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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ベース材、および、包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240220BHJP
   B65D 75/30 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D75/30 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019238239
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021104856
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】三好 征記
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-043668(JP,A)
【文献】特開2016-043543(JP,A)
【文献】実開平03-126852(JP,U)
【文献】特開2021-104857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 75/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イージーピール構造によりフィルムと結合され、内容物を密閉する包装体を構成するベース材であって、
前記ベース材は、紙層、および、前記内容物から発生する蒸気が前記紙層を介して放出されるように前記蒸気を前記紙層に案内する通蒸部を備える
ベース材。
【請求項2】
前記通蒸部は、第1通蒸部を含み、
前記第1通蒸部は、前記紙層の積層方向に沿って形成される
請求項1に記載のベース材。
【請求項3】
イージーピール構造によりフィルムと結合され、内容物を密閉する包装体を構成するベース材であって、
前記ベース材は、前記内容物から発生する蒸気を放出する第1通蒸部および第2通蒸部を含む通蒸部と、紙層とを含み、
前記第1通蒸部は、前記紙層の積層方向に沿って形成され、
前記第2通蒸部は、前記紙層の積層方向と直交する方向に沿って前記紙層に形成される
ベース材。
【請求項4】
前記第1通蒸部は、前記紙層に形成される
請求項2または3に記載のベース材。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のベース材と、
前記フィルムと、前記内容物と、を備える
包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を包装する包装体を構成するベース材、および、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
台紙の上に物品を乗せ、台紙とフィルムとを感熱接着剤で接合することにより、台紙上の物品を包装して密閉するスキンパック包装体が知られている。特許文献1は、従来のスキンパック包装体の構成の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-51944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記包装体では、物品が食料品である場合に包装体を未開封の状態で加熱することについて考慮されていない。このため、包装体の構成について利便性向上の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に従うベース材はイージーピール構造によりフィルムと結合され、内容物を密閉する包装体を構成するベース材であって、前記ベース材は、前記内容物から発生する蒸気を放出する通蒸部を備える。
上記ベース材によれば、内容物から発生する蒸気を放出する通蒸部を備える。このため、電子レンジによる加熱処理時にフィルムに穴をあけるなど包装体の内圧の上昇を抑えるための開口をユーザが別途設ける必要がなく、包装体の利便性が向上する。
【0006】
(2)好ましい例では前記ベース材は、紙層を含む。
上記ベース材によれば、ベース材の形状が維持されやすい。
【0007】
(3)好ましい例では前記通蒸部は、第1通蒸部を含み、前記第1通蒸部は、前記紙層の積層方向に沿って形成される。
上記ベース材によれば、内容物から発生する蒸気を第1通蒸部から好適に放出できる。
【0008】
(4)好ましい例では前記第1通蒸部は、前記紙層に形成される。
上記ベース材によれば、内容物から発生する蒸気が第1通蒸部により紙層に好適に誘導できる。
【0009】
(5)好ましい例では前記通蒸部は、第2通蒸部をさらに含み、前記第2通蒸部は、前記紙層の積層方向と直交する方向に沿って前記紙層に形成される。
上記ベース材によれば、内容物から発生する蒸気を第2通蒸部から好適に放出できる。
【0010】
(6)本発明に従う包装体は上記ベース材と、前記フィルムと、前記内容物と、を備える。
【0011】
上記包装体によれば、内容物から生じた上記がベース材に設けられる通蒸部から放出される。このため、電子レンジによる加熱処理時にフィルムに穴をあけるなど、包装体の内圧の上昇を抑えるための開口をユーザが別途設ける必要がなく、包装体の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
上記ベース材および包装体は、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の包装体の斜視図。
図2図1のD2-D2線に沿う断面図。
図3図1のベース材の層構成を示し、第1通蒸部の位置を示す模式断面図。
図4図1のフィルムの層構成を示す断面図。
図5】第2実施形態の包装体の斜視図。
図6】第2実施形態の包装体のD6-D6線に沿う断面図。
図7図5のベース材の層構成を示し、第2通蒸部の位置を示す模式断面図。
図8】比較例の包装体の斜視図。
図9】実施例および比較例の試験結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1図4を参照して、第1実施形態の包装体10について説明する。図1に示される包装体10は、種々の内容物100を包装可能に構成される。内容物100は、ユーザにより任意に選択される。第1例では、内容物100は食料品である。食料品は、例えば生鮮食品および加工食品である。第2例では、内容物100は物品である。物品は、例えば文房具および日用品である。図1に示される例では、内容物100は食料品である。
【0015】
包装体10を構成する主な要素は、ベース材20およびフィルム30である。ベース材20は、内容物100が配置されることに適した構成を備える。フィルム30は、ベース材20に配置された内容物100を包装することに適した構成を備える。包装体10の包装形態は、任意の包装形態が選択される。第1例では、フィルム30を熱で温めることで、ベース材20、フィルム30、および、内容物100を密接させて包装するスキンパック包装である。第2例では、ベース材20およびフィルム30で構成される内部空間の空気を抜いて包装する真空パック包装である。スキンパック包装では、フィルム30のうち内容物100と密着していない部分とベース材20との間に実質的に空間が形成されない。真空パック包装では、フィルム30のうち内容物100と密着していない部分とベース材20との間に若干の空間が形成される。図1に示される例では、包装体10の包装形態はスキンパック包装である。スキンパック包装によれば、内部空間が形成されないため内容物100が食料品である場合に、食料品から生じた液体が流出しにくい。このため、食料品の鮮度および見た目を長期間好適な状態に維持できる。さらに、内容物100がベース材20に対して移動しないため、包装体10の陳列方法の制限が少ない。
【0016】
ベース材20の形状は、内容物100の種類および大きさに応じて任意に選択される。図1に示される例では、ベース材20の形状は内容物100である食料品を置くことに適した長方形状である。ベース材20の形状は、三角形状、正方形状、五角形以上の多角形状、円形状、および、楕円形状であってもよい。ベース材20の大きさは、内容物100に応じて設定される。好ましくは、ベース材20を平面視したときの面積が、内容物100を平面視したときの面積の2倍以上の大きさとなることが好ましい。
【0017】
ベース材20は、複数の層構成を含む。図3に示されるベース材20は、最内層21、バリア層22、接合層23、紙層24、および、最外層25を含む。ベース材20を構成する各層は、任意の手段により積層される。一例では、ベース材20を構成する各層はドライラミネート製法により積層される。
【0018】
最内層21は、ベース材20のうちの最も内側、換言すれば、内容物100に最も近い位置に積層される。最内層21には、内容物100が載せられる。最内層21は、フィルム30の最内層31(図4参照)とシールされた場合にイージーピール可能な材料によって構成される。好ましくは、最内層21は防水機能を含む材料によって構成される。このため、内容物100から流出した水分が漏れにくい。最内層21を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。最内層21の厚さは、防水機能に十分な厚さが選択される。最内層21の厚さは例えば、55μmである。
【0019】
バリア層22は、最内層21に対して内容物100とは反対側に積層される。このため、内容物100が水分を含む場合、内容物100から染み出した水分が紙層24に浸透しにくい。このため、ベース材20の強度が維持される。以下では、任意の層に対して内容物100とは反対側を外側と称する場合がある。バリア層22は、ガスバリア性および水分バリア性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。このため、内容物100の品質が長期間にわたり良好に維持される。本実施形態では、バリア層22はガスバリア性および水分バリア性に優れた材料によって構成される。バリア層22を構成する材料は例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートである。バリア層22によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。バリア層22の厚さは、ガスバリア性および水分バリア性に十分な厚さが選択される。バリア層22の厚さは例えば、12μmである。
【0020】
接合層23は例えば、バリア層22に対して外側に積層される。接合層23は、バリア層22と紙層24とを接合できる材料によって構成される。接合層23を構成する材料は例えば、エチレン-メタクリル酸共重合樹脂(EMAA樹脂)である。接合層23の厚さは、バリア層22と紙層24とを接合するための十分な厚さが選択される。接合層23の厚さは例えば、20μmである。
【0021】
紙層24は例えば、接合層23の外側に積層される。紙層24を構成する材料は例えば、非再生紙である。紙層24の密度は、0.95g/cm以下が望ましい。これ以上密度が高いと上手く蒸気が抜けない。紙層24の厚さに寄与する坪量は任意に選択可能である。紙層24の坪量は好ましくは、ベース材20とフィルム30とが接合されるときのベース材20の反りにくさと、包装体10の厚さとの関係に基づいて決められる。紙層24の坪量の最大値の好ましい一例は、1000g/mである。紙層24の坪量が1000g/m以下である場合、包装体10の厚さが厚くなりすぎない。このため、包装体10のコストを低減できる。紙層24の坪量が1000g/m以下である場合、水蒸気が通過する程度の微細な隙間が形成される。紙層24の坪量の最小値の好ましい一例は、100g/mである。紙層24の坪量が100g/m以上である場合、ベース材20とフィルム30とが接合されるときにベース材20が反りにくい。紙層24の坪量が取り得る好ましい範囲の一例は、100g/m以上~1000g/m以下である。一例では、紙層24の坪量は450g/mである。
【0022】
最外層25は、紙層24の外側に積層される。最外層25は、防水機能を含む材料によって構成される。このため、結露が発生した場合であっても紙層24に水が浸透しにくい。このため、ベース材20の強度が維持される。最外層25を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。最外層25の厚さは、紙層24に水が浸透しないための十分な厚さが選択される。最外層25の厚さは、例えば、20μmである。
【0023】
フィルム30は、複数の層構成を含む。好ましくは、複数の層は透明な材料により構成され、内容物100が視認できるように構成される。図4に示されるフィルム30は、最内層31、第1接着層32、バリア層33、第2接着層34、中間層35、および、最外層36を含む。フィルム30の各層は、任意の手段により積層される。一例では、フィルム30を構成する各層は共押出製法により積層される。
【0024】
最内層31は、フィルム30のうちの最も内側、換言すれば、内容物100にもっとも近い位置に積層される。包装体10の包装形態がスキンパックまたは真空パックの場合、図2に示されるように最内層31のうちの内容物100と面する部分は内容物100と密着する。最内層31は、ベース材20の最内層21とシールされた場合にイージーピール可能な材料によって構成される。最内層31を構成する材料は例えば、アイオノマー樹脂である。最内層31の厚さは、イージーピールに適した厚さが選択される。最内層31の厚さは例えば、30μmである。
【0025】
第1接着層32は、例えば、最内層31に対して外側に積層される。第1接着層32は最内層31とバリア層33とを接着する。第1接着層32を構成する材料は例えば、接着性のある官能基を重合した接着性樹脂である。第1接着層32の厚さは、最内層31とバリア層33との接着に適した厚さが選択される。第1接着層32の厚さは例えば、5μmである。
【0026】
バリア層33は、例えば、第1接着層32に対して内容物100とは反対側に積層される。バリア層33は好ましくは、ガスバリア性、耐油性、および、耐湿性の少なくとも1つに優れた材料によって構成される。バリア層33を構成する材料は例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。バリア層33によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。バリア層33の厚さは、ガスバリア性、耐油性、および、耐湿性の少なくとも1つを実施するのに適した厚さが選択される。バリア層33の厚さは例えば、30μmである。
【0027】
第2接着層34は、バリア層33に対して外側に積層される。第2接着層34はバリア層33と中間層35とを接着する。第2接着層34を構成する材料は例えば、接着性のある官能基を重合した接着性樹脂である。第2接着層34の厚さは、バリア層33と中間層35との接着に適した厚さが選択される。第2接着層34の厚さは例えば、5μmである。
【0028】
中間層35は、第2接着層34に対して外側に積層される。中間層35は好ましくは、靱性および耐摩耗性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。中間層35を構成する材料は例えば、ポリアミドである。中間層35の厚さは、靱性および耐摩耗性の少なくとも一方を実現するのに適した厚さが選択される。中間層35の厚さは例えば、30μmである。
【0029】
最外層36は、中間層35に対して外側に積層される。最外層36は好ましくは、耐熱性、ガスバリア性、防湿性、強度、および、透明性の少なくとも1つに優れた材料によって構成される。最外層36を構成する材料は例えば、ポリエステルである。最外層36の厚さは、耐熱性、ガスバリア性、防湿性、強度、および、透明性の少なくとも1つに適した厚さが選択される。最外層36の厚さは例えば、50μmである。
【0030】
ベース材20とフィルム30とは、任意の手段により結合される。一例では、ベース材20とフィルム30とは、イージーピール構造40により結合される。イージーピール構造40は、ベース材20の最内層21とフィルム30の最内層31とがシールされた構造である。イージーピール構造40は、イージーピール構造40が構成可能なベース材20およびフィルム30を加熱条件に基づいて加熱することにより構成される。加熱条件は、加熱時間および加熱温度を含む。加熱時間の一例は、20秒である。加熱温度の一例は、150度である。イージーピール構造40部分のシール強度は、ユーザによって容易にはがすことができる程度、かつ、移動時および陳列時に自然に剥がれない程度に設定される。一例では、イージーピール構造40のシール強度は、1.0N/15mm以上である。イージーピール構造40のシール強度が1.0N/15mm以上である場合、移動時および陳列時に包装体10に標準的な応力が作用した場合でも、ベース材20からフィルム30が剥がれにくい。一例では、イージーピール構造40のシール強度は、5.0N/15mm以下である。イージーピール構造40のシール強度は、5.0N/15mm以下である場合、ユーザが包装体10を剥がすために標準的な力を加えることで容易にベース材20からフィルム30を剥がすことができる。イージーピール構造40のシール強度の一例は、2.0N/15mmである。
【0031】
イージーピール構造40の剥離タイプは、凝集剥離タイプ、層間剥離タイプ、または、界面剥離タイプの少なくとも1つを含む。界面剥離タイプのイージーピール構造40によれば、ベース材20からフィルム30を剥がした場合に、ベース材20上にフィルム30の剥離痕が残りにくく、凝集剥離タイプは開封痕が残る為、いたずら防止、改竄防止に有効である。
【0032】
包装体10は、包装体10の内容物100から放出される蒸気を外部に放出する通蒸部50をさらに備える。通蒸部50から外部に放出される蒸気の一例は、内容物100の加熱処理に伴い発生する水蒸気である。加熱処理の一例は、電子レンジによる加熱である。
【0033】
通蒸部50は、ベース材20に設けられる。通蒸部50は、第1通蒸部51を含む。第1通蒸部51は、ベース材20において積層方向に沿って形成される。第1通蒸部51は、第1端部51Aおよび第1端部51Aよりも外側に設けられる第2端部51Bを含む。第1端部51Aは、最内層21の表面21Aに設けられる。表面21A上における第1端部51Aの位置は、任意に設定される。好ましくは、包装体10が内容物100を収容した状態において、内容物100とイージーピール構造40の端部との距離よりも内容物100との距離が短くなる場所に第1端部51Aが設けられる。第1通蒸部51の形状は、例えば第1端部51Aにおいて開口し、第2端部51Bにおいて閉口する凹部形状である。第1端部51Aは、包装体10が内容物100を包装している状態において、フィルム30により外部に対して密閉される。第1通蒸部51は、例えばベース材20に対して最内層21の表面21Aから刃物による切り込みを入れる、または最内層21の表面21Aからベース材20を削ることによって形成される。
【0034】
第1通蒸部51は、ベース材20を構成する複数の層の任意の層に構成される。一例では第1通蒸部51は、最内層21、バリア層22、接合層23、および、紙層24に設けられる。別の例では第1通蒸部51は、最内層21、バリア層22、および、接合層23に設けられる。この場合、第1通蒸部51の形状は、第2端部51Bが紙層24の表面24Aに対して開口する筒形状であることが好ましい。図3に示されるように、本実施形態では第1通蒸部51は、最内層21、バリア層22、接合層23、および、紙層24に設けられる。
【0035】
第1通蒸部51の第2端部51Bは、紙層24の所定の場所に形成される。所定の場所は、紙層24の表面24Aと裏面24Bとの間である。紙層24の裏面24Bは、最外層25の表面25Aと略一致する。第2端部51Bは、紙層24を貫通しないように構成される。
【0036】
第1通蒸部51の断面形状は、内容物100の構成に応じて適切な形状が選択される。一例では、第1通蒸部51の形状は、ベース材20を平面視したとき最内層21の表面21Aに現れる断面形状が半円形状である。別の例では、第1通蒸部51の形状は、ベース材20を平面視したとき最内層21の表面21Aに現れる断面形状が多角形状である。
【0037】
第1通蒸部51の大きさおよび数は、ベース材20の大きさおよび内容物100の構成に応じて任意に設定される。内容物100の構成は、内容物100の種類、大きさ、および、水分含有量の少なくとも1つを含む。一例では、内容物100の水分含有量が多い場合、第1通蒸部51を大きく形成する。第1通蒸部51を大きく形成するとは、包装体10の平面視において、ベース材20における第1通蒸部51の断面が占める面積を大きく形成することを含む。一例では、第1通蒸部51は包装体10に2つ設けられる。第1通蒸部51は、1つまたは3つ以上の複数設けられてもよい。
【0038】
本実施形態の包装体10の作用について説明する。
ユーザは、内容物100が包装された包装体10を電子レンジ等で加熱処理する。加熱処理に伴い、内容物100から水蒸気が発生する。水蒸気の発生により、包装体10の内圧が上昇する。包装体10の内圧の上昇により、イージーピール構造40が剥がれる。イージーピール構造40が通蒸部50の設けられている部分まで剥がれると、第1通蒸部51が開口し水蒸気が紙層24に流れる。水蒸気は、紙層24を介して外部に放出される。
【0039】
(第2実施形態)
図5~7を参照して、第2実施形態の包装体10について説明する。第1実施形態の包装体10と共通する構成については、第1実施形態の包装体10と同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。第2実施形態の包装体10は、通蒸部50の構成が第1実施形態の包装体10と異なる。
【0040】
図5に示される包装体10の通蒸部50は、第2通蒸部52をさらに含む。第2通蒸部52は、水蒸気が外部に放出することを助ける構成を備える。第2通蒸部52は、ベース材20の紙層24に形成される。第2通蒸部52は、紙層24の構造または密度が異なる構成を含む。第2通蒸部52は、第1通蒸部51と少なくとも一部分が接触するように構成される。
【0041】
第2通蒸部52は、任意の手段により形成される。第1例では、第2通蒸部52における紙層24の繊維構造の結合を緩め、紙の密度を低下させ、蒸気が抜けやすいようにする。繊維構造の結合を緩める手段の一例は、罫線加工、エンボス加工、デボス加工、および、折加工である。第2例では、第2通蒸部52における紙層24の密度を部分的に低下させる。一例では、第2通蒸部52の紙層24の密度が、第2通蒸部52を構成しない紙層24の加工無し部分の0.92g/cmから、部分的な密度が0.85g/cmとなるように加工した。
【0042】
図6および図7に示されるように第2通蒸部52は、第1通蒸部51と少なくとも一部分が接触する第1端部52Aおよび紙層24の積層方向と直交する方向において第1端部52Aから離れた場所に構成される第2端部52Bを含む。第2通蒸部52が形成される紙層24における場所は、任意に設定される。第1端部52Aは、例えば第1通蒸部51の積層方向に沿って設けられる。第2端部52Bは、例えばベース材20の外面20Aに沿って構成される。第2通蒸部52の第1端部52Aと第1通蒸部51の第2端部51Bとが接触するように構成されてもよい。
【0043】
第1通蒸部51と第2通蒸部52との関係は、任意に設定される。一例では、1つの第1通蒸部51に対して、1つの第2通蒸部52が設けられる。別の例では、1つの第1通蒸部51に対して、複数の第2通蒸部52が設けられる。複数の第2通蒸部52が設けられるとは、1つの第1通蒸部51を通る水蒸気が、複数の第2通蒸部52を通り外部に放出されることを含む。複数設けられる第1通蒸部51に対して、それよりも少ない第2通蒸部52が設けられる構成であってもよい。図5に示される例では、1つの第1通蒸部51に対して、1つの第2通蒸部52が設けられる。
【0044】
第2実施形態の包装体10によれば、さらに以下の効果が得らえる。
包装体10が第2通蒸部52を備えるので、紙層24から放出できる水蒸気の量が増加する。このため、内容物100の含む水分が多い場合でも好適に内容物100の蒸気を外部に放出することができる。
【0045】
(実施例)
本願発明者は、実施例および図8に記載の比較例の包装体10を用いて比較試験を行った。比較例の包装体10は、通蒸部50を備えていない点以外は第1実施形態の包装体10および第2実施形態の包装体10と同様である。比較試験では、包装体10の通蒸性、イージーピール性、および、泡吹性を評価した。通蒸性の評価は、加熱処理時の通蒸部50からの蒸気の放出の有無を判定する。蒸気の放出の有無の判定は、試験者の目視による。イージーピール性の評価は、試験者の手により簡単に剥がせるか否かを判定する。簡単に剥がせるか否かの判定は、試験者の申告による。泡吹性の評価は、加熱処理後に包装体10からの泡の発生の有無を判定する。泡の発生の有無の判定は、試験者の目視による。
【0046】
本比較試験において、実施例1、実施例2、および、比較例の包装体10を用いた。実施例1の包装体10は、第1実施形態の包装体10である。実施例2の包装体10は、第2実施形態の包装体10である。各実施例の包装体10は、内容物100として茹でたジャガイモ300gを所定の加熱条件のもとで包装した。各実施例の包装体10は、それぞれ10個ずつ準備され、比較試験に供された。
【0047】
図9を参照して比較試験の結果を説明する。実施例1、実施例2、および、比較例の包装体10は、いずれもイージーピール性を備えていた。実施例1および実施例2の包装体10は、いずれも加熱処理時に通蒸部50からの水蒸気の放出が観察され通蒸性を備えることが確認された。比較例の包装体10は、8つの包装体10は通蒸性を備えることが確認されたが、2つの包装体10においてフィルム30が破れ、パンクが発生した。原因の一つは、加熱処理時に内容物100から発生した水蒸気により内圧が増加したことである。フィルム30が破れた場合、内容物100および内容物100から生じた液体成分が飛び出る恐れがある。実施例1および実施例2の包装体10では、通蒸部50から水蒸気が抜けることにより、包装体10の内圧増加によってフィルム30が破れる恐れが抑制される。実施例1および実施例2の包装体10は、泡吹性が確認されなかった。比較例の包装体10は、いずれも泡吹性が確認された。原因の一つは、加熱処理時に内容物100から発生した水蒸気が外部に漏れずに加熱が続いたことである。泡の発生により、例えばユーザが加熱終了後に包装体10に触れたときに火傷する恐れがある。実施例1および実施例2の包装体10では、通蒸部50から水蒸気が抜けることにより、泡の発生が抑制され、ユーザが高温の泡で火傷する恐れが低減される。
【0048】
(変形例)
各実施形態に関する説明は本発明に従うベース材および包装体が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うベース材および包装体は各実施形態以外に例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0049】
・第1実施形態および第2実施形態において、ベース材20の層構成は任意に変更可能である。変形例の包装体10のベース材20は、内容物100に関する説明等を表示する印刷層をさらに備える。ベース材20において印刷層が設けられる位置は、任意に選択可能である。一例では、印刷層はバリア層22と最内層21との間に設けられる。別の例では、印刷層はバリア層22と接合層23との間に設けられる。
【0050】
・第1実施形態および第2実施形態において、最外層25の構成は、任意に変更可能である。変形例の包装体10の最外層25は、紙層24の外側に撥水コーティング剤が塗布されることによって形成される撥水コーティング層である。
【符号の説明】
【0051】
10 …包装体
20 …ベース材
24 …紙層
30 …フィルム
40 …イージーピール構造
50 …通蒸部
51 …第1通蒸部
52 …第2通蒸部
100…内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9