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特許7439381サービス提案時期調整装置および空気調和システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】サービス提案時期調整装置および空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/54 20180101AFI20240220BHJP
   F24F 11/39 20180101ALI20240220BHJP
【FI】
F24F11/54
F24F11/39
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019003751
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020112313
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 順也
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-007550(JP,A)
【文献】特開2016-223711(JP,A)
【文献】特開2004-362477(JP,A)
【文献】特開2017-130009(JP,A)
【文献】特開2010-198362(JP,A)
【文献】特開2017-040449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0186160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を冷暖房する複数の空気調和機から複数の運転状態情報をそれぞれ収集する運転状態収集部と、
前記複数の空気調和機に対応する複数の清潔意識レベルを前記複数の運転状態情報に基づいて算出する清潔意識算出部と、
前記複数の運転状態情報に基づいて前記複数の空気調和機の清掃の要否を判定する判定部と、
前記複数の空気調和機を清掃する清掃サービスを提供するサービス拠点の繁忙期として記憶部に記憶された所定の期間と異なる他の期間に前記判定部により前記複数の空気調和機のうちの1つの空気調和機に清掃が必要であると判定されたときは、前記他の期間内に、清掃推奨情報を通信端末に送信する送信部とを備え、
前記送信部は、前記所定の期間に前記判定部により前記複数の空気調和機に清掃が必要であると判定された場合は、前記所定の期間が終了した後に、清潔意識レベルを指標にした優先順で前記清掃推奨情報を通信端末に送信する
サービス提案時期調整装置。
【請求項2】
室内を冷暖房する複数の空気調和機から複数の運転状態情報をそれぞれ収集する運転状態収集部と、
前記複数の空気調和機に対応する複数の清潔意識レベルを前記複数の運転状態情報に基づいて算出する清潔意識算出部と、
前記複数の運転状態情報に基づいて前記複数の空気調和機の清掃の要否を判定する判定部と、
前記複数の空気調和機を清掃する清掃サービスを提供するサービス拠点の稼働率が所定値より高い所定の期間と異なる他の期間に前記判定部により前記複数の空気調和機のうちの1つの空気調和機に清掃が必要であると判定されたときは、前記他の期間内に、清掃推奨情報を通信端末に送信する送信部とを備え、
前記送信部は、前記所定の期間に前記判定部により前記複数の空気調和機に清掃が必要であると判定された場合は、前記所定の期間が終了した後に、清潔意識レベルを指標にした優先順で前記清掃推奨情報を通信端末に送信する
サービス提案時期調整装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記空気調和機が運転される運転時間の総和を示す積算時間を前記運転状態情報に基づいて算出し、
前記空気調和機に対応する清潔意識レベルが所定レベルより低い場合で、前記積算時間が第1閾値を超えたときに、前記空気調和機に清掃が必要であると判定し、
前記清潔意識レベルが前記所定レベルより高い場合で、前記所定の期間の前の期間に前記第1閾値より小さい第2閾値を前記積算時間が超えたときに、前記空気調和機に清掃が必要であると判定する
請求項1または請求項2に記載のサービス提案時期調整装置。
【請求項4】
前記運転状態情報は、前記空気調和機に設定される複数のユーザ設定に対応する複数の機能を示す
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサービス提案時期調整装置。
【請求項5】
前記運転状態情報に基づいて複数の候補日時を算出する候補日時算出部をさらに備え、
前記清掃推奨情報は、前記複数の候補日時を示す
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサービス提案時期調整装置。
【請求項6】
前記空気調和機を清掃する清掃サービスを提供するサービス拠点で利用されるサービス拠点端末から稼働状態情報を収集する稼働状態収集部をさらに備え、
前記候補日時算出部は、前記稼働状態情報にさらに基づいて前記複数の候補日時を算出する
請求項5に記載のサービス提案時期調整装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス提案時期調整装置と、
前記空気調和機と、
前記通信端末
とを備える空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提案時期調整装置および空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタのお手入れ時期や交換時期などを携帯端末に送信する空気調和機が知られている(特許文献1)。さらに、空調機器に関する情報を自動的に抽出して顧客管理センタに送信し、顧客管理センタは送信内容に応じた情報を自動的に空調機器に返信する空調システムが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-87510号公報
【文献】特開2007-218567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空気調和機の清掃に例示されるサービスを提供するサービス拠点は、季節に応じて稼働率が変動し、稼働率が高い繁忙期、例えば、冷房運転で空気調和機が稼働する前の時期であり空気調和機の修理の依頼が多い6月~9月に、利用者にこのようなサービスを適切に提供することが困難であるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、空気調和機の清掃の適切なタイミングを利用者に通知するサービス提案時期調整装置および空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一つの態様におけるサービス提案時期調整装置は、室内を冷暖房する複数の空気調和機から複数の運転状態情報をそれぞれ収集する運転状態収集部と、前記複数の空気調和機に対応する複数の清潔意識レベルを前記複数の運転状態情報に基づいて算出する清潔意識算出部と、前記複数の運転状態情報に基づいて前記複数の空気調和機の清掃の要否を判定する判定部と、前記複数の空気調和機を清掃する清掃サービスを提供するサービス拠点の稼働率が所定値より高い所定の期間と異なる他の期間に前記判定部により前記複数の空気調和機のうちの1つの空気調和機に清掃が必要であると判定されたときは、前記他の期間内に、清掃推奨情報を通信端末に送信する送信部とを備えている。前記送信部は、前記所定の期間に前記判定部により前記複数の空気調和機に清掃が必要であると判定された場合は、前記所定の期間が終了した後に前記清潔意識レベルを指標にした優先順で前記清掃推奨情報を通信端末に送信する。
【発明の効果】
【0007】
開示のサービス提案時期調整装置および空気調和システムは、空気調和機の清掃の適切なタイミングを利用者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例の空気調和システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、アダプタのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、空気調和機を示すブロック図である。
図4図4は、設定値テーブルを示す図である。
図5図5は、サーバ装置を示すブロック図である。
図6図6は、清潔意識テーブルを示す図である。
図7図7は、候補日時算出テーブルを示す図である。
図8図8は、通信端末を示す平面図である。
図9図9は、第2候補日時選択画面が表示部に表示された通信端末を示す平面図である。
図10図10は、清掃推奨情報を配信する動作を示すフローチャートである。
図11図11は、空気調和機の運転積算時間が閾値を超えたと判定された判定タイミングと清掃推奨情報が配信される提案タイミングとを示すタイムチャートである。
図12図12は、繁忙期に清掃が必要であると判定された空気調和機が複数ある場合に、複数の空気調和機に対応する複数の利用者端末に清掃推奨情報がそれぞれ配信される複数の提案タイミングを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかるサービス提案時期調整装置および空気調和システムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例
【0010】
図1は、本実施例の空気調和システム1の一例を示す説明図である。図1に示す空気調和システム1は、空気調和機2と、アダプタ3と、ルータ4と、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8と、サービス拠点端末10とを有する。
【0011】
空気調和機2は、室内を冷暖房する装置である。このような空気調和機2は、空気調和システム1に複数が設けられている。通信端末7は、利用者のスマートフォン等の端末装置である。通信端末7は、空気調和システム1に複数が設けられ、複数の通信端末7は、空気調和システム1に設けられる複数の空気調和機に対応している。
【0012】
アダプタ3は、空気調和機2とルータ4との間を無線通信で接続する通信機能と、空気調和機2をAI(Artificial Intelligence)制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、空気調和機2毎に設けられている。ルータ4は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)等を使用してアダプタ3と通信網8とを無線通信で接続する装置である。通信網8は、例えば、インターネット等の通信網である。サーバ装置5は、サービス提案時期調整装置の一例であり、空気調和機2を制御するAIの学習モデルを生成する機能や運転履歴データ等を記憶するデータベース等を有する。尚、サーバ装置5は、例えば、データセンタに配置されている。中継装置6は、通信網8と通信で接続すると共に、サーバ装置5と通信で接続する機能を有する。中継装置6は、通信網8経由で空気調和機2に適用される学習モデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等をアダプタ3からサーバ装置5に送信する。また、中継装置6は、サーバ装置5で生成又は更新した学習モデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。尚、中継装置6は、例えば、データセンタ等に配置されている。
【0013】
中継装置6は、第1の中継部6Aと、第2の中継部6Bと、第3の中継部6Cとを有する。第1の中継部6Aは、アダプタ3から受信した学習モデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等を通信網8経由でサーバ装置5に送信すると共に、サーバ装置5が生成又は更新した学習モデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。第2の中継部6Bは、利用者が外出先から通信端末7を使用して設定した空気調和機2の運転条件(冷房/暖房といった運転モードや設定温度など)を通信網8経由で取得し、これを通信網8経由で空気調和機2に送信する。第3の中継部6Cは、例えば、インターネット等の通信網8から天気予報等の外部データを取得し、取得した外部データをサーバ装置5に送信する。また、第3の中継部6Cは、外部データを通信網8経由でアダプタ3に送信する。
【0014】
サービス拠点端末10は、空気調和機の取り付け、空気調和機の修理、空気調和機の清掃、などの空気調和機2に関わる様々なサービスを提供するサービス拠点に設置される。サービス拠点端末10は、サービス拠点の稼働状態情報が入力され、間欠的に、通信網8を介してサービス拠点の稼働状態を示す情報(以降、稼働状態情報と記載する)をサーバ装置5に送信する。稼働状態情報は、サービス拠点が提供する様々なサービスの日毎の実施スケジュールであり、複数の日時に複数の稼働状態を対応付けられている。例えば、空気調和機の清掃についての稼働状態は、サービス拠点がその日時に空気調和機の清掃を引き受ける余裕の有無を示している。
【0015】
図2は、アダプタ3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すアダプタ3は、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、CPU(Central Processing Unit)14とを有する。第1の通信部11は、空気調和機2と通信接続する、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)である。第2の通信部12は、ルータ4と通信接続する、例えば、WLAN等の通信IF等の通信部である。記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。CPU14は、アダプタ3全体を制御する。
【0016】
図3は、空気調和機2を示すブロック図である。空気調和機2は、図3に示されているように、室内機15と室外機16とプラズマクリーンユニット17と人感センサ18とリモコン19と制御部20とを備えている。室内機15は、室内に配置され、図示されていない室内ファンとフィルタとフィルタ清掃機構と室内熱交換器とをさらに備えている。室内ファンは、室内機15が配置される室内の空気を吸い込んで室内熱交換器を通過させ、室内熱交換器を通過した空気を室内に吹き出す。フィルタは、室内熱交換器を通過する空気から塵埃を捕集する。フィルタ清掃機構は、フィルタに補修された塵埃をフィルタから除去する。室内熱交換器は、室外機16との間で循環する冷媒と、室内ファンにより吸い込まれた空気との熱交換を行うことにより、室内の空気を加熱または冷却する。室内機15は、室内熱交換器が室内の空気を加熱または冷却することにより、室内を暖房し、冷房し、または、除湿する。
【0017】
室外機16は、室外に配置され、図示されていない室外ファンと室外熱交換器と圧縮機と膨張弁とを備えている。室外ファンは、室外機16が配置される屋外の外気を吸い込んで室外熱交換器を通過させる。室外熱交換器は、室外ファンにより吸い込まれた外気と冷媒との熱交換を行うことにより、冷媒を加熱または冷却する。圧縮機は、冷媒を室内機15と室外機16との間で循環させる。膨張弁はその開度を調整することで、室内機15に流れる冷媒の量を調整する。
【0018】
プラズマクリーンユニット17は、例えば電気集じん器であり、室内機15の内部に設けられ、イオン放出部と捕集部とを備えている。イオン放出部は、室内機15の室内ファンにより吸い込まれた空気に含まれる塵埃を帯電させる。捕集部は、電極板を備え、電極板に所定の電圧を印加することにより、イオン放出部により帯電された塵埃を電極板に吸着させる。プラズマクリーンユニット17は、塵埃を捕集部の電極板に吸着させることにより、室内機15の室内ファンにより吸い込まれた空気を清浄化し、室内の空気を清浄化する。プラズマクリーンユニット17は、さらに、捕集部の電極板の電圧を測定し、電圧が所定の電圧値より小さくなったときに、動作を停止する放電保護が実行される。
【0019】
人感センサ18は、室内機15に設けられ、室内機15が配置される室内に人やペットなどがいるか否かを検出する。リモコン19は、図示されていない操作部と表示部とを備えている。リモコン19は、操作部が操作されることにより生成される情報を制御部20に出力し、操作部の操作情報、室内温度などの各種センサの検出結果、および、制御部20により生成された情報を利用者が認識できるように表示部に表示する。すなわち、利用者は、リモコン19を操作することにより空気調和機2を遠隔操作することが可能である。
【0020】
制御部20は、室内機15と室外機16とプラズマクリーンユニット17と人感センサ18とを制御する。たとえば、制御部20は、リモコン19の操作により「暖房」が選択されたときに、室内機15が室内を暖房するように、室内機15と室外機16とを制御する。制御部20は、リモコン19の操作により「冷房」が選択されたときに、室内機15が室内を冷房するように、室内機15と室外機16とを制御する。制御部20は、リモコン19の操作により「除湿」が選択されたときに、室内機15が室内を除湿するように、室内機15と室外機16とを制御する。制御部20は、リモコン19の操作により「停止」が選択されたときに、室内機15が冷暖房・除湿を停止するように、室内機15と室外機16とを制御する。
【0021】
制御部20は、リモコン19の操作により設定温度、風量に例示される設定値のいずれかが変更されたときに、図4に示されている設定値テーブル25を更新する。図4は、設定値テーブル25を示す図である。設定値テーブル25は、複数のユーザ設定26を複数の機能27に対応付けている。複数のユーザ設定26は、空気調和機2に設けられている清潔機能に設定される項目を示している。項目としては、「加熱除菌/自動内部クリーン設定」「自動フィルタークリーン間隔」が例示される。複数の機能27のうちのあるユーザ設定に対応する機能は、リモコン19の操作によりそのユーザ設定に設定された値を示している。「加熱除菌/自動内部クリーン設定」に対応する機能は、「加熱除菌」「自動内部クリーン」のいずれかを示している。「自動フィルタークリーン間隔」に対応する機能は、「やらない」「短め」「標準」「長め」のいずれかを示している。「短め」「標準」「長め」は、それぞれ所定の間隔を示している。「標準」が示す間隔は、「短め」が示す間隔より長く、「長め」が示す間隔より短い。
【0022】
たとえば、制御部20は、リモコン19の操作により「加熱除菌/自動内部クリーン設定」に「自動内部クリーン」が設定された場合で、冷房運転が停止されたときに、「自動内部クリーン」が実行されるように、室内機15を制御する。室内機15は、「自動内部クリーン」が実行されると、送風運転を行って、室内機15の室内熱交換器に空気を所定時間通過させ、室内機15の内部を乾燥させる。室内熱交換器に付着した菌類は、室内機15の内部の室内熱交換器が乾燥することにより、増殖が抑制される。制御部20は、リモコン19の操作により「加熱除菌/自動内部クリーン設定」に「加熱除菌」が設定された場合で、冷房運転が停止された後に、「加熱除菌」が実行されるように、室内機15と室外機16とを制御する。室内機15と室外機16とは、「加熱除菌」が実行されると、室内機15の室内熱交換器に凝縮水を保持した状態で室内熱交換器の温度を上げる。室内熱交換器に付着した菌類は、水の存在下で室内熱交換器が加熱されることにより、除菌される。制御部20は、リモコン19の操作により「自動フィルタークリーン間隔」に「やらない」が設定されたときに、室内機15のフィルタ清掃機構により室内機15のフィルタが清掃されないように、フィルタ清掃機構を制御する。制御部20は、「自動フィルタークリーン間隔」に「短め」「標準」「長め」のいずれかの機能が設定された場合で、空気調和機2の稼働時間が、上記各間隔を超えたときに、フィルタが定期的に清掃されるように、フィルタ清掃機構を制御する。
【0023】
アダプタ3は、間欠的(例えば、5分毎)に、空気調和機2の運転状態情報を空気調和機2から抽出する。運転状態情報は、空気調和機2に設定される設定温度や風量などの複数の設定値を示す設定値テーブル25と、空気調和機2で検出した室内温度や外気温度などの複数の運転データとが含まれる。複数の運転データのうちのある日時に対応する運転データは、その日時の空気調和機2の状態を示している。アダプタ3は、間欠的に抽出した運転状態情報をまとめて定期的(例えば、48時間毎)に通信網8を介してサーバ装置5に送信する。アダプタ3は、さらに、サーバ装置5から定期的(例えば、48時間毎)に送信される学習モデルを記憶し、学習モデルに基づいて空気調和機2を制御するよう、制御部20に指示する。
【0024】
図5は、サーバ装置5を示すブロック図である。サーバ装置5は、コンピュータであり、CPU31と記憶装置32とを備えている。CPU31は、サーバ装置5にインストールされたコンピュータプログラムを実行することにより、記憶装置32を制御する。記憶装置32は、サーバ装置5にインストールされるコンピュータプログラムを記憶し、CPU31により利用される情報を記憶する。
【0025】
サーバ装置5にインストールされるコンピュータプログラムは、サーバ装置5に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。サーバ装置5は、複数の機能として運転状態収集部41と清潔意識算出部42と判定部43と稼働状態収集部44と候補日時算出部45と送信部46と清掃依頼部47とを備えている。
【0026】
運転状態収集部41は、通信網8および中継装置6を介して空気調和システム1が備える複数の空気調和機2からそれぞれ送信された複数の運転状態情報を収集する。運転状態収集部41は、その収集された複数の運転状態情報を複数の空気調和機に対応付けて記憶装置32に記憶する。清潔意識算出部42は、運転状態収集部41により収集された複数の運転状態情報に基づいて、複数の空気調和機2に対応する複数の清潔意識指数を算出する。たとえば、複数の清潔意識指数のうちの空気調和機2に対応する清潔意識指数は、次式により算出される。
(清潔意識指数)=α×(内部クリーン完了回数)÷(冷房運転回数)+β(加熱除菌完了回数)÷(冷房運転回数)+γ×(プラズマクリーン駆動時間)÷(運転積算時間)+δ(自動フィルタークリーン間隔設定)+θ×(過去のサービス経験の有無)
【0027】
ここで、重み係数αと重み係数βと重み係数γと重み係数δと重み係数θとは、空気調和機毎に設定される任意の数値を示している。内部クリーン完了回数は、所定の期間に空気調和機2が「自動内部クリーン」を実行した回数を示している。所定の期間としては、1年間が例示される。加熱除菌完了回数は、所定の期間に空気調和機2が「加熱除菌」を実行した回数を示している。冷房運転回数は、所定の期間に空気調和機2が「冷房」を10分以上継続して運転した回数を示している。プラズマクリーン駆動時間は、所定の期間に空気調和機2でプラズマクリーンユニット17が駆動された時間の総和を示している。運転積算時間は、所定の期間に空気調和機2が「暖房」「冷房」「除湿」または「送風」を運転した時間の総和を示している。
【0028】
自動フィルタークリーン間隔設定は、「自動フィルタークリーン間隔」に設定された機能に割り当てられた0から3の値を示している。たとえば、自動フィルタークリーン間隔設定が0であるときに、自動フィルタークリーンが「やらない」に設定されていることを示している。自動フィルタークリーン間隔設定が3であるときに、自動フィルタークリーンを実行する間隔が「短め」に設定されていることを示している。自動フィルタークリーン間隔設定が2であるときに、自動フィルタークリーンを実行する間隔が「標準」に設定されていることを示している。自動フィルタークリーン間隔設定が1であるときに、自動フィルタークリーンを実行する間隔が「長め」に設定されていることを示している。過去のサービス経験の有無は、空気調和機2が過去にサービス拠点により清掃されたことがあるか否かに割り当てられた0または1の値を示している。過去のサービス経験の有無が1であるときに、空気調和機2が過去にサービス拠点により清掃されたことを示している。過去のサービス経験の有無が0であるときに、空気調和機2が過去にサービス拠点により清掃されていないことを示している。清潔意識算出部42は、複数の清潔意識指数に基づいて図6に示す清潔意識テーブル51を作成し、清潔意識テーブル51が記憶装置32に記憶されるように、記憶装置32を制御する。
【0029】
判定部43は、運転状態収集部41により収集された複数の運転状態情報に基づいて複数の空気調和機に対応する複数の運転積算時間を算出する。複数の運転積算時間のうちのある空気調和機2に対応する運転積算時間は、その空気調和機2が「暖房」「冷房」「除湿」「送風」を運転した時間の総和を示している。判定部43は、第1閾値と第2閾値とが予め設定されている。第2閾値は、第1閾値より小さい。たとえば、第1閾値としては、2000時間が例示される。第2閾値としては、1550時間が例示される。判定部43は、清潔意識テーブル51と複数の運転積算時間と第1閾値と第2閾値とに基づいて、複数の空気調和機の各々について清掃が必要であるか否かを判定する。
【0030】
稼働状態収集部44は、通信網8および中継装置6を介してサービス拠点端末10から送信された稼働状態情報を収集する。稼働状態収集部44は、さらに、その収集された稼働状態情報を記憶装置32に記憶する。候補日時算出部45は、運転状態収集部41により収集された空気調和機2の運転状態情報に基づいて、空気調和機2のユーザが在宅であるか否かを推測する。候補日時算出部45は、さらに、稼働状態収集部44により収集された複数の稼働状態情報に基づいて図7に示す候補日時算出テーブル61を複数の空気調和機毎に算出する。候補日時算出部45は、候補日時算出テーブル61が記憶装置32に記憶されるように、記憶装置32を制御する。
【0031】
記憶装置32には、サービス拠点の繁忙期が予め記憶されている。たとえば、繁忙期としては、6月から9月までの期間が例示される。送信部46は、判定部43により空気調和機2に清掃が必要であると判定されたときに、記憶装置32から繁忙期を読み出し、空気調和機2の利用者の清潔意識レベルと繁忙期とに基づいて提案タイミングを算出する。さらに、送信部46は、提案タイミングが算出された後に、空気調和機2に対する清掃推奨情報を作成する。送信部46は、その提案タイミングに、通信網8および中継装置6を介して清掃推奨情報を通信端末7に送信する。清掃依頼部47は、通信端末7から送信された清掃依頼情報が受信されたときに、通信網8および中継装置6を介してサービス拠点端末10に清掃依頼情報を転送する。
【0032】
図6は、清潔意識テーブル51を示す図である。清潔意識テーブル51は、複数の空気調和機識別情報52を複数の清潔意識レベル53に対応付けている。複数の空気調和機識別情報52は、複数の空気調和機を示している。複数の清潔意識レベル53のうちのある空気調和機2に対応する清潔意識レベルは、空気調和機2を利用する利用者が空気調和機2の清掃に対する意識の高さを示している。たとえば、清潔意識レベルは、レベルが高い方から「高い」「やや高い」「普通」「やや低い」「低い」の5段階が定義され、レベルが高い利用者ほど空気調和機の清掃に対して関心が高いことを示している。
【0033】
図7は、候補日時算出テーブル61を示す図である。空気調和機2に対応する候補日時算出テーブル61は、複数の日時62を複数の運転データ63と複数の在宅状態69と複数のサービス拠点の稼働状態64と複数のサービス候補日時65とに対応付けている。候補日時算出テーブル61中の複数の日時62は、稼働状態収集部44により収集されたサービス拠点の稼働状態情報が示す複数の日時をそれぞれ示し、1週間を1日ごとに分割しさらに1日を複数の時間帯に分割、例えば、各曜日の午前の時間帯と午後の時間帯としている。候補日時算出テーブル61中の複数の運転データ63は、運転状態収集部41により収集された複数の運転状態情報のうちの「サービス候補日時」の決定に使用される運転状態情報であり、複数の運転状態情報のうちの空気調和機2から受信した運転状態情報である。
【0034】
複数の運転データ63のうちのある時間帯に対応する運転データは、空気調和機2の運転状態情報のうちのその時間帯に対応する運転データを示し、人感センサ検出値66と運転状態67と操作の有無68とを示している。人感センサ検出値66は、「在室」または「不在」を示し、空気調和機2の人感センサ18のその時間帯の検出結果を示し、空気調和機2が配置されている室内に人またはペットがその時間帯にいたか否かを示している。運転状態67は、「停止」「暖房」「冷房」「除湿」または「送風」を示し、その時間帯の空気調和機2の状態を示している。操作の有無68は、「あり」または「なし」を示し、空気調和機2のリモコン19がその時間帯に操作されたか否かを示している。
【0035】
候補日時算出テーブル61中の複数の在宅状態69は、候補日時算出部45により複数の運転データ63に基づいて推測された値を示し、「在宅」または「不在宅」を示している。候補日時算出部45は、複数の運転データ63に基づいて複数の日時62の各々について空気調和機2の利用者が在宅であるか不在宅であるかを推測し、複数の在宅状態69を「在宅」または「不在宅」とする。たとえば、候補日時算出部45は、運転状態67が「停止」以外を示している時間帯に空気調和機2の利用者が在宅であると推測し、その時間帯に対応する在宅状態を「在宅」とする。候補日時算出部45は、運転状態67が「停止」以外を示している時間帯でも、人感センサ検出値66が「不在」を示す時間帯に空気調和機2の利用者が不在宅であると推測し、その時間帯に対応する在宅状態を「不在宅」とする。候補日時算出部45は、人感センサ検出値66が「在室」を示す時間帯に空気調和機2の利用者が在宅であると推測し、その時間帯に対応する在宅状態を「在宅」とする。候補日時算出部45は、さらに、操作の有無68が「あり」を示す時間帯に空気調和機2の利用者が在宅であると推測し、その時間帯に対応する在宅状態を「在宅」とする。候補日時算出部45は、このような推測に基づいて、利用者が在宅であると推測される複数の在宅時間帯を算出する。複数の在宅時間帯は、複数の在宅状態69で「在宅」とされた時間帯を示している。
【0036】
候補日時算出テーブル61中の複数の稼働状態64は、サービス拠点の稼働状態を示し、稼働状態収集部44により収集された稼働状態情報を示している。複数の稼働状態64のうちのある日時に対応する稼働状態は、「余裕あり」または「余裕なし」を示し、サービス拠点がその日時に空気調和機の清掃を引き受ける余裕の有無を示している。
【0037】
候補日時算出テーブル61中の複数のサービス候補日時65のうちのある日時に対応するサービス候補日時は、「第1候補」「第2候補」または「非候補」を示している。複数のサービス候補日時65は、候補日時算出部45により算出される。たとえば、候補日時算出部45は、「在宅」と「余裕あり」とに対応するサービス候補日時を「第1候補」とする。候補日時算出部45は、「不在宅」と「余裕あり」とに対応するサービス候補日時を「第2候補」とする。候補日時算出部45は、「余裕なし」に対応する日時に対応するサービス候補日時を「非候補」とする。
【0038】
候補日時算出部45は、候補日時算出テーブル61に基づいてさらに複数の第1候補日時と複数の第2候補日時とを決定する。複数の第1候補日時は、複数のサービス候補日時65で「第1候補」に対応付けられた複数の日時を示している。複数の第2候補日時は、複数の第1候補日時より優先順位が低い日時であり、複数のサービス候補日時65で「第2候補」に対応付けられた複数の日時を示している。
【0039】
図8は、通信端末7を示す平面図である。通信端末7は、スマートフォンに例示される情報処理装置であり、表示部71を備えている。通信端末7は、サーバ装置5から送信された清掃推奨情報を受信すると、例えば、メッセージ「お客様の空気調和機の運転時間が2000時間を超えました。クリーニングサービスはいかがでしょうか?」を表示部71に表示し(図示は省略)、空気調和機の清掃を推奨する。
【0040】
通信端末7は、そのメッセージの表示中に、図示はしないが、表示部71に「Yes」「No」ボタンが表示され、利用者が「Yes」ボタンを押下すると、図8に示す清掃推奨情報が示す第1候補日時選択画面72を表示部71に表示する。第1候補日時選択画面72は、複数の第1選択ボタン73-1~73-m(m=2,3,4,…)を備えている。複数の第1選択ボタン73-1~73-mは、縦に並ぶように第1候補日時選択画面72に表示されている。複数の第1選択ボタン73-1~73-mのうちの複数の第1選択ボタン73-1~73-(m-1)は、候補日時算出部45により算出された複数の第1候補日時(図7において、サービス候補日時65が「第1候補」としている日時)に対応している。複数の第1選択ボタン73-1~73-(m-1)のうちのある第1候補日時に対応する第1選択ボタンは、その第1候補日時が表示されている。第1選択ボタン73-mには、「その他」が表示されている。通信端末7は、利用者に操作されることにより複数の第1選択ボタン73-1~73-(m-1)のいずれかが選択されたときに、その選択された第1選択ボタンに表示される第1候補日時を示す清掃依頼情報を通信網8および中継装置6を介してサーバ装置5に送信する。
【0041】
通信端末7は、利用者に操作されることにより「その他」が選択されたときに、すなわち、第1選択ボタン73-mが選択されたときに、図9に示されているように、清掃推奨情報が示す第2候補日時選択画面75を表示部71に表示する。図9は、第2候補日時選択画面75が表示部71に表示された通信端末7を示す平面図である。第2候補日時選択画面75は、複数の第2選択ボタン76-1~76-M(M=2,3,4,…)を備えている。複数の第2選択ボタン76-1~76-Mは、縦に並ぶように第2候補日時選択画面75に表示されている。複数の第2選択ボタン76-1~76-Mは、候補日時算出部45により算出された複数の第2候補日時(図7において、サービス候補日時65が「第2候補」としている日時)に対応している。通信端末7は、利用者に操作されることにより複数の第2選択ボタン76-1~76-Mのいずれかが選択されたときに、その選択された第2選択ボタンに表示される第2候補日時を示す清掃依頼情報を通信網8および中継装置6を介してサーバ装置5に送信する。
【0042】
[サーバ装置5の動作]
サーバ装置5の動作は、空気調和機のAI制御に関わる動作と、清掃推奨情報を配信する動作と、清掃依頼を中継する動作とを備えている。
【0043】
空気調和機のAI制御に関わる動作では、アダプタ3は、5分周期の取得タイミングに室内機15から運転履歴データを取得し、その取得された運転履歴データを記憶部13に記憶する。アダプタ3は、48時間毎に、記憶部13に記憶された複数の運転履歴データのうちの48時間分の運転履歴データを含む運転状態情報をサーバ装置5に送信する。サーバ装置5に送信される運転履歴データは、送信する時点から48時間前までの分の運転履歴データである。サーバ装置5は、複数の空気調和機のアダプタ3からそれぞれ送信された複数の運転履歴データを受信し、複数の運転履歴データを記憶装置32に記憶する。サーバ装置5は、記憶装置32に記憶された複数の運転履歴データに基づいて、複数の空気調和機に対応する複数の学習モデルを生成し、その生成された複数の学習モデルを記憶装置32に記憶する。サーバ装置5は、中継装置6を介して記憶装置32に記憶された複数の学習モデルを複数の空気調和機のアダプタ3にそれぞれ送信する。空気調和機のアダプタ3は、サーバ装置5から送信された学習モデルを受信したときに、その受信された学習モデルを記憶部13に記憶する。アダプタ3は、記憶部13に記憶された学習モデルに基づいて、室内機15の制御部20を制御し、制御部20を介して空気調和機2を間接的に制御する。
【0044】
学習モデルには、例えば、各家庭の空気調和機の運転状態に応じて室内の利用者に対する5分後の体感温度を予測し、予測する体感温度に応じて空気調和機を制御する体感温度設定予測モデルがある。従来、空気調和機は、室内温度が目標温度になるように温度を調整することになるため、利用者にはその温度変化が体感的に不快に感じる場合がある。これに対して、体感温度設定予測モデルは、例えば、室内温度、室内湿度、室外温度等の時系列の運転履歴データに応じて、利用者が快適に感じるように空気調和機を調整する際に実行するプログラムである。たとえば、空気調和機は、体感温度設定予測モデルに基づいて制御されることにより、利用者が快適に感じるように、利用者により設定された温度と異なる温度に空気調和機の設定温度が変更される。このような動作によれば、空気調和システム1は、空気調和機が学習モデルに基づいて制御されることにより、空気調和機の利用者が快適になるように、空気調和機を適切に運転させることができる。
【0045】
図10は、送信部46が通信端末7に清掃推奨情報を配信する動作を示すフローチャートである。サーバ装置5は、複数の空気調和機からそれぞれ送信された複数の運転状態情報を受信すると、複数の運転状態情報を記憶装置32に記憶する。サーバ装置5は、記憶装置32に記憶された複数の運転状態情報を前述した清潔意識指数の計算式に代入して複数の空気調和機に対応する複数の清潔意識指数を算出し、複数の清潔意識指数に基づいて清潔意識テーブル51を算出する。サーバ装置5は、さらに、記憶装置32に記憶された複数の運転状態情報に基づいて複数の空気調和機に対応する複数の運転積算時間を算出する。
【0046】
サーバ装置5は、清潔意識テーブル51と複数の運転積算時間とが算出された後に、複数の空気調和機のそれぞれについて清掃の要否を判定する。サーバ装置5は、まず、清潔意識テーブル51を参照して、複数の清潔意識レベル53のうちの1つの空気調和機2に対応する清潔意識レベルが所定レベル、例えば「やや高い」より高いか否かを判定する(ステップS1)。サーバ装置5は、清潔意識レベルが「やや高い」より低いときに(ステップS1、No)、複数の運転積算時間のうち、清潔意識レベルが判定された空気調和機2に対応する運転積算時間を第1閾値と比較する(ステップS2)。サーバ装置5は、運転積算時間が第1閾値より大きいときに(ステップS2、Yes)、空気調和機2に清掃が必要であると判定し、ステップS2の処理が開始されたタイミングが繁忙期に含まれているか否かを判定する(ステップS4)。
【0047】
サーバ装置5は、清潔意識レベルが「やや高い」より高いときに(ステップS1、Yes)、空気調和機2に対応する運転積算時間を第2閾値と比較する(ステップS3)。サーバ装置5は、運転積算時間が第2閾値より大きいときに(ステップS3、Yes)、空気調和機2に清掃が必要であると判定し、ステップS3の処理が開始されたタイミングが繁忙期に含まれているか否かを判定する(ステップS4)。
【0048】
サーバ装置5は、ステップS2またはステップS3の処理が開始されたタイミングが繁忙期に含まれていないときに(ステップS4、No)、空気調和機2に対応する候補日時算出テーブル61に基づいて清掃推奨情報を作成する。すなわち、サーバ装置5は、空気調和機2の運転状態情報とサービス拠点の稼働状態情報とに基づいて、空気調和機2に対応する候補日時算出テーブル61を作成し、候補日時算出テーブル61に基づいて複数の第1候補日時と複数の第2候補日時とを決定する。サーバ装置5は、複数の第1候補日時に基づいて通信端末7に表示される第1候補日時選択画面72を作成し、複数の第2候補日時に基づいて第2候補日時選択画面75に関わるデータを作成し、清掃推奨情報を作成する。サーバ装置5は、清掃推奨情報が作成されると、その作成された清掃推奨情報を複数の通信端末のうちの空気調和機2に対応する通信端末7に配信する(ステップS5)。
【0049】
サーバ装置5は、カレンダー機能により、または、日時を外部から入手することにより、ステップS4の処理が開始されたタイミングが繁忙期に含まれているか否かを判定する。サーバ装置5は、ステップS4の処理が開始されたタイミングが繁忙期に含まれているときに(ステップS4、Yes)、清掃が必要であると判定された空気調和機2の識別情報を記憶装置32に記憶する。サーバ装置5は、繁忙期が終了したと判定された後に、清潔意識テーブル51を参照して、繁忙期に含まれるタイミングで清掃が必要であると判定された複数の空気調和機に優先順位を割り当てる。その優先順位は、第1空気調和機に対応する第1清潔意識レベルが、第2空気調和機に対応する第2清潔意識レベルより高いときに、第1空気調和機が第2空気調和機より優先されるように、複数の空気調和機に割り当てられる。サーバ装置5は、候補日時算出テーブル61に基づいて、複数の空気調和機のうちの優先順位が最も早い空気調和機について清掃推奨情報を作成する。サーバ装置5は、その作成された清掃推奨情報を、複数の通信端末のうちの優先順位が最も高い空気調和機2に対応する通信端末7に配信する(ステップS6)。
【0050】
清掃依頼を中継する動作は、清掃推奨情報を配信する動作の後に実行される。通信端末7は、清掃推奨情報を受信したときに、メッセージ「お客様の空気調和機の運転時間が2000時間を超えました。クリーニングサービスはいかがでしょうか?」を表示部71に表示することにより、空気調和機の清掃を利用者に促し、複数の第1候補日時または複数の第2候補日時から清掃の依頼日時を利用者に選択させる。通信端末7は、利用者に操作されることにより依頼日時が選択されたときに、その選択された依頼日時を示す清掃依頼情報をサーバ装置5に送信する。サーバ装置5は、通信端末7から送信された清掃依頼情報を受信すると、清掃依頼情報をサービス拠点端末10に転送する。これにより、空気調和機2の清掃のサービス拠点への依頼が完了する。
【0051】
このような動作によれば、空気調和システム1は、清掃推奨情報を通信端末7に所定のタイミングで自動的に送信することにより、空気調和機2の利用者がサービス拠点に清掃を依頼するタイミングを所定の期間に誘導することができる。たとえば、清掃推奨情報は、空気調和機2の運転積算時間が第1閾値または第2閾値を超えたと判定されたタイミングが繁忙期に含まれないときに、そのタイミングの直後に利用者端末に送信される。このとき、空気調和システム1は、繁忙期に含まれない期間のサービス拠点の稼働率の上昇を図ることができる。
【0052】
図11は、空気調和機の運転積算時間が閾値を超えたと判定されたタイミングと清掃推奨情報が配信される提案タイミングとを示すタイムチャートである。清掃推奨情報は、第1空気調和機の利用者の清潔意識レベルが「やや高い」より低い場合で、第1空気調和機の運転積算時間が第1閾値(図11では、2000時間)を超えたと判定された判定タイミング81が繁忙期82に含まれるときに、繁忙期82の終了後の提案タイミング83に通信端末7に送信される。このとき、空気調和システム1は、清掃推奨情報が繁忙期82に含まれるタイミングに通信端末7に送信されることに比較して、繁忙期82にサービス拠点の作業負荷の増加を抑制することができる。
【0053】
第2空気調和機は、第2空気調和機の利用者の清潔意識レベルが「やや高い」より高い場合、第1閾値より小さい第2閾値(図11では、1550時間)を第2空気調和機の運転積算時間が超えたときに、清掃が必要であると判定される。この場合、第2空気調和機の運転積算時間が繁忙期82に第1閾値を超えると推測される場合でも、清掃が必要であると判定されるタイミング84は、繁忙期82の前の繁忙期前期間85に含まれることがある。このとき、清掃推奨情報は、繁忙期前期間85内の提案タイミングに通信端末7に送信される。このため、空気調和システム1は、第2空気調和機の利用者がサービス拠点に清掃を依頼するタイミングを繁忙期前期間85に誘導することができ、繁忙期82にサービス拠点の作業負荷の増加を抑制することができる。
【0054】
図12は、繁忙期82に清掃が必要であると判定された空気調和機が複数ある場合に、複数の空気調和機に対応する複数の利用者端末に清掃推奨情報がそれぞれ配信される複数の提案タイミングを示すタイムチャートである。清掃推奨情報は、第3空気調和機の運転積算時間が第2閾値を超えたタイミング87が繁忙期82に含まれるときに、第1空気調和機のときと同様に、繁忙期82の終了後の提案タイミング88に通信端末7に送信され、利用者に清掃サービスが提案される。提案タイミング88は、第3空気調和機の利用者の清潔意識レベルが第1空気調和機の利用者の清潔意識レベルより高いときに、第1空気調和機のときの提案タイミング83より前である。
【0055】
空気調和システム1は、清掃意識レベルが高い利用者に優先して清掃サービスを提案することで、繁忙期後の清掃サービスの集中を防止することができる。清潔意識レベルが高い利用者は、清潔意識レベルが高くない利用者に比較して、清掃を促されると早急に清掃を依頼する傾向があると考えられる。このため、空気調和システム1は、清潔意識レベルが高い利用者に優先して清掃推奨情報を送信することにより、繁忙期82の直後のサービス拠点の稼働率を上昇させることができ、サービス拠点の稼働率を平準化することができる。また、清掃意識レベルが高い利用者を優先することは、清掃サービスの提案を後回しにして利用者が清掃サービスの申し込みができなくなることや、清掃サービスの提案がかなり後回しとなって利用者に不快感を与えることを防止するためである。
【0056】
[実施例のサーバ装置5の効果]
実施例のサーバ装置5は、運転状態収集部41と判定部43と送信部46とを備えている。運転状態収集部41は、室内を冷暖房する空気調和機2から運転状態情報を収集する。判定部43は、運転状態情報に基づいて空気調和機2の清掃の要否を判定する。送信部46は、判定部43により清掃が必要であると判定されたときに、清掃推奨情報を通信端末7に送信する。送信部46は、さらに、繁忙期に判定部43により清掃が必要であると判定された場合は、繁忙期が終了した後に清掃推奨情報を通信端末7に送信する。このようなサーバ装置5は、空気調和機2に清掃が必要なことを利用者に通知することができ、清掃が必要なときに利用者に空気調和機2の清掃を促すことができる。サーバ装置5は、さらに、利用者から清掃サービスがサービス拠点の繁忙期に依頼されることを低減することができ、サービス拠点の稼働率を平準化することができる。
【0057】
また、実施例のサーバ装置5は、清潔意識算出部42をさらに備えている。清潔意識算出部42は、運転状態収集部41により複数の空気調和機からそれぞれ収集された複数の運転状態情報に基づいて、複数の空気調和機に対応する複数の清潔意識レベルを算出する。送信部46は、繁忙期に、複数の空気調和機において、判定部43により清掃が必要であると判定された場合は、清潔意識レベルを指標にした優先順で清掃推奨情報を複数の通信端末に送信する。このようなサーバ装置5は、繁忙期の後に清掃推奨情報を複数の通信端末に送信するタイミングをずらすことにより、繁忙期の後のサービス拠点の稼働率を平準化することができる。サーバ装置5は、清潔意識レベルが高い利用者の通信端末7に清掃推奨情報を優先して送信することにより、繁忙期の後のサービス拠点の稼働率をより適切に平準化することができる。
【0058】
また、実施例のサーバ装置5の判定部43は、空気調和機2が運転される運転時間の総和を示す運転積算時間を運転状態情報に基づいて算出する。判定部43は、空気調和機2に対応する清潔意識レベルが「やや高い」より低い場合で、運転積算時間が第1閾値を超えたときに、空気調和機2に清掃が必要であると判定する。判定部43は、さらに、空気調和機2に対応する清潔意識レベルが「やや高い」より高い場合で、運転積算時間が第1閾値より小さい第2閾値を超えたときに、空気調和機2に清掃が必要であると判定する。このようなサーバ装置5は、運転積算時間に基づいて空気調和機2に清掃の要否を適切に判定することができ、適切なタイミングに利用者に空気調和機2の清掃を促すことができる。このようなサーバ装置5は、清潔意識レベルが高い利用者に清掃推奨情報を早めに通知することができる。清潔意識レベルが高い利用者は、清掃を促されると早急に清掃を依頼する傾向があると考えられるために、繁忙期に入る前に清掃を依頼するように誘導することができ、サービス拠点の稼働率を平準化することができる。
【0059】
ところで、実施例のサーバ装置5における第2閾値は、第1閾値と異なっているが、第1閾値と等しくてもよい。サーバ装置5は、第2閾値が第1閾値と等しい場合でも、清潔意識レベルが高い利用者の通信端末7に清掃推奨情報を優先して送信することにより、繁忙期の後のサービス拠点の稼働率をより適切に平準化することができる。
【0060】
ところで、実施例のサーバ装置5における第1閾値は、定数であるが、変動する値であってもよい。たとえば、第1閾値は、次式により算出される。
(第1閾値)=(基準時間)+300×{(内部クリーン完了回数)÷(冷房運転回数)+(加熱除菌完了回数)÷(冷房運転回数)}。
ここで、基準時間は、空気調和機2の運転開始から1000時間経過時までにプラズマクリーンユニット17の動作が停止される放電保護が実行された回数に基づいて算出された値である。放電保護が実行された回数は、空気調和機2が汚れやすい使い方をされているか、空気調和機2が汚れにくい使い方をされているかを反映している。基準時間は、その回数が11回以上であるときに、1800時間を示している。基準時間は、その回数が6回~10回であるときに、1900時間を示している。基準時間は、その回数が1回~5回であるときに、2000時間を示している。基準時間は、その回数が0回であるときに、2300時間を示している。このとき、サーバ装置5は、空気調和機2が汚れやすい使い方をされているときに、利用者に清掃サービスを早めに提案することができる。このような基準時間が用いられた場合でも、サーバ装置5は、空気調和機2に清掃の要否を適切に判定することができ、適切なタイミングに利用者に空気調和機2の清掃を促すことができる。
【0061】
ところで、実施例のサーバ装置5は、運転積算時間に基づいて空気調和機2の清掃の要否を判定しているが、運転積算時間と異なる情報に基づいて空気調和機2の清掃の要否を判定してもよい。たとえば、空気調和機2は、室内機15の内部の画像を撮像するカメラを備え、サーバ装置5は、その画像に基づいて空気調和機2の清掃の要否を判定してもよい。このような情報が用いられた場合でも、サーバ装置5は、空気調和機2に清掃の要否を適切に判定することができ、適切なタイミングに利用者に空気調和機2の清掃を促すことができる。
【0062】
また、実施例のサーバ装置5の運転状態情報は、空気調和機2に設定される複数のユーザ設定に対応する複数の機能を示している。このようなサーバ装置5は、空気調和機2に設定される機能を用いることにより、空気調和機2の利用者の清潔意識レベルを適切に算出することができ、適切なタイミングで利用者に清掃推奨情報を送信することができる。
【0063】
ところで、実施例のサーバ装置5は、空気調和機2の設定値テーブル25と運転データとに基づいて空気調和機2の利用者の清潔意識レベルを算出しているが、他の情報に基づいて清潔意識レベルを算出してもよい。その情報としては、空気調和機2の利用者が過去に清掃を依頼した実施履歴が例示される。このような情報が用いられた場合でも、サーバ装置5は、空気調和機2の利用者の清潔意識レベルを適切に算出することができ、適切なタイミングで利用者に清掃推奨情報を送信することができる。
【0064】
また、実施例のサーバ装置5は、運転状態情報に基づいて複数の候補日時を算出する候補日時算出部45をさらに備えている。このとき、清掃推奨情報は、複数の候補日時をさらに示している。このようなサーバ装置5は、空気調和機2の運転状態情報に基づいて空気調和機2の利用者が在宅であるか否かを適切に推測することができ、利用者が空気調和機2の清掃を依頼する作業を容易にすることができる。
【0065】
また、実施例のサーバ装置5は、サービス拠点端末10から稼働状態情報を収集する稼働状態収集部44をさらに備えている。このとき、候補日時算出部45は、稼働状態情報にさらに基づいて複数の候補日時を算出する。このようなサーバ装置5は、サービス拠点の稼働状態に余裕がある時間帯を複数の候補日時に含ませることができ、サービス拠点の稼働率を平準化することができる。
【0066】
ところで、実施例のサーバ装置5は、空気調和機2の利用者に複数の候補日時を通知しているが、候補日時の通知を省略してもよい。候補日時の通知が省略された場合でも、サーバ装置5は、適切なタイミングで利用者に清掃推奨情報を送信することができ、サービス拠点の稼働率を平準化することができる。
【0067】
ところで、空気調和システム1は、空気調和機から収集された運転履歴データに基づいてサーバ装置5がAIに学習させて学習モデルを生成し、その学習モデルに基づいて空気調和機の運転が制御されているが、AIを用いたこのような制御が省略されてもよい。サーバ装置5は、AIを用いた制御が省略された場合でも、適切なタイミングで利用者に清掃推奨情報を送信することができ、サービス拠点の稼働率を平準化することができる。
【0068】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :空気調和システム
2 :空気調和機
3 :アダプタ
5 :サーバ装置
7 :通信端末
10 :サービス拠点端末
41 :運転状態収集部
42 :清潔意識算出部
43 :判定部
44 :稼働状態収集部
45 :候補日時算出部
46 :送信部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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