(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240220BHJP
B65D 75/30 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D75/30 B
(21)【出願番号】P 2019238240
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】三好 征記
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-043668(JP,A)
【文献】実開昭62-045273(JP,U)
【文献】特開2005-178813(JP,A)
【文献】特開2012-246051(JP,A)
【文献】実開平03-126852(JP,U)
【文献】特開2017-137109(JP,A)
【文献】特開2021-017262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 75/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙層を含むベース材と、
前記ベース材に載せられる内容物
の形状に合わせて変形した状態において前記内容物を覆う被覆部と、前記ベース材に結合される結合部とを含むフィルムと、
前記内容物が密封されるように前記ベース材と
前記結合部とを結合するイージーピール構造と、
前記内容物から生じる蒸気を放出する通蒸部とを備え、
前記通蒸部におけるシール強度は、前記イージーピール構造におけるシール強度よりも弱い
包装体。
【請求項2】
前記通蒸部は、前記ベース材と前記フィルムとの間に設けられる
請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記通蒸部におけるシール強度は、0N/15mm以上~1N/15mm以内の範囲に含まれる
請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記通蒸部は、前記イージーピール構造によって結合した前記ベース材と前記フィルムとの切り欠きにより構成される
請求項1に記載の包装体。
【請求項5】
前記紙層は、坪量が100g/m
2~1000g/m
2である
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項6】
前記内容物が前記包装体に密封された状態において
前記通蒸部と前記内容物との第1距離は、前記イージーピール構造と前記内容物との第2距離よりも短い
請求項1~5のいずれか一項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を包装する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
台紙の上に物品を乗せ、台紙とフィルムとを感熱接着剤で接合することにより、台紙上の物品を包装してスキンパックする包装体が知られている。特許文献1は、従来のスキンパック包装体の構成の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記包装体では、物品が食料品である場合に包装体を未開封の状態で加熱することについて考慮されていない。このため、包装体の構成について利便性向上の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に従う包装体はベース材と、前記ベース材に載せられる内容物を覆うフィルムと、前記内容物が密封されるように前記ベース材と前記フィルムとを結合するイージーピール構造と、前記内容物から生じる蒸気を放出する通蒸部とを備え、前記通蒸部におけるシール強度は、前記イージーピール構造におけるシール強度よりも弱い。
上記包装体によれば、通蒸部のシール強度はイージーピール構造の部分よりも弱いシール強度のため、包装体の内圧が上昇したときにイージーピール構造が維持された状態で通蒸部が開口する。このため、電子レンジによる加熱処理時にフィルムに穴をあけるなど包装体の内圧の上昇を抑えるための開口をユーザが設ける必要がなく、包装体の利便性が向上する。
【0006】
(2)好ましい例では前記通蒸部は前記ベース材と前記フィルムとの間に設けられる。
この包装体によれば、内容物からの蒸気を外部に好適に放出できる。
【0007】
(3)好ましい例では前記通蒸部におけるシール強度は、0N/15mm以上~1N/15mm以内の範囲に含まれる。
この包装体によれば、通蒸部におけるシール強度が適切な範囲に設定されるので加熱処理時に容易に通蒸部が開口する。
【0008】
(4)好ましい例では前記通蒸部は、前記イージーピール構造によって結合した前記ベース材と前記フィルムとの切り欠きにより構成される。
この包装体によれば、通蒸部にベース材およびフィルムが存在しないため内容物からの蒸気を外部に好適に放出できる。
【0009】
(5)好ましい例では前記ベース材は、紙層を含む。
この包装体によれば、ベース材の形状が維持されやすい。
【0010】
(6)好ましい例では前記紙層は、坪量が100g/m2~1000g/m2である。
この包装体によれば、ベース材の形状がより適切に維持される。
【0011】
(7)好ましい例では前記内容物が前記包装体に密封された状態において前記通蒸部と前記内容物との第1距離は、前記イージーピール構造と前記内容物との第2距離よりも短い。
この包装体によれば、通蒸部の位置が内容物に近いため包装体の内圧の上昇が抑制される。このため、包装体のフィルムが破れることが抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に関する包装体によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】
図1の包装体のイージーピール構造および通蒸部の位置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1~
図5を参照して、第1実施形態の包装体10について説明する。
図1に示される包装体10は、種々の内容物100を包装可能に構成される。内容物100は、ユーザにより任意に選択される。第1例では、内容物100は食料品である。食料品は、例えば生鮮食品および加工食品である。第2例では、内容物100は物品である。物品は、例えば文房具および日用品である。
図1に示される例では、内容物100は食料品である。
【0015】
包装体10を構成する主な要素は、ベース材20およびフィルム30である。ベース材20は、内容物100が配置されることに適した構成を備える。フィルム30は、ベース材20に配置された内容物100を包装することに適した構成を備える。包装体10の包装形態は、任意の包装形態が選択される。第1例では、フィルム30を熱で温めることで、ベース材20、フィルム30、および、内容物100を密接させて包装するスキンパック包装である。第2例では、ベース材20およびフィルム30で構成される内部空間の空気を抜いて包装する真空パック包装である。スキンパック包装では、フィルム30のうち内容物100と密着していない部分とベース材20との間に実質的に空間が形成されない。真空パック包装では、フィルム30のうち内容物100と密着していない部分とベース材20との間に若干の空間が形成される。
図1に示される例では、包装体10の包装形態はスキンパック包装である。スキンパック包装によれば、内部空間が形成されないため内容物100が食料品である場合に、食料品から生じた液体が流出しにくい。このため、食料品の鮮度および見た目を長期間好適な状態に維持できる。さらに、内容物100がベース材20に対して移動しないため、包装体10の陳列方法の制限が少ない。
【0016】
ベース材20の形状は、内容物100の種類および大きさに応じて任意に選択される。
図1に示される例では、ベース材20の形状は内容物100である食料品を置くことに適した長方形状である。ベース材20の形状は、三角形状、正方形状、五角形以上の多角形状、円形状、および、楕円形状であってもよい。ベース材20の大きさは、内容物100に応じて設定される。好ましくは、ベース材20を平面視したときの面積が、内容物100を平面視したときの面積の2倍以上の大きさとなることが好ましい。
【0017】
ベース材20は、複数の層構成を含む。
図3に示されるベース材20は、最内層21、バリア層22、接合層23、紙層24、および、最外層25を含む。ベース材20を構成する各層は、任意の手段により積層される。一例では、ベース材20を構成する各層はドライラミネート製法により積層される。
【0018】
最内層21は、ベース材20のうちの最も内側、換言すれば、内容物100に最も近い位置に積層される。最内層21には、内容物100が載せられる。最内層21は、フィルム30の最内層31(
図4参照)とシールされた場合にイージーピール可能な材料によって構成される。好ましくは、最内層21は防水機能を含む材料によって構成される。このため、内容物100から流出した水分が漏れにくい。最内層21を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。最内層21の厚さは、防水機能に十分な厚さが選択される。最内層21の厚さは例えば、55μmである。
【0019】
バリア層22は、最内層21に対して内容物100とは反対側に積層される。このため、内容物100が水分を含む場合、内容物100から染み出した水分が紙層24に浸透しにくい。このため、ベース材20の強度が維持される。以下では、任意の層に対して内容物100とは反対側を外側と称する場合がある。バリア層22は、ガスバリア性および水分バリア性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。このため、内容物100の品質が長期間にわたり良好に維持される。本実施形態では、バリア層22はガスバリア性および水分バリア性に優れた材料によって構成される。バリア層22を構成する材料は例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートである。バリア層22によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。バリア層22の厚さは、ガスバリア性および水分バリア性に十分な厚さが選択される。バリア層22の厚さは例えば、12μmである。
【0020】
接合層23は例えば、バリア層22に対して外側に積層される。接合層23は、バリア層22と紙層24とを接合できる材料によって構成される。接合層23を構成する材料は例えば、エチレン-メタクリル酸共重合樹脂(EMAA樹脂)である。接合層23の厚さは、バリア層22と紙層24とを接合するための十分な厚さが選択される。接合層23の厚さは例えば、20μmである。
【0021】
紙層24は例えば、接合層23の外側に積層される。紙層24を構成する材料は例えば、非再生紙である。紙層24の厚さに寄与する坪量は任意に選択可能である。紙層24の坪量は好ましくは、ベース材20とフィルム30とが接合されるときのベース材20の反りにくさと、包装体10の厚さとの関係に基づいて決められる。紙層24の坪量の最大値の好ましい一例は1000g/m2である。紙層24の坪量が1000g/m2以下である場合、包装体10の厚さが厚くなりすぎない。このため、包装体10の陳列スペースを少なくできる。また、包装体10のコストを低減できる。紙層24の坪量の最小値の好ましい一例は100g/m2である。紙層24の坪量が100g/m2以上である場合、ベース材20とフィルム30とが接合されるときにベース材20が反りにくい。紙層24の坪量が取り得る好ましい範囲の一例は100g/m2以上~1000g/m2以下である。一例では、紙層24の坪量は450g/m2である。
【0022】
最外層25は、紙層24の外側に積層される。最外層25は、防水機能を含む材料によって構成される。このため、結露が発生した場合であっても紙層24に水が浸透しにくい。このため、ベース材20の強度が維持される。最外層25を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。最外層25の厚さは、紙層24に水が浸透しないための十分な厚さが選択される。最外層25の厚さは、例えば、20μmである。
【0023】
フィルム30は、複数の層構成を含む。好ましくは、複数の層は透明な材料により構成され、内容物100が視認できるように構成される。
図4に示されるフィルム30は、最内層31、第1接着層32、バリア層33、第2接着層34、中間層35、および、最外層36を含む。フィルム30の各層は、任意の手段により積層される。一例では、フィルム30を構成する各層は共押出製法により積層される。
【0024】
最内層31は、フィルム30のうちの最も内側、換言すれば、内容物100にもっとも近い位置に積層される。包装体10の包装形態がスキンパックまたは真空パックの場合、
図2に示されるように最内層31のうちの内容物100と面する部分は内容物100と密着する。最内層31は、ベース材20の最内層21とシールされた場合にイージーピール可能な材料によって構成される。最内層31を構成する材料は例えば、アイオノマー樹脂である。最内層31の厚さは、イージーピールに適した厚さが選択される。最内層31の厚さは例えば、30μmである。
【0025】
第1接着層32は、例えば、最内層31に対して外側に積層される。第1接着層32は最内層31とバリア層33とを接着する。第1接着層32を構成する材料は例えば、接着性のある官能基を重合した接着性樹脂である。第1接着層32の厚さは、最内層31とバリア層33との接着に適した厚さが選択される。第1接着層32の厚さは例えば、5μmである。
【0026】
バリア層33は、例えば、第1接着層32に対して内容物100とは反対側に積層される。バリア層33は好ましくは、ガスバリア性、耐油性、および、耐湿性の少なくとも1つに優れた材料によって構成される。バリア層33を構成する材料は例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。バリア層33によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。バリア層33の厚さは、ガスバリア性、耐油性、および、耐湿性の少なくとも1つを実施するのに適した厚さが選択される。バリア層33の厚さは例えば、30μmである。
【0027】
第2接着層34は、バリア層33に対して外側に積層される。第2接着層34はバリア層33と中間層35とを接着する。第2接着層34を構成する材料は例えば、接着性のある官能基を重合した接着性樹脂である。第2接着層34の厚さは、バリア層33と中間層35との接着に適した厚さが選択される。第2接着層34の厚さは例えば、5μmである。
【0028】
中間層35は、第2接着層34に対して外側に積層される。中間層35は好ましくは、靱性および耐摩耗性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。中間層35を構成する材料は例えば、ポリアミドである。中間層35の厚さは、靱性および耐摩耗性の少なくとも一方を実現するのに適した厚さが選択される。中間層35の厚さは例えば、30μmである。
【0029】
最外層36は、中間層35に対して外側に積層される。最外層36は好ましくは、耐熱性、ガスバリア性、防湿性、強度、および、透明性の少なくとも1つに優れた材料によって構成される。最外層36を構成する材料は例えば、ポリエステルである。最外層36の厚さは、耐熱性、ガスバリア性、防湿性、強度、および、透明性の少なくとも1つに適した厚さが選択される。最外層36の厚さは例えば、50μmである。
【0030】
ベース材20とフィルム30とは、任意の手段により結合される。一例では、ベース材20とフィルム30とは、イージーピール構造40により結合される。イージーピール構造40は、ベース材20の最内層21とフィルム30の最内層31とがシールされた構造である。イージーピール構造40は、イージーピール構造40が構成可能なベース材20およびフィルム30を加熱条件に基づいて加熱することにより構成される。加熱条件は、加熱時間および加熱温度を含む。加熱時間の一例は、20秒である。加熱温度の一例は、150度である。イージーピール構造40部分のシール強度は、ユーザによって容易にはがすことができる程度、かつ、移動時および陳列時に自然に剥がれない程度に設定される。一例では、イージーピール構造40のシール強度は、1.0N/15mm以上である。イージーピール構造40のシール強度が1.0N/15mm以上である場合、移動時および陳列時に包装体10に標準的な応力が作用した場合でも、ベース材20からフィルム30が剥がれにくい。一例では、イージーピール構造40のシール強度は、5.0N/15mm以下である。イージーピール構造40のシール強度は、5.0N/15mm以下である場合、ユーザが包装体10を剥がすために標準的な力を加えることで容易にベース材20からフィルム30を剥がすことができる。イージーピール構造40のシール強度の一例は、2.0N/15mmである。
【0031】
イージーピール構造40の剥離タイプは、凝集剥離タイプ、層間剥離タイプ、または、界面剥離タイプの少なくとも1つを含む。好ましくは、イージーピール構造40は、ベース材20の端部20Aとフィルム30の端部30Aとを含む部分に設けられる。
【0032】
包装体10は、内容物100から放出される蒸気を外部に放出する通蒸部50をさらに備える。通蒸部50から外部に放出される蒸気の一例は、内容物100の加熱処理に伴い発生する水蒸気である。加熱処理の一例は、電子レンジによる加熱である。通蒸部50は、例えばベース材20の最内層21とフィルム30の最内層31との間に形成される。通蒸部50におけるシール強度は、イージーピール構造40のシール強度よりも弱い。通蒸部50は、包装体10に対する加熱処理時の水蒸気発生に伴う内部空間の内圧の増加に伴って、イージーピール構造40部分よりも容易に剥がれることにより開口する。通蒸部50は、内容物100から発生した水蒸気を外部に放出することで、内部空間の内圧を低下させ、フィルム30の損傷を抑制する。通蒸部50におけるシール強度は、1.0N/15mm以下になるように構成される。
【0033】
通蒸部50の形成方法について説明する。通蒸部50は、以下に示す第1例~第3例の形成方法の少なくとも1つにより形成される。第1例では、ベース材20とフィルム30とをイージーピール構造40により接合する際に、通蒸部50に対応するベース材20の最内層21の部分にシール強度を弱める成分を含む塗料を塗布する。一例では、塗料はシリコンまたはワックスを含む剥離ニスである。第2例では、通蒸部50に対応するベース材20の最内層21の部分にシール強度を弱める加工処理を行う。加工処理の一例は、エンボス加工およびデボス加工である。塗料および加工処理の程度を調節することにより、通蒸部50におけるシール強度が場所によって異なるように構成してもよい。第3例では、イージーピール構造40によりベース材20とフィルム30とを結合し、通蒸部50の形に応じてベース材20およびフィルム30とを切り取る。第1例の通蒸部50におけるシール強度は、例えば0N/15mmである。第2例の通蒸部50におけるシール強度は、例えば0.5N/15mmである。第3例の通蒸部50におけるシール強度は、0N/15mmである。
【0034】
通蒸部50の形状は、内容物100の構成に応じて適切な形状が選択される。好ましくは、通蒸部50は、ベース材20を平面視したときに内容物100との距離が最短となる端部50Aが設けられる。一例では、通蒸部50の形状は五角形状である。五角形状に構成された通蒸部50の端部50Aが内容物100と対向する。別の例では、通蒸部50の形状は半円形状である。
【0035】
包装体10における通蒸部50の位置について説明する。包装体10に内容物100が収容されている状態において、内容物100と通蒸部50との第1距離D1は、内容物100とイージーピール構造40との第2距離D2よりも、短くなるように構成される。第1距離D1は、一例ではスキンパック包装された包装体10のベース材20、フィルム30、および、内容物100がそれぞれ接触する線L上の任意の点P1と通蒸部50の端部50Aとの最短距離である。第2距離D2は、一例では線L上の任意の点P2とイージーピール構造40の端部40Aとの最短距離である。一例では、第1距離D1は10mmである。第2距離D2は、40mmである。好ましくは、
図5に示されるように包装体10を平面視した状態において、ベース材20の全体がイージーピール構造40、内容物100の配置、および、通蒸部50の構成の少なくとも1つにより構成されることが好ましい。通蒸部50は、長方形状に形成されたベース材20の長手方向の辺に設けられることが好ましい。
図5において、ドットで示されている部分はシール部分を示す。ドットの濃淡は、シール強度を表す。ドットが薄い部分は、ドットが濃い部分と比較するとシール強度が弱い。
【0036】
通蒸部50の大きさおよび数は、ベース材20の大きさおよび内容物100の構成に応じて、任意に設定される。内容物100の構成は、内容物100の種類、大きさ、および、水分含有量の少なくとも1つを含む。一例では、内容物100の水分含有量が多い場合、通蒸部50を大きく形成する。通蒸部50を大きく形成するとは、包装体10の平面視において、イージーピール構造40を備える部分の面積に対する通蒸部50の占める面積を大きく形成することを含む。一例では、通蒸部50は、包装体10に2つ設けられる。通蒸部50は、1つまたは3つ以上の複数設けられてもよい。
【0037】
第1実施形態の包装体10の作用について説明する。ユーザは、内容物100が包装された包装体10を、電子レンジ等の加熱手段により加熱する。加熱に伴い内容物100から生じる水蒸気により、包装体10の内圧が増加する。包装体10の内圧の増加により、内容物100付近からイージーピール構造40の結合が解除される。イージーピール構造40の結合の解除が通蒸部50にまで達すると、通蒸部50から水蒸気が外部から放出される。水蒸気が外部に放出されることで包装体10の内圧の増加が抑制される。
【0038】
(第2実施形態)
図6を参照して、第2実施形態の包装体10について説明する。第1実施形態の包装体10と共通する構成については、第1実施形態の包装体10と同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。第2実施形態の包装体10は、最内層21、最内層31、および、通蒸部50の構成が第1実施形態の包装体10と相違する。
【0039】
第2実施形態の包装体10におけるベース材20の最内層21は、イージーピールフィルムにより構成される。最内層21の厚さは、イージーピールに適した厚さが選択される。一例では、最内層21の厚さは、50mmである。第2実施形態の包装体10におけるフィルム30の最内層31は、ポリエチレンにより構成される。一例では、最内層31の厚さは、30mmである。
【0040】
第2実施形態の包装体10は、通蒸部50の位置がベース材20の異なる場所に設けられる。一例では、通蒸部50は長方形状のベース材20の短手方向の辺に設けられる。内容物100と通蒸部50との第1距離D1は、内容物100とイージーピール構造40との第2距離D2よりも、短くなるように構成される。
【0041】
第2実施形態の包装体10によれば、さらに以下の効果が得られる。
ベース材20の最内層21がイージーピールフィルムにより構成されるため、フィルムの30の最内層31の構成がポリエチレンである一般的なフィルムを使用することができる。このため、使用者がフィルム30を選択するときの選択肢が増加する。
【0042】
(実施例)
本願発明者は、実施例および
図7に記載の比較例の包装体10を用いて比較試験を行った。比較例の包装体10は、通蒸部50を備えていない点以外は第1実施形態の包装体10および第2実施形態の包装体10と同様である。比較試験では、包装体10の通蒸性およびイージーピール性を評価した。通蒸性の評価は、加熱処理時の包装体10からの蒸気の放出の有無を判定する。蒸気の放出の有無の判定は、試験者の目視による。イージーピール性の評価は、試験者の手により簡単に剥がせるか否かを判定する。簡単に剥がせるか否かの判定は、試験者の申告による。
【0043】
本比較試験において、実施例1~6の包装体10、比較例1および比較例2の包装体10を用いた。実施例1の包装体10は、第1実施形態の包装体10であり、第1例の形成方法により通蒸部50が作成されている。実施例2の包装体10は、第2実施形態の包装体10であり、第1例の形成方法により通蒸部50が作成されている。実施例3の包装体10は、第1実施形態の包装体10であり、第2例の形成方法により通蒸部50が作成されている。実施例4の包装体10は、第2実施形態の包装体10であり、第2例の形成方法により通蒸部50が作成されている。実施例5の包装体10は、第1実施形態の包装体10であり、第3例の形成方法により通蒸部50が作成されている。実施例6の包装体10は、第2実施形態の包装体10であり、第3例の形成方法により通蒸部50が作成されている。比較例1の包装体10は、第1実施形態のベース材20およびフィルム30から構成され、通蒸部50が形成されない。比較例2の包装体10は、第2実施形態のベース材20およびフィルム30から構成され、通蒸部50が形成されない。実施例1~6の包装体10、比較例1、2の包装体10は、内容物100として400グラムの肉塊を所定の加熱条件のもとで包装した。実施例1~6の包装体10、比較例1および比較例2の包装体10は、それぞれ10個ずつ準備され、比較試験に供された。
【0044】
図8を参照して比較試験の結果を説明する。実施例1~6の包装体10、比較例1および比較例2の包装体10は、いずれもイージーピール性を備えていた。実施例1~6の包装体10は、いずれも加熱処理時に通蒸部50からの水蒸気の放出が観察され通蒸性を備えることが確認された。比較例1および比較例2の包装体10は、8つの包装体10は通蒸性を備えることが確認されたが、2つの包装体10においてフィルム30が破れ、パンクが発生した。原因の一つは、加熱処理時に内容物100から発生した水蒸気により内圧が増加したことである。フィルム30が破れた場合、内容物100および内容物100から生じた液体成分が飛び出る恐れがある。実施例1~6の包装体10では、通蒸部50から水蒸気が抜けることにより、包装体10の内圧増加によるフィルム30が破れる恐れが抑制される。
【0045】
(変形例)
各実施形態に関する説明は本発明に従う包装体が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う包装体は各実施形態以外に例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0046】
・第1実施形態および第2実施形態において、ベース材20の層構成は任意に変更可能である。変形例の包装体10のベース材20は、内容物100に関する説明等を表示する印刷層をさらに備える。ベース材20において印刷層が設けられる位置は、任意に選択可能である。一例では、印刷層はバリア層22と最内層21との間に設けられる。別の例では、印刷層はバリア層22と接合層23との間に設けられる。
【0047】
・第1実施形態および第2実施形態において、紙層24の構成は任意に変更可能である。変形例の包装体10の紙層24は、サイズ剤および耐水剤の少なくとも一方を含む。サイズ剤は、紙層24を構成する紙の抄紙時に紙に添加される。耐水剤は、紙層24を構成する紙に塗布される。この変形例の包装体10では、紙層24が防水機能を含むため、例えば、最外層25を省略することができる。
【0048】
・第1実施形態および第2実施形態において、最外層25の構成は、任意に変更可能である。変形例の包装体10の最外層25は、紙層24の外側に撥水コーティング剤が塗布されることによって形成される撥水コーティング層である。
【符号の説明】
【0049】
10 …包装体
20 …ベース材
24 …紙層
30 …フィルム
40 …イージーピール構造
50 …通蒸部
100…内容物
D1 …第1距離
D2 …第2距離