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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240220BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240220BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240220BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20240220BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 002B
B41J29/38
A61B5/0245 100T
A61B5/0245 B
A61B5/022 400L
G06F3/01 515
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020027104
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021132322
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 彰弘
(72)【発明者】
【氏名】三觜 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕介
(72)【発明者】
【氏名】遠田 周平
(72)【発明者】
【氏名】槇野 洋平
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175222(JP,A)
【文献】特開2017-229035(JP,A)
【文献】特開2018-041416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0127641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
A61B 5/0245
A61B 5/022
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
利用者の生体情報を取得し、
前記利用者の操作に応じて行われた処理が完了した際に、前記生体情報が不安な心理状態を示す場合には、前記処理の内容を示す情報を出力し、
前記生体情報が軽度の不安状態を示す場合は、前記処理の内容を示す第1情報を出力し、
前記生体情報が重度の不安状態を示す場合は、前記処理の内容を示す第2情報を出力し、
前記第1情報は、前記処理の結果を示す情報であり、
前記第2情報は、前記処理の結果を変更する操作に用いられる操作画像を含む情報である
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1情報より、前記第2情報の方が情報量が多い
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記処理の完了前に、前記生体情報が前記不安な心理状態を示す場合、前記処理の内容を示す情報を出力しない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータに、
利用者の生体情報を取得するステップと、
前記利用者の操作に応じて行われた処理が完了した際に、前記生体情報が不安な心理状態を示す場合には、前記処理の内容を示す情報を出力するステップと
前記生体情報が軽度の不安状態を示す場合は、前記処理の内容を示す第1情報を出力するステップと、
前記生体情報が重度の不安状態を示す場合は、前記処理の内容を示す第2情報を出力するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記第1情報は、前記処理の結果を示す情報であり、
前記第2情報は、前記処理の結果を変更する操作に用いられる操作画像を含む情報である
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の心理状態に応じた処理を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、ジョブ実行中においてユーザ状態が「緊張状態」を有する場合には、ジョブを停止させるための操作画面を操作パネル部に表示することが記載されている。特許文献2には、送信ジョブの実行に際して、ユーザの生体情報に基づいてユーザの状態を判定し、ユーザが非正常状態を有する場合には、送信ジョブに関する確認をユーザに対して要求する確認要求処理を実行することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-94679号公報
【文献】特開2017-229035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者の操作に応じて行われた処理が完了した後、利用者は、誤った内容の処理が行われていないか等の不安を感じる場合がある。
本発明は、処理の完了後に利用者が不安を感じている場合に、利用者が処理の内容を確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、利用者の生体情報を取得し、前記利用者の操作に応じて行われた処理が完了した際に、前記生体情報が不安な心理状態を示す場合には、前記処理の内容を示す情報を出力することを特徴とする情報処理装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサは、前記生体情報が軽度の不安状態を示す場合は、前記処理の内容を示す第1情報を出力し、前記生体情報が重度の不安状態を示す場合は、前記処理の内容を示す第2情報を出力することを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記第1情報より、前記第2情報の方が情報量が多いことを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、前記第1情報は、前記処理の結果を示す情報であり、前記第2情報は、前記処理の結果を変更する操作に用いられる操作画像を含む情報であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記プロセッサは、前記処理の完了前に、前記生体情報が前記不安な心理状態を示す場合、前記処理の内容を示す情報を出力しないことを特徴とする。
【0010】
請求項6に係るプログラムは、コンピュータに、利用者の生体情報を取得するステップと、前記利用者の操作に応じて行われた処理が完了した際に、前記生体情報が不安な心理状態を示す場合には、前記処理の内容を示す情報を出力するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、処理の完了後に利用者が不安を感じている場合に、利用者が処理の内容を確認できる。
請求項2に係る発明によれば、軽度の不安を感じているか重度の不安を感じているかによって、利用者は処理の内容について異なる情報を得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、重度の不安を感じている場合には、利用者は処理の内容について軽度の不安を感じている場合に比べて多くの情報を得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、軽度の不安を感じている場合には、利用者は処理の結果を知ることができ、重度の不安を感じている場合には、利用者は処理の結果を変更する操作を行いやすくなる。
請求項5に係る発明によれば、利用者が処理の完了前にも不安を感じていた場合には、処理の内容を示す情報を出力しないようにすることができる。
請求項6に係る発明によれば、処理の完了後に利用者が不安を感じている場合に、利用者が処理の内容を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る画像処理システム100の構成の一例を示す図である。
図2】画像処理装置120の構成の一例を示す図である。
図3】画像処理システム100が行う動作の一例を示すシーケンスチャートである。
図4】ファクシミリ処理における画面遷移の一例を示す図である。
図5】送信レポート150の一例を示す図である。
図6】設定変更処理における画面遷移の一例を示す図である。
図7】確認画面160の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.構成
図1は、本実施形態に係る画像処理システム100の構成の一例を示す図である。画像処理システム100においては、利用者の操作に応じて処理が実行される。このとき、処理によっては処理の結果が明確に分からず、所望の内容の処理が行われたか利用者が不安を感じる場合がある。そこで、画像処理システム100は、処理の完了後に利用者が不安を感じている場合には、不安を軽減するために、利用者に処理の内容を示す情報を提供する。不安を感じている状態は、本発明に係る不安な心理状態の一例である。この不安な心理状態とは、懸念がある心理状態をいう。例えば不安な心理状態には、心配や気がかりがある心理状態、落ち着かない心理状態、ストレスを感じている心理状態が含まれる。画像処理システム100は、ウェアラブル端末110と、画像処理装置120とを備える。画像処理装置120は、本発明に係る情報処理装置の一例である。
【0014】
ウェアラブル端末110は、利用者に装着され、利用者の生体情報を計測する。生体情報は、利用者が不安を感じているか否かを示す。ウェアラブル端末110は、図1に示すように例えば腕に装着するリストバンド型の形状を有する。ただし、ウェアラブル端末110の形状はリストバンド型に限定されない。例えばウェアラブル端末110の形状は、指に装着する指輪型、衣服に付けるクリップ型、頭部に装着する眼鏡型又はヘッドマウンド型等、どのような形状であってもよい。ウェアラブル端末110は、生体情報を計測する一又は複数のセンサ(図示せず)を有する。この生体情報には、例えば心拍数又は血圧が含まれる。例えば生体情報に心拍数が含まれる場合、ウェアラブル端末110は心拍数を計測する心拍計を有する。生体情報に血圧が含まれる場合、ウェアラブル端末110は血圧を計測する血圧計を有する。また、ウェアラブル端末110は、通信部(図示せず)を有する。通信部は、例えばBluetooth(登録商標)に従って他の装置とデータ通信を行う。ただし、通信部が従う通信規格は、Bluetooth(登録商標)に限定されず、他の通信規格であってもよい。例えばウェアラブル端末110は、通信部から画像処理装置120に生体情報を送信する。
【0015】
図2は、画像処理装置120の構成の一例を示す図である。画像処理装置120は、コピー機能、プリント機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の画像を処理する複数の機能を有する。画像処理装置120は、利用者の操作に応じてこれらの機能を実現する処理を行う。画像処理装置120は、プロセッサ121と、メモリ122と、通信部123と、操作部124と、表示部125と、画像読取部126と、画像形成部127とを備える。これらの部位はバス128を介して接続されている。
【0016】
プロセッサ121は、プログラムを実行することにより、画像処理装置120の各部を制御し又は各種の処理を行う。プロセッサ121には、例えばCPU(Central Processing Unit)が用いられる。メモリ122には、プロセッサ121により実行されるプログラムが記憶される。メモリ122には、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)が用いられる。また、メモリ122には、ROM及びRAMに加えて、例えばハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)が用いられてもよい。通信部123は、通信回線を介して接続された他の装置とデータ通信を行う。この通信回線は、有線の通信回線であってもよいし、無線の通信回線であってもよい。通信部123が従う通信規格には、例えばBluetooth(登録商標)が含まれる。操作部124は、利用者による画像処理装置120の操作に用いられる。操作部124には、例えばタッチパネルとボタンとが用いられる。表示部125は、各種の情報を表示する。表示部125には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。画像読取部126は、画像を読み取って画像データに変換する。画像読取部126には、例えばイメージスキャナが用いられる。画像形成部127は、画像データに応じた画像を用紙等の媒体上に形成する。画像形成部127には、例えばプリンターが用いられる。
【0017】
2.動作
以下の説明において、プロセッサ121を処理の主体として記載する場合、これは、それぞれメモリ122に記憶されたプログラムと、このプログラムを実行するプロセッサ121との協働により、プロセッサ121が演算を行い又は他のハードウェア要素の動作を制御することにより、処理が行われることを意味する。
【0018】
図3は、画像処理システム100が行う動作の一例を示すシーケンスチャートである。この動作は、利用者が画像処理装置120を利用するときに行われる。ステップS11において、利用者は画像処理装置120にログインする。画像処理装置120のプロセッサ121は、ログインした利用者の認証を行う。利用者は、操作部124を用いて自分のユーザ名とパスワードを入力する操作を行う。プロセッサ121は、利用者により入力されたユーザIDとパスワードを用いて利用者の認証を行う。利用者の認証に成功すると、処理はステップS12に進む。なお、利用者の認証に失敗した場合には処理は終了する。
【0019】
ステップS12において、プロセッサ121は、利用者のウェアラブル端末110とペアリングを行う。このとき、まず利用者のウェアラブル端末110が特定される。例えば利用者のユーザIDには、予め利用者のウェアラブル端末110の端末IDが対応付けられており、ステップS11において入力されたユーザIDに対応付けられた端末IDが特定され、特定された端末IDに対応するウェアラブル端末110が利用者のウェアラブル端末110として特定される。続いて、特定されたウェアラブル端末110とBluetooth(登録商標)に従ってペアリングが行われる。これにより、画像処理装置120と利用者のウェアラブル端末110とが無線で接続される。なお、画像処理装置120が一のウェアラブル端末110とペアリングを行っている間は、他のウェアラブル端末110とのペアリングは行われない。
【0020】
ステップS13において、プロセッサ121は、利用者の操作に応じて特定の処理を開始する。特定の処理とは、処理の結果が明確に分かり難いような処理である。例えば特定の処理には、ファクシミリ処理や設定変更処理が含まれる。ファクシミリ処理は、送信先にファクシミリを送信する処理である。ファクシミリ処理は、処理が完了しても、ファクシミリが送信されたことは分かるが、ファクシミリが正しい送信先に届いたかは分からない。設定変更処理は、利用者の好みや使い勝手に合わせて利用者毎に処理の設定を変更する処理である。設定変更処理により処理の設定が変更されると、例えば変更後の設定に対応する操作画像がメニュー画面に表示される。この操作画像を用いて操作することにより、変更後の設定に従って処理が行われる。或いは、設定変更処理により処理の設定が変更されると、変更後の設定が利用者の初期設定となってもよい。変更後の設定には、一又は複数の設定値が含まれる。設定変更処理は、処理が完了しても、設定が変更されたことは分かるが、変更後の設定値までは分からない。なお、特定の処理以外の処理が開始された場合には、後述するステップS14~S16、S18~S20、及びS22~S26の処理は行われない。
【0021】
図4は、ファクシミリ処理における画面遷移の一例を示す図である。ファクシミリ処理を行う場合、表示部125にはファクシミリ画面130が表示される。利用者は、ファクシミリ画面130において送信先を示すファクシミリ番号を指定する操作を行った後、送信ボタン131を押す操作を行う。送信ボタン131が押されると、ファクシミリ番号により示される送信先にファクシミリの送信が開始される。
【0022】
ステップS14において、プロセッサ121は、特定の処理が開始されたことを契機に、ウェアラブル端末110から生体情報を取得する。例えば上述したステップS13においてファクシミリ処理が開始される場合、図4に示される送信ボタン131の押下を契機に、生体情報が取得される。具体的には、プロセッサ121は、ステップS12においてペアリングを行ったウェアラブル端末110に生体情報の取得要求を通信部123から送信する。ウェアラブル端末110は、この取得要求に応じて利用者から計測した生体情報を画像処理装置120に送信する。ウェアラブル端末110は、ウェアラブル端末110から送信された生体情報を通信部123にて受信する。
【0023】
ステップS15において、プロセッサ121は、ステップS14において取得された生体情報を分析して、処理の開始時に利用者が不安を感じているか否かを判定する。この判定は、生体情報により利用者が不安を感じていることが示されるか否かによって行われる。例えば生体情報に心拍数又は血圧が含まれる場合において、心拍数又は血圧が閾値以上であるときは、利用者が不安を感じていると判定される。この閾値は、例えば人が不安を感じているときに計測される心拍数又は血圧の最小値に予め設定される。利用者が不安を感じていないと判定された場合、ステップS15の判定がNOになり、ステップS16の処理を飛ばしてステップS17の処理に進む。一方、利用者が不安を感じていると判定された場合、ステップS15の判定がYESになり、ステップS16の処理に進む。ステップS16において、プロセッサ121は、処理の開始時に不安を感じていることを示す第1不安情報をメモリ122に記憶させる。
【0024】
ステップS17において特定の処理が行われている間に、ステップS18において、プロセッサ121は、上述したステップS14と同様にウェアラブル端末110から生体情報を取得する。例えば上述したステップS13においてファクシミリ処理が開始された場合には、送信先にファクシミリを送信している間に、生体情報が取得される。
【0025】
ステップS19において、プロセッサ121は、上述したステップS15と同様に、ステップS18において取得された生体情報を分析して、特定の処理中に利用者が不安を感じているか否かを判定する。利用者が不安を感じていないと判定された場合、ステップS19の判定がNOになり、ステップS20の処理を飛ばしてステップS21の処理に進む。一方、利用者が不安を感じていると判定された場合、ステップS19の判定がYESになり、ステップS20の処理に進む。ステップS20において、プロセッサ121は、特定の処理中に不安を感じていることを示す第2不安情報をメモリ122に記憶させる。
【0026】
ステップS21において特定の処理が完了すると、ステップS22において、プロセッサ121は、上述したステップS14と同様にウェアラブル端末110から生体情報を取得する。例えば上述したステップS13においてファクシミリ処理が開始された場合には、ファクシミリ処理が完了すると、図4に示す完了画面135が表示部125に表示される。そして、ファクシミリ処理が完了したことを契機に、生体情報が取得される。
【0027】
ステップS23において、プロセッサ121は、上述したステップS15と同様に、ステップS22において取得された生体情報を分析して、処理が完了した際に利用者が不安を感じているか否かを判定する。利用者が不安を感じていないと判定された場合、ステップS23の判定がNOになり、ステップS24、S25の処理を飛ばしてステップS27の処理に進む。一方、利用者が不安を感じていると判定された場合、ステップS23の判定がYESになり、ステップS24の処理に進む。
【0028】
ステップS24において、プロセッサ121は、利用者の不安の程度を判定する。この不安の程度には、軽度と重度とが含まれる。軽度の不安は、本発明に係る軽度の不安状態の一例である。重度の不安は、本発明に係る重度の不安状態の一例である。軽度の不安状態と重度の不安状態とは、不安の深刻さが異なる。重度な不安状態は、軽度な不安状態より深刻な不安を感じている状態をいう。言い換えると、軽度な不安状態は、重度な不安状態より浅少な不安を感じている状態をいう。不安の程度は、例えば不安を感じている期間の長さによって判定される。例えばメモリ122に第1不安情報も第2不安情報も記憶されていない場合、利用者は、特定の処理の開始時及び特定の処理中は不安を感じていなかったが、特定の処理の完了後に不安を感じていることを示す。この場合、利用者が不安を感じている期間は短くなるため、利用者の不安の程度は軽度であると判定される。一方、例えばメモリ122に第1不安情報と第2不安情報のうち少なくともいずれかが記憶されている場合、利用者は、特定の処理の完了後だけではなく、特定の処理の開始時と特定の処理中との少なくともいずれかにも不安を感じていたことを示す。この場合、利用者が不安を感じている期間は長くなるため、利用者の不安の程度は重度であると判定される。ステップS24において不安の程度が軽度であると判定された場合には、ステップS25の処理に進む。
【0029】
ステップS25において、プロセッサ121は、利用者の不安を軽減するために、ステップS21において完了した特定の処理の内容を示す簡易な不安軽減情報を出力する。簡易な不安軽減情報は、本発明に係る第1情報の一例である。例えばステップS21においてファクシミリ処理が完了した場合には、図4に示されるように簡易な不安軽減情報を含む確認画面140が表示部125に表示される。図4に示す例では、確認画面140には、不安軽減情報としてファクシミリの送信先を示すファクシミリ番号が含まれる。この確認画面140を見ることにより、利用者は、ファクシミリの送信先が分かる。
【0030】
一方、上述したステップS24において不安の程度が重度であると判定された場合には、ステップS26の処理に進む。ステップS26において、プロセッサ121は、利用者の不安を軽減するために、ステップS21において完了した処理の内容を示す詳細な不安軽減情報を出力する。このように、利用者の不安の程度によって異なる不安軽減情報が出力される。詳細な不安軽減情報は、本発明に係る第2情報の一例である。
【0031】
詳細な不安軽減情報は、簡易な不安軽減情報より情報量が多い。ここで、詳細な不安軽減情報は簡易な不安軽減情報を包含していてもよいし、簡易な不安軽減情報と一部重複していてもよいし、簡易な不安軽減情報と異なっていてもよい。すなわち、ここでいう情報量が多いとは、詳細な不安軽減情報が簡易な不安軽減情報に加えて付加情報を含む状態を示してもよいし、単に、簡易な不安軽減情報よりも詳細な不安軽減情報の方が文字や画像等の情報を多く含む状態を示してもよい。例えばステップS21においてファクシミリ処理が完了した場合には、詳細な不安軽減情報を含む送信レポート150が出力される。
【0032】
図5は、送信レポート150の一例を示す図である。送信レポート150の出力に先立って、表示部125には、図5に示されるように、送信レポート150が出力されることを示す通知画面145が表示される。そして、送信レポート150が作成され、画像形成部127によりプリントされる。図5に示す例では、送信レポート150には、詳細な不安軽減情報として、ファクシミリの送信先を示すファクシミリ番号とファクシミリの送信日時及び送信結果とが含まれる。この送信レポート150を見ることにより、利用者は、ファクシミリの送信先に加えて、ファクシミリの送信日時及び送信結果が分かる。
【0033】
ステップS27において、利用者が画像処理装置120からログアウトすると、ステップS28において、プロセッサ121は、ウェアラブル端末110とのペアリングを解除する。
【0034】
次に、上述したステップS13において設定変更処理が開始された場合の例を説明する。図6は、設定変更処理における画面遷移の一例を示す図である。ファクシミリ処理の設定を変更する場合、利用者は、ファクシミリ画面130に含まれる設定ボタン132を押す操作を行う。設定ボタン132の押下を契機にステップS14において生体情報が取得される。設定ボタン132が押されると、表示部125には設定変更画面が表示される。利用者は、設定変更画面においてファクシミリ処理の設定を変更する操作を行う。例えば、ファクシミリ処理の解像度が200dpi(dots per inch)から100dpiに変更される。設定変更処理では、設定を変更する操作が行われている期間が処理中として扱われる。そのため、この操作が行われている間に、ステップS18において生体情報が取得される。設定を変更する操作が完了すると、図6に示されるように、保存ボタン133が表示部125に表示される。利用者が保存ボタン133を押す操作を行うと、設定変更処理が完了する。保存ボタン133の押下を契機として、ステップS22において生体情報が取得される。また、保存ボタン133が押されると、例えば変更後の設定に含まれる設定値がユーザIDと関連付けてメモリ122に記憶されるとともに、変更後の設定に対応する操作画像が生成され、利用者のメニュー画面に表示される。次回、この操作画像を用いて操作することにより、変更後の設定に従って処理が行われる。
【0035】
上述したステップS24において不安の程度が軽度であると判定された場合には、図6に示されるように簡易な不安軽減情報を含む確認画面155が表示部125に表示される。図6に示す例では、確認画面155には、簡易な不安軽減情報として変更後の設定に含まれる設定値が含まれる。例えばファックス処理の設定において、原稿サイズがA4、解像度が100dpi、時刻指定が12:00に変更された場合には、これらの設定値が含まれる。このように、簡易な不安軽減情報には、処理の結果を示す情報が含まれる。確認画面155により、利用者は変更後の設定に含まれる設定値が分かる。
【0036】
一方、上述したステップS24において不安の程度が重度であると判定された場合には、詳細な不安軽減情報を含む確認画面160が表示部125に表示される。図7は、確認画面160の一例を示す図である。図7に示す例では、確認画面160には、詳細な不安軽減情報として、変更後の設定に含まれる設定値と変更ボタン161とが含まれる。変更ボタン161は、本発明に係る操作画像の一例である。利用者は、さらに設定を変更する場合には、変更ボタン161を押す操作を行う。変更ボタン161が押されると、設定変更画面が表示部125に表示され、利用者はさらに設定を変更する操作を行うことができる。
【0037】
以上説明した実施形態によれば、特定の処理の完了後に利用者が不安を感じていると判定された場合には不安軽減情報が出力されるため、処理の完了後に利用者が不安を感じている場合に、利用者が処理の内容を確認できる。特定の処理は、処理の開始時又は処理中には不安を感じなくても処理後に不安を感じることがある。このような場合にも不安軽減情報が出力されるため、利用者の不安を軽減することができる。また、利用者の不安の程度が軽度の場合には簡易な不安軽減情報が出力され、利用者の不安の程度が重度の場合には詳細な不安軽減情報が出力されるため、軽度の不安を感じているか重度の不安を感じているかによって、利用者は処理の内容について異なる情報を得ることができる。さらに、詳細な不安軽減情報は簡易な不安軽減情報よりも情報量が多いため、重度の不安を感じている場合には、利用者は処理の内容について軽度の不安を感じている場合に比べて多くの情報を得ることができる。さらに、図6に示されるように確認画面155は変更後の設定に含まれる設定値を含むため、軽度の不安を感じている場合には、利用者は処理の結果を知ることができる。さらに、図7に示されるように、確認画面160は変更ボタン161を含むため、重度の不安を感じている場合には、利用者は処理の結果を変更する操作を容易に行うことができる。確認画面160に変更ボタン161が含まれることにより、重度な不安を感じている場合には、迅速に設定を変更することができる。
【0038】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の一例である。本発明は、上述した実施形態に限定されない。また、上述した実施形態が以下の例のように変形して実施されてもよい。このとき、以下の2以上の変形例が組み合わせて用いられてもよい。
【0039】
上述した実施形態において、特定の処理の完了前に、生体情報が不安な心理状態を示す場合、処理の内容を示す不安軽減情報が出力されなくてもよい。例えば第1不安情報と第2不安情報との少なくともいずれかがメモリ122に記憶されている場合には、特定の処理の完了後に利用者が不安を感じていると判定されても不安軽減情報が出力されなくてもよい。これは、特定の処理の完了前にも利用者が不安を感じていた場合には、特定の処理に関する自身の操作とは関係なく不安を感じていると考えられるため、不安軽減情報の出力が利用者の利益にならず、かえって煩わしい場合があるためである。この変形例によれば、利用者が処理の完了前にも不安を感じていた場合には、処理の内容を示す不安軽減情報を出力しないようにすることができる。
【0040】
上述した実施形態において、生体情報が取得される回数は三回に限定されない。例えば特定の処理が開始されたことを契機に生体情報の取得が開始され、特定の処理中は定められた時間間隔で生体情報が繰り返し取得され、特定の処理が完了したことを契機に生体情報の取得が終了されてもよい。この場合、生体情報が取得される度に、利用者が不安を感じているか否かが判定されてもよい。他方、生体情報が取得される度に、利用者が不安を感じているか否かの判定が行われなくてもよい。例えば生体情報が取得されると、取得された生体情報と取得日時をメモリ122に記憶させ、処理が完了した後に、メモリ122に記憶されている生体情報及び取得日時に基づいて、利用者が不安を感じているか、利用者が不安を感じている場合には不安の程度は軽度か重度かがまとめて判定されてもよい。
【0041】
上述した実施形態において、必ずしも不安の程度は判定されなくてもよい。ファクシミリ処理が完了した後に利用者が不安を感じている場合において、メモリ122に第1不安情報が記憶されており、第2不安情報が記憶されていないときは、利用者はファクシミリ処理の開始時においてファクシミリの送信先を指定する操作に不安を感じていたと考えられる。この場合には、図4に示される確認画面140が表示されてもよい。確認画面140には送信先を示すファクシミリ番号が含まれるため、確認画面140により利用者は送信先が正しいかが分かる。一方、ファクシミリ処理が完了した後に利用者が不安を感じている場合において、メモリ122に第2不安情報が記憶されており、第1不安情報が記憶されていないときは、利用者はファクシミリが送信されている間にファクシミリが送信先に届いたかどうかを不安に感じていたと考えられる。この場合には、図5に示される送信レポート150が出力されてもよい。送信レポート150には送信結果が含まれるため、送信レポート150により利用者はファクシミリが送信先に届いたかが分かる。このように、利用者が不安を感じた時期によって不安軽減情報が異なってもよい。
【0042】
上述した実施形態において、利用者の不安の程度を判定する指標は、不安を感じている期間の長さに限定されない。例えばこの指標には、生体情報の強度が用いられてもよい。例えば生体情報に心拍数又は血圧が含まれる場合において、処理の完了後に取得された心拍数又は血圧が第1閾値以上であるときは、不安の程度が重度であると判定されてもよい。また、この心拍数又は血圧が第1閾値より小さい第2閾値以上第1閾値未満であるときは、不安の程度が軽度であると判定されてもよい。
【0043】
上述した実施形態において、必ずしも特定の処理の開始時及び特定の処理中に生体情報が取得されなくてもよい。例えば特定の処理の完了後に限り生体情報が取得されてもよい。この場合、利用者の不安の程度は、例えば上述した変形例のように生体情報の強度を指標として判定されてもよい。この変形例によれば、処理の開始時及び処理中に生体情報の取得及び利用者が不安を感じているかの判定を行わない分、画像処理装置120の処理の負荷が軽減される。
【0044】
上述した実施形態において、特定の処理は、ファクシミリ処理及び設定変更処理に限定されない。例えば送信先に情報を送信する処理であれば、どのような処理が特定の処理に含まれてもよい。例えばスキャンにより得られる画像を電子メールにより送信先に送信する処理、電子メールを送信する処理、ファイルをアップロードする処理が特定の処理に含まれてもよい。特定の処理は、処理の結果が明確に分かり難い処理であれば、どのような処理であってもよい。
【0045】
上述した実施形態において、利用者がログインしたことを契機に、生体情報が取得されてもよい。この場合、この生体情報に基づいて利用者が不安を感じているか否かが判定される。ログイン時にも利用者が不安を感じていると判定された場合には、利用者は処理とは無関係に不安を感じていると考えられる。したがって、この場合には、処理の完了時に利用者が不安を感じていると判定されても、不安軽減情報は出力されなくてもよい。
【0046】
上述した実施形態において、利用者が不安を感じていると判定された処理については、利用者が次回その処理を行うときに、利用者の不安が軽減されるように表示形式が変更されてもよい。例えばファクシミリ処理の完了時に利用者が不安を感じていると判定された場合には、次回この利用者がファクシミリ処理を行うために、ファクシミリの送信先を示すファクシミリ番号を指定する操作を行うと、指定されたファクシミリ番号が強調して表示されてもよい。この強調して表示には、例えば色の変更、大きさの変更、表示位置の変更が含まれる。例えばファクシミリ番号が他の情報よりも目立つ色で表示されてもよいし、他の情報よりも大きく表示されてもよいし、他の情報よりも目立つ位置に表示されてもよい。
【0047】
上述した実施形態において、画像処理装置120において利用者の認証が行われない場合、プロセッサ121は、利用者が画像処理装置120を使用するタイミングで画像処理装置120に最も近いウェアラブル端末110を検出し、検出したウェアラブル端末110とペアリングを行ってもよい。このタイミングは、例えば画像処理装置120が節電モードを有する場合には節電モードから復帰した時点であってもよいし、画像処理装置120の起動時であってもよい。また、この場合、プロセッサ121は、利用者が画像処理装置120を使用しなくなるタイミングでウェアラブル端末110とのペアリングを解除してもよい。このタイミングは、例えば画像処理装置120が節電モードを有する場合には節電モードに移行した時点であってもよい。
【0048】
上述した実施形態において、画像処理装置120に代えて他の情報処理装置が用いられてもよい。例えば情報処置装置には、家電、オーディオ機器、コンピュータ等のあらゆる情報処理装置が含まれてもよい。また、情報処理装置により行われる処理は、画像を用いた処理に限定されない。情報処理装置により行われる処理は、利用者の操作に応じて行われる処理であれば、どのような処理であってもよい。
【0049】
上述した実施形態における画像処理システム100の処理の主体は例示であり、この例に限定されない。例えば画像処理装置120において行われる処理の少なくとも一部が他の装置において行われてもよい。また、上述した実施形態における画像処理システム100の処理は例示であり、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
【0050】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0051】
また上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0052】
本発明は、画像処理装置120及びウェアラブル端末110のそれぞれにおいて実行されるプログラムとして提供されてもよい。なお、画像処理装置120及びウェアラブル端末110は、それぞれ本発明に係るコンピュータの一例である。このプログラムは、インターネットなどの通信回線を介してダウンロードされてもよいし、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100:画像処理システム、110:ウェアラブル端末、120:画像処理装置、121:プロセッサ、122:メモリ、123:通信部、124:操作部、125:表示部、126:画像読取部、127:画像形成部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7