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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240220BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240220BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240220BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240220BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/204 101
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01G11/78
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019214300
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021086717
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】金本 将季
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067591(JP,A)
【文献】特開平11-284359(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096159(WO,A1)
【文献】特開2017-004871(JP,A)
【文献】特開2003-142050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長側面及び当該長側面に隣接する短側面を備え、内部に電極体を収容する容器を有する蓄電素子と、
前記蓄電素子を収容する外装体とを備え、
前記外装体は、
開口部を有し、前記蓄電素子が開口部内に収容される第一部材と、
前記開口部を覆った状態で前記第一部材に接合される第二部材と、を備え、
前記第一部材と前記第二部材とは、前記開口部の全周に沿って相互に接合された熱溶着部を有し、
前記第二部材は、前記長側面と平行な方向に突出した部位を有するとともに、前記開口部の全周に沿って延設され、前記熱溶着部の一部をなす凸条部を有し、
前記第一部材は、前記凸条部よりも内方に配置され、前記熱溶着部を内方から覆う内壁部を有し、
前記内壁部は、前記凸条部によって外方から規制され
前記第一部材における前記熱溶着部をなす部位と、前記内壁部との間にはスリット部が形成されており、
前記スリット部は、前記長側面同士が対向する所定の方向において、前記凸条部に重ならない位置に配置される
蓄電装置。
【請求項2】
前記蓄電素子は、前記所定の方向に沿って複数積層されている
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記内壁部は、前記第一部材において前記所定の方向に対応する部位に設けられている
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第一部材は、前記凸条部よりも外方に配置され、前記凸条部を外方から規制する外壁部を有する
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第二部材は、前記凸条部よりも内方に配置され、前記内壁部の先端部が当接する当接部を有する
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分割された一対の外装体(電池ケース)に対して蓄電素子(電池)を収容し、一対の外装体の連結面同士を超音波溶着することで、分割された外装体を熱溶着部で接合した蓄電装置(組電池)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-313014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電素子は、充放電に伴って徐々に膨張する特性を有している。このため蓄電素子の膨張が進んでいくと、蓄電素子が外装体の内面を押圧して、外装体の熱溶着部に作用する応力も高まるので、熱溶着部が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明は、蓄電素子の膨張を起因とした外装体の熱溶着部の損傷を抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、長側面及び当該長側面に隣接する短側面を備え、内部に電極体を収容する容器を有する蓄電素子と、蓄電素子を収容する外装体とを備え、外装体は、開口部を有し、蓄電素子が開口部内に収容される第一部材と、開口部を覆った状態で第一部材に接合される第二部材と、を備え、第一部材と第二部材とは、開口部の全周に沿って相互に接合された熱溶着部を有し、第二部材は、長側面と平行な方向に突出した部位を有するとともに、開口部の全周に沿って延設され、熱溶着部の一部をなす凸条部を有し、第一部材は、凸条部よりも内方に配置され、熱溶着部を内方から覆う内壁部を有し、内壁部は、凸条部によって外方から規制される。
【0007】
ここで、蓄電素子は、膨張時において容器の短側面よりも長側面の方が膨張しやすい特性を有している。容器の長側面が膨張すると、当該膨張によって外装体の内壁部に対しても外方へ向かう押圧力が作用する。このとき、内壁部は、第二部材に備わる凸条部によって規制されるので、内壁部の外方への変形が抑制される。特に、凸条部は、蓄電素子の容器の長側面と平行な方向に突出した部位を有しているので、内壁部における長側面に対向する部位は、凸条部により外方から規制される。このため、短側面よりも膨張しやすい長側面の膨張が内壁部に伝達したとしても、凸条部による規制によって内壁部の変形が抑制される。また、内壁部は、押圧力を遮る障壁でもあるので、内壁部よりも外方に配置された熱溶着部には、押圧力が伝達されにくい。したがって、蓄電素子の膨張を起因とした外装体の熱溶着部の損傷を抑制することができる。
【0008】
蓄電素子は、長側面同士が対向するように所定の方向に沿って複数積層されていてもよい。
【0009】
これによれば、容器の長側面同士が対向するように所定の方向に沿って複数の蓄電素子が積層されているので、複数の蓄電素子のそれぞれが膨張することでより大きな押圧力が外装体の内壁部に作用することとなる。このような場合においても、容器の長側面に平行な方向に突出した凸条部によって、内壁部の外方への変形を抑制することができる。内壁部の変形が抑制されていれば、熱溶着部にも押圧力が伝達されにくい。このように、複数の蓄電素子が積層された蓄電装置であっても、蓄電素子の膨張を起因とした外装体の熱溶着部の損傷を抑制することが可能である。
【0010】
内壁部は、第一部材において所定の方向に対応する部位に設けられていてもよい。
【0011】
例えば直方体状の蓄電素子の容器の長側面同士が重なるように、複数の蓄電素子を積層した場合、複数の蓄電素子は、その並び方向(所定の方向)で膨張しやすい。つまり、第一部材における所定の方向に対応する部位では、他の部位よりも大きな押圧力が作用する。しかしながら、この第一部材における所定の方向に対応する部位に内壁部が設けられていれば、大きな押圧力を内壁部が確実に遮るために、外装体の熱溶着部の損傷をより確実に抑制することができる。
【0012】
第一部材における熱溶着部をなす部位と、内壁部との間にはスリット部が形成されていてもよい。
【0013】
これによれば、第一部材における熱溶着部をなす部位と、内壁部との間にはスリット部が形成されているので、内壁部が押圧力を受けて変形したとしても、その変形をスリット部で吸収することができる。これにより、内壁部の変形に連動して熱溶着部が押圧されることを抑制することができる。
【0014】
第一部材は、凸条部よりも外方に配置され、凸条部を外方から規制する外壁部を有してもよい。
【0015】
これによれば、第一部材に備わる外壁部が凸条部を外方から規制しているので、凸条部が内壁部からの押圧力を受けて外方へと変形しようとしたとしても、当該変形を外壁部が規制する。つまり、熱溶着部の一部をなす凸条部が変形しにくくなるので、外装体の熱溶着部の損傷をより抑制することができる。
【0016】
第二部材は、凸条部よりも内方に配置され、内壁部の先端部が当接する当接部を有してもよい。
【0017】
ここで、第一部材における熱溶着部をなす部位と、第二部材の凸条部とを熱溶着して熱溶着部を形成する際には、両者が溶融しているので、第一部材と第二部材との相対的な位置関係が流動的になってしまう。このため、第一部材と第二部材との位置関係を一定にする場合には、位置決め用の治具を用いて溶着する必要がある。
【0018】
一方、上述したように凸条部よりも内方に配置された当接部が、内壁部の先端部に当接するのであれば、当接部と内壁部の先端部とで、第一部材と第二部材との相対的な位置関係を規定することができる。したがって、位置決め用の治具がなくとも第一部材と第二部材との位置関係を一定にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電素子の膨張を起因とした外装体の熱溶着部の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る本体部の概略構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係る外蓋の概略構成を示す下面図である。
図5】実施の形態に係る本体部と外蓋との接合構造を示す断面図である。
図6】変形例1に係る本体部の概略構成を示す斜視図である。
図7】変形例1に係る本体部と外蓋との接合構造を示す断面図である。
図8】変形例2に係る本体部と外蓋との接合構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0022】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体における本体部と外蓋との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(以下実施の形態及びその変形例では、直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0023】
[蓄電装置の全般的な説明]
まず、図1及び図2を用いて、実施の形態に係る蓄電装置1の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0024】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。また、蓄電装置1は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子20と、複数の蓄電素子20を収容する外装体10とを備える。外装体10は、複数の蓄電素子20を収容する本体部11と、複数の蓄電素子20の上方に配置されるバスバープレート17と、バスバープレート17の上方を覆う外蓋12とを有する。
【0026】
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、複数の蓄電素子20及びバスバープレート17等を所定の位置に固定し、これら要素を衝撃などから保護する部材である。
【0027】
本体部11は、開口部111を有する第一部材の一例である。本体部11は、上部が開放された有底矩形筒状の部材であり、その開放部分が開口部111である。本体部11の開口部111内には、複数の蓄電素子20、バスバープレート17に加えて、バスバープレート17に保持された複数のバスバー33と、制御回路等を含む接続ユニット80と、一対のエンドプレート39とが収容されている。
【0028】
外蓋12は、本体部11の開口部111を閉塞する矩形状の部材であり、第二部材の一例である。外蓋12は、本体部11の開口部111を覆った状態で本体部11に接合されている。この接合構造の詳細については後述する。
【0029】
外蓋12は、正極側の外部端子91及び負極側の外部端子92を有している。外部端子91及び92は、接続ユニット80及びバスバー33を介して複数の蓄電素子20と電気的に接続されており、蓄電装置1は、この外部端子91及び92を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子91及び92は、例えば、真鍮などの銅合金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。本体部11は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電素子20等を収容する。
【0030】
また、外装体10の本体部11及び外蓋12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。外装体100は、これにより、蓄電素子20等が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電素子20等の電気的絶縁性が保たれる構成であれば、外装体100は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0031】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子20がX軸方向に配列されている。なお、蓄電素子20の形状、及び、配列される蓄電素子20の個数は限定されない。また、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、また、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0032】
具体的には、蓄電素子20は、金属製の容器21を備えている。容器21は、略直方体形状に形成されており、一対の長側面211と、一対の長側面211に隣接する一対の短側面212とを有している。一対の長側面211はX軸方向で対向しており、一対の短側面212はY軸方向で対向している。複数の蓄電素子20のそれぞれは、容器21の長側面211同士が対向するように積層されて、本体部11内に収容されている。
【0033】
容器21の蓋部分には、金属製の正極端子221及び負極端子222が設けられている。蓋部分と正極端子221及び負極端子222との間には絶縁部材(図示省略)が介在しており、この絶縁部材によって蓋部分と正極端子221及び負極端子222とが絶縁されている。
【0034】
正極端子221及び負極端子222は、容器21の蓋部分から、バスバープレート17側に向けて(上方、つまりZ軸方向プラス側に向けて)突出して配置された電極端子である。この正極端子221及び負極端子222が、少なくとも1つのバスバー33及び接続ユニット80を介して外部端子91、92に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。なお、容器21の蓋部分には、電解液を注液する注液部、及び、容器21内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁等が設けられていてもよい。また、容器21の内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0035】
バスバー33は、バスバープレート17に保持された状態で、少なくとも2つの蓄電素子20上に配置され、当該少なくとも2つの蓄電素子20の正極端子221及び負極端子222同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー33は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。なお、本実施の形態では、5つのバスバー33を用いて、蓄電素子20を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、かつ、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続している。
【0036】
また、接続ユニット80は、複数のバスバー及び制御基板等を有するユニットであり、8個の蓄電素子20からなる蓄電素子群と、外部端子91及び92とを接続する。接続ユニット80が有する制御基板は複数の電気部品を有し、これら複数の電気部品により、各蓄電素子20の状態を検出する検出回路、及び、充電及び放電を制御する制御回路等が形成されている。本実施の形態では、接続ユニット80は、バスバープレート17に固定されている。なお、検出回路及び制御回路は個別の基板に形成されていてもよい。また、接続ユニット80は、制御基板を有しなくてもよい。この場合、例えば、蓄電装置1の外部に配置された制御装置が各蓄電素子20の充電及び放電を制御してもよい。
【0037】
バスバープレート17は、複数の蓄電素子20の上方(正極端子221及び負極端子222が配置されている側)に配置される保持部材の一例であり、本実施の形態では、バスバー33を保持する部材である。より詳細には、バスバープレート17は、複数のバスバー33、接続ユニット80、及び、その他配線類等(図示せず)を保持し、これら部材の位置規制等を行うことができる部材である。また、バスバープレート17には、複数のバスバー33のそれぞれを保持し、かつ、複数のバスバー33それぞれの一部を複数の蓄電素子20の側に露出させるバスバー用開口部17aが複数設けられている。また、バスバープレート17は、本体部11に固定されることで、例えば、複数の蓄電素子20の上方(Z軸方向プラス側)への移動を規制する役目も有している。
【0038】
なお、複数の蓄電素子20の上方に配置されるバスバープレート17は、例えば、「バスバーフレーム」、または、「中蓋」等と呼ばれる場合もある。また、バスバープレート17は、例えば、PC、PP、PE、PS、PPS、PPE(変性PPEを含む)、PET、PBT、PEEK、PFA、PTFE、PES、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。
【0039】
一対のエンドプレート39は、本体部11内において複数の蓄電素子20を一括して挟む位置に配置される矩形状の板体である。具体的には、一対のエンドプレート39は、YZ平面に平行な姿勢で、複数の蓄電素子20をX軸方向で挟む位置に配置されている。つまり、一対のエンドプレート39は、最も外側に配置された蓄電素子20の容器21の長側面211に対して重なるように配置されている。エンドプレート39は、例えば、PC、PP、PE、PS、PPS、PPE(変性PPEを含む)、PET、PBT、PEEK、PFA、PTFE、PES、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。
【0040】
[本体部と外蓋との接合構造]
次に、本体部11と外蓋12との接合構造について説明する。まず、本体部11の接合構造に関する部位について説明する。図3は、実施の形態に係る本体部11の概略構成を示す斜視図である。なお、図3においては、外蓋12が接合される前の状態の本体部11を示している。
【0041】
図3に示すように、本体部11の上端部には、開口部111を全周にわたって連続的に囲む接合部50が設けられている。具体的には、接合部50は、内壁部51、中間壁部52及び外壁部53を備えている。内壁部51、中間壁部52及び外壁部53は、上面視において三重の連続した矩形枠状の壁体である。
【0042】
内壁部51は、最内周に位置しており、その内壁面が開口部111の内壁面をなしている。外壁部53は、最外周に位置しており、その外壁面が本体部11の外壁面をなしている。中間壁部52は、内壁部51と外壁部53との間に位置している。内壁部51と中間壁部52との間には、周方向に連続した矩形枠状の第一スリット部54が形成されている。また、中間壁部52と外壁部53との間には、周方向に連続した矩形枠状の第二スリット部55が形成されている。第一スリット部54及び第二スリット部55は、それぞれ上方が開放され、下部に底を有するスリットである。内壁部51、中間壁部52及び外壁部53のそれぞれの上端面は、外蓋12との接合前においては面一に形成されている。
【0043】
また、本体部11の開口部111における内壁面には、Z軸方向に延設された複数のリブ112が設けられている。具体的には、X軸方向で対向する一対の内壁面には、複数のリブ112がY軸方向に沿って配列されている。また、Y軸方向で対向する一対の内壁面には、複数のリブ112がY軸方向に沿って配列されている。各リブ112は、接合部50よりも下方に配置されている。複数のリブ112は、複数の蓄電素子20またはエンドプレート39に当接し、当該蓄電素子20及びエンドプレート39を位置決めする部位である。
【0044】
次に、外蓋12の接合構造に関する部位について説明する。図4は、実施の形態に係る外蓋12の概略構成を示す下面図である。図4に示すように、外蓋12の内天面121には、外部端子91及び92と、収容凹部122とが設けられている。具体的には、外部端子91及び92は、その基部が内天面121から露出するように、外蓋12を貫通した状態で固定されている。収容凹部122は、内天面121よりも上方に向かって窪んだ部位であり、その内部に接続ユニット80等が収容されている。
【0045】
外蓋12の全周縁には、下方に向けて延設されたスカート部123が設けられている。スカート部123は、下面視において周方向に連続した矩形枠状に形成されている。また、外蓋12において、内天面121とスカート部123との間には、下方に向けて突出した凸条部124が設けられている。凸条部124は、下面視において周方向に連続した矩形枠状に形成されている。凸条部124の内方には、全周にわたって連続するように内天面121が配置されている。凸条部124の外方、つまり凸条部124とスカート部123との間には、周方向に連続した矩形枠状の第三スリット部125が形成されている。第三スリット部125は、下方が開放され、上部に底を有するスリットである。第三スリット部125の底面と、内天面121とは面一となっている。本体部11と外蓋12との接合後においては、外蓋12の凸条部124が、本体部11の内壁部51と外壁部53との間に配置されることとなる。
【0046】
図5は、実施の形態に係る本体部11と外蓋12との接合構造を示す断面図である。図5は、図1におけるV-V線を含むXZ平面に平行な切断面を見た断面図である。図5では、蓄電素子20とバスバー33とを平面図で図示している。凸条部124において図5に示す部位は、蓄電素子20の容器21の長側面211と平行な方向に突出した部位である。
【0047】
ここで、本体部11と外蓋12との接合には熱溶着が採用されている。熱溶着は、接合対象である部材同士を熱により溶融した後に、密着させて再硬化させることにより接合する手法である。熱溶着としては、例えばヒートシール、超音波溶着などが挙げられる。本開示では、接着剤による接合は熱溶着に含まれないものとする。接着剤を用いた接合においても、接合対象である部材同士が溶融し、再硬化することになるが、硬化後に接合箇所を解析すれば当該部位に接着剤が残存している。このため、接合後においても、当該接合が熱溶着によるものか、接着剤によるものかを判別することが可能である。
【0048】
熱溶着時においては、本体部11では、中間壁部52の先端部(上端部)の全周が加熱され溶融されている。一方、外蓋12では、凸条部124の下端部の全周が溶融されている。この両者が溶融した状態で、外蓋12を本体部11に近づけて、凸条部124の下端部の全周を、中間壁部52の先端部の全周に押し付けることで、溶融した部位同士が混ざり合う。このとき、本体部11では、内壁部51の先端部(上端部)が外蓋12の内天面121に対して当接する。
【0049】
内天面121における内壁部51の先端部が当接する部位は、当接部129である。当接部129は、内天面121において凸条部124よりも内方に位置し、当該凸条部124に隣接した矩形枠状の領域(図4に示すハッチング部)である。内壁部51の先端部と、当接部129とは加熱されていないために、溶融もしていない。このため、内壁部51の先端部と、当接部129とが当接すれば、外蓋12と本体部11とのそれ以上の接近が規制される。これにより、外蓋12と本体部11との相対的な位置関係を一定にすることができ、溶融した部位同士の混ざり合い具合(厚み)を一定にすることができる。
【0050】
なお、内壁部51の先端部が外蓋12の内天面121に対して当接する際には、外壁部53の先端部(上端部)も外蓋12の第三スリット部125の底面に対して当接する。つまり、第三スリット部125の底面も当接部129と同様に、外蓋12と本体部11とのそれ以上の接近を規制している。
【0051】
混ざり合った部位は、非加熱の状態で一定時間経過すると硬化し一体化されて接合される。この接合部位は、熱溶着部90である。熱溶着部90は、開口部111の全周に沿って連続的に設けられている。換言すると、本体部11と外蓋12とは、開口部111の全周に沿って接合された熱溶着部90を有している。なお、図5では、熱溶着部90に対して、凸条部124の先端部(下端部)と中間壁部52の先端部(上端部)との界面が図示されているが、実際には両者が混ざり合った状態で硬化しているので、界面は存在していない。この熱溶着部90によって、本体部11と外蓋12とが全周にわたって封止され、気密性が確保されている。また、接合時には、中間壁部52が凸条部124により押し潰されるために、凸条部124が内壁部51と外壁部53との間に進入する。接合後においては、凸条部124は、内壁部51と外壁部53とによって直接的に挟まれた状態となる。つまり、凸条部124の内面は、内壁部51に当接し、凸条部124の外面は外壁部53に当接している。これは熱溶着部90においても同様のことが言える。また、接合後においても、第一スリット部54は、内壁部51と中間壁部52との間に残存しており、第二スリット部55は、中間壁部52と外壁部53との間に残存している。第一スリット部54及び第二スリット部55は、X軸方向視において、凸条部124に重ならない位置に配置されている。
【0052】
外蓋12の第三スリット部125内には、本体部11の外壁部53が嵌合している。外壁部53は、凸条部124とスカート部123とによって直接的に挟まれている。つまり、外壁部53の内面は、凸条部124に当接し、外壁部53の外面はスカート部123に当接している。
【0053】
次に、本体部11と外蓋12との接合構造の作用について説明する。蓄電素子20は、膨張時において容器21の短側面212よりも長側面211の方が膨張しやすい特性を有している。このため、容器21の長側面211の膨張に注目して、本体部11と外蓋12との接合構造の作用について説明する。
【0054】
図5に示すように、容器21の長側面211が膨張すると、エンドプレート39を介して本体部11に対しても外方へ向かう押圧力が作用する(矢印Y1)。この押圧力によって内壁部51も外方へと移動しようとするが、当該内壁部51が外蓋12の凸条部124に当接しているために、その移動が凸条部124で規制される。すなわち内壁部51の外方への変形が抑制される。特に、凸条部124は、当該部位において容器21の長側面211と平行な方向に突出しているので、内壁部51における長側面211に対向する部位は、凸条部124により外方から規制される。このため、短側面212よりも膨張しやすい長側面211の膨張が内壁部51に伝達したとしても、凸条部124による規制によって内壁部51のX軸方向の変形が抑制される。
【0055】
なお、凸条部124は、蓄電素子20の容器21の短側面212に平行に突出した部位も有しているために、短側面212の膨張が内壁部51に伝達したとしても、当該部位による規制によって内壁部51のY軸方向の変形が抑制される。
【0056】
また、内壁部51は、押圧力を遮る障壁でもあるので、内壁部51よりも外方に配置された熱溶着部90には、押圧力が伝達されにくい。したがって、蓄電素子20の膨張を起因とした熱溶着部90の損傷を抑制することができる。
【0057】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、長側面211及び当該長側面211に隣接する短側面212を備え、内部に電極体を収容する容器21を有する蓄電素子20と、蓄電素子20を収容する外装体10とを備えている。外装体10は、開口部111を有し、蓄電素子20が開口部111内に収容される本体部11(第一部材)と、開口部111を覆った状態で本体部11に接合される外蓋12(第二部材)と、を備えている。本体部11と外蓋12とは、開口部111の全周に沿って相互に接合された熱溶着部90を有している。外蓋12は、長側面211と平行な方向に突出した部位を有するとともに、開口部111の全周に沿って延設され、熱溶着部90の一部をなす凸条部124を有している。本体部11は、凸条部124よりも内方に配置され、熱溶着部90を内方から覆う内壁部51を有している。内壁部51は、凸条部124によって外方から規制される。
【0058】
これによれば、凸条部124が容器21の長側面211と平行な方向に突出した部位を有しているので、内壁部51における長側面211に対向する部位は、凸条部124により外方から規制される。このため、短側面212よりも膨張しやすい長側面211の膨張が内壁部51に伝達したとしても、凸条部124による規制によって内壁部51の変形をより確実に抑制することが可能である。また、内壁部51は、押圧力を遮る障壁でもあるので、内壁部51よりも外方に配置された熱溶着部90には、押圧力が伝達されにくい。したがって、蓄電素子20の膨張を起因とした熱溶着部90の損傷を抑制することができる。
【0059】
また、熱溶着部90は、内壁部51によって内方から覆われているので、蓄電素子20から放出されたガスが内壁部51によって遮られ熱溶着部90まで伝わりにくい。このため、ガスを起因とした熱溶着部90の損傷も抑制することができる。
【0060】
また、蓄電素子20は、長側面211同士が対向するようにX軸方向(所定の方向)に沿って複数積層されている。
【0061】
これによれば、長側面211同士が対向するように所定の方向に沿って複数の蓄電素子20が積層されているので、複数の蓄電素子のそれぞれが膨張することでより大きな押圧力が内壁部51に作用することとなる。このような場合においても、容器21の長側面211に平行な方向に突出した凸条部124によって、内壁部51の外方への変形を抑制することができる。内壁部51の変形が抑制されていれば、熱溶着部90にも押圧力が伝達されにくい。このように、複数の蓄電素子20が積層された蓄電装置1であっても、蓄電素子20の膨張を起因とした熱溶着部90の損傷を抑制することが可能である。
【0062】
また、内壁部51は、本体部11においてX軸方向に対応する部位に設けられている。
【0063】
例えば、直方体状の蓄電素子20の長側面211同士が重なるように、複数の蓄電素子20を積層した場合、複数の蓄電素子20は、その並び方向(所定の方向)で膨張しやすい。つまり、本体部11におけるX軸方向に対応する部位では、他の部位よりも大きな押圧力が作用する。しかしながら、この本体部11におけるX軸方向に対応する部位に内壁部51が設けられていれば、大きな押圧力を内壁部51が確実に遮るために、熱溶着部90の損傷をより確実に抑制することができる。
【0064】
また、本体部11における熱溶着部90をなす部位と、内壁部51との間には第一スリット部54(スリット部)が形成されている。
【0065】
これによれば、本体部11における熱溶着部90をなす部位と、内壁部51との間には第一スリット部54が形成されているので、内壁部51が押圧力を受けて変形したとしても、その変形を第一スリット部54で吸収することができる。これにより、内壁部51の変形に連動して熱溶着部90が押圧されることを抑制することができる。
【0066】
また、上述したように、内壁部51は凸条部124によって外方から規制される。第一スリット部54が凸条部124に重なる位置に設けられていると、蓄電素子20の膨張によって内壁部51が外方に変形すれば第一スリット部54が潰れてしまい、その後においては内壁部51の変形に連動して熱溶着部90が押圧されてしまう。本実施形態では、第一スリット部54が凸条部に重ならない位置に配置されているので、内壁部51が外方に変形したとしても第一スリット部54は常に維持される。このため、内壁部51の変形に連動して熱溶着部90が押圧されることをより確実に抑制することができる。
【0067】
また、本体部11は、凸条部124よりも外方に配置され、凸条部124を外方から規制する外壁部53を有する。
【0068】
これによれば、本体部11に備わる外壁部53が凸条部124を外方から規制しているので、凸条部124が内壁部51からの押圧力を受けて外方へと変形しようとしたとしても、当該変形を外壁部53が規制する。つまり、熱溶着部90の一部をなす凸条部124が変形しにくくなるので、熱溶着部90の損傷をより抑制することができる。
【0069】
また、本体部11における熱溶着部90をなす部位と、外壁部53との間には第二スリット部55が形成されている。
【0070】
これによれば、本体部11における熱溶着部90をなす部位と、外壁部53との間には第二スリット部55が形成されているので、外部からの衝撃をスカート部123が受けて、外壁部53が変形したとしても、その変形を第二スリット部55で吸収することができる。これにより、外部からの衝撃によって熱溶着部90が押圧されることを抑制することができる。
【0071】
また、外蓋12は、凸条部124よりも内方に配置され、内壁部51の先端部が当接する当接部129を有する。
【0072】
これによれば、凸条部124よりも内方に配置された当接部129が、内壁部51の先端部に当接するので、当接部129と内壁部51の先端部とで、本体部11と外蓋12との相対的な位置関係を規定することができる。したがって、位置決め用の治具がなくとも本体部11と外蓋12との位置関係を一定にすることができる。
【0073】
[変形例1]
上記実施の形態では、本体部11の接合部50が、内壁部51、中間壁部52及び外壁部53を備えている場合を例示した。この変形例1では、外壁部を有していない接合部50aを例示して説明する。図6は、変形例1に係る本体部11aの概略構成を示す斜視図である。図7は、変形例1に係る本体部11aと外蓋12との接合構造を示す断面図である。具体的には、図6図3に対応する図であり、図7図5に対応する図である。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0074】
図6及び図7に示すように、変形例1に係る接合部50aは、内壁部51及び中間壁部52を備えており、外壁部を備えていない。このため、変形例1に係る本体部11aは、実施の形態に係る本体部11よりも上面視で小型化されている。
【0075】
図7に示すように、変形例1に係る本体部11aと外蓋12との接合構造においても、熱溶着部90は、開口部111の全周に沿って連続的に設けられている。熱溶着部90の一部をなす凸条部124と、内壁部51と、第一スリット部54とは上記実施の形態と同様の位置関係であるために、これらについては上記実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0076】
一方、外蓋12の第三スリット部125内には、外壁部が収容されないので、当該第三スリット部125の幅を、上記実施の形態の第三スリット部125と比べても小さくすることができる。このため、変形例1に係る外蓋12は、実施の形態に係る外蓋12よりも上面視で小型化にすることが可能であり、結果的に蓄電装置1の小型化が可能である。
【0077】
[変形例2]
上記実施の形態では、本体部11の接合部50が、内壁部51、中間壁部52及び外壁部53を備えている場合を例示した。この変形例1では、中間壁部及び外壁部を有していない接合部50bを例示して説明する。図8は、変形例2に係る本体部11bと外蓋12との接合構造を示す断面図である。具体的には、図8図5に対応する図である。
【0078】
図8に示すように、変形例2においては、凸条部124の内面と、内壁部51の先端部(上端部)の外面とが熱溶着されることで、混ざり合い熱溶着部90bをなしている。なお、図8では、熱溶着部90bに対して、凸条部124の内面と内壁部51の先端部の外面との界面が図示されているが、実際には両者が混ざり合った状態で硬化しているので、界面は存在していない。この場合においても、短側面212よりも膨張しやすい長側面211の膨張が内壁部51に伝達したとしても、凸条部124による規制によって内壁部51の変形をより確実に抑制することが可能である。
【0079】
[その他]
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及び変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0080】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子20の膨張前の状態から、凸条部124が内壁部51に当接していることで、当該凸条部124が内壁部51を外方から規制している場合を例示した。しかしながら、蓄電素子20の膨張前の状態では、凸条部124が内壁部51に当接しておらず両者間に隙間が設けられていてもよい。蓄電素子20が膨張することで内壁部51も膨張するが、その膨張によって内壁部51が凸条部124に当接すれば、それ以上の内壁部51の変形を規制することが可能である。
【0081】
また、上記実施の形態では、内壁部51が凸条部124及び中間壁部52及び外壁部53が、本体部11の全周にわたって設けられている場合を例示した。しかしながら、凸条部124及び中間壁部52及び外壁部53は、開口部111の全周の密閉性を確保できるのであれば、所定の方向(X軸方向)に対応する部位にのみ設けられていればよい。これにより、蓄電装置を小型にしつつ、少なくとも長側面の膨張を起因とした熱溶着部の損傷を抑制することができる。
【0082】
また、上記実施の形態及びその変形例では、本体部11内に複数の蓄電素子20が収容される場合を例示した。しかしながら、本体部内に1つの蓄電素子のみが収容されていてもよい。この場合、本体部は、1つの蓄電素子の膨張を受ける形状を有するものとする。
【0083】
また、上記実施の形態では、本体部11が第一スリット部54及び第二スリット部55を有する場合を例示した。しかしながら、本体部は第一スリット部及び第二スリット部の少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態及びその変形例では、外蓋12が当接部129を有している場合を例示した。しかしながら、外蓋は当接部を有していなくてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 蓄電装置
10 外装体
11、11a、11b 本体部(第一部材)
12 外蓋(第二部材)
17 バスバープレート
17a バスバー用開口部
20 蓄電素子
21 容器
33 バスバー
39 エンドプレート
50、50a、50b 接合部
51 内壁部
52 中間壁部
53 外壁部
54 第一スリット部(スリット部)
55 第二スリット部
80 接続ユニット
90、90b 熱溶着部
91、92 外部端子
111 開口部
112 リブ
121 内天面
122 収容凹部
123 スカート部
124 凸条部
125 第三スリット部
129 当接部
211 長側面
212 短側面
221 正極端子
222 負極端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8