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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】横型穀類脱皮装置
(51)【国際特許分類】
   B02B 3/06 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B02B3/06 104
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019202976
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021074666
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】笠田 正明
(72)【発明者】
【氏名】小林 正和
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-057123(JP,A)
【文献】特開2015-112550(JP,A)
【文献】特開昭56-160957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横型穀類脱皮装置であって、
砥石ロールと、該砥石ロールを囲み、砥石ロールとの間に精穀室を形成する筒状のスクリーンと、前記スクリーンが固定されたスクリーンフレームとを備え、
前記スクリーンフレームの軸心の位置を前記砥石ロールの軸心に対して調節可能として、前記スクリーンと砥石ロールの外周面との間隙の幅を調整可能としてある
ことを特徴とする横型穀類脱皮装置。
【請求項2】
前記スクリーンフレームの軸心の位置を、軸方向に直交する断面において、左右へ調節可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の横型穀類脱皮装置。
【請求項3】
前記スクリーンフレームの軸心の位置を、軸方向に直交する断面において、上下へ調節可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の横型穀類脱皮装置。
【請求項4】
前記スクリーンの上部と砥石ロールの外周面との間隔より、前記スクリーンの下部と砥石ロールの外周面との間隔が広くなるよう、前記スクリーンフレームの軸心の位置を調節してあることを特徴とする請求項3に記載の横型穀類脱皮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆類、米、トウモロコシなどの穀類の表皮を除去する横型穀類脱皮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀類の表皮を除去する装置として、円筒形のスクリーンの内側に精穀室を形成し、精穀室内に回転する砥石ロールを設け、精穀室の軸方向一端側に穀類の供給口を形成し、軸方向他端側に、開閉可能な蓋を有する穀類の排出口を形成し、供給口が上になり、排出口が下になるよう傾斜して設置された傾斜型の穀類脱皮装置が知られている(特許文献1参照)。
このような傾斜型の穀類脱皮装置では、排出口を閉じた状態で、供給口から供給された穀類が重力により精穀室を通過して排出口に達し、精穀室を通過する間に砥石ロールの回転によって攪拌されながら研削され、表皮が除去される。
【0003】
しかし、傾斜型の穀類脱皮装置は、精穀室に供給された穀類が排出口側に溜まり、砥石ロールの排出口側の部分のみが研削を行うため、脱皮効率が悪く、砥石ロールが局部的に早く磨耗しやすい。
さらに、精穀室の排出口付近に多量の穀類が充満するので、圧力が高まって穀類が砕かれ、細粒が増加する。
【0004】
また、特許文献2には、円筒状のスクリーン及び研削ロールをほぼ水平に設置した横形研削式精穀機が開示されている。
この横形研削式精穀機は、スクリーンが周方向に分割し、分割された各スクリーンを研削ロールの軸芯から偏心させて、研削ロールの回転方向上手側における研削ロールが異種面との間隔を大にし、下手側に至るにしたがって順次その間隔を小にしてあり、間隔が小さく穀類の密度が高い滞留部分で脱皮した後、間隔が広がった部分に達した穀類を旋回させながら研削ロールの全面で研削する。このため、研削ロールを水平に設置したことと相俟って、研削ロールの局部的な磨耗を抑制することができ、砕粒も少なくて済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭56-160957号公報
【文献】特開平9-57123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2に記載の横形研削式精穀機は、分割された各スクリーンの両側の締合部に多数の長穴が形成され、これら長穴にそれぞれ通した固定ボルトによってフラップ台に固定されているので、穀類の粒径等の条件に応じて研削ロールと各スクリーンの間隔を調節する際に、両側の固定ボルトを緩めてスクリーンを移動させるので、両側及び軸方向の移動量を均等にしないとスクリーンの湾曲形状が変形してしまうおそれがあった。また、その作業では、全ての固定ボルトを締めなおさなければならず、調整作業が非常に面倒であった。
本発明が解決しようとする課題は、研削効率がよく、砕粒が発生しにくく、砥石ロールの局部的な磨耗を抑制でき、しかも、砥石ロールの外周面とスクリーンの間隙を簡単に調整できる横型穀類脱皮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、横型穀類脱皮装置であって、砥石ロールと、該砥石ロールを囲み、砥石ロールとの間に精穀室を形成する筒状のスクリーンと、前記スクリーンが固定されたスクリーンフレームとを備え、前記スクリーンフレームの軸心の位置を前記砥石ロールの軸心に対して調節可能として、前記スクリーンと砥石ロールの外周面との間隙の幅を調整可能としてあることを特徴とする横型穀類脱皮装置である。
請求項2に係る発明は、前記スクリーンフレームの軸心の位置を、軸方向に直交する断面において、左右へ調節可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の横型穀類脱皮装置である。
請求項3に係る発明は、前記スクリーンフレームの軸心の位置を、軸方向に直交する断面において、上下へ調節可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の横型穀類脱皮装置である。
請求項4に係る発明は、前記スクリーンの上部と砥石ロールの外周面との間隔より、前記スクリーンの下部と砥石ロールの外周面との間隔が広くなるよう、前記スクリーンフレームの軸心の位置を調節してあることを特徴とする請求項3に記載の横型穀類脱皮装置である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
手段1は、横型穀類脱皮装置であって、砥石ロールと、該砥石ロールを囲み、砥石ロールとの間に精穀室を形成する筒状のスクリーンと、前記スクリーンが固定されたスクリーンフレームとを備え、前記スクリーンフレームの軸心の位置を前記砥石ロールの軸心に対して調節可能として、前記スクリーンと砥石ロールの外周面との間隙の幅を調整可能としてあることを特徴とする横型穀類脱皮装置ある。
【0008】
手段2は、前記スクリーンフレームの軸心の位置を、軸方向に直交する断面において、左右へ調節可能としてあることを特徴とする手段1に記載の横型穀類脱皮装置である。
【0009】
手段3は、前記スクリーンフレームの軸心の位置を、軸方向に直交する断面において、上下へ調節可能としてあることを特徴とする手段1に記載の横型穀類脱皮装置である。
【0010】
手段4は、前記スクリーンの上部と砥石ロールの外周面との間隔より、前記スクリーンの下部と砥石ロールの外周面との間隔が広くなるよう、前記スクリーンフレームの軸心の位置を調節してあることを特徴とする手段3に記載の横型穀類脱皮装置である。
【0011】
手段5は、少なくとも前記スクリーンと前記砥石ロールの外周面との間隙が狭い部分に、前記スクリーンから精穀室に向かって突出する抵抗フラップが設けられていることを特徴とする手段1乃至手段4のうちいずれかに記載の横型穀類脱皮装置である。
【0012】
手段6は、少なくとも前記砥石ロールの回転方向において穀類が落下流となる部分に、前記スクリーンから精穀室に向かって突出する抵抗フラップが設けられていることを特徴とする手段1乃至手段5のうちいずれかに記載の横型穀類脱皮装置である。
【0013】
手段7は、前記抵抗フラップの突出量を、前記砥石ロール及びスクリーンが収容された機体の外側から調整可能であることを特徴とする手段6に記載の横型穀類脱皮装置である。
【0014】
手段8は、精品排出口に蓋を回動自在に軸着し、前記スクリーンの内周面に、前記精品排出口に向かって穀類を案内する螺旋状のガイドプレートを設けたことを特徴とする手段1乃至手段7のうちいずれかに記載の横型穀類脱皮装置である。

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軸方向に直交する断面において、精穀室の一部を狭くすることができるので、この狭い部分に穀類を滞留させて砥石ロールによる確実な脱皮を行い、穀類が滞留部分を通過した後は砥石ロールの回転で旋回させながら、砥石ロール全面で研削するため、研削効率がよく、圧力の高まりすぎを防いで砕粒を減少させることができ、砥石ロールが局部的に磨耗するのを防ぐ。
また、スクリーンフレームを移動するだけで、スクリーン全体が砥石ロールに対して偏心するため、スクリーンの湾曲形状が変形することなく、その形状を保ったままスクリーンと砥石フレームの外周面との間隙を、煩雑な作業を行うことなく簡単に調整することができる。
さらに、穀類の粒径、穀類の種類等に応じてスクリーンと砥石ロールの外周面との間隙を調整できるので、汎用性が高い。
【0016】
加えて、スクリーンフレームを左右に位置調節可能とすれば、砥石ロールの回転方向において穀類が落下流となる部分を狭くして精穀室に滞留しやすくし、研削ムラを少なくすることができる。
【0017】
加えて、スクリーンフレームを上下に位置調節可能とすれば、穀類が滞留しづらい精穀室の上部を狭くすることができ、圧力がかかるため上部においても脱皮が効率的に行われる。また、精穀室の上部と下部の圧力差が小さくなり、この結果、研削ムラが少なくなり、落下した大量の穀類が下部に詰まって精品排出口方向へのスムーズな送りを妨げるおそれもなくなり、高圧によって砕粒が発生するのも防止できる。
【0018】
加えて、精穀室の狭い部分に抵抗フラップを突出させれば、狭い部分を通過する穀類を抵抗フラップが遮って、抵抗フラップより砥石ロールの回転方向上流側に穀類が滞留する時間を長くするので、研削効率がさらに向上する。
【0019】
加えて、砥石ロールの回転方向において穀類が落下流となる部分に抵抗フラップを設けることで、穀類の回転搬送における落下流となる精穀室の部分に滞留もしやすくなり、効率的な脱皮が可能となる。
【0020】
加えて、抵抗フラップの突出量を機体の外側から調整可能とすることにより、稼動中であっても、穀類の粒径等に応じて抵抗フラップの突出量を調整できる。
【0021】
加えて、精穀室の落下流が発生する部分や穀類が滞留しづらい上部を狭くして、均等に圧力がかかるため、精品排出口の蓋のおもりによる排出部付近の負荷は必要がなくなる。そのため、蓋が穀類を移送する力によって比較的簡単に開き、精穀室内の穀類に局部的に高い圧力も加わらないので、砕粒も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の斜視図。
図2】本発明の第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の側面図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る機体の側部カバーを外した状態の斜視図。
図4】本発明の第1の実施形態に係るスクリーン及びスクリーンフレームの要部分解斜視図。
図5】本発明の第1の実施形態に係るスクリーン、スクリーンフレーム及び抵抗フラップの要部分解斜視図。
図6】本発明の第1の実施形態に係るスクリーン、スクリーンフレーム及び抵抗フラップの分解斜視図。
図7】本発明の第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の一部を破断した斜視図。
図8】本発明の第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置のスクリーンと砥石ロールが同心状に設置された状態の要部断面図。
図9】本発明の第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置のスクリーンと砥石ロールが偏心した状態の要部断面図。
図10】本発明の第2の実施形態を示す横型穀類脱皮装置のスクリーンと砥石ロールが同心状に設置された状態の要部断面図。
図11】本発明の第2の実施形態を示す横型穀類脱皮装置のスクリーンと砥石ロールが偏心した状態の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0024】
〔第1の実施形態〕
図1乃至図9は、本発明の第1の実施形態を示す。
図1は第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の斜視図であり、図2は第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の側面図であり、図3は第1の実施形態に係る機体の斜視図であり、図4は第1の実施形態に係るスクリーン及びスクリーンフレームの要部斜視図であり、図5及び図6はスクリーン、スクリーンフレーム及び抵抗フラップの分解斜視図であり、図7は第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の一部を破断した斜視図であり、図8及び図9は第1の実施形態を示す横型穀類脱皮装置の要部断面図である。
なお、以下の説明において、断面とは、軸方向(前後方向)に直交する断面であり、上下左右は、この断面における方向をいう。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態において、横型穀類脱皮装置1は、機体2と、機体2の内部に回転可能に横架された砥石ロール18(図8図9参照)と、砥石ロール18を囲み、砥石ロール18との間に精穀室19を形成する円筒状のスクリーン10(図8図9参照)と、スクリーン10が固定されたスクリーンフレーム11(図7参照)とを備え、砥石ロール18及びスクリーン10は機体2にほぼ水平に取り付けられている。
【0026】
機体2は横長の箱状であり、側部カバー2aが開放できるようになっている。機体2の軸方向一端(後端)側には、図示しないモータ等を収容する駆動室2bが設置されている。
また、機体2の後端部の上面には穀類供給ホッパ3が設けられ、穀類供給ホッパ3から供給された穀類が精穀室19内に搬送されるようになっている。
【0027】
機体2の軸方向他端(前端)面には、精品排出口4が設けられる。精品排出口4には、回動自在に軸着された蓋5が設けられており、蓋5で閉鎖された精品排出口4は精穀室19の前端部から機体2の外部に延びている。
蓋5にはおもりとなる分銅を取り付けておらず、蓋5に軽く圧力が加わると開いて精品排出口4が開放されるようになっている。
【0028】
図3に示すように、機体2の後端面には、機体2の内部の穀類が移動する部分と駆動室2bとを区画する隔壁7aが設けられる。
機体2の内部の穀類が移動する部分の後端寄り、中間部及び前端部には、それぞれ軸方向に直交する支持プレート7b,7c,7dが立設される。隔壁7a及び支持プレート7b,7c,7dの中央部には貫通孔8が形成されている。
【0029】
砥石ロール18は、機体2の内部に回転可能に固定されている。砥石ロール18には、穀類供給ホッパ3の直下に臨んで図示しない螺旋ロールが同軸状に連結されている。螺旋ロールは、隔壁7aに形成された貫通孔8を通して駆動室2b内のモータと連結されて回転可能に固定されている。そして、モータの駆動により螺旋ロール及び砥石ロール18が図8及び図9に示すように時計回りに回転する。
【0030】
図4乃至図6に示すように、スクリーン10は、多孔の金属板で形成され、円弧を水平方向の直径に沿って2分割したような略半円弧形状の断面を有し、上部のスクリーン10と下部のスクリーン10を組み合わせて略円筒形状に形成してある。
また、スクリーン10の左右両側部には張出し片10aが形成され、スクリーン10の内周面には、穀類供給ホッパ3から精穀室19に投入された穀類を精品排出口4に向かって送る螺旋状のガイドプレート12が設けられる。ガイドプレート12は、スクリーン10の外周からボルトによって取り付けられている。
【0031】
スクリーンフレーム11は、上部のスクリーン10及び下部のスクリーン10の前後端部及びその中間部に取り付けられる略半円形状の内枠11aと、軸方向に延びて各内枠11aの左右端部及びその中間部を連結する連結枠11bと、前後端部の内枠11aに固定された略円環状の外枠11cとを備える。
外枠11cの内径はスクリーン10の内径とほぼ同じであり、外径は内枠11aの外径より大きく形成されている。
【0032】
また、左右端部に設けた連結枠11bとスクリーン10の張出し片10aとをボルト等で止めつけることにより、スクリーンフレーム11がスクリーン10に固定され、上部のスクリーン10及びスクリーンフレーム11と下部のスクリーン10及びスクリーンフレーム11とは、連結枠11b及び張出し片10aを介して連結されている。このようにして、スクリーン10はスクリーンフレーム11により略円筒形状、すなわち湾曲形状を保ったまま固定される。なお、上部のスクリーン10及びスクリーンフレーム11と下部のスクリーン10及びスクリーンフレーム11の右側部間には、後述する抵抗フラップ14を支持するフラップフレーム13が介在されている。
【0033】
本実施形態では、略円筒形状に組み立てられた2組のスクリーン10及びスクリーンフレーム11が同軸上に連続して設置されている。連続するスクリーンフレーム11の対向する外枠11cには、左右両側にそれぞれ取っ手16が設けられる。
【0034】
図7に示すように、同軸上に設置される2組のスクリーン10及びスクリーンフレーム11は、機体2の軸方向中間部に立設された支持プレート7cを挟んで配置され、機体2の支持プレート7b,7c,7dには、スクリーンフレーム11の外枠11cがそれぞれ配置される。
そして、スクリーンフレーム11の外枠11cと支持プレート7b,7c,7dとは、左右両側の上下部において、外枠11c及び支持プレート7b,7c,7dの内のいずれか一方に形成された左右方向に長い長孔9と、長孔9に摺動自在に挿通されて他方を貫通するボルト17を介して固定されている。本実施形態では、長孔9は、支持プレート7b、7dに取り付けられる外枠11cと支持プレート7cとに設けられている。
【0035】
そして、ボルト17を緩め長孔9に沿って左右方向に外枠11cを支持プレート7b、7c、7dに対して移動させることで、スクリーンフレーム11ごとスクリーン10をその略円筒形状、すなわち湾曲形状を保ったまま移動させることができる。このようにすることで、スクリーンの湾曲形状を変形させることなく、スクリーン10の軸心の位置を、砥石ロール18の軸心に対して左右方向に調節することができ、スクリーン10と砥石ロール18の外周面との間隙の幅を調整可能となっている。スクリーン10の移動可能な幅は左右にそれぞれ5mm程度としている。
なお、ボルト17を緩めた状態で、外枠11cに設けた取っ手16を引っ張ることにより、簡単にスクリーンフレーム11及びスクリーン10を左右に移動させることができる。
【0036】
具体的には、図8に示すように、ボルト17が長孔9の中央部に挿通されているときは、砥石ロール18とスクリーン10が中心軸を共有して配置されているが、図9に示すように、スクリーンフレーム11を左へ移動させてボルト17が長孔9の右端に挿通された状態にすれば、スクリーン10と砥石ロール18の外周面との間隔(精穀室19の幅)が、右側で狭く、左側で広くなる。
砥石ロール18が時計回りをする場合に、このように精穀室19の右側を狭くすると、穀類の回転搬送における落下流となる精穀室19の狭い部分に滞留しやすくなり、効率的な脱皮が可能となる。
【0037】
さらに、本実施形態では、スクリーン10と砥石ロール18の外周面との間隔が狭くなる右側において、上部のスクリーン10と下部のスクリーン10との間に、精穀室19に向かって突出する抵抗フラップ14が、軸方向に沿って設置される。
抵抗フラップ14は、精穀室19内の穀類を砕かないよう、ゴム等の比較的柔らかい素材より成り、その径方向外側面の複数個所には操作ボルト15が取り付けられている。操作ボルト15は側部カバー2aを貫通して機体2の外部に露出し、その先端にはハンドル6が設けられる。
【0038】
操作ボルト15は、上部のスクリーン10及びスクリーンフレーム11と下部のスクリーン10及びスクリーンフレーム11の右側部間に挟まれたフラップフレーム13に螺合され、ハンドル6を回転操作することにより、抵抗フラップ14の精穀室19における突出量を調整できるようになっている。
また、フラップフレーム13はスクリーン10及びスクリーンフレーム11に固定されているので、スクリーンフレーム11を左右に移動させると、抵抗フラップ14も移動する。この抵抗フラップ14により、更に脱皮を効率的に行うことが可能となる。
【0039】
横型穀類脱皮装置1を用いて穀類の脱皮を行うには、スクリーン10を左側へ移動させて、スクリーン10と砥石ロール18の外周面との間隙を右側で狭く、左側で広くした状態で、砥石ロール18を時計回りに回転させ、穀類供給ホッパ3を通して原料となる穀類を精穀室19へ供給する。なお、スクリーン10の移動量及び抵抗フラップ14の突出量は、穀類の粒形やサイズ、表皮の硬さ等に応じて調整する。
【0040】
精穀室19へ投入された穀類は、砥石ロール18の回転により左側下方へ落下するが、精穀室19の右側部は狭くなっており、しかも抵抗フラップ14が突出しているので、抵抗フラップ14の上方に滞留し、砥石ロール18によって確実に研削される。
抵抗フラップ14を通過した穀類は砥石ロール18の回転によって旋回しながら砥石ロール18の全面で研削され、スクリーン10のガイドプレート12で精品排出口4に向かって移送される。
【0041】
研削されながら移送される穀類は精品排出口4に達するまでに精穀され、蓋5を押し開けて精品排出口4から排出される。スクリーン10と砥石ロール18が水平に設けられており、全断面を通して精穀室19の落下流が発生する右側部が狭くなっており均等に圧力がかかるので、精品排出口4の蓋5のおもりによる排出部付近の負荷は必要なくなる。そのため、おもりが取り付けられていない蓋5は穀類を移送する力によって比較的簡単に開き、精穀室19内の穀類に局部的に高い圧力が加わらないので、砕粒も発生しにくい。
除去された表皮はスクリーン10に形成された孔を通して精穀室19の外部に排出され、機体2の底部から排出される。
【0042】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明の第2の実施形態について、図10及び図11と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0043】
第2の実施形態では、スクリーンフレーム11の外枠11c及び支持プレート7b,7c,7dのいずれか一方に上下方向に沿って長孔9を形成し(図示の例では支持プレート7bに取り付けられる外枠11cに長孔9を形成し)、スクリーンフレーム11及びスクリーン10を上下に位置調整可能としてある。
【0044】
図10に示すように、長孔9の中央部にボルト17を挿通させ、スクリーン10の軸心と砥石ロール18の軸心とを一致させた状態から、図11に示すように、スクリーンフレーム11及びスクリーン10を下方に移動して、長孔9の上端部にボルト17を挿通させると、スクリーン10の上部と砥石ロール18の外周面との間隔より、スクリーン10の下部と砥石ロール18の外周面との間隔を広くなる。
このようにすれば、穀類が滞留しづらい精穀室19の上部を狭くし、圧力がかかるため上部においても脱皮が効率的に行われる。また、精穀室19の上部と下部の圧力差が小さくなり、この結果、研削ムラが少なくなり、落下した大量の穀類が下部に詰まったり、高圧によって砕粒が発生するのを防止できる。
【0045】
本実施形態では、砥石ロール18の時計回りの回転における砥石ロール18が時計回りをする場合に、抵抗フラップ14を精穀室19の右側に設け、穀類の回転搬送における落下流となる精穀室19の部分に滞留もしやすくなり、効率的な脱皮が可能となる。
【0046】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0047】
本実施形態では、2個のスクリーンを軸方向に連続してあるが、もちろん1個のスクリーンだけでも良い。
【0048】
本実施形態では、中間部の支持プレート7cに設けられるスクリーンフレーム11の外枠11cに取っ手16を設けたが、これに限らずすべての外枠11cに取っ手を設けるようにしても良い。
【0049】
本実施形態では、砥石ロールが時計回りに回転するので、精穀室の右側を狭くしてあるが、砥石ロールが反時計回りに回転する場合は、精穀室の左側を狭くすると良い。
【0050】
本実施形態では、スクリーンの水平方向の直径の右側端部に抵抗フラップを設けてあるが、左側端部をはじめ他の側(例えば、上側部、下側部)にも別の抵抗フラップを設置しても良い。
【0051】
本実施形態では、スクリーンを水平方向の直径に沿って2分割してあるが、斜め方向の直径に沿って分割し、分割された部分スクリーンの接合部において、スクリーンと砥石ロールの外周面との間隔が狭くなる部分の上部寄りあるいは下部寄りに抵抗フラップを設けることができる。
【0052】
本実施形態では、スクリーンを2分割してあるが、分割しないものや3個以上に分割しても良く、また、分割された部分スクリーンの接合部分にそれぞれ抵抗フラップを設けても良い。
【0053】
本実施形態では、スクリーン左右両側部に形成した張り出し片と、スクリーンフレームの連結枠が固定されているが、これに加えて、スクリーンの軸方向両端縁又は中央部に沿ってフランジなどを設けて、このフランジとスクリーンフレームの内枠をボルト等で固定すれば、さらに強固に固定することができ、スクリーンの湾曲形状の変形に対しても強度が増すようにしても良い。
【0054】
本実施形態では、精品排出口の蓋におもりを設けないものであったが、必要に応じて負荷をかけるためにおもりなどを設けるようにしても良い。
【0055】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 横型穀類脱皮装置
2 機体
2a 側部カバー
2b 駆動室
3 穀類供給ホッパ
4 精品排出口
5 蓋
6 ハンドル
7a 隔壁
7b,7c,7d 支持プレート
8 貫通孔
9 長孔
10 スクリーン
10a 張出し片
11 スクリーンフレーム
11a 内枠
11b 連結枠
11c 外枠
12 ガイドプレート
13 フラップフレーム
14 抵抗フラップ
15 操作ボルト
16 取っ手
17 ボルト
18 砥石ロール
19 精穀室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11