(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/01 20060101AFI20240220BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G07G1/01 301D
A47F5/00 E
(21)【出願番号】P 2019229963
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-11-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
(72)【発明者】
【氏名】菅ヶ谷 啓希
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055248(JP,A)
【文献】特開2007-319522(JP,A)
【文献】特開2019-045156(JP,A)
【文献】特開平09-204502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 5/00
A47F 5/00
G06Q 10/00-99/00
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 5/00- 9/10,
17/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客属性を取得し、取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替える、
情報処理システムであって、
前記顧客属性を取得する顧客属性特定部と、
顧客位置を把握する顧客位置把握部と、
把握した前記顧客位置から所定の範囲に配置された前記電子棚札の価格表示を
、取得した前記顧客属性に応じて切り替える制御部と、
を備え、
前記制御部は、商品が陳列された小売店内の顧客数に応じて、前記所定の範囲を変化させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記顧客位置把握部は、顧客を撮像した画像を用いる画像認識によって前記顧客位置を把握する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記所定の範囲は、前記顧客の視線の方向の範囲、または、前記顧客の顔が向いた方向の範囲を含む、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
複数の顧客の前記顧客位置から所定の範囲が重なる領域に位置する前記電子棚札は、所定の優先順位の上位の顧客属性に応じて、前記価格表示を切り替える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記価格表示を切り替えた前記電子棚札が前記顧客位置から所定の範囲外となった場合、または、前記価格表示を切り替えてから所定時間を経過した場合、の少なくともいずれかの場合に前記電子棚札の前記価格表示を元に戻す、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記顧客属性特定部は、前記顧客属性
として、顧客の使用する外貨または外貨に関する属性を取得する顧客希望外貨特定部
であり、
前記制御部は、前記電子棚札の表示を、取得した前記顧客属性に応じて、所定の換算レートで換算された商品の価格に切り替える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
顧客属性を取得し、取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替える情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記情報処理システムは、
前記顧客属性を取得する顧客属性特定部と、
顧客位置を把握する顧客位置把握部と、
把握した前記顧客位置から所定の範囲に配置された前記電子棚札の価格表示を、取得した前記顧客属性に応じて切り替える制御部と、
を備え、
前記顧客属性特定部によって、前記顧客属性を取得させるステップと、
前記制御部によって、取得した前記顧客属性に応じて、
前記電子棚札の価格表示を切り替
させるステップと、
前記顧客位置把握部によって、前記顧客位置を把握
させるステップと、
を備え、
前記電子棚札の価格表示を切り替
させるステップにおいて、
把握した前記顧客位置から所定の範囲に配置された前記電子棚札の価格表示を切り替え
させ、
商品が陳列された小売店内の顧客数に応じて、前記所定の範囲の広さを変化させる、
情報処理方法。
【請求項8】
顧客属性を取得させ、
取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替えさせ、
顧客位置を把握させる、
ことをコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記電子棚札の価格表示を切り替える際に、
把握した前記顧客位置から所定の範囲に配置された前記電子棚札の価格表示を切り替えさせ、
商品が陳列された小売店内の顧客数に応じて、前記所定の範囲の広さを変化させる、
ことをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
訪日外国人が増加している。訪日外国人が日本の小売店で買い物を行う機会も増加している。日本の小売店では、基本的に、商品の価格は、日本円で表示されている。したがって、訪日外国人が買い物を行う際には、日本円表示された価格を、電卓や暗算等で母国通貨に換算し、概算価格を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-164060号公報
【文献】特開2017-126872号公報
【文献】特開2007-018035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
訪日外国人等の渡航者は、外国の小売店で買い物を行う際に、現地通貨で表示された価格が母国通貨ではどれくらいなのか、感覚的につかむことが難しい。また、小売店側は、顧客として来店した渡航者が、どの通貨表示を希望しているか不明だから、どの通貨で商品の価格を表示すればよいか決めることができない。
【0005】
本開発の目的は、かかる事情に鑑み、顧客が希望する通貨表示で商品の価格を表示することができる情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る情報処理システムは、顧客属性を取得し、取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替える。
【0007】
一実施の形態に係る情報処理方法は、顧客属性を取得するステップと、取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替えるステップと、を備える。
【0008】
一実施の形態に係る情報処理プログラムは、顧客属性を取得させ、取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替えさせる、ことをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、顧客が希望する通貨表示で商品の価格を表示することができる情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムを例示したブロック図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムにおいて、商品及び電子棚札を配置した小売店内を例示した図である。
【
図3】実施形態に係る情報処理方法を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、図示の態様に限定することを意図するものではないことは言うまでもない。
【0012】
(実施形態)
実施形態に係る情報処理システムを説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システムを例示したブロック図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、電子棚札10、顧客希望外貨特定部20、顧客位置把握部30、制御部40を備えている。情報処理システム1は、外貨換算レートデータベースERDBを備えてもよい。
【0013】
図2は、実施形態に係る情報処理システム1において、商品及び電子棚札を配置した小売店内を例示した図である。
図2に示すように、電子棚札10(10a~10l)は、商品GDの近傍に配置されている。小売店ST内の陳列棚SHに複数の商品GDが陳列されている場合には、複数の電子棚札10a~10lは、複数の商品GDの各近傍に配置されている。なお、電子棚札を総称して呼ぶ場合には、電子棚札10と呼び、特定の電子棚札を呼ぶ場合には、電子棚札10aのように符号を特定して呼ぶ。
【0014】
電子棚札10は、近傍に配置された商品GDの価格を表示する。例えば、電子棚札10は、商品GDの日本円における価格を表示する。また、電子棚札10は、外貨換算レートで換算された商品GDの換算価格を表示する。さらに、電子棚札10は、割引した割引価格及び割り増しした割り増し価格、並びに、割引価格及び割り増し価格を外貨換算レートで換算された割引換算価格及び割り増し換算価格を表示する。
【0015】
図1に示すように、電子棚札10は、制御部40と、有線または無線の通信回線によって接続されている。電子棚札10の表示は、制御部40によって制御されている。
【0016】
顧客希望外貨特定部20は、顧客属性を取得する。顧客希望外貨特定部20は、顧客が希望する外貨を特定できるのであれば、どのような情報を用いても構わない。顧客属性は、例えば、顧客の使用する外貨である。なお、顧客属性は、顧客の使用する外貨に限らず、顧客の国籍、顧客の居住地、顧客の母国、顧客の所有するクレジットカードの引き落とし国等の外貨に関する属性でもよいし、価格の割引または価格の割増の対象となるような顧客の年齢、性別、職業等の属性でもよい。
【0017】
顧客希望外貨特定部20は、例えば、通信機を含み、顧客が入店した際に、顧客が携帯するスマートフォン等の情報処理端末と通信する。顧客の情報処理端末には、予め、顧客希望外貨特定部20と通信するアプリケーションがインストールされている。当該アプリケーションは、顧客が使用する外貨等の顧客属性を記憶している。よって、顧客希望外貨特定部20は、そのようなアプリケーションを介して顧客の情報処理端末と通信することにより、顧客属性を取得する。これにより、顧客希望外貨特定部20は、情報処理端末を携帯した顧客の顧客属性を取得する。ここでは、アプリケーションを用いて情報処理端末から顧客属性を取得する構成を1例として説明したが、情報処理端末から顧客属性を取得できるのであれば、どのような方法を用いても構わない。
【0018】
また、顧客希望外貨特定部20は、例えば、小売店ST内に用意された顧客属性選択部を含み、顧客による顧客属性選択部の選択から、顧客属性を取得してもよい。これにより、顧客希望外貨特定部20は、顧客属性選択部を操作した顧客の顧客属性を取得する。顧客属性選択部は、例えば、押しボタン式スイッチで選択するものでもよいし、タッチパネルで選択するものでもよい。
【0019】
また、顧客希望外貨特定部20は、例えば、顧客の顔画像照合部を含み、入店した際に撮像した顧客の顔画像と、予め顧客属性とともに登録された顧客の顔画像とを照合することにより、顧客属性を取得する。具体的には、顧客は、小売店STに入店する際に、入口において、顔を撮像される。一方、顧客は、あらかじめ、顔画像とともに顧客属性を登録しておく。登録の際には、例えば、顧客の情報処理端末にインストールされた専用のアプリケーションを用いて顧客希望外貨特定部20に登録する。よって、顧客希望外貨特定部20は、入店した顧客の顔画像から、顧客属性を取得する。
【0020】
顧客希望外貨特定部20は、制御部40と、有線または無線の通信回線によって接続されている。顧客希望外貨特定部20が取得した顧客属性は、制御部40に出力される。
【0021】
外貨換算レートデータベースERDBは、外貨換算レートを保存している。外貨換算レートデータベースERDBは、例えば、制御部40と有線または無線の通信回線で接続されている。外貨換算レートデータベースERDBは、制御部40に接続されたネットワーク上のクラウドに設けられてもよいし、サーバに設けられてもよい。外貨換算レートデータベースERDBは、制御部40の制御によって、各国の外貨換算レートを更新する。外貨換算レートの更新は、例えば、1日1回でもよいし、相場変動に伴ってリアルタイムでもよい。また、制御部40は、外貨換算レートデータベースERDBに、クレジットカード会社が決定する外貨換算レートを保存してもよい。外貨換算レートデータベースERDBは、制御部40によってアクセスされ、保存する外貨換算レートを出力する。
【0022】
なお、制御部40は、外貨換算レートを、外貨換算レートデータベースERDBから取得する代わりに、実際の外国為替相場の情報にアクセスして取得してもよい。また、制御部40は、顧客が使用するクレジットカード会社のウェブページにアクセスして、クレジットカード会社が決定する外貨換算レートを取得してもよい。また、制御部40は、顧客属性に応じて割引及び割り増しする割引価格及び割り増し価格を、所定のウェブページまたは所定のデータベースから取得してもよい。
【0023】
顧客位置把握部30は、顧客位置を把握する。例えば、顧客位置把握部30は、顧客を撮像した画像を用いる画像認識により、顧客位置を把握する。具体的には、顧客位置把握部30は、顧客を撮像する撮像装置と、撮像した画像から顧客を認識する画像認識部とを有している。顧客位置把握部30は、小売店STの入り口で顧客を撮像した画像を用いて、画像認識により顧客を特定する。そして、小売店ST内を移動する顧客の動きに追随して、特定した顧客の顧客位置を把握する。
【0024】
顧客位置把握部30は、レーザ光を小売店ST内に照射することにより、顧客位置を把握してもよい。顧客位置把握部30は、例えば、レーザ光を照射するレーザ光照射部と、レーザ光の散乱光を受光する受光部とを有している。顧客位置把握部30は、レーザ光を扇状に旋回させて小売店ST内を照射する。顧客位置把握部30は、レーザ光が顧客で散乱された散乱光を受光することにより、顧客の位置を把握する。具体的には、顧客が入店した際に、顧客位置把握部30は、レーザ光の照射及び散乱光の受光により、入店した顧客を特定する。そして、小売店ST内部を移動する顧客の動きに追随して、特定した顧客の顧客位置を把握する。
【0025】
顧客位置把握部30は、顧客が携帯する情報処理端末との間で、無線通信することにより、顧客位置を把握してもよい。顧客位置把握部30は、例えば、各電子棚札10に設けられた通信装置を有している。各電子棚札10の通信装置は、顧客が携帯する情報処理端末との間で無線通信を行う。顧客位置把握部30は、複数の電子棚札10の通信装置のうち、顧客の情報処理端末との通信強度の大きいものから、顧客位置を把握する。顧客位置把握部30は、例えば、所定の近距離無線通信規格による無線通信を行うことにより、顧客位置を把握してもよい。近距離無線通信規格による無線通信は、例えば、ブルートゥース(登録商標)による無線通信である。
【0026】
顧客位置把握部30は、制御部40と、有線または無線の通信回線によって接続されている。顧客位置把握部30が取得した顧客位置は、制御部40に出力される。
【0027】
制御部40は、取得した顧客属性に応じて、電子棚札10の価格表示を切り替える。
図2に示すように、例えば、制御部40は、顧客位置把握部30が把握した顧客CSの位置から所定の範囲RG1に配置された電子棚札10d、10e、10j、10kの価格表示を切り替える。所定の範囲RG1は、例えば、顧客CSの位置の近傍として、数[m]の範囲と距離を規定してもよい。
【0028】
制御部40は、顧客CSが移動することにより、新たに所定の範囲RG1に属する電子棚札10の価格表示を切り替える。一方、制御部40は、顧客CSが移動することにより、所定の範囲RG1から外れた電子棚札10の表示を元に戻す。
【0029】
顧客CSを撮像した画像を用いる画像認識により、顧客CSの位置を把握する場合には、顧客位置把握部30は、顧客CSの視線、顧客CSの顔の向き、顧客CSの進む方向も把握することができる。この場合には、制御部40は、所定の範囲RG2として、顧客CSの視線の方向の範囲、または、顧客CSの顔が向いた方向の範囲を含むように設定してもよい。よって、制御部40は、所定の範囲RG2に配置された電子棚札10h、10i、10jの表示を切り替える。また、制御部40は、顧客CSが店内を移動し、所定の範囲RG1及びRG2から外れて所定時間経過後に電子棚札10k、10lの表示を元に戻してもよいし、顧客の背後に配置された電子棚札10e、10fの表示を元に戻してもよい。すなわち、制御部40は、価格表示を切り替えた電子棚札10が顧客位置から所定の範囲外となった場合、または、価格表示を切り替えてから所定時間を経過した場合、の少なくともいずれかの場合に電子棚札10の価格表示を元に戻す。
【0030】
顧客CSが携帯する情報処理端末との間で、無線通信することにより、顧客位置を把握する場合には、所定の範囲RG1は、情報処理端末との間で、所定の近距離無線通信規格による無線通信が可能な範囲を含むようにしてもよい。例えば、所定の範囲RG1を、ブルートゥース(登録商標)による無線通信が可能な範囲としてもよい。
【0031】
さらに、制御部40は、商品GSが陳列された小売店ST内の顧客数に応じて、所定の範囲RG1及びRG2の広さを変化させてもよい。具体的には、小売店ST内に1人の顧客CSしかいない場合には、所定の範囲を、小売店ST内全体を含むようにしてもよい。逆に、小売店ST内に多数の顧客CSがいる場合には、所定の範囲を狭める。これにより、他の顧客CSに属する所定の範囲と競合しないようにすることができる。なお、複数の顧客が居たとしても、希望する外貨表示が一致する場合は、所定の範囲を狭めなくても良い。また、店内に所定の数以上の顧客がおり、その顧客が共通の外貨表示を希望する場合は、店内全ての電子棚札10表示を当該外貨換算表示に変更しても良い。
【0032】
制御部40は、顧客CSから所定の範囲RG1及びRG2に配置された電子棚札10の表示を、顧客希望外貨特定部20が取得した顧客属性に応じて、所定の換算レートで換算された商品の換算価格に切り替える。例えば、「ドル」表示を希望する顧客CSから所定の範囲RG1及びRG2に配置された電子棚札10の表示を、「ドル」表示を希望するという顧客属性に応じて、ドル換算された価格に切り替える。
【0033】
小売店ST内に複数の顧客CSがいる場合に、複数の顧客CSの所定の範囲RG1及びRG2が重なる領域に配置された電子棚札10は、各顧客CSの各顧客属性に応じて、複数の換算価格を表示する。例えば、「ドル」表示を希望する顧客CSから所定の範囲RG1及びRG2であるとともに、「元」表示を希望する顧客から所定の範囲に配置された電子棚札10は、「ドル」表示及び「元」表示の両方の表示を行う。なお、複数の顧客CSの所定の範囲RG1及びRG2が重なる領域に位置する電子棚札10は、所定の優先順位の上位の顧客属性に応じて、換算価格を表示する。例えば、各顧客CSとの距離に応じて、表示する換算価格に優先順位を設けてもよい。例えば、電子棚札10に近い方の顧客CSの換算価格を優先して表示してもよい。
【0034】
また、制御部40は、価格の割引または価格の割り増しの対象となるような顧客属性が取得された場合には、割引価格及び割り増し価格を表示してもよいし、単に、割引価格及び割り増し価格を表示するのではなく、割引価格や割り増し価格を外貨換算レートで換算された割引換算価格及び割り増し換算価格を表示してもよい。
【0035】
次に、実施形態に係る情報処理システムの動作として、情報処理方法を説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理方法を例示したフローチャート図である。
図3のステップS11に示すように、顧客属性を取得する。例えば、顧客希望外貨特定部20は、顧客の情報処理端末にインストールされたアプリケーションとの通信、登録された顧客の顔画像の照合、または、顧客による顧客属性選択スイッチの選択により、顧客属性を取得する。
【0036】
次に、ステップS12に示すように、顧客位置を把握する。例えば、顧客位置把握部30は、顧客を撮像した画像を用いる画像認識、小売店ST内へのレーザ光の照射、または、顧客が携帯する情報処理端末との無線通信により、顧客位置を把握する。
【0037】
次に、ステップS13に示すように、顧客位置から所定の範囲における電子棚札10の表示を切り替える。例えば、制御部40は、所定の範囲に配置された電子棚札10の表示を、取得した顧客属性に応じて切り替える。具体的には、日本円価格の表示を、顧客の希望通貨の換算レートで換算された換算価格、または、顧客の使用するクレジットカード会社が決定する換算レートで換算された換算価格に切り替える。
【0038】
次に、ステップS14に示すように、顧客が退店したか、または、精算が完了したかを判断する。退店しない、または、精算が完了しないNOの場合には、ステップS12に戻り、顧客位置を把握する。そして、ステップS13及びステップS14を繰り返す。一方、退店したまたは、精算が完了したYESの場合には、処理を終了する。
【0039】
次に、実施形態に係る情報処理プログラムを説明する。本実施形態の情報処理プログラムは、前述の
図3の各ステップに示す動作をコンピュータに実行させる。
【0040】
まず、
図3のステップS11に示すように、顧客情報を取得させる。例えば、顧客希望外貨特定部20に、顧客の情報処理端末にインストールされたアプリケーションとの通信、登録された顧客の顔画像の照合、または、顧客による顧客属性選択スイッチの選択によって、顧客属性を取得させる。
【0041】
次に、ステップS12に示すように、顧客位置を把握させる。例えば、顧客位置把握部30に、顧客を撮像した画像を用いる画像認識、小売店ST内へのレーザ光の照射、または、顧客が携帯する情報処理端末との無線通信によって、顧客位置を把握させる。
【0042】
次に、ステップS13に示すように、顧客位置から所定の範囲における電子棚札10の表示を切り替えさせる。例えば、制御部40に、所定の範囲に配置された電子棚札10の表示を、取得した顧客属性に応じて切り替えさせる。具体的には、現地通貨での価格の表示を、顧客の希望通貨の換算レートで換算された換算価格、または、顧客の使用するクレジットカード会社が決定する換算レートで換算された換算価格に切り替えさせる。
【0043】
次に、ステップS14に示すように、顧客が退店したか、または、精算が完了したか判断させる。退店しない、または、精算が完了しないNOの場合には、ステップS12に戻り、顧客位置を把握させる。そして、ステップS13及びステップS14を繰り返す。一方、退店した、または、精算が完了したYESの場合には、処理を終了させる。
【0044】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態の情報処理システム1は、顧客属性を取得し、取得した顧客属性に応じて、電子棚札10の表示を切り替える。よって、顧客は、顧客属性に応じて切り替えられた電子棚札10の表示から、顧客が希望する外貨の換算レートで換算された換算価格を把握することができる。これにより、渡航者が外国の小売店で買い物を行う際に、商品の換算価格を容易に把握することができる。
【0045】
また、顧客属性は、顧客の使用する外貨に限らず、顧客の国籍、顧客の居住地、顧客の母国、顧客の所有するクレジットカード会社の引き落とし国等の外貨に関する属性でもよい。例えば、制御部40は、外貨換算レートデータベースERDBに、クレジットカード会社が決定する引き落とし時の換算レートを保存してもよい。これにより、顧客は、商品の換算価格として、実際に、クレジットカード会社が引き落とす価格を把握することができる。
【0046】
さらに、特定の顧客属性を対象とした価格の割引または価格の割増がある場合には、制御部40は、商品の価格に割引または割増した換算価格を表示させてもよい。その際には、制御部40内部のアルゴリズムを用いて換算価格を算出してもよい。これにより、顧客は、割引または割増された換算価格を把握することができる。
【0047】
顧客の視線の方向の範囲、または、顧客の顔が向いた方向の範囲に配置された電子棚札10のみ表示を切り替えることにより、効率的に電子棚札10の表示を切り替えることができ、切り替えコストを低減することができる。また、小売店内の顧客数に応じて、電子棚札10を切り替える範囲を変化させるので、他の顧客の顧客属性に応じた表示との競合を抑制することができる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限らない。
【0049】
(付記1)
顧客属性を取得し、取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替える、
情報処理システム。
【0050】
(付記2)
前記顧客属性を取得する顧客希望外貨特定部と、
前記電子棚札の表示を、取得した前記顧客属性に応じて、所定の換算レートで換算された商品の価格に切り替える制御部と、
を備えた付記1に記載の情報処理システム。
【0051】
(付記3)
前記顧客希望外貨特定部は、小売店内で用意された顧客属性選択部の顧客による選択から、顧客属性を取得する、
付記2に記載の情報処理システム。
【0052】
(付記4)
前記顧客希望外貨特定部は、通信機を含み、顧客が携帯する情報処理端末と通信することにより、顧客属性を取得する、
付記2に記載の情報処理システム。
【0053】
(付記5)
前記顧客希望外貨特定部は、顧客の顔画像照合部を含み、撮像された前記顧客の顔画像と、予め前記顧客属性とともに登録された前記顧客の顔画像とを照合することにより、顧客属性を取得する、
付記2に記載の情報処理システム。
【0054】
(付記6)
顧客属性を取得するステップと、
取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替えるステップと、
を備えた情報処理方法。
【0055】
(付記7)
顧客位置を把握するステップをさらに備え、
前記電子棚札の価格表示を切り替えるステップは、
把握した前記顧客位置から所定の範囲に配置された前記電子棚札の価格表示を切り替える、
付記6に記載の情報処理方法。
【0056】
(付記8)
前記顧客位置を把握するステップは、
顧客を撮像した画像を用いる画像認識によって、前記顧客位置を把握する、
付記7に記載の情報処理方法。
【0057】
(付記9)
前記所定の範囲は、前記顧客の視線の方向の範囲、または、前記顧客の顔が向いた方向の範囲を含む、
付記8に記載の情報処理方法。
【0058】
(付記10)
前記顧客位置を把握するステップは、
レーザ光を照射することによって、前記顧客位置を把握する、
付記7に記載の情報処理方法。
【0059】
(付記11)
前記顧客位置を把握するステップは、
顧客が携帯する情報処理端末との間で無線通信することにより、前記顧客位置を把握する、
付記7に記載の情報処理方法。
【0060】
(付記12)
前記所定の範囲は、前記情報処理端末との間で、所定の近距離無線通信規格による前記無線通信が可能な範囲を含む、
付記11に記載の情報処理方法。
【0061】
(付記13)
前記価格表示を切り替えた前記電子棚札が前記顧客位置から所定の範囲外となった場合、または、前記価格表示を切り替えてから所定時間を経過した場合、の少なくともいずれかの場合に前記電子棚札の前記価格表示を元に戻すステップをさらに備えた、
付記7~12のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【0062】
(付記14)
前記電子棚札の表示を切り替えるステップにおいて、
商品が陳列された小売店内の顧客数に応じて、前記所定の範囲の広さを変化させる、
付記7~13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【0063】
(付記15)
前記電子棚札の表示を、取得した前記顧客属性に応じて、所定の換算レートで換算された商品の価格に切り替えるステップをさらに備えた
付記6に記載の情報処理方法。
【0064】
(付記16)
前記顧客属性を取得するステップにおいて、
小売店内で用意された顧客属性選択部の顧客による選択から、顧客属性を取得する、
付記15に記載の情報処理方法。
【0065】
(付記17)
前記顧客属性を取得するステップにおいて、
通信機によって、顧客が携帯する情報処理端末と通信することにより、顧客属性を取得する、
付記15に記載の情報処理方法。
【0066】
(付記18)
顧客属性を取得させ、
取得した前記顧客属性に応じて、電子棚札の価格表示を切り替えさせる、
ことをコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【0067】
(付記19)
顧客位置を把握させる、
ことをさらにコンピュータに実行させ、
前記電子棚札の価格表示を切り替える際に、
把握した前記顧客位置から所定の範囲に配置された前記電子棚札の価格表示を切り替えさせる、
ことをコンピュータに実行させる付記18に記載の情報処理プログラム。
【0068】
(付記20)
前記顧客位置を把握させる際に、
顧客を撮像した画像を用いる画像認識によって、前記顧客位置を把握させる、
ことをコンピュータに実行させる付記19に記載の情報処理プログラム。
【0069】
(付記21)
前記所定の範囲は、前記顧客の視線の方向の範囲、または、前記顧客の顔が向いた方向の範囲を含む、
付記20に記載の情報処理プログラム。
【0070】
(付記22)
前記顧客位置を把握させる際に、
レーザ光を照射することによって、前記顧客位置を把握させる、
ことをコンピュータに実行させる付記19に記載の情報処理プログラム。
【0071】
(付記23)
前記顧客位置を把握させる際に、
顧客が携帯する情報処理端末との間で無線通信することにより、前記顧客位置を把握させる、
ことをコンピュータに実行させる付記19に記載の情報処理プログラム。
【0072】
(付記24)
前記所定の範囲は、前記情報処理端末との間で、所定の近距離無線通信規格による前記無線通信が可能な範囲を含む、
付記23に記載の情報処理プログラム。
【0073】
(付記25)
前記価格表示を切り替えた前記電子棚札が前記顧客位置から所定の範囲外となった場合、または、前記価格表示を切り替えてから所定時間を経過した場合、の少なくともいずれかの場合に前記電子棚札の前記価格表示を元に戻させる、
ことをさらにコンピュータに実行させる付記19~24のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【0074】
(付記26)
前記電子棚札の表示を切り替させる際に、
商品が陳列された小売店内の顧客数に応じて、前記所定の範囲の広さを変化させる、
ことをコンピュータに実行させる付記19~25のいずれか1項に記載の情報処理プログラム。
【0075】
(付記27)
前記電子棚札の表示を、取得した前記顧客属性に応じて、所定の換算レートで換算された商品の価格に切り替えさせる、
ことをさらにコンピュータに実行させる付記18に記載の情報処理プログラム。
【0076】
(付記28)
前記顧客属性を取得させる際に、
小売店内で用意された顧客属性選択部の顧客による選択から、顧客属性を取得する、
付記27に記載の情報処理プログラム。
【0077】
(付記29)
前記顧客属性を取得させる際に、
通信機によって、顧客が携帯する情報処理端末と通信することにより、顧客属性を取得させる、
付記27に記載の情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理システム
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f 電子棚札
10g、10h、10i、10j、10k、10l 電子棚札
20 顧客希望外貨特定部
30 顧客位置把握部
40 制御部
ERDB 外貨換算レートデータベース
GD 商品
SH 陳列棚
ST 小売店舗