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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
H01R13/514
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019211155
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021082550
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤▲崎▼ 龍一
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-321348(JP,A)
【文献】特開平10-074564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/514
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに別体の部品として成形された一対のハウジング部材と、
一対の前記ハウジング部材の基端部から個別に突出した一対のキャビティタワーと、
前記キャビティタワーに収容される端子金具とを備え、
一対の前記ハウジング部材の前記基端部には、互いに嵌合することにより前記一対のハウジング部材を連結する連結部が形成され、
前記連結部同士を嵌合することにより、一対の前記キャビティタワーが離隔空間を空けて並ぶように配置され、
前記キャビティタワーの前記基端部側の端面に、前記端子金具の挿入口が形成され、
前記連結部が、前記キャビティタワーの前記基端部側の端面よりも、前記キャビティタワーとは反対の方向へ突出し、
前記ハウジング部材に、前記キャビティタワーの前記基端部側の端面と、前記連結部の側面とに連なる補強部が形成されているコネクタ。
【請求項2】
前記連結部同士は、前記キャビティタワーの長さ方向と平行に相対変位させることによって嵌合されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
一方の前記ハウジング部材には、ロック部とストッパが形成され、
前記ロック部は、前記キャビティタワーを相手側ハウジングに嵌合したときに、前記一方のハウジング部材と前記相手側ハウジングとを離脱規制状態にロックし、
前記ストッパは、他方の前記ハウジング部材が前記一方のハウジング部材に対して前記相手側ハウジングから遠ざかる方向へ相対変位することを規制する請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の端子をハウジング内に収容したジョイントコネクタが開示されている。この種のコネクタにおいて、ハウジングに個別に突出する複数のキャビティタワーを形成し、各キャビティタワー内に端子を収容する構造に変更することが可能である。この場合、隣り合う2つのキャビティタワーの間には、スリットが形成されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-102371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のハウジングを金型成形した後、金型から取り外したハウジングが冷却する過程では、連結部が湾曲変形するおそれがある。連結部が変形すると、一対のキャビティタワー同士が接近し、スリットが狭められて相手側コネクタの壁部がキャビティタワーの間に進入できなくなるおそれがある。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、一対のキャビティタワーを適正な位置関係に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
互いに別体の部品として成形された一対のハウジング部材と、
一対の前記ハウジング部材の基端部から個別に突出した一対のキャビティタワーと、
前記キャビティタワーに収容される端子金具とを備え、
一対の前記ハウジング部材の前記基端部には、互いに嵌合することにより前記一対のハウジング部材を連結する連結部が形成され、
前記連結部同士を嵌合することにより、一対の前記キャビティタワーが離隔空間を空けて並ぶように配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、一対のキャビティタワーを適正な位置関係に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材を合体した状態をあらわす斜視図である。
図2図2は、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材を分離した状態をあらわす斜視図である。
図3図3は、コネクタを相手側コネクタと嵌合した状態をあらわす断面図である。
図4図4は、図3のX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)互いに別体の部品として成形された一対のハウジング部材と、一対の前記ハウジング部材の基端部から個別に突出した一対のキャビティタワーと、前記キャビティタワーに収容される端子金具とを備え、一対の前記ハウジング部材の前記基端部には、互いに嵌合することにより前記一対のハウジング部材を連結する連結部が形成され、前記連結部同士を嵌合することにより、一対の前記キャビティタワーが離隔空間を空けて並ぶように配置されている。
【0010】
本開示の構成によれば、一対のキャビティタワーを連結する連結部は、単一部品として金型成型されるのではなく、別々の部品として金型成型される一対のハウジング部材に対し個別に一体化された状態で形成されている。したがって、成型後の冷却過程における各連結部の変形量が比較的小さく抑えられている。これにより、連結部同士を嵌合したときに、一対のキャビティタワーを適正な位置関係に保つことができる。
【0011】
(2)前記連結部同士は、前記キャビティタワーの長さ方向と平行に相対変位させることによって嵌合されていることが好ましい。この構成によれば、連結部同士が摺接する部位は、キャビティタワーの長さ方向に沿ったガイドとなるので、キャビティタワー同士の傾きが抑制される。
【0012】
(3)(2)において、一方の前記ハウジング部材には、ロック部とストッパが形成され、前記ロック部は、前記キャビティタワーを相手側ハウジングに嵌合したときに、前記一方のハウジング部材と前記相手側ハウジングとを離脱規制状態にロックし、前記ストッパは、他方の前記ハウジング部材が前記一方のハウジング部材に対して前記相手側ハウジングから遠ざかる方向へ相対変位することを規制することが好ましい。この構成によれば、一方のハウジング部材をロック部によって相手側ハウジングとの嵌合状態にロックすれば、他方のハウジング部材も相手側ハウジングとの嵌合状態に保持される。他方のハウジング部材にはロック部を形成する必要がないので、他方のハウジング部材の形状の簡素化を図ることができる。
【0013】
(4)前記キャビティタワーの前記基端部側の端面に、前記端子金具の挿入口が形成され、前記連結部が、前記キャビティタワーの前記基端部側の端面よりも、前記キャビティタワーとは反対の方向へ突出していることが好ましい。この構成によれば、一方のキャビティタワーの挿入口と、他方のキャビティタワーの挿入口との間に、連結部が突出するように配置されるので、一方のキャビティタワー内の端子金具と他方のキャビティタワー内の端子金具との間の沿面距離を長く確保することができる。
【0014】
(5)(4)において、前記ハウジング部材には、前記キャビティタワーの前記基端側の端面と、前記連結部の側面とに連なる補強部が形成されていることが好ましい。この構成によれば、連結部の変形を補強部によって防止することができるので、連結部の変形に起因してキャビティタワーの位置関係が不適正になることを防止できる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のコネクタFを具体化した実施例1を、図1図4を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、図1~4における下側を先端側、上側を基端側と定義する。左右の方向については、図2,3にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0016】
本実施形態のコネクタFは、1つのコネクタハウジング10と、複数の雌形の端子金具22とを備えている。コネクタハウジング10は、図示しない金型によって成形される合成樹脂製の第1ハウジング部材11と、図示しない金型によって成形される合成樹脂製の第2ハウジング部材23とを有する。図2に示すように、第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23は、互いに独立した別個の部品である。第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23は、左右に並ぶような位置関係で合体することにより、コネクタハウジング10を構成している。
【0017】
第1ハウジング部材11は、第1キャビティタワー12と、第1連結部14と、一対の第1補強部19(図3参照)と、ロックアーム20とを有する。第1キャビティタワー12は、第1ハウジング部材11の基端部11P(図1~4における上端部)から先端部11T(図1~4における下端部)側へ片持ち状に延出した形態である。第1キャビティタワー12の内部には、端子金具22を収容するためのキャビティである一対の第1端子収容室(図示省略)が形成されている。第1端子収容室は、第1キャビティタワー12の基端から先端まで細長く延びている。一対の第1端子収容室が並ぶ方向は、第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23が並ぶ方向に対して直交する方向である。第1キャビティタワー12の基端部11P側の端面、即ち第1キャビティタワー12の背面12Rには、第1端子収容室の基端側の端部が第1挿入口13として開口している。
【0018】
第1連結部14は、第1ハウジング部材11の基端部11Pに形成されている。第1連結部14は、第1キャビティタワー12の背面12Rよりも、第1キャビティタワー12の先端部11T側とは反対側へ突出している。第1連結部14は、図2示すように、第1壁部15と、1つの抜止め突起16と、一対のガイド部17とを有する。第1壁部15は、第1キャビティタワー12のうち第2ハウジング部材23と対向する面に沿って延びている。抜止め突起16は、第1壁部15のうち第2ハウジング部材23と対向する側の面から突出している。
【0019】
一対のガイド部17は、抜止め突起16と同じく、第1壁部15のうち第2ハウジング部材23側の面に配置されている。一対のガイド部17は、一対の第1挿入口13の並び方向と平行な方向に間隔を空けている。一対のガイド部17の間には、抜止め突起16が配置されている。一対のガイド部17は、第1キャビティタワー12の延出方向と平行なガイド溝18を有する。ガイド溝18は、互いに対向する面を凹ませた形態である。一対のガイド部17における先端部11T側の端部は、ストッパ17Sとして機能する。
【0020】
一対の第1補強部19(図3には一方の第1補強部19のみを示す)は、直角三角形の板状をなし、第1挿入口13の並び方向と同じ方向に間隔を空けて並んでいる。一対の第1補強部19は、第1壁部15における第2ハウジング部材23とは反対側の側面と、第1キャビティタワー12の背面12Rのうち一対の第1挿入口13の間の位置とに連なっている。第1補強部19により、第1壁部15が、第1キャビティタワー12の背面12Rに対して接近する方向への傾きくことと、背面12Rから遠ざかる方向へ傾くことが防止される。第1補強部19により、第1キャビティタワー12と第1連結部14との位置関係が一定に保たれる。
【0021】
図4に示すように、ロックアーム20は、コネクタハウジング10と相手側ハウジング40とを嵌合したときに、コネクタハウジング10と相手側ハウジング40とを嵌合状態にロックする部位である。換言すると、ロックアーム20は、相手側ハウジング40に対して、コネクタハウジング10が基端部11P側へ離脱することを規制する役割を有する。図1,4に示すように、ロックアーム20にはロック突起21が形成されている。
【0022】
第2ハウジング部材23は、第2キャビティタワー24と、第2連結部26と、一対の第2補強部34とを有する。第2キャビティタワー24は、第2ハウジング部材23の基端部23P(図1~4における上端部)から先端部23T側(図1~4における下端部)側へ片持ち状に延出した形態である。第2キャビティタワー24の内部には、端子金具22を収容するためのキャビティである一対の第2端子収容室(図示省略)が形成されている。第2端子収容室は、第2キャビティタワー24の基端から先端まで細長く延びている。一対の第2端子収容室が並ぶ方向は、第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23が並ぶ方向に対して直交する方向である。第2キャビティタワー24の基端部23P側の端面、即ち第2キャビティタワー24の背面24Rには、第2端子収容室の基端側の端部が第2挿入口25として開口している。
【0023】
第2連結部26は、図2に示すように、第2ハウジング部材23の基端部23Pに形成されている。第2連結部26は、第2キャビティタワー24の背面24Rよりも、第2キャビティタワー24の先端部23T側とは反対側へ突出している。第2連結部26は、第2壁部27と、一対の支持部28と、一対のガイドリブ29と、梁部31と、1つの弾性係止片32とを有する。第2壁部27は、第2キャビティタワー24のうち第1ハウジング部材11と対向する面に沿って延びている。
【0024】
一対の支持部28は、第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23を合体した状態で、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24との間のクリアランスを確保するための部位である。一対の支持部28は、第2壁部27のうち第1ハウジング部材11側の面から突出している。一対の支持部28は、第2キャビティタワー24の延出方向と平行に延びており、一対の第2端子収容室の並び方向と平行な方向に間隔を空けている。
【0025】
一対のガイドリブ29は、一対の支持部28の突出端縁から、互いに相手側のガイドリブ29とは反対方向へ突出している。一対のガイドリブ29の延出方向両端のうち先端側の端部には、第2壁部27に連なる突当部30が形成されている。梁部31は一対の支持部28における基端側の端部同士を連結している。弾性係止片32は、梁部31から第2キャビティタワー24の先端側へ延出し、延出端部を第2壁部27に繋げた形態である。弾性係止片32のうち第1ハウジング部材11と対向する側の面には、係止突起33が形成されている。弾性係止片32は、一対の支持部28の間に配置され、係止突起33の突出方向とは反対側の方向、即ち第2壁部27に接近する方向へ弾性変形することが可能である。
【0026】
一対の第2補強部34は、直角三角形の板状をなし、第2挿入口25の並び方向と同じ方向に間隔を空けて並んでいる。一対の第2補強部34は、第2壁部27における第1ハウジング部材11とは反対側の側面と、第2キャビティタワー24の背面24Rのうち一対の第2挿入口25の間の位置とに連なっている。第2補強部34により、第2壁部27が、第2キャビティタワー24の背面24Rに対して接近する方向へ傾くことと、背面12Rから遠ざかる方向へ傾くことが防止される。第2補強部34により、第2キャビティタワー24と第2連結部26との位置関係が一定に保たれる。
【0027】
次に、第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23の組付け手順を説明する。組付けの際には、第1連結部14が第2連結部26よりも基端部11P側に位置する状態で、第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23を左右に対向させる。この状態から、第1連結部14のガイド溝18の先端側の端部を、第2連結部26のガイドリブ29の基端側の端部に嵌合し、第1連結部14を第2連結部26に対して先端側へスライドさせる。このとき、ガイド溝18の内面とガイドリブ29の外面とが摺接することにより、両ハウジング部材11,23は傾きを生じることなく一定の姿勢のまま平行移動する。このときの両ハウジング部材11,23の相対変位方向は、両キャビティタワー12,24の延出方向、即ち両キャビティタワー12,24の長さ方向と平行方向である。
【0028】
両ハウジング部材11,23をスライドさせる過程では、抜止め突起16が係止突起33と干渉することによって、弾性係止片32が弾性変形する。両ハウジング部材11,23が正規の組付け状態になると、抜止め突起16が係止突起33を通過するので、弾性係止片32が弾性復帰し、抜止め突起16が係止突起33に対して先端側から係止する。この係止により、第2ハウジング部材23は、第1ハウジング部材11に対して先端側へ相対変位することを規制される。両ハウジング部材11,23が正規の組付け状態になると、第2連結部26の突当部30が第1連結部14のストッパ17Sに対して先端側から当接する。この当接により、第2ハウジング部材23は、第1ハウジング部材11に対して基端側へ相対変位することを規制される。以上により、両ハウジング部材11,23が合体状態に保持される。
【0029】
両ハウジング部材11,23が合体した状態では、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24が、互いに平行をなし、かつ互いに離隔空間35を空けて左右に並ぶような位置関係となる。第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24は、連結状態の第1連結部14及び第2連結部26を介して繋がっている。したがって、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24は、組付けられて一体化した第1連結部14及び第2連結部26から、左右に並んだ状態で先端部11T、23T側へ片持ち状に突出している。
【0030】
本実施例1のコネクタFの嵌合対象である相手側コネクタMは、図3に示すように、相手側ハウジング40と、複数の相手側端子43とを有する。相手側ハウジング40は、端子保持部材41と、端子保持部材41から正面側(図3,4における上側)へ延出した角筒状のフード部42とを有する。端子保持部材41には、雄形の相手側端子43の端子本体部44が収容されている。フード部42の内部には、フード部42内の空間を左右2つの嵌合空間47に区画する隔壁部48が形成されている。相手側端子43の先端のタブ45は、端子保持部材41からフード部42内に突出している。フード部42を構成する外壁部の一部には、ロック孔46が形成されている。
【0031】
本実施例1のコネクタFを相手側コネクタMと嵌合する際には、コネクタハウジング10のうち両キャビティタワー12,24をフード部42内に挿入する。このとき、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24は、隔壁部48で区画された2つの嵌合空間47に個別に収容される。隔壁部48は、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24との間の離隔空間35内に嵌入される。
【0032】
コネクタハウジング10をフード部42に嵌入する過程では、ロック突起21がフード部42の壁部と干渉することによって、ロックアーム20が弾性変形する。コネクタハウジング10がフード部42内の正規位置に嵌入されると、ロックアーム20が弾性復帰してロック突起21がロック孔46に嵌合する。ロック突起21とロック孔46の嵌合により、コネクタハウジング10と相手側ハウジング40とが離脱規制され、コネクタFと相手側コネクタMが嵌合状態にロックされる(図4参照)。
【0033】
コネクタハウジング10と相手側ハウジング40とを嵌合状態にロックするロックアーム20は、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24のうち第1キャビティタワー12のみに形成されている。しかし、第2キャビティタワー24は、突当部30とストッパ17Sとの突き当て作用により、第1キャビティタワー12に対して相手側ハウジング40から離脱する方向、即ちコネクタハウジング10の基端部11P、23P側への相対変位を規制されている。したがって、コネクタハウジング10と相手側ハウジング40を嵌合状態にロックするロックアーム20が、第1キャビティタワー12のみに形成されていても、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24の両方が、相手側ハウジング40に対して離脱規制状態に保持される。
【0034】
本実施例1のコネクタFは、互いに別体の部品として成形された一対のハウジングである第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23とを有する。第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23の基端部11P、23Pからは、一対のキャビティタワーである第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24が個別に先端部11T、23T側へ突出している。第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24には、それぞれ端子金具22が収容される。
【0035】
第1ハウジング部材11の基端部11Pには第1連結部14が形成され、第2ハウジング部材23の基端部23Pには第2連結部26が形成されている。第1連結部14と第2連結部26は、互いに嵌合することによって第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23を連結する。第1連結部14と第2連結部26を嵌合することにより、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24が離隔空間35を空けて並ぶように配置されている。
【0036】
第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24を連結する第1連結部14と第2連結部26は、単一部品として金型成型されるのではなく、別々の部品として金型成型される第1ハウジング部材11と第2ハウジング部材23に個別に形成されている。したがって、成型後の冷却過程における各連結部14,26の変形量が比較的小さく抑えられている。これにより、第1連結部14と第2連結部26を嵌合した状態において、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24を適正な位置関係に保つことができる。
【0037】
第1連結部14と第2連結部26は、第1キャビティタワー12及び第2キャビティタワー24の長さ方向と平行に相対変位させることによって嵌合されている。この構成によれば、第1連結部14と第2連結部26が摺接する部位、即ちガイド部17とガイドリブ29は、第1キャビティタワー12及び第2キャビティタワー24の長さ方向に沿ったガイドとして機能する。このガイド機能によって、第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24との間における傾きが抑制される。
【0038】
第1ハウジング部材11には、ロック部として機能するロックアーム20と、ストッパ17Sとが形成されている。ロックアーム20は、第1キャビティタワー12を相手側ハウジング40に嵌合したときに、第1ハウジング部材11と相手側ハウジング40とを離脱規制状態にロックする。ストッパ17Sは、第2ハウジング部材23が第1ハウジング部材11に対して相手側ハウジング40から遠ざかる方向へ相対変位することを規制する。この構成によれば、第1ハウジング部材11をロックアーム20によって相手側ハウジング40との嵌合状態にロックすれば、第2ハウジング部材23も相手側ハウジング40との嵌合状態に保持される。第2ハウジング部材23にはロックアーム20を形成する必要がないので、第2ハウジング部材23の形状の簡素化を図ることができる。
【0039】
第1キャビティタワー12の基端部11P側の端面である背面12Rには、端子金具22を第1キャビティタワー12に挿入するための第1挿入口13が形成されている。第2キャビティタワー24の基端部23P側の端面である背面24Rには、端子金具22を第2キャビティタワー24に挿入するための第2挿入口25が形成されている。第1連結部14は、第1キャビティタワー12の背面12Rよりも、第1キャビティタワー12とは反対の方向へ突出している。第2連結部26は、第2キャビティタワー24の背面24Rよりも、第2キャビティタワー24とは反対の方向へ突出している。
【0040】
この構成によれば、第1キャビティタワー12の第1挿入口13と、第2キャビティタワー24の第2挿入口25との間に、第1連結部14と第2連結部26が突出するように配置される。これにより、第1キャビティタワー12内の端子金具22と第2キャビティタワー24内の端子金具22との間における沿面距離を長く確保することができる。
【0041】
第1ハウジング部材11には、第1キャビティタワー12の背面12Rと、第1連結部14の第1壁部15の側面とに連なる第1補強部19が形成されている。第2ハウジング部材23には、第2キャビティタワー24の背面24Rと、第2連結部26の第2壁部27の側面とに連なる第2補強部34が形成されている。この構成によれば、第1連結部14の変形を第1補強部19によって防止することができ、第2連結部26の変形を第2補強部34によって防止することができる。したがって、第1連結部14や第2連結部26の変形に起因して第1キャビティタワー12と第2キャビティタワー24との位置関係が不適正になることを防止できる。
【0042】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、連結部同士が、キャビティタワーの長さ方向と平行に相対変位させることによって嵌合されるが、連結部同士は、キャビティタワーの長さ方向と交差する方向に相対変位させて嵌合してもよい。
上記実施例1では、第1ハウジング部材(一方のハウジング部材)のみにロック部を形成したが、第1ハウジング部材(一方のハウジング部材)と第2ハウジング部材(他方のハウジング部材)の両方にロック部を形成してもよい。
上記実施例1では、ハウジング部材は、キャビティタワーの基端側の端面と連結部の側面とに連なる補強部を有するが、ハウジング部材は補強部を有しない形態であってもよい。
上記実施例1では、1つのコネクタが一対のハウジング部材によって構成されているが、1つのコネクタは、一対のハウジング部材に加えて、キャビティタワーを有する別のハウジング部材を更に備えていてもよい。
上記実施例1では、連結部が、キャビティタワーの基端側の端面よりも、キャビティタワーとは反対の方向へ突出しているが、連結部はキャビティタワーの長さ方向の範囲内に形成されていてもよい。
上記実施例1では、第1ハウジング部材のロック部が弾性変形可能なロックアームであるが、ロック部は弾性変形しない形態であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
F…コネクタ
M…相手側コネクタ
10…コネクタハウジング
11…第1ハウジング部材(一方のハウジング部材)
11P:第1ハウジング部材の基端部
11T:第1ハウジング部材の先端部
12…第1キャビティタワー(キャビティタワー)
12R:第1キャビティタワーの背面
13…第1挿入口(挿入口)
14…第1連結部(連結部)
15…第1壁部
16…抜止め突起
17…ガイド部
17S:ストッパ
18…ガイド溝
19…第1補強部(補強部)
20…ロックアーム(ロック部)
21…ロック突起
22…端子金具
23…第2ハウジング部材(他方のハウジング部材)
23P:第2ハウジング部材の基端部
23T:第2ハウジング部材の先端部
24…第2キャビティタワー(キャビティタワー)
24R:第2キャビティタワーの背面
25…第2挿入口(挿入口)
26…第2連結部(連結部)
27…第2壁部
28…支持部
29…ガイドリブ
30…突当部
31…梁部
32…弾性係止片
33…係止突起
34…第2補強部(補強部)
35…離隔空間
40…相手側ハウジング
41…端子保持部材
42…フード部
43…相手側端子
44…端子本体部
45…タブ
46…ロック孔
47…嵌合空間
48…隔壁部
図1
図2
図3
図4