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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】記録装置および記録方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 123
B41J2/01 213
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 307
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020047865
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021146575
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆光
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160577(JP,A)
【文献】特開2017-222036(JP,A)
【文献】特開2008-087370(JP,A)
【文献】特開2018-069715(JP,A)
【文献】特開2018-122557(JP,A)
【文献】特開2020-015251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
D06P 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1インクを吐出する複数の第1ノズル及び記録媒体への前記第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出する複数の第2ノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを制御して前記第1インクを前記記録媒体へ吐出させることにより、第1方向に延在するラスターラインが前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで形成される画像を前記記録媒体に記録する制御部と、を備える記録装置であって、
前記制御部は、前記記録ヘッドに、
一つのラスターラインを複数の前記第1ノズルを用いて記録するオーバーラップ方式により、前記画像のうちの重複領域の各ラスターラインを記録させ、
前記重複領域の少なくとも一部の領域に対して、前記第2ノズルにより前記浸透液を記録させ、
前記画像のうち前記重複領域以外の領域に対して、前記重複領域の少なくとも一部の領域に記録する前記浸透液よりも少ない量の前記浸透液を記録させる、ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記録ヘッドに、
前記重複領域のうち前記第1インクの記録量が所定のしきい値より多い高デューティー領域に対して、前記浸透液を記録させ、
前記重複領域のうち前記第1インクの記録量が前記しきい値以下の低デューティー領域に対して、前記浸透液を記録させない、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録ヘッドに、
前記重複領域のうち前記第1インクの記録量が所定のしきい値より多い高デューティー領域に対して、前記浸透液を記録させ、
前記重複領域のうち前記第1インクの記録量が前記しきい値以下の低デューティー領域に対して、前記高デューティー領域に対して記録する前記浸透液よりも少ない量の前記浸透液を記録させる、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記録ヘッドに、
前記重複領域のラスターラインのうち前記オーバーラップ方式の記録に用いる複数の前記第1ノズル間の使用率の差が所定の差未満である第1ラスターラインに対して、前記浸透液を記録させ、
前記重複領域のラスターラインのうち前記使用率の差が前記所定の差以上である第2ラスターラインに対して、前記浸透液を記録させない、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記録ヘッドに、
前記重複領域のラスターラインのうち前記オーバーラップ方式の記録に用いる複数の前記第1ノズル間の使用率の差が所定の差未満である第1ラスターラインに対して、前記浸透液を記録させ、
前記重複領域のラスターラインのうち前記使用率の差が前記所定の差以上である第2ラスターラインに対して、前記第1ラスターラインに対して記録する前記浸透液よりも少ない量の前記浸透液を記録させる、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記録ヘッドに、前記画像のうち前記重複領域以外の領域に対して、前記浸透液を記録させない、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドは、
色が異なる複数種類の前記第1インクを吐出可能であり、
複数の前記第1ノズルが前記第2方向に並ぶ第1ノズル列を前記第1インクの色毎に有し、
複数の前記第2ノズルが前記第2方向に並ぶ第2ノズル列を有し、
前記第1インクの色毎の第1ノズル列および前記第2ノズル列は、前記第1方向に並んで配設されており、
前記第2ノズル列は、複数のノズル列の並びにおける最も外に位置する、ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
第1インクを吐出する複数の第1ノズル及び記録媒体への前記第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出する複数の第2ノズルを有する記録ヘッドを制御して前記第1インクを前記記録媒体へ吐出させることにより、第1方向に延在するラスターラインが前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで形成される画像を前記記録媒体に記録する記録方法であって、
前記記録ヘッドに、
一つのラスターラインを複数の前記第1ノズルを用いて記録するオーバーラップ方式により、前記画像のうちの重複領域の各ラスターラインを記録させ、
前記重複領域の少なくとも一部の領域に対して、前記第2ノズルにより前記浸透液を記録させ、
前記画像のうち前記重複領域以外の領域に対して、前記重複領域の少なくとも一部の領域に記録する前記浸透液よりも少ない量の前記浸透液を記録させる、ことを特徴とする記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出可能な複数のノズルからなるノズル列を有する記録ヘッドの主走査方向への走査と、主走査方向へ交差する搬送方向への記録媒体の搬送と、を交互に繰り返すことにより記録媒体へ画像を記録するプリンターが知られている。このようなプリンターは、ある1回の走査により記録する画像領域と、次の走査により記録する画像領域とを一部で重複させることにより、各走査で記録する画像領域間に隙間が生じないように記録することが可能である。
【0003】
上述のように重複する領域を形成する、主走査方向に延在する各ラスターラインは、夫々が複数のノズルを用いて記録される。このような記録の仕方を、オーバーラップ方式と呼ぶ。オーバーラップ方式は、特許文献1にも説明されている。以下では、オーバーラップをOLと略す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014‐31021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像内でOL方式により記録されるOL記録領域と、OL記録領域以外の領域である通常記録領域とには記録結果において濃度差が生じやすい。単位面積あたりのトータルのインクの記録量はOL記録領域と通常記録領域とで同じと仮定すると、記録ヘッドの1回の走査による単位面積あたりの記録量は、OL記録領域に対する記録量が通常記録領域に対する記録量のおよそ半分となる。そのため、記録媒体へのインクの浸透度合いが、OL記録領域では通常記録領域よりも低くなる。このようなインクの浸透度合いが相違することに起因して、上述した濃度差が生じる。具体的には、記録媒体の両面のうちインクの吐出を受けた面である記録面を観察すると、通常記録領域よりもOL記録領域の方が、記録面の反対側の非記録面に向かうインクの浸透度合いが低いため、濃度が高くなりやすい。このような濃度差は、濃度ムラとして認識される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
記録装置は、第1インクを吐出する複数の第1ノズル及び記録媒体への前記第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出する複数の第2ノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを制御して前記第1インクを前記記録媒体へ吐出させることにより、第1方向に延在するラスターラインが前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで形成される画像を前記記録媒体に記録する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記録ヘッドに、一つのラスターラインを複数の前記第1ノズルを用いて記録するOL方式により、前記画像のうちの重複領域の各ラスターラインを記録させ、前記重複領域の少なくとも一部の領域に対して、前記第2ノズルにより前記浸透液を記録させ、前記画像のうち前記重複領域以外の領域に対して、前記重複領域の少なくとも一部の領域に記録する前記浸透液よりも少ない量の前記浸透液を記録させる。
【0007】
第1インクを吐出する複数の第1ノズル及び記録媒体への前記第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出する複数の第2ノズルを有する記録ヘッドを制御して前記第1インクを前記記録媒体へ吐出させることにより、第1方向に延在するラスターラインが前記第1方向に交差する第2方向に複数並んで形成される画像を前記記録媒体に記録する記録方法であって、前記記録ヘッドに、一つのラスターラインを複数の前記第1ノズルを用いて記録するOL方式により、前記画像のうちの重複領域の各ラスターラインを記録させ、前記重複領域の少なくとも一部の領域に対して、前記第2ノズルにより前記浸透液を記録させ、前記画像のうち前記重複領域以外の領域に対して、前記重複領域の少なくとも一部の領域に記録する前記浸透液よりも少ない量の前記浸透液を記録させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に関する構成を簡易的に示すブロック図。
図2】記録媒体と記録ヘッドとの関係性の一例を上方からの視点により示す図。
図3】記録制御処理を示すフローチャート。
図4】ノズルと画素との割り当ての関係を示す図。
図5】従来の記録方法を説明するための図。
図6図5との比較により本実施形態を説明するための図。
図7】左右対称構造の記録ヘッドを図2と同様の視点により示す図。
図8】浸透液の吐出制限処理を含むステップS120を示すフローチャート。
図9】ノズル使用率テーブルを示す図。
図10】記録媒体と記録ヘッドとの関係性の他の例を上方からの視点により示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0010】
1.装置の概略説明:
図1は、本実施形態にかかるシステム40の構成を簡易的に示している。システム40は、記録制御装置10およびプリンター20を含んでいる。システム40を、記録システム、画像処理システムあるいは印刷システム等と呼んでもよい。システム40の少なくとも一部により、記録方法が実現される。
【0011】
記録制御装置10は、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末、或いはそれらと同程度の処理能力を有する情報処理装置によって実現される。記録制御装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、通信インターフェイス15等を備える。インターフェイスをIFと略して表記する。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0012】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存されたプログラムに従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行する。制御部11は、記録制御プログラム12に従った処理を実行することにより、記録制御プログラム12と協働して、記録データ生成部12aや、記録制御部12b等の複数の機能を実現する。なお、プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成としてもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成としてもよい。
【0013】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13および操作受付部14を含めて、記録制御装置10の操作パネルと呼ぶことができる。
【0014】
表示部13や操作受付部14は、記録制御装置10の構成の一部であってもよいが、記録制御装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。通信IF15は、記録制御装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部と通信を実行するための一つまたは複数のIFの総称である。制御部11は、通信IF15を介してプリンター20と通信する。
【0015】
記録制御装置10によって制御される記録装置としてのプリンター20は、インク等の液体を吐出して記録を行うインクジェットプリンターである。プリンター20が吐出する液体の滴を、ドットと呼ぶ。インクジェットプリンターについての詳しい説明は省くが、プリンター20は、概略、搬送機構21や、記録ヘッド22や、キャリッジ24を備える。
搬送機構21は、記録媒体を搬送するローラーや、ローラーを駆動するためのモーター等を備え、記録媒体を所定の搬送方向へ搬送する。
【0016】
記録ヘッド22は、図2に例示するように、ドットを吐出可能なノズル23を複数備え、搬送機構21が搬送する記録媒体30に対して各ノズル23からドットを吐出する。プリンター20は、ノズル23が備える不図示の駆動素子への駆動信号の印加を後述の記録データに従って制御することで、ノズル23からドットを吐出させたり吐出させなかったりする。プリンター20は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインクや、これら色以外の色のインクを吐出して記録を行う。本実施形態では、これら色を有する各インクは「第1インク」に該当する。さらに、記録ヘッド22は、記録媒体30への第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出することが可能である。浸透液は、浸透剤とも呼ばれる。浸透液をインクの一種と捉えることも可能であり、その場合は、浸透液を「第2インク」と呼び、第1インクと区別する。
以下において、単にインクと言った場合は、特に断らない限り第1インクを指す。
【0017】
図2は、記録ヘッド22と記録媒体30との関係性を簡易的に示している。記録ヘッド22を、印刷ヘッド、印字ヘッド、液体吐出ヘッド等と呼んでもよい。本実施形態では、記録媒体30は、生地であるとする。生地へ記録を行うプリンター20を、捺染プリンターと呼ぶことができる。
【0018】
記録ヘッド22は、第1方向D1に沿って往復移動可能なキャリッジ24に搭載されており、キャリッジ24とともに移動する。つまり、キャリッジ24は、第1方向D1や第1方向D1の逆方向へ移動可能である。キャリッジ24の第1方向D1への移動を往路移動と呼び、第1方向D1の逆方向への移動を復路移動と呼ぶ。このような第1方向D1や第1方向D1の逆方向を、主走査方向とも言う。
【0019】
搬送機構21は、記録媒体30を第1方向D1と交差する第2方向D2へ搬送する。第2方向D2は搬送方向である。第1方向D1と第2方向D2との交差は直交と解してよい。ただし、例えば、製品としてのプリンター20における種々の誤差により、第1方向D1と第2方向D2とは厳密には直交していないこともある。
【0020】
符号25は、記録ヘッド22におけるノズル23が開口するノズル面25を示している。図2では、ノズル面25におけるノズル23の配列の一例を示している。ノズル面25内の一つ一つの小さな丸がノズル23である。記録ヘッド22は、プリンター20が搭載するインクカートリッジやインクタンク等と呼ばれる不図示の液体保持手段からCMYK各色のインクや浸透液の供給を受けてノズル23から吐出する構成において、ノズル列26を複数備える。Cインクを吐出するノズル23からなるノズル列26をノズル列26Cとも記載する。同様に、Mインクを吐出するノズル23からなるノズル列26をノズル列26M、Yインクを吐出するノズル23からなるノズル列26をノズル列26Y、Kインクを吐出するノズル23からなるノズル列26をノズル列26K、浸透液を吐出するノズル23からなるノズル列26をノズル列26Aと夫々記載する。ノズル列26C,26M,26Y,26K,26Aは、第1方向D1に沿って並んでいる。
【0021】
夫々のノズル列26は、第2方向D2におけるノズル23同士の間隔であるノズルピッチが一定或いはほぼ一定とされた複数のノズル23により構成される。ノズル列26を構成する複数のノズル23が並ぶ方向を、ノズル列方向D3と呼ぶ。図2の例では、ノズル列方向D3は、搬送方向としての第2方向D2と平行である。ノズル列方向D3が第2方向D2と平行な構成においては、ノズル列方向D3と第1方向D1とは直交する。ただし、ノズル列方向D3は、第2方向D2と平行でなく、第1方向D1に対して斜めに交差する構成であってもよい。いずれにしても、ノズル列26を構成する複数のノズル23は、第2方向D2におけるノズルピッチが一定或いはほぼ一定の状態で並んでいることから、第2方向D2に並んでいると言える。
【0022】
第2方向D2におけるノズル列26C,26M,26Y,26K,26Aそれぞれの位置は、互いに一致している。夫々が第1インクの一種であるCMYKのインクを吐出するノズル列26C,26M,26Y,26Kは、夫々が「第1ノズル列」に該当し、第1ノズル列を構成する各ノズル23は夫々が「第1ノズル」に該当する。一方、浸透液を吐出するノズル列26Aは「第2ノズル列」に該当し、第2ノズル列を構成する各ノズル23は夫々が「第2ノズル」に該当する。図2の例においては、第1方向D1に沿って並ぶノズル列26C,26M,26Y,26K,26Aの中で、ノズル列26Aはノズル列26の並びにおける最も外に位置する。
【0023】
図2の例によれば、プリンター20は、いわゆるシリアル型プリンターであり、第2方向D2への記録媒体30の所定の搬送量(以下、送り量)の搬送と、第1方向D1に沿ったキャリッジ24の移動に伴う記録ヘッド22によるインク吐出とを交互に繰り返すことで、記録媒体30へ画像を記録する。キャリッジ24の往路移動や復路移動に伴い記録ヘッド22がインク等の液体を吐出する動作を「走査」や「パス」と呼ぶ。
【0024】
記録制御装置10とプリンター20とは、図示しないネットワークを通じて接続するとしてもよい。プリンター20は、印刷機能に加え、スキャナーとしての機能やファクシミリ通信機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機であってもよい。記録制御装置10は、独立した一つの情報処理装置によって実現されるだけでなく、ネットワークを介して互いに通信可能に接続した複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0025】
あるいは、記録制御装置10およびプリンター20は、それらが一体の記録装置であってもよい。つまり、システム40は、実態として記録制御装置10およびプリンター20を含んだ一台の記録装置40であってもよい。従って、以下に説明する記録制御装置10が実行する処理は、記録装置40が実行する処理と解してもよい。
【0026】
2.記録制御処理:
図3は、制御部11が記録制御プログラム12に従って実現する記録制御処理を、フローチャートにより示している。記録制御処理により制御部11は、第1方向D1に延在する「ラスターライン」が第2方向D2に複数並んで形成される画像を記録媒体30に記録するように、プリンター20を制御する。また、本実施形態では、OL方式を採用して画像の重複領域を記録する。記録制御処理により、本実施形態にかかる記録方法が実現される。
【0027】
制御部11は、入力画像の記録指示を受け付けたことを契機として、記録制御処理を開始する。ステップS100では、記録データ生成部12aは、入力画像を取得する。ユーザーは、例えば、表示部13に表示されたUI画面を視認しつつ操作受付部14を操作することにより、入力画像を任意に選択し、入力画像の記録指示を行う。UIはユーザーインターフェイスの略である。記録データ生成部12aは、このように選択された入力画像を、所定のメモリー等の保存元から取得する。
【0028】
ステップS100で取得した入力画像は、例えば、各画素がレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の階調値の組み合わせで表現されるビットマップ形式の画像データであるとする。1色の階調値は、例えば、0~255の256階調で表現される。むろん、記録データ生成部12aは、ステップS100で取得した入力画像のフォーマットを必要に応じて変換することにより、各画素がRGBで表現される画像データを生成してもよい。
【0029】
ステップS110では、記録データ生成部12aは、入力画像に対して画像処理を施すことにより、プリンター20が入力画像の記録を行うための記録データを生成する。この場合、記録データ生成部12aは、入力画像としての画像データに色変換処理を施す。つまり、画像データの表色系を、プリンター20が記録に用いるインクの表色系に変換する。図2の例のようにプリンター20が第1インクとしてCMYKインクを使用する機種である場合、記録データ生成部12aは、画素毎にRGBの階調値をCMYKの階調値に変換する。色変換処理は、RGBからCMYKへの変換関係を規定した任意の色変換ルックアップテーブルを参照することにより実行可能である。
【0030】
記録データ生成部12aは、色変換後の画像データ、つまり各画素がCMYK毎のインク量を示す階調値を有する画像データに、ハーフトーン処理を施して第1インクの記録データを生成する。ハーフトーン処理は、例えば、ディザ法や誤差拡散法を用いて実行する。第1インクの記録データは、画素毎かつCMYK毎にドットの吐出(ドットオン)または不吐出(ドットオフ)を規定したデータである。むろん、ドットオンの情報は、例えば大ドット、中ドット、小ドットというような所定の複数サイズのドットのうちのどれを吐出するかを規定する情報であってもよい。
【0031】
ステップS120では、記録データ生成部12aは、入力画像のうちの重複領域である「OL記録領域」に対応する浸透液データを生成する。OL記録領域は、OL方式により記録されるラスターラインである「OLラスターライン」により形成される画像領域である。OL方式によれば、1色のインクによる1つのラスターラインの記録に注目した時、当該ラスターラインを当該1色のインクを吐出する複数のノズル23で分担して記録する。プリンター20がシリアル型プリンターであれば、1つのOLラスターラインは複数回のパスで記録される。便宜上、OLラスターラインではないラスターラインを「通常ラスターライン」と呼び、入力画像のうち通常ラスターラインにより形成される画像領域を「通常記録領域」と呼ぶ。プリンター20がシリアル型プリンターであれば、通常ラスターラインは、1回のパスで記録される。
【0032】
浸透液データは、第1インクの記録データと縦横夫々の画素数が同じ画像データであり、OL記録領域に該当する画素にのみ、浸透液のドットオンを規定した画像データである。浸透液データを、浸透液の記録データとも言う。浸透液データは、OL記録領域に該当する画素の全てについて浸透液のドットオンを規定したデータであってもよいし、OL記録領域に該当する画素の一部について浸透液のドットオンを規定したデータであってもよい。
【0033】
ステップS130では、記録制御部12bは、ステップS110,S120により生成された記録データに基づく記録をプリンター20に実行させる出力処理を行う。ここで言う記録データは、第1インクの記録データおよび浸透液の記録データである。具体的には、記録データを、予め定められた送り量やノズル使用率に従って、プリンター20に転送すべき順に並べ替える。当該並べ替えの処理を、ラスタライズ処理とも呼ぶ。記録制御部12bは、ラスタライズ処理の中で、記録データを構成するラスターラインのうちOLラスターラインについては、これらを構成する各画素をノズル使用率に従って複数回のパスに割り当てる。あるOLラスターラインを記録するための複数回のパスのうち先行のパスを先行パスと呼び、後行のパスを後行パスと呼ぶ。ノズル使用率は、OLラスターライン内の先行パスに割り当てる画素数と後行パスに割り当てる画素数との比率である。
【0034】
ラスタライズ処理により、記録データが規定するインクや浸透液のドットは、その画素位置および色等の種類に応じて、いずれのノズル23によって、どのパスのどのタイミングで吐出されるかが確定される。記録制御部12bは、ラスタライズ処理後の記録データや送り量の情報をプリンター20へ転送する。プリンター20は転送された記録データや送り量に基づいて搬送機構21、記録ヘッド22およびキャリッジ24を駆動することにより、記録媒体30へ入力画像を浸透液と共に記録する。
【0035】
図4は、ノズル23と画素との割り当ての対応関係を示している。符号50は記録データの一部である。記録データ50を構成する各矩形が、記録データ50の各画素である。図4において、記録データ50は、ステップS110で生成した第1インクの記録データとステップS120で生成した浸透液の記録データとが重なった状態のデータを表している。図4では、記録データ50と方向D1,D2との対応関係も併せて示している。符号RLは、複数の画素が第1方向D1に対応して並ぶ1つの画素列、つまり1つのラスターラインを例示している。
【0036】
図4には、1色のインクを吐出する複数のノズル23からなるノズル列26を示している。図4では、ノズル列26は80個のノズル23が第2方向D2に並ぶことにより構成されている。理解し易いように、図4ではノズル列26を構成する各ノズル23に、第2方向D2つまり搬送方向の下流から上流に向かって#1~#80のノズル番号を順に付している。搬送方向の上流、下流を、単に、上流、下流と言う。むろん、ノズル列26のノズル数が80個である構成は一例であり、ノズル列26のノズル数は限定されない。上述したように記録ヘッド22は、CMYKインクや浸透液といった複数種類の液体の夫々に対応して複数のノズル列26を有する。図4で説明する1色のインクに対応するノズル列26と記録データ50との位置関係は、各インクや浸透液のノズル列26に共通である。
【0037】
図4に示すノズル列26は全て同じノズル列26である。つまり図4では、記録ヘッド22のパス毎に第2方向D2におけるノズル列26と記録データ50との相対的な位置関係が変化することを示している。図4において、符号26と共に括弧書きで示す1,2,3…といった数字は、そのときのノズル列26が何回目のパスに対応しているかを表している。図4では、パスの回数が増える度にノズル列26が上流へ移動しているように見える。実際には、パスとパスとの間に搬送機構21が記録媒体30を下流へ送り量だけ搬送することにより、図4に示すようなパス毎のノズル列26と記録データ50との位置関係が記録媒体30上で記録結果として再現される。図4では、パス毎のノズル列26を第1方向D1にずらして記載しているが、これは図を見易くするためであり、パス毎のノズル列26の第1方向D1における位置の違いに意味は無い。
【0038】
図4の例では、パス間の搬送機構21による送り量は、ノズルピッチの72倍の距離である。これにより、ある回のパスにおけるノズル列26のうち上流のノズル番号#73~#80の各ノズル23で記録した各ラスターラインRLは、次の回のパスにおけるノズル列26のうち下流のノズル番号#1~#8の各ノズル23で記録することができる。つまり、ノズル番号#1~#8の各ノズル23およびノズル番号#73~#80の各ノズル23は、共通のラスターラインRLを記録することが可能な位置関係にあり、OL方式の記録を実現する。図4から解るように、例えば、ある回のパスでノズル番号#73のノズル23で記録するラスターラインRLは、次の回のパスでノズル番号#1のノズル23で記録することができる。
【0039】
図4において、記録データ50のうちハッチングを付した領域51,52,53は、OL記録領域の具体例であり、OL記録領域51,52,53以外の領域が通常記録領域である。OL記録領域51,52,53を構成する各ラスターラインRLがOLラスターラインである。記録データ50内のハッチングは、OL記録領域51,52,53を識別するための便宜上の記載であり、記録データ50が表現する画素毎のドットオン、オフとは関係ない。ただし、記録データ50のうち浸透液の記録データに限れば、これらハッチングを付したOL記録領域51,52,53内にだけドットオンを規定している。
【0040】
図4の例において、ノズル番号#1~#8のノズル範囲を「下流OLノズル範囲」と呼び、ノズル番号#73~#80のノズル範囲を「上流OLノズル範囲」と呼ぶ。記録制御部12bは、OL記録領域51を構成する各ラスターラインRLについて、上述のノズル使用率に従い、1回目のパスのノズル列26における上流OLノズル範囲の各ノズル23と、2回目のパスのノズル列26における下流OLノズル範囲の各ノズル23とに画素を割り当てる。例えば、OL記録領域51内で最も下流のラスターラインRLについては、ノズル使用率に従い、このラスターラインRLを構成する一部の画素を1回目のパスのノズル番号#73のノズル23に割り当て、このラスターラインRLを構成する残りの画素を2回目のパスのノズル番号#1のノズル23に割り当てる。
【0041】
同様に図4によれば、記録制御部12bは、OL記録領域52を構成する各ラスターラインRLについて、2回目のパスのノズル列26における上流OLノズル範囲の各ノズル23と、3回目のパスのノズル列26における下流OLノズル範囲の各ノズル23とに画素を割り当てる。同様に、記録制御部12bは、OL記録画像53を構成する各ラスターラインRLについて、3回目のパスのノズル列26における上流OLノズル範囲の各ノズル23と、4回目のパスのノズル列26における下流OLノズル範囲の各ノズル23とに画素を割り当てる。図4では、4回目以降のパスのノズル列26は紙面の都合上記載していない。
【0042】
記録制御部12bは、記録データ50のうち通常記録領域を構成する各ラスターラインRLについては、1つのラスターラインRLを1回のパスで記録するために、ラスターラインRL内の全画素を対応する1つのノズル番号のノズル23に割り当てる。図4によれば、記録制御部12bは、例えば、OL記録領域51に対して下流の位置で隣接するラスターラインRLについては、このラスターラインRLを構成する全画素を1回目のパスのノズル番号#72のノズル23に割り当てる。また、例えば、OL記録領域52に対して下流の位置で隣接するラスターラインRLについては、このラスターラインRLを構成する全画素を2回目のパスのノズル番号#72のノズル23に割り当てる。
【0043】
このような割り当ての処理を含むステップS130の結果、第1インクの記録データが表現する入力画像のうち、図4に示すようなOL記録領域51,52,53の各ラスターラインRLがOL方式で記録媒体30に記録され、通常記録領域の各ラスターラインRLは夫々が1回のパスで記録媒体30に記録される。かつ、OL記録領域51,52,53の各ラスターラインRLに対応して、浸透液の記録データに基づいて浸透液のドットが記録媒体30に記録される。なお、浸透液の記録データがOL記録領域51,52,53の各ラスターラインRLに対応して規定する浸透液のドットも、第1インクの各ドットと同じように、先行パスと後行パスとに割り当てられてOL方式で記録される。
【0044】
図5は従来の記録方法を説明するための図であり、図6図5と比較して本実施形態の記録方法を説明するための図である。図5では、記録媒体30の一部を、第1方向D1を向く視点により示している。符号30aは、記録媒体30の両面のうち記録ヘッドによるインクの吐出を受ける記録面30aを示し、符号30bは、記録媒体30の両面のうち記録面30aの反対側の非記録面30bを示している。記録面30aと非記録面30bとの距離が、記録媒体30の厚みである。実際の記録媒体30は、図5に示すほどの厚みを有する訳ではない。
【0045】
記録面30aにおいて下流から上流に向かって並ぶ領域31,32,33は、ある1組の先行パスと後行パスとによって記録される記録媒体30の領域である。また、領域31,33に挟まれた領域32は、OL方式で記録される。ここで、領域31,32,33に亘って同じ色のベタ画像を記録する場合を想定する。図5では、先行パスにより領域31および領域32にインクが記録され、送り量分の搬送を経て、後行パスにより領域32および領域33にインクが記録された様子を示している。ただし図5では、搬送により記録媒体30の位置が下流へ変化することは表現していない。
【0046】
図5において、記録媒体30の厚みの中に塗り潰しにより示した各矩形は、領域31,32,33の夫々に記録されたインクの濃度と浸透度合いとを簡易的に表現している。図5の例では、後行パスを終えた時点での単位面積あたりのインクの記録量は領域31,32,33のいずれにおいても同等である。しかし、領域31,33は夫々が1回のパスで必要な量のインクの全てが記録される一方、領域32は必要な量のインクが2回のパスに分けて記録されるため、1回のパスで記録面30aに吐出されるインクの浸透度合いは、領域31,33と比べて領域32の方が低い。インクの浸透度合いは、記録面30aから非記録面30bに向かってどれだけインクが浸透したかであり、インクの裏抜けとも言う。インクの浸透度合いが高いことを、裏抜けが良い、インクの浸透度合いが低いことを、裏抜けが悪い、と言う。
【0047】
領域32に対してはOL方式により2回のパスでインクが記録されるが、1回あたりのインクの浸透度合いが低い記録を2回重ねても、結局、図5に示すようにインクの浸透度合いは、領域31,33と比べて領域32は低いままである。このように領域32は、領域31,33と比べてインクの裏抜けが悪いため、記録面30a近傍により多くのインクが偏った状態である。そのため、記録後の記録媒体30を記録面30aから観察すると、領域32は領域31や領域33より相対的に色が濃く見えて、濃度ムラが視認される。また、生地である記録媒体30は、非記録面30bの画質も評価される。記録後の記録媒体30を非記録面30bから観察すると、領域32は領域31や領域33より裏抜けが悪い分、相対的に色が薄く見えて、濃度ムラが視認される。
【0048】
次に、図6を参照して本実施形態の記録方法を説明する。図6の見方は、図5の見方と同様である。本実施形態によれば、記録媒体30の領域31,32,33のうちOL方式で記録される領域32には、インクに加えて浸透液が吐出される。図6では、先行パスおよび後行パスにより領域32に対して浸透液のドットAが吐出される様子を、模式的に表現している。浸透液のドットAが吐出されることにより、領域32においてインクの浸透が促進される。つまり、領域32において、従来のように記録面30a近傍に多くのインクが偏る状況が解消され、裏抜けが良好になる。これにより、本実施形態の記録後の記録媒体30を記録面30aから観察したとき、領域32と領域31,33との濃度差は殆ど無く、濃度ムラが視認されない。また、記録後の記録媒体30を非記録面30bから観察すると、記録面30aと同様に、領域32と領域31,33との濃度差が殆ど無く、濃度ムラが視認されない。
【0049】
このように本実施形態によれば、記録装置40は、第1インクを吐出する複数の第1ノズル及び記録媒体30への第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出する複数の第2ノズルを有する記録ヘッド22と、記録ヘッド22を制御して第1インクを記録媒体30へ吐出させることにより、第1方向D1に延在するラスターラインが第1方向D1に交差する第2方向D2に複数並んで形成される画像を記録媒体30に記録する制御部11と、を備える。制御部11は、記録ヘッド22に、一つのラスターラインを複数の第1ノズルを用いて記録するOL方式により、画像のうちの重複領域の各ラスターラインを記録させ、重複領域の少なくとも一部の領域に対して、第2ノズルにより浸透液を記録させる。
【0050】
制御部11は、記録ヘッド22に、前記画像のうち重複領域以外の領域に対して、重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量の浸透液を記録させる。「重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量」は、0を含む。つまり本実施形態は、前記画像のうち重複領域以外の領域には浸透液を記録しない態様を含む。
前記構成によれば、記録装置40は、第1インクにより記録する画像のうちOL方式で記録する重複領域であるOL記録領域について、他の領域よりも多くの浸透液を記録する。これにより、記録媒体30へ記録するOL記録領域について第1インクの浸透度合いを高め、記録結果において濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態は、第1インクを吐出する複数の第1ノズル及び記録媒体30への第1インクの浸透を促進する浸透液を吐出する複数の第2ノズルを有する記録ヘッド22を制御して第1インクを記録媒体30へ吐出させることにより、第1方向D1に延在するラスターラインが第1方向D1に交差する第2方向D2に複数並んで形成される画像を記録媒体30に記録する記録方法を開示する。記録方法によれば、記録ヘッド22に、一つのラスターラインを複数の第1ノズルを用いて記録するOL方式により、画像のうちの重複領域の各ラスターラインを記録させ、前記重複領域の少なくとも一部の領域に対して、第2ノズルにより浸透液を記録させ、画像のうち重複領域以外の領域に対して、重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量の浸透液を記録させる。
【0052】
3.ノズル列配置の特徴:
本実施形態によれば、記録ヘッド22は、色が異なる複数種類の第1インクを吐出可能であり、複数の第1ノズルが第2方向D2に並ぶ第1ノズル列を第1インクの色毎に有し、かつ、複数の第2ノズルが第2方向D2に並ぶ第2ノズル列を有する。そして、記録ヘッド22では、第1インクの色毎の第1ノズル列および第2ノズル列は第1方向D1に並んで配設されており、第2ノズル列は複数のノズル列26の並びにおける最も外に位置する、としてもよい。
【0053】
前記構成によれば、記録装置40は、あるOL記録領域に関するOL方式の記録に際して、先行パスでは、各第1インクを吐出する前に浸透液を吐出し、後行パスでは、各第1インクを吐出した後に浸透液を吐出することができる。具体的には、図2の構成において、あるOL記録領域を記録するための先行パスがキャリッジ24の往路移動であるとき、ノズル列26Aにより浸透液を吐出した後に、ノズル列26K,26Y,26M,26Cの順でKYMCインクを吐出し、当該OL記録領域を記録するための後行パスであるキャリッジ24の復路移動において、ノズル列26C,26M,26Y,26Kの順でCMYKインクを吐出した後に、ノズル列26Aにより浸透液を吐出することができる。このように、第1インクを吐出する前と吐出した後との両方のタイミングで浸透液を吐出することで、OL記録領域の第1インクについて、記録媒体30における浸透度合いをより高めて、濃度ムラの抑制効果を高めることができる。
【0054】
このような、浸透液→第1インク→第1インク→浸透液、という吐出順を全てのOL記録領域について実現するために好適な例として、図7に示すような左右対称構造の記録ヘッド22を採用してもよい。図7の見方は、図2の見方と同様である。図7によれば、キャリッジ24が搭載する記録ヘッド22は、第1方向D1の向きに、ノズル列26A,26K,26Y,26M,26C,26C,26M,26Y,26K,26A、という並び順でノズル列26を10列有している。このような左右対称構造も、第2ノズル列つまり浸透液を吐出するノズル列26Aが複数のノズル列26の並びにおける最も外に位置する構造の一つである。
【0055】
図7の記録ヘッド22に関して、右半分のノズル列26、つまりキャリッジ24の往路移動時に進行方向前方に位置するノズル列26C,26M,26Y,26K,26Aを、まとめて第1グループ27と称する。一方、左半分のノズル列26、つまりキャリッジ24の復路移動時に進行方向前方に位置するノズル列26A,26K,26Y,26M,26Cを、まとめて第2グループ28と称する。図2の記録ヘッド22は、第1グループ27と第2グループ28とのうち第1グループ27のみを有する構成と言える。
【0056】
制御部11は、先行パスがキャリッジ24の往路移動であり、後行パスが復路移動であるOL記録領域の記録には、先行パスおよび後行パスで第1グループ27を使用すればよい。一方、先行パスがキャリッジ24の復路移動であり、後行パスが往路移動であるOL記録領域の記録には、先行パスおよび後行パスで第2グループ28を使用すればよい。
【0057】
具体例として、図4に示す1回目のパス、3回目のパス…がキャリッジ24の往路移動であり、図4に示す2回目のパス…がキャリッジ24の復路移動であるとする。この場合、OL記録領域51を記録するための先行パス(1回目のパス)は往路移動である。従って、制御部11は、1回目のパスでは、OL記録領域51を記録するために第1グループ27の各ノズル列26の上流OLノズル範囲を使用し、2回目のパスでは、OL記録領域51を記録するために第1グループ27の各ノズル列26の下流OLノズル範囲を使用すればよい。かかる構成とすれば、OL方式でOL記録領域51を記録媒体30へ記録するとき、浸透液→第1インク→第1インク→浸透液という吐出順を実現できる。
【0058】
また、OL記録領域52を記録するための先行パス(2回目のパス)は復路移動である。従って、制御部11は、2回目のパスでは、OL記録領域52を記録するために第2グループ28の各ノズル列26の上流OLノズル範囲を使用し、3回目のパスでは、OL記録領域52を記録するために第2グループ28の各ノズル列26の下流OLノズル範囲を使用すればよい。かかる構成とすれば、OL方式でOL記録領域52を記録媒体30へ記録するとき、浸透液→第1インク→第1インク→浸透液という吐出順を実現できる。
【0059】
むろん、図2図7に示したノズル列26の配置は例である。本実施形態による開示としては、ノズル列26Aが複数のノズル列26の並びにおける最も外に位置しない構造を含む。例えば、ノズル列26Aは、第1方向D1において、第1インクを吐出するノズル列26の間に挟まれる位置に在ってもよい。
【0060】
4.浸透液の吐出制限:
上述したように本実施形態の一つでは、入力画像のうちOL記録領域に対応して浸透液を記録し、通常記録領域に対応して浸透液を記録しないが、OL記録領域内でも所定の条件の下で浸透液の吐出を制限してもよい。
【0061】
図8は、浸透液の吐出制限処理を含むステップS120を、フローチャートにより示している。
ステップS121では、記録データ生成部12aは、ステップS110により生成した第1インクの記録データに基づいて、インク記録量を解析する。インク記録量の解析とは、入力画像のどの位置にどの程度の量のインクを記録するかを解析する処理である。ここでは、第1インクの記録データは、画素毎にCMYKインク夫々の大ドットオン、中ドットオン、小ドットオン、ドットオフ、のいずれかを規定したデータであるとする。
【0062】
記録データ生成部12aは、例えば、1つの画素に大ドットが1つ規定されている場合に、その画素のインク記録量は100%と計算する。中ドットや小ドットについては、大ドットとの既知のサイズ比率に従って大ドットに換算すればよい。例えば、中ドット1個は、大ドット0.5個に換算する。例えば、Cインク=中ドットオン、Mインク=ドットオフ、Yインク=ドットオフ、Kインク=大ドットオン、の画素はインク記録量が150%である。このようにして、記録データ生成部12aは、第1インクの記録データ内のインク記録量を把握する。
【0063】
次に、ステップS122では、記録データ生成部12aは、第1インクの記録データと縦横夫々の画素数が同じ画像データを生成し、この画像データの各画素に対して「インク記録量-所定値」を、浸透液の記録量として設定する。インク記録量は、当然、ステップS121で解析した第1インクの記録データを構成する画素毎の値である。所定値は、例えば30%とする。従って、第1インクの記録データにおいてインク記録量=100%である画素と、同一位置の画素については、記録データ生成部12aは、70%という浸透液の記録量を設定する。
【0064】
このように、記録データ生成部12aは、第1インクの記録データの各画素のインク記録量から一律に所定値を差し引いた値を各画素の浸透液の記録量とした、浸透液データを生成する。なお、インク記録量から所定値を差し引いた値自体は、浸透液のドットのオン・オフを表す情報ではない。そのため、記録データ生成部12aは、インク記録量から所定値を差し引いた値に対して、0~255の階調範囲への規格化やハーフトーン処理を施すことにより、画素毎に浸透液のドットオンまたはドットオフを規定した浸透液データを生成すればよい。
【0065】
ステップS121,S122によれば、インク記録量が所定値以下である画素に対しては、浸透液の記録量が0%となるから、浸透液のドットオフが規定される。入力画像のうちインク記録量が所定値以下の画素からなる領域を「低デューティー領域」と呼ぶ。反対に、入力画像のうちインク記録量が所定値を超える画素からなる領域を「高デューティー領域」と呼ぶ。ステップS122で使用する所定値は、高デューティー領域と低デューティー領域とを区分けするしきい値と言える。
【0066】
ステップS123では、記録データ生成部12aは、浸透液データのうち通常記録領域については全てマスクする。マスクするとは、マスクの対象とした領域内の全画素を強制的に浸透液のドットオフにすることである。ステップ123の結果、OL記録領域内かつ高デューティー領域内にのみ浸透液のドットオンを規定した浸透液データが生成される。
【0067】
記録データ生成部12aは、ステップS123の次にステップS124を実行してもよいし、ステップS123まで実行してステップS120を終わらせてもよい。
ステップS120において少なくともステップS121~S123を実行することにより、結果として、制御部11は、記録ヘッド22に前記重複領域であるOL記録領域のうち第1インクの記録量が所定のしきい値より多い高デューティー領域に対して浸透液を記録させ、前記重複領域のうち第1インクの記録量が前記しきい値以下の低デューティー領域に対して浸透液を記録させない。
【0068】
入力画像のうちの記録媒体30に記録されるインク量がある程度少ない領域では、そもそもインクの浸透度合いの低さに起因する濃度ムラをユーザーは殆ど視認できない。従って、OL記録領域であっても低デューティー領域であれば、浸透液を記録することによる画質向上の効果が殆ど無い。そのため、本実施形態では、OL記録領域のうち低デューティー領域に対しては浸透液を記録しないことにより、浸透液の消費を抑える。
【0069】
ステップS124では、記録データ生成部12aは、浸透液データのOL記録領域のうちOL方式の記録に用いる複数のノズル23間の使用率の差が所定差以上であるOLラスターラインをマスクする。
【0070】
図9は、ノズル使用率を規定するノズル使用率テーブル60を示す図である。ノズル使用率テーブル60は、予め所定のメモリー等に保存されている。ノズル使用率テーブル60には、OLラスター番号と先行パス対後行パスのノズル使用率とが対応付けて規定されている。OLラスター番号とは、1つのOL記録領域を形成する各OLラスターラインを識別するための便宜上の情報である。図4の例を参照すると、OL記録領域51,52,53は夫々が8列のOLラスターラインにより形成されているため、図4に合わせてノズル使用率テーブル60も1~8のOLラスター番号を規定している。
【0071】
OLラスター番号は、より小さい数字がより下流のOLラスターラインに対応付けられる。従って、OL記録領域51にノズル使用率テーブル60を適用する場合は、OL記録領域51内で最も下流のOLラスターラインが、OLラスター番号=1のOLラスターラインである。同様に、OL記録領域52にノズル使用率テーブル60を適用する場合は、OL記録領域52内で最も下流のOLラスターラインが、OLラスター番号=1のOLラスターラインである。
【0072】
ノズル使用率テーブル60は、ステップS130において記録制御部12bが記録データにおけるOLラスターラインの画素を先行パスと後行パスとに割り当てるために使用される。つまり、記録制御部12bは、OL記録領域を形成する各OLラスターラインへ、OLラスター番号に対応するノズル使用率を適用して前記割り当てを行う。例えば、図4のOL記録領域52内で最も下流のラスターラインRLは、OLラスター番号=1であり、ノズル使用率テーブル60によれば、先行パスのノズル使用率=90%、後行パスのノズル使用率=10%となる。この場合、記録制御部12bは、OL記録領域52内で最も下流のラスターラインRLを構成する全画素のうち90%の画素を、このラスターラインRLにとっての先行パスである2回目のパスのノズル番号#73のノズル23に割り当て、このラスターラインRLを構成する残り10%の画素を、このラスターラインRLにとっての後行パスである3回目のパスのノズル番号#1のノズル23に割り当てる。
【0073】
ノズル使用率テーブル60の特徴によれば、OL記録領域内で下流に近いOLラスターラインほど、ラスターライン内でより多くの画素が先行パスで記録され、OL記録領域内で上流に近いOLラスターラインほど、ラスターライン内でより多くの画素が後行パスで記録される。ただし、先行パスと後行パスとへの画素の割り当ての仕方は、様々である。記録制御部12bは、例えば、OLラスターラインを構成する各画素をランダムに先行パスと後行パスとに振り分けてもよい。当然であるが、先行パス、後行パス夫々のノズル23に割り当てられた各画素は、ドットオンであったりドットオフであったりする。そのため、ノズル使用率テーブル60が規定するノズル使用率は、OL方式の記録に使用する各ノズル23の実際の稼働率を厳格に表している訳ではない。
【0074】
このようにステップS130で参照されるノズル使用率テーブル60を、記録データ生成部12aはステップS124においても参照する。OL方式の記録に用いる複数のノズル23間の使用率の差は、先行パスのノズル使用率と後行パスのノズル使用率との差である。ノズル使用率テーブル60によれば、例えば、OLラスター番号=2に関する当該差は、80%-20%=60%である。図9の例では、判り易く先行パスのノズル使用率と後行パスのノズル使用率との差を、ノズル使用率テーブル60の一部の情報として記述しているが、このような差は単なる引き算で得られるため、ノズル使用率テーブル60内に記述しておかなくてもよい。
【0075】
ステップS124では、上述の所定差を例えば60%とする。この場合、記録データ生成部12aは、浸透液データのOL記録領域を形成する各OLラスターラインのうち、ノズル使用率テーブル60を参照して分かる前記使用率の差が60%以上であるOLラスターラインをマスクすればよい。マスクの意味は、ステップS123で説明した通りである。図9の例では、判り易くOLラスター番号と浸透液のドットオン・ドットオフとの対応関係を示している。ノズル使用率テーブル60によれば、記録データ生成部12aは、浸透液データのOL記録領域を形成する各OLラスターラインのうち、OLラスター番号1,2,7,8に該当するOLラスターラインをマスクすればよい。OLラスター番号1,2,7,8に該当するOLラスターラインは、図4の例によれば、OL記録領域51,52,53の夫々における、下流2列分および上流2列分の各ラスターラインRLである。OL記録領域を形成する各OLラスターラインのうち、ステップS124でマスクの対象としないOLラスターラインを第1ラスターラインと呼び、ステップS124でマスクするOLラスターラインを第2ラスターラインと呼ぶ。
【0076】
ステップS120においてステップS124を実行することにより、結果として、制御部11は、記録ヘッド22に前記重複領域であるOL記録領域のラスターラインのうちOL方式の記録に用いる複数の第1ノズル間の使用率の差が所定の差未満である第1ラスターラインに対して浸透液を記録させ、前記重複領域のラスターラインのうち前記使用率の差が前記所定の差以上である第2ラスターラインに対して浸透液を記録させない。
【0077】
OLラスターラインを記録する場合であっても、先行パスと後行パスとのどちらか一方にノズル使用率を大きく偏らせて記録すると、通常ラスターラインの記録結果とほぼ同様にインクの浸透度合いが高い記録結果が得られる。従って、先行パスと後行パスとのどちらか一方にノズル使用率を大きく偏らせて記録するOLラスターラインについては、浸透液を記録する意義が小さい。このような観点から、本実施形態では、OL記録領域のうち第2ラスターラインに対しては浸透液を記録しないことにより、浸透液の消費を抑えている。
【0078】
なお、ステップS120においてステップS121~S124を実行することにより、結果として、制御部11は、記録ヘッド22にOL記録領域のうち第1ラスターラインであって且つ高デューティー領域に該当する領域に対して浸透液を記録させる。
また、ステップS120において記録データ生成部12aは、OL記録領域のうち、高デューティー領域か低デューティー領域かに関係なく、第1ラスターラインを対象として浸透液のドットオンを規定した浸透液データを生成してもよい。
【0079】
このような浸透液の吐出制限に関して、さらに変形例を説明する。
制御部11は、記録ヘッド22に、前記重複領域であるOL記録領域のうち高デューティー領域に対して浸透液を記録させ、前記重複領域のうち低デューティー領域に対しては高デューティー領域に対して記録する浸透液よりも少ない量の浸透液を記録させる、としてもよい。つまり、OL記録領域内の低デューティー領域に、浸透液を一切記録しないのではなく、OL記録領域内の高デューティー領域に記録する浸透液より少ない量の浸透液を記録する。高デューティー領域に対して記録する浸透液よりも少ない量の浸透液とは、単位面積あたりで比較したときに少ない量という意味である。また、高デューティー領域に対して記録する浸透液よりも少ない量は、予め設定された量であってもよい。
このような構成によっても、濃度ムラを抑制しつつ浸透液の消費を抑制することができる。
【0080】
制御部11は、記録ヘッド22に、前記重複領域であるOL記録領域のラスターラインのうち第1ラスターラインに対して浸透液を記録させ、前記重複領域のラスターラインのうち第2ラスターラインに対しては第1ラスターラインに対して記録する浸透液よりも少ない量の浸透液を記録させる、としてもよい。つまり、OL記録領域内の第2ラスターラインに、浸透液を一切記録しないのではなく、OL記録領域内の第1ラスターラインに記録する浸透液より少ない量の浸透液を記録する。第1ラスターラインに対して記録する浸透液よりも少ない量の浸透液とは、単位面積あたりで比較したときに少ない量という意味である。また、第1ラスターラインに対して記録する浸透液よりも少ない量は、予め設定された量であってもよい。
このような構成によっても、濃度ムラを抑制しつつ浸透液の消費を抑制することができる。
【0081】
制御部11は、前記画像のうち重複領域以外の領域に対して、重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量の浸透液を記録させる、としてもよい。つまり、重複領域以外の領域である通常記録領域に、浸透液を一切記録しないのではなく、重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量の浸透液を記録する。「重複領域の少なくとも一部の領域」とは、これまでの説明から分かるように、重複領域の全体、重複領域のうちの高デューティー領域、重複領域のうちの第1ラスターライン、重複領域のうちの第1ラスターライン且つ高デューティー領域に該当する領域、のいずれかである。重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量の浸透液とは、単位面積あたりで比較したときに少ない量という意味である。また、重複領域の少なくとも一部の領域に記録する浸透液よりも少ない量は、予め設定された量であってもよい。
このような構成によっても、濃度ムラを抑制しつつ浸透液の消費を抑制することができる。
【0082】
5.その他の説明:
本実施形態で使用するプリンター20は、シリアル型プリンターではなく、以下に述べるような、いわゆるラインプリンターであってもよい。
図10は、ラインプリンターであるプリンター20における記録ヘッド70と記録媒体30との関係性を簡易的に示している。ラインプリンターであるプリンター20は、記録ヘッド22の替わりに記録ヘッド70を有し、かつ、キャリッジ24を有さない。
【0083】
方向D1,D2,D3の関係性は、これまでに説明した通りである。ただし、プリンター20がラインプリンターである場合、第2方向D2を、搬送方向ではなく、主走査方向や記録媒体30の幅方向と呼び、第1方向D1を、主走査方向ではなく、搬送方向と呼ぶ。搬送機構21は、記録媒体30を第1方向D1へ搬送する。記録ヘッド70は、同じ構成のノズルチップ71を第2方向D2に沿って複数連結することにより、記録媒体30の幅をカバー可能な長さで延在する構成となり、記録媒体30の搬送経路の所定位置に固定される。記録ヘッド70を構成する個々のノズルチップ71は、図2に示した記録ヘッド22と同様の構成と解してよい。記録ヘッド70は、第1方向D1へ搬送される記録媒体30へ各ノズル23からドットを吐出する。
【0084】
つまり、ノズル列26C,26M,26Y,26K,26Aを有するノズルチップ71が第2方向D2に複数連結することにより、記録ヘッド70の全体として、記録媒体30の幅をカバー可能な長さ且つCMYKインクや浸透液といった液体の種類毎のノズル列を有する構成となる。図10の構成によれば、ラスターラインは、搬送方向に延在するラインである。連結し合うノズルチップ71同士は、ノズル列方向D3において互いのノズル列の一部が重複するように連結されている。このようにノズルチップ71同士のノズル列の一部が重複するノズル範囲72のノズル23を用いて、OL方式の記録が実行される。
【0085】
プリンター20がシリアル型プリンターである場合、プリンター20は、キャリッジ24の往路移動と復路移動とのいずれにおいても記録ヘッド22から液体吐出をする、いわゆる双方向記録を実行する。あるいは、プリンター20は、往路移動と復路移動とのいずれか一方のみにおいて記録ヘッド22から液体吐出をする、いわゆる単方向記録を実行してもよい。
【0086】
記録媒体30は、記録面30aおよび非記録面30bの双方で濃度ムラ有無等の画質が評価される生地等の媒体に限定されず、記録面30aのみ画質が評価される用紙等の媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…記録制御装置、11…制御部、12…記録制御プログラム、12a…記録データ生成部、12b…記録制御部、13…表示部、14…操作受付部、15…通信IF、20…プリンター、21…搬送機構、22…記録ヘッド、23…ノズル、24…キャリッジ、26,26C,26M,26Y,26K,26A…ノズル列、30…記録媒体、30a…記録面、30b…非記録面、40…システム・記録装置、50…記録データ、60…ノズル使用率テーブル、70…記録ヘッド、71…ノズルチップ
図1
図2
図3
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図6
図7
図8
図9
図10