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  • 特許-コドラート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】コドラート
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020043888
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021141866
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西浦 潤
(72)【発明者】
【氏名】及川 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
(72)【発明者】
【氏名】野原 秀彰
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-7443(JP,U)
【文献】特開2018-72037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
E02D 1/00 - 3/115
G01D 21/00
G01N 33/00 - 33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能な2本の第1伸縮棒と、
伸縮可能な2本の第2伸縮棒と、を備え、
前記2本の第1伸縮棒が互いに平行になって且つ前記2本の第2伸縮棒が互い平行になって、前記2本の第1伸縮棒が前記2本の第2伸縮棒に対して垂直になって、前記2本の第1伸縮棒及び前記2本の第2伸縮棒が方形枠状に組まれ
前記方形枠状の2対の対角のうち一方の対の対角において前記第1伸縮棒と前記第2伸縮棒の先端部同士が切り離し可能に設けられ、
他方の対の対角において前記第1伸縮棒と前記第2伸縮棒の基端部同士が連結されるとともに、前記第1伸縮棒と前記第2伸縮棒がそれらの基端部を中心にして開閉可能に設けられてい
コドラート。
【請求項2】
前記2本の第1伸縮棒のそれぞれの先端部に設けられる2体の磁石と、
前記2本の第2伸縮棒のそれぞれの先端部に設けられ、前記2体の磁石にそれぞれ磁着するともに前記2体の磁石からそれぞれ切り離し可能な2体の磁性体又は第2磁石と、を備える請求項に記載のコドラート。
【請求項3】
前記第1伸縮棒及び前記第2伸縮棒の少なくとも一方に設けられ、前記方形枠状によって規定される平面に対して交差する方向に前記少なくとも一方から突出するアンカー材を更に備える請求項1又は2に記載のコドラート。
【請求項4】
前記アンカー材が伸縮可能に設けられている請求項に記載のコドラート。
【請求項5】
前記第1伸縮棒及び前記第2伸縮棒の少なくとも一方に設けられ、前記方形枠状によって規定される平面に対して平行な方向に前記少なくとも一方から突出し、前記コドラートが設置される面からの反力を受けて前記コドラートの沈下に抵抗する沈下防止材を更に備える請求項1からの何れか一項に記載のコドラート。
【請求項6】
前記沈下防止材が伸縮可能に設けられている請求項に記載のコドラート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コドラートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境調査の一環として植生調査又は動物の個体数調査が行われるところ、そのような調査法の1つとしてコドラート法がある。コドラート法では、特許文献1に記載されているような方形枠状のコドラートを調査現場の地面又は水底に敷設し、コドラートの内側を標本として、その内側の生物相を調査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-072037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、コドラートの大きさは1m四方に及ぶこともあり、そのようなコドラートの持ち運びがしづらい。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、持ち運びしやすいコドラートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、コドラートが、伸縮可能な2本の第1伸縮棒と、伸縮可能な2本の第2伸縮棒と、を備え、前記2本の第1伸縮棒が互いに平行になって且つ前記2本の第2伸縮棒が互い平行になって、前記2本の第1伸縮棒が前記2本の第2伸縮棒に対して垂直になって、前記2本の第1伸縮棒及び前記2本の第2伸縮棒が方形枠状に組まれ、前記方形枠状の2対の対角のうち一方の対の対角において前記第1伸縮棒と前記第2伸縮棒の先端部同士が切り離し可能に設けられ、他方の対の対角において前記第1伸縮棒と前記第2伸縮棒の基端部同士が連結されるとともに、前記第1伸縮棒と前記第2伸縮棒がそれらの基端部を中心にして開閉可能に設けられている。
【0007】
以上によれば、調査時には第1伸縮棒及び第2伸縮棒を伸長させる。持ち運び時には第1伸縮棒及び第2伸縮棒を収縮させることで、コドラートがコンパクトになり、コドラートの持ち運びが容易である。
【0009】
以上によれば、持ち運び時には、方形枠状の一方の対の対角において第1伸縮棒と第2伸縮棒の先端部同士を切り離し、第1伸縮棒と第2伸縮棒を閉じて、第1伸縮棒及び第2伸縮棒を収縮させることで、コドラートがコンパクトになり、コドラートの持ち運びが容易である。
【0010】
好ましくは、前記コドラートが、前記2本の第1伸縮棒のそれぞれの先端部に設けられる2体の磁石と、前記2本の第2伸縮棒のそれぞれの先端部に設けられ、前記2体の磁石にそれぞれ磁着するともに前記2体の磁石からそれぞれ切り離し可能な2体の磁性体又は第2磁石と、を備える。
【0011】
以上によれば、磁石が磁性体又は第2磁石に磁着することで、方形枠状の一方の対の対角において第1伸縮棒と第2伸縮棒の先端部同士が離れづらく、コドラートの方形枠状の形が崩れにくい。
【0012】
好ましくは、前記コドラートが、前記第1伸縮棒及び前記第2伸縮棒の少なくとも一方に設けられ、前記方形枠状によって規定される平面に対して交差する方向に前記少なくとも一方から突出するアンカー材を更に備える。前記アンカー材が伸縮可能に設けられてもよい。
【0013】
以上によれば、方形枠状のコドラートを地面又は水底に敷設する際に、アンカー材を地面又は水底に差し込むと、風或いは水流等が発生してもコドラートが移動しにくい。よって、容易に調査を行える。
【0014】
好ましくは、前記コドラートが、前記第1伸縮棒及び前記第2伸縮棒の少なくとも一方に設けられ、前記方形枠状によって規定される平面に対して平行な方向に前記少なくとも一方から突出し、前記コドラートが設置される面からの反力を受けて前記コドラートの沈下に抵抗する沈下防止材を更に備える。前記沈下防止材が伸縮可能に設けられてもよい。
【0015】
以上によれば、方形枠状のコドラートを軟弱な地面又は水底に敷設すると、沈下防止材が地面又は水底から反力を受けるので、コドラートが沈下しにくい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、コドラートを持ち運びしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コドラートの使用状態の平面図である。
図2】コドラートの分割体の側面図である。
図3】コドラートの分割体の折り畳み状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
1. コドラートの構成
図1はコドラート10の使用状態の平面図である。図2はコドラート10の分割体の側面図である。図3はコドラート10の分割体20の折り畳み状態の平面図である。
【0020】
コドラート10は方形の枠状に組まれており、方形枠状の2対の対角のうち一方の対の対角において互いに切り離し可能な2体の分割体20を備える。
【0021】
分割体20は、角部材21、第1セクターギア22、第2セクターギア23、第1伸縮棒24、第2伸縮棒25、磁石31、磁性体32、沈下防止材27,28及びアンカー材29,30を備える。
【0022】
角部材21は薄板状に設けられている。コドラート10が方形枠状に組まれる場合、角部材21が他方の対の対角に位置する。
【0023】
第1セクターギア22及び第2セクターギア23は、互いに噛み合った状態で、角部材21の一方の面に回転可能に取り付けられている。第1セクターギア22及び第2セクターギア23の歯列が形成されている範囲は中心角で45°であり、第1セクターギア22及び第2セクターギア23の回転可能な範囲は45°である。
【0024】
セクターギア22,23がそれぞれ伸縮棒24,25の基端部に取り付けられ、第1伸縮棒24が第1セクターギア22の中心軸の回りに揺動可能に設けられ、第2伸縮棒25が第1伸縮棒24と共通な平面内において第2セクターギア23の中心軸の回りに揺動可能に設けられている。つまり、第1伸縮棒24の基端部が第1セクターギア22、角部材21及び第2セクターギア23を介して第2伸縮棒25の基端部に連結され、第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25がそれらの基端部を中心として連動して開閉可能に設けられている。
【0025】
第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25の開閉範囲は第1セクターギア22及び第2セクターギア23によって規定される。第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25が最も閉じた状態では、第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25が互いに平行であり、第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25が最も開いた状態では、第1伸縮棒24が第2伸縮棒25に対して垂直である。
【0026】
第1伸縮棒24は、軸方向に伸縮可能に設けられている。具体的には、第1伸縮棒24は、外筒24Aと、順に入れ子状に外筒24Aに挿入されるとともに、軸方向に引出可能且つ押込可能に設けられている内筒24B,24C,24D,24Eと、を有する。外筒24Aの基端部が第1伸縮棒24の基端部に相当し、第1セクターギア22が外筒24Aの基端部に設けられている。内筒24Eの先端部が第1伸縮棒24の先端部に相当し、磁石31が内筒24Eの先端部に設けられている。
【0027】
第2伸縮棒25は第1伸縮棒24と同様に伸縮可能に設けられており、外筒25A及び内筒25B,25C,25D,25Eを有する。第2伸縮棒25が最も伸長した場合の長さは、第1伸縮棒24が最も伸長した場合の長さに等しい。第2伸縮棒25が最も収縮した場合の長さは、第1伸縮棒24が最も収縮した場合の長さに等しい。第2伸縮棒25の先端部、つまり内筒25Eの先端部には、磁性体32が設けられている。
【0028】
第1伸縮棒24の基部、つまり外筒24Aには、沈下防止材27及びアンカー材29が設けられている。
沈下防止材27は、外筒24Aの側面から、第1伸縮棒24が開く方向(以下、第1突出方向という。)に突出しており、第1突出方向は第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25の中心軸が通る平面(この平面は、方形枠状によって規定される面である。)に対して平行である。沈下防止材27は、第1突出方向に伸縮可能に設けられている。具体的には、沈下防止材27は、外側角筒27Aと、順に入れ子状に外側角筒27Aに挿入されるとともに、第1突出方向に引出可能且つ押込可能に設けられている内側角筒27B,27C,27Dと、を有する。
アンカー材29は、外筒24Aの側面から、上記平面(方形枠状によって規定される面)に対して直交する方向(以下、第2突出方向という。)に突出している。アンカー材29は、第2突出方向に伸縮可能に設けられている。具体的には、アンカー材29は、外側角筒29Aと、順に入れ子状に外側角筒29Aに挿入されるとともに、第2突出方向に引出可能且つ押込可能に設けられている内側角筒29B,29C,29Dと、を有する。
【0029】
沈下防止材27及びアンカー材29が第1伸縮棒24の外筒24Aに設けられるのと同様にして、沈下防止材28及びアンカー材30が第2伸縮棒25の外筒25Aに設けられている。沈下防止材28は沈下防止材27と同様に設けられており、外側角筒28A及び内側角筒28B,28C,28Dを有する。アンカー材30はアンカー材29と同様に設けられており、外側角筒30A及び内側角筒30B,30C,30Dを有する。
【0030】
2体の分割体20は以下のようにして合体して、コドラート10が方形枠状となっている。つまり、両方の分割体20の第1伸縮棒24が互いに等しい長さに調整され、両方の分割体20の第2伸縮棒25が互いに等しい長さに調整されている。また、どちらの分割体20も、第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25が90°に開いている。両方の分割体20の第1伸縮棒24が互いに平行となり、両方の分割体20の第2伸縮棒25が互いに平行となり、両方の分割体20の角部(第1伸縮棒24と第2伸縮棒25によって挟まれる角部)が向かい合っている。また、一方の分割体20の磁石31が他方の分割体20の磁性体32に磁着し、他方の分割体20の磁石31が一方の分割体20の磁性体32に磁着している。
【0031】
2. コドラートの使用方法
続いて、コドラート10の使用方法について説明する。
【0032】
2-1. 組み立ての仕方
両方の分割体20の第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25を90°に開く。
また、両方の分割体20の第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25を伸縮させて、両方の分割体20の第1伸縮棒24を互いに等しい長さに調整し、両方の分割体20の第2伸縮棒25を互いに等しい長さに調整する。
また、両方の分割体20の角部を向かい合わせ、両方の分割体20の第1伸縮棒24を互いに平行にし、両方の分割体20の第2伸縮棒25を互いに平行にする。そして、一方の分割体20の磁性体32を他方の分割体20の磁石31に磁着させ、他方の分割体20の磁性体32を一方の分割体20の磁石31に磁着させる。
また、両方の分割体20の沈下防止材27.28の少なくとも1つを伸縮させ、長さの調整をする。同様に、両方の分割体20のアンカー材29,30の少なくとも1つを伸縮させ、長さの調整をする。
以上のようにして、コドラート10を組み立てる。
【0033】
2-2. 設置の仕方
組み立てたコドラート10を以下のようにして設置面上に設置する。設置面は、河川、海、湖又は池等の水底或いは地面である。
【0034】
まず、アンカー材29,30を設置面に向けて、アンカー材29,30を設置面に差し込むことで、コドラート10を横にして設置面に固定する。そのため、コドラート10が風又は水流等によって移動せず、生態調査を容易に行える。ここで、生態調査とは、例えばコドラート10の内側の生物の種類若しくは個体数又はこれらの両方の調査、或いは、コドラート10の内側の被度又は群度の調査をいう。
【0035】
設置面が泥土、汚泥或いは砂地等の軟弱面である場合、コドラート10が沈下する虞がある。そうした場合でも、沈下防止材27,28が軟弱面からの反力を受けて、沈下に抵抗する。そのため、生態調査を容易に行える。
【0036】
2-3. 分割及び折り畳みの仕方
一方の分割体20の第1伸縮棒24と他方の分割体20の第2伸縮棒25を切り離し、一方の分割体20の第2伸縮棒25と他方の分割体20の第1伸縮棒24を切り離すことで、コドラート10を2体の分割体20に分割する。つまり、一方の分割体20の磁性体32を他方の分割体20の磁石31から離間させ、他方の分割体20の磁性体32を一方の分割体20の磁石31から離間させる。
両方の分割体20の第1伸縮棒24、第2伸縮棒25、沈下防止材27.28及びアンカー材29,30を収縮させる。
両方の分割体20の第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25を閉じて、これらを互いに平行にする。
【0037】
3. 有利な効果
コドラート10をコンパクトに分割して折り畳めるため、コドラート10の持ち運びに便利である。
第1伸縮棒24及び第2伸縮棒25の長さを調整することで、コドラート10の形状を正方形のみならず、長方形にもすることができる。また、調査範囲の面積も調整することができる。
沈下防止材27,28によりコドラート10の沈下を防止できる。
アンカー材29,30によりコドラート10を固定することができる。
磁石31が磁性体32に磁着することで、第1伸縮棒24と第2伸縮棒25の先端部同士が離れづらく、コドラート10の方形枠状の形が崩れにくい。
【0038】
4. 変形例
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以下、上記実施形態からの変更点について幾つか説明する。
【0039】
磁性体32の代わりに、磁石31とは逆極性の磁石が内筒25Eの先端部に設けられてもよい。
上記実施形態では、第1伸縮棒24の基端部と第2伸縮棒25の基端部がセクターギア22,23を介して互いに連結されている。それに対して、第1伸縮棒24の基端部と第2伸縮棒25の基端部が、第1方形状を規定する平面に対して垂直な共通の軸回りに回転可能に互いに連結されていてもよい。
沈下防止材27,28のうち一方が設けられていなくてもよい。
アンカー材29,30のうち一方が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…コドラート
20…分割体
24…第1伸縮棒
25…第2伸縮棒
27,28…沈下防止材
29,30…アンカー材
31…磁石
32…磁性体
図1
図2
図3