(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】超音波探触子及び超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2020005558
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西台 顕伍
(72)【発明者】
【氏名】内藤 達也
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-349104(JP,A)
【文献】特開2018-023630(JP,A)
【文献】特開2013-115537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記FPCが折り畳まれて前記第1のコネクター部が前記第2のコネクター部に嵌合されて接続され
、
前記取付部は、前記長軸方向の列ごとに、当該列の振動子と前記第1のコネクター部とに接続された信号線を有し、
所定の前記信号線は、前記短軸方向の1方向に延在し、
前記所定の信号線の前記長軸方向の前後の列の信号線は、前記短軸方向の1方向と逆方向に延在する超音波探触子。
【請求項2】
前記第2のコネクター部は、前記FPCの前記複数の振動子側の面上に実装されている請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記第2のコネクター部は、前記FPCの前記複数の振動子側と逆側の面上に実装されている請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項4】
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記第2のコネクター部は、複数であり、前記FPCの前記複数の振動子側の面上と、当該振動子側の逆側の面上とに、前記長軸方向に沿って1つずつ交互に実装され、
前記FPCは、前記第2のコネクター部の実装位置の間に、前記短軸方向に延在する切込線を有する超音波探触子。
【請求項5】
前記切込線は、前記長軸方向に均等な間隔で前記FPCに設けられる請求項4に記載の超音波探触子。
【請求項6】
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記第2のコネクター部は、複数であり、前記FPCの前記複数の振動子側の面上と、当該振動子側の逆側の面上とに、前記長軸方向に沿って交互に実装され、当該長軸方向に沿って少なくとも1群が同じ面上に連続して実装され、
前記FPCは、前記同じ面上の1つ又は連続する1群の第2のコネクター部の実装位置の間に、前記短軸方向に延在する切込線を有する超音波探触子。
【請求項7】
前記基板部は、前記基板に実装されたマルチプレクサーを有する請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波探触子。
【請求項8】
前記取付部は、前記長軸方向の列ごとに、当該列の振動子と前記第1のコネクター部とに接続された信号線を有し、
所定の前記信号線は、前記短軸方向の1方向に延在し、
前記所定の信号線の前記長軸方向の前後の列の信号線は、前記短軸方向の1方向と逆方向に延在する請求項
4から7のいずれか一項に記載の超音波探触子。
【請求項9】
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記取付部は、前記長軸方向の列ごとに、当該列の振動子と前記第1のコネクター部とに接続された信号線を有し、
所定の前記信号線は、前記短軸方向の1方向に延在し、
前記所定の信号線の前記長軸方向の前後の列の信号線は、前記短軸方向の1方向と逆方向に延在する超音波探触子。
【請求項10】
全ての前記信号線は、前記長軸方向に沿って、前記短軸方向の1方向と、当該短軸方向の1方向と逆方向と、に交互に延在する請求項8又は9に記載の超音波探触子。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の超音波探触子と、
前記超音波探触子で得られた受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成部と、を備える超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波探触子を患者の被検体の体表又は体腔内から当てるという簡単な操作で心臓や胎児の様子が超音波画像として得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。このような超音波診断を行うために用いられる超音波診断装置が知られている。
【0003】
また、長軸方向だけでなく短軸方向にも振動子が配置された2次元アレイの超音波探触子(2次元アレイプローブ)が知られている。2次元アレイの超音波探触子によれば、被検体の3次元の断層像を得ることができる。2次元アレイの超音波探触子は、短軸方向の一行のみに振動子を有する1次元アレイの超音波探触子と比較して振動子の素子数が多いことから、振動子の電極と基板側の電極とを接続するための信号線や端子の数も膨大になる。これに伴い、接続部分が占める容積が膨大になってしまい、超音波探触子全体の大きさも大きくなってしまう。
【0004】
このため、超音波振動子(振動子)側の電極と配線基板側の電極とを接続するための信号線の配線束を、背面負荷材(バッキング材)を貫通して、配線基板1枚当たりに複数接続することにより、使用する配線基板の数を削減した超音波探触子が知られている(特許文献1参照)。この構成により、超音波探触子のサイズが拡大することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2次元アレイの超音波探触子においては、一振動子の素子が小さく配列ピッチが小さいため、それに伴い各素子からの信号線が細くなり、信号線の引き出しや音響特性の維持が難しい。また、バッキング材中を信号線が貫通する構成では素子を製造する際に安定した製造が困難であることが考えられる。特許文献1の超音波探触子における背面負荷材中を配線束が貫通する構成では、配線基板上のコネクター端子の位置に応じて配線束の長さを変える必要があるため、使用する配線束の枚数と種類が多くなってしまい、超音波探触子をより小型化する要請がある。また、特許文献1の超音波探触子は、貫通しない構成に比べて、超音波探触子の音響特性が変化し、超音波画像の画質にも影響するおそれがあった。
【0007】
本実施の形態の課題は、超音波探触子を小型化するとともに、超音波画像の画質を上げることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の超音波探触子は、
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記FPCが折り畳まれて前記第1のコネクター部が前記第2のコネクター部に嵌合されて接続され、
前記取付部は、前記長軸方向の列ごとに、当該列の振動子と前記第1のコネクター部とに接続された信号線を有し、
所定の前記信号線は、前記短軸方向の1方向に延在し、
前記所定の信号線の前記長軸方向の前後の列の信号線は、前記短軸方向の1方向と逆方向に延在する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子において、
前記第2のコネクター部は、前記FPCの前記複数の振動子側の面上に実装されている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子において、
前記第2のコネクター部は、前記FPCの前記複数の振動子側と逆側の面上に実装されている。
【0012】
請求項4に記載の発明の超音波探触子は、
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記第2のコネクター部は、複数であり、前記FPCの前記複数の振動子側の面上と、当該振動子側の逆側の面上とに、前記長軸方向に沿って1つずつ交互に実装され、
前記FPCは、前記第2のコネクター部の実装位置の間に、前記短軸方向に延在する切込線を有する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の超音波探触子において、
前記切込線は、前記長軸方向に均等な間隔で前記FPCに設けられる。
【0014】
請求項6に記載の発明の超音波探触子は、
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記第2のコネクター部は、複数であり、前記FPCの前記複数の振動子側の面上と、当該振動子側の逆側の面上とに、前記長軸方向に沿って交互に実装され、当該長軸方向に沿って少なくとも1群が同じ面上に連続して実装され、
前記FPCは、前記同じ面上の1つ又は連続する1群の第2のコネクター部の実装位置の間に、前記短軸方向に延在する切込線を有する。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記基板部は、前記基板に実装されたマルチプレクサーを有する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項4から7のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記取付部は、前記長軸方向の列ごとに、当該列の振動子と前記第1のコネクター部とに接続された信号線を有し、
所定の前記信号線は、前記短軸方向の1方向に延在し、
前記所定の信号線の前記長軸方向の前後の列の信号線は、前記短軸方向の1方向と逆方向に延在する。
請求項9に記載の発明の超音波探触子は、
2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子と信号を入出力する基板を有する基板部と、
前記複数の振動子を有し、前記基板部に取り付けられる取付部と、
を備え、
前記基板部は、前記複数の振動子に接続するための、前記基板の両面に設けられた第1のコネクター部を有し、
前記取付部は、
前記複数の振動子に接続された、前記複数の振動子の長軸方向に沿って当該複数の振動子の短軸方向の両方向に延在するFPCと、
前記FPCに実装され、前記第1のコネクター部に接続される第2のコネクター部と、を有し、
前記取付部は、前記長軸方向の列ごとに、当該列の振動子と前記第1のコネクター部とに接続された信号線を有し、
所定の前記信号線は、前記短軸方向の1方向に延在し、
前記所定の信号線の前記長軸方向の前後の列の信号線は、前記短軸方向の1方向と逆方向に延在する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の超音波探触子において、
全ての前記信号線は、前記長軸方向に沿って、前記短軸方向の1方向と、当該短軸方向の1方向と逆方向と、に交互に延在する。
【0017】
請求項11に記載の発明の超音波診断装置は、
請求項1から10のいずれか一項に記載の超音波探触子と、
前記超音波探触子で得られた受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成
部と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、超音波探触子を小型化できるとともに、超音波画像の画質を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態の超音波診断装置の外観図である。
【
図2】超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態の取付部を示す概略平面図である。
【
図4】(a)は、実施の形態の基板部の表面を示す概略平面図である。(b)は、実施の形態の基板部の裏面を示す概略平面図である。
【
図5】コネクター部及びマルチプレクサーの接続を示す図である。
【
図6】コネクター部と振動子部との接続を示す図である。
【
図7】第1の変形例の取付部を示す概略平面図である。
【
図8】第2の変形例の取付部を示す概略平面図である。
【
図9】(a)は、第2の変形例の基板部の表面を示す概略平面図である。(b)は、第2の変形例の基板部の裏面を示す概略平面図である。
【
図10】第3の変形例の取付部を示す概略平面図である。
【
図11】(a)は、第3の変形例の第1の基板部の表面を示す概略平面図である。(b)は、第3の変形例の第1の基板部の裏面を示す概略平面図である。
【
図12】(a)は、第3の変形例の第2の基板部の表面を示す概略平面図である。(b)は、第3の変形例の第2の基板部の裏面を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び第1~第3の変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態)
図1~
図6を参照して、本実施の形態に係る実施の形態を説明する。まず、
図1及び
図2を参照して、本実施の形態の全体の装置構成を説明する。
図1は、本実施の形態の超音波診断装置100の外観図である。
図2は、超音波診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施の形態の超音波診断装置100は、病院、医院などの医療施設に設けられる。
図1及び
図2に示すように、超音波診断装置100は、超音波診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。超音波探触子2は、図示しない患者の生体などの被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。超音波診断装置本体1は、ケーブル3を介して、超音波探触子2と接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子2にて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
【0023】
超音波探触子2は、複数の圧電素子としての振動子2aを備える。超音波探触子2において、振動子2aは、例えば、長軸方向と長軸方向に垂直な短軸方向とに2次元マトリクス状(2次元アレイ状)に複数配列されている。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。また、超音波探触子2は、2次元アレイ状の電子走査方式の超音波探触子とする。
【0024】
図2に示すように、超音波診断装置本体1は、例えば、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、画像処理部15と、表示制御部16と、表示部17と、制御部18と、記憶部19と、を備える。
【0025】
操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータの入力などを行うための各種スイッチ、各種キー(ハードキー)、トラックボール、マウス、キーボードなどを備え、医師、技師などの操作者からの操作入力に応じた操作信号を制御部18に出力する。なお、操作入力部11は、表示部17の表示画面上に形成されたタッチパネルを含み、操作者からのタッチ操作を受け付け、タッチ操作情報を制御部18に出力する構成としてもよい。
【0026】
送信部12は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2にケーブル3を介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。また、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路、若しくはそれらの機能を持つ演算回路を備える。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを圧電素子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。上述のように構成された送信部12は、例えば、超音波探触子2に配列された複数の振動子2aのうちの連続する一部を駆動して送信超音波を発生させる。
【0027】
受信部13は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、圧電素子毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、圧電素子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0028】
画像生成部14は、制御部18の制御に従って、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理やログ圧縮などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、超音波画像データとしての断層画像データであるB(Brightness)モード画像データを生成する。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。また、画像生成部14は、3次元の断層画像表示を行う画像モードでは、例えば、超音波探触子2の振動子2aの短軸方向の行ごとに、Bモード画像データを作成する。
【0029】
なお、画像生成部14は、BモードでのBモード画像データだけでなく、カラードプラモードなど、他の画像モードの超音波画像データなどが生成できるものであってもよい。
【0030】
画像処理部15は、制御部18の制御に従って、画像生成部14から出力されたBモード画像データに対して情報処理を施す。画像処理部15は、画像メモリー部15aを有する。画像メモリー部15aは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成され、画像生成部14から出力されたBモード画像データをフレーム単位で一時的に記憶する。画像処理部15は、制御部18の制御に従って、画像メモリー部15aに記憶されたBモード画像データを表示制御部16に送信する。
【0031】
表示制御部16は、制御部18の制御に従って、画像処理部15より受信したBモード画像データに座標変換などを施して表示部17用の画像信号に変換して3次元のBモード画像である超音波画像を表示部17に出力する。
【0032】
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイなどの表示装置が適用可能である。表示部17は、制御部18からの表示制御情報、又は表示制御部16から出力された画像信号に従って表示画面上に超音波画像などの表示情報の表示を行う。
【0033】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置100の各部の動作を集中制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な、例えば、後述する超音波画像表示処理を実行するための超音波画像表示プログラムなどの各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データなどを記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0034】
記憶部19は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量記録媒体によって構成されており、超音波画像データなどを記憶する。
【0035】
超音波診断装置100が備える各部について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
【0036】
つぎに、
図3~
図5を参照して、超音波探触子2の装置構成の一例を説明する。
図3は、取付部20Aを示す概略平面図である。
図4(a)は、基板部30A1,30A2の表面を示す概略平面図である。
図4(b)は、基板部30A1,30A2の裏面を示す概略平面図である。
図5は、コネクター部231A、321A及びマルチプレクサー33の接続を示す図である。
図6は、コネクター部231A~236Aと振動子部211との接続を示す図である。
【0037】
超音波探触子2は、
図3に示す取付部20Aと、
図4(a)、
図4(b)に示す基板部30A1,30A2と、取付部20A、30A1,30A2などを収納する筐体部と、を有する。取付部20Aは、FPC(FPC:Flexible Printed Circuit)22Aを含む積層部21と、コネクター部231A,232A,233A,234A,235A,236Aと、を有する。
【0038】
積層部21は、複数の層が積層され、超音波を送受信する部分である。積層部21は、例えば、
図3の紙面奥側(超音波探触子2の背面側)から紙面手前側(被検体側)へ、順に、バッキング材層(音響吸収層、背面負荷材層)、FPC22A、振動子部211(
図6)、音響整合層、音響レンズ(音響レンズ、FPC22Aの露出部分以外、いずれも図示略)が積層されているものとする。
【0039】
バッキング材層は、振動子部211から出力された不要な超音波を吸収するバッキング材からなる層である。FPC22Aは、振動子部211とバッキング材層との間に、超音波診断装置本体1から電気信号を振動子部211へ伝達するために配置され、絶縁体のフィルム上に導電体が配置された平面状のフレキシブルな回路部である。振動子部211は、上面(紙面手前側)から見て、2次元マトリクス状に配列された複数の振動子2aと、振動子2aの超音波を送受する面及びそれに対向する面に設けられた、一対の電極層である電極及び共通電極と、を有する。
【0040】
図3に示すように、積層部21において、振動子2aが上面から見て2次元配列された長方形部分の長手方向を長軸方向(アジマス方向)とし、長軸方向に直交する長方形部分の短手方向を短軸方向(エレベーション方向)とする。
【0041】
音響整合層は、振動子部211と被検体の間の音響インピーダンスを整合させ、境界面での超音波の反射を抑制する層であり、単層又は複数層からなる。音響レンズは、屈折を利用して超音波ビームを集束し分解能を向上するために配置される部材であり、例えば、被検体と音響整合層との中間の音響インピーダンスを有する軟質の高分子材料により構成される。
【0042】
FPC22Aは、積層部21の長方形部分からの露出部分が、短軸方向の2方向に延在しており、短軸方向の一方向(
図3の下方向)に延在した部分をFPC221Aとし、短軸方向の他方向(
図3の上方向)に延在した部分をFPC222Aとする。
【0043】
FPC221Aは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、第2のコネクター部としてのコネクター部231A,232A,233Aと、を有する。フィルムF1は、ポリイミドなどの絶縁体のフィルムに導電体が配置されたものである。コネクター部231A,232A,233Aは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC221AのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部231A,232A,233Aとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0044】
FPC222Aは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、第2のコネクター部としてのコネクター部234A,235A,236Aと、を有する。コネクター部234A,235A,236Aは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC222AのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部234A,235A,236Aとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。また、
図3において、FPC22AのフィルムF1上の導電体の信号線は、図示が省略されているものとし、他の変形例の図(
図7、
図8、
図10)でも同様とする。
【0045】
図3において、実線のコネクター部は、当該コネクター部がフィルムF1の表面(
図3の紙面上の手前側)に設けられていることを示し、他の変形例の図(
図7、
図8、
図10)でも同様である。
【0046】
FPC221Aは、コネクター部231A及びコネクター部232Aの間と、コネクター部232A及びコネクター部233Aの間とに、それぞれ、短軸方向に延在する折り線L1が設けられている。また、FPC222Aは、コネクター部234A及びコネクター部235Aの間と、コネクター部235A及びコネクター部236Aの間とに、それぞれ、短軸方向に延在する折り線L1が設けられている。
【0047】
図4(a)、
図4(b)に示すように、基板部30A1,30A2は、取付部20Aの取り付け先の回路基板であり、ケーブル3に電気的に接続されている。基板部30A1は、基板31と、第1のコネクター部としてのコネクター部321A,322A,323Aと、を有する。基板部30A2は、基板31と、第1のコネクター部としてのコネクター部321A,322A,323Aと、を有する。
【0048】
基板31は、導電体の信号線などの配線、基板31上に実装された回路素子などの電子部品が実装されたPCB(Printed Circuit Board)であり、主として、コネクター部321A,322A,323Aを介して、超音波診断装置本体1からケーブル3を介して入力された駆動信号を取付部20Aの積層部21に出力し、積層部21から入力された受信信号をケーブル3を介して超音波診断装置本体1へ出力する。
【0049】
コネクター部321A,322A,323Aは、基板31上の配線の端子に電気的に接続され、基板31に物理的に接続されたコネクター部であり、取付部20Aのコネクター部231A~236Aに対応して接続されるコネクターである。基板部30A1,30A2の基板31上の配線の端子と、コネクター部321A,322A,323Aとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0050】
より具体的には、取付部20Aのコネクター部231A,232A,233Aは、それぞれ順に、基板部30A1のコネクター部321A,323A,322Aに対応する。取付部20Aのコネクター部234A,235A,236Aは、それぞれ順に、基板部30A2のコネクター部322A,323A,321Aに対応する。それぞれ対応する一対のコネクター部は、例えば、雄型のコネクターと、当該雄型に対応する雌型のコネクターと、で構成される。
【0051】
図4(a)に示すように、コネクター部321A,322Aは、基板31の表面の先端部分のほぼ両端位置に実装されている。
図4(b)に示すように、コネクター部323Aは、基板31の裏面の先端部分のほぼ中央位置に実装されている。また、
図4(a)、
図4(b)において、基板31上に配置された導電体の配線、基板31上に実装された電子部品は、図示が省略されているものとし、他の変形例の図(
図9(a)、
図9(b)、
図11(a)、
図11(b)、
図12(a)、
図12(b))でも同様とする。
【0052】
ここで、取付部20Aを、基板部30A1,30A2に取り付ける方法を説明する。超音波探触子2の製造の作業者は、取付部20AのFPC221Aを折り線L1で
図3の紙面手前側に折り、FPC221Aで基板部30A1の先端部分を包み込む。そして、作業者は、コネクター部231A,233A,232Aを基板部30A1のコネクター部321A,322A,323Aに嵌合して接続する。同様にして、作業者は、取付部20AのFPC222Aを折り線L1で
図3の紙面手前側に折り、FPC222Aで基板部30A2の先端部分を包み込み、コネクター部236A,234A,235Aを基板部30A2のコネクター部321A,322A,323Aに嵌合して接続する。
【0053】
また、
図5に示すように、基板部30A1,30A2の基板31は、少なくとも一つのマルチプレクサー33が実装されている。例えば、取付部20Aのコネクター部231Aが接続される基板部30A1のコネクター部321Aにマルチプレクサー33が接続されている。マルチプレクサー33は、複数の入力端子から入力された信号を一つの出力端からまとめて出力する回路素子である。
【0054】
コネクター部321Aからマルチプレクサー33に入力される入力信号の信号線は、2ライン以上であり、マルチプレクサー33に選択信号を入力することにより、時分割で選択された信号線の入力信号が、マルチプレクサー33の出力端から出力信号として出力される。基板部30A1,30A2は、コネクター部321A以外のコネクター部にも少なくとも一つのマルチプレクサー33が設けられる。この構成により、ケーブル3内の信号線の本数を減らしている。
【0055】
また、
図6に示すように、積層部21の振動子部211は、2次元マトリクス状に振動子2aが複数配列されている。振動子部211の長軸方向の振動子2aの複数の配列を列とし、振動子部211の短軸方向の振動子2aの複数の配列を行とする。なお、
図6では、振動子部211を簡略的に図示したものであり、振動子2aの個数、信号線S1の数は、これに限定されるものではない。
【0056】
振動子部211の各列の振動子2aの電極及び共通電極に接続された信号線S1は、列ごとに、FPC221A(コネクター部231A,232A,233A)側と、FPC222A(コネクター部234A,235A,236A)側とに、交互に振り分けられている。この構成により、コネクター部231A,232A,233A(コネクター部234A,235A,236A)に接続される信号線S1同士の間隔を広げ、信号線S1を流れる信号にノイズを乗りにくくさせる。
【0057】
以上、本実施の形態によれば、超音波探触子2は、2次元マトリクス状に配列され超音波を送受信する複数の振動子2aからなる振動子部211を有する積層部21と信号を入出力する基板31を有する基板部30A1,30A2と、複数の振動子2aを有し、基板部30A1,30A2に取り付けられる取付部20Aと、を備える。基板部30A1,30A2は、複数の振動子2aに接続するための、基板31の両面に設けられたコネクター部321A~323Aを有する。取付部20Aは、複数の振動子2aに接続された、振動子部211の長軸方向に沿って短軸方向の両方向に延在するFPC22Aと、FPC22Aに実装され、コネクター部321A~323Aに接続されるコネクター部231A~236Aと、を有する。
【0058】
このため、基板部30A1,30A2の両面にコネクター部を少なくとも1つ有することから、基板部30A1,30A2が超音波探触子2の筐体内に占める容積を小さくすることができる。また、基板部30A1,30A2上にコネクター部を複数設けているため、コネクター部の大きさはそのままで、当該コネクター部のピッチ間隔をコネクター部が1か所しかない場合に比べて、より広げることができ、あるいは、同じピッチ間隔でコネクター部が基板部30A1,30A2上に占める面積を小さくすることができる。よって、振動子2aの数がかなり膨大な2次元アレイの超音波探触子2であっても、電気的な接続が容易となる。このように、医療診断用の超音波探触子2全体の大きさの小型化を実現でき、実際の診断の場面においても、操作性の向上及び正確な超音波探触子2の走査により、正確に安定して画質を向上した超音波画像データを得ることができる。
【0059】
加えて、振動子2aの電極からの信号線が積層部21のバッキング部内を通過するのではなく、振動子部の長軸方向に沿って露出して延在していることにより、バッキング部上にFPC22Aを積層する形で作成できるため、非常に作成が容易となり、短時間で安定して超音波探触子2を製造することが可能である。また、FPCを使用する枚数もFPC22Aの1枚のみで製造可能であり、信号線の長さが異なる複数のFPCを用いる必要がない。
【0060】
また、基板部30A1,30A2は、基板31に実装されたマルチプレクサー33を有する。このため、マルチプレクサー33により、振動子部211の電極からの信号線S1の出力数、ケーブル3(又はその中の信号線)の本数を低減できるため、超音波探触子2の持ち手部分をより細くできる。
【0061】
また、コネクター部231A~236Aは、FPC22Aの複数の振動子2a側の面上に実装されている。このため、FPC22Aに切込線を入れることなく、超音波探触子2を容易に製造でき、取付部20Aを基板部30A1,30A2に容易に取り付けることができる。
【0062】
また、取付部20Aは、振動子部211の長軸方向の列ごとに、当該列の振動子2aとコネクター部231A~236Aとに接続された信号線S1を有する。所定の信号線S1は、振動子部211の短軸方向の1方向に延在する。所定の信号線S1の長軸方向の前後の列の信号線S1は、短軸方向の1方向と逆方向に延在する。このため、信号線S1同士の間隔を大きくとることができ、信号線のノイズを低減できる。
【0063】
また、全ての信号線S1は、振動子部211の長軸方向に沿って、振動子部211の短軸方向の1方向と、当該短軸方向の1方向と逆方向と、に交互に延在する。このため、振動子部211の長軸方向全体にわたり、信号線同士の間隔を大きくとることができ、信号線のノイズをより低減できる。
【0064】
また、超音波診断装置100は、超音波探触子2と、超音波探触子2で得られた受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成部14と、を備える。このため、超音波探触子2により、超音波診断装置100を小型化できるとともに、超音波画像データの画質を上げることができる。
【0065】
さらに、コネクター部321A~323A及び基板31の接続と、コネクター部231A~236A及びFPC22Aの端子の接続とは、はんだ又は導電性接着剤が用いられている。このため、コネクター部321A~323A及び基板31と、コネクター部231A~236A及びFPC22Aとを、物理的かつ電気的に確実に接続できる。
【0066】
(第1の変形例)
図7を参照して、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。
図7は、取付部20Bを示す概略平面図である。
【0067】
本変形例では、装置構成として、上記実施の形態と同様の超音波診断装置100であって、超音波探触子2の取付部20Aを取付部20Bに代えたものを用いることとする。このため、超音波診断装置100と同様の部分に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
つぎに、
図7を参照して、本変形例の超音波探触子2の装置構成を説明する。超音波探触子2は、
図7に示す取付部20Bと、
図4(a)、
図4(b)に示す基板部30A1,30A2と、取付部20B、基板部30A1,30A2を収納する筐体部と、を有する。
図7に示すように、取付部20Bは、FPC22Bを含む積層部21と、第2のコネクター部としてのコネクター部231B,232B,233B,234B,235B,236Bと、を有する。
【0069】
積層部21は、FPC22Bと、振動子部211などの他の複数の層と、を有する。FPC22Bは、積層部21の長方形部分からの露出部分が、短軸方向の両方向に延在しており、短軸方向の一方向(
図7の下方向)に延在した部分をFPC221Bとし、短軸方向の他方向(
図7の上方向)に延在した部分をFPC222Bとする。
【0070】
FPC221Bは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、コネクター部231B,232B,233Bと、を有する。コネクター部231B,232B,233Bは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC221BのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部231B,232B,233Bとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0071】
FPC222Bは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、コネクター部234B,235B,236Bと、を有する。コネクター部234B,235B,236Bは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC222BのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部234B,235B,236Bとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0072】
図7において、破線のコネクター部は、当該コネクター部がフィルムF1の裏面(
図7の紙面上の奥側)に設けられていることを示し、他の変形例の図(
図8、
図10)でも同様である。
【0073】
FPC221Bは、コネクター部231B及びコネクター部232Bの間と、コネクター部232B及びコネクター部233Bの間と、のそれぞれの短軸方向の先端側に、短軸方向に延在する切込線L2が設けられている。また、FPC222Bは、コネクター部234B及びコネクター部235Bの間と、コネクター部235B及びコネクター部236Bの間と、のそれぞれの短軸方向の先端側に、短軸方向に延在する切込線L2が設けられている。FPC221B,222Bにおける切込線L2の長軸方向の間隔は、均等であるものとする。
【0074】
取付部20Bのコネクター部231B,232B,233Bは、それぞれ順に、基板部30A1のコネクター部321A,323A,322Aに対応する。取付部20Bのコネクター部234B,235B,236Bは、それぞれ順に、基板部30A2のコネクター部322A,323A,321Aに対応する。
【0075】
ここで、取付部20Bを、基板部30A1,30A2に取り付ける方法を説明する。超音波探触子2の製造の作業者は、取付部20BのFPC221Bを切込線L2により、
図7の紙面に垂直な方向に互い違いにし、FPC221Bで基板部30A1の先端部分を挟み込む。そして、作業者は、コネクター部231B,233B,232Bを基板部30A1のコネクター部321A,322A,323Aに嵌合して接続する。同様にして、作業者は、取付部20BのFPC222Bを切込線L2により互い違いにし、FPC222Bで基板部30A2の先端部分を挟み込み、コネクター部236B,234B,235Bを基板部30A2のコネクター部321A,322A,323Aに嵌合して接続する。
【0076】
以上、本変形例によれば、コネクター部231B~236Bは、FPC22Bの複数の振動子2a側の面上と、振動子2a側の逆側の面上とに、積層部21の長軸方向に沿って1つずつ交互に実装される。FPC22Bは、コネクター部231B~233Bの実装位置の間に、積層部21の短軸方向に延在する切込線L2を有する。このため、FPC22Bの面積を小さくすることができるので、超音波探触子2をより小型化できるとともに、超音波画像データの画質をより上げることができる。さらに、FPC22B上の両面にコネクター部231B~236Bを有するので、振動子部211からの信号線の引き出し方やFPC22Bの形状を、必要に応じて、自由度の高い形態にすることができる。
【0077】
また、切込線L2は、積層部21の長軸方向に均等な間隔でFPC22Bに設けられる。このため、取付部20Aのコネクター部231B~236Bを基板部30A1,30A2のコネクター部321A~323Aに容易かつ確実に接続できる。
【0078】
(第2の変形例)
図8~
図9(b)を参照して、上記実施の形態の第2の変形例を説明する。
図8は、取付部20Cを示す概略平面図である。
図9(a)は、基板部30Cの表面を示す概略平面図である。
図9(b)は、基板部30Cの裏面を示す概略平面図である。
【0079】
本変形例では、装置構成として、上記実施の形態と同様の超音波診断装置100であって、超音波探触子2の取付部20Aを取付部20Cに代え、基板部30A1,30A2を基板部30Cに代えたものを用いることとする。このため、超音波診断装置100と同様の部分に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
つぎに、
図8~
図9(b)を参照して、本変形例の超音波探触子2の装置構成を説明する。超音波探触子2は、
図8に示す取付部20Cと、
図9(a)、
図9(b)に示す基板部30Cと、取付部20C、基板部30Cを収納する筐体部と、を有する。
図8に示すように、取付部20Cは、FPC22Cを含む積層部21と、第2のコネクター部としてのコネクター部231C,232C,233C,234C,235C,236Cと、を有する。
【0081】
積層部21は、導電体の信号線が配置されたFPC22Cと、他の各種の複数の層と、を有する。FPC22Cは、積層部21の長方形部分からの露出部分が、短軸方向の両方向に延在しており、短軸方向の一方向(
図8の下方向)に延在した部分をFPC221Cとし、短軸方向の他方向(
図8の上方向)に延在した部分をFPC222Cとする。
【0082】
FPC221Cは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、コネクター部231C,232C,233Cと、を有する。コネクター部231C,232C,233Cは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC221CのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部231C,232C,233Cとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0083】
FPC222Cは、フィルムF1と、コネクター部234C,235C,236Cと、を有する。コネクター部234C,235C,236Cは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC222CのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部234C,235C,236Cとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。FPC221C,222Cには、折れ線も切込線も設けられていない。
【0084】
図9(a)、
図9(b)に示すように、基板部30Cは、取付部20Cの取り付け先の回路基板であり、ケーブル3に電気的に接続されている。基板部30Cは、基板31と、第1のコネクター部としてのコネクター部321C,322C,323C,324C,325C,326Cと、を有する。基板部30Cの基板31上の配線の端子と、コネクター部321C,322C,323C,324C,325C,326Cとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0085】
図9(a)に示すように、コネクター部321C,323C,322Cは、基板31の表面の先端部分のほぼ両端位置及び中央位置に実装されている。
図9(b)に示すように、コネクター部324C,326C,325Cは、基板31の裏面の先端部分のほぼ両端位置及び中央位置に実装されている。また、取付部20Cのコネクター部231C,232C,233Cは、それぞれ順に、基板部30Cのコネクター部321C,322C,323Cに対応する。取付部20Cのコネクター部236C,235C,234Cは、それぞれ順に、基板部30Cのコネクター部324C,325C,326Cに対応する。
【0086】
ここで、取付部20Cを、基板部30Cに取り付ける方法を説明する。超音波探触子2の製造の作業者は、取付部20CのFPC221Cを基板部30Cの先端部分に位置させる。そして、作業者は、コネクター部231C,232C,233Cを基板部30Cのコネクター部321C,322C,323Cに嵌合して接続する。同様にして、作業者は、取付部20CのFPC222Cを基板部30Cの先端部分に位置させ、コネクター部236C,235C,234Cを基板部30Cのコネクター部324C,325C,326Cに嵌合して接続する。
【0087】
以上、本変形例によれば、取付部20Cのコネクター部231C~233Cは、FPC221Cの複数の振動子2a側と逆側の面上に実装されている。このため、取付部20Cを1枚の基板部30Cに取り付けることができ、超音波探触子2をさらに小型化できるとともに、超音波画像データの画質をさらに上げることができる。さらに、FPC22Cに切込線を入れることなく、超音波探触子2をさらに容易に製造でき、取付部20Cを基板部30A1,30A2にさらに容易に取り付けることができる。
【0088】
(第3の変形例)
図10~
図12(b)を参照して、上記実施の形態の第3の変形例を説明する。
図10は、取付部20Dを示す概略平面図である。
図11(a)は、基板部30D1の表面を示す概略平面図である。
図11(b)は、基板部30D1の裏面を示す概略平面図である。
図12(a)は、基板部30D2の表面を示す概略平面図である。
図12(b)は、基板部30D2の裏面を示す概略平面図である。
【0089】
本変形例では、装置構成として、上記実施の形態と同様の超音波診断装置100であって、超音波探触子2の取付部20Aを取付部20Dに代え、基板部30A1,30A2を基板部30D1,30D2に代えたものを用いることとする。このため、超音波診断装置100と同様の部分に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0090】
つぎに、
図10~
図12(b)を参照して、本変形例の超音波探触子2の装置構成を説明する。超音波探触子2は、
図10に示す取付部20Dと、
図11(a)、
図11(b)に示す基板部30D1,30D2と、取付部20D、基板部30D1,30D2を収納する筐体部と、を有する。
図10に示すように、取付部20Dは、FPC22Dを含む積層部21と、第2のコネクター部としてのコネクター部231D,232D,233D,234D,235D,236Dと、を有する。
【0091】
積層部21は、FPC22Dと、振動子部211を含む他の複数の層と、を有する。FPC22Dは、積層部21の長方形部分からの露出部分が、短軸方向の2方向に延在しており、短軸方向の一方向(
図10の下方向)に延在した部分をFPC221Dとし、短軸方向の他方向(
図10の上方向)に延在した部分をFPC222Dとする。
【0092】
FPC221Dは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、コネクター部231D,232D,233Dと、を有する。コネクター部231D,232D,233Dは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC221DのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部231D,232D,233Dとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0093】
FPC222Dは、導電体の信号線が配置されたフィルムF1と、コネクター部234D,235D,236Dと、を有する。コネクター部234D,235D,236Dは、フィルムF1上の導電体の端子に電気的に接続され、フィルムF1に物理的に接続されたコネクター部である。FPC222DのフィルムF1上の導電体の端子と、コネクター部234D,235D,236Dとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0094】
FPC221Dは、コネクター部231D及びコネクター部232Dの間の短軸方向の先端側に、短軸方向に延在する切込線L2が設けられている。また、FPC222Dは、コネクター部234D及びコネクター部235Dの間の短軸方向の先端側に、短軸方向に延在する切込線L2が設けられている。
【0095】
基板部30D1は、取付部20Dの取り付け先の回路基板であり、ケーブル3に電気的に接続されている。
図11(a)、
図11(b)に示すように、基板部30D1は、基板31と、第1のコネクター部としてのコネクター部321D,322D,323Dと、を有する。基板部30D1の基板31上の配線の端子と、コネクター部321D,322D,323Dとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0096】
図11(a)に示すように、コネクター部321D,322Dは、基板31の表面の先端部分のほぼ中央位置及び右端位置に設けられている。
図11(b)に示すように、コネクター部323Dは、基板31の裏面の先端部分のほぼ右端位置に設けられている。また、取付部20Dのコネクター部231D,232D,233Dは、それぞれ順に、基板部30D1のコネクター部323D,321D,322Dに対応する。
【0097】
基板部30D2は、取付部20Dの取り付け先の回路基板であり、ケーブル3に電気的に接続されている。
図12(a)、
図12(b)に示すように、基板部30D2は、基板31と、第1のコネクター部としてのコネクター部324D,325D,326Dと、を有する。基板部30D2の基板31上の配線の端子と、コネクター部321D,322D,323Dとは、はんだ又は導電性接着剤により、物理的及び電気的に接続されている。
【0098】
図12(a)に示すように、コネクター部324D,325Dは、基板31の表面の先端部分のほぼ左端位置及び中央位置に実装されている。
図12(b)に示すように、コネクター部326Dは、基板31の裏面の先端部分のほぼ左端位置に実装されている。また、取付部20Dのコネクター部234D,235D,236Dは、それぞれ順に、基板部30D1のコネクター部326D,325D,324Dに対応する。
【0099】
ここで、取付部20Dを、基板部30D1,30D2に取り付ける方法を説明する。超音波探触子2の製造の作業者は、取付部20DのFPC221Dを切込線L2により、
図10の紙面に垂直な方向に互い違いにし、FPC221Dで基板部30D1の先端部分を挟み込む。そして、作業者は、コネクター部232D,233D,231Dを基板部30D1のコネクター部321D,322D,323Dに嵌合して接続する。同様にして、作業者は、取付部20DのFPC222Dを切込線L2により互い違いにし、FPC222Dで基板部30D2の先端部分を挟み込み、コネクター部236D,235D,234Dを基板部30D2のコネクター部324D,325D,326Dに嵌合して接続する。
【0100】
以上、本変形例によれば、コネクター部231D~236Dは、FPC22Dの複数の振動子2a側の面上と、振動子2a側の逆側の面上とに、積層部21の長軸方向に沿って交互に実装され、長軸方向に沿って少なくとも1群が同じ面上に連続して実装される(コネクター部232D,233Dと、コネクター部235D,236D)。FPC22Dは、同じ面上の1つ又は連続する1群のコネクター部の実装位置の間に、短軸方向に延在する切込線L2を有する。このため、取付部20D及び基板部30D1,30D2の設計の自由度を高くできる。例えば、基板部30D1,30D2の基板31の電子部品の位置を必要に応じて実装位置を変更することができる。さらに、FPC22Cに入れる切込線L2を少なくすることができ、超音波探触子2をさらに容易に製造でき、取付部20Dを基板部30D1,30D2に容易に取り付けることができる。
【0101】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な超音波探触子及び超音波診断装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0102】
例えば、基板の両面の各面に設けられるコネクター部の数は、上記の例に限定されるものではなく、各面で少なくとも一つとすればよい。
【0103】
また、以上の実施の形態における超音波診断装置100を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
100 超音波診断装置
1 超音波診断装置本体
11 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 画像生成部
15 画像処理部
15a 画像メモリー部
16 表示制御部
17 表示部
18 制御部
19 記憶部
2 超音波探触子
20A,20B,20C,20D 取付部
21 積層部
211 振動子部
2a 振動子
22A,221A,222A,22B,221B,222B,22C,221C,222C,22D,221D,222D FPC
F1 フィルム
231A,232A,233A,234A,235A,236A,231B,232B,233B,234B,235B,236B,231C,232C,233C,234C,235C,236C,231D,232D,233D,234D,235D,236D コネクター部
L1 折り線
L2 切込線
30A1,30A2,30C,30D1,30D2 基板部
31 基板
321A,322A,323A,321C,322C,323C,324C,325C,326C,321D,322D,323D,324D,325D,326D コネクター部
3 ケーブル