(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】チップ部品回収装置およびチップ部品の回収方法
(51)【国際特許分類】
B65G 57/03 20060101AFI20240220BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20240220BHJP
B65G 57/11 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65G57/03 E
H01G13/00 331Z
B65G57/11
(21)【出願番号】P 2018208924
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英克
(72)【発明者】
【氏名】小林 正義
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 武
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-280275(JP,A)
【文献】特開2002-210416(JP,A)
【文献】実開昭62-026330(JP,U)
【文献】特開2010-162662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/03
H01G 13/00
B65G 57/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品が通過可能な上方への開口が形成されている筒体と、前記チップ部品が複数積み重なって形成されるチップ集積体を下方から支持して前記筒体の内部を上下方向に移動する底板と、を有する回収部と、
前記筒体に対して前記底板のみを回転させる回転駆動部と、
前記開口の付近に設けられ、前記チップ集積体の上端を検出するセンサと、
前記センサの検出結果に応じて、前記底板を移動させる制御部とを有するチップ部品回収装置。
【請求項2】
前記底板は、前記底板の上面を構成し、衝撃を吸収する衝撃吸収材を有する請求項1に記載のチップ部品回収装置。
【請求項3】
前記チップ部品を前記回収部へ搬送するベルトコンベアを有し、
前記ベルトコンベアの一端は、上方から見て前記開口と重なる請求項1または請求項2に記載のチップ部品回収装置。
【請求項4】
前記回収部は、その内部を前記底板が上下方向に移動する筒体を有し、
前記筒体の上端である筒上端は、最上位置にある前記底板の上面より高い位置にある請求項1から請求項3までのいずれかに記載のチップ部品回収装置。
【請求項5】
前記回収部を水平方向に移動させる水平駆動部を有する請求項1から請求項4までのいずれかに記載のチップ部品回収装置。
【請求項6】
チップ部品が通過する上方への開口が形成されている筒体と、前記チップ部品が複数積み重なって形成されるチップ部品集積体を下方から支持して前記筒体の内部を上下方向に移動する底板と、を有する回収部に対して、前記チップ部品の搬送を開始するステップと、
前記筒体に対して前記底板のみを回転させるステップと、
前記開口の付近に設けられたセンサにより、前記チップ部品集積体の上端を検出するステップと、
前記センサの検出結果に応じて、前記底板を移動させるステップと、を有するチップ部品の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品の製造などに用いられるチップ部品回収装置およびチップ部品の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップコンデンサなどのチップ部品の製造工程では、製造工程の中間段階におけるチップ化された中間生成物や、検査工程などを経た製造工程の最終段階におけるチップ部品を、容器などの回収部に回収する工程が含まれる。回収部がチップ部品を回収する際、搬送ラインとの受け渡し部分において、チップ部品同士の接触や、チップ部品と回収部底面との衝突により、チップ部品に衝撃が与えられる問題がある。特に、検査により良品と判定されたチップ部品を回収する回収部では、出荷されるチップ部品に過度な衝撃を加えないように、チップ部品を慎重に回収する必要がある。
【0003】
チップ部品に加えられる衝撃を緩和する従来技術としては、たとえば、回収部の壁面から斜め上方へガス流を噴出するものが提案されている。このような回収部は、搬送ラインと回収部の底面まで落下する際の落下速度を低減し、回収の際にチップ部品に加えられる衝撃を緩和しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガス流を斜め上方に噴出する従来の技術では、チップ部品がガス流から受ける力が、チップ部品の落下軌道やチップ部品の姿勢によってばらつき、チップ部品の動きを正確に制御することが難しいという問題がある。それにより、従来の技術では、回収時において、チップ部品が予想外の動きを示して壁面や他のチップ部品に衝突する場合があり、チップ部品に加えられる衝撃を均一に低下できないという課題を有している。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、チップ部品に加えられる衝撃を均一に弱められるチップ部品回収装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るチップ部品回収装置は、
チップ部品が通過可能な上方への開口と、前記チップ部品が複数積み重なって形成されるチップ集積体を下方から支持して上下方向に移動する底板と、を有する回収部と、
前記開口の付近に設けられ、前記チップ部品集積体の上端を検出するセンサと、
前記センサの検出結果に応じて、前記底板を移動させる制御部と、を有する。
【0008】
本発明に係るチップ部品回収装置は、チップ集積体の上端をセンサで検出し、チップ集積体の上下方向の長さに応じて回収部の底板を上下方向に動かすことにより、回収時にチップ部品に加えられる衝撃を均一に弱めることができる。また、底板が上下方向に移動することにより、上下方向に長いチップ集積体を回収部内に形成することができるため、このようなチップ部品回収装置は、底の浅い回収部を有する装置に比べて設置スペースを小さくすることが可能であり、省スペースである。
【0009】
また、たとえば、前記底板は、前記底板の上面を構成し、衝撃を吸収する衝撃吸収材を有してもよい。
【0010】
このようなチップ部品回収装置では、衝撃吸収材が、チップ部品が底板に接触する際の衝撃を緩和するため、チップ部品に加えられる衝撃をより効果的に弱めることができる。
【0011】
また、たとえば、本発明に係るチップ部品回収装置は、前記チップ部品を前記回収部へ搬送するベルトコンベアを有してもよく、
前記ベルトコンベアの一端は、上方から見て前記開口と重なってもよい。
【0012】
ベルトコンベアによる搬送は、振動式の搬送装置などに比べて、搬送中にチップ部品に加えられる衝撃が弱い。また、ベルトコンベアの一端が開口と重なっていることにより、チップ部品を重力によって回収部へ導くことができるため、このような装置は構造がシンプルである。
【0013】
また、たとえば、前記回収部は、その内部を前記底板が上下方向に移動する筒体を有してもよく、
前記筒体の上端である筒上端は、最上位置にある前記底板の上面より高い位置にあってもよい。
【0014】
回収部が筒体を有することにより、底の浅い回収部を有する装置に比べて設置スペースを小さくすることが可能である。また、筒上端が最上位置にある底板の上面より高い位置にあることにより、底板がどの位置にあっても、チップ部品が回収部の外部に逸脱することを防止できる。
【0015】
また、たとえば、本発明に係るチップ部品回収装置は、前記回収部を水平方向に移動させる水平駆動部を有してもよい。
【0016】
このようなチップ部品回収装置は、水平駆動部が回収部を移動させることにより、チップ集積体を収容した回収部を、装置から容易に離脱させることができる。
【0017】
また、たとえば、本発明に係るチップ部品回収装置は、前記底板を回転させる回転駆動部を有してもよい。
【0018】
このようなチップ部品回収装置は、底板を回転させながらチップ部品を回収することにより、チップ集積体の形状を対称な形に制御することができるため、チップ集積体の形状が崩れてチップ部品に衝撃が加えられることを防止することができる。また、チップ集積体が、傾斜のきつい円錐状になることを防止し、回収部の収容量を向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係るチップ部品の回収方法は、前記チップ部品が通過する上方への開口と、前記チップ部品が複数積み重なって形成されるチップ集積体を下方から支持して上下方向に移動する底板と、を有する回収部に対して、前記チップ部品の搬送を開始するステップと、
前記開口の付近に設けられたセンサにより、前記チップ集積体の上端を検出するステップと、
前記センサの検出結果に応じて、前記底板を移動させるステップと、を有する。
【0020】
このようなチップ部品の回収方法によれば、チップ集積体の上端をセンサで検出し、検出結果に応じて回収部の底板を上下方向に動かすことにより、回収時にチップ部品に加えられる衝撃を均一に弱めることができる。また、底板が上下方向に移動することにより、上下方向に長いチップ集積体を回収部内に形成することができるため、このようなチップ部品回収装置は、そこの浅い回収部に比べて装置の設置スペースを小さくすることが可能であり、省スペースである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るチップ部品回収装置を上方から見た概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すチップ部品回収装置を側方から見た概略図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態に係るチップ部品の回収方法の第1段階を表す概念図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態に係るチップ部品の回収方法の第2段階を表す概念図である。
【
図3C】
図3Cは、実施形態に係るチップ部品の回収方法の第3段階を表す概念図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係るチップ部品の回収方法の第4段階を表す概念図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係るチップ部品の回収方法の第5段階を表す概念図である。
【
図5】
図5は、本発明の変形例に係るチップ部品の回収方法による回収動作を表す概念図であり、チップ部品回収装置を上方から観察した図である。
【
図6A】
図6Aは、変形例に係るチップ部品の回収方法の第1段階を表す概念図である。
【
図6B】
図6Bは、変形例に係るチップ部品の回収方法の第2段階を表す概念図である。
【
図6C】
図6Cは、変形例に係るチップ部品の回収方法の第3段階を表す概念図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るチップ部品の回収方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るチップ部品回収装置10を上から見た概略図である。チップ部品回収装置10は、チップ部品を回収する回収部20や、チップ部品を回収部20へ搬送する搬送手段としてのベルトコンベア12などを有する。
【0023】
図1に示すように、チップ部品回収装置10は、複数の回収部20と、それぞれの回収部20にチップ部品を搬送する複数のベルトコンベア12を有する。各ベルトコンベア12の他方の端部には、
図1では省略されている部品検査装置70(
図2参照)から、検査によって分類されたチップ部品が、各ベルトコンベアに供給される。ベルトコンベア12にチップ部品を供給する装置は、最終形状まで加工プロセス等が終了したチップ部品に対して外観検査などを行う、部品検査装置が挙げられるが、特に限定されない。また、チップ部品回収装置10は、複数の回収部20と複数のベルトコンベア12を有しているが、チップ部品回収装置10が有する回収部20およびベルトコンベア12の数は特に限定されない。
【0024】
図2は、
図1に示すチップ部品回収装置10のうち、1つのベルトコンベア12と、ベルトコンベア12がチップ部品を供給する1つの回収部20との断面を表す概略図である。
図2は、ベルトコンベア12や回収部20を、側方から見た図である。
【0025】
ベルトコンベア12は、モータなどで構成されるコンベア駆動部14を有しており、コンベア駆動部14が搬送ベルト15を回転させる。ベルトコンベア12は、搬送ベルト15を回転させることにより、搬送ベルト15の他方の端部15bまたは中間位置から、ベルトコンベア12の一端である搬送ベルト15のコンベア端部15aまで、チップ部品を搬送する。
【0026】
図2に示すように、回収部20は、ベルトコンベア12のコンベア端部15aの直下に配置されており、
図1及び
図5に示すように、コンベア端部15aは、上方から見て回収部20の開口23と重なる。回収部20は、チップ部品を収容する筒体22と、筒体22の内部を移動することができるように設けられる底板26とを有する。
【0027】
筒体22は無底の円筒形状を有している。底板26は、円板形状を有しており、筒体22の内部を上下方向に移動する。
図3Aに示すように、筒体22の上端である筒上端22aには、ベルトコンベア12から供給されるチップ部品が通過可能な上方への開口23が形成されている。ベルトコンベア12から供給されるチップ部品72は、ベルトコンベア12のコンベア端部15aから下方に落下し、開口23を通過して底板26の上面26aに着地する。
【0028】
図3Aに示すように底板26は、底板26の上面26aを構成し、衝撃を吸収する衝撃吸収材28を有していてもよい。衝撃吸収材28は、弾性のある樹脂材料などで構成される。
図3A~
図3C、
図4A及び
図4Bに示すように、ベルトコンベア12から複数のチップ部品72が供給されることにより、底板26の上面26aには、チップ集積体74が形成される。チップ集積体74は、底板26の上に、チップ部品72が複数積み重なって形成される。
【0029】
図2に示すように、底板26の底面には、回転駆動部34を介して上下駆動部32に接続する支持軸29が接続している。支持軸29は、上下駆動部32によって上下方向に移動することができ、支持軸29の上下動に連動して、底板26も筒体22内を上下に移動する。
図3A~
図3C、
図4A及び
図4Bに示すように、底板26は、チップ集積体74を、下方から支持する。
【0030】
上下駆動部32は、リニアモータや、回転モータ及び回転運動を直線運動に変換する機構や、エアシリンダ等によって構成されるが、特に限定されない。
図2に示すように、チップ部品回収装置10は、底板26を回転させる回転駆動部34を有する。回転駆動部34は、支持軸29と上下駆動部32との間に設けられており、回転モータなどによって構成される。
図5および
図6A~
図6Cに示すように、回転駆動部34は、支持軸29を介して底板26を回転させることができる。なお、支持軸29と底板26とは、着脱可能である。
【0031】
図2及び
図3Aに示すように、チップ部品回収装置10は、回収部20の開口23付近に設けられ、チップ集積体74の上端である集積体上端74aを検出するセンサ40を有する。センサ40は、筒体22または筒体22周辺に設けられる設置部に固定されており、底板26が移動しても、センサ40の位置は変化しない。センサ40としては、光学式センサや、画像センサや、磁気センサなどが挙げられるが、チップ集積体74の集積体上端74a(
図3B参照)を検出できる任意のセンサを採用することができる。たとえば、センサ40としては、配置スペースや検出精度を考慮すると、光学式センサを用いることが好ましい。
【0032】
図3Aから
図3Cに示すように、センサ40は、チップ集積体74の集積体上端74aの高さが、センサ40の検出ライン41以下であるか、センサ40の検出ライン41を超えているかを判断し、検出結果を制御部60(
図2参照)に出力する。
図3A~
図3C、
図4A及び
図4Bに示すように、チップ集積体74の集積体上端74aの高さは、幾つかの要因に影響を受ける。すなわち、チップ集積体74の位置は、チップ集積体74を構成するチップ部品72の数が多くなると高くなるが、底板26が下方に移動すると低くなる。また、チップ集積体74の集積体上端74aの高さは、チップ集積体74の形状にも影響を受ける。
【0033】
図2に示すチップ部品回収装置10の制御部60は、センサ40の検出結果に応じて、底板26を移動させる。たとえば、制御部60は、
図3Bに示すように、チップ集積体74の集積体上端74aの高さがセンサ40の検出ライン41を超えたことが検出されたとき、
図2に示す上下駆動部32を駆動して支持軸29および底板26を下降させる。
図3Cに示すように、底板26が下降することに伴い、チップ集積体74の集積体上端74aの位置が下がり、チップ集積体74の全体又は大部分を筒体22の内部へ移動させる。これにより、チップ部品回収装置10は、ベルトコンベア12から供給されるチップ部品72が回収部20の外にあふれる問題を防止できる。
【0034】
なお、センサ40の検出ライン41は、回収部20の筒上端22aより上方であってもよく、筒上端22aと一致していてもよく、回収部20の筒上端22aより下方であってもよい。なお、光学式センサを用いる場合は、筒上端22aよりも上方とするのが好ましい。チップ部品72に加えられる衝撃を抑制し、チップ部品72が回収部20からあふれることを防止するために、センサ40の検出ライン41は、筒上端22aに対して、好ましくは0.5~5cm上方の位置に設けられる。
【0035】
また、
図2に示す上下駆動部32による底板26の移動範囲も特に限定されないが、筒体22の筒上端22aが、最も上の位置(最上位置)まで移動した底板26の上面26aより高い位置にあることが、チップ集積体74に落下するチップ部品72が回収部20の外部に逸脱することを防止する観点から好ましい。
【0036】
図2に示すように、チップ部品回収装置10は、回収部20を水平方向に移動させる水平駆動部36を有している。水平駆動部36は、回収部20および回収部20を下方から支持する支持軸29、回転駆動部34、上下駆動部32の全体を、実線で示す回収位置から、一点鎖線で示す取り出し位置まで、水平方向に移動させることができる。取り出し位置では、上方から見て、回収部20の開口23が、ベルトコンベア12に重ならない。このため、回収部20および底板26は、支持軸29や駆動部34、32等に対して、容易に上方へ取り外される。
【0037】
以下、
図3A~
図3C、
図4A、
図4Bおよび
図7を用いて、チップ部品回収装置10によるチップ部品72の回収方法の一例を説明する。
図3A~
図3C、
図4Aおよび
図4Bは、チップ部品72の回収方法の各段階を表す概念図であり、
図7は、チップ部品72の回収方法の一例を示すフローチャートである。
【0038】
図7に示すステップS001では、チップ部品回収装置10が、回収の準備動作を行う。ステップS001では、例えば、制御部60が上下駆動部32に制御信号を出力し、
図2において2点鎖線で示されるように、底板26を最上位置に位置させる。
【0039】
図7に示すステップS002では、チップ部品回収装置10のベルトコンベア12が、回収部20に対してチップ部品72の搬送を開始する。
図3Aは、チップ部品72の回収方法の第1段階を表している。
図3Aに示すように、ベルトコンベア12によって搬送されるチップ部品72は、回収部20の直上にあるコンベア端部15aから、底板26の上に落ちる。複数のチップ部品72が、底板26の上に落ちて、互いに積み重なることにより、底板26の上にチップ集積体74が形成される。
【0040】
図3Aに示す回収方法の第1段階では、底板26が最上位置にあり、ベルトコンベア12の搬送面から底板26の上面26aまでの距離が短いため、ベルトコンベア12から落下するチップ部品72は、落下速度が上昇する前に底板26又はチップ集積体74に接触する。このため、チップ部品回収装置10は、回収時においてチップ部品72に加えられる衝撃を抑制することができる。
【0041】
図7に示すステップS003では、センサ40が、チップ集積体74の集積体上端74aを検出する。センサ40は、検出結果を制御部60に送る。
【0042】
図7に示すステップS004では、制御部60の検出結果に基づき、チップ集積体74の集積体上端74aが、センサ40の検出ライン41を超えたか否かを判断する。
図3Aに示すように、チップ集積体74の集積体上端74aの位置が低く、検出ライン41を越えていない場合、ステップS004において、制御部60は、チップ集積体74の集積体上端74aが、センサ40の検出ライン41を超えていないと判断する。この場合、チップ部品回収装置10の処理は、ステップS004からステップS003へ戻り、所定の周期でステップS003及びステップS004を繰り返す。
【0043】
図3Bは、チップ部品72の回収方法の第2段階を表している。ベルトコンベア12が次々とチップ部品72を回収部20に供給することにより、底板26の上面26aに形成されるチップ集積体74は大きくなり、チップ集積体74の集積体上端74aの位置が徐々に高くなる。
図3Bに示すように、チップ集積体74の集積体上端74aの位置が高くなり、検出ライン41を越えている場合、ステップS004において、制御部60は、チップ集積体74の集積体上端74aが、センサ40の検出ライン41を超えていると判断する。この場合、チップ部品回収装置10の処理は、ステップS004からステップS005へ進む。
【0044】
図7に示すステップS005では、
図2に示す制御部60が上下駆動部32を駆動させて支持軸29を下降させることにより、底板26が所定距離下方に移動する。
図3Cは、チップ部品72の回収方法の第3段階を表している。
図3Cに示すように、ステップS005において底板26が下方に移動することにより、チップ集積体74の集積体上端74aが、センサ40の検出ライン41より下方に移動する。これにより、チップ部品回収装置10は、回収時においてチップ部品72が回収部20から溢れる問題を、防止することができる。また、チップ集積体74を高さ方向に長く形成することにより、狭いスペースで多くのチップ部品72を回収できるので、チップ部品回収装置10は、省スペースである。
【0045】
ステップS005において、底板26を下方に移動させる移動距離は、特に限定されず、チップ部品72の単位時間当たりの最大供給量などに応じて適宜調整される。例えば、ステップS005において、底板26を下方に移動させる移動距離は、チップ集積体74の集積体上端74aが、最上位置にある底板26の上面26aの位置より低くならない距離とすることができる。これにより、チップ部品回収装置10は、回収時においてチップ部品72に加えられる衝撃を、より好適に抑制することができる。
【0046】
ステップS006では、制御部60は、ステップS005による移動後の底板26が、回収部20の最下位置に到達したか否かを検出する。
図3Cに示すように、ステップS005による移動後の底板26が最下位置に達していない場合は、チップ部品回収装置10の処理は、ステップS005からステップS003へ戻る。
【0047】
図4Aは、チップ部品72の回収方法の第4段階を表している。ステップS005において底板26を下方に移動させた後も、ベルトコンベア12が回収部20に対してチップ部品72の供給を継続することにより、底板26の上に形成されるチップ集積体74はさらに大きくなる。
図4Aに示すように、チップ集積体74の集積体上端74aが、再度センサ40の検出ライン41を越えると、
図7に示すステップS003およびステップS003においてセンサ40および制御部60がこれを検出し、再びステップS005を実施することにより、底板26をさらに下方に移動させる。
【0048】
図4Bは、チップ部品72の回収方法の第5段階を表している。
図2におけるステップS003~ステップS006の処理を繰り返すことにより、チップ部品回収装置10では、チップ集積体74が大きくなり、底板26が最下位置まで到達する。
【0049】
図4Bに示すように、ステップS005による移動後の底板26が最下位置に達した場合は、チップ部品回収装置10の処理は、ステップS005からステップS007へ進む。チップ部品回収装置10は、例えば、上下駆動部32による支持軸29の移動量を検出し、底板26が最下位置まで到達したことを検出できる。なお、
図4Bに示すように、回収部20の筒体22には、底板26が最下位置より下方に移動することを防止するストッパー27が設けられていてもよい。
【0050】
図7に示すステップS007では、チップ部品回収装置10のベルトコンベア12がチップ部品72の搬送を停止する。さらに、
図7に示すステップS008では、
図2に示すチップ部品回収装置10の水平駆動部36が、一点鎖線で示す取り出し位置まで、回収部20を水平方向に移動させる。取り出し位置では、チップ集積体74で満たされた回収部20を支持軸29から取り外した後、必要に応じて空の回収部20を、支持軸29に取り付ける。また、水平駆動部36は、交換された回収部20を、取り出し位置から回収位置まで、水平方向に移動させることができる。
【0051】
このようにして、チップ部品回収装置10は、チップ部品72を、回収部20に回収することができる。チップ部品回収装置10は、センサ40によりチップ集積体74の集積体上端74aを検出し、検出結果に応じて底板26を下方向に動かすことにより、回収時にチップ部品72に加えられる衝撃を均一に弱めることができる。底板26を移動させてチップ部品72の落下距離を短縮し、チップ部品72の回収時に発生する衝撃を減少させる作用は、チップ部品72の大きさや形状、密度などが変化しても有効である。また、チップ部品回収装置10は、上下方向に長いチップ集積体74を回収部20内に形成することができるため、底の浅い回収部を有する装置に比べて設置スペースを小さくすることが可能であり、省スペースである。
【0052】
図7に示すチップ部品の回収方法は、
図2に示す回転駆動部34が停止した状態で行われるが、
図5に示すように、チップ部品回収装置10は、回転駆動部34を駆動させながらチップ部品72の回収を行うことも可能である。変形例では、回転駆動部34を用いることにより、
図5に示すように、チップ部品回収装置10は、底板26を回転させながら、ベルトコンベア12から回収部20に対するチップ部品72の供給を行う。
【0053】
図6A~
図6Cは、変形例に係るチップ部品の回収方法の各段階を表す概念図である。変形例に係るチップ部品の回収方法は、
図7に示すフローチャートのステップS002において、底板26の回転が開始され、ステップS007において底板26の回転が停止される動作が追加されることを除き、実施形態に係るチップ部品の回収方法と同様である。
【0054】
図6Aに示すように、底板26を回転させながらチップ部品72を供給することにより、チップ部品72は、底板26の上面26aに対して、同心円状に供給される。これにより、底板26の上面26aに形成されるチップ集積体174の形状も、支持軸29を対称軸とする回転対称形状となる。なお、チップ部品回収装置10に対してチップ部品が供給される位置に相当するベルトコンベア12のコンベア端部15aは、
図5に示すように、上方から見て底板26の中心と筒体22の側壁との中間に、配置されているとよい。これは、コンベア端部15aが底板26の中心に位置する場合に比べ、次に説明するチップ集積体174の形状変化を適切に制御できるためである。
【0055】
図6Aに示すように、変形例に係るチップ集積体174は、初めに中央部が凹んだクレーターのような形状になり、この状態から、さらにチップ部品72が供給されると、
図6Bに示すような円錐台形状に変化する。また、底板26の回転を継続しながら、さらにチップ部品72が供給されると、
図6Cに示すような山なりの形状に変化する。このように、変形例に係るチップ部品の回収方法では、底板26を回転させながらチップ部品72を供給することにより、チップ集積体174の形状を傾斜が比較的緩やかな山なりの形状に制御できる。
ここで、コンベア端部15aが底板26の中心に位置する場合、初めから中央部が凸となる円錐形上が形成される傾向となる。この場合であってもセンサ40での検出は可能ではあるが、チップ部品集積体174として勾配が急な形状を形成しうることから、円筒22内部を十分に満たす前にチップ部品集積体174の凸部先端をセンサ40が検出することも生じうる。そのため、円筒22内部を十分に満たした状態で底板26を下降させたい場合は、上述のようにコンベア端部15は
図5に示すように、上方から見て底板26の中心と筒体22の側壁との中間に、配置されているとよい。
【0056】
このような変形例に係るチップ部品の回収方法によれば、ベルトコンベア12から回収部20に供給されるチップ部品72が、回収部20から逸脱する問題を防止できる。また、チップ部品72の大きさとの相対比較において、比較的面積の広い上面26aを有する底板26を有するチップ部品回収装置10であっても、チップ集積体174の形状を対称形状とすることにより、回収部20内において、チップ集積体が崩れてチップ部品72と筒体22又はチップ部品72同士が衝突する問題を、効果的に防止できる。
【0057】
以上、実施形態を挙げてチップ部品回収装置10及びチップ部品72の回収方法について説明したが、本発明はこれらの実施形態および変形例のみに限定されるものではなく、他の実施形態および変形例を有することは言うまでもない。たとえば、
図1に示すような複数のベルトコンベア12および回収部20を有するチップ部品回収装置10では、複数のベルトコンベア12を共通のコンベア駆動部14を用いて駆動してもよく、また、ベルトコンベア12毎に別個の駆動部を用いて駆動してもよい。
【0058】
また、
図2に示す回転駆動部34と上下駆動部32とは、共通のモータ等から駆動力を伝達されるものであってもよい。回転駆動部34と上下駆動部32とが共通のモータを有する場合、回転駆動部34及び上下駆動部32は、モータの駆動力を切り替えて支持軸29に伝えるギア等を有する。また、上述した回転駆動部34は、底板26のみを回転させるものであってもよく、底板26と筒体22との両方を回転させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…チップ部品回収装置
12…ベルトコンベア
14…コンベア駆動部
15…搬送ベルト
15a…コンベア端部
20…回収部
22…筒体
22a…筒上端
23…開口
26…底板
26a…上面
28…衝撃吸収材
27…ストッパー
29…支持軸
32…上下駆動部
34…回転駆動部
36…水平駆動部
40…センサ
41…検出ライン
60…制御部
70…検査装置
72…チップ部品
74…チップ集積体
74a…集積体上端