(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240220BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65D5/54 301H
B65D5/52 J
(21)【出願番号】P 2019206678
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3197408(JP,U)
【文献】特開2019-018871(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200716(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右の側板を有する筒状の胴部と、
前記胴部の上側開口部を閉塞する頂板と、
前記胴部の下側開口部を閉塞する底板と、を備え、
前側の前記側板には、開封時の起点部となる破断開始部と、前記破断開始部に接続された破断誘導線と、によって開封される開封部が備わり、
前記頂板は、前側の前記側板の上縁部に連設されており、前記胴部の左右の上縁部及び後部の上縁部に設けられた上部破断誘導線に沿って前記開封部を前記胴部から切り離す際に前記開封部とともに前記胴部から切り離し可能であり、
前記頂板は、前側の前記側板の上縁部に連設された前側の上側外フラップを備えており、
前記頂板の後部側の左右それぞれの角部には、前記頂板の左右それぞれの縁部から前記頂板の後縁部に亘るように前記頂板の開封時に谷折りされる折曲誘導線が斜めに延在して
おり、
前側の前記側板には、前記破断開始部の中央部を上下方向に直交する線を基準線として、前記基準線の両側に線対称に左右一対の破断サポート罫線が形成されており、
左右一対の前記破断サポート罫線の下端部は、前記破断誘導線にそれぞれ接続しており、
左右一対の前記破断サポート罫線の上端部は、前記上側外フラップの後縁部までそれぞれ延びていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記頂板は、前記胴部の左右それぞれの側板の上縁部に前記上部破断誘導線を介して連設された左右の側フラップと、前記胴部の後ろの側板の上縁部に前記上部破断誘導線を介して連設され、前記左右の側フラップに重ねられる後部側フラップと、から構成されており、
前記折曲誘導線は、前記左右の側フラップと前記後部側フラップとの一方、または両方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記折曲誘導線は、前記左右の側フラップと前記後部側フラップとの両方に形成されており、上下方向に重なっていることを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製の包装箱としては、頂板と頂板に連設された外フラップとを持ち上げて開封できるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この包装箱は、頂板の前後方向に第1補助罫線が形成され、頂板の後部側の左右角部に第2補助罫線が形成されている。この包装箱では、開封時に頂板を引き上げると、第1補助罫線が山折りされるとともに第2補助罫線が谷折りされ、これらが逆向きに折り曲げられることで、頂板を持ち上げる力が内フラップに適切に伝達される。
この包装箱では、頂板と外フラップとを後側板とともに後方へ回動させて開封することができる。
【0003】
一方、筒状の胴部と、頂板および底板と、を備えた包装箱において、胴部の一部に設けられた開封部を開封する際に、頂板全体を切り離すことで開口部を大きく形成し、そのまま商品を陳列できるようにした包装箱の開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の包装箱において、頂板を切り離す際には、開封部とともに頂板の左右縁部を胴部の左右上縁部から切り離す操作、及び頂板の後縁部を胴部の後上縁部から切り離すという2つの操作が順次必要である。これらの2つの操作は、頂板を胴部から切り離す際の方向が90度異なるものでるため、頂板の後縁部を胴部の後上縁部から切り離す際に、破断が胴部の後側上縁部から逸れたり、破断が停止したりするおそれがあった。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、包装箱であって、前後左右の側板を有する筒状の胴部と、前記胴部の上側開口部を閉塞する頂板と、前記胴部の下側開口部を閉塞する底板と、を備えている。前側の前記側板には、開封時の起点部となる破断開始部と、前記破断開始部に接続された破断誘導線と、によって開封される開封部が備わる。前記頂板は、前側の前記側板の上縁部に連設されており、前記胴部の左右の上縁部及び後部の上縁部に設けられた上部破断誘導線に沿って前記開封部を前記胴部から切り離す際に前記開封部とともに前記胴部から切り離し可能である。前記頂板は、前側の前記側板の上縁部に連設された前側の上側外フラップを備えている。前記頂板の後部側の左右それぞれの角部には、前記頂板の左右それぞれの縁部から前記頂板の後縁部に亘るように前記頂板の開封時に谷折りされる折曲誘導線が斜めに延在している。前側の前記側板には、前記破断開始部の中央部を上下方向に直交する線を基準線として、前記基準線の両側に線対称に左右一対の破断サポート罫線が形成されている。左右一対の前記破断サポート罫線の下端部は、前記破断誘導線にそれぞれ接続している。左右一対の前記破断サポート罫線の上端部は、前記上側外フラップの後縁部までそれぞれ延びている。
【0008】
本発明の包装箱では、破断開始部を起点として開封部を手指で引き上げることで、破断誘導線に沿って開封部が胴部から切り離され、開封部に連続して胴部の左右の上縁部から頂板が切り離される。その後、頂板の後部側の左右それぞれの角部を手指で掴み、折曲誘導線を利用して頂板の左右それぞれの角部を折り曲げる。これによって、頂板の後部側の左右それぞれの角部において、左右それぞれの縁部から後縁部に向けて破断がスムーズに進行する。したがって、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱が得られる。
【0009】
また、前記頂板は、前記胴部の左右それぞれの側板の上縁部に前記上部破断誘導線を介して連設された左右の側フラップと、前記胴部の後ろの側板の上縁部に前記上部破断誘導線を介して連設され、前記左右の側フラップに重ねられる後部側フラップと、から構成されていることが好ましい。この場合には、前記折曲誘導線が、前記左右の側フラップと前記後部側フラップとの一方、または両方に形成されていることが好ましい。
このように構成することによって、左右の側フラップと後部側フラップとの一方、または両方を折曲誘導線に沿ってスムーズに折り曲げることができ、上部破断誘導線に破断のきっかけとなる切込みを容易に形成することができる。したがって、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱が得られる。
【0010】
また、前記折曲誘導線は、前記左右の側フラップと前記後部側フラップとの両方に形成されている場合には、上下方向に重なっていることが好ましい。このように構成することによって、左右の側フラップと後部側フラップとの両方を重ねて折り曲げることができ、上部破断誘導線に破断のきっかけとなる切込みを容易に形成することができる。したがって、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装箱は、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の開封前を前方左上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱の後部側の右角部を示した拡大斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る包装箱の開封時の様子を示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱の後部側の左右角部を折曲誘導線に沿って持ち上げた状態を示した斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱の開封後を前方左上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右上下方向は、各実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。
【0014】
本実施形態の包装箱1は、
図1に示すように、角筒状の胴部10と、胴部10の上縁部に連設された頂板20と、胴部10の下縁部に連設された底板30と、を備えている。本実施形態の包装箱1は、A式の段ボール箱である。包装箱1には、後記するように、前側の側板11には内容物の取出口を開封するための開封部40が形成されている。
【0015】
包装箱1は、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。以下の説明において、側板11~14を区別する場合には、それぞれ前側板11、後側板12、左側板13、右側板14と称する。
【0016】
胴部10は、
図1に示すように、前後一対の側板11,12と、左右一対の側板13,14と、を有している。前側板11,後側板12及び左側板13,右側板14は、それぞれ四角形の側板である。
前側板11の左縁部には、罫線を介して左側板13が連設されている。また、前側板11の右縁部には、罫線を介して右側板14が連設されている。また、右側板14の後縁部には、罫線を介して後側板12が連設されている。また、後側板12の左縁部には、罫線を介して帯状の接合片15が連設されている。接合片15は、左側板13の内面にホットメルト等の接着手段によって接合されている。
【0017】
そして、ブランクシートS(
図2参照)を各罫線で折り曲げると、前側板11,後側板12、左側板13,右側板14によって、四角形の角筒状の胴部10が形成される。
【0018】
前側板11には、破断誘導線として機能する前側破断誘導線L10が形成されている。前側破断誘導線L10は、傾斜状破断誘導線L11と破断開始部16とを有している。傾斜状破断誘導線L11は、前側板11の左右方向の中央下部に向けて凹む略ロート状を呈している。傾斜状破断誘導線L11は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。傾斜状破断誘導線L11の切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
【0019】
破断開始部16は、開封時の起点部となる部分である。本実施形態では、前側板11の下部において、左右方向の中央部に位置している。破断開始部16は、逆台形状を呈しており、傾斜状破断誘導線L11に連続して形成されている。破断開始部16の下端部は、前側板11の下縁部を越えて底板30の前端部に至る。包装箱1の開封時には、破断開始部16を下側から持ち上げるように破断することで、手指を挿入可能な開封開始穴を開口させる。
【0020】
傾斜状破断誘導線L11は、前側板11の左縁部及び右縁部の上下方向の略中央部から前側板11の左右方向の中央下部に向けてそれぞれ直線状に延在する誘導線である。
【0021】
前側板11には、前側破断誘導線L10、前側板11の上縁部及び前側板11の左右縁部によって区画された領域によって開封部40が形成されている。
【0022】
前側板11には、左右一対の破断サポート罫線L30,L30が形成されている。破断サポート罫線L30,L30は、ブランクシートSの内面に形成されている。具体的に、破断サポート罫線L30,L30は、内面を押し込んで形成した線状の溝(押罫)である。したがって、包装箱1の外面に破断サポート罫線L30,L30が表れないようになっている。
【0023】
破断サポート罫線L30,L30は、
図2に示すように、破断開始部16の中央部を上下方向に直交する線を基準線X1として、基準線X1の両側に線対称に形成されている。2つの破断サポート罫線L30,L30は、底板30に頂点(不図示)を有する、滑らかな放物線状を呈している。なお、破断サポート罫線L30,L30は、双曲線状や直線状を呈するものであってもよい。
【0024】
破断サポート罫線L30の下端部は、
図1,
図2に示すように、破断開始部16の側方において、前側破断誘導線L10の傾斜状破断誘導線L11に接続している。そして、各破断サポート罫線L30の上端部は、前側の上側外フラップ21の後縁部まで延びている。つまり、各破断サポート罫線L30は、前側板11の傾斜状破断誘導線L11から上側外フラップ21の全体に亘って形成されている。なお、各破断サポート罫線L30,L30は、上記のように放物線状を呈していることから、破断サポート罫線L30,L30の左右方向の間隔は、前側板11の破断誘導線L11から上側外フラップ21の端縁部側に向かうに連れて広まっている。
【0025】
左側板13には、破断誘導線として機能する左側破断誘導線L13が形成されている。左側破断誘導線L13は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。左側破断誘導線L13の切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
【0026】
左側破断誘導線L13は、
図1,
図2に示すように、前側板11の前側破断誘導線L10の左端部に連続する部分を起点として左側板13の後部に向けて延在し、前後方向の中央部よりも後方において、左側板13の上縁部に向けて延在している。左側破断誘導線L13において、左側板13の後部に向けて延在する部分は、後部に向かうに連れて上方へ傾斜している。
また、左側破断誘導線L13において、左側板13の上縁部に向けて延在する部分は、左側板13の後縁部と平行である。左側破断誘導線L13の上端部は、左側板13の上縁部に形成された左側上部破断誘導線L13aに接続されている。左側上部破断誘導線L13aは、頂板20を切り離すための上部破断誘導線の一部を構成している。
【0027】
左側板13には、左側破断誘導線L13、左側板13の前縁部及び上縁部によって区画された領域によって左側切取部42が形成されている。
【0028】
右側板14には、
図1に示すように、同様に、破断誘導線として機能する右側破断誘導線L14が形成されている。右側破断誘導線L14は、左側板13の左側破断誘導線L13と左右対称の位置に配置されている。右側破断誘導線L14は、前側板11の前側破断誘導線L10の右端部に連続する部分を起点として右側板14の後部に向けて延在し、前後方向の中央部よりも後方において、右側板14の上縁部へ向けて延在している。右側破断誘導線L14において、右側板14の後部に向けて延在する部分は、後部に向かうに連れて上方へ傾斜している。
また、右側破断誘導線L14において、右側板14の上縁部に向けて延在する部分は、右側板14の後縁部と平行である。右側破断誘導線L14の上端部は、右側板14の上縁部に形成された右側上部破断誘導線L14aに接続されている。右側上部破断誘導線L14aは、頂板20を切り離すための上部破断誘導線の一部を構成している。
【0029】
右側板14には、右側破断誘導線L14、右側板14の前縁部及び上縁部によって区画された領域によって右側切取部43が形成されている。右側切取部43は左側切取部42と左右対称の位置に配置されている。
【0030】
左側破断誘導線L13および右側破断誘導線L14の傾斜角度は、破断し易さや形成スペースを考慮して、左側板13(右側板14)の上縁部に対して所定の角度となるように設定されている。
【0031】
頂板20は、
図1に示すように、胴部10の上側開口部を閉塞している。頂板20は、前側板11,後側板12の上縁部に連設された前後一対の上側外フラップ21,21を備えている。また、頂板20の内面(下面)には、左側板13,右側板14の上縁部に連設された左右一対の上側内フラップ22,22が重ねられている。後側の上側外フラップ21は、特許請求の範囲における「後部側フラップ」に相当する。また、上側内フラップ22,22は特許請求の範囲における「左右の側フラップ」に相当する。
【0032】
前側の上側外フラップ21は、四角形の平板であり、前側板11の上縁部から後方に向けて延びている。前側の上側外フラップ21によって、胴部10の上側開口部の前半分が塞がれている。
後側の上側外フラップ21は、四角形の平板であり、後側板12の上縁部から前方に向けて延びている。後側の上側外フラップ21によって、胴部10の上側開口部の後半分が塞がれている。後側の上側外フラップ21は、後側板12の上縁部に形成された後側上部破断誘導線L12を介して後側板12に連設されている。後側上部破断誘導線L12は、頂板20を切り離すための上部破断誘導線の一部を構成している。
【0033】
前後の上側外フラップ21,21の端縁部同士は、前後方向の中央部で突き合わされ、封緘テープとしての図示しない粘着テープで接合される。
【0034】
後側の上側外フラップ21の後部側の左右それぞれの角部20a,20aには、折曲誘導線L21が形成されている。折曲誘導線L21,L21は、上側外フラップ21,21の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、折曲誘導線L21,L21に切れ込みを形成してもよい。
上側外フラップ21の左側の角部20aの折曲誘導線L21は、上側外フラップ21の左縁部から上側内フラップ21の後縁部に亘るように斜めに延在している。また、右側の角部20aの折曲誘導線L21は、上側外フラップ21の右縁部から上側外フラップ21の後縁部に亘るように斜めに延在している。
【0035】
左側の上側内フラップ22は、四角形の平板であり、左側板13の上縁部から右方に向けて延びている。左側の上側内フラップ22によって、胴部10の上側開口部の左側部分の一部が塞がれている。
右側の上側内フラップ22は、四角形の平板であり、右側板14の上縁部から左方に向けて延びている。右側の上側内フラップ22によって、胴部10の上側開口部の右側部分の一部が塞がれている。
【0036】
左右の上側内フラップ22,22には、後側の上側外フラップ21の前記した折曲誘導線L21,L21に対応する位置に、折曲誘導線L22,L22が形成されている。折曲誘導線L22,L22は、上側内フラップ22,22の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、折曲誘導線L22,L22に切れ込みを形成してもよい。
【0037】
左側の上側内フラップ22の折曲誘導線L22は、上側内フラップ22の左縁部(左側上部破断誘導線L13a)から上側内フラップ22の後縁部に亘るように斜めに延在している。また、右側の上側内フラップ22の折曲誘導線L22は、上側内フラップ22の右縁部(右側上部破断誘導線L14a)から上側内フラップ22の後縁部に亘るように斜めに延在している。
【0038】
上側外フラップ21の折曲誘導線L21,L21と上側内フラップ22,22の折曲誘導線L22,L22とは、上下方向に重なっている。これによって、後記する開封時に、左右それぞれの角部20a,20aにおいて、上側外フラップ21と上側内フラップ22とを重ねた状態にして折り曲げ可能である。
【0039】
このように、上側外フラップ21及び上側内フラップ22からなる頂板20は、開封部40が備わる前側板11の上縁部に罫線を介して連設されている。したがって、開封部40に連続して頂板20、左側切取部42及び右側切取部43が前側から一体となって開封されるようになっている。
【0040】
なお、各破断誘導線の形成位置は、これにより開口される開口部50(
図6参照)を通じた内容物の見え方や、開口部50からの内容物の取り出し易さを考慮して適宜設定される。
【0041】
底板30は、
図1に示すように、胴部10の下側開口部を閉塞している。底板30は、前後の側板11,12の下縁部に連設された前後一対の下側外フラップ31,31を備えている。また、底板30の内面(上面)には、左側板13,右側板14の下縁部に連設された左右一対の下側内フラップ32,32が重ねられている。
【0042】
前側の下側外フラップ31は、四角形の平板であり、前側板11の下縁部から後方に向けて延びている。前側の下側外フラップ31によって、胴部10の下側開口部の前半分が塞がれている。
後側の下側外フラップ31は、四角形の平板であり、後側板12の下縁部から前方に向けて延びている。後側の下側外フラップ31によって、胴部10の下側開口部の後半分が塞がれている。
前後の下側外フラップ31,31の端縁部同士は、前後方向の中央部で突き合わされ、図示しない粘着テープで接合される。
【0043】
左側の下側内フラップ32は、四角形の平板であり、左側板13の下縁部から右方に向けて延びている。この下側内フラップ32によって、胴部10の下側開口部の左側部分の一部が塞がれている。
右側の下側内フラップ32は、四角形の平板であり、右側板14の下縁部から左方に向けて延びている。この下側内フラップ32によって、胴部10の下側開口部の右側部分の一部が塞がれている。
【0044】
本実施形態の包装箱1に内容物を収容して搬送または保管するときは、一般的なA式の段ボール箱と同様に、頂板20が上側となるように包装箱1を配置する。
本実施形態の包装箱1を開封するときには、前側板11の破断開始部16を作業者の手指で掴んで引き上げる。そうすると、
図4に示すように、前側破断誘導線L10の破断が側方に向けて進行し、開封部40が切り離されるとともに、前側破断誘導線L10に連続する左側破断誘導線L13及び右側破断誘導線L14の破断が後方に向けて進行し、左側切取部42及び右側切取部43がそれぞれ左側部13、右側部14から切り離される。また、左側破断誘導線L13に接続された左側上部破断誘導線L13a、及び右側破断誘導線L14に接続された右側上部破断誘導線L14aが破断して開かれる。これにより、開封部40、左側切取部42、右側切取部43及び頂板20が後側上部破断誘導線L12を残して一体となって切り離される。
【0045】
その後、
図5に示すように、頂板20の後端部の左右それぞれの角部20a,20aを図示しない両手指で掴み、上方へ折り曲げる。そうすると、左右それぞれの角部20a,20aが折曲誘導線L21,L22に沿って谷折りされ、その谷折りされる過程で、頂板20の後縁部が後側上部破断誘導線L12に沿ってそれぞれ破断される。つまり、頂板20の角部20a,20aを折り曲げることで、左側上部破断誘導線L13a、右側上部破断誘導線L14aとは破断方向が90度異なる後側上部破断誘導線L12に対して、破断の進行のきっかけとなる切込みを形成することができる。
【0046】
その後、頂板20の後縁部を後側上部破断誘導線L12に沿って破断する。これによって、頂板20の全体が胴部10から切り離される。これにより、
図6に示すように、包装箱1の前部から上部にかけて広く開口した開口部50が形成される。
【0047】
以上説明した本実施形態の包装箱1は、開封部40を手指で引き上げることで、開封部40に連続して胴部10の左右の上縁部から頂板20が切り離される。そして、頂板10の後部側の左右それぞれの角部20a,20aを折曲誘導線L21,L22を利用して折り曲げることで、後側上部破断誘導線L12に破断のきっかけとなる切込みを形成することができる。したがって、頂板20の後縁部の破断を後側上部破断誘導線L12に沿ってスムーズに進行させることができる。したがって、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱1が得られる。
【0048】
また、頂板20が、上側外フラップ21と上側内フラップ22,22とから構成され、これらのフラップの両方に折曲誘導線L21,L22が形成されている。したがって、上側外フラップ21と上側内フラップ22との両方を折曲誘導線L21,L22に沿ってスムーズに折り曲げることができ、後側上部破断誘導線L12に破断のきっかけとなる切込みを容易に形成することができる。したがって、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱1が得られる。
【0049】
また、折曲誘導線L21,L22が上下方向に重なっているので、頂板20の後部側の角部20a,20aの折り曲げが容易である。したがって、破断を進行させ易く、開封作業が行い易い包装箱1が得られる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、折曲誘導線L21,L22は、一つの角部20a,20aに対して複数本ずつ設けてもよい。
【0051】
また、折曲誘導線L21,L22は、いずれか一方のみ形成してもよい。また、折曲誘導線L21,L22は、ブランクシートSの内面に形成したが、外面に形成してもよく、内面及び外面の両方に形成してもよい。
【0052】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 包装箱
10 胴部
16 破断開始部
20 頂板
21 上側外フラップ(後部側フラップ)
22 上側内フラップ(左右の側フラップ)
30 底板
40 開封部
50 開口部
L10 前側破断誘導線(破断誘導線)
L12 後側上部破断誘導線(上部破断誘導線)
L13a 左側上部破断誘導線(上部破断誘導線)
L14a 右側上部破断誘導線(上部破断誘導線)
L21,L22 折曲誘導線
S ブランクシート