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特許7439511FAX受信装置、FAX受信プログラム、及びFAX送受信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】FAX受信装置、FAX受信プログラム、及びFAX送受信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/32 20060101AFI20240220BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240220BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20240220BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H04N1/32 609
H04N1/00 J
H04N1/32 358
H04N1/21
G06F3/06 304P
G06F3/06 304Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019239092
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021108424
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 隼吾
(72)【発明者】
【氏名】大杉 彰義
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-032561(JP,A)
【文献】特開2013-246479(JP,A)
【文献】特開平08-116421(JP,A)
【文献】特開2016-057811(JP,A)
【文献】特開2016-200995(JP,A)
【文献】特開2000-295405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/32 - 1/36
1/42 - 1/44
H04N 1/00
H04N 1/21
G06F 3/06 - 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
ソリッドステートドライブと、
モデムと、
を備え、
前記プロセッサは、
FAX送信装置から電話回線を介して受信したFAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込む前における、前記ソリッドステートドライブにおける不良ブロックの数を示す状態情報と、前記FAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込んだ後における前記状態情報との比較により、前記ソリッドステートドライブへの前記FAXデータの誤書き込みの有無を識別し、
前記誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対する第1種類の発呼を前記モデムにさせることで、前記FAX送信装置に対して前記FAXデータの再送を要求して前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを再送してもらい
前記誤書き込みが無かった場合、前記FAX送信装置に対する前記第1種類とは異なる第2種類の発呼を前記モデムにさせることで、前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを削除させる、
ことを特徴とするFAX受信装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記FAXデータのうち、前記ソリッドステートドライブへの誤書き込みが生じた誤書き込み部分を特定し、前記FAX送信装置に対して前記誤書き込み部分の再送を要求する、
ことを特徴とする請求項1に記載のFAX受信装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記ソリッドステートドライブの第1記憶領域及び、前記第1記憶領域とは異なる第2記憶領域それぞれに前記FAXデータを書き込み、
前記FAXデータを前記第1記憶領域に書き込む前における前記状態情報と、前記FAXデータを前記第1記憶領域に書き込んだ後における前記状態情報との比較、及び、前記FAXデータを前記第2記憶領域に書き込む前における前記状態情報と、前記FAXデータを前記第2記憶領域に書き込んだ後における前記状態情報との比較、に基づいて、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域の両方に対して誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対して前記FAXデータの再送を要求する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のFAX受信装置。
【請求項4】
前記第2記憶領域は、前記第1記憶領域に対して誤書き込みされた前記FAXデータの訂正のために確保されたリカバリ領域であり、
前記プロセッサは、
前記第1記憶領域に対して誤書き込みが有り、前記リカバリ領域に対して誤書き込みが無かった場合、前記リカバリ領域に書き込んだ前記FAXデータを前記第1記憶領域にコピーする、
ことを特徴とする請求項に記載のFAX受信装置。
【請求項5】
コンピュータに、
FAX送信装置から電話回線を介して受信したFAXデータを自装置のソリッドステートドライブに書き込む前における、前記ソリッドステートドライブにおける不良ブロックの数を示す状態情報と、前記FAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込んだ後における前記状態情報との比較により、前記ソリッドステートドライブへの前記FAXデータの誤書き込みの有無を識別させ、
前記誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対する第1種類の発呼を自装置のモデムにさせることで、前記FAX送信装置に対して前記FAXデータの再送を要求して前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを再送してもらい
前記誤書き込みが無かった場合、前記FAX送信装置に対する前記第1種類とは異なる第2種類の発呼を前記モデムにさせることで、前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを削除させる、
ことを特徴とするFAX受信プログラム。
【請求項6】
FAX送信装置から電話回線を介して受信したFAXデータを自装置のソリッドステートドライブに書き込む前における、前記ソリッドステートドライブにおける不良ブロックの数を示す状態情報と、前記FAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込んだ後における前記状態情報との比較により、前記ソリッドステートドライブへの前記FAXデータの誤書き込みの有無を識別し、
前記誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対する第1種類の発呼を自装置のモデムにさせ
前記誤書き込みが無かった場合、前記FAX送信装置に対する前記第1種類とは異なる第2種類の発呼を前記モデムにさせる、
FAX受信装置と、
前記FAX受信装置に前記FAXデータを送信し、送信した前記FAXデータを自装置のメモリに保持しておき、
前記FAXデータを送信後、所定期間の間に、前記第1種類の発呼を受信した場合に、前記FAXデータを前記FAX受信装置に再送前記所定期間の間、前記第2種類の発呼を受信した場合に、前記メモリから前記FAXデータを削除する、
FAX送信装置と、
を備えることを特徴とするFAX送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FAX受信装置、FAX受信プログラム、及びFAX送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信回線を介して、画像データであるFAXデータを遠隔地に伝送するファクシミリ(本明細書では「FAX」と記載する)が知られている。従来、電話回線によって、FAX送信装置からFAX受信装置にFAXデータが送信されていたが、昨今、インターネットやLANなどのコンピュータネットワークを介してFAXデータを送信するI-FAXと呼ばれる方式も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンピュータネットワークを介してFAX送信装置とFAX受信装置とが接続されたI-FAXシステムであって、FAX送信装置からFAX受信装置へのFAXデータの送信エラーを検出し、送信エラーが有った場合にFAXデータを再送するシステムが開示されている。また、特許文献2には、FAX送信装置からのFAXデータの受信中に障害が生じた場合に、FAX送信装置を操作する係員に当該FAXデータの再送を依頼するための通知票を作成するFAXシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-49435号公報
【文献】特開平10-271257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、FAX受信装置において、受信したFAXデータを直ちに出力(例えば印刷や転送)せずに一旦FAX受信装置に記憶させておき、利用者の任意のタイミングで、受信済みのFAXデータを出力可能とすることが考えられる。このようなFAX受信装置において、記憶装置としてソリッドステートドライブを利用することが考えられる。その場合、受信したFAXデータはソリッドステートドライブに書き込まれ記憶されることになる。
【0006】
ソリッドステートドライブを制御するプロセッサは、ソリッドステートドライブへのデータへの書き込み制御の高速化を実現するために、ソリッドステートドライブに対してデータの書き込みを指示した後、それが正しく書き込まれたかの確認を行わずに次の処理に移行する場合がある。この場合、ソリッドステートドライブへのデータの誤書き込み(換言すれば書き込みエラー)が有ったとすると、当該誤書き込みを検出できるのが、当該データの読み出し処理を実行したときとなる。したがって、ソリッドステートドライブへの誤書き込みが有った場合、書き込み処理が行われてからかなり時間が経過した後に、当該誤書き込みが検出される場合がある。
【0007】
従来、電話回線を介してFAXデータを送信するFAX送信装置において、FAX送信装置は、送信済のFAXデータを保持せずに送信後直ちに破棄してしまう場合があった。例えば、FAX送信装置が紙文書を光学的に読み取ってFAXデータを取得して、電話回線を介して当該FAXデータをFAX受信装置に送信するようなFAX送受信システムにおいては、当該FAX送信装置は、取得したFAXデータを送信後直ちに破棄してしまう場合があった。
【0008】
ここで、電話回線を介してFAXデータを送受信するFAX送受信システムであって、FAX受信装置が受信したFAXデータをソリッドステートドライブへ書き込むシステムを考えると、ソリッドステートドライブへのFAXデータの誤書き込みが発生した場合、当該誤書き込みを検出するまでに時間がかかり、且つ、FAX送信装置には送信済みのFAXデータが保持されていないため、FAX送信装置が当該FAXデータを再送することができなくなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、ソリッドステートドライブを備え、FAX送信装置から電話回線を介してFAXデータを受信するFAX受信装置において、ソリッドステートドライブへの受信したFAXデータの誤書き込みが有った場合であっても、当該FAXデータをFAX送信装置から再送してもらうことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、プロセッサと、ソリッドステートドライブと、モデムと、を備え、前記プロセッサは、FAX送信装置から電話回線を介して受信したFAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込む前における、前記ソリッドステートドライブにおける不良ブロックの数を示す状態情報と、前記FAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込んだ後における前記状態情報との比較により、前記ソリッドステートドライブへの前記FAXデータの誤書き込みの有無を識別し、前記誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対する第1種類の発呼を前記モデムにさせることで、前記FAX送信装置に対して前記FAXデータの再送を要求して前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを再送してもらい前記誤書き込みが無かった場合、前記FAX送信装置に対する前記第1種類とは異なる第2種類の発呼を前記モデムにさせることで、前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを削除させる、ことを特徴とするFAX受信装置である
求項に係る発明は、前記プロセッサは、前記FAXデータのうち、前記ソリッドステートドライブへの誤書き込みが生じた誤書き込み部分を特定し、前記FAX送信装置に対して前記誤書き込み部分の再送を要求する、ことを特徴とする請求項1に記載のFAX受信装置である。
請求項に係る発明は、前記プロセッサは、前記ソリッドステートドライブの第1記憶領域及び、前記第1記憶領域とは異なる第2記憶領域それぞれに前記FAXデータを書き込み、前記FAXデータを前記第1記憶領域に書き込む前における前記状態情報と、前記FAXデータを前記第1記憶領域に書き込んだ後における前記状態情報との比較、及び、前記FAXデータを前記第2記憶領域に書き込む前における前記状態情報と、前記FAXデータを前記第2記憶領域に書き込んだ後における前記状態情報との比較、に基づいて、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域の両方に対して誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対して前記FAXデータの再送を要求する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のFAX受信装置である。
請求項に係る発明は、前記第2記憶領域は、前記第1記憶領域に対して誤書き込みされた前記FAXデータの訂正のために確保されたリカバリ領域であり、前記プロセッサは、前記第1記憶領域に対して誤書き込みが有り、前記リカバリ領域に対して誤書き込みが無かった場合、前記リカバリ領域に書き込んだ前記FAXデータを前記第1記憶領域にコピーする、ことを特徴とする請求項に記載のFAX受信装置である。
請求項に係る発明は、コンピュータに、FAX送信装置から電話回線を介して受信したFAXデータを自装置のソリッドステートドライブに書き込む前における、前記ソリッドステートドライブにおける不良ブロックの数を示す状態情報と、前記FAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込んだ後における前記状態情報との比較により、前記ソリッドステートドライブへの前記FAXデータの誤書き込みの有無を識別させ、前記誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対する第1種類の発呼を自装置のモデムにさせることで、前記FAX送信装置に対して前記FAXデータの再送を要求して前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを再送してもらい前記誤書き込みが無かった場合、前記FAX送信装置に対する前記第1種類とは異なる第2種類の発呼を前記モデムにさせることで、前記FAX送信装置において保持されていた前記FAXデータを削除させる、ことを特徴とするFAX受信プログラムである。
請求項に係る発明は、FAX送信装置から電話回線を介して受信したFAXデータを自装置のソリッドステートドライブに書き込む前における、前記ソリッドステートドライブにおける不良ブロックの数を示す状態情報と、前記FAXデータを前記ソリッドステートドライブに書き込んだ後における前記状態情報との比較により、前記ソリッドステートドライブへの前記FAXデータの誤書き込みの有無を識別し、前記誤書き込みが有った場合、前記FAX送信装置に対する第1種類の発呼を自装置のモデムにさせ前記誤書き込みが無かった場合、前記FAX送信装置に対する前記第1種類とは異なる第2種類の発呼を前記モデムにさせる、FAX受信装置と、前記FAX受信装置に前記FAXデータを送信し、送信した前記FAXデータを自装置のメモリに保持しておき、前記FAXデータを送信後、所定期間の間に、前記第1種類の発呼を受信した場合に、前記FAXデータを前記FAX受信装置に再送前記所定期間の間、前記第2種類の発呼を受信した場合に、前記メモリから前記FAXデータを削除する、FAX送信装置と、を備えることを特徴とするFAX送受信システムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、、又はに係る発明によれば、ソリッドステートドライブを備え、FAX送信装置から電話回線を介してFAXデータを受信するFAX受信装置において、ソリッドステートドライブへの受信したFAXデータの誤書き込みが有った場合であっても、当該FAXデータをFAX送信装置から再送してもらうことができる
求項に係る発明によれば、再送されるFAXデータのデータ容量を削減することができる。
請求項又はに係る発明によれば、FAXデータの誤書き込みが有った場合でも、FAX送信装置からFAXデータを再送してもらうことなく、FAX受信装置が正しいFAXデータを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】基本実施形態に係るFAX送受信システムの構成概略図である。
図2】基本実施形態に係るFAX受信装置の構成概略図である。
図3】SSDの構成概略図である。
図4】SMART情報の第1の例を示す概念図である。
図5】SMART情報の第2の例を示す概念図である。
図6】基本実施形態に係るFAX送信装置の構成概略図である。
図7】基本実施形態に係るFAX送受信システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<基本実施形態>
図1は、本実施形態に係るFAX送受信システム10の構成概略図である。FAX送受信システム10は、画像データであるFAXデータを受信するFAX受信装置12と、FAXデータをFAX受信装置12に送信するFAX送信装置14とを含んで構成される。FAX受信装置12とFAX送信装置14は、電話回線16によって接続される。したがって、FAXデータは電話回線16を介して送信される。
【0014】
具体的には、まず、FAX送信装置14の利用者(ユーザ)である送信者は、FAX受信装置12のFAX番号と、FAXデータとをFAX送信装置14に入力する。FAXデータは、FAX送信装置14が紙文書をスキャンすることで取得するようにしてもよいし、予め用意された画像データであってもよい。FAX送信装置14は、入力されたFAX番号に基づいてFAX受信装置12に対して発呼する。FAX受信装置12が着呼、すなわちFAX送信装置14からの発呼に応対すると、FAX送信装置14はFAXデータとしての画像データを音声データに変換して電話回線16を介してFAX受信装置12に送信する。FAX受信装置12は、音声データを受信し、当該音声データを画像データに変換する。
【0015】
FAXデータは電話回線16を介して送信されることから、FAXデータが送信される度に、換言すれば、FAX受信装置12がFAX送信装置14からの発呼に対して着呼する度に、FAXデータの送信者に電話回線16の利用料が課金される。電話回線16の利用料は、FAX受信装置12とFAX送信装置14とを接続する電話回線16の長さ、及び、通信時間に応じて決定されるのが一般的である。
【0016】
上述のように、FAX送信装置14からFAX受信装置12へは、電話回線16を介してFAXデータが送信されるため、FAX受信装置12とFAX送信装置14は、必ずしもインターネットやLANなどのコンピュータネットワークを介して通信可能となっていなくてもよい。
【0017】
なお、本明細書においては、FAX送信装置14がFAXデータを送信し、FAX受信装置12が受信したFAXデータに基づいて処理を行う実施形態について説明するが、もちろん、FAX受信装置12からFAX送信装置14に対してFAXデータを送信することも可能である。
【0018】
図2は、FAX受信装置12の構成概略図である。本実施形態では、FAX受信装置12は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、データ転送機能、及びFAX機能などを備える複合機であるが、FAX受信装置12としては、以下に説明する機能を備える限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0019】
モデム20は、例えば、NCU(Network Control Unit)及び変復調部を含んで構成される。モデム20は、電話回線16を介して他のFAX装置とのFAXデータの送受信を行う。具体的には、モデム20は、他のFAX装置への発呼処理、及び、他のFAX装置からの発呼に対する応対処理(すなわち着呼処理)を行う。また、モデム20は、送信するFAXデータである画像データを音声信号に変換する変調処理、及び、受信した音声データを画像データに変換する復調処理を行う。さらに、モデム20は、変調処理により得られた音声データを他のFAX装置に送信する送信処理、及び、他のFAX装置から音声データを受信する受信処理を行う。
【0020】
通信インターフェース22は、例えば、有線又は無線のLANアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース22は、LANあるいはインターネットなどのコンピュータネットワークを介して他の装置と通信する機能を発揮する。例えば、通信インターフェース22は、FAX送信装置14から受信したFAXデータあるいは、FAX送信装置14から受信し後述のSSD28に記憶されたFAXデータを、コンピュータネットワークを介して他の装置に転送する。
【0021】
プリンタ24は、例えば、紙送り機構、感光体ドラム、あるいはカートリッジなどを含んで構成される。プリンタ24は、画像データを紙などの記録媒体に印刷するものである。例えば、プリンタ24は、FAX送信装置14から受信したFAXデータあるいは、FAX送信装置14から受信し後述のSSD28に記憶されたFAXデータを印刷する。
【0022】
メモリ26は、例えば、ハードディスク、ROM、RAM、あるいはeMMC(embedded Multi Media Card)などを含んで構成されている。メモリ26は、後述のプロセッサ32とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ32の内部に設けられていてもよい。メモリ26には、FAX受信装置12の各部を動作させるためのFAX受信プログラムが記憶される。図2に示す通り、メモリ26は、SSD(Solid State Drive(ソリッドステートドライブ))28を含んで構成される。
【0023】
SSD28は、不揮発性の記憶装置である。SSD28は、ハードディスクの代替として利用可能な記憶装置であり、ハードディスクと同様のコネクタ(例えばSATA)でFAX受信装置12と接続される。ハードディスクは磁性体が塗布された円板を有し、当該円板にデータが書き込まれるのに対し、SSD28はフラッシュメモリを有し、当該フラッシュメモリにデータが書き込まれる。
【0024】
図3は、SSD28の構成概略図である。SSD28は、マイクロコントローラ(ICチップ)などから構成されるコントローラ28a、DRAMなどから構成されるキャッシュメモリ28b、及びフラッシュメモリである複数のNAND28cを含んで構成されている。
【0025】
コントローラ28aは、不図示のSATAなどのコネクタを介して、後述のプロセッサ32と通信可能に接続される。また、コントローラ28aは、SSD28内においてキャッシュメモリ28bと各NAND28cと電気的に接続される。コントローラ28aは、プロセッサ32からの指示に従って、データをキャッシュメモリ28b又はNAND28cに書き込む書き込み処理、及び、キャッシュメモリ28b又はNAND28cからデータを読み出す読み出し処理を実行する。
【0026】
コントローラ28aは、プロセッサ32からデータの書き込み指示を受けると、書き込み対象のデータをまずキャッシュメモリ28bに書き込む。キャッシュメモリ28bに書き込まれたデータは、所定の条件を満たした場合、コントローラ28aは、キャッシュメモリ28bに書き込まれたデータをNAND28cに移す。例えば、キャッシュメモリ28bの残記憶容量を超えるデータ容量の新たなデータの書き込み指示があった場合に、コントローラ28aは、既にキャッシュメモリ28bに記憶されているデータをNAND28cに移す。
【0027】
NAND28cにおいては、2k(キロ)バイト程度の記憶領域である「ページ」と、複数のページをまとめた記憶領域である「ブロック」が定義されている。NAND28cへのデータの書き込みや、NAND28cからのデータの読み出しはページ単位で行うことができるが、データの消去はブロック単位でのみ実行可能となっている。複数のNAND28cは、その記憶可能容量が大きいことなどに起因して、NAND28cに対してデータを書き込んだときに誤書き込みが生じる可能性が大きくなっている。このことから、NAND28cは、データエラーを検出して訂正するEEC(Error Check and Correct)機能を有している。しかしながら、EEC機能により、ある種のデータエラーを検出して訂正することができるが、全てのデータエラーが訂正できるわけではない。
【0028】
また、コントローラ28aは、プロセッサ32からデータの読み出し指示を受けると、読み出し対象となっているデータが格納されているキャッシュメモリ28b又はNAND28cのアドレスを特定し、キャッシュメモリ28b又はNAND28cから当該データを読み出してプロセッサ32に送る。
【0029】
図2に示す通り、メモリ26には、状態情報としてのSMART情報30が記憶される。SMART情報30は、SSD28の状態を示す情報であり、種々の項目に対する値を含んで構成されている。特に、SMART情報30には、NAND28cに書き込まれたデータの状態に関する情報が含まれている。
【0030】
図4は、SMART情報30の例を示す概念図である。図4には、SMART情報30の項目として、「Badブロック数」、「エラーErace数」、及び「uncorrectable数」が示されている。これらは、いずれもNAND28cに書き込まれたデータの状態に関する情報である。SMART情報30に含まれる項目はこれには限られず、その他数多くの項目が含まれていてもよい。
【0031】
「Badブロック数」に対する値は、データの誤書き込みが発生したことなどに起因して不良となったNAND28cのブロックの数を示すものである。「エラーErace数」に対する値は、NAND28cに対するデータの誤書き込みにより生じたデータエラーのうち、上述のECC機能によりエラーが解消された数を示すものである。なお、データエラーが解消された場合であっても、必ずしもエラー解消後のデータが正しいデータとなっているとは限らない。「uncorrectable数」に対する値は、NAND28cに対するデータの誤書き込みにより生じたデータエラーであって、上述のECC機能で訂正できなかったデータエラーの数を示すものである。
【0032】
図2に戻り、プロセッサ32は、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ32としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
【0033】
プロセッサ32は、FAX受信装置12のユーザの指示に従って、FAX送信装置14から受信してSSD28に記憶されたFAXデータを出力する出力処理を実行する。例えば、プロセッサ32は、SSD28に記憶されたFAXデータをプリンタ24に印刷する。あるいは、プロセッサ32は、SSD28に記憶されたFAXデータを通信インターフェース22から他の装置に転送する。また、図2に示す通り、プロセッサ32は、メモリ26に記憶されたFAX受信プログラムにより、処理指示部34、誤書き込み検出部36、及び、再送要求処理部38としての機能も発揮する。
【0034】
処理指示部34は、データをSSD28に書き込むための書き込み指示をSSD28に対して送る。本実施形態では、特に、処理指示部34は、FAX送信装置14から受信したFAXデータをSSD28に書き込むための書き込み指示をSSD28に対して送る。また、処理指示部34は、データをSSD28から読み出すための読み出し指示をSSD28に対して送る。本実施形態では、特に、処理指示部34は、FAX送信装置14から受信しSSD28に記憶されたFAXデータを読み出すための読み出し指示をSSD28に対して送る。
【0035】
誤書き込み検出部36は、処理指示部34の書き込み指示によりSSD28に書き込まれたFAXデータが、SSD28に正しく書き込まれたか否かを検出する。換言すれば、誤書き込み検出部36は、FAXデータの誤書き込みの有無を識別する。SSD28においては、キャッシュメモリ28bよりもNAND28cの方が誤書き込みが生じる可能性が高いため、本実施形態では、誤書き込み検出部36は、NAND28cに対するFAXデータの誤書き込みの有無を識別するが、キャッシュメモリ28bも誤書き込みの有無の識別の対象となってもよい。
【0036】
誤書き込み検出部36は、SMART情報30に基づいて、SSD28に対するFAXデータの誤書き込みの有無を識別する。具体的には、誤書き込み検出部36は、FAXデータをSSD28に書き込む前(換言すれば処理指示部34がFAXデータの書き込み指示をSSD28に送る前)におけるSMART情報30の内容と、当該FAXデータをSSD28に書き込んだ後(換言すれば処理指示部34がFAXデータの書き込み指示をSSD28に送った後)におけるSMART情報30の内容との比較により、SSD28に対する当該FAXデータの誤書き込みの有無を識別する。特に、本実施形態においては、誤書き込み検出部36は、FAXデータの書き込み前後における、SMART情報30の内容のうちのNAND28cに書き込まれたデータの状態に関する情報の比較に基づいてSSD28に対する当該FAXデータの誤書き込みの有無を識別する。
【0037】
例えば、FAXデータをSSD28に書き込む前のSMART情報30の内容が図4に示すものであったとする。つまり、FAXデータをSSD28に書き込む前のSMART情報30は、NAND28cにおいてBadブロック数が0であり、エラーErace数も0であり、uncorrectable数も0であったとする。これに対し、当該FAXデータをSSD28に書き込んだ後のSMART情報30の内容が図5に示すものであったとする。つまり、当該FAXデータをSSD28に書き込んだ後のSMART情報30は、NAND28cにおいてBadブロック数が1であり、エラーErace数も1であり、uncorrectable数も1であったとする。すなわち、当該FAXデータをSSD28に書き込んだことにより、SSD28に書き込まれたデータの不良な状態を示す項目の値が増えてしまったとする。
【0038】
このように、当該FAXデータをSSD28に書き込んだことにより、SSD28に書き込まれたデータの不良な状態を示す項目の値が増えてしまった場合、誤書き込み検出部36は、SSD28に対する当該FAXデータの誤書き込みが有った、と識別する。
【0039】
一方、FAXデータをSSD28に書き込む前後のSMART情報30の内容が、いずれも図4に示すものであった場合、すなわち、当該FAXデータをSSD28に書き込んだ前後において、SSD28に書き込まれたデータの不良な状態を示す項目の値が変わらなかった場合、誤書き込み検出部36は、SSD28に対する当該FAXデータの誤書き込みは無かった、と識別する。
【0040】
また、誤書き込み検出部36は、FAX送信装置14から受信したFAXデータのうち、SSD28への誤書き込みが有った誤書き込み部分を特定するようにしてもよい。例えば、FAXデータが複数のデータページ(NAND28cにおけるページと区別すべくデータページと記載する)から構成される場合、誤書き込み検出部36は、誤書き込み部分として、SSD28への誤書き込みが有ったデータページを特定する。
【0041】
誤書き込み部分の特定は、種々の方法で行うことができる。例えば、FAXデータをSSD28に書き込むと共に、当該FAXデータをSSD28以外の記憶領域に保持しておく。そして、上述のようにFAXデータをSSD28に書き込む前後のSMART情報30の内容に基づいて、SSD28に対する当該FAXデータの誤書き込みが有ったと識別した後に、当該FAXデータをSSD28から読み出し、読み出したFAXデータと、予め保持しておいたFAXデータとを比較することで、誤書き込み部分を特定する。あるいは、当該FAXデータについての読み出し処理を行ったときに、読み出しエラーが生じた(正しく読み出せなかった)部分を誤書き込み部分として特定してもよい。また、FAXデータが複数のデータページから構成されており、FAX送信装置14から各データページが順次FAX受信装置12に送信されるのであれば、FAX受信装置12は、各データページをSSD28に書き込む前後のSMART情報30の内容に基づいて、誤書き込みが有ったデータページを誤書き込み部分として特定することができる。
【0042】
再送要求処理部38は、誤書き込み検出部36がSSD28に対するFAXデータの誤書き込みが有った、と誤書き込み検出部36が識別した場合、FAX送信装置14に対して当該FAXデータの再送を要求する。
【0043】
本実施形態では、FAX受信装置12とFAX送信装置14は、コンピュータネットワークにより通信可能となっていないため、再送要求処理部38は、コンピュータネットワークを用いた方法以外の方法にて当該FAXデータの再送を要求する。本実施形態では、再送要求処理部38は、モデム20によるFAX送信装置14への発呼により当該FAXデータの再送を要求する。
【0044】
なお、詳しくは後述するが、FAX送信装置14は、FAX受信装置12のSSD28へのFAXデータの誤書き込みが有った場合に備えて、FAXデータをFAX受信装置12に送信した後所定時間の間、当該FAXデータを保持しつつFAX受信装置12から再送要求が送信されたか否かを監視をする監視状態に入る。この監視状態をいち早く解除させるべく、再送要求処理部38は、誤書き込み検出部36がSSD28に対するFAXデータの誤書き込みが無かった、と誤書き込み検出部36が識別した場合、FAX送信装置14に対して書き込みが正常に完了したことを通知する。当該通知もコンピュータネットワークを用いた方法以外の方法にて行われ、本実施形態では、モデム20によるFAX送信装置14への発呼により行われる。
【0045】
このように、本実施形態では、FAXデータの再送要求と、書き込み完了通知とのいずれもが、FAX送信装置14への発呼により行われるため、再送要求処理部38は、コールの回数やコール時間などを変えることで、すなわち発呼の種類を変えることによって、再送要求と書き込み完了通知とを区別する。本実施形態では、再送要求処理部38は、FAXデータの再送要求を行う場合は、FAX送信装置14に対して1回のコールを行い、書き込み完了通知を行う場合は、FAX送信装置14に対して3回のコールを行う。もちろん、再送要求と書き込み完了通知とで発呼の種類が異なる限りにおいて、どのような発呼を行ってもよい。
【0046】
また、FAX送信装置14から受信したFAXデータのうち、SSD28への誤書き込みが有った誤書き込み部分を誤書き込み検出部36が特定した場合、再送要求処理部38は、FAX送信装置14に対して当該誤書き込み部分のみの再送を要求するようにしてもよい。例えば、FAXデータが複数のデータページから構成される場合、データページ毎に異なる発呼の種類を予め設定しておき、誤書き込み検出部36は、誤書き込み部分に対応する種類の発呼をFAX送信装置14に対して行うことで、誤書き込み部分のみの再送を要求する。
【0047】
図6は、FAX送信装置14の構成概略図である。本実施形態では、FAX送信装置14は、FAX受信装置12同様、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、データ転送機能、及びFAX機能などを備える複合機であるが、FAX送信装置14としては、以下に説明する機能を備える限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0048】
モデム50の構成及び機能は、FAX受信装置12のモデム20と同様であるため説明を省略する。
【0049】
入力部52は、例えばタッチパネルやボタン、あるいは紙文書をスキャンして画像データであるFAXデータとするスキャナなどを含んで構成される。入力部52は、FAX送信装置14のユーザである送信者の指示、あるいは、FAXデータをFAX送信装置14に入力するために用いられる。
【0050】
メモリ54は、例えば、ハードディスク、ROM、RAM、あるいはeMMCなどを含んで構成されている。メモリ54は、後述のプロセッサ58とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ58の内部に設けられていてもよい。メモリ54には、FAX送信装置14の各部を動作させるためのFAX送信プログラムが記憶される。また、図6に示す通り、メモリ54には、入力部52から入力されたFAXデータ56が記憶される。
【0051】
プロセッサ58は、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置、及び、専用の処理装置の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ58としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。また、図6に示す通り、プロセッサ58は、メモリ54に記憶されたFAX送信プログラムにより、送信処理部60及び再送要求検出部62としての機能も発揮する。
【0052】
送信処理部60は、送信者が入力部52から入力した指示に従い、FAXデータ56をモデム50を介してFAX受信装置12に送信する。
【0053】
再送要求検出部62は、送信処理部60がFAXデータ56をFAX受信装置12に送信した後、所定期間の間、FAX受信装置12から当該FAXデータ56の再送要求又は書き込み完了通知を受信するか否かを監視する。本実施形態では、FAX受信装置12の再送要求処理部38は、FAX送信装置14への発呼により再送要求又は書き込み完了通知を送信するため、再送要求検出部62は、FAX受信装置12からの再送要求又は書き込み完了通知としての発呼があるか否かを監視する。この監視期間の間、プロセッサ58は、FAXデータ56をメモリ54から削除せずに保持しておく。
【0054】
FAX受信装置12からの再送要求を受信したと再送要求検出部62が判定した場合、すなわち、本実施形態では、FAX受信装置12から3回のコールを受けた場合、送信処理部60は、保持しておいたFAXデータ56をFAX受信装置12に再送する。一方、FAX受信装置12からの書き込み完了通知を受信したと再送要求検出部62が判定した場合、すなわち、本実施形態では、FAX受信装置12から1回のコールを受けた場合、再送要求検出部62は、再送要求又は書き込み完了通知の監視を停止し、保持しておいたFAXデータ56をメモリ54から削除する。なお、FAX送信装置14は、FAX受信装置12からの発呼に対して応対してしまうとFAX受信装置12のユーザに電話回線16の利用料が課金されてしまうため、当該発呼に対しては応対しない。
【0055】
また、FAX受信装置12からの誤書き込み部分のみの再送要求を受信したと再送要求検出部62が判定した場合、送信処理部60は、保持しておいたFAXデータ56のうち、誤書き込み部分に対応する部分のみをFAX受信装置12に再送する。
【0056】
送信処理部60がFAXデータ56を再送した場合、FAX受信装置12において、SSD28への当該FAXデータ56の誤書き込みが再度生じる場合も考えられる。したがって、送信処理部60がFAXデータ56を再送した後にも、再送要求検出部62は、所定期間の間、FAX受信装置12から当該FAXデータ56の再送要求又は書き込み完了通知を受信するか否かを監視する。
【0057】
FAX受信装置12においてSSD28へのFAXデータ56の誤書き込みが繰り返し生じてしまう場合、FAX送信装置14からFAXデータ56が繰り返し送信されることとなり、電話回線16の利用料が膨大となってしまうおそれがある。したがって、再送要求検出部62は、同一のFAXデータ56を規定回数再送した場合は、その後FAX受信装置12から再送要求を受信した場合であっても、当該FAXデータ56を再送しないようにしてもよい。
【0058】
基本実施形態におけるFAX送受信システム10の概要は以上の通りである。本実施形態に係るFAX送受信システム10によれば、FAX送信装置14において、送信したFAXデータ56が保持されつつ、FAX受信装置12において、FAXデータ56がSSD28に書き込まれたときに、FAXデータ56のSSD28への誤書き込みが検出される。したがって、仮にFAXデータ56のSSD28への誤書き込みが有ったとしても、FAX送信装置14から当該FAXデータ56をすぐに再送してもらうことができる。
【0059】
以下、図7に示すフローチャートに従って、基本実施形態におけるFAX送受信システム10の処理の流れを説明する。
【0060】
ステップS10において、FAX送信装置14の送信処理部60は、FAXデータ56をFAX受信装置12に送信する。
【0061】
ステップS12において、再送要求検出部62は、FAX受信装置12からのFAXデータ56の再送要求又は書き込み完了通知の監視を開始する。それと共に、FAX送信装置14のプロセッサ58は、FAXデータ56をメモリ54から削除せずに保持しておく。
【0062】
ステップS14において、FAX送信装置14からFAXデータ56を受信すると、誤書き込み検出部36は、当該FAXデータ56がSSD28に書き込まれるに先立って、SMART情報30の内容を取得する。
【0063】
ステップS16において、FAX受信装置12の処理指示部34は、ステップS10にて受信した当該FAXデータ56の書き込み指示をSSD28に送る。SSD28のコントローラ28aは、当該書き込み指示に応じて、FAXデータ56をまずキャッシュメモリ28bに書き込み、所定の条件に基づいて、当該FAXデータ56をキャッシュメモリ28bからNAND28cに移す。
【0064】
ステップS18において、誤書き込み検出部36は、再度、SMART情報30の内容を取得する。
【0065】
ステップS20において、誤書き込み検出部36は、ステップS14で取得したSMART情報30の内容と、ステップS18で取得したSMART情報30の内容とを比較することで、ステップS10で受信したFAXデータ56のSSD28への誤書き込みの有無を識別する。誤書き込みが有ったと判定した場合はステップS22に進み、誤書き込みが無かったと判定した場合はステップS24に進む。
【0066】
ステップS22において、FAX受信装置12の再送要求処理部38は、FAX送信装置14に対して当該FAXデータ56の再送要求を行う。上述のように、本実施形態では、3回のコールによる発呼により再送要求を行う。
【0067】
一方、ステップS24においては、再送要求処理部38は、FAX送信装置14に対して当該FAXデータ56のSSD28への書き込み完了通知を行う。上述のように、本実施形態では、1回のコールによる発呼により書き込み完了通知を行う。書き込み完了通知後、処理を終了する。
【0068】
ステップS26において、FAX送信装置14の再送要求検出部62は、FAXデータ56をFAX受信装置12に送信してから所定時間内にFAX受信装置12から再送要求を受けたか否かを判定する。再送要求を受けた場合はステップS28に進み、所定時間内に再送要求を受けなかったか、あるいは書き込み完了通知を受けた場合には、保持していたFAXデータ56を削除して処理を終了する。
【0069】
ステップS28において、FAX送信装置14の送信処理部60は、FAXデータ56をFAX受信装置12に再送する。再送後、ステップS26に戻る。
【0070】
FAX受信装置12は、FAX送信装置14からFAXデータ56を再度受信すると、ステップS14~ステップS18の処理と同様に、処理指示部34は、FAXデータ56のSSD28への書き込み前後のSMART情報30を取得しつつ、SSD28にFAXデータ56を書き込む。その上で、書き込み前後のSMART情報30に基づいて、FAXデータ56のSSD28への誤書き込みの有無を識別する。誤書き込みが有ったと判定した場合はステップS32に進み、誤書き込みが無かったと判定した場合はステップS24に進む。
【0071】
ステップS32において、再送要求処理部38は、規定回数以上当該FAXデータ56が再送されているか否かを判定する。規定回数以上、当該FAXデータ56が再送されている場合はそれ以上の再送要求はせずに処理を終了する。未だ規定回数、当該FAXデータ56が再送されていない場合は、ステップS22に戻り、再送要求処理部38は、再度当該FAXデータ56の再送要求をFAX送信装置14に送信する。
【0072】
<変形実施形態>
以下、FAX送受信システム10の変形実施形態について説明する。変形実施形態におけるFAX送受信システム10、FAX受信装置12、及びFAX送信装置14の構成は、基本実施形態と同様である。変形実施形態は、FAX受信装置12からFAX送信装置14へ再送要求がされる機会を低減するべく、FAX受信装置12がFAX送信装置14から受信したFAXデータをSSD28の複数の異なる記憶領域に記憶させる実施形態である。
【0073】
本実施形態では、FAX受信装置12の処理指示部34は、FAX送信装置14から受信した同一のFAXデータを、SSD28の第1記憶領域と、第1記憶領域とは異なる第2記憶領域にそれぞれ書き込む指示をSSD28に送信する。もちろん、同一のFAXデータを3つ以上の記憶領域に記憶させてもよい。SSD28のコントローラ28aは、当該書き込み指示に基づいて、当該FAXデータをNAND28cの第1記憶領域と、NAND28cの第2記憶領域に記憶させる。
【0074】
誤書き込み検出部36は、同一のFAXデータをそれぞれの記憶領域に書き込む前後のSMART情報30に基づいて、各記憶領域に対するFAXデータの誤書き込みを検出する。本実施形態では、誤書き込み検出部36は、FAXデータを第1記憶領域に書き込む前後のSMART情報30に基づいて、第1記憶領域に対するFAXデータの誤書き込みの有無を検出し、また、FAXデータを第2記憶領域に書き込む前後のSMART情報30に基づいて、第2記憶領域に対するFAXデータの誤書き込みの有無を検出する。
【0075】
再送要求処理部38は、同一のFAXデータをそれぞれ書き込んだ複数の記憶領域の全てに対して誤書き込みが有った場合のみ、FAX送信装置14に対して当該FAXデータの再送を要求する。本実施形態では、再送要求処理部38は、第1記憶領域及び第2記憶領域の両方に対して誤書き込みが有った場合のみ、FAX送信装置14に対して当該FAXデータの再送を要求する。換言すれば、第1記憶領域及び第2記憶領域の両方に対して誤書き込みが無かった場合はもちろん、第1記憶領域に対して誤書き込みが有り第2記憶領域に対しては誤書き込みが無かった場合、及び、第1記憶領域に対して誤書き込みが無く第2記憶領域に対しては誤書き込みが有った場合にも、再送要求処理部38はFAX送信装置14に対して当該FAXデータの再送を要求しない。
【0076】
その後、FAX受信装置12のユーザにより、当該FAXデータの出力(転送や印刷)指示があった場合には、プロセッサ32は、誤書き込みが無かった記憶領域に記憶されている当該FAXデータを読み出して出力する。
【0077】
また、SSD28のNAND28cにおいては、1つ分のFAXデータを記憶するのに必要十分程度の小さな記憶容量を有する記憶領域であるリカバリ領域が予め定義されていてもよい。当該リカバリ領域は、NAND28cのリカバリ領域以外の記憶領域である通常領域に対して誤書き込みされたFAXデータ訂正のために確保された領域である。
【0078】
FAX受信装置12の処理指示部34は、FAX送信装置14からFAXデータを受信する度に、常に、同一のFAXデータを、第1記憶領域としての通常領域と、第2記憶領域としてのリカバリ領域に記憶させるようにしてもよい。上述のように、リカバリ領域は1つ分のFAXデータを記憶可能な程度の記憶容量しか持たないため、コントローラ28aは、新たなFAXデータの書き込み指示を受けた場合には、リカバリ領域に記憶される前のFAXデータを削除した上で新たなFAXデータをリカバリ領域に記憶させる。
【0079】
この場合、処理指示部34は、通常領域に対してFAXデータの誤書き込みが有り、リカバリ領域に対して誤書き込みが無かった場合、リカバリ領域に書き込んだFAXデータを当該通常領域にコピーする。これにより、通常領域に対して誤書き込みされたFAXデータを訂正することができる。
【0080】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 FAX送受信システム、12 FAX受信装置、14 FAX送信装置、16 電話回線、20,50 モデム、22 通信インターフェース、24 プリンタ、26,54 メモリ、28 SSD、30 SMART情報、32,58 プロセッサ、34 処理指示部、36 誤書き込み検出部、38 再送要求処理部、52 入力部、56 FAXデータ、60 送信処理部、62 再送要求検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7