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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20240220BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240220BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019055616
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020156302
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-01-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】中尾 悟朗
(72)【発明者】
【氏名】財津 俊行
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-536664(JP,A)
【文献】特開2014-160702(JP,A)
【文献】特開2010-239848(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137495(WO,A1)
【文献】特開2018-148640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電装置と、前記送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置であって、
前記送電装置は、
前記受電装置へ電力を供給する送信コイルと、
前記送信コイルに対して交流電力を供給する電力供給回路と、を有し、
前記受電装置は、
前記送電装置の前記送信コイルから電力を受電する受信コイルを有する複数の共振回路と、
前記複数の共振回路からの出力電圧を検出する電圧検出回路と、
制御回路とを有し、
前記複数の共振回路のそれぞれの前記受信コイルは互いに電磁結合可能に配置され、
前記複数の共振回路のうちの少なくとも一つは、当該共振回路の前記受信コイルと接続され、静電容量を制御可能な可変容量回路とを有し、当該共振回路の前記受信コイルのインダクタンス、前記可変容量回路の静電容量及び前記複数の共振回路のうちの他の共振回路の静電容量に応じた周波数で共振し、
前記制御回路は、前記出力電圧に応じて、前記複数の共振回路のうちの前記少なくとも一つの前記可変容量回路の静電容量を制御し、
前記複数の共振回路のそれぞれの前記受信コイルは、同一のコアに対して同心円状に、かつ、互いに異なる径を有するように巻き付けられる、
非接触給電装置。
【請求項2】
前記受電装置は、前記複数の共振回路のそれぞれの前記受信コイルと電磁結合可能に配置され、かつ、前記複数の共振回路のそれぞれが前記送電装置から受電した電力を出力するロードコイルをさらに有し、
前記ロードコイルは、前記送電装置と前記受電装置とが、電力伝送可能に配置された場合に、前記複数の共振回路のそれぞれの前記受信コイルよりも前記送信コイルから遠い位置において前記コアに巻き付けられる、請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記複数の共振回路のうちの前記可変容量回路を有する前記少なくとも一つの共振回路の前記受信コイルのインダクタンスは、前記複数の共振回路のうちの前記可変容量回路を有さない共振回路の前記受信コイルのインダクタンスよりも小さい、請求項1または2に記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属の接点などを介さずに、空間を通じて電力を伝送する、いわゆる非接触給電(ワイヤレス給電とも呼ばれる)技術が研究されている。
【0003】
非接触給電技術を利用した給電装置(以下、単に非接触給電装置と呼ぶ)では、一次側(送電側)のコイル(以下、送信コイルまたは一次コイルと呼ぶ)と二次側(受電側)のコイル(以下、受信コイルまたは二次コイルと呼ぶ)とが電磁結合することにより、それら二つのコイルを介して送電側の装置から受電側の装置へ電力が伝送される。
【0004】
このような非接触給電技術では、送信コイルと受信コイルとの位置関係が変化することがある。送信コイルと受信コイルの位置関係が変化すると、送信コイルと受信コイル間の結合度も変化する。結合度が変化すると、受信コイルを含む、受電側の共振回路が共振する周波数が変化するので、その結合度の変化は、電力伝送効率に影響する。そこで、送信コイルと受信コイル間の結合度が動的に変化しても、エネルギー伝送効率の低下を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この技術では、受電側の装置は、送電側の装置からの電力を受信する受信コイルと、受信コイルと並列に接続され、静電容量を調節可能な可変容量回路とを有する共振回路と、共振回路からの出力電圧を検出する電圧検出回路とを有し、その出力電圧に応じて、可変容量回路の静電容量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-148640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非接触給電装置の用途によっては、共振回路から、例えば、高い電圧を出力することが求められることがある。出力電圧が高くなると、共振回路が有する共振コンデンサまたは受信コイルの端子間電圧が過度に上昇し、その結果として、その端子間電圧が、上記の技術において可変容量回路の静電容量を変更するために利用されるスイッチング素子の耐圧を超えることがあり、上記の技術を適用することが困難となることがあった。
【0007】
そこで、本発明は、受電側の共振回路が有する可変容量回路の端子間電圧を低減させるとともに、送信コイルと受信コイル間の結合度が動的に変化しても、エネルギー伝送効率の低下を抑制できる非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの形態として、送電装置と、送電装置から非接触で電力伝送される受電装置とを有する非接触給電装置が提供される。この非接触給電装置において、送電装置は、受電装置へ電力を供給する送信コイルと、送信コイルに対して交流電力を供給する電力供給回路とを有する。受電装置は、送電装置の送信コイルから電力を受電する受信コイルを有する複数の共振回路と、複数の共振回路からの出力電圧を検出する電圧検出回路と、制御回路とを有し、複数の共振回路のそれぞれの受信コイルは互いに電磁結合可能に配置され、複数の共振回路のうちの少なくとも一つは、その共振回路の受信コイルと接続され、静電容量を制御可能な可変容量回路とを有し、その共振回路の受信コイルのインダクタンス、可変容量回路の静電容量及び複数の共振回路のうちの他の共振回路の静電容量に応じた周波数で共振し、制御回路は、出力電圧に応じて、複数の共振回路のうちの少なくとも一つの可変容量回路の静電容量を制御する。
本発明に係る非接触給電装置は、このような構成を有することにより、受電側の共振回路が有する共振コンデンサの端子間電圧を低減させるとともに、送信コイルと受信コイル間の結合度が動的に変化しても、エネルギー伝送効率の低下を抑制することができる。
【0009】
この非接触給電装置において、複数の共振回路のそれぞれの受信コイルは、同一のコアに対して巻き付けられることが好ましい。
これにより、非接触給電装置の受電装置は、各共振回路で受電した電力を一つの共振回路または各共振回路と電磁結合可能に設けられるロードコイルを介して効率良く取り出すことができる。
【0010】
この場合において、受電装置は、複数の共振回路のそれぞれの受信コイルと電磁結合可能に配置され、かつ、複数の共振回路のそれぞれが送電装置から受電した電力を出力するロードコイルをさらに有し、複数の共振回路のそれぞれの受信コイルは、同一のコアに対して同心円状に巻き付けられ、かつ、ロードコイルは、送電装置と受電装置とが、電力伝送可能に配置された場合に、複数の共振回路のそれぞれの受信コイルよりも送信コイルから遠い位置においてそのコアに巻き付けられることが好ましい。
これにより、非接触給電装置の受電装置は、各共振回路で受電した電力をロードコイルを介して効率良く取り出すことができるとともに、ロードコイルよりも各受信コイルを送信コイルに近づけることができるので、送信コイルと各受信コイル間の結合度が送信コイルとロードコイル間の結合度よりも高くなるので、ロードコイルにより電力伝送効率が低下することを防止できる。
【0011】
また、この非接触給電装置において、受電装置の複数の共振回路のうちの可変容量回路を有する少なくとも一つの共振回路の受信コイルのインダクタンスは、複数の共振回路のうちの可変容量回路を有さない共振回路の受信コイルのインダクタンスよりも小さいことが好ましい。
これにより、各共振回路が送信コイルに供給された交流電力に対して共振するために、可変容量回路を有さない共振回路の共振コンデンサの静電容量よりも、可変容量回路の静電容量を大きくすることができるので、非接触給電装置の受電装置は、可変容量回路に要求される耐圧をより低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。
図2】(a)は、受電装置の各共振回路が有する受信コイルの配置の一例を示す、各受信コイルの中心軸を通る平面における各受信コイルの概略断面図である。(b)は、送電装置と受電装置との間で電力伝送可能な場合に送信コイル側から見た、各受信コイルの配置の一例の概略平面図である。
図3】(a)は、受電装置の各共振回路が有する受信コイルの配置の他の一例を示す、各受信コイルの中心軸を通る平面における各受信コイルの概略断面図である。(b)は、送電装置と受電装置との間で電力伝送可能な場合に送信コイル側から見た、各受信コイルの配置の他の一例の概略平面図である。
図4】変形例による、受電装置の概略構成図である。
図5】他の変形例による、受電装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一つの実施形態による非接触給電装置を、図を参照しつつ説明する。この非接触給電装置では、受電側の装置(以下、単に受電装置と呼ぶ)が、送電側の装置(以下、単に送電装置と呼ぶ)の送信コイルを流れる電流に対して共振する共振回路を複数有する。そして受電装置の各共振回路は、受信コイルと、静電容量を制御可能な可変容量回路とを有する。各共振回路の受信コイルは、それぞれ、互いに電磁結合可能なように配置され、受電装置は、各共振回路にて受電した電力を一つの共振回路から出力する。これにより、受電装置が一つの共振回路及び一つの受信コイルを有する場合と比較して、各共振回路の受信コイルのインダクタンスを低下させるとともに、可変容量回路の静電容量を高くすることで、この非接触給電装置は、各共振回路が有する可変容量回路の端子間電圧を低下させる。さらに、受電装置は、出力電圧に応じて、各共振回路の可変容量回路の静電容量を調節することで、送信コイルと各共振回路の受信コイル間の結合度が動的に変化しても、電力伝送効率が低下することを抑制する。
【0014】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る非接触給電装置の概略構成図である。図1に示されるように、非接触給電装置1は、送電装置2と、送電装置2から空間を介して非接触で電力伝送される受電装置3とを有する。送電装置2は、電力供給回路11と、送信コイル12と、コンデンサ13とを有する。一方、受電装置3は、n個の共振回路21-1~21-n(ただし、nは2以上の整数、図1に示される例では、n=3)と、整流平滑回路24と、電圧検出回路25と、制御回路26とを有する。本実施形態では、非接触給電装置1は、一次側の共振を利用せず、二次側において受信コイルと可変容量回路に含まれる共振コンデンサとが並列共振する方式(NP方式)の非接触給電装置である。しかし、非接触給電装置1は、一次側の共振を利用せず、二次側において受信コイルと共振コンデンサとが直列共振する方式(NS方式)の非接触給電装置であってもよい。
【0015】
先ず、送電装置2について説明する。
電力供給回路11は、交流電力を送信コイル12へ供給する。そのために、電力供給回路11は、例えば、直流電力を供給する直流電源と、直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換して送信コイル12へ供給するインバータ回路と、インバータ回路を制御する制御回路とを有する。インバータ回路は、4個のスイッチング素子(例えば、MOSFET)がフルブリッジ状に接続されるフルブリッジインバータであってもよく、あるいは、2個のスイッチング素子がハーフブリッジ状に接続されるハーフブリッジインバータであってもよい。制御回路は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数が所定の周波数(例えば、受電装置3の各共振回路の受信コイルと送信コイル12との間の結合度が所定の値である場合に、各共振回路が共振可能な周波数)となるように、インバータ回路が有する各スイッチング素子のオン/オフの切り替えを制御する。電力供給回路11は、さらに、直流電源とインバータ回路との間に、DC-DCコンバータを有してもよい。
【0016】
送信コイル12は、受電装置3の各共振回路の受信コイルと電磁結合することで、電力供給回路11から供給された交流電力を、空間を介して受電装置3の共振回路21-1~21-nへ伝送する。
【0017】
コンデンサ13は、送信コイル12と電力供給回路11のインバータ回路との間に、送信コイル12と直列に接続される。本実施形態では、コンデンサ13は、直流電力を遮断するために設けられる。そのため、コンデンサ13の静電容量は、送信コイル12に供給される交流電力に対して、送信コイル12とコンデンサ13とにより構成される共振回路が共振しないように、すなわち、送信コイル12に供給される交流電力の周波数とその共振回路の共振周波数が異なるように設定される。なお、電力供給回路11がフルブリッジインバータを有する場合には、コンデンサ13は省略されてもよい。
【0018】
次に、受電装置3について説明する。
n個の共振回路21-1~21-nのそれぞれは、受信コイル22-kと、可変容量回路23-k(k=1~n)とを有する。さらに、各共振回路において、可変容量回路23-kは、受信コイル22-kに対して互いに並列に接続される二つの共振コンデンサ31-k-1、31-k-2と、二つのスイッチング素子32-k-1、32-k-2とを有する。そして共振コンデンサ31-k-1とスイッチング素子32-k-1とは直列に接続される。同様に、共振コンデンサ31-k-2とスイッチング素子32-k-2とが直列に接続される。なお、各共振回路において、可変容量回路23-kは、互いに並列に接続される3個以上の共振コンデンサと、その3個以上の共振コンデンサとそれぞれ直列に接続されるスイッチング素子を有してもよい。あるいは、可変容量回路23-kが有する複数の共振コンデンサのうちの一つについては、スイッチング素子を介さずに受信コイルと接続されてもよい。
【0019】
各共振回路において、スイッチング素子32-k-1、32-k-2は、例えば、nチャネル型のMOSFETとすることができる。そしてスイッチング素子32-k-1のドレイン端子は、共振コンデンサ31-k-1を介して受信コイル22-kの一端と接続され、スイッチング素子32-k-1のソース端子は、受信コイル22-kの他端と接続される。同様に、スイッチング素子32-k-2のドレイン端子は、共振コンデンサ31-k-2を介して受信コイル22-kの一端と接続され、スイッチング素子32-k-2のソース端子は、受信コイル22-kの他端と接続される。また、スイッチング素子32-k-1、32-k-2のゲート端子は、制御回路26と接続される。
【0020】
各共振回路の二つのスイッチング素子32-k-1、32-k-2は、それぞれ、制御回路26により、オン/オフが切り替えられる。そして二つの共振コンデンサ31-k-1、31-k-2のうち、オンとなったスイッチング素子と直列に接続される共振コンデンサが共振回路21-kの共振に寄与する。すなわち、共振回路21-kの共振周波数fkは、各共振回路の受信コイル同士の結合度が1であると近似できる場合、次式で表される。
【数1】
ここで、Cpvkは、共振回路21-kの静電容量である。またCji(j=1,2,3, i=1,2)は、各共振回路の可変容量回路23-jの共振コンデンサ31-j-1、31-j-2の静電容量である。さらに、sji(j=1,2,3, i=1,2)は、各共振回路の可変容量回路23-jのスイッチング素子32-j-1、32-j-2がオンかオフかを表す係数である。スイッチング素子32-j-1がオンのときにsj1=1となり、オフのときにsj1=0となる。同様に、スイッチング素子32-j-2がオンのときにsj2=1となり、オフのときにsj2=0となる。すなわち、Cpvkは、各共振回路の可変容量回路の二つの共振コンデンサ31-j-1、31-j-2のうち、オンとなったスイッチング素子と直列に接続される共振コンデンサの静電容量の和に各共振回路の受信コイル22-jのインダクタンスに対する共振回路21-kの受信コイル22-kのインダクタンスの比を乗じたものの和となる。なお、各共振回路において、二つの共振コンデンサ31-j-1、31-j-2の静電容量は同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。さらに、共振回路ごとに、二つの共振コンデンサ31-j-1、31-j-2の静電容量は同一であってもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。Lk2は、共振回路21-kの受信コイル22-kのインダクタンスであり、Lj2は、各共振回路の受信コイルのインダクタンスである。Lkr2は、送信コイル12を短絡した際の受信コイル22-kのインダクタンスであり、kは送信コイル12と受信コイル22-kの結合度である。
【0021】
(1)式から明らかなように、各共振回路の可変容量回路が有する共振コンデンサ31-j-1、31-j-2のうち、共振に寄与する共振コンデンサが増えるほど、すなわち、オンとなるスイッチング素子が増えるほど、共振回路21-kにおける静電容量は増加するので、共振回路21-kの共振周波数fkは低下する。逆に、各共振回路の可変容量回路が有する共振コンデンサ31-j-1、31-j-2のうち、共振に寄与しない共振コンデンサが増えるほど、すなわち、オフとなるスイッチング素子が増えるほど、共振回路21-kにおける静電容量は減少するので、共振回路21-kの共振周波数fkは高くなる。
【0022】
本実施形態において、共振回路21-1では、受信コイル22-1と可変容量回路23-1とは並列に接続される。そして共振回路21-1は、整流平滑回路24と接続される。一方、他の共振回路21-2~21-nでは、受信コイル22-jと可変容量回路23-j(j=2~n)とが閉ループを形成する。各共振回路の受信コイル22-kのインダクタンス及び可変容量回路23-kの静電容量の調整範囲は、例えば、共振回路21-1~21-nのインダクタンスと静電容量の積を互いに等しくすることが可能であり、かつ、送信コイル12を流れる電流に対して各共振回路が共振可能なように設定される。例えば、各共振回路の受信コイル22-1~22-nのインダクタンスは、互いに同一となるよう設定され、かつ、各共振回路の可変容量回路23-1~23-nの静電容量の調整範囲は、互いに同一となるよう設定される。
【0023】
さらに、各共振回路の受信コイル22-kは、互いに電磁結合可能に配置される。したがって、送電装置2と受電装置3とが、送電装置2から受電装置3へ電力伝送可能な位置関係にある場合において、共振回路21-1~21-nの受信コイル22-1~22-nのそれぞれは、送信コイル12と電磁結合して、各共振回路は、送信コイル12から電力を受電する。さらに、共振回路21-1~21-nの受信コイル22-1~22-nは互いに電磁結合可能に配置されているので、整流平滑回路24と接続される共振回路21-1は、他の共振回路21-2~21-nからも電力を受け取る。したがって、共振回路21-1は、自身が送電装置2から受電した電力と、他の共振回路21-2~21-nが送電装置2から受電し、かつ、共振回路21-1へ渡した電力との和となる電力を整流平滑回路24へ出力する。
なお、各共振回路の受信コイル22-kの巻き数と、送信コイル12の巻き数は同じでもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。また、各共振回路の受信コイル22-kの巻き数は同じでもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0024】
図2(a)は、受電装置3の共振回路21-1~21-nが有する受信コイル22-1~22-n(この例では、n=3)の配置の一例を示す、受信コイル22-1~22-nの中心軸を通る平面における各受信コイルの概略断面図である。図2(b)は、送電装置2と受電装置3との間で電力伝送可能な場合に送信コイル12側から見た、各受信コイルの配置の一例の概略平面図である。
【0025】
図2(a)に示されるように、本実施形態では、各共振回路の受信コイル22-1~22-3は、互いに対して電磁結合可能なように同一のコア30に巻き付けられる。特に、この実施形態では、受信コイル22-1~22-3は、コア30の磁心30aに対して積層されるように巻き付けられる。図2(a)に示される例では、送信コイル12から遠い方から順に、受信コイル22-3、受信コイル22-2、受信コイル22-1の順に各受信コイルは積層されている。なお、受信コイル22-1~22-3は、どのような順序で積層されていてもよい。これにより、送信コイル12がコア30の受信コイル22-1~22-3が巻き付けられた側と対向するように配置された場合に、何れの受信コイル22-1~22-3も、送信コイル12と電磁結合可能となる。また、受信コイル22-1~22-3は、同一のコア30に対して巻き付けられているので、互いに対する結合度を高くすることができる。そのため、共振回路21-1は、他の共振回路21-2~21-3が送電装置2から受電した電力を高効率で受け取ることができる。
【0026】
図3(a)は、受電装置3の共振回路21-1~21-nが有する受信コイル22-1~22-n(この例では、n=3)の配置の他の一例を示す、受信コイル22-1~22-nの中心軸を通る平面における各受信コイルの概略断面図である。図3(b)は、送電装置2と受電装置3との間で電力伝送可能な場合に送信コイル12側から見た、各受信コイルの配置の他の一例の概略平面図である。
【0027】
図3(a)に示されるように、この例でも、各共振回路の受信コイル22-1~22-3は、同一のコア30に巻き付けられる。ただし、この例では、受信コイル22-1~22-3は、コア30の磁心30aに対して同心円状に巻き付けられる。図3(a)に示される例では、内側から順に、受信コイル22-3、受信コイル22-2、受信コイル22-1の順に各受信コイルは磁心30aに対して巻き付けられている。なお、受信コイル22-1~22-3は、どのような順序で磁心30aに対して巻き付けられていてもよい。この例では、受信コイル22-1~22-3のそれぞれと送信コイル12間の結合度の差をより少なくすることが容易となる。
【0028】
整流平滑回路24は、ブリッジ接続された4個のダイオードを有する全波整流回路241と平滑コンデンサ242とを有し、各共振回路により受電され、共振回路21-1から出力された電力を整流し、かつ、平滑化して、直流電力に変換する。そして整流平滑回路24は、その直流電力を、負荷回路に出力する。
【0029】
電圧検出回路25は、全波整流回路241の両端子間の出力電圧を検出する。全波整流回路241の両端子間の出力電圧は、共振回路21-1の出力電圧と1対1に対応するので、全波整流回路241の両端子間の出力電圧を検出することは、間接的に共振回路21-1からの出力電圧を検出することとなる。電圧検出回路25は、例えば、直流電圧を検出できる公知の様々な電圧検出回路の何れかとすることができる。なお、本実施形態では、電圧検出回路25は、可変容量回路23-1~23-nの各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えるための閾値電圧よりも出力電圧が高いか否かを検出できればよいので、そのような検出を行うことが可能な回路であればよい。
【0030】
制御回路26は、電圧検出回路25による電圧検出結果に応じて、共振回路21-1~21-nの可変容量回路23-1~23-nの静電容量を制御する。
【0031】
上記の特許文献1に記載されているように、送信コイル12に供給される交流電力の周波数が受電装置3の共振回路21-1~21-nの共振周波数に近づくほど、共振回路21-1からの出力電圧は高くなる。また、共振周波数近傍では、NP方式の非接触給電装置は定電流駆動となるため、負荷回路の負荷抵抗に応じて出力電圧が大きく変化する。
【0032】
一方、送信コイル12に供給される交流電力の周波数が受電装置3の共振回路21-1~21-nの共振周波数から離れると、非接触給電装置は定電圧駆動となり、負荷回路の負荷抵抗が変化しても、出力電圧はほぼ一定となる。
【0033】
そこで、例えば、送信コイル12と受電装置3の各共振回路の受信コイル22-1~22-n間の結合度が変化することにより、各共振回路の共振周波数が送信コイル12に供給される交流電力の周波数に近づいて、共振回路21-1の出力電圧が高くなると、制御回路26は、各共振回路の共振周波数を変化させる。これにより、制御回路26は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数と受電側の共振周波数の差を大きくすることで、受電装置3に定電圧駆動を継続させることができる。
【0034】
したがって、制御回路26は、共振回路21-1からの出力電圧が上昇すると、共振回路21-1~21-nの可変容量回路23-1~23-nの何れかの静電容量を低下させるよう、可変容量回路23-1~23-nの静電容量を制御する。本実施形態では、制御回路26は、共振回路21-1からの出力電圧が上昇するほど、着目する共振回路21-kの可変容量回路23-kのスイッチング素子32-k-1、32-k-2のうち、オフにするスイッチング素子の数を増やす。これにより、(1)式に示されるように、受電側の共振周波数が高くなる。その結果として、制御回路26は、送信コイル12に供給される交流電力の周波数と受電側の共振周波数の差を大きくすることができるので、受電装置3の定電圧駆動を維持することができる。また、これにより、各共振回路に流れる循環電流が増大することが抑制され、電力伝送効率の低下が抑制されるとともに、受電装置3において過電圧が生じることが防止される。
【0035】
なお、制御回路26は、共振回路21-1からの出力電圧の上昇に伴って、何れの共振回路の可変容量回路23-kから静電容量を制御してもよい。例えば、制御回路26は、共振回路21-1の可変容量回路23-1について先ず静電容量を制御する。そして、可変容量回路23-1の静電容量がその調整範囲内にて最小となっても(すなわち、スイッチング素子32-1-1、32-1-2の何れもオフとなっても)、共振回路21-1からの出力電圧がさらに上昇する場合には、制御回路26は、共振回路21-2の可変容量回路23-2について静電容量を制御する。そして可変容量回路23-2の静電容量がその調整範囲内にて最小となっても(すなわち、スイッチング素子32-2-1、32-2-2の何れもオフとなっても)、共振回路21-1からの出力電圧がさらに上昇する場合には、制御回路26は、共振回路21-3の可変容量回路23-3について静電容量を制御すればよい。
【0036】
逆に、共振回路21-1からの出力電圧が低下すると、制御回路26は、共振回路21-1~21-nの可変容量回路23-1~23-nの何れかの静電容量を上昇させるよう、その可変容量回路の静電容量を制御すればよい。すなわち、制御回路26は、着目する共振回路21-kの可変容量回路23-kのスイッチング素子32-k-1、32-k-2のうち、オンにするスイッチング素子の数を増やせばよい。また、制御回路26は、共振回路21-1からの出力電圧の低下に伴って、何れの共振回路の可変容量回路から静電容量を制御してもよい。例えば、制御回路26は、出力電圧の上昇時とは逆の順序で、各共振回路の可変容量回路の静電容量を制御すればよい。
また、制御回路26は、複数の共振回路について同時に可変容量回路の静電容量を制御してもよい。例えば、制御回路26は、出力電圧が上限閾値電圧を超える度に、各共振回路について、可変容量回路の何れかのスイッチング素子をオフにしてもよい。逆に、制御回路26は、出力電圧が下限閾値電圧未満となる度に、各共振回路について、可変容量回路の何れかのスイッチング素子をオンにしてもよい。
【0037】
なお、制御回路26は、例えば、上記の特許文献1に記載の受電装置の制御回路と同様の構成とすることができる。あるいは、制御回路26は、各可変容量回路のスイッチング素子ごとに、オン/オフの状態を記憶するメモリと、各可変容量回路のスイッチング素子のオン/オフの切り替えを制御する回路とを有してもよい。そして制御回路26は、電圧検出回路25による出力電圧の測定値が所定の上限閾値電圧を超える度に、メモリを参照して、各可変容量回路のスイッチング素子のうち、オンとなっているスイッチング素子を特定し、オンとなっているスイッチング素子の何れかをオフにするよう制御する。また、制御回路26は、電圧検出回路25による出力電圧の測定値が所定の下限閾値電圧未満となる度に、メモリを参照して、各可変容量回路のスイッチング素子のうち、オフとなっているスイッチング素子を特定し、オフとなっているスイッチング素子の何れかをオンにするよう制御すればよい。なお、上限閾値電圧は、例えば、受電装置3と接続される負荷回路の駆動電圧の上限値とすることができる。また、下限閾値電圧は、例えば、受電装置3と接続される負荷回路の駆動電圧の下限値とすることができる。
【0038】
次に、本実施形態による受電装置3における、複数の共振回路を設けたことによる、共振回路が有する共振コンデンサの端子間電圧の低減について説明する。
RLC直列共振回路の共振コンデンサの端子間電圧Vppは次式で与えられる。
【数2】
ここで、Icsは、共振コンデンサに流れる実効電流値であり、Csは、共振コンデンサの静電容量である。また、fは、共振回路の共振周波数である。(2)式から明らかなように、共振コンデンサの静電容量Csが大きいほど、共振コンデンサの端子間電圧Vppは小さくなる。
【0039】
また、(1)式から明らかなように、共振回路の共振周波数fを一定とする場合、受信コイルのインダクタンスLが小さいほど、共振コンデンサの静電容量Csが大きくなる。
【0040】
また、コイルのインダクタンスLは、コイルの巻き数Nの2乗に比例する。さらに、本実施形態のように、受電装置が複数の共振回路を有し、各共振回路の受信コイル同士が電磁結合する場合、(1)式に関連して説明したように、複数の共振回路のうちの着目する共振回路において、他の共振回路の共振コンデンサは、着目する共振回路の受信コイルに対して、着目する共振回路の共振コンデンサと並列に接続されているのと等価となる。そして、着目する共振回路において、他の共振コンデンサの静電容量は、着目する共振回路の受信コイルの巻き数の2乗と他の共振回路の受信コイルの巻き数の2乗との比、すなわちインダクタンスの比をその静電容量に乗じた値となる。したがって、受電装置が有する共振回路が一つである場合と、その一つの共振回路に含まれる受信コイルを複数の部分コイルに分割し、部分コイルのそれぞれを含む複数の共振回路を設けた場合とを比較すると、共振周波数を一定に保つためには、部分コイルを含む各共振回路の共振コンデンサの静電容量は、元の一つの共振回路の共振コンデンサの静電容量よりも大きくなる。例えば、上記の実施形態のように、受電装置3が3個の共振回路を有し、かつ、各共振回路の受信コイルが同じ巻き数である場合、各共振回路の受信コイルのインダクタンスは、元の一つの共振回路の受信コイルのインダクタンスの1/9となる。したがって、共振回路が一つである場合の出力電圧と同じ出力電圧を得るためには、元の一つの共振回路の共振コンデンサの静電容量に対して、部分コイルを含む各共振回路の共振コンデンサの静電容量は大きくなり、(2)式から、共振コンデンサの端子間電圧Vppが低下することが分かる。
【0041】
以下、比較例である、一つの共振回路を有する受電装置と、本実施形態による受電装置3のそれぞれについて、共振回路の共振コンデンサの両端子間電圧の計算例について説明する。ただし、受電装置3が有する共振回路の数は3個であるとする。
【0042】
比較例について、送信コイル12に印加される交流電力の電圧Vinが270V、その交流電力の周波数fが85kHz、送信コイル12のインダクタンスL1が216μH、コンデンサ13の静電容量が1.7μFであるとする。さらに、受電装置の共振回路の受信コイルのインダクタンスL2が216μH、受信コイルと直列接続される共振コンデンサの静電容量Csが16.5nF、送信コイルと受信コイルの結合度kが0.15、送電装置の送信コイル12とコンデンサ13により構成される共振回路の抵抗値RIが0.12Ω、受電装置の共振回路の抵抗値Roが0.04Ω、負荷回路の抵抗値が6.5Ω、負荷回路へ出力される電圧Voが40Vであるとする。この場合、共振コンデンサの端子間電圧Vppは、(2)式より、1780Vとなる。一方、この比較例の受信コイルを3個に等分割したものが、本実施形態の受電装置3の共振回路21-1~21-3に含まれる受信コイル22-1~22-3であるとする。そして、受電装置3の各共振回路が互いに同じ周波数にて共振し、出力電圧Voが比較例と同じとなるよう、受電装置3の各共振回路の受信コイルのインダクタンスL2を24μHとし、可変容量回路の静電容量を56nFとした。そして、受電装置の各共振回路の受信コイル間の結合度が0.83であるとし、その他のパラメータ値が上記の比較例と同じであるとすると、可変容量回路の端子間電圧Vppは、(2)式より、593.3Vとなる。このように、本実施形態の非接触給電装置によれば、共振回路の可変容量回路の端子間電圧が低減される。
【0043】
以上に説明してきたように、この非接触給電装置の受電装置は、送電装置の送信コイルを流れる電流に対して共振可能な複数の共振回路を有し、各共振回路は、受信コイルと、静電容量を調節可能な可変容量回路とを有する。各共振回路の受信コイルは、それぞれ、互いに電磁結合可能に配置される。そのため、この非接触給電装置は、受電装置が共振回路を一つだけ有する場合と比較して、個々の共振回路の受信コイルのインダクタンスを低下させることができ、そのため、個々の共振回路の可変容量回路の静電容量を大きくして、その可変容量回路の端子間電圧を低下させることができる。また、この非接触給電装置は、複数の共振回路のそれぞれが有する受信コイルが互いに対して電磁結合可能に配置されているので、複数の共振回路の一つから、各共振回路が受電した電力を取り出させる。さらに、受電装置は、出力電圧に応じて、各共振回路の可変容量回路の静電容量を調節することで、送信コイルと各共振回路の受信コイル間の結合度が動的に変化しても、電力伝送効率が低下することを抑制することができる。
【0044】
変形例によれば、受電装置3が有する共振回路21-1~21-nのうち、整流平滑回路24を介して出力電圧が取り出される共振回路21-1では、受信コイル22-1と共振コンデンサとが直列に接続されてもよい。
【0045】
図4は、この変形例による、受電装置の概略構成図である。この変形例による受電装置4は、n個の共振回路21-1~21-n(ただし、nは2以上の整数、図4に示される例では、n=3)と、整流平滑回路24と、電圧検出回路25と、制御回路26とを有する。受電装置4は、図1に示される受電装置3と比較して、整流平滑回路24を介して出力電圧が取り出される共振回路21-1の構成が異なる。そこで以下では、共振回路21-1及びその関連部分について説明する。
【0046】
この変形例では、共振回路21-1は、受信コイル22-1と、受信コイル22-1と整流平滑回路24との間において、受信コイル22-1と直列に接続される共振コンデンサ43とを有する。したがって、受電装置4は、NS方式に従って動作する。ただし、この変形例でも、制御回路26は、上記の実施形態と同様に、電圧検出回路25により検出される、共振回路21-1からの出力電圧の測定値に基づいて、共振回路21-2~21-nの可変容量回路23-2~23-nの静電容量を制御すればよい。したがって、この変形例による受電装置も、共振回路21-2~21-nのそれぞれが有する可変容量回路の端子間電圧を低減させるとともに、送信コイルと各共振回路の受信コイル間の結合度が動的に変化しても、エネルギー伝送効率の低下を抑制できる。
【0047】
また他の変形例によれば、受電装置は、複数の共振回路のそれぞれの受信コイルと電磁結合可能に設けられるロードコイルをさらに有し、そのロードコイルを介して受電した電力が負荷回路へ出力されてもよい。
【0048】
図5は、この変形例による、受電装置の概略構成図である。この変形例による受電装置5は、n個の共振回路21-1~21-n(ただし、nは2以上の整数、図5に示される例では、n=3)と、ロードコイル51と、整流平滑回路24と、電圧検出回路25と、制御回路26とを有する。受電装置5は、図1に示される受電装置3と比較して、ロードコイル51から整流平滑回路24を介して出力電圧が取り出される点で相違する。そこで以下では、ロードコイル51及びその関連部分について説明する。
【0049】
この変形例では、ロードコイル51は、共振回路21-1~21-nのそれぞれの受信コイル22-1~22-nと電磁結合可能に配置される。そしてロードコイル51の両端は、整流平滑回路24と接続される。したがって、共振回路21-1~21-nのそれぞれが送電装置2から受電した電力は、ロードコイル51から整流平滑回路24を介して負荷回路へ出力される。なお、この変形例でも、制御回路26は、上記の実施形態と同様に、電圧検出回路25により検出される、ロードコイル51からの出力電圧の測定値に基づいて、共振回路21-1~21-nの可変容量回路23-1~23-nの静電容量を制御すればよい。したがって、この変形例による受電装置も、各共振回路が有する可変容量回路の端子間電圧を低減させるとともに、送信コイルと各共振回路の受信コイル間の結合度が動的に変化しても、エネルギー伝送効率の低下を抑制できる。
【0050】
なお、この変形例において、ロードコイル51は、共振回路21-1~21-nのそれぞれの受信コイル22-1~22-nと同じコアに巻き付けられてもよい。例えば、図2(a)及び図3(a)に示されるコア30の磁心30aに、各共振回路の受信コイルとともに、ロードコイル51も巻き付けられてもよい。その際、各共振回路の受信コイルは、磁心に対して同心円状に巻き付けられ、一方、ロードコイル51は、送電装置2と受電装置5とが電力伝送可能に配置される場合に、各共振回路の受信コイルに対して送信コイルの反対側に位置するように、磁心30aに対して巻き付けられてもよい。すなわち、図3(a)において、ロードコイル51は、各受信コイルよりも送信コイルから遠い位置である、各受信コイルよりも上側において磁心30aに対して巻き付けられてもよい。これにより、各受信コイルと送信コイル間の結合度がロードコイル51により低下することが防止される。
【0051】
さらに、上記の実施形態または変形例において、受電装置は、可変容量回路を有さない共振回路(以下、説明の便宜上、固定共振回路と呼ぶ)を一つ以上有していてもよい。固定共振回路は、受信コイルと、受信コイルと接続され、受信コイルとともに送信コイルに流れる電流に対して共振する共振コンデンサとを有する。そして固定共振回路の受信コイルも、他の共振回路の受信コイルと電磁結合可能に配置されればよい。例えば、固定共振回路の受信コイルも、他の共振回路の受信コイルと同じコアに巻き付けられてもよい。
【0052】
これにより、受電装置が有する共振回路の数が増えるので、個々の共振回路の受信コイルのインダクタンスをさらに小さくすることができ、そのため、受電装置は、可変容量回路または共振コンデンサの端子間電圧をさらに低減できる。また、この変形例では、固定共振回路の受信コイルのインダクタンスは、可変容量回路を有する他の共振回路の受信コイルのインダクタンスよりも大きくてもよい。これにより、受電装置は、可変容量回路の端子間電圧を固定共振回路の共振コンデンサの端子間電圧よりも低くすることができるので、可変容量回路のスイッチング素子に要求される耐圧をより低下させることができる。
【0053】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 非接触給電装置
2 送電装置
11 電力供給回路
12 送信コイル
13 コンデンサ
3~5 受電装置
21-1~21-n 共振回路
22-1~22-n 受信コイル
23-1~23-n 可変容量回路
31-1-1~31-n-1、31-1-2~31-n-2 共振コンデンサ
32-1-1~32-n-1、32-1-2~32-n-2 スイッチング素子
24 整流平滑回路
25 電圧検出回路
26 制御回路
30 コア
43 共振コンデンサ
51 ロードコイル
図1
図2
図3
図4
図5