一実施形態において、さらに特性時間が220μ秒以上であり、ヘッドの体積が200cm3未満のフェース(500)を含む。さらに、他の実施形態において、特性時間が240μ秒以上であり、ヘッドの体積が170cm3未満であり、上端縁高さ(TEH)の最大値と下端縁高さ(LEH)の最小値との差であるフェース高さが1.50インチ未満であり、バーチカルロール半径が7~13インチの間であるフェース(500)を含む。このロール半径により、このように長い特性時間、低いフェース高さおよび小さいゴルフクラブヘッド容量を得ることは、より難しくなる。
【0059】
当業者であれば、しばしばCT値とも呼ばれるゴルフクラブヘッドの特性時間は、United States Golf Association(USGA)の定める用具に関するルールによって制約を受けることを理解するであろう。そのルールによれば、クラブヘッドの特性時間は、239μ秒以下でなくてはならず、試験における最大の公差は、18μ秒である。よって、ゴルフクラブは目標CT値が239μ秒となるように設計されるが、クラブヘッドによっては製造ばらつきによりCT値が239μ秒を超えることもあり、またそれよりも低いこともある。しかし、CT値が257μ秒を超えてはならず、超えた場合、USGAのルールに準拠していないことになる。USGAが発行する「Procedure for Measuring the Flexibility of a Golf Clubhead」第2.0版2005年3月25日は、特性時間を測定する手順を定める現行の基準である。
【0060】
上述したように、ゴルフクラブヘッド(100)は、ブレード長さ(BL)を有しており、ブレード長さ(BL)は、原点から、ゴルフクラブヘッドのトウ側へ水平方向であり、フェースおよび基面(GP)に対して平行な方向に、ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定したものである。特定の一実施形態において、ゴルフクラブヘッド(100)は、ブレード長さ(BL)が3.1インチ以上であり、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)が1.1インチ以上であり、クラブモーメントアーム(CMA)が1.3インチ未満であり、このことにより、フェースが受ける応力を低減させる、向上した特性時間性質を有するブレード長さの長いゴルフクラブとなる。この場合でも、大きすぎるフェアウェーウッドにありがちな、クラブモーメントアーム(CMA)が大きいことによる悪影響を受けることはない。クラブモーメントアーム(CMA)は、センターを外して打った際のボールの飛びに大きな影響を及ぼす。重要なことは、クラブモーメントアーム(CMA)が小さい程、工学的インパクトポイント(EIP)で打った際のショットと、センターを外して打った際のショットとの間に見られる差も小さくなるということである。よって、本願発明のゴルフクラブのヒール近く、またはトウ近くで打ったゴルフボールの飛び方は、完璧なショットで打った場合のものと、より似たものになる。逆に、クラブモーメントアーム(CMA)が大きく、大きさが大きすぎるフェアウェーウッドのヒール近く、またはトウ近くで打ったゴルフボールの飛び方は、同じ、大きさが大きすぎるフェアウェーウッドの工学的インパクトポイント(EIP)で打ったボールの飛び方と、大幅に異なるであろう。一般的に、クラブモーメントアーム(CMA)の大きなゴルフクラブは、工学的インパクトポイント(EIP)で完璧に打った場合、ゴルフボールに対して、より早いスピン速度を与え、センターを外して打った場合には、生まれるスピン速度に大きな差が出る。よって、さらに他の実施形態においては、クラブモーメントアーム(CMA)が1.1インチ未満であり、これにより、発射角の変化に対するボールのスピン速度の変化が小さいなど、より効率的な発射条件を有するゴルフクラブとなり、ボールの飛距離がさらに伸びる。
【0061】
クラブヘッドの性能を向上させるべくZcg値を増加させる従来の技術知識は、ゴルフクラブの性能およびボールの飛びにより大きな影響を及ぼすのは、クラブモーメントアーム(CMA)であるということを示していなかった。長いブレード長さ(BL)および長いヒール側ブレード長さ部位(Abl)と共に、クラブモーメントアーム(CMA)を制御し、クラブヘッドの、インパクト時の応力を分散させる性能を向上させ、特にセンターを外したインパクト時の、フェースのより大きな範囲に亘る特性時間を向上させることにより、従来技術よりも、完璧なインパクトとセンターを外したインパクトとの間での差異が少ない発射条件がもたらされる。他の実施形態において、
図6および13に示すように、ブレード長さ(BL)に対するゴルフクラブヘッドのフロント-バック寸法(FB)の割合は、0.925未満である。本実施形態において、ブレード長さ(BL)に対するクラブヘッド(100)のフロント-バック寸法(FB)を限定することにより、クラブの性能が向上し、この場合でも、特性時間、ヒール側とトウ側のフェースの撓みおよび低減されたクラブモーメントアーム(CMA)などにおいて所望される高い向上を達成することが出来る。本願発明の小さくなったフロント-バック寸法(FB)およびそれに関連して小さくなったZcgによって、ゴルフクラブヘッドのダイナミックロフト角を大幅に低減させることが出来る。フェアウェーウッドのブレード長さ(BL)を長くし、かつ、フロント-バック寸法(FB)を低減させ、応力低減特徴(1000)、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)の最少値およびクラブモーメントアーム(CMA)の最大値に関して上述した特徴を組み込むことにより、従来技術による原理を実施する当業者には予期し得ない、向上した性能を有するゴルフクラブヘッドを作製することが出来る。他の実施形態において、ゴルフクラブヘッドのフロント-バック寸法(FB)に対するヒール側ブレード長さ部位(Abl)の特有な割合が特定され、それは0.32以上である。さらに他の実施形態において、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)に対するクラブモーメントアーム(CMA)の割合を特定する。本実施形態において、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)に対するクラブモーメントアーム(CMA)の割合は、0.9未満である。さらに他の実施形態において、本願発明のフェアウェーウッドのゴルフクラブヘッドを、ブレード長さ(BL)に対するヒール側ブレード長さ部位(Abl)の特有な割合によって特徴づけ、その割合を0.33以上とする。他の実施形態において、トランスファー距離(TD)がクラブモーメントアーム(CMA)より10%以上長い場合に、発射条件に関するクラブヘッドの非常に有利な性能が得られる。さらに、フェアウェーウッドに関して特に有効なのは、トランスファー距離(TD)がクラブモーメントアーム(CMA)よりも10~40%長いときである。この範囲の値が用いられることにより、フェースクロージングモーメント(MOIfc)が確実に高くなり、クラブヘッドをインパクトするべくスクエア位置へ動かす運動が自然に感じられ、小さいクラブモーメントアーム(CMA)およびCG位置に関する有利なインパクト特徴を活用できる。
【0062】
図10を参照すると、一実施形態において、上端縁高さ(TEH)と距離Ycgとの関係を特定のものにすることによって、所望される性能と感覚とがさらに向上する。本実施形態において、上端縁高さ(TEH)に対する距離Ycgの好ましい割合は、0.40未満であり、この場合でも、ブレード長さが3.1インチ以上と長くなり、このブレード長さは1.1インチ以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)を含んでおり、クラブモーメントアーム(CMA)は1.1インチ未満であり、トランスファー距離(TD)は1.2インチ以上である。ここで、トランスファー距離(TD)は、クラブモーメントアーム(CMA)よりも10~40%長い。この割合を満たすことにより、CGが確実に工学的インパクトポイント(EIP)より下方に位置し、またこの場合でも、クラブモーメントアーム(CMA)とトランスファー距離(TD)との関係は、応力低減特徴(1000)、ブレード長さ(BL)およびヒール側ブレード長さ部位(Abl)の長いクラブヘッドの設計よって確実に達成される。上述したように、CG高さが低くなるにつれ、定義上、クラブモーメントアーム(CMA)は大きくなる。これによりまた、距離Ycgを短くしつつクラブモーメントアーム(CMA)を1.1インチ未満にすること、および長いブレード長さ(BL)と長いヒール側ブレード長さ部位(Abl)とを可能とすべく、トランスファー距離(TD)を長くすることに特に注目する必要が出てくる。さらに他の実施形態において、上端縁高さ(TEH)に対する距離Ycgの割合を0.375未満にすることにより、ボールの飛びの性能がより望ましいものになった。一般的に、フェアウェーウッドのゴルフクラブの上端縁高さ(TEH)は、1.1~2.1インチの間である。
【0063】
実際に、偶然にも距離Ycgが短いフェアウェーウッドタイプのゴルフクラブヘッドの多くは、短いブレード長さ(BL)、小さいヒール側ブレード長さ部位(Abl)および/または長いクラブモーメントアーム(CMA)によって悪影響を受けている。
図3を参照すると、特定の一実施形態において、0.65インチ未満の距離Ycgによって向上した性能を達成し、またこの場合でも、ブレード長さが3.1インチ以上と長くなり、このブレード長さは1.1インチ以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)を含んでおり、クラブモーメントアーム(CMA)は1.1インチ未満であり、トランスファー距離(TD)は1.2インチ以上である。ここで、トランスファー距離(TD)は、クラブモーメントアーム(CMA)より10~40%長い。上述したように、これらの関係は、多くの変数の間の繊細なバランスを有しており、所望される性能を得るべく、従来のクラブヘッドの設計原理とは異なるものも多い。さらに、他の実施形態において、距離Ycgを0.60インチ未満までさらに短くしつつ、この関係における繊細なバランスを維持している。
【0064】
上述したように、従来は、MOIyが大きなフェアウェーウッドを追及し、大きすぎるフェアウェーウッドが作製され、CGの位置を、クラブのフェースから出来る限り遠ざけ、出来る限り低くしようとしてきた。
図8を参照すると、この特定のよく行われてきた方法によって、大きなクラブモーメントアーム(CMA)が生み出されてきた。クラブモーメントアーム(CMA)は、本願発明が低減させようとするものである。さらに、当業者であれば、
図2および6に示すように距離Zcgを一定に保ちつつ、
図8のようにCGの位置を低くするだけでは、実際にはクラブモーメントアーム(CMA)が長くなることを理解するであろう。本願発明では、クラブモーメントアーム(CMA)を1.1インチ未満に保ち、上述した所望される性能上の利点を達成した。この場合でも、上端縁高さ(TEH)に関連して距離Ycgを短くし、このことによって、事実上、距離Zcgは短くなっており、CG位置は、従来の多くの設計目標とは逆に、フェースに近づいている。
【0065】
これまで説明してきたように、多くの変数の間の関係は、ゴルフクラブの所望される性能および感覚を得るうえで、重要な役割を果たす。これらの重量な関係の1つは、クラブモーメントアーム(CMA)とトランスファー距離(TD)との間の距離である。特定の一実施形態において、クラブモーメントアーム(CMA)は、1.1未満であり、トランスファー距離(TD)は、1.2インチ以上である。しかし、さらに他の特定の一実施形態において、この関係がより一層洗練され、フェアウェーウッドゴルフクラブのトランスファー距離(TD)に対するクラブモーメントアーム(CMA)の割合が、0.75未満であり、特に望ましい性能を可能としている。一実施形態において、さらなる性能の向上が達成され、クラブモーメントアーム(CMA)は、1.0インチ未満であり、さらに好ましくは0.95インチ未満である。部分的に関連する一実施形態においては、質量分布が、距離Ycgに対する距離Xcgの割合を2以上とするものである。
【0066】
他の実施形態においては、距離Ycgが0.65インチ未満となり、求められるクラブヘッドのシェルの重量が非常に軽くて済む。これにより、通常許容されるヘッド重量を超えることなく、また、必要な耐久性を維持しつつ、出来る限り任意で選択可能な質量をソール領域に加えることができる。このことは、特定の一実施形態において、チタン合金、非金属複合材または熱可塑性プラスチック材料などの密度が5g/cm3未満の材料からシェルを構成することによって達成出来、最終完成品のクラブヘッドの重量の3分の1超を、クラブヘッドのソールに位置する、任意で選択可能な質量とすることが出来る。そのような非金属複合材は、連続繊維プリプレグ材料(熱硬化性材料、または樹脂のかわりに熱可塑性プラスチック材料)などの複合材料を含んでよい。さらに他の実施形態において、任意で選択可能な質量は、タングステンなどの15g/cm3以上の密度を有する第2の材料で構成されている。さらに他の実施形態において、0.55インチ未満の距離Ycgは、チタン合金のシェルおよび80g以上のタングステンの任意で選択可能な質量を用いることによって得られる。この場合でも、上端縁高さ(TEH)に対する距離Ycgの割合を0.40未満とし、ブレード長さ(BL)を3.1インチ以上とし、このブレード長さ(BL)は1.1インチ以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)を含んでおり、クラブモーメントアーム(CMA)を1.1インチ未満とし、トランスファー距離(TD)を1.2インチ以上とする。
【0067】
他の実施形態において、通常とは異なる、クラブヘッドに関する変数の間の関係をさらに定め、その関係によって、並外れた性能と感覚とを示すフェアウェーウッドタイプのゴルフクラブを作製することが出来る。本実施形態においては、距離Ycgの2倍以上のヒール側ブレード長さ部位(Abl)が、性能、感覚および美的感覚の観点から望ましい。さらに、距離Ycgの2.75倍を超えるヒール側ブレード長さ部位(Abl)では、性能、感覚、美的感覚の観点から望ましくなくなることから、好ましい範囲を特定することが出来る。よって、この一実施形態において、ヒール側ブレード長さ部位(Abl)は、距離Ycgの2~2.75倍の間である。
【0068】
同様に、望ましい全体のブレード長さ(BL)が、距離Ycgに関連づけられる。さらに他の実施形態において、好ましい性能および感覚が、ブレード長さ(BL)が距離Ycgの6倍以上である時に得られる。そのような関係は、ゴルフクラブに関する従来技術では探究されてこなかった。その理由は、ブレード長さ(BL)が過度に長くなるからである。さらに、距離Ycgの7倍を超えるブレード長さ(BL)では性能と感覚の観点から望ましくなくなることから、好ましい範囲を特定することが出来る。よって、一実施形態において、ブレード長さ(BL)は、距離Ycgの6~7倍である。
【0069】
ブレード長さ(BL)と距離Ycgとの新しい関係、およびヒール側ブレード長さ部位(Abl)と距離Ycgとの新しい関係が特定されたように、特に性能の優れたゴルフクラブを作製することの出来る、トランスファー距離(TD)と距離Ycgとの関係が、他の実施形態において特定される。一実施形態において、トランスファー距離(TD)が距離Ycgの2.25倍以上である時に、好ましい性能と感覚とが達成される。さらに、トランスファー距離(TD)が距離Ycgの2.75倍を超えると性能と感覚とが低下することから、好ましい範囲を特定することが出来る。よって、さらに他の実施形態において、好ましい性能および感覚を得るには、トランスファー距離(TD)は、距離Ycgの2.25~2.75倍という比較的狭い範囲内にあるべきである。
【0070】
本願発明の実施形態において定められる全ての割合は、クラブヘッドに関する主要な工学的変数の間の特有な関係の発見であり、ゴルフクラブヘッドの設計に関する従来の技術知識のように、単にMOIyを大きくしよう、またはCGの位置を低くしようとする試みとは相反する。本明細書に開示した好ましい実施形態について多くの変更例、修正例および変形例が当業者には明らかとなり、それらの変更例、修正例および変形例も本願発明の思想および態様に含まれるものと見なされる。さらに、特定の実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、上述した実施形態および変形例を修正し、様々な種類の代用品、もしくは、追加的または代替的な材料、要素間の相対的な配置、および寸法に関する構成などを組み込むことが出来ることを理解するであろう。したがって、本願発明の変形例のいくつかのみを本明細書で説明したが、そのような追加的な修正例、変形例およびそれらの同等物の実施が、以下の特許請求項の範囲に定める本願発明の思想および態様に含まれることが理解されるであろう。
[他の考え得る項目]
[項目1]
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッドであって、
(i)シェルと、
(iii)ボアと、
(iv)重心と
を備え、
前記シェルは、前記ゴルフクラブヘッドがゴルフボールにインパクトするフロント部に位置するフェースを有し、前記フェースは、リア部の反対側であって、頂部とソールとの間を延在し、これにより、閉じた内部体積を画定し、前記ゴルフクラブヘッドは少なくとも2つの異なる材料からなり、
(ii)前記フェースは、最小のフェース厚さから最大のフェース厚さまで変動するフェース厚さと、220μ秒以上のUSGAによって規定されるCT値と、工学的インパクトポイントと、フェース高さと、上端縁高さと、下端縁高さとを有し、前記フェースは、原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に、前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるトウ側ブレード長さ部位およびヒール側ブレード長さ部位を含み、
前記ボアは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールが置かれる水平方向に延在する基面と交差することによって前記原点を定めるシャフト軸を定めるセンターを有し、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置し、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側は、前記ヒール側の反対に位置し、
前記重心は、
(a)前記原点から鉛直方向に距離Ycgを置いて、
(b)前記原点から前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かう水平方向に距離Xcgを置いて、
(c)前記原点から前記リア部に向かい、前記距離Ycgの測定に用いられる鉛直方向に対して実質的に直交し、前記距離Xcgの測定に用いられる水平方向に実質的に直交する方向に距離Zcgを置いて
位置する、
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目2]
前記最小のフェース厚さは、少なくとも0.050インチ(0.127cm)であり、前記最大のフェース厚みは、前記最小のフェース厚みよりも少なくとも25%大きく、
前記ゴルフクラブヘッドは、第1の密度を有する第1の材料と、前記第1の密度の少なくとも2倍である第2の密度を有する第2の材料とを含む、
項目1に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目3]
前記第2の密度は、15g/cm3以上であり、前記第1の密度は、5g/cm3未満である、
項目2に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目4]
前記第2の材料は、80g以上である、
項目2または3に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目5]
前記ソールに少なくとも部分的に位置するソール側応力低減特徴を更に備え、
前記ソール側応力低減特徴は、前記ヒール側ブレード長さ部位の長さ以上であるソール側応力低減特徴長さと、Zcg方向に向かって、前記ソール側応力低減特徴の先端縁であるソール側応力低減特徴先端縁に沿ういずれかのポイントから前記フェースの下端縁のポイントまでのまっすぐ前方の距離であるソール側応力低減特徴先端縁オフセットを有する前記ソール側応力低減特徴先端縁と、前記ソール側応力低減特徴のトレーリングエッジであるソール側応力低減特徴トレーリングエッジと、前記ソール側応力低減特徴の幅であるソール側応力低減特徴幅と、前記ソール側応力低減特徴の深さであるソール側応力低減特徴深さと、を含み、前記ソール側応力低減特徴先端縁および前記ソール側応力低減特徴トレーリングエッジのうちの少なくとも一方は、前記距離Ycgの10%以上の距離を前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる、前記ソール側応力低減特徴の壁部であるソール側応力低減特徴壁部を有する、
項目1から4のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目6]
前記ソール側応力低減特徴長さに沿う少なくとも一点の前記ソール側応力低減特徴幅は、前記距離Zcgの10%以上である、
項目5に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目7]
前記ソール側応力低減特徴壁部は、0.010インチ(0.0254cm)以上0.150インチ(0.381cm)未満の、前記ソール側応力低減特徴の壁部厚さであるソール側応力低減特徴壁部厚さを有し、前記ソール側応力低減特徴壁部は、0.100インチ(0.254cm)以上を前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる、
項目5または6に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目8]
前記ソール側応力低減特徴先端縁は湾曲している、
項目5から7のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目9]
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッドであって、
(i)シェルと、
(iii)ボアと、
(iv)重心と
を備え、
前記シェルは、前記ゴルフクラブヘッドがゴルフボールにインパクトするフロント部に位置するフェースを有し、前記フェースは、リア部の反対側であって、頂部とソールとの間を延在し、これにより、閉じた内部体積を画定し、前記ゴルフクラブヘッドは、第1の密度を有する第1の材料および第2の密度を有する第2の材料を含み、前記第2の密度は前記第1の密度よりも高く、
(ii)前記フェースは、最小のフェース厚さから最大のフェース厚さまで変動するフェース厚さと、220μ秒以上のUSGAによって規定されるCT値と、工学的インパクトポイントと、フェース高さと、上端縁高さと、下端縁高さとを有し、前記フェースは、原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に、前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるトウ側ブレード長さ部位およびヒール側ブレード長さ部位を含み、前記ヒール側ブレード長さ部位は1.1インチ(2.794cm)以上であり、
前記ボアは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールが置かれる水平方向に延在する基面と交差することによって前記原点を定めるシャフト軸を定めるセンターを有し、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置し、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側は、前記ヒール側の反対に位置し、
前記重心は、
(a)前記原点から鉛直方向に距離Ycgを置いて、
(b)前記原点から前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かう水平方向に距離Xcgを置いて、
(c)前記原点から前記リア部に向かい、前記距離Ycgの測定に用いられる鉛直方向に対して実質的に直交し、前記距離Xcgの測定に用いられる水平方向に実質的に直交する方向に距離Zcgを置いて
位置し、
(v)前記重心から前記工学的インパクトポイントまでのクラブモーメントアームが1.10インチ(2.794cm)未満であり、前記ヒール側ブレード長さ部位に対する前記クラブモーメントアームの割合は0.9未満であり、
(vi)前記重心から、前記原点から延びる鉛直方向の線まで水平方向に測定されるトランスファー距離が、前記クラブモーメントアームより10%以上長く、前記トランスファー距離に対する前記クラブモーメントアームの割合が0.75未満である、
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目10]
前記第2の密度は前記第1の密度の2倍以上であり、前記ブレード長さに対する、前記フェース上の最前部から前記リア部における最後部までのフロント-バック寸法の割合は0.925未満であり、前記フロント-バック寸法に対する前記ヒール側ブレード長さ部位の割合は0.32以上であり、前記クラブモーメントアームは1.1インチ(2.54cm)未満であり、前記第2の材料は80g以上である、
項目9に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目11]
前記第2の密度は、15g/cm3以上である、
項目9または10に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目12]
前記上端縁高さに対する前記距離Ycgの割合は0.40未満であり、前記トランスファー距離は1.2インチ(3.048cm)以上である、
項目9から11のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目13]
前記上端縁高さに対する前記距離Ycgの前記割合は0.375未満であり、前記クラブモーメントアームは0.95インチ(2.413cm)未満である、
項目12に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目14]
前記CT値は240μ秒以上である、
項目9から13のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目15]
前記ブレード長さは3.1インチ(7.874cm)以上であり、前記ブレード長さに対する、前記フェース上の最前部から前記リア部における最後部までのフロント-バック寸法の割合は0.925未満であり、前記クラブモーメントアームは1.1インチ(2.54cm)未満である、
項目9から13のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目16]
前記第1の密度は、5g/cm3未満である、
項目15に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目17]
前記第2の材料は80g以上である、
項目15または16に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目18]
インパクト力と似た力を受けたときの前記フェースのピーク撓みに対する前記フェース上のピーク応力の応力-撓み割合は、撓み1インチ(2.54cm)あたり5500ksi(37921MPa)未満であり、この場合、前記インパクト力と似た力は、前記フェースにおける、前記工学的インパクトポイントを中心とした直径0.6インチ(1.524cm)のエリアに与えられ、前記インパクト力と似た力は、1000lbf(4448N)以上かつ4000lbf(17793N)以下である、
項目9または10に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目19]
前記応力-撓み割合は、撓み1インチ(2.54cm)あたり5000ksi(34474MPa)未満である、
項目18に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目20]
前記ソールに少なくとも部分的に位置するソール側応力低減特徴を更に備え、
前記ソール側応力低減特徴は、前記ヒール側ブレード長さ部位の長さ以上であるソール側応力低減特徴長さと、Zcg方向に向かって、前記ソール側応力低減特徴の先端縁であるソール側応力低減特徴先端縁に沿ういずれかのポイントから前記フェースの下端縁のポイントまでのまっすぐ前方の距離であるソール側応力低減特徴先端縁オフセットを有する前記ソール側応力低減特徴先端縁と、前記ソール側応力低減特徴のトレーリングエッジであるソール側応力低減特徴トレーリングエッジと、前記ソール側応力低減特徴の幅であるソール側応力低減特徴幅と、前記ソール側応力低減特徴の深さであるソール側応力低減特徴深さと、を含み、前記ソール側応力低減特徴先端縁および前記ソール側応力低減特徴トレーリングエッジのうちの少なくとも一方は、前記距離Ycgの10%以上の距離を前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる、前記ソール側応力低減特徴の壁部であるソール側応力低減特徴壁部を有する、
項目9から19のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目21]
前記ソール側応力低減特徴長さに沿う少なくとも一点の前記ソール側応力低減特徴幅は、前記距離Zcgの10%以上であり、前記ソール側応力低減特徴先端縁は湾曲している、
項目20に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目22]
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッドであって、
(i)シェルと、
(iii)ボアと、
(iv)重心と
を備え、
前記シェルは、前記ゴルフクラブヘッドがゴルフボールにインパクトするフロント部に位置するフェースを有し、前記フェースは、リア部の反対側であって、頂部とソールとの間を延在し、これにより、閉じた内部体積を画定し、前記ゴルフクラブヘッドは、第1の密度を有する第1の材料および第2の密度を有する第2の材料を含む、少なくとも2つの異なる材料からなり、
(ii)前記フェースは、最小のフェース厚さから最大のフェース厚さまで変動するフェース厚さと、220μ秒以上のUSGAによって規定されるCT値と、工学的インパクトポイントと、フェース高さと、上端縁高さと、下端縁高さとを有し、前記フェースは、原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に、前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるトウ側ブレード長さ部位およびヒール側ブレード長さ部位を含み、
前記ボアは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールが置かれる水平方向に延在する基面と交差することによって前記原点を定めるシャフト軸を定めるセンターを有し、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置し、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側は、前記ヒール側の反対に位置し、
前記重心は、
(a)前記原点から鉛直方向に0.65インチ(1.651cm)未満の距離Ycgを置いて、
(b)前記原点から前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かう水平方向に距離Xcgを置いて、
(c)前記原点から前記リア部に向かい、前記距離Ycgの測定に用いられる鉛直方向に対して実質的に直交し、前記距離Xcgの測定に用いられる水平方向に実質的に直交する方向に距離Zcgを置いて
位置する、
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目23]
前記第2の材料は80g以上であり、前記距離Ycgは0.60インチ(1.524cm)未満である、
項目22に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目24]
前記第2の密度は前記第1の密度の2倍以上である、
項目22または23に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目25]
前記第1の密度は、5g/cm3未満である、
項目22から24のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目26]
前記CT値は240μ秒以上である、
項目25に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目27]
前記ソールに少なくとも部分的に位置するソール側応力低減特徴を更に備え、
前記ソール側応力低減特徴は、前記ヒール側ブレード長さ部位の長さ以上であるソール側応力低減特徴長さと、Zcg方向に向かって、前記ソール側応力低減特徴の先端縁であるソール側応力低減特徴先端縁に沿ういずれかのポイントから前記フェースの下端縁のポイントまでのまっすぐ前方の距離であるソール側応力低減特徴先端縁オフセットを有する前記ソール側応力低減特徴先端縁と、前記ソール側応力低減特徴のトレーリングエッジであるソール側応力低減特徴トレーリングエッジと、前記ソール側応力低減特徴の幅であるソール側応力低減特徴幅と、前記ソール側応力低減特徴の深さであるソール側応力低減特徴深さと、を含み、前記ソール側応力低減特徴先端縁および前記ソール側応力低減特徴トレーリングエッジのうちの少なくとも一方は、前記距離Ycgの10%以上の距離を前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる、前記ソール側応力低減特徴の壁部であるソール側応力低減特徴壁部を有する、
項目22から26のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目28]
前記ソール側応力低減特徴長さに沿う少なくとも一点の前記ソール側応力低減特徴幅は、前記距離Zcgの10%以上であり、前記ソール側応力低減特徴先端縁は湾曲している、
項目27に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目29]
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッドであって、
(i)シェルと、
(iii)ボアと、
(iv)重心と
を備え、
前記シェルは、前記ゴルフクラブヘッドがゴルフボールにインパクトするフロント部に位置するフェースを有し、前記フェースは、リア部の反対側であって、頂部とソールとの間を延在し、これにより、閉じた内部体積を画定し、前記ゴルフクラブヘッドは、5g/cm3未満である第1の密度を有する第1の材料および第2の密度を有する第2の材料を含み、前記第2の密度は前記第1の密度の2倍以上であり、
(ii)前記フェースは、最小のフェース厚さから最大のフェース厚さまで変動するフェース厚さと、220μ秒以上のUSGAによって規定されるCT値と、工学的インパクトポイントと、フェース高さと、上端縁高さと、下端縁高さとを有し、前記フェースは、原点から水平方向に、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に向かって、当該方向における前記ゴルフクラブヘッドの最も離れた点まで測定されるブレード長さを有し、前記ブレード長さは、前記ブレード長さと同じ方向に、前記原点から前記工学的インパクトポイントまで測定されるトウ側ブレード長さ部位およびヒール側ブレード長さ部位を含み、前記ヒール側ブレード長さ部位は1.1インチ(2.794cm)以上であり、前記フェース上の最前部から前記リア部における最後部までのフロント-バック寸法に対する前記ヒール側ブレード長さ部位の割合は0.32以上であり、
前記ボアは、前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールが置かれる水平方向に延在する基面と交差することによって前記原点を定めるシャフト軸を定めるセンターを有し、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に位置し、前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側は、前記ヒール側の反対に位置し、
前記重心は、
(a)前記原点から鉛直方向に距離Ycgを置いて、
(b)前記原点から前記ゴルフクラブヘッドの前記トウ側に向かう水平方向に距離Xcgを置いて、
(c)前記原点から前記リア部に向かい、前記距離Ycgの測定に用いられる鉛直方向に対して実質的に直交し、前記距離Xcgの測定に用いられる水平方向に実質的に直交する方向に距離Zcgを置いて
位置し、
(v)前記重心から前記工学的インパクトポイントまでのクラブモーメントアームが0.95インチ(2.413cm)未満であり、前記ヒール側ブレード長さ部位に対する前記クラブモーメントアームの割合は0.9未満であり、
(vi)前記重心から、前記原点から延びる鉛直方向の線まで水平方向に測定されるトランスファー距離が、前記クラブモーメントアームより10%以上長く、前記トランスファー距離に対する前記クラブモーメントアームの割合が0.75未満であり、前記ブレード長さに対する前記フロント-バック寸法の割合は0.925未満であり、
マルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目30]
前記第2の材料は80g以上である、
項目29に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目31]
前記第2の密度は、15g/cm3以上である、
項目29または30に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目32]
前記上端縁高さに対する前記距離Ycgの割合は0.40未満である、
項目29から31のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目33]
インパクト力と似た力を受けたときの前記フェースのピーク撓みに対する前記フェース上のピーク応力の応力-撓み割合は、撓み1インチ(2.54cm)あたり5500ksi(37921MPa)未満であり、この場合、前記インパクト力と似た力は、前記フェースにおける、前記工学的インパクトポイントを中心とした直径0.6インチ(1.524cm)のエリアに与えられ、前記インパクト力と似た力は、1000lbf(4448N)以上かつ4000lbf(17793N)以下である、
項目29から32のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目34]
前記ソールに少なくとも部分的に位置するソール側応力低減特徴を更に備え、
前記ソール側応力低減特徴は、前記ヒール側ブレード長さ部位の長さ以上であるソール側応力低減特徴長さと、Zcg方向に向かって、前記ソール側応力低減特徴の先端縁であるソール側応力低減特徴先端縁に沿ういずれかのポイントから前記フェースの下端縁のポイントまでのまっすぐ前方の距離であるソール側応力低減特徴先端縁オフセットを有する前記ソール側応力低減特徴先端縁と、前記ソール側応力低減特徴のトレーリングエッジであるソール側応力低減特徴トレーリングエッジと、前記ソール側応力低減特徴の幅であるソール側応力低減特徴幅と、前記ソール側応力低減特徴の深さであるソール側応力低減特徴深さと、を含み、前記ソール側応力低減特徴先端縁および前記ソール側応力低減特徴トレーリングエッジのうちの少なくとも一方は、前記距離Ycgの10%以上の距離を前記ゴルフクラブヘッド内へと延びる、前記ソール側応力低減特徴の壁部であるソール側応力低減特徴壁部を有する、
項目29から33のいずれか一項に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。
[項目35]
前記ソール側応力低減特徴長さに沿う少なくとも一点の前記ソール側応力低減特徴幅は、前記距離Zcgの10%以上であり、前記ソール側応力低減特徴先端縁は湾曲している、
項目34に記載のマルチマテリアルアイアンタイプのゴルフクラブヘッド。