(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯
(51)【国際特許分類】
C08G 18/42 20060101AFI20240220BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240220BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240220BHJP
C08L 75/06 20060101ALI20240220BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C08G18/42
C08G18/00 F
C08K3/013
C08L75/06
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2022190843
(22)【出願日】2022-11-29
(62)【分割の表示】P 2019091336の分割
【原出願日】2019-05-14
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】岩口 祐典
(72)【発明者】
【氏名】松田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 剛正
(72)【発明者】
【氏名】草川 公一
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-092032(JP,A)
【文献】特開昭57-061076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0041090(US,A1)
【文献】特開2011-236346(JP,A)
【文献】特開2001-294640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/42
C08G 18/00
C08K 3/013
C08L 75/06
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基価(OHv)が250mgKOH/g以下の高分子ポリオールであって、全高分子ポリオールに対して30質量%以上100質量%以下のダイマー酸ポリエステルポリオールを含む高分子ポリオールと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートと、
整泡剤と、
触媒と、
を含む組成物の機械発泡体で構成された連続通気型スポンジを有するブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【請求項2】
前記高分子ポリオールが、前記ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオールを含む請求項1に記載のブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【請求項3】
前記ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオールが、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、カルボン酸エステルポリオールから選択される少なくとも1種である請求項2に記載のブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【請求項4】
前記ダイマー酸ポリエステルポリオールと、前記ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオールと、の質量比(ダイマー酸ポリエステルポリオール/ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオール)が、30/70~80/20である請求項2又は請求項3に記載のブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【請求項5】
吸水率が15%以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【請求項6】
前記組成物が、前記高分子ポリオール100質量部に対して5~50質量部の無機フィラーを含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【請求項7】
自己スキン層を有する請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド、医療用パッド、インソール、サポーター、液体含浸シート、マスク、又は包帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続通気型スポンジ、および化粧用パフに関する。特に機械発泡による発泡体で、吸水率の低いことを特徴とした連続気泡スポンジに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一用途である連続気泡スポンジはリキッドファンデーションが過度に浸みこまない化粧品パフに関する。従来、化粧パフに用いられるポリウレタンスポンジにリキッドファンデーションを浸みこみ難くする方法として、反応性を持たないシリコーン系の撥水材をポリウレタン溶液原料に混錬し押出成形した後、加熱下減圧にして溶媒を気化させ発泡体を得る方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
一方、炭素数8以上のモノオールをイソシアナート化合物と反応させた末端イソシアナート基を有するプレポリマーを、ポリオール及び発泡剤としての水を用いて、スラブ発泡させた撥水性発泡体が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
さらに、植物油(ひまし油系)からなるポリオールとジフェニルメタンジイソシアネート系(MDI系)イソシアナートを水発泡法で発泡させた発泡体も提案されている(特許文献3参照)。
また、機械発泡(メカニカルフロス法)により得られる機械発泡体として、末端1級化率の高いポリオールを用いた発泡体が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-284923号公報
【文献】特開2006-89582号公報
【文献】特開2007-54164号公報
【文献】特許第6106523号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の方法で得られる発泡体は、使用するシリコーン系撥水材は反応基を有していないため、化粧パフを洗剤で洗うことで容易に溶出するため発泡体の撥水性は速やかに消失してしまう。そのため、吸液率が高くなる。
【0007】
また、特許文献2の発泡体は、水発泡であるためセルは荒く、肌感触は良いものではない。
また、特許文献3の発泡体も、水発泡であるため、独立気泡になりやすいため、あえてセルを荒らして連泡化するため、微細セルは得られず、肌感触の良いものではない。
【0008】
そして、特許文献4の機械発泡体は、機械発泡ではあるが、ポリプロピレングリコール主体となるため、微細なセルは得られにくく、吸液率が高すぎる。
【0009】
このように、従来の発泡体で構成されたスポンジは、適度な吸液率、かつ肌感触が良いものが存在していない。特に、適度な吸液率、かつ肌感触が高い発泡体は、例えば、リキッドファンデーションの消費量を抑え、ファンデーションを肌へ付ける際の付け心地が求められる化粧パフ等に有用であり、要望されているのが現状である。
【0010】
そこで、本発明の課題は、適度な吸液率、かつ肌感触が良い連続通気型スポンジ、および化粧用パフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段により解決される。
【0012】
[1]
全高分子ポリオールに対して30質量%以上100質量%以下のダイマー酸ポリエステルポリオールを含む高分子ポリオールと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートと、
整泡剤と、
触媒と、
を含む組成物の機械発泡体で構成された連続通気型スポンジ。
[2]
前記高分子ポリオールが、前記ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオールを含む[1]に記載の連続通気型スポンジ。
[3]
前記ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオールが、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、カルボン酸エステルポリオールから選択される少なくとも1種である[2]に記載の連続通気型スポンジ。
[4]
前記ダイマー酸ポリエステルポリオールと、前記ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオールと、の質量比(ダイマー酸ポリエステルポリオール/ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオール)が、30/70~80/20である[2]又は[3]に記載の連続通気型スポンジ。
[5]
吸水率が15%以下である[1]~[4]のいずれか1項に記載の連続通気型スポンジ。
[6]
前記組成物が、前記高分子ポリオール100質量部に対して5~50質量部の無機フィラーを含む[1]~[5]のいずれか1項に記載の連続通気型スポンジ。
[7]
自己スキン層を有する[1]~[6]のいずれか1項に記載の連続通気型スポンジ。
[8]
[1]~[7]のいずれか1項に記載の連続通気型スポンジを有する化粧用パフ。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、適度な吸液率、かつ肌感触が良い連続通気型スポンジ、および化粧用パフが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法を実施するための装置の一例を示す模式図である。
【
図2】実施例4の連続通気型スポンジの、リキッドファンデーションを浸み込み度合を示す図である。
【
図3】比較例7のスポンジの、キッドファンデーションを浸み込み度合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0016】
(連続通気型スポンジ)
本実施形態に係る連続通気型スポンジ(以下、単に「スポンジ」とも称する)は、
全高分子ポリオールに対して30質量%以上100質量%以下のダイマー酸ポリエステルポリオールを含む高分子ポリオールと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネート(以下、「MDI系イソシアナート」とも称する)と、
整泡剤と、
触媒と、
を含む組成物の機械発泡体で構成されている。
なお、発泡体を形成するための組成物(以下「ウレタン原料液」とも)は、上記成分以外に、その他成分を含んでもよい。
【0017】
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、上記構成により、適度な吸液率、かつ肌感触が良いスポンジとなる。その理由は、次の通り推測される。なおリキッドファンデーションの吸液率と、水の吸水率とは相関があり、吸液率という性能は、吸水率で表すことが出来る。
【0018】
全高分子ポリオールに対して30質量%以上100質量%以下のダイマー酸ポリエステルポリオールと、MDI系イソシアナートとを、整泡剤及び触媒を用いて機械発泡させて得られる機械発泡体は、ダイマー酸ポリエステルポリオールを用いることで微細な連続通気型の発泡体となる。そして、得られる機械発泡体は、微細な連続通気型となる上、ダイマー酸ポリエステルポリオールが分子構造上、疎水性のため、液体を過度に吸収しない性質を持つ。
【0019】
そのため、本実施形態に係る連続通気型スポンジは、上記構成により、適度な吸液率、かつ肌感触が良いスポンジとなると推測される。
また、本実施形態に係る連続通気型スポンジは、必要とされる強度等の機械的特性も確保できる。
【0020】
そして、例えば、このような特性を持つ本実施形態に係る連続通気型スポンジを化粧用パフとして適用すると、心地良い肌触りに加え、リキッドファンデーションを過度に吸収しない化粧用パフとなる。それにより、リキッドファンデーションの消費量を抑え、ファンデーションを肌へ付ける際の付け心地が実現される。また、強度も確保されているため、耐久性も実現される。
【0021】
以下、本実施形態に係る連続通気型スポンジの詳細について説明する。
【0022】
(高分子ポリオール)
【0023】
以下、本実施形態に係る連続通気型スポンジの詳細について説明する。
【0024】
まず、ウレタン原料液の各成分について説明する。
【0025】
(高分子ポリオール)
高分子ポリオールとしては、ダイマー酸ポリエステルポリオール(以下、「ダイマー酸ポリエステルポリオールA」とも称する)が適用される。全ポリオールが、ダイマー酸ポリエステルポリオールAであってもよいが、ダイマー酸ポリエステルポリオールAと、ダイマー酸ポリエステルポリオール以外の高分子ポリオール(以下、「高分子ポリオールB]とも称する。)と、を併用してもよい。
ダイマー酸ポリエステルポリオールAと共に、高分子ポリオールBを併用することで、スポンジの低密度化、吸液性の制御、耐溶剤性の向上など、スポンジに各機能を追加することを可能となる。
【0026】
ここで、高分子ポリオールとは、水酸基価(OHv)が250以下のポリオールを意味する。
なお、ポリオールの水酸基価OHvは、JIS K1557-1:2007により測定した値である。
【0027】
-ダイマー酸ポリエステルポリオールA-
ダイマー酸ポリエステルポリオールAとしては、ダイマー酸とグリコールとを縮合させたポリエステルポリオール等が挙げられる。
具体的には、例えば、ダイマー酸ポリエステルポリオールAとしては、ダイマー酸(b-1)と低分子ジオール(b-2)とを縮合させたポリエステルポリオール、官能基数を上げたいときには、低分子トリオール(b-3)をさらに縮合させたポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0028】
ダイマー酸(b-1)とは、二塩基性酸であって、二つの一塩基性脂肪酸が炭素-炭素共有結合により、二分子結合して得られる、結合前一塩基性脂肪酸に対して分子量が2倍である二塩基性酸を指す。通常は、ダイマー酸を構成する一塩基性脂肪酸として、炭素数が18前後の脂肪酸を有するものが使用される。ダイマー酸の代表的な化合物としては、リノール酸、オレイン酸を加熱することによって得られる二塩基酸が挙げられる。
【0029】
通常、ダイマー酸の工業的製法では、ダイマー酸以外のモノマー酸、三塩基酸および重合酸が副成物として含まれている。ダイマー酸ポリエステルポリオールAの作製に際しては、ダイマー酸の純度が高い方が好ましいが、これらの副成物が混合された状態で使用されてもよい。
【0030】
低分子ジオール(b-2)としては、低分子量の化合物であって、-OH基を二つ有する化合物であれば特に制限はなく使用される。低分子ジオールとは、全炭素数が2つ以上であり、且つ、2つの-OH基の間に存在する炭素数が2~10であるものを指し、炭素数が4~6であることがより好ましい。
より具体的には、低分子ジオール(b-2)としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が好適に挙げられる。
【0031】
低分子トリオール(a-3)における低分子とは、前記低分子ジオールにおいて示したのと同様に、3つの水酸基が結合する炭化水素基部分における炭素数が3~10であるものを指し、炭素数が3~6であることがより好ましい。炭化水素基部分は直鎖状であっても、分岐鎖を有するものであってもよい。
低分子トリオール(a-3)としては、具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-メチルプロパントリオール等が挙げられる。
【0032】
ダイマー酸ポリエステルポリオールAは、機械発泡により、微細な連続通気型の発泡体とする観点から、室温(25℃)で液状のポリオールであることが好ましい。
具体的には、室温(25℃)での、ダイマー酸ポリエステルポリオールの粘度は、2000~10000mP・sが好ましい。
なお、粘度は、B型粘度計により測定した値である。
【0033】
ダイマー酸ポリエステルポリオールAの水酸基価OHvは、スポンジの吸液性、セル微細化の観点から、20~180mgKOH/gが好ましい。水酸基価20以下では粘度が高くなり、機械発泡で気体を混入しがたく、発泡倍率が上がらないため、発泡体の密度が低下しない。また水酸基価180以上では得られる発泡体は硬くなり、触った感触が悪くなるため好ましくない。気体の混入しやすさと、得られる発泡体の柔らかさを考慮すると、50~150mgKOH/gがより好ましい。
ポリオールの水酸基価OHvは、JIS K1557-1:2007により測定した値である。
【0034】
-高分子ポリオールB-
高分子ポリオールBとしては、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、カルボン酸エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0035】
アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールは、低分子アルコール(エチレングリコ-ル、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン等)にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合物、テトラメチレンオキシド等)等を付加重合した化合物である。
アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PPGとPEGの共重合物、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、PTMGとPPGの共重合物、PTMGとPEGとの共重合物等が好ましいが、吸水率が低いことよりポリテトラメチレングリコール系が好ましい。
【0036】
ポリラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が例示できる。
カルボン酸エステルポリオールとしては、カルボン酸(アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等)と、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチルプロパンジオール、3-メチルペンタンジオール等)と、を縮合させポリオールが例示できる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、グリコールとアルキレンカーボネートとを反応させたポリオール、グリコールとジアリールカーボネートとを反応させたポリオール、グリコールとジアルキルカーボネートとを反応させたポリオール等が例示できる。
【0037】
これらの中でも、反応性が高く、吸液性及びセルの微細化による肌触り向上と共に、強度と伸びを高くする観点から、高分子ポリオールBとしては、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、アジピン酸エステルポリオールから選択される少なくとも1種が好ましく、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールがより好ましく、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)がさらに好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)が特に好ましい。
【0038】
高分子ポリオールBの官能基数fは、機械発泡する際の起泡性と得られる発泡体の強度、伸びを高めることと復元性の観点から、から、1.5~3.5が好ましく、さらには2~3が好ましい。
【0039】
高分子ポリオールBの水酸基価は30~250が好ましく、より好ましくは30~220である。
【0040】
(MDI系イソシアネート)
MDI系イソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートC)は、ジフェニルメタンジイソシアネート骨格を有するイソシアネートである。
【0041】
MDI系イソシアネートとしては、4.4‘-ジフェニルメタンジイソシアネート(4.4’-MDI)、2.4’-MDI、2.2‘-MDI等のジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)、粗製のMDI(cr-MDI)、カルボジイミド変性MDI、ポリオール変性MDIなどが挙げられる。
特に、MDI系イソシアネートは、微細な連続通気型スポンジとする観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、及び、ポリオール変性ジフェニルメタンジイソシアネートよりなる群から選択されるイソシアネートを使用することが好ましい。
【0042】
ここで、ポリオール変性イソシアネートとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,10-デカンジオール等の炭素数2~18の2価のアルコール;PPG系グリコール;PTGM系グリコール;ポリカーボネート系グリコール等でMDI系イソシアネートが変性されたポリオール変性イソシアネートが挙げられる。
【0043】
MDI系イソシアネートと共に、ポリウレタンフォームの製造に使用されるトリレンジイソシアネート(TDI)などの芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水添キシリレンジフェニルメタンジイソシアネート(水添XDI)、シクロヘキシレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネートも併用して使用することができる。
【0044】
(整泡剤)
整泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物(ポリジメチルシロキサンとポリオキシアルキレンポリオールの共重合体等)、フッ素系化合物等の周知の整泡剤が挙げられる。特に、機械発泡用に好適として販売されている(AB)n型シリコーン系整泡剤が好適に使用できる。整泡剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0045】
(触媒)
触媒としては、有機金属化合物系触媒、アミン系触媒等が挙げられる。
有機金属化合物系触媒としては、錫系、チタン系、ビスマス系、銅系、ニッケル系等の有機金属系の触媒が挙げられ、例えば、有機スズ化合物のオクチル酸第1スズ、ジブチルチンジラウレートなどがある。
アミン系触媒としては、3級アミン類が好ましく、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒が挙げられ、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、n-メチルモルホリン、n-エチルホルモリン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンなどがある。
触媒は気体を機械撹拌する間に硬化が始まるのを防ぐために、感温性触媒を用いてもよい。触媒は、1種単独して使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0046】
(その他成分)
その他成分としては、次の添加剤が挙げられる。
【0047】
その他成分としては、低分子ジオール(エチレングリコール、1,4-ブタンジオール等)、多官能低分子アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、分岐鎖を有する低分子ジオール、脂環構造を有するポリオール、及び脂環構造を有するイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
ここで、低分子ジオール、多官能低分子アルコールとは、分子量は300以下(好ましくは60~300)のポリオールである。
【0048】
その他成分としては、フィラーも挙げられる。
フィラーとしては、無機フィラー、及び有機フィラーよりなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらフィラーの添加により機械攪拌された泡が更に細かくなり、細かい気泡が消泡・合一しにくいため微細スポンジが得られやすい。
無機フィラーとして、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ガラスビーズ、アルミナビーズ、カーボン等が挙げられる。特に、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ類が微細セル化に効果がある。
有機フィラーとしては、フェノールビーズ、スチレンビーズ、アクリルビーズ、樹脂バルーン、シリコーンパウダー、フッ素パウダー、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー等が挙げられる。
フィラーとしては、その他、アクリルバルーン表面に炭酸カルシウムを添加処理した有機無機フィラー、ポリプロピレンポリオール中にサブミクロンの有機ポリマー(アクリロニトリル又はアクリロニトリル/スチレン共重合物等)を分散させたPOP(ポリマー分散ポリオール)も挙げられる。
【0049】
その他の成分としては、機械発泡に用いる気体(空気、窒素等)は必須であるが、発泡剤として、水(蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等)、低沸点の有機溶媒(フッ化アルキル化合物、塩化アルキル化合物等)、液化炭酸ガスなども併用することが出来る。
【0050】
その他の成分としては、上記成分以外に、難燃剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、防菌剤、防カビ剤等の周知の添加剤が挙げられる。
【0051】
(ウレタン原料液の各成分の含有量)
-ダイマー酸ポリエステルポリオールAと高分子ポリオールBとの含有量-
ダイマー酸ポリエステルポリオールAの含有量は、全高分子ポリオールに対して30質量%以上100質量%以下であり、好ましくは、40質量%以上100質量%以下である。
【0052】
高分子ポリオールBを併用する場合、ダイマー酸ポリエステルポリオールAと、高分子ポリオールBと、の質量比(ダイマー酸ポリエステルポリオールA/ポリオールB)は、30/70~90/10が好ましく、30/70~80/20がより好ましく、40/60~80/20がさらにより好ましい。
【0053】
ダイマー酸ポリエステルポリオールAの含有量、ダイマー酸ポリエステルポリオールAと高分子ポリオールBとの質量比を上記範囲で制御して、機械発泡すると、発泡倍率が高く、さらに低硬度な機械発泡体が得られる。それにより、適度な吸液率、かつ肌感触が良くなる。
なお、高分子ポリオールBの比率が高まると、発泡倍率は高く、低密度になり感触は維持でき、液状ファンデーションの粘度が変化しても好適に使用できるという特徴が出るが、疎水性が低下するため、吸液性が高くなり、膨潤して強度が低下する傾向がある。そのため、この観点からも、ダイマー酸ポリエステルポリオールAと高分子ポリオールBとの質量比を上記範囲で制御することがよい。
【0054】
-整泡剤の含有量-
整泡剤の含有量は、高分子ポリオール100質量部に対して、0.4~10質量部が好ましく、3~5質量部がより好ましい。
【0055】
-フィラーの含有量-
フィラー(特に、無機フィラー)の含有量は、セル微細化の観点から、高分子ポリオール100質量部に対して5~50質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。
【0056】
(連続通気型スポンジの特性)
-自己スキン層-
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、自己スキン層を有していてもよいし、有していなくてもよい。ただし、リキッドファンデーション用の化粧用パフなど水系液体の含浸・吸水を抑えたい場合は、自己スキン層を有することがよい。
【0057】
-通気度-
測定用サンプルの厚さをデジタル厚み計で測定する。フラジール型通気度試験機にサンプルをセットし、加圧抵抗器で傾斜型気圧計の数値が「5」を示すように調整し、その時の垂直型気圧計の圧力を読み取る。オリフィスの種類別換算表を用い、換算値を求める。次式により通気度を算出する。
式:AP=a×t
AP: 通気度(mL/cm2/s)
a:換算値
t:厚さ(cm)
【0058】
-見掛け密度-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの見掛け密度は、適度な吸液性及び肌感触向上に加え、機械的強度、圧縮使用時の底当たり防止、操作性の観点から、100~400kg/m3が好ましく、150~300kg/m3がより好ましい。
【0059】
見掛け密度は、次の方法により測定する。
まず、測定対象(概寸:縦100mm×横100mm×厚さ測定値)のサンプルを23±3℃の環境に用意する。次に、精密天秤にて、サンプルの重量を1/100g精度で測定する。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法を1/100mm精度で9個所測定し、平均値を求める。サンプルの縦寸法及び横寸法は、デジタルノギスを用いて、それぞれ3箇所測定し、平均を求める。得られた各寸法から、サンプルの体積を算出する。そして、式:見かけ密度=重量/体積にて、見かけ密度を求める。
【0060】
-引張強さ・伸び-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの引張強さは、機械的強度、圧縮使用時の底当たり防止、操作性の観点から、0.1MPa以上が好ましい。
本実施形態に係る連続通気型スポンジの引張伸びは、機械的強度、操作性の観点から、150%以上が好ましく、200%以上がより好ましい。
【0061】
引張強度・伸びは、JIS K 6400-5(2012)に準拠して測定される。測定は、測定対象をダンベル2号形に打ち抜き、サンプルを得て、厚みを測る。得られたサンプルに対して、(株)オリオンテック製「テンシロン万能材料試験機UCT-500」にて,速度200mm/minで行う。そして、サンプル破断時の強度及び伸びを測定する。
【0062】
-引裂強さ-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの引裂強さは、機械的強度の観点から、3N/cm以上が好ましく、5N/cmがより好ましい。
【0063】
引裂強さは、JIS6400-5(2012)に準じて測定された値である。
【0064】
-50%圧縮硬度-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの50%圧縮硬度は、肌感触向上に加え、機械的強度、圧縮使用時の底当たり防止、操作性の観点から、50kPa以下が好ましく、15kPa以下がより好ましく、10kPa以下がより好ましい。
50%圧縮硬度は、JIS K6400-2(2012年)に準じて測定する。
具体的には、測定対象から、50×50mmのサイズに試料を打ち抜く。厚みが10mm以下の場合は10mm以上になるように積層して試料を得る。そして、(株)オリオンテック製「テンシロン万能材料試験機UCT-500」を用いて、圧縮速度50mm/minにてサンプル厚みに対して50%圧縮を行って、50%圧縮硬度を測定する。
【0065】
-吸水率-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの吸水率は、適度な吸液性の観点から、20質量%以下が好ましく、さらに好ましくは15質量%以下がより好ましく、最も好ましいのは12質量%以下が好ましい。
吸水率は、次の通り、測定する。
10cm角のサンプルを準備し、質量を1/100g単位まで測る。次に水槽に10cmの水をいれ、サンプルを10cmの深さに沈め、24時間放置する。24時間後、サンプル表面の水を拭き取り、サンプルの質量を1/100gまで測定する。その後次式にて吸液率を測定する。
吸水液率(%)=(吸水後質量―吸液前質量)/吸水前質量×100
【0066】
-平均セル径-
本実施形態に係る連続通気型スポンジの平均セル径は、適度な吸液性及び肌感触向上に加え、機械的強度の観点から、270μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。
【0067】
平均セル径は、JIS K 6400-1(2004)附属書1に準じて25mm長さ毎のセル数を測定し、25mm/セル数から算出する。なお、平均セル径は、光学顕微鏡にて拡大して計測する。
【0068】
(連続通気型スポンジの製造方法)
本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法は、特に制限はない。例えば、本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法としては、次の方法が挙げられる。
オークスミキサーなどを用いて、ウレタン原料液を機械的に泡立て、泡立てられたウレタン原料液を第1の連続ウェブ(帯状体)上に連続的に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、第1の連続ウェブ上の塗布膜を加熱し硬化させて、連続通気構造の発泡体を形成する加熱工程と、を含む連続通気型スポンジの製造方法。
【0069】
一方、塗布工程の後、加熱工程の前に、第1の連続ウェブ(帯状体)上の塗布膜に第2の連続ウェブ(帯状体)を供給し、2枚の連続ウェブにより塗布膜を挟む第2連続ウェブ供給工程を含み、加熱工程は2枚の連続ウェブにより挟まれた状態で塗布膜を加熱し硬化させて、連続通気構造の発泡体を形成する工程は多数のメリットがある。
特に、2枚の離形性の連続ウェブにより挟まれた状態で、ウレタン原料液の塗布膜を加熱硬化し、連続通気構造の発泡体を形成すると、2枚の連続ウェブに挟まれた状態で発泡するので、発泡剤の飛散が無いので発泡倍率が高まる(低密度になる)。また、両表面ともに薄く平滑なスキン層ができ、指へのなじみ(手感触がしっとり)がよく、質感が高い連続通気構造の発泡体(つまりスポンジ)が得られやすい事も大きな特徴である。
【0070】
以下、この態様の連続通気型スポンジの製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0071】
図1は、本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法を実施するための装置構成の一例を概略図である。
図1に示すように、連続通気型スポンジの製造装置100は、第1の連続ウェブ14Aを送り出す第1ウェブロール14と、ウレタン原料液を第1の連続ウェブ14A上に塗布する塗布装置12と、第1ウェブロール14から送り出された第1の連続ウェブ14Aを塗布装置12の直下に導く大径ローラ18と、第2の連続ウェブ16Aを送り出す第2ウェブロール16、第2の連続ウェブ16Aを第1の連続ウェブ14A上の塗布膜10上に導くガイドローラ20と、2枚の連続ウェブ14A,16Aの間に挟まれたウレタン原料液の塗布膜10を加熱装置22に導くとともに加熱装置22により加熱して硬化した発泡体(以下「発泡ウレタンシート」と称する)30を搬送する搬送ローラ28A,28Bと、発泡ウレタンシート30から剥離された各連続ウェブ14A,16Aを巻き上げて回収する回収ローラ24,26と、を備えている。
【0072】
-塗布工程-
まず、原料成分を混合攪拌したウレタン原料液を第1の連続ウェブ14A上に連続的に塗布して塗布膜10を形成する。
【0073】
第1の連続ウェブ14としては、例えば樹脂フィルムまたは紙体が好ましく用いられる。
樹脂フィルムは、ウレタン原料液の塗布及び加熱工程での加熱によって変形しないものであれば特に限定されないが、ウレタン原料液に対する耐性、耐熱性などの観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのフィルムが好ましい。
必要であれば、樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などを施して発泡ウレタンシートとの接着性を向上させてもよい。
【0074】
また、発泡ウレタンシートを製造した後、樹脂フィルムを剥がし易いようにウレタン原料液の塗布膜を形成する面が離型性を有する樹脂フィルムを用いてもよい。
離型性を有する樹脂フィルムとしては、樹脂フィルムの片面にシリコーン離型剤を塗布する方法、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂などの離型性を有する樹脂フィルムをそのまま用いる方法、離型性を有する樹脂フィルムをポリエステルフィルム等にラミネートするなどの方法がある。また、離形フィルム又は紙体離型紙の表面をマット仕上げやシボ模様をつけて意匠性と質感を高める事も行える。
【0075】
第1の連続ウェブ14Aとして紙体を用いる場合は、グラシン紙や上質紙の表面をポリプロピレンでコートしたもの、あるいはその上から更にシリコーン離型剤や非シリコーン系離型剤などを塗布したものなどが用いられる。
本発明で用いる第1の連続ウェブ14Aとしては樹脂フィルム又は離型性樹脂フィルムが、発泡体の固化速度が速く且つ厚み精度が高いため好ましい。
【0076】
第1の連続ウェブ14A上にウレタン原料液を塗布するための塗布装置12としては、ダイスコーター、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーターなどを用いることが好ましい。ウレタン原料液をミキシング装置で撹拌して吐出ノズルからトラバース(反復塗布)装置で吐出してロールコーター又はナイフコーターで薄塗りする方法や、ウレタン原料液を吐出ノズルからダイスコーターに導入して連続ウェブ上に塗工する方法も好ましい。
【0077】
塗布膜10の厚みは目的とする発泡体(連続通気型スポンジ)の用途に応じて決めればよい。
【0078】
-第2連続ウェブ供給工程-
第1の連続ウェブ14A上の塗布膜10に第2の連続ウェブ16Aを供給して2枚の連続ウェブ14A,16Aにより塗布膜10を挟み込む。
第2の連続ウェブ16Aとしては、第1の連続ウェブ14Aの説明で例示した樹脂フィルム又は紙体を用いることができる。なお、加熱工程後、発泡ウレタンシート30の少なくとも片面の連続ウェブを剥離し易くする観点から、第1の連続ウェブ14A及び第2の連続ウェブ16Aの少なくとも一方の連続ウェブは、塗布膜10と接する面が離型性を有する連続ウェブを用いることが好ましい。
【0079】
第2の連続ウェブ16Aを巻いた第2ウェブロール16から第2の連続ウェブ16Aを連続的に巻き出して第1の連続ウェブ14A上の塗布膜10に被せる。これにより塗布膜10は2枚の連続ウェブ14A,16Aにより挟まれた状態となる。
【0080】
なお、
図1に示す装置は2枚の連続ウェブ14A,16Aにより塗布膜10を挟むように構成されているが、第1の連続ウェブ14A上に塗布膜を形成した後、第2の連続ウェブ16Aを被せずに次の加熱工程に進んでもよい。
【0081】
-加熱工程-
塗布膜10は2枚の連続ウェブ14A,16Aで挟んだ状態で加熱装置22内に搬送され加熱により硬化される。
硬化のための加熱温度は80~120℃が好ましく、この範囲の温度で5~20分で硬化することが好ましい。
加熱装置22としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、ガス燃焼炉などを用いることができる。
【0082】
-剥離工程-
加熱工程により発泡硬化させた発泡ウレタンシート30を連続ウェブ14A,16Aが発泡ウレタンシート30に密着したまま巻き取ってもよいし、連続ウェブ14A,16Aが離型性ウェブである場合は、
図1に示すように発泡ウレタンシート30から離型性ウェブを剥離して各回収ローラ24,26に巻き取って回収する。なお、回収した各連続ウェブ14A,16Aは供給ロール14,16として再利用することができる。
【0083】
上記工程を経て、発泡ウレタンシート(連続通気構造の発泡体)からなる連続通気型スポンジを連続的に製造することができる。
【0084】
なお、本実施形態に係る連続通気型スポンジが、低通気度になった場合は、必要であればクラッシング処理(発泡体をせん断圧縮して通気性を上げる処理)を実施してもよい。通気度を低いまま使えば復元速度が遅くなり、通気度を高めれば復元が早くなるので、用途に応じて通気性を調節することができる。
【0085】
本実施形態に係る連続通気型スポンジの製造方法は、上記以外に、スラブストック法、型内で成形するモールド法等の公知の方法が適用できる。
【0086】
なお、本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されるのであれば、本用語に含まれる。
【0087】
(連続通気型スポンジの用途)
本実施形態に係る連続通気型スポンジは、化粧用パフ、ブラジャー用パッド、スポーツ衣料用パッド、身体保護パッド(頭、膝又は肘当て用パッド等)、医療用(魚の目用等)パッド、インソール、サポーター、止水シール材、液体(薬品、化粧水等)含浸シート、マスク、包帯等の用途に適用できる。
【0088】
(化粧用パフ)
本実施形態に係る化粧用パフは、本実施形態に係る連続通気型スポンジを有する。それにより、本実施形態に係る化粧用パフは、リキッドファンデーションが過度に浸み込むことが抑えられる。それにより、リキッドファンデーションの消費量が低減される。それに加え、リキッドファンデーションの付け心地も良い。
【0089】
本実施形態に係る化粧パフは、本実施形態に係る連続通気型スポンジの一層構造のパフであってもよいし、本実施形態に係る連続通気型スポンジと別の表皮材を一体化した複層構造パフであってもよい。
【実施例】
【0090】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。
【0091】
<実施例1>
・高分子ポリオールA(ダイマー酸とジエチレングリコールから得られるポリエステルポリオール、日立化成社製、OHv=85、粘度5500mPa・s)100部
・整泡剤SZ1923(東レダウ社製シリコーン系整泡剤)5部、
・触媒SO(三菱ケミカル社製、スタナスオクテート)0.1部
イソシアネート以外の上記ポリオール成分を配合した混合物を連続的にオークスミキサーに供給すると共に、窒素ガスを供給して機械発泡させつつ、オークスミキサーにイソシアネート(東ソー社製、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(カルボジイミド変性MDI)、NCO%=29)22.4部を添加し、ポリオール成分とイソシアネートと反応させながら吐出する。その際の原料総吐出量は250g/min、窒素ガスの吐出量は800cc/minとし、吐出した反応液を離型フィルム上に塗布し、70℃×5分、次いで100℃で10分間キュアし、約8mm厚さの連続通気型スポンジを得た。
【0092】
<実施例2~15、比較例1~8>
表1~3の組成に従って、材料の種類および量(表中の数値は部数)を変更した以外は、実施例1と同様にして、連続通気型スポンジを得た。
ただし、実施例14,15は、実施例1と同じ機械発泡の条件下、厚み50×縦200×横200mmのブロック状スポンジを作製した後、8mmの厚さにスライスし、自己スキン層の無い連続通気型スポンジを得た。
また、比較例4~6(水発泡)は、次の通り、連続通気型スポンジを得た。撹拌したウレタン原料液を離型処理した離型フィルムの上にダイスコーターを用いて硬化後の厚みが約8.0mmになるように塗布し、上から別の離型フィルムを離型処理した面がウレタン原料液の塗布膜に接するように、塗布膜上に被せた。次に、オーブンで温度80℃×3分、100℃×5分の条件で、2枚の離型フィルムに挟んだ状態でウレタン原料液の塗布膜を加熱硬化した。その後、両面のフィルムを剥離して厚みが約8.0mmの連続通気型スポンジを得た。
また、比較例7、8は、市販品を使用した。
【0093】
<物性測定>
各例で得られた連続通気型スポンジの下記物性を、既述の方法に従って測定した。
・見掛け密度
・引張強さ
・引張伸び
・引裂強さ
・50%圧縮硬さ
・吸水率
・平均セル径
・通気度
【0094】
<評価>
各例で得られた連続通気型スポンジに対して、次の評価を実施した。
-肌感触-
肌感触について、5人の女性が化粧した際の肌感触を確認し、下記基準でモニタリング評価した。なお、評価は、5人中、最も多い評価を表中に示した。
◎:肌感触が非常に良好
〇:肌感触が良好
△:少しざらつき感やゴワゴワ感を感じて良くない肌感触
×:肌感触が悪い
【0095】
-感触指数-
感触指数として、50%圧縮硬さとセル径を掛け合わせることで数値化した。掛け合わせた数値が2より低いと感触が非常に良好、2~3では良好、3~4では少しざらつき感やゴワゴワ感を感じて良くない感触、4以上では感触が悪いという上記肌感触のモニタリング評価と相関があった。
【0096】
-総合評価-
各例の連続通気型スポンジについて、下記基準で総合評価した。
◎:肌感触が非常に優れ、吸水率が低いパフスポンジ
〇:肌感触が優れ、吸水率が低いパフスポンジ
△:肌感触があまり良くなく、吸水率が高いパフスポンジ
×:肌感触が悪く、吸液性が高いパフスポンジ
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
上記結果から、実施例の連続通気型スポンジは、比較例のスポンジに比べ、適度な吸液率、かつ肌感触が良いことがわかる。
ここで、実施例4の連続通気型スポンジおよび比較例7のスポンジの、リキッドファンデーションの浸み込み度合を
図2及び
図3に示す。
図2に示すように、実施例4の連続通気型スポンジは適度にリキッドファンデーションの浸み込みでいるのに対して、
図3に示すように、比較例7のスポンジは過度にリキッドファンデーションの浸み込みでいるのがわかる。
【0101】
なお、表中に示す成分の詳細は、次の通りである。
-高分子ポリオールA-
・ダイマー酸ポリエステルポリオールA1:ダイマー酸とジエチレングリコールから得られるダイマー酸ポリエステルポリオール、日立化成社製、水酸基価OHv=85mgKOH/g、粘度(25℃)=5500mPa・s
・ダイマー酸ポリエステルポリオールA2:ダイマー酸とジエチレングリコールから得られるダイマー酸ポリエステルポリオール、日立化成社製、水酸基価OHv=150mgKOH/g、粘度(25℃)=2000mPa・s
・ダイマー酸ポリエステルポリオールA3:ダイマー酸とジエチレングリコールから得られるダイマー酸ポリエステルポリオール、日立化成社製、水酸基価OHv=70mgKOH/g、粘度(25℃)=10000mPa・s
【0102】
-ポリオールB-
・PTMG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、水酸基価OHv=133mgKOH/g、官能基数f=2
・PCL:ポリカプロラクトンジオール、水酸基価OHv=210.8mgKOH/g、官能基数f=2
・アジペート:アジピン酸エステルポリオール(アジピン酸と1,3ブタンジオールとを縮合させポリオール、水酸基価OHv=117mgKOH/g、官能基数f=2
・PPG:ポリプロピレングリコール、水酸基価OHv=112mgKOH/g、官能基数f=2、エチレンオキサイドのモル比率EO=0%、30%
【0103】
-フィラー-
・CaCO3:三共精粉社製 汎用炭酸カルシウム1級
・Al(OH)3:水酸化アルミニウム:昭和電工社製ハイジライトH10
【0104】
-整泡剤-
SZ1923: SZ-1923、東レダウ社製、シリコーン系整泡剤
【0105】
-触媒-
・スタナスオクテート: 金属触媒、SO(三菱ケミカル社製、スタナスオクテート)
・Dabco 33Lv: アミン触媒、Dabco 33Lv (エアープロダクツジャパン株式会社製)
【0106】
-イソシアネート-
・カルボジイミド変性MDI: 東ソー社製、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、NCO%=29
【0107】
-市販品-
・市販NBR系パフ: 雪谷化学社製NBRスポンジ
・市販気孔剤抽出法PU系パフ:東洋化学社製ルビーセル
【0108】
10 塗布膜
12 塗布装置
14 第1ウェブロール
14A 第1の連続ウェブ
16 第2ウェブロール
16A 第2の連続ウェブ
18 大径ローラ
22 加熱装置
24 第1回収ロール
26 第2回収ロール
30 連続通気構造の発泡体(発泡ウレタンシート)
100 連続通気型スポンジの製造装置